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特開2023-88973PRAME陽性がんに対するT細胞受容体およびそれを用いた免疫療法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023088973
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】PRAME陽性がんに対するT細胞受容体およびそれを用いた免疫療法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20230620BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20230620BHJP
   C07K 16/30 20060101ALI20230620BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20230620BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230620BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230620BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20230620BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20230620BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20230620BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230620BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230620BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230620BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20230620BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20230620BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
C12N15/12
C12N15/13 ZNA
C07K16/30
C07K14/725
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12N5/0783
C12P21/08
C12P21/02 Z
A61K31/7088
A61P35/00
A61K48/00
A61K35/76
A61K35/17
A61K38/16
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023044130
(22)【出願日】2023-03-20
(62)【分割の表示】P 2019552175の分割
【原出願日】2018-03-23
(31)【優先権主張番号】102017106305.6
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】62/475,329
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506258073
【氏名又は名称】イマティクス バイオテクノロジーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】アルテン,レオニー
(72)【発明者】
【氏名】マウラー,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ブンク,セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー,クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】フェルベール,マティアス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】がん細胞に高度に特異的な分子を特異的に標的化する新たな抗がん剤を提供する。
【解決手段】本発明は、腫瘍関連抗原(TAA)に対する、特に黒色腫優先発現抗原(PRAME)に対する、抗原認識コンストラクトを提供する。本発明は、特に、本発明の抗原に対して選択的かつ特異的な、新規T細胞受容体(TCR)ベースの分子を提供する。本発明のTCR、およびそれに由来するTAA結合断片は、がん性疾患を発現するTAAの診断、治療、および予防に有用である。さらに、本発明の抗原認識コンストラクトをコードする核酸、これらの核酸を含んでなるベクター、抗原認識コンストラクトを発現する組換え細胞、および本発明の化合物を含んでなる医薬組成物が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号3、9、15、21、27、33、39、45、51、57、63、69、75、81、129、および135から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する、少なくとも15つの相補性決定領域(CDR)15を含んでなる、抗原認識コンストラクト。
【請求項2】
前記抗原認識コンストラクトが、配列番号97~115に示されるペプチド、好ましくは配列番号9に示されるペプチドなどの黒色腫優先発現抗原(PRAME)抗原性ペプチドと、特異的におよび/または選択的に結合できる、請求項に記載の1抗原認識コンストラクト
【請求項3】
請求項1または2に記載の抗原認識コンストラクトであって、前記抗原認識コンストラクトが、抗体、またはその誘導体もしくは断片、またはT細胞受容体(TCR)、またはその誘導体もしくは断片である、抗原認識コンストラクト。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の抗原認識コンストラクトであって、TCRαまたはγ鎖;および/またはTCRβおよびδ鎖を含んでなり、前記TCRαまたはγ鎖が、配列番号3、15、27、39、51、63、75、および129から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するCDR3を含んでなり、および/または前記TCRβまたはδ鎖が、配列番号9、21、33、45、57、69、81、および135から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するCDR3を含んでなる、抗原認識コンストラクト。
【請求項5】
請求項4に記載の抗原認識コンストラクトであって、前記TCRαまたはγ鎖が、配列番号1、13、25、37、49、61、73、および127から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するCDR1;および/または配列番号2、14、26、38、50、62、74、128、196、197、198、199、200、201、202、および204から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するCDR2をさらに含んでなる、抗原認識コンストラクト。
【請求項6】
請求項4または5に記載の抗原認識コンストラクトであって、前記TCRβまたはδ鎖が、配列番号7、19、31、43、55、67、79、および133から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するCDR1;および/または配列番号8、20、32、44、56、68、80、および134から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するCDR2をさらに含んでなる、抗原認識コンストラクト。
【請求項7】
配列番号4、10、16、22、28、34、40、46、52、58、64、70、76、82、130、および136から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するTCR可変鎖領域を含んでなる、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【請求項8】
TCRの結合断片を含んでなり、前記結合断片が、配列番号1、2、3、196;または7、8、9;または13、14、15、197;または19、20、21;または25、26、27、198;または31、32、33;または37、38、39、199;または43、44、45;または49、50、51、200;または55、56、57;または61、62、63、201;または67、68、69;または73、74、75、202;または79、80、81;または127、128、129、204;または133、134、135のアミノ酸配列を有する、CDR1~CDR3配列から任意選択的に選択されるCDR1~CDR3を含んでなる、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクトをコードする核酸。
【請求項10】
請求項9に記載の核酸を含んでなるベクター。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクトまたは請求項9に記載の核酸または請求項10に記載のベクターを含んでなる宿主細胞、または任意選択的に、リンパ球、好ましくはTリンパ球またはTリンパ球前駆体、より好ましくはCD4またはCD8陽性T細胞である宿主細胞。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト、または請求項9に記載の核酸、または請求項10に記載のベクター、または請求項11に記載の宿主細胞、および薬学的に許容可能な担体、安定剤および/または賦形剤を含んでなる、医薬組成物。
【請求項13】
医療で使用するための、任意選択的に増殖性疾患の診断、予防、および/または治療で使用するための、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト、または請求項9に記載の核酸、または請求項10に記載のベクター、または請求項11に記載の宿主細胞、または請求項12に記載の医薬品組成物。
【請求項14】
a.適切な宿主細胞を提供するステップと、
b.請求項1~8のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクトをコードするコード配列を含んでなる遺伝子コンストラクトを提供するステップと、
c.前記遺伝子コンストラクトを前記適切な宿主細胞に導入するステップと、
d.前記適切な宿主細胞によって前記遺伝子コンストラクトを発現させるステップと
を含んでなる、細胞株を発現するTAA特異的抗原認識コンストラクトを製造する方法。
【請求項15】
前記適切な宿主細胞からの前記抗原認識コンストラクトの単離および精製と、任意選択的に、T細胞内の前記抗原認識コンストラクトの再構成とをさらに含んでなる、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍関連抗原(TAA)に対する、特に黒色腫優先発現抗原(PRAME)に対する、抗原認識コンストラクトに関する。本発明は、特に、本発明の抗原に対して選択的かつ特異的な、新規T細胞受容体(TCR)ベースの分子を提供する。本発明のTCR、およびそれに由来するTAA結合断片は、がん性疾患を発現するTAAの診断、治療、および予防に有用である。さらに、本発明の抗原認識コンストラクトをコードする核酸、これらの核酸を含んでなるベクター、抗原認識コンストラクトを発現する組換え細胞、および本発明の化合物を含んでなる医薬組成物が提供される。
【背景技術】
【0002】
PRAMEは、黒色腫、非小細胞肺がん、卵巣がん腎細胞がん(RCC)、乳がん、子宮頸部がん、大腸がん、肉腫、神経芽腫、ならびに数種類の白血病をはじめとする腫瘍の大部分で高レベルで発現される、PRAME遺伝子によってコードされる。PRAMEは、ロイシンリッチリピート(LRR)タンパク質のPRAMEファミリーの最も良く特徴付けられたメンバーである。哺乳類ゲノムがPRAMEファミリーの複数のメンバーを含むのに対し、その他の脊椎動物ゲノムでは1つのPRAME様LRRタンパク質のみが同定された。PRAMEは、精巣を除く正常成人組織において非常に低レベルで発現されるが、様々ながん細胞において高レベルで発現されるがん/精巣抗原である。
【0003】
T細胞ベースの免疫療法標的は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)の分子によって提示される腫瘍関連または腫瘍特異的タンパク質に由来する、ペプチドエピトープに相当する。これらの腫瘍関連抗原(TAA)は、酵素、受容体、転写因子などの全てのタンパク質クラスに由来するペプチドであり得て、それらは各腫瘍細胞内で発現され、同一起源の非改変細胞内と比較して、通常、上方制御される。
【0004】
細胞性免疫応答の特異的要素は、腫瘍細胞を特異的に認識して破壊できる。腫瘍浸潤性細胞集団からの、または末梢血からのT細胞の単離は、がんに対する自然免疫防御において、このような細胞が重要な役割を果たすことを示唆する。特に、細胞質ゾル内に位置するタンパク質または欠陥リボソーム産物(DRiP)に由来する、通常は8~10アミノ酸残基の主要組織適合性複合体(MHC)保有ペプチドのクラスI分子を認識するCD8陽性T細胞が、この応答において重要な役割を果たす。ヒトのMHC分子はまた、ヒト白血球抗原(HLA)とも称される。
【0005】
MHC分子には、MHCクラスIおよびMHCクラスIIの2つのクラスがある。ペプチドとMHCクラスIの複合体が、適切なT細胞受容体(TCR)を有するCD8陽性T細胞によって認識される一方で、ペプチドとMHCクラスII分子の複合体は、適切なTCRを有するCD4陽性ヘルパーT細胞によって認識される。CD8依存性およびCD4依存性の双方のタイプの応答が、抗腫瘍効果と共同して相乗的に寄与するので、腫瘍関連抗原および対応するT細胞受容体の同定および特徴付けは、ワクチンおよび細胞療法などのがん免疫療法の開発において重要である。
【0006】
MHCクラスI依存免疫反応において、ペプチドは腫瘍細胞によって発現される特定のMHCクラスI分子に結合できるだけでなく、それらはまた、引き続いて特異的T細胞受容体(TCR)を有するT細胞によって認識されなくてはならない。したがって、TAAは、腫瘍ワクチンおよび細胞療法をはじめとするが、これに限定されるものではない、T細胞ベースの治療法開発の出発点である。
【0007】
末梢血T細胞の約90%は、αポリペプチドとβポリペプチドからなるTCRを発現する。低百分率のT細胞(全T細胞の約5%)が、γポリペプチドおよびδポリペプチドからなるTCRを発現することが示されている。γδT細胞は、上皮内リンパ球(IEL)として知られているリンパ球の集団内で、腸粘膜中に最も豊富に見られる。γδT細胞を活性化する抗原性分子は、未だに広く知られていない。しかしながら、γδT細胞はMHC拘束されておらず、ペプチドが抗原提示細胞上のMHC分子によって提示されることを要求するのではなく、むしろ全タンパク質を認識できるように見えるが、いくつかはMHCクラスIB分子を認識する。末梢血中の主要なγδT細胞集団を構成するヒトVγ9/Vδ2T細胞は、小型の非ペプチド性微生物代謝産物であるイソペンテニルピロリン酸前駆体、HMB-PPに、それらが特異的かつ迅速に応答するという点で独特である。健常ドナーの末梢血に見られるT細胞百分率の推定値は、以下のとおりである:CD3+=70.78%±4.71;CD3+CD4+=38.97%±5.66;CD3+CD8+=28.955%±7.43;CD3+CD56+=5.22%±1.74;CD3-CD56+=10.305%±4.7;CD3+CD45RA+=45.00%±7.19;およびCD3+CD45RO+=27.21%±7.34。
【0008】
T細胞クローンのT細胞抗原受容体の鎖はそれぞれ、可変(V)、[多様性(D)]、結合(J)、および定常(C)と命名されたドメインの独自の組み合わせからなる。各T細胞クローンにおいて、α鎖およびβ鎖双方のまたはδ鎖およびγ鎖双方のV、D、およびJドメインの組み合わせは、そのT細胞クローンの独特の特徴である様式で抗原認識に関与し、T細胞クローンのイディオタイプとしても知られる独特の結合部位を規定する。対照的に、Cドメインは抗原結合に関与しない。
【0009】
TCRは、シグナル伝達媒介に関与するCD3複合体のインバリアントタンパク質に関連する、免疫グロブリンスーパーファミリーのヘテロ二量体細胞表面タンパク質である。TCRはαβおよびγδ形態で存在し、それらは構造的に類似しているが、かなり異なる解剖学的位置と恐らくは機能とを有する。天然のヘテロ二量体αβTCRおよびγδTCRの細胞外部分は、それぞれ2つのポリペプチドを含有し、そのそれぞれは膜近位定常ドメインおよび膜遠位可変ドメインを有する。定常ドメインおよび可変ドメインのそれぞれは、鎖内ジスルフィド結合を含む。可変ドメインは、抗体の相補性決定領域(CDR)に類似した、高度に多型性のループを含有する。TCR遺伝子治療の使用は、いくつかの現在のハードルを克服する。それは、患者自身のT細胞に所望の特異性を与えて、十分な数のT細胞を短期間で生成できるようにし、それらの枯渇を回避する。TCRは強力なT細胞(例えば、中央記憶T細胞または幹細胞特性を有するT細胞)に形質導入され、それは移入時に良好な持続性および機能を確実にしてもよい。TCR操作T細胞は、化学療法または照射によってリンパ球減少症になったがん患者に注入され、効率的な生着ができるようにするが、免疫抑制は阻害する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
がん治療のための分子標的薬の開発が進歩しているものの、当該技術分野において、がん細胞に高度に特異的な分子を特異的に標的化する新たな抗がん剤を開発する必要性がなおもある。本明細書は、新規PRAME TCR、各組換えTCRコンストラクト、核酸、ベクター、および開示されるようなTAAエピトープに特異的に結合する宿主細胞と;がんの治療においてこのような分子を使用する方法とを提供することによって、必要性に対処する。本発明の文脈では、用語TAAは、特に以下の好ましいタンパク質に関する:PRAME、およびその断片または類似体、特に、配列番号97~115、好ましくは配列番号97~106、より好ましくは配列番号97に示される抗原性ペプチド配列を含んでなり、またはそれからなる断片または類似体。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、配列番号3、9、15、21、27、33、39、45、51、57、63、69、75、81、129、および135から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または好ましくは100%の配列同一性を有する、少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)90を含んでなる抗原認識コンストラクトによって、第1の態様において解決される。
