(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088657
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】箔転写装置
(51)【国際特許分類】
B65H 23/195 20060101AFI20230620BHJP
B65H 18/10 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
B65H23/195
B65H18/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203528
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】山辺 勝利
(72)【発明者】
【氏名】篠原 貴仁
【テーマコード(参考)】
3F055
3F105
【Fターム(参考)】
3F055AA01
3F055AA05
3F055DA01
3F055FA17
3F105AA01
3F105AA04
3F105AB00
3F105BA04
3F105CA06
3F105CB10
(57)【要約】
【課題】長尺の媒体に箔を転写するための箔転写装置において、媒体に転写される箔の密度にかかわらず、箔転写後の媒体の品質を安定させることが可能な箔転写装置を提供する。
【解決手段】箔転写装置1では、媒体2に箔が転写された後の箔転写シート3を巻き取る転写シート巻取り機構36は、箔転写後のロール状に巻回された箔転写シート3であるロール状シート35を回転させるためのモータと、モータからロール状シート35への動力伝達経路に配置されるトルクリミッタとを備えており、トルクリミッタは、モータからロール状シート35に伝達されるトルクが所定の値を超えると、ロール状シート35に対してモータを空転させる。このトルクリミッタのトルク設定値は、調整可能になっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の媒体に接着剤を塗布する接着剤塗布機構と、前記媒体の長手方向に前記媒体を搬送する媒体搬送機構と、前記媒体に転写される箔が基材上に形成された箔転写シートを前記接着剤が塗布された後の前記媒体に押圧して前記媒体に前記箔を転写するための転写ローラ対と、前記箔が転写された後の前記箔転写シートを巻き取る転写シート巻取り機構とを備え、
前記転写シート巻取り機構は、前記箔が転写された後のロール状に巻回された前記箔転写シートであるロール状シートを回転させるためのモータと、前記モータから前記ロール状シートへの動力伝達経路に配置されるトルクリミッタとを備え、
前記トルクリミッタのトルク設定値は、調整可能になっており、
前記トルクリミッタは、前記モータから前記ロール状シートに伝達されるトルクが所定の値を超えると、前記ロール状シートに対して前記モータを空転させることを特徴とする箔転写装置。
【請求項2】
前記接着剤塗布機構および前記媒体搬送機構が取り付けられる本体フレームと、前記箔が転写される前のロール状に巻回された前記箔転写シートが取り付けられる転写シート繰出し部と、前記転写シート巻取り機構を有する転写シート巻取り部と、前記箔が転写された後のロール状に巻回された前記媒体が取り付けられる媒体巻取り部と、前記転写ローラ対と前記転写シート繰出し部と前記転写シート巻取り部と前記媒体巻取り部とが取り付けられる転写ユニットフレームとを備え、
前記転写ユニットフレームは、前記本体フレームと別体で形成され、前記本体フレームに着脱可能に固定されていることを特徴とする請求項1記載の箔転写装置。
【請求項3】
前記接着剤が塗布された後の前記媒体を加熱するための第1ヒータと、前記媒体の搬送方向において前記第1ヒータよりも下流側に配置されるとともに前記箔が転写される前の前記媒体を加熱して前記媒体に塗布された前記接着剤の粘着力を高めるための第2ヒータとを備え、
前記第2ヒータは、前記転写ユニットフレームに取り付けられていることを特徴とする請求項2記載の箔転写装置。
【請求項4】
前記転写シート巻取り機構を有する転写シート巻取り部と、前記箔が転写された後のロール状に巻回された前記媒体が取り付けられる媒体巻取り部と、前記媒体の搬送方向において前記転写ローラ対と前記媒体巻取り部との間に配置され前記箔が転写された後の前記媒体を所定方向に案内するための第1ガイドローラと、前記箔転写シートの移動方向において前記転写ローラ対と前記転写シート巻取り部との間に配置され前記箔が転写された後の前記箔転写シートを所定方向に案内するための第2ガイドローラとを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の箔転写装置。
【請求項5】
前記転写ローラ対が取り付けられる転写ユニットフレームを備え、
前記転写ローラ対は、下側箔転写ローラと、前記下側箔転写ローラの上側または斜め上側に配置される上側箔転写ローラとを備え、
前記転写ユニットフレームは、前記下側箔転写ローラを回転可能に保持する第1フレームと、前記上側箔転写ローラを回転可能に保持するとともに前記第1フレームに対して回動可能な第2フレームとを備え、
前記第2フレームは、錘が取付可能な錘取付部を備えるとともに、前記第1フレームに対して前記転写ローラ対の回転の軸方向を回動の軸方向とする回動が可能となっており、
