IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本車輌製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-鉄道車両、及び吊手付き吊手棒 図1
  • 特開-鉄道車両、及び吊手付き吊手棒 図2
  • 特開-鉄道車両、及び吊手付き吊手棒 図3
  • 特開-鉄道車両、及び吊手付き吊手棒 図4
  • 特開-鉄道車両、及び吊手付き吊手棒 図5
  • 特開-鉄道車両、及び吊手付き吊手棒 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088668
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】鉄道車両、及び吊手付き吊手棒
(51)【国際特許分類】
   B61D 37/00 20060101AFI20230620BHJP
【FI】
B61D37/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203553
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧野 康成
(57)【要約】
【課題】吊手を吊手棒に取り付けるための時間を短くできると共に、十分な強度を有する吊手・吊手棒を有する鉄道車両、及び吊手付き吊手棒を提供すること。
【解決手段】乗客が手で掴むための吊手50が複数個懸垂して取り付けられる吊手棒10が屋根構体100に付設された鉄道車両において、吊手棒10が、円筒形状の頂上部に、連続的にT字状リブ19が形成されていること、T字状リブ19の垂直部12に吊手用長孔14が形成され、吊手50が吊手用長孔14に取り付けられていること、を特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客が手で掴むための吊手が複数個懸垂して取り付けられる吊手棒が屋根構体に取り付けられた鉄道車両において、
前記吊手棒が、円筒形状の頂上部に、連続的にT字状リブが形成されていること、
前記T字状リブの垂直部に長孔が形成され、前記吊手が前記長孔に取り付けられていること、
を特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
請求項1に記載する鉄道車両において、
前記吊手棒は、軽合金を押出成形した押出形材であること、
を特徴とする鉄道車両。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する鉄道車両において、
前記T字状リブの水平部は、円弧状に形成され、前記水平部の両端面は丸み形状であること、
を特徴とする鉄道車両。
【請求項4】
乗客が手で掴むための吊手が複数個懸垂して取り付けられる吊手棒と、前記吊手棒に取り付けられた吊手を有する吊手付き吊手棒において、
前記吊手棒が、円筒形状の頂上部に、連続的にT字状リブが形成されていること、
前記T字状リブの垂直部に長孔が形成され、前記吊手が前記長孔に取り付けられていること、
を特徴とする吊手付き吊手棒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客が手で掴むための吊手が複数個懸垂して取り付けられる吊手棒が屋根構体に取り付けられた鉄道車両、及び吊手付き吊手棒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、立ったまま乗車している乗客が、手で掴むための吊手が複数個懸垂して取り付けられる吊手棒が、屋根構体に取り付けられた鉄道車両が、通勤用鉄道車両として広く使用されている。
緊急停止時には、乗客が停止による加速度を受けて、吊手を同じ方向に引っ張るため、吊手棒には大きな荷重負荷が掛かることが想定されている。そのため、ステンレス製の中空パイプが使用されている。
【0003】
一方、特許文献1の図4に示すように、パイプの頂上部に、断面ハット状の取り付け部材をネジ止めし、ハット形状とステンレスパイプの頂上部とで形成される空間に、吊手の吊手紐を貫通させて、吊手棒の長手方向において吊手を位置決めしている。