【0012】
いくつかの実施形態では、本発明の抗原認識コンストラクトは、TAA-ペプチド-HLA分子複合体に特異的に結合し、TAAペプチドは、本発明のTAAのアミノ酸配列と少なくとも66%、好ましくは少なくとも77%、より好ましくは少なくとも88%相同的な(好ましくは少なくとも88%または少なくとも77%同一の)TAAの変異型を含んでなる、または代案としてはそれからなり、前記変異型は、HLAクラスIまたはクラスII分子に結合し、および/または前記ペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩と交差反応するT細胞を誘導し、前記ペプチドは、基礎となる完全長ポリペプチドでない。
【0013】
本明細書の用法では、「同一の」またはパーセント「同一性」という用語は、2つ以上の核酸またはタンパク質/ポリペプチド配列の文脈において本明細書任意の箇所で使用される場合、配列比較アルゴリズムを用いた測定で、または手動アライメントと目視検査によって(例えば、NCBIウェブサイトを参照されたい)、指定された百分率の同一アミノ酸残基またはヌクレオチドを有する(または少なくとも有する)(すなわち、比較ウィンドウまたは指定された領域で最大の一致が得られるように比較および整列されたときに、特定の領域にわたり、好ましくはそれらの完全長配列にわたり、少なくとも約60%同一である、好ましくは少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%または94%同一である、より好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%以上同一である)、2つ以上の配列または部分配列を指す。特定の実施形態では、例えば、本発明の抗原認識コンストラクトのタンパク質または核酸配列が他のタンパク質/遺伝子と比較される場合、百分率同一性は、NCBIウェブサイトでサポートされるBLAST検索によって判定され得て;特にアミノ酸同一性については、BLASTPが以下のパラメータで用いられる:期待閾値10;語長:6;マトリックス:BLOSUM62;ギャップコスト:存在:11;延長:1;隣接ワード閾値:11;構成調整:条件付き構成スコアマトリックス調整。
【0014】
本発明の文脈では、本発明の特定の特徴「を含んでなる」と言及される任意の実施形態は、いくつかのより好ましい実施形態において、本発明の全く同じ特徴「からなる」または「から本質的になる」という、より限定された記述を含むものと理解される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
別の追加のまたは代替の実施形態では、抗原認識コンストラクトは、CDR1および/またはCDR2、またはより好ましくはCDR2bisドメイン配列をさらに含んでなってもよい。可変ドメイン内で、CDR1およびCDR2またはCDR2bisは、ポリペプチド鎖の可変(V)領域に見いだされ、CDR3は、Vの一部と、多様性(D)および連結(J)領域の全てとを含む。CDR3は最も可変性であり、抗原を特異的かつ選択的に認識することに関与する主要CDRである。CDR1、CDR2、およびCDR2bis配列は、ヒト可変鎖対立遺伝子のCDR配列から選択されてもよい。
【0016】
天然α-βヘテロ二量体TCRは、α鎖およびβ鎖を有する。各鎖は可変領域、連結領域、および定常領域を含んでなり、β鎖は通常、可変領域と連結領域の間の短い多様性領域もまた含有するが、この多様性領域はしばしば連結領域の一部と見なされる。各可変領域はフレームワーク配列に埋め込まれた3つのCDR(相補性決定領域)を含んでなり、そのうちの1つはCDR3と命名される超可変領域である。それらのフレームワークによって、CDR1およびCDR2配列によって、ならびに部分的に定義されたCDR3配列によって区別される、数種類のα鎖可変(Vα)領域および数種類のβ鎖可変(Vβ)領域がある。Vα型は、IMGT命名法では固有のTRAV番号によって示され、Vβ型は固有のTRBV番号によって示される。(免疫グロブリン抗体およびTCR遺伝子についてより詳しくは、国際ImMunoGeneTic information system(登録商標)、Lefranc M-Petal,Nucleic Acids Res.2015 Jan;43(Database issue):D413-22;およびhttp://www.imgt.org/を参照されたい)。
【0017】
したがって、1つの追加的または代替的実施形態では、本発明の抗原認識コンストラクトは、以下の表3に示すように組み合わされたCDR3、CDR2、CDR2bis、およびCDR2配列を含んでなり、それはCDR1配列と共にそれぞれの可変鎖対立遺伝子を提示する。したがって、少なくとも1つの、好ましくは4つ全てのCDR配列CDR2、CDR2、CDR2bis、およびCDR3を含んでなる本発明の抗原認識コンストラクトが好ましい。好ましくは、本発明の抗原認識コンストラクトは、本明細書で開示される本発明のTCR可変領域の一個体の各CDR1、CDR2bis、およびCDR3を含んでなる(下記の表1および実施例のセクションを参照されたい)。
【0018】
「特異性」または「抗原特異性」または所与の抗原「に特異的な」という用語は、本明細書の用法では、前記抗原がHLAによって、好ましくはHLA A2によって提示される場合、抗原認識コンストラクトが、前記抗原に、好ましくはTAA抗原に、より好ましくは高い結合活性で、特異的に結合し得ることを意味する。例えば、抗原認識コンストラクトとしてのTCRは、以下に提供されるTAAエピトープおよび抗原などの低濃度のTAA抗原でパルスされた標的細胞との共培養に際して、TCRを発現してTAA提示HLAと接触されたT細胞が、少なくとも約200pg/ml以上(例えば、250pg/ml以上、300pg/ml以上、400pg/ml以上、500pg/ml以上、600pg/ml以上、700pg/ml以上、1000pgml以上、2,000pg/ml以上、2,500pg/m以上、5,000pg/ml以上)のインターフェロンγ(IFN-γ)を分泌する場合に、TAAに対する「抗原性特異性」を有すると見なされてもよい(例えば、約10-11mol/L、10-10mol/L、10-9mol/L、10-8mol/L、10-7mol/L、10-6mol/L、10-5mol/L)。代案としては、またはそれに加えて、TCRを発現する細胞が、低濃度のTAA抗原でパルス処理された標的細胞との同時培養時に、IFN-γの非形質導入バックグラウンドレベルの少なくとも2倍量のIFN-γを分泌する場合、TCRはTAAに対する「抗原特異性」を有すると見なされてもよい。上記のこのような「特異性」は、例えば、ELISAを用いて分析され得る。
【0019】
本発明の代替または追加の一実施形態では、抗原認識コンストラクトはTAA由来抗原ペプチドに選択的に結合し;好ましくはTAA抗原性ペプチドは、配列番号97~115、最も好ましくは配列番号97に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質エピトープまたはペプチド、またはその変異型であり、変異型は、3つ以下、好ましくは2つ、最も好ましくは1つ以下のアミノ酸位置のアミノ酸の欠失、付加、挿入または置換である。
【0020】
「選択性」または「選択的に認識/結合する」という用語は、好ましくは1つの特異的エピトープのみを選択的に認識しまたはそれに結合し、好ましくは別のエピトープに対する交差反応性を示さないかまたは実質的に示さない、TCRまたは抗体などの抗原認識コンストラクトの特性を指すものと理解される。好ましくは「選択性」または「選択的に認識/結合する」は、好ましくは1つの特異的エピトープのみを選択的に認識しまたはそれに結合し、好ましくは別のエピトープに対する交差反応性を示さないかまたは実質的に示さない、抗原認識コンストラクト(例えばTCR)を意味し、前記エピトープは1つのタンパク質に固有であり、その結果、抗原認識コンストラクトは、その他のエピトープおよびその他のタンパク質に対して交差反応性を示さないかまたは実質的に示さない。
【0021】
本発明によるコンストラクトを認識する抗原は、好ましくは抗体、またはその誘導体もしくは断片、またはT細胞受容体(TCR)、またはその誘導体もしくは断片から選択される。本発明の抗体またはTCRの誘導体または断片は、好ましくは、親分子の抗原結合/認識能力、特に上で説明したようなその特異性および/または選択性を保持しなければならない。そのような結合機能は、本明細書で定義されるCDR3領域の存在によって保持されてもよい。
【0022】
本発明の一実施形態では、本発明のTCRは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI依存性様式でTAA抗原を認識できる。「MHCクラスI依存性様式」は、本明細書の用法では、TCRが、MHCクラスI分子の文脈内で、TAA抗原への結合時に免疫応答を誘発することを意味する。MHCクラスI分子は、例えば、HLA-A分子などの当該技術分野で公知の任意のMHCクラスI分子であり得る。本発明の好ましい実施形態では、MHCクラスI分子は、HLA-A2分子である。
【0023】
本発明は、コンストラクトを認識する一本鎖抗原と、コンストラクトを認識する二本鎖との双方を提供する。
【0024】
一実施形態では、TCRα可変ドメインは、表1に示されるTCRαドメインに対して少なくとも1つの変異を有し;および/またはTCRβ可変ドメインは、表1に示されるTCRαドメインに対して少なくとも1つの変異を有する。一実施形態では、TCRα可変ドメインおよび/またはTCRβ可変ドメインに少なくとも1つの変異を含んでなるTCRは、TAAペプチド-HLA分子複合体に対して、非変異TCRαドメインおよび/または非変異TCRβ可変ドメインを含んでなるTCRの少なくとも倍の結合親和性および/または結合半減期を有する。
【0025】
本明細書のTCRα鎖は、TCRα膜貫通ドメインおよび/またはTCRα細胞内ドメインをさらに含んでなってもよい。本明細書のTCRβ鎖は、TCRβ膜貫通ドメインおよび/またはTCRβ細胞内ドメインをさらに含んでなってもよい。
【0026】
本発明は、特に抗原認識コンストラクトとしてのTCRまたはその断片もしくは誘導体を提供する。TCRは、好ましくはヒトTCRであり、ヒトTCR遺伝子座から生じ、したがってヒトTCR配列を含んでなるものとして理解される。さらに、本発明のTCRは、ヒト起源であること、そして本発明のTAA抗原を特異的に認識することを特徴としてもよい。
【0027】
本発明の別の実施形態は、それに加えてまたは代案として、免疫応答を誘導する、上述の抗原認識コンストラクトを提供し、好ましくは免疫応答は、インターフェロン(IFN)γレベルの増加によって特徴付けられる。
【0028】
本発明のTCRは、一本鎖αまたはβ、またはγおよびδ、分子として、または代案としては、α鎖およびβ鎖双方、またはγおよびδ鎖双方から構成される、二本鎖コンストラクトとして提供されてもよい。
【0029】
本発明の抗原認識コンストラクトは、TCRαまたはγ鎖;および/またはTCRβまたはδ鎖を含んでなってもよく;TCRαまたはγ鎖は、配列番号3、15、27、39、51、63、75、および129から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR50を含んでなり、および/またはTCRβまたはδ鎖は、配列番号9、21、33、45、57、69、81、および135から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR9を含んでなる。
【0030】
最も好ましくは、本開示が、本明細書で開示されるTCR鎖(表1を参照されたい)のCDR2、CDR2、CDR2bis、およびCDR3領域の任意の1つ、2つ、3つまたは全てを含んでなる抗原認識コンストラクトに言及するいくつかの追加的な実施形態では、3つ以下、2つ、好ましくは1つのみの修飾アミノ酸残基を有する本発明の各CDR配列を含んでなる抗原認識コンストラクトが、好ましくあってもよい。修飾されたアミノ酸残基は、アミノ酸の挿入、欠失または置換から選択されてもよい。最も好ましくは、3つ、2つ、好ましくは唯一の修飾アミノ酸残基は、それぞれのCDR配列の最初または最後のアミノ酸残基である。修飾が置換である場合、いくつかの実施形態では、置換は保存的アミノ酸置換であることが好ましい。
【0031】
本発明の抗原認識コンストラクトが、二本鎖TCRなどの少なくとも2つのアミノ酸鎖またはその抗原結合断片から構成される場合、抗原認識コンストラクトは、
第1のポリペプチド鎖中の配列番号3に記載のアミノ酸配列、および第2のポリペプチド鎖中の配列番号9に記載のアミノ酸配列;または第1のポリペプチド鎖中の配列番号15に記載のアミノ酸配列、および第2のポリペプチド鎖中の配列番号21に記載のアミノ酸配列;または第1のポリペプチド鎖中の配列番号27に記載のアミノ酸配列、および第2のポリペプチド鎖中の配列番号33に記載のアミノ酸配列;または第1のポリペプチド鎖中の配列番号39に記載のアミノ酸配列、および第2のポリペプチド鎖中の配列番号45に記載のアミノ酸配列;または第1のポリペプチド鎖中の配列番号51に記載のアミノ酸配列、および第2のポリペプチド鎖中の配列番号57に記載のアミノ酸配列;または第1のポリペプチド鎖中の配列番号63に記載のアミノ酸配列、および第2のポリペプチド鎖中の配列番号69に記載のアミノ酸配列;または第1のポリペプチド鎖中の配列番号75に記載のアミノ酸配列、および第2のポリペプチド鎖中の配列番号81に記載のアミノ酸配列;または第1のポリペプチド鎖中の配列番号129に記載のアミノ酸配列、および第2のポリペプチド鎖中の配列番号135に記載のアミノ酸配列を含んでなってもよい。上記二本鎖TCR、またはその抗原結合断片のいずれか1つが、本発明の好ましいTCRである。いくつかの態様において、本発明の二本鎖TCRのCDR3は変異していてもよい。上に提供されたCDR3配列の変異は、好ましくは3つ以下、好ましくは2つ、そして最も好ましくは1つ以下のアミノ酸残基の置換、欠失、付加または挿入を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖はTCRαまたはγ鎖であってもよく、第2のポリペプチド鎖はTCRβまたはδ鎖であってもよい。αβまたはγδTCRの組み合わせが好ましい。
【0032】
TCR、またはその抗原結合断片は、いくつかの実施形態では、TCRα鎖とTCRβ鎖、またはγ鎖とδ鎖から構成される。このような二本鎖TCRは各鎖内に可変領域を含んでなり、可変領域はそれぞれ1つのCDR1、1つのCDR2、またはより好ましくは1つのCDR2bis、および1つのCDR3配列をそれぞれ含んでなる。TCRは、配列番号4および10;または16および22;または28および34;または40および46;または52および58;または64および70;または76および82;または130および136の可変鎖アミノ酸配列に含まれるような、CDR1、CDR2、CDR2bis、およびCDR3配列を含んでなる。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態は、TCRαおよびTCRβ鎖から構成される、TCRまたはその断片に関し、前記TCRは、配列番号4および10;または16および22;または28および34;または40および46;または52および58;または64および70;または76および82;または130および136に記載のαおよびβ鎖から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または好ましくは100%の配列同一性を有する可変領域配列を含んでなる。
【0034】
特に好ましい実施形態では、本発明は、TCRα鎖およびTCRβ鎖から構成される、R11P3D3_KEと命名された改善されたTCRを提供し、前記TCRは、配列番号132および138に記載のαおよびβ鎖から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または好ましくは100%の配列同一性を有する可変領域配列を含んでなる。このTCRは、本明細書においてR11P3D3と命名されたその親受容体と比較した場合に、腫瘍細胞認識の観点から驚くほど改善された機能性を示した。
【0035】
本発明のTCRは、例えば、ヒト、ラット、サル、ウサギ、ロバ、またはマウスなどの任意の哺乳類などの任意の適切な生物種に由来する、定常領域をさらに含んでなってもよい。本発明の一実施形態では、本発明のTCRは、ヒト定常領域をさらに含んでなる。いくつかの好ましい実施形態では、本発明のTCRの定常領域は、例えば、好ましくはマウス配列である、TCR発現および安定性を増加させてもよい異種配列の導入によって、わずかに修飾されてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、介入のTCRの可変領域は、例えば、単一点変異の導入によってわずかに修飾されて、TCR安定性が最適化されおよび/またはTCR鎖対合が増強され得る。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態は、TCRαおよびTCRβ鎖から構成される、TCRまたはその断片に関し、前記TCRは、配列番号5および11;または17および23;または29および35;または41および47;または53および59;または65および71;または77および83;または131および137に記載のαおよびβ鎖から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または好ましくは100%の配列同一性を有する定常領域を含んでなる。
【0037】
本発明のTCRαまたはγ鎖は、配列番号1、13、25、37、49、61、73、および127から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR1;および/または配列番号2、14、26、38、50、62、74、および128から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR2;および/またはより好ましくは配列番号196、197、198、199、200、201、202、および204から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR2bisをさらに含んでなってもよい。
【0038】
本発明によれば、TCRβまたはδ鎖は、配列番号7、19、31、43、55、67、79、および133から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR1;および/または配列番号8、20、32、44、56、68、80、および134から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR2;および/またはより好ましくは配列番号8、20、32、44、56、68、80、および134から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR2bisをさらに含んでなってもよい。
【0039】
