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特開2023-88678配置最適化方法、配置最適化システム、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088678
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】配置最適化方法、配置最適化システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/08 20060101AFI20230620BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20230620BHJP
   B25J 9/22 20060101ALI20230620BHJP
   B25J 15/06 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
B65G47/08 A
B65G47/90 A
B25J9/22 Z
B25J15/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203569
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000227537
【氏名又は名称】NITTOKU株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 勇人
(72)【発明者】
【氏名】松田 司
【テーマコード(参考)】
3C707
3F072
3F080
【Fターム(参考)】
3C707AS04
3C707BS03
3C707FS01
3C707HS27
3C707HT20
3C707KS03
3C707KS04
3C707KT01
3C707KX19
3C707LT06
3C707LV01
3C707LW11
3C707LW12
3C707LW15
3C707NS17
3F072AA15
3F072GA10
3F072GC01
3F072GC03
3F072GD00
3F072GF01
3F072KD03
3F072KD09
3F072KD30
3F080AA13
3F080BC03
3F080BC07
3F080BC08
3F080BD11
3F080CG04
3F080EA09
3F080EA10
3F080EA12
(57)【要約】
【課題】複数の物品を効率よく最適に配置する。
【解決手段】複数の物品の配置を最適化する配置最適化方法は、複数の物品を含む対象画像から複数の物品を検出する物品検出ステップと、検出した物品のそれぞれについて、当該物品から所定の距離以内に存在する物品の数を表す隣接度を取得する隣接度取得ステップと、所定以上の隣接度を有する物品を配置変更の対象である移動対象物品として抽出する移動物品抽出ステップと、移動対象物品を移動させる位置である再配置位置を特定する再配置位置特定ステップと、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品の配置を最適化する配置最適化方法であって、
複数の前記物品を含む対象画像から複数の前記物品を検出する物品検出ステップと、
検出した前記物品のそれぞれについて、当該物品から所定の距離以内に存在する前記物品の数を表す隣接度を取得する隣接度取得ステップと、
所定以上の前記隣接度を有する前記物品を配置変更の対象である移動対象物品として抽出する移動物品抽出ステップと、
前記移動対象物品を移動させる位置である再配置位置を特定する再配置位置特定ステップと、を含むことを特徴とする配置最適化方法。
【請求項2】
前記対象画像で検出された前記物品の重なりを検知し、前記重なりを除去する重なり除去ステップをさらに含み、
前記重なりが除去された状態での前記対象画像に基づいて前記隣接度取得ステップが実行されることを特徴とする請求項1に記載の配置最適化方法。
【請求項3】
前記対象画像のうち前記物品が占める領域以外の領域に対してグリッドを設定し、
前記グリッドによって区画される複数のセルのうち、前記移動対象物品に最も近いセルの位置を前記再配置位置として特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の配置最適化方法。
【請求項4】
複数の物品を含む対象画像を撮像する撮像部と、
前記物品を移動させる移動機構と、
前記撮像部が撮像した前記対象画像を取得し、前記移動機構に対して指令信号送信する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記対象画像から複数の前記物品を検出する物品検出部と、
検出した前記物品のそれぞれについて、当該物品から所定の距離以内に存在する前記物品の数を表す隣接度を取得する隣接度取得部と、
