IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 財團法人工業技術研究院の特許一覧

特開2023-88593路面データを抽出するための方法とシステム、および自動運転車を制御するための方法とシステム
<>
  • 特開-路面データを抽出するための方法とシステム、および自動運転車を制御するための方法とシステム 図1
  • 特開-路面データを抽出するための方法とシステム、および自動運転車を制御するための方法とシステム 図2
  • 特開-路面データを抽出するための方法とシステム、および自動運転車を制御するための方法とシステム 図3
  • 特開-路面データを抽出するための方法とシステム、および自動運転車を制御するための方法とシステム 図4
  • 特開-路面データを抽出するための方法とシステム、および自動運転車を制御するための方法とシステム 図5
  • 特開-路面データを抽出するための方法とシステム、および自動運転車を制御するための方法とシステム 図6
  • 特開-路面データを抽出するための方法とシステム、および自動運転車を制御するための方法とシステム 図7
  • 特開-路面データを抽出するための方法とシステム、および自動運転車を制御するための方法とシステム 図8
  • 特開-路面データを抽出するための方法とシステム、および自動運転車を制御するための方法とシステム 図9
  • 特開-路面データを抽出するための方法とシステム、および自動運転車を制御するための方法とシステム 図10
  • 特開-路面データを抽出するための方法とシステム、および自動運転車を制御するための方法とシステム 図11
  • 特開-路面データを抽出するための方法とシステム、および自動運転車を制御するための方法とシステム 図12
  • 特開-路面データを抽出するための方法とシステム、および自動運転車を制御するための方法とシステム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088593
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】路面データを抽出するための方法とシステム、および自動運転車を制御するための方法とシステム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230620BHJP
   G08G 1/137 20060101ALI20230620BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20230620BHJP
   B60W 40/06 20120101ALI20230620BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230620BHJP
   G06V 10/40 20220101ALI20230620BHJP
【FI】
G08G1/00 J
G08G1/137
B60W60/00
B60W40/06
G06T7/00 650A
G06V10/40
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021203421
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.195,Sec.4,ChungHsingRd.,Chutung,Hsinchu,Taiwan 31040
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ル ビクタ
(72)【発明者】
【氏名】リン チュンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ク クンルン
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
3D241BA49
3D241CD28
3D241CE04
3D241DB01A
3D241DB01B
3D241DB01Z
3D241DB02A
3D241DB02B
3D241DB02Z
3D241DC41A
3D241DC41B
3D241DC41Z
3D241DC60Z
5H181AA01
5H181AA26
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC03
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF27
5L096AA09
5L096BA04
5L096EA07
5L096FA02
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
(57)【要約】      (修正有)
【課題】路面データを取得するための方法とシステム、および自動運転車を制御するための方法とシステムの提供。
【解決手段】路面データを抽出するための方法は、検出領域の第1の環境検出データから地面データを取得すること、地面データを用いて第1の地面モデルを取得すること、第1の地面モデルの欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得すること、第2の地面モデルに従って検出領域の路面属性を取得すること、検出領域の第2の環境検出データと第2の地面モデルを用いて路面損壊識別を行うこと、および路面属性と路面損壊識別の結果を検出領域の路面データとして格納することを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置によって実行される以下のステップを含む路面データを抽出するための方法であり、前記ステップは、
検出領域の第1の環境検出データから地面データを取得すること、
前記地面データを用いて第1の地面モデルを取得すること、
前記第1の地面モデルの欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得すること、
前記第2の地面モデルに従って前記検出領域の複数の路面属性を取得すること、
前記検出領域の第2の環境検出データと前記第2の地面モデルを用いて路面損壊識別を行うこと、および
前記複数の路面属性と前記路面損壊識別の結果を前記検出領域の複数の路面データとして格納することを含む、路面データを抽出するための方法。
【請求項2】
前記第1の環境検出データは点群であり、前記地面データを前記検出領域の前記第1の環境検出データから取得することは、
前記点群を複数のオリジナルボクセルに分割すること、
前記複数のオリジナルボクセルから複数の目標ボクセル群を取得すること、
前記複数の目標ボクセル群の複数の高度値を計算すること、および
前記複数の高度値を用いて前記地面データを生成することを含み、
前記複数のオリジナルボクセルは複数のボクセル列を構成し、前記複数のボクセル列の各々は垂直軸に沿って延伸し、
前記複数の目標ボクセル群はそれぞれ複数のボクセル列に含まれ、前記複数の目標ボクセル群の各々における複数の点の表面法線は上向きであり、前記複数の点の垂直拡散パラメータは所定の値以下であり、
前記複数の高度値の各々は、前記目標ボクセル群の前記複数の点の前記垂直軸上の値の平均値を表す、請求項1に記載の路面データを抽出するための方法。
【請求項3】
前記表面法線は、主成分分析とスキャン軌跡によって決定される、請求項2に記載の路面データを抽出するための方法。
【請求項4】
前記複数の高度値を用いて前記地面データを生成することは、
前記複数の高度値に対して領域拡張操作または連通分量操作を行って高度値の複数の連通群を作成すること、および
前記高度値の複数の連通群の各々と前記スキャン軌跡との重畳領域に従って、高度値の前記複数の連通群の少なくとも一つを地面データとして選択することを含む、請求項2に記載の路面データを抽出するための方法。
【請求項5】
前記第1の地面モデルの前記欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得することは、
前記第1の地面モデルを、前記第1の地面モデルの複数の高度値をそれぞれ格納する複数の記憶単位を備える二次元データに変換すること、
前記二次元データに対してデジタル修復を行って修復された二次元データを生成すること、および
前記修復された二次元データを、前記第2の地面モデルとして三次元モデルに変換することを含む、請求項1に記載の路面データを抽出するための方法。
【請求項6】
前記第2の環境検出データは点群であり、前記第2の地面モデルは元の曲面を含み、前記検出領域の前記第2の地面モデルと前記第2の地面モデルを用いて前記路面損壊識別を行うことは、
垂直軸に沿って前記元の曲面を第1の距離下にシフトして第1の曲面を生成すること、
前記垂直軸に沿って前記元の曲面を前記第1の距離よりも大きい第2の距離下にシフトして第2の曲面を生成すること、および
前記点群のうち前記第1の曲面と前記第2の曲面の間の複数の点を決定して一つまたは複数の損壊領域を形成することを含む、請求項1に記載の路面データを抽出するための方法。
【請求項7】
前記第1の距離は前記点群の精度に関連し、前記第2の距離は、前記点群を生成する環境検出器の検出誤差に関連する、請求項6に記載の路面データを抽出するための方法。
【請求項8】
前記複数の路面属性は、不規則三角網、正規グリッド、およびウェイポイントのうち一つのフォーマットで格納される、請求項1に記載の路面データを抽出するための方法。
【請求項9】
前記第1の環境検出データと前記第2の環境検出データは、異なる時点において検出される、請求項1に記載の路面データを抽出するための方法。
【請求項10】
処理装置によって実行される以下のステップを含む、自動運転車を制御するための方法であり、前記ステップは、
車両の現在位置と現在の速度に従い、処理時間と車両シャシー制御遅延時間後の推定された位置を推定すること、
前記推定された位置に対応する目標路面データを地図データベースから取得すること、および
前記目標路面データに従って操舵命令を生成して前記車両を制御することを含み、
前記地図データベースは、検出領域のあらかじめ格納された複数の路面データを備え、前記推定された位置は前記検出領域内に位置し、前記目標路面データは前記あらかじめ格納された複数の路面データに含まれ、前記あらかじめ格納された複数の路面データが路面データ抽出処理によって取得され、前記路面データ抽出処理は、
前記検出領域の第1の環境検出データから地面データを取得すること、
前記地面データから第1の地面モデルを取得すること、
前記第1の地面モデルの欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得すること、
前記第2の地面モデルに従って前記検出領域の複数の路面属性を取得すること、
前記検出領域の第2の環境検出データと前記第2の地面モデルを用いて路面損壊識別を行うこと、および
前記複数の路面属性と前記路面損壊識別の結果を前記検出領域のあらかじめ格納された複数の路面データとして格納することを含む、自動運転車を制御するための方法。
【請求項11】
前記車両の前記現在位置と前記現在の速度に従い、前記処理時間と前記車両シャシー制御遅延時間後の前記推定された位置を推定することは、
プロセッサの処理時間と前記車両シャシー制御遅延時間を足し合わせて総遅延時間の推定を取得すること、
前記総遅延時間と前記現在の速度を掛け合わせて、推定される移動距離を取得すること、および
前記現在位置と前記推定された移動距離を用いて前記推定された位置を取得することを含む、請求項10に記載の自動運転車を制御するための方法。
【請求項12】
第1の環境検出データと第2の環境検出データを受信するように構成されるデータ入力装置、
記憶装置、
前記データ入力装置と前記憶装置に接続され、以下のステップを実行するように構成される処理装置を備え、前記ステップは、
前記第1の環境検出データから地面データを取得すること、
前記地面データを用いて第1の地面モデルを取得すること、
前記第1の地面モデルの欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得すること、
