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  • 特開-植物ベースの製品および方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088934
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】植物ベースの製品および方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20230620BHJP
   A23L 7/10 20160101ALI20230620BHJP
   A23C 11/10 20210101ALI20230620BHJP
【FI】
A23L5/00 J
A23L5/00 N
A23L7/10 H
A23C11/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023038517
(22)【出願日】2023-03-13
(62)【分割の表示】P 2020534435の分割
【原出願日】2018-10-04
(31)【優先権主張番号】20176171
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(71)【出願人】
【識別番号】521510958
【氏名又は名称】オッドリーグッド・グローバル・オサケユフティオ
【氏名又は名称原語表記】Oddlygood Global Oy
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】ペイヴィ・ミュレリネン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーナ・オイカリネン
(72)【発明者】
【氏名】キルシ・ラヤカリ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】植物ベースの食品を製造する方法、植物ベースの食品およびそれらに関する使用を提供する。
【解決手段】方法は、デンプンおよび所望によりタンパク質を含む懸濁液を提供すること、温かい懸濁液を得るために該懸濁液を加熱すること、該温かい懸濁液を少なくとも1つのデンプン分解酵素で処理することによって部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液を調製すること、部分的に加水分解されたデンプンを含む熱処理された懸濁液を得るために部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液を熱処理に付すこと、熱処理された懸濁液を冷却すること、および所望により部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液を発酵および/または酸性化させること、および所望によりさらに冷却することおよび/またはジャム、ベータグルカン、香味剤および/または添加物を該懸濁液に加えること、および植物ベースの食品を得ることを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物ベースの食品を製造する方法であって、
a.水とデンプンおよび所望によりタンパク質を含む少なくとも1つの植物ベースの原料を混合することによって、デンプンおよび所望によりタンパク質を含む懸濁液を提供すること、
b.50から70℃、好ましくは55から65℃、さらに好ましくは58から62℃の温度で、温かい懸濁液を得るために該懸濁液を加熱すること、
c.部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液を得るために、該温かい懸濁液を少なくとも1つのデンプン分解酵素で処理することによって部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液を調製すること、
d.部分的に加水分解されたデンプンを含む熱処理された懸濁液を得るために、該部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液を熱処理に付すこと、
e.該部分的に加水分解されたデンプンを含む熱処理された懸濁液を冷却すること、
f.所望により工程eにおいて得られた懸濁液を発酵および/または酸性化させること、および所望によりさらに冷却することおよび/またはジャム、ベータグルカン、香味剤および/または添加物を該懸濁液に加えること、および
g.植物ベースの食品を得ること、
の工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
工程aにおける懸濁液の温度が、5から42℃、好ましくは5から30℃、さらに好ましくは5から20℃であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該植物ベースの原料がベータグルカンを含み、方法が、植物ベースの原料に由来する天然のベータグルカンの含有量が植物ベースの食品の総重量に基づいて0.3wt.%未満にできるように、天然のベータグルカンを本質的に含まない懸濁液を得るために、工程aまたは工程bにおいて懸濁液を少なくとも1つのベータグルカン分解酵素で処理することの工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ベータグルカン分解酵素が、ベータ-グルカナーゼ、好ましくは真菌ベータ-グルカナーゼであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
植物ベースの原料がベータグルカンを含まないことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
デンプン分解酵素が、アルファ-アミラーゼ、ベータ-アミラーゼ、プルラナーゼおよび真菌アルファ-アミラーゼ、好ましくは真菌アルファ-アミラーゼからなる群から選択されることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
植物ベースの原料が、植物ベースの穀物、オート麦、大麦、小麦、ライ麦、コメ、コーン、ソバ、キビ、大豆、デンプン、ベータグルカン、粘質物、亜麻、キノコ、麻、エンドウ豆、レンティル、塊茎、果実、ベリー類、および油を含む植物および種子からのプレスケーキ(press cake)、またはもち(waxy)穀物(もちオート麦、もち大麦、もち小麦、もちライ麦)、もち米、またはワキシーコーン、好ましくは穀物、さらに好ましくはオート麦からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1、2、3、4または6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
工程aにおける植物ベースの原料が、好ましくは5から300μm、さらに好ましくは10から275μmの範囲の粒径を有する、粉末形態であることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
方法が、発酵させた植物ベースの食品を得るために、少なくとも1つのスターターカルチャーを工程eの冷却後に得られた部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液に加えること、および混合物を4から4.9、好ましくは4.5のpH値に達するまで発酵させること、を含むことを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
工程aが、懸濁液の総重量に基づいて1から5wt.%、好ましくは2から4wt.%の量の糖、および所望により他の成分、例えば、油、塩、ミネラル、例えば、炭酸カルシウムおよびリン酸三カルシウム、およびビタミンを加えることをさらに含むことを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
トランスグルタミナーゼ酵素を懸濁液にタンパク質1gあたり0.1-5U、好ましくはタンパク質1gあたり0.1-1U、さらに好ましくはタンパク質1gあたり0.3-0.6U、より好ましくはタンパク質1gあたり0.4-0.5Uの量において加えることをさらに含むことを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
温かい懸濁液が、3から30wt.%のデンプン、好ましくは4から20wt.%のデンプン、さらに好ましくは4から12wt.%のデンプンを含むことを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の方法で得ることができる植物ベースの食品。
【請求項14】
デンプンが60,000以下のDP(重合度)値を有する限定された加水分解により得られた部分的に加水分解されたデンプンを含むこと、および該植物ベースの製品が、植物ベースの食品の総重量に基づいて0.3wt.%未満の天然のベータグルカンを含むこと、を特徴とする、植物ベースの食品。
【請求項15】
製品がオート麦を含むことを特徴とする、請求項14に記載の植物ベースの食品。
【請求項16】
0.05wt.%未満の小糖分子、例えば、単糖類、二糖類または三糖類を含むことを特徴とする、請求項14または15に記載の植物ベースの食品。
【請求項17】
製品が、ヨーグルト、飲用ヨーグルト、クレームフレッシュまたはサワークリーム、サワーミルク、プディング、セット型ヨーグルト、スムージー、クオーク、またはクリームチーズ、好ましくはヨーグルトであることを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項に記載の植物ベースの食品。
【請求項18】
デンプンを含む植物ベースの原料に基づき、限定された加水分解により得られた部分的に加水分解されたデンプンを含むこと、および部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液の総重量に基づいて0.3wt.%未満の天然のベータグルカンを含むこと、を特徴とする、部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液。
【請求項19】
部分的に加水分解されたデンプンが60,000以下のDP(重合度)値を有することを特徴とする、請求項18に記載の懸濁液。
【請求項20】
該懸濁液が、0.05wt.%未満の小糖分子、例えば、単糖類、二糖類または三糖類を含むことを特徴とする、請求項18または19に記載の懸濁液。
【請求項21】
植物ベースの原料に含まれる天然のデンプンが、アルファ-アミラーゼ、ベータ-アミラーゼ、およびプルラナーゼおよび真菌アルファ-アミラーゼ、好ましくは真菌アルファ-アミラーゼからなる群から選択される酵素で部分的に加水分解される、植物ベースの食品を製造するためのデンプンの限定された加水分解の使用。
【請求項22】
天然のデンプンが、植物ベースの原料を含む懸濁液を80℃を超える温度に加熱する前に加水分解されることを特徴とする、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
