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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000888
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】ネット付き容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/00 20060101AFI20221222BHJP
【FI】
A45D33/00 650E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101954
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】000160223
【氏名又は名称】吉田プラ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】堀 裕美子
(72)【発明者】
【氏名】野本 恭兵
(57)【要約】
【課題】内容物の取出量を容易に調整できるネット付き容器を提供する。
【解決手段】内容物を収納しつつ、当該内容物を取出すための開口部43を有する容器本体4と、前記開口部を閉鎖する外蓋2と、伸縮性を有するメッシュ素材からなるネット32と、前記ネットのメッシュ開口度を調整するためのメッシュ調整機構とを備え、前記ネットは前記開口部を覆った状態で張設され、前記ネットが張設されている面の法線10方向を上下方向として、前記メッシュ調整機構は、前記ネットの上面35の周縁部に環状に当接する部位56を有して当該部位を前記開口部に対して上下方向に移動可能にする可動部5と、前記開口部に対して固定されつつ前記可動部の上下位置を固定する固定部42bとを含むネット付き容器1としている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収納するとともに、当該内容物を取出すための開口部を有する容器本体と、
前記開口部を閉鎖する外蓋と、
伸縮性を有するメッシュ素材からなるネットと、
前記ネットのメッシュ開口度を調整するためのメッシュ調整機構と、
を備え、
前記ネットは前記開口部を覆った状態で張設され、
前記ネットが張設されている面の法線方向を上下方向として、
前記メッシュ調整機構は、前記ネットの上面周縁部に環状に当接する部位を有して当該部位を前記開口部に対して上下方向に移動可能にする可動部と、前記開口部に対して固定されつつ前記可動部の上下位置を固定する固定部とを含む、
ことを特徴とするネット付き容器。
【請求項2】
請求項1において、
中空円筒状の外筒と内筒とが同軸に配置されてなるとともに、上端に円環状の天面を有するネット押圧部材を備え、
前記容器本体は、上端を前記開口部として、外周面に雄ねじが形成された中空円筒状の首部を有し、
前記メッシュ調整機構は、前記首部を前記固定部とするとともに、前記ネット押圧部材を前記可動部として構成され、
前記外筒は、内周面に前記首部の前記雄ねじに螺合する雌ねじが形成され、
前記内筒は、前記外筒が前記首部にねじ込まれると、下端が前記ネット上面の周縁に当接しつつ当該周縁を下方に押圧し、
前記ネットは、前記首部に対する前記外筒のねじ込み量に応じて前記メッシュ開口度が調整される、
ことを特徴とするネット付き容器。
【請求項3】
請求項1において、
前記メッシュ調整機構は、前記固定部として上下方向に扁平な中空円筒状で、前記ネットに対して相対的に固定される中空円筒状の上下位置固定部を備えるとともに、前記可動部として当該上下位置固定部の内方に摺動可能に嵌め込まれるネット押圧部材を備え、
前記ネット押圧部材は、外周面に放射外方向に突出する突起を有し、
前記上下位置固定部は、内周面の複数の箇所に、前記突起と係合する所定形状の溝を有し、
前記溝は、上下位置の異なる複数箇所に周方向に行き止まりとなる先端を有し、
前記ネットは、前記突起が複数箇所の前記溝の先端のいずれかの位置に保持されることで、前記メッシュ開口度が調整される ことを特徴とするネット付き容器。
【請求項4】
請求項1において、
前記メッシュ調整機構は、前記固定部として上下方向に扁平な中空円筒状で、前記ネットに対して相対的に固定される中空円筒状の上下位置固定部を備えるとともに、前記可動部として当該上下位置固定部の内方に摺動可能に嵌め込まれるネット押圧部材を備え、
前記上下位置固定部は、外周面の複数の箇所に、前記突起と係合する所定形状の溝を有し、
前記上下位置固定部は、内周面に放射内方向に突出する突起を有し、
前記ネット押圧部材は、外周面の複数の箇所に、前記突起と係合する所定形状の溝を有し、
前記溝は、上下位置の異なる複数箇所に周方向に行き止まりとなる先端を有し、
前記ネットは、前記突起が複数箇所の前記溝の先端のいずれかの位置に保持されることで、前記メッシュ開口度が調整される、
ことを特徴とするネット付き容器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかにおいて、前記固定部に対する前記可動部の相対的な上下位置とメッシュ開口度との関係を示す標識が表示されていることを特徴とするネット付き容器。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかにおいて、枠体に前記ネットが張設されてなる中蓋を備え、当該中蓋が前記容器本体の前記開口部に装着されていることを特徴とするネット付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネット付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1~4に記載されているように、内容物を収納するための容器として、内容物が収納される容器本体の開口部にネットが配置されたものがある。これらの容器のネットは伸縮性のあるメッシュ素材からなる。ネットは、例えば、容器本体に嵌め込まれる中蓋に設けられる。中蓋は、枠体にネットが張設されてなり、その中蓋が内容物を収納する容器本体の開口部に嵌め込まれる。容器本体内の内容物は、ネットを通して取り出される。なお、以下の特許文献5には、内容物の取出量を調整できるように、メッシュの密度が場所によって異なるネットを備えた粉末収容容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005―224398号公報
