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特開2023-88785検査用光照射システムおよび駆動制御装置
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  • 特開-検査用光照射システムおよび駆動制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088785
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】検査用光照射システムおよび駆動制御装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/3725 20200101AFI20230620BHJP
   H05B 47/17 20200101ALI20230620BHJP
   H05B 45/325 20200101ALI20230620BHJP
【FI】
H05B45/3725
H05B47/17
H05B45/325
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203728
(22)【出願日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】596099446
【氏名又は名称】シーシーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】牧岡 幸一
(72)【発明者】
【氏名】尾迫 佑樹
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA08
3K273BA02
3K273BA25
3K273CA02
3K273CA12
3K273CA13
3K273FA14
3K273FA26
3K273FA32
3K273GA22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】検査用光照射システムにおいて、電力供給装置と光照射装置の間のケーブル長にかかわらず、光照射装置の安定した高速発光を可能とする。
【解決手段】検査用の光を射出する光源体12を備えた光照射装置1と、前記光源体12に電流を供給する電力供給装置2と、前記電力供給装置から前記光源体12に供給される電流を中継する電流供給ライン39、および、該電流の供給をON/OFFするスイッチング素子33を備えた中間装置3を備えており、前記電力供給装置2には、前記スイッチング素子に対する制御信号を出力する制御回路23と、制御回路23から出力された制御信号を差動伝送する差動ドライバ24とが設けられており、前記中間装置3には、前記電流供給ライン39上に設けられた補助電流供給用キャパシタ32と、差動伝送された前記制御信号を受信して前記スイッチング素子33に出力する差動レシーバ34とが設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査用の光を射出する光源体であるLEDまたはレーザを備えた光照射装置と、
前記光源体に電流を供給する電力供給装置と、
前記電力供給装置から前記光源体に供給される電流を中継する電流供給ライン、および、該電流の供給をON/OFFするスイッチング素子を備えた中間装置と、を備えており、
前記電力供給装置には、前記スイッチング素子に対する制御信号を出力する制御回路と、前記制御回路から出力された制御信号を差動伝送する差動ドライバとが設けられており、
前記中間装置には、前記電流供給ライン上に設けられた補助電流供給用キャパシタと、差動伝送された前記制御信号を受信して前記スイッチング素子に出力する差動レシーバとが設けられていることを特徴とする検査用光照射システム。
【請求項2】
前記差動伝送が、低電圧差動伝送である請求項1記載の検査用光照射システム。
【請求項3】
前記中間装置が、前記電力供給装置よりも前記光照射装置の近くに配置されている請求項1または2いずれか記載の検査用光照射システム。
【請求項4】
前記制御信号が、前記光源体をストロボ発光させるためのパルス信号である請求項1乃至3いずれか記載の検査用光照射システム。
【請求項5】
検査用の光を射出する光源体であるLEDまたはレーザを備えた光照射装置を駆動制御する駆動制御装置であって、
前記光源体に電流を供給する電力供給装置と、
前記電力供給装置から前記光源体に供給される電流を中継する電流供給ライン、および、該電流の供給をON/OFFするスイッチング素子を備えた中間装置と、を備えており、
前記電力供給装置には、前記スイッチング素子に対する制御信号を出力する制御回路と、前記制御回路から出力された制御信号を差動伝送する差動ドライバとが設けられており、
