(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088867
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】真空断熱パネル
(51)【国際特許分類】
F16L 59/065 20060101AFI20230620BHJP
F16B 11/00 20060101ALI20230620BHJP
F25D 23/06 20060101ALN20230620BHJP
B32B 5/16 20060101ALN20230620BHJP
B32B 5/30 20060101ALN20230620BHJP
【FI】
F16L59/065
F16B11/00 B
F25D23/06 V
B32B5/16
B32B5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022194982
(22)【出願日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】10 2021 132 179.4
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】519282775
【氏名又は名称】バキュテック アーゲー
【氏名又は名称原語表記】va-Q-tec AG
【住所又は居所原語表記】Alfred-Nobel-Strasse 33,97080 Wuerzburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム、クーン
(72)【発明者】
【氏名】トビアス、ボック
(72)【発明者】
【氏名】ケルスティン、ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】スラバ、レヤ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリク、フォイヤーシュタイン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】真空断熱パネルの機械的な負荷を受ける個所における防火性を改善する。
【解決手段】2つの耐熱性の保護層5,6を有する耐熱性の真空断熱パネル1を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放気孔型の材料から成るコア(2)と、該コア(2)を全ての側で完全に包む気密な包装体(3)と、を備えた真空断熱パネル(1)であって、
前記包装体(3)が、気密なバリア層(4)を有し、
前記包装体(3)が、少なくとも所定の領域に、好ましくは全面にわたって、第1の耐熱性の材料を有するか、または第1の耐熱性の材料から成る第1の保護層(5)を有し、該第1の保護層(5)が、前記バリア層(4)の外部に配置されている、かつ/または前記バリア層(4)の外部に位置する中間層(9)の外部に配置されている、真空断熱パネル(1)において、
前記包装体(3)が、少なくとも所定の領域に、好ましくは全面にわたって、第2の耐熱性の材料を有する、かつ/または第2の耐熱性の材料から成る第2の保護層(6)を有し、
該第2の保護層(6)が、前記バリア層(4)の外部に配置されている、かつ/または前記バリア層(4)の外部に位置する中間層(9)の外部に配置されている、かつ/または前記第1の保護層(5)の外部に配置されている、かつ/または前記第1の保護層(5)の外側に位置するカバー層(10)の外部に配置されている、
ことを特徴とする、真空断熱パネル(1)。
【請求項2】
前記第1の保護層(5)は、雲母粒子(5A)を有し、特にこの場合、前記雲母粒子(5A)が、材料としてフロゴパイトおよび/またはマスコバイトを有するか、またはこれらから成ることを特徴とする、請求項1記載の真空断熱パネル。
【請求項3】
前記第1の保護層(5)の前記雲母粒子(5A)は、面状の支持材料(5B)に、特にガラス繊維織布またはガラス繊維編物に、またはプラスチックシートに、特にポリエチレンテレフタレートを有するシートに、被着されていて、かつ固定されており、好ましくはこの場合、前記雲母粒子(5A)は、前記面状の支持材料(5B)に結合剤によって固定されている、もしくは予め固定されていることを特徴とする、請求項2記載の真空断熱パネル。
【請求項4】
前記第1の保護層(5)の前記雲母粒子(5A)は、火炎作用時における前記包装体(3)の裂断を阻止する、または少なくとも困難にする外カバー層(10)によってカバーされており、好ましくはこの場合、該カバー層(10)がガラス繊維を有することを特徴とする、請求項2または3記載の真空断熱パネル。
【請求項5】
前記第2の保護層(6)は、縁領域および/またはオーバラップ領域において前記第1の保護層(5)を覆っている、かつ/または前記包装体(3)および/または前記真空断熱パネル(1)は、縁領域および/またはオーバラップ領域に前記第2の保護層(6)を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の真空断熱パネル。
【請求項6】
前記第1の保護層(5)は、所定の領域でのみ、前記バリア層(4)の外部に、かつ/または前記バリア層(4)の外部に位置する中間層(9)の外部に配置されており、前記包装体(3)は、前記第1の保護層(6)が存在しない領域に前記第2の保護層(6)を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の真空断熱パネル。
【請求項7】
前記第2の保護層(6)は、吹付け塗布、はけ塗り、ロールコーティング、ローラ塗布、浸漬および/または被覆によって供給可能であるか、もしくは供給されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の真空断熱パネル。
【請求項8】
前記第2の保護層(6)は、被着の際に液状であり、好ましくはこの場合、粘度が、10mPa*sよりも大きく、特に200mPa*sよりも大きい、かつ/または65000mPa*sよりも小さく、特に6500mPa*sよりも小さいことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の真空断熱パネル。
【請求項9】
前記第2の保護層(6)は、熱作用時にその体積を変化させる材料を有するか、またはこのような材料から成る、かつ/または前記第2の保護層(6)は膨張性を有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の真空断熱パネル。
【請求項10】
前記第2の保護層(6)は、塗料、接着剤、粘着剤、接着テープ、粘着テープまたは発泡体であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の真空断熱パネル。
【請求項11】
前記第2の保護層(6)は、材料として、膨張黒鉛を有する、または膨張黒鉛から成ることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の真空断熱パネル。
【請求項12】
前記第2の保護層(6)は、0.001mmよりも大きく、好ましくは0.05mmよりも大きい、かつ/または1mmよりも小さく、好ましくは0.3mmよりも小さい厚さを有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の真空断熱パネル。
【請求項13】
前記第2の保護層(6)は、前記第1の保護層(5)とは異なる1種の材料および/または前記第1の保護層(5)とは異なる数種の材料を有する、かつ/または前記第1の保護層(5)とは異なる1種の材料および/または前記第1の保護層(5)とは異なる数種の材料から成ることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の真空断熱パネル。
【請求項14】
前記第2の保護層(6)は、前記第1の保護層(5)よりも高い結合強さおよび/または付着強さ、好ましくは0.01N/mm2よりも大きく、特に0.1N/mm2よりも大きい、かつ/または150N/mm2よりも小さく、特に100N/mm2よりも小さい結合強さおよび/または付着強さを有することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の真空断熱パネル。
【請求項15】
前記第1の保護層(5)は、独立して取扱い可能なシートとして形成されており、好ましくは前記バリア層(4)、前記中間層(9)、前記カバー層(10)および/または前記第2の保護層(6)に材料接続式に結合されている、かつ/または好ましくは部分的にオーバラップするように被着されていることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の真空断熱パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の特徴を有する真空断熱パネルに関する。
