(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089033
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】部品実装システムおよび実装基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20230620BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
G05B19/418 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054546
(22)【出願日】2023-03-30
(62)【分割の表示】P 2019021112の分割
【原出願日】2019-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】中山 拓也
(72)【発明者】
【氏名】池田 徹
(57)【要約】
【課題】実装基板の品質を向上することができる部品実装システムおよび実装基板の製造方法を提供する。
【解決手段】部品実装システムは、基板に部品を実装する実装装置と、実装装置から搬出された基板に実装用作業を実行する実装用装置と、実装装置で発生した異常の種別と異常発生時の基板の位置に基づいて、実装用装置で行う処理を判断する処理部と、を備えた。実装装置は基板搬送機構を備え、処理部は実装装置で発生した異常の種別と、基板搬送機構における基板の位置に基づいて、実装用装置で行う処理を判断する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装する実装装置と、
前記実装装置から搬出された前記基板に実装用作業を実行する実装用装置と、
前記実装装置で発生した異常の種別と異常発生時の前記基板の位置に基づいて、前記実装用装置で行う処理を判断する処理部と、を備えた部品実装システム。
【請求項2】
前記実装装置は基板搬送機構を備え、
前記処理部は、前記実装装置で発生した異常の種別と、前記基板搬送機構における前記基板の位置に基づいて、前記実装用装置で行う処理を判断する、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記基板搬送機構は複数の搬送部を有し、
前記処理部は、前記実装装置で発生した異常の種別と、異常発生時に前記基板が前記複数の搬送部のうち何れの搬送部に位置しているかに基づいて、前記実装用装置で行う処理を判断する、請求項2に記載の部品実装システム。
【請求項4】
前記複数の搬送部は、上流から基板を受け取って下流に搬送する基板搬入部と、前記基板搬入部より前記基板を受け取って下流に搬送し実装作業領域に位置決めさせる中間搬送部と、前記中間搬送部より前記基板を受け取って下流に搬出する基板搬出部と、を含む、請求項3に記載の部品実装システム。
【請求項5】
基板に部品を実装する実装装置と、前記実装装置から搬出された前記基板に実装用作業を実行する実装用装置と、を備えた部品実装システムにおける実装基板の製造方法であって、
前記実装装置で発生した異常の種別と異常発生時の前記基板の位置に基づいて、前記実装用装置で行う処理を判断する、部品実装システムにおける実装基板の製造方法。
【請求項6】
前記実装装置は基板搬送機構を備え、
前記実装装置で発生した異常の種別と、前記基板搬送機構における前記基板の位置に基づいて、前記実装用装置で行う処理を判断する、請求項5に記載の部品実装システムにおける実装基板の製造方法。
【請求項7】
前記基板搬送機構は複数の搬送部を有し、
前記実装装置で発生した異常の種別と、異常発生時に前記基板が前記複数の搬送部のうち何れの搬送部に位置しているかに基づいて、前記実装用装置で行う処理を判断する、請求項6に記載の部品実装システムにおける実装基板の製造方法。
【請求項8】