所定以上の前記隣接度を有する前記物品を配置変更の対象である移動対象物品として抽出する移動物品抽出部と、
前記移動対象物品を移動させる位置である再配置位置を特定する配置位置特定部と、
前記移動機構に対して前記移動対象物品を前記再配置位置に移動させる指令信号を送信する指令部と、を有することを特徴とする配置最適化システム。
【請求項5】
複数の物品の配置を最適化する配置最適化システムのコンピュータが実行可能なプログラムであって、
複数の前記物品を含む対象画像から複数の前記物品を検出する物品検出ステップと、
検出した前記物品のそれぞれについて、当該物品から所定の距離以内に存在する前記物品の数を表す隣接度を取得する隣接度取得ステップと、
所定以上の前記隣接度を有する前記物品を配置変更の対象である移動対象物品として抽出する移動物品抽出ステップと、
前記移動対象物品を移動させる位置である再配置位置を特定する再配置位置特定ステップと、を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配置最適化方法、配置最適化システム、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、装置に投入される複数の部品を整列させる部品整列装置が種々提案されている。例えば、特許文献1には、チップ部品整列面を有するプレートと、プレートにチップ部品を供給する部品供給部と、プレートに供給されたチップ部品に水平回転揺動を付与する水平回転揺動機構と、を備えるチップ部品整列装置が開示されている。このチップ部品整列装置では、部品が載置されるプレートに回転揺動を加えることで、プレート上の部品を自動的に整列させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-160223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の整列装置では、回転揺動によって部品を整列させるため、プレート上の部品をある程度分散して整列させることはできるものの、一部において部品が密集した状態が残存してしまうおそれがある。このような場合、手作業によって部品を再配置することも考えられるが、手作業による再配置では、作業者によって精度や生産性が異なる。
【0005】
また、上記のような回転揺動を利用した整列装置を用いずに複数の部品を一つずつ整列させることも考えられるが、このような方法は作業効率が低い。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、複数の部品の配置を効率よく最適化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の物品の配置を最適化する配置最適化方法であって、複数の物品を含む対象画像から複数の物品を検出する物品検出ステップと、検出した物品のそれぞれについて、当該物品から所定の距離以内に存在する物品の数を表す隣接度を取得する隣接度取得ステップと、所定以上の隣接度を有する物品を配置変更の対象である移動対象物品として抽出する移動物品抽出ステップと、移動対象物品を移動させる位置である再配置位置を特定する再配置位置特定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、配置最適化システムであって、複数の物品を含む対象画像を撮像する撮像部と、物品を移動させる移動機構と、撮像部が撮像した対象画像を取得し、移動機構に対して指令信号送信する制御装置と、を備え、制御装置は、対象画像から複数の物品を検出する物品検出部と、検出した物品のそれぞれについて、当該物品から所定の距離以内に存在する物品の数を表す隣接度を取得する隣接度取得部と、所定以上の隣接度を有する物品を配置変更の対象である移動対象物品として抽出する移動物品抽出部と、移動対象物品を移動させる位置である再配置位置を特定する配置位置特定部と、移動機構に対して移動対象物品を再配置位置に移動させる指令信号を送信する指令部と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、複数の物品の配置を最適化する配置最適化システムのコンピュータが実行可能なプログラムであって、複数の物品を含む対象画像から複数の物品を検出する物品検出ステップと、検出した物品のそれぞれについて、当該物品から所定の距離以内に存在する物品の数を表す隣接度を取得する隣接度取得ステップと、所定以上の隣接度を有する物品を配置変更の対象である移動対象物品として抽出する移動物品抽出ステップと、移動対象物品を移動させる位置である再配置位置を特定する再配置位置特定ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、隣接度に基づいて移動させる物品を抽出することで、移動が必要な物品だけを移動させることができる。よって、複数の物品の配置を効率的に最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る配置最適化システムの構成を示す概略図である。
