(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088945
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】コンジュゲートさせた生物学的分子、医薬組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20230620BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230620BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230620BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230620BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230620BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230620BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230620BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
A61K47/68 ZNA
A61K39/395 L
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P31/00
A61P37/02
C07K16/30
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023040609
(22)【出願日】2023-03-15
(62)【分割の表示】P 2019527170の分割
【原出願日】2017-11-21
(31)【優先権主張番号】62/424,851
(32)【優先日】2016-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516080655
【氏名又は名称】オービーアイ ファーマ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ニエンツェ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジエン-シーン・ライ
(72)【発明者】
【氏名】ワン-フェン・リー
(72)【発明者】
【氏名】イー-ジュ・チェン
(72)【発明者】
【氏名】イー-チェン・ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】カイ-チュワン・チェン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】グロボ系列の抗原に結合する、抗体又はその抗原結合性断片へとコンジュゲートさせた薬物を含む、抗体薬物コンジュゲート(ADC)、ならびにがんの治療及び診断を含むこれらの使用方法を提供する。
【解決手段】治療剤及びグロボH(Fucα1→2Galβ1→3GalNAcβ1→3 Galα1→4Galβ1→4Glc)に結合する抗体又は抗原結合性断片を含むADCであって、治療剤が、リンカーにより、抗体又は抗原結合性断片へと、共有結合的にコンジュゲートされ、前記抗グロボH抗体が、OBI-888である、ADCを提供する。
【選択図】
図27
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がん細胞の固有の標的である、1つ以上の抗原を含む炭水化物分子。
【請求項2】
抗原が、抗原特異的抗体に、治療剤を、標的がん細胞へと、効果的にもたらすことを可能とする、請求項1に記載の炭水化物分子。
【請求項3】
抗原が、グロボ系列の抗原である、請求項1に記載の炭水化物分子。
【請求項4】
グロボ系列の抗原が、ステージ特異的胚性抗原4(SSEA-4;Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glcβ1)、ステージ特異的胚性抗原3(SSEA-3;Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glcβ1)又はグロボH(Fucα1→2Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glc)である、請求項3に記載の炭水化物分子。
【請求項5】
治療剤が、抗がん毒素、化学療法剤、光力学療法剤又は生物学的薬剤である、請求項2に記載の炭水化物分子。
【請求項6】
がんが、グロボ系列の抗原を発現しているがんである、請求項1に記載の炭水化物分子。
【請求項7】
治療剤及びグロボ系列の抗原に結合する抗体又は抗原結合性断片を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)であって、
治療剤が、リンカーにより、抗体又は抗原結合性断片へと、共有結合的にコンジュゲートされた
ADC。
【請求項8】
式:
Ab-(L-D)n (I)
[式中、1つ以上の治療用薬物部分(D)は、リンカー(L)により、グロボ系列の抗原をターゲティングする抗体である抗体(Ab)へと共有結合的に連結され、nは、1~8の整数である]
を有する、請求項7に記載のADC化合物の混合物を含む組成物。
【請求項9】
抗体が、モノクローナル抗体、抗原結合性断片、キメラ抗体及びヒト化抗体から選択される、請求項7に記載のADC。
【請求項10】
抗原結合性断片が、Fab断片、F(ab’)2断片、Fv断片又はscFv断片である、請求項9に記載のADC。
【請求項11】
抗体が、がん細胞において発現した、グロボ系列の抗原SSEA-4(Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glcβ1)、SSEA-3(Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glcβ1)及び/又はグロボH(Fucα1→2Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glc)のうちの1つ以上をターゲティングする、請求項7に記載のADC。
【請求項12】
抗体が、抗グロボH抗体、抗SSEA3抗体又は抗SSEA4抗体である、請求項7に記載のADC。
【請求項13】
抗グロボH抗体が、OBI-888である、請求項12に記載のADC。
【請求項14】
抗SSEA4抗体が、OBI-898である、請求項12に記載のADC。
【請求項15】
治療剤が、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である、請求項7に記載のADC。
【請求項16】
請求項7に記載のADC化合物又は薬学的に許容されるその塩;及び薬学的に許容される希釈剤、担体又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項17】
グロボ系列の抗原をターゲティングする、他のADCの組合せを含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
請求項8に記載の組成物を作製する方法であって、
Abを、式Iのリンカー試薬と反応させて、抗体-リンカー中間体であるAb-Lを形成し、次いで、Ab-Lを、薬物部分と反応させて、抗体-薬物コンジュゲート化合物の混合物を形成するステップ;又は
薬物部分であるDを、リンカー試薬と反応させて、薬物-リンカー中間体であるD-Lを形成し、次いで、D-Lを、Abと反応させて、抗体-薬物コンジュゲート化合物の混合物を形成するステップ
を含む方法。
【請求項19】
リンカーであるLが、チオ基を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項20】
チオ基が、ジスルフィド架橋の還元により発生する、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
薬物部分であるDが、化学療法剤、光力学療法剤又は生物学的薬剤である、請求項8に記載の組成物。
【請求項22】
光力学療法剤が、フォトフリン、レザフィリン、アミノレブリン酸(ALA)、シリコンフタロシアニンPc4、m-テトラヒドロキシフェニルクロリン(mTHPC)、クロリンe6(Ce6)、アルメラ、レブラン、フォスカン、メトビックス、ヘクスビックス、フォトクロール、フォトセンス、フォトレックス、ルマカン、ビソナック、アムフィネックス、ベルテポルフィン、プルリチン、ATMPn、アエンフタロシアニン(ZnPc)、プロトポルフィリンIX(PpIX)、ピロフェオフォルバイドa(PPa)又はフェオフォルバイド(PhA)から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
薬物部分であるDが、抗増殖剤である、請求項8に記載の組成物。
【請求項24】
抗増殖剤が、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、メルタンシン(DM1)、アントラサイクリン、ピロロベンゾジアゼピン、α-アマニチン、ツブリシン、ベンゾジアゼピン、エルロチニブ、ボルテゾミブ、フルベストラント、スニチニブ、レトロゾール、メシル酸イマチニブ、PTK787/ZK 222584、オキサリプラチン、ロイコボリン、ラパマイシン、ラパチニブ、ロナファルニブ(SARASAR(登録商標)、SCH 66336)、ソラファニブ、ゲフィチニブ、AG1478、AG1571、アルキル化剤;スルホン酸アルキル;アジリジン;エチレンイミン;メチルメラミン;アセトゲニン;カンプトテシン;ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065;クリプトフィシン;ドラスタチン;デュオカルマイシン;エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコチクチイン;スポンジスタチン;クロランブシル;クロルナファジン;シクロホスファミド;エストラムスチン;イホスファミド;メクロレタミン;塩酸メクロレタミンオキシド;メルファラン;ノベムビシン;フェネステリン;プレドニムスチン;トロホスファミド;ウラシルマスタード;カルムスチン;クロロゾトシン;ホテムスチン;ロムスチン;ニムスチン;ラニムスチン;カリケアミシン;ジネミシン;クロドロネート;エスペラミシン;ネオカルチノスタチン発色団;アクラシノマイシン;アクチノマイシン;アントラマイシン;アザセリン;ブレオマイシン;カクチノマイシン;カラビシン;カルミノマイシン;カルジノフィリン;クロモマイシン;ダクチノマイシン;ダウノルビシン;デトルビシン;6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン;ドキソルビシン;エピルビシン;エソルビシン;イダルビシン;マルセロマイシン;マイトマイシン;ミコフェノール酸;ノガラマイシン;オリボマイシン;ペプロマイシン;ポトフィロマイシン;ピューロマイシン;ケラマイシン;ロドルビシン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート;5-フルオロウラシル(5-FU);デノプテリン;プテロプテリン;トリメトレキサート;フルダラビン;6-メルカプトプリン;チアミプリン;チオグアニン;アンシタビン;アザシチジン;6-アザウリジン;カルモフール;シタラビン;ジデオキシウリジン;ドキシフルリジン;エノシタビン;フロクスウリジン;カルステロン;プロピオン酸ドロモスタノロン;エピチオスタノール;メピチオスタン;テストラクトン;アミノグルテチミド;ミトタン;トリロスタン;フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシン;アンサマイトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド;シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド;パクリタキセル;ドセタキセル;クロランブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン;カルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド;イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド又はカペシタビンから選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
対象におけるがんを処置する方法であって、有効量の、請求項7に記載のADCを処置を必要とする対象に投与するステップを含む方法。
【請求項26】
がんが、グロボ系列の抗原を発現しているがんである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
グロボ系列の抗原を発現しているがんが、肉腫、皮膚がん、白血病、リンパ腫、脳腫瘍、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、口腔がん、頭頸部がん、鼻咽頭がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、胆管がん、胆嚢がん、膀胱がん、膵臓がん、腸がん、結腸直腸がん、腎臓がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、睾丸がん、口腔がん、口腔咽頭がん、喉頭がん及び前立腺がんからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
有効量の、グロボ系列の抗原をターゲティングする、他のADCの組合せを、処置を必要とする対象に投与するステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
組合せが、がん処置における相乗効果及び治療有効性の増強をもたらす、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
免疫反応の誘導又は増強を必要とする対象における免疫反応を誘導又は増強する方法であって、
免疫学的に有効量の、請求項20に記載の医薬組成物を投与するステップ、及び:
請求項7に記載のADCを、2回以上投与する手順;
2回の逐次的投与の間の時間間隔及び/若しくは用量レジメンを調整する手順;
投与経路を調整する手順及び/若しくは投与の注射部位を変更する手順;又は
グロボ系列の抗原を含む、他のADCを組み合わせる手順
から選択される手順のうちの1つ以上
を含む方法。
【請求項31】
注射が、免疫応答追加剤の添加により、変更及び/又は補充されうる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
対象が、ヒトである、請求項25、28又は30に記載の方法。
【請求項33】
有効量が、0.01μg~250mgである、請求項25、28又は30に記載の方法。
【請求項34】
有効量が、0.001μg/kg~250mg/kgである、請求項25、28又は30に記載の方法。
【請求項35】
有効量が、配合製剤又は別個の製剤にある、請求項25、28又は30に記載の方法。
【請求項36】
組合せが、免疫反応の誘導又は増強において、相乗効果をもたらす、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
肉腫、皮膚がん、白血病、リンパ腫、脳腫瘍、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、口腔がん、頭頸部がん、鼻咽頭がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、胆管がん、胆嚢がん、膀胱がん、膵臓がん、腸がん、結腸直腸がん、腎臓がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、睾丸がん、口腔がん、口腔咽頭がん、喉頭がん及び前立腺がんからなる群から選択されるがんの処置における使用のための、抗がん剤、免疫抑制剤及び抗感染剤からなる群から選択される、有効量の、さらなる薬剤と組み合わせた使用のための、請求項7に記載の抗体-薬物コンジュゲート化合物。
【請求項38】
肉腫、皮膚がん、白血病、リンパ腫、脳腫瘍、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、口腔がん、頭頸部がん、鼻咽頭がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、胆管がん、胆嚢がん、膀胱がん、膵臓がん、腸がん、結腸直腸がん、腎臓がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、睾丸がん、口腔がん、口腔咽頭がん、喉頭がん又は前立腺がんの処置のための医薬の製造における、請求項7に記載の抗体-薬物コンジュゲート化合物の使用。
【請求項39】
肉腫、皮膚がん、白血病、リンパ腫、脳腫瘍、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、口腔がん、頭頸部がん、鼻咽頭がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、胆管がん、胆嚢がん、膀胱がん、膵臓がん、腸がん、結腸直腸がん、腎臓がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、睾丸がん、口腔がん、口腔咽頭がん、喉頭がん又は前立腺がんの処置のための、抗がん剤、免疫抑制剤及び抗感染剤からなる群から選択される、有効量の、さらなる薬剤と組み合わせた使用のための医薬の製造における、請求項7に記載の抗体-薬物コンジュゲート化合物の使用。
【請求項40】
がん細胞の、ADCへの治療有効性を決定するための方法であって、
細胞を、請求項7に記載のADCへと接触させるステップ;
結合したADCの量に基づき、ADCの、がん細胞への結合の程度を測定するステップ;及び
がん細胞の、ADCへの結合有効性を決定するステップ
を含む方法。
【請求項41】
イメージング剤及びグロボ系列の抗原に結合する抗体又は抗原結合性断片を含む、有効量の、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を投与するステップであって;
イメージング剤が、リンカーにより、抗体又は抗原結合性断片へと、共有結合的にコンジュゲートされているステップ;並びに
対象において、イメージング剤を検出するステップ
を含む、対象をイメージングする方法。
【請求項42】
イメージング剤が、フルオロフォア、色素、MRI造影剤又は放射性核種である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
対象が、がんを有し、がんの転移を検出する方法としてさらに規定される、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
対象が、ヒトである、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
ADCが、グロボ系列の抗原SSEA-4(Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glcβ1)、SSEA-3(Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glcβ1)及び/又はグロボH(Fucα1→2Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glc)をターゲティングする、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
グロボHに結合する抗体-薬物コンジュゲート(ADC)であって、
重鎖可変ドメインが、
配列番号1のアミノ酸配列を有する、第1の重鎖相補性決定領域(HCDR1);
配列番号2のアミノ酸配列を有する、第2の重鎖相補性決定領域(HCDR2);
配列番号3のアミノ酸配列を有する、第3の重鎖相補性決定領域(HCDR3)
を含み、軽鎖可変ドメインが、
配列番号7のアミノ酸配列を有する、第1の軽鎖相補性決定領域(LCDR1);
配列番号8のアミノ酸配列を有する、第2の軽鎖相補性決定領域(LCDR2);
配列番号9のアミノ酸配列を有する、第3の軽鎖相補性決定領域(LCDR3)
を含む抗体を含むADC。
【請求項47】
SSEA-4に結合する抗体-薬物コンジュゲート(ADC)であって、
重鎖可変ドメインが、
配列番号29のアミノ酸配列を有する、第1の重鎖相補性決定領域(HCDR1);
配列番号31のアミノ酸配列を有する、第2の重鎖相補性決定領域(HCDR2);
配列番号33のアミノ酸配列を有する、第3の重鎖相補性決定領域(HCDR3)
を含み、軽鎖可変ドメインが、
配列番号22のアミノ酸配列を有する、第1の軽鎖相補性決定領域(LCDR1);
配列番号24のアミノ酸配列を有する、第2の軽鎖相補性決定領域(LCDR2);
配列番号26のアミノ酸配列を有する、第3の軽鎖相補性決定領域(LCDR3)
を含む抗体を含むADC。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組み込む、2016年11月21日に出願された米国特許仮出願第62/424,851号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)組成物、及びがんを処置するこれらの使用方法へと方向付けられる。本明細書においてまた、病理学的状態を伴う哺乳動物細胞の処置のために、抗体-薬物コンジュゲート化合物を使用する方法についても記載される。本開示は、グロボ系列の抗原(グロボH、SSEA-3及びSSEA-4)に対する抗体及びその結合性断片に関し、抗体及び/又は結合性断片を含む医薬組成物を含む。さらに、ADCを、がん細胞を阻害するのに有効な量で対象に投与するための方法も提供される。
【背景技術】
【0003】
悪性腫瘍細胞において、多数の表面炭水化物が発現する。例えば、炭水化物抗原である、グロボH(Fucα1→2Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glc)は、セラミド連結型糖脂質として最初に単離され、1984年に、乳がんMCF-7細胞から同定された(Bremer E Gら(1984)、J Biol Chem、259:14773~14777頁)。かつての研究はまた、グロボH及びステージ特異的胚性抗原3(Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glcβ1)(また、Gb5とも呼ばれる、SSEA-3)が、乳がん細胞及び乳がん幹細胞において観察されたことも示した(WW Changら(2008)、Proc Natl Acad Sci USA、105(33):11667~11672頁)。加えて、SSEA-4(ステージ特異的胚性抗原4)(Neu5Acα2→3Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glcβ1)も、多能性ヒト胚性幹細胞についての細胞表面マーカーとして、一般に使用されており、間葉系幹細胞を単離し、神経前駆細胞をエンリッチするのに使用されている(Kannagi Rら(1983)、EMBO J、2:2355~2361頁)。これらの知見は、グロボ系列の抗原(グロボH、SSEA-3及びSSEA-4)が、がん治療のための、固有の標的であり、治療剤を、標的がん細胞へと、効果的に方向付けるのに使用されうることを裏づける。がんと関連し、かつ/又はこれを予測する、グリカンマーカーを同定し、広範ながんの診断及び処置における使用のためのマーカーに対する、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を開発することは、大きな目的である。グロボ系列の抗原は、その特異的抗体を、異なるリンカーを介して、治療剤と組み合わせることにより、ADCとしてデザインされうる。
【0004】
細胞傷害剤又は細胞増殖抑制剤、例えば、がんの処置において、腫瘍細胞を死滅させる、又はこれらを阻害する薬物の局所送達のための、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の使用(Syrigos及びEpenetos(1999)、Anti Cancer Research、19:605~614頁;Niculescu-Duvaz及びSpringer(1997)、Adv.Drg.Del.Rev.、26:151~172頁;米国特許第4975278号)は、理論的には、薬物部分の、腫瘍への、ターゲティングされた送達及びこれらの中の細胞内蓄積を可能とするが、これらの非コンジュゲート薬剤の全身投与は、消失することが求められる腫瘍細胞だけでなく、正常細胞に対しても、許容不可能なレベルの毒性を、結果としてもたらしうる(Baldwinら、1986、Lancet(1986年3月15日):603~05頁;Thorpe、1985、「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review」、「Monoclonal Antibodies’84:Biological And Clinical Applications」、A.Pincheraら(編)、475~506頁)。このため、最小限の毒性により、最大限の有効性が求められる。ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体のいずれも、これらの戦略において、有用であると報告されている(Rowlandら、1986、Cancer Immunol.Immunother.、21:183~87頁)。これらの方法において使用される薬物は、ダウノマイシン、ドキソルビシン、メトトレキサート及びビンデシンを含む(Rowlandら、1986、前出)。一部の細胞傷害性薬物は、大型の抗体又はタンパク質受容体リガンドへとコンジュゲートさせると、不活性又は低活性となる傾向がある。
【0005】
アウリスタチンペプチドである、アウリスタチンE(AE)及びモノメチルアウリスタチン(MMAE)、ドラスタチンの合成類似体は、(i)キメラモノクローナル抗体であるcBR96(癌におけるLewis Yに特異的);(ii)血液悪性腫瘍におけるCD30に特異的なcAC10(Klussmanら(2004)、Bioconjugate Chemistry、15(4):765~773頁;Doroninaら(2003)、Nature Biotechnology、21(7):778~784頁、「Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands」;Franciscoら(2003)、Blood、102(4):1458~1465頁;米国公開第2004/0018194号明細書;(iii)CD20を発現させるがん及び免疫障害の処置のための、RITUXAN(登録商標)(WO04/032828)のような抗CD20抗体;(iv)結腸直腸がんの処置のための、抗EphB2抗体である2H9及び抗IL-8(Maoら(2004)、Cancer Research、64(3):781~788頁);(v)E-セレクチン抗体(Bhaskarら(2003)、Cancer Res.、63:6387~6394頁);並びに(vi)他の抗CD30抗体(WO03/043583)へとコンジュゲートされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4975278号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0018194号明細書
