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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088672
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】光学系
(51)【国際特許分類】
   G02B 17/08 20060101AFI20230620BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20230620BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20230620BHJP
   G03B 21/28 20060101ALI20230620BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
G02B17/08 A
G03B21/00 D
G03B21/14 D
G03B21/28
H04N5/74 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203560
(22)【出願日】2021-12-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)2021年11月1日に、ウェブサイトのアドレス https://www.idw.or.jp/finalprogram.html#FMC1にて発表 (2)2021年12月2日に、The 28th International Display Workshops(IDW’21)(https://www.idw.or.jp/index.html)のオンライン会議で、発表番号PRJ2-3として発表
(71)【出願人】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100171848
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 裕美
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕紹
(72)【発明者】
【氏名】富永 修一
【テーマコード(参考)】
2H087
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087KA06
2H087KA21
2H087LA27
2H087NA01
2H087RA44
2H087RA45
2H087TA01
2H087TA03
2H087TA06
2H087TA08
2K203FA63
2K203FA82
2K203FB03
2K203GC05
2K203HA04
2K203HB14
2K203HB24
2K203MA07
5C058BA35
(57)【要約】
【課題】斜めからの撮像であっても解像度を維持しつつ、光学的に像面補正を容易に行うことができる光学系を提供すること。
【解決手段】光学系は、非平面形状を有する物体面OSを結像させる対物光学系100aと、対物光学系100aにより形成された一次結像面IPを平面画像として撮像する撮像素子50を有する結像光学系100bと、一次結像面IPに配置され、非平面形状の反射面30aを有する像面補正ミラー30と、を備え、物体面OSと、一次結像面IPと、撮像素子50とが光学的に共役な位置に配置され、一次結像面IPと、物体面OSとがシャインプルーフの条件を満たすように配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非平面形状を有する物体面を結像させる対物光学系と、
前記対物光学系により形成された一次結像面を平面画像として撮像する撮像素子を有する結像光学系と、
前記一次結像面に配置され、非平面形状の反射面を有する像面補正ミラーと、
を備え、
前記物体面と、前記一次結像面と、前記撮像素子とが光学的に共役な位置に配置され、
前記一次結像面と、前記物体面とがシャインプルーフの条件を満たすように配置される光学系。
【請求項2】
画像表示面に表示される平面画像を結像させる結像光学系と、
前記結像光学系により形成された一次結像面を非平面形状の投影面に投影する投影光学系と、
前記一次結像面に配置され、非平面形状の反射面を有する像面補正ミラーと、
を備え、
前記画像表示面と、前記一次結像面と、前記投影面とが光学的に共役な位置に配置され、
前記一次結像面と、前記投影面とがシャインプルーフの条件を満たすように配置される光学系。
【請求項3】
前記像面補正ミラーの前記反射面が、前記物体面又は前記投影面の形状に対応した形状を有する、請求項1又は2に記載の光学系。
【請求項4】
前記像面補正ミラーは、球面ミラー、非球面ミラー、円筒面ミラー、自由曲面ミラー、及び可変形鏡のいずれかである、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項5】
前記像面補正ミラーを傾斜させる傾斜調整部を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非平面形状を有する物体面を平面画像として撮像する光学系、及び画像表示面に表示される平面画像を非平面形状を有する投影面に投影する光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