抗原認識コンストラクトは、さらなる態様では、TCRの結合断片を含んでなってもよく、前記結合断片は、配列番号1、2、3、196;または7、8、9;または13、14、15、197;または19、20、21;または25、26、27、198;または31、32、33;または37、38、39、199;または43、44、45;または49、50、51、200;または55、56、57;または61、62、63、201;または67、68、69;または73、74、75、202;または79、80、81;または127、128、129、204;または133、134、135のアミノ酸配列を有する、CDR1、CDR2、CDR2bis、およびCDR3配列から任意選択的に選択される1本の鎖CDR1、CDR2、CDR2bis、およびCDR3を含んでなる。
【0040】
本発明のさらなる実施形態では、本明細書の他の場所に記載されている抗原認識コンストラクトは、少なくとも1つのTCRα鎖配列および1つのTCRβ鎖配列から構成される、TCRまたはその断片であり、前記TCRα鎖配列は、配列番号1~3、および196のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2、CDR2bis、およびCDRR3配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列は、配列番号7~9のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列は、配列番号13~15、および197のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2、CDR2bis、およびCDR3配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列は、配列番号19~21のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列は、配列番号25~27、および198のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2、CDR2bis、およびCDR3配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列は、配列番号31~33のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列は、配列番号37~39、および199のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2、CDR2bis、およびCDR3配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列は、配列番号43~45のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列は、配列番号49~51、および200のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2、CDR2bis、およびCDR3配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列は、配列番号55~57のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列は、配列番号61~63、および201のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2、CDR2bis、およびCDR3配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列は、配列番号67~69のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列は、配列番号73~75、および202のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2、CDR2bis、およびCDR3配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列は、配列番号79~81のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列は、配列番号127~129、および204のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2、CDR2bis、およびCDR3配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列は、配列番号133~135のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなる。
【0041】
本発明のさらなる実施形態では、本明細書で前述した抗原認識コンストラクトは、少なくとも1つのTCRα鎖配列および1つのTCRβ鎖配列を含んでなる、TCRまたはその断片であり、前記TCRα鎖配列は、配列番号4のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列は、配列番号10のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列は、配列番号16のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列は、配列番号22のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなる。または前記TCRα鎖配列は、配列番号28のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列は、配列番号34のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列は、配列番号40のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列は、配列番号46のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列は、配列番号52のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列は、配列番号58のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列は、配列番号64のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列は、配列番号70のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列は、配列番号76のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列は、配列番号82のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列は、配列番号130のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列は、配列番号136のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなる。
【0042】
本発明のさらなる実施形態では、本明細書で前述した抗原認識コンストラクトは、TCRまたはその断片であり、配列番号5、11、17、23、29、35、41、47、53、59、65、71、77、83、131、および137から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するTCR定常領域をさらに含んでなり、好ましくはTCRは、少なくとも1つのTCRαおよび1つのTCRβ鎖配列から構成され、TCRα鎖配列は、配列番号5、17、29、41、53、65、77、および131から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する定常領域を含んでなり;TCRβ鎖配列は、配列番号11、23、35、47、59、71、83、および137から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する定常領域を含んでなる。
【0043】
配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第1のTCR鎖と、配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第2のTCR鎖とを含んでなる、本明細書で前述した抗原認識コンストラクトもまた開示される。本発明はまた、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第1のTCR鎖と、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第2のTCR鎖とを含んでなるTCRも提供する。さらなる実施形態では、本発明は、TCRである抗原認識コンストラクトを提供し、それは、配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第1のTCR鎖と、配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第2のTCR鎖とを含んでなる。さらなる実施形態では、本発明は、TCRである抗原認識コンストラクトを提供し、それは、配列番号42のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第1のTCR鎖と、配列番号48のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第2のTCR鎖とを含んでなる。さらなる実施形態では、本発明は、TCRである抗原認識コンストラクトを提供し、それは、配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第1のTCR鎖と、配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%,または100%の配列同一性を有する第2のTCR鎖とを含んでなる。さらなる実施形態では、本発明は、TCRである抗原認識コンストラクトを提供し、それは、配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第1のTCR鎖と、配列番号72のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%%の配列同一性を有する第2のTCR鎖とを含んでなる。さらなる実施形態では、本発明は、TCRである抗原認識コンストラクトを提供し、それは、配列番号78のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第1のTCR鎖と、配列番号84のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第2のTCR鎖とを含んでなる。さらなる実施形態では、本発明は、TCRである抗原認識コンストラクトを提供し、それは、配列番号132のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第1のTCR鎖と、配列番号138のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第2のTCR鎖とを含んでなる。
【0044】
本明細書の用法では、「マウス」または「ヒト」という用語は、抗原認識コンストラクト、またはTCR、または本明細書に記載のTCRの任意の構成要素(例えば、相補性決定領域(CDR)、可変領域、定常領域、α鎖、および/またはβ鎖)に言及する場合、それぞれ、マウスまたはヒト非再構成型TCR遺伝子座に由来するTCR(またはその構成要素)を意味する。
【0045】
本発明の一実施形態では、キメラTCRが提供され、TCR鎖は複数の生物種からの配列を含んでなる。好ましくは、本発明のTCRは、α鎖のヒト可変領域と、例えば、マウスTCRα鎖のマウス定常領域とを含んでなる、α鎖を含んでなってもよい。
【0046】
一実施形態では、本発明のTCRは、上記の実施形態に従ったヒト可変領域と、ヒト定常領域とを含んでなるヒトTCRである。
【0047】
いくつかの実施形態では、抗原認識コンストラクトは、マウス化またはヒト化される。これらの用語は、異種由来のアミノ酸配列が本発明のコンストラクトに導入される場合に使用される。
【0048】
本発明のTCRは、一本鎖TCR(scTCR)として提供されてもよい。本発明によるscTCRは、1つのポリペプチド鎖中に、好ましくはペプチドリンカーを介して連結される、完全なまたは部分的α鎖配列および完全なまたは部分的β鎖配列を含まなければならない。scTCRは、第1のTCR鎖(例えば、α鎖)の可変領域のポリペプチドと、全(完全長)第2のTCR鎖(例えば、β鎖)のポリペプチドとを含んでなり得て、または逆もまた然りである。さらに、scTCRは、任意選択的に、2つ以上のポリペプチドを一緒に連結する、1つまたは複数のリンカーを含んでなり得る。リンカーは、例えば、本明細書に記載されるように、2つの一本鎖を一緒に結合するペプチドであり得る。また、IL-2、IL-7またはIL-15などのヒトサイトカインに融合された本発明のscTCRも提供される。
【0049】
本発明による抗原認識コンストラクトはまた、少なくとも2つのscTCR分子を含んでなる多量体複合体の形態で提供され得て、前記scTCR分子は、それぞれ、少なくとも1つのビオチン部分に、またはその他の相互接続分子/リンカーに融合され、前記scTCRは、ビオチン-ストレプトアビジン相互作用によって相互連結され前記多量体複合体が形成できるようにする。多量体TCRを生成するための当該技術分野で公知の同様のアプローチも可能であり、本開示に含まれる。本発明のscTCRを2つを超えて含んでなる、より高次の多量体複合体もまた提供される。
【0050】
本発明の目的で、TCRは、少なくとも1つのTCRαまたはγおよび/またはTCRβまたはδ可変ドメインを有する部分である。一般に、それらは、TCRα可変ドメインおよびTCRβ可変ドメインの双方を含んでなり、代案としては、TCRγ可変ドメインおよびTCRδ可変ドメインの双方を含んでなる。それらは、αβ/γδヘテロ二量体であってもよく、または一本鎖形態であってもよい。養子療法における使用のために、αβまたはγδヘテロ二量体TCRは、例えば、細胞質ドメインおよび膜貫通ドメインの双方を有する完全長鎖として形質移入されてもよい。所望ならば、導入されたジスルフィド結合が、それぞれの定常ドメインの残基間に存在してもよい。
【0051】
好ましい実施形態では、抗原認識コンストラクトは、ヒトTCR、その断片または誘導体である。ヒトTCRまたはその断片もしくは誘導体は、対応するヒトTCR配列の50%超を含んでなるTCRである。好ましくは、TCR配列のごく一部のみが人工起源であり、またはその他の生物種に由来する。しかし、例えば、ヒト起源に由来して定常ドメインにマウス配列を有するものなどのキメラTCRが有利であることが知られている。したがって、それらの定常ドメインの細胞外部分にマウス配列を含有する、本発明によるTCRが特に好ましい。
【0052】
したがって、本発明の抗原認識コンストラクトが、ヒト白血球抗原(HLA)依存的様式、好ましくはHLA-A02依存的様式で、その抗原を認識できることもまた好ましい。「HLA依存的様式」という用語は、本発明の文脈では、抗原ペプチドが前記HLAによって提示される場合にのみ、抗原認識コンストラクトが抗原に結合することを意味する。
【0053】
本発明による抗原認識コンストラクトは、一実施形態では好ましくは免疫応答を誘導し、好ましくは免疫応答は、インターフェロン(IFN)γレベルの増加によって特徴付けられる。
【0054】
例えば、実施例のセクションおよび表1に提供されるようなR11P3D3、R16P1C10、R16P1E8、R17P1A9、R17P1D7、R17P1G3、R17P2B6、およびR11P3D3_KEから選択されるTCRのいずれか1つの本明細書に記載のTCR(またはその機能的変異型)のいずれかの機能的部分を含んでなるポリペプチドもまた、本発明によって提供される。「ポリペプチド」という用語は、本明細書の用法では、オリゴペプチドを含み、1つまたは複数のペプチド結合によって連結されたアミノ酸の一本鎖を指す。本発明のポリペプチドについて、機能的部分は、機能的部分が好ましくは本明細書の表2で開示されるようなTAA抗原に、およびペプチドA1~A9(配列番号97、および98~106)に、およびペプチドT1~T9(配列番号107~115))に、特異的に結合するという条件で、それがその一部であるTCR(またはその機能的変異型)の連続アミノ酸を含んでなる任意の部分であり得る。「機能的部分」という用語は、TCR(またはその機能的変異型)に関して使用される場合、本発明のTCR(またはその機能的変異型)の任意の部分または断片を指し、その部分または断片は、それがその一部である(親TCRまたはその親機能的変異型)、TCR(またはその機能的変異型)の生物学的活性を保持する。機能的部分は、例えば、TCR(またはその機能的変異型)の部分を包含する親TCR(またはその機能的変異型)と同様の程度に、同じ程度に、またはより高い程度に、TAA抗原に(HLA依存的様式で)特異的に結合する能力を保持し、またはがんを検出し、治療し、または予防する。親TCR(またはその機能的変異型)に関して、機能的部分は、例えば、約10%、25%、30%、50%、68%、80%、90%、95%以上の親TCRの可変配列(またはその機能的変異型)を含んでなり得る。
【0055】
機能的部分は、部分のアミノまたはカルボキシ末端に、または双方の末端に、追加的なアミノ酸を含んでなり得て、追加的なアミノ酸は、親TCRまたはその機能的変異型のアミノ酸配列中に見いだされない。望ましくは、追加的なアミノ酸は、例えば、TAA抗原に特異的に結合する;および/またはがん検出し、がんを治療または予防するなどの能力を有する、機能的部分の生物学的機能に干渉しない。より望ましくは、追加的なアミノ酸は、親TCRまたはその機能的変異型の生物学的活性と比較して、生物学的活性を増強する。
【0056】
ポリペプチドは、本発明のTCRまたはその機能的変異型のα鎖および/またはβ鎖の可変領域のCDR1、CDR2、CDR2bis、および(好ましくは)CDR3の1つまたは複数を含んでなる機能的部分などの、本発明のTCRまたはその機能的変異型のα鎖およびβ鎖のどちらかまたは双方の機能的部分を含んでなり得る。本発明の一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号3、9、15、21、27、33、39、45、51、57、63、69、75、81、129、および135のアミノ酸配列(本発明のTCRの可変領域のCDR3)、またはそれらの組み合わせを含んでなる、機能的部分を含んでなり得る。本発明の一実施形態では、本発明のポリペプチドは、例えば、上記のCDR領域の組み合わせを含んでなる、本発明のTCRの可変領域またはその機能的変異型を含んでなり得る。この点において、ポリペプチドは、配列番号4、10、16、22、28、34、40、46、52、58、64、70、76、82、130、および136のいずれかのアミノ酸配列(本発明のTCRのαまたはβ鎖の可変領域)を含んでなり得る。