剪断減粘特性を低下させるための植物ベースの食品調製におけるトランスグルタミナーゼ酵素の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本願発明は、食品技術の分野に関する。本願発明は、乳製品代替製品として適当である食用植物ベースの食品、その製造方法およびそれに関する使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
従来の発酵させたまたは酸性化された乳製品ベースの食品は、ヨーグルト、飲用ヨーグルト、クレームフレッシュ、サワークリームなどである。いくつかの人々は、ラクトース不耐症またはミルクタンパク質に対するアレルギーのような理由のために、乳製品ベースの製品を回避する必要がある。加えて、自発的にベジタリアンまたはビーガン食を好む消費者の数が増加している。植物ベースの代替食品は、また、再生可能資源を利用することによって持続可能な開発を確保するのに役立つことができるため、環境の観点からも有益である。
【0003】
乳製品ベースの製品の様々な代替物が市場に導入されており、植物ベースの製品などの乳製品代替製品または乳製品置換製品の需要が高まっている。文献EP2604127 A2は、発酵種子ベースの食品を製造する方法を記載している。2つの一般的なタイプの製品は、大豆ベースの製品およびオート麦ベースの製品である。文献WO2009/106536 A2は、発酵させた豆乳製品を記載している。オート麦は、いくつかの健康上の利点があり、数多くのオート麦ベースの製品が市場にある。穀物ベース、とりわけオート麦ベースの発酵させた製品のためのいくつかの既知の製造する方法が、文献EP1175156 B1、EP 1337159 B1およびEP 2143335 B1に記載されている。食品における使用のための液体オート麦ベースは、文献WO2014/177304 A1に記載されている。
【0004】
文献EP 1175156 B1は、繊維に富む穀物エマルジョンを調製するための方法を記載している。穀物ふすままたは全粒粉フレークを熱水(最高95℃)で処理し、得られた懸濁液を湿式粉砕し、均質化して、エマルジョンを得て、エマルジョンを後期成熟および冷却させる。この方法において、デンプンおよびβ-グルカンは、酵素を利用することによって破壊されない。
【0005】
文献EP 1337159 B1は、豆乳および乳製品を本質的に含まないオート麦懸濁液に基づく発酵させた製品を調製するための方法を記載している。方法は、約10%の乾物含有量を有する水性オート麦懸濁液の形態においてオート麦ベースを利用するものであって、オート麦ベースの乾物は重量で、10から50%のマルトースまたはマルトースおよびグルコースの混合物、30から80%のマルトデキストリンおよび5から15%のタンパク質を含む、方法である。懸濁液を、加熱し(80℃を超える)、低温殺菌し、冷却し、スターターカルチャーを植菌し、懸濁液を発酵させるためにインキュベートし、冷却する。方法の目的は、原料自体に含まれるβ-グルカンを破壊することを回避することによって、可溶性β-グルカン繊維において豊富な非乳製品を提供することである。製品のタンパク質含有量は低い。文献EP 2143335 B1は、EP 1337159 B1と非常に類似している。
【0006】
乳製品ベースのヨーグルトは、所望の乾物含有量に対して所望の脂肪含有量を有するミルクベースを蒸発させ、その後、混合物を均質化し約90℃で低温殺菌し、発酵する温度に冷却させることによって、従来的に製造される。スターターカルチャーを加え、混合物を約pH4.5に発酵させる。従来の発酵させた乳製品を製造するための系は、混合物が移動される間のいくつかのユニットを含む。
【0007】
乳製品ベースのヨーグルトの増粘は、ミルクタンパク質の凝固による。ダイズタンパク質は同様の凝固特性を有する。植物タンパク質は互いに非常に異なり、すべてが同じように作用するわけではない。いくつかのタンパク質、例えばダイズタンパク質は荷電しており、いくつかのタンパク質、例えばオート麦タンパク質は非荷電である。荷電されたタンパク質は、分子の正味電荷がゼロ(等電点)であるpH値で凝固する。原料から凝固するタンパク質で発酵させた食品、例えばヨーグルトを容易に製造することができる。オート麦タンパク質は、3前後のpH値でも凝固せず、オート麦ベースの発酵させた製品を製造する方法について特定の要件を設定する。
【0008】
乳製品代替製品に使用される原料は、発酵させたまたは酸性化された乳製品代替製品、とりわけ穀物ベースの製品を生産することにおいて課題を引き起こす。従来技術の方法に関連する1つの問題は、乳製品の従来の生産ラインを使用できないことである。これは主に、処理される混合物の粘度による。さらに具体的には、天然のデンプンおよび水溶性ベータグルカンを含む植物ベースの原料は、ベータグルカンが水溶液に溶解して濃厚な粘性ゲルを形成し、ラインで処理できないため、従来の生産ラインで処理することができない。さらに、天然のデンプンは低温殺菌工程で混合物の粘度を増加させ、混合物は慣用の方法でユニット間を移動することができない。
【0009】
さらに、乳製品代替製品を製造するための既知の方法および原料を使用するとき、増粘剤および他のテクスチャー修飾剤などの添加剤を使用せずに、乳製品代替製品の所望の粘性およびテクスチャーをなし遂げることは困難であり得る。未処理のベータグルカンは、製品にぬるぬるしたテクスチャーを引き起こす。シネレシス(syneresis)が発生する可能性があるため、保存中に製品のテクスチャーを維持するために添加剤もまた必要になる場合がある。
【0010】
上記のように、オート麦ベース、発酵させた、酸性化されたまたは中性の(非酸性の)食品のような穀物ベースの食品を製造することにはいくつかの課題があり、完全に新しい方法が必要とされている。種々の植物ベースの乳製品代替製品を生産するための、新規な、およびコスト的に有効な代替を提供する一定の必要性が依然としてある。
【発明の概要】
【0011】
発明の概要
本願発明の目的は、植物ベースの乳製品代替製品を製造する先行技術に関連する問題を克服することである。とりわけ、本願発明の目的は、乳製品ベースの製品のための従来の生産ラインで製造することができる植物ベースの製品を提供することである。したがって、本願発明の1つの利点は、新しい方法および製品が新しい生産ラインおよび装置に高価な投資を必要としないため、コスト的に有効な生産方法および製品が提供されることである。
【0012】
本願発明の別の目的は、改善されたテクスチャーおよび安定な構造を有する植物ベースの製品を提供することである。とりわけ、テクスチャーおよび構造は、増粘剤および他のテクスチャー修飾剤などの添加物を使用することなくなし遂げることができる。本願発明の製品は乳製品代替製品として適当である。
【0013】
本願発明の本質的な部分は、適当な段階でおよび制御された様式においてある特定の酵素を利用することである。本願発明に関連して、本願発明者らは、デンプンの限定された加水分解が行われるけれども、本願発明で使用される植物ベースの原料に含まれるデンプンが、最終植物ベースの製品に対して所望のテクスチャーを与えるように、酵素処理に関連する反応を制御することを成し遂げた。さらに具体的には、本願発明者らは、驚くべきことに、植物ベースの原料のデンプンのアミロペクチンの少量がデンプン分解酵素によって破壊されるとき、乳製品ベースの製品に対して従来の生産ラインで処理することができる部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液を得ることができることを見出した。言い換えれば、デンプンの加水分解は、植物ベースの製品のテクスチャーにおける切断性を回避するために十分なだけ行われる。それでもなお、デンプン粒子は、あまり破壊されないので、テクスチャーおよび粘性を製品に与える。
【0014】
したがって、本願発明は、デンプンの限定された加水分解を利用する。加えて、原料がベータグルカン、例えばオート麦を含むとき、植物ベースの原料に含まれる天然のベータグルカンの主要部分がベータグルカン分解酵素によって破壊される必要がある。酵素処理は、原料混合物を80℃を超えて加熱する前に行われる必要がある。
【0015】
したがって、本願発明は、植物ベースの食品を製造する方法であって、
a.水とデンプンおよび所望によりタンパク質を含む少なくとも1つの植物ベースの原料を混合することによって、デンプンおよび所望によりタンパク質を含む懸濁液を提供すること、
b.50から70℃、好ましくは55から65℃、さらに好ましくは58から62℃の温度で、温かい懸濁液を得るために該懸濁液を加熱すること、
c.部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液を得るために、該温かい懸濁液を少なくとも1つのデンプン分解酵素で処理することによって部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液を調製すること、
d.部分的に加水分解されたデンプンを含む熱処理された懸濁液を得るために、該部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液を熱処理に付すこと、
e.該部分的に加水分解されたデンプンを含む熱処理された懸濁液を冷却すること、
f.所望により工程eにおいて得られた懸濁液を発酵および/または酸性化させること、および所望によりさらに冷却することおよび/またはジャム、ベータグルカン、香味剤および/または添加物を該懸濁液に加えること、および
g.植物ベースの食品を得ること
の工程を含む、方法に関する。
【0016】
本願発明は、上記方法で得られた植物ベースの製品にも関する。
【0017】
加えて、本願発明は、デンプンが60,000以下のDP(重合度)値を有する限定された加水分解により得られた部分的に加水分解されたデンプンを含む植物ベースの食品に関する。好ましくは、DP値は、10,000以上であるが、60,000以下である。植物ベースの製品は、植物ベースの食品の総重量に基づいて0.3wt.%未満の天然のベータグルカンを含む。
【0018】
加えて、本願発明は、デンプンを含む植物ベースの原料に基づき、限定された加水分解により得られた部分的に加水分解されたデンプンを含み、部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液の総重量に基づいて0.3wt.%未満の天然のベータグルカンを含む、部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液に関する。
【0019】
本願発明は、植物ベースの原料に含まれる天然のデンプンが、アルファ-アミラーゼ、ベータ-アミラーゼ、プルラナーゼ、および真菌アルファ-アミラーゼ、好ましくは真菌アルファ-アミラーゼからなる群から選択される酵素で部分的に加水分解される、植物ベースの食品を製造するためのデンプンの限定された加水分解の使用にも関する。
【0020】
本願発明は、剪断減粘特性を低下させるための植物ベースの食品調製におけるトランスグルタミナーゼ(TG)酵素の使用にも関する。
【0021】
本願発明の植物ベースの製品の1つの利点は、得られた製品の粘性、テクスチャーおよび組成が対応する乳製品ベースの製品と非常に類似していることである。また、栄養価は、対応する乳製品ベースの製品と類似しているか、または近くてよい。したがって、製品は、発酵された、酸性化させた、または非酸性(中性)の乳製品ベースの製品に対する代替製品として適当である。
【0022】
