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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008883
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】ヘテロダインカテーテル較正システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/06 20060101AFI20230111BHJP
   A61M 25/095 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A61B5/06
A61M25/095
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022103444
(22)【出願日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】17/362,725
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・プリラツキー
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・グセイン
(72)【発明者】
【氏名】イラン・ゴールデンバーグ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA32
4C267BB02
4C267BB11
4C267BB26
4C267BB39
4C267BB40
4C267BB44
4C267BB56
4C267BB63
4C267CC15
4C267HH11
(57)【要約】
【課題】カテーテル較正システムを提供すること。
【解決手段】カテーテル較正システムは、較正チャンバ、受信器、及びプロセッサを含む。較正チャンバは、第1の周波数で振動する較正磁場を発生するように構成されている。較正チャンバは、1つ以上の磁場センサを有するカテーテルの遠位端を挿入するためのキャビティを含む。受信器は、カテーテルに接続されて、較正磁場に応じて1つ以上の磁場センサによって発生させられた1つ以上の信号をカテーテルから受信し、1つ以上の信号を第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する1つ以上のそれぞれの中間周波数(IF)信号に変換するように構成されている。プロセッサは、受信器から1つ以上のIF信号を受信し、1つ以上のIF信号からカテーテルナビゲーション較正データを計算するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル較正システムであって、
第1の周波数で振動する較正磁場を発生するように構成された較正チャンバであって、1つ以上の磁場センサを有するカテーテルの遠位端を挿入するためのキャビティを備える、較正チャンバと、
前記較正チャンバの前記キャビティ内に挿入された前記カテーテルに接続されて、前記較正磁場に応じて前記1つ以上の磁場センサによって発生させられた1つ以上の信号を前記カテーテルから受信し、前記1つ以上の信号を、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する1つ以上のそれぞれの中間周波数(IF)信号に変換するように構成された受信器と、
前記受信器から前記1つ以上のIF信号を受信し、前記1つ以上のIF信号からカテーテルナビゲーション較正データを計算するように構成されたプロセッサと、を備える、カテーテル較正システム。
【請求項2】
前記プロセッサが、前記1つ以上のIF信号に基づいて、前記カテーテルの前記遠位端の位置を計算し、前記計算された位置に応じて前記カテーテルナビゲーション較正データを計算するように構成されている、請求項1に記載のカテーテル較正システム。
【請求項3】
前記受信器が、前記1つ以上の信号にローカル発振器(LO)信号を掛け合わせることによって、前記1つ以上の信号を前記1つ以上のIF信号に変換するように構成されている、請求項1に記載のカテーテル較正システム。
【請求項4】
前記受信器が、前記1つ以上のIF信号をフィルタリングして、前記第1の周波数をフィルタ除去するように構成されている、請求項1に記載のカテーテル較正システム。
【請求項5】
前記プロセッサが、
前記較正チャンバに、前記第1の周波数よりも低い第3の周波数の前記較正磁場を発生させ、
前記カテーテルから直接、前記1つ以上の信号を受信し、
前記カテーテルから前記第3の周波数で受信した前記1つ以上の信号から前記カテーテルナビゲーション較正データを計算することにより、低周波数の較正モードで動作するように構成されている、請求項1に記載のカテーテル較正システム。
【請求項6】
カテーテル較正方法であって、
1つ以上の磁場センサを有するカテーテルの遠位端を挿入するためのキャビティを備える較正チャンバ内に、第1の周波数で振動する較正磁場を発生させることと、
前記較正チャンバの前記キャビティ内に挿入された前記カテーテルから、前記較正磁場に応じて前記1つ以上の磁場センサによって生成される1つ以上の信号を受信することと、
前記1つ以上の信号を、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する1つ以上のそれぞれの中間周波数(IF)信号に変換することと、
前記1つ以上のIF信号からカテーテルナビゲーション較正データを計算することと、を含む、方法。