また、特許文献2には、パイプの中空部を利用して吊手の吊手紐を固定する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-52511号公報
【特許文献2】特開2001-341570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の吊手付き吊手棒には、次のような問題があった。
すなわち、特許文献1に示す吊手・吊手棒では、ステンレスパイプの頂上部に、断面ハット状の取り付け部材をネジ止めしているため、ネジ穴加工、タップ切り加工等の作業が多く、吊手棒に吊手を取り付けるのに長時間の作業工程を必要とする問題があった。特に、ステンレスパイプの頂上部に穴あけ加工するのに手間を要していた。
また、特許文献2でも、吊手を取り付けたパイプを別に製作しなければならず、トータルの時間としては、上記作業工程よりさらに長時間の作業工程を必要とする問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決して、吊手を吊手棒に取り付けるための時間を短くできると共に、十分な強度を有する吊手・吊手棒を有する鉄道車両、及び吊手付き吊手棒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の鉄道車両は、次の構成を有している。
(1)乗客が手で掴むための吊手が複数個懸垂して取り付けられる吊手棒が屋根構体に取り付けられた鉄道車両において、吊手棒が、円筒形状の頂上部に、連続的にT字状リブが形成されていること、T字状リブの垂直部に長孔が形成され、吊手が前記長孔に取り付けられていること、を特徴とする。
【0008】
(2)(1)に記載する鉄道車両において、前記吊手棒は、軽合金を押出成形した押出形材であること、を特徴とする。
軽合金としては、少なくとも、アルミ合金、マグネシウム合金、リチウム・アルミニウム合金等を含んでいる。
(3)(1)または(2)に記載する鉄道車両において、前記T字状リブの水平部の上面は、円弧状に形成され、前記水平部の両端面は丸み形状であること、を特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の吊手付き吊手棒は、次の構成を有している。
(4)乗客が手で掴むための吊手が複数個懸垂して取り付けられる吊手棒と、吊手棒に取り付けられた吊手を有する吊手付き吊手棒において、吊手棒が、円筒形状の頂上部に、連続的にT字状リブが形成されていること、T字状リブの垂直部に長孔が形成され、吊手が前記長孔に取り付けられていること、を特徴とする。
【0010】
上記構成を有する鉄道車両、及び吊手付き吊手棒は、次のような作用・効果を奏する。
(1)乗客が手で掴むための吊手が複数個懸垂して取り付けられる吊手棒が屋根構体に取り付けられた鉄道車両において、吊手棒が、円筒形状の頂上部に、連続的にT字状リブが形成されていること、T字状リブの垂直部に長孔が形成され、吊手が前記長孔に取り付けられていること、を特徴とするので、T字状リブの垂直部に長孔を加工するだけで、吊手の吊手紐を取り付ける孔が確保でき、ネジ止め孔の加工を必要としないため、吊手棒に吊手を取り付ける作業工程に必要とする時間を短縮することができ、コストダウンを実現できる。特に、従来は、ステンレスパイプの頂上部に穴あけ加工を必要としたが、本発明では、平板形状である垂直部に長孔加工をするだけなので、作業性が良い。
また、吊手棒を例えば、アルミ合金製とした場合でも、緊急停止時に吊手棒に掛かる荷重負荷を、連続的に形成されたT字状リブが受けるため、吊手棒が屈曲したり、破損する恐れがない。
【0011】
(2)(1)に記載する鉄道車両において、前記吊手棒は、軽合金を押出成形した押出形材であること、を特徴とするので、吊手棒は押出形材として入手できるため、後は、必要な長さに切断し、必要な個所に吊手を取り付けるための長孔加工をするだけで済むため、吊手棒に吊手を取り付ける作業工程に必要とする時間を短縮することができ、コストダウンを実現できる。また、始めから必要とする長さの吊手棒を押出加工することも可能である。
【0012】
