(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088859
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】車両用アクティブエアフラップ装置
(51)【国際特許分類】
B60K 11/04 20060101AFI20230620BHJP
B60H 1/32 20060101ALI20230620BHJP
B60R 19/52 20060101ALN20230620BHJP
【FI】
B60K11/04 J
B60H1/32 626A
B60R19/52 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190056
(22)【出願日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0179794
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】507098483
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄭 弼 中
(72)【発明者】
【氏名】李 京 岩
(72)【発明者】
【氏名】卞 宰 燮
【テーマコード(参考)】
3D038
3L211
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3D038AC01
3D038AC11
3D038AC16
3D038AC17
3L211BA57
3L211DA24
3L211EA51
3L211GA24
(57)【要約】
【課題】フラップとラジエータグリルとの間に空間が発生することによるデザイン的な異質性、及び空気抵抗の発生を防止し、遮蔽性を改善することができる車両用アクティブエアフラップ装置を提供する。
【解決手段】本発明は、ハウジング部と、ハウジング部に相対移動可能に取り付けられるフラップと、フラップを駆動させるためのアクチュエータ及びフラップが、摺動動作と、所定の回転軸を中心に回動する回転動作との二重動作を連続的に行うように、アクチュエータからフラップに動力を伝達する動力伝達機構を備えることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方の内側に取り付けられるアクティブエアフラップ装置であって、
ハウジング部と、
前記ハウジング部に相対移動可能に取り付けられるフラップと、
前記フラップを駆動するためのアクチュエータと、
前記フラップが、摺動動作と、所定の回転軸を中心に回動する回転動作との二重動作を連続的に行うように、前記アクチュエータから前記フラップに動力を伝達する動力伝達機構と、を備えることを特徴とする車両用アクティブエアフラップ装置。
【請求項2】
前記フラップは、
前記アクティブエアフラップ装置の前記フラップが、前記車両前方の外装表面の通気口を覆うことができるように構成され、
前記フラップが、前記通気口に対応する形状を有する突出部を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用アクティブエアフラップ装置。
【請求項3】
前記フラップは、
車幅方向の少なくとも一つの側面に第1方向にそれぞれ配置される第1フラップピンと第2フラップピンとを備え、
前記ハウジング部は、
前記第1フラップピンが挿入され、前記車両の前後方向に延びる第1ガイドホールと、前記第2フラップピンが挿入され、前記第1ガイドホールと同一の方向に延びる直線区間と前記直線区間から連続する円弧状の回転区間とを有する第2ガイドホールとを備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用アクティブエアフラップ装置。
【請求項4】
前記動力伝達機構は、多節リンク構造となっており、
前記多節リンク構造は、
一端が前記アクチュエータの出力端に連結される第1リンクと、
一端が前記第1リンクの他端と回動可能に連結され、他端が前記第2フラップピンに回動可能に連結される第2リンクとを含むことを特徴とする請求項3に記載の車両用アクティブエアフラップ装置。
【請求項5】
前記第1リンク及び前記第2リンクからなる前記多節リンク構造は、前記ハウジング部の車幅方向の両側面にそれぞれ備えられ、
前記車幅方向に延び、一対の前記第1リンクの間を連結するドライブシャフトをさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の車両用アクティブエアフラップ装置。
【請求項6】
前記フラップは、
前記突出部の縁に沿って形成されるシーリング部材をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の車両用アクティブエアフラップ装置。
【請求項7】
前記アクティブエアフラップ装置の前記フラップが、前記車両前方の外装表面の通気口を覆った状態で、前記突出部の前面が前記外装表面と同一表面上に位置するように構成されることを特徴とする請求項2に記載の車両用アクティブエアフラップ装置。
【請求項8】
前記第1ガイドホール及び前記第2ガイドホールのうち少なくともいずれか一つは、車両の前後方向の後端が開放するように前記ハウジング部に形成されており、
前記第1ガイドホール及び前記第2ガイドホールのうち開放されたガイドホールの開放端部を覆うようにするカバーが前記ハウジング部に備えられることを特徴とする請求項3に記載の車両用アクティブエアフラップ装置。
【請求項9】
前記第1リンクの回動範囲を規制するストッパ部をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の車両用アクティブエアフラップ装置。