【0002】
真空断熱パネルは、たとえば冷蔵器具および冷凍器具の性能の良い断熱ならびに感温性の貨物用の輸送容器の断熱または建物修復における後付け遮熱のために用いられる。
【0003】
真空断熱パネルは通常、開放気孔型の材料から成る面状のコアと、このコアを全ての側で密に、完全に、かつ気密に取り込む包装体と、を有する。これにより、包装体の内側の空間を排気し、こうして真空断熱パネルの熱伝導率を極めて低い値にもたらすことが可能となる。
【0004】
本発明の出発点を成す独国特許出願公開第102016013199号明細書には、このような真空断熱パネルが開示されている。
【0005】
特定の使用事例、たとえば土木建築または車両製造における使用事例のためには、高い防火要求が満たされなければならない。したがって、独国特許出願公開第102016013199号明細書に記載の構成では、真空断熱パネルに付加的な保護層が設けられており、この付加的な保護層は、防火要求を満たすために、耐熱性の材料を有し、かつ少なくとも所定の領域において外部に配置されている。
【0006】
この耐熱性の保護層は、実質的に、結合剤(バインダー)を用いて位置固定された雲母粒子から成る。最適化された取扱いのためには、雲母粒子が、面状の支持材料、特にガラス繊維織布に被着(成膜、塗布)され、かつ固定される。結合剤としては、合成樹脂または合成ゴムが使用される。
【0007】
雲母粒子は、結合剤によって、内側に位置する層または外側に位置する層のいずれかに結合されるか、または、内側に位置する層にも外側に位置する層にも結合される。しかし、結合剤は、雲母粒子を有する層内に完全に浸透するわけではない。それゆえに、雲母粒子は、耐熱性の層の中心部では、弱いファンデルワールス結合によってしか互いに結合されない。したがって、実際の使用において、この耐熱性の層は低い結合強さ(凝集強さ)、特に0.1N/mm2よりも低い結合強さしか有しない。
【0008】
たとえば真空断熱パネルを取り囲むようにつかむことによって真空断熱パネルが機械的に取り付けられる場合には、耐熱性の保護層の結合強さ(凝集強さ)が低いことは問題にならない。なぜならば、真空断熱パネルの包装体もしくは耐熱性の保護層には、小さな剪断力および/または剥離力しか作用しないからである。
【0009】
特に真空断熱パネルが接着又は粘着によって固定される場合および/または真空断熱パネルの耐熱性の保護層に対象物が接着又は粘着によって固定される場合には、実際の使用において、耐熱性の保護層のデラミネーション(離層)および/または耐熱性の保護層の結合破壊(凝集破壊)が生じるおそれがある。なぜならば、発生する剥離力および/または剪断力が、耐熱性の保護層によって吸収され得ないからである。この効果は、耐熱性の保護層を形成する階層の厚さが増大するにつれて、かつ/または耐熱性の保護層を形成する階層の数が増大するにつれて高まる。
【0010】
このような背景に鑑み、本発明の根底を成す課題は、耐熱性の包装体を備えた改善された真空断熱パネルであって、特に防火性の改善が得られ、かつ/または、より大きな剥離力および/または剪断力が吸収され得るような真空断熱パネルを提供することである。
【0011】
上記課題は、請求項1に記載の真空断熱パネルにより解決される。好適な構成および改良形は、従属形式の各請求項の対象である。
【0012】
真空断熱パネルは、好ましくは、開放気孔型の材料から成るコアと、このコアを包む気密な包装体と、を有し、好ましくはこの場合、包装体は、気密なバリア層と、任意選択的な中間層と、を有し、さらに少なくとも所定の領域に、好ましくは全面にわたり、第1の耐熱性の保護層を有する。
【0013】
この真空断熱パネルにおいて、包装体が、-特に第1の耐熱性の保護層に対して付加的に-少なくとも所定の領域に、好ましくは少なくとも包装体の縁部および/または真空断熱パネルのタブ部に、または全面にわたり、第2の耐熱性の保護層を有する。
【0014】
第2の耐熱性の保護層は、好ましくは少なくとも所定の領域において、最外層を形成するか、もしくは真空断熱パネルもしくは包装体の外側を形成する。
【0015】
好ましくは、第2の耐熱性の保護層は、-特に面状に、真空断熱パネルもしくは包装体の縁部および/または真空断熱パネルのタブ部において-バリア層の外部に、任意選択的な中間層の外部に、第1の耐熱性の保護層の外部に、かつ/または第1の耐熱性の保護層の外部に位置するカバー層の外部に、配置されている。
【0016】
第2の耐熱性の保護層により、真空断熱パネルもしくは包装体の防火性および機械的な安定性/負荷耐性は、従来技術に比べて、もしくは1つの耐熱性の保護層しか有しない真空断熱パネルに比べて、改善される。特に、真空断熱パネルの防火性の向上が達成される。さらに、第2の耐熱性の保護層に基づき、より大きな剥離力および/または剪断力を吸収することができる。
【0017】
第1の耐熱性の保護層(以下、常に「第1の保護層」と呼ぶ)は、特に真空断熱パネルの耐熱度を改善するか、もしくは真空断熱パネルに課せられた防火要求を満たすために働く。
【0018】
第2の耐熱性の保護層(以下、常に「第2の保護層」と呼ぶ)は、たしかに、真空断熱パネルの耐熱度を改善するか、もしくは真空断熱パネルに課せられた防火要求を満たすためにも働くが、しかしこれに加えて、第2の保護層が第1の保護層を外部作用から保護することにより、真空断熱パネルもしくは包装体の機械的な安定性/負荷耐性を改善することが望まれる。
【0019】
好ましくは、第2の耐熱性の保護層は、第1の保護層に比べて、高められた機械的な安定性/負荷耐性を有する。
【0020】
特に第2の保護層は、特に、高い温度、たとえば200℃、400℃または600℃よりも高い温度においても、第1の保護層よりも強固で、剛性的で、硬く、熱伝導性を有している、かつ/または第1の保護層よりも弾性的でない。
【0021】
好ましくは、第1の保護層はシートとして形成されている、および/または第2の保護層は塗料、特に膨張性の防火塗料として形成されている。
【0022】
好ましくは、第2の保護層は、この第2の保護層に作用する力もしくは圧力、特にたとえば接着又は粘着による固定の際に小さな接触面に生じる高い面荷重を、第1の保護層に、もしくは、第2の保護層と、直接に第2の保護層に隣接する1つまたは複数の層と、の間の境界面に、均一に分配する。
【0023】
第2の保護層は、所定の領域で、もしくは部分的に、または全面にわたり、真空断熱パネルの外側を形成し得るか、もしくはバリア層の外部に、任意選択的な中間層の外部に、第1の保護層の外部に、かつ/または任意選択的なカバー層の外部に、配置されていてよい。
【0024】
好ましくは、第2の保護層は、少なくとも、特に大きな剥離力および/または剪断力および/または火災による高い熱導入にさらされる真空断熱パネルの外側領域に配置されている。
【0025】
本発明の好適な態様では、第2の保護層が、少なくともまたは専ら、真空断熱パネルのタブ部もしくはオーバラップ領域に配置されているか、もしくは被着されて(成膜されて、塗布されて、重ねられて)いる、かつ/または第2の保護層が、タブ部もしくはオーバラップ領域を外部に対してカバー/保護している。好ましくは、第2の保護層をタブ部もしくはオーバラップ領域に被着させる(成膜させる、塗布する、重ねる)ことにより、真空断熱パネルの機械的な負荷耐性および防火性が高められる。すなわち、唯一つの保護層しか有しない従来技術に基づいて知られている解決手段は、特にタブ部もしくはオーバラップ領域に、減じられた防火性を有することが判った。
【0026】
本発明の別の好適な態様では、第2の保護層が、少なくともまたは専ら、真空断熱パネルもしくは包装体の縁部もしくは端面側もしくは縁領域に設けられている、かつ/または第2の保護層が、少なくともまたは専ら、縁部もしくは端面側もしくは縁領域に真空断熱パネルもしくは包装体の外面を形成している。
【0027】
特に、第2の保護層は、真空断熱パネルもしくは包装体の縁保護部を形成することができる。
【0028】
縁領域では、たとえば大きな摩擦力により真空断熱パネルが損傷を受ける確率が高められている。
【0029】
真空断熱パネルは、製造条件に基づき、タブ部、もしくは、包装体の層がオーバラップする領域(以降「オーバラップ領域」と呼ぶ)を有していてよい。タブ部もしくはオーバラップ領域では、同じく、オーバラップした層の損傷、特にデラミネーションが、より頻繁に発生し得る。以下において、第1の保護層と第2の保護層との間の別の相違点および/または第1の保護層に対する第2の保護層の特別な特性およびその逆の特性、特にその材料特性に関する特別な特性について、説明する。ただし、ここに挙げるものは必ずしも全てを網羅するものではない。
【0030】
第2の保護層は、好ましくは、第1の保護層よりも大きな結合強さを有する。
【0031】
第2の保護層は、好ましくは、第1の保護層の、直接に第1の保護層に隣接する1つまたは複数の層に対する付着強さよりも大きい、直接に第2の保護層に隣接する1つまたは複数の層に対する付着強さを有している。
