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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088763
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】制御装置、機器
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20230620BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
H04L12/28 500A
H04L12/28 200Z
H04Q9/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203693
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】手塚 義隆
(72)【発明者】
【氏名】池部 早人
(72)【発明者】
【氏名】西谷 匡人
(72)【発明者】
【氏名】二宮 龍之介
【テーマコード(参考)】
5K033
5K048
【Fターム(参考)】
5K033BA01
5K033DA01
5K033DB20
5K033EA03
5K033EC02
5K048BA07
5K048BA08
5K048EB13
(57)【要約】
【課題】マルチキャスト通信の失敗が発生しても、制御装置における機器の登録を可能にする技術を提供する
【解決手段】通信部110は、登録候補となる機器200を探索するための第1メッセージをマルチキャスト送信してから、第1メッセージに対する応答である第2メッセージを機器200からユニキャスト受信可能であるとともに、第1メッセージと同一の内容の第3メッセージをブロードキャスト送信してから、第3メッセージに対する応答である第4メッセージを機器200からユニキャスト受信可能である。制御部140は、通信部110が第2メッセージと第4メッセージとのうちの少なくとも1つをユニキャスト受信した場合、機器200を登録するための情報を通信部110に取得させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
登録候補となる機器を探索するための第1メッセージをマルチキャスト送信してから、前記第1メッセージに対する応答である第2メッセージを前記機器からユニキャスト受信可能であるとともに、前記第1メッセージと同一の内容の第3メッセージをブロードキャスト送信してから、前記第3メッセージに対する応答である第4メッセージを前記機器からユニキャスト受信可能である通信部と、
前記通信部が前記第2メッセージと前記第4メッセージとのうちの少なくとも1つをユニキャスト受信した場合、前記機器を登録するための情報を前記通信部に取得させる制御部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記第1メッセージをマルチキャスト送信するタイミングと、前記第3メッセージをブロードキャスト送信するタイミングとをずらす請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記通信部は、前記第1メッセージをマルチキャスト送信してから所定時間経過後に、前記第3メッセージをブロードキャスト送信する請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記通信部は、前記第1メッセージのマルチキャスト送信と、前記第3メッセージのブロードキャスト送信とを並列に実行する請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1メッセージと前記第2メッセージには第1トランザクションIDが含まれ、前記第3メッセージと前記第2メッセージには第2トランザクションIDが含まれ、
前記制御部は、前記第1トランザクションIDと前記第2トランザクションIDとをもとに、前記第2メッセージと前記第4メッセージが同一内容であると判定する請求項1から4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記通信部がユニキャスト受信可能な前記第2メッセージと前記第4メッセージには、前記機器の種別を示す情報が含まれ、
前記制御部が前記通信部に取得させる前記機器を登録するための情報には、前記機器の固有の情報と、前記機器の種別に特化した情報が含まれ、
前記通信部は、前記機器の固有の情報を要求するための第5メッセージを前記機器にユニキャスト送信してから、前記機器の固有の情報が含まれた第6メッセージを前記機器からユニキャスト受信し、
前記通信部は、前記機器の種別に特化した情報を要求するための第7メッセージを前記機器にユニキャスト送信してから、前記機器の種別に特化した情報が含まれた第8メッセージを前記機器からユニキャスト受信する請求項1から5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
制御装置に登録された機器であって、
前記機器における情報の存在を知らせるための第1メッセージをマルチキャスト送信するとともに、前記第1メッセージと同一の内容の第2メッセージをブロードキャスト送信する通信部と、
