(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000887
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】熱伝導ユニット
(51)【国際特許分類】
A62B 18/08 20060101AFI20221222BHJP
A41D 13/11 20060101ALI20221222BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
A62B18/08 Z
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101953
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】594149804
【氏名又は名称】カジナイロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶 政隆
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 隆平
(72)【発明者】
【氏名】鶴見 拓人
(72)【発明者】
【氏名】吉村 貫生
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CC32
(57)【要約】
【課題】従来よりも冷却効果の効率性が高い熱伝導ユニットを提供する。
【解決手段】冷却面311a,321aを有する熱電変換素子と、冷却面311a,321aと対向するように配置された第一面32Aと、第一面32Aの反対側に配置された第二面32Bと、を有する高熱伝導部材32と、熱電変換素子の近傍に配置され、かつ第一面32Aのうち冷却面311a,321aと対向する位置とは異なる位置に設けられた断熱部材と、を備える、熱伝導ユニット3。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却面を有する熱電変換素子と、
前記冷却面と対向するように配置された第一面と、前記第一面の反対側に配置された第二面と、を有する高熱伝導部材と、
前記熱電変換素子の近傍に配置され、かつ前記第一面のうち前記冷却面と対向する位置とは異なる位置に設けられた断熱部材と、を備える、熱伝導ユニット。
【請求項2】
前記高熱伝導部材の耐屈曲試験における屈曲性能は5000回以上であり、
前記断熱部材の耐屈曲試験における屈曲性能は5000回以上である、請求項1に記載の熱伝導ユニット。
【請求項3】
さらに高粘着ゲルを含む粘着部材を備え、
前記粘着部材は、前記断熱部材の少なくとも一部を覆うように配置されている、請求項1または請求項2に記載の熱伝導ユニット。
【請求項4】
前記粘着部材は形状記憶ゲルを含む、請求項3に記載の熱伝導ユニット。
【請求項5】
前記断熱部材の厚さと前記粘着部材の厚さの和は、前記熱電変換素子の厚さと等しい、請求項3または請求項4に記載の熱伝導ユニット。
【請求項6】
前記断熱部材は空洞部を有し、
前記熱電変換素子は、前記空洞部に配置されている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の熱伝導ユニット。
【請求項7】
前記高熱伝導部材はグラファイトシートである、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の熱伝導ユニット。
【請求項8】
前記断熱部材は、ポリウレタン樹脂またはポリエチレン樹脂から形成されている、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の熱伝導ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱伝導ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
衛生マスクに貼着して用いるマスク用保冷材ケースが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のマスク用保冷材ケースにおいては、保冷材によって着用者(使用者)を冷やすことはできるが、外部からマスク(着用物の一例)が温められてしまい、保冷剤による冷却効果が低減してしまう虞がある。このように、上述のマスク用保冷材ケースは、冷却効果の効率性において改善の余地があった。
【0005】
本開示は、従来よりも冷却効果の効率性が高い熱伝導ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための一態様に係る熱伝導ユニットは、
冷却面を有する熱電変換素子と、
前記冷却面と対向するように配置された第一面と、前記第一面の反対側に配置された第二面と、を有する高熱伝導部材と、