【0032】
本発明における結合強さとは、一般的に、1つの層の内部結合、すなわち層内部の破壊もしくは層破壊を生ぜしめるために加えられなければならない単位面積当たりの力により表される。
【0033】
本発明における付着強さとは、一般的に、2つの層の境界面における結合、すなわち両層の分離もしくは境界面破壊を生ぜしめるために加えられなければならない単位面積当たりの力により表される。
【0034】
既に述べたように、第2の保護層は、第1の保護層よりも高い強度、特に曲げ強度、突刺し強度および/または摩耗強度、第1の保護層よりも高い剛性、特に曲げ剛性、第1の保護層よりも高い硬度および/または第1の保護層よりも高い熱伝導率を有する。
【0035】
本発明における材料の強度とは、一般的に、当該材料から成る部品が、引張負荷をかけられて故障する際に有する応力により表される。材料の強度を測定するためには、幾何学的な形状、寸法および力作用面に関して一律である、当該材料から成る部品が使用される。好ましくは、材料の強度は、DIN EN ISO 527-1:2019に記載の方法によって求められる。
【0036】
本発明においける材料の曲げ強度とは、一般的に、当該材料から成る部品が、曲げ負荷をかけられて故障する際に有する応力により表される。材料の曲げ強度を測定するためには、幾何学的な形状、寸法および曲げ作用面に関して一律である、当該材料から成る部品が使用される。好ましくは、材料の曲げ強度は、DIN EN ISO 14125:2011-05に記載の方法によって求められる。
【0037】
本発明においける材料の摩耗強度とは、一般的に、機械的な負荷、特に摩擦に対する当該材料の表面の抵抗力により表される。好ましくは、一定の押付け圧、同じ横方向摩擦力ならびに同じ摩擦体を用いて摩擦負荷がかけられた場合に、より高い摩耗強度を有する層では、幾何学的な層除去量および/またはモルの層除去量が、より低い摩耗強度を有する層よりも少ない。好ましくは、材料の摩耗強度は、DIN EN ISO 10545-7:1999-03に記載の方法によって求められる。
【0038】
本発明においける材料の突刺し強度とは、一般的に、たとえば尖った対象物による点状の機械的負荷に対する材料の安定性により表される。好ましくは、材料の突刺し強度は、DIN EN 14477:2004-06に記載の方法によって求められる。
【0039】
本発明においける材料の熱伝導率とは、一般的に、2つの熱溜めが当該材料によって互いに隔離されている場合に、両熱溜めの温度が互いに近づく際の速度により表される。
【0040】
第2の保護層の使用により、真空断熱パネルの第1の保護層は、包装体の耐熱度/耐火度が損なわれることなしに、1つの保護層しか使用されない真空断熱パネルの場合よりも薄く形成され得る。こうして、製造コストは低減され得る。
【0041】
好ましくは、本発明における防火とは、火災もしくは火災被害の発生および拡散を阻止する、および/または遅延させる、および/または火災もしくは火災被害の発生および拡散を妨げる、全ての手段であると解釈される。
【0042】
好ましくは、真空断熱パネルが、DIN 4102-1:1998-05のクラスB1、好ましくはA2、特にA1に対応し得る場合、および/またはAITM 2.0053、AITM 2.0007B、AITM 3.0005および/またはAITM 2.0006による前提条件/特性が満たされる場合、真空断熱パネルに課せられた防火要求は満たされている。
【0043】
好ましくは、耐火度、耐熱度、熱的な負荷耐性/抵抗力および/または耐熱性といった用語は、同義語として使用される。
【0044】
好ましくは、第2の保護層は、この第2の保護層に直接に隣接する1つまたは複数の層に材料接続式に結合されている。
【0045】
好ましくは、第2の保護層は、目的に応じて被着可能(成膜可能、塗布可能、重ねることが可能)であり、特に唯1回のプロセスステップおよび/または真空断熱パネルの最後の製造ステップにおいて被着可能である。
【0046】
好ましくは、第2の保護層は、吹付け塗布、はけ塗り、ロールコーティングおよび/またはローラ塗布により、-特に面状に、真空断熱パネルの縁部および/またはタブ部に-被着されているか、もしくは被着可能である。
【0047】
既に述べたように、第2の保護層は、好ましくは塗料として形成されている、かつ/または第1の保護層は、好ましくはシートとして形成されている。
【0048】
第1の保護層および/または第2の保護層は、単層状または多層状に、たとえば複数回の吹付け塗布、はけ塗り、ロールコーティング、ローラ塗布および/または巻付けにより、形成されていてよい。
【0049】
保護層の互いに異なる特性および/または構成によって、保護層は、特に互いに対して精巧に配置されているときに、特に好適には包装体の熱的な負荷耐性/抵抗力の点、包装体の機械的な負荷耐性/抵抗力の点および/または真空断熱パネルの製造コストの点で、相乗的に協働し得る。
【0050】
たとえば、包装体は、第1の保護層を、特に第一に、たとえば火災の事例において真空断熱パネル内への大きな熱導入が行われるような領域もしくは区分に有していてよい。代替的または付加的に、包装体は、大きな剥離力および/または剪断力が真空断熱パネルに作用するような領域もしくは区分に第2の保護層を有していてよい。
【0051】
第1の実施態様もしくは第1の配置変形例では、第2の保護層は、少なくとも所定の領域で、または全面にわたって、-好ましくは直接に-第1の保護層の外部に、もしくは第1の保護層の、コアとは反対の側に配置されている。つまり、この実施態様もしくは配置変形例では、第2の保護層が最外層もしくは真空断熱パネルもしくは包装体の外側を形成している。
【0052】
既に述べたように、第2の保護層は、好ましくは、特に第1の配置変形例において、第2の保護層に作用する力、特に、たとえば小さな接触面への接着又は粘着による固定時に生じる高い面荷重を、直接に隣接する層、特に第1の保護層に均一に分配する。
【0053】
こうして、第1の配置変形例においては、第1の保護層に作用する面荷重が低減されるので、独国特許出願公開第102016013199号明細書に開示されている真空断熱パネルに比べて、より大きな剥離力および/または剪断力が吸収され得る。
【0054】
好ましくは、第1の配置変形例により、独国特許出願公開第102016013199号明細書に開示されている真空断熱パネルに比べて、第1の保護層のデラミネーションの発生が遅くなる、かつ/または第1の保護層のデラミネーションが全く発生しなくなる。
【0055】
第2の実施態様もしくは第2の配置変形例では、第2の保護層が、少なくとも所定の領域で、または全面にわたって、-好ましくは直接に-バリア層の外側に、かつ/または任意選択的な中間層の外側に、配置されている。
【0056】
したがって、第2の実施態様もしくは第2の配置変形例では、包装体が、少なくとも所定の領域において第1の保護層を有しない。
【0057】
好ましくは、第2の実施態様もしくは第2の配置変形例では、真空断熱パネルによって破壊なしに吸収可能となる面荷重が、第1の配置変形例に比べて高められている。それゆえに、第2の配置変形例は、特に、極めて大きな剥離力および/または剪断力が真空断熱パネルもしくは包装体に作用するような領域のために、たとえば2つの真空断熱パネルが互いに接着又は粘着される領域において、適している。
【0058】
第1の配置変形例と第2の配置変形例とは、互いに組み合わされてもよく、特にその場合、真空断熱パネルは、所定の領域に、たとえば平らな側に、第1の配置変形例を有するか、もしくは第1の保護層および第2の保護層の両方を有し、所定の領域に、たとえば端面側に、第2の配置変形例を有するか、もしくは専ら第2の保護層だけを有する。
【0059】
特に、真空断熱パネルの、外側に1つまたは複数の別の真空断熱パネルもしくは対象物が固定される領域においては、第2の配置変形例もしくは専ら第2の保護層だけが設けられていてよく、好ましくはこれにより、真空断熱パネルによって破壊なしに吸収可能となる、できるだけ大きな面荷重が達成される。
【0060】
真空断熱パネルの、真空断熱パネルの通常の使用状態もしくは真空断熱パネルの組み付けられた状態において真空断熱パネルおよび/またはアッセンブリの外面を形成する領域においては、好ましくは、第1の配置変形例、もしくは第1の保護層および第2の保護層の両方が設けられることによって、高められた耐熱度が達成される。
【0061】
第1の保護層は、-第2の保護層と同様に-選択的に所定の領域に、もしくは部分的に、または全面にわたって、バリア層の外側に、かつ/または中間層の外側に、配置されていてよく、特に接着又は粘着されていてよい。
【0062】
既に述べたように、第1の保護層は、好ましくはシートとして形成されており、この場合、シートは製造プロセスにおいて部分的に、全面にわたって、またはオーバラップして、真空断熱パネルもしくはコアもしくはバリア層の周りを巻き付けられている、かつ/または接着又は粘着されている。