【特許文献2】特開2008―194190号公報
【特許文献3】実開平7-43575号公報
【特許文献4】特開平9-191930号公報
【特許文献5】特開2016-93213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的なネット付き容器は、ネットに外力が加わっていない状態では、メッシュ(編み目)の密度は、その全面において一様である。そのため、内容物の取出量を調整するためには、もっぱら、ネットの上からネットの下方にある内容物を押圧する際の力を加減することになる。
【0005】
なお、特許文献5に記載の粉末収容容器は、粗い編み目から細かい編み目まで、編み目の密度が連続的に変化するネットを備えており、内容物を取り出す際にネットの表面における位置を変えることで、内容物の取出量を調整することができるようになっている。
【0006】
しかし、特許文献5に記載の粉末収容容器において内容物の取出量を調整する場合、ネットの全領域の内、編み目が適切な密度にある狭小な領域から内容物を取り出す必要がある。狭小な領域から内容物を取り出せば、当然のことながら、十分な量の内容物を素早く取り出すことが難しい。また、内容物の取出に際し、狭小な領域以外の領域から内容物が漏出しないようにすることも難しい。そして、特許文献5に記載の粉末収容容器では、ネットが張設されている容器の開口の面積が小さい程、上述した問題が顕著になる。
【0007】
そこで、本発明は、内容物の取出量を容易に調整できるネット付き容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
【0009】
内容物を収納するとともに、当該内容物を取出すための開口部を有する容器本体と、
【0010】
前記開口部を閉鎖する外蓋と、
【0011】
伸縮性を有するメッシュ素材からなるネットと、
【0012】
前記ネットのメッシュ開口度を調整するためのメッシュ調整機構と、
【0013】
を備え、
【0014】
前記ネットは前記開口部を覆った状態で張設され、
【0015】
前記ネットが張設されている面の法線方向を上下方向として、
【0016】
前記メッシュ調整機構は、前記ネットの上面周縁部に環状に当接する部位を有して当該部位を前記開口部に対して上下方向に移動可能にする可動部と、前記開口部に対して固定されつつ前記可動部の上下位置を固定する固定部とを含む、
【0017】
ことを特徴とするネット付き容器である。
【0018】
中空円筒状の外筒と内筒とが同軸に配置されてなるとともに、上端に円環状の天面を有するネット押圧部材を備え、
【0019】
前記容器本体は、上端を前記開口部として、外周面に雄ねじが形成された中空円筒状の首部を有し、
【0020】
前記メッシュ調整機構は、前記首部を前記固定部とするとともに、前記ネット押圧部材を前記可動部として構成され、
【0021】
前記外筒は、内周面に前記首部の前記雄ねじに螺合する雌ねじが形成され、
【0022】
前記内筒は、前記外筒が前記首部にねじ込まれると、下端が前記ネット上面の周縁に当接しつつ当該周縁を下方に押圧し、
【0023】
前記ネットは、前記首部に対する前記外筒のねじ込み量に応じて前記メッシュ開口度が調整される、
【0024】
ことを特徴とするネット付き容器とすることもできる。
【0025】
あるいは、前記メッシュ調整機構は、前記固定部として上下方向に扁平な中空円筒状で、前記ネットに対して相対的に固定される中空円筒状の上下位置固定部を備えるとともに、前記可動部として当該上下位置固定部の内方に摺動可能に嵌め込まれるネット押圧部材を備え、
【0026】
前記ネット押圧部材は、外周面に放射外方向に突出する突起を有し、
【0027】
前記上下位置固定部は、内周面の複数の箇所に、前記突起と係合する所定形状の溝を有し、
【0028】
前記溝は、上下位置の異なる複数箇所に行き止まりとなる先端を有し、
【0029】
前記ネットは、前記突起が複数箇所の前記溝の先端のいずれかに固定されることで、前記メッシュ開口度が調整される、
【0030】
ことを特徴とするネット付き容器とすることもできる。
【0031】
前記メッシュ調整機構は、前記固定部として上下方向に扁平な中空円筒状で、前記ネットに対して相対的に固定される中空円筒状の上下位置固定部を備えるとともに、前記可動部として当該上下位置固定部の内方に摺動可能に嵌め込まれるネット押圧部材を備え、
【0032】
前記上下位置固定部は、外周面の複数の箇所に、前記突起と係合する所定形状の溝を有し、
【0033】
前記上下位置固定部は、内周面に放射内方向に突出する突起を有し、
【0034】
前記ネット押圧部材は、外周面の複数の箇所に、前記突起と係合する所定形状の溝を有し、
【0035】
前記溝は、上下位置の異なる複数箇所に周方向に行き止まりとなる先端を有し、
【0036】
前記ネットは、前記突起が複数箇所の前記溝の先端のいずれかの位置に保持されることで、前記メッシュ開口度が調整される、
【0037】
ことを特徴とするネット付き容器としてもよい。
【0038】
前記固定部に対する前記可動部の相対的な上下位置とメッシュ開口度との関係を示す図案が表示されていることとしてもよい。枠体に前記ネットが張設されてなる中蓋を備え、当該中蓋が前記容器本体の前記開口部に装着されているネット付き容器としてもよい。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、内容物の取出量を容易に調整できるネット付き容器が提供される。なお、その他の効果については以下の記載で明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の第1の実施例に係るネット付き化粧料容器を上方から見たときの分解斜視図である。