前記第2の地面モデルに従って検出領域の複数の路面属性を取得すること、
前記第2の環境検出データと前記第2の地面モデルを用いて路面損壊識別を行うこと、および
前記複数の路面属性と前記路面損壊識別の結果を前記検出領域の複数の路面データとして格納することを含む、路面データを抽出するためのシステム。
【請求項13】
前記第1の環境検出データは点群であり、
前記処理装置は、前記点群を複数のオリジナルボクセルに分割して複数の目標ボクセル群を取得し、前記複数の目標ボクセル群の複数の高度値を計算し、前記複数の高度値を用いて地面データを生成するように構成され、
前記複数のオリジナルボクセルは、それぞれ垂直軸に沿って延伸する複数のボクセル列を構成し、前記複数の目標ボクセル群は前記複数のボクセル列に含まれ、前記複数の目標ボクセル分の各々における複数の点の表面法線は上向きであり、前記複数の点の垂直拡散パラメータは所定の値以下であり、前記複数の高度値の各々は前記複数の目標ボクセル群内の前記複数の点の前記垂直軸上の値の平均を表す、請求項12に記載の路面データを抽出するためのシステム。
【請求項14】
前記表面法線は、主成分分析とスキャン軌跡によって決定される、請求項13に記載の路面データを抽出するためのシステム。
【請求項15】
前記処理装置は、前記複数の高度値に対して領域拡張操作または連通分量操作を実行して複数の高度値の連通群を作成し、前記複数の高度値の連通群の各々とスキャン軌跡との重なり量に従って
前記複数の高度値の連通群の少なくとも一つを前記地面データとして選択するように構成される、請求項13に記載の路面データを抽出するためのシステム。
【請求項16】
前記処理装置は、前記第1の地面モデルを二次元データに変換するように構成され、前記二次元データに対してデジタル修復を実行して修復された二次元データを生成し、前記修復された二次元データを第2の地面モデルとして三次元モデルに変換し、
前記二次元データは、前記第1の地面モデルの複数の高度値をそれぞれ格納する複数の記憶単位を備える、請求項12に記載の路面データを抽出するためのシステム。
【請求項17】
前記第2の環境検出データは点群であり、前記第2の地面モデルは元の曲面を含み、前記処理装置は、前記元の曲線を垂直軸に沿って第1の距離下にシフトして第1の曲面を作成し、前記元の曲面を前記垂直軸に沿って前記第1の距離よりも大きい第2の距離下にシフトして第2の曲面を作成し、前記点群中の前記第1の曲面と前記第2の曲面の間の複数の点を判断して一つまたは複数の損壊領域を作成する、請求項12に記載の路面データを抽出するためのシステム。
【請求項18】
前記第1の距離は前記点群の精度に関連し、前記第2の距離は、前記点群によって生成される環境要因に起因する誤差に関連する、請求項17に記載の路面データを抽出するためのシステム。
【請求項19】
前記複数の路面属性は、不規則三角網、正規グリッド、およびウェイポイントのうち一つのフォーマットで格納される、請求項12に記載の路面データを抽出するためのシステム。
【請求項20】
前記第1の環境検出データと前記第2の環境検出データは、異なる時点に検出される、請求項12に記載の路面データを抽出するためのシステム。
【請求項21】
自動運転車を制御するためのシステムであり、
車両の現在位置を取得するように構成される位置決めモジュール、
前記車両の現在の速度を取得するように構成される車両動的状態検知モジュール、
操舵命令に従って前記車両を制御するように構成される操舵角制御モジュール、
前記位置決めモジュール、前記車両動的状態検知モジュール、および前記操舵角制御モジュールに接続され、以下のステップを実行するように構成される処理モジュールを含み、前記ステップは、
前記車両の現在位置と前記車両の現在の速度に従い、処理時間と車両シャシー制御遅延時間後の推定された位置を推定すること、
推定された前記位置に対応する目標路面データを地図データベースから取得すること、および
前記目標路面データに従って操舵命令を生成して前記車両を制御することを含み、
前記地図データベースは、検出領域のあらかじめ格納された複数の路面データを備え、推定された前記位置は前記検出領域内に存在し、前記目標路面データは前記あらかじめ格納された複数の路面データに含まれ、前記あらかじめ格納された複数の路面データは、路面データ抽出処理によって取得され、前記路面データ抽出処理は、
検出領域の第1の環境検出データから地面データを取得すること、
前記地面データを用いて第1の地面モデルを取得すること、
前記第1の地面モデルの欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得すること、
前記第2の地面モデルに従って前記検出領域の複数の路面属性を取得すること、
前記検出領域の第2の環境検出データと前記第2の地面モデルを用いて路面損壊識別を行うこと、および
前記複数の路面属性と前記路面損壊識別の結果を前記検出領域のあらかじめ格納された前記複数の路面データとして格納することを含む、自動運転車を制御するためのシステム。
【請求項22】
前記処理モジュールは、前記処理モジュールの処理時間と前記車両シャシー制御遅延時間を足し合わせて総遅延時間を取得し、前記総遅延時間を前記現在の速度と掛け合わせて推定された移動距離を取得し、前記現在位置と前記推定された移動距離を用いて推定された位置を取得する、請求項21に記載の自動運転車を制御するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、路面データを抽出するための方法、特に、地面モデルを構築することを含む、路面データを抽出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工知能とこれに関わる技術の進歩に伴い、自動運転車が将来の交通輸送として認識されている。世界的な自動車工業が自動運転の分野の発展に投資している。自動運転車は、自動運転車の現在の状況と路面状況に従って適切な運転経路をプログラムすることができる。このため、精巧な路面データを取得することは、自動運転の分野の重要な課題の一つである。
【0003】
都市エリアの急速な発展とコンピュータソフトウエアの技術の向上とともに、自動運転の分野に加え、都市再開発の計画と維持、カーナビゲーション、位置情報サービスなどの分野でも路面データの取得と分析に対する要求が増大している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した記載を鑑み、本開示は、路面データを取得するための方法とシステム、および自動運転車を制御するための方法とシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態の一つによると、路面データを取得するための方法は、以下のステップを処理装置で実行することを含む:検出領域の第1の環境検出データから地面データを取得すること;地面データから第1の地面モデルを取得すること;第1の地面モデルの欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得すること;第2の地面モデルに従って検出領域の複数の路面属性を取得すること;検出領域の第2の環境検出データと第2の地面モデルを用いて路面損壊識別を行うこと;および複数の路面属性と路面損壊識別の結果を検出領域の複数の路面データとして格納すること。
【0006】
本開示の実施形態の一つによると、自動運転車を制御する方法は、以下のステップを処理装置で実行することを含む:車両の現在位置と速度に従って、処理時間と車両シャシー制御遅延時間後の推定される位置推定すること;推定された位置に対応する目標路面データを地図データベースから取得すること;および目標路面データに従って操舵命令を生成して車両を制御すること。地図データベースは、検出領域のあらかじめ格納された複数の路面データを備え、推定された位置は検出領域に位置し、目標路面データは、あらかじめ格納された複数の路面データ内にあり、あらかじめ格納された複数の路面データは、路面データ抽出処理によって取得される。路面データ抽出処理は、検出領域の第1の環境検出データから地面データを取得すること、地面データから第1の地面モデルを取得すること、第1の地面モデルの欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得すること、第2の地面モデルに従って検出領域の複数の路面属性を取得すること、検出領域の第2の環境検出データと第2の地面モデルを用いて路面損壊識別を行うこと、および複数の路面属性と路面損壊識別の結果を検出領域の複数のあらかじめ格納された路面データとして格納することを含む。
【0007】
本開示の実施形態の一つによると、路面データの抽出のためのシステムは、データ入力装置、記憶装置、および処理装置を含み、処理装置は、データ入力装置と記憶装置に接続される。データ入力装置は、第1の環境検出データと第2の環境検出データを受信するように構成される。処理装置は、以下のステップを実行するように構成される:第1の環境検出データから地面データを取得すること;地面データを用いて第1の地面モデルを取得すること;第1の地面モデルの欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得すること;第2の地面モデルに基づいて検出領域の複数の路面属性を取得すること;第2の環境検出データと第2の地面モデルを用いて路面損壊識別を行うこと;複数の路面属性と路面損壊識別の結果を検出領域の複数の路面データとして格納すること。
【0008】
本開示の実施形態の一つによると、自動運転車を制御するためのシステムは、位置決めモジュール、車両動的状態検知モジュール、操舵角制御モジュール、および処理モジュールを備え、処理モジュールは、位置決めモジュール、車両動的状態検知モジュール、および操舵角制御モジュールに接続される。位置決めモジュールは、車両の現在位置を取得するように構成される。車両動的状態検知モジュールは、車の現在の速度を取得するように構成される。操舵角制御モジュールは、操舵命令に従って車両を制御するように構成される。処理モジュールは、以下のステップを実行するように構成される:車両の現在位置と速度に従って、処理時間と車両シャシー制御遅延時間後の推定される位置を推定すること;当該位置に対応する目標路面データを地図データベースから取得すること;目標路面データに従って操舵命令を生成して車両を制御すること。地図データベースは、検出領域のあらかじめ格納された複数の路面データを備え、推定された位置は検出領域に位置し、目標路面データは、あらかじめ格納された複数の路面データ内にあり、あらかじめ格納された複数の路面データは、路面データ抽出処理によって取得される。路面データ抽出処理は、検出領域の第1の環境検出データから地面データを取得すること、地面データを用いて第1の地面モデルを取得すること、第1の地面モデルの欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得すること、第2の地面モデルに従って検出領域の複数の路面属性を取得すること、検出領域の第2の環境検出データと第2の地面モデルを用いて路面損壊識別を行うこと、複数の路面属性と路面損壊識別の結果を検出領域の複数のあらかじめ格納された路面データとして格納することを含む。
【0009】
本開示の上記内容と以下の詳細な記載は、本開示の概念と趣旨を示すために用いられ、本開示の範囲のさらなる説明を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するためのシステムの動作環境の機能ブロック図。
図2】本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法のフローチャート。
図3】本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法において地面データを取得するステップのフローチャート。