結像光学系と投影光学系とを備える光学システムにおいて、画像表示面、結像面、及び投影面が光学的に共役な関係に配置され、結像面に非平面形状の反射面を有する像面補正ミラーが配置され、結像面において像を補正することにより平面画像を非平面形状の投影面に歪みなく投影するものがある(特許文献1参照)。ただし、特許文献1の光学システムは、斜めからの投影に十分に対応するものではない。
【0003】
また、例えばデジタルミラーデバイス(DMD)等の映像素子からの反射光を投影レンズにより投影面に向けて斜投射するプロジェクタがある(特許文献2参照)。このプロジェクタでは、映像素子、投影レンズ、及び投影面がシャインプルーフの条件を満たすように配置され、映像素子調整機構により映像素子及び投影面をシャインプルーフの条件を満たすように映像素子の傾斜角度及び位置を変更し、シフト機構により変更した映像素子の傾斜角度及び位置に応じて光源からの光を適切に映像素子に入射させる。これにより、映像素子からのパターン光を投影レンズから投影面に適切に投影させることができる。特許文献2のプロジェクタでは、映像素子の角度や位置を調整して投影範囲を変更できるが、平面の投影画像を平面の投影面に投影しており、非平面形状の投影面では投影画像にボケが生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-67834号公報
【特許文献2】特開2020-51875号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、斜めからの撮像又は投影であっても解像度を維持しつつ、光学的に像面補正を容易に行うことができる光学系を提供することを目的とする。
【0006】
上述した問題を解決するため、本発明に係る光学系は、非平面形状を有する物体面を結像させる対物光学系と、対物光学系により形成された一次結像面を平面画像として撮像する撮像素子を有する結像光学系と、一次結像面に配置され、非平面形状の反射面を有する像面補正ミラーと、を備え、物体面と、一次結像面と、撮像素子とが光学的に共役な位置に配置され、一次結像面と、物体面とがシャインプルーフの条件を満たすように配置される。ここで、像面補正ミラーが一次結像面に配置されるとは、像面補正ミラーが一次結像面の近傍に配置されることを含む。
【0007】
上記光学系では、物体面、一次結像面、及び撮像素子が光学的に共役な関係に配置されているため、一次結像面において像を補正することで非平面形状の物体面の像を平面形状の撮像素子で歪みなく撮像することができる。すなわち、一次結像面に配置された像面補正ミラーの非平面形状の反射面の形状によって像面補正された平面画像を撮像素子の撮像面で撮像することができるため、像面補正ミラーの反射面の形状を適切に調整することにより、光学的に像面補正を容易に行うことができる。また、物体面と一次結像面とをシャインプルーフ配置とすることにより、斜めからの撮像でも像全体でピントを合わせることができ、非平面形状を有する物体面に対して斜め方向から対物光学系のレンズの明るさを損なうことなく、解像度の高い像を撮像することができる。
【0008】
上述した問題を解決するため、本発明に係る光学系は、画像表示面に表示される平面画像を結像させる結像光学系と、結像光学系により形成された一次結像面を非平面形状の投影面に投影する投影光学系と、一次結像面に配置され、非平面形状の反射面を有する像面補正ミラーと、を備え、画像表示面と、一次結像面と、投影面とが光学的に共役な位置に配置され、一次結像面と、投影面とがシャインプルーフの条件を満たすように配置される。
【0009】
上記光学系では、画像表示面、一次結像面、及び投影面が光学的に共役な関係に配置されているため、一次結像面において像を補正することで画像表示面に表示される平面画像を非平面形状の投影面に歪みなく投影することができる。すなわち、一次結像面に配置された像面補正ミラーの非平面形状の反射面の形状によって像面補正された画像を投影面に投影することができるため、像面補正ミラーの反射面の形状を適切に調整することにより、光学的に像面補正を容易に行うことができる。また、一次結像面と投影面とをシャインプルーフ配置とすることにより、斜めからの投影でも像全体でピントを合わせることができ、非平面形状を有する投影面に対して斜め方向から投影光学系のレンズの明るさを損なうことなく、解像度の高い像を投影することができる。
【0010】
本発明の具体的に側面では、上記光学系において、像面補正ミラーの反射面が、物体面又は投影面の形状に対応した形状を有する。この場合、像面補正をより精度よいものとすることができる。
【0011】
本発明の別の側面では、像面補正ミラーは、球面ミラー、非球面ミラー、円筒面ミラー、自由曲面ミラー、及び可変形鏡のいずれかである。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、像面補正ミラーを傾斜させる傾斜調整部を有する。この場合、物体面又は投影面の傾斜角度に応じて像面補正ミラーの傾斜角度を適宜調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の光学系を含む撮像装置を説明する概念図である。
図2】従来の撮像装置の光学系を説明する概念図である。
図3】像面補正ミラーによる補正像の形状を模式的に示す説明図である。