前記複数の搬送部は、上流から基板を受け取って下流に搬送する基板搬入部と、前記基板搬入部より前記基板を受け取って下流に搬送し実装作業領域に位置決めさせる中間搬送部と、前記中間搬送部より前記基板を受け取って下流に搬出する基板搬出部と、を含む、請求項7に記載の部品実装システムにおける実装基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に部品を実装する部品実装システムおよび実装基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を実装した実装基板を製造する部品実装システムは、複数の実装装置で順に基板を受け渡しながら基板に複数の部品を実装する(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の部品実装システムは、連結された複数の実装装置の間に基板に実装された部品の実装状態を検査する検査装置を備えており、検査装置で実装不良が検出された基板は、検査装置より下流側の実装装置での部品の実装をスキップする。これによって、実装不良の基板にさらに部品を実装する無駄を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、検査装置より上流側の実装装置において実装不良となった基板に、さらに部品が実装されることを阻止することができなかった。また、実装装置で部品を基板上に落としてしまう異常が発生していても、落下した部品が検査範囲外にある場合は検査装置での検査で不良が検出されないという課題もあった。
【0005】
そこで本発明は、実装基板の品質を向上することができる部品実装システムおよび実装基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品実装システムは、基板に部品を実装する実装装置と、前記実装装置から搬出された前記基板に実装用作業を実行する実装用装置と、前記実装装置で発生した異常の種別と異常発生時の前記基板の位置に基づいて、前記実装用装置で行う処理を判断する処理部と、を備えた。
【0007】
本発明の実装基板の製造方法は、基板に部品を実装する実装装置と、前記実装装置から搬出された前記基板に実装用作業を実行する実装用装置と、を備えた部品実装システムにおける実装基板の製造方法であって、前記実装装置で発生した異常の種別と異常発生時の前記基板の位置に基づいて、前記実装用装置で行う処理を判断する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、実装基板の品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図
【
図2】本発明の一実施の形態の部品実装システムが備える第1の実装装置の構成説明図
【
図3】本発明の一実施の形態の管理コンピュータの構成を示すブロック図
【
図4】本発明の一実施の形態の管理コンピュータが備える記憶装置に記憶される異常処理情報の一例を示す図
【
図5】本発明の一実施の形態の管理コンピュータが備える記憶装置に記憶される生産基板情報の一例を示す図
【
図6】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態の部品実装システムにおける実装基板の製造の工程説明図
【
図7】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態の部品実装システムにおける実装基板の製造の工程説明図
【
図8】本発明の一実施の形態の部品実装システムにおける実装基板の製造方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、実装装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図2、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(
図2における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向が示される。
図2では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(
図2における上下方向)が示される。Z方向は、部品実装装置が水平面上に設置された場合の上下方向または直交方向である。
【0011】
まず
図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は、基板搬送方向の上流側(紙面左側)から下流側(紙面右側)に向けて、第1の実装装置M1、第2の実装装置M2、検査装置M3、基板搬送回収装置M4、リフロー装置M5などの基板に実装用作業を実行する実装用装置を直列に連結して構成されている。各実装用装置は通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に接続されている。部品実装システム1は、第1の実装装置M1に搬入されたランドにはんだが印刷された基板を順に搬送しながら各実装用装置で実装用作業を行い、基板に部品を実装した実装基板を製造する。