(3)(1)または(2)に記載する鉄道車両において、前記T字状リブの水平部は、円弧状に形成され、前記水平部の両端面は丸み形状であること、を特徴とする。吊手棒は、吊手の取り付けられていない部分を、乗客が直接手で掴むケースがある。このときに、通常の丸パイプよりも、T字状リブがあるため、手で掴んだ時に、滑る可能性を低減できる。また、T字状リブがある分、幅が広がっているので、手で掴みやすい。そして、T字状リブの水平部の上面は円弧状であるため、手で掴みやすいし、手のひらになじみやすく、手のひらが痛くならない。また、T字状リブの水平部の両端が丸み形状であるため、乗客が手で吊手棒を掴んだ時に、手のひらが痛くならない。
【0013】
(4)乗客が手で掴むための吊手が複数個懸垂して取り付けられる吊手棒と、吊手棒に取り付けられた吊手を有する吊手付き吊手棒において、吊手棒が、円筒形状の頂上部に、連続的にT字状リブが形成されていること、T字状リブの垂直部に長孔が形成され、吊手が前記長孔に取り付けられていること、を特徴とするので、T字状リブの垂直部に長孔を加工するだけで、吊手の吊手紐を取り付ける孔が確保でき、ネジ止め孔の加工を必要としないため、吊手棒に吊手を取り付ける作業工程に必要とする時間を短縮することができ、コストダウンを実現できる。
また、吊手棒を例えば、アルミ合金製とした場合でも、緊急停止時に吊手棒に掛かる荷重負荷を、連続的に形成されたT字状リブが受けるため、吊手棒が屈曲したり、破損する恐れがない。
また、吊手棒は、吊手の取り付けられていない部分を、乗客が直接手で掴むケースがある。このときに、通常の丸パイプよりも、T字状リブがあるため、乗客が手で掴んだ時に、滑る可能性を低減できる。また、T字状リブがある分、幅が広がっているので、手で掴みやすい。そして、T字状リブの水平部の上面は円弧状であるため、手で掴みやすいし、手のひらになじみやすく、手のひらが痛くならない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る吊手棒10の正面図である。
図2図1のA部拡大図である。
図3図2のBB断面、及びB´B´断面の共通断面図である。
図4】吊手棒10に、吊手紐の長い吊手50が懸垂して取り付けられている状態の図である。
図5図6のCC断面図である。
図6】本発明の実施の形態である通勤用の鉄道車両の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の鉄道車両、及び吊手付き吊手棒の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
図6に、通勤用の鉄道車両の一部断面図を示す。断面図では、窓、座席等の記載を省略し、吊手、吊手棒関係のみ記載している。
屋根構体100の下面には、天井内骨101が付設されている。天井内骨
101には、吊手棒10を天井内骨101に取り付けるための吊手棒取付部材20が取り付けられている。吊手棒10は、約3m程度の長さの物が複数接続されて、鉄道車両内をレール方向に貫通して保持されている。吊手棒10には、吊手紐の短い吊手40、吊手紐の長い吊手50が懸垂して取り付けられている。吊手40は、ドア102の位置に設けられ、乗客の乗り降りの邪魔にならないようにしている。
【0016】
次に、吊手棒10について詳細に説明する。図1に吊手棒10の正面図を示し、図2に、図1のA部拡大図を示し、図3に、図2のBB断面、及びB´B´断面の共通断面図を示す。図3において、二点鎖線で示す継手部材16は、B´B´断面のみの物であり、BB断面では存在しない。
吊手棒10は、アルミ合金を材料として、押出成形で製造された押出形材である。吊手棒10の断面は、図3に示すように、円筒形状のパイプ11の頂上部に垂直に垂直部12が形成され、垂直部12の上部に水平部13が水平方向に形成されている。水平部13の上面13cは、円弧形状であり、水平部13の両端部13a、13bは、丸み形状に形成されている。垂直部12と水平部13とにより、T字状リブ19が構成されている。
