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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088575
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】二重容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20230620BHJP
   B65D 1/40 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
B65D1/02 221
B65D1/40 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203391
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】樽野 真輔
(72)【発明者】
【氏名】室屋 洋輔
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BB08
3E033DA04
3E033DB01
3E033EA04
3E033FA02
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】内折れ部が胴部本体の広い範囲に形成されることを抑制することができる、二重容器を提供する。
【解決手段】本発明によれば、内袋と外殻を有する容器本体を備える二重容器であって、前記容器本体は、口部と、胴部と、底部を備え、前記口部は、開口端を有する筒状部位であり、前記胴部は、前記口部よりも前記開口端から離れた側に前記口部に隣接して配置され、且つ前記口部よりも外径が大きく、前記底部は、前記胴部の下端を閉塞するように構成され、前記胴部は、前記口部から離れるにつれて外径が大きくなる肩部と、前記肩部よりも前記底部に近い部位である胴部本体を備え、前記胴部本体には環状溝リブが設けられており、前記環状溝リブは、前記容器本体の接地面から前記肩部の下端までの高さをHとすると、前記接地面から、0.80H~0.99Hの位置に設けられている、二重容器が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内袋と外殻を有する容器本体を備える二重容器であって、
前記容器本体は、口部と、胴部と、底部を備え、前記口部は、開口端を有する筒状部位であり、前記胴部は、前記口部よりも前記開口端から離れた側に前記口部に隣接して配置され、且つ前記口部よりも外径が大きく、前記底部は、前記胴部の下端を閉塞するように構成され、
前記胴部は、前記口部から離れるにつれて外径が大きくなる肩部と、前記肩部よりも前記底部に近い部位である胴部本体を備え、
前記胴部本体には環状溝リブが設けられており、
前記環状溝リブは、前記容器本体の接地面から前記肩部の下端までの高さをHとすると、前記接地面から、0.80H~0.99Hの位置に設けられている、二重容器。
【請求項2】
請求項1に記載の二重容器であって、
前記容器本体は、二軸延伸ブロー成形体である、二重容器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の二重容器であって、
前記肩部の下端での外径をD5とし、前記外殻の口部の根本での外径をD4とすると、D5/D4は、1.3以上である、二重容器。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の二重容器であって、
前記接地面に対する前記肩部の傾斜角度は、60度以下である、二重容器。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1つに記載の二重容器であって、
前記胴部本体は、前記接地面から0.20H~0.70Hの位置において前記胴部本体の直径が最小になるようにくびれた形状を有する、二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外殻と内袋とを有する容器本体を備える二重容器が知られている。例えば、特許文献1には、外殻プリフォームと内袋プリフォームとを重ねた状態で二軸延伸ブロー成形を行うことによって形成した二重容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-10741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような二重容器では、二軸延伸ブロー成形後、内容物の充填前に、内袋が収縮して内袋の容量が減少する場合がある。内袋の全体が萎むように収縮することは、想定可能であるので特段の問題は発生しにくいが、収縮の際に内袋が内側に折り畳まれて内袋の内面に突出する内折れ部が形成される場合がある。内折れ部は、容器本体のうちブロー比が比較的大きい肩部の下端において最初に形成されやすく、肩部の下端に内折れ部が形成されると、容器本体の胴部本体に向かって内折れ部が延長されてしまい、その結果、内折れ部が胴部本体の広い範囲に形成されてしまう。