【0057】
場合によっては、本発明のコンストラクトは、配列番号1~84および127~138および196~202および204のいずれかに記載の配列(CDR配列、定常領域、可変領域、および完全長配列)、またはその機能的断片を含んでなる、1つまたは2つのポリペプチド鎖を含んでなってもよく、例えば、免疫グロブリンまたはその一部をコードするアミノ酸配列などのその他のアミノ酸配列をさらに含んでなり、本発明のタンパク質は融合タンパク質であり得る。この点において、本発明はまた、少なくとも1つの他のポリペプチドと共に、本明細書に記載される本発明のポリペプチドの少なくとも1つを含んでなる融合タンパク質も提供する。もう1つのポリペプチドは、融合タンパク質の別個のポリペプチドとして存在し得るか、または本明細書に記載される本発明のポリペプチドの1つと共にフレーム(タンデム)で発現されるポリペプチドとして存在し得る。もう1つのポリペプチドとしては、免疫グロブリン、CD3、CD4、CD8、MHC分子、例えば、CD1a、CD1b、CD1c、CD1dなどのCD1分子をはじめとするが、これに限定されるものではない、任意のペプチド分子またはタンパク分子、またはその一部が挙げられる。
【0058】
融合タンパク質は、本発明のポリペプチドの1つまたは複数のコピーおよび/またはもう1つのポリペプチドの1つまたは複数のコピーを含んでなり得る。例えば、融合タンパク質は、本発明のポリペプチドおよび/またはもう1つのポリペプチドの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ以上のコピーを含んでなり得る。融合タンパク質を作製する適切な方法は、当該分野で公知であり、例えば、組換え法が挙げられる。本発明のいくつかの実施形態では、本発明のTCR(およびそれらの機能的部分および機能的変異型)、ポリペプチド、およびタンパク質は、α鎖およびβ鎖を連結し、γ鎖およびδ鎖を連結するリンカーペプチドを含んでなる、単一タンパク質として発現されてもよい。この点において、本発明のTCR(およびそれらの機能的変異型および機能的部分)、ポリペプチド、およびタンパク質は、本発明のTCRの可変領域のアミノ酸配列を含んでなり、リンカーペプチドをさらに含んでなってもよい。リンカーペプチドは、宿主細胞内で、組換えTCR(それらの機能的部分および機能的変異型を含む)、ポリペプチド、および/またはタンパク質の発現を有利に促進してもよい。リンカーペプチドは、任意の適切なアミノ酸配列を含んでなってもよい。一本鎖TCRコンストラクトのためのリンカー配列は、当該技術分野で周知である。このような一本鎖コンストラクトは、1つまたは2つの定常ドメイン配列をさらに含んでなってもよい。リンカーペプチドを含むコンストラクトの宿主細胞による発現に際して、リンカーペプチドもまた切断されて、α鎖とβ鎖が分離され、γ鎖とδ鎖が分離されてもよい。
【0059】
既に上述したように、本発明のTCRの結合機能性は、抗体のフレームワークにおいて提供されてもよい。例えば、おそらく3、2または1つの追加的なNおよび/またはC末端フレームワーク残基を含む本発明のTCRのCDR配列は、抗体可変重鎖/軽鎖配列に直接グラフトされてもよい。その様々な文法的形態における「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子を指すために、および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち抗原結合部位またはパラトープを含有する分子を指すために、本明細書で使用される。このような分子は、免疫グロブリン分子の「抗原結合断片」とも称される。本発明は、本明細書に記載の抗原に特異的に結合する、抗体またはその抗原結合部分をさらに提供する。抗体は、当該技術分野で公知の任意のタイプの免疫グロブリンであり得る。例えば、抗体は、例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMなどの任意のアイソタイプであり得る。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであり得る。抗体は、例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマ、ニワトリ、ハムスター、ヒトなどの哺乳類から単離されたおよび/または精製された抗体などの天然抗体であり得る。代案としては、抗体は、例えば、ヒト化抗体またはキメラ抗体などの遺伝子改変抗体であり得る。抗体は、単量体または重合体形態であり得る。
【0060】
「抗体」という用語は、細胞内抗体、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体(例えば、「CDR-グラフト」によって作製される)、抗体断片、およびヘテロコンジュゲート抗体(例えば、二重特異性抗体、二特異性抗体、三特異性抗体、四特異性抗体など)などの遺伝子操作されまたは別の様式で修飾された形態の免疫グロブリンを含むが、これに限定されるものではない。「抗体」という用語は、cys二特異性抗体およびミニ抗体を含む。したがって、本明細書で提供されるありとあらゆる実施形態は、「抗体」または「抗体様コンストラクト」に関し、他に明確に示されていない限り、二重特異性抗体、二特異性抗体、scFv断片、キメラ抗体受容体(CAR)コンストラクト、二特異性抗体および/または小型抗体実施形態であることも想定される。「抗体」という用語は、免疫グロブリンファミリーのポリペプチドを含み、または本明細書に開示されるように、好ましくは本発明のTAAである対応する抗原に、非共有結合的、可逆的、および特異的様式で結合できる免疫グロブリンの断片を含んでなるポリペプチドを含む。例示的な抗体構造単位は、四量体を構成する。いくつかの実施形態では、完全長抗体は、2つの同一対のポリペプチド鎖から構成され得て、各対は、1つの「軽」鎖および1つの「重」鎖(ジスルフィド結合を介して連結される)を有する。抗体の構造およびアイソタイプは、当業者に周知である(例えば、Janeway’s Immunobiology,9th edition,2016)。
【0061】
哺乳類の認識された免疫グロブリン遺伝子としては、κ、λ、α、γ、δ、ε、およびμ定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が挙げられる。(免疫グロブリン遺伝子についてより詳しくは、国際Im-MunoGeneTics information system(登録商標)、Lefranc M-Petal,Nucleic Acids Res.2015 Jan;43(Database issue):D413-22;およびhttp://www.imgt.org/を参照されたい)。完全長鎖では、軽鎖はκまたはλのどちらかに分類される。完全長鎖では、重鎖は、γ、μ、α、δ、またはεに分類され、それは次に、それぞれ免疫グロブリンクラス、IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEを規定する。各鎖のN末端は、抗原認識に主に関与する約100~110以上のアミノ酸の可変領域を規定する。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)という用語は、それぞれ軽鎖および重鎖のこれらの領域を指す。本発明における用法では、「抗体」は、抗体およびその断片の全ての変異型を包含する。したがって、この概念の範囲内で、完全長抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体(scFv)、Fab、Fab’、およびこれらの断片の多量体バージョン(例えば、F(ab’)2)は、本質的に同一または類似結合特異性を有する。いくつかの実施形態では、抗体は、本発明のペプチドTAAに特異的に結合する。本発明による好ましい抗原認識コンストラクトとしては、抗体重鎖、好ましくはその可変ドメイン、またはその抗原結合断片、および/または抗体軽鎖、好ましくはその可変ドメイン、またはその抗原結合断片が挙げられる。同様に、ジスルフィド安定化可変領域断片(dsFv)は、組換えDNA技術によって調製され得るが、本発明の抗体断片は、これらの例示的なタイプの抗体断片に限定されない。また、抗体、またはその抗原結合部分は、例えば、放射性同位体、フルオロフォア(例えば、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、フィコエリトリン(PE))、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ)、および元素粒子(例えば、金粒子)などの検出可能な標識を含んでなるように修飾され得る。場合によっては、TCR CDR3配列はわずかに修飾されてもよいが、配列番号3、9、15、21、27、33、39、45、51、57、63、69、75、81、129、および135に記載されるCDR3配列と比較して、好ましくは3アミノ酸残基以下であり、好ましくは2つのみ、最も好ましくは1つのみのアミノ酸位置である。好ましくは、抗体は、表1の本発明のTCRについて示されるように、CDR3、好ましくは全てのCDR1、CDR2、CDR2bis、およびCDR3領域の組合せを含んでなり、いずれの場合にも独立して、これらの配列と比較して、任意選択的に、それぞれ2つまたは2つ以下、好ましくは1つのアミノ酸置換、挿入および/または欠失を有する。
【0062】
抗体を作製する適切な方法は、当該技術分野で公知である。例えば、標準的なハイブリドーマ法は、例えば、Kohler and Milstein,Eur.J.Immunol,5,51 1-519(1976),Harlow and Lane(eds.),Antibodies:A Laboratory Manual,CSH Press(1988),and C.A.Janeway et al.(eds.),Immunobiology,8 Ed.,Garland Publishing,New York,NY(201))に記載される。代案としては、EBV-ハイブリドーマ法(Haskard and Archer,J.Immunol.Methods,74(2),361-67(1984)、およびRoder et al,Methods Enzymol,121,140-67(1986))およびバクテリオファージベクター発現系(例えば、Huse et al.,Science,246,1275-81(1989)を参照されたい)などのその他の方法が、当該技術分野で公知である。さらに、非ヒト動物において抗体を生産する方法は、例えば、米国特許第5,545,806号明細書、米国特許第5,569,825号明細書、および米国特許第5,714,352号明細書、および米国特許出願公開第2002/0197266号明細書に記載される。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態はまたTCRまたはその機能的断片およびポリペプチドにも関し、それらは可溶性TCRである。本明細書の用法では、「可溶性T細胞レセプター」という用語は、天然TCRのヘテロ二量体切断変異型を指し、それは、例えばジスルフィド結合によって連結されているが、天然タンパク質の膜貫通および細胞質ゾルドメインを欠く、TCRα鎖およびβ鎖の細胞外部分を含んでなる。「可溶性T細胞受容体α鎖配列および可溶性T細胞受容体β鎖配列」という用語は、膜貫通および細胞質ドメインを欠くTCRα鎖およびβ鎖配列を指す。可溶性TCRα鎖およびβ鎖の配列(アミノ酸または核酸)は、天然TCR中の対応する配列と同一であってもよく、または対応する天然TCR配列と比較して、変異型の可溶性TCRα鎖およびβ鎖配列を含んでなってもよい。「可溶性T細胞受容体」という用語は、本明細書の用法では、変異型または非変異型の可溶性TCRα鎖およびβ鎖配列を有する、可溶性TCRを包含する。変異型は、可溶性TCRα鎖およびβ鎖配列の可変領域または定常領域にあってもよく、アミノ酸の欠失、挿入、置換変異、ならびにアミノ酸配列を変化させない核酸配列変化を含み得るが、これに限定されるものではない。いずれにしても、本発明の可溶性TCRは、それらの親分子の結合機能を保持する。
【0064】
上記の問題は、本発明の抗原認識コンストラクトをコードする核酸、または上記タンパク質もしくはポリペプチドコンストラクトのいずれかによってさらに解決される。核酸は、好ましくは、(a)本発明による抗原認識コンストラクトをコードする鎖を有し;(b)(a)の鎖に相補的な鎖を有し;または(c)ストリンジェントな条件下で(a)または(b)に記載の分子にハイブリダイズする鎖を有する。ストリンジェントな条件は、特にSambrook et al,”Molecular Cloning”から当業者に知られている。それに加えて、核酸は、タンパク質に対応する核酸配列を発現するために、特に哺乳類/ヒト細胞における発現のために必要なさらなる配列を任意選択的に有する。使用される核酸は、細胞内のペプチドに対応する核酸配列の発現を可能にするのに適したベクターに含まれ得る。しかし、核酸は、それら自体がそれらの細胞表面に対応タンパク質を産生するように、樹状細胞などの古典的抗原提示細胞に限定されなくてもよい抗原提示細胞を形質転換するためにも使用され得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、抗原認識コンストラクトのポリペプチドは、核酸によってコードされ、生体内または生体外で発現され得る。したがって、いくつかの実施形態では、抗原認識コンストラクトをコードする核酸が提供される。いくつかの実施形態では、核酸は、本発明の抗原認識コンストラクトの一部またはモノマー(例えば、本発明のTCRの2本の鎖の1つ)をコードし、および/または別の核酸が、本発明の抗原認識コンストラクトの別の部分またはモノマー(例えば、TCRの2つの鎖のもう1つ)をコードする。いくつかの実施形態では、核酸は、2つ以上の抗原認識コンストラクトポリペプチド鎖、例えば、少なくとも2つのTCR鎖をコードする。複数の抗原認識コンストラクト鎖をコードする核酸は、少なくとも2つの鎖配列間の核酸切断部位を含み得て、2つ以上の鎖配列間の転写または翻訳開始部位をコードし得て、および/または2つ以上の抗原認識コンストラクト鎖間のタンパク質分解性標的部位をコードし得る。
【0066】
「核酸」は、本明細書の用法では、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、および「核酸分子」を含み、一般にDNAまたはRNAのポリマーを意味し、それは、合成されたまたは天然原料から取得された(例えば、単離および/または精製された)一本鎖または二本鎖であり得て、天然、非天然または改変ヌクオチドを含有し得て、未修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオチド間に見いだされるリン酸ジエステルの代わりに、ホスホロアミデート結合またはホスホロチオエート結合などの天然、非天然または改変ヌクレオチド間結合を含有し得る。
【0067】
好ましくは、本発明の核酸は組換え体である。本明細書の用法では、「組換え体」という用語は、(i)天然または合成核酸セグメントを生きている細胞内で自己複製し得る核酸分子に連結することで、生きている細胞の外部に構築される分子、または(ii)上記(i)に記載されるものの複製から生じる分子を指す。本明細書の目的のために、自己複製は生体外複製または生体内複製であり得る。核酸は、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、またはタンパク質、またはそれらの機能的部分または機能的変異型のいずれかをコードする、任意のヌクレオチド配列を含んでなり得る。
【0068】
さらに、本発明は、上記の本発明による核酸を含んでなるベクターを提供する。望ましくは、ベクターは、発現ベクターまたは組換え発現ベクターである。「組換え発現ベクター」という用語は、本発明の文脈では、適切な宿主細胞におけるmRNA、タンパク質またはポリペプチドの発現を可能にする核酸コンストラクトを指す。本発明の組換え発現ベクターは、任意の適切な組換え発現ベクターであり得て、任意の適切な宿主を形質転換または形質移入するために使用され得る。適切なベクターとしては、例えば、プラスミドおよびウイルスなどの、増殖および拡張のために、または発現またはその双方のために、設計されたものなどのベクターが挙げられる。動物発現ベクターの例としては、pEUK-Cl、pMAM、およびpMAMneoが挙げられる。好ましくは、組換え発現ベクターは、例えば、レトロウイルスベクターなどのウイルスベクターである。組換え発現ベクターは、その中にベクターが導入され、その中で本発明の核酸の発現が実施されてもよい宿主細胞のタイプ(例えば、細菌、真菌、植物、または動物)に特異的な、転写および翻訳開始および終止コドンなどの制御配列を含んでなる。さらに、本発明のベクターは、形質転換または形質移入された宿主の選択を可能にする、1つまたは複数のマーカー遺伝子を含んでもよい。組換え発現ベクターは、天然または規範的プロモーターを含んでなり得て、それは本発明のコンストラクトをコードするヌクレオチド配列に、または本発明のコンストラクトをコードするヌクレオチド配列と相補的なまたはそれとハイブリダイズするヌクレオチド配列に、作動可能に連結される。プロモーターの選択肢としては、例えば、強いプロモーター、弱いプロモーター、誘導性プロモーター、組織特異的プロモーター、および発達特異的プロモーターが挙げられる。プロモーターは、非ウイルスプロモーターまたはウイルスプロモーターであり得る。本発明の組換え発現ベクターは、一過性発現、安定発現のどちらか、またはその双方のために設計され得る。また、組換え発現ベクターは、構成的発現または誘導的発現のために作製され得る。
【0069】
本発明はまた、本発明による抗原認識コンストラクトを含んでなる宿主細胞にも関する。具体的には、本発明の宿主細胞は、本明細書中で上に記載されるような核酸またはベクターを含んでなる。宿主細胞は、例えば、植物、動物、真菌、または藻類などの真核細胞であり得て、または例えば、細菌または原虫など原核細胞であり得る。宿主細胞は、培養細胞または初代細胞、すなわち、例えばヒトなどの生物から直接単離された細胞であり得る。宿主細胞は、接着細胞または懸濁細胞、すなわち、懸濁状態で増殖する細胞であり得る。組換えTCR、ポリペプチド、またはタンパク質を生成する目的のために、宿主細胞は、好ましくは哺乳類細胞である。最も好ましくは、宿主細胞はヒト細胞である。宿主細胞は任意の細胞型であり得て、任意の種類型に由来し得て、任意の発達段階であり得るものの、宿主細胞は好ましくは、末梢血白血球(PBL)または末梢血単核細胞(PBMC)である。より好ましくは、宿主細胞はT細胞である。T細胞は、例えば、初代T細胞などの培養T細胞などの任意のT細胞;または例えば、ジャーカット、SupT1などの培養T細胞株由来のT細胞;または哺乳類から得られたT細胞、好ましくはヒト患者由来のT細胞またはT細胞前駆体であり得る。哺乳類から得られた場合、T細胞は、血液、骨髄、リンパ節、胸腺、またはその他の組織または体液をはじめとするが、これに限定されるものではない多数の起源から得られ得る。T細胞はまた、富化または精製され得る。好ましくは、T細胞はヒトT細胞である。より好ましくは、T細胞はヒトから単離されたT細胞である。T細胞は、CD4陽性および/またはCD8陽性、CD4陽性ヘルパーT細胞、例えば、Th1およびTh2細胞、CD8陽性T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)、腫瘍浸潤性細胞(TIL)、記憶T細胞、未感作T細胞などをはじめとするが、これに限定されるものではない、任意のT細胞型であり得て、任意の発達段階のものであり得る。好ましくは、T細胞は、CD8陽性T細胞またはCD4陽性T細胞である。