図4】撮像レンズの近軸モデルを示す図である。
図5】(A)は、幾何学光学系における撮像関係を示す図であり、(B)は、(A)と同じ光学系でのシャインプルーフ配置を説明する図である。
図6】像面補正ミラーと一次結像面との角度関係を説明する図である。
図7】中心部と周辺部とで撮像されるベストフォーカスの差異を示す図である。
図8】撮像レンズに対する物体面の傾きと、一次結像面の傾きとの計算結果を示す図である。
図9】(A)~(C)は、物体面の角度が10°の場合のMTFを示す図である。
図10】(A)及び(B)は、物体面の角度が20°の場合のMTFを示す図である。
図11】(A)及び(B)は、物体面の角度が5°の場合のMTFを示す図である。
図12】(A)は、二次元画像シミュレーションの比較例を示す図であり、(B)は、二次元画像シミュレーションの実施例を示す図である。
図13】各撮像画像における像の中心部の相対輝度値の比較を示す図である。
図14】各撮像画像における像の周辺部の相対輝度値の比較を示す図である。
図15】第2実施形態の光学系を含む投影装置を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1実施形態〕
以下、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る光学系を含む撮像装置について説明する。
【0015】
図1は、撮像装置100の構成を説明する図である。撮像装置100は、撮像レンズ10と、ビームスプリッタ20と、像面補正ミラー30と、リレーレンズ40と、撮像素子50とを備える。撮像装置100は、非平面形状を有する物体面OSを撮像レンズ10の光軸OA1に対して斜め方向から撮像する。非平面形状は、平面でない形状を含むことを意味する。
【0016】
撮像装置100において、撮像レンズ10、ビームスプリッタ20、像面補正ミラー30は、対物光学系100aを構成している。また、像面補正ミラー30、ビームスプリッタ20、リレーレンズ40、及び撮像素子50は、結像光学系100bを構成している。ビームスプリッタ20と像面補正ミラー30との間の光路は、対物光学系100a及び結像光学系100bの共通光路となっている。
【0017】
撮像レンズ10は、物体側に配置されており、非平面形状を有する物体面OSを結像させる。すなわち、撮像レンズ10は、撮像対象である物体面OSの一次像を一次結像面IPに形成する。
【0018】
ビームスプリッタ20は、撮像レンズ10と像面補正ミラー30との間、及び像面補正ミラー30とリレーレンズ40との間に配置される。ビームスプリッタ20は、撮像レンズ10を経た光を透過させ像面補正ミラー30に導き、像面補正ミラー30で反射した光を反射させ、リレーレンズ40に導く。ビームスプリッタ20としては、キューブ型やプレート型等がある。
【0019】
像面補正ミラー30は、一次結像面IPに配置され、非平面形状の反射面30aを有する。像面補正ミラー30としては、例えば球面ミラー、非球面ミラー、円筒面ミラー、自由曲面ミラー、及び可変形鏡等の非平面形状の反射面30aを有するミラーが用いられる。なお、一次結像面IPの「一次」とは、最終的に物体面OSの像が撮像素子50の撮像面ISにおいて結像することに対して「一次」ということを意味しており、一次結像面IPが最初の結像面である必要はなく、物体面OSの像の結像面であればよい。また、像面補正ミラー30を一次結像面IPに配置するとは、像面補正ミラー30と一次結像面IPとが全体で一致するという意味ではなく、実際の一次結像面IPは、例えば光軸OA2等の基準となる軸上以外は後述する補正像FIとして像面補正ミラー30からずれた位置に形成されることを意味する。
【0020】
可変形鏡は、例えばアクチュエータによって動かされる連続反射面を有し、物体面OSの形状に合わせて反射面30aの形状を変更可能となっている。可変形鏡を用いることにより、複雑な形状を有する物体面OSに対しても対応することができる。
【0021】
像面補正ミラー30には、ミラーの傾きを調整する傾斜調整部60が設けられている。像面補正ミラー30は、傾斜調整部60に駆動されて、像面補正ミラー30の光軸OA2に対する傾斜角度や傾斜方向を変化させることができる。像面補正ミラー30を傾斜させることにより、光学系が後述するシャインプルーフ条件を満たす配置になるように調整することができる。これにより、撮像方向に合わせてピントを調整することができる。傾斜調整部60による像面補正ミラー30の傾き調整は、像面補正ミラー30全体の姿勢を調整するものである。傾斜調整部60は、例えばモーターやエンコーダを有し、不図示の制御装置の制御下で動作する。具体的には、傾斜調整部60は、2軸回転機構を有し、像面補正ミラー30が光軸OA2に対して例えば45°傾いた状態を基準として、±数10°といった範囲内で像面補正ミラー30の傾斜角を変化させることができ、像面補正ミラー30の光軸OA2のまわりの方位を360°変化させることができる。つまり、像面補正ミラー30は、その姿勢を自在に変化させるものである。なお、傾斜調整部60は必須のものではなく、ユーザーが手動で像面補正ミラー30を傾斜させたり回転させたりしてもよい。
【0022】
リレーレンズ40は、物体面OSの二次像を撮像素子50の撮像面IS上に形成する。
【0023】