内折れ部が形成されるとその部位では内袋が内折れ部の分だけ縮径されてしまうので、内折れ部が胴部本体の広い範囲に形成されると、内袋の容量減少の度合いが大きくなる。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、内折れ部が胴部本体の広い範囲に形成されることを抑制することができる、二重容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、内袋と外殻を有する容器本体を備える二重容器であって、前記容器本体は、口部と、胴部と、底部を備え、前記口部は、開口端を有する筒状部位であり、前記胴部は、前記口部よりも前記開口端から離れた側に前記口部に隣接して配置され、且つ前記口部よりも外径が大きく、前記底部は、前記胴部の下端を閉塞するように構成され、前記胴部は、前記口部から離れるにつれて外径が大きくなる肩部と、前記肩部よりも前記底部に近い部位である胴部本体を備え、前記胴部本体には環状溝リブが設けられており、前記環状溝リブは、前記容器本体の接地面から前記肩部の下端までの高さをHとすると、前記接地面から、0.80H~0.99Hの位置に設けられている、二重容器が提供される。
【0007】
本発明の二重容器では、胴部本体のうち肩部に隣接した位置に環状溝リブが設けられている。内折れ部が胴部本体の広い領域に渡って延長されると内袋の容量減少が顕著になるが、本発明では、上記の位置に設けられた環状溝リブによって内折れ部の延長が止められる。このため、内折れ部が胴部本体の広い範囲に形成されることを抑制することができる。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載の二重容器であって、前記容器本体は、二軸延伸ブロー成形体である、二重容器である。
好ましくは、前記記載の二重容器であって、前記肩部の下端での外径をD5とし、前記外殻の口部の根本での外径をD4とすると、D5/D4は、1.3以上である、二重容器である。
好ましくは、前記記載の二重容器であって、前記接地面に対する前記肩部の傾斜角度は、60度以下である、二重容器である。
好ましくは、前記記載の二重容器であって、前記胴部本体は、前記接地面から0.20H~0.70Hの位置において前記胴部本体の直径が最小になるようにくびれた形状を有する、二重容器である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態の二重容器1の斜視図である。図中の一点鎖線は、表面形状を構成する面の曲率が変化する境界線を表す。他の図についても同様である。
図2図1の分解斜視図である。
図3図2中の領域Aの拡大図である。
図4図3の分解斜視図である。内袋4は、開口端5c近傍の一部のみを図示している。
図5図5Aは、図1の二重容器1の容器本体2の正面図であり、図5Bは、図5A中のB-B断面図であり、図5Cは、図5B中の領域Cの拡大図である。
図6図5Aの容器本体2の口部5の中心軸を通る断面図である。
図7図7Aは、図6中の領域Aの拡大図であり、図7Bは、図6中の領域Bの拡大図である。
図8】外殻3の開口端近傍の斜視図である。
図9図9Aは、中栓26を上側から見た斜視図であり、図9Bは、中栓26を下側から見た斜視図である。
図10】中栓26の中心を通る縦断面図である。
図11】内プリフォーム14及び外プリフォーム13が分離されている状態を示す斜視図である。
図12】内プリフォーム14に外プリフォーム13を被せることによって構成されたプリフォーム15を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0011】
1.第1実施形態
1-1.二重容器1の構成
<基本構成>
図1に示すように、本発明の第1実施形態の二重容器1は、容器本体2と、口部装着部材8を備える。
【0012】
図2図3に示すように、容器本体2は、口部5と、胴部6と、底部7を備える。口部5は、開口端5cを有する筒状(好ましくは円筒状)部位である。口部5は、キャップやポンプなどの口部装着部材8を装着可能な係合部5aを備える。本実施形態では、口部装着部材8が打栓式であるので、係合部5aは、周方向に突出する環状凸部5a2である。口部装着部材8がネジ式の場合は、係合部5aは、雄ねじ部となる。口部5には、フランジ5bが設けられている。フランジ5bは、口部5に口部装着部材8を装着する際に口部5を支持するために利用可能である。
【0013】
図4に示すように、容器本体2は、内袋4と、内袋4を覆うように配置された外殻3を備える。内袋4は、突出部4c以外の部位が外殻3内に収容されている。以下の説明では、内袋4のうち、容器本体2の口部5、胴部6、及び底部7に相当する部位をそれぞれ、内袋4の口部5、胴部6、及び底部7のように称する。外殻3についても同様である。
【0014】