本願発明の特徴的な特徴は、特許請求の範囲に定義される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本願発明の方法を示すプロセススキームの例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
定義
本明細書および特許請求の範囲において、以下の用語および表現は、以下に定義される意味を有する:
【0025】
「スターターカルチャー」は、発酵を行う微生物学的培養物である。スターターは、通常、発酵のために使用される微生物によってよくコロニー形成されている栄養液などの培養培地からなる。
【0026】
「植物ベースの食品」は、発酵させた、酸性化された、または非酸性の(中性の)食品、例えば従来の乳製品ベースの製品、例えばヨーグルト、飲用ヨーグルト、クレームフレッシュまたはサワークリーム、サワーミルク、クオーク、クリームチーズ(フィラデルフィアタイプのソフトチーズ)、セット型ヨーグルト、スムージーまたはプディングを指してよい。
【0027】
「植物ベース」は、食品技術適用において食用食品を製造するために適当である植物に由来することを指す。本願発明の製品および方法のために適当な「植物ベースの原料」は、穀物、オート麦、大麦、小麦、ライ麦、コメ、コーン、ソバ、キビ、大豆、デンプン、ベータグルカン、粘質物、亜麻、キノコ、麻、エンドウ豆、レンティル、塊茎、果実、ベリー類、および油を含む植物および種子からのプレスケーキ(press cake)、またはもち(waxy)穀物(もちオート麦、もち大麦、もち小麦、もちライ麦)、もち米、またはワキシー(waxy)コーンから選択される少なくとも1つであってよい。いわゆる「もち品種」におけるほとんどすべてのデンプンはアミロペクチンであるが、「正常品種」において、デンプンの約80wt.%がアミロペクチンであり、20wt.%がアミロースである。
【0028】
「限定された加水分解」は、天然のデンプンを含む原料を好ましくはアルファ-アミラーゼ、ベータ-アミラーゼ、プルラナーゼおよび真菌アルファ-アミラーゼから選択される少なくとも1つのデンプン分解酵素で処理することを指す。真菌アルファ-アミラーゼは、例えばアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)株によって生産される。かかる真菌アルファ-アミラーゼの例は、マイコラーゼ(Mycolase)である。マイコラーゼは、アスペルギルス・オリゼ株によって生産される真菌アルファ-アミラーゼの商品名である(DSMを介して市販されている)。限定された加水分解は、マルトースおよびマルトトリオースなどの小さな糖分子に分解することなく、デンプンのアミロペクチンを部分的に加水分解するために行われる。「限定された加水分解」は、「部分的な加水分解」としても称される。本開示において、限定された加水分解は、デンプンが10,000以上であるが60,000未満であるDP値を得るように破壊されるように、行われる。
【0029】
「重合度」は、高分子またはポリマーまたはオリゴマー分子におけるモノマー単位の数を指す。本開示において、「重合度」は、デンプンポリマーにおけるグルコース分子の数を指す。
【0030】
「部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液」は、懸濁液が部分的に加水分解されたデンプンを含み、部分的に加水分解されたデンプンが少なくとも1つのデンプン分解酵素による酵素処理によって得られている、デンプンを含む植物ベースの原料に基づく懸濁液を指す。含有量が総重量に基づいて0.3wt.%未満であるように、天然のベータグルカンもまた本質的に含まない。したがって、必要とされるとき、懸濁液は、少なくとも1つのベータグルカン分解酵素で処理されている。
【0031】
したがって、「天然のベータグルカン」は、原料に由来し、酵素的に破壊されていないベータグルカンを指す。
【0032】
発明の詳細な説明
穀物、種子、根および果実の、または食品のための他の適当な植物ベースの原料の内部は、主にデンプンおよびタンパク質、および細胞壁の多糖類および脂肪で構成される。オート麦および大麦などの一部の植物は、また、特定の可溶性繊維;ベータグルカン(β-グルカン)を含む。これは、水を吸収して非常に粘性のあるテクスチャー(冷水中でさえ)を形成する水溶性繊維である。デンプンの構造は、冷水に溶解しない粒子(1-100μm)である。デンプンには2つの主なグルコースベースのポリマー;アミロースおよびアミロペクチン(20:80)がある。これらの2つのポリマーは、部分的に結晶構造を形成するように、デンプン粒子中に配置される。構造は、水中でデンプンを加熱することによって破壊することができる。55-75℃で、デンプン粒子は水を吸収し、粒径が大きくなる。しかしながら、構造は破棄されておらず、この効果は可逆的である。温度が80-95℃に達すると、構造は永久に破壊され、いわゆるゼラチン化が生じる。液体の粘度が大幅に増加する。この現象は、プディング、粥、ソース、ジャム、スイーツおよびパンのような食品を製造するときに利用される。
【0033】
多糖類分解酵素は、食品を調製するために種々の方法において一般的に使用されている。酵素は速く、基質特異的である。植物、例えば穀物およびマメ科植物において主な多糖類はデンプンである。伝統的に、デンプンの酵素処理は、熱処理および構造の破壊後に行われる。それにより、デンプンは、酵素に依存して、主にグルコース、マルトース、マルトトリオースまたはマルトデキストリンに変換される。デンプンを破壊する酵素はアミラーゼである。好ましい条件、例えば特定の温度およびpH値は、アミラーゼ型に依存する。温度は約4-95℃であってよく、pHは約3-8であってよい。
【0034】
本願発明は、デンプンの限定された酵素的加水分解を利用する方法に関する。
【0035】
したがって、本願発明は、植物ベースの食品を製造する方法であって、
a.水とデンプンおよび所望によりタンパク質を含む少なくとも1つの植物ベースの原料を混合することによって、デンプンおよび所望によりタンパク質を含む懸濁液を提供すること、
b.50から70℃、好ましくは55から65℃、さらに好ましくは58から62℃の温度で、温かい懸濁液を得るために該懸濁液を加熱すること、
c.部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液を得るために、該温かい懸濁液を少なくとも1つのデンプン分解酵素で処理することによって部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液を調製すること、
d.部分的に加水分解されたデンプンを含む熱処理された懸濁液を得るために、該部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液を熱処理に付すこと、
e.該部分的に加水分解されたデンプンを含む熱処理された懸濁液を冷却すること、
f.所望により工程eにおいて得られた懸濁液を発酵および/または酸性化させること、および所望によりさらに冷却することおよび/またはジャム、ベータグルカン、香味剤および/または添加物を該懸濁液に加えること、および
g.植物ベースの食品を得ること、
の工程を含む、方法に関する。
【0036】
1つの態様によると、本開示は、植物ベースの食品を製造する方法であって、
a.水とデンプンおよび所望によりタンパク質を含む少なくとも1つの植物ベースの原料を混合することによって、デンプンおよび所望によりタンパク質を含む懸濁液を提供すること、ここで、懸濁液の温度は、5から42℃、好ましくは5から30℃、さらに好ましくは5から20℃である、
b.50から70℃、好ましくは55から65℃、さらに好ましくは58から62℃の温度で、温かい懸濁液を得るために該懸濁液に温水を加えること、
c.部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液を得るために、該温かい懸濁液を少なくとも1つのデンプン分解酵素で処理することによって部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液を調製すること、
d.部分的に加水分解されたデンプンを含む熱処理された懸濁液を得るために、該部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液を熱処理に付すこと、
e.該部分的に加水分解されたデンプンを含む熱処理された懸濁液を冷却すること、
f.所望により工程eにおいて得られた懸濁液を発酵および/または酸性化させること、および所望によりさらに冷却することおよび/またはジャム、ベータグルカン、香味剤および/または添加物を該懸濁液に加えること、および
g.植物ベースの食品を得ること、
の工程を含む、方法に関する。
【0037】
上記工程aからgは連続して行われる。
【0038】
工程aにおいて、温度が高すぎるとき、適切な懸濁液が形成されない可能性があるため、懸濁液が調製されるとき、温度は好ましくは約42℃を超えない。懸濁液の温度は、好ましくは5から42℃、さらに好ましくは5から30℃、さらに好ましくは5から20℃である。次の段階において、懸濁液は、限定された加水分解反応の適当な温度に加熱される。
【0039】
1つの態様によると、温かい懸濁液は、3から30wt.%のデンプン、好ましくは4から20wt.%のデンプン、さらに好ましくは4から12wt.%のデンプン、例えば5から10wt.%または6から11wt.%のデンプンを含む。限定された加水分解工程におけるデンプン含有量は、生産ラインを詰まらせる可能性があるため、高すぎないべきである。乳製品ベースの製品のための従来の生産ラインが使用されないとき、より多くの量が使用されてよい。
【0040】
1つの態様によると、植物ベースの原料はオート麦である。
【0041】
工程aにおける最初の懸濁液は、約5から50wt.%、好ましくは20から50wt.%、さらに好ましくは25から30wt.%の植物ベースの原料、例えばオート麦を含んでよい。工程aにおける懸濁液は、典型的に、全体として約1から40wt.%、好ましくは3から40wt.%、さらに好ましくは3から20wt.%、よりさらに好ましくは4.5から10wt.%のタンパク質、例えば5から8wt.%または6から9wt.%のタンパク質を含む。植物ベースの原料がオート麦であるとき、タンパク質の約60から100wt.%がオート麦原料に含まれるタンパク質であり、0から40wt.%が追加されたタンパク質、例えばエンドウ豆タンパク質である。他の植物ベースの原料が使用されるとき、他の割合の追加されたタンパク質が、原料それ自体におけるタンパク質含有量に依存して、および植物ベースの製品の所望のタンパク質含有量に依存して、必要とされてよい。
【0042】
工程aにおける懸濁液の総デンプン含有量は、典型的に、約3から30wt.%、好ましくは8から30wt.%、さらに好ましくは15から20wt.%のデンプン、例えば16から19wt.%または17から18wt.%のデンプンである。量は必要に応じて調整してよい。
【0043】
工程bにおいて加熱することは、工程aにおいて得られた懸濁液を加熱することによって、温水を懸濁液に加えることによって、または当分野で知られている慣用の技術、例えばプレート熱交換器、管状熱交換器またはジャケットを使用することによって、行われてよい。加熱することがプレート熱交換器または管状熱交換器でおこなれるとき、懸濁液は、装置を通過する間、所望の温度に温められる。デンプンを含む懸濁液の温度は、好ましくは、デンプン分解酵素を加える前に、最大30分間58℃を超えてよい。