図2】上記第1の実施例に係るネット付き化粧料容器を下方から見たときの分解斜視図である。
図3】上記第1の実施例に係るネット付き化粧料容器の外観を示す図である。
図4】上記第1の実施例に係るネット付き化粧料容器において、外蓋を外した状態の外観を示す図である。
図5】上記第1の実施例に係るネット付き化粧料容器が備えるメッシュ調整機構の動作を説明するための図である。
図6】本発明の第2の実施例に係るネット付き化粧料容器を上方から見た時の分解斜視図である。
図7】上記第2の実施例に係るネット付き化粧料容器を下から見たときの分解斜視図である。
図8】上記第2の実施例に係るネット付き化粧料容器の外観を示す図である。
図9】上記第2の実施例に係るネット付き化粧料容器において、外蓋を外した状態の外観を示す図である。
図10】上記第2の実施例に係るネット付き化粧料容器が備える上下位置固定部材に形成されている溝の形状を示す図である。
図11】上記第2の実施例に係るネット付き化粧料容器が備えるメッシュ調整機構の動作を説明するための図である。
図12】上記溝の形状のその他の例を示す図である。
図13】上記第1の実施例に係るネット付き化粧料容器に設けられるメッシュ開口度表示の一例を示す図である。
図14】上記第2の実施例に係るネット付き化粧料容器に設けられるメッシュ開口度表示の一例を示す図である。
図15】上記第2の実施例に係るネット付き化粧料容器に設けられるメッシュ開口度表示のその他の例を示す図である。
図16】上記第2の実施例に係るネット付き化粧料容器が備えるネット押圧部材のその他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の実施例について、以下に添付図面を参照しつつ説明する。なお以下の説明に用いる図面において、同一または類似の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略することがある。ある図面において符号を付した部分について、不要であれば他の図面ではその部分に符号を付さない場合もある。
【0042】
===実施例===
本発明の実施例に係る容器は、従来のネット付き容器と同様に、内容物を収納しつつ当該内容物を取り出すための開口部を備えた容器本体と、容器本体の開口部を覆うように張設されたネットとを備えている。さらに、実施例に係る容器は、ネットの全面にわたってメッシュの開口度、すなわちメッシュの目の粗さ(以下、「メッシュ開口度」と言うことがある。)を調整するための調整機構を備える。それによって、容器の利用者は、ネットのメッシュの目を通して内容物を取り出す際、その取出量を容易に加減することができる。また、実施例に係る容器は、張設されているネットの全面にわたってメッシュ開口度を調整することができることから、容器本体の開口部の面積が小さくても内容物の取出量を容易に調整することもできる。
【0043】
実施例に係る容器のメッシュ調整機構は、伸縮性のあるメッシュ素材からなるネットが面方向に伸張されると伸張されていない状態に対してメッシュ開口度が疎になることを利用している。そして、ネットが張設されている面の法線方向を上下方向とし、容器本体が上方に開口していることとして上下の各方向を規定すると、メッシュ調整機構は、張設されたネット上面の周縁に当接しつつ上下方向に移動可能な移動部と、移動部の上下位置を固定することでネットのメッシュ開口度を調整された状態で固定する固定部とを含んで構成されている。以下では、第1、及び第2の実施例に係る容器として、粉体からなる化粧料を内容物として収納するとともに、メッシュ調整機構を構成する可動部と固定部の構成が異なるネット付き容器を挙げる。
【0044】
===第1の実施例===
<基本構成>
【0045】
図1図2は、それぞれ、第1の実施例に係る容器1の構成を示す図であり、図1は、容器1を上方から見たときの分解斜視図であり、図2は、容器1を下方から見たときのときの分解斜視図である。図1図2に示したように、容器1は、基本的な構成として、粉体状の化粧料が収納される容器本体4と、容器本体4に着脱自在に装着されて、当該容器本体4の開口部43を閉鎖する外蓋2と、容器本体4の開口部43に装着される中蓋3とを備えている。また、容器1は、メッシュ調整機能の可動部を構成するネット押圧部材5を備えている。なお、以下では、容器1を構成する部材(2~5)が共通の円筒軸10(以下、「軸10」と言うことがある)に沿って配置された状態で組み立てられることとする。また、容器1を構成する各部材(2~5)の上方と下方については天地を問わず、組み立てられた状態における上下の各方向を基準とすることとする。
【0046】
容器本体4は、樹脂からなる一体成形品であり、扁平な有底円筒状の部位42(以下、「基部41」と言うことがある)の上方に、当該基部41に対して縮径する中空円筒状の首部42が接続された形状を有する。首部42は上端にて円形に開口し、この開口部43が内容物の取出口となる。ここで、この開口部43の中心を通る上下方向に軸10を設定すると、首部42は、径が異なる二つの中空円筒を同軸10に上下方向に接続させてなる二段円筒状で、下段の首部42a(以下、「下段首部42a」と言うことがある)に対して上段の首部42b(以下、「上段首部42b」と言うことがある)が縮径している。そして、上段と下段の各首部(42a,42b)の外周には雄ねじ(44a,44b)が形成されている。
【0047】
外蓋2は、樹脂からなる一体成形品であり、天面21を有する中空円筒状で、図2に示したように、内周面に容器本体4における下段首部42aの雄ねじ44aと螺合する雌ねじ22が形成されており、所謂「スクリューキャップ」となっている。そして、外蓋2は、下段首部42aにねじ込まれることで容器本体4に装着される。図3に外蓋2が容器本体4に装着された状態の容器1を示した。
【0048】
