(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088664
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】ガイドローラおよびガイド機構
(51)【国際特許分類】
B65G 7/04 20060101AFI20230620BHJP
B65G 39/18 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
B65G7/04 B
B65G39/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203545
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】390036504
【氏名又は名称】日特建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】三上 登
【テーマコード(参考)】
3F033
【Fターム(参考)】
3F033GA03
3F033GA08
3F033GB01
3F033GC01
3F033GE01
(57)【要約】
【課題】管材同士の軸線の一致と回転を容易に行うことができ、管材同士の接続を容易に行うことができるガイドローラおよび当該ガイドローラを備えたガイド機構を提供する。
【解決手段】本体部2と、本体部2の上部に設けられ管材を第1方向に向けて載置可能かつ周方向に回転可能な回転用ローラ3と、本体部2の下部に設けられ本体部2を第1方向に移動可能とする移動用ローラ4と、を備えるガイドローラ1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部の上部に設けられ管材を第1方向に向けて載置可能かつ周方向に回転可能な回転用ローラと、
前記本体部の下部に設けられ前記本体部を前記第1方向に移動可能とする移動用ローラと、
を備えることを特徴とするガイドローラ。
【請求項2】
前記本体部は内周面が円弧状の溝になっている載置凹部を有し、前記回転用ローラは前記載置凹部内に突出して設けられている請求項1に記載のガイドローラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のガイドローラと、
前記ガイドローラを収容し前記ガイドローラの前記第1方向への移動を可能にしつつ前記第1方向と直行する方向への動作を規制するレール部材と、
を備えることを特徴とするガイド機構。
【請求項4】
前記レール部材はH型鋼である請求項3に記載のガイド機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ接合による管材の接続時に用いられるガイドローラおよびガイド機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ねじ継手で接続するタイプのロッドやパイプ等の管材は、一般的に工事現場等の使用場所で必要な本数を順次継ぎ足しつつ使用される。
【0003】
こうしたねじ継手による管材の接続は、管材を回転させて行う必要がある。軽量な管材については人力で支持しつつ容易に回転させて接続することが可能であるが、重い管材については人力で支持しつつ回転させることは難しいため、例えば機材を用いて管材を吊り上げた状態で管材を回転させることで接続が行われる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、管材を接続する際には管材同士の軸線を一致させた状態で管材を回転する必要がある。軽量な管材やたわみ易い管材については、僅かに軸線がずれた状態でも管材の端部同士をねじ込むことにより自然に軸線同士を一致させることができるが、重い管材についてはこの方法で軸線同士を一致させることは困難であり、正確に軸線同士を一致させた状態で接続を行う必要がある。
【0006】
しかし、従来のように管材を吊り上げ、管材の軸線同士を一致させつつ管材を回転することは管材の揺れや傾き、位置ずれ等が生じやすいため困難な作業であり、特に重い管材についてこの作業を行うことは大変困難である。そのため、ねじ継手を用いる管材同士の軸線の一致と管材の回転を容易にすることで、管材同士の接続を容易に行うことができる機構があれば好ましい。
【0007】
本発明はこのような問題を解決することを課題とするものであって、管材同士の軸線の一致と回転を容易に行うことができ、管材同士の接続を容易に行うことができるガイドローラおよび当該ガイドローラを備えたガイド機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、本体部と、前記本体部の上部に設けられ管材を第1方向に向けて載置可能かつ周方向に回転可能な回転用ローラと、前記本体部の下部に設けられ前記本体部を前記第1方向に移動可能とする移動用ローラと、を備えるガイドローラであることを特徴とする。
【0009】
上記発明において、前記本体部は断面が円弧状である載置凹部を有し、前記回転用ローラは前記載置凹部内に突出して設けられていることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、ガイドローラと、前記ガイドローラを収容し前記ガイドローラの前記第1方向への移動を可能にしつつ前記第1方向と直行する方向への動作を規制するレール部材と、を備えるガイド機構であることを特徴とする。
【0011】
上記発明において、前記レール部材はH型鋼であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のガイドローラおよびガイド機構によれば、管材同士の軸線の一致と回転を容易に行うことができ、管材同士の接続を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係るガイドローラを示す正面図である。
【
図2】
図1に示すガイドローラのA-A断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るガイド機構を示す正面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るガイド機構に管材が載置された状態を示す側面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るガイド機構により管材が接続される様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に従うガイドローラおよびこれを用いたガイド機構の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るガイドローラ1を示す正面図である。