【請求項7】
前記カテーテルナビゲーション較正データを計算することが、前記1つ以上のIF信号に基づいて、前記カテーテルの前記遠位端の位置を計算し、前記計算された位置に応じて前記カテーテルナビゲーション較正データを計算することを含む、請求項6に記載のカテーテル較正方法。
【請求項8】
前記1つ以上の信号を前記1つ以上のIF信号に変換することが、前記1つ以上の信号にローカル発振器(LO)信号を掛け合わせることを含む、請求項6に記載のカテーテル較正方法。
【請求項9】
前記1つ以上の信号を前記1つ以上のIF信号に変換することが、前記1つ以上のIF信号をフィルタリングして、前記第1の周波数をフィルタ除去することを含む、請求項6に記載のカテーテル較正方法。
【請求項10】
前記較正チャンバに、前記第1の周波数よりも低い第3の周波数の前記較正磁場を発生させ、
前記カテーテルから直接、前記1つ以上の信号を受信し、
前記カテーテルから前記第3の周波数で受信した前記1つ以上の信号から前記カテーテルナビゲーション較正データを計算することにより、低周波数の較正モードで動作することをさらに含む、請求項6に記載のカテーテル較正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、医療診断及び治療に関し、具体的には、その位置を検出することが可能な医療用カテーテルの較正に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5,042,486号及び国際公開第1994/004938号におけるような、電磁場を使用して、患者の体内のプローブまたはカテーテル遠位端の位置を決定するための様々な方法及び装置が記載されている。必ずしも一般的な医療用途ではないが、他の電磁追跡システムは、米国特許第3,644,825号、同第3,868,565号、同第4,017,858号、同第4,054,881号、及び同第4,849,692号に記載されている。本特許出願の譲受人に譲渡された国際公開第1996/005768号は、カテーテルの遠位端の位置及び向きの6つの次元を決定するための手段を含むカテーテルシステムについて記載している。このシステムでは、例えばその遠位端の近くのカテーテル内の位置特定可能な部位に隣接する複数の非同心コイルを使用する。好ましくは、3つの直交コイルが使用される。これらのコイルは、外部から印可される磁場に応じて信号を発生し、6つの位置及び向きの座標を計算することを可能とするため、カテーテルの位置及び向きをカテーテルをイメージングする必要なく知ることができる。
【0003】
最後に、やはり本特許出願の譲受人に譲渡された米国特許第6,266,551号は、遠位端、近位端、及びプローブに関連する較正情報を記憶するマイクロ回路を有する、対象の体内に挿入するためのプローブを含むカテーテル較正及び使用監視システムについて記載している。マイクロ回路は、好ましくは、暗号化された較正コードを格納している。上記に代えるかまたは加えて、マイクロ回路は、使用者に対するプローブの利用性を規制する使用状況コードを格納している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態は、構成チャンバ、受信器、及びプロセッサを含むカテーテル較正システムを提供する。較正チャンバは、第1の周波数で振動する較正磁場を発生するように構成されている。較正チャンバは、1つ以上の磁場センサを有するカテーテルの遠位端を挿入するためのキャビティを含む。受信器は、較正チャンバのキャビティ内に挿入されたカテーテルに接続されて、較正磁場に応じて1つ以上の磁場センサによって発生させられた1つ以上の信号をカテーテルから受信し、1つ以上の信号を第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する1つ以上のそれぞれの中間周波数(intermediate frequency、IF)信号に変換するように構成されている。プロセッサは、受信器から1つ以上のIF信号を受信し、1つ以上のIF信号からカテーテルナビゲーション較正データを計算するように構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、1つ以上のIF信号に基づいてカテーテルの遠位端の位置を計算し、計算された位置に応じてカテーテルナビゲーション較正データを計算するように構成される。一実施形態では、受信器は、1つ以上の信号にローカル発振器(LO)信号を掛け合わせることによって1つ以上の信号を1つ以上のIF信号に変換するように構成される。
【0006】
別の実施形態では、受信器は、1つ以上のIF信号をフィルタリングして、第1の周波数をフィルタ除去するように構成される。さらに別の実施形態では、プロセッサは、(i)較正チャンバに第1の周波数よりも低い第3の周波数の較正磁場を発生させ、(ii)カテーテルから直接、1つ以上の信号を受信し、(iii)カテーテルから第3の周波数で受信した1つ以上の信号からカテーテルナビゲーション較正データを計算することにより、低周波数の較正モードで動作するように構成されている。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、1つ以上の磁場センサを有するカテーテルの遠位端を挿入するためのキャビティを含む較正チャンバ内に、第1の周波数で振動する較正磁場を発生させることを含むカテーテル較正方法が提供される。
【0008】
