(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088817
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】軸流送風機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/38 20060101AFI20230620BHJP
F04D 29/54 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
F04D29/38 C
F04D29/38 A
F04D29/54 B
F04D29/54 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020097
(22)【出願日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2021202979
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】永田 亮介
(72)【発明者】
【氏名】平松 友
(72)【発明者】
【氏名】重森 正宏
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB40
3H130AB52
3H130AC30
3H130BA61C
3H130CA06
3H130CB01
3H130CB11
3H130DA02Z
3H130DD01X
3H130EA07A
3H130EA07C
(57)【要約】
【課題】軸流送風機の遠方の受風点においても気流感を得られやすくする技術を提供する。
【解決手段】軸流送風機1は、ベルマウス10と、モータ20と、複数の羽根1030とを備える。ベルマウス10は、吸込側100から吹出側110に延びる円筒形状を有する。モータ20は、ベルマウス10の中心軸上に配置される。複数の羽根1030は、モータ20のモータ軸Cの外周に所定間隔で配置される。ベルマウス10は、吸込側100から吹出側110に向かうと径が小さくなるR部11を有する。羽根1030は、モータ20に近い内周側から、ベルマウス10に近い外周側に向かうにしたがって弦長が短くなるテーパ部1031を有し、テーパ部1031において最も吹出側110に近い外周側後縁端1031aが、R部11の吹出側端部13よりも吸込側100に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込側から吹出側に延びる円筒形状のベルマウスと、
前記ベルマウスの中心軸上に配置されるモータと、
前記モータのモータ軸の外周に所定間隔で配置される複数の羽根と、
を備え、
前記ベルマウスは、前記吸込側から前記吹出側に向かうと径が小さくなるR部を有し、
前記羽根は、前記モータに近い内周側から、前記ベルマウスに近い外周側に向かうにしたがって弦長が短くなるテーパ部を有し、
前記テーパ部において最も前記吹出側に近い外周側後縁端が、前記R部の吹出側端部よりも前記吸込側に位置する軸流送風機。
【請求項2】
前記羽根は、
前記テーパ部を最も前記外周側に含む前進部と、
前記前進部よりも前記内周側に配置される翼根部と、
を備え、
前記翼根部の内周縁における前縁と後縁とを結ぶ直線の中点を通る前記羽根の断面であって、かつ前記モータ軸に垂直な前記羽根の断面において、前記羽根の断面と前記モータ軸との交点と、前記中点とを結ぶ直線を傾斜基準線と定義する場合、前記羽根の断面での前記前進部の断面形状の中心線が、前記傾斜基準線よりも、前記羽根の回転方向側に位置する請求項1に記載の軸流送風機。
【請求項3】
前記羽根の前記モータ軸を中心とする円筒断面における取付角が、前記外周側から前記内周側に向かうにしたがって大きくなる請求項1または2に記載の軸流送風機。
【請求項4】
前記モータの動作により前記モータ軸を中心に回転する取付板と、
前記羽根を前記取付板に固定する固定部材と、
を備え、
前記固定部材は、前記翼根部において前記羽根を前記取付板に固定する請求項2または3に記載の軸流送風機。
【請求項5】
前記前進部の外周縁における前記前縁側の端部と、前記前進部と前記翼根部の境界となる前記前縁側の境界点とを結ぶ直線を前縁基準線と定義する場合、前記前進部の前記前縁が、前記前縁基準線よりも、前記前進部の前記後縁側に位置する請求項2~4のいずれか一項に記載の軸流送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の羽根の回転により気流を生成する軸流送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
軸流送風機では複数の羽根が放射状に取り付けられている。複数の羽根が回転することによって気流が発生する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