図2】本発明の実施形態に係る配置最適化システムの構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る配置最適化方法を示すフロー図である。
図4】本発明の実施形態に係る配置最適化方法の対象画像の画像図であり、物品検出ステップを説明するための図である。
図5】本発明の実施形態に係る配置最適化方法の対象画像の画像図であり、再配置位置特定ステップにおいて横方向のグリッド線を作成した状態の図である。
図6】本発明の実施形態に係る配置最適化方法の対象画像の画像図であり、再配置位置特定ステップにおいて禁止領域を設定する過程を示す図である。
図7図6のVII部の拡大図である。
図8】本発明の実施形態に係る配置最適化方法の対象画像の画像図であり、再配置位置特定ステップにおいて禁止領域が設定された状態の図である。
図9】本発明の実施形態に係る配置最適化方法の対象画像の画像図であり、再配置位置特定ステップにおいてグリッド線によってセルを区画した状態の図である。
図10】本発明の実施形態に係る配置最適化方法の対象画像の画像図であり、一つの移動対象物品を移動させた状態の図である。
図11】本発明の実施形態に係る配置最適化方法の対象画像の画像図であり、図10の状態からさらに一つの移動対象物品を移動させた状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る配置最適化システムについて説明する。本実施形態では、配置最適化システム(以下、単に「配置システム100」と称する。)は、セラミックコンデンサの製造に適用される場合を例に説明する。
【0013】
セラミックコンデンサは、内部電極がプリントされた誘電体を重ね、チップ状に分割した後に加熱炉によって焼成されることで製造される。この焼成工程において、チップ部品同士が接触又は近接していると、焼成不良が生じるおそれがある。このため、配置システム100は、テーブルT上に散らばったチップ部品を再配置して、チップ同士を適度に離れた状態(分散された状態)とする。配置システム100によってテーブルT上での配置が最適化されたチップ部品が、テーブルTごと加熱炉内に投入され、チップ部品の焼成が行われる。つまり、配置システム100は、加熱炉へチップ部品を投入する投入装置(又は供給装置)に対して適用される。
【0014】
以下では、図1に示すように、互いに直交するX,Y,及びZの三軸を設定し、配置システム100の構成について説明する。本実施形態では、テーブルTは、X軸方向及びY軸方向に対して平行に配置される。Z軸方向は、鉛直方向に沿った方向である。
【0015】
配置システム100は、テーブルT上の複数のチップ部品を撮像する撮像部としてのカメラ10と、チップ部品をテーブルT上で移動させる移動機構20と、テーブルT上のチップ部品の重なりを除去するための重なり除去機構40と、カメラ10が撮像する画像を取得し、移動機構20に対して指令信号を送信する制御装置50と、を備える。
【0016】
カメラ10は、テーブルTの鉛直方向上方に配置され、テーブルT全体を撮像してテーブルT上に載置された複数のチップ部品の画像(以下、「対象画像P」と称する。)を取得する。カメラ10は、静止画を撮像するものでもよいし、動画を撮影して動画の中から一つのフレームを静止画として抜き出すものでもよい。カメラ10によって撮像された画像は、制御装置50に送信される。
【0017】
移動機構20は、テーブルT上のチップ部品を吸着して保持する吸着ユニット21と、吸着ユニット21を直交三軸方向に移動させる駆動部30と、を有する。
【0018】
吸着ユニット21は、チップ部品を吸着して保持する複数の吸着ノズル22aが先端に設けられるヘッド部22と、Z軸方向に沿った回転軸を有しヘッド部22を回転させる電動モータ23と、複数の吸着ノズル22aを回転させる電動モータ24と、を有する。
【0019】
複数の吸着ノズル22aは、ヘッド部22の先端面からZ軸方向に延びる筒状に形成される。複数の吸着ノズル22aは、その中心軸がZ軸に対して略平行に設けられ、ヘッド部22の先端面において電動モータ23によるヘッド部22の回転軸回りに周方向に等間隔をあけて並んで円形をなすように配置される。
【0020】
複数の吸着ノズル22aは、気体を吸引する吸引源である吸引部(図示省略)によって吸着ノズル22aを通じて空気が吸引されることで、チップ部品を吸着する。これにより、ヘッド部22によってチップ部品が保持される。吸引部による吸引が停止されると、吸着ノズル22aに吸着されたチップ部品が吸着ノズル22aから離脱する。