本実施形態では、上面13cの円弧形状の曲率半径は円筒形状のパイプ11の曲率半径と略同一としたが、握り易さを考慮してパイプの曲率半径の二分の一以上であれば良い。また、水平部13の両端部13a、13bの丸み形状は当該部の板厚の略二分の一としたが、上面の円弧形状から水平部の裏面へ滑らかに繋がっていれば途中に平面部があっても良い。更に上面の円弧形状および両端部の丸み形状は単一の曲率半径で形成さていても良いし、複数の曲率半径が滑らかに接続されて形成されていても良い。
【0017】
吊手棒10の端部には、図2に示すように、T字状リブ19を切欠いた切欠き部18が形成されている。切欠き部18は、別の吊手棒10と接続するための継ぎ手パイプを取り付けるためのものである。
パイプ11の内周には、頂上部に肉厚部11aが形成され、底辺部に肉厚部11bが形成されている。肉厚部11bを設けているのは、材料がアルミ合金であるため、ネジ取付用のタップを切るのに必要な長さを確保するためである。肉厚部11aを設けているのは、後述する吊手用長孔14、吊手棒取付部材20を取り付けるための取付長孔15をルータにより切削加工するときに、余分に切削されても十分な肉厚が残るようにするためである。
【0018】
取付長孔15には、円柱形状の継手部材16が装着され、継手部材16はボルト17によりパイプ11に固定されている。継手部材16は、吊手棒取付部材20を取り付けた時に、吊手棒10の強度を補強するための部材である。継手部材16は、例えば、金属製のパイプを分割したものを取付長孔15に装着した状態でパイプ状にしている。
吊手棒10は、押出成形により、約3m程度の長さで形成しても良いし、約6mの長さで成形して、約3mの長さで切断しても良い。吊手棒10を約3mにしているのは、搬送を考慮しているためであり、鉄道車両内に取り付けるときには、図示しない連結パイプにより連結して使用する。
【0019】
図4に、吊手棒10に、吊手紐の長い吊手50が懸垂して取り付けられている状態の図を示す。
図1、2に示すように、垂直部12には、吊手40(50)の吊手紐41(51)を貫通させるための吊手用長孔14が形成されている。また、吊手棒10を、吊手棒取付部材20及び天井内骨101を介して屋根構体100に固定するための継手部材16を取り付けるための取付長孔15が形成されている。吊手用長孔14と取付長孔15の断面形状は同じであり、図3に共通図面として示している。吊手用長孔14と比較して、取付長孔15は、1.5倍から2倍近くの長さに形成されている。
【0020】
次に吊手50について説明する。図5に、図6のCC断面図を示す。図5は、吊手棒10に吊手50が取り付けられた状態で、吊手棒取付部材20により、天井内骨101に取り付けられる構造を示している。
図4、及び図5により吊手50について説明する。吊手40と吊手50の違いは、吊手紐41、51の長さの違い、及びサヤ56の有無のみであるので、ここでは、吊手50について説明し、吊手40の説明を割愛する。
吊手紐51は、合成樹脂と特殊織布を併用したベルト状のものであり、円形状のリング54は、樹脂成型品である。吊手紐51の一端51bを、吊手用長孔14を通過させ、次いで中空状のサヤ56の中空孔を上から下に通過させる。そして、リング54を内包した状態で、再びサヤ56の中空孔を下から上に通過させる。そして、先端51aが、吊手紐51の一端51b及び吊手紐51の中間部と重ねて三重となる状態とする。
三重となっている吊手紐51を、接合片52、及び2本のリベット端子53a、53bを備えるリベット53により、結合する。すなわち、三重に形成した箇所に予め形成されている孔、及び接合片52に形成された孔にリベット端子53a、53bを貫通させ、リベット端子53a、53bを押し潰すことにより、吊手50が吊手棒10に取り付けられている。
【0021】
次に、吊手棒10を屋根構体100に取り付ける吊手棒取付部材20の構造について、図5に基づいて説明する。
吊手棒取付部材20は、下部が略U字状であり、上部へ行くほど広がっているように形成され、アルミ鋳造である。
【0022】
吊手棒取付部材20の下部の上側面には、吊手棒10がT字状リブ19を頂点として当接され保持されている。図2図3に示すように、吊手棒10のうち、吊手棒取付部材20を取り付ける部分には、継手部材16が取り付けられる。吊手棒10は、ネジ55により、継手部材16及び吊手棒取付部材20に締結されている。
【0023】