【請求項10】
前記ストッパ部は、
前記ハウジング部に凹状に形成されたガイドホールと、
前記第1リンクから突出して形成され、前記ガイドホールに挿入されて前記第1リンクが回転するとき、前記ガイドホールとの接触で前記第1リンクの回動移動を規制するガイドピンとから構成されることを特徴とする請求項9に記載の車両用アクティブエアフラップ装置。
【請求項11】
前記ハウジング部は、前記ドライブシャフトが載置される載置ホールをさらに備え、
前記ハウジング部を側面から見たときに、前記第2ガイドホール、前記第1ガイドホール及び前記載置ホールの順に第1方向に配置されることを特徴とする請求項5に記載の車両用アクティブエアフラップ装置。
【請求項12】
前記アクチュエータを制御する制御器をさらに備え、
前記制御器は、車両に取り付けられたセンサから車速、外気温度、冷媒圧力、冷却水温のうち少なくともいずれか一つに関する信号を入力され、入力された信号に基づいて前記フラップの開閉程度を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用アクティブエアフラップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用アクティブエアフラップ装置に係り、より詳細には、フラップとラジエータグリルとの間に空間が発生することによるデザイン的な異質性、及び空気抵抗の発生を防止し、遮蔽性を改善することができる車両用アクティブエアフラップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両前方の内部には、内燃機関(内燃機関車両)、電気モータ(電気自動車)などのような動力機構が収容され、さらにラジエータ、凝縮器、インタークーラなどの複数の熱交換器が収容されてもよい。
図12a及び
図12bに示しているように、車両前方の内部に備えられた構成要素を保護するために、車両の前方側には、ラジエータグリルのようなグリル1が取り付けられる。そして、グリル1には、内燃機関、電気モータ、熱交換器などを冷却するために、外気が通過できる複数の通気口が形成される。
【0003】
一方、車両の低速走行時には、通気口を介して車両前方に流入する外気流量が相対的に少なく、車両の高速走行時には、グリルの通気口を介して車両の前方側に流入する外気流量が相対的に大きいことがある。
【0004】
グリル1の通気口を介して車両の前方側に流入する外気流量が大きい場合には、冷却性能(及び熱害防止性能)が向上するが、逆に、外気流量の増加により車両の空力性能(aerodynamic characteristics)が低下することがある。一方、グリル1の通気口を介して車両の前方側に流入する外気流量が相対的に少ない場合には、冷却性能(及び熱害防止性能)が低下するのに対し、車両の空力性能を改善することができる。
【0005】
このように、車両の速度変化に応じて外気流量が変化し、このような外気流量の変化に応じて冷却性能と空力性能とが互いに相反することもある。
【0006】
このような点を克服するために、特許文献1のように、車両の速度、外気温度などに応じてエアフラップの開閉を調節するアクティブエアフラップ装置(active air flap system)を適用することによって、外気流量または外気の流入方向などを適切に調節して互いに相反する冷却性能及び空力性能のバランスを取る技術が知られている。
【0007】
図12a及び
図12bには、特許文献1に開示しているような従来のアクティブエアフラップ装置の開閉動作を開示している。
前記の従来のアクティブエアフラップ装置の場合、フラップ2を閉鎖状態(
図12a)と開放状態(
図12b)との間で切り替えるためには、車両前方のグリル1の後方にシーリングダクト3上に位置する所定の回転軸を中心にフラップ2を回転させている。このときのフラップ2の回転角度を適切に制御すると、外気温度、冷却水温、車速などに応じてグリル1の通気口を介して車両前方に流入する空気量及び空気方向を調節することができる。これにより、冷却性能と空力性能との能動的なバランスを取ることができる。
【0008】
ところで、従来のアクティブエアフラップ装置の場合、前述のように、フラップ2の作動時に、フラップ2が定位置で所定の回転軸を中心に単純回動運動するようにしている。
したがって、デザイン的な面の要求により、または車体のコンパクト化のために、フラップ2をグリル1の通気口に近づけ、フラップ2の前面部の形状をグリル1の通気口の形状に対応するようにする場合、フラップ2が回転するときに、グリル1の通気口と干渉が発生するおそれがある。
【0009】
したがって、前記干渉の発生を事前に防止するためには、
図10aに示しているように、フラップ2が閉じた状態でフラップ2とグリル1の通気口との間に所定の間隔4を維持する必要がある。
しかし、この場合、
図10aにも示しているように、外部から車両を見たときに、グリル1とフラップ2との間で段差が不可避に発生するため、グリル1とフラップ2とが互いに調和できず、デザイン的な異質感が発生することになる。
また、フラップ2が閉じた状態でも間隔4を通じて外気が流入し、空力に一定部分損失が発生することになる。
【0010】