【特許文献3】国際公開第2004/032828号
【特許文献4】国際公開第2003/043583号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Bremer E Gら(1984)、J Biol Chem、259:14773~14777頁
【非特許文献2】WW Changら(2008)、Proc Natl Acad Sci USA、105(33):11667~11672頁
【非特許文献3】Kannagi Rら(1983)、EMBO J、2:2355~2361頁
【非特許文献4】Syrigos及びEpenetos(1999)、Anti Cancer Research、19:605~614頁
【非特許文献5】Niculescu-Duvaz及びSpringer(1997)、Adv.Drg.Del.Rev.、26:151~172頁
【非特許文献6】Baldwinら、1986、Lancet(1986年3月15日):603~05頁
【非特許文献7】Thorpe、1985、「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review」、「Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical Applications」、A.Pincheraら(編)、475~506頁
【非特許文献8】Rowlandら、1986、Cancer Immunol.Immunother.、21:183~87頁
【非特許文献9】Klussmanら(2004)、Bioconjugate Chemistry、15(4):765~773頁
【非特許文献10】Doroninaら(2003)、Nature Biotechnology、21(7):778~784頁、「Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands」
【非特許文献11】Franciscoら(2003)、Blood、102(4):1458~1465頁
【非特許文献12】Maoら(2004)、Cancer Research、64(3):781~788頁
【非特許文献13】Bhaskarら(2003)、Cancer Res.、63:6387~6394頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(発明の要旨)
したがって、本開示は、グロボ系列の抗原が、広範ながんにおいて、異常に発現するが、正常細胞において発現しないという発見に基づく。グロボ系列の抗原を発現させるがんは、肉腫、皮膚がん、白血病、リンパ腫、脳腫瘍、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、口腔がん(oral cancer)、頭頸部がん、鼻咽頭がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、胆管がん、胆嚢がん、膀胱がん、膵臓がん、腸がん、結腸直腸がん、腎臓がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、睾丸がん、口腔がん(buccal cancer)、口腔咽頭がん、喉頭がん及び前立腺がんを含むがこれらに限定されない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、本開示は、グロボ系列の抗原に特異的な抗体又はその結合性断片を特色とする。
【0010】
ある特定の実施形態において、抗体は、抗グロボH抗体である。
【0011】
ある特定の実施形態において、抗グロボH抗体は、OBI-888である。例示的なOBI抗体888は、内容が、参照によりその全体において組み込まれている、US2017/0101462(WO2017/062792)において記載されている通りである。
【0012】
ある特定の実施形態において、抗体は、抗SSEA4抗体である。
【0013】
ある特定の実施形態において、抗SSEA4抗体は、OBI-898である。例示的なOBI抗体898は、内容が、参照によりその全体において組み込まれている、US2017/283488(WO2017/172990)において記載されている通りである。
【0014】
一態様において、本発明は、化学療法剤、薬物、増殖阻害剤、毒素(例えば、細菌由来、真菌由来、植物由来、若しくは動物由来の、酵素的に活性の毒素、又はこれらの断片)、又は放射性同位体(すなわち、放射性コンジュゲート)のような細胞傷害剤へとコンジュゲートさせた抗体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を提供する。ある特定の実施形態において、本開示は、グロボ系列の抗原に特異的な抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を特色とする。
【0015】
ある特定の実施形態において、薬物は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。
【0016】
一態様において、本開示は、がん細胞の増殖を阻害するための方法であって、有効量の、例示的なADC(OBI-999)を、処置を必要とする対象に投与するステップを含み、がん細胞の増殖を阻害する方法を提供する。
【0017】
ある特定の実施形態において、本開示は、対象におけるがんを処置する方法であって、有効量の、本明細書において記載されている、例示的なADC(OBI-999)を、処置を必要とする対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0018】
開示された組成物において、ADC及び他の任意関連の構成要素のいずれも、免疫学的有効量において存在する。各特異的ADCに最適な免疫学的有効量は、実験(所与の患者及び/又は処置の種類の特異的特徴を考慮して)により決定されるものとする。一般に、この量は、体重1キログラム当たりの、グロボ系列の抗原を特異的にターゲティングする抗体0.01μg~250mgの範囲である。一部の実施形態において、治療用組成物の治療有効量(すなわち、有効投与量)は、患者の体重1キログラム当たり約0.001μg/kg~約250mg/kg、0.01μg/kg~100mg/kg若しくは0.1μg/kg~50mg/kg又は約0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009;0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09;0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、125、150、175、200、225若しくは250グラム若しくはこれらの数値のマイクログラム若しくは少なくともこれらの数値のグラム若しくはマイクログラムの範囲、又は本明細書において列挙される数のうちのいずれかの間の任意の範囲、又は当業者に明らかであり、不要な実験を伴わずに理解される、他の範囲でありうる。当業者は、疾患若しくは障害の重症度、既往の処置、対象の全般的健康状態又は年齢及び存在する他の疾患を含むがこれらに限定されない、ある特定の因子が、対象を、効果的に処置するのに要請される、投与量及びタイミングに影響しうることを認識する。
【0019】
ある特定の実施形態において、がんは、肉腫、皮膚がん、白血病、リンパ腫、脳腫瘍、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、口腔がん、頭頸部がん、鼻咽頭がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、胆管がん、胆嚢がん、膀胱がん、膵臓がん、腸がん、結腸直腸がん、腎臓がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、睾丸がん、口腔がん、口腔咽頭がん、喉頭がん及び前立腺がんからなる群から選択される。
【0020】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、下記の記載に明示される。本発明の他の特色又は利点は、以下の図面及びいくつかの実施形態についての詳細な記載から明らかであり、また、添付の特許請求の範囲からも明らかである。
【0021】
特許又は出願ファイルは、有色で作成された少なくとも1つの図面を含有する。有色の図面を伴う、本特許又は特許出願刊行物の複製は、これを要望し、必要な手数料を支払えば、特許庁により提供される。
【0022】
本発明についての、より完全な理解は、後続の詳述な記載と共に考慮される場合に、添付の図面の参照により得られうる。図面において例示される実施形態は、本発明を例示することだけを意図するものであり、本発明を、例示された実施形態へと限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】OBI-888(
図1A)及びADC(OBI-999)(
図1B)についての疎水性相互作用クロマトグラム(HIC)を示した図である。
【
図2】OBI-888(
図2A)及びADC(OBI-999)(
図2B)についてのサイズ排除クロマトグラム(SEC)を示した図である。
【
図3】OBI-888及びADC(OBI-999)についてのSDS-PAGE分析を示した図である。レーンM:Novex Sharp Markerであり;レーン1:製剤化緩衝液中の天然OBI-888であり;レーン2:反応緩衝液中の天然OBI-888であり;レーン3:ADC(OBI-999)である。
【
図4A】MCF-7を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスにおける、腫瘍の増殖曲線を示した図である。被験物質は、毎週1回ずつ2週間にわたる、10mg/kgとして投与された。≦42%のT/C値が、媒体群と比較して、有意な抗腫瘍活性(
#)であると考えられた。二元ANOVAに続き、ボンフェローニの事後検定が、媒体群及び被験物質処置群の間の比較のために適用された。差異は、
*p<0.05のときに有意であると考えられる。
【
図4B】MCF-7を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスにおける、腫瘍の増殖曲線を示した図である。被験物質は、毎週1回ずつ6週間にわたる、3、1及び0.3mg/kgの低用量として投与された。≦42%のT/C値が、媒体群と比較して、有意な抗腫瘍活性(
#)であると考えられた。二元ANOVAに続き、ボンフェローニの事後検定が、媒体群及び被験物質処置群の間の比較のために適用された。差異は、
*p<0.05のときに有意であると考えられる。
【
図5A】MCF-7を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスにおける、体重の変化を示した図である。被験物質は、毎週1回ずつ2週間にわたる、10mg/kgとして投与された。≦42%のT/C値が、媒体群と比較して、有意な抗腫瘍活性(
#)であると考えられた。二元ANOVAに続き、ボンフェローニの事後検定が、媒体群及び被験物質処置群の間の比較のために適用された。差異は、
*p<0.05のときに有意であると考えられる。
【
図5B】MCF-7を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスにおける、体重の変化を示した図である。被験物質は、毎週1回ずつ6週間にわたる、3、1及び0.3mg/kgの低用量として投与された。≦42%のT/C値が、媒体群と比較して、有意な抗腫瘍活性(
#)であると考えられた。二元ANOVAに続き、ボンフェローニの事後検定が、媒体群及び被験物質処置群の間の比較のために適用された。差異は、
*p<0.05のときに有意であると考えられる。
【
図6】媒体(25mMのクエン酸ナトリウム、pH6.5+100mMのNaCl)10mL/kgによる、毎週1回ずつ6週間にわたる、静脈内処置の後における、MCF-7腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図7】媒体(25mMのクエン酸ナトリウム、pH6.5+100mMのNaCl)10mL/kgによる、毎週1回ずつ2週間にわたる、静脈内処置の後における、MCF-7腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図8】ADC(OBI-999)10mg/kgによる、毎週1回ずつ2週間にわたる、静脈内処置の後における、MCF-7腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図9】ADC(OBI-999)0.3mg/kgによる、毎週1回ずつ6週間にわたる、静脈内処置の後における、MCF-7腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図10】ADC(OBI-999)1mg/kgによる、毎週1回ずつ6週間にわたる、静脈内処置の後における、MCF-7腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図11】ADC(OBI-999)3mg/kgによる、毎週1回ずつ6週間にわたる、静脈内処置の後における、MCF-7腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図12】OBI-888 10mg/kgによる、毎週1回ずつ2週間にわたる、静脈内処置の後における、MCF-7腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図13】OBI-888 0.3mg/kgによる、毎週1回ずつ6週間にわたる、静脈内処置の後における、MCF-7腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図14】OBI-888 1mg/kgによる、毎週1回ずつ6週間にわたる、静脈内処置の後における、MCF-7腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図15】OBI-888 3mg/kgによる、毎週1回ずつ6週間にわたる、静脈内処置の後における、MCF-7腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図16】MMAE 0.057mg/kgによる、毎週1回ずつ2週間にわたる、静脈内処置の後における、MCF-7腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図17】NCI-N87を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスにおける、腫瘍の増殖曲線を示した図である。媒体及び被験物質は、研究デザインにおいて詳述されている通りに投与された。≦42%のT/C値が、媒体群と比較して、有意な抗腫瘍活性(#)であると考えられた。二元ANOVAに続き、ボンフェローニの事後検定が、媒体群及び被験物質処置群の間の比較のために適用された。差異は、
*p<0.05のときに有意であると考えられる。
【
図18】NCI-N87を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスにおける、体重の変化を示した図である。媒体及び被験物質は、研究デザインにおいて詳述されている通りに投与された。体重は、毎週2回ずつ100日目まで、測定及び記録された。
【
図19】媒体(25mMのクエン酸ナトリウムによる、毎週1回ずつ4週間にわたる、pH6.5+100mMのNaCl)10mL/kg、静脈内処置+媒体(PBSによる、毎週1回ずつ4週間にわたる、pH7.4)10mL/kg、腹腔内処置の後における、NCI-N87腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図20】ADC(OBI-999)1mg/kgによる、毎週1回ずつ4週間にわたる、静脈内処置の後における、NCI-N87腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図21】ADC(OBI-999)3mg/kgによる、毎週1回ずつ4週間にわたる、静脈内処置の後における、NCI-N87腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図22】ADC(OBI-999)10mg/kgによる、毎週1回ずつ4週間にわたる、静脈内処置の後における、NCI-N87腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図23】OBI-888 10mg/kgによる、毎週1回ずつ4週間にわたる、静脈内処置の後における、NCI-N87腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図24】OBI-910(抗CD30 ADC)3mg/kgによる、毎週1回ずつ4週間にわたる、静脈内処置の後における、NCI-N87腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図25】MMAE 0.191mg/kgによる、毎週1回ずつ4週間にわたる、腹腔内処置+OBI-888 10mg/kgによる、毎週1回ずつ4週間にわたる、静脈内処置の後における、NCI-N87腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図26】MMAE 0.191mg/kgによる、毎週1回ずつ4週間にわたる、腹腔内処置の後における、NCI-N87腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図27】NCI-H526を移植された雌ヌード(nu/nu)マウスにおける、腫瘍の増殖曲線を示した図である。媒体及び被験物質は、研究デザインにおいて詳述されている通りに投与された。≦42%のT/C値が、媒体群と比較して、有意な抗腫瘍活性(#)であると考えられた。二元ANOVAに続き、ボンフェローニの事後検定が、媒体群及び被験物質処置群の間の比較のために適用された。差異は、
*p<0.05のときに有意であると考えられる。
【
図28】NCI-H526を移植された雌ヌード(nu/nu)マウスにおける、体重の変化を示した図である。媒体及び被験物質は、研究デザインにおいて詳述されている通りに投与された。体重は、毎週2回ずつ45日目まで、測定及び記録された。
【
図29】媒体(25mMのクエン酸ナトリウムによる、毎週1回ずつ4週間にわたる、pH6.5+100mMのNaCl)10mL/kg、静脈内処置+媒体(PBSによる、毎週1回ずつ4週間にわたる、pH7.4)10mL/kg、腹腔内処置の後における、NCI-H526腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図30】ADC(OBI-999)10mg/kgによる、毎週1回ずつ4週間にわたる、静脈内処置の後における、NCI-H526腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図31】OBI-888 10mg/kgによる、毎週1回ずつ4週間にわたる、静脈内処置の後における、NCI-H526腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図32】MMAE 0.191mg/kgによる、毎週1回ずつ4週間にわたる、腹腔内処置+OBI-888 10mg/kgによる、毎週1回ずつ4週間にわたる、静脈内処置の後における、NCI-H526腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図33】MMAE 0.191mg/kgによる、毎週1回ずつ4週間にわたる、腹腔内処置の後における、NCI-H526腫瘍を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスの写真を示した図である。
【
図34】HPACにより確立された腫瘍を保有する、雄BALB/cヌードマウスの、異なる処置群における、腫瘍の増殖曲線を示した図である。媒体及び被験物質は、研究デザインにおいて詳述されている通りに投与された。データ点は、群の平均値を表し、誤差バーは、平均値の標準誤差(SEM)を表す。
【
図35】HPACにより確立された腫瘍を保有する、雄BALB/cヌードマウスの、異なる処置群の体重の変化を示した図である。媒体及び被験物質は、研究デザインにおいて詳述されている通りに投与された。データ点は、群の体重の平均値を表す。誤差バーは、平均値の標準誤差(SEM)を表す。
【
図36】HPACにより確立された腫瘍を保有する、雄BALB/cヌードマウスの、異なる処置群の写真を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
したがって、広範ながんの診断及び処置における使用のためのマーカーへと方向付けられた、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)による方法及び組成物が提供される。グロボ系列の抗原に結合する抗体又は抗原結合性断片へとコンジュゲートさせた薬物を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)が、開発され、本明細書において開示される。使用方法は、限定せずに述べると、がんの治療及び診断を含む。本明細書において記載されたADCは、広範なグロボ系列の抗原を発現させるがん細胞に結合することが可能であり、これにより、がんの診断及び処置を容易とする。抗体によりターゲティングされうる細胞は、皮膚がん、血液がん、リンパ節がん、脳腫瘍、肺がん、乳腺がん、口腔がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、胆管がん、膵臓がん、結腸がん、腎臓がん、子宮頸がん、卵巣がん、前立腺がんにおける癌のような癌を含む。
【0025】
一般的定義
本発明の実施において、そうでないことが指し示されない限り、当分野の範囲内にある、分子生物学、微生物学、組換えDNA及び免疫学についての従来の技術を援用する。そのような技術は、文献において、完全に説明されている。例えば、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、2版、Sambrook、Fritsch及びManiatis編(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989);「DNA Cloning」、I及びII巻(D.N.Glover編、1985);「Culture Of Animal Cells」(R.I.Freshney,Alan R.Liss,Inc.、1987);「Immobilized Cells And Enzymes」(IRL Press、1986);B.Perbal、「A Practical Guide To Molecular Cloning」(1984);論文集「Methods In Enzymology」(Academic Press,Inc.、N.Y.)、「Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells」(J.H.Miller及びM.P.Calos編、1987、Cold Spring Harbor Laboratory);「Methods In Enzymology」、154及び155巻(Wuら編)、「Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology」(Mayer及びWalker編、Academic Press、London、1987);「Antibodies:A Laboratory Manual」、Harlow及びLane著(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1988)及び「Handbook Of Experimental Immunology」、I~IV巻(D.M.Weir及びC.C.Blackwell編、1986)を参照されたい。
【0026】
本明細書において使用される「グリカン」という用語は、多糖又はオリゴ糖を指す。本明細書において、グリカンはまた、糖タンパク質、糖脂質、糖ペプチド、糖プロテオーム(glycoproteome)、ペプチドグリカン、リポ多糖、又はプロテオグリカンなど、複合糖質の炭水化物部分を指すのにも使用される。グリカンは通例、単糖間のO-グリコシド連結だけからなる。例えば、セルロースとは、β-1,4連結されたD-グルコースから構成されるグリカン(又は、より詳細に、グルカン)であり、キチンとは、β-1,4連結されたN-アセチル-D-グルコサミンから構成されるグリカンである。グリカンは、単糖残基のホモポリマーの場合もあり、ヘテロポリマーの場合もあり、直鎖状の場合もあり、分枝状の場合もある。グリカンは、糖タンパク質及びプロテオグリカンにおける場合と同様に、タンパク質に付着して見出される場合もある。グリカンは一般に、細胞の外部表面において見出される。O連結型グリカン及びN連結型グリカンは、真核生物において、極めて一般的であるが、また、原核生物においても、それほど一般的ではないが、見出されうる。N連結型グリカンは、シークォン(sequon)におけるアスパラギンのR基窒素(N)に付着して見出される。シークォンとは、Asn-X-Ser配列又はAsn-X-Thr配列(配列中、Xは、プロリンを除く任意のアミノ酸である)である。
【0027】
本明細書において使用される「抗原」という用語は、免疫応答を誘発することが可能な、任意の物質として規定される。
【0028】
本明細書において使用される「免疫原性」という用語は、免疫原、抗原又はワクチンが、免疫応答を刺激する能力を指す。
【0029】
本明細書において使用される「エピトープ」という用語は、抗体又はT細胞受容体の抗原結合性部位に接触する、抗原分子の部分として規定される。
【0030】
本明細書において使用される「ワクチン」という用語は、全病原生物(死滅させるか又は弱毒化した)又はそのような生物の構成要素であって、生物が引き起こす疾患に対する免疫を付与するのに使用される、タンパク質、ペプチド又は多糖のような構成要素からなる抗原を含有する調製物を指す。ワクチン調製物は、天然の場合もあり、合成の場合もあり、組換えDNA技術により導出される場合もある。
【0031】
本明細書において使用される「抗原特異的」という用語は、特定の抗原又は抗原の断片の供給が、特異的な細胞増殖を結果としてもたらすような、細胞集団の特性を指す。
【0032】
本明細書において使用される「~に特異的に結合すること」という用語は、結合対(例えば、抗体及び抗原)の間の相互作用を指す。多様な場合において、「~に特異的に結合すること」は、1リットル当たり約10-6モル、1リットル当たり約10-7モル若しくは1リットル当たり約10-8モル又はこれ未満のアフィニティー定数により実現されうる。
【0033】