前記熱電変換素子の近傍に配置され、かつ前記第一面のうち前記冷却面と対向する位置とは異なる位置に設けられた断熱部材と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、第一面は熱電変換素子の冷却面と対向しているので、高熱伝導部材は、第一面を介して冷やされる。そして、使用者は、第一面の反対側に配置された第二面を介して冷却効果を得ることができる。さらに、第一面のうち冷却面と対向する位置とは異なる位置には断熱部材が設けられており、当該断熱部材は熱電変換素子の近傍に配置されている。このため、上記構成に係る熱伝導ユニットは、外部から高熱伝導部材が温められることを抑制することができ、使用者が第二面において得ることができる冷却効果を高めることができる。したがって、このような熱伝導ユニットは、従来よりも冷却効果の効率性が高い。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、従来よりも冷却効果の効率性が高い熱伝導ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、使用者が本開示の一実施形態に係るマスクユニットを装着している状態を例示する図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態に係るマスクユニットを例示する図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態に係るマスクユニットを例示する図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態に係る収容ユニットの一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施形態に係る収容部材を例示する図である。
【
図6】
図6は、使用者が本開示の一実施形態に係るマスクユニットを装着している状態の使用者を上方から見たときの模式図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態に係る収容部材の製造方法に関するフローチャート図である。
【
図9】
図9は、本実施形態で用いる金型を例示する図である。
【
図10】
図10は、繊維生地を金型にはめ込んだ状態を例示する図である。
【
図11】
図11は、本開示の一実施形態に係る収容ユニットの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態の一例について図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」について適宜言及する。これらの方向は、
図1に例示する状態におけるマスクユニット100について設定された相対的な方向である。ここで、「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。
【0011】
(第一実施形態)
初めに、
図1~
図4を参照しつつ、マスクユニット100について説明する。
図1は、使用者Uがマスクユニット100を装着している状態を例示する図である。
図2および
図3は、マスクユニット100を例示する図である。
図4は、収容ユニット2の模式図である。
図1~
図3に例示するように、マスクユニット100は、マスク1と、収容ユニット2と、を備えている。
【0012】
マスク1は、本体部11と、装着部12と、挿入孔13と、を備えている。本体部11は、使用者Uの顔の口元、鼻、頬、顎、頸動脈付近の首元等を覆うように構成されている。本体部11は、例えば綿、絹、麻等の天然繊維、化学繊維およびこれらの繊維を混合させてなる織物や、パルプ、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなる不織布といった比較的軟質な素材で形成されている。
図4に例示するように、本体部11は、第一フィルム111を有する。第一フィルム111は、本体部11の後面(裏面)に配置されている。第一フィルム111は、例えばポリウレタン樹脂等から形成される。
【0013】
図1~
図3に例示するように、装着部12は、本体部11に取り付けられており、使用者Uの耳等に装着されるものであって、ナイロンやポリエステル等からなる紐状またはベルト状のゴム部材等で形成される。装着部12は、本体部11の左右端部に取り付けられている。なお、装着部12を本体部11に取り付ける方法としては、例えば、装着部12を本体部11に縫着、接着、融着等することで取り付ける方法や、装着部12を本体部11の左右端部に形成された挿通部に挿通することで取り付ける方法等である。使用者Uは、例えば装着部12を使用者Uの左右の耳に係止させることで、マスクユニット100を装着することができる。なお、使用者Uがマスクユニット100を装着している状態において、本体部11の後面(裏面)は、使用者Uに対向している。
【0014】
挿入孔13は、本体部11の右下部分および左下部分にそれぞれ設けられている。挿入孔13は、例えば長方形状である。ただし、挿入孔13の形状は長方形状に限られず、正方形状や楕円状等であってもよい。挿入孔13は、収容ユニット2を挿入可能である。本実施形態においては、収容ユニット2が挿入孔13に挿入されている。
【0015】
図4に例示するように、収容ユニット2は、熱伝導ユニット3と、収容部材4と、を備えている。熱伝導ユニット3は、冷却用電子デバイス31(物体の一例)と、高熱伝導部材32と、第二フィルム33と、粘着部材34と、第一断熱部材35と、第二断熱部材36と、を備えている。
【0016】
図2および
図3に例示するように、冷却用電子デバイス31は、第一冷却用電子デバイス310と、第二冷却用電子デバイス320と、を含む。第一冷却用電子デバイス310は本体部11の左側下方に配置されており、第二冷却用電子デバイス320は本体部11の右側下方に配置されている。第一冷却用電子デバイス310と第二冷却用電子デバイス320は、第一配線61を介して電気的に接続されている。
【0017】