図4】本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法において地面データを取得するステップを実行する模式図。
図5】本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法において欠損領域を補填するステップのフローチャート。
図6】本開示の実施形態の一つに係る、検出領域の環境検出データ、第1の地面モデル、および第2の地面モデルの模式図。
図7】本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法における路面損壊識別のステップのフローチャート。
図8】本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法における路面損壊識別のステップを実行する模式図。
図9】本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法における路面損壊識別のステップを実行する模式図。
図10】本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法における路面損壊識別のステップを実行する模式図。
図11】本開示の実施形態の一つに係る、自動運転車を制御するためのシステムの動作環境の機能ブロック図。
図12】本開示の実施形態の一つに係る、自動運転車を制御するためのシステムによって自動運転車を制御するための方法を実行する模式図。
図13】本開示の実施形態の一つに係る、自動運転車を制御するための方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な記載では、説明を目的として、開示される実施形態の深い理解を提供するために多くの具体的な詳細が示される。明細書において開示される記載、請求項、および図面によって当業者は本発明の概念と特徴を容易に理解することができるであろう。以下の実施形態は、本発明の様々な側面をさらに示すが、本発明の範囲を限定する訳ではない。
【0012】
本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するためのシステムの動作環境の機能ブロック図である図1を参照されたい。路面データを抽出するためのシステム1は、一定の検出領域の環境検出データを獲得し、その結果、検出領域の検出データに基づいて検出領域の地面モデルを構築することができる。路面データを抽出するためのシステム1は、地面モデルに対して補完操作を実行して地面モデルを最適化し、そして複数の路面属性(例えば、傾斜角、傾斜、曲率半径など)と路面状況(例えば、穴、轍などの路面損壊の位置など)を取得することができる。図1に示すように、路面データを抽出するためのシステム1は、データ入力装置11、記憶装置13、および処理装置15を備え、処理装置15は有線接続または無線接続によってデータ入力装置11と記憶装置13に接続される。
【0013】
データ入力装置11は、Wi-Fi、4G、5Gなどの通信技術を用いる無線通信モジュールを備えることができる。データ入力装置11は、環境検出器2に接続され、環境検出器2によって検出される環境検出データを受信するように構成される。図1は、環境検出器2が一つの典型的な例を示しているが、データ入力装置11は複数の環境検出器2に接続されてもよい。環境検出器2は、LIDARでもよく、検出する環境検出データは点群でもよい。環境検出器2は固定された位置に配置されていてもよく、航空機や無人航空機(UAV)、車両などの移動プラットフォームに搭載されてもよい。ここで、車両は、例えば、レーダプロット車両や自動走行車などである。データ入力装置11は、一つまたは複数の環境検出器2によって獲得された環境検出データを処理装置15に提供して特定の検出領域の路面データの抽出を行う。当該特定の検出領域は、上記一つまたは複数の環境検出器2の検出範囲に依存する。
【0014】
記憶装置13は、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートディスク(SSD)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)を備えることができるが、これらに限定されない。記憶装置13は、上述したように処理装置15によって抽出された路面データを格納することができる。一つの実施態様では、記憶装置13、データ入力装置11、および処理装置15は、同一サーバの構成である。他の実施態様では、記憶装置13と処理装置15は異なるサーバに備えられ、有線接続または無線接続によって互いに接続される。
【0015】
処理装置15は、中央演算ユニット(CPU)またはグラフィック演算ユニット(GPU)などの単一のプロセッサまたは複数のプロセッサの集合であるが、これらに限られない。処理装置15は、検出領域の環境検出データをデータ入力装置11から取得し、環境検出データを処理して検出領域の路面データを抽出し、抽出した路面データを記憶装置13に格納する、若しくは記憶装置13に格納された路面データを更新するように構成される。路面データは、路面属性と路面損壊識別の結果を含むことができ、路面データを抽出する方法を実行することについて、以下に記載する。
【0016】
図1図2を参照されたい。ここで、図2は本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法のフローチャートである。図2に示されるように、路面データを抽出するための方法は、ステップS11:検出領域の第1の環境検出データから地面データを取得すること、ステップS12:地面データを用いて第1の地面モデルを取得すること、ステップS13:第1の地面モデルの欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得すること、ステップS14:第2の地面モデルに従って検出領域の複数の属性を取得すること、ステップS15:検出領域の第2の環境検出データと第2の地面モデルを用いて路面損壊識別を行うこと、およびステップS16:複数の路面属性と路面損壊識別の結果を検出領域の複数の路面データとして格納することを含む。本開示はステップS14とS15の順序を限定するものではないことを言及する必要がある。図2に示される路面データを抽出する方法は、路面データを抽出するためのシステム1によって示されるように、処理装置15によって実行することができるが、これに限られない。理解を容易にするため、処理装置15による操作を例として、路面データを抽出するための方法のステップを説明する。
【0017】
ステップS11では、処理装置15は、検出領域の第1の環境検出データをデータ入力装置11を介して環境検出器2から取得し、第1の環境検出データから地面データを取得することができる。より具体的には、図3図4を参照されたい。ここで、図3は、本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法において地面データを取得するステップのフローチャートであり、図4は、本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法において地面データを取得するステップを実行する模式図である。図3に示すように、地面データを取得するステップは、サブステップS111:第1の環境検出データ(点群)を複数のオリジナルボクセルに分割すること、ここで、複数のオリジナルボクセルは複数のボクセル列を構成し、複数のボクセル列の各々は垂直軸に沿って延伸する、サブステップS112:複数のオリジナルボクセルから複数の目標ボクセル群を取得すること、ここで、複数の目標ボクセル群は、それぞれ複数のボクセル列に含まれ、複数の目標ボクセル群の各々において複数の点の表面法線は上向きであり、複数の点の垂直拡散パラメータは所定の値以下である、サブステップS113:複数の目標ボクセル群の複数の高度値を計算すること、ここで、複数の高度値の各々は、複数の目標ボクセル群内の複数の点の垂直軸上の値の平均値を表す、および、サブステップS114:複数の高度値を用いて地面データを生成することを含む。
【0018】
サブステップのそれぞれについてさらに説明する。サブステップS111とサブステップS113では、垂直軸は水平面に垂直な軸でもよい。サブステップS112は、複数のボクセル列の各々において、各ボクセル列から垂直に連続する複数のボクセル群を取得すること、および複数の特定の条件を満たす最も低いボクセル群を目標ボクセル群として認識することを含んでもよい。特定の条件は、(1)連続するボクセル群に含まれる複数の点によって構成される表面の法線が上向きであること、および(2)連続するボクセル群に含まれる点の垂直拡散パラメータが所定の値以下であることを含んでもよい。特定の条件を満たす最も低いボクセル群は、上記条件(1)と(2)を満たす連続する一つまたは複数のボクセル群のうち、垂直軸上の水平面に最も近い一つであってもよい。条件(1)における表面の法線(表面法線)は、主成分分析とスキャン軌跡によって決定すればよい。例えば、スキャン軌跡は、環境検出データを生成した環境検出器のスキャン軌跡でもよい。具体的には、主成分分析は、反対方向の二つの法線候補を見積もってもよく、ここで、スキャン軌跡と同じ側に位置する法線候補が表面法線として選択される。表面法線が上向きであるという事実は、表面法線と垂直軸の間の角度が閾値未満であることを意味する。条件(2)における垂直拡散パラメータは、上述した垂直軸に沿って分布する点の間の距離を表す。所定の値は、例えば30cmである。一つの実施態様では、処理装置15は目標ボクセル外の点を削除してもよい、すなわち、目標ボクセル群内の点を保持してもよい。
【0019】
サブステップS114は、領域拡張操作または連通分量操作を複数の目標ボクセル群から得られる複数の高度値に対して行って、複数の高度値連通群を形成すること、およびスキャン軌跡と重なりを有する一つまたは複数の高度値連通群を地面データとして選択することを含んでもよい。
【0020】
図4に示される点群PCを例として挙げる。ボクセル列VCは、z軸に沿って配列されるオリジナルボクセルOVから構成される。なお、図4はオリジナルボクセルOVによって構成される一つのボクセル列VCとボクセル列VCに含まれる目標ボクセル群TVだけを示すが、実際には、すべての点群PCが複数のオリジナルボクセルOVに分割され、オリジナルボクセルOVは複数のボクセル列VCを構成し得る。ボクセル列VCの数と各ボクセル列を構成するオリジナルボクセルOVの数は本開示に限定されない。図4では、ボクセル列VCは、下から上にボクセル1~8と示された8個のオリジナルボクセルOVによって構成される。ボクセル1と4~7は、点を含む。ボクセル2、3、8は、点を含まない。ボクセル1および4から7は、それぞれボクセル列1およびボクセル列4から7によって構成される二つの連続するボクセル群に分割することができる。ボクセル列1によって構成される連続するボクセル群内の点は、表面法線が上向きであり、垂直拡散パラメータが所定の値未満であるという条件を満たし、よって、ボクセル列1によって構成される連続するボクセル群は、目標ボクセル群TVの役目をする。目標ボクセル群TVにおける点の垂直軸z上の値の平均値は、目標ボクセル群TVの高度値として働き、地面データの生成に用いられる。地面データの生成の方法は上述した通りであり、ここでは繰り返さない。
【0021】