そして、当該間隔4では流動が停滞し、間隔4周辺のフラップ2で高圧領域が形成されることになる。これにより、高速走行時の風によりフラップ2が強制的に開くことになり、フラップ2の駆動装置が破損されるか、またはフラップ2が適切に制御できない問題が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2011-0134698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記問題点を解決するために案出されたものであって、本発明は、フラップとラジエータグリルとの間に空間が発生することによるデザイン的な異質性、及び空気抵抗の発生を防止し、遮蔽性を改善することができる車両用アクティブエアフラップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するための本発明は、車両前方の内側に取り付けられるアクティブエアフラップ装置であって、ハウジング部と、前記ハウジング部に相対移動可能に取り付けられるフラップと、前記フラップを駆動させるためのアクチュエータ、及び前記フラップが、摺動動作と、所定の回転軸を中心に回動する回転動作との二重動作を連続的に行うように、前記アクチュエータから前記フラップに動力を伝達する動力伝達機構と、を備えることを特徴とする。
【0014】
前記のように、本発明は、前記フラップを用いてグリルの通気口を開閉するときに、従来のように、定位置で回転のみをさせず、前記フラップを前記車両の前後方向の後方に後退させた後、所定の回転軸を基準に回転させる二重動作を行う。したがって、前記フラップの開閉動作時に前記グリルの通気口と接触する恐れがないため、従来のように、前記フラップと前記通気口との間に間隔を設ける必要がなくなる。したがって、従来のように、前記グリルの通気口と前記フラップとの間の間隔を介して漏気が発生し、空力損失が発生することを効果的に抑制することができる。
【0015】
好ましくは、前記フラップは、前記アクティブエアフラップ装置の前記フラップが前記車両前方の外装表面の通気口を覆うことができるように構成され、前記フラップが前記通気口に対応する形状を有する突出部を備えてもよい。
【0016】
前記のように、前記フラップが前記通気口に対応する形状を有しているため、前記フラップが前記通気口にさらに密着することができ、遮蔽性を改善することができる。また、前記グリルと前記フラップとが全体として一体的な審美感を表すことができる。
【0017】
好ましくは、前記フラップは、車幅方向の少なくとも一つの側面に第1方向にそれぞれ配置される第1フラップピンと第2フラップピンとを備え、前記ハウジング部は、前記第1フラップピンが挿入され、前記車両の前後方向に延びる第1ガイドホールと、前記第2フラップピンが挿入され、前記第1ガイドホールと同一の方向に延びる直線区間と、前記直線区間から連続する円弧状の回転区間とを有する第2ガイドホールとを備えてもよい。
【0018】
さらに好ましくは、二重動作のうち回転動作は、前記第1フラップピンが前記第1ガイドホールの前記車両の前後方向の後方端に位置した状態で、前記第1フラップピンを中心に前記フラップが回動する動作であってもよい。
【0019】
前記のような前記フラップと前記ハウジング部との間の連結構造を備えることによって、前記フラップの前記二重動作を簡単な構造で具現することが可能となる。
【0020】
好ましくは、動力伝達機構は、多節リンク構造からなってもよく、例えば、前記多節リンク構造は、一端が前記アクチュエータの出力端に連結される第1リンクと、一端が第1リンクの他端と回動可能に連結され、他端が前記第2フラップピンに回動可能に連結される第2リンクとを含むものであってもよい。
【0021】
前記のように動力伝達機構が前記多節リンク構造を備えることによって、一度の前記アクチュエータの回転駆動によって前記フラップの直線動作と回転動作とを行えるように、前記第1フラップピンに動力を伝達することが可能となる。
【0022】
好ましくは、前記多節リンク構造は、前記ハウジング部の車幅方向の両側面にそれぞれ備えられ、前記車幅方向に延び、一対の前記第1リンクの間を連結するドライブシャフトをさらに備えてもよい。
【0023】
前記駆動シャフトを備えることによって、前記フラップの両端の前記第1リンクに均等に動力を伝達することができる。したがって、前記フラップの開閉過程で不均等な動力伝達により前記フラップがねじれる問題を解消することができる。
【0024】
好ましくは、前記フラップは複数個備えられ、複数のフラップごとに前記動力伝達機構が備えられてもよい。
【0025】
これにより、アクティブエアフラップを介して流入する空気量を増加させることができ、前記複数のフラップの開閉を別途に調節することによって吸入空気量を細密に制御することができる。
【0026】
好ましくは、前記フラップは、前記突出部の縁に沿って形成されるシーリング部材をさらに含んでもよい。
【0027】
これにより、前記フラップと前記グリルの通気口との間に加工誤差によって間隔が発生する場合でも、前記フラップと前記グリルとの間を確実に密閉することができる。
【0028】
好ましくは、前記アクティブエアフラップ装置の前記フラップが、前記車両前方の外装表面の通気口を覆った状態で、前記突出部の前面が前記外装表面と同一表面上に位置するように構成されてもよい。
【0029】
これにより、前記フラップと前記グリル間の視覚的に異質感を与える段差がなく、前記車両前方に連続的なスキンラインを構築することができ、審美感を向上させることができる。また、前記段差の存在により当該領域に流動が停滞して発生する高圧領域の発生を抑制することができ、空力を向上させることができる。
【0030】
好ましくは、前記第1ガイドホール及び前記第2ガイドホールのうち少なくともいずれか一つは、車両の前後方向の後端が開放されるように前記ハウジング部に形成されており、前記第1ガイドホール及び前記第2ガイドホールのうち開放されたガイドホールの開放端部を覆うようにするカバーが前記ハウジング部に備えられてもよい。
【0031】
