IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バルメット テクノロジーズ インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特開-ヤーン 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088883
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】ヤーン
(51)【国際特許分類】
   D02G 3/02 20060101AFI20230620BHJP
   D02G 3/04 20060101ALI20230620BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20230620BHJP
   D03D 15/47 20210101ALI20230620BHJP
   D03D 15/283 20210101ALI20230620BHJP
   D03D 15/44 20210101ALI20230620BHJP
   D03D 15/208 20210101ALI20230620BHJP
   D21F 7/08 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
D02G3/02
D02G3/04
D03D1/00 Z ZAB
D03D15/47
D03D15/283
D03D15/44
D03D15/208
D21F7/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022199096
(22)【出願日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】20216278
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(71)【出願人】
【識別番号】507009216
【氏名又は名称】バルメット テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】カティ ミッコネン
(72)【発明者】
【氏名】サトゥ ハーグフォシュ
【テーマコード(参考)】
4L036
4L048
4L055
【Fターム(参考)】
4L036MA06
4L036MA08
4L036MA33
4L036MA34
4L036MA37
4L036MA39
4L036PA21
4L036RA25
4L048AA07
4L048AA08
4L048AA11
4L048AA13
4L048AA15
4L048AA20
4L048AA21
4L048AA22
4L048AA24
4L048AA34
4L048AB01
4L048AB07
4L048AB10
4L048AB11
4L048AB12
4L048AB13
4L048AB17
4L048CA00
4L048DA24
4L048DA39
4L048DA40
4L055CE36
4L055EA15
(57)【要約】
【課題】ヤーンを提供する。
【解決手段】本発明の例示的な態様によると、一緒に撚られる複数のモノフィラメント(101、102、103、104)と、該複数のモノフィラメント(101、102、103、104)に巻きつけられるマルチフィラメント又はスパンヤーン(105)と、を含むヤーン(100)が提供され、ここで、マルチフィラメント又はスパンヤーン(105)は、バイオベース材料、再生バイオベース材料又は再生合成材料を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一緒に撚られる複数のモノフィラメントと、
前記複数のモノフィラメントに巻きつけられるマルチフィラメント又はスパンヤーンと、
を含み、前記マルチフィラメント又は前記スパンヤーンは、バイオベース材料、再生バイオベース材料又は再生合成材料を含む、
ヤーン。
【請求項2】
前記複数のモノフィラメントは、バイオ-ポリアミド6.10、バイオ-ポリアミド4.10、バイオ-ポリアミド10、バイオ-ポリアミド10.10又はバイオ-ポリアミド11のようなバイオベースポリアミド、あるいはポリアミド6、ポリアミド6.6又はポリアミド12のような合成ポリアミド又は再生ポリアミドを含む、
請求項1に記載のヤーン。
【請求項3】
3~24個のモノフィラメント、好ましくは3~12個のモノフィラメント、より好ましくは3~6個のモノフィラメントを含む、
請求項1又は2のいずれか一項に記載のヤーン。
【請求項4】
前記バイオベース材料は、セルロースベース材料である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のヤーン。