【0070】
好ましくは、本発明の宿主細胞は、リンパ球、好ましくはCD4陽性またはCD8陽性T細胞などのTリンパ球である。宿主細胞は、さらに好ましくは、TAA発現腫瘍細胞に特異的な腫瘍反応性T細胞である。
【0071】
本発明の目的は、
a.適切な宿主細胞を提供するステップと、
b.本明細書で開示される発明による抗原認識コンストラクトをコードするコード配列を含んでなる遺伝子コンストラクトを提供するステップと、
c.前記遺伝子コンストラクトを前記適切な宿主細胞に導入するステップと、
d.前記適切な宿主細胞によって前記遺伝子コンストラクトを発現させるステップと
を含んでなる、TAA特異的抗原認識コンストラクトの製造、またはTAA特異的抗原認識コンストラクト発現細胞株の製造方法によっても解決される。
【0072】
方法はさらに、前記適切な宿主細胞上で、前記抗原認識コンストラクトを細胞表面提示させるステップをさらに含んでなってもよい。
【0073】
その他の好ましい実施形態では、遺伝子コンストラクトは、前記コード配列に作動可能に連結されたプロモーター配列を含んでなる、発現コンストラクトである。好ましくは、前記抗原認識コンストラクトは、哺乳類起源、好ましくはヒト起源である。本発明の方法で使用するための好ましい適切な宿主細胞は、ヒト細胞、特にヒTリンパ球などの哺乳類細胞である。本発明で使用するためのT細胞は、本明細書中で上に詳述される。
【0074】
前記抗原認識コンストラクトが修飾TCRであり、前記修飾が標識または治療活性物質などの機能ドメインの付加である実施形態もまた、本発明に包含される。さらに、内在性膜貫通領域の代わりに代案の膜アンカードメインなどの代案のドメインを有する、TCRが包含される。TCR発現または安定性および/または鎖対形成を改善するために、TCR可変ドメインまたは定常ドメインに点変異を有するTCRもまた包含される。
【0075】
望ましくは、遺伝子コンストラクトを前記適切な宿主細胞に導入するための形質移入システムは、レトロウイルスベクターシステムである。このようなシステムは、当業者に周知である。
【0076】
一実施形態における、細胞からの抗原認識コンストラクトの単離および精製の追加的方法段階、任意選択的に、T細胞中の翻訳された抗原認識コンストラクト断片の再構成もまた、本発明に含まれる。
【0077】
本発明の代案の態様では、T細胞は、本明細書中で上に記載されるように、腫瘍細胞に特異的であり高い結合活性を有するT細胞受容体(TCR)を製造する方法によって提供され、入手され、または入手可能である。このようなT細胞は、本発明の方法で使用される宿主細胞、例えば、ヒトまたは非ヒトT細胞、好ましくはヒトTCRに依存する。
【0078】
抗原認識コンストラクト(その一例は抗体であり得る)などのポリペプチドの文脈において本明細書で使用される「単離された」という用語は、その治療的、診断的、予防的、研究的またはその他の使用を妨害するであろう、タンパク質またはポリペプチドまたはその他の混入物から精製されたポリペプチドを指す。本発明による抗原認識コンストラクトは、組換え体、合成または修飾された(非天然)抗原結合コンストラクトであってもよい。核酸または細胞の文脈において本明細書で使用される「単離された」という用語は、その治療的、診断的、予防的、研究的またはその他の使用を妨害するであろう、DNA、RNA、タンパク質またはポリペプチドまたはその他の混入物(その他の細胞など)から精製された核酸または細胞を指し、またはそれは組換え体、合成または修飾された(非天然)核酸を指す。この文脈で、「組換え」タンパク質/ポリペプチドまたは核酸は、組換え技術を用いて作製されたものである。組換え核酸およびタンパク質の製造方法および技術は、当該技術分野で周知である。
【0079】
本発明の追加的な一態様は、医療で使用するための本明細書で開示された抗原認識コンストラクト、核酸、ベクター、医薬組成物および/または宿主細胞に関する。医療における使用は、好ましい一実施形態では、悪性または良性腫瘍疾患などの腫瘍疾患の診断、予防および/または治療における使用を含む。腫瘍疾患は、例えば、前記腫瘍疾患のがんまたは腫瘍細胞におけるTAAの発現によって特徴付けられる腫瘍疾患である。
【0080】
本開示に従って、抗原認識性コンストラクトおよびそれに由来する、またはそれをコードするその他の物質の上述の医学的用途に関して、治療および/または診断される疾患は、任意の増殖性疾患であり得て、好ましくは、本発明のTAAまたはTAAエピトープ配列の発現によって、例えば、急性リンパ球性がん、急性骨髄性白血病、肺胞横紋筋肉腫、骨がん、脳がん、乳がん、肛門がん、肛門管または直腸がん、眼のがん、肝内胆管がん、関節がん、頸部がん、胆嚢または胸膜がん、鼻がん、鼻腔がん、中耳がん、口腔がん、膣がん、外陰部がん、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性がん、結腸がん、食道がん、子宮頸がん、消化管カルチノイド腫瘍、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、腎臓がん、喉頭がん、肝臓がん、肺がん、悪性中皮腫、黒色腫、多発性骨髄腫、鼻咽頭がん、非ホジキンリンパ腫、口腔咽頭がん、卵巣がん、陰茎がん、膵臓がん、腹膜がん、大網腸間膜がん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、腎臓がん、皮膚がん、小腸がん、軟部組織がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、尿管がん、および膀胱がんのいずれかなどの任意のがんによって特徴付けられる。好ましいがんは、子宮頸部、口腔咽頭、肛門、肛門管、肛門直腸、膣、外陰部、または陰茎のがんである。特に好ましいがんは、好ましくは卵巣がん、白血病または黒色腫をはじめとするTAA陽性がんである。
【0081】
本発明のコンストラクト、タンパク質、TCR抗体、ポリペプチドおよび核酸は、特に免疫療法、好ましくは養子T細胞療法における使用のためのものである。本発明の化合物の投与は、例えば、前記患者への本発明のT細胞の注入を伴い得る。好ましくは、このようなT細胞は患者の自己T細胞であり、本発明の核酸または抗原認識コンストラクトで生体外形質導入されたものである。
【0082】
本明細書で以後、集合的に「本発明のTCR材料」と称される、本発明の抗原認識コンストラクト、TCR、ポリペプチド、タンパク質(それらの機能的変異型を含む)、核酸、組換え発現ベクター、宿主細胞(それらの集団を含む)、および抗体(その抗原結合部分を含む)は、医薬組成物などの組成物に調合され得る。この点において、本発明は、本明細書に記載の抗原認識コンストラクト、TCR、ポリペプチド、タンパク質、機能的部分、機能的変異型、核酸、発現ベクター、宿主細胞(それらの集団を含む)、および抗体(それらの抗原結合部分を含む)のいずれかと、薬学的に許容可能な担体、賦形剤および/または安定剤とを含んでなる、医薬組成物を提供する。本発明のTCR材料のいずれかを含有する本発明の医薬組成物は、例えば、ポリペプチドおよび核酸などの2つ以上の発明のTCR材料、または、2つ以上の異なるTCR(それらの機能的部分および機能的変異型を含む)を含んでなり得る。代案としては、医薬組成物は、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどの化学療法剤のような別の薬学的に活性な薬剤または薬物と組み合わされた、発明のTCR材料を含んでなり得る。好ましくは、担体は、薬学的に許容可能な担体である。医薬組成物に関して、担体は、検討中の特定の本発明のTCR材料のために従来使用されているもののいずれかであり得る。このような薬学的に許容可能な担体は当業者に周知であり、一般に容易に入手可能である。薬学的に許容可能な担体は、使用条件下で有害な副作用または毒性がないものであることが好ましい。
【0083】
したがって、本明細書に記載される本発明の任意の生成物および本発明のTCR材料、具体的には任意のタンパク質、核酸または宿主細胞を含んでなる医薬組成物もまた提供される。好ましい実施形態では、医薬組成物は、免疫療法、好ましくは養子細胞療法のためのものである。
【0084】
好ましくは、本発明のTCR材料は、例えば静脈内などの注射によって投与される。本発明のTCR材料が、本発明のTCR(またはその機能的変異型)を発現する宿主細胞である場合、注射用細胞のための薬学的に許容可能な担体は、例えば、生理食塩水(水中の約0.90%w/vのNaCl、水中の約300mOsm/LのNaCl、または水1リットルあたり約9.0gのNaCl)、NORMOSOLR電解質溶液(Abbott,Chicago,IL)、PLASMA-LYTE A(Baxter,Deerfield,IL)、水中の約5%デキストロース、または乳酸リンゲル液などの任意の等張性担体を含んでもよい。一実施形態では、薬学的に許容可能な担体にはヒト血清卵白が添加されている。
【0085】
本発明の目的のために、投与される本発明のTCR材料の量または用量(例えば、本発明のTCR材料が1つまたは複数の細胞である場合は細胞数)は、妥当な時間枠にわたり対象または動物において、例えば、治療的または予防的応答などの影響を及ぼすのに十分であってもよい。例えば、本発明のTCR材料の用量は、投与時から例えば12~24時間以上などの約2時間以上の期間において、がん抗原に結合し、またはがんを検出し、治療または予防するのに十分であるべきである。特定の実施形態では、期間はさらに長くなり得る。用量は、特定の本発明のTCR材料の有効性および動物(例えば、ヒト)の病状、ならびに治療される動物(例えば、ヒト)の体重によって決定されるであろう。
【0086】
本発明の医薬組成物、抗原認識コンストラクト、TCR(それらの機能的変異型を含む)、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組換え発現ベクター、宿主細胞、または細胞集団は、がんまたはTAA陽性前がんを治療または予防する方法で使用され得ることが検討される。本発明のTCR(およびそれらの機能的変異型)は、本発明のTAAと特異的に結合すると考えられ、その結果、TCR(または関連する発明のポリペプチドまたはタンパク質およびそれらの機能的変異型)は、T細胞などの細胞によって発現される、または細胞上に発現される場合、本発明のTAAを発現する、好ましくは前記標的細胞の表面のMHCIまたはIIを通じてTAAペプチドを提示する、標的細胞に対する免疫応答を媒介できる。この点において、本発明は、本明細書に記載の医薬組成物、特にTCR(およびそれらの機能的変異型)である抗原認識コンストラクト、ポリペプチド、またはタンパク質;本明細書に記載のTCR(およびそれらの機能的変異型)とポリペプチドとタンパク質とのいずれかをコードするヌクレオチド配列を含んでなる、任意の核酸または組換え発現ベクター;または本明細書に記載の本発明のコンストラクト(およびそれらの機能的変異型)またはポリペプチドまたはタンパク質のいずれかをコードする核酸または組換えベクターを含んでなる、任意の宿主細胞または細胞集団を哺乳類において病状を治療または予防するのに有効な量で含んでなる、哺乳類における病状、特にがんを治療または予防する方法を提供し、病状は、好ましくは、本発明のTAAを発現するがんなどのがんである。
【0087】
本発明で有用な薬学的に許容可能な担体または希釈剤の例としては、SPGA、炭水化物(例えば、ソルビトール、マンニトール、デンプン、スクロース、グルコース、デキストラン)、アルブミンまたはカゼインなどのタンパク質、ウシ乳清または脱脂乳などのタンパク質含有作用物質などの安定剤および緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液)が挙げられる。
【0088】
「治療する」および「予防する」という用語、ならびにそれから生じる用語は、本明細書の用法では、必ずしも100%または完全な治療または予防を暗示しない。むしろ、当業者が潜在的利益または治療効果を有すると認識する、様々な程度の治療または予防がある。この点において、本発明の方法は、哺乳類における病状の任意の量の任意のレベルの治療または予防を提供し得る。さらに、本発明の方法によって提供される治療または予防は、例えば、治療または予防されるがんなどの1つまたは複数の病状または病状の症状の治療または予防を含み得る。例えば、治療または予防としては、腫瘍退縮の促進が挙げられる。また、本明細書の目的のために、「予防」は、病状または症状またはその病状の発生を遅延させることを包含し得る。
【0089】
本発明はまた、少なくとも1つの化学療法剤および/または放射線療法と組み合わせて、本明細書のTCR、核酸、または宿主細胞を投与するステップを含んでなる、がんを治療する方法にも関する。
【0090】
本発明のもう一つの態様は、サンプルを前記TAAペプチドに特異的に結合する抗原認識コンストラクトと、またはTAAペプチド/MHC複合体と、接触させるステップと、前記抗原認識コンストラクトと前記TAAペプチドの間の結合、またはTAAペプチド/MHC複合体に対する結合を検出するステップとを含んでなる、対象または患者から得られたものなどの(生物学的)サンプル中で、TAAタンパク質、またはMHCとTAAタンパク質(TAAのタンパク質エピトープ)との複合体を検出する方法にさらに関する。いくつかの実施形態では、抗原認識コンストラクトはTCRもしくは抗体、または類似したコンストラクト、または好ましくは本明細書に記載の発明による抗原認識コンストラクトである。いくつかの実施形態では、(生物学的)サンプルは、腫瘍またはがん(本明細書の他の箇所で記載されるものの1つなど)のサンプル、例えば、腫瘍またはがん細胞を含んでなるサンプルである。
【0091】
a)細胞を前記対象から単離するステップと;
b)細胞を本発明の抗原認識コンストラクトをコードする少なくとも1つのベクターで形質転換して、形質転換細胞を生成するステップと;
c)形質転換細胞を増殖させて、複数の形質転換細胞を生成するステップと;
d)複数の形質転換細胞を前記対象に投与するステップと
を含んでなる、それを必要とする対象においてがんを治療する方法もまた提供される。
【0092】
a)細胞を健常ドナーから単離するステップと;
b)細胞を本発明の抗原認識コンストラクトをコードするベクターで形質転換して、形質転換細胞を生成するステップと;
c)形質転換細胞を増殖させて、複数の形質転換細胞を生成するステップと;
d)複数の形質転換細胞を前記対象に投与するステップと
を含んでなる、それを必要とする対象においてがんを治療する方法もまた提供される。
【0093】
a)生物学的サンプルを本明細書の抗原認識コンストラクトに接触させるステップと;
b)抗原認識コンストラクトの生物学的サンプルへの結合を検出するステップと
を含んでなる、生物学的サンプルにおいてがんを検出する方法もまた提供される。
【0094】
いくつかの実施形態では、がんを検出する方法は、生体外、生体内または原位置で実施される。
【0095】
哺乳類において病状の存在を検出する方法もまた提供される。方法は、(i)哺乳類由来の1つまたは複数の細胞を含んでなるサンプルを、本発明のTCR(およびそれらの機能的変異型)、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組換え発現ベクター、宿主細胞、細胞集団、抗体、またはその抗原結合部分、または本明細書に記載される医薬組成物のいずれかに接触させ、それによって複合体を形成し、複合体を検出するステップを含んでなり、複合体の検出は、哺乳類における病状の存在の指標となり、病状は、TAA発現悪性腫瘍などのがんである。
【0096】
哺乳類における病状を検出する本発明の方法に関して、細胞サンプルは、全細胞、その溶解産物、または例えば、核もしくは細胞質画分、全タンパク質画分、または核酸画分などのホールセル溶解産物の画分を含んでなる、サンプルであり得る。
【0097】
本発明の検出法の目的のために、接触は哺乳類に関して生体外または生体内で行われ得る。好ましくは、接触は生体外である。
【0098】
また、複合体の検出は、当該技術分野で公知の多数の様式を通じて行い得る。例えば、本明細書に記載される、本発明の抗原認識コンストラクト(およびそれらの機能的変異型)、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組換え発現ベクター、宿主細胞、細胞集団、または抗体またはTCR、またはその抗原結合部分は、例えば、放射性同位体、フルオロフォア(例えば、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、フィコエリトリン(PE))、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ)、および元素粒子(例えば、金粒子)などの検出可能な標識で標識され得る。
【0099】
宿主細胞または細胞集団が投与される本発明の方法の目的のために、細胞は哺乳類にとって同種異系または自己由来の細胞であり得る。好ましくは、細胞は哺乳類に対して自己由来である。
【0100】
本発明のTCR材料の前述の医療用途に関して、治療および/または診断されるがんは、急性リンパ球性がん、急性骨髄性白血病、肺胞横紋筋肉腫、骨がん、脳がん、乳がん、肛門がん、肛門管または直腸がん、眼のがん、肝内胆管がん、関節がん、頸部がん、胆嚢または胸膜がん、鼻がん、鼻腔がん、中耳がん、口腔がん、膣がん、外陰部がん、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性がん、結腸がん、食道がん、子宮頸がん、消化管カルチノイド腫瘍、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、腎臓がん、喉頭がん、肝臓がん、肺がん、悪性中皮腫、黒色腫、多発性骨髄腫、鼻咽頭がん、非ホジキンリンパ腫、口腔咽頭がん、卵巣がん、陰茎がん、膵臓がん、腹膜がん、大網腸間膜がん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、腎臓がん、皮膚がん、小腸がん、軟部組織がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、尿管がん、および膀胱がんのいずれかなどの任意のがんであり得る。好ましいがんは、子宮頸部、口腔咽頭、肛門、肛門管、肛門直腸、膣、外陰部、または陰茎のがんである。特に好ましいがんは、例えば、卵巣がん、黒色腫または白血病などのPRAMEを発現するがんなどのTAA陽性がんである。
【0101】
一般に、本発明は、本発明によって開示されるような抗原認識コンストラクト、核酸、ベクター、医薬組成物および/または宿主細胞を投与するステップを含んでなる、腫瘍または腫瘍疾患に罹患している対象を治療する方法を提供する。好ましくは、対象は、このような治療を必要とする対象である。好ましい実施形態では対象は、TAA陽性の腫瘍または腫瘍疾患に罹患している哺乳類対象、好ましくはヒト患者である。