前記通信部からマルチキャスト送信した前記第1メッセージと、前記通信部からブロードキャスト送信した前記第2メッセージのうちの少なくとも1つを前記制御装置が受信した場合、前記機器における情報を前記通信部から前記制御装置に提供させる制御部と、
を備える機器。
【請求項8】
前記第1メッセージには第1トランザクションIDが含まれ、前記第2メッセージには第2トランザクションIDが含まれ、
前記制御装置は、前記第1トランザクションIDと前記第2トランザクションIDとをもとに、前記第1メッセージと前記第2メッセージが同一内容であると判定する請求項7に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御技術に関し、特に機器を登録する制御装置、機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ホームネットワークにおいてHEMS(Home Energy Management System)コントローラがエアコンディショナ、照明などの機器を制御するための通信規格の1つがECHONET Lite(登録商標)である。この通信規格においてHEMSコントローラ(制御装置)と機器とを通信させるために、制御装置に機器を登録する必要がある。制御装置に機器を登録する手順では、制御装置がマルチキャスト通信を使用して登録候補となる機器を探索する(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】濱本、杉本、鷲津、石川、村上、杉村、森、一色、「ECHONET Lite搭載機器の相互接続性を阻害する家庭用ルータの実装状況調査,および相互接続性向上のための手法の提案」、情報処理学会論文誌 コンシューマ・デバイス&システム、日本、2019年1月、Vol.9、No.1、p.11-31
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マルチキャストのグループ管理を実行するためのプロトコルとして例えばIGMP(Internet Group Management Protocol)が使用される。しかしながら、機器、ルータにおけるIGMP機能実装の違いが存在すると、マルチキャストパケットが転送されなくなる。その結果、制御装置が機器を発見できなくなり、制御装置に機器を登録できなくなる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、マルチキャスト通信の失敗が発生しても、制御装置における機器の登録を可能にする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の制御装置は、登録候補となる機器を探索するための第1メッセージをマルチキャスト送信してから、第1メッセージに対する応答である第2メッセージを機器からユニキャスト受信可能であるとともに、第1メッセージと同一の内容の第3メッセージをブロードキャスト送信してから、第3メッセージに対する応答である第4メッセージを機器からユニキャスト受信可能である通信部と、通信部が第2メッセージと第4メッセージとのうちの少なくとも1つをユニキャスト受信した場合、機器を登録するための情報を通信部に取得させる制御部と、を備える。
【0007】
本開示の別の態様は、機器である。この機器は、制御装置に登録された機器であって、機器における情報の存在を知らせるための第1メッセージをマルチキャスト送信するとともに、第1メッセージと同一の内容の第2メッセージをブロードキャスト送信する通信部と、通信部からマルチキャスト送信した第1メッセージと、通信部からブロードキャスト送信した第2メッセージのうちの少なくとも1つを制御装置が受信した場合、機器における情報を通信部から制御装置に提供させる制御部と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、またはコンピュータプログラムを記録した記録媒体などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、マルチキャスト通信の失敗が発生しても、制御装置における機器の登録を可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施例に係る制御システムの構成を示す図である。
図2図1の制御システムにおいて実行されるIGMPの処理手順を示すシーケンス図である。
図3】本実施例の比較対象となる制御装置と機器との間の登録手順を示すシーケンス図である。
図4図1の制御装置と機器との間の登録手順を示すシーケンス図である。
図5図1の制御装置と機器との間のテーブル更新手順を示すシーケンス図である。
図6図1の制御装置と機器との間の別のテーブル更新手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施例を具体的に説明する前に、本実施例の概要を説明する。実施例は、戸建て住宅、マンション、アパート等の施設において、照明装置、エアーコンディショナの動作を制御する制御システムに関する。制御システムは、施設において消費される電力も管理可能である。制御システムでは、照明装置、エアーコンディショナ等の機器がネットワークを介して制御装置と接続されており、制御装置と機器との通信により制御装置が機器を制御する。制御システムの一例はHEMSであり、HEMSにおける通信にはECHONET Lite(登録商標)が使用される。