容器本体2の高さ方向の中央での外殻3の肉厚は、例えば、0.2~0.8mmであり、0.25~0.5mmが好ましい。この肉厚は、具体的には例えば、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。容器本体2の高さ方向の中央での内袋4の肉厚は、例えば、0.05~0.25mmであり、0.08~0.20mmが好ましい。この肉厚は、具体的には例えば、0.05、0.08、0.10、0.15、0.20、0.25mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0015】
口部装着部材8は、逆止弁(不図示)を有していてもいなくてもよい。口部装着部材8に逆止弁が設けられていない場合は、内袋4の内容物を吐出した後にも内袋4が収縮しないので、後述するように、内袋4を容器本体2から引き抜く際に音が発生しやすい。
【0016】
図7Aに示すように、外殻3の口部5の内径D2は、例えば20~50mmであり、25~40mmが好ましい(本実施形態は29.5mm)。外殻3の口部5の根本の外径D4は、例えば25~55mmであり、30~45mmが好ましい。内径D2は、具体的には例えば、20、25、30、35、40、45、50mmであり、外径D4は、具体的には例えば、25、30、35、40、45、50、55mmであり、それぞれ、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。口部5の長さは、例えば15~35mmであり、具体的には例えば、15、20、25、30、35mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0017】
<胴部6の構造>
胴部6は、口部5よりも開口端5cから離れた側に口部5に隣接して配置される。胴部6は、口部5よりも外径(本明細書において、「外径」は、断面が円形でない場合は、外接円径を意味する。)が大きい。胴部6は筒状である。胴部6は、口部5から離れるにつれて外径が拡大する肩部6bを備える。胴部6は、肩部6bよりも底部7に近い部位である胴部本体6cを備える。胴部本体6cは、肩部6bの下端6b1につながった少なくとも一部が、底部7に向かって外径が一定である形状であるか、又は底部7に向かって縮径する形状である。
【0018】
図5Aに示すように、胴部本体6cには、環状溝リブ20,21が設けられていることが好ましい。容器本体2の接地面2aから肩部6bの下端6b1までの高さをHとすると、環状溝リブ20は、接地面2aから0.80H~0.99Hの位置に設けられる(本実施形態は0.93H)。環状溝リブ21は、接地面2aから0.20H~0.70Hの位置に設けられる(本実施形態は0.5H)。環状溝リブ20,21の一方又は両方は、省略可能である。
【0019】
容器本体2を二軸延伸ブロー成形で形成する場合、二軸延伸ブロー成形後、内容物の充填前に、内袋4が収縮して内袋4の容量が減少する場合がある。内袋4の全体が萎むように収縮することは、想定可能であるので特段の問題は発生しにくいが、図5B図5Cに示すように、収縮の際に内袋4が内側に折り畳まれて内袋4の内面に突出する内折れ部4iが形成される場合がある。内折れ部4iは、容器本体2のうちブロー比が比較的大きい肩部6bの下端6b1において最初に形成されやすく、この部位に内折れ部4iが形成されると、容器本体2の胴部本体6cに向かって内折れ部4iが延長されてしまい、その結果、内折れ部4iが胴部本体6cの広い範囲に形成されてしまう。内折れ部4iが形成されるとその部位では内袋4が内折れ部4iの分だけ縮径されてしまうので、内折れ部4iが胴部本体6cの広い範囲に形成されると、内袋4の容量減少の度合いが大きくなる。
【0020】
環状溝リブ20は、胴部本体6cのうち肩部6bに隣接した位置に設けられている。内折れ部4iが胴部本体6cの広い領域に渡って延長されると内袋4の容量減少が顕著になるが、本実施形態では、上記の位置に設けられた環状溝リブ20によって内折れ部4iの延長が止められる。このため、内折れ部4iが胴部本体6cの広い範囲に形成されることを抑制することができる。環状溝リブ20は、接地面2aからα×Hの位置に設けることができ、αは、具体的には例えば、0.80、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0021】
肩部6bの下端6b1での外径をD5とすると、D5/D4は、1.3以上であることが好ましい(本実施形態は1.5)。通常、この値が大きいほど、二軸延伸ブロー成形時の下端6b1でのプリフォーム15の延伸の度合いが大きくなる。そして、下端6b1でのプリフォーム15延伸の度合いが大きいほど、内袋4の収縮によって内折れ部4iが発生しやすいので、環状溝リブ20を設ける技術的意義が顕著になる。この値は、例えば1.3~3.0であり、具体的には例えば、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0022】