前記構造によると、まず、前記第1ガイドホール及び前記第2ガイドホールの開放端部を通じて前記第1フラップピン及び前記第2フラップピンを押し込んだ後、前記カバーで覆う簡易な方法で前記第1ガイドホール及び前記第2ガイドホールにそれぞれ前記第1フラップピン及び前記第2フラップピンを維持することができ、組立性を向上させることができる。また、前記ハウジングの背面を前記カバーで覆うことによって、多節リンク及びガイドホールに異物が流入することを抑制することができる。
【0032】
好ましくは、前記第1ガイドホール及び前記第2ガイドホールのうちのうち少なくとも一つは、前記ハウジング部からカバーまで延びることができる。
【0033】
前記構造を有することによって、前記カバーを備える場合でも、二重動作の実現を可能とする装置の車幅方向の大きさを小さくすることができ、装置のコンパクト化を実現することができる。
【0034】
好ましくは、前記第1リンクの回動範囲を規制するストッパ部をさらに備えてもよく、前記ストッパ部は、例えば、前記ハウジング部に凹状に形成されたガイドホールと前記第1リンクから突出して形成され、前記ガイドホールに挿入されて前記第1リンクが回転するとき、前記ガイドホールとの接触で前記第1リンクの回動移動を規制するガイドピンとから構成されてもよい。
【0035】
前記構造によると、一定の大きさまたは一定の時間以上の駆動力が、前記アクチュエータから前記第1リンクに加わる場合にも、前記フラップが必要以上動くことを防止することができる。
【0036】
好ましくは、前記ハウジング部は、前記ドライブシャフトが載置される載置ホールをさらに備え、前記ハウジング部を側面から見たときに、前記第2ガイドホール、前記第1ガイドホール及び前記載置ホールの順に第1方向に配置されてもよい。
【0037】
前記構造によると、前記ドライブシャフトを安定して支持することができ、前記フラップのねじれ問題をより確実に解消することができる。また、前記第2ガイドホール、前記第1ガイドホール及び前記載置ホールを前記順に配置することによって、動力伝達経路の長さを短縮することができ、装置の大きさをよりコンパクト化することができる。
【0038】
好ましくは、前記アクチュエータを制御する制御器をさらに備え、前記制御器は、車両に取り付けられたセンサから車速、外気温度、冷媒圧力、冷却水温のうち少なくともいずれか一つに関する信号を入力され、入力された信号に基づいて前記フラップの開閉程度を制御することができる。
【0039】
前記構造によると、前記車両の走行状態及び外気温度などに基づいて、空力性能と冷却性能のうち優先される性能を判定し、その判定結果に応じて前記フラップを効果的に制御することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係る車両用アクティブエアフラップ装置では、フラップが閉じた状態でフラップとグリルの通気口との間に間隔が存在しなくなるため、既存のアクティブエアフラップ装置に対して、空力性能を20~30%以上さらに改善することが可能である。
【0041】
また、本発明に係る車両用アクティブエアフラップ装置では、フラップが閉じた状態でフラップとグリルの通気口との間で作動干渉を防止するために間隔を設ける必要がなくなる。したがって、フラップの表面がグリルの表面と同一表面上にあるように、フラップをグリルに密着させることが可能である。したがって、視覚的に異質感を与える段差がなく、車両前方に連続的なスキンラインを構築することができ、審美感を向上させることができる。
【0042】
また、本発明に係る車両用アクティブエアフラップ装置では、フラップを直線に移動させる動作と、定位置で回転させる動作との二重動作が連続的に行われる。したがって、外気温度や車速などに応じてフラップの動作モード及び当該動作モードでのフラップの移動量を適切に選択することによって、空気量を能動的に制御することができる。したがって、空力性能及び冷却性能を同時に満たすことができる最適の開閉モードを具現することができる。
【0043】
また、本発明に係る車両用アクティブエアフラップ装置では、前記効果を具現するために、追加の駆動源なく1個のアクチュエータを用いてフラップの多重動作を具現することができ、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明の好ましい実施例に係るアクティブエアフラップ装置の分解斜視図である。
【
図2】本発明の好ましい実施例に係るアクティブエアフラップ装置の背面斜視図である。
【
図3】本発明の好ましい実施例に係るアクティブエアフラップ装置のハウジングを省略した前面斜視図である。
【
図4】本発明の好ましい実施例に係るアクティブエアフラップ装置に備えられた第1及び第2ガイドホール及び第1及び第2ガイドホールに沿って移動する第1フラップピン及び第2フラップピンを示す図である。
【
図5】本発明の好ましい実施例に係るアクティブエアフラップ装置に備えられたグリルの背面図である。
【
図6】本発明の好ましい実施例に係るアクティブエアフラップ装置のハウジングに備えられる第1及び第2ガイドホールと載置ホールの配置構造を説明する図である。
【
図7】本発明の好ましい実施例に係るアクティブエアフラップ装置のカバー部分の部分拡大図である。
【
図8a】本発明の好ましい実施例に係るアクティブエアフラップ装置のストッパ部分の部分拡大図である。
【
図8b】本発明の好ましい実施例に係るアクティブエアフラップ装置のストッパ部分の部分拡大図である。
【
図9a】本発明の好ましい実施例に係るアクティブエアフラップ装置を用いたフラップ駆動方式を説明する図である。
【
図9b】本発明の好ましい実施例に係るアクティブエアフラップ装置を用いたフラップ駆動方式を説明する図である。
