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  • 特開-ワイヤレス通信バックプレーン 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088854
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】ワイヤレス通信バックプレーン
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/08 20060101AFI20230620BHJP
   H04B 1/38 20150101ALI20230620BHJP
   H01P 5/18 20060101ALI20230620BHJP
   H01Q 13/08 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
H01Q21/08
H04B1/38
H01P5/18 K
H01Q13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022185937
(22)【出願日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】21306782.0
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】594083128
【氏名又は名称】シュネーデル、エレクトリック、インダストリーズ、エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】SCHNEIDER ELECTRIC INDUSTRIES SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】エメリク、ビーラー
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
5K011
【Fターム(参考)】
5J021AA07
5J021AB06
5J045DA08
5K011AA06
5K011JA01
5K011KA13
5K011KA18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】機器が無線リンクを用いて複数の着脱可能モジュールと通信する装置を提供する。
【解決手段】機器が無線リンクを用いて複数の着脱可能モジュールと通信する、通信モジュールCMのセットとプリント回路基板PCBとを備える通信システムにおいて、装置は、複数の結合点CPを有する主伝送線路TLを含み、複数の主アンテナMAを備える。各主アンテナは、結合点において主アンテナと主伝送線路との間の方向性結合のための結合領域CAに連結され、通信モジュールCMに連結された補助アンテナAAと通信するように適合される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信モジュール(CM)間のワイヤレス通信のための装置であって、前記装置は、複数の結合点(CP)を有する主伝送線路(TL)を含み、前記装置は、複数の主アンテナ(MA)を備え、各主アンテナは、結合点において前記主アンテナと前記主伝送線路との間の方向性結合のための結合領域(CA)に連結され、各主アンテナは、通信モジュール(CM)に連結された補助アンテナ(AA)と通信するように適合されることを特徴とする、装置。
【請求項2】
主アンテナ(MA)は、通信モジュールが前記主アンテナの上方に配置されるとき、前記通信モジュールの補助アンテナ(AA)と通信する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記通信モジュールは、着脱可能モジュールである、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記主伝送線路(TL)および前記主アンテナ(MA)は、1つの同じプリント回路基板(PCB)に一体化された導電性トラックである、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記結合点(CP)および前記結合領域(CA)は、直線形状である、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