図1図2に示すように、中蓋3は、上下に扁平な中空円筒状で、一体成形された樹脂からなる枠体31の下端側に伸縮性を有するメッシュ素材からなるネット32が張設されてなる。枠体31の上端には鍔状のフランジ33が形成されている。中蓋3の枠体31は、容器本体4の開口部43側に嵌め込まれると、フランジ33の下面が容器本体4の開口部43の周縁の上端面45に当接し、中蓋3が容器本体4内に落ち込まないように下支えされる。それによって、張設されたネットによって容器本体4の開口部43が覆われ、容器本体4内の内容物がネット32のメッシュの目を通して取り出されるようになる。
【0049】
<メッシュ調整機構>
容器1は、上記の基本構成に加え、中蓋3におけるネット32のメッシュ開口度を枠体31の内方全面にわたって可変調整するためのメッシュ調整機構を備えている。そして、第1の実施例に係る容器1におけるメッシュ調整機構は、固定部となる上段首部42bと可動部となるネット押圧部材5とによって構成されている。
【0050】
ネット押圧部材5は、樹脂からなる一体成形品であり、図2に示したように、中空円筒状の外筒51と内筒52とが同軸10に形成されてなる二重円筒状の外観形状を有する。 ネット押圧部材5の上端は円環状の天面54となっている。内筒52は、円環状の天面54の内円の径と一致する内径を維持して下方に延長して下端に開口している。また、外筒51の内周面には上段首部42bの雄ねじ44bと螺合する雌ねじ53が形成されている。
【0051】
ネット押圧部材5の内筒52の外径は、中蓋3を構成する枠体31の内径よりも僅かに小さく、ネット押圧部材5が上段首部42bに装着されると、内筒52の外周面(図2:符号55)が、中蓋3における枠体31の内周面(図1:符号34)に対して摺動可能に接触する。ネット押圧部材5は、容器本体4の上段首部42bに装着されると、天面54の下面が中蓋3のフランジ33の上面に当接するまでねじ込むことが可能となっている。なお、外蓋2は、閉止状態では、天面21の下面が押圧部材5の天面54に当接する。そして、外蓋2とこれと螺合する下段首部42aとは、ネット押圧部材5が上段首部42bに装着されているときは、中蓋3に対するネット押圧部材5の相対的な上下位置に拘わらず、確実に閉止状態となるように設計されている。参考までに、図4に外蓋2を外した状態の容器1を示した。
【0052】
図5(A)、図5(B)に、容器1を、軸10方向を含む面で切断したときの縦断面を示した。なお、図5(A)、図5(B)では、外蓋2が省略されている。以下、図5(A)と図5(B)とを参照しつつメッシュ調整機構の動作について説明する。
【0053】
まず、図5(A)に示したように、利用者により、ネット押圧部材5が上段首部42bに対してねじ込まれていくと、内筒52の下端56がネット32の上面35の周縁に当接する。ネット押圧部材5がさらにねじ込まれると、図5(B)に示したように、ネット32の周縁部が内筒52の下端56によって下方に押圧されていく。それによって、伸縮性のあるネット32のメッシュの目が広がっていく。このように、第1の実施例に係る容器1は、上段首部42bに対するネット押圧部材5のねじ込み量に応じてネット32のメッシュ開口度を無段階に可変調整できるようになっている。そして、第1の実施例に係る容器1では、メッシュ調整機構によってメッシュ開口度が調整されていない初期状態であっても、メッシュ開口度が調整されている状態であっても、その状態に拘わらず外蓋2を容器本体4に装着することができる。したがって、容器1から内容物を取り出す機会ごとにメッシュ開口度を調整する必要がない。もちろん、利用者の好みに応じて、内容物を取り出す機会ごとに、メッシュ調整機構を調整することもできる。
【0054】
===第2の実施例===
<基本構成>
【0055】
次に、第2の実施例として、第1の実施例とはメッシュ調整機構の構成が異なる容器を挙げる。図6図7は、それぞれ、第2の実施例に係る容器11を構成要素ごとに分解したときの斜視図である。図6は、容器11を上方から見たときの分解斜視図であり、図7は、容器11を下方から見たときの分解斜視図である。なお、第2の実施例においても、第1の実施例と同様にして軸10、及び上下の各方向を規定することとする。
【0056】
図6図7に示したように、容器11は、外蓋12、枠体131にネット132が張設されてなる中蓋13、及び容器本体14からなる基本構成を備える。容器本体14は、上下方向に扁平な有底円筒状の基部141の上方に、第1の実施例の容器本体4における下段首部42aに相当する首部142が接続された構造を有し、首部142の外周面には雄ねじ144が形成されている。外蓋12は、第1の実施例に係る容器1の外蓋2と同様に、天面121を有して下方に開口する円筒状で、内周面に首部142の雄ねじ144に螺合する雌ねじ122が形成されている。
【0057】
中蓋13は、第1の実施例に係る容器1の中蓋3と同様に、上端にフランジ133を備えた枠体131の下端側に伸縮性を有するメッシュ素材からなるネット132が張設されてなる。そして中蓋13は、フランジ133が首部142の上端面に下支えされつつ、容器本体14の開口部143から首部142内に嵌め込まれる。なお、外蓋12、枠体131、容器本体14は、第1の実施例に係る容器1と同様に樹脂の一体成形品からなる。また、参考までに、図8に、容器本体14に外蓋12が装着された状態の容器11を示した。図8に示したように、外蓋12が装着された状態の容器11の外観は、図3に示した第1の実施例に係る容器1と同様のものとなる。
【0058】
<メッシュ調整機構>
第2の実施例に係る容器11は、上述した基本構成に加え、メッシュ調整機構の固定部となる中蓋13の枠体131の内方に固定される枠状の部材15(以下、「上下位置固定部材15」と言うことがある)と、可動部となるネット押圧部材16とを備える。上下位置固定部材15とネット押圧部材16は、ともに樹脂の一体成形品からなる。
【0059】
上下位置固定部材15は、上下方向に扁平な中空円筒状で、上端側にフランジ151を有する。そして、上下位置固定部材15は、このフランジ151が、中蓋13のフランジ133の上面に下支えされつつ、中蓋13の内方に嵌め込まれる。上下位置固定部材15の内周面152には、軸10周りに等角度間隔となる三箇所のそれぞれに、三方に枝分かれする形状の溝153が形成されている。なお、三箇所のそれぞれの位置にある溝153は、形状、及び上下方向の位置が同じである。
