(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088751
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/92 20060101AFI20230620BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20230620BHJP
A61K 8/03 20060101ALI20230620BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230620BHJP
A61K 8/24 20060101ALI20230620BHJP
A61K 8/368 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
A61K8/92
A61Q19/10
A61K8/03
A61K8/34
A61K8/24
A61K8/368
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203673
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】潘 丁允
(72)【発明者】
【氏名】中野 新一郎
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB281
4C083AB282
4C083AC011
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC311
4C083AC312
4C083AC331
4C083AC712
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD111
4C083AD151
4C083AD152
4C083BB07
4C083BB11
4C083DD05
4C083EE01
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】使用感、洗浄能力、および分離性に優れた二層型化粧料の提供。
【解決手段】
(A)特定量のアルキルグリセリルエーテルと、
(B)特定量の両性界面活性剤と、
(C)特定量のメタリン酸金属塩と、
(D)(A)以外のアルコールおよび/または安息香酸塩と、
(E)水と、
(F)油
を含む、二層型化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二層型化粧料であって、
(A)前記二層型化粧料の総質量を基準として、0.01質量%~0.3質量%のアルキルグリセリルエーテルと、
(B)前記二層型化粧料の総質量を基準として、0.005質量%~0.4質量%の両性界面活性剤と、
(C)前記二層型化粧料の総質量を基準として、0.005質量%~0.5質量%のメタリン酸金属塩と、
(D)(A)以外のアルコールおよび/または安息香酸塩と、
(E)水と、
(F)油
を含む、二層型化粧料。
【請求項2】
前記二層型化粧料の総質量を基準として、水相の割合が40~80質量%である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記アルキルグリセリルエーテルが、エチルヘキシルグリセリン、ヘキシルグリセリン、およびシクロヘキシルグリセリンからなる群から選択されるものである、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項4】
前記アルコールが、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、イソペンチルジオール、ブタンジオール、プロパンジオール、ジグリセリン、グリセリン、n-プロピルアルコール、ジプロピレンアルコール、およびイソプロピルアルコールからなる群から選択されるものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の化粧料。
【請求項5】
前記安息香酸金属塩が、安息香酸ナトリウムであり、前記メタリン酸金属塩がメタリン酸ナトリウムである、請求項1~4のいずれか1項に記載の化粧料。
【請求項6】
前記油が、炭化水素油、アルコールエステル、およびシリコーン油からなる群から選択されるものである、請求項1~5のいずれか1項に記載の化粧料。
【請求項7】
前記アルキルグリセリルエーテルの含有率が、前記二層型化粧料の総質量を基準として、0.15~0.25質量%である、請求項1~6のいずれか1項に記載の化粧料。
【請求項8】
前記両性界面活性剤の含有率が、前記二層型化粧料の総質量を基準として、0.03~0.3質量%である、請求項1~7のいずれか1項に記載の化粧料。
【請求項9】
前記メタリン酸金属塩の含有率が、前記二層型化粧料の総質量を基準として、0.05~0.4質量%である、請求項1~8のいずれか1項に記載の化粧料。
【請求項10】
洗浄料である、請求項1~9のいずれか1項に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関するものである。より詳細には、静置時には二層に分離しているが、振とうすることによって容易に乳化する化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料として静置時には二層に分離しているが、使用時に振とうすることによって乳化させてから適用する二層型化粧料が知られている。このような化粧料は、一般的に水性成分から構成される水相と、油性成分から構成される油相とを含んでいる。このような二層型化粧料を振とう後に肌などに適用すると、水性成分および油性成分のそれぞれによって得られる使用感や効能を同時に得ることができるという特徴がある。例えば、水性成分からは、水溶性薬剤による効能やさっぱりとした使用感を得ることができ、油性成分からは油溶性薬剤による効能や洗浄効果を得ることができる。より具体的には、洗浄料を二層型洗浄料とすることで、油性成分によって水不溶性物質の除去性能を高めながら、水性成分によってさっぱりとした使用感を得ることができる。このため、ウォータープルーフのメーキャップなども容易に除去できる高い洗浄力を有しながら、使用後のべたつきの少ない、洗浄料とすることができる。