【0044】
工程aにおいて得られた懸濁液は、予混合と呼ばれることがある。予混合懸濁液は、工程bにおいて温水を加えることによって水で希釈されてよい。例えば、希釈は、1部の懸濁液および1部の水、または1の懸濁液および2部の水、または1部の懸濁液および3部の水の比率であってよい。生産バッチの容量に依存して、温水の追加は、数時間持続してもよい。本質的に全ての温水の追加後、0から30分以内にデンプン分解(加水分解)酵素を加える。
【0045】
冷却する工程eの適当な温度は、発酵または酸性化が行われるか否かに依存する。発酵が行われないとき、適当な冷却温度は5から45℃である。発酵が行われるとき、適当な冷却温度はスターターカルチャーに依存する。例えば好熱性培養について38から45℃および例えば中温性培養について28から32℃。他の温度もまた適切である可能性がある。
【0046】
本願発明の1つの態様によると、該植物ベースの原料がベータグルカンを含み、方法が、植物ベースの原料に由来する天然のベータグルカンの含有量が植物ベースの食品の総重量に基づいて0.3wt.%未満にできるように、天然のベータグルカンを本質的に含まない懸濁液を得るために、工程aまたは工程bにおいて懸濁液を少なくとも1つのベータグルカン分解酵素で処理することの工程をさらに含む。
【0047】
本願発明の1つの態様によると、ベータグルカン分解酵素が、ベータ-グルカナーゼ、好ましくは真菌ベータ-グルカナーゼである。好ましくは、真菌ベータ-グルカナーゼは、タラロミセス・エメルソニイ(Talaromyces emersonii)の株に由来する。タラロミセス・エメルソニイ(Talaromyces emersonii)の選択された株に由来する1つの市販されているベータ-グルカナーゼは、Filtrase(DSM)である。
【0048】
本願発明の別の態様によると、植物ベースの原料はベータグルカンを含まない。
【0049】
本願発明の1つの態様によると、デンプン分解酵素は、アルファ-アミラーゼ、ベータ-アミラーゼ、プルラナーゼおよび真菌アルファ-アミラーゼ、好ましくは真菌アルファ-アミラーゼからなる群から選択される。真菌アルファ-アミラーゼは、本願発明に関連して実施された試験において限定された加水分解に対して十分に機能することが証明されている。
【0050】
本願発明において使用される植物ベースの原料は、植物ベースの穀物、オート麦、大麦、小麦、ライ麦、コメ、コーン、ソバ、キビ(アワ(hirs))、大豆、デンプン、ベータグルカン、粘質物、亜麻、キノコ、麻、エンドウ豆、レンティル、塊茎、果実、ベリー類、および油を含む植物および種子からのプレスケーキ(press cake)、またはもち(waxy)穀物(もちオート麦、もち大麦、もち小麦、もちライ麦)、もち米、またはワキシーコーンからなる群から選択される少なくとも1つであってよい。好ましくは、植物ベースの原料は、穀物、さらに好ましくはオート麦を含む。本願発明の方法における原料は、天然のアミロペクチンを含む。1つの態様によると、原料は、(約80%のアミロペクチンおよび約20%のアミロースを通常含む)天然のデンプンを含む。別の態様によると、原料は、ほとんど全てのデンプンが天然のアミロペクチンである、いわゆるもち(waxy)種である。化学的に(例えば酸または酵素を用いて)または物理的に(例えば機械的にまたは熱によって)修飾されたデンプン、例えば前ゼラチン化されたデンプンまたは加水分解されたデンプン(酸または酵素による)は、本願発明の方法のために適当ではない。適切には、本願発明の植物ベースの製品は植物ベースの乳製品代替製品である。
【0051】
工程aにおける原料は、デンプンを含む少なくとも1つの植物ベースの原料の懸濁液を提供するとき、典型的に粉または粉末形態である。粉末の粒径は、典型的に5から300μm、好ましくは10から275μmの範囲である。粉、とりわけオート麦粉は、好ましくは150μmのD90値を有する粒径を有し、すなわち粒子の90%が150μmよりも小さい。1つの態様において、粒子の100%は、275μm未満の粒径を有する。1つの態様において、粒子の90%は、150μm未満の粒径を有し、1つの態様において、粒子の50%は、10μm未満の粒径を有する。原料に含まれるデンプン構造が、デンプン分解酵素の機能を妨げるような様式において損傷されないことも重要である。また、粉末の粒径が大きすぎると、酵素はデンプンを十分に効果的に破壊することができない可能性がある。適当な粒径はまた、粉末および方法の工程aにおいて形成される懸濁液の加工可能性を保証する。生産ラインにおいて問題を引き起こし、植物ベースの食品の質を低下させるであろうため、粉末は、塊を形成すべきではない。
【0052】
したがって、1つの態様によると、植物ベースの原料は粉末形態である。本願発明の方法の1つの態様によると、植物ベースの原料は、5から300μm、好ましくは10から275μmの粒径を有する粉末である。1つの態様において、粒子の90%は、150μmよりも小さい。
【0053】
原料に依存して、他の前処理工程が必要な場合や有用な場合がある。
【0054】
本願発明の1つの態様によると、方法は、発酵させた植物ベースの食品を得るために、少なくとも1つのスターターカルチャーを工程eにおいて得られた部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液に加えること、および混合物を4から4.9、好ましくは4.5のpH値に達するまで発酵させること、を含む。
【0055】
したがって、1つの態様によると、本願発明の方法は発酵工程を含む。発酵工程は、酸性の発酵させた製品を生産する。本願発明の方法の発酵工程において、乳製品ベースの製品のための慣用のスターターカルチャーのような既知のカルチャーが、発酵させる混合物の接種のために使用されてよい。細菌は、中温性および/または好熱性であってよい。生物学的酸性化剤、例えばバルクスターターまたはDVSスターターを(バットスターターに直接)使用してよい。スターターカルチャーは、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulcaricus)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ビフィドバクテリア(Bifodobacteria)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ラクチス(Lactococcus lactis)、ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum)、ロイコノストック・メセンテロイデス/シュードメセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides/pseudomesenteroides)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・アミロリティカス(Lactobacillus amylolyticus)、ラクトバチルス・アミロヴォルス(Lactobacillus amylovorus)、ラクトバチルス・デルブリッキー 亜種 デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii subsp. delbrueckii)、ラクトバチルス・ラムノサス GG(Lactobacilus rhamnosus GG)、ビフィドバクテリウム・アニマリス 亜種 ラクティス(Bifidobacterium animalis subsp. lactis)、およびラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)からなる群から選択されてよい。好ましくは、スターターカルチャーは、ラクトバチルス・アシドフィルス、ビフィドバクテリアおよびラクトバチルス・ラムノサスからなる群から選択される。発酵は、熱処理工程後に行われる。
【0056】
エキソ多糖類を生産する株は、本願発明による方法において必要とされない。したがって、1つの態様によると、本開示の方法は、エキソ多糖類を生産する微生物株を使用することを含まない。言い換えれば、1つの態様によると、本願発明の方法は、エキソ多糖類を生産しない微生物株を使用することを含む。
【0057】
1つの態様によると、本願発明の植物ベースの製品は、生存可能である細菌および/またはプロバイオティックを含む。
【0058】
本願発明の1つの態様によると、方法の工程aは、懸濁液の総重量に基づいて1から5wt.%、好ましくは2から4wt.%の量の糖、および所望により他の成分、例えば、油、塩、ミネラル、例えば、炭酸カルシウムおよびリン酸三カルシウム、およびビタミンを加えることをさらに含む。
【0059】
1つの態様によると、懸濁液のいわゆる「膨張する」工程は、混合物を放置させることにより行われる。膨張するは、典型的に、工程aにおいて植物ベースの原料および水を混合することの後および所望により他の成分を加えることの前に、行われる。適当な膨張する時間は懸濁液の温度に依存する。膨張する時間は30分から4日であってよい。膨張する間、懸濁液中の原料の粉およびタンパク質が水和される。
【0060】
1つの態様によると、方法は、トランスグルタミナーゼ(TG)酵素を懸濁液にタンパク質1gあたり0.1-5U、好ましくはタンパク質1gあたり0.1-1U、さらに好ましくはタンパク質1gあたり0.3-0.6U、より好ましくはタンパク質1gあたり0.4-0.5Uの量において加えることを含む。植物ベースの製品が発酵されるとき、TG酵素は、好ましくはスターターカルチャーの前または同時に加えられる。植物ベースの製品が酸性化される、すなわち発酵されないとき、TG酵素は、熱処理および冷却する工程の後に加えてよい。植物ベースの製品が酸性化されないとき、TG酵素はまた、温水を加えた後に、デンプン分解酵素を加える前に、加えてよい。
【0061】
本願発明の1つの態様によると、工程bにおいて得られた温かい懸濁液は、3から30wt.%のデンプン、好ましくは4から20wt.%のデンプン、さらに好ましくは4から12wt.%のデンプン、例えば、5から10wt.%または6から11wt.%のデンプンを含む。
【0062】
本願発明は、本願発明の態様のいずれかによる方法で得られた植物ベースの食品にも関する。
【0063】
本願発明は、デンプンが60,000以下のDP値を有する限定された加水分解により得られた部分的に加水分解されたデンプンを含む植物ベースの食品であって、該植物ベースの製品が、植物ベースの食品の総重量に基づいて0.3wt.%未満の天然のベータグルカンを含む、植物ベースの食品にも関する。好ましくは、該デンプンは、10,000以上であるが、60,000以下であるDP値を有する。1つの態様によると、植物ベースの食品はオート麦を含む。
【0064】
1つの態様によると、植物ベースの食品は、0.05wt.%未満の小さい糖分子、例えば、0.01、0.02、0.03または0.04wt.%未満の小さい糖分子を含む。小さい糖分子は、典型的には一糖類、二糖類または三糖類である。
【0065】