再度図1図2を参照されたい。ステップS12では、処理装置15は地面データを用いて第1の地面モデルを取得する。一つの実施態様では、処理装置15は、ステップS11で取得した地面データを第1の地面モデルとして利用する。他の実施態様では、処理装置15は曲面モデルを利用して地面データに対して近似処理を行って第1の地面モデルを取得する。ステップS13では、処理装置15は第1の地面モデルにおける欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得する。より具体的には、本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法において欠損領域を補填するステップのフローチャートである図5を参照されたい。図5に示されるように、欠損領域を補填するためのステップは、サブステップS131:第1の地面モデルを、第1の地面モデルの複数の高度値をそれぞれ格納する複数の記憶単位を備える二次元データに変換すること、サブステップS132:二次元データに対してデジタル修復を行って修復された二次元データを生成すること、およびサブステップS133:修復された二次元データを第2の地面モデルとして三次元モデルに変換することを含むことができる。二次元データは、例えば正規グリッドでもよい。欠損領域は、ブロックされた領域または非検出領域でもよい。デジタル修復は、任意の形状を欠損領域に補填することができる。例えば、デジタル修復は、欠損領域Ωの関数fを解くことでもよく、デジタル修復は、欠損領域境界∂Ωの連続性を維持したままラプラシアン関数Δfを最小化してもよい。関数fとラプラシアン関数Δfは、以下のように示される。
【数1】
【0022】
本開示の実施形態の一つに係る、検出領域の環境検出データ、第1の地面モデル、および第2の地面モデルの模式図である図6を参照されたい。図6は、検出領域A-Cの環境検出データ(点群)を示し、ここで、第1の地面モデルは、図2中の上記ステップS11とステップS12を検出領域A-Cの環境検出データに対して行うことで取得され、第2の地面モデルは、図2中の上記ステップS13を検出領域A-Cに対応する第1の地面モデルに対して行うことで取得される。
【0023】
再度図1図2を参照されたい。ステップS14では、処理装置15は、第2の地面モデルに従って検出領域の路面属性を取得する。より具体的には、処理装置15は、所定距離外側に広がった所定の運転経路によって形成される領域内の複数の高度値を第2の地面モデルから取得し、そして所定の運転経路の(路面として見なされる)周辺地形の傾斜角、斜面、曲率半径といった路面属性を計算することができる。所定の運転経路は、一つまたは複数であってよい。例えば、所定の運転経路は、グーグルマップの提案した経路またはユーザによってあらかじめプログラムされた運転経路でよく、所定距離は、一般的な舗装道路または車両の幅でもよいが、所定の運転経路と所定距離はこれらに限定されない。
【0024】
ステップS15では、処理装置15は、検出領域の第2の環境検出データと第2の路面モデルを用いて路面損壊識別を行う。最初に検出された点群内のうち路面損壊(例えば、穴や轍)に属する点は、ステップS11において非地面データとして決定されて地面モデルに含まれないことがあるため、路面損壊識別は、最初に検出された点群と地面モデルを用いて行われ、路面損壊位置のデータを充填する。一つの実施態様では、第2の環境検出データと第2の路面モデルを生成するための第1の環境検出データは、同一の検出領域に属するものの、異なる時点で検出される。粗面損壊位置は、一定の期間の後に替わることがあるため、処理装置15は、路面モデルを構築して一定時間経過したのちに第2の環境検出データをデータ入力装置11によって環境検出器2から取得して路面損壊識別を行い、その後、地面モデルに対応する地面データを更新してもよい。特に、処理装置は、定期的に環境検出器2によって検出された環境検出データを取得して定期的に路面データを更新してもよい。
【0025】
ステップS15をさらに説明する。本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法における路面損壊識別のステップのフローチャートである図7を参照されたい。上述したように、第1の路面モデルは、ステップS11で得られる路面データでもよく、路面データに近似された曲面モデルでもよく、第2の路面モデルは、第1の路面モデルに対して補填処理を行うことで得られる。したがって、第2の路面モデルは曲面(以下、元の曲面と記す。)を有するまたは曲面であってもよい。図7に示されるように、路面損壊識別のステップは、サブステップS151:元の曲面を垂直軸に沿って第1の距離下にシフトして第1の曲面を作成すること;ステップS152:元の曲面を垂直軸に沿って第1の距離よりも長い第2の距離下にシフトして第2の曲面を作成すること;および、サブステップS153:点群内のうち第1の曲面と第2の曲面の間の複数の点を決定して一つまたは複数の損壊領域を形成することを含んでもよい。特に、第1の曲面は点群の正確さに関連し得、点群の正確さは、環境検出器のスキャンの正確性に依存する;第2の距離は、(路面上の水の反射などの)特定の環境要因に起因して環境検出器によって生成された検出誤差に関連することがある。例えば、路面上の水の反射のデータの垂直軸上の値が通常6cmよりも小さければ、第2の距離を6cmにセットしてもよい。なお、本開示において、サブステップS151とサブステップS152の順序は制限されない。
【0026】
上述したサブステップを模式図で説明する。本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法における路面損壊識別のステップを実行する模式図である図8から図10を参照されたい。図8(a)は、第2の環境検出データを例示的に示し、領域B1の拡大図が図8(b)に示されている。図9は、切断線SL1で切られた第2の環境検出データ、元の曲面C0、第1の曲面C1、および第2の曲面C2の端面図を例示的に示す。第1の曲面C1は、元の曲面を垂直軸zに沿って第1の距離D1下にシフトすることで得られ、第2の曲面C2は、元の曲面C0を垂直軸zに沿って第2の距離D2下にシフトすることで得られる。本実施形態では、第1の距離D1は3cmであり、第2の距離D1は6cmであるが、本開示はこれらに限定されない。図10(b)に示されるように、第2の環境検出データ(点群)内の第1の曲線C1と第2の曲線C2間の点は、損壊領域DR1を形成する点として判断される。図10(a)と図10(b)は、それぞれ、図8(a)と図8(b)に示される第2の環境検出データ内のマーキングされた路面損壊位置のデータ模式図を示す。
【0027】
再度図1図2を参照されたい。ステップS16では、処理装置15は路面属性と路面損壊識別の結果を検出領域の路面データの路面データとして記憶装置に格納する。具体的には、路面属性と路面損壊識別の結果は、不規則三角網、正規グリッド、ウェイポイントのうち一つのフォーマットで格納することができる。当該ウェイポイントは、所定の運転経路上の複数の点でよく、所定の運転経路上のポイントの各々は、対応する位置の路面属性および/または路面損壊識別の結果(例えば、損壊のあり/なし)を格納する。一つの実施態様では、路面データはさらに第2の路面モデルを含んでもよく、第2の路面モデルは、路面属性と路面損壊識別の結果とともに上記フォーマットの一つで格納されてもよい。特に、路面モデル、路面属性、路面損壊識別の結果などのデータは、不規則三角網、正規グリッド、ウェイポイントのうちの一つのフォーマットで格納することができる。上記データの一つまたは複数を同一または異なるデータとして格納してもよく、本開示はこれに限定されない。
【0028】
特に、上記一つまたは複数の実施形態で述べられた路面データを抽出するための方法、および路面データを抽出するためのシステムは、高精細地図の構築および/または自動運転車の制御に応用することができる。
【0029】
本開示の実施形態の一つに係る、自動運転車を制御するためのシステムの動作環境の機能ブロック図である図11を参照されたい。図11に示すように、自動運転車3を制御するためのシステムは、位置決めモジュール31、車両動的状態検知モジュール33、処理モジュール35、および操舵角制御モジュール37を備える。処理モジュール35は、位置決めモジュール31、車両動的状態検知モジュール33、および操舵角モジュール37に有線接続または無線接続されてもよく、位置決めモジュール31と処理モジュール35は、地図データベース4に有線接続または無線接続されてもよい。地図データベース4は、それぞれあらかじめ格納された路面データを含む一つまたは複数の検出領域の地図を備え、あらかじめ格納された路面データは、上記一つまたは複数の実施形態で述べた、路面データを抽出するための方法と路面データを抽出するためのシステムによって得ることができるので、詳細は再度記載しない。特に、地図データベース4は、上記実施形態で述べられた、路面データを抽出するためのシステム内の記憶装置によって実現することができる。
【0030】
位置決めモジュール31は、制御される車両の現在位置を取得するように構成され、位置センサなどを備えることができるが、これに限られない。車両動的状態検知モジュール33は、車両の現在速度を取得するように構成され、ホイールスピードセンサ、操舵ホイール角センサ、ヨー角センサ、減速センサなどの動的センサを備えることができるが、これらに限られない。操舵角制御モジュール37は、操舵命令に従って車両の操舵角を制御するように構成され、スロットルボディー、ソレノイドバルブ、リレーなどの、車両の制動力と駆動力を制御して車両のヨー運動を制御する素子を備えることができるが、これらに限られない。処理モジュール35は、例えば、電子制御ユニット(ECU)内のマイクロコントローラまたはマイクロコントローラ内の中央演算ユニットでもよく、制御される車両の現在の位置と現在の速度に従って、処理時間と車両シャシー制御遅延時間後の位置を推定し、推定された位置に対応する目標路面データを地図データベース4から取得し、目標路面データに従って操舵命令を生成して操舵角制御モジュール37を介して車両を制御するように構成される。推定された位置は、上記一つまたは複数の検出領域の一つに含まれる。処理モジュール35は、推定された位置が存在する検出領域の路面データのために地図データベース4を検索し、推定された位置の目標路面データを路面データから取得することができる。
【0031】
自動運転車3を制御するためのシステムの動作をさらに説明する。本開示の実施形態の一つに係る、自動運転車を制御するためのシステムによって自動運転車を制御するための方法を実行する模式図である図12を参照されたい。処理モジュール35は、移動距離推定サブモジュール351、路面データ収集サブモジュール353、および経路追跡サブモジュール355を備えることができる。例えば、上記サブモジュールは、それぞれ移動距離を推定する機能、路面データを収集する機能、および経路を追跡する機能を有する一つまたは複数の命令またはプログラムによって実現されてもよい。
【0032】
通信動作A11とA12では、位置決めモジュール31が地図上における車両の現在位置の座標を取得し、現在位置の座標を路面データ収集サブモジュール353に提供する。通信動作A13とA14では、車両動的状態検知モジュール33は車両の(現在の速度、現在のヨー角速度などの)動的情報を車両ボディ5から検出し、車両の動的情報を移動距離推定サブモジュール351に提供する。移動距離推定サブモジュール351は、処理モジュール35の処理時間と車両ボディ5の車両シャシー制御遅延時間を足し合わせて総遅延時間を取得し、総遅延時間を現在の速度と掛け合わせて推定される移動距離を取得し、推定された移動距離を通信動作A15において経路追跡サブモジュール355に伝送する。例えば、処理モジュール35の処理時間は、移動距離推定サブモジュール351、路面データ収集サブモジュール353、および経路追跡サブモジュール355によってデータ処理を実行する総推定時間である。路面データ収集サブモジュール353は、現在位置と推定された移動距離を用いて推定された位置の座標を取得する。通信動作A16-A18では、路面データ収集サブモジュール353は、地図データベース4を検索して推定された位置の座標に対応する路面データを取得し、現在位置に従い、地図データベース4を検索して車両が移動するウェイポイント情報を取得し、路面データを経路追跡サブモジュール355に伝送する。通信動作A19では、車両の動的状態検知モジュール33は、車両の動的情報を経路追跡サブモジュール355に伝送する。経路追跡サブモジュール355は、路面データと車両の動的情報に従って操舵命令を生成し、操舵角制御モジュール37に操舵命令を伝送する。操舵角制御モジュール37は、操舵命令に従って操舵角を決定し、通信動作A21において、操舵角に従って車両ボディ5を制御する。