各主アンテナ(MA)は、副伝送線路(STL)を介して結合領域(CA)に連結され、前記主アンテナ(MA)および前記副伝送線路(STL)は、前記副伝送線路の特性インピーダンスに等しい線路端インピーダンスを有する終端器を各々有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記主伝送線路(TL)は、前記主伝送線路(TL)の特性インピーダンスに等しい線路端インピーダンスを有する2つの終端器を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記結合領域の長さは、前記主アンテナの動作周波数に依存する、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記結合領域は、容量結合および誘導結合である方向性結合を提示する、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記主アンテナ(MA)は、平面逆Fアンテナである、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記主アンテナ(MA)は、前記補助アンテナ(AA)と同じタイプである、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記プリント回路基板(PCB)は、前記プリント回路基板の基板を囲みパネルを含む金属ハウジング内に取り付けられ、前記パネルは、前記主伝送線路(TL)の上に位置し、ハウジング上に通信モジュール(CM)を配置することを可能にする孔を前記主アンテナ(MA)の上方に提示することにより、前記通信モジュールの前記補助アンテナ(AA)が主アンテナの真上に位置する、請求項4に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器が無線リンクを用いて複数の着脱可能モジュールと通信することを可能にする短距離ワイヤレス周波数通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用自動化/制御システムは、プロセス、機械などを含む多種多様なシステムの動作を制御するために使用され、典型的には、制御モジュール、入出力(I/O)モジュール、I/Oデバイスなどの複数の制御システム構成要素またはデバイスの構成および相互接続を通じて異なる制御アプリケーションに適応可能である。既存の産業制御システムは、典型的には、I/Oシステム(例えば、典型的には、1つまたは複数のI/Oモジュールまたはデバイス)と対話して、フィールドセンサからアナログおよび/またはデジタル入力の形態でシステム情報を受信し、1つまたは複数のアクチュエータに出力(アナログおよび/またはデジタル)を提供する制御プログラムを実施または実行するプロセッサを含む。産業制御システムは、製造設備内の管理情報および他のシステムとますます相互接続されており、プロセス/機械制御機能に加えて、在庫制御、会計、製造制御などの様々なビジネス管理機能を容易にするために、任意の数の通信ネットワークに動作可能に接続することができる。
【0003】
したがって、複数の通信モジュールをワイヤレスリンクによって(すなわち、電気的接触なしで)それらの間で直接通信させるための単純で省スペースで経済的な解決策を見つける必要がある。通信モジュールの数は、有利には可変であるべきであり、1つまたは複数の通信モジュールを非常に容易に取り外し、交換または追加することを可能にする。
【発明の概要】
【0004】
この概要は、本発明の主題に関連する概念を紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の本質的な特徴を特定することを意図するものでも、特許請求される主題の範囲を決定または限定する際に使用することを意図するものでもない。
【0005】
一実装形態では、通信モジュール間のワイヤレス通信のための装置が提供され、装置は、複数の結合点(coupling point)を有する主伝送線路を含み、装置は、複数の主アンテナを備え、各主アンテナは、結合点において前記主アンテナと主伝送線路との間の方向性結合のための結合領域に連結され、各主アンテナは、通信モジュールに連結された補助アンテナと通信するように適合されることを特徴とする。
【0006】
有利には、装置は、通信モジュールがもはや主伝送線路のインピーダンス整合に影響を及ぼさないので、任意の数および組合せの通信モジュールを処理することができる。したがって、主伝送線路は、基板の厚さ、幅またはタイプなどの線路インピーダンスの決定論的パラメータに従って設計することができ、これらの決定論的パラメータは、主アンテナおよび補助アンテナに所望される周波数に適合される。
【0007】
有利には、装置は、特に電波の送信によって、そのような通信システムが環境と干渉することを回避し、近くに配置され得る送信機(例えばWi-Fi送信機)によってなど環境によって干渉されることを回避し、また並んだ2つのシステムが互いに干渉し得ることを回避するために、ワイヤレス通信の範囲を大幅に制限することができる。
【0008】
一実施形態では、主アンテナは、通信モジュールが主アンテナの上方に配置されると、通信モジュールの補助アンテナと通信する。
【0009】
一実施形態では、通信モジュールは、着脱可能モジュールである。
【0010】
一実施形態では、主伝送線路および主アンテナは、1つの同じプリント回路基板に一体化された導電性トラックである。
【0011】
一実施形態では、結合点および結合領域は、直線形状である。
【0012】
一実施形態では、各主アンテナは、副伝送線路を介して結合領域に連結され、主アンテナおよび副伝送線路は、前記副伝送線路の特性インピーダンスに等しい線路端インピーダンスを有する終端器を各々有する。