本明細書において使用される「実質的に同様な」、「実質的に同じ」、「同等な」、又は「実質的に同等な」という語句は、2つの値(例えば、一方の数値が分子と関連し、及び他方の数値が参照/比較対照分子と関連する)の間の差異が、前記値(例えば、Kd値、抗ウイルス効果など)により測定される生物学的特徴の文脈内において、生物学的有意性及び/又は統計学的有意性を、ほとんど又は全く有さないと当業者が考えるような、2つの数値の間の十分に高い類似性を表す。2つの値の間の差異は、例えば、参照/比較対照分子についての値の関数として、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満及び/又は約10%未満である。
【0034】
本明細書において使用される「実質的に低減された」又は「実質的に異なる」という語句は、当業者が、2つの値の間の差異を、前記値(例えば、Kd値)により測定される生物学的特徴の文脈内において、統計学的有意性を有すると考えるように、2つの数値(例えば、分子と関連する、一方の数値及び参照/比較対照分子と関連する、他方の数値)の間の、十分に高い類似性を表す。2つの値の間の差異は、例えば、参照/比較対照分子についての値の関数として、約10%を超える、約20%を超える、約30%を超える、約40%を超える、及び/又は約50%を超える。
【0035】
「結合アフィニティー」とは一般に、分子(例えば、抗体)の単一の結合性部位と、その結合パートナー(例えば、抗原)との非共有結合的相互作用の全合計の強度を指す。そうでないことが指し示されない限りにおいて、本明細書において使用される「結合アフィニティー」とは、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)の間の1:1の相互作用を反映する、内因性の結合アフィニティーを指す。分子Xの、そのパートナーYに対するアフィニティーは一般に、解離定数(Kd)により表されうる。アフィニティーは、本明細書において記載される方法を含む、当分野において公知の一般的な方法により測定されうる。低アフィニティー抗体は一般に、抗原への結合が緩徐であり、たやすく解離する傾向があるのに対し、高アフィニティー抗体は一般に、抗原への結合が迅速であり、結合を長く維持する傾向がある。当分野において、結合アフィニティーを測定する様々な方法が公知であり、これらの方法のうちのいずれかが、本発明の目的のために使用されうる。以下において、特殊な例示的実施形態が記載される。
【0036】
「抗体」(Ab)及び「免疫グロブリン」(Ig)は、同じ構造的特徴を有する糖タンパク質である。抗体が、特異的抗原に対する結合特異性を呈示するのに対し、免疫グロブリンは、抗体及び一般に、抗原特異性を欠く、他の抗体様分子の両方を含む。後者の種類のポリペプチドは、例えば、リンパ系により、低レベルにおいて産生され、骨髄腫により、高レベルにおいて産生される。
【0037】
「抗体」及び「免疫グロブリン」という用語は、最も広い意味において、互換的に使用され、モノクローナル抗体(例えば、全長モノクローナル抗体又は無傷モノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、一価、多価抗体、多特異性抗体(例えば、所望の生物学的活性を呈示する限りにおける、二特異性抗体)を含み、また、ある特定の抗体断片(本明細書において、詳細に記載されている)も含みうる。抗体は、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体及び/又はアフィニティー成熟抗体でありうる。
【0038】
抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。これらのドメインは一般に、抗体の、最も可変的な部分であり、抗原結合性部位を含有する。
【0039】
「可変」という用語は、可変ドメインのある特定の部分が、抗体間の配列において大幅に異なり、各特定の抗体の、その特定の抗原に対する結合及び特異性において使用されるという事実を指す。しかし、可変性は、抗体の可変ドメインを通して、均等に配分されているわけではない。可変性は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインの両方において、相補性決定領域(CDR)又は超可変領域と呼ばれる、3つのセグメントに集中している。可変ドメインのうちの、より高度に保存的な部分は、フレームワーク(FR)と呼ばれている。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、4つずつのFR領域を含み、FR領域は、大部分が、3つのCDRにより接続されているベータシート立体配置をとり、CDRは、ベータシート構造に接続し、かつ場合によってはベータシート構造の一部分を形成する、ループを形成する。各鎖におけるCDRは、FR領域により、一体に近接して保持され、他の鎖に由来するCDRと共に、抗体の抗原結合性部位の形成に寄与する(Kabatら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合には直接関与せず、抗体の、抗体依存性細胞毒性への関与など、多様なエフェクター機能を呈示する。
【0040】
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる、2つの同一な抗原結合性断片を生じ、これらは各々が、単一の抗原結合性部位(antigen-binding site)及び残りの「Fc」断片(たやすく結晶化する能力を反映する呼称である)を有する。ペプシン処理は、2つの抗原結合性部位(antigen-combining site)を有しかつ抗原を架橋することがなお可能なである、F(ab’)2断片をもたらす。
【0041】
「Fv」とは、完全な抗原認識部位及び抗原結合性部位を含有する、最小の抗体断片である。二本鎖Fv分子種において、この領域は、緊密な非共有結合的会合下にある、1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。単鎖Fv分子種において、1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインは、軽鎖及び重鎖が、二本鎖Fv分子種における構造と類似の「二量体」構造において会合しうるように、可撓性のペプチドリンカーにより、共有結合的に連結されうる。各可変ドメインの3つずつのCDRが相互作用して、VH-VL二量体の表面上において、抗原結合性部位を規定するのは、この立体配置においてである。併せて、6つのCDRは、抗原結合特異性を、抗体に付与する。しかし、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRだけを含むFvの半分)であってもなお、結合性部位全体より小さなアフィニティーではあるが、抗原を認識し、抗原に結合する能力を有する。
【0042】
Fab断片はまた、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)も含有する。Fab’断片は、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端における、少数の残基の付加によって、Fab断片と異なっており、この残基は、抗体のヒンジ領域に由来する1つ以上のシステインを含む。Fab’-SHとは、定常ドメインのシステイン残基が、遊離チオール基を持つFab’のための、本明細書における呼称である。F(ab’)2抗体断片は、元は、それらの間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として作製された。また、抗体断片の他の化学的カップリングも公知である。
【0043】
任意の脊椎動物種に由来する抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」とは、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる、2つの明確に異なる種類のうちの1つへと割り当てられうる。
【0044】
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体(免疫グロブリン)は、異なるクラスへと割り当てられうる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMが存在し、これらのクラスのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2へとさらに分けられうる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する、重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元配置については周知であり、例えば、Abbasら、「Cellular and Mol.Immunology」、4版(2000)において、一般に記載されている。抗体は、抗体の、1つ以上の他のタンパク質又はペプチドとの共有結合的会合又は非共有結合的会合により形成される、より大型の融合分子の部分でありうる。
【0045】
本明細書において、「全長抗体」、「無傷抗体」及び「全抗体」という用語は、下記において規定される抗体断片ではなく、その実質的な無傷形態にある抗体を指すように、互換的に使用される。用語は特に、Fc領域を含有する重鎖を伴う抗体を指す。
【0046】
「抗体断片」は、無傷抗体の一部分だけを含み、この場合、当該部分は、当該部分が無傷抗体に存在する場合に当該部分と通常関連する機能の少なくとも1つ、及び大半又は全部に及ぶ、機能を保持する。一実施形態において、抗体断片は、無傷抗体の抗原結合性部位を含み、これにより、抗原に結合する能力を保持する。別の実施形態において、抗体断片、例えば、Fc領域を含む抗体断片は、FcRnへの結合、抗体半減期のモジュレーション、ADCC機能、及び補体への結合など、無傷抗体に存在する場合に、Fc領域と通常関連する生体機能のうちの少なくとも1つを保持する。一実施形態において、抗体断片は、無傷抗体とインビボ半減期が実質的に同様である、一価抗体である。例えば、このような抗体断片は、インビボにおける安定性を断片に付与することが可能なFc配列へと連結された抗原結合性アームを含みうる。
【0047】
本明細書において使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られた抗体を指す、すなわち、集団を構成する個別の抗体は、少量で存在しうる、可能な自然発生の突然変異を除き、同一である。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、個別の抗体の混合物ではないものとしての抗体の性質を指し示す。このようなモノクローナル抗体は、標的に結合するポリペプチド配列を含む抗体を含み、この場合、標的結合性ポリペプチド配列は、単一の標的結合性ポリペプチド配列の、複数のポリペプチド配列からの選択を含む工程により得られたものであることが典型的である。例えば、選択工程は、固有のクローンの、ハイブリドーマクローン、ファージクローン又は組換えDNAクローンのプールなど、複数のクローンからの選択でありうる。選択された標的結合性配列は、例えば、標的に対するアフィニティーを改善し、標的結合性配列をヒト化し、細胞培養物中のその産生を改善し、インビボにおけるその免疫原性を低減し、多特異性抗体を創出するなどするように、さらに変更される場合があり、変更された標的結合性配列を含む抗体もまた、本発明のモノクローナル抗体であることを理解されたい。異なる決定基(エピトープ)に対して方向付けられた、異なる抗体を含むことが典型的なポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原における、単一の決定基に対して方向付けられている。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体調製物は典型的に、他の免疫グロブリンにより夾雑されていないという点でも有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体の集団から得られたものとしての抗体の性質を指し示すものであり、任意の特定の方法による抗体の作製を要請するとはみなされないものとする。例えば、本発明に従い使用されるモノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ方法(例えば、Kohlerら、Nature、256:495(1975);Harlowら、「Antibodies:A Laboratory Manual」、(Cold Spring Harbor Laboratory Press、2版、1988);Hammerlingら、「Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas」、563~681頁(Elsevier、N.Y.、1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clacksonら、Nature、352:624~628頁(1991);Marksら、J.Mol.Biol.、222:581~597頁(1992);Sidhuら、J.Mol.Biol.、338(2):299~310頁(2004);Leeら、J.Mol.Biol.、340(5):1073~1093頁(2004);Fellouse、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、101(34):12467~12472頁(2004)及びLeeら、J.Immunol.Methods、284(1~2):119~132頁(2004)を参照されたい)、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座又はヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部又は全部を有する動物において、ヒト抗体又はヒト様抗体を作製するための技術(例えば、WO98/24893;WO96/34096;WO96/33735;WO91/10741;Jakobovitsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:2551(1993);Jakobovitsら、Nature、362:255~258頁(1993);Bruggemannら、Year in Immunol.、7:33(1993);米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,661,016号;Marksら、Bio.Techlonogy、10:779~783頁(1992);Lonbergら、Nature、368:856~859頁(1994);Morrison、Nature、368:812~813頁(1994);Fishwildら、Nature Biotechnol.、14:845~851頁(1996);Neuberger、Nature Biotechnol.、14:826(1996)並びにLonberg及びHuszar、Intern.Rev.Immunol.、13:65~93頁(1995)を参照されたい)を含む、様々な技術により作製されうる。
【0048】
本明細書のモノクローナル抗体は、より詳細には、重鎖及び/又は軽鎖の部分が、特定の種に由来する抗体又は特定の抗体クラス若しくは抗体サブクラスに属する抗体における対応する配列と同一又は相同である一方、鎖の残りの部分は、別の種に由来する抗体又は別の抗体クラス若しくは抗体サブクラスに属する抗体における対応する配列と同一又は相同である、「キメラ」抗体のほか、所望の生体活性を呈示する限りにおいて、このような抗体の断片(米国特許第4,816,567号;及びMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA、81:6851~6855頁(1984))も含む。
【0049】
本発明の抗体はまた、本発明の抗体から作出された、キメラ化モノクローナル抗体又はヒト化モノクローナル抗体も含む。
【0050】
抗体は、全長の場合もあり、抗体断片から形成された、Fab、F(ab’)2、Fab’、F(ab)’、Fv、単鎖Fv(scFv)、二価scFv(bi-scFv)、三価scFv(tri-scFv)、Fd、dAb断片(例えば、Wardら、Nature、341:544~546頁(1989))、CDR、ダイアボディー、トリアボディー、テトラボディー、直鎖状抗体、単鎖抗体分子及び多特異性抗体を含むがこれらに限定されない、抗原結合性部分を有する、抗体の1つの断片(又は複数の断片)を含む場合もある。組換え方法又は合成リンカーを使用して、抗体断片を接続することにより作製される単鎖抗体もまた、本発明により包摂される(Birdら、Science、1988、242:423~426頁;Hustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1988、85:5879~5883頁)。
【0051】
本発明の抗体又はその抗原結合性部分は、単一特異性の場合もあり、二特異性の場合もあり、多特異性の場合もある。
【0052】
IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、IgM、IgA(IgA1、IgA2)、IgD又はIgE(全てのクラス及びサブクラスが、本発明に包摂される)を含む、全ての抗体アイソタイプが、本発明に包摂される。抗体又はその抗原結合性部分は、哺乳動物(例えば、マウス、ヒト)抗体又はその抗原結合性部分でありうる。抗体の軽鎖は、カッパ型の軽鎖の場合もあり、ラムダ型の軽鎖の場合もある。
【0053】
したがって、本発明の抗がん抗体は、重鎖可変領域又は軽鎖可変領域と組み合わせて、本発明の抗体へと組み込まれうる、非マウスの由来であり、好ましくは、ヒト由来である、重鎖又は軽鎖の定常領域、フレームワーク領域、又はこれらの任意の部分を含む。
【0054】
重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が、参照抗体により作製される抗体の、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%以上、少なくとも約88%以上、少なくとも約89%以上、少なくとも約90%以上、少なくとも約91%以上、少なくとも約92%以上、少なくとも約93%以上、少なくとも約94%以上、少なくとも約95%以上、少なくとも約96%以上、少なくとも約97%以上、少なくとも約98%以上、少なくとも約99%以上又は約100%相同な抗体はまた、グロボ系列の抗原(グロボH、SSEA-3及びSSEA-4)にも結合しうる。相同性は、アミノ酸配列のレベルにおいて存在する場合もあり、ヌクレオチド配列のレベルにおいて存在する場合もある。
【0055】
抗体又は抗原結合性部分は、ペプチドでありうる。このようなペプチドは、生物学的活性、例えば、炭水化物抗原への結合を呈示するペプチドの、変異体、類似体、オーソログ、相同体及び誘導体を含みうる。ペプチドは、1つ以上のアミノ酸の類似体(例えば、非自然発生のアミノ酸、非類縁の生物学的系だけにおいて自然発生するアミノ酸、哺乳動物系に由来する修飾アミノ酸などを含む)、置換された連結のほか、当分野で公知の他の修飾を伴うペプチドを含有しうる。
【0056】
特異的アミノ酸が置換された、欠失した、又は付加された、抗体又はその抗原結合性部分もまた、本発明の範囲内にある。例示的な実施形態において、これらの変更は、結合アフィニティーなど、ペプチドの生物学的特性に対して、実質的な効果を及ぼさない。別の例示的な実施形態において、抗体は、抗原に対する抗体の結合アフィニティーを改善するなどのために、フレームワーク領域に、アミノ酸置換を有しうる。さらに別の例示的な実施形態において、選択された少数のアクセプターフレームワーク残基は、対応するドナーアミノ酸により置きかえられうる。ドナーフレームワークは、成熟ヒト抗体のフレームワーク配列若しくはコンセンサス配列又はヒト生殖細胞株列抗体のフレームワーク配列若しくはコンセンサス配列でありうる。表現型的にサイレントのアミノ酸置換をどのようにして施すのかについての指針は、Bowieら、Science、247:1306~1310頁(1990);Cunninghamら、Science、244:1081~1085頁(1989);Ausubel(編)、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley and Sons、Inc.(1994);T. Maniatis、E.F.Fritsch及びJ.Sambrook、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor laboratory、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989);Pearson、Methods Mol.Biol.、243:307~31頁(1994);Gonnetら、Science、256:1443~45頁(1992)において提供されている。
【0057】
抗体又はその抗原結合性部分は、誘導体化することもでき、別の機能的分子へと、連結することもできる。例えば、抗体は、別の抗体、検出用薬剤、細胞傷害剤、医薬剤、別の分子(ストレプトアビジンコア領域又はポリヒスチジンタグのような)との会合を媒介しうる、タンパク質若しくはペプチド、アミノ酸リンカー、シグナル配列、免疫原性担体、又はグルタチオン-S-トランスフェラーゼ、ヒスチジンタグ及びブドウ球菌のプロテインAのような、タンパク質の精製において有用なリガンドのような、1つ以上の他の分子的実体へと、機能的に連結されうる(化学的カップリング、遺伝子融合、非共有結合的相互作用などにより)。1つの種類の誘導体化タンパク質は、2つ以上のタンパク質(同じ種類又は異なる種類の)を架橋することにより作製される。適切な架橋剤は、適切なスペーサー(例えば、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)又はホモ二官能性(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)により隔てられた、2つの顕著に異なる反応性基を有する、ヘテロ二官能性の架橋剤を含む。このようなリンカーは、Pierce Chemical Company、Rockford、Illから市販されている。タンパク質が誘導体化されうる(又は標識されうる)のに有用な検出用薬剤は、蛍光化合物、多様な酵素、補欠分子群、発光材料、生物発光材料及び放射性材料を含む。非限定的な例示的蛍光検出用薬剤は、フルオレセイン、イソチオシアン酸フルオレセイン、ローダミン及びフィコエリトリンを含む。タンパク質又は抗体はまた、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、グルコースオキシダーゼなどのような検出用酵素によっても誘導体化されうる。タンパク質はまた、補欠分子群(例えば、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチン)によっても誘導体化されうる。
【0058】
本抗体又はその抗原結合性部分の、機能的に活性の変異体をコードする核酸もまた、本発明に包摂される。これらの核酸分子は、中程度のストリンジェンシー条件、高度のストリンジェンシー条件又は極めて高度のストリンジェンシー下において、本抗体又はその抗原結合性部分のうちのいずれかをコードする核酸とハイブリダイズしうる。ハイブリダイゼーション反応を実施するための指針は、参照により本明細書に組み込む、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley & Sons、N.Y.、6.3.1~6.3.6、1989において見出されうる。本明細書において言及される、詳細なハイブリダイゼーション条件は、以下の通り:1)中程度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件:約45℃における、6倍濃度のSSCに続く、0.2倍濃度のSSC、0.1%のSDS中、60℃における、1回以上の洗浄;2)高度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件:約45℃における、6倍濃度のSSCに続く、0.2倍濃度のSSC、0.1%のSDS中、65℃における、1回以上の洗浄;3)極めて高度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件:65℃における、0.5Mのリン酸ナトリウム、7%のSDSに続く、0.2倍濃度のSSC、1%のSDS、65℃における、1回以上の洗浄である。
【0059】
本抗体又はその抗原結合性部分をコードする核酸は、適切な発現系において発現しうる発現ベクターへと導入されるのに続き、発現した抗体又はその抗原結合性部分の単離又は精製が行われうる。任意選択的に、本抗体又はその抗原結合性部分をコードする核酸は、無細胞翻訳系において翻訳されうる(米国特許第4,816,567号;Queenら、Proc Natl Acad Sci USA、86:10029~10033頁(1989))。
【0060】
本抗体又はその抗原結合性部分は、所望の抗体の軽鎖及び重鎖(又はこれらの部分)をコードするDNAにより形質転換された宿主細胞により作製されうる。抗体は、標準的な技術を使用して、これらの培養物上清及び/又は細胞から、単離及び精製されうる。例えば、宿主細胞は、抗体の軽鎖、重鎖又はこれらの両方をコードするDNAにより形質転換されうる。組換えDNA技術はまた、結合に必要でない軽鎖及び重鎖、例えば、定常領域の一方又は両方のうちの、一部又は全部をコードするDNAを除去するのにも使用されうる。
【0061】
本核酸は、原核細胞及び真核細胞、例えば、細菌細胞、(例えば、E.コリ(E.coli))、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞及び哺乳動物細胞を含む、多様な適切な細胞において発現しうる。当分野において、いくつかの哺乳動物細胞株が公知であり、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な不死化細胞株を含む。細胞の非限定例は、サル腎臓細胞(COS、例えば、COS-1、COS-7)、HEK293、ベビーハムスター腎臓(BHK、例えば、BHK21)、チャイニースハムスター卵巣(CHO)、NSO、PerC6、BSC-1、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、HepG2)、SP2/0、HeLa、Madin-Darbyウシ腎臓(MDBK)、骨髄腫細胞及びリンパ腫細胞の親細胞、派生体及び/又は操作された変異体を含むがこれらに限定されない、哺乳動物由来である、又は哺乳動物様の特徴を有する、全ての細胞株を含む。操作された変異体は、例えば、グリカンプロファイル修飾誘導体及び/又は部位特異的組込み部位誘導体を含む。
【0062】
本発明はまた、本明細書において記載された核酸を含む細胞も提供する。細胞は、ハイブリドーマの場合もあり、トランスフェクタントの場合もある。
【0063】