前記錘取付部に取り付けられる前記錘によって、前記下側箔転写ローラと前記上側箔転写ローラとの間の、前記媒体への前記箔転写シートの押圧力が調整可能になっていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の箔転写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の媒体に箔を転写するための箔転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺の媒体(被記録媒体)に箔を転写するための箔転写装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の箔転写装置は、箔が転写される前の媒体を供給する供給ロールと、箔が転写された後の媒体を巻き取って回収する回収ロールと、媒体に箔が転写される前の箔転写シートを供給する箔送り出しスプールと、媒体に箔が転写された後の箔転写シートを巻き取る箔巻き取りスプールとを備えている。また、この箔転写装置は、供給ロールから供給された媒体に接着用液を吐出するインクジェットヘッドと、接着用液が塗布された媒体に箔転写シートを押し付ける箔転写ニップローラ対とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、特許文献1に記載された箔転写装置のように長尺の媒体に連続的に箔を転写する箔転写装置を開発している。この箔転写装置を開発する過程において、媒体に転写される箔の密度によって、媒体に箔が転写されやすくなったり、媒体に箔が転写されにくくなったりして、箔が転写された後の媒体の品質にばらつきが生じることが本願発明者の検討によって明らかになった。具体的には、ベタパターンで媒体に箔が転写される場合のように媒体に転写される箔の密度が高い場合と、細い文字を示す箔が媒体に転写される場合のように媒体に転写される箔の密度が低い場合とで、媒体への箔の付着の仕方がばらついて箔転写後の媒体の品質にばらつきが生じることが本願発明者の検討によって明らかになった。
【0005】
そこで、本発明の課題は、長尺の媒体に箔を転写するための箔転写装置において、媒体に転写される箔の密度にかかわらず、箔転写後の媒体の品質を安定させることが可能な箔転写装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本願発明者は、種々の検討を行った。その結果、本願発明者は、媒体に転写される箔の密度に応じて箔転写シートの張力を調整することで、媒体に転写される箔の密度にかかわらず、媒体への箔の付着の仕方を安定させて箔転写後の媒体の品質を安定させることが可能になることを知見するに至った。
【0007】
本発明の箔転写装置は、かかる新たな知見に基づくものであり、長尺の媒体に接着剤を塗布する接着剤塗布機構と、媒体の長手方向に媒体を搬送する媒体搬送機構と、媒体に転写される箔が基材上に形成された箔転写シートを接着剤が塗布された後の媒体に押圧して媒体に箔を転写するための転写ローラ対と、箔が転写された後の箔転写シートを巻き取る転写シート巻取り機構とを備え、転写シート巻取り機構は、箔が転写された後のロール状に巻回された箔転写シートであるロール状シートを回転させるためのモータと、モータからロール状シートへの動力伝達経路に配置されるトルクリミッタとを備え、トルクリミッタのトルク設定値は、調整可能になっており、トルクリミッタは、モータからロール状シートに伝達されるトルクが所定の値を超えると、ロール状シートに対してモータを空転させることを特徴とする。
【0008】
本発明の箔転写装置では、箔転写後の箔転写シートを巻き取る転写シート巻取り機構は、箔転写後のロール状に巻回された箔転写シートであるロール状シートにモータから伝達されるトルクが所定の値を超えるとロール状シートに対してモータを空転させるトルクリミッタを備えており、トルクリミッタのトルク設定値が調整可能になっている。そのため、本発明では、媒体に転写される箔の密度に応じてトルクリミッタの設定値を調整することで、媒体に転写される箔の密度に応じて箔転写シートの張力を調整することが可能になる。したがって、本発明では、媒体に転写される箔の密度に応じて箔転写シートの張力を調整することで、媒体に転写される箔の密度にかかわらず、媒体への箔の付着の仕方を安定させることが可能になり、その結果、箔転写後の媒体の品質を安定させることが可能になる。
【0009】
本発明において、箔転写装置は、たとえば、接着剤塗布機構および媒体搬送機構が取り付けられる本体フレームと、箔が転写される前のロール状に巻回された箔転写シートが取り付けられる転写シート繰出し部と、転写シート巻取り機構を有する転写シート巻取り部と、箔が転写された後のロール状に巻回された媒体が取り付けられる媒体巻取り部と、転写ローラ対と転写シート繰出し部と転写シート巻取り部と媒体巻取り部とが取り付けられる転写ユニットフレームとを備え、転写ユニットフレームは、本体フレームと別体で形成され、本体フレームに着脱可能に固定されている。この場合には、転写ローラ対、転写シート繰出し部、転写シート巻取り部および媒体巻取り部を転写ユニットフレームと一緒に本体フレームに対して着脱することが可能になるため、転写ローラ対、転写シート繰出し部、転写シート巻取り部および媒体巻取り部の本体フレームに対する着脱を容易に行うことが可能になる。
【0010】
本発明において、箔転写装置は、たとえば、接着剤が塗布された後の媒体を加熱するための第1ヒータと、媒体の搬送方向において第1ヒータよりも下流側に配置されるとともに箔が転写される前の媒体を加熱して媒体に塗布された接着剤の粘着力を高めるための第2ヒータとを備え、第2ヒータは、転写ユニットフレームに取り付けられている。この場合には、転写ローラ対、転写シート繰出し部、転写シート巻取り部および媒体巻取り部に加えて第2ヒータを転写ユニットフレームと一緒に本体フレームに対して着脱することが可能になるため、転写ローラ対、転写シート繰出し部、転写シート巻取り部、媒体巻取り部および第2ヒータの本体フレームに対する着脱を容易に行うことが可能になる。
【0011】