【0021】
吸着ノズル22aがヘッド部22の回転軸に対する周方向の位置が所定位置(吸着位置)に位置すると、当該吸着ノズル22aによるチップ部品の吸着のONとOFFとを切り換えることができる。ヘッド部22を回転させることで、吸着位置にある吸着ノズル22a(言い換えると、吸着のONとOFFとの切り換えが可能な吸着ノズル22a)が変更される。吸着位置にある吸着ノズル22aの吸着のON-OFFの制御は、制御装置50によって行われる。
【0022】
また、複数の吸着ノズル22aは、それぞれ自身の中心軸周りに電動モータ24によって回転される。電動モータ24の回転軸の回転は複数の吸着ノズル22aのそれぞれに伝達され、複数の吸着ノズル22aが同時に回転する。吸着ノズル22aが回転することで、その先端に吸着されたチップ部品も回転し、チップ部品の姿勢を調整することができる。
【0023】
駆動部30は、吸着ユニット21をX軸方向に沿って移動させるX軸駆動部31と、吸着ユニット21をY軸方向に沿って移動させるY軸駆動部32と、吸着ユニット21をZ軸方向に沿って移動させるZ軸駆動部33と、を備える。詳細な図示及び説明は省略するが、各駆動部31,32,33は、例えば、サーボモータと、サーボモータの回転を直線運動に変換するボールねじと、ボールねじによって直線運動するスライダと、スライダの移動を案内するレールと、を有する直動機構である。
【0024】
駆動部30によって吸着ユニット21を所望の位置に移動させ、吸着ユニット21によってチップ部品を吸着及び離脱させることにより、テーブルT上の任意の位置にあるチップ部品をテーブルT上の他の位置へと移動させることができる。
【0025】
重なり除去機構40は、内蔵のモータ(図示省略)等によってテーブルTに対して振動を付加する振動発生機構である。なお、重なり除去機構40は、振動発生機構に限らず、チップ部品の重なりを除去可能であれば、公知の手法を利用することができる。重なり除去機構40は、例えば、重なったチップ部品を移動させるブラシを有する構成でもよい。
【0026】
制御装置50は、CPU等の演算処理装置、記憶装置、ネットワーク接続装置等を備えるコンピュータにより構成される。記憶装置には、予めプログラム、アプリケーション等が記憶されており、CPUがこれを実行することにより、本明細書に記載の制御装置50の各種機能を実行する。なお、制御装置50は一つの装置として構成されていても良いし、複数の装置に分けられ、各制御を当該複数の装置で分散処理するように構成されていてもよい。
【0027】
図2を参照して、制御装置50の構成について説明する。なお、図2で示す制御装置50の各構成は、各機能を仮想的なユニットとして示したものであり、物理的に存在することを意味するものではない。
【0028】
図2に示すように、制御装置50は、対象画像P(図4等参照)から複数のチップ部品を検出する物品検出部51と、検出したチップ部品のそれぞれについて、当該チップ部品から所定の距離以内に存在するチップ部品の数を表す隣接度を取得する隣接度取得部52と、所定以上の隣接度を有するチップ部品を配置変更の対象である移動対象物品として抽出する移動物品抽出部53と、移動対象物品を移動させる位置である再配置位置を特定する配置位置特定部54と、移動機構20に対して移動対象物品を再配置位置に移動させる指令信号を送信する指令部55と、を有する。
【0029】
物品検出部51は、対象画像Pに画像処理を施し、対象画像Pからチップ部品を検出する。また、物品検出部51は、チップ部品同士の重なりも検知可能に構成される。チップ部品の検出及びその重なりの検出方法としては、YOLO(You Only Look Once)やSSD(Single Shot Multibox Detector)といった深層学習を用いた機械学習モデルを利用した物体検出によって行うことができる。画像認識による物体検出の方法は、公知の技術を採用することができるため、詳細な説明は省略する。物品検出部51によって、対象画像P上での各チップ部品が検出されると共に、各チップ部品の座標位置が取得される。チップ部品の座標位置は、例えば、チップ部品の中心の対象画像P上での位置として定義される。
【0030】
隣接度取得部52は、検出されたチップ部品のそれぞれに対して、周囲にどの程度チップ部品が存在するかを表す隣接度を取得する。具体的には、隣接度取得部52は、他のチップ部品との距離を算出し、所定の距離(以下、「隣接距離」とする。)以内にあるチップ部品の数を取得する。隣接距離は、チップ部品の大きさや形状に基づいて予め設定される任意の値である。あるチップ部品において、隣接距離以内にあるチップ部品の数が隣接度として取得される。また、チップ部品同士の距離は、それぞれのチップ部品の中心間の距離として定義される。
【0031】