【0102】
本明細書の開示を考慮すると、本発明は以下の事項にさらに関するものであることが理解されるであろう:
【0103】
項目1:配列番号3、9、15、21、27、33、39、45、51、57、63、69、75、81、129、および135から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%の配列同一性を有する少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)15を含んでなる、抗原認識コンストラクト。
【0104】
項目2:前記抗原認識コンストラクトが、本発明の抗原ペプチドのTAAに特異的におよび/または選択的に結合できる、項目1に記載の抗原認識コンストラクト。
【0105】
項目3:抗原認識コンストラクトが、抗体、またはその誘導体もしくは断片、またはT細胞受容体(TCR)、またはその誘導体もしくは断片である、項目1または2に記載の抗原認識コンストラクト。
【0106】
項目4:前記抗原認識コンストラクトがTAA抗原ペプチドを提示するヒト白血球抗原(HLA)に結合し、前記HLAが任意選択的にA2型である、項目1~3のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【0107】
項目5:コンストラクトが、配列番号97~115、好ましくは配列番号97から選択されるアミノ酸配列を有するエピトープに、特異的におよび/または選択的に結合する、項目1~4のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【0108】
項目6:コンストラクトがα/β-TCRまたはその断片もしくは誘導体であり、またはコンストラクトがγ/δ-TCRまたはその断片もしくは誘導体である、項目1~5のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【0109】
項目7:コンストラクトがヒト起源であり、TAA抗原ペプチドを特異的におよび/または選択的に認識することを特徴とする、項目1~6のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【0110】
項目8:前記抗原認識コンストラクトが、対象において免疫応答を誘導でき、任意選択的に、免疫応答がインターフェロン(IFN)γレベルの増加によって特徴付けられる、項目1~7のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【0111】
項目9:TCRαまたはγ鎖;および/またはTCRβまたはδ鎖を含んでなる、項目1~8のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクトであって、TCRαまたはγ鎖が、配列番号3、15、27、39、51、63、75、および129から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR3を含んでなり、および/またはTCRβまたはδ鎖が、配列番号9、21、33、45、57、69、81、および135から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR3を含んでなる、抗原認識コンストラクト。
【0112】
項目10:TCRαまたはγ鎖が、配列番号1、13、25、37、49、61、73、および127から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR1;および/または配列番号2、14、26、38、50、62、74、128、196、197、198、199、200、201、202、および204から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR2をさらに含んでなる、項目9に記載の抗原認識コンストラクト。
【0113】
項目11:TCRβまたはδ鎖が、配列番号7、19、31、43、55、67、および79から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR1;および/または配列番号8、20、32、44、56、68、および80、および134から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR2をさらに含んでなる、項目9または10に記載の抗原認識コンストラクト。
【0114】
項目12:配列番号4、10、16、22、28、34、40、46、52、58、64、70、76、82、130、および136から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するTCR可変鎖領域を含んでなる、項目1~11のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【0115】
項目13:コンストラクトが、ヒト化、キメラ化および/またはマウス化されている、項目1~12のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【0116】
項目14:TCRの結合断片を含んでなり、前記結合断片が、配列番号1、2、3、196;または7、8、9;または13、14、15、197;または19、20、21;または25、26、27、198;または31、32、33;または37、38、39、199;または43、44、45;または49、50、51、200;または55、56、57;または61、62、63、201;または67、68、69;または73、74、75、202;または79、80、81;または127、128、129、204;または133、134、135のアミノ酸配列を有する、CDR1~CDR3配列から任意選択的に選択されるCDR1~CDR3を含んでなる、項目1~13のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【0117】
項目15:コンストラクトが、少なくとも1つのTCRα鎖および1つのTCRβ鎖配列から構成されるTCRまたはその断片であり、前記TCRα鎖配列が、配列番号1~3および196のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列が、配列番号7~9のアミノ酸配列を有するCDR7~CDR9配列を含んでなりまたは前記TCRα鎖配列が、配列番号13~15および197のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列が、配列番号19~21のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列が、配列番号25~27および198のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列が、配列番号31~33のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列が、配列番号37~39および199のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列が、配列番号43~45のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列が、配列番号49~51および200のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列が、配列番号55~57のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列が、配列番号61~63および201のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列が、配列番号67~69のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列が、配列番号73~75および202のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列が、配列番号79~81のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列が、配列番号127~129および204のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列が、配列番号133~135のアミノ酸配列を有するCDR1~CDR3配列を含んでなり;項目1~14のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【0118】
項目16:コンストラクトが、少なくとも1つのTCRα鎖および1つのTCRβ鎖配列からなるTCRまたはその断片であり、前記TCRα鎖配列が、配列番号4のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列が、配列番号10のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列が、配列番号16のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列が、配列番号22のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列が、配列番号28のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列が、配列番号34のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列が、配列番号40のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列が、配列番号46のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列が、配列番号52のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列が、配列番号58のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列が、配列番号64のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列が、配列番号70のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列が、配列番号76のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列が、配列番号82のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり;または前記TCRα鎖配列が、配列番号130のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなり、前記TCRβ鎖配列が、配列番号136のアミノ酸配列を有する可変領域配列を含んでなる、項目1~15のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【0119】
項目17:コンストラクトが、配列番号5、11、17、23、29、35、41、47、53、59、65、71、77、83、131、および137から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するTCR定常領域をさらに含んでなるTCRまたはその断片であり、好ましくはTCRが、少なくとも1つのTCRαおよび1つのTCRβ鎖配列から構成され、TCRα鎖配列が、配列番号5、17、29、41、53、65、77、および131から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する定常領域を含んでなり;TCRβ鎖配列が、配列番号11、23、35、47、59、71、83、および137から選択されるアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する定常領域を含んでなる、項目1~16のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【0120】
項目18:配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第1のTCR鎖と、配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第2のTCR鎖とを含んでなる、項目1~17のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【0121】
項目19:配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第1のTCR鎖と、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第2のTCR鎖とを含んでなる、項目1~17のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【0122】
項目20a:配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第1のTCR鎖と、配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第2のTCR鎖とを含んでなる、項目1~17のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【0123】
項目20b:配列番号42のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第1のTCR鎖と、配列番号48のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第2のTCR鎖とを含んでなる、項目1~17のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【0124】
項目20c:配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第1のTCR鎖と、配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第2のTCR鎖とを含んでなる、項目1~17のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【0125】
項目20d:配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第1のTCR鎖と、配列番号72のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第2のTCR鎖とを含んでなる、項目1~17のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【0126】
項目20e:配列番号78のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第1のTCR鎖と、配列番号84のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第2のTCR鎖とを含んでなる、項目1~17のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【0127】
項目20f:配列番号132のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第1のTCR鎖と、配列番号138のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する第2のTCR鎖とを含んでなる、項目1~17のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト。
【0128】
項目21:項目1~20fのいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクトをコードする核酸。
【0129】
項目22:項目21に記載の核酸を含んでなるベクター。
【0130】
項目23:項目1~20のいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト、または項目21に記載の核酸または、または項目22に記載のベクターを含んでなる、宿主細胞。
【0131】
項目24:宿主細胞が、リンパ球、好ましくはTリンパ球またはTリンパ球前駆体、より好ましくはCD4またはCD8陽性T細胞である、項目23に記載の宿主細胞。
【0132】
項目25:項目1~20fのいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト、または項目21に記載の核酸、または項目22に記載のベクター、または項目23または24に記載の宿主細胞、および薬学的に許容可能な担体、安定剤および/または賦形剤を含んでなる、医薬組成物。
【0133】
項目26:医療で使用するための、項目1~20fのいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクト、または項目21に記載の核酸、または項目22に記載のベクター、または項目23もしくは24に記載の宿主細胞、または項目25に記載の医薬組成物。
【0134】
項目27:悪性または良性の腫瘍疾患を含んでなる増殖性疾患の診断、予防および/または治療における使用のための、項目26に記載の使用のための抗原認識コンストラクト、または核酸、またはベクター、または宿主細胞、または医薬組成物。
【0135】
項目28:腫瘍疾患が、腫瘍疾患の腫瘍細胞内のTAAの発現によって特徴付けられる、項目27に記載の使用のための抗原認識コンストラクト、または核酸、またはベクター、または宿主細胞、または医薬組成物。
【0136】
項目29:医学における使用が、任意選択的に養子細胞移入を含んでなる免疫療法における使用であり、免疫療法が、養子自己または異種T細胞療法を含んでなる、項目26~28のいずれか一項に記載の使用のための抗原認識コンストラクト、または核酸、またはベクター、または宿主細胞、または医薬組成物。
【0137】
項目30:
a.適切な宿主細胞を提供するステップと、
b.項目1~20fのいずれか一項に記載の抗原認識コンストラクトをコードするコード配列を含んでなる遺伝子コンストラクトを提供するステップと、
c.前記遺伝子コンストラクトを前記適切な宿主細胞に導入するステップと、
d.前記適切な宿主細胞によって前記遺伝子コンストラクトを発現させるステップとを含んでなる、細胞株を発現するTAA特異的抗原認識コンストラクトを製造する方法。
【0138】
項目31:前記抗原認識コンストラクトの細胞表面提示をさらに含んでなる、項目30に記載の方法。
【0139】
項目32:遺伝子コンストラクトが、前記コード配列と作動可能に連結されたプロモーター配列を含んでなる発現コンストラクトである、項目30または31に記載の方法。
【0140】