【0060】
ネット押圧部材16は、下端に円形枠状の底部161を有する中空円筒状で、側面の上縁は、周回方向に沿って等角度間隔に凹凸が連続する形状であり、図示した容器11のネット押圧部材16は、側面の四箇所に上縁が上方に凸となるように湾曲して突出する舌片状の部位162が形成されている。なお、この部位162は、後述するように、ネット押圧部材16を軸10周りに回転させる際に利用者が指を掛けるなどして、回転方向への力を掛け易いように補助するものである。また、外周面163の三箇所には、軸10に対して放射外方向に突出する突起164が等角度間隔で形成されている。
【0061】
図9に、外蓋12を外した状態の容器1の外観を示した。図9に示したように、ネット押圧部材16における底部161の開口を通してネット132の上面135が上方に露出している。また、回転補助部162は、上下位置固定部材15の上端よりも上方に突出している。組み立てられた容器11において、ネット押圧部材16は、突起164が上下位置固定部材15の溝153に係合されつつ、当該上下位置固定部材15の内方に遊嵌されている。それによって、ネット押圧部材16は、突起164が溝153に案内される範囲内において、上下位置固定部材15に対して相対的に軸10周りの回転方法と上下方向とに摺動する。また、ネット押圧部材16は、溝153における先端側の内壁の形状により、突起164が溝153の先端にあるときは、自身の上下位置が固定されるようになっている。なお、ネット押圧部材16は、容器11を組み立てる際に上下位置固定部材15の内方に嵌め込まれることから、少なくとも突起164の高さを吸収する程度の可撓性を有している。もちろん、ネット押圧部材16が可撓性を有していなくても、上下位置固定部材15の溝153に、上方または下方に延長にして上端にて開放するように枝分かれする経路を設け、突起部164をこの上方に開放する端部から溝153内に案内するようにしてもよい。
【0062】
図10に、上下位置固定部材15に形成された溝153の詳細な形状を示した。図10に示したように、溝153は、上下位置固定部材15の内周方向(紙面左右方向)に沿って延長しつつ三方に枝分かれし、枝分かれの先端(154a~154c)が行き止まりになっている。そして、図中破線の丸で示した突起164が、溝153のそれぞれの先端(154a~154c)のいずれかの位置で固定されると、ネット押圧部材16が、上下位置固定部材15に対して上下方向の三つの位置のいずれかに固定される。
【0063】
なお、図10に示した溝153では、先端(154a~154c)側の内壁に、内方に凸となるように突出する部位155(以下、「突出部155」と言うことがある)が形成されている。ネット押圧部材16の突起164は、溝153に案内されて先端(154a~154c)に至る過程で突出部155を乗り越えると、図中で点線の丸枠で示した先端(154a~154c)側の各領域(上段領域156a、中段領域156b、下段領域156c)に固定され、突起164が当該領域(156a~156c)から不用意に逸脱することが抑止される。ネット押圧部材16は、このようにして、上下方向の三つの位置のいずれかに固定される。
【0064】
次に、第2の実施例に係る容器11におけるメッシュ調整機構の動作について説明する。図11に容器11のメッシュ調整機構の動作を示した。図11(A)~図11(C)は、それぞれ、ネット押圧部材16の突起164が、上下位置固定部材15における溝153の三つの位置(156a~156c)のそれぞれにあるときのネット132の状態を示している。
【0065】
図11(A)に示したように、突起部164が溝153における上段位置156aにあるときは、ネット押圧部材16の底部161の下面がネット132における上面135の周縁に当接しているものの、ネット132は、中蓋13に張設された当初の状態を維持している。次に利用者が、ネット押圧部材16の側面に形成された舌片状の部位162(以下、「回転補助部162」と言うことがある)に指を掛けるなどして、ネット押圧部材16を下方に押圧ながら上下位置固定部材15に対して回転させ、図11(B)、及び図11(C)に示したように、ネット押圧部材16の突起164を、溝153の中段位置(156b)、及び下段位置156cのそれぞれに固定させると、ネット132の上面135の周縁がネット押圧部材16の底部161によって下方に押圧される。それによって、当初の張設状態におけるネット132のメッシュ開口度が調整される。このように、第2の実施例に係る容器11では、ネット押圧部材16の上下方向の固定位置が段階的に設定される。そして、第2の実施例に係る容器11では、メッシュ開口度が段階的に設定されるため、ネット押圧部材16の上下位置を変えた後でも、前回のメッシュ開口度を確実に再現させることができる。なお、第2の実施例に係る容器11においても、メッシュ調整機構によってメッシュ開口度がどのように調整されていても外蓋12を容器本体14に装着することができる。
【0066】
もちろん、溝153の形状は、図10に示した例に限らない。図12(A)、図12(B)に変形例に係る溝(253,353)を示した。図12(A)に示した溝253は、上下方向への延長途上における複数の上下位置のそれぞれから内周方向に枝分かれしてそれぞれの先端(254a~254c)に至る形状となっている。ネット押圧部材16の突起164は、枝分かれした先の各先端(254a~254c)に至る途上で、図10に示した溝153に形成されていたものと同様の突出部255を乗り越えると、図中で点線の丸枠で示した領域(256a~256c)内に固定される。それによって、ネット押圧部材16が上下方向の三つの位置のいずれかに固定される。
【0067】
また、図12(B)に示した溝353は、階段状で、各段が、上下位置固定部材15の内周面152にて周方向に沿って延長しつつ、さらに周方向に突出して先端(354a~354c)に至る形状となっている。そして、溝353において、各段の先端に至る途上には、図10に示した溝153に形成されていたものと同様の突出部355が形成されている。ネット押圧部材16の突起164は、溝353の先端に案内される過程でこの突出部355を乗り越えると、図中において点線の丸枠で示した領域(356a~356c)内に固定される。それによって、ネット押圧部材16は、溝353の三つの先端(354a~354c)のそれぞれに対応する上下方向の三つの位置のいずれかに固定される。