撮像素子50は、撮像レンズ10により形成された一次結像面IPを撮像面ISにおいて平面画像FFとして撮像する。撮像素子50は、CMOSセンサ、CCDセンサ、その他の半導体装置である。
【0024】
撮像装置100を構成する光学系100a,100bにおいて、物体面OSと、一次結像面IP(像面補正ミラー30)と、撮像面IS(撮像素子50)とが光学的に共役になるよう配置されている。すなわち、光学系100a,100bは、物体面OS、一次結像面IP、及び撮像面ISが光学的に共役な像面共役の配置になっている。このような像面共役の配置にすることによって、非平面形状を有する物体面OSの像が歪みなく撮像素子50で平面画像FFとして撮像されるように、一次結像面IPに配置された像面補正ミラー30において像面補正を行うことを可能としている。
【0025】
また、撮像装置100は、一次結像面IPと、物体面OSとがシャインプルーフの条件を満たすように配置されている。これにより、物体面OSを斜めから撮像しても撮像画像の周辺部においてピントを合わせることができる。一次結像面IPと物体面OSとのシャインプルーフ配置は、不図示の制御装置により傾斜調整部60を介して像面補正ミラー30の傾きを調整することによって行う。傾き調整は、例えば、撮像画像を利用してフォーカス状態に基づいて全体でフォーカス状態が適切になるように調整したり、レーザスポットを物体に投影してスポットの広がり具合から調整したりする等して、リアルタイムで行うことができる。また、リアルタイムで調整しない場合には、予め固定した系で適宜傾き調整することができる。
【0026】
以上のように、本実施形態では、光学部品の共役配置とともに像面補正ミラー30の傾きがシャインプルーフの条件を満たすように考慮することにより、像面を補正している。
【0027】
物体面OSの像は、撮像レンズ10によりビームスプリッタ20を透過して一次結像面IPにおいて結像する。一次結像面IPの像は、像面補正ミラー30の反射面30aで補正像FIの光としてビームスプリッタ20方向に反射される。像面補正ミラー30で反射された補正像FIの光は、ビームスプリッタ20によって撮像レンズ10の光軸OA1と直交する方向に曲げられてリレーレンズ40へと導かれる。ビームスプリッタ20によって曲げられた光軸方向は、リレーレンズの光軸OA3方向と一致している。補正像FIは、リレーレンズ40によって撮像面ISで結像され、撮像素子50で撮像される。
【0028】
以下、本実施形態の光学系の原理について説明する。
【0029】
(従来の光学系と本実施形態の光学系との比較)
図2は、撮像レンズ10sと撮像素子50sとで構成される従来の撮像装置100sの光学系101aの概念図である。図2の物体側において、実線は、物体面OSを示し、点線は、仮想的な平面物体面FOSを示す。通常、光学系101aにおいて撮像された画像の画質は、撮像レンズ10sの収差特性によって決定される。撮像レンズ10sは収差を有しており、特に、周辺部の画質に影響を与えるコマ収差は、開口を小さくする、すなわちF値を大きくすることによって、コマ成分を減少させることができる。その結果、画質を改善することができる。また、撮像レンズ10sの開口を小さくすることにより、被写界深度を広くすることができる。
【0030】
しかし、図2に示すように、物体面OSが球面や円筒面である場合、撮像レンズ10sの最小錯乱円の変化は非常に大きくなり、中心部Cでは被写界深度内であったとしても、周辺部Pでは被写界深度外となってしまう場合が発生する。また、F値を大きくすると、物体面OS又は光源の明るさが変化しない条件においては、撮像画像を暗くしてしまう結果となる。一方、F値を小さくすると、被写界深度を広くすることができるが、回折現象により理論上の解像力が低下することにより、結果として解像力が低下してしまうことになる。そのため、明るさを維持しつつ被写界深度を広くすることは、通常の光学系101aでは困難である。
【0031】
上記の考えは、物体又は被写体が三次元形状を持つ場合にも適用することができる。撮像素子50sの撮像面ISは平面であるため、焦点が合う物体面又は被写体面は平面(図2に示す平面物体面FOS)となる。よって、物体が三次元形状を持つ場合、撮像素子50sの共役面では焦点が合うため高解像度の画像を得ることができるが、共役面から離れた物体面については被写界深度から外れてしまい、低解像度の画像となる。
【0032】
図1に示す本実施形態の撮像装置100の光学系100a,100bは、撮像レンズ10により一次結像した一次結像面IPを形成し、一次結像面IPに像面補正ミラー30を配置している。一次結像面IPは、物体面OSと撮像面ISとに対して共役な配置としている。また、像面補正ミラー30の形状を非平面形状とすることにより、一次結像面IPが物体面OSに合わせた形状としている。さらに、像面補正ミラー30を物体面OSの傾きに対応して傾斜させることによりシャインプルーフ配置を形成し、深度の広い画像を得ることができる。これにより、本実施形態の撮像装置100は、非平面形状を有する物体に対して、撮像レンズ10の明るさを損なうことなく、斜め方向からであっても解像度の高い画像を撮像することができる。
【0033】
(物体面から撮像面までの撮像)
以下、像面補正について具体的に説明する。図3は、反射による一次結像面IPのシフトを説明する図である。図3において、点線は、仮想結像面IPmを示し、仮に撮像面ISの平面画像FFをリレーレンズ40で結像した一次結像面を示す。