第一配線61は、例えば伸縮性を有する配線(伸縮配線)である。第一配線61の電気抵抗率は、例えば2~50Ω/mである。第一配線61は、本体部11の下部において、本体部11に固定されて配設されている。第一配線61は、伸縮性を有する絶縁シートと、前記絶縁シートに固定され、離間して並設される複数の導電糸と、前記複数の導電糸の間において前記絶縁シートに固定される複数の非導電糸と、前記複数の導電糸に積層される被覆シートと、を備えている。第一配線61の絶縁シートは、本体部11の素材よりも硬質な形状記憶素材により形成されている。形状記憶素材としては、例えばポリノルボルネン系、ポリウレタン系、トランスポリイソプレン系、スチレン-ブタジエン系のポリマー等である。
【0018】
第一配線61は、第一冷却用電子デバイス310に対して着脱可能な第一コネクタ部611と、第二冷却用電子デバイス320に対して着脱可能な第二コネクタ部612と、を有している。第一冷却用電子デバイス310は、第三配線314と、第三コネクタ部315と、を備えている。第二冷却用電子デバイス320は、第四配線324と、第四コネクタ部325と、を備えている。第三コネクタ部315は第一コネクタ部611に着脱可能であり、第四コネクタ部325は第二コネクタ部612に着脱可能である。第一配線61と第一冷却用電子デバイス310は、第一コネクタ部611と第三コネクタ部315が接続されることで電気的に接続される。第一配線61と第二冷却用電子デバイス320は、第二コネクタ部612と第四コネクタ部325が接続されることで電気的に接続される。
【0019】
図1~
図3に例示するように、第一冷却用電子デバイス310は、第二配線62を介して、使用者Uが携帯するバッテリーBに電気的に接続されている。第一冷却用電子デバイス310は第二配線62を介して、第二冷却用電子デバイス320は第一配線61および第二配線62を介して、バッテリーBから電力が供給される。なお、バッテリーBは、例えばリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、全固体電池、鉛蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池等の何れかにより構成されている。本実施形態において、バッテリーBは、使用者Uが着用している衣服に設けられたポケットPに収容されている。ただし、バッテリーBの収容場所はポケットPに限られず、例えば使用者Uが携帯しているバッグの中等であってもよい。
【0020】
ここで、
図4を参照しつつ、第一冷却用電子デバイス310の構成について詳細に説明する。なお、第二冷却用電子デバイス320の構成は、第一冷却用電子デバイス310の構成と同様である。
図4に例示するように、第一冷却用電子デバイス310は、ペルチェ素子311(熱電変換素子の一例)と、放熱部材312と、ファン313と、を有する。ペルチェ素子311と、放熱部材312と、ファン313と、は、収容部材4に収容されている。
【0021】
ペルチェ素子311と、放熱部材312と、ファン313と、は、積層構造であり、この順で配置されている。なお、使用者Uが、マスクユニット100を装着している状態のとき、ペルチェ素子311、放熱部材312、ファン313は、この順で使用者Uに近い。ペルチェ素子311と放熱部材312、および放熱部材312とファン313は、例えばネジ留めされることにより相互に取り付けられる。
【0022】
ペルチェ素子311の左右端部には、第二配線62または第三配線314を接続するためのコネクタ部(図示せず)が設けられている。ファン313の左端部には、第二配線62を接続するためのコネクタ部(図示せず)が設けられている。第三配線314は、ペルチェ素子311の右端部に接続されている。第二配線62は二股に分かれており、一方はペルチェ素子311の左端部に、もう一方はファン313の左端部にそれぞれ接続されている。第二配線62の左端部には、差込部63が設けられている。差込部63はバッテリーBのコネクタ部(図示せず)に接続可能である。差込部63がバッテリーBのコネクタ部に接続されることで、バッテリーBからペルチェ素子311およびファン313へ電力が供給される。
【0023】
ペルチェ素子311の厚さは、例えば、約5mmである。ペルチェ素子311は、ペルチェ効果を発揮する板状の半導体素子から形成されており、略直方体形状である。なお、このような半導体素子は、例えば、ビスマス-テルル合金、鉛-テルル合金、シリコン-ゲルマニウム合金等から形成されている。また、ペルチェ効果をより良く発揮させる観点から、当該半導体素子においては、n型半導体素子にはアンチモンやインジウム等の添加物が、p型半導体素子にはセレン等の添加物がそれぞれ添加されていると好ましい。ペルチェ素子311には、第二配線62を介して、バッテリーBから電流が流れる。ペルチェ素子311に電流が流れると、直流電圧がペルチェ素子311に印加されるため、ペルチェ効果が生じる。ペルチェ効果とは、異なる二種類の金属の接合部に直流電流を流すと、一方の金属から他方の金属に熱が移動することである。したがって、ペルチェ素子311に直流電圧が印加されると、冷却面311aでは吸熱が起こり、冷却面311aの反対側に配置された放熱面311bでは放熱が起こる。本実施形態においては、使用者U側(
図4における後側)に配置された冷却面311aで吸熱が起こり、放熱部材312側(