【請求項5】
前記セルロースベース材料は、ビスコース、リヨセル、キュプラ、アセテート、モーダル、竹材及びセルロースカルバメートのグループから選択される、
請求項4に記載のヤーン。
【請求項6】
前記バイオベース材料は、ポリ乳酸、バイオ-ポリアミド6.10、バイオ-ポリアミド4.10、バイオ-ポリアミド5.10、バイオ-ポリアミド10、バイオ-ポリアミド10.10、バイオ-ポリアミド11、バイオ-ポリブチレンコハク酸、バイオ-ポリエチレン、バイオ-ポリエチレンテレフタレート、バイオ-ポリプロピレン、バイオ-ポリヒドロキシアルカノエート、ウール、綿、麻、リネン又は竹材のグループから選択される、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のヤーン。
【請求項7】
前記複数のモノフィラメントの撚り方向は、前記マルチフィラメント又は前記スパンヤーンの撚り方向と同じである、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のヤーン。
【請求項8】
前記複数のモノフィラメントの直径は、0.1~0.6mm、好ましくは0.2mmである、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のヤーン。
【請求項9】
前記マルチフィラメント又は前記スパンヤーンは、50~150dtexの線密度を有する、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のヤーン。
【請求項10】
前記マルチフィラメント又は前記スパンヤーンは、撚られているか又は撚られていない、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のヤーン。
【請求項11】
5~25%、好ましくは約15%の前記マルチフィラメント又は前記スパンヤーンのオーバーフィードを有する、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のヤーン。
【請求項12】
200~600texの線密度を有する、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のヤーン。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のヤーンの製造方法であって、
複数のモノフィラメントと、マルチフィラメント又はスパンヤーンを提供するステップと、
前記複数のモノフィラメントを一緒に撚るステップと、同時又はその後に、
前記複数のモノフィラメントに前記マルチフィラメント又は前記スパンヤーンを巻きつけるステップと、
を含み、前記マルチフィラメント又は前記スパンヤーンは、バイオベース材料、再生バイオベース材料又は再生合成材料を含む、
方法。
【請求項14】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のヤーンを含む工業用織物。
【請求項15】
プレスフェルト又はフィルタ生地のような工業用織物における請求項1乃至12のいずれか一項に記載のヤーンの用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヤーン、特にプレスフェルトを製造するために使用されるヤーンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プレスフェルトは、モノフィラメント又は撚りモノフィラメント(twisted monofilament)からなるヤーンから作られる。いくつかの特殊なタイプでは、スパンヤーン(spun yarn)はまた、モノフィラメントと一緒に使用されて、撚られるか又はフィラメントに巻きつけられる。スパンヤーンの目的は、フェルトを高密度化し、素早い開始(start-up)と良好なニップ脱水(nip dewatering)を作り出すことである。
【0003】
しかしながら、スパンヤーンを織物プレスフェルトに使用するとき、プレスフェルトを織る間に多くの粉塵が発生する。そのため、ヤーンの構成を改善する必要がある。さらに、持続可能性に対する要求の高まりと、化石ベースの原料を削減することへの関心が高まりとともに自然界に放出されるマイクロプラスチックの量を減少させることの観点から、機械的性能を犠牲にすることなく、これらの期待を超える新たなヤーンを求めるニーズもある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によると、一緒に撚られる複数のモノフィラメントと、該複数のモノフィラメントに巻きつけられるマルチフィラメント又はスパンヤーンと、を含むヤーンが提供され、ここで、マルチフィラメント又はスパンヤーンは、バイオベース材料、再生バイオベース材料又は再生合成材料を含む。