軸流送風機では、羽根の正圧面と負圧面の圧力差によって、羽根の外周側で渦中心に負圧を持つ翼端渦が発生する。軸流送風機から吹き出される気流(以下、「吹出流」ともいう)は、前の羽根の翼端渦によって形成された低圧領域に向かって引き寄せられ、半径方向外向きに拡散する。吹出流が半径方向外向きに拡散することによって、軸流送風機の遠方の受風点において吹出流の減衰が大きくなる。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、軸流送風機の遠方の受風点においても気流感を得られやすくする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の軸流送風機は、吸込側から吹出側に延びる円筒形状のベルマウスと、ベルマウスの中心軸上に配置されるモータと、モータのモータ軸の外周に所定間隔で配置される複数の羽根と、を備える。ベルマウスは、吸込側から吹出側に向かうと径が小さくなるR部を有し、羽根は、モータに近い内周側から、ベルマウスに近い外周側に向かうにしたがって弦長が短くなるテーパ部を有し、テーパ部において最も吹出側に近い外周側後縁端が、R部の吹出側端部よりも吸込側に位置する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、軸流送風機の遠方の受風点においても気流感を得られやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1(a)-(c)は、実施例に係る軸流送風機の構造を示す図である。
【
図2】
図2(a)-(c)は、
図1(a)-(c)の羽根の構造を示す図である。
【
図3】
図3(a)-(c)は、
図2(a)-(c)の羽根の構造を示す断面図である。
【
図4】
図4(a)-(c)は、変形例1に係る軸流送風機の構造を示す図である。
【
図5】
図5(a)-(c)は、
図4(a)-(c)の羽根の構造を示す図である。
【
図6】
図6(a)-(c)は、
図5(a)-(c)の羽根の構造を示す断面図である。
【
図7】
図7は、軸流送風機の取付板に固定された羽根の構造を示す図である。
【
図8】
図8(a)-(c)は、変形例2に係る軸流送風機の構造を示す図である。
【
図9】
図9(a)-(c)は、
図8(a)-(c)の羽根の構造を示す図である。
【
図11】
図11(a)-(c)は、
図9(a)-(c)の羽根の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
図1(a)-(c)は、軸流送風機1の構造を示す。
図1(a)は、軸流送風機1の平面図である。
図1(b)は、
図1(a)の軸流送風機1の1A-1A’線における断面図である。
図1(c)は、
図1(b)の軸流送風機1の一部を拡大した断面図である。
【0010】
ベルマウス10は、円筒形状を有し、吸込側100から吹出側110に延びる。ベルマウス10は、吸込側100に配置されるR部11と、R部11の吹出側110に配置されるダクト部12とを含む。R部11は、吸込側100から吹出側110に向かうと径が小さくなる。R部11における吹出側110の端部が吹出側端部13である。ダクト部12は、吸込側100から吹出側110に向かっても径が一定である。ダクト部12は吹出側端部13に吹出側110から接続される。ベルマウス10は一体的に形成されてもよい。
【0011】
ベルマウス10の吸込側100側にはモータ20が配置される。例えば、モータ20のモータ軸Cがベルマウス10の中心軸に一致する。モータ20は、ベルマウス10の中心線上に4本の取付脚50によって支持される。4本の取付脚50は、モータ20を中心にして略X字状に配置される。モータ20の吹出側110には、取付板40が回転可能に取り付けられる。取付板40には、3つの羽根1030が取り付けられる。羽根1030の数は「3」に限定されない。3つの羽根1030は、モータ軸Cの外周に所定間隔、例えば120度間隔で配置される。このような軸流送風機1の構造により、モータ20が動作すると、3つの羽根1030がモータ軸Cを中心にて回転方向Rに回転する。3つの羽根1030の回転により、吸込側100から吹出側110に向かう気流が発生する。
【0012】
図2(a)-(c)は、羽根1030の構造を示す。
図2(a)は、
図1(a)と同じ方向から見た羽根1030の正面図である。
図2(b)は、羽根1030の側面図である。この場合、回転方向Rは奥側に向かう。
図2(c)は、
図2(b)の羽根1030を1B-1B’線で切断した場合の断面図である。これは、
図2(a)に対してスライスするように切った羽根1030の断面図であるといえる。
【0013】
羽根1030において、ベルマウス10(
図1(a))に近い方向が外周側120であり、モータ20(
図1(a))に近い方向が内周側130である。羽根1030は、外周縁1034、内周縁1035、前縁1036、及び後縁1037により囲まれる。外周縁1034は、羽根1030における外周側120の縁部であり、内周縁1035は、羽根1030における内周側130側の縁部である。前縁1036は、羽根1030における回転方向Rの前側の縁部であり、後縁1037は、羽根1030における回転方向Rの後側の縁部である。
【0014】
羽根1030は、前進部1032と翼根部1033を含み、前進部1032は、羽根1030の外周側120に配置され、翼根部1033は、前進部1032よりも内周側130に配置される。また、
図2(a)において、前縁1036及び後縁1037には、前進部1032と翼根部1033のつなぎ目あるいは境界となる点に、前縁境界点1036a及び後縁境界点1037aがそれぞれ定義される。そして、前縁境界点1036aと後縁境界点1037aを結ぶ直線は、羽根1030を前進部1032と翼根部1033とに分ける境界線Y1と定義される。前進部1032は、境界線Y1部分において、翼根部1033に対して、羽根1030における回転方向Rの前側の方向に折れ曲がるように配置される。前進部1032の最も外周側120には、テーパ部1031が配置される。テーパ部1031は、外周縁1034を含む。テーパ部1031では、内周側130から外周側120に向かうにしたがって弦長が短くなる。