図4における前側)に配置された放熱面311bで放熱が起こる。なお、電流の極性を逆転させると、冷却面と放熱面は逆転する。ペルチェ素子311の冷却面311aは、高熱伝導部材32と対向するように配置されている。このため、高熱伝導部材32は、冷却面311aにおける吸熱による冷却効果より、冷やされる。なお、ペルチェ素子311の冷却面311aは、マスクユニット100が使用者Uに装着されている状態において、使用者Uの首元等に向けて配置される(
図1参照)。一方で、放熱面311bで生じた熱は、放熱部材312に向けて放射される。
【0024】
放熱部材312は、例えば窒化アルミニウム等を含む金属製部材やタルク等のフィラーを有する樹脂製部材等から形成されたヒートシンクである。放熱部材312は、ベース部材3121と、多数の放熱フィン3122と、を備えている。ベース部材3121は板状部材である。ベース部材3121は、その下部に例えば熱伝導性絶縁シートを備えており、当該熱伝導性絶縁シートを介して、ペルチェ素子311の放熱面311b上に配置されている。放熱フィン3122は、ベース部材3121に立設している。放熱フィン3122は、例えば、短手方向(
図4における前後方向)に延びる細長い板状部材である。ただし、放熱フィン3122は、棒状、ピン状等の他の形状であってもよい。放熱フィン3122は、放熱フィン同士の間隔を空けて、マトリックス状に配置されている。ペルチェ素子311から放熱部材312に伝わった熱は、放熱フィン3122に沿ってファン313や放熱フィン3122の周囲の空間に向けて放射される。
【0025】
ファン313は、ファンフレームと、ファンロータと、はね部材と、モータと、を備えている。ファンフレームは、略直方体形状で中空である。ファンロータは、モータの回転子と一体になって回転するように構成されている。はね部材は、例えばプロペラ型であり、所定の方向に風を送るように構成されている。モータは、例えばブラシレス直流モータ等である。ファン313は、放熱部材312とは反対側、すなわち使用者Uとは反対側(
図4における前側)に向かって送風する。これにより、放熱フィン3122からファン313や放熱フィン3122の周囲の空間へ送られてきた熱は、放熱部材312とは反対の方向に向けて、放熱される。したがって、ペルチェ素子311の放熱面311bで発生した熱は、マスク1の本体部11の外側(
図4における前側)に向かって移動する。
【0026】
高熱伝導部材32は、ペルチェ素子311の冷却面311aと対向するように配置された第一面32Aと、第一面32Aの反対側(
図4における後側)に配置された第二面32Bと、を有する。高熱伝導部材32は、略長方形状のシート部材であり、例えばグラファイトシートである。高熱伝導部材32は、異方性の熱伝導特性を有しており、面方向における熱伝導性を高めることができる。高熱伝導部材32の厚さは、例えば25μm~50μm程度である。
【0027】
第二フィルム33は、例えば第一フィルム111と同様の材料から形成されうる。第二フィルム33は、高熱伝導部材32の第二面32Bおよび左右側面と、第一断熱部材35の後面の一部と、に貼り付けられている。このため、高熱伝導部材32は、第二フィルム33により、第一断熱部材35に対して固定される。
【0028】
粘着部材34は、シート状である。粘着部材34の厚さは例えば2mm程度である。粘着部材34は、第一断熱部材35の前面を覆うように、第一断熱部材35に接着されている。粘着部材34は、例えば、アクリルアミドを架橋させて得られるハイドロゲルにポリビニルピロリドン等の水溶性高分子を添加してなる高粘着ゲルを含んでいる。また粘着部材34は、形状記憶ゲルを含んでいる。形状記憶ゲルは、結晶性の成分と非晶質(アモルファスゲル)の成分を合わせ持つ複合材料である。形状記憶ゲルは、例えば、疎水性のステアリル酸アクリレート(SA)と親水性のアクリル酸(AA)の2種類のモノマーを、メチレンビスアクリルアミド(MBAA)で架橋させた共重合ゲル等である。粘着部材34は、第一フィルム111に接着されている。
【0029】
第一断熱部材35の厚さは、例えば3mm程度である。したがって、第一断熱部材35の厚さと粘着部材34の厚さの和は、ペルチェ素子311の厚さと等しい。第一断熱部材35は、例えば良好な形状追従性と断熱性を有する樹脂等から形成されている。このような樹脂としては、例えばポリウレタン樹脂やポリエチレン樹脂等である。なお、本実施形態において、第一断熱部材35はポリエチレンフォームである。ポリエチレンフォームとは、ポリエチレン樹脂を基材として発泡させたシートである。当該ポリエチレンフォームの発泡倍率は5倍以上であり、特に30倍であると好ましい。なお、発泡倍率とは、発泡前の樹脂材料(未発泡体)の体積をV1、発泡後の発泡体の体積をV2とした場合に、V2をV1で除することで算出される値である。第一断熱部材35は、熱伝導ユニット3の外部にある空気によって、高熱伝導部材32が温められることを抑制することができる。本実施形態において、第一断熱部材35は、粘着部材34と高熱伝導部材32の間に配置されており、高熱伝導部材32の第一面32Aの一部と接するように配置されている。したがって、第一断熱部材35は、第一面32Aの一部が熱伝導ユニット3の外部にある空気によって温められることを抑制している。第一断熱部材35は、例えば接着剤等により、収容部材4に取り付けられる。
【0030】