【0005】
本発明の第2の態様によると、複数のモノフィラメントと、マルチフィラメント又はスパンヤーンとを提供するステップと、複数のモノフィラメントを一緒に撚るステップと、同時又はその後に、複数のモノフィラメントにマルチフィラメント又はスパンヤーンを巻きつけるステップとを含む、ヤーンの製造方法が提供され、ここで、マルチフィラメント又はスパンヤーンは、バイオベース材料、再生バイオベース材料又は再生合成材料を含む。
【0006】
本発明の第3の態様によると、ヤーンを含む工業用織物(industrial textile)が提供される。
【0007】
本発明の第4の態様によると、ヤーンは、プレスフェルト又はフィルタ生地(filter fabric)のような工業用織物において使用される。
【0008】
本発明の第5の態様によると、ヤーンは、抄紙機クロス(paper machine clothing)に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の少なくともいくつかの実施形態によるヤーンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本コンテキストにおいて、「バイオベース材料」という用語は、材料を指し、該材料は全体又は部分的に、植物、樹木又は動物のような、再生可能なバイオマス源から取得される。材料は、例えば糖含有植物(例えばトウモロコシ又はサトウキビ)、植物脂肪又は油(例えばヒマシ油)、有機酸(例えばコハク酸)、コーンスターチ、わら、ウッドチップ、おがくず、再生食品廃棄物から取得されることができる。バイオベースの材料は、例えばウール、カシミヤ、綿、麻、リネン、竹材又は絹のような天然繊維とすることができる。バイオベースの材料は、多糖類(例えばデンプン、セルロース、ナノセルロース、マイクロセルロース、キトサン及びアルギン酸)及びタンパク質(例えば大豆タンパク質、グルテン及びゼラチン)を含む天然のバイオポリマーから加工処理することによって、あるいは植物若しくは動物からの又は糖若しくは脂質の発酵によって生物学的に生成される、糖誘導体(例えば乳酸)や脂質(油及び脂肪)から化学的に合成することによって取得されることができる。この種類のバイオベースの材料は、例えばポリ乳酸(PLA)、バイオ-ポリアミド(bio-PA)、バイオ-ポリブチレンコハク酸(bio-PBS)、バイオ-ポリエチレン(bio-PE)、バイオ-ポリエチレンテレフタレート(bio-PET)、バイオ-ポリプロピレン(bio-PP)又はバイオ-ポリヒドロキシアルカノエート(bio-PHA)とすることができる。セルロースベースの材料は、例えばパルプを溶解するか、パルプを機械的に処理するか、化学物質なしに水でパルプを直接繊維に変換することによって、セルロース繊維又はセルロース誘導体のような、セルロースから製造される、バイオベースの材料である。セルロースベースの材料は、例えばビスコース、リヨセル、キュプラ、アセテート、モーダル又はセルロースカルバメートとすることができる。
【0011】
本コンテキストにおいて、「合成材料」という用語は、原油に由来する合成人工ポリマーを指す。合成材料は、例えばポリアミド(PA)、ポリエステル(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)又はポリフェニレンスルフィド(PPS)とすることができる。
【0012】
本コンテキストにおいて、「オーバーフィード(overfeed)」という用語は、マルチフィラメントヤーン又はスパンヤーンが、ヤーン製造においてモノフィラメントよりも速く供給されることを意味する。そのため、マルチフィラメントヤーン又はヤーンの長さは、ヤーン内のモノフィラメントの長さよりも長い。
【0013】
撚りモノフィラメントと、該モノフィラメントに巻きつけられたスパンヤーンからなる、一般的に使用されるヤーンは、プレスフェルトを織る際に多くの粉塵を生じる。さらに、低カーボンフットプリントの持続可能なヤーンを求めるニーズがある。また、使用中にプレスフェルトから放出されるマイクロプラスチックの量を減らすことも重要である。本実施形態の少なくとも一部は、上述の問題を解決する。
【0014】