【0068】
なお、当然のことながら、溝(153、253、353)において、ネット押圧部材16の突起164が固定される領域は三箇所に限らない。互いに上下位置が異なる先端(154a~154c,254a~254c,354a~354c)の数を増減させることで、ネット押圧部材16の上下位置を二段階、あるいは四段階以上で調整できるようにすることもできる。もちろん、上下位置が異なる先端(154a~154c,254a~254c,354a~354c)を有する形状であれば、溝(153、253、353)の形状は適宜に変更することができる。
【0069】
そして、溝(153、253、353)の所定の先端(154a~154c,254a~254c,354a~354c)で突起164が留まるように保持されればよい。すなわち、上下固定部材15に対する相対的なネット押圧部材15の上下位置が、溝(153、253、353)に対する突起164の保持位置に応じて維持されればよい。ネット押圧部材16の突起164は、溝(153、253、353)の先端(154a~154c,254a~254c,354a~354c)の位置で固定されなくてもよい。例えば、図12(B)に示した溝255の形状を単純な階段状としつつ、先端(254a~254c)に至る途上に突出部255を設けなくてもよい。いずれにしても、溝を異なる上下位置で周方向に行き止まりとなる形状とし、各先端のそれぞれに応じた上下位置で突起164が保持されればよい。
【0070】
===メッシュ開口度表示===
第1の実施例に係る容器1では、ネット32のメッシュ開口度がネット押圧部材5のねじ込み量に応じて無段階に調整できる反面、ねじ込み量が変更されると、変更前のネット押圧部材5の上下位置が正確にわからず、変更前のメッシュ開口度に再調整することが難しかった。そこで、ネット32に対するネット押圧部材5の相対的な上下位置と、その上下位置でのメッシュ開口度との関係を、線、マーク、文字、記号、図案等の標識によって利用者に把握させるための表示(以下、「メッシュ開口度表示」と言うことがある)を容器1の適所に設けてもよい。
【0071】
図13に第1の実施例に係る容器1にメッシュ開口度表示を設けた例を示した。図13に示した例では、ネット押圧部材5の外周面と上段首部42bの外周面とにメッシュ開口度表示が設けられている。ネット押圧部材5の外周面におけるメッシュ開口度表示は、上方から見て時計回りの方向に向かって上下幅が徐々に狭くなっていくとともに、等角度間隔毎に目盛が付記された図案57を主体とした標識で構成されている。また、図案57は、上下幅が狭くなっていくのにしたがって徐々に図案の色が濃くなるようにグラデーション表示されている。そして、図案57の上下幅や濃淡は、利用者にメッシュの目の大きさを感覚的に把握させるためのものであり、上下幅が広いほど、及び色が濃いほどメッシュ開口度が疎になることを示している。もちろん、メッシュの密度が疎になるほど上下幅が徐々に広くなっていく図案のみや、図案の色が徐々に淡くなっていく図案のみをメッシュ開口度表示の標識としてもよい。
【0072】
一方、上段首部42bの外周面におけるメッシュ開口度表示は、容器本体4の上段首部42bの外周面の上端から下方に向かって延長しつつ、下段首部42aとの段差46にて放射外方向に延長する線状の図案47(以下、「指示線47」と言うことがある)である。当該指示線47は、ネット押圧部材5の相対的な回転位置を示すためのものである。
【0073】
図13に示したネット密度表示の例において、ネット押圧部材5は、外筒51の内周面に右ねじの雌ねじ53を有し、図5(A)に示したような内筒52の下端56がネット32の上面35の周縁に当接しているだけ初期状態から一回転分ねじ込まれると、図5(B)に示したような外筒51の下端が上段首部42bと下段首部42aとの段差46に当接してネット32を伸張させている最終状態になるようにその雌ねじ53が形成されている。また、指示線47は、ネット押圧部材5が初期状態、又は最終状態にあるとき、図案57において上下幅がもっとも狭い位置と最も広い位置との境界を指示するように設定されている。
【0074】
そして、このようなメッシュ開口度表示では、利用者が上段首部42bに装着したネット押圧部材5を初期状態から徐々にねじ込んでいくと、図案57において指示線47の延長線上にある上下幅が徐々に広くなるように変化していく。そのため、利用者は、所望の上下位置までネット押圧部材5をねじ込んだときの指示線47の延長線上にある図案57の上下幅と濃淡の程度によってネット32のメッシュ開口度を感覚的に把握することができる。さらに、指示線47と図案57に付された目盛との位置関係を覚えておくことで、その後にメッシュ開口度を再調整する際、前回のメッシュ開口度を再現させることができる。
【0075】
ネット押圧部材5が初期状態から最終状態に至るまで一回転よりも多くねじ込まれるように形成されている場合には、図13に示した図案57と指示線47とからなるネット密度表示に代え、例えば、指示線47に目盛を付加したネット密度表示とすることが考えられる。それによって利用者は、ネット押圧部材5の外筒51の下端位置にある指示線47上の目盛を読むことで上段首部42bに対するネット押圧部材5の相対的な上下の位置関係を確認することができる。
【0076】
第2の実施例に係る容器11では、上段と中段、中段と下段の各位置同士の上下位置の差が小さい場合、現在のメッシュの粗密状態を把握し難い場合がある。そこで、第2の実施例に係る容器11にもメッシュ開口度表示を設けてもよい。図14に、第2の実施例に係る容器11にメッシュ開口度表示を設けた例を示した。図14(A)は、第2の実施例に係る容器11から外蓋12を外した状態を示しており、図14(B)は、図14(A)における円200内の拡大図である。
【0077】