【0034】
まず、図1に示す物体面OSの像が撮像レンズ10によって一次結像面IPにおいて結像される場合、一次結像面IPに像面補正ミラー30を配置すると、像面形状は、像面補正ミラー30の形状によって変化する。像面補正された一次結像面IPは、補正像FIとしてリレーレンズ40を経て撮像素子50で撮像される。像面補正ミラー30が例えば球面ミラーであれば、反射面30aは光軸OA2方向に形状を有することになり、光軸OA2上の中心部よりも周辺部では早く反射することになり、補正像FIは中心に対して周辺で光軸OA2方向に形状が変更されたものとなる。本実施形態の場合、実際の一次結像面IPは、像面補正ミラー30の入射前に形成され、像面補正ミラー30で反射されることで、補正像FIとして仮想結像面IPmにおける虚像が撮像面ISに結像されることとなる。
【0035】
像面補正ミラー30の反射による補正像FIの形状を模式的に図に示すと図3のようになる。光軸OA2上の中心点C1が一次結像面IPにくるように像面補正ミラー30を配置すれば、光軸OA2上の中心点C1に向かう光線は一次結像面IP上において一次像IP0又は補正像FI0として結像するが、隣の周辺点P1に向かう光線は像面補正ミラー30の反射面30aから距離d1だけ軸方向の手前にずれた位置に一次像IP1を結像し、一次像IP1から距離d1だけ軸方向にずれた位置にある像面補正ミラー30の反射面30aで反射する。これにより、反射面30aからさらに距離d1だけ軸方向にずれた位置にある虚像が補正像FI1として反射されたことになる。同様に周辺点P2に向かう光線は像面補正ミラー30の反射面30aから距離d2だけ軸方向にずれた位置に一次像IP2を結像し、一次像IP2から距離d2だけ軸方向にずれた位置にある像面補正ミラー30の反射面30aで反射する。これにより、反射面30aからさらに距離d2だけ軸方向にずれた位置にある虚像が補正像FI2として反射されたことになる。このようにして補正像FI(補正像FI0、FI1、FI2・・・の集合体)は、仮想結像面IPmとなり、像面補正ミラー30の反射面30aの形状に即して、全体として軸方向に形状が変更されたものとなる。図示の例では、仮想結像面IPmを光軸OA2に垂直な平面としている。
【0036】
以上のように、図1に示す撮像装置100において、一次結像面IP、物体面OS、撮像素子50は共役関係にあるため、物体面OSの像を一次結像面IPに配置した像面補正ミラー30で反射させて光軸OA2方向に形状変化させた補正像FIを、リレーレンズ40を介して撮像素子50の撮像面ISに結像させれば、撮像面ISに結像される像は、形状変化し、結果的に図3に示す仮想結像面IPmに対応する平面画像FFとなる。すなわち、像面補正ミラー30の反射面30aが物体面OSの形状に対応した形状を有するように制御することにより、結果として物体面OSの像が平面画像FFとして歪みなく撮像面ISで撮像されることになる。したがって、像面補正ミラー30の形状は、物体面OSの形状に対応していることが好ましい。なお、一次結像面IPが像面補正ミラー30の手前で結像する場合、物体面OSの像は撮像レンズ10と像面補正ミラー30とで補正することができる。
【0037】
一次結像面IPと物体面OSとは共役面であるため、一次結像面IPの光軸OA2方向の変化は、物体面OSの変化に置き換えることができ、一次結像面IP上の形状の変化を意味する。
【0038】
図4は、図1に示す撮像レンズ10の近軸モデルを示す図である。図4において、撮像レンズ10の焦点距離がfであり、一次結像位置の画像高さがyであり、物体面OSの高さがy’であり、焦点Fから軸上の一次結像点Qまでの距離がxであり、焦点F’から軸上の物体面Q’までの距離がx’である。物体面OSが撮像レンズ10の光軸OA1方向にΔx’変化すると、一次結像面IPの変化量Δxを計算することができる。図4に示す近軸モデルから以下の式(1)が得られる。
【0039】
物体面OSが球面を有する場合、一次結像面IPの曲率半径rは、次式(2)で計算される。
【0040】
(シャインプルーフ状態)
図5(A)は、幾何学光学系における撮像関係を示す。レンズ1から像2までの距離をLとし、レンズ1から物体3までの距離をL’とし、像高さをyとし、物体高さをy’とし、光学系の倍率をmとして、以下の関係式(3)が成立する。
【0041】
図5(B)は、同じ光学系でのシャインプルーフ配置を示す。本実施形態では、物体3は物体面OSに対応し、像2は一次結像面IPに対応する。物体3の傾きをαとし、像2の傾きをβとし、光軸OAから物体3と像2の延長線との交点kの距離をsとすると、以下の関係式(4)~(6)が成立する。
【0042】
以上のことから、像2の傾き角βのタンジェントは、倍率mに物体3の傾き角αのタンジェントを乗じたものであることがわかる。
【0043】
〔実施例〕
(光学系)
本実例の光学系は、図1と同様である。実施例の光学シミュレーションには光学設計ソフトCode-Vを使用した。シミュレーションでは、撮像レンズ10及びリレーレンズ40として理想レンズを配置し、リレーレンズ40の倍率を1、撮像レンズ10の倍率を1/2としている。本実施例では、円筒面を有する物体又は被写体に対応するため、一次結像面IPに配置する像面補正ミラー30を円筒ミラーとしている。
【0044】
(ミラー曲率半径)