【0033】
本開示の実施形態の一つに係る、自動運転車を制御するための方法のフローチャートである図13を参照されたい。図13に示すように、自動運転車を制御するための方法は、ステップS31:車両の現在位置と現在の速度に従い、処理時間と車両シャシー制御遅延時間後の推定位置を推定すること、ステップS32:推定された位置に対応する目標路面データを地図データベースから取得すること、ステップS33:目標路面データに従って操舵命令を生成して車両を制御することを含んでもよい。ステップS31-S33の内容は、図11図12の実施形態において記述した内容と同じであるので、再度説明しない。
【0034】
上記構成により、本開示で開示される、路面データを抽出するための方法とシステムは、環境検出データを分類して地面データを取得し、地面データに従って地面モデルを生成し、欠損領域の補填処理によって地面モデルを最適化し、最適化された地面モデルを用いて路面属性と路面損壊状況を取得し、これにより、完成度の高い路面データを取得することができる。本開示で開示される、路面データを抽出するための方法とシステムは、高精密な地図の構築と更新に適用して高精細な地図を実現することができ、かつ、自動運転車の制御に適用して自動運転車の制御方策と実際の路面状況を高度に一致させることがでる。自動運転車を制御するための方法とシステムは、上述した路面データを抽出する方法によって得られる高完成度の路面データに従って車両を制御することができ、環境変位(路面属性や路面損壊)に関する情報が欠落することに起因して自動運転車の制御方策が理想的な経路に収斂できないという問題を解決し、車両の移動経路を理想的経路に一致させることができる。
【0035】
本開示の実施形態は上記の通り開示されるが、これは本開示の趣旨を限定するものではない。本開示の趣旨と範囲から乖離しない修正と変更は、本開示の範囲内に含まれる。本開示で定義される保護範囲については、添付の請求項を参照されたい。
【符号の説明】
【0036】
1:路面データを抽出するためのシステム
11:データ入力装置
13:記憶装置
15:処理装置
2:環境検出器
z:垂直軸
PC:点群
VC:ボクセル列
OV:オリジナルボクセル
TV:目標ボクセル群
B1:領域
SL1:切断線
C0:元の曲面
C1:第1の曲面
C2:第2の曲面
D1:第1の距離
D2:第2の距離
DR1:損壊領域
3:自動運転車を制御するためのシステム
31:位置決めモジュール
33:車両動的状態検知モジュール
35:処理モジュール
37:操舵角制御モジュール
4:地図データベース
351:移動距離推定サブモジュール
353:路面データ収集サブモジュール
355:経路追跡サブモジュール
5:車両ボディ
A11-A21:通信動作
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2022-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、路面データを抽出するための方法、特に、地面モデルを構築することを含む、路面データを抽出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工知能とこれに関わる技術の進歩に伴い、自動運転車が将来の交通輸送として認識されている。世界的な自動車工業が自動運転の分野の発展に投資している。自動運転車は、自動運転車の現在の状況と路面状況に従って適切な運転経路をプログラムすることができる。このため、精密な路面データを取得することは、自動運転の分野の重要な課題の一つである。
【0003】
都市エリアの急速な発展とコンピュータソフトウエアの技術の向上とともに、自動運転の分野に加え、都市再開発の計画と維持、カーナビゲーション、位置情報サービスなどの分野でも路面データの取得と分析に対する要求が増大している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した記載を鑑み、本開示は、路面データを取得するための方法とシステム、および自動運転車を制御するための方法とシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態の一つによると、路面データを取得するための方法は、以下のステップを処理装置で実行することを含む:検出領域の第1の環境検出データから地面データを取得すること;地面データから第1の地面モデルを取得すること;第1の地面モデルの欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得すること;第2の地面モデルに従って検出領域の複数の路面属性を取得すること;検出領域の第2の環境検出データと第2の地面モデルを用いて路面損壊識別を行うこと;および複数の路面属性と路面損壊識別の結果を検出領域の複数の路面データとして格納すること。
【0006】
本開示の実施形態の一つによると、自動運転車を制御する方法は、以下のステップを処理装置で実行することを含む:車両の現在位置、速度、処理遅延時間、およびシャシー制御遅延時間を利用して次のシャシー制御命令の作動時における車両の位置を推定すること;推定された位置に対応する目標路面データを地図データベースから取得すること;および目標路面データに従ってシャシー制御命令を生成して車両を制御すること。地図データベースは、あらかじめ格納された複数の路面データを備える。あらかじめ格納された路面データを作成するステップは、検出領域の第1の環境検出データから地面データを取得すること、地面データから第1の地面モデルを取得すること、第1の地面モデルの欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得すること、第2の地面モデルに従って検出領域の複数の路面属性を取得すること、検出領域の第2の環境検出データと第2の地面モデルを用いて路面損壊識別を行うこと、および複数の路面属性と路面損壊識別の結果を検出領域の複数のあらかじめ格納された路面データとして格納することを含む。
【0007】
本開示の実施形態の一つによると、路面データの抽出のためのシステムは、データ入力装置、記憶装置、および処理装置を含み、処理装置は、データ入力装置と記憶装置に接続される。データ入力装置は、第1の環境検出データと第2の環境検出データを受信するように構成される。処理装置は、以下のステップを実行するように構成される:第1の環境検出データから地面データを取得すること;地面データを用いて第1の地面モデルを取得すること;第1の地面モデルの欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得すること;第2の地面モデルに基づいて検出領域の複数の路面属性を取得すること;第2の環境検出データと第2の地面モデルを用いて路面損壊識別を行うこと;複数の路面属性と路面損壊識別の結果を検出領域の複数の路面データとして格納すること。
【0008】
本開示の実施形態の一つによると、自動運転車を制御するためのシステムは、位置決めモジュール、車両動的状態検知モジュール、シャシー制御モジュール、および処理モジュールを備え、処理モジュールは、位置決めモジュール、車両動的状態検知モジュール、およびシャシー制御モジュールに接続される。位置決めモジュールは、車両の現在位置を取得するように構成される。車両動的状態検知モジュールは、車の現在の速度を取得するように構成される。シャシー制御モジュールは、シャシー制御命令を受信し、操舵、加速、制動、およびギアシフトを含む、車両シャシー内の一定の変化を操作する。処理モジュールは、以下のステップを実行するように構成される:車両の位置、速度、演算遅延時間、およびシャシー制御遅延時間を用いて次のシャシー制御命令の作動時における車両の位置を推定すること;推定された位置に対応する目標路面データを地図データベースから取得すること;目標路面データに従ってシャシー制御命令を生成して車両を制御すること。地図データベースは、あらかじめ格納された複数の路面データを備える。路面データ抽出処理は、検出領域の第1の環境検出データから地面データを取得すること、地面データを用いて第1の地面モデルを取得すること、第1の地面モデルの欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得すること、第2の地面モデルに従って検出領域の複数の路面属性を取得すること、検出領域の第2の環境検出データと第2の地面モデルを用いて路面損壊識別を行うこと、複数の路面属性と路面損壊識別の結果を検出領域の複数のあらかじめ格納された路面データとして格納することを含む。
【0009】
本開示の上記内容と以下の詳細な記載は、本開示の概念と趣旨を示すために用いられ、本開示の範囲のさらなる説明を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するためのシステムの動作環境の機能ブロック図。
図2】本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法のフローチャート。
図3】本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法において地面データを取得するステップのフローチャート。
図4】本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法において地面データを取得するステップを実行する模式図。
図5】本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法において欠損領域を補填するステップのフローチャート。
図6】本開示の実施形態の一つに係る、検出領域の環境検出データ、第1の地面モデル、および第2の地面モデルの模式図。
図7】本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法における路面損壊識別のステップのフローチャート。
図8】本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法における路面損壊識別のステップを実行する模式図。
図9】本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法における路面損壊識別のステップを実行する模式図。
図10】本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法における路面損壊識別のステップを実行する模式図。
図11】本開示の実施形態の一つに係る、自動運転車を制御するためのシステムの動作環境の機能ブロック図。
図12】本開示の実施形態の一つに係る、自動運転車を制御するためのシステムによって自動運転車を制御するための方法を実行する模式図。
図13】本開示の実施形態の一つに係る、自動運転車を制御するための方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な記載では、説明を目的として、開示される実施形態の深い理解を提供するために多くの具体的な詳細が示される。明細書において開示される記載、請求項、および図面によって当業者は本発明の概念と特徴を容易に理解することができるであろう。以下の実施形態は、本発明の様々な側面をさらに示すが、本発明の範囲を限定する訳ではない。
【0012】
本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するためのシステムの動作環境の機能ブロック図である図1を参照されたい。路面データを抽出するためのシステム1は、一定の検出領域の環境検出データを獲得し、その結果、検出領域の検出データに基づいて検出領域の地面モデルを構築することができる。路面データを抽出するためのシステム1は、地面モデルに対して補完操作を実行して地面モデルを最適化し、そして複数の路面属性(例えば、バンク角、傾斜、曲率半径など)と路面状況(例えば、陥没、轍などの路面損壊の位置など)を取得することができる。図1に示すように、路面データを抽出するためのシステム1は、データ入力装置11、記憶装置13、および処理装置15を備え、処理装置15は有線接続または無線接続によってデータ入力装置11と記憶装置13に接続される。