較正磁場に応じて1つ以上の磁場センサによって生成される1つ以上の信号は、較正チャンバのキャビティに挿入されたカテーテルから受信される。1つ以上の信号は、第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する1つ以上のそれぞれの中間周波数(IF)信号に変換される。1つ以上のIF信号からカテーテルナビゲーション較正データが計算される。
【0009】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による、耳鼻咽喉(ENT)用システムの概略描図である。
図2】本発明の一実施形態による、カテーテル遠位端内の案内コイルを概略的に示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態による、従来の較正システムを使用した高周波(HF)カテーテルの較正システムを概略的に示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態による、HFカテーテルによって生成された誘導正弦波と、スーパーヘテロダイン(「Superhet」)ローカル発振器で生成された正弦波との掛け合わせを概略的に示すグラフである。
図5】本発明の一実施形態による、HFカテーテルの較正に使用されるSuperhet受信器の方法を概略的に示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態による、ハードウェアSuperhet HFカテーテル較正システムを概略的に示すブロック図である。
図7】本発明の一実施形態による、ハードウェアSuperhet受信器を使用した、HFカテーテルの較正の方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
概論
脈管間(intervascular)処置におけるカテーテルの案内を容易にするため、カテーテルの遠位端は、通常、複数の(例えば、3個または6個の)コイルを有しており、術野で磁場が生成され、カテーテルの遠位端の位置(及び場合によっては、向き)が、磁場に応じてコイル内に誘導される電流を調べることによって導出される。
【0012】
カテーテルの位置及び向きの測定値を較正するには、ヘルムホルツコイル較正チャンバが通常、使用される。従来の較正チャンバの一部のものは、磁場の周波数が1~4kHzであるカテーテルを較正するように設計されている。例示的な較正プロセスでは、既知の正弦波磁場がチャンバ内に発生させられ、誘導電流がソフトウェアによってサンプリングされる。
【0013】
最近の開発では、コイルのサイズを小さくして、より正確な追跡を可能にするために、より高い周波数(例えば、17~20kHz)で動作するカテーテルが導入されている(以下、高周波(HF)カテーテルと称する)。この周波数は、従来の較正システムのサンプリング回路のナイキスト限界を依然、下回っているものの、較正の精度は低下しうる。例えば、4kHzの信号を200Kサンプル/秒でサンプリングする場合、信号の各サイクルに50個のサンプルがあるが、同じサンプリング周波数を用いて20kHzの信号をサンプリングする場合には、各サイクルのサンプルは10個のみとなり、それに応じて精度も低下しうる。
【0014】
本発明による実施形態は、より低い周波数のカテーテル用に設計された従来の較正チャンバ及び較正ハードウェアを使用したHFカテーテルの較正を可能にする装置及び方法を提供する。一実施形態では、カテーテルが出力する誘導電流信号に、磁場の周波数に近い周波数を有する局所的に発生された正弦波信号(通常、ローカル発振器によって発生される)が掛け合わされる。例えば、一実施形態では、磁場の周波数は17kHzであり、局所的に発生される正弦波の周波数は16kHzである。
【0015】
周波数f1、f2を有する2つの正弦波の掛け合わせは、2つの周波数の和(f1+f2)に等しい周波数の第1の正弦波(以下、「高周波成分」)及び2つの周波数の差f1-f2に等しい周波数の第2の正弦波(「低周波数成分」)の2つの正弦波の重ね合わせである。
SIN(a)SIN(b)=(COS(a-b)-COS(a+b))/2
【0016】
いくつかの実施形態では、スーパーヘテロダイン(「Superhet」)受信器が実施される。SuperHetは、較正チャンバ内の磁場(第1の高周波で振動する)に応じてHFカテーテルが出力するHF信号に第2の高周波信号を掛け合わせ、2つの周波数の差はどちらの周波数よりも大幅に低い。次いで、SuperHetは、高周波数成分をフィルタ除去し、低周波数成分のみを処理する(低周波数成分は、誘導されたHF信号の振幅(2で割った)を保持する)。
【0017】
上記の例に戻ると、20kHzのカテーテル信号を200Kサンプル/秒(KSPS)でサンプリングする場合、各周期のサンプルは10個のみである。18kHzのローカル発振器周波数でSuperHetを使用する場合、2kHz(20kHz-18kHz)の低周波数成分は、1周期当たり100個のサンプルを有し、信号処理精度が高くなる。
【0018】
いくつかの実施形態では、SuperHetは、ソフトウェアによって完全に実施される。代替的な実施形態では、ハードウェアのSuperHetが使用される。
【0019】
開示される技術は、低周波数カテーテルを較正するように元々設計されている従来の較正システムを使用してHFカテーテルを較正することを可能とすることにより、大幅なコスト節約を可能にするものである。
【0020】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、耳鼻咽喉(ENT)用システム20の概略描図である。以下の説明では、システム20内のENTカテーテル21は、患者28の副鼻腔に吸引処置を行うために使用されることが想定されているが、このツールは、患者に他の処置を行うためにも使用できる点は理解されよう。