【0012】
第1の実装装置M1、第2の実装装置M2は、基板に実装する部品を供給する複数のフィーダ4、部品を保持するノズルが装着される搭載ヘッドを備えており、搭載ヘッドを移動させてフィーダ4が供給する部品を吸着ノズルで取り出して基板の実装位置に実装する部品搭載作業を実行する。第1の実装装置M1、第2の実装装置M2の前面には、生産開始ボタン、生産停止ボタン、電源遮断ボタンなどを含む複数の操作ボタン5が配置されている。作業開始ボタンが操作されると、実装基板の生産が開始される。また、生産停止ボタンが操作されると搭載ヘッドの移動などが非常停止する。また、電源遮断ボタンが操作されると、装置への電源供給が強制的に遮断される。
【0013】
図1において、検査装置M3は、検査カメラを備えており、基板に実装された部品の状態を検査する検査作業を実行する。検査結果は、管理コンピュータ3に送信される。基板搬送回収装置M4は検査装置M3から基板を受け取り、管理コンピュータ3からの指令に従って、実装不良などで廃棄する基板をストッカ6(
図6参照)に回収する。廃棄しない場合は、基板をリフロー装置M5に搬出する(実装用作業を実行する)。リフロー装置M5は、装置内に搬入された基板を基板加熱部によって加熱して、基板上のはんだを融解させた後に硬化させ、基板のランドと部品の電極とを接合させるリフロー作業を実行する。
【0014】
実装用装置における実装用作業中の状態、実装作業中に発生した異常の情報などは、逐次、管理コンピュータ3に送信される。このように、部品実装システム1は、第1の実装装置(実装装置)M1と、第1の実装装置M1から搬出された基板に実装用作業を実行する実装用装置(第2の実装装置M2、検査装置M3、基板搬送回収装置M4、リフロー装置M5)を備えている。
【0015】
次に
図2を参照して、第1の実装装置M1、第2の実装装置M2の構成を説明する。第1の実装装置M1、第2の実装装置M2は同様の構成であり、ここでは第1の実装装置M1について説明する。第1の実装装置M1は、基板搬送機構11を備えている。基板搬送機構11は、X方向の上流側から順に基板搬入部(第1の搬送部)12、中間搬送部(第2の搬送部)13、基板搬出部(第3の搬送部)14を備えている。基板搬入部12は、上流側の装置から基板Bを受け取って下流に搬送する。中間搬送部13は、基板搬入部12より基板Bを受け取って下流に搬送し、基板Bを実装作業領域Wに位置決めさせる。基板搬出部14は、中間搬送部13より基板Bを受け取って下流側の装置に搬出する。
【0016】
基板搬送機構11の上方には、搭載ヘッド15が配置されている。搭載ヘッド15は、真空吸引によって下端に部品Pを保持する吸着ノズル16と、吸着ノズル16を上下方向に昇降させるノズル昇降機構17を備えている。搭載ヘッド15は、搭載ヘッド移動機構18によってフィーダ4と実装作業領域Wに位置決めされた基板Bの上方との間を往復移動して、フィーダ4が供給する部品Pを吸着ノズル16で保持して基板Bの実装位置に実装する。
【0017】
図2において、搭載ヘッド15は、吸着ノズル16から流入する空気の流量を計測する流量センサ19を備えている。流量センサ19は、空気の流入量を計測することにより、吸着ノズル16が部品Pを保持しているか、保持していないかを判定することができる。吸着ノズル16は、フィーダ4から部品Pを取り出して基板Bの実装位置まで部品Pを移送する間に、部品Pの吸着状態が悪くて部品Pを落としてしまうことがある。そのような場合でも、部品Pを基板Bに実装する前に空気の流入量を流量センサ19によって計測することにより、部品落下の異常が発生して吸着ノズル16が保持していた部品Pを第1の実装装置M1の内部に落としたことを検知することができる。
【0018】
次に
図3を参照して、管理コンピュータ3の機能に関する構成について説明する。管理コンピュータ3は、処理部20、記憶装置23、入力部24、表示部25を備えている。処理部20はCPUなどのデータ処理装置であり、内部処理部として生産監視部21、異常発生処理部22を備えている。なお、管理コンピュータ3は、1つのコンピュータで構成する必要はなく、複数のデバイスで構成してもよい。例えば、記憶装置は通信ネットワーク2に接続されたファイルサーバであってもよい。