代替的に、本抗体又はその抗原結合性部分は、当分野で周知の固相手順により合成されうる(「Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach」、E.Atherton及びR.C.Sheppard、Oxford University Press、IRL刊(1989);「Methods in Molecular Biology」、35巻:「Peptide Synthesis Protocols」(M.W.Pennington及びB.M.Dunn編)、7章、「Solid Phase Peptide Synthesis」、2版、Pierce Chemical Co.、Rockford、IL(1984);G.Barany及びR.B.Merrifield、「Peptides:Analysis,Synthesis,Biology」、E.Gross及びJ.Meienhofer編、1巻及び2巻、Academic Press、New York(1980)、3~254頁;M.Bodansky、「Principles of Peptide Synthesis」、Springer-Verlag、Berlin(1984))。
【0064】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態とは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含有するキメラ抗体である。一実施形態において、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域に由来する残基が、所望の特異性、アフィニティー及び/又は能力を有する、マウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長動物のような、非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域に由来する残基により置きかえられた、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によって、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)の残基が、対応する非ヒト残基により置きかえられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体において見出されない残基を含みうる。これらの修飾は、抗体の効能をさらに精緻化するようになされる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つであり、典型的には2つの可変ドメインであって、超可変ループのうちの全て又は実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FRのうちの全て又は実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン配列のFRである、可変ドメインのうちの実質的に全てを含む。ヒト化抗体はまた、任意選択的に、免疫グロブリン定常領域(Fc)のうちの少なくとも一部、典型的には、ヒト免疫グロブリンのFcのうちの少なくとも一部も含む。さらなる詳細については、Jonesら、Nature、321:522~525頁(1986);Riechmannら、Nature、332:323~329頁(1988)及びPresta、Curr.Op.Struct.Biol.、2:593~596頁(1992)を参照されたい。また、以下の総説論文:Vaswani及びHamilton、Ann.Allergy,Asthma & Immunol.、1:105~115頁(1998);Harris、Biochem.Soc.Transactions、23:1035~1038頁(1995);Hurle及びGross、Curr.Op.Biotech.、5:428~433頁(1994)並びにこれらの中で引用されている参考文献も参照されたい。
【0065】
本明細書において使用される場合の「超可変領域」、「HVR」、又は「HV」という用語は、配列が超可変的である、抗体可変ドメインの領域及び/又は構造的に規定されたループを形成する、抗体可変ドメインの領域を指す。一般に、抗体は、6つの超可変領域:VHにおける3つ(H1、H2、H3)及びVLにおける3つ(L1、L2、L3)を含む。多数の超可変領域の描写が使用されており、本明細書に包摂される。Kabatによる相補性決定領域(CDR)は、配列可変性に基づき、最も一般に使用されている(Kabatら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991))。これとは別に、Chothiaは、構造ループの位置に言及する(Chothia及びLesk、J.Mol.Biol.、196:901~917頁(1987))。
【0066】
「フレームワーク」残基又は「FW」残基とは、本明細書において規定された超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
【0067】
「Kabatによる可変ドメイン残基の番号付け」又は「Kabatによるアミノ酸位置の番号付け」という用語、及びこれらの変化形は、Kabatら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991)において集成された抗体の重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインについて使用されている番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを使用すると、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFR又はHVRの短縮又はこれらへの挿入に対応する、少数のアミノ酸又はさらなるアミノ酸を含有する場合がある。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後における単一のアミノ酸の挿入(Kabatに従う残基52a)及び重鎖FRの残基82の後における残基の挿入(例えば、Kabatに従う残基82a、82b及び82cなど)を含みうる。Kabatによる残基の番号付けは、所与の抗体について、抗体の配列相同性領域における、「標準的な」Kabat番号付け配列とのアライメントにより決定されうる。
【0068】
「単鎖Fv」抗体断片又は「scFv」抗体断片は、抗体のVHドメイン及びVLドメインを含み、この場合、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖に存在する。一般に、scFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間のポリペプチドリンカーであって、scFvが、抗原への結合に所望の構造を形成することを可能とするポリペプチドリンカーをさらに含む。scFvの総説については、Pluckthun、「The Pharmacology of Monoclonal Antibodies」、113巻、Rosenburg及びMoore編、Springer-Verlag、New York、269~315頁(1994)を参照されたい。
【0069】
「ダイアボディー」という用語は、2つの抗原結合性部位を有する小型の抗体断片であって、同じポリペプチド鎖において、軽鎖可変ドメイン(VL)へと接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む断片(VH-VL)を指す。同じ鎖における2つのドメイン間の対合を可能とするには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは、別の鎖の相補性ドメインと対合し、2つの抗原結合性部位を創出するように強いられる。ダイアボディーについては、例えば、EP404,097;WO93/1161;及びHollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA、90:6444~6448頁(1993)においてより十全に記載されている。
【0070】
「ヒト抗体」とは、ヒトにより産生される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を保有し、かつ/又は本明細書において開示された、ヒト抗体を作製するための技術のうちのいずれかを使用して作られた抗体である。詳細に述べると、ヒト抗体についてのこの定義は、非ヒト抗原結合性残基を含むヒト化抗体を除外する。
【0071】
「アフィニティー成熟」抗体とは、その1つ以上のHVRにおける、1つ以上の変更であって、これらの変更を有さない親抗体と比較して、抗体の抗原に対するアフィニティーの改善を結果としてもたらす変更を伴う抗体である。一実施形態において、アフィニティー成熟抗体は、標的抗原に対して、ナノモル単位、又はさらにピコモル単位のアフィニティーを有する。アフィニティー成熟抗体は、当分野において公知の手順により作製される。Marksら、Bio/Technology、10:779~783頁(1992)は、VHドメイン及びVLドメインのシャフリングによるアフィニティー成熟について記載している。CDR残基及び/又はフレームワーク残基に対するランダム突然変異誘発については、Barbasら、Proc Nat.Acad.Sci.USA、91:3809~3813頁(1994);Schierら、Gene、169:147~155頁(1995);Yeltonら、J.Immunol.、155:1994~2004頁(1995);Jacksonら、J.Immunol.、154(7):3310~9頁(1995)及びHawkinsら、J.Mol.Biol.、226:889~896頁(1992)により記載されている。
【0072】
「遮断」抗体又は「アンタゴニスト」抗体とは、結合する抗原の生物学的活性を阻害又は低減する抗体である。ある特定の遮断抗体又はアンタゴニスト抗体は、抗原の生物学的活性を実質的又は完全に阻害する。
【0073】
本明細書において使用される「アゴニスト抗体」とは、目的のポリペプチドの機能的活性のうちの少なくとも1つを模倣する抗体である。
【0074】
「障害」とは、本発明の抗体による処置から利益を得る、任意の状態である。「障害」は、哺乳動物に、問題の障害への素因を与える病理学的状態を含む、慢性障害及び急性障害又は慢性疾患及び急性疾患を含む。本明細書において処置される障害の非限定的な例は、がんを含む。
【0075】
「細胞増殖性障害」及び「増殖性障害」という用語は、何らかの程度の異常な細胞増殖と関連する障害を指す。一実施形態では、細胞増殖性障害は、がんである。
【0076】
本明細書において使用される「腫瘍」とは、悪性であれ、良性であれ、全ての新生物性細胞増殖(growth及びproliferation)を指し、全ての前がん性細胞及び前がん性組織並びにがん性細胞及びがん性組織を指す。本明細書において言及される通り、「がん」、「がん性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」及び「腫瘍」という用語は、相互に除外的ではない。
【0077】
「がん」及び「がん性」という用語は、哺乳動物における生理学的状態であって、典型的には、調節不能の細胞増殖(growth/proliferation)を特徴とする生理学的状態を指す、又はこれについて記載する。がんの例は、癌、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫)、芽細胞腫、肉腫及び白血病を含むがこれらに限定されない。このようながんのより特定の例は、扁平上皮がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺癌、肺扁平上皮癌、腹膜がん、肝細胞がん、消化器がん、膵臓がん、神経膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、ヘパトーマ、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜癌又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓がん、肝臓がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝癌、白血病及び他のリンパ増殖性障害並びに多様な種類の頭頸部がんを含む。
【0078】
本明細書において使用される「処置」とは、処置される個体又は細胞の天然の経過を変更しようとする試みにおける臨床的介入を指し、予防のために実施される場合もあり、臨床病態の経過中に実施される場合もある。処置の所望の効果は、疾患の発症又は再発の防止、症状の緩和、疾患の任意の直接的又は間接的な病理学的帰結の減少化、炎症及び/又は組織/器官損傷の防止又は減少化、疾患の進行速度の減少化、疾患状態の改善(amelioration)又は軽減及び寛解又は予後の改善(improved)を含む。一部の実施形態において、本発明の抗体は、疾患又は障害の発症を遅延させるのに使用される。
【0079】
「個体」又は「対象」とは、脊椎動物である。ある特定の実施形態において、脊椎動物は、哺乳動物である。哺乳動物は、農場動物(ウシなど)、競技動物、愛玩動物(ネコ、イヌ、及びウマなど)、霊長動物、マウス及びラットを含むがこれらに限定されない。ある特定の実施形態において、脊椎動物は、ヒトである。
【0080】
処置を目的とする「哺乳動物」とは、哺乳動物として分類される任意の動物であって、ヒト、イヌ、ウマ、ネコ、ウシなど、家畜及び農場動物並びに動物園の動物、競技動物又は愛玩動物を含む動物を指す。ある特定の実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。
【0081】
「有効量」とは、投与時において、かつ、所望の治療的結果又は予防的結果を達成するのに必要な時間にわたり有効な量を指す。
【0082】
本発明の物質/分子の「治療有効量」は、個体の疾患状態、年齢、性別及び体重並びに個体において所望の応答を誘発する物質/分子の能力のような因子に従い変化しうる。治療有効量はまた、物質/分子の任意の毒性作用又は有害作用が、治療的に有益な効果により凌駕されるときの量でもある。「予防有効量」とは、投与時において、かつ、所望の予防的結果を達成するのに必要な時間にわたり有効な量を指す。予防用量は、対象において、疾患の発症の前又はその早期に使用されるので、予防有効量は、治療有効量未満となることが典型的であるが、必ずしもそうではない。
【0083】
「組合せ」とは、組合せ療法が、抗体-薬物コンジュゲートの量及び/又は他の生物学的又は化学的薬物の量であって、処置サイクルの同じ日又は異なる日に、逐次的に、又は同時に、併せて(共投与及び/又は配合製剤として)投与されると、治療的に有効であり、治療的に相加的であることを超える相乗効果を及ぼす量であることを指す。
【0084】
「がん」及び「がん性」という用語は、哺乳動物における生理学的状態であって、典型的に、制御不能の細胞増殖を特徴とする生理学的状態を指す、又はこれについて記載する。「腫瘍」は、1つ以上のがん性細胞を含む。がんの例は、癌、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫及び白血病又はリンパ系悪性腫瘍を含むがこれらに限定されない。
【0085】
本明細書において使用される「細胞傷害剤」という用語は、細胞の機能を阻害若しくは防止し、かつ/又は細胞の破壊を引き起こす物質を指す。用語は、放射性同位元素(例えば、211At、131I、125I、90Y、186Re、188Re、153Sm、212Bi、32P、60C並びにルテチウム177、ストロンチウム89及びサマリウム(153Sm)である放射性同位元素)、化学療法剤並びに細菌由来、真菌由来、植物由来又は動物由来の低分子毒素又は酵素活性毒素のような毒素であって、これらの合成類似体及び誘導体を含む毒素を含むことを意図する。
【0086】
場合によって、光化学療法とも呼ばれる、「光力学療法(PDT)」という用語は、光及び光増感性の化学物質を伴う、光療法の形態であって、分子酸素と共に使用されて、細胞死を誘発する(光毒性)形態である。PDTは、湿潤性加齢黄斑変性、乾癬、アテローム性動脈硬化を含む広範な医学的状態を処置するために、臨床的に使用され、ヘルペスを含む抗ウイルス処置においても、ある程度の有効性を有することが示されている。PDTはまた、頭頸部がん、肺がん、膀胱がん、皮膚がん及び前立腺がんを含む悪性がんも処置する(Wang,SSら、Cancer Journal.、8(2):154~63頁、2002)。「光力学療法剤」は、フォトフリン、レザフィリン、アミノレブリン酸(ALA)、シリコンフタロシアニンPc4、m-テトラヒドロキシフェニルクロリン(mTHPC)、クロリンe6(Ce6)、アルメラ、レブラン、フォスカン、メトビックス、ヘクスビックス、フォトクロール、フォトセンス、フォトレックス、ルマカン、ビソナック、アムフィネックス、ベルテポルフィン、プルリチン、ATMPn、アエンフタロシアニン(ZnPc)、プロトポルフィリンIX(PpIX)、ピロフェオフォルバイドa(PPa)又はフェオフォルバイド(PhA)から選択される。
【0087】
「化学療法剤」とは、がんの処置において有用な化合物である。化学療法剤の例は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、メルタンシン(また、DM1とも呼ばれる)、アントラサイクリン、ピロロベンゾジアゼピン、α-アマニチン、ツブリシン、ベンゾジアゼピン、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、Genentech/OSIPharm.)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、MilleniumPharm.)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標)、Astrazeneca)、スニチニブ(SUTENT(登録商標)、SU11248、Pfizer)、レトロゾール(FEMARA(登録商標))、Novartis)、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標)、Novartis)、PTK787/ZK 222584(Novartis)、オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標)、Sanofi)、ロイコボリン、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標)、Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、GlaxoSmithKline)、ロナファルニブ(SARASAR(登録商標)、SCH 66336)、ソラファニブ(NEXAVAR(登録商標)、BAY43-9006、Bayer Labs.)及びゲフィチニブ(IRESSA(登録商標)、Astrazeneca)、AG1478、AG1571(SU 5271;Sugen)、チオテパ及びシクロホスファミドであるCYTOXAN(登録商標)のようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ及びウレドーパのようなアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド及びトリメチロールメラミンを含むエチレンイミン及びメチルメラミン;アセトゲニン(とりわけ、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体であるトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(アドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシンによるその合成類似体を含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体であるKW-2189及びCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコチクチイン;スポンジスタチン;クロランブシル、クロルナファジン、シクロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベムビシン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド及びウラシルマスタードのような窒素マスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン及びラニムスチンのようなニトロソウレア;エネジイン抗生剤(例えば、カリケアミシン、とりわけ、カリケアミシンガンマII及びカリケアミシンオメガII(Angew Chem.Intl.Ed.Engl.(1994)、33:183~186頁);ジネミシンAを含むジネミシン;クロドロネートのようなビスホスホネート;エスペラミシンのほか、ネオカルチノスタチン発色団及び類縁の色素タンパク質である、エネジイン抗生剤発色団)のような抗生剤、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCのようなマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)のような抗代謝物;デノプテリン、プテロプテリン及びトリメトレキサートのような葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン及びチオグアニンのようなプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン及びフロクスウリジンのようなピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン及びテストラクトンのようなアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン及びトリロスタンのような抗副腎剤(anti-adrenal);フォリン酸のような葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシン及びアンサマイトシンのようなメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products、Eugene、Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(とりわけ、T-2毒素、ベラクリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、TAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)、パクリタキセルの、クレモフォール非含有、アルブミン操作ナノ粒子製剤である、ABRAXANE(商標)(American Pharmaceutical Partners、Schaumberg、Ill.)、及びドセタキセルであるTAXOTERE(登録商標)(Rhone-Poulenc Rorer、Antony、France);クロランブシル;ゲムシタビンである、GEMZAR(登録商標);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン、及びカルボプラチンのような白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビンである、NAVELBINE(登録商標);ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤である、RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸のようなレチノイド;カペシタビン(XELODA(登録商標)、Roche)並びに上記のうちのいずれかの、薬学的に許容される塩、酸又は誘導体を含む。
【0088】
(i)抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)のような、ホルモンの、腫瘍に対する作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤であって、例えば、タモキシフェン(タモキシフェンであるNOLVADEX(登録商標)を含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン及びトレミフェンであるFARESTON(登録商標)を含む抗ホルモン剤;(ii)副腎におけるエストロゲン生成を調節する酵素であるアロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤であって、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロールであるMEGASE(登録商標)、エキセメスタンであるAROMASIN(登録商標)、ホルメスタン、ファドロゾール、ボロゾールであるRIVISOR(登録商標)、レトロゾールであるFEMARA(登録商標)及びアナストロゾールであるARIMIDEX(登録商標)のようなアロマターゼ阻害剤;(iii)フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド及びゴセレリン並びにトロキサシタビン(ヌクレオシドであるシトシンの類似体である1,3-ジオキソラン)のような抗アンドロゲン;(iv)アロマターゼ阻害剤;(v)タンパク質キナーゼ阻害剤;(vi)脂質キナーゼ阻害剤;(vii)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、例えば、PKC-アルファ、Ralf及びH-Rasのような、異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド;(viii)VEGF発現阻害剤(例えば、リボザイムであるANGIOZYME(登録商標))及びHER2発現阻害剤のようなリボザイム;(ix)遺伝子治療用ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン及びVAXID(登録商標)ワクチンのようなワクチン;rIL-2であるPROLEUKIN(登録商標);トポイソメラーゼ1阻害剤であるLURTOTECAN(登録商標);rmRHであるABARELIX(登録商標);(x)ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech)のような抗血管新生剤;並びに(xi)上記のうちのいずれかの、薬学的に許容される塩、酸又は誘導体もまた、「化学療法剤」のこの定義に含まれる。
【0089】