【0063】
特に好適な実施態様では、第2の保護層が、少なくとも、シートとして形成された第1の保護層のオーバラップ領域に設けられているか、もしくは塗られており、特にこれにより、第1の保護層のオーバラップしたシートもしくはシート部分が固定される。
【0064】
第1の保護層が部分的に被着される(成膜される、塗布される、重ねられる)場合、第2の保護層が、個々のシート部分を端部において固定することが特に意図されている。
【0065】
好ましくは、第1の保護層が部分的に被着される(成膜される、塗布される、重ねられる)場合、包装体が第1の保護層を有しない包装体の領域には、第2の保護層が装備されるか、もしくはこのような領域が第2の保護層で埋められ、特にこの場合、第2の保護層はこれらの領域において、直接にバリア層または中間層に配置されている。
【0066】
特に好適な実施態様では、第1の保護層が、パターン状に被着されて(成膜されて、塗布されて、重ねられて)おり、たとえば筋、点または網の形で被着されて(成膜されて、塗布されて、重ねられて)いる。
【0067】
好ましくは、第1の保護層のパターン状の被着(成膜、塗布、重ねられること)により、特に真空断熱パネルの大きな外面においては、高い結合強さが可能となる。
【0068】
好ましくは、パターン状に被着された(成膜された、塗布された、重ねられた)第1の保護層が、第2の保護層によって覆われ、埋められ、かつ/または安定化される。
【0069】
好ましくは、第2の保護層が第1の保護層のパターンを埋めている領域では、第2の保護層と、バリア層および/または中間層と、の間の直接的な接触が存在する。
【0070】
このような実施態様は、有利には、高い結合強さを有し、かつ付加的に真空断熱パネルに課せられた防火要求を満たす。
【0071】
さらに、パターン状に被着された(成膜された、塗布された、重ねられた)第1の保護層と、このパターンを埋める第2の保護層と、により、真空断熱パネルの外面における表面粗さ、ひいては-たとえば接着テープ、粘着テープまたはその他の取付け手段の-付着可能性が高められる。
【0072】
本発明の、上で挙げた態様および特徴ならびに以下で説明する態様および特徴は、互いに別個に独立して実現され得るが、しかし任意に組み合わされた形でも実現され得る。
【0073】
本発明のさらに別の利点、特徴、特性および態様は、特許請求の範囲および以下に図面につき説明する好適な実施形態から判る。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】提案による真空断熱パネルの縁領域を概略的に示す部分断面図である。
【
図2】
図1に示した真空断熱パネルの一点鎖線で示した領域を示す拡大図である。
【
図3】提案による真空断熱パネルのオーバラップ領域を概略的に示す部分断面図である。
【
図4】折り畳まれたタブ部を有する、提案による真空断熱パネルを概略的に示す部分断面図である。
【
図5】提案による真空断熱パネルの別の実施形態を概略的に示す部分断面図である。
【0075】
部分的に縮尺通りではなく概略的に示すに過ぎないこれらの図面において、同じまたは同類の部分、コンポーネントおよび装置には、同一の符号が使用され、この場合、繰り返しの説明が省略されていたとしても、同じまたは相応する利点および特性が得られる。
【0076】
以下において、まず
図1および
図2につき、提案による真空断熱パネル1の基本的な構造を説明する。
図3および
図4は、真空断熱パネル1の特別な領域を示す。
図5は、真空断熱パネル1の別の実施形態を示す。
【0077】
図1に示した部分断面図は、第1実施形態による、提案による真空断熱パネル1の縁領域を示す。
図2は、
図1に示した真空断熱パネル1の一点鎖線で示した領域の拡大図を示す。
【0078】
しかし、
図1~
図4に示した実施形態と関連する以下の説明は、相応して
図5に示した実施形態にも該当し、その逆も同じである。特に、
図1~
図4に示した実施形態は、
図5に示した実施形態の1つの、複数のまたは全ての特徴を有していてよく、その逆も同じである。
【0079】
提案による真空断熱パネル1は、種々異なる形状および/または寸法を有していてよい。
【0080】
通常、真空断熱パネル1はプレート状に形成されている。しかし、真空断熱パネル1は曲げられ、角度が付けられ、および/または真空断熱パネルの長さおよび/または幅にわたって変化する厚さを有していてもよい。
【0081】
好ましくは、真空断熱パネル1は、コア2と、特に多層状の包装体3と、を有する。包装体3は、コア2を外側から、全ての側からかつ/または完全に被覆している。
【0082】
包装体3は、特に縁領域において、もしくは真空断熱パネル1の端面側に、(それぞれ)1つのタブ部を形成していてよい。
図1には、包装体3によって形成されたタブ部が示されており、このタブ部は(まだ)真空断熱パネル1に折り畳まれていない/当て付けられていない。
【0083】
コア2もしくは真空断熱パネル1の熱伝導率を減少させるか、もしくは真空断熱パネル1の断熱特性を改善するために、コア2は排気されているか、もしくは排気可能である。
【0084】
好ましくは、コア2は、微孔性のケイ酸粉末のような開放気孔型の材料を有するか、またはこのような開放気孔型の材料から成る。
【0085】
特に好適には、コアは、独国特許出願公開第102016013199号明細書の段落3から7に説明されているように形成されている。
【0086】
好ましくは、真空断熱パネル1、特に包装体3は、気密なバリア層4を有し、特にこの場合、コア2の排気された状態は、この気密なバリア層4によって維持される。
【0087】
本発明において、用語「気密」とは、特に、10-10mbar*l/sよりも大きく、特に10-9mbar*l/sよりも大きく、および/または10-7mbar*l/sよりも小さく、特に10-8mbar*l/sよりも小さい透過値であると解釈され得る。透過値は、好ましくは、DIN 53380-3:1998 DEに記載されているような、分子レベルでの水蒸気通過率および空気通過率につき測定される。
【0088】
特に好適には、好ましくは20℃の周辺温度および101.325kPaの周辺圧力において、空気透過率が20mbar*l/(m2*y)または6mbar*l/(m2*y)よりも小さく、特に好適には少なくとも実質的に2mbar*l/(m2*y)であり、および/または水蒸気透過率が0.05g/(m2*day)または0.03g/(m2*day)よりも小さく、特に好適には少なくとも実質的に0.02g/(m2*day)であると、層が気密であると云える。これらの透過率は、従来技術の汎用の測定方法により測定される。
【0089】
バリア層4は、好ましくは薄いメタライジング部または金属シートまたはその他のシートとして形成されている。特に、バリア層4はアルミニウムを有するか、またはアルミニウムから成る。
【0090】
好ましくは、バリア層4は、5μm、10μmまたは30μmよりも大きく、かつ/または100μmまたは70μmよりも小さい層厚を有する。特にバリア層4は、少なくとも実質的に50μmの層厚を有する。
【0091】
好ましくは、バリア層4は、2つまたは2つよりも多い層部分もしくはシート片から構成されているか、もしくは形成されており、特にこの場合、これらの層部分もしくはシート片は、周方向に延びて互いに当て付けられており、かつ/またはオーバラップして互いに当て付けられており、かつ/または互いに気密に結合されている。
【0092】
バリア層4は、好ましくは直接に、もしくは非間接的に、コア2に配置されている。
【0093】
好ましくは、バリア層4は、コア2を完全に、特に気密に被覆している。
【0094】
好ましくは、包装体3は、少なくとも所定の領域に、特に全面にわたって、第1の耐熱性の保護層5を有し、かつ/または少なくとも所定の領域に、特に全面にわたって、第2の耐熱性の保護層6を有する。
【0095】
冒頭で既に説明したように、真空断熱パネル1により、従来技術に比べて、機械的な安定性/負荷耐性/抵抗力の改善、特に、より高い剥離力および/または剪断力の吸収および/または熱的な安定性/負荷耐性/抵抗力の向上もしくは真空断熱パネル1の防火性の向上が達成される。
【0096】
任意選択的に真空断熱パネル1もしくは包装体3は、内側層7、シール層8、中間層9および/またはカバー層10を有し、好ましくはこの場合、内側層7および/またはシール層8は、バリア層4とコア2との間に配置されており、かつ/または中間層9は、一方ではコア2、内側層7、シール層8および/またはバリア層4と、他方では第1の耐熱性の保護層5、カバー層10および/または第2の耐熱性の保護層6と、の間に配置されている。
【0097】
真空断熱パネル1の個々の層または全ての層、特に第1の耐熱性の保護層5および/または第2の耐熱性の保護層6は、(それぞれ)単層状または多層状に形成されていてよい。
【0098】