また、接地面2aに対する肩部6bの傾斜角度θは、60度以下であることが好ましい(本実施形態では48度)。この角度が小さいほど、肩部6bにおいて下端6b1に向かって外径が大きくなる度合いが顕著であり、内折れ部4iが発生しやすくなる。角度θは、例えば、40~60度であり、具体的には例えば、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0023】
環状溝リブ20は、好ましくは、容器本体2の内側に向かって突出する湾曲面で構成されることが好ましく、円弧面を含むことがさらに好ましい。環状溝リブ20の幅は、例えば、1~20mmであり、2~8mmが好ましい。この幅は、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。環状溝リブ20の深さは、例えば0.5~5mmであり、1~3mmが好ましい。この深さは、具体的には例えば、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0024】
環状溝リブ21は胴部本体6cの剛性が高める目的で設けられる。二重容器1を傾斜させることによって、内容物を吐出させることが想定されている場合、胴部本体6cの剛性が低すぎると、胴部本体6cを意図せずに圧縮してしまって内容物が出すぎてしまうという問題が発生する場合がある。本実施形態では、環状溝リブ21を設けることによって、胴部本体6cの剛性を高めて、上記問題の発生を抑制している。環状溝リブ21は、接地面2aからβ×Hの位置に設けることができ、βは、具体的には例えば、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。環状溝リブ21の幅及び深さの説明は、環状溝リブ20と同様である。
【0025】
胴部本体6cは、接地面2aから0.20H~0.70H(本実施形態では、0.50H)の位置において胴部本体6cの直径が最小になるようにくびれた形状を有することが好ましい。この場合、容器本体2を把持しやすくなる。くびれ形状の最も細くなっている部位6c1は、接地面2aからγ×Hの位置に設けることができ、γの説明は、ベータと同様である。胴部本体6cは、好ましくは、下端6b1と部位6c1の間に、部位6c1に向かって縮径される部位6c2と、底部7と部位6c1の間に、部位6c1に向かって縮径される部位6c3を備えることが好ましい。
【0026】
<底部7の構造>
底部7は、胴部6の下端に設けられ、胴部6の下端を閉塞する。図7Bに示すように、内袋4の底部7には、突起4eが設けられている。外殻3の底部7には、環状凸部3bが設けられており、環状凸部3bの内側の領域に中空突起3jが設けられている。中空突起3jには凹部3j1が設けられており、突起4eが凹部3j1に挿入されることで、内袋4が外殻3に対して位置決めされている。環状凸部3b及びその内側の領域は、二軸延伸ブロー成形の際にほとんど延伸されないので、外殻3及び内袋4の両方において、肉厚が大きくなっている。環状凸部3bは省略可能である。
【0027】
環状凸部3bの外径をD1とし、外殻3の口部5の内径をD2とすると、D1/D2は、0.9以下が好ましく、0.6以下がさらに好ましい。環状凸部3b及びその内側の領域は、内袋4の肉厚が大きくなるので、D1/D2が小さいほど、内袋4の底部7が縮径されやすくなる。D1/D2は、例えば、0.1~0.9であり、具体的には例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内又は何れか以下であってもよい。
【0028】
容器本体2の底部7(つまり、内袋4及び外殻3のそれぞれの底部7)には、底部凹領域7aと、底部凹領域7aを取り囲む周縁領域7bが設けられている。底部凹領域7aは、底部7が容器本体2の内部に向かって凹まされた領域である。周縁領域7bが容器本体2の接地面2aとなる。図7Bに示すように、底部凹領域7aの周面7a1では、周縁領域7bに近づくにつれて、内袋4及び外殻3のそれぞれの肉厚が徐々に薄くなっている。周面7a1は、周縁領域7bに向かって底部7の中央から離れるように傾斜した傾斜面になっている。言い換えると、周面7a1は、底部凹領域7aの底面7a2に向かってしぼむ円錐の一部を構成している。底部凹領域7aの底面7a2は、周面7a1につながる部位が略平坦になっている。このため、底部凹領域7aは、略円錐台形状になっている。
【0029】
底部凹領域7aの底面7a2は、二軸延伸ブロー成形の際に延伸されにくく、肉厚が大きくなりやすいので、底面7a2の直径(言い換えると、底面7a2と周面7a1の境界線によって囲まれる領域の直径)D3が小さい方が内袋4の底部7が縮径されやすくなる。D3/D2は、0.9以下が好ましく、0.6以下がさらに好ましい。D3/D2は、例えば、0.1~0.9であり、具体的には例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内又は何れか以下であってもよい。
【0030】