【
図9c】本発明の好ましい実施例に係るアクティブエアフラップ装置を用いたフラップ駆動方式を説明する図である。
【
図10a】従来のアクティブエアフラップ装置が備えられた車両の前方部分の断面図である。
【
図10b】本発明の好ましい実施例に係るエアフラップ装置が備えられた車両の前方部分の断面図である。
【
図11】本発明の好ましい実施例に係るアクティブエアフラップ装置に備えられたグリルの前面斜視図である。
【
図12a】従来のアクティブエアフラップ装置を用いたフラップ駆動方式を説明する図である。
【
図12b】従来のアクティブエアフラップ装置を用いたフラップ駆動方式を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の一部の実施例を例示的な図面を参照して詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するにあたり、同一の構成要素に対しては、仮に、他の図面上に表されてもできる限り、同一の符号を有するようにしていることを留意すべきである。なお、本発明の実施例を説明するにあたり、関連する公知の構成または機能に関する具体的な説明が、本発明の実施例に対する理解を妨げると判断できる場合には、その詳細な説明は省略する。このような過程で、図面に示している線の厚さや構成要素の大きさなどは、説明の明瞭性及び便宜上誇張して示していることもある。さらに、後述する用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語であって、これは、ユーザ、オペレータの意図または慣例に応じて変わり得る。したがって、このような用語に対する定義は、本明細書全体にわたる内容に基づいて決められるべきである。
【0046】
図1は、本発明の好ましい実施例に係るアクティブエアフラップ装置の分解斜視図であり、
図2は、本発明の好ましい実施例に係るアクティブエアフラップ装置の背面斜視図であり、
図3は、本発明の好ましい実施例に係るアクティブエアフラップ装置において、ハウジングを省略した前面斜視図であり、
図5は、本発明の好ましい実施例に係るアクティブエアフラップ装置に備えられたグリルの背面図である。
【0047】
図1~
図3を参照すると、本発明に係る好ましい実施例のアクティブエアフラップ装置は、ハウジング部50、フラップ10、アクチュエータ20及びアクチュエータ20からフラップ10に動力を伝達するための動力伝達機構である第1リンク30、第2リンク40を含む。
【0048】
ハウジング部50は、好ましくは、
図5に示しているように、車両前方に取り付けられたラジエータグリルのようなグリル1の背面に取り付けられてもよい。または、ハウジング部50は、通気口が形成された前方バンパーの背面に取り付けられてもよい。ハウジング部50は、グリル1や前方バンパーの通気口を通過した外気を車両前方の内部空間に導く空間を形成するとともに、後述するフラップ10を支持する機能を果たす。
【0049】
ハウジング部50は、貫通して開口を形成する開口部54が形成される前面部と、前面部の車幅方向の両側縁から車両の前後方向の後方側にそれぞれ延びる側壁部とを備える。
図5に示しているように、ハウジング部50の前面部はグリル1の背面に取り付けられ、このとき、開口部54はグリル1の通気口と連通するように構成される。ここで、グリル1は車両の外装表面の一例であり、グリル1以外にも通気口が形成されたバンパーなどの通気口と連通してもよい。
【0050】
図4は、本発明の好ましい実施例に係るアクティブエアフラップ装置のハウジング部50に備えられた第1ガイドホール51及び第2ガイドホール52を示している。
【0051】
好ましくは、第1ガイドホール51及び第2ガイドホール52は、ハウジング部50の両側壁部を貫通して形成される。第1ガイドホール51は、側面から見たときに、車両の前後方向に直線形状に延びる。第2ガイドホール52は、第1ガイドホール51と第1方向(図面では、上下方向において上方)に並んで配置され、側面から見たときに、第1ガイドホール51と同一の方向に延びる直線区間と、直線区間から連続して円弧状を有する回転区間と、を有する。
【0052】
フラップ10は、ハウジング部50に相対移動可能に取り付けられる。フラップ10は、ハウジング部50の開口部54と連通するグリル1の通気口1bを開閉することによって、開口部54を介して車両前方の内部に流入する空気量を調節する機能を有する。例えば、フラップ10は、車両が高速走行時にハウジング部50の開口部54と連通するグリル1の通気口1bを閉鎖して空気抵抗を下げる一方、車両前方に収納された内燃機関、電気モータ、熱交換器などの冷却効率を高める必要があるときには、ハウジング部50の開口部54と連通するグリル1の通気口1bを開放する。
【0053】
好ましくは、フラップ10は、ハウジング部50と同様に、前面部と、前面部の車幅方向の両側縁から車両の前後方向の後方側にそれぞれ延びる側壁部とを備える。フラップ10の前面部は、ハウジング部50の開口部54と連通するグリル1の通気口1bを開閉する。フラップ10の側壁部は、それぞれハウジング部50の対応する側壁部に互いに相対移動可能に維持される。
図2に示している例において、フラップ10の前面部の面積がハウジング部50の開口部54の面積より小さく開示しているが、本発明はこれに限定されない。フラップ10の前面部によってグリル1の通気口1bが開閉可能であれば、フラップ10の前面部の面積は、ハウジング部50の開口部54の面積と同一であってもよい。ただし、ハウジング部50内でフラップ10が円滑に作動するように、フラップ10の前面部の面積は、ハウジング部50の開口部54の面積より小さいことがより好ましい。