【0021】
一実施形態では、カテーテル21の遠位端は、異なる医療処置用のツール、及び磁場に応じて誘導電流を発生するトラッキングコイルを備える(コイルは、以下の図2を参照して説明する)。システム20においてトラッキングを有効とするため、医療画像60の参照フレーム(例えば、患者28のコンピュータ断層撮影(CT)像)が画面56に表示される。
【0022】
副鼻腔処置の前及び処置の間、磁気トラッキングシステムに含まれる磁気放射体アセンブリ24が患者の頭部の下に配置される。アセンブリ24は、定位置に固定されて、患者28の頭部が位置する領域30に交番磁場を伝達する磁場放射体26を含む。磁場に応じて、カテーテル遠位端のコイルによって発生させられた電流によって、磁気トラッキングシステムの参照フレーム内におけるその位置、方向、及び角度方向の測定が可能である。
【0023】
例として、アセンブリ24の5個の放射体26が、患者28の頭部の周囲にほぼ馬蹄形に配置されている。しかしながら、アセンブリ24の放射体の代替的な構成を使用することができ、かかる構成は、いずれも本発明の範囲内に含まれるものと仮定される。
【0024】
システム20の要素は、システムプロセッサ40の全体的な制御下にある。プロセッサ40は、コンソール50に装着されてよく、このコンソールは、マウスまたはトラックボールなどのキーパッド及び/またはポインティングデバイスを通常、含む、操作制御部58を備えている。コンソール50は、放射体26及びセンサ34に無線で及び/または1つ以上のケーブルを介して接続される。医師54は、動作制御装置58を用いて、システム20を用いるENT処置を実行しつつ、プロセッサと相互作用する。処置を行う間、プロセッサは、画面56の医療画像60上にカーソル15を提示して、医師が副鼻腔内の標的組織位置に遠位端を誘導することを支援する。
【0025】
プロセッサ40は、メモリ42内に記憶されたソフトウェアを用いてシステム20を操作する。ソフトウェアは、例えば、ネットワーク上で、プロセッサ40に電子形態でダウンロードすることができ、代替的に若しくは追加的に、ソフトウェアは、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的な有形媒体で提供し、かつ/または保存することができる。
【0026】
上記の説明ではENT処置を引用したが、同様の技術を必要な変更を加えて心臓間処置において使用することができる。心臓処置の場合では、磁場は患者の心臓が位置する領域に誘導される。
【0027】
いくつかの実施形態では、カテーテル遠位端の位置は一般的には、位置検知技術を使用して測定される。この位置検出方法は、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,Calif.)が製造するCARTO(商標)システムにおいて実現されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/0068178(A1)号に詳細に記載されており、これらの開示内容をいずれも参照によって本明細書に援用する。
【0028】
カテーテル遠位端の位置を正確に決定するには、以下でさらに説明するような特別なカテーテル較正装置を使用してカテーテルを較正する必要がある。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態による、カテーテル遠位端200内の案内コイルを概略的に示すブロック図である。図2に示される例示的な実施形態によれば、カテーテル遠位端200は、互いに垂直である第1のコイル202、第2のコイル204、及び第3のコイル206の3つのコイルを備えている。これらのコイルは、3つの直交軸内の磁場(またはより正確には磁場の一次導関数)に応じて誘導電流を発生するように構成されている。コイルが発生する電流は、カテーテルを通ってプロセッサ40(図1)のインターフェース回路へと配設された電気ワイヤに結合される。プロセッサは、誘導電流に応じてカテーテル遠位端の位置を計算するように構成されている。
【0030】
認識されるように、図2に示される、上記に述べたカテーテルの遠位端構造は、あくまで例として引用したものに過ぎず、代替的な実施形態では、(例えば、カテーテル遠位端の向きを測定するための)追加のコイルがあってもよい。実施形態では、カテーテル遠位端は、コイルから発生しうるノイズをフィルタ除去するフィルタを備えることができる。いくつかの実施形態では、カテーテル(カテーテル遠位端またはカテーテル内の他の場所)は、誘導電流をデジタル形式に変換するデジタル化回路を備えることができる。実施形態では、コイルのいくつかまたはすべてのコイルは、必ずしも他のコイルに対して垂直ではない。さらに他の実施形態では、カテーテルは、信号を無線で送信する。
【0031】
上記に述べたコイルは、磁場センサである。他の実施形態、例えば、ホール効果センサでは、他の種類の磁場センサを使用することができる。
【0032】
磁場の周波数及び較正
従来のカテーテルナビゲーションシステムでは、低周波数範囲、例えば、1~4kHzで振動する磁場を用いている。しかしながら、最近では、より高い周波数磁場、例えば17~20kHzを使用する新しいカテーテルナビゲーションシステムが導入されている。より高い周波数は、より小型のコイルの使用を可能とし、例えば、ENT処置で有利となりうる。