一実施形態によると、ヤーン100は、一緒に撚られた複数のモノフィラメント101、102、103、104と、複数のモノフィラメント101、102、103、104に巻きつけられたマルチフィラメント又はスパンヤーン105とを含む。マルチフィラメント又はスパンヤーン105は、バイオベース材料、再生バイオベース材料又は再生合成材料を含む。驚くべきことに、ヤーン全体を合成ポリアミドのような高品質の材料で作る必要はないが、ヤーンの一部、すなわちマルチフィラメント又はスパンヤーンを、より低強度の材料から作ることができることがわかった。材料がその低い機械的強度に起因して摩耗するとき、あるいはその化学組成に起因して溶解するとき、フェルト構造を開いて密度が高くなりすぎるのを防ぐ。モノフィラメントを含むコアがヤーンに強度を与え、コアの周囲のマルチフィラメント又はスパンヤーンが、フェルトの開始時に必要とされる高密度化効果を与える。したがって、マルチフィラメント又はスパンヤーンを、より低カーボンフットプリントの材料で作ることができる。このおかげで、ヤーン全体のカーボンフットプリント及びそのヤーンから作られる製品が減少する。そのため、バイオベース材料、再生バイオベース材料又は再生合成材料を含むヤーンは、完全に化石ベースの原材料から製造される、一般的に使用されるヤーンに対して、より持続可能な選択肢を提供する。さらに、再生材料を使用することにより、エネルギー及び材料資源が節約される。そのため、ヤーンの機械的特性を犠牲にすることなく、ヤーンをより長く開いた状態(open)に維持することにより、プレスフェルトのより長い寿命と、低カーボンフットプリントを提供する。
【0015】
一実施形態によると、バイオベース材料はセルロースベース材料である。セルロースは、天然の生分解性で再生可能な材料であり、合成材料よりも二酸化炭素排出量を大幅に少なくする。したがって、セルロースベース材料は、原油から精製及び加工処理される化石ベースの材料よりも持続可能な選択肢である。
【0016】
一実施形態によると、セルロースベース材料は、ビスコース、リヨセル、キュプラ、アセテート、モーダル、竹材、セルロースカルバメートのグループから選択される。繊維の原材料として木材ベースのセルロースを利用することは、カーボンニュートラルサイクルを生じ、これにより、木材に結合する二酸化炭素が製品とともに輸送され、燃焼又は生分解の結果として大気中に分解される。さらに、セルロース繊維の生産は、綿のような多くの他の繊維の生産よりも土地利用への影響が小さく、排出量も少なく、より多くの農地を食料生産に使用することが可能になる。
【0017】
一実施形態によると、バイオベース材料は、ポリ乳酸(PLA)、バイオ-ポリアミド6.10、バイオ-ポリアミド4.10、バイオ-ポリアミド5.10、バイオ-ポリアミド10、バイオ-ポリアミド10.10、バイオ-ポリアミド11、バイオ-ポリブチレンコハク酸(bio-PBS)、バイオ-ポリエチレン(bio-PE)、バイオ-ポリエチレンテレフタレート(bio-PET)、バイオ-ポリプロピレン(bio-PP)、バイオ-ポリヒドロキシアルカノエート(bio-PHA)、ウール、綿、麻、リネン又は竹材のグループから選択される。PLAを、トウモロコシ、キャッサバ、サトウキビ又はテンサイパルプ(sugar beet pulp)のような発酵植物デンプンから製造することができる。バイオ-ポリアミドや他のバイオポリマーは、原油から精製及び加工処理される化石ベースのポリアミドよりも持続可能な選択肢である。ウール、綿、麻、リネン及び竹材のような天然繊維は再生可能であり、マイクロプラスチック汚染を引き起こさない。
【0018】
バイオベース材料はまた生分解性でもあり得る。例えばPLA、バイオPBS、バイオPP及びバイオPHAも生分解性である。したがって、これらの材料は、細菌又は他の生物によって分解されることが可能であり、それにより汚染を避けることができる。
【0019】
再生バイオベース材料は、例えば再生綿とすることができ、これは、再生された衣類及び生地から取得される。再生材料を使用することにより、エネルギーと材料資源が節約され、ヤーンと、該ヤーンで作られた最終製品のカーボンフットプリントが削減される。
【0020】
再生合成材料は、例えばポリアミド6、ポリアミド6.6、ポリアミド6.10、ポリアミド4.10、ポリアミド10、ポリアミド10.10、ポリアミド11又はポリアミド12のような再生ポリアミド(PA)とすることができる。
【0021】