ところで、本実施形態の容器本体2は、口部5の根本5dよりも底部7に近い部位(つまり、胴部6及び底部7)には外殻3に外気導入孔(開口部)が設けられていないことが好ましく、この場合、内袋4を容器本体2から引き抜く際に、内袋4が外殻3の口部5の根本5dを塞ぐと外殻3の内部が密閉状態となる。この状態から内袋4にさらに力を加えて内袋4を引き抜くと、内袋4を引き抜く際に「ポンッ」という心地よい音が発生する。このような音の発生により、ユーザーが音を楽しむために内袋4の引き抜きを行うことが動機付けられたり、内袋4を引き抜いたことが記憶に残りやすいので、次の機会においてもユーザーが内袋4を引き抜くことが動機付けられたりする。
【0031】
そして、底部凹領域7aの縁の直径をD6とすると、D6/D2は、0.70~1.20であることが好ましく、0.85~1.00がさらに好ましい。この値が小さすぎると、内袋4を引き抜く際の音が小さすぎる場合があり、この値が大きすぎると、内袋4の引き抜きに必要な力が大きくなりすぎる場合がある。この値は、具体的には例えば、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.00、1.05、1.10、1.15、1.20であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0032】
容器本体2の接地面2aに対する底部凹領域7aの周面7a1の傾斜角度δは、30~70度であることが好ましい(本実施形態では43.8度)。角度δが小さすぎると、内袋4の引き抜きに必要な力が大きくなりすぎる場合があり、角度δが大きすぎると、内袋4を引き抜く際の音が小さすぎる場合がある。角度δは、具体的には例えば、30、35、40、45、50、55、60、65、70度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0033】
底部凹領域7aの深さD7は、例えば、2~10mmであり、具体的には例えば、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0034】
<口部装着部材8の構造及び口部装着部材8と容器本体2との係合構造>
口部装着部材8は、容器本体2の口部5に装着される。図2に示すように、口部装着部材8は、中栓26と、オーバーキャップ27を備える。オーバーキャップ27は、省略可能である。中栓26は、内袋4と軸方向に係合しており、周方向には係合していてもしていなくてもよい。オーバーキャップ27は、中栓26に係合されている。この係合は、ネジ係合であっても、スナップ係合であってもよい。なお、本明細書において、「軸方向」とは、口部5の中心軸Cが延びる方向であり、言い換えると、容器本体2から内袋4を引き抜く方向である。「周方向」とは、口部5の中心軸Cを中心として回転させる方向であり、言い換えると、口部5において内袋4を外殻3に対して、相対回転させる方向である。
【0035】
口部装着部材8は、口部装着部材8の回転(ここでは、外殻3に対する相対回転)に伴って、口部5において内袋4が回転するように構成されていることが好ましい(つまり、口部装着部材8は、内袋4と周方向に係合していることが好ましい)。このような構成によれば、口部装着部材8を回転させることによって口部5において内袋4を回転させることが可能である。本実施形態の容器本体2は、内袋4を外殻3に対して相対回転させることによって、内袋4が容器本体2から抜け出す方向に移動するので、口部装着部材8を回転させることによって、内袋4を容器本体2からせり上がらせることができる。そして、内袋4が容器本体2からせり上がった部分をきっかけとして、内袋4を容器本体2から容易に引き抜くことができる。
【0036】
また、容器本体2の胴部6は、口部5よりも外径が大きいので、単に、内袋4を引っ張るだけでは、外殻3の口部5を通じて内袋4を引き出すことは容易ではないが、内袋4の口部5を回転させて内袋4を捻って内袋4の胴部6を縮径させることによって、内袋4の胴部6が外殻3の口部5を通過しやすくなり、容器本体2から内袋4を容易に引き出すことができる。
【0037】
以下、口部装着部材8と容器本体2の係合構造をより具体的に説明する。
【0038】
図3図4に示すように、内袋4は、外殻3の開口端3aから突出する突出部4cを備える。突出部4cは、突出筒4c1と、係合凸部4c2と、当接フランジ4c4を備える。
【0039】
係合凸部4c2は、突出筒4c1の周面から径方向外側に向かって突出する。係合凸部4c2は、周方向に離間されて複数箇所(本実施形態では8箇所)に設けられる。係合凸部4c2は、上面にテーパー面4c3が設けられている。これによって、後述するように、口部装着部材8の環状凸部28c(図9B及び図10に図示)が係合凸部4c2を乗り越えやすくなっている。
【0040】
当接フランジ4c4は、開口端3aに当接する位置に配置され且つ突出筒4c1よりも拡径された環状部位である。当接フランジ4c4が開口端3aに当接することによって、内袋4が外殻3内に脱落することが回避される。一方、当接フランジ4c4を設けずに、係合凸部4c2を開口端3aに当接させることによって内袋4が外殻3内に脱落することを回避するようにしてもよい。
【0041】