【0013】
データ入力装置11は、Wi-Fi、4G、5Gなどの通信技術を用いる無線通信モジュールを備えることができる。データ入力装置11は、環境検出器2に接続され、環境検出器2によって検出される環境検出データを受信するように構成される。図1は、環境検出器2が一つの典型的な例を示しているが、データ入力装置11は複数の環境検出器2に接続されてもよい。環境検出器2は、LIDARでもよく、検出する環境検出データは点群でもよい。環境検出器2は固定されていてもよく、航空機や無人航空機(UAV)、車両などの移動プラットフォームに搭載されてもよい。ここで、車両は、例えば、レーダプロット車両や自動走行車などである。データ入力装置11は、一つまたは複数の環境検出器2によって獲得された環境検出データを処理装置15に提供し、そして処理装置15は特定の検出領域の路面データの抽出を行う。当該特定の検出領域は、上記一つまたは複数の環境検出器2の検出範囲に依存する。
【0014】
記憶装置13は、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートディスク(SSD)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)を備えることができるが、これらに限定されない。記憶装置13は、上述したように処理装置15によって抽出された路面データを格納することができる。一つの実施態様では、記憶装置13、データ入力装置11、および処理装置15は、同一サーバの構成である。他の実施態様では、記憶装置13と処理装置15は異なるサーバに備えられ、有線接続または無線接続によって互いに接続される。
【0015】
処理装置15は、中央演算ユニット(CPU)またはグラフィック演算ユニット(GPU)などの単一のプロセッサまたは複数のプロセッサの集合であるが、これらに限られない。処理装置15は、検出領域の環境検出データをデータ入力装置11から取得し、環境検出データを処理して検出領域の路面データを抽出し、抽出した路面データを記憶装置13に格納する、若しくは記憶装置13に格納された路面データを更新するように構成される。路面データは、路面属性と路面損壊識別の結果を含むことができ、路面データを抽出する方法を実行することについて、以下に記載する。
【0016】
図1図2を参照されたい。ここで、図2は本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法のフローチャートである。図2に示されるように、路面データを抽出するための方法は、ステップS11:検出領域の第1の環境検出データから地面データを取得すること、ステップS12:地面データを用いて第1の地面モデルを取得すること、ステップS13:第1の地面モデルの欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得すること、ステップS14:第2の地面モデルに従って検出領域の複数の属性を取得すること、ステップS15:検出領域の第2の環境検出データと第2の地面モデルを用いて路面損壊識別を行うこと、およびステップS16:複数の路面属性と路面損壊識別の結果を検出領域の複数の路面データとして格納することを含む。本開示はステップS14とS15の順序を限定するものではないことを言及する必要がある。図2に示される路面データを抽出する方法は、路面データを抽出するためのシステム1によって示されるように、処理装置15によって実行することができるが、これに限られない。理解を容易にするため、処理装置15による操作を例として、路面データを抽出するための方法のステップを説明する。
【0017】
ステップS11では、処理装置15は、検出領域の第1の環境検出データをデータ入力装置11を介して環境検出器2から取得し、第1の環境検出データから地面データを取得することができる。より具体的には、図3図4を参照されたい。図3に示すように、地面データを取得するステップは、サブステップS111:第1の環境検出データ(点群)を複数のオリジナルボクセルに分割し、共通の水平位置を共有するオリジナルボクセルを複数のボクセル列にグルーピングすること、サブステップS112:各オリジナルボクセル群から最大で一つの目標ボクセル群を取得すること、ここで、各目標ボクセル群は、ほぼ上向きの表面法線を有し、かつ、所定の値未満の垂直拡散パラメータを有する空でないオリジナルボクセルの、垂直に連続した最も低いグループであり、サブステップS113:各目標ボクセル群について、点の高度の平均を計算することで複数の高度値を取得すること、および、サブステップS114:複数の高度値を用いて地面データを生成することを含む。
【0018】
サブステップのそれぞれについてさらに説明する。サブステップS111とサブステップS113では、垂直軸は水平面に垂直な軸でもよい。サブステップS112は、各ボクセル列から垂直に連続する複数のボクセル群を取得すること、および複数の特定の条件を満たす最も低いボクセル群を目標ボクセル群として認識することを含んでもよい。特定の条件は、(1)垂直に連続するボクセル群に含まれる複数の点に適合する表面の法線がほぼ上向きであること、および(2)垂直に連続するボクセル群に含まれる点の垂直拡散係数が所定の値以下であることを含んでもよい。特定の条件(1)と(2)を満たし、同一のボクセル列に存在するボクセル群のうち、最も低いボクセル群が最低高度を有するボクセル群である。条件(1)における表面の法線(表面法線)は、主成分分析とスキャン軌跡によって決定すればよい。例えば、スキャン軌跡は、環境検出データを生成した環境検出器のスキャン軌跡でもよい。具体的には、主成分分析は、反対方向の二つの法線候補を見積もってもよく、ここで、スキャン軌跡と同じ側に位置する法線候補が表面法線として選択される。表面法線がほぼ上向きかどうかは、表面法線と垂直軸の間の角度が閾値未満であることをチェックすることで判断される。条件(2)における垂直拡散パラメータは、ボクセル群中の最も高い点と最も低い点の高度の差である。例えば、一つの実施態様では、処理装置15は30cmよりも大きい垂直拡散パラメータを有する全てのボクセル群を削除してもよい。
【0019】
サブステップS114は、領域拡張操作または連通分量操作を複数の目標ボクセル群から得られる複数の高度値に対して行って、複数の高度値連通群を形成すること、およびスキャン軌跡と重なりを有する一つまたは複数の高度値連通群を地面データとして選択することを含んでもよい。
【0020】
図4に示される点群PCを例として挙げる。ボクセル列VCは、z軸に沿って配列されるオリジナルボクセルOVからなる。なお、図4一つのボクセル列だけを示すが、実際には、すべての点群PCが複数のボクセル列に分割されうる。ボクセル列VCの数と各行を構成するオリジナルボクセルOVの数は本開示に限定されない。図4では、ボクセル列VCは、下から上にボクセル1~8と示された8個のオリジナルボクセルOVを含む。ボクセル1と4~7は、点を含むため、空ではない。ボクセル2、3、8は、点を含まないため、空である。ボクセル1は、それ自身、垂直に連続する空でないオリジナルボクセルのグループである;これは、表面法線がほぼ上向きであり、垂直拡散パラメータが所定の値未満であるという条件を満たし、よって、目標ボクセル群TVと認識される。ボクセル4~7は、他の垂直に連続する空でないオリジナルボクセルのグループを形成するが、その点は広い垂直拡散パラメータを有するので、目標ボクセル群としては認識されない。目標ボクセル群TVにおける点の平均高度は、目標ボクセル群TVの平均高度として働き、地面データの生成に用いられる。地面データの生成の方法は上述した通りであり、ここでは繰り返さない。
【0021】
再度図1図2を参照されたい。ステップS12では、処理装置15は地面データを用いて第1の地面モデルを取得する。一つの実施態様では、処理装置15は、ステップS11で取得した地面データを第1の地面モデルとして直接用いる。他の実施態様では、処理装置15は曲面モデルを地面データに当てはめて第1の地面モデルを取得する。ステップS13では、処理装置15は第1の地面モデルにおける欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得する。図5に示されるように、欠損領域を補填するためのステップは、サブステップS131:第1の地面モデルを高度マップ、そのピクセルが第1の地面モデルからの高度値である二次元イメージに変換すること、サブステップS132:高度マップに対してデジタル修復を行って修復された高度マップを生成すること、およびサブステップS133:修復された高度マップを第2の地面モデルとして三次元モデルに変換することを含むことができる。高度マップは、例えば正規グリッドでもよい。欠損領域は、環境検出器の視界が塞がれることで資格となった地面の一部であってもよい。デジタル修復のための方法は、一般的に、任意の形状の欠損領域を補填することができる。デジタル修復のための方法の一例は、Ωが欠損領域に対応する二次元平面の部分集合とすると、ラプラシアン関数(Δf) 2 のΩ上の全体を最小化する関数f:Ω→Rを解き、同時に、欠損領域の境界∂Ω上での関数の連続性を満足することである。
【数1】
【0022】
本開示の実施形態の一つに係る、検出領域の環境検出データ、第1の地面モデル、および第2の地面モデルの模式図である図6を参照されたい。図6は、検出領域A-Cの環境検出データ(点群)を示し、ここで、第1の地面モデルは、図2中の上記ステップS11とステップS12を検出領域A-Cの環境検出データに対して行うことで取得され、第2の地面モデルは、図2中の上記ステップS13を検出領域A-Cに対応する第1の地面モデルに対して行うことで取得される。
【0023】
再度図1図2を参照されたい。ステップS14では、処理装置15は、第2の地面モデルに従って検出領域の路面属性を取得する。より具体的には、処理装置15は、所定距離外側に広がった所定の運転経路によって形成される領域内の複数の高度値を第2の地面モデルから取得し、そして所定の運転経路の(路面として見なされる)周辺地形の傾斜角、斜面、曲率半径といった路面属性を計算することができる。所定の運転経路は、一つまたは複数であってよい。例えば、所定の運転経路は、グーグルマップの提案した経路またはユーザによってあらかじめプログラムされた運転経路でよく、所定距離は、一般的な舗装道路または車両の幅でもよいが、所定の運転経路と所定距離はこれらに限定されない。
【0024】
ステップS15では、処理装置15は、検出領域の第2の環境検出データと第2の路面モデルを用いて路面損壊識別を行う。ある路面損壊(例えば、陥没や轍)に属する点がステップS11によって出力される路面データから排除される事になり(なぜなら、これらはより大きい路面と連続する構成の一部ではなくなるからである)、欠損領域を路面データに残し、これらは後にステップS13で補填され、路面損壊のない第2の路面モデルを生成する。処理装置15は、この第2の路面モデルを参考として利用して第2の環境検出データからモデルとの相違を探索し、路面損壊と考えられるものとしてこのような相違のいずれにもフラッグを立てる。一つの実施態様では、第2の環境検出データと第2の路面モデルを生成するための第1の環境検出データは、(一つの環境検出セッションから路面損壊を検出する)同一のデータである。他の実施態様では、第2の環境検出データと第1の環境検出データは、同一の検出領域に属するものの、異なる時間に検出される。この実施態様では、新たな路面損壊が発生して古い損壊が修復されるため、処理装置15は、第2の路面モデルを構築して一定時間経過したのちに第2の環境検出データを取得してもよく、これにより、処理装置15は路面損壊の位置や特徴の変化を追跡することができる。特に、処理装置は、定期的に環境検出器2によって検出された環境検出データを取得して定期的に路面データを更新してもよい。
【0025】