本発明において、箔転写装置は、転写シート巻取り機構を有する転写シート巻取り部と、箔が転写された後のロール状に巻回された媒体が取り付けられる媒体巻取り部と、媒体の搬送方向において転写ローラ対と媒体巻取り部との間に配置され箔が転写された後の媒体を所定方向に案内するための第1ガイドローラと、箔転写シートの移動方向において転写ローラ対と転写シート巻取り部との間に配置され箔が転写された後の箔転写シートを所定方向に案内するための第2ガイドローラとを備えることが好ましい。
【0012】
このように構成すると、媒体巻取り部でロール状に巻回された媒体の外径およびロール状シートの外径にかかわらず、箔転写後に媒体から離れる(剥離される)箔転写シートと箔転写後に箔転写シートから離れる媒体とがなす角度を一定に保つことが可能になる。したがって、媒体巻取り部でロール状に巻回された媒体の外径およびロール状シートの外径が変わっても、媒体に箔を適切に転写することが可能になる。
【0013】
本発明において、箔転写装置は、たとえば、転写ローラ対が取り付けられる転写ユニットフレームを備え、転写ローラ対は、下側箔転写ローラと、下側箔転写ローラの上側または斜め上側に配置される上側箔転写ローラとを備え、転写ユニットフレームは、下側箔転写ローラを回転可能に保持する第1フレームと、上側箔転写ローラを回転可能に保持するとともに第1フレームに対して回動可能な第2フレームとを備え、第2フレームは、錘が取付可能な錘取付部を備えるとともに、第1フレームに対して転写ローラ対の回転の軸方向を回動の軸方向とする回動が可能となっており、錘取付部に取り付けられる錘によって、下側箔転写ローラと上側箔転写ローラとの間の、媒体への箔転写シートの押圧力が調整可能になっている。この場合には、錘取付部に錘を取り付けるといった簡易な作業で、媒体への箔転写シートの押圧力を調整することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明では、長尺の媒体に箔を転写するための箔転写装置において、媒体に転写される箔の密度にかかわらず、箔転写後の媒体の品質を安定させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる箔転写装置の構成を説明するための側面図である。
【
図2】
図1のE部の構成を説明するための拡大図である。
【
図3】
図1に示す媒体巻取り機構の構成を説明するための正面図である。
【
図4】
図1に示す転写シート巻取り機構の構成を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(箔転写装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる箔転写装置1の構成を説明するための側面図である。
【0018】
本形態の箔転写装置1は、長尺の媒体2に箔(金属箔)を転写するための装置である。箔転写装置1は、媒体2に転写される箔が基材(台紙)上に形成された長尺の箔転写シート3を、接着剤が塗布された後の媒体2に押圧して媒体2に箔を転写する。また、箔転写装置1は、媒体2に連続的に接着剤を塗布するとともに媒体2に連続的に箔を転写する。接着剤が塗布される前の媒体2、および、箔が転写された後の媒体2は、ロール状に巻回されている。また、媒体2に箔が転写される前の箔転写シート3、および、媒体2に箔が転写された後の箔転写シート3は、ロール状に巻回されている。
【0019】
媒体2は、合成樹脂または紙で形成された長尺のシート状媒体である。媒体2の引張弾性率が低くなっていると、媒体2に張力が作用したときに媒体2が伸びやすくなる。箔が転写された後の媒体2に張力が作用して媒体2が所定量以上伸びると、箔にひび割れが生じるおそれがある。また、箔を転写するときの媒体2に張力が作用して媒体2が所定量以上に伸びていると、箔が転写された後、媒体2の張力が取り除かれたときに、媒体2に転写された箔にしわが生じるおそれがある。そのため、媒体2の引張弾性率は、所定の値以上となっていることが好ましい。
【0020】
具体的には、媒体2の引張弾性率は、0.1×104kg/cm2以上となっていることが好ましく、0.2×104kg/cm2以上となっていることがより好ましい。したがって、本形態の媒体2は、たとえば、ポリ塩化ビニリデン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートの中から選択される1つの合成樹脂によって形成されている。あるいは、媒体2は、これらの合成樹脂の中から任意に選択される2つ以上の合成樹脂を混合した合成樹脂によって形成されている。また、媒体2は、引張弾性率が比較的高い、繊維と合成樹脂との複合材料によって形成されていても良い。たとえば、媒体2は、ターポリン等で形成されていても良い。
【0021】
箔転写装置1は、長尺の媒体2に接着剤を塗布する接着剤塗布機構5と、長尺の媒体2の長手方向に媒体2を搬送する媒体搬送機構6と、接着剤が塗布された後の媒体2に箔転写シート3を押圧して媒体2に箔を転写するための転写ローラ対7と、接着剤が塗布された後の媒体2を加熱するための第1ヒータ8と、箔が転写される前の媒体2を加熱して媒体2に塗布された接着剤の粘着力を高めるための(すなわち、接着剤を賦活させるための)第2ヒータ9とを備えている。
【0022】
また、箔転写装置1は、接着剤が塗布される前のロール状に巻回された媒体2が取り付けられる媒体繰出し部12と、箔が転写された後のロール状に巻回された媒体2が取り付けられる媒体巻取り部13と、箔が転写される前のロール状に巻回された箔転写シート3が取り付けられる転写シート繰出し部14と、箔が転写された後のロール状に巻回された箔転写シート3が取り付けられる転写シート巻取り部15とを備えている。さらに、箔転写装置1は、接着剤塗布機構5と媒体搬送機構6と第1ヒータ8と媒体繰出し部12が取り付けられる本体フレーム16と、転写ローラ対7と第2ヒータ9と媒体巻取り部13と転写シート繰出し部14と転写シート巻取り部15とが取り付けられる転写ユニットフレーム17とを備えている。
【0023】