第二断熱部材36の厚さは、例えば5mm程度である。したがって、第二断熱部材36の厚さはペルチェ素子311の厚さと等しい。第二断熱部材36は、例えば第一断熱部材35と同様の材料から形成されており、熱伝導ユニット3の外部にある空気によって、高熱伝導部材32が温められることを抑制することができる。なお、本実施形態において、第二断熱部材36は、第一断熱部材35と同様のポリエチレンフォームである。本実施形態において、第二断熱部材36は、放熱部材312と高熱伝導部材32の間に配置されており、高熱伝導部材32の第一面32Aの一部と接するように配置されている。したがって、第二断熱部材36は、第一面32Aの一部が熱伝導ユニット3の外部にある空気によって温められることを抑制している。第二断熱部材36の中央部には、空洞部36Aが設けられている。空洞部36Aには、ペルチェ素子311が配置されている。つまり、第二断熱部材36は、ペルチェ素子311を囲うように、ペルチェ素子311の近傍に配置されている。なお、本実施形態において、第二断熱部材36とペルチェ素子311との間には隙間がない。
【0031】
次に、
図2~
図5を参照しつつ、収容部材4について説明する。
図3に例示するように、収容部材4は、本体部11の左右下方にそれぞれ配置されている。各収容部材4は開口部410Aを有している。開口部410Aの面積は、マスク1の挿入孔13の面積と略等しい。収容部材4は、開口部410Aを介して、冷却用電子デバイス31を収容可能である。なお、マスクユニット100が使用者Uに装着されている状態において、開口部410Aは、使用者U側に配置される。
【0032】
図4および
図5に例示するように、収容部材4は、断面視で略凸状である。収容部材4は、収容部41と、取付部42と、を備えている。収容部41は、略直方体状であり、中空である。収容部41は、伸縮性を有する伸縮糸を用いて作製された繊維生地50(
図8参照)から形成されている。本実施形態における伸縮糸は、熱融着糸と、熱融着糸とは異なる芯糸と、を合撚した被覆弾性糸であり、例えば、フィラメント・ツイスティッド・ヤーン(FTY)である。なお、当該被覆弾性糸は、SCY(Single Coverd Yarn)であってもよいし、DCY(Double Coverd Yarn)であってもよい。熱融着糸とは、乾熱120℃~170℃で熱処理されることによって溶融して融着する性質を有する糸であり、伸縮性(弾性)を有する。熱融着糸は、例えば、ナイロン糸やポリエステル糸等である。芯糸は、例えば、ポリアミド糸、ポリエステル糸、ポリウレタン糸等である。繊維生地50は、編目状であり、例えばメッシュ生地である。伸縮糸同士によって形成された隙間(第一の大きさを有する隙間)を有している。なお、第一の大きさとは、後述する熱加工が行われる前の繊維生地50が有する孔(隙間)の大きさである。
【0033】
収容部41の高さ(
図4における前後方向の長さ)は、取付部42の高さより高い。収容部41は、一つの天面410と、四つの側壁面420と、を備えている。天面410は、開口部410Aと対向する位置に設けられている。側壁面420は、天面410の各辺から取付部42に向かう方向(
図4および
図5における後方向)へ、略垂直に延びるように設けられている。天面410および側壁面420には、複数の第一孔部40Aが形成されている。つまり、収容部41は、複数の第一孔部40Aを有している。ただし、収容部41は一つの第一孔部40Aのみを有していてもよい。第一孔部40Aは、繊維生地50を伸長させることで形成された伸縮糸同士の隙間(第二の大きさを有する隙間)である。第二の大きさは第一の大きさよりも大きい。第一孔部40Aは、略円形の孔である(
図5参照)。第一孔部40Aは、ペルチェ素子311の放熱面311bで発生した熱を通過させるように構成されている。したがって、当該熱は、第一孔部40Aを介して、マスク1の本体部11の外側へ移動する。
【0034】
取付部42は、収容部材4を直接的にまたは間接的にマスク1の本体部11に取り付けるための部位である。収容部材4は、例えば取付部42が第一断熱部材35に装着され、第一断熱部材35の前面を覆う粘着部材34が第一フィルム111と接着されることで、本体部11に取り付けられる。なお、取付部42を第一断熱部材35に装着する方法としては、例えば、取付部42と第一断熱部材35を接着剤により接着させる方法や、取付部42と第一断熱部材35を熱融着させる方法等である。取付部42は、収容部41の側周を囲うように配置されており、収容部41に接続されている。取付部42は、天面410に対して略平行に延びている。取付部42の四隅は丸みを有している。ただし、取付部42の四隅は角ばっていてもよい。
【0035】
取付部42は、複数の第二孔部40Bを有している。ただし、取付部42は一つの第二孔部40Bのみを有していてもよい。第二孔部40Bは、第一の大きさを有する隙間であり、略円形の孔である。したがって、第二孔部40Bは第一孔部40Aよりも小さい。
【0036】
次に、
図6を参照しつつ、使用者Uがマスクユニット100を装着しているときの状態について説明する。
図6は、マスクユニット100を装着した使用者Uを上方から見たときの様子を例示する模式図である。本実施形態において、第一配線61(
図3参照)は形状記憶素材により形成されており、本体部11は第一配線61よりも軟質な素材で形成されているため、本体部11は第一配線61の形状に応じて変形する。すなわち、使用者Uがマスクユニット100を装着した状態において、マスク1の本体部11と使用者Uの顔との間には空間Sができる。ペルチェ素子311,321の冷却面311a,321aは、高熱伝導部材32に向けて配置されているため、高熱伝導部材32は、冷却面311a,321aにおける吸熱による冷却効果より、冷やされる。高熱伝導部材32は、当該冷却効果を面方向に伝導する。高熱伝導部材32は、マスクユニット100が使用者Uに装着された状態において、第二フィルム33を介して、使用者Uの顔に接触するため、使用者Uは、冷却用電子デバイス31が駆動している間、冷却効果を得ることができる。