【0012】
制御システムでは、制御装置に機器が登録されると、制御装置と機器との通信が可能になる。ここで、登録とは、(i)IP(Internet Protocol)アドレスなどの機器の情報を制御装置の内部に保存すること、または(ii)(i)に加えて、制御装置に表示する名称を設定し保存することを示す。制御装置に機器を登録するために、制御装置がマルチキャスト通信により機器を探索する。マルチキャスト通信では、すべての機器に信号が送信されるのではなく、特定の機器に信号が送信される。マルチキャスト通信における送信先は、ルータで管理される。しかしながら、ルータ、または機器におけるIGMPの実装不備(不具合)により、マルチキャスト通信が失敗する状況が発生する。その場合、制御装置は、機器を探索により発見できないので、機器を登録できない。その結果、制御装置と機器との通信が不可能になる。マルチキャスト通信の失敗が発生しても、制御装置における機器の登録を可能するために、本実施例に係る制御装置は、マルチキャスト通信により機器を探索するとともに、ブロードキャスト通信によっても機器を探索する。
【0013】
図1は、制御システム1000の構成を示す。制御システム1000は、制御装置100、機器200、ルータ300、ネットワーク400を含む。制御システム1000に含まれる機器200の数は「1」に限定されない。制御システム1000は施設内に設置される。施設は、制御システム1000による制御の対象となる建物であり、例えば戸建て住宅である。施設は戸建て住宅に限定されず、集合住宅の住戸でもよいし、オフィスビル、商業施設などでもよい。制御装置100、機器200、ルータ300は、ネットワーク400に接続され、制御装置100と機器200は、ルータ300の制御によってネットワーク400を介して通信可能である。ネットワーク400は、例えば、ECHONET Lite(登録商標)のような標準プロトコルに対応する。
【0014】
制御装置100は、例えば、HEMSコントローラとしての機能を有し、機器200の動作を制御する。制御装置100は、1つの装置であってもよいし、複数の装置の接続であってもよい。制御装置100は、通信部110、受付部120、表示部130、制御部140、記憶部150を含む。通信部110は、ECHONET Lite(登録商標)の通信機能を有し、機器200と通信可能である。制御部140は、例えば、プロセッサおよびメモリを有するマイクロコンピュータで構成される。プロセッサが、記憶部150に記録されたプログラムを実行することにより、コンピュータシステムによって制御部140の各種の機能が実現される。
【0015】
各種の機能のうちの1つが機器200の動作を制御する機能であり、制御装置100は、機器200に対する操作を受けつけるための操作画面を表示部130に表示する。受付部120は、ユーザからの操作を受付可能なユーザインターフェースであり、例えば、ボタンである。また、受付部120は、表示部130と一体化されたタッチパネルであってもよい。受付部120は、表示部130に表示した操作画面に対するユーザの指示を受けつける。受付部120は、受けつけた指示を制御部140に出力する。制御部140は、受付部120において受けつけた指示をもとに、機器200の動作を指示するための制御コマンドを生成する。通信部110は、機器200に対して制御コマンドを送信する。
【0016】
機器200は、例えば、照明装置、エアーコンディショナである。機器200は、通信部210、制御部240、記憶部250を含む。通信部210は、ECHONET Lite(登録商標)の通信機能を有し、通信部110との間で通信を実行する。通信部210は、制御コマンドを通信部110から受信する。制御部240は、制御コマンドに応じた動作を実行する。例えば、制御部240は、機器200の動作をオンしたり、オフしたりする。
【0017】
制御装置100の通信部110は、スマートメータ(図示せず)に接続され、施設において消費された電力を示す電力情報を受信してもよい。制御部140は、通信部110において受信した電力情報をもとに制御コマンドを生成する。例えば、電力がしきい値よりも大きくなった場合に、制御部140は、エアーコンディショナにおける冷房時の設定温度を高くするような制御コマンドを生成する。通信部110は、機器200に対して制御コマンドを送信する。機器200は、制御装置100からの制御コマンドを受信すると、制御コマンドに応じた動作、例えば、冷房時の設定温度を高くする動作を実行する。
【0018】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0019】
図1のような制御システム1000における通信を実行するために、前述のごとく、制御装置100における機器200の登録処理が予めなされる。登録処理には、マルチキャスト通信が使用されるので、ここでは、マルチキャストのグループ管理を実行するためのプロトコルであるIGMPをまず説明する。