移動物品抽出部53は、予め定められる閾値以上の隣接度を有するチップ部品を移動対象物品として抽出する。移動対象物品を抽出する閾値は、チップ部品の種類や大きさや総数、テーブルTの大きさ、加熱炉の仕様等に応じて任意に設定される。
【0032】
配置位置特定部54は、一又は複数の移動対象物品について、再配置する位置を特定する。具体的には、配置位置特定部54は、対象画像P内において、チップ部品が占める領域以外の領域に対してグリッドを設定し、グリッドによって画定されるセルC(図9参照)からチップ部品周辺にある禁止領域を除いたセルCを、チップ部品を移動させることが可能なセルCとして設定する。そして、複数のセルCのうち、移動対象物品に最も近い位置にあるセルCをその移動対象物品の再配置位置として特定する。セルCの位置とは、例えば、対象画像P上でのセルCの中心の位置として定義される。つまり、再配置位置は、X軸方向及びY軸方向の位置情報である。再配置位置の特定については、後に詳細に説明する。
【0033】
指令部55は、カメラ10に対して対象画像を要求する指令を出力すると共に、移動機構20及び重なり除去機構40に対して作動を制御する制御指令を出力する。具体的には、指令部55は、移動物品抽出部53によって抽出された移動対象物品を、配置位置特定部54によって特定された再配置位置に移動させるように、移動機構20に指令信号を送信して移動機構20の作動を制御する。また、指令部55は、チップ部品の重なりを検知すると、その重なりを除去するように重なり除去機構40に対して制御指令を出力する。
【0034】
次に、図3を参照して、配置システム100による配置最適化方法について説明する。
【0035】
制御装置50には、図3に示す処理を実行するプログラムが記憶される。制御装置50は、例えば、チップ部品が載置されたテーブルTがセットされたことを検知した場合や、外部からの指令信号に応じて、図3に示す処理を実行する。
【0036】
ステップS10では、カメラ10に対して対象画像を要求する指令が出力される。カメラ10は、指令に基づいて対象画像Pを撮像し、制御装置50に出力する。これにより、制御装置50によって対象画像Pが取得される。
【0037】
ステップS11では、図4に示すように、対象画像Pに対して画像処理を施して、対象画像Pからチップ部品を検出する(物品検出ステップ)。上述のように、チップ部品の検出は、公知の方法を利用できるため、詳細な説明は省略する。なお、図4及び後述の図5から図11では、灰色で示すものがチップ部品である。
【0038】
ステップS12では、チップ部品同士の重なりが検出される。チップ部品の重なりの検知についても、公知の技術を利用できるため、詳細な説明は省略する。
【0039】
ステップS13では、ステップS12において重なりが検知されたかを判定する。チップ部品の重なりが検知されると、ステップS14に進み、テーブルTに振動を付加して重なりを除去する重なり除去が行われる(重なり除去ステップ)。
【0040】
ステップS14の重なり除去が行われると、再びステップS10に戻り対象画像Pが取得される。ステップS13においてチップ部品の重なりがないと判定されるまで、ステップS10からステップS14が繰り返し実行される。
【0041】
ステップS13においてチップ部品の重なりがないと判定されると、ステップS15に進み、対象画像P内での各チップ部品の座標位置が取得される。
【0042】
次に、ステップS16において、座標位置に基づいて各チップ部品の隣接度が算出される(隣接度取得ステップ)。チップ部品の隣接度は、リスト形式によって制御装置50に記憶される。なお、図4では、各チップ部品上に隣接度を表示している。
【0043】
次に、ステップS17に進み、隣接度が所定の判定閾値以上となるチップ部品を移動対象物品として抽出する(移動物品抽出ステップ)。例えば、本実施形態では、判定閾値は、「2」に設定される。また、後述のように、移動対象物品は、隣接度によって移動に重み付けがされ、隣接度が高いものから順に再配置が行われる。よって、隣接度が高い移動対象物品が移動された結果、隣接度が判定閾値を下回るようなチップ部品は、移動対象物品として抽出されない。本実施形態でいうと、隣接度「2」のチップ部品が3つあるうち、その一つを移動させればすべて隣接度が「1」となるため、3つすべてではなくそのうちの一つだけが移動対象物品として抽出される。
【0044】
次に、ステップS18に進み、移動対象物品それぞれについて、移動先である再配置位置を特定する(再配置位置特定ステップ)。
【0045】
以下、図4から図11を参照して、再配置位置の特定について説明する。なお、図4から図11では、重複する構成の一部については、符号を省略している。
【0046】