【0015】
翼根部1033の内周縁1035における前縁1036と後縁1037を結ぶ直線の中央の点が中点P1として定義される。
図2(c)は、中点P1を通る羽根1030の断面である。これは、モータ軸Cに垂直な羽根1030の断面であるともいえる。
図2(c)において、羽根1030の断面とモータ軸Cとの交点と、中点P1とを結ぶ直線が、傾斜基準線L1と定義される。羽根1030の断面での前進部1032の断面形状の中心線1038は、傾斜基準線L1よりも、羽根1030の回転方向Rの前側に位置する。
【0016】
このような前進部1032の形状、特にテーパ部1031の形状により、
図1(c)に示されるようにテーパ部1031の外周縁1034において最も吹出側110に近い外周側後縁端1031aが、R部11の吹出側端部13よりも吸込側100に位置する。外周側後縁端1031aは、
図2(a)に示されるように、羽根1030の回転方向Rの後側の外周縁1034と後縁1037との交点である。これにより、ベルマウス10と羽根1030との距離が広くなることによって、気流Fが側面から流入しやすくなる。その結果、半径方向の内向きに向かう気流Fができ、拡散しにくくなる。仮にテーパ部1031を設けずに、ベルマウス10と羽根1030の距離を広くするだけの場合、羽根1030の正圧面側と負圧面側とでの気体の圧力差により、ベルマウス10と羽根1030との間を通って空気が逆流して、翼端渦が発生する。前述のごとく、翼端渦が気流の拡散の要因になる。一方、テーパ部1031を設けることによって羽根1030の外周縁1034での仕事量が減っているので、外周縁1034では羽根1030の正圧面側と負圧面側とでの気体の圧力差が小さく逆流が起こりにくい。したがって翼端渦が発生しにくくなり、拡散が起こらずに気流Fが中心に寄せられる。
【0017】
図3(a)-(c)は、羽根1030の構造を示す断面図である。
図3(a)は、
図2(a)の面A1における断面図であり、
図3(b)は、
図2(a)の面B1における断面図であり、
図3(c)は、
図2(a)の面C1における断面図である。これらは、羽根1030のモータ軸Cを中心とする円筒断面に相当する。
【0018】
図3(a)が内周側130の翼根部1033における羽根1030の断面図であり、
図3(c)が外周側120のテーパ部1031における羽根1030の断面図である。
図3(b)は、
図3(a)と
図3(c)の間の前進部1032における羽根1030の断面図である。
図3(a)では、羽根1030の翼弦長が「W11」と示され、後縁1037における羽根1030と水平面との間の角度が取付角「θ11」と示される。
図3(b)では、羽根1030の翼弦長が「W12」と示され、後縁1037における羽根1030と水平面との間の角度が取付角「θ12」と示される。
図3(c)では、羽根1030の翼弦長が「W13」と示され、後縁1037における羽根1030と水平面との間の角度が取付角「θ13」と示される。
【0019】
ここで、θ11>θ12>θ13とされる。つまり、羽根1030の取付角は、外周側120から内周側130に向かうにしたがって大きくされる。これにより、羽根1030の外周側120よりも羽根30の内周側130において仕事量が増加する。その結果、羽根1030に吸い込まれる気流がモータ軸Cに向き、半径方向の内向きに向かう気流ができるので、拡散しにくくなる。
【0020】
本実施例によれば、テーパ部31の外周側後縁端1031aが、R部11の吹出側端部13よりも吸込側100に位置するので、気体を半径方向内向きに向かって羽根1030に流入させることができる。また、気体を半径方向内向きに向かって羽根1030に流入されるので、吹出流を拡散しにくくできる。また、吹出流が拡散しにくくなるので、遠方の受風点において気流感が得られやすくできる。
【0021】
また、羽根1030の外周側120に向かって翼弦長が短くなるので、羽根1030の外周縁1034近傍での仕事量を少なくできる。また、羽根1030の外周縁1034近傍での仕事量が少なくなるので、羽根1030の正圧面側と負圧面側とでの気体の圧力差を低減できる。また、羽根1030の正圧面側と負圧面側とでの気体の圧力差が低減されるので、翼端渦を弱めることができる。また、翼端渦が弱まるので、吹出流が羽根1030の外周側120に向かって引き寄せられる量を低減できる。また、吹出流が羽根30の外周側120に向かって引き寄せられる量が低減されるので、拡散しにくくなる。
【0022】
また、羽根1030の前進部1032の断面形状が回転方向側に傾いているので、羽根1030が吹き出す気流の方向を半径方向内向きにできる。また、羽根1030が吹き出す気流の方向が半径方向内向きになるので、吹出流を拡散しにくくできる。また、羽根1030の内周側130に向かうにしたがって取付角が大きくなるので、羽根1030の内周側130での仕事量を増加できる。また、羽根1030の内周側130での仕事量が増加するので、軸流送風機1の側面方向から羽根1030に流入する気流が、取付角が一定の場合と比較してより羽根1030の内周側に向かって流れるようにできる。
【0023】
(変形例1)
図4~