ステップS15をさらに説明する。本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法における路面損壊識別のステップのフローチャートである図7を参照されたい。上述したように、第1の路面モデルは、ステップS11で得られる路面データでもよく、路面データにフィットされた曲面モデルでもよく、第2の路面モデルは、第1の路面モデル内の欠損領域を補填することによって得られる。したがって、第2の路面モデルは曲面を有することができ、以下、これを元の曲面と記す。図7に示されるように、路面損壊識別のステップは、サブステップS151:元の曲面を垂直軸に沿って第1の距離下にシフトして第1の曲面を作成すること;ステップS152:元の曲面を垂直軸に沿って第1の距離よりも長い第2の距離下にシフトして第2の曲面を作成すること;および、サブステップS153:第1の曲面よりも下であり、かつ、第2の曲面よりも上のいずれの点も識別し、これらの点を可能性のある路面損壊点としてフラッグを付すことを含んでもよい。特に、第1の距離の大きさは点群の正確さに関連してもよく、点群の正確さは、環境検出器のスキャンの正確性に依存する;第2の距離は、誤った点によって実際の路面をかなり下に見えるようにさせる濡れた路面からの反射などの環境依存誤差であってよい。例えば、濡れた路面からの反射に起因する誤った点の高度が通常実際の路面よりも6cm下であると、第2の距離を6cmにセットしてもよい。なお、本開示において、サブステップS151とサブステップS152の順序は制限されない。
【0026】
上述したサブステップを模式図で説明する。本開示の実施形態の一つに係る、路面データを抽出するための方法における路面損壊識別のステップを実行する模式図である図8から図10を参照されたい。図8(a)は、第2の環境検出データを例示的に示し、領域B1の拡大図が図8(b)に示されている。図9は、切断線SL1で切られた第2の環境検出データ、元の曲面C0、第1の曲面C1、および第2の曲面C2の端面図を例示的に示す。第1の曲面C1は、元の曲面を垂直軸zに沿って第1の距離D1下にシフトすることで得られ、第2の曲面C2は、元の曲面C0を垂直軸zに沿って第2の距離D2下にシフトすることで得られる。本実施形態では、第1の距離D1は3cmであり、第2の距離D1は6cmであるが、本開示はこれらに限定されない。図10(b)に示されるように、第2の環境検出データ(点群)内の第1の曲線C1と第2の曲線C2間の点は、損壊領域DR1を形成する点として判断される。図10(a)と図10(b)は、それぞれ、図8(a)と図8(b)に示される第2の環境検出データ内のマーキングされた路面損壊位置のデータ模式図を示す。
【0027】
再度図1図2を参照されたい。ステップS16では、処理装置15は路面属性と路面損壊識別の結果を検出領域の路面データの路面データとして記憶装置に格納する。具体的には、路面属性と路面損壊識別の結果は、不規則三角網、正規グリッド、ウェイポイントを含む幾つかの可能性のあるフォーマットの一つで格納することができる。当該ウェイポイントは、所定の運転経路上の複数の点でよく、所定の運転経路上のポイントの各々は、対応する位置の路面属性および/または路面損壊識別の結果(例えば、損壊のあり/なし)を格納する。一つの実施態様では、路面データはさらに第2の路面モデルを含んでもよく、第2の路面モデルは、路面属性と路面損壊識別の結果とともに上記フォーマットの一つで格納されてもよい。特に、路面モデル、路面属性、路面損壊識別の結果などのデータは、不規則三角網、正規グリッド、ウェイポイントのうちの一つのフォーマットで格納することができる。上記データの一つまたは複数を同一または異なるデータとして格納してもよく、本開示はこれに限定されない。
【0028】
特に、上記一つまたは複数の実施形態で述べられた路面データを抽出するための方法、および路面データを抽出するためのシステムは、高精細地図の構築および/または自動運転車の制御に応用することができる。
【0029】
本開示の実施形態の一つに係る、自動運転車を制御するためのシステムの動作環境の機能ブロック図である図11を参照されたい。図11に示すように、自動運転車3を制御するためのシステムは、位置決めモジュール31、車両動的状態検知モジュール33、処理モジュール35、およびシャシー制御モジュール37を備える。処理モジュール35は、位置決めモジュール31、車両動的状態検知モジュール33、およびシャシー制御モジュール37に有線接続または無線接続されてもよく、位置決めモジュール31と処理モジュール35は、地図データベース4に有線接続または無線接続されてもよい。地図データベース4は、それぞれあらかじめ格納された路面データを含む一つまたは複数の検出領域の地図を備え、あらかじめ格納された路面データは、上記一つまたは複数の実施形態で述べた、路面データを抽出するための方法と路面データを抽出するためのシステムによって得ることができるので、詳細は再度記載しない。特に、地図データベース4は、上記実施形態で述べられた、路面データを抽出するためのシステム内の記憶装置によって実現することができる。
【0030】
位置決めモジュール31は、制御される車両の現在位置を取得するように構成され、位置センサなどを備えることができるが、これに限られない。車両動的状態検知モジュール33は、車両の現在速度を取得するように構成され、ホイールスピードセンサ、操舵ホイール角センサ、ヨー角センサ、減速センサなどの動的センサを備えることができるが、これらに限られない。シャシー制御モジュール37は、シャシー制御命令に従って車両シャシーを制御するように構成され、スロットルボディー、ソレノイドバルブ、リレーなどの、車両の制動力と駆動力を制御して車両のヨー運動を制御する素子を備えることができるが、これらに限られない。処理モジュール35は、例えば、電子制御ユニット(ECU)内のマイクロコントローラまたはマイクロコントローラ内の中央演算ユニットでもよく、シャシー制御命令の作動時における車両の位置を(例えば、操舵命令を計算するために必要な時間、および操舵命令を発した時点と実際にホイールが曲がる時点の間の時間を計算して)推定し、地図データベース4から推定される位置に対応する目標路面データを取得し、取得した目標路面データに従ってシャシー制御命令を生成してシャシー制御モジュール37を介して車両を制御するように構成される。推定される位置は、上記一つまたは複数の検出領域の一つに含まれる。処理モジュール35は、推定された位置が存在する検出領域の路面データのために地図データベース4を検索し、路面データから推定された位置の目標路面データを取得することができる
【0031】
自動運転車3を制御するためのシステムの動作をさらに説明する。本開示の実施形態の一つに係る、自動運転車を制御するためのシステムの模式図である図12を参照されたい。処理モジュール35は、変位ベクトル推定サブモジュール351、路面データ収集サブモジュール353、および経路追跡サブモジュール355を備えることができる。例えば、上記サブモジュールは、それぞれ変位ベクトルを推定する機能、路面データを収集する機能、および経路を追跡する機能を有する一つまたは複数の命令またはプログラムによって実現されてもよい。
【0032】
通信動作A11とA12では、位置決めモジュール31が地図上における車両の現在位置の座標を取得し、現在位置の座標を路面データ収集サブモジュール353に提供する。通信動作A13とA14では、車両動的状態検知モジュール33は車両の(現在の速度、現在のヨー角速度などの)動的情報を車両ボディ5から検出し、車両の動的情報を変位ベクトル推定サブモジュール351に提供する。変位ベクトル推定サブモジュール351は、処理モジュール35の処理遅延時間と車両ボディ5の車両シャシー制御遅延時間を足し合わせて総遅延時間を取得し、総遅延時間を現在の速度と掛け合わせて推定される変位ベクトルを取得し、推定される変位ベクトルを通信動作A15において路面データ収集サブモジュール35に伝送する。例えば、処理モジュール35の処理遅延時間は、変位ベクトル推定サブモジュール351、路面データ収集サブモジュール353、および経路追跡サブモジュール355によってデータ処理を実行する総推定時間である。そして車両シャシー遅延時間は、操舵命令を受信した時刻と実際にホイールが曲がる時刻の間の時間でもよい。路面データ収集サブモジュール353は、現在位置と推定された変位ベクトルを用いて推定される位置の座標を取得する。通信動作A16-A18では、経路追跡サブモジュール355は、地図データベース4を検索して推定された位置の座標に対応する路面データ(この路面データは、車両に対してどのように前進するかについて指示するためのウェイポイント情報を含んでもよい)を取得し、路面データを経路追跡サブモジュール355に伝送する。通信動作A19では、車両の動的状態検知モジュール33は、車両の動的情報を経路追跡サブモジュール355に伝送する。経路追跡サブモジュール355は、路面データと車両の動的状態に従ってシャシー制御命令を生成し、シャシー制御モジュール37にシャシー制御命令を伝送する。シャシー制御モジュール37は、通信動作A21において、シャシー制御命令に従って車両ボディ5を制御する。
【0033】
本開示の実施形態の一つに係る、自動運転車を制御するための方法のフローチャートである図13を参照されたい。図13に示すように、自動運転車を制御するための方法は、ステップS31:シャシー制御遅延時間と車両の現在位置と速度に関する情報を用い、シャシー制御命令(例えば、操舵、ガスペダル、制動、ギアシフト)の作動時における車両位置を推定すること、ステップS32:推定された位置に対応する目標路面データを地図データベースから取得すること、ステップS33:目標路面データに従ってシャシー制御命令を生成して車両を制御することを含んでもよい。ステップS31-S33の内容は、図11図12の実施形態において記述した内容と同じであるので、再度説明しない。
【0034】
上記構成により、本開示で開示される、路面データを抽出するための方法とシステムは、環境検出データを分類して地面データを取得し、地面データに従って地面モデルを生成し、欠損領域を補填することで地面モデルを最適化し、路面属性と路面損壊状態を取得し、これにより、完成度の高い路面データを取得することができる。本開示で開示される、路面データを抽出するための方法とシステムは、高精密な地図の構築と更新に適用することができ、かつ、自動運転車の制御に適用することができ、これにより、制御決定に対してより精密で正確な周辺路面状態の認知度を提供することができる。自動運転車を制御するための方法とシステムは、上述した路面データを抽出する方法によって得られる高完成度の路面データに従って車両を制御することができ、これにより、(バンク角、傾斜、路面損壊などの)環境状況の認知が欠落することに起因して自動運転車が理想の経路を忠実に追従できないという問題を解決することができる。
【0035】
本開示の実施形態は上記の通り開示されるが、これは本開示の趣旨を限定するものではない。本開示の趣旨と範囲から乖離しない修正と変更は、本開示の範囲内に含まれる。本開示で定義される保護範囲については、添付の請求項を参照されたい。
【符号の説明】
【0036】
1:路面データを抽出するためのシステム
11:データ入力装置
13:記憶装置
15:処理装置
2:環境検出器
z:垂直軸
PC:点群
VC:ボクセル列
OV:オリジナルボクセル
TV:目標ボクセル群
B1:領域
SL1:切断線
C0:元の曲面
C1:第1の曲面
C2:第2の曲面
D1:第1の距離
D2:第2の距離
DR1:損壊領域
3:自動運転車を制御するためのシステム
31:位置決めモジュール
33:車両動的状態検知モジュール
35:処理モジュール
37:シャシー制御モジュール
4:地図データベース
351:変位ベクトル推定サブモジュール
353:路面データ収集サブモジュール
355:経路追跡サブモジュール
5:車両ボディ
A11-A21:通信動作
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置によって実行される以下のステップを含む路面データを抽出するための方法であり、前記ステップは、
