(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088732
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】電子写真記録材料
(51)【国際特許分類】
G03G 7/00 20060101AFI20230620BHJP
D21H 27/30 20060101ALI20230620BHJP
B32B 27/10 20060101ALI20230620BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
G03G7/00 101A
G03G7/00 101B
D21H27/30 C
B32B27/10
B32B27/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203646
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 旭
【テーマコード(参考)】
4F100
4L055
【Fターム(参考)】
4F100AH03B
4F100AK01B
4F100AK05B
4F100AK06B
4F100AK70C
4F100AT00A
4F100AT00C
4F100BA03
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4F100DG10A
4F100EH46C
4F100EJ55A
4F100GB41
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4L055AA03
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4L055AG34
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4L055AG89
4L055AH50
4L055AJ02
4L055CH18
4L055EA32
4L055FA11
4L055FA15
4L055FA30
4L055GA08
4L055GA15
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、印刷後の捌き性、トナー定着性、および耐ブロッキング性に優れた電子写真記録材料を提供することである。
【解決手段】基材上にトナー受理層を有する電子写真記録材料であって、該基材が、原紙と、該原紙の少なくとも片面に樹脂層を有し、該樹脂層がイオン液体を樹脂層の総固形分量に対して2.5~15質量%含有し、該トナー受理層が帯電防止剤を実質的に含有しないことを特徴とする電子写真記録材料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にトナー受理層を有する電子写真記録材料であって、該基材が、原紙と、該原紙の少なくとも片面に樹脂層を有し、該樹脂層がイオン液体を樹脂層の総固形分量に対して2.5~15質量%含有し、該トナー受理層が帯電防止剤を実質的に含有しないことを特徴とする電子写真記録材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い帯電防止効果を有し、印刷後の捌き性、トナー定着性、耐ブロッキング性に優れた電子写真記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による記録は、複写機をはじめ、端末のプリント出力、ファクシミリ、少部数印刷などの様々な分野に適用されている。また電子写真の出力装置の進歩も著しく、印刷速度は向上し、トナーの改良により高精細化を達成し、色再現性も大きく向上し、文書出力から写真出力まで様々な用途に使用されるようになってきた。
【0003】
写真出力用途において、記録材料には、高い平滑性が要求されるため、該記録材料としては、天然パルプを主成分とする紙基材をフィルム形成能のある樹脂で被覆した、あるいは紙基材に樹脂フィルムを貼合して得られた樹脂被覆紙、または樹脂フィルム等が好適であり、それら樹脂被覆紙等の表面にトナー受理層を設けた電子写真記録材料が知られている。例えば、紙基材に貼り合わされた樹脂フィルム上に特定のガラス転移温度を有する樹脂と低抵抗処理剤、有機ポリマー微粒子を含むトナー受理層を有する電子写真記録材料(特許文献1)が提案されている。
【0004】
しかし、樹脂フィルムや紙基材の少なくとも片面に樹脂フィルムを貼合した電子写真用記録材料は、記録品質、トナー定着性、耐水性および耐久性には優れているものの、連続で印刷した場合に印刷機器内で記録材料に与えられた帯電が除去しきれず、印刷後にこれを重ねたまま放置しておくと記録材料同士が貼り付いてしまい、記録材料の捌き性が悪化するという課題があった。
【0005】
印刷後の帯電を防止する記録材料としては、樹脂被覆紙の樹脂層にポリエーテル系高分子型帯電防止剤を含有する電子写真記録材料(特許文献2)が提案されている。しかしながら、高分子型帯電防止剤は、樹脂との相溶性が悪く、混合ムラが観察され、トナー定着後の画像ムラを発生させる場合があり、更なる改良が求められていた。
【0006】
帯電防止剤を電子写真記録材料の最表層に添加することにより帯電抑制に大きな効果を発揮することは一般的に知られており、第4級アンモニウム塩系帯電防止剤等を最表層のトナー受理層に含有させた電子写真記録材料(特許文献3)が提案されている。しかしながら、界面活性剤系の帯電防止剤は、水分を集める性質があることから、記録材料を積層して保管しておいた場合、保管条件によってはブロッキングが発生したり、トナー定着性を悪化させたりすることが課題となっていた。
【0007】
また、トナー受理層に、樹脂との相溶性が高く、湿度の影響を受けにくいイオン液体型帯電防止剤を含有させた電子写真記録材料(特許文献4)も提案されているが、表面固有抵抗値が低下するものの、体積固有抵抗値が低下し難く、多部数の連続印刷を実施した際に記録材料同士が貼り付いてしまい、記録材料の捌き性が悪化させる場合があり、更なる改良が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007-65517号公報