独国特許出願公開第102016013199号明細書には、包装体3の複数の可能な構造が記載されており、この個所ではこれらの構造が参照される。特に、包装体3は、付加的な第2の保護層6は別として、独国特許出願公開第102016013199号明細書の第4頁から第5頁に開示されているように構成されていてよい。
【0099】
好ましくは、第1の耐熱性の保護層5(以下「第1の保護層5」と呼ぶ)は、第2の耐熱性の保護層6に比べて、特に良好な熱的な安定性/負荷耐性/抵抗力を有する。
【0100】
好ましくは、第2の耐熱性の保護層6(以下「第2の保護層6」と呼ぶ)は、第1の保護層5に比べて、特に良好な機械的な安定性/負荷耐性/抵抗力を有する。
【0101】
第1の保護層5および/または第2の保護層6は、好ましくは-直接または間接的に-バリア層4の外部に、内側層7の外部に、シール層8の外部に、中間層9の外部に、かつ/またはカバー層10の外部に、配置されている。
【0102】
好ましくは、第2の保護層6は、第1の保護層5の外部に、かつ/または任意選択的なカバー層10の外部に、配置されている。
【0103】
特に、第2の保護層6は-少なくとも所定の領域において-真空断熱パネル1もしくは包装体3の最外層を形成している。
【0104】
第1の保護層5、第2の保護層6、内側層7、シール層8、中間層9および/またはカバー層10の好適な配置形式については、あとで詳しく説明する。
【0105】
次に、第1の保護層5と第2の保護層6との間の別の相違点および/または第1の保護層5に対する第2の保護層6の特別な特性およびその逆、特にその材料特性に関する特別な特性について説明する。ただし、ここに挙げるものは必ずしも全てを網羅するものではない。
【0106】
好ましくは、第1の保護層5および/または第2の保護層6は、耐熱性の材料を有するか、または耐熱性の材料から成る。
【0107】
第1の保護層5および第2の保護層6は、好ましくは、以下になお詳しく説明するように、互いに異なる耐熱性の(基本-)材料から製造されている。しかし、第1の保護層5および第2の保護層6が、同一の耐熱性の(基本-)材料から製造され、および/または充填剤などの添加剤(だけ)が異なることも基本的には可能である。
【0108】
本発明において、用語「耐熱性」もしくは「耐火性」とは、好ましくは、高い温度、特に250℃、450℃または700℃よりも高い温度に対する、好ましくは5分間、10分間または30分間よりも長い時間での材料もしくは部品の(熱的な)安定性/負荷耐性/抵抗力もしくは耐性であると解釈される。用語「耐熱性」と「耐火性」とは、好ましくは同義語として解釈され得るので、それゆえに両者は言い換え可能である。
【0109】
材料もしくは部品、特に第1の保護層5および/または第2の保護層6が、250℃よりも高い使用温度、好適には450℃よりも高い使用温度、特に700℃よりも高い使用温度で、好ましくは5分間、10分間または30分間よりも長い時間に、その特性-たとえば結合状態(凝集状態)、形状、強度、熱伝導率またはこれに類するもの-を維持するとき、もしくは所望の用途(この場合、真空断熱パネル1の保護、好ましくは保護層5もしくは保護層6により覆われた全ての層および/または材料、特にコア2および/またはバリア層4の保護)のために、もはや適さなくなるほど著しくその特性を変えないとき、その材料もしくは部品、特に第1の保護層5および/または第2の保護層6は、特に、耐熱性/耐火性である。
【0110】
好ましくは、材料もしくは部品、特に真空断熱パネル1、第1の保護層5および/または第2の保護層6が、DIN 4102-2|1977-09による建築材料および部品の火災挙動のための要求、および/またはDIN EN 1363-1|2020-05による耐火性試験、特にこれらの規格のうちの1つのF30、F60、F90、F120またはF180の耐火時間のための要求、および/またはAITM 2.0053、AITM 2.0007B、AITM 3.0005および/またはAITM 2.0006による前提条件/特性を満たす場合、この材料もしくは構成部分、特に真空断熱パネル1、第1の保護層5および/または第2の保護層6は、耐熱性/耐火性である。
【0111】
好ましくは、第1の保護層5の熱伝導率と、第2の保護層6の熱伝導率と、が異なる。
【0112】
好ましくは、第2の保護層6の熱伝導率は、第1の保護層5の熱伝導率よりも、1.5倍よりも大きいファクタ、特に2倍よりも大きいファクタだけ高い。
【0113】
好ましくは、第2の保護層6の熱伝導率は、0.001W/(m*K)よりも大きく、好適には0.01W/(m*K)または0.02W/(m*K)よりも大きい、および/または1W/(m*K)よりも小さく、好適には0.3W/(m*K)または0.1W/(m*K)よりも小さい。
【0114】
好ましくは、第1の保護層5の熱伝導率は、0.0005W/(m*K)よりも大きく、好適には0.001W/(m*K)よりも大きい、および/または0.1W/(m*K)よりも小さく、好適には0.05W/(m*K)よりも小さい。
【0115】
第1の保護層5は、第2の保護層6に比べて、より長い耐火時間を有する。
【0116】
好ましくは、第1の保護層5の耐火時間は、第2の保護層6の耐火時間よりも1.5倍だけ、特に2倍だけ大きい。
【0117】
耐火時間については、好ましくは保護層5もしくは6の熱伝導率が決定的となる。なぜならば、熱伝導率が大きくなるにつれて、保護層5もしくは6が、隣接の層に、この隣接の層が発火する、かつ/または破壊されるほどの量の熱を放出するまでの時間は、短くなるからである。
【0118】
第1の保護層5が第2の保護層6よりも低い熱伝導率を有することによって、本発明においては、第1の保護層5の使用が、特に高い防火要求を満たすために有利である。
【0119】
好ましくは、ある特定の防火要求を満たすためにかかる材料手間、特に体積、材料量、材料のための総コスト、厚さおよび/または重量に関する材料手間は、第1の保護層5において、第2の保護層6におけるよりも少ない。
【0120】
それゆえに、防火要求を満たすためには、第1の保護層5をこのために必要な厚さで形成する方が、第2の保護層6をこのために必要な厚さで形成するよりも経済的になり得る。
【0121】
好ましくは、第1の保護層5は、5g/m2よりも大きく、特に25g/m2よりも大きい、かつ/または200g/m2よりも小さく、特に100g/m2よりも小さな単位面積当たりの重量を有する。
【0122】
好ましくは、第2の保護層6は、5g/m2よりも大きく、特に50g/m2よりも大きい、かつ/または1000g/m2よりも小さく、特に500g/m2よりも小さな単位面積当たりの重量を有する。
【0123】
好ましくは、第1の保護層5の単位面積当たりの重量は、第2の保護層6の単位面積当たりの重量よりも1.5倍よりも大きいファクタ、特に2倍よりも大きいファクタだけ大きい。
【0124】
好ましくは、第2の保護層6は、50g/m3よりも大きく、特に150g/m3よりも大きい、かつ/または500g/m3よりも小さく、特に300g/m3よりも小さな密度を有する。
【0125】
好ましくは、第1の保護層5は、0.02mmよりも大きく、特に0.05mmよりも大きい、かつ/または1mmよりも小さく、特に0.15mmよりも小さな厚さを有する。
【0126】
好ましくは、第1の保護層5の厚さは、(未発泡の)第2の保護層6の厚さよりも1.5倍よりも大きなファクタ、特に2倍よりも大きなファクタだけ大きい。
【0127】
第2の保護層6の厚さもしくは熱導入による第2の保護層6の厚さの変化については、あとで説明する。
【0128】
既に説明したように、第1の保護層5および/または第2の保護層6は、所定の領域にわってのみ、もしくは部分的にのみ、または全面にわたって形成されているか、もしくは塗られていてもよい。
【0129】
第1の保護層5および/または第2の保護層6は、直接に隣接する層、特にバリア層4、中間層9および/またはカバー層10を、すなわち所定の領域にわたってのみ、もしくは部分的にのみ、または完全に覆っていてよい。
【0130】
2つの保護層5もしくは6が使用される場合、防火要求を満たすためには、保護層5もしくは6のいずれか一方または両方が、所定の領域にわたってのみ、もしくは部分的にのみ設けられていてよいことが判った。
【0131】
好ましくは、第1の保護層5は、真空断熱パネル1、特にバリア層4および/または中間層9の大部分、特に好適には60%よりも多く、特に70%よりも多い、かつ/または98%よりも少なく、特に95%よりも少ない部分を覆っている。
【0132】
好ましくは、第1の保護層5は、真空断熱パネル1もしくは包装体3の外面の大部分、好ましくは60%よりも多く、特に70%よりも多い、かつ/または98%よりも少なく、特に95%よりも少ない部分を形成する。
【0133】
既に述べたように、第2の保護層6は、第1の保護層5を外部からの機械的な作用に対して保護するか、もしくは第1の保護層5に作用する力を均一に分配するために形成されている。特に、第2の保護層6は第1の保護層5よりも剛性的である、かつ/または強固である。