【0037】
一方で、ペルチェ素子311,321の放熱面311b,321bから放射され、放熱部材312に移動した熱は、ファン313が使用者Uとは反対側に向かって送風するので、例えば、収容部41の第一孔部40A(
図5参照)に向けて放熱される。当該熱は、第一孔部40Aを介して、マスクユニット100の外側に向けて放熱されるので、放熱面311b,321bから放射された熱は、空間Sで滞留しない。
【0038】
(収容部材4の製造方法)
次に、
図7~
図10を参照しつつ、収容部材4の製造方法について説明する。
図7に例示するように、収容部材4の製造方法は、伸縮性を有する伸縮糸を用いて繊維生地50(
図8参照)を作製する第一ステップS1と、繊維生地50を伸長させつつ加熱することで形成された第一孔部40Aを備える収容部41を成形する第二ステップS2と、繊維生地50のうち余分な部分を取り除く第三ステップS3と、収容部材4が作製される第四ステップS4と、を含む。
【0039】
まず、第一ステップS1について説明する。第一ステップS1では、上述した伸縮糸を用いて繊維生地50が作製される。繊維生地50は、例えば当該伸縮糸が横編機によって編まれることで作製される。
【0040】
横編機は、少なくとも前後一対の針床と、各針床に並設される多数の針溝のそれぞれに配置される編針と、針床の長手方向に沿って往復運動するキャリッジと、を備えている。キャリッジには、例えばカムシステムが搭載されている。当該カムシステムは、作製する部材ごとに設計されたプログラムを備えており、当該プログラムに基づいて編針を針溝に沿った方向に進退させることで、編針にニット等の編成動作を行なわせる。なお、当該編成動作は、例えば、カムシステムと共にキャリッジに備わる選針アクチュエーターによって編針の動作を制御することにより行われる。本実施形態では、横編機を用いて伸縮糸を編むことで繊維生地50を作製するため、繊維生地50の編み組織を部分的に変えることや、糸種を部位ごとに切り替えることができる。このため、本実施形態に係る収容部材4の製造方法によれば、繊維生地50に、機能や性質の異なる複数の部位を設けることができる。
図8に例示するように、繊維生地50は、収容部41に対応する第一部50Aと、取付部42に対応する第二部50Bと、を備えている。
【0041】
図7に戻り、第二ステップS2について説明する。第二ステップS2では、繊維生地50の第一部50Aを伸長させつつ加熱する。これにより、第一部50Aに備わる第一の大きさを有する孔が第二の大きさを有する第一孔部40Aとなり、第一孔部40Aが形成された収容部41が成形される(第二ステップS2)。なお、この熱加工は、
図9に例示する金型5を用いて行われる。金型5は、台座部51と、凸部52と、蓋部53と、を備えている。台座部51は、略直方体状であり、複数の穴部510を有している。凸部52は台座部51上に設けられており、収容部41の形状に対応した形状を有している。蓋部53は、第一部50Aを挿入可能な開口部531と、複数の穴部510に挿入可能な複数の棒状部532と、を有する。
【0042】
作業者は、
図10に例示するように、繊維生地50を金型5にはめ込む。作業者は、繊維生地50を金型5にはめ込んだ状態で、繊維生地50の第一部50Aを伸長させつつ、オーブンまたはヒーターを用いて繊維生地50を加熱する。第二ステップS2において繊維生地50に加えられる熱の温度は、例えば170~190℃である。この温度によって、繊維生地50の熱融着糸は溶融するが、加熱後の冷却によって再び、当該熱融着糸は固まる。これにより、第二の大きさとなった第一孔部40Aの形状は維持され、かつ収容部41の形状も維持される。
【0043】
作業者は、加熱が終了してからしばらく経った後に、繊維生地50のうち余分な部分を取り除く(第三ステップS3)。このようにして、収容部材4が作製される(第四ステップS4)。
【0044】
(高熱伝導部材32の耐屈曲試験おける屈曲性能)
次に、高熱伝導部材32の耐屈曲試験おける屈曲性能について説明する。本実施形態では、高熱伝導部材32の耐屈曲試験における耐屈曲回数を測定することで、高熱伝導部材32の屈曲性能(耐屈曲性)を評価した。なお、耐屈曲試験における耐屈曲回数は、回数が多いほど、高熱伝導部材32が柔軟であり、耐屈曲性(柔軟性)に優れていることを意味する。
【0045】
本実施形態に係る耐屈曲試験では、高熱伝導部材32に対して面内方向(厚さ方向に直交する方向)に100gの張力を付与した状態で高熱伝導部材32を半径2mmの曲げ半径で±135度に屈曲させる。なお、当該耐屈曲試験では、±135度の一往復を1回として屈曲回数をカウントする。測定の結果、高熱伝導部材32の耐屈曲試験における耐屈曲回数は10000回以上であった。また、高熱伝導部材32に代えて、天然黒鉛からなる厚さ50μm~250μmのグラファイトシートを用いて同様の耐屈曲試験を行ったところ、当該グラファイトシートの耐屈曲試験における耐屈曲回数は5000回未満であった。したがって、高熱伝導部材32は、天然黒鉛からなるグラファイトシートよりも耐屈曲性に優れている。
【0046】