【0019】
入力部24は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。表示部25は液晶パネルなどの表示装置であり、記憶装置23が記憶する各種データを表示する他、入力部24による操作のための操作画面などの各種情報を表示する。
【0020】
図3において、生産監視部21は、部品実装システム1で製造される実装基板(実装用作業がなされる基板B)の作業状況、作業結果、異常の発生などを監視する。具体的には、部品実装システム1を構成する実装用装置から作業状況、作業結果、異常発生情報、検査結果などのデータを逐次取得する。記憶装置23には、異常処理情報23a、生産基板情報23bなどが記憶されている。異常処理情報23aには、各実装用装置において異常が発生した場合に、その時に実装用装置内にあった基板Bのその後の処理に関する情報が含まれている。
【0021】
ここで
図4を参照して、第1の実装装置M1の異常処理情報23aの一例について説明する。異常処理情報23aには、第1の実装装置M1で発生した異常の種別30毎に、異常発生後の事後処理31が指定されている。この例では、異常の種別30として「電源断」、「部品落下」、「非常停止」が示されている。事後処理31は、異常発生時の基板Bの位置毎に指定されている。この例では、基板Bが基板搬入部12にあった場合(事後処理31a)、中間搬送部13にあった場合(事後処理31b)、基板搬出部14にあった場合(事後処理31c)で、それぞれ指定されている。事後処理31が「廃棄」は、その基板Bが実装用作業をスキップして廃棄する廃棄基板であることを示している。事後処理31が「継続」は、その基板Bは実装用作業を継続することを示している。
【0022】
図4において、停電や電源遮断ボタン(操作ボタン5)の操作により第1の実装装置M1への電源供給が遮断される「電源断」が発生した場合、装置内にある全ての基板Bで実装不良が発生した可能性があるため、全ての位置で事後処理31a,31b,31cが「廃棄」と指定されている。吸着ノズル16から保持していた部品Pが落下する「部品落下」が発生した場合、部品Pが落下する可能性がある位置にある基板Bの事後処理31が「廃棄」と指定される。この例では、装置内にある全ての基板Bに部品Pが落下する可能性があるため、全ての位置で事後処理31a,31b,31cが「廃棄」と指定されている。
【0023】
装置内に設置されているセンサによる異常の検知、部品搭載作業中の生産停止ボタン(操作ボタン5)の操作などにより第1の実装装置M1の部品搭載作業が停止する「非常停止」が発生した場合、中間搬送部13の実装作業領域Wで部品搭載作業中の基板Bでは実装不良が発生した可能性があるため、中間搬送部13にある基板Bの事後処理31bは「廃棄」と指定されている。一方、基板搬入部12と基板搬出部14にある基板Bは影響を受けないため、事後処理31a,31cは「継続」と指定されている。このように、異常には、第1の実装装置M1の電源断、部品Pの第1の実装装置M1の内部での落下、第1の実装装置M1の非常停止が含まれる。なお、異常処理情報23aは、第1の実装装置M1の構成に応じて適宜変更される。
【0024】
図3において、異常発生処理部22は、異常処理情報23aと生産監視部21が実装用装置から取得した異常発生情報に基づいて、異常が発生した実装用装置とその下流側の実装用装置への指示の送信を含む、異常発生処理を実行する。実装用装置から送信される異常発生情報には、異常が発生した時に実装用装置にあった基板Bを特定する基板番号などの識別情報、発生した異常の種別などが含まれている。異常発生処理において異常発生処理部22は、異常発生情報に基づいて生産基板情報23bの該当する基板Bの情報を更新する。すなわち、実装用装置において異常が発生すると、生産基板情報23bは、異常発生情報に基づいて更新される。
【0025】
ここで
図5を参照して、生産基板情報23bの例について説明する。
図5は、後述する
図7(b)に示す部品実装システム1の製造状況における生産基板情報23bである。生産基板情報23bには、基板Bの識別情報である基板番号32毎に、基板の状態33、異常の種別34、異常発生時の基板の位置35が記憶されている。
【0026】