タンパク質キナーゼ阻害剤は、ErbB受容体のようなチロシンキナーゼのチロシンキナーゼ活性を、ある程度阻害する、チロシンキナーゼ阻害剤を含む。チロシンキナーゼ阻害剤の例は、(i)EGFRに結合する抗体であって、MAb 579(ATCC CRL HB 8506)、MAb 455(ATCC CRL HB8507)、MAb 225(ATCC CRL 8508)、MAb 528(ATCC CRL 8509)(Mendelsohnらによる、米国特許第4,943,533号を参照されたい)並びにキメラ化225(C225又はセツキシマブ;ERBITUX(登録商標)、Imclone)及び改変型ヒト225(H225)(WO96/40210、Imclone Systems Inc.)のような、これらの変異体;II型突然変異体EGFRに結合する抗体(米国特許第5,212,290号);EGFRに結合するヒト化抗体及びキメラ抗体(米国特許第5,891,996号);並びにABX-EGF(WO98/50433)のような、EGFRに結合するヒト抗体を含む抗体;(ii)細胞傷害剤とコンジュゲートさせた抗EGFR抗体(EP 659439A2);及びEGFRに結合する低分子であって、ZD1839又はゲフィチニブ(IRESSA(商標);AstraZeneca)、エルロチニブHCl(CP-358774、TARCEVA(商標);Genentech/OSI)及びAG1478、AG1571(SU5271;Sugen)、4-(3-クロロアニリノ)キナゾリンであるPD153035のようなキナゾリン、ピリドピリミジン、ピリミドピリミジン、CGP 59326、CGP 60261及びCGP 62706のようなピロロピリミジン並びにピラゾロピリミジン、4-(フェニルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン、クマリン(ジフェルロイルメタン、4,5-ビス(4-フルオロアニリノ)フタルイミド)、ニトロチオフェン部分を含有するトリホスチン;PD-0183805(Warner-Lambert)を含む低分子;アンチセンス分子(例えば、ErbB-をコードする核酸に結合するアンチセンス分子);キノキサリン(米国特許第5,804,396号);トリホスチン(米国特許第5,804,396号);ZD6474(Astra Zeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);CI-1033(Pfizer);Affinitac(ISIS 3521;Isis/Lilly);メシル酸イマチニブ(Gleevac;Novartis);PKI 166(Novartis);GW2016(Glaxo SmithKline);CI-1033(Pfizer);EKB-569(Wyeth);Semaxanib(Sugen);ZD6474(AstraZeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);INC-1C11(Imclone)のような汎ErbB阻害剤又は米国特許第5,804,396号;WO99/09016(American Cyanamid);WO98/43960(American Cyanamid);WO97/38983(Warner Lambert);WO99/06378(Warner Lambert);WO99/06396(Warner Lambert);WO96/30347(Pfizer、Inc);WO96/33978(Zeneca);WO96/3397(Zeneca)及びWO96/33980(Zeneca)に記載されている汎ErbB阻害剤のようなEGFRターゲティング薬を含む。
【0090】
「抗血管新生剤」とは、血管の発生を、ある程度、遮断する、又はこれに、ある程度、干渉する化合物を指す。抗血管新生因子は、例えば、血管新生の促進に関与する、増殖因子又は増殖因子受容体に結合する、低分子又は抗体でありうる。例示的な抗血管新生剤は、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech)など、血管内皮増殖因子(VEGF)に結合する抗体である。
【0091】
「サイトカイン」という用語は、1つの細胞集団により放出されるタンパク質であって、細胞内メディエーターとして、別の細胞に作用するタンパク質の総称的用語である。このようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン及び従来のポリペプチドホルモンである。サイトカインに、ヒト成長ホルモン、N-メチオニル型ヒト成長ホルモン及びウシ成長ホルモンのような成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;濾胞刺激ホルモン(FSH)、チロイド刺激ホルモン(TSH)及び黄体形成ホルモン(LH)のような糖タンパク質ホルモン;肝臓増殖因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子α及び腫瘍壊死因子β;ミュラー管阻害物質;マウスゴナドロトピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF-βのような神経成長因子;血小板増殖因子;TGF-α及びTGF-βのような形質転換増殖因子(TGF);インスリン様増殖因子I及びインスリン様増殖因子II;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロンα、インターフェロンβ及びインターフェロンγのようなインターフェロン;マクロファージCSF(M-CSF);顆粒球マクロファージCSF(GM-CSF)及び顆粒球CSF(G-CSF)のようなコロニー刺激因子(CSF);IL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12のようなインターロイキン(IL);TNF-α又はTNF-βのような腫瘍壊死因子;並びにLIF及びkitリガンド(KL)を含む、他のポリペプチド因子が含まれる。本明細書において使用される、サイトカインという用語は、天然の供給源に由来するタンパク質又は天然配列のサイトカインの組換え細胞培養物及び生物学的に活性の同等物に由来するタンパク質を含む。
【0092】
本出願において使用される「プロドラッグ」という用語は、薬学的な活性物質の前駆体形態又は誘導体形態であって、腫瘍細胞に対する細胞傷害性が、親薬物と比較して小さく、活性の大きな親形態への酵素的な活性化又は転換が可能な、前駆体形態又は誘導体形態を指す。例えば、Wilman、「Prodrugs in Cancer Chemotherapy」、Biochemical Society Transactions、14、375~382頁、615th Meeting Belfast(1986)及びStellaら、「Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery」、「Directed Drug Delivery」、Borchardtら(編)、247~267頁、Humana Press(1985)を参照されたい。本発明のプロドラッグは、活性の大きな細胞傷害性遊離薬物へと転換されうる、リン酸含有プロドラッグ、チオリン酸含有プロドラッグ、硫酸含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β-ラクタム含有プロドラッグ、任意選択の置換フェノキシアセトアミド含有プロドラッグ又は任意選択の置換フェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5-フルオロシトシン及び他の5-フルオロウリジンプロドラッグを含むがこれらに限定されない。本発明における使用のために、プロドラッグ形態へと誘導体化されうる細胞傷害薬の例は、上記において記載された化学療法剤を含むがこれらに限定されない。
【0093】
「リポソーム」とは、薬物(本明細書において開示された抗ErbB2抗体及び、任意選択的に、化学療法剤のような)の、哺乳動物への送達に有用な多様な種類の脂質、リン脂質及び/又は界面活性剤から構成された小胞体である。リポソームの構成要素は、一般に、生体膜の脂質配置と同様に、二重層構成に配置される。
【0094】
本明細書において使用される「薬学的に許容される塩」という語句は、ADCの、薬学的に許容される有機塩又は無機塩を指す。例示的な塩は、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、過クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩及びパモ酸塩(すなわち、1,1’メチレンビス-(2-ヒドロキシ3-ナフトエート))を含むがこれらに限定されない。薬学的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオン又は他の対イオンのような、別の分子の含有を伴いうる。対イオンは、親化合物上の電荷を安定化させる、任意の有機部分又は無機部分でありうる。さらに、薬学的に許容される塩は、その構造に、1つを超える帯電原子を有しうる。複数の帯電原子が、薬学的に許容される塩の部分である場合、塩は、複数の対イオンを有しうる。よって、薬学的に許容される塩は、1つ以上の帯電原子及び/又は1つ以上の対イオンを有しうる。
【0095】
「薬学的に許容される溶媒和物」とは、1つ以上の溶媒分子と、ADCとの会合を指す。薬学的に許容される溶媒和物を形成する溶媒の例は、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸及びエタノールアミンを含むがこれらに限定されない。
【0096】
例示的な抗体-薬物コンジュゲートの一般的特色
本発明の化合物は、抗がん活性のための有用性を伴う化合物を含む。特に、化合物は、リンカーを介して、薬物部分へとコンジュゲートさせた、すなわち、共有結合的に付着させた抗体を含み、この場合、薬物は、抗体へとコンジュゲートさせなければ、細胞傷害効果又は細胞増殖抑制効果を有する。したがって、薬物部分の生物学的活性は、抗体へのコンジュゲーションによりモジュレートされる。本発明の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、有効用量の細胞傷害剤を、腫瘍組織へと選択的に送達することが可能であり、これにより、選択性の増大、すなわち、有効用量の低減が達成されうる。
【0097】
抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、式I:
Ab-(L-D)n (I)
若しくは薬学的に許容されるその塩又はこれらの溶媒和物
[式中、Abは、グロボ系列の抗原に結合する、又は1つ以上の腫瘍関連抗原若しくは細胞表面受容体に結合する抗体であり、nは、薬物対抗体比(DAR)であり、1~8の範囲である]
により表されうる。
【0098】
抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、リンカーにより、1つ以上のMMAE部分へと、共有結合的に付着させた抗体を含む。ADCは、式I:
Ab-(L-D)n (I)
[式中、1つ以上のMMAEによる薬物部分(D)は、リンカー(L)により、抗体(Ab)へと共有結合的に連結される。Abは、グロボ系列の抗原をターゲティングする、又は1つ以上の腫瘍関連抗原若しくは細胞表面受容体に結合する抗体である。リンカーであるLは、細胞の外部において安定でありうる、すなわち、細胞外リンカーでありうる]
により表されうる。
【0099】
一実施形態において、抗体-薬物コンジュゲートが、抗体-薬物コンジュゲートの抗体に特異的な細胞表面受容体を伴う細胞に入るまで、実質量の薬物部分は、抗体から切断されず、抗体-薬物コンジュゲートが、細胞に入ると、薬物部分は、抗体から切断される。
【0100】
別の実施形態において、ADCは、グロボH、SSEA-3又はSSEA-4のような、グロボ系列の抗原に特異的に結合する。ADCは、グロボH、SSEA-4、SSEA-3に特異的に結合しうる。ADCは、グロボ系列の抗原を発現させる腫瘍細胞の増殖を阻害しうる。
【0101】
別の実施形態において、式Iの抗体(Ab)は、ヒト抗体、キメラ抗体又はヒト化抗体である。
【0102】
本発明の別の態様は、式Iの化合物若しくは薬学的に許容されるその塩又は溶媒和物及び薬学的に許容される希釈剤、担体又は賦形剤を含む医薬組成物である。
【0103】
別の態様は、式Iの化合物及び抗がん特性又は他の治療効果を有する第2の化合物を含む、医薬の組合せを提供する。
【0104】
別の態様は、本明細書において開示される化合物及び組成物の、診断的使用及び治療的使用を含む。
【0105】
別の態様は、腫瘍細胞又はがん細胞を、死滅させる、又はこれらの増殖を阻害するための方法であって、細胞を、腫瘍細胞又はがん細胞を、死滅させる、又はこれらの増殖を阻害するのに有効な量の、抗体-薬物コンジュゲート若しくは薬学的に許容されるその塩又は溶媒和物により処置するステップを含む方法である。
【0106】
別の態様は、がんを処置する方法であって、式Iの化合物による製剤を患者に投与するステップを含む方法である。1つの方法は、哺乳動物におけるがんの処置のためのものであり、この場合、がんは、グロボ系列の抗原の発現により特徴付けられる。哺乳動物は、任意選択的に、抗グロボ系列抗原抗体をコンジュゲートさせていない処置に応答しない、又は応答不良である。方法は、治療有効量の、抗体-薬物コンジュゲート化合物を哺乳動物に投与するステップを含む。
【0107】
別の態様は、グロボH、SSEA-4及び/又はSSEA-3を発現させる腫瘍細胞の増殖を阻害する方法であって、増殖因子受容体に、特異的に結合する、抗体-薬物コンジュゲート化合物及び化学療法剤を患者に投与するステップを含み、抗体-薬物コンジュゲート及び化学療法剤が、各々、患者における腫瘍細胞の増殖を阻害するのに有効な量において投与される方法である。
【0108】
別の態様は、グロボ系列の抗原の発現を特徴とする障害に対して感受性である、又はこれを伴うと診断されたヒト患者の処置のための方法であって、式Iの抗体-薬物コンジュゲート化合物及び化学療法剤の組合せを投与するステップを含む方法である。
【0109】
別の態様は、がん細胞を検出するためのアッセイ方法であって、細胞を、抗体-薬物コンジュゲート化合物へと曝露するステップ、及び抗体-薬物コンジュゲート化合物の、細胞への結合の程度を決定するステップを含むアッセイ方法である。
【0110】
別の態様は、グロボ系列の抗原の発現を特徴とする、疾患又は障害の処置のための、ADC薬物候補物質をスクリーニングする方法に関する。
【0111】
別の態様は、抗体-薬物コンジュゲート、容器及び処置について表示するパッケージ添付文書又はラベルを含む製品、すなわち、キットを含む。
【0112】
別の態様は、患者における、グロボ系列の抗原の過剰発現を特徴とする疾患又は障害を、抗体-薬物コンジュゲート化合物により処置する方法を含む。
【0113】
別の態様は、抗体-薬物コンジュゲート化合物並びに抗体-薬物コンジュゲート化合物の、調製、合成及びコンジュゲーションのための中間体を作製する方法、調製する方法、合成する方法、コンジュゲートする方法及び精製する方法を含む。
【0114】
ADC:抗体:
式Iの抗体単位(Ab-)は、その範囲内に、受容体、抗原又は所与の標的細胞集団と関連する他の受容性部分に結合する、又はこれらと反応して会合する、又はこれらと複合体化する、抗体の任意の単位を含む。抗体は、治療的に又は他の形で、生物学的に改変されることが求められる細胞集団の部分に、結合するか、これらと複合体化するか、又はこれらと反応する、任意のタンパク質又はタンパク質様分子でありうる。一態様において、抗体単位は、メイタンシノイド薬物部分を、抗体単位が反応する、特定の標的細胞集団へと送達するように作用する。このような抗体は、全長抗体及び抗体断片のような高分子量タンパク質を含むがこれらに限定されない。
【0115】
抗体を含む、本発明の抗体-薬物コンジュゲートは、それらの天然の野生型対応物の抗原結合能を保持することが好ましい。したがって、本発明の抗体は、好ましくは、特異的に、抗原に結合することが可能である。
【0116】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広い意味において使用され、とりわけ、所望の生物学的活性を呈示する限りにおける、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量体、多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)及び抗体断片を対象とする(Millerら(2003)、Jour.of Immunology、170:4854~4861頁)。抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体の場合もあり、他の種に由来する場合もある。抗体とは、免疫系を介して発生するタンパク質であって、特異的抗原を認識し、これに結合することが可能なタンパク質である(Janeway,C.、Travers,P.、Walport,M.、Shlomchik(2001)、Immuno Biology、5版、Garland Publishing、New York)。標的抗原は、一般に、エピトープともまた呼ばれ、複数の抗体におけるCDRにより認識される、多数の結合部位を有する。異なるエピトープに特異的に結合する各抗体は、異なる構造を有する。したがって、1つの抗原は、1つを超える、対応する抗体を有しうる。抗体は、全長免疫グロブリン分子又は全長免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち、目的である標的の抗原又はその部分に免疫特異的に結合する、抗原結合性部位を含有する分子を含み、このような標的は、がん細胞又は自己免疫疾患と関連する自己免疫抗体を産生する細胞を含むがこれらに限定されない。本明細書において開示される免疫グロブリンは、任意の種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD及びIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又はサブクラスの免疫グロブリン分子でありうる。免疫グロブリンは、任意の分子種に由来しうる。しかし、一態様において、免疫グロブリンは、ヒト由来、マウス由来又はウサギ由来である。
【0117】
例えば、抗体は、全長の場合もあり、抗体断片から形成された、Fab、F(ab’)2、Fab’、F(ab)’、Fv、単鎖Fv(scFv)、二価scFv(bi-scFv)、三価scFv(tri-scFv)、Fd、dAb断片(例えば、Wardら、Nature、341:544~546頁(1989))、単離されたCDR、ダイアボディー、トリアボディー、テトラボディー、直鎖状抗体、単鎖抗体分子及び多特異性抗体を含むがこれらに限定されない、抗原結合性部分を有する、抗体の1つの断片(又は複数の断片)を含む場合もある。組換え方法又は合成リンカーを使用して、抗体断片を接続することにより作製される単鎖抗体もまた、本発明により包摂される(Birdら、Science、1988、242:423~426頁;Hustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1988、85:5879~5883頁)。
【0118】
例えば、本発明の抗体又はその抗原結合性部分は、単一特異性の場合もあり、二特異性の場合もあり、多特異性の場合もある。多特異性抗体若しくは二特異性抗体又はこれらの断片は1つの標的炭水化物(例えば、グロボH)の、異なるエピトープに特異的な場合もあり、1つを超える標的炭水化物(例えば、グロボH、SSEA-3及びSSEA-4に特異的な抗原結合性ドメイン)に特異的な抗原結合性ドメインを含有する場合もある。一実施形態において、多特異性抗体又はその抗原結合性部分は、少なくとも2つの異なる可変ドメインを含み、この場合、各可変ドメインは、別個の炭水化物抗原又は同じ炭水化物抗原における、異なるエピトープに特異的に結合することが可能である(Tuttら、1991、J.Immunol.、147:60~69頁;Kuferら、2004、Trends Biotechnol.、22:238~244頁)。本抗体は、別の機能的な分子、例えば、別のペプチド又はタンパク質へと連結される場合もあり、これらと共発現する場合もある。例えば、抗体又はその断片は、別の抗体又は抗体断片のような、1つ以上の他の分子的実体に機能的に連結されて(例えば、化学的カップリング、遺伝子の融合、非共有結合的会合又は他の方式により)、第2の結合特異性を有する二特異性又は多特異性抗体が作製されうる。
【0119】
IgG(例えば、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4)、IgM、IgA(IgA1、IgA2)、IgD又はIgE(全てのクラス及びサブクラスが、本発明に包摂される)を含む、全ての抗体アイソタイプが、本発明に包摂される。抗体又はその抗原結合性部分は、哺乳動物(例えば、マウス、ヒト)抗体又はその抗原結合性部分でありうる。抗体の軽鎖は、カッパ型の軽鎖の場合もあり、ラムダ型の軽鎖の場合もある。
【0120】
本抗体又はその抗原結合性部分の可変領域は、非ヒト供給源に由来する場合もあり、ヒト供給源に由来する場合もある。本抗体又はその抗原結合性部分のフレームワークは、ヒトフレームワーク、ヒト化フレームワーク、非ヒトフレームワーク(例えば、ヒトにおける抗原性を低下させるように、フレームワーク修飾されたマウスフレームワーク)、又は合成フレームワーク(例えば、コンセンサス配列)でありうる。
【0121】
一実施形態において、本抗体又はその抗原結合性部分は、少なくとも1つの重鎖可変領域及び/又は少なくとも1つの軽鎖可変領域を含む。
【0122】
本抗体又はその抗原結合性部分は、グロボHに、約10-7M未満、約10-8M未満、約10-9M未満、約10-10M未満、約10-11M未満又は約10-12M未満の解離定数(KD)により、特異的に結合する。一実施形態において、抗体又はその抗原結合性部分は、1×10-9以下の解離定数(KD)を有する。別の実施形態において、Kdは、表面プラズモン共鳴により決定される。
【0123】
抗体を含む、本発明の抗体-薬物コンジュゲートは、それらの天然の野生型対応物の抗原結合能を保持することが好ましい。したがって、本発明の抗体は、好ましくは、特異的に、抗原に結合することが可能である。このような抗原は、例えば、腫瘍関連抗原(TAA)、細胞表面受容体タンパク質及び他の細胞表面分子、細胞生存調節因子、細胞増殖調節因子、組織の発生又は分化と関連する(例えば、これに、機能的に寄与することが公知である、又はこのことが疑われる)分子、リンホカイン、サイトカイン、細胞周期の調節に関与する分子、血管形成に関与する分子及び血管新生と関連する(例えば、これに、機能的に寄与することが公知である、又はそのことが疑われる)分子を含む。腫瘍関連抗原は、分化抗原(すなわち、CDタンパク質)でありうる。本発明の抗体が結合することが可能な抗原は、上述の類別のうちの1つのサブセットのメンバーでありうるが、この場合、類別の他のサブセットは、顕著に異なる特徴(目的の抗原に関して)を有する、他の分子/抗原を含む。
【0124】
一実施形態において、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の抗体は、グロボ系列の抗原である、グロボH、SSEA-4及び/又はSSEA-3に特異的に結合する。
【0125】
一部の実施形態において、抗体又はその抗原結合性部分は、例えば、表1において示されている、抗グロボ系列抗原抗体(グロボH:OBI-888、SSEA-4:OBI-999)の可変重鎖及び/又は可変軽鎖を含む。
【0126】
関連する実施形態において、例示的な抗体又はその抗原結合性部分は、例えば、抗グロボ系列抗原抗体(グロボH:OBI-888、SSEA-4:OBI-999)の、可変重鎖のCDR及び/又は可変軽鎖のCDRを含む。これらのハイブリドーマクローンに由来する可変重鎖及び可変軽鎖の、例示的なCDR及びフレームワークは、表1に示されている。
【0127】
【0128】
【0129】
重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が、クローン2C2により作製される抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%相同な抗体はまた、炭水化物抗原(例えば、グロボH)にも結合しうる。相同性は、アミノ酸配列のレベルにおいて存在する場合もあり、ヌクレオチド配列のレベルにおいて存在する場合もある。
【0130】
グロボ系列抗原をターゲティングするADC
本開示の1つの態様は、グロボHに特異的な、新たなADC(OBI-999)を特色とする。ADCの抗グロボH抗体は、Fucα1→2Galβ1→3GalNAcβ1→3Galα1→4Galβ1→4Glcに結合する。
【0131】
本明細書において記載された抗体のうちのいずれかは、全長抗体の場合もあり、その抗原結合性断片の場合もある。一部の例では、抗原結合性断片は、Fab断片、F(ab’)2断片又は単鎖Fv断片である。一部の例では、抗原結合性断片は、Fab断片、F(ab’)2断片又は単鎖Fv断片である。一部の例では、抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体又は単鎖抗体である。
【0132】
本明細書において記載された抗体のうちのいずれかは、(a)組換え抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体断片、二特異性抗体、単一特異性抗体、一価抗体、IgG1抗体、IgG2抗体又は抗体の誘導体であること;(b)ヒト抗体、マウス抗体、ヒト化抗体又はキメラ抗体、抗体の抗原結合性断片又は誘導体であること;(c)単鎖抗体断片、マルチボディー、Fab断片並びに/又はIgGアイソタイプ、IgMアイソタイプ、IgAアイソタイプ、IgEアイソタイプ、IgDアイソタイプ及び/若しくはこれらのサブクラスの免疫グロブリンであること;(d)以下の特徴:(i)がん細胞に対するADCC及び/若しくはCDCを媒介すること;(ii)がん細胞のアポトーシスを誘導及び/若しくは促進すること;(iii)がん細胞である、標的細胞の増殖を阻害すること;(iv)がん細胞に対する食作用を誘導及び/若しくは促進すること;並びに/又は(v)細胞傷害剤の放出を誘導及び/若しくは促進すること;(e)腫瘍特異的炭水化物抗原である、腫瘍関連炭水化物抗原に特異的に結合すること;(f)非がん細胞、非腫瘍細胞、良性がん細胞及び/又は良性腫瘍細胞において発現した抗原に結合しないことのうちの1又は複数を有すること;並びに/若しくは(g)がん幹細胞及び正常がん細胞において発現した、腫瘍関連炭水化物抗原に特異的に結合することのうちの1つ以上の特徴を有する。
【0133】
抗体の、それらのそれぞれの抗原への結合は、特異的であることが好ましい。「特異的」という用語は一般に、結合対の1つのメンバーが、その特異的結合パートナー以外の分子への著明な結合を示さず、例えば、本明細書において指定された分子以外の、他の任意の分子との、約30%未満、好ましくは20%、10%又は1%の交差反応性を有する状況を指すように使用される。
【0134】
抗体の作製
モノクローナル抗体(MAb)を作製するのに、多様な方法が援用されている。単一種類の抗体を産生するクローニングされた細胞株を指す、ハイブリドーマ技術は、マウス(mice(murine))、ハムスター、ラット及びヒトを含む多様な種の細胞を使用する。キメラ抗体及びヒト化抗体を含むMAbを調製する他の方法は、遺伝子操作、すなわち、組換えDNA技術を使用する。
【0135】
ポリクローナル抗体は、動物において、関連の抗原及びアジュバントの、複数回にわたる皮下(sc)注射又は腹腔内(ip)注射により惹起されうる。モノクローナル抗体は、実質的に同種の抗体の集団から得られる、すなわち、少量で存在しうる、可能な自然発生の突然変異を除き、個々の抗体を含む集団は、同一である。
【0136】