【特許文献2】特開2006-240186号公報
【特許文献3】特開2002-221811号公報
【特許文献4】特開2019-139174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、印刷後の捌き性、トナー定着性、および耐ブロッキング性に優れた電子写真記録材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、以下の手段によって解決できる。
【0011】
基材上にトナー受理層を有する電子写真記録材料であって、該基材が、原紙と、該原紙の少なくとも片面に樹脂層を有し、該樹脂層がイオン液体を樹脂層の全固形分量に対して2.5~15質量%含有し、該トナー受理層が帯電防止剤を実質的に含有しないことを特徴とする電子写真記録材料。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、印刷後の捌き性、トナー定着性、および耐ブロッキング性に優れた電子写真記録材料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の電子写真記録材料について詳細に説明する。
【0014】
本発明の電子写真記録材料は、基材上にトナー受理層を有する電子写真記録材料であって、該基材が、原紙と、該原紙の少なくとも片面に樹脂層を有し、該樹脂層がイオン液体を樹脂層の全固形分量に対して2.5~15質量%含有し、該トナー受理層が帯電防止剤を実質的に含有しないことを特徴とする。
【0015】
本発明における基材が有する原紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成するパルプとしては、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができる。これらのパルプは、紙力、抄紙性調整のために、叩解機により濾水度を調製することができる。パルプの濾水度は、特に限定しないが、一般に250~550ml(CSF:JIS P8121)程度である。これらパルプは、1種もしくは2種類以上混合して用いることができる。
【0016】
原紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤を配合させることができる。
【0017】
サイズ剤として、ロジンサイズ、石鹸サイズ、アルキルケテンダイマー、アルケニル琥珀酸等を適宜組み合わせて含有させることができる。
【0018】
紙力増強剤として、アニオン性、カチオン性あるいは両性のポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カチオン化澱粉、植物性ガラクトマンナン等、湿潤紙力増強剤として、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂等、填料として、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン等、定着剤として、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の水溶性アルミニウム塩等、pH調整剤として、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、硫酸等、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤等を適宜組み合わせて含有させることができる。
【0019】
更に、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が原紙の表面に塗布されていてもよい。
【0020】
原紙の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常、30~500μmが好ましく、50~300μmがより好ましく、100~250μmが更に好ましい。前記原紙の坪量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、50~250g/m2が好ましく、100~200g/m2がより好ましい。
【0021】
前記原紙の少なくとも片面に樹脂層を形成することにより、樹脂被覆紙を製造することができる。該樹脂層の材質は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンのホモポリマーまたはエチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のオレフィンの2つ以上からなる共重合体が挙げられ、それらを単独、又は、2種類以上を混合して用いても良い。
【0022】
また、樹脂層中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム等の白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルー等のマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤等の各種の添加剤を適宜組み合わせて加えることができる。
【0023】
本発明の電子写真記録材料は、樹脂層にイオン液体を樹脂層の全固形分量に対して2.5~15質量%含有する。イオン液体(あるいはイオン性液体)とは、一対のカチオン成分とアニオン成分から構成されるイオン対化合物であり、融点が100℃以下のものを指す。イオン液体は、固体の塩に比べて樹脂との相溶性に優れるため、混合ムラが発生し難い。また、イオン液体によるイオン導電性により高い帯電防止効果を有しているため、湿度の影響を受けにくく、少量の添加で効果的に電子写真記録材料の捌き性を改善することができる。
【0024】
前記イオン液体を構成するカチオン成分は、例えば、テトラアルキルアンモニウム等のアンモニウム系;イミダゾリウム、ジアルキルイミダゾリウム等のイミダゾリウム系;ピリジニウム、アルキルピリジニウム、ピリミジウム、ピラゾリウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム等のピリジニウム系;ホスホニウム、トリアルキルホスホニウム、テトラアルキルホスホニウム等のホスホニウム系;の、イオン液体を構成するカチオン成分として従来知られているものを使用することができる。