【0013】
一実施形態では、主伝送線路は、主伝送線路の特性インピーダンスに等しい線路端インピーダンスを有する2つの終端器を有する。
【0014】
一実施形態では、結合領域の長さは、主アンテナの動作周波数に依存する。
【0015】
一実施形態では、結合領域は、容量結合および誘導結合である方向性結合を提示する。
【0016】
一実施形態では、主アンテナは、平面逆Fアンテナである。
【0017】
一実施形態では、主アンテナは、補助アンテナと同じタイプである。
【0018】
一実施形態では、プリント回路基板は、プリント回路基板の基板を囲みパネルを含む金属ハウジング内に取り付けられ、パネルは、主伝送線路の上に位置し、ハウジング上に通信モジュールを配置することを可能にする孔を主アンテナの上方に提示することにより、前記通信モジュールの補助アンテナが主アンテナの真上に位置する。
【0019】
詳細な説明は、添付の図面を参照して説明される。図面において、参照番号の左端の数字は、参照番号が最初に現れる図を識別する。同様の特徴および構成要素を参照するために、図面全体を通して同じ番号が使用されている。ここで、本主題の実施形態によるシステムおよび/または方法のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態による通信システムの簡略図である。
【0021】
図2】主伝送線路と副伝送線路との間の結合の軸Xに沿った断面図を詳細に示す図である。
【0022】
図3】副伝送線路に連結された主アンテナと通信モジュールの補助アンテナとの間の結合の軸Yに沿った断面図を詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
同じ参照番号は、すべての図面において同じ要素または同じ種類の要素を表す。
【0024】
本明細書における任意のブロック図は、本主題の原理を具現化する例示的なシステムの概念図を表すことを当業者は理解すべきである。同様に、任意のフローチャート、流れ図、状態遷移図、擬似コードなどは、コンピュータ可読媒体で実質的に表され、そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、コンピュータまたはプロセッサによって実行され得る様々なプロセスを表すことが理解されよう。
【0025】
図面および以下の説明は、本発明の特定の例示的な実施形態を示す。したがって、当業者は、本明細書に明示的に記載または図示されていないが、本発明の原理を具現化し、本発明の範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることが理解されよう。さらに、本明細書に記載の任意の例は、本発明の原理の理解を助けることを意図しており、そのような具体的に列挙された例および条件に限定されないと解釈されるべきである。結果として、本発明は、以下に記載される特定の実施形態または例に限定されず、特許請求の範囲およびそれらの均等物によって限定される。
【0026】
図1を参照すると、通信システムは、通信モジュールCMのセットとプリント回路基板PCBとを備える。
【0027】
短距離ワイヤレス無線周波数通信システムの目的は、自動化アプリケーションの状況において通信モジュールCMがそれらの間で通信するようにすることである。通信モジュールCMは、例えば、無線送受信用の電子部品(またはチップ)を有するプログラマブルロジックコントローラまたはマイクロコントローラ型の自動化デバイスであってもよい。通信モジュールCM間の通信は、所望の用途に適したデータレートおよび大きすぎる電線の長さを必要としない送信周波数を有する限り、様々な通信プロトコルに従って実行されてもよい。例えば、Bluetooth(登録商標)またはZigbee(登録商標)などのプロトコルを使用することができ、BLE(Bluetooth Low Energy)構成要素などの構成要素は安価である。通信モジュールCMは、例えば、押しボタンまたはスイッチ型のマンマシンダイアログユニット、視覚的または音響的シグナリングユニット(ランプ、ブザー等)および/またはセンサもしくは検出器であり、これらも無線送受信のための構成要素を有する。
【0028】
例えばユーザクライアントのニーズに応じて、マンマシンダイアログユニットを変更または追加することによって、自動化アプリケーションをアップグレードすることが望ましいことが多い。さらに、様々な理由で、特にメンテナンスのために、あるユニットを別のユニットと交換できることが有利である。
【0029】
このようなモジュール式のアップグレード可能かつ容易に変更可能なシステムを得るために、通信モジュールCMは着脱可能に取り付けられて接続され、すなわち、通信モジュールCMは、通信システムからのワイヤレス通信を妨げることなく容易に取り外し、交換、または追加することができる。同様に、ある場所における通信モジュールCMの有無は、他の通信モジュールCMの通信に影響を与えない。
【0030】