前記中間装置には、前記電流供給ライン上に設けられた補助電流供給用キャパシタと、差動伝送された前記制御信号を受信して前記スイッチング素子に出力する差動レシーバとが設けられていることを特徴とする駆動制御装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの表面検査やマーク読み取り等の検査に用いられる光照射システム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のワーク検査に用いられる光照射システムは、特許文献1に示すように、LEDを光源体とする光照射装置と、この光照射装置のLEDに電力供給ケーブルを通じて電流を供給し、発光させる電力供給装置との2つの装置から構成されている。
【0003】
この電力供給装置には、その筐体内に、LEDに電流を供給する直流電源と、LEDへの電流供給をON/OFFするFET等のスイッチング素子と、このスイッチング素子を制御する制御回路とが設けられている。
【0004】
そして、前記スイッチング素子を高速でON/OFFさせることにより、LEDをストロボモード(単発発光モード)やPWMモード(連続パルス発光モード)などで発光させることができるように構成されている。
【0005】
しかしながら、ユーザ先での配置制限などの理由から、前記光照射装置と電力供給装置とを接続する電力供給ケーブルがかなり長くなると(例えば5m以上)、ケーブルの浮遊容量や寄生インダクタンスの影響で、高速でのLEDのON/OFF制御に遅延やノイズなどによる乱れが生じ、予定通りの輝度で発光されないという不具合が生じる。
【0006】
そのため、本出願人は、前記電力供給装置に配置されていた補助電流供給用のタンクコンデンサとスイッチング素子とを光照射装置の近傍に配置可能な中間装置に収容し、実質的な電力供給ケーブルの長さを短縮して前記遅延やノイズを低減し、高速発光を可能化することを考えた。
【特許文献1】特開2017-033736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、このようにしてなお、十分な改善がなされないことを本発明者は見出し、その原因が、制御回路からスイッチング素子へのON/OFF制御信号の制御ケーブルを介した伝送に原因があることを突き止めた。具体的には、このON/OFF制御信号を伝送する制御ケーブルが長くなることによって、制御信号にノイズと遅延が顕著に発生し、スイッチング素子の動作に支障が生じていた。
【0008】
本発明は、上記原因を突き止めて初めてなされたものであって、電力供給装置と光照射装置との隔離距離や、その間のケーブル長にかかわらず、光照射装置の安定した高速発光が可能となる検査用光照射システムを提供すべく図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明に係る検査用光照射システムは、検査用の光を射出する光源体であるLEDまたはレーザを備えた光照射装置と、前記光源体に電流を供給する電力供給装置と、前記電力供給装置から前記光源体に供給される電流を中継する電流供給ライン及び前記電流をON/OFFするスイッチング素子を備えた中間装置とを備えており、
前記電力供給装置には、前記スイッチング素子に対する制御信号を出力する制御回路と、前記制御回路から出力された制御信号を差動伝送する差動ドライバが設けられており、
前記中間装置には、前記電流供給ライン上に設けられた補助電流供給用キャパシタと、差動伝送された前記制御信号を受信して前記スイッチング素子に出力する差動レシーバとが設けられていることを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、中間装置には、補助電流供給用キャパシタやスイッチング素子等の小型素子のみを配置すればよいので、その小型化を図れ、この中間装置を光照射装置の近傍に配置できる。その結果、補助電流供給用キャパシタから光源体への電力供給経路の実質的な短縮化が可能になり、遅延やノイズを低減できる。
【0011】
他方、電力供給装置と中間装置とは、離れて配置されるなどして、制御回路からスイッチング素子への制御信号の伝送経路が長くなる場合が生じ得るが、その場合であっても、制御信号を差動伝送しているので、この制御信号におけるノイズ耐性の向上と遅延防止を図ることができ、スイッチング素子を高速動作させることができる。
【0012】
このように、電力供給経路および制御信号伝送経路のいずれにおいても、従来に比べ遅延やノイズの影響を大幅に低減できるので、電力供給装置と光照射装置との配置関係等にかかわらず、光照射装置の安定した高速発光ができるようになる。
【0013】
前記ON/OFF制御信号の伝送に低電圧差動伝送を用いれば、制御信号をより確実に高速伝送できる。
【0014】
本発明の効果が顕著となる実施態様としては、前記中間装置が、前記電力供給装置よりも前記光照射装置の近くに配置されている構成が好ましい。