接着剤塗布機構5は、媒体2の搬送方向(媒体2の送り方向)において転写ローラ対7よりも上流側に配置されている。接着剤塗布機構5は、媒体2に接着剤を吐出するインクジェットヘッド20(以下、「ヘッド20」とする。)を備えている。すなわち、接着剤塗布機構5は、インクジェット方式で媒体2に接着剤を塗布する。接着剤塗布機構5は、ヘッド20が搭載されるキャリッジ21と、媒体2の幅方向となる主走査方向(
図1等のY方向)にキャリッジ21を移動させるキャリッジ駆動機構22と、主走査方向への移動が可能となるようにキャリッジ21を支持する支持部材23と、ヘッド20の下側に配置されるプラテン24とを備えている。
【0024】
キャリッジ21に搭載されるヘッド20は、プラテン24に載置される媒体2の上面に向かって接着剤を吐出する。すなわち、ヘッド20は、下側に向かって接着剤を吐出する。ヘッド20の下面には、接着剤を吐出する複数のノズルが形成されている。また、ヘッド20は、たとえば、ノズルから接着剤を吐出させるための圧電素子(ピエゾ素子)を備えている。媒体2の一方の面は、接着剤が塗布される接着剤塗布面となっている。具体的には、プラテン24に載置されたときに媒体2の上面が接着剤塗布面となっている。
【0025】
キャリッジ駆動機構22は、たとえば、キャリッジ21に一部分が固定されるベルトと、ベルトが掛け渡されるプーリと、プーリを回転させるためのモータとを備えている。支持部材23は、本体フレーム16に固定されている。プラテン24は、本体フレーム16に下側から支持されている。本形態のプラテン24は、接着剤が塗布されるときの媒体2が載置される媒体載置部である。
【0026】
以下の説明では、媒体2の幅方向である主走査方向(Y方向)を「左右方向」とし、上下方向(鉛直方向、
図1等のZ方向)と左右方向とに直交する方向を「前後方向」とする。また、前後方向の一方側である
図1等のX1方向側を「前」側とし、その反対側である
図1等のX2方向側を「後ろ」側とする。本形態では、接着剤が塗布される前の媒体2は、後ろ側からプラテン24の上面に搬送され、接着剤が塗布された後の媒体2は、プラテン24の上面から前側に搬送される。
【0027】
媒体搬送機構6は、媒体2の搬送方向において転写ローラ対7よりも上流側に配置されている。媒体搬送機構6は、媒体2に接触して媒体2を搬送する搬送ローラ26と、搬送ローラ26に対向配置されるとともに搬送ローラ26に向かって付勢されるパッドローラ27とを備えている。搬送ローラ26およびパッドローラ27は、媒体2の搬送方向においてプラテン24よりも上流側に配置されており、プラテン24よりも後ろ側に配置されている。搬送ローラ26は、搬送ローラ26を回転させる駆動機構に連結されている。媒体2は、搬送ローラ26とパッドローラ27との間に挟まれており、媒体2は、搬送ローラ26とパッドローラ27との間に挟まれた状態で搬送される。
【0028】
プラテン24の前側には、アフタープラテン28が配置されている。アフタープラテン28の表面には、プラテン24から転写ローラ対7に向かって搬送される媒体2を案内するためのガイド面28aが形成されている。ガイド面28aは、凸曲面状に形成されている。プラテン24から転写ローラ対7に向かって搬送される媒体2は、ガイド面28aに接触する。第1ヒータ8は、ガイド面28aに沿うようにアフタープラテン28の内部に配置されている。
【0029】
転写ローラ対7は、アフタープラテン28よりも下側に配置されている。また、転写ローラ対7は、アフタープラテン28よりも前側に配置されている。第2ヒータ9は、媒体2の搬送方向において第1ヒータ8と転写ローラ対7との間に配置されている。すなわち、第2ヒータ9は、媒体2の搬送方向において第1ヒータ8よりも下流側に配置されている。転写ローラ対7は、第2ヒータ9の斜め前下側に配置されている。第2ヒータ9には、媒体2が接触する接触面が形成されており、この接触面は、前側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する平面状の傾斜面となっている。
【0030】
媒体繰出し部12は、プラテン24よりも下側に配置されている。また、媒体繰出し部12は、プラテン24よりも後ろ側に配置されている。媒体巻取り部13は、転写ローラ対7よりも下側に配置されている。また、媒体巻取り部13は、転写ローラ対7よりも前側に配置されている。転写シート繰出し部14は、転写ローラ対7よりも若干上側に配置されている。また、転写シート繰出し部14は、転写ローラ対7よりも前側に配置されている。転写シート巻取り部15は、転写ローラ対7よりも下側に配置されている。また、転写シート巻取り部15は、転写ローラ対7よりも前側に配置されている。また、転写シート巻取り部15は、媒体巻取り部13の上側に配置され、転写シート繰出し部14は、転写シート巻取り部15の上側に配置されている。
【0031】
転写ローラ対7は、2個の箔転写ローラ29、30によって構成されている。箔転写ローラ29および箔転写ローラ30は、左右方向を回転の軸方向として回転可能になっている。すなわち、転写ローラ対7は、左右方向を回転の軸方向として転写ユニットフレーム17に対して回転可能になっており、左右方向(Y方向)は、転写ローラ対7の回転の軸方向となっている。箔転写ローラ29は、1本のローラによって構成されている。同様に、箔転写ローラ30は、1本のローラによって構成されている。
【0032】
箔転写ローラ30は、箔転写ローラ29の斜め上側に配置されている。具体的には、箔転写ローラ30は、箔転写ローラ29の前斜め上側に配置されており、斜め前上側から箔転写ローラ30に対向している。本形態の箔転写ローラ29は、下側箔転写ローラであり、箔転写ローラ30は、上側箔転写ローラである。なお、箔転写ローラ29の外径(直径)は、2インチ以上となっている。本形態では、箔転写ローラ29の外径は、3インチとなっている。箔転写ローラ30の外径は、箔転写ローラ29の外径と等しくなっている。