項目33:前記抗原認識コンストラクトが、哺乳類起源、好ましくはヒト起源である、項目30~32のいずれか一項に記載の方法。
【0141】
項目34:前記適切な宿主細胞が、任意選択的にヒト細胞またはヒTリンパ球から選択される哺乳類細胞である、項目30~33のいずれか一項に記載の方法。
【0142】
項目35:前記抗原認識コンストラクトが修飾TCRであり、前記修飾が、標識を含んでなる機能ドメインの付加、または膜アンカードメインを含んでなる代替ドメインの付加を含んでなる、項目30~34のいずれか一項に記載の方法。
【0143】
項目36:前記抗原認識コンストラクトがα/βTCR、γ/δTCR、または一本鎖TCR(scTCR)である、項目35に記載の方法。
【0144】
項目37:前記遺伝子コンストラクトが、レトロウイルス形質移入によって前記適切な宿主細胞に導入される、項目30~36のいずれか一項に記載の方法。
【0145】
項目38:適切な宿主細胞からの抗原認識コンストラクトの単離および精製と、任意選択的に、T細胞内の抗原認識コンストラクトの再構成とをさらに含んでなる、項目30~37のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0146】
添付の図面および配列を参照しながら、本発明を以下の実施例においてさらに説明するが、それでもなおそれらに限定されるものではない。本発明の目的で、本明細書で引用される全ての参考文献は、その内容全体が参照により援用される。図面および配列は、以下を示す:
図1】PRAME-004ペプチド(配列番号97)、または配列番号97(配列番号98~115)の位置1~9(X1~X9)における様々なPRAME-004アラニン置換変異型またはスレオニン置換変異型、または対照ペプチドNYESO1-001(配列番号126)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R11P3D3(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。RNA電気穿孔CD8+T細胞単独、または未負荷標的細胞との同時インキュベーションが、対照の役割を果たした。アラニン置換変異型(Ala_TCRA-0017およびAla_IFN-041)およびスレオニン置換変異型(Thr_TCRA-0036)について、いく人かの異なるドナーが分析された。
図2】PRAME-004ペプチド(配列番号97)、または配列番号97(配列番号98~115)の位置1~9(X1~X9)における様々なPRAME-004アラニン置換変異型またはスレオニン置換変異型、または対照ペプチドNYESO1-001(配列番号126)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R16P1C10(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。RNA電気穿孔CD8+T細胞単独、または未負荷標的細胞との同時インキュベーションが、対照の役割を果たした。アラニン置換変異型(Ala_TCRA-0017およびAla_IFN-041)およびスレオニン置換変異型(Thr_TCRA-0036)について、いく人かの異なるドナーが分析された。
図3】PRAME-004ペプチド(配列番号97)、または配列番号97(配列番号98~115)の位置1~9(X1~X9)における様々なPRAME-004アラニン置換変異型またはスレオニン置換変異型、または対照ペプチドNYESO1-001(配列番号126)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R16P1E8(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。RNA電気穿孔CD8+T細胞単独、または未負荷標的細胞との同時インキュベーションが、対照の役割を果たした。アラニン置換変異型(Ala_TCRA-0017およびAla_IFN-041)およびスレオニン置換変異型(Thr_TCRA-0036)について、いく人かの異なるドナーが分析された。
図4】PRAME-004ペプチド(配列番号97)、または配列番号97(配列番号98~106)の位置1~9(X1~X9)における様々なPRAME-004アラニン置換変異型、または対照ペプチドNYESO1-001(配列番号126)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R17P1A9(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。RNA電気穿孔CD8+T細胞単独、または未負荷標的細胞との同時インキュベーションが、対照の役割を果たした。アラニン置換変異型(Ala_IFN-040およびAla_IFN-041)について、異なるドナーが分析された。
図5】PRAME-004ペプチド(配列番号97)、または配列番号97(配列番号98~115)の位置1~9(X1~X9)における様々なPRAME-004アラニン置換変異型またはスレオニン置換変異型、または対照ペプチドNYESO1-001(配列番号126)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R17P1D7(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。RNA電気穿孔CD8+T細胞単独、または未負荷標的細胞との同時インキュベーションが、対照の役割を果たした。アラニン置換変異型(Ala_TCRA-0017およびAla_IFN-041)およびスレオニン置換変異型(Thr_TCRA-0036)について、異なるドナーが分析された。
図6】PRAME-004ペプチド(配列番号97)、または配列番号97(配列番号98~115)の位置1~9(X1~X9)における様々なPRAME-004アラニン置換変異型またはスレオニン置換変異型、または対照ペプチドNYESO1-001(配列番号126)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R17P1G3(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。RNA電気穿孔CD8+T細胞単独、または未負荷標的細胞との同時インキュベーションが、対照の役割を果たした。アラニン置換変異型(Ala_TCRA-0017およびAla_IFN-041)およびスレオニン置換変異型(Thr_TCRA-0036)について、異なるドナーが分析された。
図7】PRAME-004ペプチド(配列番号97)、または配列番号97(配列番号98~115)の位置1~9(X1~X9)における様々なPRAME-004アラニン置換変異型またはスレオニン置換変異型、または対照ペプチドNYESO1-001(配列番号126)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R17P2B6(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。RNA電気穿孔CD8+T細胞単独、または未負荷標的細胞との同時インキュベーションが、対照の役割を果たした。アラニン置換変異型(Ala_TCRA-0017およびAla_IFN-041)およびスレオニン置換変異型(Thr_TCRA-0036)について、異なるドナーが分析された。
図8】PRAME-004ペプチド(配列番号97)または類似しているが無関係のペプチドTMED9-001(配列番号116)、CAT-001(配列番号117)、DDX60L-001(配列番号118)、LRRC70-001(配列番号119)、PTPLB-001(配列番号120)、HDAC5-001(配列番号121)、VPS13B-002(配列番号122)、ZNF318-001(配列番号123)、CCDC51-001(配列番号124)またはIFIT1-001(配列番号125)または対照ペプチドNYESO1-001(配列番号126)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R11P3D3(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。RNA電気穿孔CD8+T細胞単独、または未負荷標的細胞との同時インキュベーションが、対照の役割を果たした。IFN-040およびIFN-041について、異なるドナーが分析された。
図9】PRAME-004ペプチド(配列番号97)または類似しているが無関係のペプチドTMED9-001(配列番号116)、CAT-001(配列番号117)、DDX60L-001(配列番号118)、LRRC70-001(配列番号119)、PTPLB-001(配列番号120)、HDAC5-001(配列番号121)、VPS13B-002(配列番号122)、ZNF318-001(配列番号123)、CCDC51-001(配列番号124)またはIFIT1-001(配列番号125)または対照ペプチドNYESO1-001(配列番号126)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R16P1C10(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。RNA電気穿孔CD8+T細胞単独、または未負荷標的細胞との同時インキュベーションが、対照の役割を果たした。IFN-046およびIFN-041について、異なるドナーが分析された。
図10】PRAME-004ペプチド(配列番号97)または類似しているが無関係のペプチドTMED9-001(配列番号116)、CAT-001(配列番号117)、DDX60L-001(配列番号118)、LRRC70-001(配列番号119)、PTPLB-001(配列番号120)、HDAC5-001(配列番号121)、VPS13B-002(配列番号122)、ZNF318-001(配列番号123)、CCDC51-001(配列番号124)またはIFIT1-001(配列番号125)または対照ペプチドNYESO1-001(配列番号126)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R16P1E8(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。RNA電気穿孔CD8+T細胞単独、または未負荷標的細胞との同時インキュベーションが、対照の役割を果たした。IFN-040およびIFN-041について、異なるドナーが分析された。
図11】PRAME-004ペプチド(配列番号97)または類似しているが無関係のペプチドTMED9-001(配列番号116)、CAT-001(配列番号117)、DDX60L-001(配列番号118)、LRRC70-001(配列番号119)、PTPLB-001(配列番号120)、HDAC5-001(配列番号121)、VPS13B-002(配列番号122)、ZNF318-001(配列番号123)、CCDC51-001(配列番号124)またはIFIT1-001(配列番号125)または対照ペプチドNYESO1-001(配列番号126)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R17P1A9(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。RNA電気穿孔CD8+T細胞単独、または未負荷標的細胞との同時インキュベーションが、対照の役割を果たした。IFN-040およびIFN-041について、異なるドナーが分析された。
図12】PRAME-004ペプチド(配列番号97)または類似しているが無関係のペプチドTMED9-001(配列番号116)、CAT-001(配列番号117)、DDX60L-001(配列番号118)、LRRC70-001(配列番号119)、PTPLB-001(配列番号120)、HDAC5-001(配列番号121)、VPS13B-002(配列番号122)、ZNF318-001(配列番号123)、CCDC51-001(配列番号124)またはIFIT1-001(配列番号125)または対照ペプチドNYESO1-001(配列番号126)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R17P1D7(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。RNA電気穿孔CD8+T細胞単独、または未負荷標的細胞との同時インキュベーションが、対照の役割を果たした。IFN-040およびIFN-041について、異なるドナーが分析された。
図13】PRAME-004ペプチド(配列番号97)または類似しているが無関係のペプチドTMED9-001(配列番号116)、CAT-001(配列番号117)、DDX60L-001(配列番号118)、LRRC70-001(配列番号119)、PTPLB-001(配列番号120)、HDAC5-001(配列番号121)、VPS13B-002(配列番号122)、ZNF318-001(配列番号123)、CCDC51-001(配列番号124)またはIFIT1-001(配列番号125)または対照ペプチドNYESO1-001(配列番号126)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R17P1G3(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。RNA電気穿孔CD8+T細胞単独、または未負荷標的細胞との同時インキュベーションが、対照の役割を果たした。IFN-046およびIFN-041について、異なるドナーが分析された。
図14】PRAME-004ペプチド(配列番号97)または類似しているが無関係のペプチドTMED9-001(配列番号116)、CAT-001(配列番号117)、DDX60L-001(配列番号118)、LRRC70-001(配列番号119)、PTPLB-001(配列番号120)、HDAC5-001(配列番号121)、VPS13B-002(配列番号122)、ZNF318-001(配列番号123)、CCDC51-001(配列番号124)またはIFIT1-001(配列番号125)または対照ペプチドNYESO1-001(配列番号126)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R17P2B6(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。RNA電気穿孔CD8+T細胞単独、または未負荷標的細胞との同時インキュベーションが、対照の役割を果たした。IFN-040およびIFN-041について、異なるドナーが分析された。
図15】10μM~10pMの様々なペプチド負荷濃度のPRAME-004ペプチド(配列番号97)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R11P3D3(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。TCRA-0003およびTCRA-0017について、異なるドナーが分析された。
図16】10μM~10pMの様々なペプチド負荷濃度のPRAME-004ペプチド(配列番号97)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R16P1C10(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。TCRA-0003およびTCRA-0017について、異なるドナーが分析された。
図17】10μM~10pMの様々なペプチド負荷濃度のPRAME-004ペプチド(配列番号97)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R16P1E8(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。TCRA-0003およびTCRA-0017について、異なるドナーが分析された。
図18】10μM~10pMの様々なペプチド負荷濃度のPRAME-004ペプチド(配列番号97)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R17P1D7(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。TCRA-0003およびTCRA-0017について、異なるドナーが分析された。
図19】10μM~10pMの様々なペプチド負荷濃度のPRAME-004ペプチド(配列番号97)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R17P1G3(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。TCRA-0003およびTCRA-0017について、異なるドナーが分析された。
図20】10μM~10pMの様々なペプチド負荷濃度のPRAME-004ペプチド(配列番号97)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R17P2B6(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞からのIFNγ放出である。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。TCRA-0003およびTCRA-0017について、異なるドナーが分析された。
図21】それぞれTCR R16P1C10(表1)のα鎖およびβ鎖RNAで電気穿孔されたCD8+T細胞のHLA-A02/PRAME-004四量体またはHLA-A02/NYESO1-001四量体染色である。HLA-A02/NYESO1-001複合体に特異的に結合する1G4 TCR(配列番号85~96)のRNAで電気穿孔されたCD8+T細胞;模擬電気穿孔されたCD8+T細胞が対照の役割を果たした。
図22】100nMのPRAME-004ペプチド(配列番号97)または類似している(位置3、5、6、および7においてPRAME-004と同一である)が無関係のペプチドACPL-001(配列番号139)、HSPB3-001(配列番号140)、UNC7-001(配列番号141)、SCYL2-001(配列番号142)、RPS2P8-001(配列番号143)、PCNXL3-003(配列番号144)、AQP6-001(配列番号145)、PCNX-001(配列番号146)、AQP6-002(配列番号147)TRGV10-001(配列番号148)、NECAP1-001(配列番号149)またはFBXW2-001(配列番号150)または対照ペプチドNYESO1-001(配列番号126)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R11P3D3(表1)でレンチウイルス形質導入されたCD8+T細胞(D103805およびD191451)、または非形質導入細胞(D103805NTおよびD191451NT)からのIFNγ放出。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞、D103805およびD191451を用いて得られた。