物体面OSの曲率半径Rを25mmとし、光学倍率を1/2とした場合、一次結像面IPの曲率半径rは、上記式(2)により25mmとなるが、一次結像面IPは像面補正ミラー30に対応する像であることから、像面補正ミラー30の曲率半径rmは50mmとなる。
【0045】
(一次結像面に像面補正ミラーを置く際のシャインプルーフ結像)
像面補正ミラー30を一次結像面IPに配置することから、撮像レンズ10によって、一次結像面IPと物体面OSとは共役関係となる。物体面OSと一次結像面IPとを撮像レンズ10に対してシャインプルーフ配置とした場合、一次像(実際の一次結像)は像面補正ミラー30により折り曲げられる。一次結像面IPの傾きは、像面補正ミラー30の傾きの2倍となる。図6に像面補正ミラー30と一次結像面IPとの角度関係を示す。図6のうち、点線は、仮に撮像面ISの平面画像FFをリレーレンズ40で結像した場合の仮想結像面IPmを示す。撮像素子50の幅xを4.0mmとし、高さyを4.0mmとした場合の、物体面OSの中心でのMTFのピークと物体面OSの周辺部でのMTFのピークとの差を値Δとして計算する。図7は、角度が異なる物体面OSの角度αにおけるミラー角度β0とMTFのピーク差Δとの関係を示す。中心部と周辺部のMTFのピーク差Δが0となるミラー角度β0は、物体面OSの角度の1/4となっている。一次結像面IPに像面補正ミラー30を配置していることから、ミラー角度β0は、シャインプルーフ角度(一次結像面IPの角度)の半分となっている。
【0046】
以上のように、上記式(6)の倍率関係から、物体面OSと一次結像面IPの角度関係が決まり、この角度関係は撮像レンズ10の倍率mによって変わる。言い換えると、撮像レンズ10の倍率m及び物体面OSの角度αが決まると一次結像面IPの角度βが決まり、像面補正ミラー30の角度β0が決まる。像面補正ミラー30の角度β0は、一次結像面IPの角度βの半分となり、撮像レンズ10の倍率mとは無関係に決まる。
【0047】
(光学シミュレーションによる角度差の影響確認)
傾き角度が小さい場合、tanα≒αと考えられる。図8は、撮像レンズ10に対する物体面OSの傾きαと、一次結像面IPの傾きβとの計算結果を示す。物体面OSの傾き0°から45.00°までの範囲において、式(6)より、光学倍率0.5における物体面OSの傾きαと一次結像面IPの傾きβについて、タンジェントの倍率に対する比例β1と、角度の倍率に対する比例β2とを計算した。図8に示すように、物体面OSの角度10.00°で0.8%程度の像面傾きの違いとなり、物体面OSの角度が大きくなると、値β1と値β2との差が大きくなることがわかる。
【0048】
次に、物体面OSの傾き10.00°に対応した一次結像面IPの傾きが与える影響についてシミュレーションを行った。図9(A)は、一次結像面IPの角度が5.00°における物体面OS上の4lp/mmの結果を示す。図9(B)は、図8に示した一次結像面IPの角度が5.04°における物体面OS上の4lp/mmの結果を示す。結果から、物体面OSの傾きが10°以下においては、倍率の比例として角度を設定できることがわかる。図9(C)は、一次結像面IPの角度が0.00°、すなわち物体面OSに対して一次結像面IPを傾けない状態での物体面OS上の4lp/mmの結果を示す。図9(C)に示すように、一次結像面IPを傾けない場合、周辺部の像は、中心に対して1.5mm程度のフォーカスずれが生じる。MTFについては周辺部の像は、コントラストが約30%低下する。
【0049】
図10(A)及び10(B)は、物体面OSの角度が20.00°の場合のMTFを示す。図10(A)及び10(B)に示すように、MTFのピークの差は小さい。しかしながら、図10(B)に示すように、物体面OSの角度と一次結像面IPの角度とが大きくなると、入射角が撮像レンズ10の入射瞳から外れる。よって、物体面OSの最大傾斜角度は、周辺光線角度よりも小さくする必要がある。
【0050】
(円筒物体面に対するシャインプルーフ結像における光学シミュレーション)
図11(A)は、物体面OSを円筒面とし、物体面OSの曲率半径Rを25mmとし、像面補正ミラー30の反射面30aの曲率半径rmを50mmとした場合において、物体面OSの傾きを5.00°とし、一次結像面IP及び像面補正ミラー30の傾きを0.00°とした場合の、物体面OS上4lp/mmでのスルーフォーカスMTFを示す。図11(A)に示すように、中心部のピークと周辺部のピークとが0.7mm程度ずれており、MTFが20%ほど低下していることがわかる。これは、同一面内において中心部と周辺部とで解像力に違いがあることを示している。
【0051】
図11(B)は、物体面OSの角度5.00°に対応して、一次結像面IPを2.50°、すなわち像面補正ミラー30を1.25°傾斜させた場合のMTF結果を示す。図11(B)に示すように、中心部と周辺部において、ピークが一致していることがわかる。
【0052】
図12(A)は、Code-Vの機能として実装されている二次元画像シミュレーションを使用し、像面補正ミラー30の傾きβ0を0°とした場合の結果を示し、図12(B)は、像面補正ミラー30の傾きβ0を1.25°とした場合の結果を示す。画像中央部の水平軸エリアは回転軸上にあるため、物体面OSの傾きの影響は受けず、どちらも焦点の合った像となっている。それに対し、周辺部のチャートを比較すると、上端及び下端で最適像面からの角度によりピント面がずれる方向となる、角度が0°の場合においてチャート像がアンシャープになっている。一方、図12(B)に示すように、像面補正ミラー30の角度が1.25°である場合、高いコントラストとなるシミュレーション結果となっていることがわかる。