【0003】
しかしながら、二層型化粧料においては、静置時にきれいに二層に分離する分離性が必要である。なぜならば、分離が不十分であると製品としての印象が悪く、視覚的先入観によって十分な性能または効能が得られるのか不安を与えることがあるためである。しかし、本発明者らの検討によれば、二層型化粧料の防腐性を高めるために、多価アルコール、安息香酸ナトリウム、またはイソプロピルアルコールなどの防腐性能を有する添加剤を組み合わせると、きれいに分離しないことがあることがわかった。このため、そのような成分が組み合わされた場合にも、優れた分離性を示す二層型化粧料が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
このような観点から、本発明者らが検討したところ、防腐剤を含む二層型化粧料の分離性を高めるのに、特定の材料が有効なことがわかった。すなわち。本発明はかかる知見に基づくものであり、その解決しようとする課題は、優れた使用感や洗浄能力を有し、視覚的に満足を与える分離性、振とうの際に速やかに乳化する乳化容易性を兼ね備えた化粧料を提供することである。
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] 二層型化粧料であって、
(A)前記二層型化粧料の総質量を基準として、0.01質量%~0.3質量%のアルキルグリセリルエーテルと、
(B)前記二層型化粧料の総質量を基準として、0.005質量%~0.4質量%の両性界面活性剤と、
(C)前記二層型化粧料の総質量を基準として、0.005質量%~0.5質量%のメタリン酸金属塩と、
(D)(A)以外のアルコールおよび/または安息香酸塩と、
(E)水と、
(F)油
を含む、二層型化粧料。
[2] 前記二層型化粧料の総質量を基準として、水相の割合が40~80質量%である、[1]に記載の化粧料。
[3] 前記アルキルグリセリルエーテルが、エチルヘキシルグリセリン、ヘキシルグリセリン、およびシクロヘキシルグリセリンからなる群から選択されるものである、[1]または[2]に記載の化粧料。
[4] 前記アルコールが、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、イソペンチルジオール、ブタンジオール、プロパンジオール、ジグリセリン、グリセリン、n-プロピルアルコール、ジプロピレンアルコール、およびイソプロピルアルコールからなる群から選択されるものである、[1]~[3]のいずれかに記載の化粧料。
[5] 前記安息香酸金属塩が、安息香酸ナトリウムであり、前記メタリン酸金属塩がメタリン酸ナトリウムである、[1]~[4]のいずれかに記載の化粧料。
[6] 前記油が、炭化水素油、アルコールエステル、およびシリコーン油からなる群から選択されるものである、[1]~[5]のいずれかに記載の化粧料。
[7] 前記アルキルグリセリルエーテルの含有率が、前記二層型化粧料の総質量を基準として、0.15~0.25質量%である、[1]~[6]のいずれかに記載の化粧料。
[8] 前記両性界面活性剤の含有率が、前記二層型化粧料の総質量を基準として、0.03~0.3質量%である、[1]~[7]のいずれかに記載の化粧料。
[9] 前記メタリン酸金属塩の含有率が、前記二層型化粧料の総質量を基準として、0.05~0.4質量%である、[1]~[8]のいずれかに記載の化粧料。
[10] 洗浄料である、[1]~[9]のいずれかに記載の化粧料。
【0007】
本発明による化粧料は、優れた使用感や洗浄能力を有し、視覚的に満足を与える分離性、振とうの際に速やかに乳化する乳化容易性を兼ね備えている。また、本発明による化粧料は、環境にも優しい材料を用いており、使用時に不快な臭い等を生じる材料も必要としない。
【発明の具体的説明】
【0008】
[二層型化粧料]
本発明による二層型化粧料は、
(A)アルキルグリセリルエーテルと、
(B)両性界面活性剤と、
(C)メタリン酸金属塩と、
(D)(A)以外のアルコールおよび/または安息香酸塩と、
(E)水と、
(F)油
を含むものである。これらの成分は、各成分の水溶性または油溶性に応じて、水相と油相とを構成する。水相と油相との割合は目的に応じて調整されるが、二層型化粧料の総質量を基準として、水溶性成分および油溶性成分のそれぞれによる効能を十分に得るために、水相の割合が40~80質量%であることが好ましく、50~70質量%であることがより好ましい。
【0009】
本発明による二層型化粧料に含まれる各成分について説明をすると以下のとおりである。
【0010】
(A)アルキルグリセリルエーテル
本発明による化粧料は、アルキルグリセリルエーテルを含む。このアルキルグリセリルエーテルは、二層型化粧料の主として油相に存在して、分離性の改良に寄与するモノと考えられる。アルキルグリセリルエーテルは、グリセリンの水酸基にアルキル基がエーテル結合をした構造を有している。モノアルキルグリセリルエーテル、ジアルキルグリセリルエーテル、またはトリアルキルグリセリルエーテルのいずれを用いることができるが、モノアルキルグリセリルエーテルが分離性改良の効果が優れているので好ましい。また、アルキル基の炭素数は、4~10であることが好ましく、6~8がより好ましい。アルキル基は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれの構造であってもよい。より具体的には、アルキルグリセリルエーテルは、エチルヘキシルグリセリン、ヘキシルグリセリン、およびシクロヘキシルグリセリンからなる群から選択されるものであることが好ましい。
【0011】
アルキルグリセリルエーテルの含有率は、前記二層型化粧料の総質量を基準として、0.01~0.3質量%であることが好ましく、0.15~0.25質量%であることがより好ましい。
【0012】
(B)両性界面活性剤