【0020】
図2は、制御システム1000において実行されるIGMPの処理手順を示すシーケンス図である。マルチキャストグループに参加を希望する機器200が起動される(S10)と、機器200の通信部210は、Membership Report(Joinメッセージ)をルータ300に送信する(S12)。ルータ300は、Membership Reportを機器200から受信すると、機器200をマルチキャストグループに含めるように管理テーブルを更新する。管理テーブルには、マルチキャストアドレスとインターフェースを対にしたエントリが複数含まれる。インターフェースは、制御装置100、機器200を含む。
【0021】
グループを維持するために、ルータ300は、Membership Queryを制御装置100、機器200に定期的に送信する(S14、S16)。機器200の通信部210は、Membership Queryをルータ300から受信すると、Membership Reportをルータ300に送信する(S18)。制御装置100の通信部110は、Membership Queryをルータ300から受信すると、Membership Reportをルータ300に送信する(S20)。ルータ300は、Membership Reportの返信のないインターフェースを管理テーブルから削除する。
【0022】
機器200またはルータ300の実装不備(不具合)により、マルチキャスト通信ができない場合がある。例えば、機器200にIGMPが実装されていなければ、機器200の通信部210は、Membership Reportを送信しない。また、機器200とルータ300において、IGMPのバージョンが異なり、かつ互換性に不具合があれば、機器200は、Membership Queryに応答できない。これらの状況において、管理テーブルが正確に生成されない。
【0023】
このようなマルチキャスト通信の失敗が機器登録に及ぼす影響を説明するために、ここでは、比較対象となる制御装置500と機器600による機器登録を図3を使用しながら説明する。図3は、比較対象となる制御装置500と機器600との間の登録手順を示すシーケンス図である。ここでは、説明を明瞭にするために、制御装置500と機器600との間に配置されるルータ300を省略する。制御装置500、機器600は、例えば制御装置100、機器200に対応する。制御装置500は、施工者からの登録開始操作を受けつける(S100)。制御装置500は、探索要求をマルチキャスト送信する(S102)。探索要求は、登録候補となる機器を探索するためのメッセージである。探索要求は、ECHONET Lite(登録商標)の「自ノードインスタンスリストS要求」に相当する。機器600は、探索要求を受信すると、探索要求に対する応答を制御装置500にユニキャスト送信する(S104)。応答には、送信元である機器600の情報、例えばIPアドレス、機器600の種別を示す情報が含まれる。機器600の種別を示す情報は、例えば、機器600が含まれるクラスを示す。
【0024】
制御装置500は応答を受信する。制御装置500は、応答に含まれたIPアドレスをもとに機器600の存在を認識するとともに、機器600の種別(クラス)を認識する。これに続いて、制御装置500は、機器600の固有の情報を要求するための機器情報要求を機器600にユニキャスト送信する(S106)。機器600の固有の情報は、例えば、ノードプロファイルクラスである。機器600は、機器情報要求を受信すると、機器600の固有の情報である機器情報を制御装置500にユニキャスト送信する(S108)。
【0025】
制御装置500は、機器情報を受信する。制御装置500は、機器600の種別をもとに、機器600の種別に特化した情報を要求するための種別情報要求を機器600にユニキャスト送信する(S110)。機器600の種別に特化した情報は、例えば、機器600のクラスに含まれる情報である。機器600は、種別情報要求を受信すると、機器600の種別に特化した情報である種別情報を制御装置500にユニキャスト送信する(S112)。
【0026】
制御装置500は、機器情報と種別情報の内容に応じた機器600が示される登録可能機器の情報を表示させる(S114)。複数の機器600が制御装置500に接続される場合、複数の機器600が登録可能機器の情報に含まれる。施工者は、登録可能機器の情報を見ながら、登録すべき機器600を選択し、制御装置500は選択操作を受けつける(S116)。制御装置500は、選択操作により選択された機器600の登録情報を対応テーブルに記憶する。これは、機器600を登録することに相当する。制御装置500は、施工者からの登録終了操作を受けつける(S118)。
【0027】
マルチキャスト通信ができない場合、制御装置500からマルチキャスト送信された探索要求が機器600に受信されない。その結果、制御装置500に機器600を登録することができなくなる。また、制御装置500の再起動後、機器600がオフラインとなり、制御装置500から機器600の操作ができなくなる。
【0028】