【0054】
図3に示しているように、フラップ10の前面部には、車両の前後方向の前方に突出する突出部10aが備えられる。好ましくは、前方から見たときの突出部10aの形状及び寸法は、グリル1の通気口1bの形状及び寸法と同一である。そして、
図10bに示しているように、フラップ10がグリル1の通気口1bを閉鎖した状態で車両を側面から見たときに、突出部10aの前面がグリル1の外表面と同一表面上に位置するように突出部10aの突出深さが設定される。この場合、
図10b及び
図11に示しているように、フラップ10が閉じた状態でグリル1の通気口1bとの間に間隔が設けられず、通気口10を全面的に閉鎖することが可能である。また、グリル1とフラップ10とに段差を設けずに同一のスキンラインを形成させることができ、審美感を向上させることができる。
【0055】
そして、
図3に示しているように、突出部10aの縁に沿ってシーリング部材10bが備えられる。シーリング部材10bは、好ましくは、樹脂系素材、硬質ゴム材素材のうちから選択されたいずれか一つからなってもよい。前記のように、前方から見たときの突出部10aの形状及び寸法は、グリル1の通気口1bの形状及び寸法と同一である。しかし、加工誤差によりフラップ10の突出部10aとグリル1の通気口との間に間隔が設けられ、この間隔を介して外気が漏洩されて入ることもある。したがって、シーリング部材10bは、フラップ10の突出部とグリル1の通気口1bとの間の加工誤差などにより発生する空間を通じて空気が流入しないように、フラップ10が閉じた状態にあるときにグリル1の通気口1bをシーリングする機能を果たす。
【0056】
フラップ10の両側壁の車幅方向の外側面上には、それぞれ第1フラップピン11及び第2フラップピン12が突出して備えられる。
【0057】
図4に示しているように、第2フラップピン12は、ハウジング部50の第2ガイドホール52に挿入される。第1フラップピン11は、第2フラップピン12の下方に備えられ、ハウジング部50の第1ガイドホール51に挿入される。したがって、フラップ10がアクチュエータ20と動力伝達機構である第1リンク30、第2リンク40とを通じて動力を伝達されて移動するときに、まず第2フラップピン12は、第2ガイドホール52の直線区間に沿って、そして、第1フラップピン11は、第1ガイドホール51に沿って一体に摺動する。したがって、第1フラップピン11及び第2フラップピン12と一体に形成されたフラップ2も車両の前後方向に摺動することになる。そして、第1フラップピン11が第1ガイドホール51の車両の前後方向の後端に到達すると、第1フラップピン11は当該位置で摺動を止める。このとき、アクチュエータ20と動力伝達機構である第1リンク30、第2リンク40とを通じて伝達される力を第1フラップピン11及び第2フラップピン12が受け続けることになると、第2フラップピン12は、第2ガイドホール52の円弧状の回転区間に進入し、第1フラップピン11は定位置で回動し、第2フラップピン12は第1フラップピン11を中心とする所定の回転半径に沿って回転移動することになる。これにより、第1フラップピン11及び第2フラップピン12と一体に形成されたフラップ2も回転移動することになる。
【0058】
前記動作を円滑に行うために、側面から見たときに、第1ガイドホール51は第2ガイドホール52よりも車両の前後方向の後方に配置され、第2ガイドホール52の直線区間は第21ガイドホール51の全長と同一に構成されることが好ましい。
【0059】
フラップ10は、複数個備えられもよく、1個のハウジング部50が複数個の開口部54を備えているときに、各開口部54ごとに1個ずつ備えられてもよい。この場合、アクチュエータ20から複数個のフラップ10のそれぞれに動力を伝達するために、動力伝達機構である第1リンク30、第2リンク40は各々のフラップ10ごとに備えられてもよい。
【0060】
アクチュエータ20は、フラップ10を駆動するための駆動力を生成する機能を果たす。アクチュエータ20は、好ましくは、車両から電源を供給され、出力端21を回動させる電気モータであってもよく、または車両の油圧供給装置から油圧を伝達され、出力端21を回動させる油圧機構であってもよい。フラップ10が複数個備えられる場合、アクチュエータ20はフラップ10ごとに複数個備えられてもよいが、製造コストなどを考慮すると、ギアなどを用いて1個のアクチュエータ20からの動力を複数の動力伝達機構に伝達できるように、動力伝達経路を分岐させることが好ましい。
【0061】
動力伝達機構である第1リンク30、第2リンク40は、アクチュエータ20で生成される回転動力をフラップ10に伝達する機能を果たす。好ましくは、動力伝達機構である第1リンク30、第2リンク40は、アクチュエータ20で生成された回転動力を用いてフラップ10が所定の方向に力を受けるように、複数個のリンクが互いに連結された多節リンク構造からなってもよい。
【0062】
図1及び
図2に示している例において、動力伝達機構は、第1リンク30と第2リンク40とから構成される。第1リンク30は、その長手方向の一端に突出して形成された入力端32がアクチュエータ20の出力端21と噛み合うように構成される。そして、第1リンク30の他端部に突出して備えられた連結端31は、第2リンク30の長手方向の一端に形成されたホールに回動可能に連結される。第2リンク30の長手方向の他端に形成されたホールには、第2フラップピン12が回動可能に連結される。すなわち、第1リンク30はローダであり、第2リンク40はリンケージとなる。
【0063】