図7を参照して変形例1に係る軸流送風機2について説明する。変形例1に係る軸流送風機2は、羽根1030を前進部1032と翼根部1033とに分ける境界線Y1の位置を外周側120に調整した羽根2030を用いる点で実施例に係る軸流送風機1と異なる。これ以外の軸流送風機2の構成は、実施例に係る軸流送風機1と同様である。以下、実施例で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施例と異なる点を主に説明する。
【0024】
図4(a)-(c)は、軸流送風機2の構造を示す。
図4(a)は、軸流送風機2の平面図である。
図4(b)は、
図4(a)の軸流送風機2の2A-2A’線における断面図である。
図4(c)は、
図4(b)の軸流送風機2の一部を拡大した断面図である。
【0025】
変形例1に係る軸流送風機2では、軸流送風機1と同様、取付板40に対して、後述する固定部材(
図7に示す固定部材41a、固定部材41b、固定部材42a、固定部材42b)によって3つの羽根2030が取り付けられる。3つの羽根2030は、モータ軸Cの外周に所定間隔、例えば120度間隔で配置される。取付板40は、モータ20の動作によりモータ軸Cを中心に回転する。つまり、モータ20が動作すると、3つの羽根2030がモータ軸Cを中心にて回転方向Rに回転する。3つの羽根2030の回転により、吸込側100から吹出側110に向かう気流が発生する。
【0026】
図5(a)-(c)は、羽根2030の構造を示す。
図5(a)は、
図4(a)と同じ方向から見た羽根2030の正面図である。
図5(b)は、羽根2030の側面図である。この場合、回転方向Rは奥側に向かう。
図5(c)は、
図5(b)の羽根2030を2B-2B’線で切断した場合の断面図である。これは、
図5(a)に対してスライスするように切った羽根2030の断面図であるといえる。
【0027】
羽根2030において、ベルマウス10(
図4(a))に近い方向が外周側120であり、モータ20(
図4(a))に近い方向が内周側130である。羽根2030は、外周縁2034、内周縁2035、前縁2036、及び後縁2037により囲まれる。外周縁2034は、羽根2030における外周側120の縁部であり、内周縁2035は、羽根2030における内周側130側の縁部である。前縁2036は、羽根2030における回転方向Rの前側の縁部であり、後縁2037は、羽根2030における回転方向Rの後側の縁部である。
【0028】
羽根2030は、前進部2032と翼根部2033を含み、前進部2032は、羽根2030の外周側120側に配置され、翼根部2033は、前進部2032よりも内周側130に配置される。また、
図5(a)において、前縁2036及び後縁2037には、前進部2032と翼根部2033のつなぎ目あるいは境界となる点に、前縁境界点2036a及び後縁境界点2037aがそれぞれ定義される。そして、前縁境界点2036aと後縁境界点2037aとを結ぶ直線は、羽根2030を前進部2032と翼根部2033とに分ける境界線Y2と定義される。前進部2032は、境界線Y2部分において、翼根部2033に対して、羽根2030における回転方向Rの前側の方向に折れ曲がるように配置される。前進部2032の最も外周側120にはテーパ部2031が配置される。テーパ部2031は、外周縁2034を含む。テーパ部2031では、内周側130から外周側120に向かうにしたがって弦長が短くなる。
【0029】
翼根部2033の内周縁2035における前縁2036と後縁2037を結ぶ直線の中央の点が中点P2として定義される。
図5(c)は、中点P2を通る羽根2030の断面である。これは、モータ軸Cに垂直な羽根2030の断面であるともいえる。
図5(c)において、羽根2030の断面とモータ軸Cとの交点と、中点P2とを結ぶ直線が、傾斜基準線L2と定義される。羽根2030の断面での前進部2032の断面形状の中心線2038は、傾斜基準線L2よりも、羽根2030の回転方向Rの前側に位置する。
【0030】
このような前進部2032の形状、特にテーパ部2031の形状により、
図4(c)に示されるようにテーパ部2031の外周縁2034において最も吹出側110に近い外周側後縁端2031aが、R部11の吹出側端部13よりも吸込側100に位置する。外周側後縁端2031aは、
図5(a)に示されるように、羽根2030の回転方向Rの後側の外周縁2034と後縁2037との交点である。これにより、ベルマウス10と羽根2030との距離が広くなることによって、気流Fが側面から流入しやすくなる。その結果、半径方向の内向きに向かう気流Fができ、拡散しにくくなる。仮にテーパ部2031を設けずに、ベルマウス10と羽根2030の距離を広くするだけの場合、羽根2030の正圧面側と負圧面側とでの気体の圧力差により、ベルマウス10と羽根2030との間を通って空気が逆流して、翼端渦が発生する。前述のごとく、翼端渦が気流の拡散の要因になる。一方、テーパ部2031を設けることによって羽根2030の外周縁2034での仕事量が減っているので、外周縁2034では羽根2030の正圧面側と負圧面側とでの気体の圧力差が小さく逆流が起こりにくい。したがって翼端渦が発生しにくくなり、拡散が起こらずに気流Fが中心に寄せられる。
【0031】
図6(a)-(c)は、羽根2030の構造を示す断面図である。
図6(a)は、
図5(a)の面A2における断面図であり、
図6(b)は、
図5(a)の面B2における断面図であり、
図6(c)は、
図5(a)の面C2における断面図である。これらは、羽根2030のモータ軸Cを中心とする円筒断面に相当する。
【0032】