図4は、制御装置100と機器200との間の登録手順を示すシーケンス図である。ここでも、説明を明瞭にするために、制御装置100と機器200との間に配置されるルータ300を省略する。制御装置100の受付部120は、施工者からの登録開始操作を受けつける(S200)。制御部140は、探索要求を通信部110に出力する。通信部110は、探索要求(第1メッセージ)をマルチキャスト送信する(S202)。
【0029】
機器200の通信部210が探索要求を受信すると、制御部240は、探索要求に対する応答(第2メッセージ)を通信部210から制御装置100にユニキャスト送信させる(S204)。応答には、送信元である機器200の情報、例えばIPアドレス、機器200の種別を示す情報が含まれる。機器200の種別を示す情報は、例えば、機器200が含まれるクラスを示す。
【0030】
通信部110は、探索要求(第1メッセージ)をマルチキャスト送信してから所定時間経過後、例えば、2~3秒経過後、探索要求(第3メッセージ)をブロードキャスト送信する(S206)。探索要求(第1メッセージ)と探索要求(第3メッセージ)は同一内容である。機器200の通信部210が探索要求を受信すると、制御部240は、探索要求に対する応答(第4メッセージ)を通信部210から制御装置100にユニキャスト送信させる(S208)。応答(第2メッセージ)と応答(第4メッセージ)は同一内容である。マルチキャスト送信した探索要求(第1メッセージ)とブロードキャスト送信した探索要求(第3メッセージ)の両方に機器200が応答した場合、制御装置100は、応答(第2メッセージ)と応答(第4メッセージ)という2つの応答を受信する。マルチキャスト送信とブロードキャスト送信とを所定時間ずらすことによって、応答受信の集中が回避される。
【0031】
ここでは、探索要求(第1メッセージ)をマルチキャスト送信するタイミングと、探索要求(第3メッセージ)をブロードキャスト送信するタイミングとをずらしている。しかしながら、探索要求(第1メッセージ)のマルチキャスト送信と、探索要求(第3メッセージ)のブロードキャスト送信とが並列に実行されてもよい。また、探索要求(第1メッセージ)と応答(第2メッセージ)には共通のトランザクションID(以下、「第1トランザクションID」という)が含まれる。探索要求(第3メッセージ)と応答(第4メッセージ)には共通のトランザクションID(以下、「第2トランザクションID」という)が含まれる。第1トランザクションIDと第2トランザクションIDとは異なる。
【0032】
制御装置100の通信部110は応答を受信する。制御部140は、通信部110が応答(第2メッセージ)と応答(第4メッセージ)とを受信した場合、第1トランザクションIDと第2トランザクションIDとをもとに、応答(第2メッセージ)と応答(第4メッセージ)が同一であること、つまり同一の機器200に対する応答であることを認識する。制御部140は、応答に含まれたIPアドレスをもとに機器200の存在を認識するとともに、機器200の種別(クラス)を認識する。
【0033】
これに続いて、通信部110は、機器200の固有の情報を要求するための機器情報要求(第5メッセージ)を機器200にユニキャスト送信する(S210)。機器200の固有の情報は、例えば、ノードプロファイルクラスである。機器200の通信部210は、機器情報要求を受信すると、機器200の固有の情報である機器情報(第6メッセージ)を制御装置100にユニキャスト送信する(S212)。
【0034】
制御装置100の通信部110は、機器情報を受信する。通信部110は、機器200の種別をもとに、機器200の種別に特化した情報を要求するための種別情報要求(第7メッセージ)を機器200にユニキャスト送信する(S214)。機器200の種別に特化した情報は、例えば、機器200のクラスに含まれる情報である。機器200の通信部210は、種別情報要求を受信すると、機器200の種別に特化した情報である種別情報(第8メッセージ)を制御装置100にユニキャスト送信する(S216)。
【0035】
制御部140は、登録情報の内容に応じた機器200が示される登録可能機器の情報を表示部130に表示させる(S218)。複数の機器200が制御装置100に接続される場合、複数の機器200が登録可能機器の情報に含まれる。施工者は、登録可能機器の情報を見ながら、登録すべき機器200を選択し、受付部120は選択操作を受けつける(S220)。制御部140は、選択操作により選択された機器200の情報を対応テーブルとして記憶部150に記憶させる。対応テーブルは、機器200の機器情報、機器200の種別情報、機器200のIPアドレスの組合せを記憶する。これは、機器200を登録することに相当する。受付部120は、施工者からの登録終了操作を受けつける(S222)。
【0036】
マルチキャスト通信は、ECHONET Lite(登録商標)仕様で定められているので、実行しなければならない。探索要求(第1メッセージ)のマルチキャスト通信が失敗しても、制御装置100が応答を取得するために、探索要求(第3メッセージ)のブロードキャスト通信も実行される。ブロードキャスト通信は、ルータ300において管理されず、ネットワーク400の全体への送信を実行する。
【0037】