アクチュエータ20の出力端21が回転すると、出力端21と噛み合っている入力端32を中心に第1リンク30が回動する。また、これにより、第1リンク30に回動可能に連結された第2リンク40が移動しながら、第2フラップピン12に力を加えることになる。その結果、第2フラップピン12及び第2フラップピン12と一体に形成された第1フラップピン11がそれぞれ、第2ガイドホール52及び第1ガイドホール51に沿って前述の形態で移動することになる。
【0064】
好ましくは、2個の第1リンク30が車幅方向に延びるドライブシャフト33によって連結されてもよい。ハウジング部50の両側面にそれぞれ第1リンク30が備えられる場合、一側面に備えられた第1リンク30のみにアクチュエータ20からの動力が直接伝達されると、アクチュエータ20の作動時に左右がねじられて滑らかな作動が行われない場合が生じ得る。この場合、アクチュエータ20と直接連結される第1リンク30を、ドライブシャフト33を介して他方の第1リンク30と直接連結させると、アクチュエータ20が左右側に均等に駆動力を伝達することができ、前記ねじれ問題を防止することができる。
【0065】
そして、好ましくは、ドライブシャフト33の両端部がハウジング部50の左右側壁にそれぞれ形成された載置ホール53に載置されるように構成することが好ましい。この場合、ドライブシャフト33を安定して支持することができ、前記ねじれ問題をより確実に解消することができる。
図6は、
図5に示しているアクティブエアフラップ装置をA-A面で切断したときの断面図である。
図6に示しているように、第2ガイドホール52、第1ガイドホール51及び載置ホール53はこの順に所定の方向(図面では、上下方向)にハウジング部50の側壁に形成されることが好ましい。この場合、動力伝達経路の長さを短縮することができ、装置の大きさをよりコンパクト化することが可能である。
【0066】
好ましくは、本発明に係るアクティブエアフラップ装置はカバー60を備える。この場合、ハウジング部50に備えられた第1ガイドホール51及び第2ガイドホール52のうち少なくともいずれか一つのホールは、
図1に示しているように、車両の前後方向の後端部が開放された開放端部を有する。カバー60は、このような開放端を覆って閉鎖端部とする機能を果たす。
【0067】
第1ガイドホール51及び第2ガイドホール52が形成されたハウジング部50の側壁と、第1フラップピン11及び第2フラップピン12が形成されたフラップ10の側壁が高弾性部材で形成されない限り、両側壁に形成された第1ガイドホール51及び第2ガイドホール52にそれぞれ第1フラップピン11及び第2フラップピン12を挿入することは容易ではない。しかし、前記構造によると、まず第1ガイドホール51及び第2ガイドホール52の開放端部を通じて第1フラップピン11及び第2フラップピン12を押し込んだ後、カバー60で覆うと、簡易な方法で第1ガイドホール51及び第2ガイドホール52にそれぞれ第1フラップピン11及び第2フラップピン12を維持することができる。カバー60は、ハウジング部50の両側壁部にそれぞれ1個ずつ2個を備えられてもよく、ねじなどを用いてハウジング部50に固定してもよい。
【0068】
一方、
図7に示しているように、第1ガイドホール51及び第2ガイドホール52のうち少なくともいずれか一つは、ハウジング部50からカバー60まで延ばされてもよい。すなわち、カバー60にも第1ガイドホール51及び第2ガイドホール52の一部61a、61bが形成されてもよい。この場合、カバー60がハウジング部50に追加される場合でも、装置の幅方向寸法が大きくなることを抑制し、全体として装置の大きさをコンパクト化することが可能となる。
【0069】
また、好ましくは、
図8a及び
図8bに示しているように、本発明に係るアクティブエアフラップ装置は、第1リンク30の回動範囲を規制することができるストッパ部をさらに備えてもよい。
図8a及び
図8bに示している例において、ストッパ部は、ハウジング部50に厚み方向に凹状に形成されたガイドホール55と、ガイドホール55に挿入されて第1リンク30が回転するとき、ガイドホール55との接触で第1リンク30の回動移動を規制するガイドピン34とから構成されてもよい。ガイドピン34は、好ましくは、第1リンク30の入力端32から車両の前後方向に突出したピン形状を有する。前記構造によると、第1リンク30が時計回りに一定の角度以上回転するとき(
図8a)及び反時計回りに一定の角度以上回転するとき(
図8b)に、ガイドピン34がそれぞれガイドホール55を構成する各側壁部と衝突することになる。これにより、第1リンク30の回動範囲を制限することが可能である。前記構造によると、一定の大きさまたは一定の時間以上の駆動力がアクチュエータ20から第1リンク30に加わる場合にも、フラップ10が必要以上に動くことを防止することができる。
【0070】
また、好ましくは、本発明に係るアクティブエアフラップ装置は、アクチュエータ20を制御する制御器70をさらに備えてもよい。ここで、制御器70は、車両に取り付けられたセンサ80から車速、外気温度、冷媒圧力、冷却水温のうち少なくともいずれか一つに関する信号を入力され、入力された信号に基づいてフラップの開閉程度を制御できるように所定のデューティ信号をアクチュエータ20に送信する。例えば、車速が予め決まった車速を超えた場合、制御器70は、空力性能を確保するために、フラップ10が閉じる方向にアクチュエータ20を制御する。また、冷却水温が高い場合、速やかに車両内に備えられた内燃機関またはモータを冷却するために、制御器70はフラップ10が開く方向にアクチュエータ20を制御する。また、制御器70は、空力性能及び冷却性能に影響を及ぼす各変数に対して重みを付け、各変数を組み合わせた結果に応じてアクチュエータ20を制御してもよい。
【0071】