図3に示すように、外殻3の口部5の外周面には環状凸部5a2と、環状凸部5a2に間欠的に設けられた突起3kが設けられている。突起3kは、環状凸部5a2上に周方向に離間されて複数箇所(本実施形態では8箇所)に設けられている。
【0042】
図2図9及び図10に示すように、口部装着部材8は、打栓式であり、軸方向の力を口部装着部材8に加えることによって口部装着部材8を口部5に装着することが可能になっている。
【0043】
図10に示すように、中栓26は、本体部28と、バンド部29を備える。本体部28とバンド部29は、易引裂性の連結部30を介して互いに連結されている。
【0044】
バンド部29は、外殻3の口部5に軸方向に係合する。このため、バンド部29は、外殻3の口部5に対して軸方向の移動が規制される。バンド部29は、外殻3の口部5に周方向に係合していてもいなくてもよい。バンド部29が外殻3の口部5に周方向に係合している場合、バンド部29は、外殻3の口部5に対して周方向の移動が規制される。
【0045】
本体部28は、内袋4の口部5に軸方向に係合する。このため、本体部28は、内袋4の口部5に対して軸方向の移動が規制される。本体部28は、内袋4の口部5に周方向に係合していてもいなくてもよい。本体部28が内袋4の口部5に周方向に係合している場合、本体部28は、内袋4の口部5に対して周方向の移動が規制される。
【0046】
連結部30は、本体部28とバンド部29の間に力(せん断力、回転方向の力など)を加えることによって引き裂くことができるように構成されている。連結部30は、本体部28及びバンド部29よりも薄肉であることが好ましい。
【0047】
バンド部29は、外筒29aと、内筒29bを備える。内筒29bは、外筒29aの内側に配置される。外筒29aと内筒29bは、バンド部29の下端でつながっており、内筒29bは、連結部30を介して本体部28に連結されている。内筒29bは、環状凸部5a2を取り囲むように配置される。内筒29bの内周面には周方向に延びる係合凸部29cが設けられている。係合凸部29cが環状凸部5a2に軸方向に係合することによってバンド部29が、外殻3の口部5に軸方向に係合する。係合凸部29cの下側にはテーパー面が設けられており、係合凸部29cが環状凸部5a2を乗り越えるのに必要な力が低減されている。
【0048】
また、環状凸部5a2に設けられた突起3kが中栓26に押圧されることによって、中栓26が、外殻3の口部5に周方向に摩擦係合される。後述するように、本実施形態の二重容器1は、口部装着部材8と内袋4が一体となって回転することによって、内袋4が容器本体2から抜け出す方向に移動するように構成されており、意図せずして、口部装着部材8が外殻3に対して回転すると、内袋4が意図せずして、容器本体2から抜け出してしまうという問題が発生する虞がある。このような問題の発生を防ぐべく、中栓26を外殻3の口部5に周方向に係合させて、口部装着部材8が外殻3の口部5に対して回転することを抑制している。
【0049】
バンド部29の外筒29aには、薄肉部29a1が設けられている。薄肉部29a1で引き裂きを開始した後に連結部30を引き裂くことによって、バンド部29を取り外すことが可能になっている。
【0050】
本体部28は、外筒28aと、内筒28bと、環状凸部28cと、係合凸部28dと、天板28eと、吐出筒28fと、取付筒28gを備える。
【0051】
天板28eは、外筒28aの上面に設けられる。天板28eの下面には内筒28bが設けられている。内筒28bは、外筒28aよりも直径が小さく、外筒28aの内部に配置される、いわゆるインナーリングである。天板28eの上面には、吐出筒28fと取付筒28gが設けられている。内袋4内の内容物は、吐出筒28fを通って吐出される。図2に示すように、取付筒28gの外周面には、係合部(本実施形態では雄ネジ部28g1)が設けられており、雄ネジ部28g1が、オーバーキャップ27の筒部27cの内周面に設けられた雌ネジ部と係合することによって、オーバーキャップ27が中栓26にネジ係合される。
【0052】
環状凸部28cは、外筒28aの内周面に周方向に延びるように設けられる環状の凸部である。環状凸部28cが係合凸部4c2と軸方向に係合することによって、本体部28が内袋4の口部5に軸方向に係合する。係合凸部28dは、周方向に離間されて複数箇所(本実施形態では8箇所)に設けられている。係合凸部28dは、隣接する係合凸部4c2の間に配置され、これによって、本体部28が内袋4の口部5に周方向に係合する。
【0053】
<外殻3と内袋4の間の係合構造>
図4に示すように、内袋4の外周面には、カム凸部4gと、係合凸部4hが設けられている。カム凸部4gと係合凸部4hは、互いにつながっている。カム凸部4gと係合凸部4hのそれぞれの下面は、それぞれ、口部5の開口端5c側から見て、時計周りに進むにつれて開口端5cに近づくように傾斜している。
【0054】