【0025】
イオン液体を構成するアニオン成分は、例えば、Cl-、Br-、I-、AlCl4
-、Al2Cl7
-、BF4
-、PF6
-、ClO4
-、NO3
-、CH3COO-、CF3COO-、CH3SO3
-、CF3SO3
-、(FSO2)2N-、(CF3SO2)2N-、(CF3CF2SO2)2N-、(CF3SO2)3C-、(CN)2N-、C4F9SO3
-、(C2F5SO2)2N-、C3F7COO-、CF3CF2COO-、CF3SO3
-、CF3(CF2)3SO3
-、(CF3SO2)(CF3CO)N-、NbF6
-、TaF6
-、AsF6
-、SbF6
-、F(HF)n
-等が挙げられる。
【0026】
前記イオン液体は、固形の導電性フィラー等ではないため、分散性が悪いという難点がなく、樹脂層に好ましく含有させることができる。イオン液体は、1種類だけを含有させてもよいし、2種類以上を組み合わせて含有させてもよい。これらイオン液体は、例えば、広栄化学(株)からKOELIQ(登録商標)、第一工業製薬(株)からエレクセル(登録商標)、日本乳化剤(株)からアミノイオン(登録商標)などが市販されており、容易に入手可能である。
【0027】
イオン液体の含有量としては、樹脂層の総固形分量に対して、2.5~15質量%である。含有量が2.5質量%未満では帯電防止効果を得ることが難しく、印刷後の捌き性が悪化し、15質量%以上含有させても帯電防止効果は高くならず、原紙と樹脂層の密着性が低下する。
【0028】
電子写真記録材料の帯電防止効果は、表面固有抵抗値および体積固有抵抗値で表すこともできる。本発明の電子写真記録材料の表面固有抵抗値は、温度25℃、湿度50%RHの環境下において、1×107~9×1010Ωの範囲であることが好ましい。表面固有抵抗値が1×107Ω未満であると、トナー定着性が悪化し、鮮明な画像が得られない場合がある。9×1010Ωを超えると印刷後の電子写真記録材料の捌き性が悪化する場合がある。体積固有抵抗値は、温度25℃、50%RHの環境下において、1×107~9×1012Ω・cmの範囲であることが好ましい。表面固有抵抗値が1×107Ω・cm未満であると、トナー定着性が悪化し、鮮明な画像が得られない場合がある。9×1012Ω・cmを超えると印刷後の記録材料の捌き性が悪化する場合がある。
【0029】
本発明に係る樹脂被覆紙の製造方法としては、走行する原紙上にイオン液体を樹脂中に添加した樹脂組成物を加熱溶融した状態で流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、一般的にはその両面が樹脂により被覆される。また、樹脂を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理等の活性化処理を施すこともできる。樹脂被覆層の厚みとしては、特に制限はないが、1~50μmが好ましく、3~30μmがより好ましく、5~15μmが特に好ましい。
【0030】
本発明の電子写真記録材料は基材上にトナー受理層を有する。該トナー受理層は、樹脂成分を含有することができ、例えば、アイオノマー樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリル酸またはメタクリル酸若しくはこれらエステル等の誘導体を含む重合体若しくは共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体等の酢酸ビニル重合体、ポリビニルエーテル、アルキルビニルエーテル-無水マレイン酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体およびそれらの塩、塩化ビニリデン系共重合体、あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジニウムハライド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の合成ポリマー、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂、ゼラチン、酸化澱粉、カチオン化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉類、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体などである。
【0031】
トナー受理層には、他に各種無機酸、有機酸、pH調整剤、画像保存性、着色剤、増粘剤、界面活性剤、アンチブロッキング剤等を適用することができる。
【0032】
本発明の電子写真記録材料が有するトナー受理層は帯電防止剤を実質的に含有しないことを特徴とする。これにより、トナー定着性および耐ブロッキング性に優れた電子写真記録材料を提供することができる。ここで実質的に含有しないとは、トナー受理層の総固形分量に対して帯電防止剤の含有量が0.05質量%未満であることを意味する。前記帯電防止剤としては、特に制限はなく、従来から公知の各種帯電防止剤を目的に応じて適宜使用することができる。
【0033】
樹脂層上にトナー受理層の塗液を塗布するには、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、リバースグラビアコーター、リバースロールコーター、エクストルージョンバーコーター、カーテンコーター、エアナイフコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、リップコーター、ワイヤーバーコーター、ブレードコーター、スライドホッパーおよびそれらの組み合わせ等を用いることができる。塗布された塗液の乾燥には、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等各種装置を用いることができる。
【0034】
トナー受理層の厚みは、特に制限はないが、0.05~10μmであることが好ましい。