図14(A)に示したように、ネット押圧部材16の外周面163に形成されている回転補助部162の一つに上下方向に延長する指示線166が表示されており、上下位置固定部材15のフランジ151の上面には、上下位置が固定されているときのネット押圧部材16の回転位置を示す三つの三角形のマーク(157a~157c)が設けられている。図14(B)に示したように、各三角形のマーク(157a~157c)は、それぞれ異なる濃淡で表示されており、ネット132のメッシュ開口度の大小がマーク(157a~157c)の濃淡の度合いによって表現されている。ここでは、利用者がメッシュ開口度を感覚的に把握できるように、濃く表示されているほどメッシュ開口度が小さい(目が細かい)ことを示している。そして、利用者は、ネット押圧部材16を回転させつつ上下位置を所望に位置に固定した際、指示線166が示す位置にあるマーク(157a~157c)の濃淡によって現在のメッシュ開口度を把握することができる。さらに、指示線166が示す位置にあるマーク(157a~157c)の位置や濃淡を覚えておくことで、その後にメッシュ開口度を再調整する際、前回のメッシュ開口度を再現させることができる。二つ以上の回転補助部162に指示線166を設け、上下位置固定部材15のフランジ151の上面に、三つのマーク(157a~157c)を、それぞれの指示線166に対応させて設けてもよい。
【0078】
なお、上下位置固定部材15に、図12(A)に示したような溝253が形成されている場合、ネット押圧部材16は、上下の各位置で固定されている際、軸10周りの回転角度が同じであるため、図14に示したようなメッシュ開口度表示を適用することができない。そこで、図15に示したように、メッシュ開口度表示の内容を変更してもよい。図15は、図14(A)における円200内の領域に対応する拡大図であり、第2の実施例に係る容器11が、図12(A)に示した溝253が形成された上下位置固定部材15を備えている場合のメッシュ開口度表示の一例を示している。図15に示したように、上下方向の指示線166aに、溝253における三つの先端(254a~254c)のそれぞれの上下位置に対応して三本の目盛線166bが設けられている。一方、上下位置固定部材15には、フランジ151の上面において、指示線166aと重なる位置に頂点を有する三角形のマーク157が表示されている。それによって、利用者は、マーク157の頂点が示す指示線166a上の目盛の位置により、上下位置固定部材15に対するネット押圧部材16の相対的な上下位置を確認することができる。
【0079】
なお、メッシュ開口度表示を構成する標識は、印刷に限らず、例えば、転写、シートの貼付け、成形金型による凹凸等によって形成してもよい。
【0080】
===メッシュ開口度について===
上述したように、実施例に係る容器(1,11)は、ネット(32、132)の上面(35,135)の周縁をネット押圧部材(5,16)によって下方に押圧することで、メッシュ開口度を大きくするように構成されている。もちろん「ネット開口度」は、ネット(32,132)が押圧されていないときと、押圧されているときとにおける相対的なネットの目の粗さを表現するための語であり、何らかの物理的な単位や規定の測定方法等があるわけではない。そこで、ネット(32,132)に対する押圧の有無や押圧の度合いに応じてメッシュ開口度が実際に変化しているかどうかを調べた。
【0081】
具体的には、第1の実施例に係る容器1を用い、上段首部42bに対するネット押圧部材5のねじ込み量とメッシュ開口度との変化を光透過量により調べた。光透過量の測定には、市販の光透過率測定器(ティントメータMJ-TM110、佐藤商事株式会社製)を用い、ネット32を介さないときの光透過率を100%として、ネット32が押し込まれていない初期状態のとき(ネット押圧部5によるネット32の押圧量が0mmのとき)、ネット押圧部材5を上段首部42bに対してねじ込み、初期状態のネット32に対してネット32を2mm、及び5mm下方に押圧したときの光透過率を測定した。なお、測定に際しては、容器本体4の底部を破断開口するとともに、当該開口から光源を挿入して上方へ向けて投光し、ネット32の上面側にセンサを配置し、センサの受光面を光源に対向させた。そして、ネット押圧部材5によるネット32に対する押圧量が、0mm、2mm、及び5mmであるとき、光透過率は、それぞれ、38,7%、41.9%、及び48.8%であった。
【0082】
もちろん、上記測定結果は、一例であり、初期状態におけるネット32の開口度やネット32を構成する素材の伸縮性などに応じ、ネット押圧部材5によるネット32の押圧量と光透過率との関係は異なってくる。いずれにしても、上記実施例に係る容器1では、ネット押圧部材5によるネット32の押圧量が大きくなると、メッシュ開口度も大きくなることが確認できた。当然のことながら、第2の実施例に係る容器11でも同様である。
【0083】
===その他の実施例===
上記実施例に係る容器(1,11)における容器本体(4,14)に対する外蓋(2,12)の装着構造は、スクリューキャップ式であったが、外蓋の装着構造はスクリューキャップ式に限らず、周知の装着構造を採用することができる。
【0084】
第2の実施例に係る容器11では、ネット押圧部材16の外周面163に突起164が形成されて、上下位置固定部材15の内周面152にこの突起164と係合する溝153が形成されていたが、ネット押圧部材15の外周面163に溝153を設け、上下位置固定部材15の内周面152に内方に突出する突起164を設けてもよい。
【0085】
第2の実施例に係る容器11では、ネット押圧部材16の回転補助部162に利用者が指を掛けることで、ネット押圧部材16に対する回転方向への力が掛かり易くなっていたが、例えば、図16に示したネット押圧部材116の内周面に、放射内方向に突出するように回転補助部1162を設ければ、利用者は、この回転補助部1162に指を掛けながらネット押圧部材16を回転させることができる。
【0086】