【0033】
媒体2と箔転写シート3とは、転写ローラ対7において合流し、箔転写ローラ29と箔転写ローラ30との間で密着する。具体的には、箔転写シート3の、箔が形成されている面と、媒体2の接着剤塗布面とが箔転写ローラ29と箔転写ローラ30との間で密着する。すなわち、媒体2および箔転写シート3は、箔転写ローラ29と箔転写ローラ30との間に挟まれている。媒体2および箔転写シート3は、斜め後ろ上側から箔転写ローラ29と箔転写ローラ30との間に入る。箔転写ローラ30の上側には、転写シート繰出し部14から繰り出される箔転写シート3を転写ローラ対7に案内するためのガイドローラ31が配置されている。ガイドローラ31は、下側から箔転写シート3に接触している。
【0034】
箔転写ローラ29と箔転写ローラ30との間では、箔転写シート3が前上側に配置され、媒体2が後ろ下側に配置されている。箔転写ローラ30は、箔転写シート3に前上側から接触し、箔転写ローラ29は、媒体2に後ろ下側から接触している。箔転写ローラ29、30は、媒体搬送機構6によって搬送される媒体2に追従して回転する従動ローラである。すなわち、箔転写装置1は、箔転写ローラ29を回転させる駆動源および箔転写ローラ30を回転させる駆動源を備えていない。箔転写ローラ29と箔転写ローラ30との間では、箔転写シート3から媒体2に箔が転写される。具体的には、媒体2の、接着剤が塗布された部分に箔転写シート3から箔が転写される。媒体2は、転写ローラ対7に到達する前に第2ヒータ9によって加熱される。
【0035】
媒体繰出し部12は、接着剤が塗布される前のロール状に巻回された媒体2であるロール状媒体32を保持している。ロール状媒体32は、左右方向を回転の軸方向として回転可能になっている。媒体繰出し部12は、ロール状媒体32が取り付けられる回転軸を備えている。媒体繰出し部12は、ロール状媒体32を回転させる駆動源を備えておらず、ロール状媒体32は、媒体搬送機構6による媒体2の搬送に応じて従動的に回転する。
【0036】
媒体巻取り部13は、箔が転写された後のロール状に巻回された媒体2であるロール状媒体33を保持している。ロール状媒体33は、左右方向を回転の軸方向として回転可能になっている。媒体巻取り部13は、箔が転写された後の媒体2を巻き取る媒体巻取り機構34を備えている。媒体巻取り機構34の構成については後述する。
【0037】
転写シート巻取り部15は、箔が転写された後のロール状に巻回された箔転写シート3であるロール状シート35を保持している。ロール状シート35は、左右方向を回転の軸方向として回転可能になっている。転写シート巻取り部15は、箔が転写された後の箔転写シート3を巻き取る転写シート巻取り機構36を備えている。転写シート巻取り機構36の構成については後述する。
【0038】
転写シート繰出し部14は、箔が転写される前のロール状に巻回された箔転写シート3であるロール状シート37を保持している。ロール状シート37は、左右方向を回転の軸方向として回転可能になっている。転写シート繰出し部14は、ロール状シート37が取り付けられる回転軸を備えている。転写シート繰出し部14は、ロール状シート37を回転させる駆動源を備えておらず、ロール状シート37は、転写シート巻取り機構36によって巻き取られる箔転写シート3の動きに応じて従動的に回転する。なお、転写シート繰出し部14は、トルクリミッタを備えており、ロール状シート37に作用するトルクが所定の値になると、ロール状シート37が回転して箔転写シート3が繰り出される。そのため、本形態では、ロール状シート35とロール状シート37との間で箔転写シート3が弛まないようになっている。
【0039】
媒体2の搬送方向において転写ローラ対7と媒体巻取り部13との間には、箔が転写された後の媒体2を所定方向に案内するためのガイドローラ38が配置されている。箔転写シート3の移動方向において転写ローラ対7と転写シート巻取り部15との間には、箔が転写された後の箔転写シート3を所定方向に案内するためのガイドローラ39が配置されている。すなわち、箔転写装置1は、ガイドローラ38、39を備えている。本形態のガイドローラ38は、第1ガイドローラであり、ガイドローラ39は、第2ガイドローラである。
【0040】
ガイドローラ38、39は、転写ユニットフレーム17に回転可能に取り付けられている。ガイドローラ38、39は、左右方向を回転の軸方向として転写ユニットフレーム17に対して回転可能になっている。ガイドローラ38は、転写ローラ対7よりも下側であって、かつ、媒体巻取り部13よりも上側に配置されている。また、ガイドローラ38は、転写ローラ対7よりも前側であって、かつ、媒体巻取り部13よりも後ろ側に配置されている。ガイドローラ39は、上下方向において箔転写ローラ29とほぼ同じ位置に配置されており、転写シート巻取り部15よりも上側に配置されている。また、ガイドローラ39は、転写ローラ対7よりも前側であって、かつ、転写シート巻取り部15よりも後ろ側に配置されている。
【0041】
転写ローラ対7において合流して密着する媒体2と箔転写シート3とは、転写ローラ対7を通過すると分離する。ガイドローラ38は、箔転写シート3と分離した媒体2を斜め前下側に案内する機能を果たしている。ガイドローラ38は、前側から媒体2に接触している。ガイドローラ38を通過した媒体2は、斜め前下側に向かって搬送されて媒体巻取り部13で巻き取られる。
図1に示すように、左右方向から見たときに、転写ローラ対7とガイドローラ38との間における媒体2の前後方向に対する傾きは、アフタープラテン28と転写ローラ対7との間における媒体2の前後方向に対する傾きよりも大きくなっている。
【0042】
ガイドローラ39は、媒体2と分離した箔転写シート3を斜め前下側に案内する機能を果たしている。ガイドローラ39は、上側から箔転写シート3に接触している。ガイドローラ39を通過した箔転写シート3は、斜め前下側に向かって搬送されて転写シート巻取り部15で巻き取られる。