基板の状態33は、その時点での基板Bの処理状態を示しており、「製造」は製造中または製造済みであることを、「廃棄」は廃棄基板であること、または廃棄基板と指定されていることを示している。異常の種別34は、異常処理情報23aの異常の種別30と同じである。異常発生時の基板の位置35は、異常が発生した実装用装置と基板Bの装置内の位置を特定する情報である。このように、記憶装置23には、廃棄が決定した廃棄基板の識別情報(基板番号32)が記憶されている。以下、基板番号32が「1」の基板を基板B1、「2」の基板を基板B2のように記載する。
【0027】
図5において、基板B1~B3は、
図6(a)に示す製造状況、すなわち第1の実装装置M1において基板B1が基板搬出部14の位置に、基板B2が中間搬送部13の位置に、基板B3が基板搬入部12の位置にある時に、「非常停止」の異常が発生している。その際、異常発生処理部22は、異常処理情報23aに基づいて、基板B2は「廃棄」に、基板B1と基板B3は「継続」と判断して、基板B2の基板の状態33を「製造」から「廃棄」に更新している。また、異常の種別34に「非常停止」を、異常発生時の基板の位置35に基板B1~B3の位置をそれぞれ記憶させている。
【0028】
図5において、基板B4は、
図7(b)に示す製造状況、すなわち検査装置M3による検査によって実装不良と判定されている。その際、異常発生処理部22は、基板の状態33を「製造」から「廃棄」に更新し、異常の種別34に「実装不良」、異常発生時の基板の位置35に「検査装置」とそれぞれ記憶させている。
【0029】
図5において、基板B5~B7は、
図7(b)に示す製造状況、すなわち第2の実装装置M2において基板B5が基板搬出部14の位置に、基板B6が中間搬送部13の位置に、基板B7が基板搬入部12の位置にある時に、「部品落下」の異常が発生している。その際、異常発生処理部22は、異常処理情報23aに基づいて、基板B5~B7は「廃棄」と判断して、基板の状態33を「製造」から「廃棄」に更新している。また、異常の種別34に「部品落下」を、異常発生時の基板の位置35に基板B5~B7の位置をそれぞれ記憶させている。
【0030】
図3において、異常発生処理において異常発生処理部22は、生産基板情報23bに基づいて、基板の状態33に「廃棄」と記憶された廃棄基板が搬入された実装用装置に、その基板Bに実装用作業を実行しないように指示を送信する。
【0031】
次に
図6、
図7を参照しながら、部品実装システム1の実装用装置で基板B1~B10を搬送しながら基板B1~B10に実装用作業を実行する実装基板の製造について説明する。
図6(a)において、基板B1は、第1の実装装置M1の中間搬送部13において所定の部品Pが実装されて、基板搬出部14に搬送されている。以下、第1の実装装置M1において基板B1~B10に実装される所定の部品Pを「第1の部品P1」と称する。すなわち、第1の実装装置M1は、基板B1~B10に第1の部品P1を実装する。基板B2は、中間搬送部13において部品搭載作業中である。基板B3は、基板搬入部12で待機中である。
【0032】
この状態で、第1の実装装置M1で「非常停止」の異常が発生したとする。異常が発生すると、第1の実装装置M1は、内部にある基板B1~B3の識別情報(基板番号32)と異常の種別を含む異常発生情報を管理コンピュータ3に送信する。管理コンピュータ3では、異常発生処理部22が異常発生情報に基づいて記憶装置23が記憶する生産基板情報23bを更新する。すなわち、第1の実装装置M1は、基板B1~B3が第1の実装装置M1の内部に位置する間に異常が発生すると、基板B1~B3の識別情報と異常の種別の情報を記憶装置23に送信する。なお、第1の実装装置M1は、異常が「電源断」の場合は、再起動後に異常発生情報を記憶装置23に送信する。
【0033】
第1の実装装置M1で発生した「非常停止」の異常により、基板B2は廃棄基板となり、異常発生後の基板B2への第1の部品P1の実装はスキップされる。すなわち、第1の実装装置M1が第1の部品P1を基板B2に実装する前に異常が発生した場合に、その後、第1の実装装置M1は第1の部品P1を基板B2に実装しない。なお、発生した異常が「非常停止」なので、基板B1と基板B3の製造は継続される。次いで基板B1は、第2の実装装置M2の中間搬送部13に搬送される(矢印a1)。
【0034】