上記実施例に係る容器(1,11)が対象とする内容物は化粧料に限らない。内容物としては、例えば、粉体や粒体からなる調味料等も考えられる。上記実施例に係る容器(1,11)が対象とする内容物が調味料であれば、メッシュ調整機構により、容器本体(4,14)を一振りした際の内容物の取出量を適宜に調整することができる。
【0087】
内容物は、化粧クリーム等の粘性のある流動体であってもよい。例えば、内容物が粘性のある化粧料である場合、実施例に係る容器(1,11)によれば、メッシュ調整機構により、パフに移し取る時の化粧料の多寡を調整することができる。
【0088】
上記実施例に係る容器(1,11)や、容器(1,11)を構成する部材(2~5,12~16)は、概ね、上下方向に扁平な円筒状となる外観形状を有していた。もちろん、容器(1,11)を構成する各部材(2~5,12~16)の外観形状は、上下方向に細長い円筒状など、適宜に変更することができる。
【0089】
容器本体(4,14)の首部(42,142)を角筒状としたり、容器本体(4,14)の開口部(43,143)、及び中蓋(3,13)における枠体(31,131)の平面形状を矩形としたりすることもできる。例えば、第1の実施例に係る容器1において、上段首部42bが角筒状で、開口部43の平面形状が矩形である場合、ネット押圧部材5の外筒51と内筒52とがともに角筒状とからなる二重角筒状とすればよい。そして、雄ねじ44に代え、上段首部42bの外面において同じ上下位置となる複数箇所に凹部を設け、さらに、その同じ上下位置に形成されている複数の凹部からなる組を異なる複数の上下位置に配設すればよい。そして、ネット押圧部材5の外筒51の内面に、ネット押圧部材5自身の素材(樹脂など)による弾性を利用するなどして上段首部42bの凹部に対して着脱可能な爪を形成しておけばよい。それによって、ネット押圧部材5は、異なる上下位置で爪が凹部と係合し、異なる複数の上下位置のそれぞれで固定される。
【0090】
ネット(32,132)は、必ずしも中蓋(3,13)の枠体(31,131)に張設されていなくてもよい。内容物の交換や補充が不要であれば、ネット(32,132)は、容器本体(4,14)の上端面に接着されるなどして開口部(43,143)を覆うように張設されていればよい。首部(42,142)の上端の開口部(43,143)とは別に、容器本体(4,14)の側面等の適所に、内容物の補充や詰め替えをするためのキャップ付きの専用の開口部を設けることもできる。
【0091】
上記各実施例に係る容器(1,11)では、容器本体(4,14)に対してネット(32,132)の上下位置が固定され、メッシュ調整機構のネット押圧部(5,16)のみがネット(32,132)に対して相対的に上下方向に移動可能に構成されていたが、ネット(32,132)の上下位置も容器本体(4,14)に対して上下動可能に構成すれば、容器本体(4,14)内の内容物が減って内容物の上面が下方に移動した場合であっても、内容物の上面とネット(32,132)の下面との間隙を一定に維持することができる。それによって、例えば、内容物がパフに移し取られる粘性のある化粧料等である場合、容器本体内に残存する化粧料の多寡に依らず、パフに移し取る時の化粧料の量を一定に維持することが可能となる。
【0092】
ネット(32,132)を上下動可能にするためには、第1の実施例に係る容器1であれば、例えば、上段首部42bを容器本体4のその他の部位とは個別の部材として形成し、上段首部42bのみを容器本体4に対して上下に移動可能に構成すれば、中蓋3に張設されているネット32全体が容器本体4に対して相対的に上下方向に移動できるようになる。上段首部42bを上下動させるためには、例えば、下段首部42aの内周面に雌ねじを形成しておき、上段首部42bの下端側の外周面にこの雌ねじと螺合する雄ねじを形成しておけばよい。第2の実施例の容器11においてネット132を上下動可能にするためには、例えば、容器本体4の首部42の内周面に雌ねじを形成しておき、中蓋13の枠体131にフランジ133を設けずに、外周面に首部42の雌ねじと螺合する雄ねじを形成しておくことが考えられる。
【0093】
そして、このようにネット上下動可能に構成すれば、内容物が、粘性のある化粧料であれば、メッシュ押圧機構によるネット(32,132)に対する押圧量で任意に設定しつつ、ネットと化粧料の上面との間隙を一定に保持することが可能となる。なお、容器本体内(4,14)内の内容物の多寡に依らず、ネット(32、132)と内容物の上面との間隙を一定に保つために、容器本体(4,14)に上下動が可能な底を設けてもよい。
【0094】
上述した実施例に係る容器(1,11)を構成する外蓋(2,12)、枠体(31,131)、容器本体(4,14)、上下位置固定部材15、及びネット押圧部材(5,16)は、それぞれが樹脂からなる一体成形品であったが、容器(1,11)を構成する部材(2~4,12~16)の一部あるいは全部は、樹脂以外の素材(金属、木、ガラス等)でできていてもよい。容器(1,11)を構成する部材の一部は、一体的でなくてもよく、複数の部品から構成されて、例えば、部品同士が接着、あるいはネジ止めされるなどして形成されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0095】
1,11 容器、2,12 外蓋、3,13 中蓋、4,14 容器本体、
5,16,116 ネット押圧部材(可動部)、10 軸、
15 上下位置固定部材(固定部)、31,131 枠体、32,132 ネット、
35,135 ネットの上面、42,142 首部、42a 下段首部、
42b 上段首部(固定部)、43,143 容器本体の開口部、
47,166,166a 指示線(ネット密度表示)、
44a,44b,144 雄ねじ、51 外筒、52 内筒、53 雌ねじ、
56 内筒の下端、57 図案(ネット密度表示)、153,253,353 溝、
154a~154c,254a~254c,354a~354c 溝の先端、
157,157a~157c マーク(ネット密度表示)、161 底部、
164 突起、162,1162 回転補助部、
165 ネット押圧部材の下面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16