図6(a)が内周側130の翼根部2033における羽根2030の断面図であり、
図6(c)が外周側120のテーパ部2031における羽根2030の断面図である。
図6(b)は、
図6(a)と
図6(c)の間の前進部2032における羽根2030の断面図である。
図6(a)では、羽根2030の翼弦長が「W21」と示され、後縁2037における羽根2030と水平面との間の角度が取付角「θ21」と示される。
図6(b)では、羽根2030の翼弦長が「W22」と示され、後縁2037における羽根2030と水平面との間の角度が取付角「θ22」と示される。
図6(c)では、羽根2030の翼弦長が「W23」と示され、後縁2037における羽根2030と水平面との間の角度が取付角「θ23」と示される。
【0033】
ここで、θ21>θ22>θ23とされる。つまり、羽根2030の取付角は、外周側120から内周側130に向かうにしたがって大きくなる。これにより、羽根30の外周側120よりも羽根2030の内周側130において仕事量が増加する。その結果、羽根2030に吸い込まれる気流がモータ軸Cに向き、半径方向の内向きに向かう気流ができるので、拡散しにくくなる。
【0034】
軸流送風機2では、軸流送風機1と同様に、テーパ部2031の外周側後縁端2031aが、R部11の吹出側端部13よりも吸込側100に位置するので、気体を半径方向内向きに向かって羽根2030に流入させることができる。また、気体を半径方向内向きに向かって羽根2030に流入されるので、吹出流を拡散しにくくできる。また、吹出流が拡散しにくくなるので、遠方の受風点において気流感が得られやすくできる。
【0035】
また、羽根2030の外周側120に向かって翼弦長が短くなるので、羽根2030の外周縁2034近傍での仕事量を少なくできる。また、羽根2030の外周縁2034近傍での仕事量が少なくなるので、羽根2030の正圧面側と負圧面側とでの気体の圧力差を低減できる。また、羽根2030の正圧面側と負圧面側とでの気体の圧力差が低減されるので、翼端渦を弱めることができる。また、翼端渦が弱まるので、吹出流が羽根2030の外周側120に向かって引き寄せられる量を低減できる。また、吹出流が羽根2030の外周側120に向かって引き寄せられる量が低減されるので、拡散しにくくなる。
【0036】
また、羽根2030の前進部2032の断面形状が回転方向側に傾いているので、羽根2030が吹き出す気流の方向を半径方向内向きにできる。また、羽根2030が吹き出す気流の方向が半径方向内向きになるので、吹出流を拡散しにくくできる。また、羽根2030の内周側130に向かうにしたがって取付角が大きくなるので、羽根2030の内周側130での仕事量を増加できる。また、羽根2030の内周側130での仕事量が増加するので、軸流送風機2の側面方向から羽根2030に流入する気流が、取付角が一定の場合と比較してより羽根2030の内周側に向かって流れるようにできる。
【0037】
次に、
図7を参照して軸流送風機2における羽根2030の取り付け構造について説明する。
図7は、軸流送風機の取付板40に固定された羽根の構造を示す図である。
図7(a)は、軸流送風機2の取付板40に固定された羽根2030の構造を示し、
図7(b)は、軸流送風機1の取付板40に固定された羽根1030の構造を示す。
【0038】
図7(a)に示されるように、羽根2030は、翼根部2033において、4ヶ所の固定部材(固定部材41a、固定部材41b、固定部材42a、及び固定部材42b)によってリベット留めを行い、取付板40に固定される。4ヶ所の固定部材は、取付板40の一端において四角形状に配置される。具体的には、固定部材41aと固定部材41bは、翼根部2033の内周側130に配置され、固定部材42aと固定部材42bは、翼根部2033の外周側120に配置される。固定部材41aと固定部材41bの中心を結ぶ線分X1の中央の点が中点41として定義され、固定部材42aと固定部材42bの中心を結ぶ線分X2の中央の点が中点42と定義される。ここで、中点41及び中点42は、翼根部2033の内周縁2035における前縁2036と後縁2037を結ぶ直線に対して垂直、かつ、中点P2を通る平面上に位置する。つまり、固定部材41aと固定部材41bは、この平面に対して対称に位置し、固定部材42aと固定部材42bは、この平面に対して対称に位置する。
【0039】
上述した通り、前縁2036における前縁境界点2036aと後縁2037における後縁境界点2037aとを結ぶ直線は、境界線Y2と定義される。羽根2030では、境界線Y2と線分X2に着目すると、境界線Y2は、線分X2(固定部材42a及び固定部材42b)よりも外周側120に位置している。つまり、線分X2と境界線Y2との間には所定の間隔が設けられている。
【0040】
一方、
図7(b)に示されるように、実施例における羽根1030もまた、羽根2030と同様、翼根部1033において、4ヶ所の固定部材(固定部材41a、固定部材41b、固定部材42a、及び固定部材42b)によってリベット留めを行い、取付板40に固定される。中点41と中点42は、モータ軸Cを含み、且つ、中点P1を通る平面(
図2(b)の羽根1030を1B-1B’線で切断する平面に相当)上にいずれも位置する。
【0041】
また、上述した通り、前縁1036における前縁境界点1036aと後縁1037における後縁境界点1037aとを結ぶ直線は、境界線Y1と定義される。羽根1030では、境界線Y1と線分X2に着目すると、境界線Y2は、線分X2(固定部材42a及び固定部材42b)と重なるように位置している。つまり、線分X2と境界線Y2との間には所定の間隔が設けられていない。