本発明による化粧料は両性界面活性剤を含む。この両性界面活性剤は、本発明による二層型化粧料において、水層と油層との分離性に寄与するものと考えられる。用いることができる両性界面活性剤は、特に限定されるものではないが、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤やベタイン系両性界面活性剤が好ましく用いられる。具体的には、ラウリルベタイン、コカミドプロピリベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウム、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等が挙げられる。これらの両性界面活性剤は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】
両性界面活性剤の含有率は、二層型化粧料の総質量を基準として、0.005~0.4質量%であることが好ましく、0.03~0.3質量%であることがより好ましい。
【0014】
(C)メタリン酸金属塩
本発明による化粧料は、メタリン酸金属塩を含む。このメタリン酸金属塩は、両性界面活性剤との組み合わせによって、二層型化粧料の分離性に寄与するものと考えられる。メタリン酸は、一般式(HPO3)n(ここでnは重合度を表す数である)で表される構造を有し、主としてPO4単位が連なったポリリン酸構造、またはPO3単位が環状構造を構成するシクロリン酸構造をとる。本発明においてメタリン金属塩は、いずれの構造を有したものを用いることができ、またそれらの混合物であってもよい。
金属塩を構成する金属イオンは特に限定されないが、水溶性が高いことが好ましく、アルカリ金属塩、またはアルカリ土類金属塩であることがより好ましい。典型的にはメタリン酸ナトリウムまたはメタリン酸カリウムが用いられ、メタリン酸ナトリウムが最も好ましい。
【0015】
メタリン酸金属塩の含有率は、二層型化粧料の総質量を基準として、0.015~0.5質量%であることが好ましく、0.05~0.4質量%であることがより好ましい。
【0016】
(D)アルコールおよび/または安息香酸塩
本発明による化粧料はアルコールおよび/または安息香酸塩を含む。ここで、(A)成分であるアルキルグリセリルエーテルは、アルコール性水酸基を有するものであるが、本発明においては、(D)成分のアルコールには含めない。
【0017】
アルコールは、単価アルコールであっても、多価アルコールであってもよい。また低級アルコールであっても、高級アルコールであってもよい。
【0018】
本発明において、多価アルコールとは炭化水素鎖に2個以上の水酸基が結合したものをいう。ここで炭化水素鎖はエーテル結合を含んでいてもよい。この多価アルコールは、本発明による化粧料において、防腐能力を与えるものと考えられ、水相に配合することが好ましい。
【0019】
このような多価アルコールとしては、例えば、
2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、イソペンチルジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、およびオクチレングリコール等);
3価のアルコール(例えば、グリセリン、およびトリメチロールプロパン等);
4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);
5価アルコール(例えば、キシリトール等);
6価アルコール(例えば、ソルビトール、およびマンニトール等);
多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、およびポリグリセリン等);
等が挙げられる。
【0020】
これらのうち、多価アルコールとして、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、イソペンチルジオール、ブタンジオール、プロパンジオール、ジグリセリン、およびグリセリンからなる群から選択されるものが好ましい。
【0021】
多価アルコールを用いる場合の含有率は、二層型化粧料の総質量を基準として、例えば11~19質量%であり、11~16質量%であることが好ましい。
【0022】
本発明において、単価アルコールとは炭化水素鎖に1個の水酸基が結合したものをいう。この単価アルコールは、本発明による化粧料において防腐能力を与えることができるものと考えられ、油相に配合することが好ましい。具体的には、単価アルコールは、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、フェノキシアルコールおよびエチルアルコールなどがあげられ、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコールなどが好ましく用いられる。
【0023】
単価アルコールを用いる場合の含有率は、二層型化粧料の総質量を基準として、0.2~0.7質量%であることが好ましく、0.25~0.55質量%であることがより好ましい。
【0024】
なお、これらのアルコールは、目的に応じて任意に選択することができるが、肌への負担を低減するために、フェノキシアルコールやエタノール以外のアルコールを採用することが好ましい。
【0025】
本発明において、安息香酸金属塩は、安息香酸の水素が任意の金属で置換された塩である、安息香酸金属塩は、本発明による化粧料において、主に水相に防腐能力を与えるものと考えられる。このため、水溶性が高いことが好ましく、アルカリ金属塩、またはアルカリ土類金属塩であることがより好ましい。典型的には安息香酸ナトリウムまたは安息香酸カリウムが用いられ、安息香酸ナトリウムが最も好ましい。
【0026】
安息香酸金属塩を用いる場合の含有率は、二層型化粧料の総質量を基準として、0.1~0.5質量%であることが好ましく、0.1~0.4質量%であることがより好ましい。
【0027】
(D)水
本発明による二層型化粧料は、水相の成分として、更に水を含む。水としては、一般的に化粧料に使用される水を使用することができ、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等を使用することができる。