図23】100nMのPRAME-004ペプチド(配列番号97)または類似している(位置3、5、6、および7においてPRAME-004と同一である)が無関係のペプチド(配列番号151~195)または対照ペプチドNYESO1-001(配列番号126)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、TCR R11P3D3(表1)でレンチウイルス形質導入されたCD8+T細胞からのIFNγ放出。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞、TCRA-0087およびTCRA-0088を用いて得られた。
図24】異なる初代細胞(HCASMC(冠動脈平滑筋細胞)、HTSMC(気管平滑筋細胞)、HRCEpC(腎臓の皮質上皮細胞)、HCM(心筋細胞)、HCMEC(心臓の微小血管内皮細胞)、HSAEpC(末梢気道上皮細胞)、HCF(心臓の線維芽細胞))、およびiPSC由来細胞型(HN(ニューロン)、iHCM(心筋細胞)、HH(肝実質細胞)、HA(星状細胞))との同時インキュベーション後における、TCR R11P3D3(表1)でレンチウイルス形質導入されたCD8+T細胞(D103805およびD191451)、または非形質導入細胞(D8NTおよびD103805NT)からのIFNγ放出。腫瘍細胞株UACC-257(PRAME-004高度)、Hs695T(PRAME-004中度)、U266B1(PRAME-004非常に低い)、およびMCF-7(PRAME-004皆無)は、細胞当たり異なる量のPRAME-004を提示する。T細胞単独が対照の役割を果たした。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞、D103805およびD191451を用いて得られた。
図25】初代細胞(NHEK(上皮ケラチノサイト)、HBEpC(気管支上皮細胞)、HDMEC(皮膚微小血管内皮細胞)、HCAEC(冠動脈内皮細胞)、HAoEC(大動脈内皮細胞)、HPASMC(肺動脈平滑筋細胞)、HAoSMC(大動脈平滑筋細胞)、HPF(肺線維芽細胞)、SkMC(骨格筋細胞)、HOB(骨芽細胞)、HCH(軟骨細胞)、HWP(白色前脂肪細胞)、hMSC-BM(間葉系幹細胞)、NHDF(皮膚線維芽細胞)との同時インキュベーション後における、TCR R11P3D3(表1)でレンチウイルス形質導入されたCD8+細胞からのγ放出腫瘍細胞株UACC-257(PRAME-004高度)、Hs695T(PRAME-004中度)、U266B1(PRAME-004非常に低い)、およびMCF-7(PRAME-004皆無)は、細胞当たり異なるコピー数のPRAME-004を提示する。T細胞単独が対照の役割を果たした。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞、TCRA-0084およびTCRA-0085を用いて得られた。
図26】100nMのPRAME-004ペプチド(配列番号97)または類似している(位置3、5、6、および7においてPRAME-004と同一である)が無関係のペプチドACPL-001(配列番号139)、HSPB3-001(配列番号140)、UNC7-001(配列番号141)、SCYL2-001(配列番号142)、RPS2P8-001(配列番号143)、PCNXL3-003(配列番号144)、AQP6-001(配列番号145)、PCNX-001(配列番号146)、AQP6-002(配列番号147)TRGV10-001(配列番号148)、NECAP1-001(配列番号149)またはFBXW2-001(配列番号150)または対照ペプチドNYESO1-001(配列番号126)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、増強されたTCR R11P3D3_KE(表1)でレンチウイルス形質導入されたCD8+T細胞(D103805およびD191451)、または非形質導入細胞(D103805NTおよびD191451NT)からのIFNγ放出。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞、D103805およびD191451を用いて得られた。
図27】100nMのPRAME-004ペプチド(配列番号97)または類似している(位置3、5、6、および7においてPRAME-004と同一である)が無関係のペプチド(配列番号151~195)または対照ペプチドNYESO1-001(配列番号126)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、増強されたTCR R11P3D3_KE(表1)でレンチウイルス形質導入されたCD8+T細胞からのIFNγ放出。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞、TCRA-0087およびTCRA-0088を用いて得られた。
図28】異なる初代細胞(HCASMC(冠動脈平滑筋細胞)、HTSMC(気管平滑筋細胞)、HRCEpC(腎臓の皮質上皮細胞)、HCM(心筋細胞)、HCMEC(心臓の微小血管内皮細胞)、HSAEpC(末梢気道上皮細胞)、HCF(心臓の線維芽細胞))、およびiPSC由来細胞型(HN(ニューロン)、iHCM(心筋細胞)、HH(肝実質細胞)、HA(星状細胞))との同時インキュベーション後における、増強されたTCR R11P3D3_KE(表1)でレンチウイルス形質導入されたCD8+T細胞(D103805およびD191451)、または非形質導入細胞(D191451NTおよびD103805NT)からのIFNγ放出。腫瘍細胞株UACC-257(PRAME-004高度)、Hs695T(PRAME-004中度)、U266B1(PRAME-004非常に低い)、およびMCF-7(PRAME-004皆無)は、細胞当たり異なる量のPRAME-004を提示する。T細胞単独が対照の役割を果たした。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞、D103805およびD191451を用いて得られた。
図29】初代細胞(NHEK(上皮ケラチノサイト)、HBEpC(気管支上皮細胞)、HDMEC(皮膚微小血管内皮細胞)、HCAEC(冠動脈内皮細胞)、HAoEC(大動脈内皮細胞)、HPASMC(肺動脈平滑筋細胞)、HAoSMC(大動脈平滑筋細胞)、HPF(肺線維芽細胞)、SkMC(骨格筋細胞)、HOB(骨芽細胞)、HCH(軟骨細胞)、HWP(白色前脂肪細胞)、hMSC-BM(間葉系幹細胞)、NHDF(皮膚線維芽細胞)との同時インキュベーション後における、増強されたTCR R11P3D3_KE(表1)でレンチウイルス形質導入されたCD8+細胞からのγ放出。腫瘍細胞株UACC-257(PRAME-004高度)、Hs695T(PRAME-004中度)、U266B1(PRAME-004非常に低い)、およびMCF-7(PRAME-004皆無)は、細胞当たり異なるコピー数のPRAME-004を提示する。T細胞単独が対照の役割を果たした。IFNγ放出データは、2人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞、TCRA-0084およびTCRA-0085を用いて得られた。
図30】細胞当たり異なる量のPRAME-004を提示する、UACC-257(PRAME-004高度)、Hs695T(PRAME-004中度)、U266B1(PRAME-004非常に低い)、およびMCF-7(PRAME-004皆無)腫瘍細胞株との同時インキュベーション後における、TCR R11P3D3または増強されたTCR R11P3D3_KE(表1)レンチウイルス形質導入されたCD8+T細胞、または非形質導入細胞からのIFNγ放出。T細胞単独が対照の役割を果たした。双方のTCRのIFNγ放出はPRAME-004提示と相関し、R11P3D3_KEはR11P3D3と比較してより高い応答を誘導する。
図31】配列番号97の位置1~9(A1~A9)における様々なPRAME-004アラニン置換変異型(配列番号98~106)が負荷されたT2標的細胞との同時インキュベーション後における、増強されたTCR R11P3D3_KE(表1)細胞でレンチウイルス形質導入されたCD8+T細胞からのIFNγ放出。IFNγ放出データは、3人の異なる健常ドナーに由来するCD8+T細胞を用いて得られた。
図32】TCR R11P3D3または増強されたTCRR 11P3D3_KEを発現するレンチウイルス形質導入T細胞の、PRAME-004腫瘍細胞に対する細胞溶解活性を評価する効力アッセイ。A-375(PRAME-004低)またはU2OS(PRAME-004中度)腫瘍細胞に対して測定された、R11P3D3およびR11P3D3_KE形質導入、および非形質導入(NT)T細胞の細胞傷害性応答。アッセイは、72時間蛍光顕微鏡検査に基づく細胞毒障害性アッセイにおいて実施された。結果は、経時的な腫瘍増殖倍率として示される。
【0147】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【0148】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【実施例0149】
それぞれが腫瘍特異的TCR-α鎖およびTCR-β鎖をコードする、本明細書で開示されたPRAME-004ペプチド(R11P3D3、R16P1C10、R16P1E8、R17P1A9、R17P1D7、R17P1G3、およびR17P2B6、表1を参照されたい)に対する7つのPRAME特異的TCRを単離し、健康なドナーのT細胞から増幅した。健常ドナーに由来する細胞は、以前記載された方法に従って生体外で刺激し(Walter et al.,2003 J Immunol.,Nov 15;171(10):4974-8)、HLA-A02多量体を用いて標的特異的細胞を単細胞ソートし、次に引き続くTCR単離のために使用した。例えば、Molecular Cloning a laboratory manual fourth edition by Green and Sambrookに記載されるように、標準法によって5’RACEを通じてTCR配列を単離した。R11P3D3、R16P1C10、R16P1E8、R17P1A9、R17P1D7、R17P1G3、およびR17P2B6のTCRαおよびβ可変領域を配列決定し、さらなる機能特性解析のためにクローン化した。
【0150】
R11P3D3、R16P1C10、R17P1D7、およびR17P2B6は、HLA-A02陰性ドナー(アロ反応性の状況)に由来し、R16P1E8、R17P1A9、およびR17P1G3はHLA-A02陽性ドナーに由来する。
【0151】
さらに、R11P3D3の増強変異型である変異型TCR R11P3D3_KEが、本明細書で開示される。参照により本明細書に具体的に援用されるPCT/EP2017/081745、および下記の実施例8に記載されるように、増強されたTCR変異型R11P3D3_KEを親TCRから改変し、コード配列をTCRの機能的特徴付けの前に遺伝子合成により得た。
【0152】
実施例1:T細胞受容体R11P3D3
TCR R11P3D3(配列番号1~12および196)は、HLA-A02提示PRAME-004(配列番号97)に対して拘束される(図8参照)。
【0153】
R11P3D3はPRAME-004を特異的に認識するが、これはヒト初代CD8+T細胞が、PRAME-004ペプチドまたはPRAME-004のアラニンまたはスレオニン置換変異型(図1)またはPRAME-004との高度な配列類似性を示す異なるペプチド(図8)のいずれかが負荷された、HLA-A02+標的細胞との同時インキュベーションに際して、このTCR放出IFNγを再度発現するためである。NYESO1-001ペプチドを陰性対照として使用する。TCR R11P3D3は、HLA-A02提示PRAME-004(配列番号97)に対して0.74nMのEC50(図15)および18~26μMの結合親和性(K)を有する。
【0154】
ヒト初代CD8+T細胞におけるR11P3D3の再発現は、HLA-A02/PRAME-004提示腫瘍細胞株の選択的認識および殺滅をもたらす(図24、25、30、および32)。TCR R11P3D3は、試験された25の健康な細胞型、原発性またはiPSC由来細胞型(図24および25)のいずれにも応答せず、HLA-A02の文脈で、さらなる67の類似しているペプチド(そのうち57は位置3、5、6、および7においてPRAME-004と同一である)であるが無関係のペプチドに対する交差反応性について試験した(図8、22、および23)。
【0155】
実施例2:T細胞受容体R16P1C10
TCR R16P1C10(配列番号13~24および197)は、HLA-A02提示PRAME-004(配列番号97)に対して拘束される(図9参照)。
【0156】
R16P1C10はPRAME-004を特異的に認識するが、これはヒト初代CD8+T細胞が、PRAME-21ペプチドまたはPRAME-1のアラニンまたはスレオニン置換変異型(図2)またはPRAME-10との高度な配列類似性を示す異なるペプチド(図9)のいずれかが負荷された、HLA-A02+標的細胞との同時インキュベーションに際して、このTCR放出IFNγを再度発現,してHLA-A02四量体(図21)にそれぞれ結合するためである。NYESO1-001ペプチドを陰性対照として使用する。TCR R16P1C10は、9.6nMのEC50を有する(図16)。
【0157】
実施例3:T細胞受容体R16P1E8
TCR R16P1E8(配列番号25~36および198)は、HLA-A02提示PRAME-004(配列番号97)に対して拘束される(図10参照)。
【0158】
R16P1E8はPRAME-004を特異的に認識するが、これはヒト初代CD8+T細胞が、PRAME-004ペプチドまたはPRAME-004のアラニンまたはスレオニン置換変異型(図3)またはPRAME-004との高度な配列類似性を示す異なるペプチド(図10)のいずれかが負荷された、HLA-A02+標的細胞との同時インキュベーションに際して、このTCR放出IFNγを再度発現するためである。NYESO1-001ペプチドを陰性対照として使用する。TCRR16P1E8は、約1μMのEC50を有する(図17)。
【0159】
実施例4:T細胞受容体R17P1A9
TCR R17P1A9(配列番号37~48および199)は、HLA-A02提示PRAME-004(配列番号97)に対して拘束される(図11参照)。
【0160】
R17P1A9はPRAME-004を特異的に認識するが、これはヒト初代CD8+T細胞が、PRAME-004ペプチドまたはPRAME-004のアラニン置換変異型(図4)またはPRAME-004との高度な配列類似性を示す異なるペプチド(図11)のいずれかが負荷された、HLA-A02+標的細胞との同時インキュベーションに際して、このTCR放出IFNγを再度発現するためである。NYESO1-001ペプチドを陰性対照として使用する。
【0161】
実施例5:T細胞受容体R17P1D7
TCR R17P1D7(配列番号49~60および200)は、HLA-A02提示PRAME-004(配列番号97)に対して拘束される(図12参照)。
【0162】
R17P1D7はPRAME-004を特異的に認識するが、これはヒト初代CD8+T細胞が、PRAME-004ペプチドまたはPRAME-004のアラニンまたはスレオニン置換変異型(図5)またはPRAME-004との高度な配列類似性を示す異なるペプチド(図12)のいずれかが負荷された、HLA-A02+標的細胞との同時インキュベーションに際して、このTCR放出IFNγを再度発現するためである。NYESO1-001ペプチドを陰性対照として使用する。TCR R17P1D7は、1.83nMのEC50を有する(図18)。
【0163】
実施例6:T細胞受容体R17P1G3
TCR R17P1G3(配列番号61~72および201)は、HLA-A02提示PRAME-004(配列番号97)に対して拘束される(図13参照)。
【0164】
R17P1G3はPRAME-004を特異的に認識するが、これはヒト初代CD8+T細胞が、PRAME-004ペプチドまたはPRAME-004のアラニンまたはスレオニン置換変異型(図6)またはPRAME-004との高度な配列類似性を示す異なるペプチド(図13)のいずれかが負荷された、HLA-A02+標的細胞との同時インキュベーションに際して、このTCR放出IFNγを再度発現するためである。NYESO1-001ペプチドを陰性対照として使用する。TCR R17P1G3は、8.63nMのEC50を有する(図19)。
【0165】
実施例7:T細胞受容体R17P2B6
TCR R17P2B6(配列番号73~84および202)は、HLA-A02提示PRAME-004(配列番号97)に対して拘束される(図14参照)。
【0166】
R17P2B6はPRAME-004を特異的に認識するが、これはヒト初代CD8+T細胞が、PRAME-004ペプチドまたはPRAME-004のアラニンまたはスレオニン置換変異型(図7)またはPRAME-004との高度な配列類似性を示す異なるペプチド(図14)のいずれかが負荷された、HLA-A02+標的細胞との同時インキュベーションに際して、このTCR放出IFNγを再度発現するためである。NYESO1-001ペプチドを陰性対照として使用する。TCR R17P2B6は、2.11nMのEC50(図20)を有し、HLA-A02提示PRAME-004に対する13μMの結合親和性(K)を有する。
【0167】
実施例8:増強されたT細胞受容体R11P3D3_KE
変異「増強対合」TCR R11P3D3_KEをR11P3D3の変異型として導入し、その中ではαW44/βQ44を天然に有するαおよびβ可変ドメインが、αK44/βE44に変異されている。二重変異は、参照により本明細書に具体的に援用される、PCT/EP2017/081745に提示される一覧の中から選択される。それは特にTCRスキャフォールドへの最適な相互作用と形状相補性を復元するように、設計される。
【0168】
親TCR R11P3D3と比較して、増強されたTCR R11P3D3_KEは、PRAME-004認識の優れた感度を示す。PRAME-004提示腫瘍細胞株に対する応答は、親TCR R11P3D3と比較して、増強されたTCR R11P3D3_KEでより強い(図30)。さらに、R11P3D3_KEの細胞溶解活性は、R11P3D3と比較してより強い(図32)。増強されたTCR R11P3D3_KEの観察された改善された機能的応答は、実施例1(R11P3D3、K=18~26μM)および実施例8(R11P3D3_KE、K=5.3μM)に記載されるように、PRAME-004に対する増加した結合親和性と良好に一致する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
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図29
図30
図31
図32
【配列表】
2023088973000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書または図面に記載された発明。
【外国語明細書】