図6(b)において、基板B1は、第2の実装装置M2の中間搬送部13において所定の部品Pが実装される。以下、第2の実装装置M2において基板B1~B10に実装される所定の部品Pを「第2の部品P2」と称する。すなわち、第2の実装装置M2は、第1の実装装置M1から搬出された基板B1~B10に第2の部品P2を実装する実装用装置である。基板B3は、第1の実装装置M1の中間搬送部13において第1の部品P1が実装され、その後、第2の実装装置M2の中間搬送部13に搬送される(矢印a2)。
【0035】
図6(c)において、第1の部品P1と第2の部品P2が実装された基板B1は、検査装置M3に搬送されて検査作業が実行される。基板B1に実装不良はなく、検査作業後に、基板搬送回収装置M4を経由してリフロー装置M5に搬送される(矢印a3)。廃棄基板である基板B2が第2の実装装置M2に搬入されると、異常発生処理部22によって、管理コンピュータ3から基板B2に実装用作業を実行しない旨の指示が送信される。指示を受信した第2の実装装置M2は、基板B2には部品搭載作業を実行せずに、そのまま検査装置M3に搬出する。管理コンピュータ3からの指示に従って、検査装置M3は、基板B2に検査作業を実行せずに基板搬送回収装置M4に搬出する。
【0036】
このように、第2の実装装置M2(実装用装置)は、搬入された基板B2が廃棄基板として記憶装置23に記憶されている場合には、基板B2に実装用作業を実行しない。すなわち、実装用装置である第2の実装装置M2は、基板B2が第1の実装装置M1の内部に位置する間に第1の実装装置M1で異常が発生していた場合には、基板B2に第2の部品P2を実装しない(基板B2に実装用作業を実行しない)。また、実装用装置である検査装置M3は、基板B2が第1の実装装置M1の内部に位置する間に第1の実装装置M1で異常が発生していた場合には、基板B2の検査を実行しない。
【0037】
図6(c)において、廃棄基板ではない基板B3は、第2の実装装置M2の中間搬送部13において第2の部品P2が実装される。基板B4は、第1の実装装置M1において第1の部品P1が実装されて、第2の実装装置M2の基板搬入部12まで搬送されている。基板B5は、第1の部品P1が実装されて、第1の実装装置M1の基板搬出部14まで搬送されている。基板B6は、第1の実装装置M1において第1の部品P1が実装されている。
【0038】
図7(a)において、管理コンピュータ3からの指示に従って、基板搬送回収装置M4は、搬送された廃棄基板である基板B2をストッカ6に回収する(矢印a4)。すなわち、基板B2はリフロー作業が実行される前に回収(廃棄)される。このように、部品実装システム1は、基板B2が第1の実装装置M1の内部に位置する間に第1の実装装置M1で異常が発生していた場合には、実装用装置であるリフロー装置M5による基板B2のリフロー作業(実装用作業)は実行しない。
【0039】
第1の部品P1と第2の部品P2が実装された基板B3は、検査装置M3に搬送されて検査作業が実行される。基板B3に実装不良はなく、検査作業後に、リフロー装置M5に搬送される。基板B4は、第2の実装装置M2の中間搬送部13において第2の部品P2が実装され、その後、検査装置M3に搬送される(矢印a5)。
【0040】
図7(b)において、基板B4は、検査装置M3の検査作業で実装不良と判定されたとする。検査装置M3は検査結果を管理コンピュータ3に送信し、管理コンピュータ3では、検査結果に基づいて、記憶装置23に記憶された生産基板情報23bが更新される。その結果、基板B4は廃棄基板となり、リフロー装置M5には搬送されずに基板搬送回収装置M4のストッカ6に回収(廃棄)される(
図7(c))。
【0041】
図7(b)において、基板B5は、第2の実装装置M2の中間搬送部13において第2の部品P2が実装されて、基板搬出部14に搬送されている。基板B6は、中間搬送部13において部品搭載作業中である。基板B7は、基板搬入部12で待機中である。この状態で、第2の実装装置M2で「部品落下」の異常が発生したとする。第2の実装装置M2は異常発生情報を管理コンピュータ3に送信し、異常発生処理部22は、基板B5~B7を廃棄基板として生産基板情報23bを更新させる。その結果、廃棄基板となった基板B5~B7は、順番に基板搬送回収装置M4のストッカ6に回収される(
図7(c))。
【0042】
次に
図8のフローに沿って、
図6、