【0134】
好ましくは、第2の保護層6は、特に直接に、第1の保護層5の外部に配置されている。
【0135】
好ましくは、第2の保護層6の突刺し強度、特にDIN EN 14477:2004-06による第2の保護層6の突刺し強度は、10Nよりも大きく、好適には15Nよりも大きい、かつ/または100Nよりも小さく、好適には50Nよりも小さい。
【0136】
好ましくは、第2の保護層6の曲げ剛性は、第1の保護層5の曲げ剛性よりも1.5倍よりも大きなファクタ、特に2倍よりも大きなファクタだけ大きい。
【0137】
好ましくは、第1の保護層5の曲げ剛性は、0.01N*mm2よりも大きく、好適には0.05N*mm2よりも大きい、かつ/または10N*mm2よりも小さく、好適には5N*mm2よりも小さい。
【0138】
好ましくは、第2の保護層6の曲げ剛性は、0.1N*mm2よりも大きく、好適には0.5N*mm2よりも大きい、かつ/または20N*mm2よりも小さく、好適には15N*mm2よりも小さい。
【0139】
第2の保護層6の高い曲げ剛性により、力もしくは面荷重が均一に分配され得る。好ましくは、第2の保護層6の適正な寸法設定および/または配置により、第1の保護層5に作用する力もしくは面荷重は、第1の保護層5を破壊しない程度にまで低減され得る。
【0140】
好ましくは、第2の保護層6の使用により、真空断熱パネル1によって破壊なしに吸収可能となる剥離力および/または剪断力は増大される。
【0141】
好ましくは、真空断熱パネル1によって破壊なしに吸収可能となる剥離力および/または剪断力は、独国特許出願公開第102016013199号明細書に開示されている真空断熱パネルに比べて1.5倍だけ、特に2倍だけ増大されている。
【0142】
好ましくは、真空断熱パネル1が、50Nよりも大きい、好適には100Nよりも大きい、特に好適には150Nよりも大きい剥離力および/または剪断力を破壊なしに吸収し得る。
【0143】
好ましくは、真空断熱パネル1が、10N/m2よりも大きい、好適には50N/m2よりも大きい、特に好適には100N/m2よりも大きい面荷重を破壊なしに吸収し得る。
【0144】
好ましくは、第2の保護層6の結合強さは、第1の保護層5よりも1.5倍よりも大きなファクタだけ、特に2倍よりも大きなファクタだけ大きい。
【0145】
好ましくは、第2の保護層6は、0.01N/mm2よりも大きく、特に0.1N/mm2よりも大きい、かつ/または150N/mm2よりも小さく、特に100N/mm2よりも小さい結合強さを有する。
【0146】
好ましくは、第1の保護層5は、0.005N/mm2よりも大きく、特に0.05N/mm2よりも大きい、かつ/または75N/mm2よりも小さく、特に50N/mm2よりも小さい結合強さを有する。
【0147】
好ましくは、直接に第2の保護層6に隣接する1つもしくは複数の層、特に第1の保護層5および/またはカバー層10に対する第2の保護層6の付着強さは、直接に第1の保護層5に隣接する1つもしくは複数の層、特にカバー層10、中間層9および/またはバリア層4に対する第1の保護層5の付着強さよりも1.5倍よりも大きなファクタだけ、特に2倍よりも大きなファクタだけ大きい。
【0148】
好ましくは、第2の保護層6は、直接に第2の保護層6に隣接する1つもしくは複数の層、特に第1の保護層5および/またはカバー層10に対して、0.01N/mm2よりも大きく、特に0.1N/mm2よりも大きい、かつ/または150N/mm2よりも小さく、特に100N/mm2よりも小さい付着強さを有する。
【0149】
好ましくは、第1の保護層5は、直接に第1の保護層5に隣接する1つもしくは複数の層、特にカバー層10、中間層9および/またはバリア層4に対して、0.005N/mm2よりも大きく、特に0.05N/mm2よりも大きい、かつ/または75N/mm2よりも小さく、特に50N/mm2よりも小さい付着強さを有する。
【0150】
一般的に、真空断熱パネル1もしくは包装体3の各領域における複数の層の結合は、1つおよび/または2つの層の最小の付着強さおよび/または結合強さと同様の強さでしかない。この場合、この条件は特殊な層配置によって相対化され得る。
【0151】
第1の保護層5は、好ましくは第2の保護層6よりも弾性的である。
【0152】
好ましくは、第1の保護層5と第2の保護層6とに作用する機械的な応力が等しい場合、第1の保護層5の相対的および/または絶対的なひずみは、第2の保護層6におけるよりも1.5倍よりも大きなファクタだけ、特に2倍よりも大きなファクタだけ大きい。
【0153】
好ましくは、第2の保護層6の弾性率は、第1の保護層5の弾性率よりも1.5倍よりも大きなファクタだけ、特に2倍よりも大きなファクタだけ大きい。
【0154】
好ましくは、第1の保護層5は、1MPaよりも大きく、特に5MPaよりも大きい、かつ/または10GPaよりも小さく、特に5GPaよりも小さい弾性率を有する。
【0155】
好ましくは、第2の保護層6は、2MPaよりも大きく、特に10MPaよりも大きい、および/または20GPaよりも小さく、特に10GPaよりも小さい弾性率を有する。
【0156】
本発明において、材料の弾性率は、一般的に、加えられた機械的な一軸応力と、作用する機械的な応力の方向への材料の相対的なひずみとの間の割合により表される。材料の弾性率を測定するためには、幾何学的な形状、寸法および応力作用面の点で一律である材料から成る部品が使用される。好ましくは、材料の弾性率は、DIN EN ISO 527-1:2012-06に記載の方法を用いて求められる。
【0157】
好ましくは、真空断熱パネル1もしくは包装体3は、外部に、もしくはその外面の各領域に、真空断熱パネル1を熱もしくは熱導入から保護する保護層5もしくは6の1つを有する。
【0158】
好ましくは、第2の保護層6は、包装体3の第1の保護層5が存在していない領域において、かつ、第1の保護層5は、包装体3の第2の保護層6が存在していない領域において、それぞれ真空断熱パネル1もしくは包装体3の外側もしくは最外層を形成する。
【0159】
好ましくは、第2の保護層6は、少なくとも真空断熱パネル1もしくは包装体3の、特に大きな剥離力および/または剪断力が真空断熱パネル1に作用する(外側の)領域に設けられている。
【0160】
特に、第2の保護層6は、(少なくとも)真空断熱パネル1の端面側、縁部および/またはタブ部に設けられている。
【0161】
特に
図1に示したように、第2の保護層6は、(少なくとも)包装体3によって形成されたタブ部、特に好適には包装体3によって形成されたタブ部の(外側の)縁部に設けられている。
【0162】
好ましくは、第1の保護層5は、第2の保護層6とは異なる材料を有するか、もしくは第1の保護層5は、第2の保護層6とは異なる材料から成る。
【0163】
好ましくは、第1の保護層5は、-特に独立して取扱い可能な-シート、特に接着シート又は粘着シート、および/またはヘビーシート(Schwerfolie)として形成されている、かつ/またはバリア層4および/または中間層9に1回または複数回巻き付けることによって形成されている。
【0164】
特に好適には、第1の保護層5は、材料接続式に、特に接着又は粘着により固定されているか、もしくはバリア層4および/または中間層9に結合されている。
【0165】
好ましくは、第1の保護層5は、雲母粒子5Aを有するか、または雲母粒子5Aから成り、特にこの場合、雲母粒子5Aは、材料としてフロゴパイト(Phlogopit、金雲母)および/またはマスコバイト(Muskovit、白雲母)を有するか、またはこれらから成る。
【0166】
好ましくは、第1の保護層5は、面状の支持材料5Bを有し、特にこの場合、雲母粒子5Aはこの面状の支持材料5Bに被着されて(成膜されて、塗布されて、重ねられて)いて、固定されている。
【0167】
支持材料5Bは、好ましくはガラス繊維織布またはガラス繊維編物またはシート、特に好適にはプラスチック、特にポリエチレンテレフタレートから成るシートを有するか、またはこれらから成る。
【0168】
好ましくは、第1の保護層5もしくは支持材料5Bは、100μmよりも小さく、特に80μmよりも小さい、および/または1μmよりも大きく、特に5μmよりも大きい厚さを有する。
【0169】
好ましくは、雲母粒子5Aは、面状の支持材料5Bに結合剤によって予め固定される。
【0170】
支持材料5Bは、好ましくは、第1の保護層5の内側を形成するか、もしくは第1の保護層5の、コア2に向けられた側を形成する。結合剤中に固定された雲母粒子5Aは、好ましくは、第1の保護層5の外側を形成するか、もしくは第1の保護層5の、コア2とは反対の側を形成する。
【0171】
雲母粒子5Aに対して付加的または代替的に、第1の保護層5は、有機ホスフィン酸塩を有していてよく、特にこの場合、第1の保護層5は、有機ホスフィン酸塩のための支持材料としてポリマー樹脂を有する。