1つの態様によると、小さい糖分子の分子量は、600g/mol未満、または550g/mol未満である。
【0066】
1つの態様によると、植物ベースの食品は、ヨーグルト、飲用ヨーグルト、クレームフレッシュまたはサワークリーム、サワーミルク、プディング、セット型ヨーグルト、スムージー、クオーク、またはクリームチーズ、好ましくはヨーグルトである。
【0067】
本願発明による植物ベースの製品のタンパク質含有量は、典型的には、製品の総重量に基づいて0.5から20wt.%である。タンパク質含有量はまた、製品の総重量に基づいて0.5から12wt.%、または0.5から10wt.%、または1から8wt.%、または2から6wt.%であってよい。タンパク質含有量は、ジャムまたは他の成分の所望の付加前の植物ベースの製品を指す。したがって、部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液を得るとき、工程d後のタンパク質含有量を指してもよい。
【0068】
本願発明は、部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液にも関する。懸濁液は、デンプンを含む植物ベースの原料に基づき、限定された加水分解により得られた部分的に加水分解されたデンプンを含む。加えて、それは、部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液の総重量に基づいて0.3wt.%未満の天然のベータグルカンを含む。天然のベータグルカンは、ベータグルカン分解酵素によって酵素的に破壊されていない原料に由来するベータグルカンを指す。
【0069】
1つの態様によると、部分的に加水分解されたデンプンは、60,000以下のDP(重合度)値を有する。好ましくは、部分的に加水分解されたデンプンは、10,000以上であるが、60,000以上であるDP値を有する。
【0070】
1つの態様によると、部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液は、0.05wt.%未満の小さい糖分子、例えば、0.01、0.02、0.03または0.04wt.%未満の小さい糖分子を含む。小さい糖分子は、典型的には一糖類、二糖類または三糖類である。糖レベルは、例えば、Colon CarboPac PA1によるDionex ICS-3000によって測定されてよい。
【0071】
加えて、本願発明は、植物ベースの原料に含まれる天然のデンプンが、アルファ-アミラーゼ、ベータ-アミラーゼ、プルラナーゼおよび真菌アルファ-アミラーゼからなる群から選択される酵素で部分的に加水分解される、植物ベースの食品を製造するためのデンプンの限定された加水分解の使用に関する。好ましくは真菌アルファ-アミラーゼ、例えば、市販されているMycolaseが使用される。
【0072】
1つの態様によると、天然のデンプンは、植物ベースの原料を含む懸濁液を80℃を超える温度に加熱する前に加水分解される。
【0073】
1つの態様によると、本願発明の植物ベースの製品および/または部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液は、ダイズベースの原料を含まない。1つの態様によると、本願発明の植物ベースの製品は、乳製品ベースの原料を含まない。1つの態様によると、本願発明の植物ベースの製品は、動物ベースの原料を含まない。動物ベース/乳製品ベースの原料は、ラクトース、カゼイン、ホエータンパク質、乳脂肪のような成分を含む。「動物ベース」は、乳製品以外の起源の原料にも関する。
【0074】
植物ベースの原料は、デンプンおよび所望によりベータグルカンを含む。原料がベータグルカンを含むとき、ベータグルカン分解酵素が必要とされる。原料がベータグルカン(例えばオート麦または大麦)を含むとき、ベータグルカン分解酵素、例えばFiltrase酵素によって、大きなベータグルカン分子をより小さい分子に破壊することによって、塊の形成を低下させることができる。さもなければ、ベータグルカンは水溶液に溶解して濃厚な粘性ゲルを形成し、ヨーグルトなどの食品を生産するための慣用のラインにおいてさらに処理することができない。より小さいベータグルカン分子は、粘液性を形成しない。したがって、ベータグルカンは、酵素処理後に、より小さい分子としてであるが、懸濁液中に残る。酵素処理は、工程aにおいて懸濁液を形成することに関連して適切に行われる。好ましくは、酵素は植物ベースの原料の前に水に加えられるが、のちに加えられてもよい。とにかく、ベータグルカン分解酵素での処理は、限定された加水分解工程の前に行われる必要がある。
【0075】
ベータグルカンの本質的な部分は、42℃を超える温度に懸濁液を加熱する前に破壊される必要がある。ベータグルカン分解酵素は、ベータ-グルカナーゼ、および真菌ベータ-グルカナーゼからなる群から選択されてよい。ベータ-グルカナーゼは、5から95℃の温度範囲で活性である。好ましくは真菌ベータ-グルカナーゼ、例えば、Filtraseが使用される。Filtraseは、5から65℃の温度範囲で活性である。好ましくは、5℃から20℃、または10から20℃の範囲が使用される。この工程のための反応時間は、通常、30分から3日である。反応時間は、反応温度に依存してよい。しかしながら、通常、約30分が冷たいおよび温かい温度の両方について十分である。ベータグルカン分解酵素の量は、例えば植物ベースの原料の0.1から0.5wt.%、またはベータグルカンの3から5wt.%であってよい。例えば、植物ベースの原料がオート麦であり、Filtrase酵素が使用されるとき、Filtraseの量は、オート麦の量に基づいて0.18wt.%、またはベータグルカンの量に基づいて4wt.%であってよい。必要な酵素の量は、使用される酵素に依存する。天然のベータグルカンの分子量は、2000から3000kDaである(Wood、2011)。本願発明の方法において得られた破壊されたベータグルカンの分子量は、酵素処理の反応時間に依存する。1つの態様によると、破壊されたベータグルカンは、2,000kDa未満の分子量を有する。分子量はまた、1,000kDa未満、または400kDa未満であってよく、100-200kDaの分子量もまた可能である。1つの態様によると、分子量は10kDa未満である。
【0076】
デンプン分解酵素は、常に、方法において必要とされる。該酵素、例えばアルファ-アミラーゼ、ベータ-アミラーゼまたはプルラナーゼのこの酵素処理工程は、非常に速く、約1から30分、好ましくは1から10分である。しかしながら、処理は、より長く、例えば180分、継続されてもよい。混合物がデンプンの加水分解を停止する65℃を超える温度に加熱されるとき、酵素は不活性化される。好ましくは、真菌アルファ-アミラーゼ、例えばMycolaseが使用される。Mycolaseは、5から65℃の温度範囲において活性である。好ましくは、60から63℃の範囲が使用される。約54から65℃、好ましくは60から63℃の温度で、デンプン顆粒は、酵素をデンプン顆粒内部に入れるように十分に膨張する。
【0077】
温度および少量の酵素が、所望の限定された加水分解を得るために関連する。典型的には、酵素、例えばアルファ-アミラーゼまたは真菌アルファ-アミラーゼ、例えばMycolaseの量は、懸濁液の総重量に基づいて0.0000001-0.001wt%、好ましくは懸濁液の総重量に基づいて0.000001-0.001wt.%、さらに好ましくは0.00005-0.001wt.%、さらに好ましくは0.00025-0.0005wt.%であってよい。1つの態様において、真菌アルファ-アミラーゼ、例えばMycolaseの量は、デンプンの量に基づいて0.00083-0.006wt.%、好ましくは0.0042-0.0083wt.%であってよい。酵素の量は、方法条件に依存する。典型的には、ベータ-アミラーゼの量は、0.0000001-0.001wt.%、好ましくは0.000001-0.001wt.%であってよい。典型的には、プルラナーゼの量は、0.0000001-0.001wt.%、好ましくは0.000001-0.001wt.%である。
【0078】
デンプン分解酵素が制御された様式において機能することは、本願発明にとって重要である。本願発明は、デンプンが部分的に加水分解されるのみであることを必要とする。したがって、本願発明の方法は、デンプンの制御された限定された加水分解を含む。本願発明の方法は、天然のデンプンのゼラチン化を含まない。加水分解は、天然形態でもなくゼラチン化でもなく、膨張しているデンプン顆粒に行われる。
【0079】
デンプンの得られたDP(重合度)値は、限定された加水分解と関連する。デンプンが60,000またはそれ以上のDP値を有するとき、製品は切断性を有するゲルを形成し得る。本願発明によると、限定された加水分解は、60,000未満のDP値を得るためにデンプンが破壊されるように行われる。しかしながら、好ましくは、DP値は10,000以上である。一つの理論は、デンプンゲルの構造が非晶質のままであるように、限定された加水分解が後退を防止する可能性があることである。したがって、デンプン顆粒は、膨張したままである。デンプンの分子量分布は、例えば、カラム組合せμHydrogel 2000、500および250を有するSEC-HPLCにより分析されてよい。
【0080】
デンプンが破壊されるとき、グルコース、マルトースおよびマルトトリオースが通常得られる。しかしながら、本願発明に関連して実施された試験(実施例1および2)は、これらが植物ベースの食品において有意な量で存在しないことを示した。結果として、デンプンは、Mycolase処理において小さい糖分子に破壊されなかった。したがって、本願発明による酵素処理は、デンプンが植物ベースの食品のテクスチャーをなお安定し、製品テクスチャーにおいて切断性を防止する程度で、デンプンを部分的に分解するだけである。デンプン分子がさらに破壊されるとき、マルトースおよびマルトトリオースは植物ベースの食品においてより高い量で存在し、製品はもはやゲル様テクスチャーを有さず、すなわちデンプンは植物ベースの食品の安定性を有さず、テクスチャーを改善しないであろう。
【0081】
1つの態様によると、植物ベースの製品は、植物ベースの原料に含まれるデンプンに由来する、小さい糖分子、例えば、グルコース、マルトース、マルトトリオースを含まない。言い換えれば、これらは、デンプン分解酵素での処理において形成されない。また、これらは、ベータグルカン分解酵素での処理の場合、形成されない。
【0082】
糖、例えばスクロース(サッカロース)、グルコース、フルクトース、ガラクトースは、典型的には、原料懸濁液に加えられる。発酵培養は、発酵処理においてスクロースの一部を使用し、それによってフルクトースが形成される。グルコースが存在するとき、発酵工程中にも変換される。植物ベースの原料がベータグルカンを含むとき、本願発明による方法において酵素的に破壊され、主により小さいベータグルカン分子を形成する。
【0083】
本願発明による方法のデンプンの限定された加水分解は、植物ベースの食品に対して安定なテクスチャーおよび適当な粘性、典型的に50から5000mPasを提供する。
【0084】