また、ヒトモノクローナル抗体を作製するための、ヒト骨髄腫細胞株及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株についても記載されている(Kozbor(1984)、J.Immunol.、133:3001及びBrodeurら、「Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications」、51~63頁(Marcel Dekker,Inc.、New York、1987))。ハイブリドーマ細胞が増殖する培養培地は、抗原に対して方向付けられたモノクローナル抗体の産生についてアッセイされる。ハイブリドーマ細胞により産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降若しくはラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素免疫測定アッセイ(ELISA)のような、インビトロにおける結合アッセイにより決定されうる。モノクローナル抗体の結合アフィニティーは、例えば、Munsonら(1980)、Anal.Biochem.、107:220によるスキャッチャード分析により決定されうる。
【0137】
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)、たやすく単離し、シーケンシングされうる。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの供給源として用いられる。単離したら、DNAを発現ベクターに移入することができ、次いで、E.コリ細胞、サルCOS細胞、チャイニースハムスター卵巣(CHO)細胞又は骨髄腫細胞のような宿主細胞であって、トランスフェクトしなければ抗体タンパクを産生しない宿主細胞に、発現ベクターをトランスフェクトして、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を得る(US2005/0048572;US2004/0229310)。細菌における、抗体をコードするDNAの組換え発現についての総説論文は、Skerraら(1993)Curr.Opinion in Immunol.、5:256~262頁及びPluckthun(1992)Immunol.Revs.、130:151~188頁を含む。
【0138】
さらなる実施形態において、モノクローナル抗体又は抗体断片は、McCaffertyら(1990)、Nature、348:552~554頁;Clacksonら(1991)、Nature、352:624~628頁において記載された技術を使用して作出された、抗体ファージライブラリーから単離される場合があり、Marksら(1991)、J.Mol.Biol.、222:581~597頁は、ファージライブラリーを使用する、マウス抗体及びヒト抗体のそれぞれの単離について記載している。その後の刊行物は、鎖シャッフリング(Marksら(1992)、Bio/Technology、10:779~783頁)のほか、極めて大規模なファージライブラリーを構築するための戦略としての、コンビナトリアル感染及びインビボにおける組換え(Waterhouseら(1993)、Nuc.Acids.Res.、21:2265~2266頁)による、高アフィニティー(nM範囲)のヒト抗体の作出について記載する。したがって、これらの技術は、モノクローナル抗体を単離するための、従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術に対する、実施可能な代替法である。
【0139】
DNAはまた、例えば、ヒト重鎖及び軽鎖の定常ドメインをコードする配列により、相同なマウス配列を置換すること(米国特許第4,816,567号及びMorrisonら(1984)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851)により修飾することもでき、非免疫グロブリンポリペプチドをコードする配列の全部又は一部を、免疫グロブリンのコード配列へと、共有結合的に接続することにより修飾することもできる。
【0140】
このような非免疫グロブリンポリペプチドにより、抗体の定常ドメインを置換する、又は抗体の1つの抗原結合性部位の可変ドメインを置換して、抗原に対する特異性を有する1つの抗原結合性部位及び異なる抗原に対する特異性を有する別の抗原結合性部位を含む、キメラ二価抗体を創出することが典型的である。
【0141】
ADC:リンカー:
例示的なADCリンカー
ADCに適する例示的リンカーについては、例えば、米国特許第7595292号(WO2005/007197)において記載されている。リンカーへと方向付けられた全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれている。リンカーであるLは、共有結合を介して、抗体を薬物部分へと付着させ、ジスルフィド基を含まない。リンカーは、1つ以上の薬物部分(D)と抗体単位(Ab)とを連結して、式Iの抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を形成するのに使用されうる、二官能性又は多官能性部分である。抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、薬物及び抗体への結合のための反応性の官能基を有するリンカーを使用して、簡便に調製されうる。抗体(Ab)のシステインのチオール又はアミン、例えば、N末端又はリシンのようなアミノ酸側鎖は、リンカー試薬、薬物部分又は薬物-リンカー試薬の官能基と共に、結合を形成しうる。
【0142】
リンカーは、細胞外において安定であることが好ましい。細胞への輸送又は送達の前に、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、好ましくは、安定であり、無傷のままである、すなわち、抗体は、薬物部分への連結を維持する。リンカーは、標的細胞の外部において、安定であり、細胞の内部において、ある有効な速度において切断されうる。有効なリンカーは、(i)抗体特異的結合特性を維持し;(ii)コンジュゲート又は薬物部分の細胞内送達を可能とし;(iii)安定及び無傷のままである、すなわち、コンジュゲートが、その標的部位へと送達又は輸送されるまで切断されず;(iv)メイタンシノイド薬物部分の細胞傷害性、細胞殺滅効果又は細胞増殖抑制効果を維持する。ADCの安定性は、質量分析、HPLC及び分離/分析技術であるLC/MSなど、標準的分析技術により測定されうる。
【0143】
抗体及び薬物部分の共有結合的付着は、リンカーが、2つの反応性官能基、すなわち、反応的な意味における二価性を有することを要請する。ペプチド、核酸、薬物、毒素、抗体、ハプテン及びレポーター基のような、2つ以上の機能的部分又は生物学的活性部分を付着させるのに有用な、二価のリンカー試薬が公知であり、方法及びそれらの結果として得られるコンジュゲートについては記載されている(Hermanson,G.T.(1996)、Bioconjugate Techniques、Academic Press:New York、234~242頁)。
【0144】
例示的なADCリンカーは、一般的な式II
【0145】
【化1】
[式中、X及びX’のうちの一方は、ポリマー(とりわけ、毒素)を表し、他方は、水素原子を表す;各Qは、独立に連結基を表し;Wは、電子求引性部分又は電子求引性部分の還元により調製可能な部分を表す;又は、X’がポリマーを表す場合、X-Q-W-は、一緒になって、電子求引性基を表す場合もあり;加えて、Xがポリマーを表す場合、X’及び電子求引性基であるWは、介在原子と一緒になって、環を形成する場合もあり;Z
1及びZ
2の各々は、独立に各々が、求核部分を介して、A及びBへと連結された生物学的分子に由来する基を表す;又はZ
1及びZ
2は、一緒になって、2つの求核部分を介して、A及びBへと連結された生物学的分子に由来する、単一の基を表し;Aは、C
1~5アルキレン又はアルケニレン鎖であり;Bは、結合又はC
1~4アルキレン若しくはアルケニレン鎖である]の、生物学的に活性の化合物を含むことが可能であり、適切なポリマーを、分子における求核基を介して、好ましくは、ジスルフィド架橋を介して、適切な生物学的活性分子へとコンジュゲートすることにより形成されうる。
【0146】
ある特定の実施形態において、本開示は、式III:
【0147】
【化2】
[式中、Xは、ポリアルキレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオキサゾリン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、HPMAコポリマー、ポリエステル、ポリアセタール、ポリ(オルトエステル)、ポリカーボネート、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアミド、ジビニルエーテル-無水マレイン酸のコポリマー及びスチレン-無水マレイン酸のコポリマー、多糖並びにポリグルタミン酸からなる群から選択される、ホモポリマー又はコポリマー(とりわけ、毒素)であり;Qは、直接的な結合、アルキレン、任意選択的に置換されたアリール及び任意選択的に置換されたヘテロアリールからなる群から選択される連結基であり、この場合、アルキレン、アリール又はヘテロアリールは、1つ以上の酸素原子、硫黄原子、ケト基、-O-CO-基、-CO-O-基又は-NR基[式中、Rは、アルキル又はアリール群である]により終結する場合もあり、これらにより中断される場合もあり;Wは、ケト基、エステル基、スルホン基、還元ケト基、還元エステル基及び還元スルホン基からなる群から選択され;X’-Qは、水素であり;Aは、C
1~5アルキレン又はアルケニレン鎖であり;Bは、結合又はC
1~4アルキレン若しくはアルケニレン鎖であり;Zは、ジスルフィド架橋の還元により、タンパク質において発生した、2つのチオール基を介して、A及びBへと連結された、単一のタンパク質である]のタンパク質-ポリマーコンジュゲートを提供する。
【0148】
例示的なADCの有効性を裏付ける活性アッセイ
本発明のADC(OBI-999)は、当分野で公知の多様なアッセイにより、それらの物理的/化学的特性及び生物学的機能について特徴付けられうる。
【0149】
本開示の抗体又は抗原結合性断片、これらの変異体又は誘導体はまた、それらの抗原に対する結合アフィニティーとの関係においても記載又は指定されうる。抗体の、炭水化物抗原に対するアフィニティーは、任意の適切な方法(例えば、Berzofskyら、「Antibody-Antigen Interactions」、「Fundamental Immunology」、Paul,W.E.編、Raven Press:New York、N.Y.(1984);Kuby,Janis、「Immunology」、W.H.Freeman and Company:New York、N.Y.(1992);及び本明細書において記載された方法を参照されたい)を使用する実験により決定されうる。特定の抗体-炭水化物抗原間相互作用について測定されたアフィニティーは、異なる条件(例えば、塩濃度、pH)下において測定される場合、変動しうる。したがって、アフィニティー及び他の抗原結合性パラメータ(例えば、KD、Ka、Kd)の測定は、抗体及び抗原の標準化溶液並びに標準化緩衝液によりなされることが好ましい。
【0150】
本抗体又はその抗原結合性部分は、インビトロ及びインビボにおける、治療的、予防的及び/又は診断的な有用性を有する。例えば、これらの抗体は、例えば、がんを処置する、阻害する、がんの再発を防止する、及び/又はがんを診断するように、インビトロ若しくはエクスビボにおける、培養物中の細胞へと投与される場合もあり、例えば、インビボにおいて、対象に投与される場合もある。
【0151】
精製された抗体は、N末端シーケンシング、アミノ酸分析、非変性サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、質量分析、イオン交換クロマトグラフィー及びパパイン消化を含むがこれらに限定されない、一連のアッセイによりさらに特徴付けられうる。
【0152】
必要な場合、抗体は、それらの生物学的活性について分析される。一部の実施形態において、本発明の抗体は、それらの抗原結合活性について調べられる。当分野で公知であり、本明細書において使用されうる抗原結合アッセイは、限定せずに述べると、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素免疫測定アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、蛍光イムノアッセイ、化学発光イムノアッセイ、ナノ粒子イムノアッセイ、アプタマーイムノアッセイ及びプロテインAイムノアッセイのような技術を使用する、任意の直接的結合アッセイ又は競合的結合アッセイを含む。
【0153】
ヒト化抗体
本発明は、ヒト化抗体を包摂する。当分野において、非ヒト抗体をヒト化するための多様な方法が公知である。例えば、ヒト化抗体は、非ヒト供給源から導入された、1つ以上のアミノ酸残基を有しうる。これらの非ヒトアミノ酸残基は、「移入」残基と称することが多く、「移入」残基は、「移入」可変ドメインから採取されることが典型的である。ヒト化は、Winterらによる方法(Jonesら(1986、Nature、321:522~525頁;Riechmannら(1988)、Nature、332:323~327頁;Verhoeyenら(1988)、Science、239:1534~1536頁)に従い、超可変領域配列によってヒト抗体の対応する配列を置換することにより、本質的に実施されうる。したがって、このような「ヒト化」抗体とは、実質的に無傷に満たないヒト可変ドメインが、非ヒト種に由来する対応する配列により置換されているキメラ抗体(米国特許第4,816,567号)である。実際は、ヒト化抗体は、一部の超可変領域残基及び、おそらく、一部のFR残基が、齧歯動物抗体における類似の部位に由来する残基で置換されているヒト抗体であることが典型的である。
【0154】
ヒト化抗体を作製するのに使用される、軽鎖ヒト可変ドメイン及び重鎖ヒト可変ドメインのいずれの選択も、抗原性を低減するのに重要でありうる。いわゆる「ベストフィット」方法に従い、齧歯動物抗体の可変ドメイン配列が、公知のヒト可変ドメイン配列の全ライブラリーに照らしてスクリーニングされる。次いで、齧歯動物の配列に最も近接するヒト配列が、ヒト化抗体のためのヒトフレームワークとして受容される(Simsら(1993)、J.Immunol.、151:2296;Chothiaら(1987)、J.Mol.Biol.、196:901)。別の方法は、軽鎖又は重鎖の特定の亜群についての、全てのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する、特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークが、いくつかの異なるヒト化抗体のために使用されうる(Carterら(1992)、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA、89:4285;Prestaら(1993)、J.Immunol.、151:2623)。
【0155】
さらに、抗原に対する高アフィニティー及び他の好適な生物学的特性を保持するように抗体をヒト化することが、一般に所望される。この目標を達成するために、1つの方法に従い、ヒト化抗体が、親配列及びヒト化配列についての三次元モデルを使用する、親配列及び多様な概念上のヒト化産物についての分析工程により調製される。三次元免疫グロブリンモデルは、一般に利用可能であり、当業者に熟知されている。選択された候補免疫グロブリン配列についての、蓋然的な三次元コンフォメーショナル構造を例示及び提示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示の検討は、候補免疫グロブリン配列の機能化において推定される残基の役割についての分析、すなわち、候補免疫グロブリンが、その抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基についての分析を可能とする。このようにして、標的抗原に対するアフィニティーの増大など、所望の抗体特徴を達成するように、FR残基は、レシピエント配列及び移入配列から選択され、組み合わされうる。一般に、超可変領域の残基は、抗原への結合に対する影響に、直接、かつ、極めて実質的に関与する。
【0156】
使用
本発明のADC(OBI-999)は、例えば、インビトロ、エクスビボ及びインビボの治療法において使用されうる。本発明のADC(OBI-999)は、インビトロ、エクスビボ及び/又はインビボにおいて、特異的抗原活性を、部分的又は完全に遮断するアンタゴニストとして使用されうる。したがって、本発明のADC(OBI-999)は、例えば、抗原を含有する細胞培養物、本発明のADC(OBI-999)が交差反応する抗原を有する、ヒト対象又は他の哺乳動物対象(例えば、チンパンジー、ヒヒ、マーモセット、カニクイザル及びアカゲザル、ブタ又はマウス)における特異的抗原活性を阻害するのに使用されうる。一実施形態において、本発明のADC(OBI-999)は、抗原活性が、阻害されるように、ADC(OBI-999)を、抗原と接触させることにより、抗原活性を阻害するために使用されうる。一実施形態において、抗原は、ヒトタンパク質分子である。
【0157】
一実施形態において、本発明のADC(OBI-999)は、抗原活性が有害である障害を患う対象において、抗原を阻害するための方法であって、対象における抗原活性が阻害されるように、本発明のADC(OBI-999)を投与する対象にステップを含む方法において使用されうる。一実施形態において、抗原は、ヒトタンパク質分子であり、対象は、ヒト対象である。代替的に、対象は、本発明のADC(OBI-999)が結合する抗原を発現させる哺乳動物でありうる。なおさらに、対象は、抗原が導入された(例えば、抗原の投与又は抗原のトランス遺伝子の発現を介して)哺乳動物でありうる。本発明のADC(OBI-999)は、治療目的のためにヒト対象に投与されうる。さらに、本発明のADC(OBI-999)は、本発明のADC(OBI-999)が交差反応する抗原を発現させる、獣医科的目的のために、又はヒト疾患についての動物モデルとして非ヒト哺乳動物(例えば、霊長動物、ブタ又はマウス)に投与されうる。後者に関して、このような動物モデルは、本発明のADC(OBI-999)の治療有効性(例えば、投与量の試験及び投与の時間経過)を査定するために有用でありうる。本発明のADC(OBI-999)は、グロボ系列の抗原の、異常な発現及び/又は活性と関連する、疾患、障害又は状態であって、がん、筋肉の障害、ユビキチン経路関連遺伝障害、免疫/炎症性障害、神経障害及び他のユビキチン経路関連障害を含むがこれらに限定されない、疾患、障害又は状態を処置する、阻害する、これらの進行を遅延させる、これらを防止する/これらの再発を遅延させる、これらを改善する、又は防止するのに使用されうる。
【0158】
本発明のADC(OBI-999)は、治療において、単独で使用される場合もあり、他の組成物と組み合わせて使用される場合もある。例えば、本発明のADC(OBI-999)は、別の抗体及び/又はアジュバント/治療剤(例えば、ステロイド)と、共投与されうる。例えば、本発明のADC(OBI-999)は、処置スキーム、例えば、がん、筋肉の障害、ユビキチン経路関連遺伝障害、免疫/炎症性障害、神経障害及び他のユビキチン経路関連障害を含む、本明細書において記載された疾患のうちのいずれかの処置において、抗炎症剤及び/又は消毒剤と組み合わされうる。上述の、このような組合せ療法は、組合せ投与(2つ以上の薬剤が、同じ製剤又は別個の製剤に含まれる投与)、及び本発明のADC(OBI-999)の投与が、補助的な、1つ以上の治療の投与の前になされる場合もあり、かつ/又はこれらに続いてなされる場合もある、個別投与を含む。
【0159】
本発明のADC(OBI-999)は、非経口投与、皮下投与、腹腔内投与、肺内投与及び鼻腔内投与並びに、局所処置に所望の場合、病変内投与を含む、任意の適切な手段により投与されうる。非経口注入は、筋内投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与又は皮下投与を含む。加えて、ADC(OBI-999)は、特に、ADC(OBI-999)の用量を漸減させる、パルス注入により適切に投与される。投与は、任意の適切な経路により、例えば、投与が、短期であるのか、長期であるのかどうかに部分的に応じて、静脈内注射又は皮下注射のような注射によりなされうる。
【0160】
治療適用
本明細書において、治療有効量の、本明細書において記載された、1つ以上のADC(OBI-999)を含む組成物をこのような処置を必要とする対象に投与するステップを含む治療方法について記載される。
【0161】
一部の実施形態において、処置を必要とする対象(例えば、ヒト患者)は、がんを伴うと診断されている、がんを有することが疑われる、又はがんの危険性がある。がんの例は、肉腫、皮膚がん、白血病、リンパ腫、脳腫瘍、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、口腔がん、頭頸部がん、鼻咽頭がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、胆管がん、胆嚢がん、膀胱がん、膵臓がん、腸がん、結腸直腸がん、腎臓がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、睾丸がん、口腔がん、口腔咽頭がん、喉頭がん又は前立腺がんを含むがこれらに限定されない。
【0162】
好ましい実施形態において、ADC(OBI-999)は、グロボ系列の抗原を発現させるがん細胞をターゲティングすることが可能である。一部の実施形態において、ADC(OBI-999)は、がん細胞における、グロボ系列の抗原をターゲティングすることが可能である。一部の実施形態において、ADC(OBI-999)は、がんにおける、グロボ系列の抗原をターゲティングすることが可能である。
【0163】
処置は、腫瘍サイズの低減、悪性細胞の消失、転移の防止、再発の防止、播種性がんの低減又は殺滅、生存の延長及び/又はがん腫瘍の進行までの時間の延長を結果としてもたらす。
【0164】
一部の実施形態において、処置は、さらなる治療を、ADC(OBI-999)の投与の前に、この投与時に、又はこの投与の後において、対象に投与することをさらに含む。一部の実施形態において、さらなる治療は、化学療法剤による処置である。一部の実施形態において、さらなる治療は、放射線療法である。
【0165】
本発明の方法は、特に、早期腫瘍を処置及び防止し、これにより、さらなる進行期への進行を防止する結果として、進行がんと関連する罹患率及び死亡率の低減をもたらすのに有利である。本発明の方法はまた、腫瘍の再発若しくは腫瘍、例えば、原発腫瘍を除去した後で存続する休眠腫瘍(dormant tumor)の再増殖を防止する、又は腫瘍の発生を低減若しくは防止するのに有利でもある。
【0166】
一部の実施形態において、本明細書において開示された方法は、例えば、グロボH、SSEA-3及び/又はSSEA-4の発現の増大を特徴とするがんの処置又は防止のために有用である。一部の実施形態において、がんは、がん幹細胞を含む。一部の実施形態において、がんは、前がん状態及び/又は悪性がん及び/又は治療抵抗性がんである。一部の実施形態において、がんは、脳腫瘍である。
【0167】
本明細書において記載された方法により処置される対象は、哺乳動物、より好ましくは、ヒトでありうる。哺乳動物は、農場動物、競技動物、愛玩動物、霊長動物、ウマ、イヌ、ネコ、マウス及びラットを含むがこれらに限定されない。処置を必要とするヒト対象は、肉腫、皮膚がん、白血病、リンパ腫、脳腫瘍、肺がん、乳がん、口腔がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、胆管がん、膵臓がん、結腸がん、腎臓がん、子宮頸がん、卵巣がん及び前立腺がんを含むがこれらに限定されないがんを有する、これらの危険性がある、又はこれらを有することが疑われるヒト患者でありうる。がんを有する対象は、規定の医学的検査により同定されうる。
【0168】
本明細書において使用される「有効量」とは、単独で、又は1つ以上の他の活性薬剤と組み合わせて、対象に治療効果を付与するのに要請される、各活性薬剤の量を指す。当業者により認識されている通り、有効量は、処置される特定の状態、状態の重症度、個々の患者のパラメータであって、医療従事者の知見及び専門知識の範囲内にある、年齢、健康状態、体格、性別及び体重、処置の持続期間、併用療法(存在する場合)の性質、特殊な投与経路などの因子を含むパラメータに応じて変動する。これらの因子は、当業者に周知であり、規定の実験だけにより対処されうる。個々の成分又はそれらの組合せの最大用量、すなわち、妥当な医学的判断に従う安全最高用量を使用することが一般に好ましい。しかし、当業者により、患者が、医学的理由、心理的理由、又は事実上他の任意の理由のために、低用量又は忍容可能用量を主張することが理解される。
【0169】
本明細書において使用される「~を処置すること」という用語は、1つ以上の活性薬剤を含む組成物の、がん、がんの症状又はがんに対する素因を有する対象への、がん、がんの症状又はがんに対する素因を治癒させる、治す、緩和する、和らげる、変更する、修復する、改善する(ameliorate)、改善する(improve)、又はこれらに影響を及ぼすことを目的とする適用又は投与を指す。
【0170】
がんの「発症」又は「進行」とは、がんの初期発現及び/又はその後の進行を意味する。がんの発症は、検出可能な場合があり、当分野で周知の、標準的な臨床的技術を使用して評価されうる。しかし、発症とはまた、検出不能な進行も指す。本開示の目的のために、発症又は進行とは、症状の生物学的経過を指す。「発症」は、発生、再発、及び発病を含む。本明細書において使用される、がんの「発病」又は「発生」は、初期の発病及び/又は再発を含む。
【0171】
処置される疾患の種類又は疾患の部位に応じて、医薬組成物を対象に投与するのに、医療の当業者に公知である、従来の方法が使用されうる。この組成物はまた、他の従来の経路を介して、例えば、経口投与、非経口投与される場合もあり、吸入スプレーにより投与することもでき、局所投与、直腸内投与、鼻腔内投与、口腔内投与、膣内投与される場合もあり、移植されたレザバーを介して投与される場合もある。本明細書において使用される「非経口」という用語は、皮下注射技術又は皮下注入技術、皮内注射技術又は皮内注入技術、静脈内注射技術又は静脈内注入技術、筋内注射技術又は筋内注入技術、関節内注射技術又は関節内注入技術、動脈内注射技術又は動脈内注入技術、滑膜内注射技術又は滑膜内注入技術、胸骨下注射技術又は胸骨下注入技術、髄腔内注射技術又は髄腔内注入技術、病変内注射技術又は病変内注入技術及び頭蓋内注射技術又は頭蓋内注入技術を含む。加えて、医薬組成物は、1カ月、3カ月、若しくは6カ月にわたるデポ注射用の材料及び方法、又は生体分解性の材料及び方法などを使用する、注射用デポ投与経路を介して対象に投与されうる。
【0172】
注射用組成物は、植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール及びポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)のような、多様な担体を含有しうる。静脈内注射のために、水溶性ADC(OBI-999)は、ADC(OBI-999)及び生理学的に許容される賦形剤を含有する医薬製剤が注入される、点滴方法により投与されうる。生理学的に許容される賦形剤は、例えば、5%のデキストロース、0.9%の生理食塩液、リンゲル液、又は他の適切な賦形剤を含みうる。
【0173】
抗体-薬物コンジュゲートによる医薬製剤の投与