また、同様に前記制御信号が、前記光源体をストロボ発光させるためのパルス信号である場合も、本発明の効果がより顕著に奏される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電力供給装置と光照射装置との隔離距離や、その間のケーブル長にかかわらず、光照射装置の安定した高速発光が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態における検査用光照射システムの全体構成を示す概略電気回路図である。
図2】同実施形態における検査用光照射システムの遅延およびノイズ抑制効果を示す実験データである。
図3】本発明の他の実施形態における検査用光照射システムの全体構成を示す概略電気回路図である。
図4】本発明のさらに他の実施形態における中間装置と光照射装置との接続態様を示す概略電気回路図である。
図5】本発明のさらに他の実施形態における中間装置と光照射装置との接続態様を示す概略電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態に係る検査用光照射システム100は、図1に示すように、例えば、種々のワークの表面検査等に用いられる検査光を射出する光照射装置1と、前記光照射装置1に電流を供給する電力供給装置2と、前記電力供給装置2および光照射装置1間に介在する中間装置3と、これらを接続する電気ケーブルとを備えたものである。なお、前記電力供給装置2と中間装置3とが請求項でいう駆動制御装置を構成する。
各部を説明する。
【0019】
前記光照射装置1は、光源体であるLED12を直列接続または並列接続したLED回路1Aと、このLED回路1Aを保持する第1筐体11とを備えたものである。この光照射装置1には、検査目的に応じ、例えば、LED12が直線状に配置されたライン型のもの、LED12が円環状に配置されたリング型のもの、LED12が面状に配置された面発光型のものなどといった種々のタイプがある。前記第1筐体11には、LED回路1Aに電流を供給するプラス端子13と、LED回路1Aを流れた電流をグラウンドに戻すためのマイナス端子14とが設けられている。
【0020】
前記電力供給装置2は、直流定電圧電源22と、制御回路23と、差動ドライバ24と、これら直流定電圧電源22、制御回路23及び差動ドライバ24を収容する第2筐体21とを備えたものである。
【0021】
前記直流定電圧電源22は、前記LED12に電流を供給するものであり、ここでは、商用電源に接続されて交流を直流に変換するAC/DCコンバータ(図示しない)に接続されたDC/DCコンバータである。
【0022】
前記制御回路23は、前記直流定電圧電源22から前記LED12への供給電流を制御するための制御信号を出力するものであり、例えばFPGAを利用して構成されている。前記制御信号は、ON/OFFの二値をとる単パルス信号または連続パルス信号であり、この制御信号の波形に基づいてLED12をストロボモードやPWMモードで発光させる。この制御信号の立ち上がりタイミングやパルス幅等は、前記第2筐体21に設けられた操作パネルや外部からの通信によって設定できるように構成されている。
【0023】
前記差動ドライバ24は、前記制御回路23から出力されたシングルエンド信号である制御信号を、互いに反転する2つの信号(P信号とN信号)に変換し、低電圧差動伝送するものであり、例えば、Hブリッジ回路を主体として構成されている。
【0024】
前記第2筐体21は、前記第1筐体11とは別体の、例えば直方体状をなすものであり、その外面には、前記直流定電圧電源22の出力端子が接続された電流出力端子25と、前記差動ドライバ24の出力端子が接続された制御信号送信端子26とが設けられている。
【0025】
前記中間装置3は、電流供給ライン39と、スイッチング素子33と、差動レシーバ34と、補助電流供給用キャパシタ32と、これら電流供給ライン39、スイッチング素子33、差動レシーバ34および補助電流供給用キャパシタ32を収容する第3筐体31と、を備えたものである。なお、この中間装置3のスイッチング素子33とグラウンドとの間に設けられている符号9(図1に示す)は、電流制限用の抵抗素子である。
前記電流供給ライン39は、前記直流定電圧電源22からLED12へ供給される電流を中継するものである。
【0026】
前記スイッチング素子33は、前記直流定電圧電源22からLED12に供給される電流を、前記制御回路23から出力される制御信号にしたがってON/OFFする例えばFETである。具体的には、このスイッチング素子33のドレイン端子に、前記LED回路1Aのカソード側が接続され、そのソース端子に、電流制限抵抗9を介してグラウンドが接続されていて、ゲート端子に、前記制御信号が入力されることにより、直流定電圧電源22からLED12に供給される電流を前記制御信号にしたがってON/OFFする。このスイッチング素子33はFETに限られず、例えばトランジスタでも構成可能である。
【0027】