【0042】
羽根2030と羽根1030とを比較すると、羽根の全長は同程度となっているが、前進部2032が前進部1032より短く、翼根部2033が翼根部1033より長くなっている。
【0043】
一般的に、羽根2030または羽根1030を取付板40に固定する固定部材(固定部材41a、固定部材41b、固定部材42a、固定部材42b)には、送風動作時における遠心力による応力負荷を受けやすい。また、前進部2032と翼根部2033の境界線Y2の部分または前進部1032と翼根部1033の境界線Yの部分にも、その折れ曲がった形状から、遠心力による負荷が集中しやすい。
図7(a)のように境界線Y2が線分X2(固定部材42a及び固定部材42b)より外周側120に位置していることは、
図7(b)のように境界線Y1と線分X2(固定部材42a及び固定部材42b)が重なる場合と比べ、固定部材42a及び固定部材42bに加わる応力負荷を低減することができる。つまり、軸流送風機における羽根の取り付け構造として、軸流送風機2の羽根2030のようにして取り付けることで、より強い取り付け強度が求められる環境において、性能を損なわず、遠方の受風点で気流感を得ることができる。
【0044】
(変形例2)
図8~
図11を参照して変形例2に係る軸流送風機3について説明する。変形例2に係る軸流送風機3は、主として羽根2030の前進部2032の形状を調整した羽根3030を用いる点で変形例1に係る軸流送風機2と異なる。これ以外の軸流送風機3の構成は、変形例1に係る軸流送風機2と同様である。以下、実施例及び変形例1で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施例と異なる点を主に説明する。
【0045】
図8(a)-(c)は、軸流送風機3の構造を示す。
図8(a)は、軸流送風機3の平面図である。
図8(b)は、
図8(a)の軸流送風機3の3A-3A’線における断面図である。
図8(c)は、
図8(b)の軸流送風機3の一部を拡大した断面図である。
【0046】
変形例2に係る軸流送風機3では、軸流送風機2と同様、取付板40に対して、固定部材(
図7参照)によって3つの羽根3030が取り付けられる。3つの羽根3030は、モータ軸Cの外周に所定間隔、例えば120度間隔で配置される。取付板40は、モータ20の動作によりモータ軸Cを中心に回転する。つまり、モータ20が動作すると、3つの羽根2030がモータ軸Cを中心にて回転方向Rに回転する。3つの羽根3030の回転により、吸込側100から吹出側110に向かう気流Fが発生する。
【0047】
図9(a)-(c)は、羽根3030の構造を示す。
図9(a)は、
図8(a)と同じ方向から見た羽根3030の正面図である。
図9(b)は、羽根3030の側面図である。この場合、回転方向Rは奥側に向かう。
図9(c)は、
図9(b)の羽根3030を3B-3B’線で切断した場合の断面図である。これは、
図9(a)に対してスライスするように切った羽根3030の断面図であるといえる。
【0048】
羽根3030において、ベルマウス10(
図8(a))に近い方向が外周側120であり、モータ20(
図8(a))に近い方向が内周側130である。羽根3030は、外周縁3034、内周縁3035、前縁3036、及び後縁3037により囲まれる。外周縁3034は、羽根3030における外周側120の縁部であり、内周縁3035は、羽根3030における内周側130側の縁部である。前縁3036は、羽根3030における回転方向Rの前側の縁部であり、後縁3037は、羽根3030における回転方向Rの後側の縁部である。
【0049】
羽根3030は、前進部3032と翼根部3033を含み、前進部3032は、羽根3030の外周側120側に配置され、翼根部3033は、前進部3032よりも内周側130に配置される。また、
図9(a)において、前縁3036及び後縁3037には、前進部3032と翼根部3033のつなぎ目あるいは境界となる点に、前縁境界点3036a及び後縁境界点3037aがそれぞれ定義される。そして、前縁境界点3036aと後縁境界点3037aを結ぶ直線は、羽根3030を前進部3032と翼根部3033に分ける境界線Y3と定義される。前進部3032は、境界線Y3部分において、翼根部3033に対して、羽根3030における回転方向Rの前側の方向に折れ曲がるように配置される。前進部3032の最も外周側120にはテーパ部3031が配置される。テーパ部3031は、外周縁3034を含む。テーパ部3031では、内周側130から外周側120に向かうにしたがって弦長が短くなる。
【0050】
翼根部3033の内周縁3035における前縁3036と後縁3037を結ぶ直線の中央の点が中点P3として定義される。
図9(c)は、中点P3を通る羽根3030の断面である。これは、モータ軸Cに垂直な羽根3030の断面であるともいえる。
図9(c)において、羽根3030の断面とモータ軸Cとの交点と、中点P3とを結ぶ直線が、傾斜基準線L3と定義される。羽根3030の断面での前進部3032の断面形状の中心線3038は、傾斜基準線L3よりも、羽根3030の回転方向Rの前側に位置する。
【0051】
羽根3030は前進部3032の形状、特にテーパ部3031の形状により、