治療用の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、処置される状態に適切な任意経路により投与されうる。ADCは、非経口投与、すなわち、注入、皮下注入、筋内注入、静脈内注入、皮内注入、髄腔内注入、ボーラス注射、腫瘍内注射又は硬膜外注射されることが典型的である(Shireら(2004)J.Pharm.Sciences、93(6):1390~1402頁)。治療用の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の医薬製剤は、非経口投与のために、薬学的に許容される非経口媒体と共に、かつ、注射用単位剤形において調製されることが典型的である。所望の純度を有する抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、任意選択的に、薬学的に許容される希釈剤、担体、賦形剤又は安定化剤と、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態において混合される(「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(1980)、16版、Osol,A.編)。
【0174】
許容可能な、非経口の媒体、希釈剤、担体、賦形剤及び安定化剤は、援用される投与量及び濃度において、レシピエントに対して非毒性であり、リン酸、クエン酸、ヒスチジン及び他の有機酸のような緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、ベンゼトニウム塩化物;フェノール、ブチルアルコール又はベンジルアルコール;メチルパラベン又はプロピルパラベンのようなアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリシンのようなアミノ酸;単糖、二糖及びグルコース、マンノース又はデキストリンを含む、他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールのような糖;ナトリウムのような塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)並びに/又はTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)若しくはポリエチレングリコール(PEG)のような非イオン性界面活性剤を含む。例えば、凍結乾燥抗ErbB2抗体製剤については、参照により本明細書に明示的に組み込まれている、WO97/04801において記載されている。トラスツズマブ-SMCC-DM1のような、例示的なADC製剤は、約100mg/mlのトレハロース(2-(ヒドロキシメチル)-6-[3,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-テトラヒドロピラン-3,4,5-トリオール;C12H22O11;CAS番号:99-20-7)及び約0.1%のTWEEN(商標)20(ポリソルベート20;ドデカン酸2-[2-[3,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)テトラヒドロフラン-2-イル]-2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチルエステル;C26H50O10;CAS番号:9005-64-5)を、約pH6において含有する。
【0175】
治療用の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の医薬製剤は、ADCを作製する工程における、過剰量の試薬、不純物並びに副産物の不完全な精製及び分離;若しくは時間/温度による加水分解又はバルクADC若しくは製剤化されたADC組成物の保管時の分解の帰結として、ある特定の量の、未反応の薬物部分(D)、抗体-リンカー中間体である(Ab-L)及び/又は薬物-リンカー中間体である(D-L)を含有しうる。
【0176】
有効活性医薬成分はまた、例えば、コアセルベーション技術により、又は界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)又はマクロエマルジョンにおける、ヒドロキシメチルセルロースマイクロカプセル又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセルにも封入されうる。このような技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、16版、Osol,A.編(1980)において開示されている。
【0177】
持続放出調製物が調製されうる。適切な持続放出調製物の例は、ADCを含有する固体の疎水性ポリマーによる半透性マトリックスであって、成型品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態にあるマトリックスを含む。持続放出マトリックスの例は、ポリエステル、ハイドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸(glutamic acid)とガンマ-エチル-L-グルタミン酸(glutamate)とのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドとから構成された注射用マイクロスフェア)のような分解性乳酸-グリコール酸コポリマー及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。
【0178】
インビボにおける投与のために使用される製剤は、滅菌製剤でなければならず、滅菌製剤は、滅菌濾過膜を介する濾過によりたやすく達成される。
【0179】
製剤は、前出の投与経路に適する製剤を含む。製剤は、単位剤形において提示されうると簡便であり、薬学分野において周知の方法のうちのいずれかにより調製されうる。技術及び製剤は一般に、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(Mack Publishing Co.、Easton、Pa.)において見出される。このような方法は、有効成分を、1つ以上の補助成分を構成する担体と会合させるステップを含む。一般に、製剤は、有効成分を、液体担体又は微粉化された固体担体又はこれらの両方と、均一かつ緊密に会合させ、次いで、必要な場合、生成物を成形することにより調製される。
【0180】
水性懸濁液は、活性材料を、水性懸濁液の製造に適する賦形剤との混合物中に含有する。このような賦形剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロース、ポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガムのような懸濁化剤並びに自然発生のホスファチド(例えば、レシチン)、酸化アルキレンの、脂肪酸(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)との縮合生成物、酸化エチレンの、長鎖脂肪族アルコール(例えば、ヘプタデカエチレンオキセタノール)との縮合生成物、酸化エチレンの、脂肪酸及び無水ヘキシトールに由来する部分エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)との縮合生成物のような分散剤又は保湿剤を含む。水性懸濁液はまた、例えば、エチルp-ヒドロキシベンゾエート又はn-プロピルp-ヒドロキシベンゾエートのような1又は複数の保存剤、1つ以上の着色剤、1つ以上の芳香剤及びスクロース又はサッカリンのような1つ以上の甘味剤も含有しうる。
【0181】
ADCによる医薬組成物は、滅菌注射用水性懸濁液又は滅菌注射用油性懸濁液のような注射用調製物の形態でありうる。この懸濁液は上述の、これらの適切な分散剤、保湿剤及び懸濁剤を使用して、公知の技術に従い製剤化されうる。滅菌注射用調製物はまた、1,3-ブタンジオール中の溶液のような、非毒性で非経口的に許容可能な希釈剤中又は溶媒中の滅菌注射用溶液又は滅菌注射用懸濁液の場合もあり、凍結乾燥粉末として調製される場合もある。援用されうる、許容可能な媒体及び溶媒には、水、リンゲル液及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌の固定油も、従来、溶媒又は懸濁媒として援用されている。この目的では、合成モノグリセリド又は合成ジグリセリドを含む、任意の無刺激性の固定油が援用されうる。加えて、注射剤の調製では、オレイン酸のような脂肪酸も使用されうる。
【0182】
単一の剤形を作製するのに、担体材料と組み合わせうる有効成分の量は、処置される宿主及び特定の投与方式に応じて変動する。例えば、静脈内注入のために意図された水溶液は、約30mL/時間の速度における、適切な容量の注入がなされうるように、溶液1ミリリットル当たり約3~500μgの有効成分を含有しうる。皮下(ボーラス)投与は、総容量を約1.5ml以下とし、濃度を1ml当たり約100mgのADCとして実施されうる。高頻度であり、長期にわたる投与を要請するADCのために、あらかじめ充填されたシリンジ又は自動式注入デバイス技術などによる皮下経路が援用されうる。
【0183】
一般論として述べると、初回の投与1回当たりに投与される、薬学的有効量のADCは、約0.01~100mg/kg、すなわち、1日当たり患者の体重1kg当たり約0.1~20mgの範囲であり、典型的な初回に使用される化合物の範囲は、0.3~15mg/kg/日である。例えば、ヒト患者は、初回に、患者の体重1kg当たり約1.5mgのADCにおいて投与されうる。用量は、最大耐量(MTD)まで漸増されうる。投与スケジュールは、ほぼ3週間ごとでありうるが、診断された状態又は応答に従い、スケジュールは、高頻度の場合もあり、低頻度の場合もある。用量は、処置コースにおいて、MTD以下にさらに調整される場合があり、調整された用量は、約4サイクル以上など、複数のサイクルにわたり安全に投与されうる。
【0184】
非経口投与に適する製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤及び製剤を、意図されるレシピエントの血液と等張性とする溶質を含有しうる、水性滅菌注射溶液及び非水性滅菌注射溶液;並びに懸濁剤及び増粘剤を含みうる、水性滅菌懸濁液及び非水性滅菌懸濁液を含む。
【0185】
タンパク質治療剤の経口投与は、限定的な吸収、加水分解又は消化管における変性に起因する、低バイオアベイラビリティーに起因して、一般に好適ではないが、経口投与に適するADCの製剤は、各々が、所定量のADCを含有する、カプセル、小袋又は錠剤など、個別の単位として調製されうる。
【0186】
製剤は、単位用量又は複数回投与用量の容器、例えば、密封されたアンプル及びバイアルにパッケージングされる場合があり、使用直前における、滅菌液体担体、例えば、注射用水の添加だけを要請する、凍結乾燥(freeze-dried(lyophilized))状態において保管されうる。即席の注射溶液及び懸濁液は、既に記載されている種類の、滅菌の粉末、顆粒及び錠剤から調製される。例示的な単位投与量の製剤は、毎日の用量又は毎日の単位部分用量又はこれらの適切な分割量の有効成分を含有する。
【0187】
したがって、本発明は、上記において規定された少なくとも1つの有効成分を、獣医科的担体と併せて含む、獣医科的組成物をさらに提供する。獣医科的担体とは、組成物を投与する目的のために有用な材料であり、固体材料の場合もあり、液体材料の場合もあり、気体材料の場合もあり、これらの材料は、このほかに、不活性又は獣医科分野において許容可能であり、有効成分と適合性である。これらの獣医科的組成物は、非経口投与される場合もあり、経口投与される場合もあり、他の任意の所望される経路により投与される場合もある。
【0188】
疾患を防止又は処置するために、ADCの適切な投与量は、上記において規定された、処置される疾患の種類、重症度及び疾患の経過、分子が、防止的目的のために投与されるのか、治療的目的のために投与されるのか、既往の治療、患者の臨床的既往歴及び抗体への応答並びに主治医の熟慮に依存する。分子は、1回において、又は一連の処置において、適切に患者に投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、約1μg/kg~15mg/kg(例えば、0.1~20mg/kg)の分子が、例えば、1回以上の個別の投与によるのであれ、連続注入によるのであれ、患者への投与のための、初期の候補投与量である。典型的な毎日の投与量は、上述の因子に応じて、約1μg/kg~100mg/kg以上の範囲でありうる。患者に投与される、ADCの例示的な投与量は、患者の体重1kg当たり約0.1~約10mgの範囲である。
【0189】
状態に応じて、数日間以上にわたる反復投与のために、疾患の症状の所望される抑制が生じるまで、処置は持続される。例示的な投与レジメンは、約4mg/kgの初期負荷用量に続き、毎週約2mg/kgの維持用量の抗ErbB2抗体を投与することを含む。他の投与レジメンも有用でありうる。この治療の進捗は、従来の技術及びアッセイにより、容易にモニタリングされうる。
【0190】
組合せ療法
抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、組合せ医薬製剤又は組合せ療法としての投与レジメンにおいて、抗がん特性を有する第2の化合物と組み合わされうる。組合せ医薬製剤又は投与レジメンの第2の化合物は、互いに、有害な影響を及ぼし合わないように、組合せのうちのADCと、相補的な活性を有することが好ましい。
【0191】
第2の化合物は、化学療法剤、細胞傷害剤、サイトカイン、増殖阻害性薬剤、抗ホルモン剤、アロマターゼ阻害剤、タンパク質キナーゼ阻害剤、脂質キナーゼ阻害剤、抗アンドロゲン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、遺伝子治療ワクチン、抗血管新生剤及び/又は心保護剤でありうる。このような分子は、意図される目的のために有効な量の組合せにおいて、適切に存在する。ADCを含有する医薬組成物はまた、チューブリン形成阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤又はDNA結合剤のような、治療有効量の、化学療法剤も有しうる。
【0192】
代謝物質による生成物は、放射性標識化された(例えば、14C又は3H)ADCを調製し、これを、検出可能な用量(例えば、約0.5mg/kgを超える用量)において、ラット、マウス、モルモット、サル又はヒトへのような動物に非経口投与し、代謝が生じるのに十分な時間(典型的に約30秒間~30時間)を与え、その転換生成物を、尿、血液又は他の生物学的試料から単離することにより、同定されうる。これらの生成物は、標識化されているので、容易に単離される(他の生成物は、代謝物質中に存続するエピトープへの結合が可能な抗体の使用により単離される)。代謝物質の構造は、従来の方式により、例えば、MS分析、LC/MS分析又はNMR分析により決定される。一般に、代謝物質についての分析は、当業者に周知である、従来の薬物代謝研究と同様になされる。転換生成物は、これらが、インビボにおいて別様に見出されない限りにおいて、ADC化合物の治療的投与のための診断アッセイにおいて有用である。
【0193】
代謝物質は、インビボにおける、ADCの切断の生成物を含み、この場合、薬物部分を、抗体へと連結する、任意の結合の切断が生じる。したがって、代謝的切断は、ネイキッドの抗体又は抗体断片を結果としてもたらしうる。抗体の代謝物質は、リンカーの一部又は全部へと連結されうる。代謝的切断はまた、薬物部分又はその一部の産生も結果としてもたらしうる。薬物部分の代謝物質は、リンカーの一部又は全部へと連結されうる。
【0194】
製品
別の実施形態において、ADC及び上記において障害の処置に有用な材料を含有する製品又は「キット」が提供される。製品は、容器及び容器上のラベル若しくはパッケージ添付文書又は容器と関連する表示若しくはパッケージ添付文書を含む。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ又はブリスターパックを含む。容器は、ガラス又はプラスチックのような様々な材料から形成されうる。容器は、状態を処置するのに有効な、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有しうる(例えば、容器は、静脈内注射用溶液バッグの場合もあり、皮下注射用注射針で穿刺可能な止栓を有するバイアルの場合もある)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、ADCである。ラベル又はパッケージ添付文書は、組成物が、がんのような、えり抜きの状態を処置するために使用されることを指し示す。
【0195】
さらに詳述せずに述べると、当業者は、上記における記載に基づき、本発明を、その最大限度まで活用しうると考えられる。したがって、以下の詳細な実施形態は、例示的なものであるに過ぎず、いかなる形であれ、本開示の残余の部分に対して限定的ではないと解釈されるべきである。本明細書において引用された全ての刊行物は、本明細書において言及された目的又は主題のために、参照により組み込まれている。
【実施例0196】
[実施例1] 抗体薬物コンジュゲーション
PolyThericsが、抗体薬物コンジュゲート(ADC;OBI-999)を調製するのに、MMAE試薬の、OBI-888モノクローナル抗体へのコンジュゲーションを実施した。ジスルフィドコンジュゲーションリンカーは、PCT出願番号:米国特許第7595292号(WO2005/007197)に開示されている通りであり;OBI-888は、抗グロボHモノクローナル抗体であり、US20170101462(WO2017/062792)に開示されている通りであり;モノメチルアウリスタチンE(MMAE)は、市販の抗新生物剤である。パイロット規模の反応及び精製を実行して、適切な状態を同定した。還元抗体には、凝集への傾向がないことが見出された。還元状態及びコンジュゲーション状態についての、後続のスクリーニングは、コンジュゲーション収量の著明な改善を結果としてもたらした。OBI-999(DAR=4)の化学的構造の全体は、以下:
【0197】
【0198】
[実施例2] 抗体薬物コンジュゲート(OBI-999)の分析
2.1 外観
生成物溶液の外観を、色及び透明度について視覚的に検討した。
【0199】
2.2 HIC分析
Dionex Ultimate 3000RS HPLCシステムへと接続されたTOSOH、TSKgel Butyl-NPRカラム(3.5cm×4.6mm)を使用して、分析的HIC(疎水性相互作用クロマトグラフィー)を実行した。移動相は、緩衝液A(50mMのリン酸ナトリウム、pH7.0中、1.5Mの硫酸アンモニウム)であった。20%~86%の緩衝液B(50mMのリン酸ナトリウム、pH7.0中、20%のイソプロパノール(v/v))を使用して、勾配を適用した(1.2mL/分の流量で、18.4分間にわたる)。カラム温度は、分析を通して、30℃に維持し、UVの検出は、280nmにおいて実行した。各分析のために、10μgの天然OBI-888又はコンジュゲート生成物を注入した。
【0200】
2.3 SEC分析
Agilent Infinity 1260 Bioinertシステムへと接続されたTOSOH Bioscience TSKgel Super SW 3000カラム(4.6mm×30cm、4μm)及びガードカラム(4.6mm×4cm)を使用して、SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)を実行した。移動相は、0.2Mのリン酸カリウム緩衝液、pH6.8(0.2Mの塩化カリウム、15%イソプロパノール)であった。流量は、0.35mL/分において、一定に保った。カラムは、分析を通して、周囲温度に維持した。280nmにおけるUV検出を伴う、20分間にわたる定組成溶離により、分析を実行した。各分析のために、10μgのコンジュゲート生成物を注入した。純度百分率及び存在する凝集百分率は、主要ピーク及び早期溶離ピークそれぞれのピーク面積を、全ピーク面積と比較することにより計算した。
【0201】
2.4 SDS-PAGE分析
MES緩衝液を伴う還元条件下において、NuPAGE 4-12% Bis-Trisゲル(Invitrogen、型番NP0321BOX)を使用して、SDS-PAGE分析を実行した。分析のために、1μgの試料(タンパク質に基づく)を、レーンごとに、ゲルへとロードした。電気泳動は、200Vにおいて、35分間にわたり実行した。タンパク質検出のために、ゲルを、InstantBlue(Expedeon、型番ISB1LUK)により染色し、ImageQuantイメージング装置(GE Healthcare)を使用して分析した。
【0202】
2.5 ブラッドフォードアッセイ及びUV吸光度による濃度の決定
コンジュゲートの濃度は、ブラッドフォードマイクロプレートアッセイにより、天然OBI-888についての検量線(0~100μg/mL)に照らして決定した。アッセイは、平底96ウェルプレートにおいて、100μLの各較正標準物質及び試料を、200μLのブラッドフォード試薬(Expedeon、BFU1L)と、三連において混合することにより実施した。595nmにおける光学密度を読み取り、天然OBI-888についての検量線に照らして、試料濃度を決定した。コンジュゲートの濃度(タンパク質に基づく)もまた、Nanodrop分光光度計を使用するUV吸光度(A280)により決定した。三連において採取した測定値及び平均値を使用して、抗体濃度:
c=Abs/ε×l
[式中、c=濃度(mg/mL);Abs=280nmにおける吸光度;ε=吸光係数(mL/mg・cm);l=長さ(cm)]
を決定した。
【0203】
1つのADC試料(OBI-999)を、薬物対抗体比を4とする、大規模コンジュゲーションから単離したところ、単離されたADC(OBI-999)の総量は、14.5mg(ブラッドフォード法)であった。薬物対抗体比の配分は、疎水性相互作用クロマトグラフィーを使用することにより行い、
図1に示す。
図1(A)は、HICによる、OBI-888の単一のピーク(100%)を示し、
図1(B)は、ADC(OBI-999)の主要ピーク(82.3%)を示し、4の薬物対抗体比を表した。OBI-888(
図2A)及びADC(OBI-999)(
図2B)の純度は、サイズ排除クロマトグラフィーを使用することにより測定した。純度はいずれも、96%を超えた。最後に、OBI-888及びADC(OBI-999)についてのSDS-PAGE分析は、
図3において示される通りであった。試料は、低凝集(<5%)である、均質な生成物(>82%の単一薬物対抗体比)であることが示された。分析の概要は、表2に列挙した。
【0204】
【0205】
[実施例3] ヌードマウス(乳がん)における、例示的な抗体の抗腫瘍活性の測定
ヒト乳腺腺癌についての異種移植腫瘍モデルにおいて、MCF-7(ATCC HTB-22)細胞を、雌無胸腺(nu/nu)ヌードマウスの右脇腹へと、皮下(SC)に移植した(マウス1匹当たり、1:1のマトリゲル/培地混合物0.2mL中の細胞2.0×107個)。エストラジオールプロピオン酸シクロペンチル(マウス1匹当たり100μg)の補充の注射を、細胞移植の1週間前~研究の完了において、毎週2回ずつ、肩甲骨の間に皮下投与した。腫瘍を移植されたマウスを、各群が6匹ずつの動物を含有する、11の処置群へと分け、被験薬剤の投与を、細胞移植の1日後(1日目と表示される)に開始した。
【0206】
3.1 被験物質及び投与パターン
原液を、25mMのクエン酸ナトリウム、100mMのNaCl緩衝液(pH6.5)により、毎日希釈することにより、被験物質である、ADC(OBI-999)、OBI-888及びMMAEを製剤化し、毎週1回ずつ2又は6週間にわたり、静脈内(IV)投与した。2つの対照群に、媒体(25mMのクエン酸ナトリウム、pH6.5+100mMのNaCl)の静脈内注射を、毎週1回ずつ6週間(群1)又は2週間(群2)にわたり施した。被験物質である、ADC(OBI-999)は、10mg/kgにおいて、毎週1回ずつ2週間にわたり、並びに0.3、1及び3mg/kgにおいて、毎週1回ずつ6週間にわたり投与した。被験物質である、OBI-888は、10mg/kgにおいて、毎週1回ずつ2週間にわたり、並びに0.3、1及び3mg/kgにおいて、毎週1回ずつ6週間にわたり投与した。被験物質である、MMAEは、0.057mg/kgにおいて、毎週1回ずつ6週間にわたり投与した。全ての被験物質は、ADC(OBI-999)を、12.5mL/kgの投与容量により、10mg/kgにおいて投与したことを除き、10mL/kgの投与容量において投与した。
【0207】
【0208】
3.2 細胞株
ヒト乳腺腺癌の腫瘍細胞株である、MCF-7(ATCC HTB-22、乳腺腺癌)は、治験依頼者により提供された。腫瘍細胞は、治験依頼者により、調製及び培養され(1mL当たりの細胞1×108個)、細胞2×107個を含有する、0.2mLのMCF-7腫瘍細胞接種物(マトリゲル及び培地の混合物;1:1)が、各マウスの右脇腹の皮下に移植された。
【0209】
3.3 動物
BioLasco Taiwan(Charles River Laboratoriesから実施権を許可されている)から得た、6~7週齢の雌(nu/nu)ヌードマウスを使用した。動物は、個別換気型ケージ(IVC;36 Mini Isolator System)において飼育した。3~5匹の動物の割当ては、cm単位で27×20×14であった。全ての動物は、明暗周期を12時間として、温度(20~24℃)及び湿度(30~70%)を制御した、衛生的な環境下において維持した。標準実験飼料(オリエンタル酵母工業株式会社、日本)及びオートクレーブ処理された水道水に自由にアクセスさせた。本作業の全ての側面であって、飼育、実験及び動物の処分を含む側面は、一般に、AAALACにより正式に認可された、本発明者らの実験動物施設において、「Guide for Care and Use of Laboratory Animals」、8版(National Academies Press、Washington、D.C.、2011)に従い実施した。加えて、動物のケア及び使用されるプロトコールは、Eurofins Panlabs Taiwan,LtdにおけるIACUCにより再検討され、承認された。
【0210】
3.4 化学物質
この実験において、Estol-Depot Inj.(エストラジオールプロピオン酸シクロペンチル)(Astar、Taiwan)及びBD Matrigel Matrix(BD Biosciences、US)が使用された。
【0211】
3.5 機器
キャリパー(株式会社ミツトヨ、日本)、遠心分離機5810R(Eppendorf、Germmany)、CO2インキュベーター(Forma Scientific Inc.、USA)、血球計算盤(Hausser Scientific Horsham、USA)、個別換気型ケージ(36 Mini Isolator system、Tecniplast、Italy)、倒立顕微鏡CK-40(オリンパス株式会社、日本)、システム顕微鏡E-400(株式会社ニコン、日本)及び垂直層流型クリーンルーム(Tsao-Hsin、Taiwan)である。
【0212】
3.6 方法
腫瘍体積、体重、死亡及び明らかな毒性の徴候を、毎週2回ずつ77日間にわたり、モニタリングし、記録した。腫瘍体積(mm3)は、扁長楕円体についての式:長さ(mm)×[幅(mm)]2×0.5に従い計算した。腫瘍増殖の阻害は、T/C(処置/対照)×100%として計算した。≦42%のT/C値が、有意な抗腫瘍活性であると考えられた。二元ANOVAに続いて、ボンフェローニ検定を使用して、群の、それぞれの媒体対照と比較した統計学的有意性を確認した(*p<0.05)。