図8に示すように、外殻3の内周面には、カムレール3lと、係合凹部3mが設けられている。係合凹部3mは、係合凹部3mの下面がカムレール3lの上面と連続するように設けられている。カムレール3lの上面及び係合凹部3mの下面は、開口端3a側から見て、時計周りに進むにつれて開口端3aに近づくように傾斜している。内袋4を容器本体2から引き抜く前の状態では、係合凸部4hが係合凹部3m内に配置されており、カム凸部4gの下面がカムレール3lの上面に当接している。カム凸部4gとカムレール3lによって、カム機構31が構成される。本実施形態では、係合凹部3mは貫通孔であるが、非貫通孔であってもよい。
【0055】
<内袋4の引き抜き方法>
内袋4の引き抜きを開始する前の状態では、口部装着部材8の本体部28とバンド部29が連結されており、かつバンド部29が外殻3の口部5に軸方向に係合しているので、この状態では、内袋4を容器本体2から引き抜くことはできない。このため、まずは、図10に図示する連結部30を引き裂いて、バンド部29を取り外す。これによって、口部装着部材8と、外殻3の口部5との係合が解除され、内袋4の引き抜きが可能になる。
【0056】
次に、開口端5cから見て時計回りに口部装着部材8を回転させる。内袋4は、口部装着部材8と周方向に係合しているので、口部装着部材8の回転に伴って内袋4も同じ方向に回転し、カム凸部4gがカムレール3lに沿って移動し、この移動に伴って内袋4が容器本体2から抜け出す方向に移動する。この際に、内袋4が捻られて、内袋4の胴部6が縮径される。なお、開口端5cから見て反時計回りに内袋4を回転させようとすると、カムレール3lを構成する凸部に、内袋4のカム凸部4gが干渉して内袋4を回転させることができないようになっている。このため、内袋4を回転させる方向を間違えることが防止される。
【0057】
この後は、内袋4を容器本体2から引き抜くように口部装着部材8を軸方向に移動させる。口部装着部材8は、内袋4と軸方向に係合しているので、口部装着部材8に加えた軸方向の力が内袋4に伝達されて、内袋4が容器本体2から引き抜かれる。この引き抜きは、内袋4が容器本体2からせり上がった状態で行われるので、内袋4の引き抜きに必要な力が低減されている。
【0058】
また、口部5の根本5dよりも底部7に近い部位において外殻3に外気導入孔が設けられていない場合、内袋4を引き抜く際に、内袋4が外殻3の口部5の根本5dを塞ぐと外殻3の内部が密閉状態となり、この状態から内袋4にさらに力を加えて内袋4を引き抜くと、内袋4を引き抜く際に「ポンッ」という心地よい音を発生させることができる。
【0059】
1-2.二重容器1の製造方法
図11図12に示すように、容器本体2は、プリフォーム15を加熱して二軸延伸ブロー成形することによって形成することができる。
【0060】
<内プリフォーム14、外プリフォーム13,プリフォーム15の構成>
プリフォーム15は、一例では、内袋4となる内プリフォーム14に、外殻3となる外プリフォーム13を被せて構成することができる。
【0061】
図11に示すように、内プリフォーム14は、有底筒状であり、口部14aと、胴部14bと、底部14cを備える。口部14aの開口端には、突出部14dが設けられている。突出部14dは、成形時に変形せずにそのままの形状で突出部4cとなる。従って、突出部4cについて述べた事項は、突出部14dにも当てはまる。底部14cは、胴部14bの下端を閉じるように設けられる。底部14cには、位置決めピン14c1が設けられている。内プリフォーム14の口部14aの外周面には、カム凸部4gと係合凸部4hになるカム凸部14g,係合凸部14hが設けられている。
【0062】
図11に示すように、外プリフォーム13は、有底筒状であり、口部13aと、胴部13bと、底部13cを備える。底部13cは、胴部13bの下端を閉じるように設けられる。底部13cには、環状凸部13d及び中空突起13iが設けられている。外プリフォーム13の口部13aには、カムレール3lとなるカムレール13lと、係合凹部3mとなる係合凹部13mが設けられている。
【0063】
図12に示すように、プリフォーム15を形成する際に、突出部14dを口部13aの開口端に当接させると共に、位置決めピン14c1を中空突起13iに設けられた凹部に挿入する。これによって、内プリフォーム14と外プリフォーム13が互いに位置決めされる。この状態では、口部14aと口部13aが対向し、胴部14bと胴部13bが対向する。位置決めピン14c1及び中空突起13iは、成形時に変形せずにそのままの形状で突起4e及び中空突起3jとなる。
【0064】
口部13a,14aがプリフォーム15の口部15aとなり、胴部13b,14bがプリフォーム15の胴部15bとなり、底部13c,14cがプリフォーム15の底部15cとなる。胴部15b及び底部15cが、二軸延伸ブロー成形において主に延伸される。
【0065】
<内プリフォーム14と外プリフォーム13の口部15aでの凹凸係合>