【0172】
既に説明したように、第2の保護層6は、好ましくは第1の保護層5の外部に配置されているか、もしくは取り付けられているか、もしくは第1の保護層5の外側に配置されているか、もしくは取り付けられている。したがって、特に好適には、第2の保護層6は第1の保護層5の雲母粒子5Aの付加的な固定手段として機能する。
【0173】
こうして、第1の保護層5もしくは真空断熱パネル1の機械的な安定性/負荷耐性、ひいては寿命が高められる。
【0174】
好ましくは、第2の保護層6は、雲母粒子、フロゴパイト、マスコバイト、H2O混加物、無機物質、たとえば塩および/または酸化物、ガラス繊維(有機成分なし)および/または膨張性の材料、たとえば膨張黒鉛を有する。
【0175】
好ましくは、第2の保護層6は、特に雲母粒子、フロゴパイト、マスコバイトおよび/または膨張性の材料、たとえば膨張黒鉛を主体とした塗料または接着剤、粘着剤、接着テープ、粘着テープ、ヘビーシートまたは発泡体である。
【0176】
特に好適には、第2の保護層6は、特に雲母粒子、フロゴパイト、マスコバイト、H2O混加物、無機物質、たとえば塩および/または酸化物、ガラス繊維(有機成分なし)および/または膨張黒鉛を有する膨張性の(防火)塗料である。
【0177】
第2の保護層6は、基本的に第1の保護層5と同様に形成されてもよい、および/または第1の保護層5と同一の材料から製造されてもよい。
【0178】
特に、第2の保護層6は、雲母粒子を有していてよく、または雲母粒子から成っていてよく、好ましくはこの場合、雲母粒子は材料としてフロゴパイトおよび/またはマスコバイトを有するか、またはフロゴパイトおよび/またはマスコバイトから成る。
【0179】
好ましくは、第2の保護層6は、隣接する層、特に第1の保護層5、中間層9および/またはカバー層10に材料接続式に、かつ/または分離不能に結合されている。
【0180】
好ましくは、第2の保護層6は、境界面領域において、隣接する1つまたは複数の層、特に第1の保護層5、中間層9および/またはカバー層10と混合する。
【0181】
好適には、第2の保護層6は、部分的に、好ましくは全面にわたって、第1の保護層5および/またはバリア層4に、吹付け塗布、はけ塗り、ロールコーティング、ローラ塗布、浸漬および/または被覆によって供給可能であるか、もしくは供給されている。
【0182】
好ましくは、第2の保護層6は、特に唯一回のプロセスステップで、点状に供給可能である。
【0183】
たとえば、第2の保護層6は、真空断熱パネル1のタブ部および/または縁部の外部に供給されており、特にこれにより真空断熱パネル1の1つまたは複数のタブ部および/または縁部の防火性が可能にされるか、または向上される。
【0184】
好適には、第2の保護層6は、被着の際(成膜の際、塗布の際、重ねる際)に液状である。
【0185】
好ましくは、第2の保護層6は、液体の状態で、もしくは被着の際(成膜の際、塗布の際、重ねる際)に、-特に25℃の周辺温度で-10mPa*sよりも大きく、特に200mPa*sよりも大きく、および/または65000mPa*sよりも小さく、特に6500mPa*sよりも小さい(動的な)粘度を有する。
【0186】
好ましくは、第2の保護層6は、液体の状態で、もしくは被着の際(成膜の際、塗布の際、重ねる際)に、-特に25℃の周辺温度で-、5DIN-secよりも大きく、特に8DIN-secよりも大きい、かつ/または40DIN-secよりも小さく、特に35DIN-secよりも小さい(動的な)粘度を有し、好ましくはこの場合、粘度はDIN EN ISO 2431:2020-02によって測定される。
【0187】
好ましくは、第2の保護層6は、熱作用時にその体積を変化させる材料を有するか、またはこのような材料から成る。特に、第2の保護層6は膨張性を有する。
【0188】
本発明において、用語「膨張性」とは、一般的に、-特に防火性に関連して-防火に役立つ性質を得るために、物質の体積を意図的に増大させる(発泡させる、伸長させる、膨れ上がらせる)ことを意味する。
【0189】
好適には、膨張は、格子平面間に分子をインタカレーション(挿入)させることに基づいており、この場合、インタカレーションされた分子は、好ましくは熱作用時に蒸発し、このときに結晶格子を押し広げる。
【0190】
好ましくは、第2の保護層6は、材料として膨張黒鉛を有するか、または膨張黒鉛から成る。
【0191】
好適には、第2の保護層6は、-最初の状態もしくは加熱/伸長/発泡されていない状態で-、0.001mmよりも大きく、特に0.05mmよりも大きい、かつ/または1mmよりも小さく、特に0.3mmよりも小さい厚さを有する。
【0192】
好適には、第2の保護層6は、加熱/伸長/発泡された状態では、0.1mmよりも大きく、特に0.5mmまたは1mmよりも大きい、および/または15mmよりも小さく、特に9mmよりも小さい厚さを有する。
【0193】
好適には、第2の保護層6は、熱作用もしくは伸長/発泡によって30%よりも大きく、特に50%よりも大きく、および/または300%よりも小さく、特に200%よりも小さくその厚さを増大させる。
【0194】
好適には、第2の保護層6の幾何学的な寸法-特に厚さ、高さおよび幅-の相対的な変化は、この第2の保護層6の伸長/発泡によって異方性となる。好ましくは、第2の保護層6の幾何学的な寸法の最大の相対的変化は、第2の保護層6の主延在平面に対して少なくとも実質的に垂直に向けられている方向へ第2の保護層6の伸長/発泡させることによって行われる。
【0195】
好ましくは、2つの保護層5,6により、真空断熱パネル1の寿命は高められる。
【0196】
好ましくは、これら2つの保護層5,6は、真空断熱パネル1の水蒸気バリア性を向上させる。より高い水蒸気バリア性により、内側の層は、より少ない外部の劣化プロセスにしかさらされない。
【0197】
以下に、第1の保護層5、第2の保護層6、内側層7、シール層8、中間層9および/またはカバー層10の好適な配置について詳しく説明する。
【0198】
好ましくは、第1の保護層5および/または第2の保護層6は、既に述べたように、少なくとも1つの領域においてバリア層4の外部に配置されている。
【0199】
第1の保護層5および/または第2の保護層6は、必ずしも直接にバリア層4の外部に配置されている必要はない。保護層5,6は、付加的に、および/または代替的に、内側層7の外部に、シール層8の外部に、中間層9の外部に、および/またはカバー層10の外部に、配置されていてよい。
【0200】
図2には、包装体3の、可能となる層構造が詳細に図示されている。包装体3は、別の図面では、図面を見易くするという理由から簡素化されて図示されているが、しかし
図2に示した層の1つ、複数または全てを有していてもよい。
【0201】
第1の配置変形例によれば、第2の保護層6は、直接に第1の保護層5の外部に配置されており、特に第1の保護層5の、コア2とは反対の側に配置されている。
【0202】
この第1の配置変形例は、好ましくは、第1の保護層5に作用する面荷重の低減をもたらす。特に、第2の保護層6は、(点状の)荷重を均一化するか、もしくは第1の保護層5に分配することができる。
【0203】
第1の保護層5に対する負荷が低減されることにより、好ましくは、第1の保護層5のデラミネーションの発生が遅れる、かつ/またはデラミネーションが全く発生しなくなる。
【0204】
第2の配置変形例によれば、第2の保護層6は、直接にバリア層4の外部に配置されており、特にバリア層4の、コア2とは反対の側に配置されており、特にこれにより、真空断熱パネル1によって破壊なしに吸収可能となる面荷重は、第1の配置変形例による位置決めに比べて高められる。
【0205】
好ましくは、第2の保護層6は、少なくとも真空断熱パネル1の縁領域および/または端面側において、真空断熱パネル1の外面を形成している、かつ/または第2の保護層6は、少なくとも真空断熱パネル1の縁領域および/または端面側に設けられている。
【0206】
特に、第2の保護層6は、真空断熱パネル1の縁保護部を形成していてよい。すなわち、縁領域では、通常、真空断熱パネル1が損傷を受ける確率が高められている。
【0207】
前で説明した両配置変形例は、たとえば真空断熱パネル1の縁領域において、互いに組み合わされてもよい。
【0208】
特に
図2に示したように、平らな側においては、少なくとも縁側に、もしくは真空断熱パネル1の縁部に、第1の保護層5も第2の保護層6も存在する。端面側には、好ましくは、第2の保護層6だけが設けられている、もしくは第2の保護層6が直接にバリア層4または任意選択的な中間層9に取り付けられている。
【0209】
組込み状態(図示しない)では、複数の真空断熱パネル1が、端面側で互いに固定され得る。特に、複数の真空断熱パネル1は、これらの真空断熱パネル1が1つの対象物、たとえば壁を、面一に、好ましくは完全に、取り囲むように、もしくはこの対象物を外部に対して断熱するように、互いに固定され得る。