一実施形態によると、複数のモノフィラメント101、102、103、104は、ポリアミド(PA)を含む。ポリアミドは、バイオベースのポリアミド(bio-PA)、合成ポリアミド又は再生ポリアミドとすることができる。バイオベースのポリアミドは、例えばバイオ-ポリアミド6.10、バイオ-ポリアミド4.10、バイオ-ポリアミド5.10、バイオ-ポリアミド10、バイオ-ポリアミド10.10又はバイオ-ポリアミド11とすることができる。合成ポリアミド又は再生ポリアミドは、例えばポリアミド6、ポリアミド6.6又はポリアミド12とすることができる。上述のポリアミドは、機械的強度と耐摩耗性が必要とされるときに優れた選択肢である。ポリアミド6繊維は強靭であり、高い張力強度と弾性を有する。これらは、耐摩耗性が高く、アルカリのような耐薬品性も高い。ポリアミド6は高吸水性を有する。ポリアミド6.6は、高い機械的強度と剛性、そして良好な熱及び化学的安定性を有する。ポリアミド6.10は高い耐衝撃性、耐薬品性及び寸法の保持性(retention of dimension)を有する。ポリアミド11は、ポリアミド6より低い値の密度、曲げ弾性率とヤング率、吸水性並びに融解温度及びガラス転移温度を有する。しかしながら、ポリアミド11は、ポリアミド6よりも弾性、耐摩耗性が高く、吸水性が低いため、水分の存在下での寸法安定性が高いことがわかる。
【0022】
一実施形態によると、ヤーン100は、3~24個のモノフィラメント101、102、103、104、好ましくは3~12個のモノフィラメント101、102、103、104、より好ましくは3~6個のモノフィラメント101、102、103、104を含む。例えばヤーン100は4、6、8又は9個のモノフィラメント101、102、103、104を含むことができる。
【0023】
一実施形態によると、複数のモノフィラメント101、102、103、104の撚り方向は、マルチフィラメント又はスパンヤーン105の撚り方向と同じである。撚り方向は、右向き(Z撚り)又は左向き(S撚り)であり得る。
【0024】
あるいは、複数のモノフィラメント101、102、103、104の撚り方向は、マルチフィラメント又はスパンヤーン105の撚り方向と反対である。撚り方向は、右向き(Z撚り)又は左向き(S撚り)であり得る。
【0025】
図1は、少なくともいくつかの実施形態によるヤーン100を図示する。ヤーンは、4つのモノフィラメント101、102、103、104と、該モノフィラメントに巻きつけられたマルチフィラメント105を含む。4つのモノフィラメント101、102、103、104の撚り方向は、マルチフィラメントの撚り方向と同じであり、左撚りである。
【0026】
一実施形態によると、複数のモノフィラメント101、102、103、104の直径は0.1~0.6mm、好ましくは0.2mmである。モノフィラメントの直径は、ヤーンの意図される用途及びモノフィラメントの数に応じて選択されることができる。例えばモノフィラメントの数が増加すると、モノフィラメントの直径を小さくすることができる。
【0027】
一実施形態によると、マルチフィラメント又はスパンヤーン105は、50~150dtexの線密度を有する。
【0028】
一実施形態によると、マルチフィラメント又はスパンヤーン105は、撚られているか又は撚られていない。マルチフィラメント又はスパンヤーン105の撚りは、その取り扱いを容易にし、マルチフィラメントのフィラメントとスパンヤーンの繊維を一緒に絡ませる。さらに、撚られたマルチフィラメント又はスパンヤーンは、より高い強度と弾性(すなわち、より高いストレッチ)を有する。撚られたマルチフィラメント又はスパンヤーンの表面は摩耗しにくい。さらに、ヤーンにテクスチャを形成するために撚りを使用することができる。
【0029】
マルチフィラメント105が撚られるとき、第1方向に撚られてよい。次いで、マルチフィラメント105は、複数のモノフィラメント101、102、103、104の周りに、第1方向とは反対の第2方向に撚られてよい。マルチフィラメントの撚りは、良好な粘り強さを提供する。
【0030】
また、マルチフィラメント105にテクスチャ加工をすることもできる。マルチフィラメントをカールさせることによって、テクスチャ加工を与えることができる。
【0031】
スパンヤーン105が使用されるとき、スパンヤーン105は第1方向に撚られてよい。スパンヤーン105の撚りは、スパンヤーンのステープルファイバを一緒に保持する。次いで、スパンヤーンは、複数のモノフィラメント101、102、103、104の周りに、第1方向とは反対の第2方向に撚られてよい。これは、良好な粘り強さを提供する。
【0032】
一実施形態によると、ヤーン100は、5~25%、好ましくは約15%のマルチフィラメント又はスパンヤーン105のオーバーフィードを有する。オーバーフィードは、フェルトの開始に必要とされる高密度化効果を提供する。
【0033】
モノフィラメント、マルチフィラメント又はスパンヤーン105の断面は、円形、正方形、長方形、楕円形又は任意の他の適切な形状とすることができる。
【0034】
一実施形態によると、ヤーン100の線密度は200~600texである。
【0035】