【0033】
カテーテルナビゲーションシステムは、較正が必要であり、いくつかの実施形態では、ナビゲーションシステムは、(例えば、カテーテルの最初の使用前に)1回較正され、他の実施形態では、ナビゲーションシステムは、定期的に較正され、さらに他の実施形態では、較正は各使用の前に行われる。較正は、通常、外部磁場(例えば、ヘルムホルツコイル較正チャンバ)から隔離された較正チャンバを使用して行われる。従来の較正チャンバは、低周波数、例えば1~4kHzの周波数の範囲で動作するカテーテルを較正するのに適している。
【0034】
一般的なカテーテルナビゲーション較正システムでは、コンピュータは、較正システム内で磁場に変換される正弦波を生成する。この磁場は、較正チャンバ内に伝達される。チャンバは、外部環境から十分に隔離されているため、チャンバにわたった磁場の値(大きさ及び方向)は、高い精度で分かる。カテーテル遠位端は、較正チャンバ内の専用キャビティに挿入され、カテーテル遠位端のコイル内に誘導された電流が増幅された後、コンピュータ内のサンプリング回路によってサンプリングされる。次いで、コンピュータがカテーテル遠位端の位置を計算する。較正中の遠位端の位置は既知であるため、較正データを正確に決定することができる。
【0035】
較正プロセスの精度要件は、サンプリングされる信号の周波数に応じて最小サンプリングレートを必要とする。例えば、特定の精度目標を達成するには、信号の各サイクルで少なくとも50回サンプリングを行う必要がある(サンプリング理論によれば、正確な信号再構成にはサイクル当たり2個のサンプルで十分であるが、ノイズが存在する場合にはより多くのサンプルが必要となる場合がある)。
【0036】
従来の較正システムは、大きく、高価であり、1~4kHzのような低い周波数で動作する従来のカテーテルの較正用に設計されている。したがって、従来の較正システムのサンプリングレートは、限定されている(例えば、200KSPSに)。かかるシステムがHFカテーテルの較正に使用される場合、サイクル当たりのサンプルの数が不十分となりうる。例えば、20kHzの信号(20kHzの磁場によって誘導される)を200KSPSのサンプラーによってサンプリングする場合、サイクル当たり得られるサンプルはわずかに10個である。さらに、最大で4kHz信号をサンプリングするように設計されたサンプリング回路のサンプリング開口は、20kHzのサンプリングに対しては長すぎる場合があり(信号変化率に対して)、不安定及び/またはノイズの多いサンプリングにつながる。
【0037】
本発明による実施形態では周波数混合技術が使用され、従来の較正システムがHFカテーテルを高精度で較正することを可能にする。
【0038】
図3は、本発明の一実施形態による、従来の較正システムを使用した高周波(HF)カテーテルの較正システム300を概略的に示すブロック図である。コンピュータ302は、電流-駆動回路304に高周波(HF)の駆動信号を供給し、これにより電流駆動信号が増幅され、ヘルムホルツ較正チャンバ306内に磁場を発生する電磁石が活性化される。HF駆動信号は、一般的には17~20kHzの範囲である。
【0039】
HFカテーテル308の遠位端200が、ヘルムホルツ較正チャンバ306に挿入される。較正チャンバ内の磁場が、カテーテル遠位端内のナビゲーションコイル(例えば、図2のコイル202、204及び206)に電流を誘導する。カテーテルの近位端のカテーテルハンドル310は信号受信器312に結合され、信号受信器は、HF信号を低周波数(LF)信号(例えば、1~4kHzの範囲)に変換してLF信号をコンピュータ302に送り返す。次いで、コンピュータ302は、LF信号を分析し、LF信号及びドライバ信号に基づいて、カテーテル遠位端の位置を計算する。較正中の遠位端の位置は既知であるため、較正データを正確に決定することができる。
【0040】
認識されるように、HF信号のLF信号へのダウン変換は、信号の振幅特性を変化させない。言い換えれば、各LF信号は、最大で特定の既知の比(通常、1:2の比)まで、対応するHF信号に比例する振幅特性を有する。したがって、カテーテルに印可される実際の磁場、及びカテーテルによって検知される実際の信号が高周波の範囲にある場合でも、LF信号を較正に使用することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、信号受信器312は、(例えば、信号の掛け合わせを用いる)周波数混合を使用して入力HF信号をLF信号(Superhetの命名法では、中間周波数、すなわちIF)に変換するSuper-ヘテロダイン(Superhelt)受信器を備える。
【0042】
いくつかの実施形態では、較正システム300は、HFカテーテルの較正ではSuperhet受信器が追加される点を除いて、従来のLFカテーテルの較正に使用することができる従来のカテーテル較正システムである。
【0043】
したがって、従来の較正システムにSuperhet受信器を追加することにより、コンピュータ302は、高周波信号ではなく低周波数を分析することによって、カテーテル遠位端の位置を正確に導出することができる。
【0044】
認識されるように、図3に示され、上記に述べた較正システム300の構造は、あくまで例として引用したものに過ぎない。他の実施形態では他の適当な構造を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、受信器312はコンピュータ302内にあってよく、ソフトウェアによって、またはハードウェアによって、またはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって実施される。いくつかの実施形態では、較正チャンバは、コンピュータ302が生成するデジタル信号に応じて磁場を発生するように構成され、電流駆動304を必要としない。