【実施例0035】
以下、実施例によって本発明を詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお記載中の%は、特にことわりのない限り質量%を示す。
【0036】
(実施例1)
濾水度350mlの広葉樹クラフトパルプに、アルキルケテンダイマーを対パルプ0.7%、ポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%添加し、水で希釈して0.2%スラリーとした。このスラリーを抄紙機で坪量135g/m2、厚み168μmの原紙になるように抄造した。次いで原紙両面にコロナ放電処理を施し、高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン=2/1(質量比)の混合樹脂に、イオン液体として、エレクセルAS-110(第一工業製薬(株)製、カチオン:1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、アニオン:ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン)を5%含むように添加した樹脂組成物を、厚みが15μmになるように、原紙の両面に押出コーティングし、樹脂被覆紙を製造した。次いで、得られた樹脂被覆紙の樹脂層両面に、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー樹脂水分散液(住友精化(株)製、ザイクセン(登録商標)A)を厚さ1μmになるようにワイヤーバーコーターで塗工し、トナー受理層を形成して実施例1の電子写真記録材料を得た。
【0037】
(実施例2)
樹脂組成物にエレクセルAS-110(第一工業製薬(株)製)を10%含有させたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の電子写真記録材料を得た。
【0038】
(比較例1)
樹脂組成物にイオン液体を含まないこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の電子写真記録材料を得た。
【0039】
(比較例2)
樹脂組成物にエレクセルAS-110(第一工業製薬(株)製)を20%含有させたこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の電子写真記録材料を得た。
【0040】
(比較例3)
両面のトナー受理層にカチオン系第4級アンモニウム塩((株)日新化学研究所製、カプロンC-30)をアイオノマー樹脂に対して1.0%含有させたこと以外は、実施例1と同様にして比較例3の電子写真記録材料を得た。
【0041】
(比較例4)
樹脂組成物にはエレクセルAS-110(第一工業製薬(株)製)を添加せずに、両面のトナー受理層にエレクセルAS-110(第一工業製薬(株)製)をアイオノマー樹脂に対して5.0%含有させたこと以外は、実施例1と同様にして比較例4の電子写真記録材料を得た。
【0042】
<表面固有抵抗値および体積抵抗値評価>
実施例1、2および比較例1~4の電子写真記録材料を5×10cmに切り出し、25℃、50%RHの環境下で24時間調湿した。次いで、高抵抗率計(三菱化学(株)製、ハイレスタUP MCP-HT450)で、25℃、50%RHの環境下での表面固有抵抗値(Ω)および体積固有抵抗値(Ω・cm)を測定した。
【0043】
<捌き性評価>
電子写真方式の印刷機として、bizhub PRESS(登録商標) C7000(コニカミノルタ(株)製)を用い、実施例1、2および比較例1~4の印刷後における電子写真記録材料の捌き性を評価した。評価の指標として、100枚連続印刷後に排紙トレーに出力されたA4サイズの電子写真記録材料束の短辺と長辺を揃えて、電子写真記録材料束を一定に揃える際の容易さについて下記の基準で評価を行った。評価が○である場合は、本発明として基準を満たしていることとする。比較例2は、樹脂層と原紙とが完全に密着しておらず、印刷機内で紙詰まりが発生する可能性があったため、評価が実施できなかった。
○:電子写真記録材料束が容易に揃う。
△:電子写真記録材料同士が弱く貼り付き、揃えるのに時間を要する。
×:電子写真記録材料同士が貼り付き、記録材料が全く揃わない。
【0044】
<トナー定着性評価>
電子写真方式の印刷機として、bizhub PRESS C7000(コニカミノルタ(株)製)を用い、実施例1、2および比較例1~4の電子写真記録材料にテスト画像の印刷を実施した。次いで、セロハンテープ(ニチバン(株)製、LP-18)を印刷画像部に貼り付けて、テープを剥がして、テープに付着したトナー量を観察し、下記の基準で評価を行った。評価が○である場合は、本発明として基準を満たしていることとする。比較例2は、樹脂層と原紙とが完全に密着しておらず、印刷機内で紙詰まりが発生する可能性があったため、評価が実施できなかった。
○:テープにトナーの付着が見られない。
△:テープに僅かにトナーの付着が見られる。
×:テープにトナーの大半が付着している。
【0045】
<耐ブロッキング性評価>
実施例1、2および比較例1~4の電子写真記録材料をA4サイズに切り出し、2枚を一組として積層させ、0.25kgf/cm2の加重がかかるように圧力を加え、23℃、50%RHの環境下で96時間保管した。保管後、2枚の電子写真記録材料を剥がした時の表面状態を観察し、下記の基準で評価を行った。評価が○である場合は、本発明として基準を満たしていることとする。
○:剥がす際に引っかかりが無く、トナー受理層同士の接着は確認されなかった。
△:剥がす際に僅かに引っかかりが有るものの、トナー受理層同士の接着は確認されなかった。
×:剥がす際に引っかかりが有り、トナー受理層の剥がれが確認された。
【0046】
実施例1、2および比較例1~4の電子写真記録材料の表面固有抵抗値、体積固有抵抗値、捌き性評価、トナー定着性評価、および耐ブロッキング性評価結果を表1に示す。
【0047】
【0048】
表1の結果から、本発明の電子写真記録材料は、捌き性、トナー定着性、および耐ブロッキング性に優れていることがわかる。