(第一断熱部材35および第二断熱部材36の耐屈曲試験おける屈曲性能)
次に、第一断熱部材35および第二断熱部材36の耐屈曲試験おける屈曲性能について説明する。第一断熱部材35および第二断熱部材36の耐屈曲試験おける屈曲性能は、高熱伝導部材32の耐屈曲試験おける屈曲性能の測定における方法と同様の方法で、測定される。測定の結果、第一断熱部材35および第二断熱部材36の耐屈曲試験における耐屈曲回数は10000回以上であった。この結果から、第一断熱部材35および第二断熱部材36についても、耐屈曲性に優れていることが分かった。
【0047】
ところで、従来のマスク用保冷材ケースは、保冷材によってマスクの着用者(使用者)を冷やすことはできるが、外部からマスクが温められてしまい、その結果、保冷剤による冷却効果が低減してしまうことがある。このように、従来のマスク用保冷材ケースは、冷却効果の効率性において改善の余地があった。
【0048】
上記構成に係る熱伝導ユニット3によれば、高熱伝導部材32の第一面32Aはペルチェ素子311の冷却面311a,321aと対向しているので、高熱伝導部材32は、第一面32Aを介して冷やされる。そして、使用者Uは、高熱伝導部材32の第二面32Bを介して冷却効果を得ることができる。第一断熱部材35は、粘着部材34と高熱伝導部材32の間に配置されており、高熱伝導部材32の第一面32Aの一部と接するように配置されている。また第二断熱部材36は放熱部材312と高熱伝導部材32の間に配置されており、高熱伝導部材32の第一面32Aの一部と接するように配置されている。さらに、第二断熱部材36はペルチェ素子311の近傍に配置されている。このため、熱伝導ユニット3は、外部から高熱伝導部材32が温められることを抑制することができ、使用者Uが第二面32Bにおいて得ることができる冷却効果を高めることができる。
【0049】
また、上記構成に係る熱伝導ユニット3によれば、高熱伝導部材32の耐屈曲試験における屈曲性能は5000回以上(10000回以上)であり、第一断熱部材35および第二断熱部材36の耐屈曲試験における屈曲性能は5000回以上(10000回以上)である。高熱伝導部材32、第一断熱部材35および第二断熱部材36は、熱伝導ユニット3を備える収容ユニット2をマスク1に容易に取り付けることができる上、マスク1の形状や使用者Uの動きに合わせて変形させても破断しにくく、繰り返し使用することができる。
【0050】
また、上記構成に係る熱伝導ユニット3によれば、高粘着ゲルを含む粘着部材34は、第一断熱部材35の前面を覆うように配置されている。したがって、熱伝導ユニット3は、マスク1に容易に繰り返し着脱させることができ、また冷却効果の効率性をさらに高めることもできる。
【0051】
また、上記構成に係る熱伝導ユニット3によれば、粘着部材34は形状記憶ゲルを含むため、形状保持性を有する。したがって、マスク1に取り付けられた熱伝導ユニット3を備える収容ユニット2をマスク1から取り外す場合に、粘着部材34を元の形状に容易に戻すことができる。
【0052】
また、上記構成に係る熱伝導ユニット3によれば、ペルチェ素子311に対して衝撃が加わることを抑制しつつ、高熱伝導部材32を効率的に冷やすことができる。
【0053】
また、上記構成に係る熱伝導ユニット3によれば、ペルチェ素子311は、第二断熱部材36の中央部に設けられた空洞部36Aに配置されている。このため、熱伝導ユニット3は、外部から高熱伝導部材32が温められることをより抑制することができ、使用者Uが高熱伝導部材32の第二面32Bにおいて得ることができる冷却効果をさらに高めることができる。
【0054】
また、上記構成に係る熱伝導ユニット3によれば、ペルチェ素子311の冷却面311a,321aによる冷却効果を高熱伝導部材の面方向に伝導させることができるので、使用者Uに対して、広範囲に冷却効果を与えることができる。
【0055】
また、上記構成に係る熱伝導ユニット3によれば、第一断熱部材35および第二断熱部材36は良好な形状追従性と断熱性を有するので、マスク1に取り付けやすく、かつ冷却効果の効率性を高めることができる。
【0056】
(第二実施形態)
次に、
図11を参照しながら、第二実施形態に係る収容ユニット20について説明する。なお、収容ユニット20において、第一実施形態に係る収容ユニット2と同様の構成については同じ符号を付し、その説明は省略する。収容ユニット20は、収容ユニット2と同様の方法により、例えばマスク1に取り付けることができる。収容ユニット20は、収容部材4の代わりに収容部材40を備えている点と、熱伝導ユニット3の代わりに熱伝導ユニット30を備えている点で、収容ユニット2と異なる。また熱伝導ユニット30は、第一断熱部材35と第二断熱部材36の代わりに、単一の断熱部材300を備えている点で、熱伝導ユニット3と異なる。
【0057】
収容部材40は、収容部41の代わりに収容部411を有している一方で、取付部42は有していない。収容部材40は、例えば、側壁面421のうちマスク1の本体部11と接触する部分である後端部421aと、本体部11と、を接着剤等で固定することにより、本体部11に取り付けられる。したがって、第二実施形態においては、側壁面421の後端部421aが、収容部材40を直接的にマスク1の本体部11に取り付けるための部位である。
【0058】
収容部材40は、収容部材4の製造方法と同様の製造方法により製造される。なお、第二実施形態において、