【0045】
本明細書に記載の実施形態は、1~4kHzのLF範囲及び17~20kHzのHF範囲に言及している。しかしながら、この選択は、あくまで例としてなされるものに過ぎない。代替的な実施形態では、開示される技術は、他の任意のLF及びHF範囲で使用することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、Superhet受信器312は、第1の周波数で振動するカテーテル出力信号に、第2の周波数で振動する局所的に生成された正弦波を掛け合わせることによって、各HF信号をそれぞれのLF信号に変換する(本発明者らは単一のカテーテルの出力信号に言及しているが、カテーテルの遠位端の各コイルは別々の信号を発生し、そのような信号はすべて同じ周波数で振動し、同じように扱われる)。基本三角法によれば、掛け合わせの結果は、第1の周波数と第2の周波数の和に等しい周波数を有する第1の信号と、第1の周波数と第2の周波数の差に等しい周波数を有する第2の信号との重ね合わせである。
SIN(a)SIN(b)=(COS(a-b)-COS(a+b))/2
【0047】
図4は、本発明の一実施形態による、HFカテーテルによって生成された誘導正弦波と、スーパーヘテロダインローカル発振器で生成された正弦波との掛け合わせを概略的に示すグラフ400である。図4に例示される例示的な実施形態によれば、誘導正弦波及びローカル発振器の正弦波の周波数は、それぞれ、17,000Hz及び16,000Hzである。誘導正弦波及びローカル発振器の正弦波の掛け合わせは、曲線402によって示される。観察されるように、曲線402は、17,000+16,000=33,000Hzに等しい周波数を有するHF成分と、17,000-16,000=1,000Hzの周波数の曲線404によって示されるLF成分とを含んでいる。
【0048】
一実施形態では、HF成分はフィルタ除去され、LF成分がコンピュータ302に転送される(図3)。
【0049】
ソフトウェア実施を用いた実施形態
いくつかの実施形態では、Superhet受信器は、コンピュータ302(図3)によって実行されるソフトウェアによって実施される。サンプリング回路は、HFカテーテルが出力するHF信号をサンプリングし、サイクル当たりのサンプル数は比較的低いが、カテーテルのHF周波数に局所的に生成されたHF信号を掛け合わせることによって生成されるLF周波数は、サイクル当たり十分に大きい数のサンプルを有する低周波数を有する。
【0050】
図5は、本発明の一実施形態による、HFカテーテルの較正に使用されるSuperhet受信器の方法を概略的に示すフローチャート500である。このフローチャートは、図3に示されるコンピュータ302によって実行される(図3のSuperhet受信器312が信号増幅器によって置き換えられている点に留意されたい)。いくつかの実施形態では、コンピュータ302は、デジタル信号プロセッサ(DSP)を含むことができる。
【0051】
フローチャートは、コンピュータによって、カテーテルが出力する誘導電流信号がサンプリングされる、誘導電流信号サンプリングステップ502で開始する。信号の周波数は、HF1(例えば、17kHz)であり、サンプリングレートは、S(例えば、170KSPS)である。サンプリングされた信号の各サイクルにおけるサンプル数は、S/HF1(上記に引用した例示的な数では10)に等しく、これは、カテーテル遠位端の位置の正確な決定には十分ではない場合がある。
【0052】
次に、ローカル発振器による掛け合わせステップ504において、コンピュータは、サンプルに周波数HF2(例えば、16kHz)を有する正弦波を掛け合わせる。上記に説明したように、掛け合わせの結果は、HF1+HF2の周波数(例えば、33kHz)を有するHF信号と、HF1-HF2の周波数(例えば、1kHz)を有するLF信号との重ね合わせである。
【0053】
次に、HF-リジェクトステップ506において、コンピュータはHF信号をフィルタ除去する。LF周波数(例えば、1kHz)とHF周波数(例えば、33kHz)との差が大きいため、比較的単純なフィルタを使用することができる。
【0054】
次に、任意選択的なバンドパスフィルタリングステップ508において、コンピュータは、信号からバンド外ノイズをさらにリジェクトし得、クリーンなLF信号をさらなる従来のシグナル処理を行うために送信し、これによりカテーテル遠位端及び対応する較正データの位置が決定される。
【0055】
認識されるように、図5に示され、上記に述べたフローチャートは、あくまで例として引用したものに過ぎない。代替的な実施形態では、他の適当なフローチャートを使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、バンドパスフィルタリングステップ508をスキップすることができる。ステップ508のバンドパスフィルタリングもHF信号をリジェクトするため、他の実施形態では、HF-リジェクトステップ506はスキップしてもよい。引用した周波数(及びサンプルレート)は、例示的な周波数であり、代替的な実施形態では、他の任意の適当な周波数及びサンプリングレートを用いることができる。
【0056】