図1に示すように、左右方向から見たときに、転写ローラ対7とガイドローラ39との間における箔転写シート3の前後方向に対する傾きは、アフタープラテン28と転写ローラ対7との間における媒体2の前後方向に対する傾きとほぼ等しくなっている。
【0043】
転写ローラ対7において合流する媒体2と箔転写シート3とは一定の位置で分離する。箔転写シート3と分離した媒体2は、ガイドローラ38に向かって移動しており、左右方向から見たときに、ガイドローラ38に向かって直線的に伸びている。媒体2と分離した箔転写シート3は、ガイドローラ39に向かって移動しており、左右方向から見たときに、ガイドローラ39に向かって直線的に伸びている。
【0044】
本形態では、左右方向から見たときに、転写ローラ対7を通過して分離した媒体2と箔転写シート3とがなす角度θ(
図2(A)参照)は、鋭角になっている。すなわち、転写ローラ対7から斜め前下側に直線的に伸びる媒体2と、転写ローラ対7から斜め前下側に直線的に伸びる箔転写シート3とがなす角度θは、鋭角になっている。具体的には、角度θは、60°以下になっている。本形態では、角度θは、45°以下となっている。また、角度θは、ロール状媒体33の外径およびロール状シート35の外径にかかわらず、一定になっている。
【0045】
(転写ユニットフレームの構成)
図2は、
図1のE部の構成を説明するための拡大図である。
【0046】
転写ユニットフレーム17は、本体フレーム16と別体で形成されている。転写ユニットフレーム17は、箔転写ローラ29を回転可能に保持する第1フレーム43と、箔転写ローラ30を回転可能に保持する第2フレーム44とを備えている。第1フレーム43と第2フレーム44とは別体で形成されており、第2フレーム44は、第1フレーム43に対して回動可能となっている。具体的には、第2フレーム44は、左右方向を回動の軸方向として第1フレーム43に対して回動可能となっている。
【0047】
転写ユニットフレーム17は、本体フレーム16の前側に配置されている。
図1に示すように、本体フレーム16は、転写ユニットフレーム17が固定される連結部材45を備えている。連結部材45は、本体フレーム16の前下端部に配置されている。転写ユニットフレーム17は、ネジによって連結部材45に固定されている。具体的には、第1フレーム43の後ろ下端部がネジによって連結部材45に固定されている。すなわち、転写ユニットフレーム17は、ネジによって本体フレーム16に固定されている。
【0048】
本体フレーム16に転写ユニットフレーム17を固定するためのネジを取り外すと、本体フレーム16から転写ユニットフレーム17を取り外すことが可能になる。すなわち、転写ユニットフレーム17は、本体フレーム16に対して着脱可能となっており、転写ユニットフレーム17は、本体フレーム16に着脱可能に固定されている。本体フレーム16および転写ユニットフレーム17の下端には、車輪46が取り付けられている。本形態では、転写ユニットフレーム17と、転写ユニットフレーム17に取り付けられる転写ローラ対7等とによって箔転写用ユニット47が構成されている。箔転写用ユニット47は、本体フレーム16に着脱可能に固定されている。
【0049】
第1フレーム43は、転写ユニットフレーム17の大半部分を構成している。第1フレーム43には、第2ヒータ9と媒体巻取り部13と転写シート繰出し部14と転写シート巻取り部15と箔転写ローラ29とガイドローラ38、39とが取り付けられている。第2フレーム44は、転写ユニットフレーム17の上端部を構成しており、第1フレーム43の上端部に回動可能に連結されている。第2フレーム44には、箔転写ローラ30とガイドローラ31とが取り付けられている。上述のように、第2フレーム44は、左右方向を回動の軸方向として第1フレーム43に対して回動可能となっている。
【0050】
第2フレーム44は、第2フレーム44の下端部を回動中心にして第1フレーム43に対して回動可能となっている。具体的には、第2フレーム44は、箔転写ローラ30の前側に配置される回動中心軸48を回動中心にして第1フレーム43に対して回動可能となっている。
図2(B)に示すように、
図2の反時計回りの方向に第1フレーム43に対して第2フレーム44を回動させると、第2フレーム44に保持される箔転写ローラ30が箔転写ローラ29から離れるため、箔転写ローラ29と箔転写ローラ30との間に媒体2および箔転写シート3をセットすることが可能になる。
【0051】
第2フレーム44は、錘49(
図2(A)参照)が取付可能な錘取付部50、51を備えている。錘取付部50、51は、たとえば、細長い円柱状に形成されており、肉厚の円筒状に形成される錘49の内周側に錘取付部50、51が挿通されると、錘取付部50、51に錘49が取り付けられる。錘取付部50は、第2フレーム44の後ろ上端部に配置され、錘取付部51は、第2フレーム44の前上端部に配置されている。また、錘取付部50は、回動中心軸48よりも後ろ側に配置され、錘取付部51は、回動中心軸48よりも前側に配置されている。
【0052】
錘取付部50に錘49が取り付けられると、第2フレーム44には、回動中心軸48を中心にして
図2の時計回りの方向にモーメントがかかるため、箔転写ローラ29と箔転写ローラ30との間の、媒体2への箔転写シート3の押圧力が強まる。一方、錘取付部51に錘49が取り付けられると、第2フレーム44には、回動中心軸48を中心にして
図2の反時計回りの方向にモーメントがかかるため、箔転写ローラ29と箔転写ローラ30との間の、媒体2への箔転写シート3の押圧力が弱まる。このように本形態では、錘取付部50、51に取り付けられる錘49によって、箔転写ローラ29と箔転写ローラ30との間の、媒体2への箔転写シート3の押圧力が調整可能になっている。