【0053】
(撮像結果)
物体面OSの曲率半径をR(mm)とし、像面補正ミラー30の曲率半径をrm(mm)とし、R=25mm、rm=50mmの条件において、物体面OSの角度を0°とし、像面補正ミラー30の角度を0°とした場合における撮像結果を求めた。また、物体面OSの角度を10°とし、像面補正ミラー30の角度を0°とした場合における撮像結果を求めた。また、物体面OSの角度を10°、像面補正ミラー30の角度を2.5°とした場合における撮像結果を求めた。物体面OSのみが傾きを持つ場合、像の中心部には焦点が合っているものの、画像周辺部が深度外となることから、像のコントラストが低下する。
【0054】
図13は、各撮像画像における像の中心部の相対輝度値の比較を示す。図13に示すように、物体面OS及び像面補正ミラー30が傾かない場合、物体面OSのみ傾いた場合、及び傾いた物体面OSに対して像面補正ミラー30にて傾き補正した場合において、大きな差が無いことがわかる。
【0055】
図14は、各撮像画像における像の周辺部の相対輝度値の比較を示す。図14に示すように、物体面OSの傾きに対して像面補正ミラー30による補正を行っていない場合、黒-白-黒の切り替わるエッジ部分がボケていることがわかる。
【0056】
円筒面形状を持つ物体面OSを斜めから撮像する場合において、一次結像面IPに円筒ミラーである像面補正ミラー30を配置することにより物体面OSに沿う形で撮像し、かつ一次結像面IPのシャインプルーフ配置によって、物体面OSに対して斜めから高精細な画像を撮像する。シミュレーション及び実験は、円筒面に対するシャインプルーフの配置にて行ったが、一次結像面IPを物体面OSの形状に対応する像面補正ミラー30で補正することにより、撮像素子50の共役面である物体面OS上のベストフォーカス面から離れた面に共役面を変換するという考えであることから、三次元自由形状の物体への応用が可能である。物体が三次元自由形状の場合、サグ量が最小となる平面傾きを計算することにより、シャインプルーフでの検証で示したように、一次結像面IPの像面補正ミラー30を傾けることによりミラー変形量を抑えることが可能である。
【0057】
実施例では、撮像倍率を0.5としているが、倍率が低い場合、物体面OSの傾きに対して像面補正ミラー30の傾きを大きく取る必要がある。しかし、撮像レンズ10のNAを超える傾きを一次結像面IPに設けると、撮像レンズ10に入射する光量が低下することが起こる。そのため、撮像レンズ10にはできる限りF値の小さいレンズが要求される。また、逆に撮像倍率が大きくなった場合、撮像レンズ10と物体面OSとの距離が長くなり、物体面OSの傾きに対する像面補正ミラー30の傾きの敏感度が高くなることが考えられる。
【0058】
以上で説明した実施形態の光学系は、物体面OS、一次結像面IP、及び撮像素子50が光学的に共役な関係に配置されているため、一次結像面IPにおいて像を補正することで非平面形状の物体面OSの像を平面形状の撮像素子50で歪みなく撮像することができる。すなわち、一次結像面IPに配置された像面補正ミラー30の非平面形状の反射面30aの形状によって像面補正された平面画像FFを撮像素子50の撮像面ISで撮像することができるため、像面補正ミラー30の反射面30aの形状を適切に調整することにより、光学的に像面補正を容易に行うことができる。また、物体面OSと一次結像面IPとをシャインプルーフ配置とすることにより、斜めからの撮像でも像全体でピントを合わせることができ、非平面形状を有する物体面OSに対して斜め方向から対物光学系100aの撮像レンズ10の明るさを損なうことなく、解像度の高い像を撮像することができる。
【0059】
一次結像面IPに配置した像面補正ミラー30の形状を物体面OSに対応した形状とし、さらに撮像レンズ10に対して一次結像面IPと物体面OSとをシャインプルーフ配置とすることにより、撮像レンズ10を小さいF値のまま、非平面形状という深度が必要な物体面OSに対して斜めから撮像した場合にも、高精細な画像を撮像することが可能である。また、図2に示すような通常の光学系101aでは、撮像素子50sを傾ける必要があるが、本光学系100a,100bでは、一次結像面IPに配置した像面補正ミラー30を傾けるのみで、簡便にシャインプルーフ配置を形成することが可能である。また物体面OSの傾き変化に対して柔軟に対応が可能である。
【0060】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る光学系について説明する。第2実施形態の光学系は、第1実施形態の光学系を変形したものであり、特に説明しない事項については、第1実施形態の光学系と同様である。
【0061】
図15は、第2実施形態の光学系を含む投影装置200の概念図である。投影装置200は、画像表示器170と、リレーレンズ140と、ビームスプリッタ120と、像面補正ミラー130と、投影レンズ110とを備える。投影装置200は、画像表示器170から投影される平面画像FFを、非平面形状を有する投影面OSpを投影レンズ110の光軸OA1に対して斜め方向から投影する。
【0062】