図6は、本発明の一実施形態による、ハードウェアSuper-het HFカテーテル較正システム600を概略的に示すブロック図である。このシステムは、ヘルムホルツ較正チャンバ602、コンピュータ604、及びインターフェースボックス606を備えている。HFカテーテル610の遠位端が較正チャンバ602のキャビティに挿入される。カテーテルは、カテーテルの遠位端の較正コイルに誘導された電流に対応する信号をインターフェースボックス606に出力する。
【0057】
コンピュータ604は、アナログ信号をデジタルサンプルに、デジタルサンプルをアナログ信号に変換するように構成されたADC/DAC回路614を備えている。
【0058】
コンピュータ604は、周波数HF1(例えば、17kHz)の正弦波駆動信号のデジタルサンプル及び周波数HF2の正弦波混合信号のデジタルサンプル(例えば、16kHz)を生成する。ADC/DAC回路が、これらのデジタルサンプルをアナログ駆動信号及びアナログ混合信号に変換する。
【0059】
図6に示される例示的な実施形態によれば、アナログ駆動信号は、インターフェースボックス606内の線形増幅器612によって増幅された後、較正チャンバの磁場入力に印可され、駆動信号に比例した磁場を発生する。いくつかの実施形態では、増幅器612は必要とされず、アナログ駆動信号は較正チャンバに直接印可される。
【0060】
較正チャンバ602内の正確に測定された位置に挿入されたカテーテル608の遠位端は、較正チャンバ内の磁場に応じて誘導電流を発生する。カテーテルは、(カテーテル遠位端内の)ナビゲーションコイルに誘導された電流に対応する信号をインターフェースボックス606内の信号乗算器614に出力する。実施形態では、任意の適当なアナログ信号乗算技術を用いることができる(例えば、米国特許第5,442,583号及び同第6,810,240号を参照されたい)。
【0061】
上記に説明したように、乗算器614の出力は、周波数HF1+HF2を有するHF正弦波と周波数HF1-HF2を有するLG正弦波(Superhet命名法では、中間周波数信号、すなわちIF信号と呼ばれる)の2つの正弦波の重ね合わせである。インターフェースボックス606は、差HF1-HF2以外のすべての周波数を減衰させるように構成されたバンドパスフィルタ616をさらに含んでおり、いくつかの実施形態では、バンドパスフィルタ616は、共振器を含むことができる。
【0062】
IF信号は、ADC/DAC変換回路614に結合され、変換回路は、IF信号を低周波数LF=HF1-HF2のデジタルサンプルに変換する。次いで、デジタルサンプルは、コンピュータ604によって処理されて位置補正値が決定される。
【0063】
認識されるように、図6に示され、本明細書に記載される較正システム600の構造は、あくまで例として引用したものに過ぎない。他の実施形態では、他の適当な構造を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、増幅器612は必要とされない。一実施形態では、較正チャンバ602は、印可される磁場を表すデジタル信号を受信するように構成されている(この場合、デジタル駆動信号は、コンピュータから較正チャンバに直接送信される)。
【0064】
図7は、本発明の一実施形態による、ハードウェアSuperhet受信器を使用した、HFカテーテルの較正の方法700を概略的に示すフローチャートである。このフローチャートは、較正システム(例えば、システム600(図6))の様々な要素によって実行される。
【0065】
このフローチャートは、較正システムが較正チャンバ内に正弦波磁場を印可する磁場印可ステップ702で開始する。正弦波の周波数は、HF1(例えば、16kHz)である。次に、誘導電流信号受信ステップ704において、カテーテルコイル内の誘導電流に応じてカテーテルによって生成された信号が、較正システムのインターフェースボックスによって入力される。信号掛け合わせステップ706において、アナログ乗算器が、カテーテルによって出力された信号に、インターフェースボックス内のローカル発振器によって生成された周波数HF2(例えば、17kHz)の正弦波信号を掛け合わせる。上記に説明したように、この積信号は、周波数HF1+HF2を有する信号と周波数HF1-HF2を有するIF信号を含む。
【0066】
バンドパスフィルタステップ708において、バンドパスフィルタが、より高い周波数の信号及びHF1-HF2周波数帯域の外側のノイズをフィルタ除去する。次いで、ローパスフィルタリングされた信号は、デジタル変換ステップ710で、デジタルサンプルに変換される。次に、IF信号処理ステップ712において、コンピュータ604が、IF信号をデジタル処理してカテーテル遠位端の位置を計算する。最後に、較正データ計算ステップ714において、コンピュータが、カテーテル遠位端の計算された位置と正確な位置とを比較して、較正データを決定する。ステップ714の後、較正フローチャートは終了する。
【0067】
認識されるように、図7に示され、上記に述べたフローチャートは、あくまで例として引用したものに過ぎない。代替的な実施形態では、他のフローチャートを使用することができる。例えば、バンドパスフィルタステップ708を、高周波成分を減衰させるHF-リジェクトステップに置き換える(または補足する)ことができる。
【0068】
図1図7に示されるユニット及びそのサブユニットを含む較正システム及び較正方法の構成は、あくまで概念を明確にするためだけに示される例示的な構成及び方法である。他の任意の適当な構成及び方法を、代替的な実施形態において用いることができる。異なるシステム要素は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)及び/または別個のアナログ及び混合信号要素などの適当なハードウェアを使用して、またはソフトウェアを使用して、またはハードウェア要素とソフトウェア要素との組み合わせを使用して実施することができる。