制御器70は、車両に備えられたコンピュータの形態で具現されてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込んで実行することで実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、車両に内蔵されたコンピュータシステムであり、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものとする。なお、「コンピュータ読取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROMなどの携帯用媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクなどの記憶装置をいう。また、「コンピュータ読取り可能な記録媒体」とは、インターネットなどのネットワークや電話回線などの通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを維持すること、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定の時間プログラムを維持しているものも含んでもよい。また、前記プログラムは、前述の機能の一部を実現するためのものであってもよく、前述の機能を、コンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0072】
以下では、
図9a~
図9cを参照して、本発明の好ましい実施例に係るアクティブエアフラップの具体的な動作態様を説明する。
図9aは、フラップ10によってグリル1の通気口1bが閉じられ、空気の流入が塞がれている状態を示している。前記状態では、フラップ10の突出部10a及びシーリング部材10bによって通気口1bが完全に密閉された状態であって、フラップ10と通気口1bとの間には空気が流通する間隔が存在しない。また、
図9aに示しているように、フラップ10の突出部10aの前面がグリル1の外表面と段差がなく連続するように、フラップ10が外部に突出することになる。
【0073】
この状態で、アクチュエータ20が稼働すると、第1リンク30が入力端31を中心に回動する。そして、第1リンク30に回動可能に連結された第2リンク40が移動するとともに、第2フラップピン12に力を作用させる。その結果、第2フラップピン12及び第2フラップピン12と一体に形成された第1フラップピン11がそれぞれ、第2ガイドホール52の直線区間と第1ガイドホール51とに沿って摺動する。その結果、
図9bに示しているように、フラップ10は、
図9aに示している姿勢をそのまま維持しながら、その位置のみが後方に移動することになる。この状態で、フラップ10は回転しないので、フラップ10を作動させる過程でグリル1の通気口1bと接触するおそれがない。したがって、フラップ1と通気口1bとの間に間隔を設けなくてもよい。
【0074】
この状態で、アクチュエータ20と動力伝達機構である第1リンク30、第2リンク40とを通じて伝達される力を第1フラップピン11、及び第2フラップピン12が受け続けることになると、第1フラップピン11が第1ガイドホール51の端部に当接して摺動が止まり、第2フラップピン12が第2ガイドホール52の円弧状の回転区間に進入し、第1フラップピン11は定位置で回動し、第2フラップピン12は、第1フラップピン11を中心とする所定の回転半径に沿って回転移動することになる。これにより、
図9cに示しているように、第1フラップピン11及び第2フラップピン12と一体に形成されたフラップ2も回転移動することになる。
【0075】
この状態では、フラップ10がグリル1の通気口1bとは離間した位置で回動するので、フラップ10が回転する場合にも通気口1bと接触しない。また、この状態では、はフラップ10の突出部10aを含む前面部が上面に向くように回転するので、コンパクトな装置によってもハウジング部50内に外気が通過できる領域を比較的広く確保することができる。したがって、
図9bに示している状態と対比して、冷却性能をより高く確保することが可能である。
【0076】
制御器70は、このような特性を用いて、車両の走行状態、外気温度、冷却状態などを考慮して、フラップ10を直線移動モードと回転移動モードのうちいずれか一つの状態となるように、フラップ10を制御することができ、また、各々のモードでフラップ10の摺動距離または回動角度などを調節することによって、流入する空気量及び空気流の方向をより細密に制御することが可能である。
【0077】
図面に示している実施例を参照して説明したが、これは、例示的なものに過ぎず、当該技術の属する分野における通常の知識を有する者であれば、これに基づいて様々な変形及び均等な他の実施例が可能である点を理解すべきである。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、以下の特許請求の範囲によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0078】
1 外装表面(グリル)
1b 通気口
2、10 フラップ
3 シーリングダクト
4 間隔
10a 突出部
10b シーリング部材
11 第1フラップピン
12 第2フラップピン
20 アクチュエータ
21 出力端
30 第1リンク(ローダ)
31 連結端
32 入力端
33 ドライブシャフト
34 ガイドピン
40 第2リンク
50 ハウジング部
51 第1ガイドホール52 第2ガイドホール53 載置ホール
54 開口部
55 ガイドホール
60 カバー
61a、61b ガイドホールの一部70 制御器
80 センサ