図8(c)に示されるようにテーパ部3031の外周縁3034において最も吹出側110に近い外周側後縁端3031aが、R部11の吹出側端部13よりも吸込側100に位置する。外周側後縁端3031aは、
図9(a)に示されるように、羽根3030の回転方向Rの後側の外周縁3034と後縁3037との交点である。これにより、ベルマウス10と羽根3030との距離が広くなることによって、気流Fが側面から流入しやすくなる。その結果、半径方向の内向きに向かう気流Fができ、拡散しにくくなる。仮にテーパ部3031を設けずに、ベルマウス10と羽根3030の距離を広くするだけの場合、羽根3030の正圧面側と負圧面側とでの気体の圧力差により、ベルマウス10と羽根3030との間を通って空気が逆流して、翼端渦が発生する。前述のごとく、翼端渦が気流の拡散の要因になる。一方、テーパ部3031を設けることによって羽根3030の外周縁3034での仕事量が減っているので、外周縁3034では羽根3030の正圧面側と負圧面側とでの気体の圧力差が小さく逆流が起こりにくい。したがって翼端渦が発生しにくくなり、拡散が起こらずに気流Fが中心に寄せられる。
【0052】
次に、
図10を参照して変形例2における羽根3030と変形例1における羽根2030との間の相違点について説明する。
図10は、羽根の構造を示す図である。
図10(a)は、
図9(a)に対応する羽根3030の正面図であり、
図10(b)は、
図5(a)に対応する羽根2030の正面図である。
【0053】
図10(a)に示すように、羽根3030において、外周縁3034と前縁3036との交点(外周縁3034における前縁3036側の端部)である外周側前縁端3031bと、前縁3036における前進部3032と翼端部3033のつなぎ目あるいは境界となる前縁境界点3036aとを結ぶ直線を前縁基準線Z3と定義する。羽根3030では、前進部3032における前縁3030は、前縁基準線Z3よりも、前進部3032の後縁3037側に位置している。3032における前縁3030は、前縁基準線Z3よりも、前進部3032の後縁3037側に凹んでいるとも言える。
【0054】
一方、
図10(b)に示すように、羽根2030において、外周縁2034と前縁2036との交点(外周縁2034における前縁2036側の端部)である外周側前縁端2031bと、前縁2036における前進部2032と翼端部2033のつなぎ目あるいは境界となる前縁境界点2036aとを結ぶ直線を前縁基準線Z2と定義する。羽根2030では、前進部2032における前縁2030は、前縁基準線Z2に対して、前進部3032の後縁3037とは反対側に位置している。前進部2032における前縁2030は、前縁基準線Z2よりも、羽根3030の回転方向Rの前側に延在しているとも言える。
【0055】
羽根3030における前進部3032の構造として、
図10(a)のように前縁3036を前縁基準線Z3よりも後縁3037側に位置する構成とすることで、
図10(b)のように前縁3036を前縁基準線Z3に対して後縁3037側とは反対側に位置する構成と比較して、前進部3032の重量、つまり羽根3030の重量を軽くすることができる。このため、前進部3032と翼根部3033の境界線Y3の部分に作用する負荷(送風動作時における遠心力による負荷)を低減することができる。つまり、軸流送風機における羽根の構造として、軸流送風機3の羽根3030のように構成することで、より強い取り付け強度が求められる環境において、性能を損なわず、遠方の受風点で気流感を得ることができる。さらに、羽根3030において前進部3032での仕事が減少し、相対的に、羽根3030の外周側120よりも羽根3030の内周側130において仕事量が増加する。その結果、羽根3030に吸い込まれる気流がモータ軸Cに向き、半径方向の内向きに向かう気流ができるので、拡散しにくくなる。
【0056】
図11(a)-(c)は、羽根3030の構造を示す断面図である。
図11(a)は、
図9(a)の面A3における断面図であり、
図11(b)は、
図9(a)の面B3における断面図であり、
図11(c)は、
図9(a)の面C3における断面図である。これらは、羽根3030のモータ軸Cを中心とする円筒断面に相当する。
【0057】
図11(a)が内周側130の翼根部3033における羽根3030の断面図であり、
図11(c)が外周側120のテーパ部3031における羽根3030の断面図である。
図11(b)は、
図11(a)と
図11(c)の間の前進部3032における羽根3030の断面図である。
図11(a)では、羽根3030の翼弦長が「W31」と示され、後縁3037における羽根3030と水平面との間の角度が取付角「θ31」と示される。
図11(b)では、羽根2030の翼弦長が「W32」と示され、後縁3037における羽根3030と水平面との間の角度が取付角「θ32」と示される。
図11(c)では、羽根3030の翼弦長が「W33」と示され、後縁3037における羽根3030と水平面との間の角度が取付角「θ33」と示される。
【0058】
ここで、θ31>θ32>θ33とされる。つまり、羽根3030の取付角は、外周側120から内周側130に向かうにしたがって大きくなる。これにより、羽根3030の外周側120よりも羽根3030の内周側130において仕事量が増加する。その結果、羽根3030に吸い込まれる気流がモータ軸Cに向き、半径方向の内向きに向かう気流ができるので、拡散しにくくなる。
【0059】