【0053】
(媒体巻取り機構の構成)
図3は、
図1に示す媒体巻取り機構34の構成を説明するための正面図である。
【0054】
媒体巻取り機構34は、ロール状媒体33が取り付けられる回転軸55と、ロール状媒体33を回転させるためのモータ56と、モータ56の動力をロール状媒体33に伝達する動力伝達機構57と、モータ56からロール状媒体33への動力伝達経路に配置されるトルクリミッタ58とを備えている。回転軸55には、ロール状媒体33の端部(左右方向の端部)が取り付けられており、回転軸55は、ロール状媒体33の左右方向の両側に配置されている。回転軸55は、軸受59に回転可能に保持されている。モータ56は、媒体2を巻き取るための駆動源である。動力伝達機構57は、たとえば、歯車列60を備えている。歯車列60は、一方の回転軸55に連結されている。
【0055】
トルクリミッタ58は、モータ56からロール状媒体33への動力伝達経路において、たとえば、モータ56と歯車列60との間に配置されている。トルクリミッタ58は、たとえば、モータ56に連結される第1回転部材と、歯車列60に連結される第2回転部材と、第1回転部材および第2回転部材を回転可能に保持する固定部材と、第1回転部材と第2回転部材との間に配置される摩擦部材と、第1回転部材に向かって第2回転部材を付勢する圧縮コイルバネ等の付勢部材とを備えている。
【0056】
モータ56は、媒体2に箔を転写するときに媒体搬送機構6が媒体2を搬送しているのか否かにかかわらず駆動している。すなわち、媒体2に箔を転写するときには、媒体搬送機構6が媒体2を搬送しているのか否かにかかわらず、モータ56の出力軸は常時回転している。モータ56の回転速度は、媒体搬送機構6とロール状媒体33との間で媒体2に弛みが生じないように設定されている。すなわち、モータ56の回転速度は、媒体巻取り機構34による媒体2の巻取り速度が媒体搬送機構6による媒体2の搬送速度よりも速くなるように設定されている。
【0057】
トルクリミッタ58は、モータ56からロール状媒体33に伝達されるトルクが所定の値を超えると、ロール状媒体33に対してモータ56を空転させる。そのため、モータ56からロール状媒体33に伝達されるトルクが所定の値を超えると、モータ56の出力軸は回転しているが、ロール状媒体33は回転しない。なお、トルクリミッタ58は、付勢部材の付勢力を調整するための調整部材を備えていても良い。トルクリミッタ58が調整部材を備えている場合には、付勢部材の付勢力を調整して、第1回転部材と摩擦部材との接触圧、および、第2回転部材と摩擦部材との接触圧を調整することでトルクリミッタ58のトルク設定値を調整することが可能となる。
【0058】
(転写シート巻取り機構の構成)
図4は、
図1に示す転写シート巻取り機構36の構成を説明するための正面図である。
【0059】
転写シート巻取り機構36は、ロール状シート35が取り付けられる回転軸62と、ロール状シート35を回転させるためのモータ63と、モータ63の動力をロール状シート35に伝達する動力伝達機構64と、モータ63からロール状シート35への動力伝達経路に配置されるトルクリミッタ65とを備えている。回転軸62には、ロール状シート35の端部(左右方向の端部)が取り付けられており、回転軸62は、ロール状媒体33の左右方向の両側に配置されている。回転軸62は、軸受66に回転可能に保持されている。モータ63は、箔転写シート3を巻き取るための駆動源である。動力伝達機構64は、たとえば、歯車列67を備えている。歯車列67は、一方の回転軸62に連結されている。
【0060】
トルクリミッタ65は、モータ63からロール状シート35への動力伝達経路において、たとえば、モータ63と歯車列67との間に配置されている。トルクリミッタ65は、たとえば、モータ63に連結される第1回転部材と、歯車列67に連結される第2回転部材と、第1回転部材および第2回転部材を回転可能に保持する固定部材と、第1回転部材と第2回転部材との間に配置される摩擦部材と、第1回転部材に向かって第2回転部材を付勢する圧縮コイルバネ等の付勢部材とを備えている。
【0061】
また、トルクリミッタ65は、付勢部材の付勢力を調整するための調整部材を備えている。調整部材は、たとえば、調整用のナットである。トルクリミッタ65では、この調整部材によって付勢部材の付勢力を調整して、第1回転部材と摩擦部材との接触圧、および、第2回転部材と摩擦部材との接触圧を調整することでトルクリミッタ65のトルク設定値を調整することが可能となっている。すなわち、本形態では、トルクリミッタ65のトルク設定値が調整可能となっている。
【0062】
モータ63は、媒体2に箔を転写するときに常時駆動している。すなわち、媒体2に箔を転写するときには、モータ63の出力軸は常時回転している。トルクリミッタ65は、モータ63からロール状シート35に伝達されるトルクが所定の値を超えると、ロール状シート35に対してモータ63を空転させる。そのため、モータ63からロール状シート35に伝達されるトルクが所定の値を超えると、モータ63の出力軸は回転しているが、ロール状シート35は回転しない。本形態では、トルクリミッタ65のトルク設定値を調整することで、箔転写シート3の張力を調整することが可能になっている。
【0063】
ここで、本願発明者の検討によると、媒体2に転写される箔の密度によって、媒体2に箔が転写されやすくなったり、媒体2に箔が転写されにくくなったりして、箔が転写された後の媒体2の品質にばらつきが生じることが明らかになった。たとえば、ベタパターンで媒体2に箔が転写される場合のように媒体2に転写される箔の密度が高い場合と、細い文字を示す箔が媒体2に転写される場合のように媒体2に転写される箔の密度が低い場合とで、媒体2への箔の付着の仕方がばらついて箔転写後の媒体2の品質にばらつきが生じることが本願発明者の検討によって明らかになった。