投影装置200において、画像表示器170、具体的には後述する画像表示部150、リレーレンズ140、ビームスプリッタ120、及び像面補正ミラー130は、結像光学系200bを構成している。また、像面補正ミラー130、ビームスプリッタ120、投影レンズ110は、投影光学系200aを構成している。ビームスプリッタ120と像面補正ミラー130との間の光路は、投影光学系200a及び結像光学系200bの共通光路となっている。
【0063】
画像表示器170は、平面画像FFを画像表示部150の画像表示面ISpに表示する機能を有する。画像表示部150は、例えば、画像表示素子によって画像を表示するものであってもよいし、マスクパターンと当該マスクパターンを照明する照明装置とからなる、露光装置の一部を構成するマスク照明機構であってもよい。
【0064】
リレーレンズ140は、平面画像FFの二次像を一次結像面IPp上に形成する。
【0065】
ビームスプリッタ120は、リレーレンズ140と像面補正ミラー130との間、及び像面補正ミラー130と投影レンズ110との間に配置される。ビームスプリッタ120は、リレーレンズ140を経た光を反射させ像面補正ミラー30に導き、像面補正ミラー30で反射した光を透過させ、投影レンズ110に導く。
【0066】
像面補正ミラー130は、一次結像面IPに配置され、非平面形状の反射面130aを有する。
【0067】
像面補正ミラー130には、ミラーの傾きを調整する傾斜調整部160が設けられている。傾斜調整部160により、投影方向に合わせてピントを調整することができる。
【0068】
投影レンズ110は、投影側に配置されており、非平面形状を有する投影面OSpに投影像を結像させる。
【0069】
投影装置200を構成する光学系200a,200bにおいて、画像表示面ISpと、一次結像面IP(像面補正ミラー130)と、投影面OSpとが光学的に共役になるよう配置されている。このような像面共役の配置にすることによって、平面画像FFが歪みなく投影面OSpに投影されるように、一次結像面IPに配置された像面補正ミラー130において像面補正を行うことを可能としている。
【0070】
また、投影装置200は、一次結像面IPと、投影面OSpとがシャインプルーフの条件を満たすように配置されている。これにより、投影面OSpに斜めから投影しても投影画像の周辺部においてピントを合わせることができる。
【0071】
画像表示部150に表示された平面画像FFは、リレーレンズ140によりビームスプリッタ120へと導かれ、ビームスプリッタ120によってリレーレンズ140の光軸OA3と直交する方向に曲げられて一次結像面IPpにおいて結像する。一次結像面IPp、すなわち像面補正ミラー130の反射面130aで結像した補正像FIは、ビームスプリッタ120を透過して投影レンズ110によって投影面OSpに投影される。
【0072】
第2実施形態において、像面補正ミラー130による像面補正は、第1実施形態とは逆の光路となり、画像表示部150に表示された平面画像FFがリレーレンズ140を経て像面補正ミラー130で反射された後、一次結像面IPpに結像する。つまり、一次結像面IPpが補正像FIに対応し、実像が投影面OSpに投影される。
【0073】
以上説明した第2実施形態の光学系では、画像表示面ISp、一次結像面IPp、及び投影面OSpが光学的に共役な関係に配置されているため、一次結像面IPpにおいて像を補正することで画像表示面ISpに表示される平面画像FFを非平面形状の投影面OSpに歪みなく投影することができる。すなわち、一次結像面IPpに配置された像面補正ミラー130の非平面形状の反射面130aの形状によって像面補正された画像を投影面OSpに投影することができるため、像面補正ミラー130の反射面130aの形状を適切に調整することにより、光学的に像面補正を容易に行うことができる。また、一次結像面IPpと投影面OSpとをシャインプルーフ配置とすることにより、斜めからの投影でも像全体でピントを合わせることができ、非平面形状を有する投影面OSpに対して斜め方向から投影光学系200aの投影レンズ110の明るさを損なうことなく、解像度の高い像を投影することができる。
【0074】
以上、実施形態に即して光学系について説明したが、本発明に係る光学系は、上記実施形態又は実施例に限るものではなく様々な変形が可能である。
【0075】
第1実施形態において、一次結像面IPを像面補正ミラー30に入射する前に結像する構成としたが、像面補正ミラー30に入射した後に結像する構成としてもよい。なお、第2実施形態の場合、第1実施形態とは逆の構成となる。
【符号の説明】
【0076】
10…撮像レンズ、 20…ビームスプリッタ、 30…像面補正ミラー、 30a…反射面、 40…リレーレンズ、 50…撮像素子、 60…傾斜調整部、 100…撮像装置、 100a…対物光学系、 100b…結像光学系、 110…投影レンズ、 120…ビームスプリッタ、 130…像面補正ミラー、 130a…反射面、 140…リレーレンズ、 150…画像表示部、 ISp…画像表示面、 160…傾斜調整部、 170…画像表示器、 200…投影装置、 200a…投影光学系、 200b…結像光学系、 FI…補正像、 IP,IPp…一次結像面、 IS…撮像面、 FF…平面画像、 OA,OA1,OA2,OA3…光軸、 OS…物体面、 OSp…投影面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15