再配置位置の特定では、対象画像P内においてチップ部品が占める領域以外の領域(図4で白色で表される領域)に対してグリッドが設定される。縦方向及び横方向のグリッドの間隔は、少なくともチップ部品の最大幅以上に設定されるのが望ましい。本実施形態では、チップ部品は長方形であるため、グリッド間隔は、最大幅である対角線の長さ以上に設定される。具体的には、グリッドの間隔は、チップ部品の最大幅の約1.5倍に設定される。
【0047】
より詳細に説明すると、まず、図5に示すように、所定のグリッド間隔によって横方向に延びるグリッド線(以下、「横グリッド線」とする。)を作成する。これにより、横グリッド線の間には、バンドB1~B5が形成される。
【0048】
次に、チップ部品の周囲の領域に、再配置する際の移動先の候補から除外される禁止領域を設定する。禁止領域とは、その位置にチップ部品が再配置された場合に、他のチップ部品と重なる、又は、他のチップ部品の隣接度が増加してしまう領域である。言い換えると、後述する再配置可能位置にあるセルCとは、当該セルに新たなチップ部品が配置されても、他のチップ部品の隣接度を上げないような位置にあるセルCである。
【0049】
禁止領域は、横方向のグリッド線間に区画されるバンドB1~B5ごとに設定されるものであり、バンド内におけるチップ部品の左右の端部間の領域が禁止領域に相当する。具体的に説明すると、図6及び図7に示すように、バンドB1では、バンドB1内でのチップ部品の左端部である点LP1と右端部である点RP1とから縦方向に延びる直線を作成し、2つの線の間の領域が禁止領域(図8で黒色で示す領域)に設定される。また、バンドB2では、バンドB2内でのチップ部品の左端部でありチップ部品と横グリッド線との交点である点LP2と、右端部でありチップ部品と横グリッド線との交点である点RP2と、から縦方向に延びる直線を作成し、2つの線の間の領域が禁止領域に設定される。このようにして、図8に示すように、すべてのバンドB1~B5において禁止領域が設定される。
【0050】
禁止領域を設定すると、図9に示すように、バンドB1~B5のそれぞれに所定のグリッド間隔によって縦方向のグリッド線(以下、「縦グリッド線」とする。)を作成する。縦方向のグリッド線は、例えば左側から右側に向けてグリッド間隔を空けて作成される。縦グリッド線が禁止領域に重なる場合には、禁止領域の右側から右方向へ所定のグリッド間隔を空けた位置に縦グリッド線が作成される。このようにして、横グリッド線と縦グリッド線によって、複数のセルCが区画される。
【0051】
複数のセルCから、禁止領域の周辺及び画像の右端・下端に存在する左右方向の間隔が所定のグリッド間隔には満たないセルCを除外して残ったセルCが、再配置可能なセルCとして取得される。再配置可能なセルCは、図9において、中央に丸印が付されたセルCである。また、再配置可能なセルCの位置は、リスト形式によって制御装置50に記憶される。
【0052】
次に、移動対象物品のそれぞれについて、再配置する座標を再配置可能なセルのリストから抽出する。再配置する位置は、移動対象物品から最も近い位置にある再配置可能なセルCの位置である。再配置位置は、隣接度が高いチップ部品から低いチップ部品の順で特定され、再配置位置が重複しないように設定される。このようにして抽出された再配置位置は、チップ部品の座標と共にリスト形式で制御装置50に記憶される。
【0053】
次に、ステップS19において、移動対象物品を再配置するための制御指令が移動機構20に出力される。再配置するための制御指令も、隣接度が高いチップ部品を移動する指令が優先して出力される。ステップS19において制御指令が出力されると、処理を終了する。
【0054】
移動機構20は、制御装置50からの制御指令を受信すると、制御指令に基づいて移動対象物品のすべてを移動させる。本実施形態でいえば、まず最も高い隣接度「3」を有するチップ部品が再配置され(図10)、その後次に高い隣接度「2」を有するチップ部品の一つが配置される(図11)。これにより、対象画像P内のすべてチップ部品の隣接度が「2」よりも小さくなり、再配置が完了する。このようにして、テーブルT上のチップ部品の配置の最適化が図られる。
【0055】
以下、移動機構20による移動対象物品の移動をより具体的に説明する。まず、吸着ノズル22aに移動対象物品を吸着する吸着工程について説明する。吸着工程では、ヘッド部22を移動させて、吸着位置にある吸着ノズル22aのX,Y軸方向の位置を隣接度の高い移動対象物品のX,Y軸方向の位置に合わせる。そして、チップ部品を吸着できる位置までヘッド部22をZ軸方向移動させ、吸着ノズル22aに当該移動対象物品を吸着させる。
【0056】
次に、ヘッド部22をZ軸方向にテーブルTから退避させ、ヘッド部22を回転させることで吸着位置にある吸着ノズル22aを変更する。そして、吸着位置にある吸着ノズル22aが次に隣接度の高い移動対象物品を吸着できる位置までヘッド部22を再び移動させ、吸着ノズル22aにより移動対象物品を吸着させる。このようにして、すべての吸着ノズル22aに移動対象物品が吸着されるまで、又は、移動対象物品がすべて吸着されるまで、ヘッド部22の移動、吸着ノズル22aによる吸着、吸着位置にある吸着ノズル22aの変更を繰り返す。