マルチキャスト通信とブロードキャスト通信の両方を使用して探索要求を送信すると、これに続く応答、機器情報要求等も2倍になるので、トラヒックが2倍になる。本実施例の制御部140は、応答(第2メッセージ)と応答(第4メッセージ)をユニキャスト受信した場合、これに続く機器情報要求等は1回だけ送信させる。
【0038】
これまでは、制御装置100からの信号(探索要求)の送信を起点として処理が開始される場合を説明していたが、以下では、機器200からの信号の送信を起点として処理が開始される場合を説明する。機器200は制御装置100に登録されるが、制御装置100を登録しない。つまり、機器200は制御装置100のIPアドレスを記憶しない。そのため、機器200における状態変化、例えばIPアドレスの変化、温度設定の変化が生じた場合、機器200は、状態の変化を制御装置100に知らせるために、信号を制御装置100にマルチキャスト送信する。マルチキャスト通信に失敗が発生する場合、この信号が制御装置100に受信されなくなり、制御装置100は、機器200における状態変化を認識できなくなる。これに対応するために、本実施例では次の処理を実行する。
【0039】
図5は、制御装置100と機器200との間のテーブル更新手順を示すシーケンス図である。機器200は、制御装置100に既に登録されている。機器200の通信部210、制御部240は、IPアドレスの変化を検知する(S250)。この変化は、機器200の起動時のIPアドレス取得後、またはリンクダウンからリンクアップ時のIPアドレス取得後、またはIPアドレスの切り替わり時に生じる。制御部240は、機器200における情報の存在、例えば状態の変化を知らせるための状態変化通知(第1メッセージ)を通信部210に出力する。通信部210は、状態変化通知(第1メッセージ)をマルチキャスト送信する(S252)。また、通信部210は、状態変化通知(第1メッセージ)と同一内容の状態変化通知(第2メッセージ)をブロードキャスト送信する(S254)。状態変化通知(第1メッセージ)にはトランザクションID(以下、「第1トランザクションID」という)が含まれ、状態変化通知(第2メッセージ)にはトランザクションID(以下、「第2トランザクションID」という)が含まれる。第1トランザクションIDと第2トランザクションIDとは異なる。状態変化通知(第1メッセージ)のマルチキャスト送信と、状態変化通知(第2メッセージ)のブロードキャスト送信は、並列に実行されてもよい。
【0040】
制御装置100の通信部110は、マルチキャスト送信された状態変化通知(第1メッセージ)と、ブロードキャスト送信された状態変化通知(第2メッセージ)のうちの少なくとも1つを受信する。通信部110が状態変化通知(第1メッセージ)と状態変化通知(第2メッセージ)とを受信した場合、制御部140は、第1トランザクションIDと第2トランザクションIDとをもとに、状態変化通知(第1メッセージ)と状態変化通知(第2メッセージ)が同一内容であると判定する。
【0041】
これに続いて、通信部110は、機器200の識別番号を要求するための識別番号要求(第3メッセージ)を機器200にユニキャスト送信する(S256)。機器200の通信部210は、識別番号要求を受信すると、機器200の識別番号(第4メッセージ)を制御装置100にユニキャスト送信する(S258)。制御装置100の通信部110は識別番号を機器200から受信する。制御部140は、機器200の識別番号とIPアドレスの組合せにより対応テーブルを更新する(S260)。この対応テーブルは記憶部150に記憶される。
【0042】
図6は、制御装置100と機器200との間の別のテーブル更新手順を示すシーケンス図である。機器200の制御部240は、機器200の運転状態の変化を検知する(S300)。これは、機器200がエアーコンディショナである場合に、停止から暖房運転に変わる場合である。制御部240は、機器200における情報の存在、例えば状態の変化を知らせるための状態変化通知(第1メッセージ)を通信部210に出力する。通信部210は、状態変化通知(第1メッセージ)をマルチキャスト送信する(S302)。また、通信部210は、状態変化通知(第1メッセージ)と同一内容の状態変化通知(第2メッセージ)をブロードキャスト送信する(S304)。状態変化通知(第1メッセージ)には第1トランザクションIDが含まれ、状態変化通知(第2メッセージ)には第2トランザクションIDが含まれる。
【0043】
制御装置100の通信部110は、マルチキャスト送信された状態変化通知(第1メッセージ)と、ブロードキャスト送信された状態変化通知(第2メッセージ)のうちの少なくとも1つを受信する。通信部110が状態変化通知(第1メッセージ)と状態変化通知(第2メッセージ)とを受信した場合、制御部140は、第1トランザクションIDと第2トランザクションIDとをもとに、状態変化通知(第1メッセージ)と状態変化通知(第2メッセージ)が同一内容であると判定する。
【0044】