本願発明の植物ベースの製品の粘性は、その意図される最終用途または製品カテゴリーに依存し、典型的には50および5000mPas間である。製品が飲用ヨーグルトであるとき、適当な粘性は約50から250mPasである。製品がスプーナブル(spoonable)ヨーグルト製品であるとき、適当な粘性は約300から1000mPasである。製品がクリームチーズまたはクオーク製品であるとき、適当な粘性は約1000から5000mPasである。粘性は、装置 Vibroviscometer SV10、Japanで測定されてよい。
【0085】
これらの粘性は、ジャムまたは他の所望のさらなる成分の所望の添加前の製品の粘性に関係する。これは、所望のテクスチャーが添加物なしで得ることができるため、増粘剤または他のテクスチャー修飾剤などの添加剤を使用する必要性をなくす。
【0086】
本願発明は、剪断減粘特性を低下させるための、植物ベースの食品調製におけるトランスグルタミナーゼ酵素の使用にも関する。製品が混合または撹拌中により良い安定性を有するため、剪断減粘特性を低下させることは利点である。
【0087】
トランスグルタミナーゼ酵素は、部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液に加えてもよい。トランスグルタミナーゼ酵素は、所望の発酵工程前に、および熱処理工程後に、適切に加えられる。トランスグルタミナーゼは、スターターカルチャーが加えられる前に、またはスターターカルチャーと共に加えられてもよい。トランスグルタミナーゼは、5から70℃の温度範囲において活性である。したがって、それは発酵工程中に活性である。好ましくは、30から50℃、さらに好ましくは35から45℃の範囲が使用される。トランスグルタミナーゼ酵素は、タンパク質またはペプチドのリジンおよびグルタミン基間での結合の形成を触媒する。したがって、トランスグルタミナーゼは、混合物の粘性を増加させることによって製品のテクスチャーを改善する製品におけるタンパク質ネットワークを形成する。方法においてトランスグルタミナーゼ酵素を利用することによって、添加物、例えば増粘剤を加える必要性を低下させることができる。トランスグルタミナーゼの必要性は、デンプンを含むどの原料が使用されるかに依存する。適当な粘性は、トランスグルタミナーゼ酵素を使用することなく、成し遂げられる可能性がある。
【0088】
発酵させた乳製品、例えばヨーグルトを製造するための従来のラインは、様々なユニットを形成するいくつかの付属した装置を含む。第1のユニットは、所望の原料組成物が提供される混合タンクである。典型的には、この混合物の乾物含有量は10-15%であり、タンパク質、炭水化物および脂肪を含む。次の工程において、液体は、熱処理ユニット(72-95℃/30秒-3分)に移される。熱処理された低温殺菌した温かい混合物は、通常、100-400barで均質化もされる。この後、混合物は、冷却ユニット(20-25℃)に移され、、タンクに移動される。スターターカルチャーが加えられ、混合物がpH4.5-4.9に発酵される。次に、発酵させた混合物は、タンクから冷却ユニットを介してパッキングユニットに移される。
【0089】
本願発明による方法において、慣用の脱気、均質化および熱処理装置および条件が使用される。したがって、脱気工程において、75から85℃、好ましくは約80℃の温度が使用されてよい。均質化工程において、100から400barまたは150から300bar、好ましくは200barの圧力が使用されてよい。熱処理工程において、1分から15分間、80から95℃、好ましくは約85℃の温度が使用されてよい。熱処理において、デンプン分解酵素は不活性化され、デンプン粒子が膨張される。乳製品ベースの製品(例えばヨーグルト)のための従来の処理ラインが使用されないとき、熱処理は、例えば表面スクレープ(scrape)熱交換器、プレートヒーター、管状熱交換器または調理用ケトルで行われてよい。マイクロ波処理、高圧処理、またはキャビテーションもまた、熱処理工程のために使用されてよい。
【0090】
本願発明の方法は、蒸発、すなわち脱気工程を含んでよい。脱気工程は、混合タンクにおいて混合中に懸濁液に混合される懸濁液から空気を除去する。本願発明による方法はまた、均質化工程を含んでよい。
【0091】
方法の最後において、得られた植物ベースの食品は、典型的にはパッケージされ、2から6℃の保存温度に冷却される。
【0092】
本願発明の1つの態様によると、方法は、化学的手段による酸性化を含む。その場合、部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液は、化学的酸性化剤または有機酸または無機酸を加えることによって酸性化される。1つの態様において、酸性化剤は、化学的酸性化剤、例えば、グルコノデルタラクトン、クエン酸ナトリウム、乳酸、塩酸、クエン酸、酢酸または異なる酸の組合せである。製品が化学的に酸性化されているとき、酸性化剤は熱処理工程の後に加えられてよい。酸性化剤は、酵素処理に影響を与える可能性があるため、限定された加水分解工程の前に加えられない可能性がある。
【0093】
別の態様によると、本願発明の方法は、発酵も酸性化工程も含まない。言い換えれば、本願発明の製品は、酸性化されていないか、または中性である。
【0094】
本願発明の製品において使用され得る適当なタンパク質は、例えばジャガイモタンパク質、エンドウ豆タンパク質、亜麻タンパク質、麻タンパク質、マイコプロテイン、ベリータンパク質、穀物タンパク質、コメタンパク質、レンティルタンパク質、ダイズタンパク質、コーンタンパク質、ワーム(worm)タンパク質、藻類タンパク質、またはコラーゲンである。
【0095】
所望により、ベータグルカンが、最終段階で製品に加えられてよい。ベータグルカンは、いくつかの健康上の利益を有するため、例えば0.3から1.0wt.%の量において、製品にベータグルカンを加えることが望ましい可能性がある。ベータグルカンは、所望の発酵工程後に加えられてよい。例えば、ジャムが加えられるとき、ジャムと共に加えてもよい。
【0096】
本願発明の製品の最終形態は変化してよく、攪拌型または硬化(set)型、スプーナブル(spoonable)、泡状、ムース状または液体型の飲用可能であってよく、風味付けされていてよく、または風味付けされていなくてもよい。
【0097】
1つの態様によると、本願発明の植物ベースの製品は、植物ベースの乳製品代替製品である。好ましくは、乳製品代替製品において、粘性、テクスチャーおよび組成は、対応する乳製品ベースの製品と非常に類似している。また、栄養価は、対応する乳製品ベースの製品のものと類似しているかまたは近くてよい。本願発明の植物ベースの製品は、発酵させた、酸性化されたまたは非酸性の(中性の)乳製品代替製品であってよい。
【0098】
図1は、オート麦が植物ベースの原料として使用される本願発明による方法の1つの態様を説明する。所望の工程は、破線で示されている。この例で使用されるオート麦粉は、あらゆる他の適当な粉または粉末であってよい。エンドウ豆タンパク質はまた、あらゆる他の適当なタンパク質であってよい。混合タンク2において、少なくともデンプン分解酵素および温水、および必要なとき他の成分が加えられる。典型的には、デンプン分解酵素が最後に加えられる。液体糖は、例えばスクロース、グルコース、フルクトース、またはガラクトースであってよい。TG酵素を加えてもよく、または加えなくてもよい。TGが加えられおよび発酵が行われないとき、TG酵素は、典型的には、デンプン分解酵素を加える前に、混合タンク2に加えられる。発酵は、必要はなく、酸性化に交換されてもよい。ジャムは、パッキング段階で加えられても、加えられなくてもよい。
【0099】
本願発明に関連して、部分的に加水分解されたデンプンのデンプン粒を顕微鏡を介して試験するとき、デンプン粒は膨張しているが、それでもアミロースおよびアミロペクチンは粒から完全に遊離されなかったことに留意すべきであった。構造は、完全に均質ではなく、代わりに、デンプン粒の一部が顕微鏡を介して観察することができる。
【0100】
本願発明の製品および方法での1つの利点は、先行技術の方法よりも必要とされる添加物が少ないことである。さらに具体的には、安定剤または粘度を調節する添加物、例えば増粘剤を本願発明の植物ベースの食品に加える必要がない。理由は、所望の粘性およびテクスチャー特性を提供するために植物ベースの食品において適当な量のデンプンを残す、デンプンの制御された限定された加水分解である。テクスチャーおよび口当たりは、慣用の乳製品ベースの製品、例えばヨーグルトのものと似ている。穀物ベースの原料を処理するための先行技術の方法のいくつかにおいて、原料のデンプンのかなりの部分が、破壊され、形成される製品を自然に増粘しない。したがって、増粘剤、例えばポテトデンプンまたはペクチンは、所望のテクスチャーおよび粘性を得るために必要とされ得る。しかしながら、ジャムが本願発明の製品に加えられるとき、ジャム自体が増粘剤を含んでよい。
【0101】
さらに別の利点は、本願発明の製品および方法が、典型的には乳製品ベースのヨーグルトを製造するときに使用される、慣用のスターターカルチャーによって容易に発酵される、部分的に加水分解されたデンプンを含む懸濁液を提供することである。発酵させるべき混合物は、糖、例えばスクロースまたはグルコースを含むべきである。したがって、スクロースは、通常、混合物に加えられる。
【0102】
本願発明の製品に関連する他の利点は、製品のテクスチャーが凝集性、粘液性または粘着性ではなく、切断できないことである。加えて、TG酵素が使用されるとき、製品はずり減粘特性を示さず、すなわちTG酵素は撹拌耐久性を改善する。テクスチャーはまた、粘弾性ではなく、すなわち、変化されるとき、形態はその元の形態に戻らない。切断性は、テクスチャー分析圧縮試験またはTxt装置を使用して測定してよい。
【0103】
本願発明による生産方法は、必要とされる前処理工程が少なく、複雑な処理装置が少ないため、植物ベースの乳製品代替製品を製造するための多くの先行技術方法よりも簡単である。いくつかの既知の方法のような方法において、濾過または分別工程が必要とされない。
【0104】
本願発明による製品はまた、シネレシスが生じないため、比較的長い保存期間、すなわち良好な保存性を有する。本願発明に関連して実施された試験によると、テクスチャーは、+4℃で100日間不変のままであった。
【0105】
本願発明は、以下の実施例でさらに説明される。
【実施例0106】
実施例
実施例1
発酵させた植物ベースの製品を調製すること:オート麦、エンドウ豆タンパク質、TG酵素および生存細菌の使用
オート麦予混合を調製した[水1246kg(15-20℃)、オート麦498.5kgおよびFiltrase(DMS)2.54kg]。成分を混合し、10分間膨張するために放置した。エンドウ豆タンパク質、54.63kg(Pisane C9またはM9、Cosucra、Belgium)を加えた。粘性が低下するまで、懸濁液を30分間混合中に膨張するために放置した。温水を加えた(90℃)、2410kg。塩3.08kg、ビタミン予混合0.3kg、油25kg、三リン酸カルシウム13.45kg、炭酸カルシウム4.3kgの追加。60℃に加熱しながら、液糖(250kg)を加えた。次に、懸濁液全体の温度が58-62℃に達することができるように、水500kg(90℃)を加えた。デンプン分解酵素を加えた、Mycolase(DSM)、15g。そのすぐ後、塊(mass)のエバボレーター(脱気)へのポンピング(pumping)を80-90℃で開始し、次にさらに低温殺菌した。温度を85-88℃に調整し、持続時間を5分とした。温かい塊をホモジェナイズした、200bar。その後、塊を冷却に向けた(42℃)。冷却した塊を容器に回収し、凍結乾燥したスターターカルチャー(Yo-Mix 205および161)を容器に加え、全体として5袋を0.9% 塩水(約40℃)に溶解した。加えて、トランスグルタミナーゼ酵素、TG(Ajinomoto Ltd、Japan)(0.5U/gタンパク質)を加えた。塊の粘性は約70-160mPasであった。低温殺菌は、速度6000-7900kg/hで実行された。発酵は、pH4.4-4.57まで続けられた。発酵させた塊を20℃に冷却した。塊はそのまま、または例えば(18%)香味剤またはジャムを追加して包装された。製品は、包装され、+2から8℃の温度で貯蔵された。製品のテクスチャーおよび香味は、少なくとも60から100日間はよく保存されていた。水は構造から分離されず、保存中に味は酸性化しなかった。また、微生物は製品によく保存されていた(1x10cfu/g)。得られた製品は約800mPasの粘性を有した(Vibroviscometer SV10、Japan)。それは厚く、ずり減粘特性を示さなかった。