【0057】
吸着工程が完了すると、次に再配置工程が行われる。再配置工程では、ヘッド部22を移動させて、吸着位置にある吸着ノズル22aのX,Y軸方向の位置を、吸着している移動対象物品の再配置位置に合わせる。そして、吸着ノズル22aを回転させて、吸着された移動対象物品の姿勢を所定の姿勢とする。例えば、所定の姿勢とは、長方形状のチップ部品が、セル形状に沿うような姿勢(言い換えれば、チップ部品の長辺が縦グリッド線に平行となるような姿勢)である。次に、ヘッド部22をテーブルTに向けてZ軸方向に移動させ、テーブルT付近にチップ部品が位置すると、吸着位置にある吸着ノズル22aによる吸着を解除して移動対象物品を吸着ノズル22aから離脱させる。このようにして、一つの移動対象物品が再配置位置に移動される。
【0058】
次に、ヘッド部22をテーブルTからX軸方向に退避させ、ヘッド部22を回転させて吸着位置にある吸着ノズル22aを変更する。以降、ヘッド部22の移動、吸着ノズル22aによる吸着の解除、吸着位置にある吸着ノズル22aの変更を繰り返し、吸着ノズル22aに吸着されたすべてのチップ部品が再配置位置に再配置されることにより、再配置工程が完了する。テーブル上にまだ再配置されていない移動対象物品が残存している場合には、再び吸着工程が行われる。テーブルT上の移動対象物品がすべて再配置されるまで、吸着工程と再配置工程とが繰り返し実行される。
【0059】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0060】
本実施形態に係る配置最適化方法によれば、隣接度に応じて移動対象物品が抽出されるため、再配置させるチップ部品の数を抑制しつつ、チップ部品を分散させて全体の配置を最適化することができる。したがって、チップ部品の配置を効率的に最適化できる。
【0061】
また、移動対象物品の再配置位置は、移動対象物品から近い位置にある再配置可能なセルCの位置であるため、移動対象物品の移動量を小さくでき、より一層効率的に配置を最適化することができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0063】
制御装置50は、その一部または全部の構成が、クラウド環境に設けられるクラウドサーバとして構成されてもよい。
【0064】
また、上述した配置システム100における一連の処理は、コンピュータにこれを実行さるためのプログラムとして提供されてもよい。
【0065】
即ち、本実施形態に係るプログラムは、複数のチップ部品を含む対象画像Pから複数のチップ部品を検出する物品検出ステップと、検出したチップ部品のそれぞれについて、当該チップ部品から所定の距離以内に存在するチップ部品の数を表す隣接度を取得する隣接度取得ステップと、所定以上の隣接度を有するチップ部品を配置変更の対象である移動対象物品として抽出する移動物品抽出ステップと、をコンピュータである制御装置50に実行させるものである。
【0066】
また、上述した一連の処理を実行するためのプログラムは、制御装置50によって読み取り可能な記憶媒体によって提供される。また、プログラムは、ネットワーク回線を通じて制御装置50に提供されてもよい。
【0067】
また、制御装置50が実行する各種プログラムは、例えばCD-ROM等の非一過性の記録媒体に記憶されたものを用いてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、再配置位置の特定において、縦方向と横方向とのグリッド間隔は同一であったが、これに限定されず、互いに異なっていてもよい。また、上記実施形態では、先に横グリッド線を作成し、その後縦グリッド線を作成して禁止領域を設定したが、先に縦グリッド線を作成し、その後横グリッド線を作成するものでもよい。
【0069】
また、隣接度を取得するための隣接距離、グリッド間隔は、任意の値を設定することができる。隣接距離は、少なくともチップ部品が接触する距離、言い換えると、チップ部品の最大幅(対角線の長さ)より大きく設定すればよい。例えば、移動対象物品を再配置する際に移動対象物品の姿勢を調整する場合には、グリッド間隔は、チップ部品の最大幅より大きければよい。移動対象物品の姿勢を調整しない場合には、グリッド間隔は、隣接距離よりも大きければよい。
【符号の説明】
【0070】
100 配置最適化システム
10 カメラ(撮像部)
20 移動機構
50 制御装置
51 物品検出部
52 隣接度取得部
53 移動物品抽出部
54 配置位置特定部
55 指令部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11