軸流送風機3では、軸流送風機1または軸流送風機2と同様に、テーパ部3031の外周側後縁端3031aが、R部11の吹出側端部13よりも吸込側100に位置するので、気体を半径方向内向きに向かって羽根3030に流入させることができる。また、気体を半径方向内向きに向かって羽根3030に流入されるので、吹出流を拡散しにくくできる。また、吹出流が拡散しにくくなるので、遠方の受風点において気流感が得られやすくできる。
【0060】
また、羽根3030の外周側3120に向かって翼弦長が短くなるので、羽根3030の外周縁3034近傍での仕事量を少なくできる。また、羽根3030の外周縁3034近傍での仕事量が少なくなるので、羽根3030の正圧面側と負圧面側とでの気体の圧力差を低減できる。また、羽根3030の正圧面側と負圧面側とでの気体の圧力差が低減されるので、翼端渦を弱めることができる。また、翼端渦が弱まるので、吹出流が羽根3030の外周側120に向かって引き寄せられる量を低減できる。また、吹出流が羽根3030の外周側120に向かって引き寄せられる量が低減されるので、拡散しにくくなる。
【0061】
また、羽根3030の前進部3032の断面形状が回転方向側に傾いているので、羽根3030が吹き出す気流の方向を半径方向内向きにできる。また、羽根3030が吹き出す気流の方向が半径方向内向きになるので、吹出流を拡散しにくくできる。また、羽根3030の内周側130に向かうにしたがって取付角が大きくなるので、羽根3030の内周側130での仕事量を増加できる。また、羽根2030の内周側130での仕事量が増加するので、軸流送風機3の側面方向から羽根3030に流入する気流が、取付角が一定の場合と比較してより羽根3030の内周側に向かって流れるようにできる。
【0062】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の軸流送風機(1)は、吸込側(100)から吹出側(110)に延びる円筒形状のベルマウス(10)と、ベルマウス(10)の中心軸上に配置されるモータ(20)と、モータ(20)のモータ軸(C)の外周に所定間隔で配置される複数の羽根(1030)と、を備える。ベルマウス(10)は、吸込側(100)から吹出側(110)に向かうと径が小さくなるR部(11)を有する。羽根(1030)は、モータ(20)に近い内周側(130)から、ベルマウス(10)に近い外周側(120)に向かうにしたがって弦長が短くなるテーパ部(1031)を有する。テーパ部(1031)において最も吹出側(110)に近い外周側後縁端(1031a)が、R部(11)の吹出側端部(13)よりも吸込側(100)に位置する。
【0063】
羽根(1030)は、テーパ部(1031)を最も外周側(120)に含む前進部(1032)と、前進部(1032)よりも内周側(130)に配置される翼根部(1033)と、を備えてもよい。翼根部(1033)の内周縁(1035)における前縁(1036)と後縁(1037)とを結ぶ直線の中点(P)を通る羽根(1030)の断面であって、かつモータ軸(C)に垂直な羽根(1030)の断面において、羽根(1030)の断面とモータ軸(C)との交点と、中点(P)とを結ぶ直線を傾斜基準線(L1)と定義する場合、羽根(1030)の断面での前進部(1032)の断面形状の中心線が、傾斜基準線(L1)よりも、羽根(1030)の回転方向側に位置してもよい。
【0064】
羽根(1030)のモータ軸(C)を中心とする円筒断面における取付角が、外周側(120)から内周側(130)に向かうにしたがって大きくなってもよい。
【0065】
モータ(20)の動作によりモータ軸(C)を中心に回転する取付板(40)と、羽根(2030)を取付板(40)に固定する固定部材(42a、42b)と、を備え、固定部材(42a、42b)は、翼根部(2033)において羽根(2030)を取付板(40)に固定してもよい。
【0066】
前進部(3032)の外周縁(3034)における前縁(3036)側の端部(3031b)と、前進部(3032)と翼根部(3033)の境界となる前縁(3036)側の境界点(3036a)とを結ぶ直線を前縁基準線(Z3)と定義する場合、前進部(3032)の前縁(3036)が、前縁基準線(Z3)よりも、前進部(3032)の後縁(3037)側に位置してもよい。
【0067】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0068】
1,2,3 軸流送風機、 L1,L2,L3 傾斜基準線、 10 ベルマウス、 11 R部、 12 ダクト部、 13 吹出側端部、 20 モータ、 1030,2030,3030 羽根、 1031,2031,3031 テーパ部、 1031a,2031a,3031a 外周側後縁端、 2031b,3031b 外周側前縁端、 1032,2032,3032 前進部、 1033,2033,3033 翼根部、 1034,2034,3034 外周縁、 1035,2035,3035 内周縁、 1036,2036,3036 前縁、 1036a,2036a,3036a 前縁境界点、 1037,2037,3037 後縁、 1037a,2037a,3037a 後縁境界点、 1038,2038,3038 中心線、 40 取付板、 41a,41b,42a,42b 固定部材、 X1,X2 線分、 Y1,Y2,Y3 境界線、 Z2,Z3 前縁基準線、 50 取付脚、 100 吸込側、 110 吹出側、 120 外周側、 130 内周側、 C モータ軸、 130 内周側、 P1,P2,P3 中点、 R 回転方向。