【0064】
また、本願発明者の検討によると、媒体2に転写される箔の密度に応じて箔転写シート3の張力を調整することで、媒体2に転写される箔の密度にかかわらず、媒体2への箔の付着の仕方を安定させて箔転写後の媒体2の品質を安定させることが可能になることが明らかになった。具体的には、媒体2に転写される箔の密度が高くなるにしたがって箔転写シート3の張力を下げることで(すなわち、媒体2に転写される箔の密度が低くなるにしたがって箔転写シート3の張力を上げることで)、媒体2に転写される箔の密度にかかわらず、媒体2への箔の付着の仕方を安定させて箔転写後の媒体2の品質を安定させることが可能になることが本願発明者の検討によって明らかになった。
【0065】
そこで、本形態では、媒体2に転写される箔の密度に応じてトルクリミッタ65のトルク設定値を調整して設定する。具体的には、媒体2に転写される箔の密度が高い場合には、箔転写シート3の張力が下がるように媒体2への箔の転写を行う前にトルクリミッタ65のトルク設定値を下げる調整を行い、媒体2に転写される箔の密度が低い場合には、箔転写シート3の張力が上がるように媒体2への箔の転写を行う前にトルクリミッタ65のトルク設定値を上げる調整を行う。この調整は、箔転写装置1のオペレータがトルクリミッタ65の調整部材を手動で操作することで行う。
【0066】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、転写シート巻取り機構36のトルクリミッタ65のトルク設定値が調整可能になっており、媒体2に転写される箔の密度に応じてトルクリミッタ65のトルク設定値を調整することで、媒体2に転写される箔の密度に応じて箔転写シート3の張力を調整している。そのため、本願発明者の検討によれば、本形態では、媒体2に転写される箔の密度にかかわらず、媒体2への箔の付着の仕方を安定させることが可能になり、その結果、箔転写後の媒体2の品質を安定させることが可能になる。
【0067】
本形態では、転写ローラ対7と第2ヒータ9と媒体巻取り部13と転写シート繰出し部14と転写シート巻取り部15とが取り付けられる転写ユニットフレーム17が本体フレーム16と別体で形成されており、本体フレーム16に着脱可能に固定されている。そのため、本形態では、転写ローラ対7と第2ヒータ9と媒体巻取り部13と転写シート繰出し部14と転写シート巻取り部15とを転写ユニットフレーム17と一緒に本体フレーム16に対して着脱することが可能になる。
【0068】
したがって、本形態では、転写ローラ対7、第2ヒータ9、媒体巻取り部13、転写シート繰出し部14および転写シート巻取り部15の本体フレーム16に対する着脱を容易に行うことが可能になる。すなわち、本形態では、本体フレーム16に対する箔転写用ユニット47の着脱を容易に行うことが可能になる。その結果、たとえば、ヘッド20からインクを吐出させることで箔転写装置1をインクジェットプリンタとして使用する場合に不要となる箔転写ユニット47を本体フレーム16から容易に取り外すことが可能になる。また、媒体2に箔を転写する場合には、箔転写ユニット47を本体フレーム16に容易に取り付けることが可能になる。
【0069】
本形態では、媒体2の搬送方向において転写ローラ対7と媒体巻取り部13との間にガイドローラ38が配置されるとともに、箔転写シート3の移動方向において転写ローラ対7と転写シート巻取り部15との間にガイドローラ39が配置されており、左右方向から見たときに、転写ローラ対7を通過して分離した媒体2と箔転写シート3とがなす角度θは、ロール状媒体33の外径およびロール状シート35の外径にかかわらず、一定になっている。そのため、本形態では、ロール状媒体33の外径およびロール状シート35の外径が変わっても、媒体2に箔を適切に転写することが可能になる。
【0070】
本形態では、錘取付部50、51に取り付けられる錘49によって、箔転写ローラ29と箔転写ローラ30との間の、媒体2への箔転写シート3の押圧力が調整可能になっている。そのため、本形態では、錘取付部50、51に錘を取り付けるといった簡易な作業で、媒体2への箔転写シート3の押圧力を調整することが可能になる。
【0071】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0072】
上述した形態において、箔転写ローラ30は、箔転写ローラ29の上側に配置されていても良い。また、上述した形態では、錘取付部50、51に取り付けられる錘49によって、箔転写ローラ29と箔転写ローラ30との間の、媒体2への箔転写シート3の押圧力が調整可能になっているが、箔転写ローラ29と箔転写ローラ30との間の、媒体2への箔転写シート3の押圧力が調整可能になっていなくても良い。さらに、上述した形態において、本体フレーム16と転写ユニットフレーム17とが一体で形成されていても良い。また、上述した形態において、箔転写装置1は、ガイドローラ38を備えていなくても良いし、ガイドローラ39を備えていなくても良い。また、上述した形態において、接着剤塗布機構5は、インクジェット方式以外の方式で媒体2に接着剤を塗布しても良い。
【符号の説明】
【0073】
1 箔転写装置
2 媒体
3 箔転写シート
5 接着剤塗布機構
6 媒体搬送機構
7 転写ローラ対
8 第1ヒータ
9 第2ヒータ
13 媒体巻取り部
14 転写シート繰出し部
15 転写シート巻取り部
16 本体フレーム
17 転写ユニットフレーム
29 箔転写ローラ(下側箔転写ローラ)
30 箔転写ローラ(上側箔転写ローラ)
35 ロール状シート
36 転写シート巻取り機構
38 ガイドローラ(第1ガイドローラ)
39 ガイドローラ(第2ガイドローラ)
43 第1フレーム
44 第2フレーム
49 錘
50、51 錘取付部
63 モータ
65 トルクリミッタ
Y 転写ローラ対の回転の軸方向