【0069】
プロセッサ40(図1)、コンピュータ302(図3)及びコンピュータ614(図6)などの記載されたコンピュータの各々は、一般的には、本明細書に記載される機能を実行するためにソフトウェアにプログラミングされた汎用コンピュータを含む。ソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができる、あるいは、代替的にまたは追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的実体的媒体上に提供及び/または記憶することができる。いくつかの実施形態では、コンピュータのいくつかまたはすべては、デジタル信号処理(DSP)回路を含みうる。
【0070】
本明細書に記載される実施形態は主としてHFカテーテルの較正に関するものであるが、本明細書に記載される方法及びシステムは、他の用途に使用することもできる。
【0071】
上に記載される実施形態は例として挙げたものであり、本発明は本明細書の上記で具体的に図示及び説明されるものに限定されない点が理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。
【0072】
〔実施の態様〕
(1) カテーテル較正システムであって、
第1の周波数で振動する較正磁場を発生するように構成された較正チャンバであって、1つ以上の磁場センサを有するカテーテルの遠位端を挿入するためのキャビティを備える、較正チャンバと、
前記較正チャンバの前記キャビティ内に挿入された前記カテーテルに接続されて、前記較正磁場に応じて前記1つ以上の磁場センサによって発生させられた1つ以上の信号を前記カテーテルから受信し、前記1つ以上の信号を、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する1つ以上のそれぞれの中間周波数(IF)信号に変換するように構成された受信器と、
前記受信器から前記1つ以上のIF信号を受信し、前記1つ以上のIF信号からカテーテルナビゲーション較正データを計算するように構成されたプロセッサと、を備える、カテーテル較正システム。
(2) 前記プロセッサが、前記1つ以上のIF信号に基づいて、前記カテーテルの前記遠位端の位置を計算し、前記計算された位置に応じて前記カテーテルナビゲーション較正データを計算するように構成されている、実施態様1に記載のカテーテル較正システム。
(3) 前記受信器が、前記1つ以上の信号にローカル発振器(LO)信号を掛け合わせることによって、前記1つ以上の信号を前記1つ以上のIF信号に変換するように構成されている、実施態様1に記載のカテーテル較正システム。
(4) 前記受信器が、前記1つ以上のIF信号をフィルタリングして、前記第1の周波数をフィルタ除去するように構成されている、実施態様1に記載のカテーテル較正システム。
(5) 前記プロセッサが、
前記較正チャンバに、前記第1の周波数よりも低い第3の周波数の前記較正磁場を発生させ、
前記カテーテルから直接、前記1つ以上の信号を受信し、
前記カテーテルから前記第3の周波数で受信した前記1つ以上の信号から前記カテーテルナビゲーション較正データを計算することにより、低周波数の較正モードで動作するように構成されている、実施態様1に記載のカテーテル較正システム。
【0073】
(6) カテーテル較正方法であって、
1つ以上の磁場センサを有するカテーテルの遠位端を挿入するためのキャビティを備える較正チャンバ内に、第1の周波数で振動する較正磁場を発生させることと、
前記較正チャンバの前記キャビティ内に挿入された前記カテーテルから、前記較正磁場に応じて前記1つ以上の磁場センサによって生成される1つ以上の信号を受信することと、
前記1つ以上の信号を、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する1つ以上のそれぞれの中間周波数(IF)信号に変換することと、
前記1つ以上のIF信号からカテーテルナビゲーション較正データを計算することと、を含む、方法。
(7) 前記カテーテルナビゲーション較正データを計算することが、前記1つ以上のIF信号に基づいて、前記カテーテルの前記遠位端の位置を計算し、前記計算された位置に応じて前記カテーテルナビゲーション較正データを計算することを含む、実施態様6に記載のカテーテル較正方法。
(8) 前記1つ以上の信号を前記1つ以上のIF信号に変換することが、前記1つ以上の信号にローカル発振器(LO)信号を掛け合わせることを含む、実施態様6に記載のカテーテル較正方法。
(9) 前記1つ以上の信号を前記1つ以上のIF信号に変換することが、前記1つ以上のIF信号をフィルタリングして、前記第1の周波数をフィルタ除去することを含む、実施態様6に記載のカテーテル較正方法。
(10) 前記較正チャンバに、前記第1の周波数よりも低い第3の周波数の前記較正磁場を発生させ、
前記カテーテルから直接、前記1つ以上の信号を受信し、
前記カテーテルから前記第3の周波数で受信した前記1つ以上の信号から前記カテーテルナビゲーション較正データを計算することにより、低周波数の較正モードで動作することをさらに含む、実施態様6に記載のカテーテル較正方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】