図2は、
図1に示すガイドローラ1のA-A断面図である。
【0016】
図1および
図2に示すように、ガイドローラ1は、ねじ継手で接続するタイプのロッドやパイプ等の、主に円筒状である管材同士の接続を補助するための補助具であり、本体部2と、本体部2の上部(
図1および
図2の紙面上方)に設けられた回転用ローラ3と、本体部2の下部に設けられた移動用ローラ4を備えている。
【0017】
本体部2は、外形が略矩形の金属製の部材である。本体部2の上部は、内周面が円弧状の溝になっている載置凹部21が形成されている。また、本体部2には軽量化のための切欠部22が、本体部2の強度を損なわない程度に適宜形成されている。
【0018】
回転用ローラ3は、金属からなる円柱状のローラ部材であり、本実施形態においては一対の回転用ローラ3が載置凹部21の内周面において対向する位置に突出して設けられている。回転用ローラ3は回転軸31を有していて、本体部2に形成された孔部23に回転軸31が挿入され回転可能に支持されることで、回転用ローラ3が本体部2に対して回転可能に取り付けられている。回転用ローラ3はその上に管材を第1方向(
図2の紙面左右方向)に向けて載置可能であり、かつ管材をその周方向に回転可能になっている。
【0019】
ここで、回転用ローラ3は内周面が円弧状の溝である載置凹部21内に設けられていることにより、回転用ローラ3上に管材を安定して載置することができる。
【0020】
移動用ローラ4は、金属からなる円盤状の車輪部材であり、本実施形態においては4つの移動用ローラ4が本体部2の下部(
図1および
図2の紙面下方)に設けられている。移動用ローラ4は回転軸41を有していて、本体部2に形成された孔部24に回転軸41が挿入され回転可能に支持されることで、移動用ローラ4が本体部2に対して回転可能に取り付けられている。移動用ローラ4は、本体部2を第1方向、すなわちガイドローラ1に載置される管材の伸長方向に沿い移動可能になっている。
【0021】
上述した構成を備えるガイドローラ1を1本の管材につき2個以上用いることで、管材同士を容易に近接させるとともに回転させることができ、ねじ継手を用いる管材同士の接続を容易に行うことが可能になる。
【0022】
ただし、ガイドローラ1のみを用いる場合には、管材同士の軸線を一致させるべく、複数のガイドローラ1同士が同じ動線上に位置するように位置決めする必要がある。そのため、この位置決めを容易に行えるように、位置決め用の構成を用いることがより好ましい。そこで、次に、ガイドローラ1と、ガイドローラ1の位置決めを行うレール部材を備えたガイド機構について説明する。
【0023】
図3は、本発明の実施形態に係るガイド機構10を示す正面図である。
【0024】
図3に示すように、ガイド機構10は、上述したガイドローラ1と、ガイドローラ1を前後方向(
図3の紙面に垂直な方向)に移動可能に収容するレール部材5を備えている。
【0025】
レール部材5は、ガイドローラの1の第1方向への移動を可能にしつつ第1方向と直行する方向への動作を規制する部材であり、本実施形態においては長板状のウェブ51と、ウェブ51の長手方向に沿い対向する縁部からそれぞれ上下方向(
図3の紙面上下方向)に立設されたフランジ52を有するH型鋼により形成されている。
【0026】
レール部材5のフランジ52間の距離は、ガイドローラ1がウェブ51上をその長手方向に沿い移動可能なようにガイドローラ1を収容可能な距離になっている。また、ウェブ51から立ち上がるフランジ52の高さは、レール部材5の内部に収容されたガイドローラ1の回転用ローラ3の少なくとも一部がフランジ52から外部に露出する程度の高さになっている。
【0027】
このレール部材5を用いることにより、内部に収容されたガイドローラ1の第1方向への動作を許容しつつ第1方向と直行する方向への動作がフランジ52により規制された状態にすることができ、複数のガイドローラ1をそれらの動線上に位置決めして一列に並べることができる。
【0028】
次に、上述したガイド機構10を用いて管材同士を接続する様子について説明する。
図4は、本発明の実施形態に係るガイド機構10に管材が載置された状態を示す側面図である。
図5は、本発明の実施形態に係るガイド機構10により管材7が接続される様子を示す側面図である。
【0029】
図4および
図5に示すように、ガイド機構10は、レール部材5と、レール部材5上の複数のガイドローラ1(
図4および
図5に示す例では1本の管材7について2つのガイドローラ1、計4つのガイドローラ1)を備えて構成されている。なお、ここではレール部材5には、作業者が作業をしやすい高さにするべく脚部6が取り付けられている態様を示しているが、この脚部6は本発明においては必須の構成ではない。
【0030】
このガイド機構10上に、2本の管材7が載置されている。管材7は一端側に雄ねじであるニップル継手71が形成され、他端側に雌ねじであるソケット継手72が形成されている。
【0031】
作業者は、この2本の管材7のうち一方を他方に近づける。この管材7の接近動作は、ガイドローラ1がレール部材5上を移動することにより、容易に行うことができる。
【0032】
そして、
図4に示す状態から
図5に示す状態、すなわち管材7の端部同士が当接した状態に至った後、ガイドローラ1上で管材7を回転させて一方の管材7のニップル継手71と他方の管材のソケット継手72とを螺合させる。この管材7の回転は、回転用ローラ3があることにより容易に行うことができる。そして、ニップル継手71とソケット継手72の螺合が完了することにより、2本の管材7の接続が完了する。
【0033】
上述した実施形態に係るガイドローラ1およびガイド機構10によると、管材同士の軸線の一致と回転を容易に行うことができ、管材同士の接続を容易に行うことができる。
【0034】
なお、本発明は上述した実施形態に限らず、種々の変形を採用することができる。
【0035】
例えば、上述した実施形態においては1つのガイドローラ1に対して2つの回転用ローラ3が設けられていたが、本発明においては管材7を載置可能であれば任意の数の回転用ローラ3を設けることができる。
【0036】
また、1つのガイドローラ1に対して4つの移動用ローラ4が設けられていたが、本発明においては本体部2を移動可能であれば任意の数の移動用ローラ4を設けることができる。
【符号の説明】
【0037】
1:ガイドローラ
2:本体部
3:回転用ローラ
4:移動用ローラ
5:レール部材
6:脚部
7:管材
71:ニップル継手
72:ソケット継手