前記差動レシーバ34は、コンパレータ等を利用して構成されたものであり、前記差動ドライバ24から差動伝送された前記制御信号を受信し、これをシングルエンド信号に変換するとともに、前記スイッチング素子33の入力端子に出力する。具体的には、この差動レシーバ34のプラス入力端子およびマイナス入力端子に、前記差動ドライバ24からのP信号及びN信号がそれぞれ入力されることにより、その出力端子からシングルエンド化された前記制御信号が出力されるように構成されている。
【0028】
前記補助電流供給用キャパシタ32は、LED12を点灯させる際に補助的に電流を供給するものであり、その突入電流を担保するとともにDC/DCコンバータ22の出力電圧が瞬間的に低下することを防止するためのアキュムレータとしての機能を担う。ここでは、このキャパシタ32として、例えば電解コンデンサを用いており、その容量を1000μF~3000μFに設定してある。
【0029】
前記第3筐体31は、前記第1筐体11および第2筐体21とは別体の、例えば直方体形状をなすものであり、その外面には、前記電流供給ライン39の一端に接続された電流中継入力端子35と、その他端に接続された電流中継出力端子36と、前記スイッチング素子33のドレイン端子に接続された電流制御端子37と、前記差動レシーバ34のプラス入力端子およびマイナス入力端子に接続された電流制御端子38とが設けられている。
これら電力供給装置2、光照射装置1および中間装置3は、以下に述べる電気ケーブルで接続されている。
【0030】
前記電気ケーブルとしては、LED12に供給される電流が流れる電流ケーブルと、該電流を制御するための制御信号が伝送される制御ケーブルC2との2種が用意されている。
【0031】
前記電流ケーブルには、前記電力供給装置2の電流出力端子25と前記中間装置3の電流中継入力端子35とを接続する第1電流ケーブルC11、前記中間装置3の電流中継出力端子36と前記光照射装置1のプラス端子13とを接続する第2電流ケーブルC12、および、前記光照射装置1のマイナス端子14と前記中間装置3の電流制御端子37とを接続する第3電流ケーブルC13がある。
前記制御ケーブルC2は、前記電力供給装置2の制御信号送信端子26と前記中間装置3の電流制御端子38とを接続する2線式のものである。
【0032】
しかしてこのようなものであれば、中間装置3には、補助電流供給用キャパシタ32やスイッチング素子33等の小型素子のみを配置すればよいので、その小型化を図れ、この中間装置3を光照射装置1の近傍に配置できる。
【0033】
その結果、図1の矢印に示すように、補助電流供給用キャパシタ32からLED回路1Aを通ってグラウンドに流れる電流供給経路の短縮化が可能になり、ここで生じる遅延やノイズを大幅に低減できる。
【0034】
他方、電力供給装置2と中間装置3とが、離れて配置されるなどして、制御回路23からスイッチング素子33への制御信号の伝送経路が長くなる場合が生じ得るが、その場合であっても、制御信号の伝送に低圧差動伝送(LVDS)を用いているので、この制御信号の高速伝送とノイズ耐性向上とを図ることができ、スイッチング素子33を安定して高速動作させることができる。
【0035】
このように、電力供給経路および制御信号伝送経路のいずれにおいても、従来に比べ遅延やノイズの影響を大幅に低減できるので、電力供給装置2と光照射装置1との配置関係等にかかわらず、光照射装置1の安定した高速発光ができるようになる。その一例を図2に示す。同図から発光遅延が大幅に改善されていることがわかる。
なお、本発明は前記実施形態に限られない。
【0036】
例えば、前記実施形態では、電力供給装置2、光照射装置1および中間装置3の筐体をそれぞれ別体にして分離していたが、図3に示すように、光照射装置1と中間装置3との筐体11、31を共通化してもよい。このようにすれば、さらに電流供給経路での遅延やノイズを抑制できる。
前記抵抗素子9は、直流定電圧電源22からLED回路1A、スイッチング素子33を経てグラウンドに至るまでの電流経路のいずれかに設けられていればよく、例えば、図4に示すように、光照射装置1におけるLED回路1Aとマイナス端子14との間に設けてもよい。
スイッチング素子33は、図5に示すように、電流供給ライン39上に設けてもよい。
光源体はLEDのみならずレーザでも構わない。
【0037】
その他、本発明は前記実施形態や変形例に限られるものではなく、それらの各構成を適宜組み合わせるようにするなど、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0038】
100・・・検査用光照射システム
1・・・光照射装置
12・・・LED(光源体)
2・・・電力供給装置
22・・・直流定電圧電源
23・・・制御回路
24・・・差動ドライバ
3・・・中間装置
32・・・補助電流供給用キャパシタ
33・・・スイッチング素子
34・・・差動レシーバ
39・・・電流供給ライン
図1
図2
図3
図4
図5