【0210】
それゆえに、端面側もしくは固定領域では、大きな面荷重もしくは大きな剥離力および/または剪断力が、各真空断熱パネル1に作用し得る。
【0211】
それに対して、真空断熱パネル1内への熱導入は、端面側もしくは固定領域においては、真空断熱パネル1の平らな側におけるよりも少ない。
【0212】
それゆえに、既に説明したように、真空断熱パネル1の端面側もしくは固定領域は、専ら第2の保護層6だけを使用するか、もしくは第1の保護層5を脱落させることにより、機械的な安定性/負荷耐性/抵抗力の点で最適化されている。
【0213】
好ましくは、端面側もしくは固定領域においては、第2の保護層6は直接にバリア層4または任意選択的な中間層9に配置されている。特に、端面側もしくは固定領域には、両保護層5,6のうち第2の保護層6だけが設けられており、すなわち第2の配置変形例が採用されている。
【0214】
好ましくは、真空断熱パネル1の平らな側もしくは面状の外側を形成する領域は、熱的な安定性/負荷耐性/抵抗力の点で最適化されている。
【0215】
特に、真空断熱パネル1の平らな側もしくは面状の外側には、第1の保護層5も第2の保護層6も設けられており、すなわち第1の配置変形例が採用されている。
【0216】
したがって、包装体3の構造は、-真空断熱パネル1の使用目的に応じて-領域毎に調整されていてよい。
【0217】
既に述べた中間層9は、好ましくはバリア層4の保護のために用いられる。
【0218】
好ましくは、中間層9は、ポリエチレンテレフタレートを有するか、またはポリエチレンテレフタレートから成る。
【0219】
好ましくは、中間層9は、バリア層4のコア2とは反対の側に、かつ/または第1の保護層5のコア2に向けられた側に、かつ/または第2の保護層6のコアに向けられた側に、直接に配置されている。
【0220】
好ましくは、中間層9は、50μmよりも小さく、かつ/または1μmよりも大きい厚さを有する。
【0221】
好ましくは、シール層8は、バリア層4の層部分もしくはシート片を、特に気密にシールする。
【0222】
好ましくは、シール層8は、プラスチック、特にポリエチレン、ポリプロピレンまたはエチレン-ビニルアルコール-コポリマーを有するか、またはこれらから成る。
【0223】
好ましくは、シール層8は、100μmまたは70μmよりも小さく、かつ/または10μmよりも大きく、特に20μmよりも大きい厚さを有する。特に、シール層8は、少なくとも実質的に50μmの厚さを有する。
【0224】
シール層8は、好ましくは、バリア層4の、コアに向けられた側に、特に直接に配置されている。
【0225】
シール層8は、直接にコア2に接触している、かつ/またはバリア層4の、コア2に向けられた側に接触している。
【0226】
好ましくは、内側層7は、特にコア材料が微孔質である場合、真空断熱パネル1の生産の開始時におけるコア材料の漏出を阻止する。
【0227】
好ましくは、内側層7は、プラスチック織布またはプラスチック編物または紙を有するか、またはこれらから成る。この材料は、前で説明した機能のために極めて良好に適している。
【0228】
好ましくは、内側層7は、100μmよりも小さく、特に80μmよりも小さい、かつ/または1μmよりも大きく、特に5μmよりも大きい厚さを有する。
【0229】
好ましくは、内側層7は、バリア層4の、コア2に向けられた側に、かつ/またはシール層8の、コア2に向けられた側に配置されている。
【0230】
好ましくは、カバー層10は、火炎作用時における包装体3の裂断を阻止する、かつ/または困難にする。
【0231】
好ましくは、第1の保護層5の雲母粒子5Aは、カバー層10によってカバーされている。
【0232】
好ましくは、カバー層10は、ガラス繊維を有するか、またはガラス繊維から成る。
【0233】
好ましくは、カバー層10は、第1の保護層5の、コア2とは反対の側に直接に配置されている。
【0234】
任意選択的に、第2の保護層6はカバー層10として機能する。
【0235】
図3に概略的に図示されているように、第1の保護層5は、特にシートとして形成されている場合、部分的にオーバラップするように被着されて(成膜されて、塗布されて、重ねられて)いてよい、もしくは少なくとも1つのオーバラップ領域を有していてよい。
【0236】
好ましくは、第1の保護層5のオーバラップしたシート部分は、その境界面で、特に耐熱性/耐火性の接着剤又は粘着剤を用いて互いに固定される。
【0237】
好ましくは、シートとして形成された第1の保護層5は、直接に内側および/または外側で隣接する層に材料接続式に結合されている。
【0238】
好ましくは、第1の保護層5のオーバラップ領域は、第2の保護層6によって覆われているか、または補強されており、特にこれによりオーバラップ領域は、外部からの機械的な作用に対して保護されるか、もしくはデラミネーションが阻止される。
【0239】
特に好適には、第2の保護層6は、オーバラップ領域において直接に第1の保護層5に結合されているか、もしくは接着又は粘着されている。
【0240】
冒頭で既に説明したように、真空断熱パネル1、特に包装体3は、1つまたは複数のタブ部を有していてよい、もしくは形成していてよく、好ましくはこの場合、タブ部は真空断熱パネル1、特に真空断熱パネル1の端面側に密着するように折り畳まれ/折り返され、特にこの場合、真空断熱パネル1もしくは包装体3は、
図4に示したように、張り出した領域を有しなくなるか、または形成しなくなる。
【0241】
タブ部は、コア2とは反対の側に部分的にのみ第1の保護層5を有していてよい。
【0242】
好適には、タブ部は、全体的または部分的に第2の保護層6によって覆われているか、もしくは補強されている、および/または接着又は粘着されている。
【0243】
図1と関連して説明したように、好ましくは少なくともタブ部の(外の)縁部が第2の保護層6を備えている。しかし、
図4に示したように、タブ部が、全面にわたって外部に対して第2の保護層6によって覆われていることも可能である。
【0244】
さらに、第2の保護層6は、タブ部により形成されたアンダカット部、すき間、中空室またはこれに類するものを少なくとも部分的に埋めていてよく、特にこの場合、この個所でタブ部が剥離する危険および/またはこの個所で真空断熱パネル1が損傷を受ける危険が減じられる。
【0245】
図5には、真空断熱パネル1の別の好適な実施形態が示されている。この実施形態では、第1の保護層5が、所定の領域にのみ設けられているか、もしくは特にバリア層4を完全には覆っていない。
【0246】
好ましくは、
図5に示した実施形態における第1の保護層5は、部分的にのみ、特にパターン状に被着されて(成膜されて、塗布されて、重ねられて)おり、好ましくは筋、点、網または別のパターンの形で被着されて(成膜されて、塗布されて、重ねられて)いる。
【0247】
好ましくは、包装体3全体は、部分的に、かつ/またはパターン状に被着された(成膜された、塗布された、重ねられた)第1の保護層5を有する。しかし、包装体3もしくは真空断熱パネル1の平らな側もしくは面状の外側だけが、部分的に、かつ/またはパターン状に被着された(成膜された、塗布された、重ねられた)第1の保護層5を有することも可能である。
【0248】
好ましくは、被着された(成膜された、塗布された、重ねられた)第1の保護層5は、第2の保護層6によって固定される、かつ/または埋められる、かつ/または完全に覆われる。
【0249】
特に、第2の保護層6は、第1の保護層5のパターンを安定化させる。
【0250】
任意選択的に、第2の保護層6は(も)、部分的にのみ、特にパターン状に被着されて(成膜されて、塗布されて、重ねられて)おり、好ましくは筋、点、網または別のパターンの形に被着されて(成膜されて、塗布されて、重ねられて)いる。
【0251】
好ましくは、第2の保護層6と第1の保護層5とがパターン状に被着されて(成膜されて、塗布されて、重ねられて)いる場合、包装体3は、いずれの領域にも少なくとも1つの保護層5,6を有する。
【0252】
好ましくは、第2の保護層6が第1の保護層5の自由空間もしくはすき間を埋めている領域では、第2の保護層6とバリア層4および/または中間層9との間の直接的な接触が生じる。
【0253】
この構造により、有利には、真空断熱パネル1の外側の表面粗さが高められ、特にこの場合、複数の真空断熱パネル1の外側が互いに固定され、特に互いに接着又は粘着され得る。
【0254】
さらに、真空断熱パネル1の耐火度/防火性が過度に損なわれることなしに、包装体3の機械的な安定性/負荷耐性が高められる。
【0255】
本発明の個々の特徴および態様は、任意に組み合わせることができるが、しかし互いに別個に独立して実現することもできる。
【符号の説明】
【0256】
1 真空断熱パネル
2 コア
3 包装体
4 バリア層
5 第1の保護層
5A 雲母粒子
5B 支持材料
6 第2の保護層
7 内側層
8 シール層
9 中間層
10 カバー層
【外国語明細書】