図7における第三ステップS3で繊維生地50から取り除かれる部分は、第一実施形態において、第三ステップS3で繊維生地50から取り除かれる部分と異なる。
【0059】
断熱部材300は、例えば第一断熱部材35と同様の材料から形成されうる。断熱部材300の厚さは、第一断熱部材35の厚さと等しい。したがって、断熱部材300の厚さと粘着部材34の厚さの和は、ペルチェ素子311の厚さと等しい。断熱部材300は、粘着部材34と高熱伝導部材32の間に配置されている。粘着部材34は、断熱部材300の前面を覆うように、断熱部材300に接着されている。また断熱部材300の後面は、高熱伝導部材32の第一面32Aと接している。したがって、断熱部材300は、第一面32Aが熱伝導ユニット30の外部にある空気によって温められることを抑制している。断熱部材300の中央部には、空洞部300Aが設けられている。空洞部300Aには、ペルチェ素子311が配置されている。つまり、断熱部材300は、ペルチェ素子311を囲うように、ペルチェ素子311の近傍に配置されている。なお、本実施形態において、断熱部材300とペルチェ素子311との間には隙間がない。
【0060】
第二実施形態に係る熱伝導ユニット30においても、第一実施形態に係る熱伝導ユニット3と同様の効果を奏することができる。
【0061】
上記の実施形態は本開示の理解を容易にするためのものであって、本開示を限定するものではない。本開示は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されうる。
【0062】
上記の実施形態において、収容部材4はマスク1に取り付けられているが、マスク1以外の物品(例えば、被服、運動着、帽子、サンバイザー、靴、寝具等)に取り付けられてもよい。
【0063】
上記の実施形態において、繊維生地50は、当該伸縮糸が横編機によって編まれることで作製されるが、例えば当該伸縮糸が丸編機、経編機、織機等によって編まれることで作製されてもよい。
【0064】
上記の実施形態において、伸縮糸は、フィラメント・ツイスティッド・ヤーンであるが、例えば、化学繊維の熱可塑性を利用してナイロンやポリエステル等のフィラメント糸にクリンプ形態を与えた仮撚り加工糸、伸長率向上のために弛緩熱処理(DDW加工)を施した加工糸、熱融着糸を撚糸した糸、熱融着糸と芯糸を引き揃えることで形成される引き揃え糸等であってもよい。
【0065】
第一実施形態において、収容部材4は、取付部42が第一断熱部材35に装着され、第一断熱部材35の前面を覆う粘着部材34が第一フィルム111と接着することで、本体部11に取り付けられているが、本開示はこれに限られない。収容部材4は、例えば、取付部42と本体部11とがドットボタンや磁石等によって留められることで、本体部11に取り付けられてもよい。つまり、収容部材4は、取付部42を介して、直接的に本体部11に取り付けられてもよいし、間接的に本体部11に取り付けられてもよい。
【0066】
上記の実施形態において、本体部11は、第一フィルム111を有しているが、第一フィルム111を有していなくてもよい。
【0067】
上記の実施形態において、熱伝導ユニット3,30は、第二フィルム33および粘着部材34を備えているが、第二フィルム33および粘着部材34を備えていなくてもよい。
【0068】
上記の実施形態において、粘着部材34は、形状記憶ゲルを含んでいるが、形状記憶ゲルを含んでいなくてもよい。
【0069】
第一実施形態において、第一断熱部材35の厚さと粘着部材34の厚さの和と、第二断熱部材36の厚さと、は、ペルチェ素子311の厚さと等しいが、ペルチェ素子311の厚さと等しくなくてもよい。また、第二実施形態において、断熱部材300の厚さと粘着部材34の厚さの和は、ペルチェ素子311の厚さと等しいが、ペルチェ素子311の厚さと等しくなくてもよい。
【0070】
上記の実施形態において、高熱伝導部材32の耐屈曲試験における耐屈曲回数は10000回以上であるが、5000回以上であればよく、10000回以上に限られない。
【0071】
上記の実施形態において、第一断熱部材35および第二断熱部材36または断熱部材300の耐屈曲試験における耐屈曲回数は10000回以上であるが、5000回以上であればよく、10000回以上に限られない。
【符号の説明】
【0072】
1:マスク、2:収容ユニット、3,30:熱伝導ユニット、4,40:収容部材、5:金型、11:本体部、12:装着部、13:挿入孔、20:収容ユニット、31:冷却用電子デバイス、32:高熱伝導部材、32A:第一面、32B:第二面、33:第二フィルム、34:粘着部材、35:第一断熱部材、36:第二断熱部材、36A,300A:空洞部、40A:第一孔部、40B:第二孔部、41,411:収容部、42:取付部、50:繊維生地、50A:第一部、50B:第二部、51:台座部、52:凸部、53:蓋部、61:第一配線、62:第二配線、63:差込部、100:マスクユニット、111:第一フィルム、300:断熱部材、310:第一冷却用電子デバイス、311,321:ペルチェ素子、311a,321a:冷却面、311b,321b:放熱面、312:放熱部材、313:ファン、314:第三配線、315:第三コネクタ部、320:第二冷却用電子デバイス、324:第四配線、325:第四コネクタ部、410:天面、410A,531:開口部、420,421:側壁面、421a:後端部、510:穴部、532:棒状部、611:第一コネクタ部、612:第二コネクタ部、3121:ベース部材、3122:放熱フィン