検出領域の第1の環境検出データから地面データを取得すること、
前記地面データを用いて第1の地面モデルを取得すること、
前記第1の地面モデルの欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得すること、
前記第2の地面モデルに従って前記検出領域の複数の路面属性を取得すること、
前記検出領域の第2の環境検出データと前記第2の地面モデルを用いて路面損壊識別を行うこと、および
前記複数の路面属性と前記路面損壊識別の結果を前記検出領域の複数の路面データとして格納することを含む、路面データを抽出するための方法。
【請求項2】
前記第1の環境検出データは点群であり、前記地面データを前記検出領域の前記第1の環境検出データから取得することは、
前記点群を複数のオリジナルボクセルに分割すること、
前記複数のオリジナルボクセルから複数の目標ボクセル群を取得すること、
前記複数の目標ボクセル群の複数の高度値を計算すること、および
前記複数の高度値を用いて前記地面データを生成することを含み、
前記複数のオリジナルボクセルは複数のボクセル列を構成し、前記複数のボクセル列の各々は垂直軸に沿って延伸し、
前記複数の目標ボクセル群はそれぞれ複数のボクセル列に含まれ、前記複数の目標ボクセル群の各々における複数の点の表面法線は上向きであり、前記複数の点の垂直拡散パラメータは所定の値以下であり、
前記高度値の各々は、前記目標ボクセル群の前記複数の点の平均高度を表す、請求項1に記載の路面データを抽出するための方法。
【請求項3】
前記表面法線は、主成分分析とスキャン軌跡によって決定される、請求項2に記載の路面データを抽出するための方法。
【請求項4】
前記複数の高度値を用いて前記地面データを生成することは、
前記複数の高度値に対して領域拡張操作または連通分量操作を行って高度値の複数の連通群を作成すること、および
十分に多くの高度値を有し、かつ、スキャン軌跡と十分な重なりを有する一つまたは複数の連通群を選択することで、高度値の前記複数の連通群の少なくとも一つを地面データとして選択することを含む、請求項2に記載の路面データを抽出するための方法。
【請求項5】
前記第1の地面モデルの前記欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得することは、
前記第1の地面モデルを、前記第1の地面モデルの複数の高度値をそれぞれ格納する複数の記憶単位を備える二次元データに変換すること、
前記二次元データに対してデジタル修復を行って修復された二次元データを生成すること、および
前記修復された二次元データを、前記第2の地面モデルとして三次元モデルに変換することを含む、請求項1に記載の路面データを抽出するための方法。
【請求項6】
前記第2の環境検出データは点群であり、前記第2の地面モデルは元の曲面を含み、前記検出領域の前記第2の地面モデルと前記第2の地面モデルを用いて前記路面損壊識別を行うことは、
垂直軸に沿って前記元の曲面を第1の距離下にシフトして第1の曲面を生成すること、
前記垂直軸に沿って前記元の曲面を前記第1の距離よりも大きい第2の距離下にシフトして第2の曲面を生成すること、および
前記第2の環境検出データ、および、前記第1の曲面と前記第2の曲面の間の複数の点から判断することで一つまたは複数の損壊領域を作成することを含む、請求項1に記載の路面データを抽出するための方法。
【請求項7】
前記第1の距離は前記点群の精度に関連し、前記第2の距離は、前記点群を生成する環境検出器の、濡れた路面からの反射などの環境特性に起因する誤差を含む検出誤差に関連する、請求項6に記載の路面データを抽出するための方法。
【請求項8】
前記複数の路面属性は、不規則三角網、正規グリッド、およびウェイポイントのうち一つのフォーマットで格納される、請求項1に記載の路面データを抽出するための方法。
【請求項9】
前記第1の環境検出データと前記第2の環境検出データは、異なる時刻において検出される、請求項1に記載の路面データを抽出するための方法。
【請求項10】
処理装置によって実行される以下のステップを含む、自動運転車を制御するための方法であり、前記ステップは、
処理遅延時間の推定、シャシー制御遅延時間の推定、車両の現在位置と現在の速度を用いてシャシー制御命令の作動時における車両の位置を推定すること、
前記推定された位置に対応する目標路面データを地図データベースから取得すること、および
前記目標路面データに従ってシャシー制御命令を生成して前記車両を制御することを含み、
前記地図データベースは、検出領域のあらかじめ格納された複数の路面データを備え、前記推定された位置は前記検出領域内に位置し、前記目標路面データは前記あらかじめ格納された複数の路面データに含まれ、前記あらかじめ格納された複数の路面データが路面データ抽出処理によって取得され、前記路面データ抽出処理は、
前記検出領域の第1の環境検出データから地面データを取得すること、
前記地面データから第1の地面モデルを取得すること、
前記第1の地面モデルの欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得すること、
前記第2の地面モデルに従って前記検出領域の複数の路面属性を取得すること、
前記検出領域の第2の環境検出データと前記第2の地面モデルを用いて路面損壊識別を行うこと、および
前記複数の路面属性と前記路面損壊識別の結果を前記検出領域のあらかじめ格納された複数の路面データとして格納することを含む、自動運転車を制御するための方法。
【請求項11】
前記処理遅延時間の推定、前記シャシー制御遅延時間の推定、車両の現在位置と現在の速度を用いてシャシー制御命令の作動時における前記車両の位置を推定することは、
プロセッサの処理遅延時間と前記シャシー制御遅延時間を足し合わせて総遅延時間の推定を取得すること、
前記総遅延時間と前記現在の速度を掛け合わせて、推定される変位ベクトルを取得すること、および
前記現在位置と前記推定された変位ベクトルを用いて前記推定された位置を取得することを含む、請求項10に記載の自動運転車を制御するための方法。
【請求項12】
第1の環境検出データと第2の環境検出データを受信するように構成されるデータ入力装置、
記憶装置、
前記データ入力装置と前記記憶装置に接続され、以下のステップを実行するように構成される処理装置を備え、前記ステップは、
前記第1の環境検出データから地面データを取得すること、
前記地面データを用いて第1の地面モデルを取得すること、
前記第1の地面モデルの欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得すること、
前記第2の地面モデルに従って検出領域の複数の路面属性を取得すること、
前記第2の環境検出データと前記第2の地面モデルを用いて路面損壊識別を行うこと、および
前記複数の路面属性と前記路面損壊識別の結果を前記検出領域の複数の路面データとして格納することを含む、路面データを抽出するためのシステム。
【請求項13】
前記第1の環境検出データは点群であり、
前記処理装置は、前記点群を複数のオリジナルボクセルに分割して複数の目標ボクセル群を取得し、前記複数の目標ボクセル群の複数の高度値を計算し、前記複数の高度値を用いて地面データを生成するように構成され、
前記複数のオリジナルボクセルは、それぞれ垂直軸に沿って延伸する複数のボクセル列を構成し、前記複数の目標ボクセル群は前記複数のボクセル列に含まれ、前記複数の目標ボクセル分の各々における複数の点の表面法線は上向きであり、前記複数の点の垂直拡散パラメータは所定の値以下であり、前記複数の高度値の各々は前記複数の目標ボクセル群の各々における前記複数の点の平均高度を表す、請求項12に記載の路面データを抽出するためのシステム。
【請求項14】
前記表面法線は、主成分分析とスキャン軌跡によって決定される、請求項13に記載の路面データを抽出するためのシステム。
【請求項15】
前記処理装置は、前記複数の高度値に対して領域拡張操作または連通分量操作を実行して複数の高度値の連通群を作成し、前記連通群の大きさおよび前記高度値の連通群とスキャン軌跡との重なり量に従って前記複数の高度値の連通群の少なくとも一つを前記地面データとして選択するように構成される、請求項13に記載の路面データを抽出するためのシステム。
【請求項16】
前記処理装置は、前記第1の地面モデルを二次元データに変換するように構成され、前記二次元データに対してデジタル修復を実行して修復された二次元データを生成し、前記修復された二次元データを第2の地面モデルとして三次元モデルに変換し、
前記二次元データは、前記第1の地面モデルの複数の高度値をそれぞれ格納する複数の記憶単位を備える、請求項12に記載の路面データを抽出するためのシステム。
【請求項17】
前記第2の環境検出データは点群であり、前記第2の地面モデルは元の曲面を含み、前記処理装置は、前記元の曲線を垂直軸に沿って第1の距離下にシフトして第1の曲面を作成し、前記元の曲面を前記垂直軸に沿って前記第1の距離よりも大きい第2の距離下にシフトして第2の曲面を作成し、前記点群中の前記第1の曲面と前記第2の曲面の間の複数の点を判断して一つまたは複数の損壊領域を作成する、請求項12に記載の路面データを抽出するためのシステム。
【請求項18】
前記第1の距離は前記点群の精度に関連し、前記第2の距離は、濡れた路面からの反射を含む環境要因に起因する誤差に関連する、請求項17に記載の路面データを抽出するためのシステム。
【請求項19】
前記複数の路面属性は、不規則三角網、正規グリッド、およびウェイポイントのうち一つのフォーマットで格納される、請求項12に記載の路面データを抽出するためのシステム。
【請求項20】
前記第1の環境検出データと前記第2の環境検出データは、異なる時刻に検出される、請求項12に記載の路面データを抽出するためのシステム。
【請求項21】
自動運転車を制御するためのシステムであり、
車両の現在位置を取得するように構成される位置決めモジュール、
前記車両の現在の速度を取得するように構成される車両動的状態検知モジュール、
シャシー制御命令に従って前記車両を制御するように構成されるシャシー制御モジュール、
前記位置決めモジュール、前記車両動的状態検知モジュール、および前記シャシー制御モジュールに接続され、以下のステップを実行するように構成される処理モジュールを含み、前記ステップは、
前記車両の現在位置、前記車両の現在の速度、処理遅延時間の推定、およびシャシー制御遅延時間の推定を利用し、シャシー制御命令の作動時における前記車両の位置を推定すること、
推定された前記位置に対応する目標路面データを地図データベースから取得すること、および
前記目標路面データに従ってシャシー制御命令を生成して前記車両を制御することを含み、
前記地図データベースは、検出領域のあらかじめ格納された複数の路面データを備え、推定された前記位置は前記検出領域内に存在し、前記目標路面データは前記あらかじめ格納された複数の路面データに含まれ、前記あらかじめ格納された複数の路面データは、路面データ抽出処理によって取得され、前記路面データ抽出処理は、
検出領域の第1の環境検出データから地面データを取得すること、
前記地面データを用いて第1の地面モデルを取得すること、
前記第1の地面モデルの欠損領域を補填して第2の地面モデルを取得すること、
前記第2の地面モデルに従って前記検出領域の複数の路面属性を取得すること、
前記検出領域の第2の環境検出データと前記第2の地面モデルを用いて路面損壊識別を行うこと、および
前記複数の路面属性と前記路面損壊識別の結果を前記検出領域のあらかじめ格納された前記複数の路面データとして格納することを含む、自動運転車を制御するためのシステム。
【請求項22】
前記処理モジュールは、前記処理モジュールの処理時間と前記シャシー制御遅延時間を足し合わせて総遅延時間を取得し、前記総遅延時間を前記現在の速度と掛け合わせて推定された変位ベクトルを取得し、前記現在位置と前記推定された変位ベクトルを用いて推定された位置を取得する、請求項21に記載の自動運転車を制御するためのシステム。
【外国語明細書】