【0107】
実施例2
糖分析
発酵させた植物ベースの製品を実施例1の方法にしたがって調製した(2つの複製:製品Aおよび製品B)。本願発明の方法によって調製された発酵させた植物ベースの製品の糖レベルを、Colon CarboPac PA1によるDionex ICS-3000により測定した。結果を表1に示す。さらに、デンプンの分子量分布は、カラム組合せμHydrogel 2000、500および250を有するSEC-HPLCにより分析した。
【0108】
表1.糖分析結果
【表1】


a)スターターを用いた熱処理後、スターター活性はBronopol添加により阻害した。
b)製品Bと同じレシピであるが、油およびアルファ-アミラーゼなし、ベータ-グルカナーゼを有し、発酵なし、前日に作られた予混合(水と混合されたオート麦粉)、87℃で5分間加熱することによって調製されたゲル
【0109】
製品A、製品Bおよび発酵なしの製品Bのサンプルから測定されたデンプンのDP値は、60,000未満であったが、10,000以上であった。参照サンプルから測定されたデンプンのDP値は60,000を超えた。
【0110】
スクロース(サッカロース)が、すべての試験において原料混合物に3g/100g、すなわち3wt.%の量で加えられている。発酵培養は、発酵プロセスにおいてスクロースの一部を使用し、それによりフルクトースが形成された。
【0111】
表において見ることができるように、グルコース、マルトースおよびマルトトリオースは、植物ベースの食品AおよびBに有意な量で存在しなかった。結果として、デンプンは、Mycolase(DSM)処理において小さい糖分子に破壊されなかった。製品A、製品Bおよび発酵なしの製品Bのサンプルから測定されたデンプンのDP値は、60,000未満であったが、10,000以上であった。したがって、酵素は、デンプンがなおテクスチャーを安定化し、切断性を防止する程度において、デンプンを部分的に破壊するのみである。植物ベースの食品のテクスチャーは、同様の乳製品ベースのヨーグルトのテクスチャーと似ていた。テクスチャーは切断性を示さなかった。
【0112】
実施例3
発酵させた植物ベースの製品を調製すること:オート麦およびジャガイモタンパク質および生存細菌
オート麦予混合を調製した[水1250kg(15-20℃)、オート麦450.6kgおよび熱安定性のβ-グルカナーゼ1(Sigma Aldrich)0.51kg]。成分を混合し、10分間膨張するために放置した。その後に、100kgジャガイモタンパク質(例えばSolanic 300および300 N、Avebe、NL)を加えた。粘性が低下するまで、懸濁液を30分間混合中に膨張するために放置した。温水を加えた(90℃)、2410kg。塩3.08kg、ビタミン予混合0.3kg、油25kg、三リン酸カルシウム13.45kg、炭酸カルシウム4.3kgの追加。液糖を加え(250kg)、60℃に加熱した。次に、塊全体の温度が55-65℃に達することができるように、水500kg(90℃)を加えた。デンプン分解酵素を加えた、Mycolase(DSM)、12.5g。そのすぐ後、塊のエバボレーター(脱気)へのポンピングを80-90℃で開始し、次にさらに低温殺菌した。温度を85-88℃に調整し、持続時間を5分とした。温かい塊をホモジェナイズした、200bar。その後、塊を冷却に向けた(42℃)。冷却した塊を容器に回収し、凍結乾燥したスターターカルチャー(Yo-Mix 205および161)を容器に加え、全体として5袋を0.9% 塩水(約40℃)に溶解した。加えて、トランスグルタミナーゼ酵素、TG、(0.4U/gタンパク質)を加えた。塊の粘性は約70-160mPasであった。低温殺菌は、速度6000-7900kg/hで実行された。発酵は、pH4.4-4.57まで続けられた(目標4.5)。発酵させた塊を20℃に冷却した。塊はそのまま、または例えば(18%)香味剤またはジャムを追加して包装された。製品は、包装され、+2から8℃の温度で貯蔵された。製品のテクスチャーおよび香味は、少なくとも60から100日間はよく保存されていた。水は構造から分離されず、保存中に味は酸性化しなかった。また、微生物は製品によく保存されていた(1x10cfu/g)。得られた製品は約800mPasの粘性を有した(Vibroviscometer SV10、Japan)。それは厚く、ずり減粘特性を示さなかった。
【0113】
実施例4
発酵させた植物ベースの製品を調製すること:オート麦およびジャガイモタンパク質、TGおよび死滅(dead)細菌
オート麦予混合を調製した[水1248kg(15-20℃)、オート麦498.5kgおよびベータグルカン分解酵素、1.02kg]。成分を混合し、10分間膨張するために放置した。ジャガイモタンパク質、54.63kg(例えばSolanic 300および300 N、Avebe、NL)を加えた。粘性が低下するまで、懸濁液を30分間混合中に膨張するために放置した。温水を加えた(90℃)、2410kg。塩3.08kg、ビタミン予混合0.3kg、油25kg、三リン酸カルシウム13.45kg、炭酸カルシウム4.3kgの追加。60℃に加熱しながら、液糖(250kg)を加えた。次に、懸濁液全体の温度が58-62℃に達することができるように、水500kg(90℃)を加えた。デンプン分解酵素を加えた、大麦からのベータ-アミラーゼ(Sigma Aldrich)、11.2g、およびアスペルギルス・オリゼからのアルファ-アミラーゼ(Sigma Aldrich)3.8g。そのすぐ後、塊のエバボレーター(脱気)へのポンピングを80-90℃で開始し、次にさらに低温殺菌した。温度を85-88℃に調整し、持続時間を5分とした。温かい塊をホモジェナイズした、200bar。その後、塊を冷却に向けた(42℃)。冷却した塊を容器に回収し、凍結乾燥したスターターカルチャー(Yo-Mix 205および161)を容器に加え、全体として5袋を0.9% 塩水(約40℃)に溶解した。加えて、トランスグルタミナーゼ酵素、TG、(Ajinomoto Ltd、Japan)(1U/gタンパク質)を加えた。塊の粘性は約70-160mPasであった。低温殺菌は、速度6000-7900kg/hで実行された。発酵は、pH4.4-4.57まで続けられた。発酵させた塊を、63から90℃/30秒-1分で低温殺菌した後、20℃に冷却した。塊はそのまま、または例えば(18%)香味剤またはジャムを追加して包装された。製品は、包装され、+2から8℃の温度で貯蔵された。製品のテクスチャーおよび香味は、少なくとも60から100日間はよく保存されていた。水は構造から分離されず、保存中に味は酸性化しなかった。得られた製品は約800mPasの粘性を有した(Vibroviscometer SV10、Japan)。それは厚く、ずり減粘特性を示さなかった。
【0114】
実施例5
発酵させた植物ベースの製品を調製すること:オート麦およびエンドウ豆タンパク質、TGおよび死滅細菌
オート麦予混合を調製した[水1247kg(15-20℃)、オート麦498.5kgおよびFiltrase(DSM)、1.52kg]。成分を混合し、10分間膨張するために放置した。エンドウ豆タンパク質、54.63kg(例えばPisane C9またはM9、Cosucra、Belgia)を加えた。粘性が低下するまで、懸濁液を30分間混合中に膨張するために放置した。温水を加えた(90℃)、2410kg。60℃に加熱しながら、液糖(250kg)を加えた。次に、懸濁液全体の温度が58-62℃に達することができるように、水500kg(90℃)を加えた。デンプン分解酵素を加えた、大麦からのベータ-アミラーゼ(Sigma Aldrich)、15g、およびアスペルギルス・オリゼからのアルファ-アミラーゼ(Sigma Aldrich)5g。そのすぐ後、塊のエバボレーター(脱気)へのポンピングを80-90℃で開始し、次にさらに低温殺菌した。温度を85-88℃に調整し、持続時間を5分とした。温かい塊をホモジェナイズした、200bar。その後、塊を冷却に向けた(42℃)。冷却した塊を容器に回収し、凍結乾燥したスターターカルチャー(Yo-Mix 205および161)を容器に加え、全体として5袋を0.9% 塩水(約40℃)に溶解した。加えて、トランスグルタミナーゼ酵素、TG、(0.3U/gタンパク質)を加えた。塊の粘性は約70-160mPasであった。低温殺菌は、速度6000-7900kg/hで実行された。発酵は、pH4.4-4.57まで続けられた(目標4.5)。発酵させた塊を、63から90℃/30秒-1分で低温殺菌し、20℃に冷却した。塊はそのまま、または例えば(18%)香味剤またはジャムを追加して包装された。製品は、包装され、+2から8℃の温度で貯蔵された。製品のテクスチャーおよび香味は、少なくとも60から100日間はよく貯蔵された。水は構造から分離されず、保存中に味は酸性化しなかった。得られた製品は約800mPasの粘性を有した(Vibroviscometer SV10、Japan)。それは厚く、ずり減粘特性を示さなかった。
【0115】
実施例6
植物ベースの製品を調製すること:オート麦およびエンドウ豆タンパク質、TGおよび化学的酸性化
オート麦予混合を調製した[水1246kg(15-20℃)、オート麦498.5kgおよびBacillus amyloliquefaciens株において生産されたセルラーゼ(エンド-1,4-β-D-グルカナーゼ)(Megazyme)2.54kg]。成分を混合し、10分間膨張するために放置した。エンドウ豆タンパク質、54.63kg(例えばPisane C9またはM9、Cosucra、Belgia)を加えた。粘性が低下するまで、懸濁液を30分間混合中に膨張するために放置した。温水を加えた(90℃)、2410kg。塩3.08kg、ビタミン予混合0.3kg、油25kg、三リン酸カルシウム13.45kg、炭酸カルシウム4.3kgの追加。60℃に加熱しながら、液糖(250kg)を加えた。次に、懸濁液全体の温度が55-65℃に達することができるように、水500kg(90℃)を加えた。デンプン分解酵素を加えた、Mycolase(DSM)15g。そのすぐ後、塊のエバボレーター(脱気)へのポンピングを80-90℃で開始し、次にさらに低温殺菌した。温度を85-88℃に調整し、持続時間を5分とした。温かい塊をホモジェナイズした、200bar。その後、塊を冷却に向けた(42℃)。冷却した塊を容器に回収し、トランスグルタミナーゼ酵素、TG、(Ajinomoto Ltd、Japan)(0.1U/gタンパク質)を加えた。化学的酸性化剤を加えた、GDL(グルコノ-デルタ-ラクトン 0.5-3%)。塊の粘性は約70-160mPasであった。低温殺菌は、速度6000-7900kg/hで実行された。酸性化は、pH4.4-4.57まで続けられた。酸性化された塊を、20℃に冷却した。塊はそのまま、または例えば(18%)香味剤またはジャムを追加して包装された。製品は、包装され、+2から8℃の温度で貯蔵された。製品のテクスチャーおよび香味は、少なくとも60から100日間はよく保存されていた。水は構造から分離されず、保存中に味は酸性化しなかった。得られた製品は約800mPasの粘性を有した(Vibroviscometer SV10、Japan)。それは厚く、ずり減粘特性を示さなかった。