(E)油
本発明による化粧料は、油を含む。油は、二層型化粧料の油相を構成する主成分となり、化粧料に各種の効能を与える油溶性成分を溶解したり、化粧料に洗浄能力を付与したりする。本発明の化粧料に配合される油は、通常化粧料において用いられるものから任意に選択することができて、特に限定されるものではない。例えば、炭化水素油、アルコールエステル、シリコーン油、高級脂肪酸、高級アルコールなどが挙げられる。本発明においては、これらのうち、炭化水素油、アルコールエステル、およびシリコーン油からなる群から選択されるものを油として用いることが好ましい。
【0028】
炭化水素油の例としては、ミネラルオイル(流動パラフィン)、水添ポリイソブテン、イソドデカン、イソヘキサデカン、スクワラン、セレシン、マイクロクリシタリンワックスなどが上げられる。これらのうち、ミネラルオイル(流動パラフィン)、水添ポリイソブテン、イソドデカン、イソヘキサデカン、およびスクワランからなる群から選択される炭化水素油が好ましい。
【0029】
アルコールエステルの例としては、エチルヘキサン酸セチル、(オクタン酸セチル)、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコールジオクタン酸エチレングリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラオクタン酸ペンタオリスリトール、トリオクタン酸グリセリン、トリイソステアリン酸グリセリン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどが挙げられる。これらのうち、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、およびジカプリン酸ネオペンチルグリコールからなる群から選択されるアルコールエステルが好ましい。
【0030】
シリコーン油の例としては、シロキサン構造を主鎖に有し、メチル基やフェニル基で置換されたメチルフェニルシリコーンやジメチコン、その他の変性ポリシロキサン、例えばアミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等が挙げられる。これらのうち、メチルフェニルシリコーンとメチルポリシロキサンが好ましく、具体的にはジフェニルジメチコン、ドデカメチルペンタシロキサンまたはデカメチルテトラシロキサンが好ましく用いられる。
【0031】
高級脂肪酸の例としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0032】
高級アルコールの例としては、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等)、分枝鎖アルコール(例えば、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0033】
これらの油は2種類以上を組み合わせて用いることができる。なお、油は室温で液体であるものが好ましい。室温で固体の油も、他の油と混合したときに液体となるものであれば用いることができる。
【0034】
本発明による化粧料は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記した以外の、化粧料に通常用いられる成分を配合することができる。これらの成分としては、例えば、増粘剤、保湿剤、水溶性薬剤(例えば、アルブチン、アスコルビン酸グルコシド、トラネキサム酸、4-メトキシサリチル酸塩等)、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調製剤、防腐剤、色素、染料、界面活性剤、粉末成分等が挙げられる。
【0035】
本発明による化粧料は、静置時には水層と油層とが明確に分離して、それぞれが濁りの無い透明な層を形成する、優れた外観を有する。二層に分離した化粧料は、容器内に収容したまま、手などで振とうすることで容易に均一に乳化して、使用に付すことができる。そして、乳化させた後、短時間、例えば6時間以下、静置することで、再び水層と油層とが明確に分離する。
【0036】
この二層型化粧料は、単純に二層に分離しているのでは無く、使用時には水相と油相とのそれぞれの長所を併せ持った性能を示すものである。具体的には、水相または油相に適切な薬剤等を配合することによって、化粧水などとすることができるほか、洗浄料とすることもできる。本発明による二層型化粧料は、洗浄料としては、油相による洗浄効果を発揮させると同時に、水相によるさっぱりとした使用感を与えることができる。
【0037】
[化粧料の製造方法]
本発明による化粧料は、各成分を配合して混合することで製造することができる。混合順序は特に限定されないが、水相と油相とをそれぞれ調製し、その後、それらを単一の容器に封入することが一般的である。すなわち、水相と油相とをそれぞれ調製し、その後、水相と油相とを配合することで化粧料を調製することができる。
【実施例0038】
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。含有率は特記しない限り、質量%で示す。
【0039】
[実施例1~14および比較例1~6]
表1に示される配合で、各成分を配合して洗浄料を調製し、その性能を評価した。なお、各評価項目は、以下の方法で評価を行った。
【0040】
2層形成
化粧料を激しく振とうしてから静置し、分離状態観察して以下の基準で評価した。
A: 12時間以内にきれいに2層に分離した
B: 12時間以上経過後、きれいに2層に分離した
C: 2層に分離しなかった
【0041】
さっぱり感
化粧料を浸透して均一にした後、肌に塗布してその使用感に応じて、以下の基準で評価した。
A: さっぱり感が非常にある
B: さっぱり感がある
C: さっぱり感が不足
【0042】
【0043】
【0044】
[実施例15~32]
表2に示される配合で、各成分を配合して洗浄料を調製し、その性能を実施例1と同様に評価した。
【0045】
【0046】