プリント回路基板PCBは、特に反射波を回避するために両側で終端器インピーダンスTIに接続された主電気伝送線路TLを含む。この主伝送線路TLは、主線路に沿って様々な場所に位置する複数の結合点CPを有する。図1では、図を簡略化するために、3つの結合点CPのみが示されている。主線路TLは、好ましくは、以下に詳述するようにプリント回路基板PCBの上側に配置された導電性トラックによって生成される。終端器インピーダンスTIは、例えば50オームであり、主線路はまた、典型的には50オームの正確な特性インピーダンスを有さなければならない。この特性インピーダンスは、トラックの銅の幅および厚さ、ならびにプリント回路基板PCBの誘電体の幅およびその電気誘電率によって本質的に決定される。
【0031】
プリント回路基板PCBはまた、複数の副電気伝送線路を備える。図1は、方向性結合が結合点CPで主伝送線路TLと生成されることを可能にする結合領域CAを各々有する副伝送線路STLを示す。
【0032】
有利には、主伝送線路に電気的に接続されていない副伝送線路(通信モジュールCM間の無線通信の伝送を可能にする)の存在は、通信システムに接続された通信モジュールCMの数および有無に応じて主伝送線路の不整合(したがって潜在的に不安定または可変の性能)を回避することを可能にする単純な解決策を提供する。
【0033】
一般的に言えば、方向性結合は、一次伝送線路を通って伝わる信号の一部を副伝送線路に迂回させる。本明細書では、「方向性結合」という表現は、通信を実行するために互いに近接した2つの電線間の結合が容量的に、また誘導的に実行されることを意味するために使用される。これらの方向性結合は、例えば「マイクロストリップ」または好ましくは「ストリップライン」型の電線を用いて生成される。
【0034】
図示の実施形態では、主伝送線路および副伝送線路は、良好な結合を得るために、好ましくは直線状であり、互いに実質的に平行であり、結合点CPおよび結合領域CAにおいて互いにわずかな距離にある。しかしながら、直線形状の代わりに、ジグザグ形状または鋸歯形状などの他の形状も可能であり、使用される波長に適合する満足のいく電気長を維持しながら、これらの領域の幾何学的長さを制限することを可能にする。
【0035】
各副伝送線路STLは、一方の側では終端器インピーダンスTIに接続され、他方の側ではインピーダンスアダプタを介して主アンテナMAに接続される。主アンテナは、終端器インピーダンスTIにも接続される。すべての終端器インピーダンスTIは、例えば50オームなど、類似していると仮定される。
【0036】
主アンテナMAは、プリント回路基板PCB上に印刷することができ、マイクロストリップに実装されたワイヤレス回路に使用することができる任意の種類の短絡アンテナとすることができる。例えば、主アンテナMAは、グランドプレーンに平行に延び、一端で接地されたモノポールアンテナとすることができる。
【0037】
一実施形態では、主アンテナは平面逆Fアンテナ(PIFA)であり、設計者によって給電回路にインピーダンス整合され得る短くてコンパクトなアンテナであり、無関係な整合部品を必要とせずに効率的に電力を放射することを可能にする。この場合、主アンテナの全高は約8mmとすることができ、主アンテナの全幅は約10mmとすることができる。
【0038】
各通信モジュールCMは、例えば変調および多重化方法に基づいて補助アンテナに信号を送信するように構成された通信アダプタにリンクされた補助アンテナAAを含む。一例では、通信モジュールは、補助アンテナに信号を送信するために直交振幅変調を使用する。補助アンテナAAは、主アンテナと通信可能な任意の種類のアンテナであってよい。一実施形態では、補助アンテナAAは主アンテナMAと同じタイプである。
【0039】
各通信モジュールCMには、電池/バッテリまたは磁気誘導電源など、本明細書では詳述しない種々の手段によって電力が供給されてもよい。磁気誘導電源は、無線モジュール(例えば、2.4GHz)によってカバーされる帯域から遠く、したがって通信システムとの干渉を発生させない低周波数で実装され得る。
【0040】
図2は、図1の軸Xに沿って結合点CPで生成される、主プリント回路基板と呼ばれるプリント回路基板PCBの断面図を示す。主伝送線路TLの結合点CPは、副伝送線路STLの結合領域CAと同じプリント回路基板PCBの水平面内に位置していることが分かる。有利には、主伝送線路TL(図示せず)および副伝送線路STL(図示せず)は、同じプリント回路基板PCBに集積された導電性トラックであり、通信システムの製造を簡素化する。
【0041】
主プリント回路基板PCBは、多層プリント回路基板であり、スクリーンを形成して電波の伝搬を制限するためにプリント回路基板のゼロ電位(0V)に電気的に接続された銅製の外部導電トラックECTから構成される。プリント回路基板PCBはまた、主伝送線路TLおよび副伝送線路STLを形成する銅製の外部導電トラックを含む。プリント回路基板PCBは、例えば、導電層を用いて製造することができ、そこから銅層の1つがトリミングによって除去される。例として、外部導電トラックの厚さは35μmであってもよく、プリント回路基板の全厚は約0.8mmである。典型的には、結合点CPにおいて、結合領域CAは、例えば5.9mmの長さを有し、主伝送線路TLの結合点CPと副伝送線路STLの結合領域CAとの間の距離d1は、例えば0.7mmである。