本実施例によれば、探索要求をマルチキャスト送信とブロードキャスト送信するので、マルチキャスト通信の失敗が発生しても、制御装置100における機器の登録を可能にできる。また、探索要求をマルチキャスト送信するタイミングと、探索要求をブロードキャスト送信するタイミングとをずらすので、トラヒックの集中を抑制できる。また、探索要求のマルチキャスト送信と、探索要求のブロードキャスト送信とを並列に実行するので、待ち時間の延長を抑制できる。また、マルチキャスト送信する探索要求とブロードキャスト通信する探索要求に異なったトランザクションIDを含めるので、両者を区別できる。また、探索要求に続く信号のユニキャスト送信は2重化しないので、トラヒックの増加を抑制できる。
【0045】
機器200からの状態変化通知をマルチキャスト送信とブロードキャスト送信するので、マルチキャスト通信の失敗が発生しても、制御装置100に状態変化を知らせることができる。また、マルチキャスト送信する状態変化通知とブロードキャスト通信する状態変化通知に異なったトランザクションIDを含めるので、両者を区別できる。
【0046】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の制御装置(100)は、登録候補となる機器(200)を探索するための第1メッセージをマルチキャスト送信してから、第1メッセージに対する応答である第2メッセージを機器(200)からユニキャスト受信可能であるとともに、第1メッセージと同一の内容の第3メッセージをブロードキャスト送信してから、第3メッセージに対する応答である第4メッセージを機器(200)からユニキャスト受信可能である通信部(110)と、通信部(110)が第2メッセージと第4メッセージとのうちの少なくとも1つをユニキャスト受信した場合、機器(200)を登録するための情報を通信部(110)に取得させる制御部(140)と、を備える。
【0047】
通信部(110)は、第1メッセージをマルチキャスト送信するタイミングと、第3メッセージをブロードキャスト送信するタイミングとをずらす。
【0048】
通信部(110)は、第1メッセージをマルチキャスト送信してから所定時間経過後に、第3メッセージをブロードキャスト送信する。
【0049】
通信部(110)は、第1メッセージのマルチキャスト送信と、第3メッセージのブロードキャスト送信とを並列に実行してもよい。
【0050】
第1メッセージと第2メッセージには第1トランザクションIDが含まれ、第3メッセージと第2メッセージには第2トランザクションIDが含まれ、制御部(140)は、第1トランザクションIDと第2トランザクションIDとをもとに、第2メッセージと第4メッセージが同一内容であると判定してもよい。
【0051】
通信部(110)がユニキャスト受信可能な第2メッセージと第4メッセージには、機器(200)の種別を示す情報が含まれ、制御部(140)が通信部(110)に取得させる機器(200)を登録するための情報には、機器(200)の固有の情報と、機器(200)の種別に特化した情報が含まれ、通信部(110)は、機器(200)の固有の情報を要求するための第5メッセージを機器(200)にユニキャスト送信してから、機器(200)の固有の情報が含まれた第6メッセージを機器(200)からユニキャスト受信し、通信部(110)は、機器(200)の種別に特化した情報を要求するための第7メッセージを機器(200)にユニキャスト送信してから、機器(200)の種別に特化した情報が含まれた第8メッセージを機器(200)からユニキャスト受信してもよい。
【0052】
本開示の別の態様は、機器(200)である。この機器(200)は、制御装置(100)に登録された機器(200)であって、機器(200)における情報の存在を知らせるための第1メッセージをマルチキャスト送信するとともに、第1メッセージと同一の内容の第2メッセージをブロードキャスト送信する通信部(210)と、通信部(210)からマルチキャスト送信した第1メッセージと、通信部(210)からブロードキャスト送信した第2メッセージのうちの少なくとも1つを制御装置(100)が受信した場合、機器(200)における情報を通信部(210)から制御装置(100)に提供させる制御部(240)と、を備える。
【0053】
第1メッセージには第1トランザクションIDが含まれ、第2メッセージには第2トランザクションIDが含まれ、制御装置(100)は、第1トランザクションIDと第2トランザクションIDとをもとに、第1メッセージと第2メッセージが同一内容であると判定してもよい。
【0054】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0055】
本実施例において、制御装置100または機器200は、マルチキャスト送信を実行した後に、ブロードキャスト送信を実行している。しかしながらこれに限らず例えば、制御装置100または機器200は、ブロードキャスト送信を実行した後に、マルチキャスト送信を実行してもよい。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【符号の説明】
【0056】
100 制御装置、 110 通信部、 120 受付部、 130 表示部、 140 制御部、 150 記憶部、 200 機器、 210 通信部、 240 制御部、 250 記憶部、 300 ルータ、 400 ネットワーク、 500 制御装置、 600 機器、 1000 制御システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6