【0116】
実施例7
発酵させた植物ベースの製品を調製すること:オート麦およびエンドウ豆タンパク質、および死滅細菌(TGなし)
オート麦予混合を調製した[水942kg(15-20℃)、オート麦550kgおよび熱安定性のβ-グルカナーゼ1(Sigma Aldrich)2,79kg]。成分を混合し、10分間膨張するために放置した。エンドウ豆タンパク質、306.7kg(例えばPisane C9またはM9、Cosucra、Belgia)を加えた。粘性が低下するまで、懸濁液を30分間混合中に膨張するために放置した。温水を加えた(90℃)、2410kg。塩3.08kg、ビタミン予混合0.3kg、油25kg、三リン酸カルシウム13.45kg、炭酸カルシウム4.3kgの追加。60℃に加熱しながら、液糖(250kg)を加えた。次に、懸濁液全体の温度が55-65℃に達することができるように、水500kg(90℃)を加えた。デンプン分解酵素を加えた、Mycolase(DSM)27.5g。そのすぐ後、塊のエバボレーター(脱気)へのポンピングを80-90℃で開始し、次にさらに低温殺菌した。温度を85-88℃に調整し、持続時間を5分とした。温かい塊をホモジェナイズした、200bar。その後、塊を冷却に向けた(42℃)。冷却した塊を容器に回収し、凍結乾燥したスターターカルチャー(Yo-Mix 205 ja 161)を容器に加え、全体として5袋を0.9% 塩水(約40℃)に溶解した。塊の粘性は約70-160mPasであった。低温殺菌は、速度6000-7900kg/hで実行された。発酵は、pH4.4-4.57まで続けられた。発酵させた塊を20℃に冷却した。塊はそのまま、または例えば(18%)香味剤またはジャムを追加して包装された。製品は、包装され、+2から8℃の温度で貯蔵された。製品のテクスチャーおよび香味は、少なくとも60から100日間はよく保存されていた。水は構造から分離されず、保存中に味は酸性化しなかった。また、微生物は製品によく保存されていた(1x10cfu/g)。得られた製品は、厚い構造および約800mPasの粘性を有した(Vibroviscometer SV10、Japan)。
【0117】
実施例8
発酵させた植物ベースの製品を調製すること:コメおよびジャガイモタンパク質、TGおよび生存細菌
コメ予混合を調製した[水1249kg(15-20℃)、コメ粉498.5kg]。成分を混合し、10分間膨張するために放置した。ジャガイモタンパク質、54.63kg(Solanic 300および300 N、Avebe、NL)を加えた。粘性が低下するまで、懸濁液を30分間混合中に膨張するために放置した。温水を加えた(90℃)、2410kg。塩3.08kg、ビタミン予混合0.3kg、油25kg、三リン酸カルシウム13.45kg、炭酸カルシウム4.3kgの追加。60℃に加熱しながら、液糖(250kg)を加えた。次に、懸濁液全体の温度が58-62℃に達することができるように、水500kg(90℃)を加えた。デンプン分解酵素を加えた、Mycolase(DSM)、12.5g。そのすぐ後、塊のエバボレーター(脱気)へのポンピングを80-90℃で開始し、次にさらに低温殺菌した。温度を85-88℃に調整し、持続時間を5分とした。温かい塊をホモジェナイズした、200bar。その後、塊を冷却に向けた(42℃)。冷却した塊を容器に回収し、凍結乾燥したスターターカルチャー(Yo-Mix 205および161)を容器に加え、全体として5袋を0.9% 塩水(約40℃)に溶解した。加えて、トランスグルタミナーゼ酵素、TG、(Ajinomoto Ltd、Japan)(3U/gタンパク質)を加えた。塊の粘性は約70-160mPasであった。低温殺菌は、速度6000-7900kg/hで実行された。発酵は、pH4.4-4.57まで続けられた。発酵させた塊を20℃に冷却した。塊はそのまま、または例えば(18%)香味剤またはジャムを追加して包装された。製品は、包装され、+2から8℃の温度で貯蔵された。製品のテクスチャーおよび香味は、少なくとも60から100日間はよく保存されていた。水は構造から分離されず、保存中に味は酸性化しなかった。また、微生物は製品によく保存されていた(1x10kpl/g)。得られた製品は約800mPasの粘性を有した(Vibroviscometer SV10、Japan)。それは厚く、ずり減粘特性を示さなかった。
【0118】
実施例9
発酵させた植物ベースの製品を調製すること:コーンおよびジャガイモタンパク質、TGおよび死滅細菌
コーン予混合を調製した[水1249kg(15-20℃)、コーン粉498.5kg]。成分を混合し、10分間膨張するために放置した。エンドウ豆タンパク質、54.63kg(例えばPisane C9またはM9、Cosucra、Belgia)を加えた。粘性が低下するまで、懸濁液を30分間混合中に膨張するために放置した。温水を加えた(90℃)、2410kg。塩3.08kg、ビタミン予混合0.3kg、油25kg、三リン酸カルシウム13.45kg、炭酸カルシウム4.3kgの追加。60℃に加熱しながら、液糖(250kg)を加えた。次に、懸濁液全体の温度が58-62℃に達することができるように、水500kg(90℃)を加えた。デンプン分解酵素を加えた、Mycolase(DSM)15g。そのすぐ後、塊のエバボレーター(脱気)へのポンピングを80-90℃で開始し、次にさらに低温殺菌した。温度を85-88℃に調整し、持続時間を5分とした。温かい塊をホモジェナイズした、200bar。その後、塊を冷却に向けた(42℃)。冷却した塊を容器に回収し、凍結乾燥したスターターカルチャー(Yo-Mix 205および161)を容器に加え、全体として5袋を0.9% 塩水(約40℃)に溶解した。加えて、トランスグルタミナーゼ酵素、TG、(Ajinomoto Ltd、Japan)(5U/gタンパク質)を加えた。塊の粘性は約70-160mPasであった。低温殺菌は、速度6000-7900kg/hで実行された。発酵は、pH4.4-4.57まで続けられた。発酵させた塊を、63から90℃/30秒-1分で低温殺菌し、20℃に冷却した。塊はそのまま、または例えば(18%)香味剤またはジャムを追加して包装された。製品は、包装され、+2から8℃の温度で貯蔵された。製品のテクスチャーおよび香味は、少なくとも60から100日間はよく保存されていた。水は構造から分離されず、保存中に味は酸性化しなかった。得られた製品は約800mPasの粘性を有した(Vibroviscometer SV10、Japan)。それは厚く、ずり減粘特性を示さなかった。
【0119】
実施例10
植物ベースの製品、飲用ヨーグルトを調製すること:オート麦、TGおよび生存細菌
オート麦予混合を調製した[水1529kg(15-20℃)、オート麦270kgおよびFiltrase(DMS)1.37kg]。粘性が低下するまで、懸濁液を30分間混合中に膨張するために放置した。温水を加えた(90℃)、2410kg。塩3.08kg、ビタミン予混合0.3kg、油25kg、三リン酸カルシウム13.45kg、炭酸カルシウム4.3kgの追加。60℃に加熱しながら、液糖(250kg)を加えた。次に、懸濁液全体の温度が58-62℃に達することができるように、水500kg(90℃)を加えた。デンプン分解酵素を加えた、Mycolase(DSM)、16.2g。そのすぐ後、塊のエバボレーター(脱気)へのポンピングを80-90℃で開始し、次にさらに低温殺菌した。温度を85-88℃に調整し、持続時間を5分とした。温かい塊をホモジェナイズした、200bar。その後、塊を冷却に向けた(42℃)。冷却した塊を容器に回収し、凍結乾燥したスターターカルチャー(Yo-Mix 205および161)を容器に加え、全体として5袋を0.9% 塩水(約40℃)に溶解した。加えて、トランスグルタミナーゼ酵素、TG、(0.5U/gタンパク質)を加えた。塊の粘性は70mPas未満であった。低温殺菌は、速度6000-7900kg/hで実行された。発酵は、pH4.4-4.57まで続けられた。発酵させた塊を20℃に冷却した。塊はそのまま、または例えば(18%)香味剤またはジャムを追加して包装された。製品は、包装され、+2から8℃の温度で貯蔵された。製品のテクスチャーおよび香味は、少なくとも60から100日間はよく保存されていた。水は構造から分離されず、保存中に味は酸性化しなかった。また、微生物は製品によく保存されていた(1x10kpl/g)。得られた飲用製品は約70mPasの粘性を有し(Vibroviscometer SV10、Japan)、ずり減粘特性を示さなかった。
【0120】
実施例11
参照例:限定された加水分解 対 「完全な」加水分解
実施例1によるオート麦ベースの製品を調製した(2つの複製:製品Aおよび製品B)。加えて、実施例1によるオート麦ベースの製品を調製したが、Mycolaseの量は500gであった(2つの複製:製品Cおよび製品D)。
【0121】
本願発明の方法によって調製された発酵させた植物ベースの製品の糖レベルを、Colon CarboPac PA1によるDionex ICS-3000により測定した。
【0122】
結果は表2において示すことができる。
表2.糖分析結果
【表2】

【0123】
表において見ることができるように、グルコース、マルトースおよびマルトトリオースは、植物ベースの食品AおよびBに有意な量で存在しなかった。結果として、デンプンは、Mycolase(DSM)処理において小さい糖分子に破壊されなかった。したがって、酵素は、デンプンがなお構造を安定化し、切断性を防止する程度において、デンプンを部分的に破壊するのみである。植物ベースの食品のテクスチャーは、同様の乳製品ベースのヨーグルトの構造と似ていた。テクスチャーは切断性を示さなかった。
【0124】
製品AおよびBのテクスチャー:得られた製品は約800mPasの粘性を有した。それは厚く、ずり減粘特性を示さなかった。テクスチャーおよび香味はよく保存されていた。水はテクスチャーから分離されず、保存中に味は酸性化しなかった。
【0125】
製品CおよびDのテクスチャー:得られた製品は約10mPasの粘性を有した。製品は液体であり、厚いテクスチャーを有した。マルトトリオースおよびマルトースの量は、製品AおよびBの量よりも明らかに高かった。原料からのデンプンは、製品AおよびBと比較してより小さい部分に破壊されており、もはや得られた製品に構造を与えなかった。
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書または図面に記載された発明。
【外国語明細書】