一実施形態によると、ヤーン100の製造方法は、複数のモノフィラメント101、102、103、104と、マルチフィラメント又はスパンヤーン105を提供することと、複数のモノフィラメントを一緒に撚ることと、それと同時に又はその後に、複数のモノフィラメント101、102、103、104にマルチフィラメント又はスパンヤーン105を巻き付けることと、を含む。マルチフィラメント又はスパンヤーン105は、バイオベース材料、再生バイオベース材料又は再生合成材料を含む。そのため、複数のモノフィラメントを撚ることを最初に実行することができる。その後、マルチフィラメント又はスパンヤーン105を複数のモノフィラメントに巻き付けることができる。あるいは、複数のモノフィラメントを撚ることと、複数のモノフィラメントにマルチフィラメント又はスパンヤーン105を巻き付けることとを、同時に実行することができる。
【0036】
一実施形態によると、工業用織物は、上述の実施形態によるヤーン100を含むことができる。当該ヤーンは、当該ヤーンから作られるプレスフェルトのための迅速な開始と良好なニップ脱水を提供する。ヤーンがマルチフィラメントを含むとき、ヤーンから織物を織るときの粉塵も少ない。加えて、バイオベースの又は再生マルチフィラメント又はスパンヤーンは摩耗すると、フェルト構造を開き、したがって、その寿命が延びる。
【0037】
ヤーン100は、プレスフェルト又はフィルタ生地のような工業用織物に使用することができる。工業用織物は、織布又は不織布とすることができる。
【0038】
ヤーン100を、抄紙機クロスに使用することができる。
【0039】
開示される本発明の実施形態は、本明細書に開示される特定の構造、プロセスステップ又は材料に限定されず、関連する技術分野の当業者によって認識されるような、その均等物に拡張されることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的だけに使用されており、限定するように意図されていないことを理解されたい。
【0040】
本明細書全体を通して、「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所に現れる「実施形態において」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0041】
本明細書で使用されるとき、複数のアイテム、構造要素、構成要素及び/又は材料は、便宜上、共通のリストで提示されることがある。しかしながら、これらのリストは、リストの各メンバーが個別の一意のメンバーとして個々に識別されているかのように解釈されるべきである。したがって、そのようなリストの個々のメンバーは、反対の表示なしに共通のグループでの提示だけに基づいて、同じリストのいずれか他のメンバーと事実上同等なものとして解釈されるべきではない。加えて、本発明の様々な実施形態及び実施例は、その様々な構成要素の代替物とともに、本明細書で言及されることがある。そのような実施形態、実施例及び代替物は、互いに事実上同等なものとして解釈されるべきではなく、本発明の個別の自律的な表現と見なされるべきであることが理解される。
【0042】
さらに、説明される特徴、構造又は特性は、1つ以上の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わされてもよい。以下の説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、長さ、幅、形状等の例のような、多くの具体的な詳細が提供される。しかしながら、関連する技術分野の当業者には、本発明を、その具体的な詳細の1つ以上を用いずに、あるいは他の方法、構成要素、材料等を用いて実装することができることを認識されよう。他の例では、本発明の態様が不明瞭になることを避けるために、周知の構造、材料又は操作が詳細に示されず、説明されない。
【0043】
上記の実施例は、1つ以上の特定の用途における本発明の原理を例示するものであるが、当該技術分野の通常の技術者には、発明的能力を発揮することなく、また、本発明の原理及び概念から逸脱することなく、形態、使用及び実装の詳細における多数の修正を行うことができることは明らかであろう。したがって、以下に記載される特許請求の範囲によるものを除いて、本発明を限定することは意図されていない。
【0044】
「含む」という動詞は、本文書において、記載されていない特徴の存在を除外も要求もしないオープンな限定として使用される。従属請求項に記載される特徴は、別段の記載がない限り、相互に自由に組合せ可能である。さらに、本文書全体を通して、「a」又は「an」、すなわち単数形の使用は、複数を除外しないことが理解されよう。
【符号の説明】
【0045】
100 ヤーン
101~104 モノフィラメント
105 マルチフィラメント又はスパンヤーン
図1
【外国語明細書】