ところで、プリフォーム15を加熱して二軸延伸ブロー成形する際には、通常、プリフォーム15の内周面側(つまり、内プリフォーム14の内周面側)が支持される。プリフォーム15の搬送方法としては、底部15cを下側に向ける正立搬送と、底部15cを上側に向ける倒立搬送があり、正立搬送が一般的であり、好ましい。一方、プリフォーム15を正立搬送すると、外プリフォーム13が内プリフォーム14から外れて脱落してしまうという問題が発生する虞がある。口部15aにおいて外プリフォーム13と内プリフォーム14を強く嵌合させると、外プリフォーム13の脱落を抑制することが可能であるが、その場合、成形によって得られる容器本体2において、内袋4が容器本体2から外れにくくなるという問題が新たに発生する。
【0066】
そこで、使用後には内袋4を容器本体2から容易に引き出すことを可能にしつつ、外プリフォーム13の脱落を抑制すべく、本実施形態では、内プリフォーム14と外プリフォーム13を口部15aにおいて凹凸係合させている。
【0067】
本実施形態では、凹凸係合は、図11に示すように、内プリフォーム14の口部14aの外周面に設けた係合凸部14hと、外プリフォーム13の口部13aの内面に設けた係合凹部13mの係合である。係合凸部14h及び係合凹部13mがそれぞれ係合凸部4h及び係合凹部3mとなる。
【0068】
<内プリフォーム14と外プリフォーム13の材料・製造方法>
内プリフォーム14及び外プリフォーム13は、ポリエステル(例:PET)やポリオレフィン(例:ポリプロピレン、ポリエチレン)等の熱可塑性樹脂のダイレクトブロー成形や射出成形等によって形成可能である。一例では、内プリフォーム14がポリオレフィン(例:ポリプロピレン)で構成され、外プリフォーム13はPETで構成される。この場合、二軸延伸ブロー成形後に内袋4が収縮して内折れ部4iが形成されやすいので、胴部本体6cに環状溝リブ20を設けることの技術的意義が顕著である。
【0069】
内プリフォーム14は、ダイレクトブロー成形で形成することが好ましい。ダイレクトブロー成形(溶融状態の筒状パリソンを用いたブロー成形)によれば、積層構造の内プリフォーム14を容易に形成することができる。外プリフォーム13は、射出成形で形成することが好ましい。
【実施例0070】
1.容器本体2の製造
<実施例1>
上述した方法に従って、図11図12に示すプリフォーム15を110℃(プリフォーム15の長手方向の中央での温度)に加熱して二軸延伸ブロー成形することによって、図1図8に示す容器本体2(内容量300mL)を製造した。内プリフォーム14は、ホモポリプロピレン(型式:ノバテック、日本ポリプロ社製)を射出成形することによって製造した。外プリフォーム13は、PET(型式:チタン系触媒グレード、帝人社製)を300℃で射出成形して外プリフォームの形状とした後に20℃に急冷することによって製造した。急冷によって溶融状態のPETを非晶質状態にした。外プリフォーム13の口部13aの内径(=外殻3の口部5の内径D2)を29.5mmとした。
【0071】
<比較例1>
胴部本体6cに環状溝リブ20を設けない以外は、実施例1と同様の方法で容器本体2を製造した。
【0072】
2.評価
実施例1・比較例1の容器本体2をそれぞれ10本ずつ製造し、内折れ部4iの有無を目視で確認した。実施例1・比較例1ともに10本のうちの1本において、肩部6bの下端6b1の近傍に内折れ部4iが形成されていた。実施例1の容器本体2では、内折れ部4iは、環状溝リブ20の上縁で止まっていた。一方、比較例1の容器本体2では、内折れ部4iは、環状溝リブ21の上縁にまで達していた。
【符号の説明】
【0073】
1 :二重容器
2 :容器本体
2a :接地面
3 :外殻
3a :開口端
3b :環状凸部
3j :中空突起
3j1 :凹部
3k :突起
3l :カムレール
3m :係合凹部
4 :内袋
4c :突出部
4c1 :突出筒
4c2 :係合凸部
4c3 :テーパー面
4c4 :当接フランジ
4e :突起
4g :カム凸部
4h :係合凸部
4i :内折れ部
5 :口部
5a :係合部
5a2 :環状凸部
5b :フランジ
5c :開口端
5d :根本
6 :胴部
6b :肩部
6b1 :下端
6c :胴部本体
6c1 :部位
6c2 :部位
6c3 :部位
7 :底部
7a :底部凹領域
7a1 :周面
7a2 :底面
7b :周縁領域
8 :口部装着部材
13 :外プリフォーム
13a :口部
13b :胴部
13c :底部
13d :環状凸部
13i :中空突起
13l :カムレール
13m :係合凹部
14 :内プリフォーム
14a :口部
14b :胴部
14c :底部
14c1 :位置決めピン
14d :突出部
14g :カム凸部
14h :係合凸部
15 :プリフォーム
15a :口部
15b :胴部
15c :底部
20 :環状溝リブ
21 :環状溝リブ
26 :中栓
27 :オーバーキャップ
27c :筒部
28 :本体部
28a :外筒
28b :内筒
28c :環状凸部
28d :係合凸部
28e :天板
28f :吐出筒
28g :取付筒
28g1 :雄ネジ部
29 :バンド部
29a :外筒
29a1 :薄肉部
29b :内筒
29c :係合凸部
30 :連結部
31 :カム機構
C :中心軸
δ :傾斜角度
θ :傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12