【0042】
また、副伝送STLの導電性トラックは、結合領域CAにおいて、より広いことが好ましい。一般的に言えば、距離d1が小さく、結合領域CAの長さおよび幅が大きいほど、結合が良好になることは明らかである。したがって、これらの様々なパラメータを利用して、既存の寸法および制約に関して結合を最適化することができる。
【0043】
図3は、図1の軸Yに沿って主アンテナMAで生成される主プリント回路基板PCBの断面図を示す。この例では、通信モジュールCMは、主アンテナMAと同様の補助アンテナAAを有する補助プリント回路基板APCBを含み、補助プリント回路基板APCBは、補助プリント回路基板の上部に配置された銅からなる導電層を含む。
【0044】
典型的には、主アンテナMAと補助アンテナとの間の距離d2は、例えば1cm程度である。
【0045】
したがって、通信モジュールCMを通信システムに接続することが望ましい場合、通信モジュールCMの補助アンテナAAが主アンテナMAの真上に位置するように、通信モジュールCMを主プリント回路基板PCB上に配置するだけで十分であり、これにより、補助アンテナAAを主アンテナMAの近くに配置し、ワイヤレス信号を主アンテナに近距離で送信することが可能になる。したがって、少なくとも2つの通信モジュールCM間の無線通信は、一方では補助アンテナAAおよびそれぞれの主アンテナMAを介して行われ、他方では結合領域CA(前記主アンテナに関連する)と主伝送線路TLとの間の方向性結合を介して行われる。
【0046】
一実施形態では、通信モジュールCMが主プリント回路基板PCB上に配置され、補助アンテナAAと主アンテナMAの両方が平面逆Fアンテナと同じタイプである場合、補助アンテナAAは主アンテナMAに対してほぼ垂直に延在する。
【0047】
したがって、通信システムの概要を示す簡略図を示す図1によって示唆され得るものとは対照的に、プリント回路基板PCBの補助アンテナMA(ここでは補助プリント回路基板APCBに含まれる)および主アンテナMAは2つの別個の平面内にあり、一方、主伝送線路TLおよび副伝送線路STLの結合領域CAは、図2および図3に明確に詳細が示されているように、1つの同じ平面内にある。
【0048】
一実施形態では、プリント回路基板PCBは、基板を囲みパネルを含む金属ハウジング内に取り付けられ、パネルは、主伝送線路の上に位置し、ハウジング上に通信モジュールを配置することを可能にする孔を主アンテナの上方に提示することにより、通信モジュールの補助アンテナが主アンテナの真上に位置する。ハウジングのいくつかの部分は、プリント回路基板PCBのためのスクリーンを形成して主伝送線路のための近接場を生成し、主伝送線路の周りでファラデーケージのように作用する。
【0049】
一実施形態では、通信システムのプリント回路基板PCBは、例えば入出力モジュール用のバスまたは冗長バスとして使用されるモジュール式産業用PLCの非常に強力な分離のために、バックプレーンに組み込むことができる。他の実施形態では、通信システムのプリント回路基板PCBは、光到着および非常に高い性能を有する家庭用の小型のルータに、または電気パネル(アンテナが使用する周波数を下げることにより、通信に必要なエネルギーを大幅に削減することができる)内の情報交換用のバスとして組み込まれてもよい。
【0050】
プリント回路基板PCBは、それが組み込まれている装置に応じて設計することができる。プリント回路基板PCBは、導電性トラックの長さ、送信機の電力、および主伝送線路の主アンテナの数の間の全体的な一貫性を示すべきである。主伝送線路は、波がすべての主アンテナに均一に分布することを可能にする所定の形状を有する受動電子アセンブリである。したがって、主伝送線路および主アンテナの形状および寸法は、送信される波の所望のスペクトルに対して規定することができる。
【0051】
以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、本明細書に記載の特定の形態に限定されるものではない。むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、上記詳細以外の他の実施形態も、これらの添付の特許請求の範囲内で等しく可能である。
【0052】
さらに、例示的な実施形態は、構成要素および/または機能のいくつかの例示的な組合せで上述されているが、代替的な実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、部材および/または機能の異なる組合せによって提供されてもよいことを理解されたい。さらに、個別にまたは実施形態の一部として記載された特定の特徴は、他の個別に記載された特徴または他の実施形態の一部と組み合わせることができることが特に企図される。
図1
図2
図3
【外国語明細書】