【0213】
3.7 結果
【0214】
【0215】
【0216】
【0217】
【0218】
【0219】
【0220】
図4は、MCF-7を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスにおける、腫瘍の増殖曲線を示した。10mg/kgにおける、ADC(OBI-999)の、毎週1回ずつ2週間にわたる静脈内投与は、19日目~77日目において、対応する媒体対照群と比較して、有意な(≦42%のT/C値)抗腫瘍活性(
図4A)と関連した。さらに、用量依存的効果の証拠は、毎週1回ずつ6週間にわたる投与を施されたADC(OBI-999)処置群においても観察された。0.3mg/kgにおける、ADC(OBI-999)の、毎週1回ずつ6週間にわたる静脈内投与は、研究の経過にわたり、抗腫瘍活性と関連しなかった。しかし、1mg/kg及び3mg/kgにおける、ADC(OBI-999)の、毎週1回ずつ6週間にわたる静脈内投与は、それぞれ、26日目~77日目及び19日目~77日目において、対応する媒体対照群と比較して、有意な(≦42%のT/C値)抗腫瘍活性(
図4B)と関連した。
【0221】
10mg/kgにおける、OBI-888の、毎週1回ずつ2週間にわたる静脈内投与は、研究の投与期中及びこの直後の両方において、対応する媒体対照群と比較して、低度(modest)~中程度の抗腫瘍活性(
図4A)と関連した。さらに、用量依存的効果の証拠は、毎週1回ずつ6週間にわたる投与を施されたOBI-888処置群においても観察された。0.3mg/kgにおける、OBI-888の、毎週1回ずつ6週間にわたる静脈内投与は、研究の経過にわたり、低度な抗腫瘍活性と関連した。1mg/kgにおける、OBI-888の、毎週1回ずつ6週間にわたる静脈内投与は、研究の経過にわたり、中程度の抗腫瘍活性と関連した。3mg/kgにおける、OBI-888の、毎週1回ずつ6週間にわたる静脈内投与は、26日目という早期から、有意(≦42%のT/C値)に近い抗腫瘍活性を維持していたが、67日目及び70日目において、対応する媒体対照群と比較して、有意な(≦42%のT/C値)抗腫瘍活性(
図4B)に到達した。
【0222】
0.057mg/kgにおける、MMAEの、毎週1回ずつ6週間にわたる静脈内投与は、研究の投与期中及びこの直後の両方において、対応する媒体対照群と比較して、低度~中程度の抗腫瘍活性(
図4B)と関連した。
【0223】
図5は、MCF-7を移植された雌(nu/nu)ヌードマウスにおける体重の変化を示した。動物において、全ての用量レベルにおける、全ての被験物質は、良好に忍容され、研究の経過にわたり、体重の有意な減少と関連しなかった。研究期間中に、明らかな毒性は、観察されなかった。
図5はまた、ADC(OBI-999)、OBI-888及びMMAEの、対応する媒体対照群と比較した安全性も実証した。
【0224】
[実施例4] ヌードマウス(胃がん)における、例示的な抗体の抗腫瘍活性の測定
ヒト胃癌についての異種移植腫瘍モデルにおいて、NCI-N87(ATCC CRL-5822)生細胞を、雌nu/nuマウスの右脇腹へと、皮下(SC)に移植した(マウス1匹当たり0.2mLのマトリゲル(1:1)を伴う、1mL当たりの細胞2.5×106個)。腫瘍を移植されたマウスを、各群が8匹ずつの動物を含有し、1つの群が、5匹の動物を含有する、7つの処置群へと分け、投与を、細胞移植の1日後(1日目と表示される)に開始した。
【0225】
4.1 被験物質及び投与パターン
原液を、25mMのクエン酸ナトリウム、100mMのNaCl緩衝液(pH6.5)により、毎日希釈することにより、被験物質である、ADC(OBI-999)、OBI-888及び対応する媒体を製剤化し、毎週1回ずつ4週間にわたり、静脈内(IV)投与した。0.191mg/kgの、標準薬剤である、MMAE抗体及び対応する媒体(PBS pH7.4)は、毎週1回ずつ4週間にわたり、腹腔内(IP)投与した。1つの処置群に、被験物質である、10mg/kgのOBI-888の、0.191mg/kgのMMAEとの組合せ療法を施した。
【0226】
【0227】
4.2 細胞株
ヒト胃癌NCI-N87(ATCC CRL-5822)生細胞株は、Eurofins Panlabs Taiwan,Ltdにおいて購入及び培養された。細胞は、5%CO2インキュベーター内、10%のウシ胎仔血清(FBS)を含有するRPMI-1640培地中、37℃において培養され、各マウスの右脇腹の皮下に移植された。
【0228】
4.3 動物
BioLasco Taiwan(Charles River Laboratoriesから実施権を許可されている)から得た、5~6週齢の雌(nu/nu)ヌードマウスを使用した。動物は、個別換気型ケージ(IVC;36 Mini Isolatorシステム)において飼育した。3匹の動物の割当ては、cm単位で27×20×14であった。全ての動物は、明暗周期を12時間として、温度(20~24℃)及び湿度(30%~70%)を制御した、衛生的な環境下において維持した。標準実験飼料[MFG(オリエンタル酵母工業株式会社、日本)]及びオートクレーブ処理された、ボトル内の水道水に自由にアクセスさせた。本作業の全ての側面であって、飼育、実験及び動物の処分を含む側面は、一般に、AAALACにより正式に認可された、本発明者らの実験動物施設において、「Guide for Care and Use of Laboratory Animals」、8版(National Academies Press、Washington、D.C.、2011)に従い実施した。加えて、動物のケア及び使用されるプロトコールは、Eurofins Panlabs Taiwan,LtdにおけるIACUCにより再検討され、承認された。
【0229】
4.4 化学物質
0.9%のNaCl(Sin-Tong、Taiwan)、ウシ胎仔血清(HyClone、USA)、Matrigel(BD、USA)及びRPMI-1640(HyClone、USA)である。
【0230】
4.5 機器
動物用ケージ(Tecniplast、Italy)、1000mLビーカー(Kimax、USA)、キャリパー(株式会社ミツトヨ、日本)、クラスII生物学的安全キャビネット(NuAire、USA)、個別換気型ケージ(IVC;36 Mini Isolatorシステム)(Tecniplast、Italy)、マウス体重計Z-40型(Taconic、USA)、ステンレス製鉗子(Klappenecker、Germany)及び垂直層流型クリーンルーム(Tsao-Hsin、Taiwan)である。
【0231】
4.6 方法
腫瘍体積、体重、死亡及び明らかな毒性の徴候を、毎週2回ずつ100日間にわたり、モニタリングし、記録した。腫瘍増殖の阻害は、T/C(処置/対照)×100%として計算した。媒体対照群のT/C値と比較して、≦42%のT/C値が、有意な抗腫瘍活性であると考えられた。二元ANOVAに続いて、ボンフェローニ検定を使用して、群の、それぞれの媒体対照と比較した統計学的有意性を確認した(*p<0.05)。
【0232】
4.7 結果
【0233】
【0234】
【0235】
【0236】
【0237】
【0238】
【0239】
【0240】
【0241】
図17は、NCI-H526を移植された雌ヌード(nu/nu)マウスにおける、腫瘍の増殖曲線を示した。1mg/kgにおける、ADC(OBI-999)の静脈内投与は、研究の経過にわたり、媒体対照群と比較して、頑健な抗腫瘍活性を呈示した。有意な抗腫瘍活性(≦42%のT/C値)は、15日目から始まり、53日目まで通して、持続的に達成され、53日目に、83%の最大TGIパーセントを示した。3mg/kgにおける、ADC(OBI-999)の静脈内投与は、研究の経過にわたり、媒体対照群と比較して、頑健な抗腫瘍活性を呈示した。有意な抗腫瘍活性(≦42%のT/C値)は、11日目から始まり、53日目まで通して、持続的に達成され、53日目に、97%の最大TGIパーセントを示した。10mg/kgにおける、ADC(OBI-999)の静脈内投与は、研究の経過にわたり、媒体対照群と比較して、頑健な抗腫瘍活性を呈示した。有意な抗腫瘍活性(≦42%のT/C値)は、11日目から始まり、53日目まで通して、持続的に達成され、53日目に、97%の最大TGIパーセントを示した。
【0242】
10mg/kgにおける、OBI-888の、毎週の静脈(IV)投与は、研究の経過にわたり、媒体対照群と比較して、低度の抗腫瘍活性(
図17)を呈示した。
【0243】
10mg/kgにおける、被験物質、抗CD30 ADC(OBI-910)の、毎週の静脈(IV)投与は、研究の経過にわたり、媒体対照群と比較して、頑健な抗腫瘍活性を呈示した。有意な抗腫瘍活性(≦42%のT/C値)は、11日目から始まり、53日目まで通して、持続的に達成され、53日目に、75%の最大TGIパーセントを示した(
図17)。
【0244】
0.191mg/kgにおける、標準薬剤である、MMAEの、毎週の腹腔内(IP)投与は、研究の経過にわたり、媒体対照群と比較して、中程度の抗腫瘍活性を呈示し、53日目に、53%の最大TGIパーセントを示した(
図17)。
【0245】
10mg/kgにおける、被験物質である、OBI-888の、0.191mg/kgにおける、標準薬剤である、MMAEとの組合せ治療は、研究の経過にわたり、媒体対照群と比較して、腫瘍増殖の有意な阻害と関連した。有意な抗腫瘍活性(≦42%のT/C値)は、11日目から始まり、53日目まで通して、持続的に達成され、53日目に、62%の最大TGIパーセントを示した(
図17)。
【0246】
図18は、NCI-H526を移植された雌ヌード(nu/nu)マウスにおける体重の変化を示した。全ての被験物質は、良好に忍容され、研究の経過にわたり、体重の有意な減少と関連しなかった。
【0247】
[実施例5] ヌードマウス(肺がん)における、例示的な抗体の抗腫瘍活性の測定
ヒト小細胞肺がんについての異種移植腫瘍モデルにおいて、生存するNCI-H526病期E癌;変異体の小細胞肺がん細胞(ATCC CRL-5811)を、雌nu/nuマウスの右脇腹へと、皮下(SC)に移植した(マウス1匹当たり0.2mLのマトリゲル(1:0.8)を伴う、1mL当たりの細胞1×106個)。腫瘍を移植されたマウスを、各群が8匹ずつの動物を含有する、5つの処置群へと分け、被験薬剤の投与を、細胞移植の1日後(1日目と表示される)に開始した。
【0248】
5.1 被験物質及び投与パターン
原液を、25mMのクエン酸ナトリウム、100mMのNaCl緩衝液(pH6.5)により、毎日希釈することにより、被験物質である、ADC(OBI-999)、OBI-888及び対応する媒体を製剤化し、毎週1回ずつ4週間にわたり、静脈内(IV)投与した。0.191mg/kgの、標準薬剤である、MMAE抗体及び対応する媒体(PBS pH7.4)は、毎週1回ずつ4週間にわたり、腹腔内(IP)投与した。1つの処置群に、被験物質である、10mg/kgのOBI-888の、0.191mg/kgのMMAEとの組合せ療法を施した。
【0249】
【0250】
5.2 細胞株
NCI-H526腫瘍細胞株は、American Type Culture Collectionから購入され(ATCC CRL-5811、変異体小細胞肺癌)、Eurofins Panlabs Taiwan,Ltdにおいて培養された。細胞は、5%CO2インキュベーター内、10%のウシ胎仔血清(FBS)を含有するRPMI-1640培地中、37℃において培養され、各マウスの右脇腹の皮下に移植された。
【0251】
5.3 動物
6~7週齢の雌(nu/nu)ヌードマウスを、BioLasco Taiwan(Charles River Laboratoriesから実施権を許可されている)から得、使用した。動物は、個別換気型ケージ(IVC;36 Mini Isolatorシステム)において飼育した。5匹の動物の割当ては、cm単位で27×20×14であった。全ての動物は、明暗周期を12時間として、温度(20~24℃)及び湿度(30~70%)を制御した、衛生的な環境下において維持した。標準実験飼料[MFG(オリエンタル酵母工業株式会社、日本)]及びオートクレーブ処理された水道水に自由にアクセスさせた。本作業の全ての側面であって、飼育、実験及び動物の処分を含む側面は、一般に、AAALACにより正式に認可された、本発明者らの実験動物施設において、「Guide for Care and Use of Laboratory Animals」、8版(National Academies Press、Washington、D.C.、2011)に従い実施した。加えて、動物のケア及び使用されるプロトコールは、Eurofins Panlabs Taiwan,LtdにおけるIACUCにより再検討され、承認された。
【0252】
5.4 化学物質
この実験において、ウシ胎仔血清(Hyclone、USA)、RPMI-1640培地(ThermoFisher、USA)及びMatrigel(Corning、USA)が使用された。
【0253】
5.5 機器
キャリパー(株式会社ミツトヨ、日本)、遠心分離機5810R(Eppendorf、Germmany)、CO2インキュベーター(Forma Scientific Inc.、USA)、血球計算盤(Hausser Scientific Horsham、USA)、個別換気型ケージラック(36 Mini Isolator system、Tecniplast、Italy)、倒立顕微鏡CK-40(オリンパス株式会社、日本)、システム顕微鏡E-400(株式会社ニコン、日本)及び垂直層流型クリーンルーム(Tsao-Hsin、Taiwan)である。
【0254】
5.6 方法
腫瘍体積、体重、死亡及び明らかな毒性の徴候を、毎週2回ずつ45日間にわたり、モニタリングし、記録した。腫瘍増殖の阻害は、T/C(処置/対照)×100%として計算した。媒体対照群のT/C値と比較して、≦42%のT/C値が、有意な抗腫瘍活性であると考えられた。二元ANOVAに続いて、ボンフェローニ検定を使用して、群の、それぞれの媒体対照と比較した統計学的有意性を確認した(*p<0.05)。
【0255】
5.7 結果
【0256】
【0257】
【0258】
【0259】
【0260】
図27は、NCI-H526を移植された雌ヌード(nu/nu)マウスにおける、腫瘍の増殖曲線を示した。10mg/kgにおける、ADC(OBI-999)の、毎週1回ずつ4週間にわたる静脈内投与は、15日目から始まり、31日目まで通して、持続的に達成され、25日目に、85%の最大TGIパーセントを示す、有意な抗腫瘍活性(≦42%のT/C値)と関連した。
【0261】
10mg/kgにおける、被験物質、OBI-888の、毎週の静脈内(IV)投与は、研究の経過にわたり、媒体対照群と比較して、中程度の抗腫瘍活性を呈示したが、有意な抗腫瘍活性(≦42%のT/C値)は、研究の18日目に達成され、18日目に、61%の最大TGIパーセントを示した。
【0262】
0.191mg/kgにおける、標準薬剤である、MMAEの、毎週の腹腔内(IP)投与は、研究の経過にわたり、媒体対照群と比較して、中程度の抗腫瘍活性を呈示し、18日目に、55%の最大TGIパーセントを示した。
【0263】
10mg/kgにおける、被験物質である、OBI-888の、0.191mg/kgにおける、標準薬剤である、MMAEとの組合せ治療は、研究の経過にわたり、媒体対照群と比較して、腫瘍増殖の中程度の阻害と関連したが、有意な抗腫瘍活性(≦42%のT/C値)は、18日目、22日目及び25日目に達成され、18日目に、69%の最大TGIパーセントを示した。
【0264】
図28は、NCI-H526を移植された雌ヌード(nu/nu)マウスにおける体重の変化を示した。全ての被験物質は、良好に忍容され、研究の経過にわたり、体重の有意な減少と関連しなかった。
【0265】
[実施例6] ヌードマウス(膵臓がん)における、例示的な抗体の抗腫瘍活性の測定
この研究の目的は、雄BALB/cヌードマウスによる、HPACヒト膵臓がん異種移植モデルにおいて、OBI-888、ADC(OBI-999)、MMAE及びMMAEと組み合わせたOBI-888の、インビボにおける抗腫瘍有効性を査定することであった。
【0266】
6.1 被験物質及び投与パターン
原液を、25mMのクエン酸ナトリウム、100mMのNaCl緩衝液(pH6.5)により、毎日希釈することにより、被験物質である、ADC(OBI-999)、OBI-888及び対応する媒体を製剤化し、毎週1回ずつ4週間にわたり、静脈内(IV)投与した。0.191mg/kgの、標準薬剤である、MMAE抗体及び対応する媒体(PBS pH7.4)は、毎週1回ずつ4週間にわたり、腹腔内(IP)投与した。1つの処置群に、被験物質である、10mg/kgのOBI-888の、0.191mg/kgのMMAEとの組合せ療法を施した。
【0267】
【0268】
6.2 細胞株
HPAC腫瘍細胞(ATCC CRL-2119)は、0.002mg/mLのインスリン、0.005mg/mLのトランスフェリン、40ng/mLのヒドロコルチゾン、10ng/mLの表皮増殖因子並びに5%のウシ胎仔血清、100U/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシンを補充された1.2g/Lの炭酸水素ナトリウム、2.5mMのL-グルタミン、15mMのHEPES及び0.5mMのピルビン酸ナトリウムを含有するダルベッコ改変イーグル培地及びハムF12培地の1:1混合物における単層培養物として、インビトロの、37℃、空気中に5%のCO2による雰囲気において維持した。腫瘍細胞は、トリプシン-EDTA処理により、毎週2回ずつ、規定通りに継代培養した。指数関数的増殖相において増殖する細胞を採取し、腫瘍接種のためにカウントした。
【0269】
6.3 動物
6~8週齢の雄nu/nuヌードマウスを、Shanghai Lingchangから得、使用した。マウスは、個別換気型ケージにおいて、各ケージの動物を4匹ずつ、温度及び湿度を一定として保持した(温度:20~26℃及び湿度:40~70%)。ケージは、ポリカーボネート製であり、サイズは、300mm×200mm×180mmであった。寝床材料は、毎週2回交換される、トウモロコシの軸であった。動物は、全研究期間において、照射滅菌された乾燥顆粒飼料及び飲用水に自由にアクセスした。各ケージの識別ラベルは、以下の情報:動物数、性別、株、受領日、処置、研究番号、群番号及び処置の開始日を含有した。
【0270】
6.4 方法
終点は、被験化合物の抗腫瘍効果を決定することであった。腫瘍サイズは、キャリパーを使用して、毎週2回ずつ、2つの寸法により測定し、体積は、式:V=0.5a×b2[式中、a及びbは、それぞれ、腫瘍の長径及び短径である]を使用して、mm3単位で表した。次いで、腫瘍サイズを、T/C値を計算するために使用した。T/C値(パーセント単位)は、抗腫瘍有効性の指標であり、T及びCは、それぞれ、所与の日における、処置群及び対照群の平均値体積である。TGIは、式:TGI(%)=[1-(Ti-T0)/(Vi-V0)]×100[式中、Tiは、所与の日における、処置群の平均腫瘍体積であり、T0は、0日目における、処置群の平均腫瘍体積であり、Viは、Tiと同じ日における、媒体対照群の平均腫瘍体積であり、V0は、0日目における、媒体群の平均腫瘍体積である]を使用して、各群について計算した。
【0271】
各時点において、各群の腫瘍体積について、平均値及び平均値の標準誤差(SEM)を含む概要統計を提供する。群間の腫瘍体積の差異についての統計学的分析は、最終回投与(群分け後37日目)後の、最良の治療時点において得られるデータについて行った。一元ANOVAを実施して、群間の腫瘍体積を比較し、有意なF統計(処置についての分散の、誤差分散に対する比)が得られる場合は、群間の比較を、ゲームズ-ハウウェル検定により実行し、有意なF統計が得られない場合は、群間の比較を、ダネット(両側)検定により実行した。OBI-888及びMMAEの間の、潜在的な相乗効果は、二元ANOVAにより分析した。SPSS 17.0を使用して、全てのデータを分析した。p<0.05が、統計学的に有意であると考えられた。
【0272】
6.5 結果
【0273】
【0274】
【0275】
図34は、HPACを移植されたヌード(nu/nu)マウスにおける、腫瘍の増殖曲線を示した。10mg/kgにおける、被験薬である、ADC(OBI-999)による処置は、14日目から始まり、37日目まで通して、持続する、有意な抗腫瘍活性をもたらした。被験薬による処置群の平均値腫瘍サイズは、1mm
3(T/C=0.1%、TGI=104.0%、p<0.001)であった。単剤としての、10mg/kgにおけるOBI-888は、有意な抗腫瘍活性をもたらさなかった。OBI-888による処置群の平均値腫瘍サイズは、2,044mm
3(T/C=94.2%、TGI=6.0%、p=0.967)であった。単剤としての、0.191mg/kgにおけるMMAE又は10mg/kgにおけるOBI-888と組み合わされた、0.191mg/kgにおけるMMAEは、平均値腫瘍サイズを、それぞれ、1,644mm
3(T/C=75.8%、TGI=25.2%、p=0.231)及び1,680mm
3(T/C=77.4%、TGI=23.5%、p=0.213)とする、軽微な抗腫瘍活性をもたらした。
【0276】
図35は、HPACを移植されたヌード(nu/nu)マウスにおける体重の変化を示した。全ての被験物質は、良好に忍容され、研究の経過にわたり、体重の有意な減少と関連しなかった。
【0277】
そうでないことが規定されない限りにおいて、本明細書において使用される、全ての技術用語及び科学用語は、本発明の分野の当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書において記載された組成物、方法、キット及び情報を通信するための手段と同様又は同等である、任意の組成物、方法、キット及び情報を通信するための手段を使用して、本発明を実施しうるが、本明細書において、好ましい組成物、方法、キット及び情報を通信するための手段が記載される。
【0278】
本明細書において引用される、全ての参考文献は、法律により可能となる、最大の程度において、参照により本明細書に組み込む。これらの参考文献についての議論は、それらの著者によりなされた主張を要約することだけを意図するものである。任意の参考文献(又は任意の参考文献の部分)が、関連の先行技術であるということの容認がなされるわけではない。本出願者らは、引用される、任意の参考文献の正確さ及び適切性を疑問視する権利を保持する。
光力学療法剤が、フォトフリン、レザフィリン、アミノレブリン酸(ALA)、シリコンフタロシアニンPc4、m-テトラヒドロキシフェニルクロリン(mTHPC)、クロリンe6(Ce6)、アルメラ、レブラン、フォスカン、メトビックス、ヘクスビックス、フォトクロール、フォトセンス、フォトレックス、ルマカン、ビソナック、アムフィネックス、ベルテポルフィン、プルリチン、ATMPn、アエンフタロシアニン(ZnPc)、プロトポルフィリンIX(PpIX)、ピロフェオフォルバイドa(PPa)又はフェオフォルバイド(PhA)から選択される、請求項12に記載の組成物。
抗増殖剤が、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、メルタンシン(DM1)、アントラサイクリン、ピロロベンゾジアゼピン、α-アマニチン、ツブリシン、ベンゾジアゼピン、エルロチニブ、ボルテゾミブ、フルベストラント、スニチニブ、レトロゾール、メシル酸イマチニブ、PTK787/ZK 222584、オキサリプラチン、ロイコボリン、ラパマイシン、ラパチニブ、ロナファルニブ(SARASAR(登録商標)、SCH 66336)、ソラファニブ、ゲフィチニブ、AG1478、AG1571、アルキル化剤;スルホン酸アルキル;アジリジン;エチレンイミン;メチルメラミン;アセトゲニン;カンプトテシン;ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065;クリプトフィシン;ドラスタチン;デュオカルマイシン;エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコチクチイン;スポンジスタチン;クロランブシル;クロルナファジン;シクロホスファミド;エストラムスチン;イホスファミド;メクロレタミン;塩酸メクロレタミンオキシド;メルファラン;ノベムビシン;フェネステリン;プレドニムスチン;トロホスファミド;ウラシルマスタード;カルムスチン;クロロゾトシン;ホテムスチン;ロムスチン;ニムスチン;ラニムスチン;カリケアミシン;ジネミシン;クロドロネート;エスペラミシン;ネオカルチノスタチン発色団;アクラシノマイシン;アクチノマイシン;アントラマイシン;アザセリン;ブレオマイシン;カクチノマイシン;カラビシン;カルミノマイシン;カルジノフィリン;クロモマイシン;ダクチノマイシン;ダウノルビシン;デトルビシン;6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン;ドキソルビシン;エピルビシン;エソルビシン;イダルビシン;マルセロマイシン;マイトマイシン;ミコフェノール酸;ノガラマイシン;オリボマイシン;ペプロマイシン;ポトフィロマイシン;ピューロマイシン;ケラマイシン;ロドルビシン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート;5-フルオロウラシル(5-FU);デノプテリン;プテロプテリン;トリメトレキサート;フルダラビン;6-メルカプトプリン;チアミプリン;チオグアニン;アンシタビン;アザシチジン;6-アザウリジン;カルモフール;シタラビン;ジデオキシウリジン;ドキシフルリジン;エノシタビン;フロクスウリジン;カルステロン;プロピオン酸ドロモスタノロン;エピチオスタノール;メピチオスタン;テストラクトン;アミノグルテチミド;ミトタン;トリロスタン;フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシン;アンサマイトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド;シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド;パクリタキセル;ドセタキセル;クロランブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン;カルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド;イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド又はカペシタビンから選択される、請求項14に記載の組成物。
肉腫、皮膚がん、白血病、リンパ腫、脳腫瘍、神経膠芽腫、肺がん、乳がん、口腔がん、頭頸部がん、鼻咽頭がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、胆管がん、胆嚢がん、膀胱がん、膵臓がん、腸がん、結腸直腸がん、腎臓がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、睾丸がん、口腔がん、口腔咽頭がん、喉頭がん及び前立腺がんからなる群から選択されるがんの処置における使用のための、抗がん剤、免疫抑制剤及び抗感染剤からなる群から選択される、有効量の、さらなる薬剤と組み合わせた使用のための、請求項1に記載の抗体-薬物コンジュゲート化合物。