以上詳細に説明したように、本実施の形態の鉄道車両によれば、(1)乗客が手で掴むための吊手50が複数個懸垂して取り付けられる吊手棒10が屋根構体100に取り付けられた鉄道車両において、吊手棒10が、円筒形状の頂上部に、連続的にT字状リブ19が形成されていること、T字状リブ19の垂直部12に吊手用長孔14が形成され、吊手50が吊手用長孔14に取り付けられていること、を特徴とするので、T字状リブ19の垂直部12に長孔を加工するだけで、吊手50の吊手紐51を取り付ける吊手用長孔14が確保でき、ネジ止め孔の加工を必要としないため、吊手棒10に吊手50を取り付ける作業工程に必要とする時間を短縮することができ、コストダウンを実現できる。
また、吊手棒10を例えば、アルミ合金製とした場合でも、緊急停止時に吊手棒に掛かる荷重負荷を、連続的に形成されたT字状リブ19が受けるため、吊手棒が屈曲したり、破損する恐れがない。
【0024】
(2)(1)に記載する鉄道車両において、吊手棒10は、軽合金を押出成形した押出形材であること、を特徴とするので、吊手棒10は押出形材として入手できるため、後は、必要な長さに切断し、必要な個所に吊手50を取り付けるための吊手用長孔14を加工をするだけで済むため、吊手棒10に吊手50を取り付ける作業工程に必要とする時間を短縮することができ、コストダウンを実現できる。
【0025】
(3)(1)または(2)に記載する鉄道車両において、T字状リブ19の水平部13は、円弧状に形成され、水平部13の両端面13aは丸み形状であること、を特徴とする。吊手棒10は、吊手50の取り付けられていない部分を、乗客が直接手で掴むケースがある。このときに、通常の丸パイプよりも、T字状リブ19があるため、手で掴んだ時に、滑る可能性を低減できる。また、T字状リブ19がある分、幅が広がっているので、手で掴みやすい。そして、T字状リブ19の水平部13は円弧状であるため、手で掴みやすいし、手のひらになじみやすく、手のひらが痛くならない。また、T字状リブ19の水平部13の両端が丸み形状であるため、手で吊手棒10を掴んだ時に、手のひらが痛くならない。
【0026】
(4)乗客が手で掴むための吊手50が複数個懸垂して取り付けられる吊手棒10と、吊手棒10に取り付けられた吊手50を有する吊手付き吊手棒において、吊手棒10が、円筒形状の頂上部に、連続的にT字状リブ19が形成されていること、T字状リブ19の垂直部12に吊手用長孔14が形成され、吊手が吊手用長孔14に取り付けられていること、を特徴とするので、T字状リブ19の垂直部12に吊手用長孔14を加工するだけで、吊手50の吊手紐51を取り付ける吊手用長孔14が確保でき、ネジ止め孔の加工を必要としないため、吊手棒10に吊手50を取り付ける作業工程に必要とする時間を短縮することができ、コストダウンを実現できる。
また、吊手棒10を例えば、アルミ合金製とした場合でも、緊急停止時に吊手棒10に掛かる荷重負荷を、連続的に形成されたT字状リブ19が受けるため、吊手棒10が屈曲したり、破損する恐れがない。
また、吊手棒10は、吊手50の取り付けられていない部分を、乗客が直接手で掴むケースがある。このときに、通常の丸パイプよりも、T字状リブ19があるため、手で掴んだ時に、滑る可能性を低減できる。また、T字状リブ19がある分、幅が広がっているので、手で掴みやすい。そして、T字状リブ19の水平部13の上面13cは円弧状であるため、手で掴みやすいし、手のひらになじみやすく、手のひらが痛くならない。
【0027】
なお、本実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。
例えば、本実施の形態では、吊手棒10の材質として、アルミ合金を使用したが、マグネシウム合金、リチウム・アルミニウム合金等を使用しても良い。
また、T字状リブ19の水平部13の両端を下向きに延設しても良い。T字状リブ19は、水平部13を延設した場合も含んでいる。
【符号の説明】
【0028】
10 吊手棒
11 パイプ
12 垂直部
13 水平部
14 吊手用長孔
15 取付長孔
19 T字状リブ
20 吊手棒取付部材
50 吊手
100 屋根構体
101 天井内骨
図1
図2
図3
図4
図5
図6