図7を参照しながら、部品実装システム1における実装基板の製造方法について説明する。まず、部品実装システム1において基板B1に部品P(第1の部品P1、第2の部品P2)を実装する実装基板の製造について説明する。
図8において、基板B1が第1の実装装置M1に搬入され、基板搬入部12、中間搬送部13によって実装作業領域Wに位置決めされる(ST1:基板搬入工程)。次いで第1の実装装置M1で異常が発生していない場合(ST2においてNo)、基板B1に第1の部品P1が実装される(ST3:第1の部品実装工程)。
【0043】
予定されている全ての第1の部品P1の実装が完了していない場合(ST4においてNo)、ST2、第1の部品実装工程(ST3)、ST4が繰り返し実行される。すなわち、ST2~ST4は、第1の実装装置M1によって、基板B1に第1の部品P1を実装する第1の実装工程である。基板B1に予定された全ての第1の部品P1が実装されると(ST4においてYes)、基板B1を第1の実装装置M1から搬出し、第2の実装装置M2(実装用装置)に移送する(ST5:基板移送工程)(
図6(a)の矢印a1)。
【0044】
図8において、基板B1が第2の実装装置M2に移送されると、管理コンピュータ3の異常発生処理部22は、基板B1が廃棄基板であるか否かを判定する(ST6:判定工程)。具体的には、判定工程(ST6)において、記憶装置23に記憶されている生産基板情報23bに、第2の実装装置M2(実装用装置)に搬入された基板B1が廃棄基板(基板の状態33が「廃棄」)として記憶されているか否かが判定される。
【0045】
基板B1は廃棄基板として記憶されていないため(ST6においてNo)、第2の実装装置M2は基板B1に第2の部品P2を実装する(
図6(b))。すなわち、実装用装置(第2の実装装置M2)によって、搬入された基板B1に実装用作業(部品搭載作業)を実行する実装用作業工程(ST7)が実行される。予定された全ての第2の部品P2が実装されると、基板B1は第2の実装装置M2から搬出される(ST8:基板搬出工程)。その後、基板B1は検査装置M3において実装された部品P(第1の部品P1、第2の部品P2)の状態が検査され、次いでリフロー装置M5に搬送されて(
図6(c)の矢印a3)リフロー作業が実行される。
【0046】
次に、部品実装システム1において基板B2に部品P(第1の部品P1、第2の部品P2)を実装する実装基板の製造について説明する。
図8において、基板搬入工程(ST1)によって、基板B2が第1の実装装置M1に搬入される。第1の実装装置M1では、ST2~ST4を繰り返しながら基板B2に第1の部品P1を実装する過程(第1の実装工程)において、「非常停止」の異常が発生する(ST2においてYes)。
【0047】
第1の実装装置M1は、基板B2が第1の実装装置M1の内部に位置する間に異常が発生すると(ST2においてYes)、基板B2の識別情報と異常の種別の情報を含む異常発生情報を管理コンピュータ3(記憶装置23)に送信する(ST9:識別情報送信工程)。管理コンピュータ3では、受信した異常発生情報に基づいて、異常発生処理部22が生産基板情報23bを更新する。これにより、記憶装置23に基板B2が廃棄基板であることが記憶される。
【0048】
図8において、第1の実装装置M1で異常が発生するとその後の部品搭載作業はスキップされて、基板移送工程(ST5)によって基板B2は第2の実装装置M2に移送される(
図6(b))。すなわち、第1の実装工程(ST2~ST4)において、第1の実装装置M1が第1の部品P1を基板B2に実装する前に異常が発生した場合に、第1の実装装置M1はその後に予定されていた第1の部品P1を基板B2に実装しない。
【0049】
次いで実行される判定工程(ST6)において基板B2は廃棄基板と判定され(Yes)、実装用作業工程(ST7)がスキップされて基板搬出工程(ST8)によって基板B2は第2の実装装置M2から搬出される。すなわち、判定工程(ST6)において基板B2が廃棄基板と判定された場合には(Yes)、実装用作業工程(ST7)が省略される。具体的には、第1の実装装置M1の内部に位置する間に第1の実装装置M1で異常が発生していた基板B2には、第2の実装装置M2は第2の部品P2を実装しない(実装用作業を実行しない)。
【0050】
第2の実装装置M2から搬出された基板B2は、検査装置M3における検査作業(実装用作業)が省略され、基板搬送回収装置M4まで搬送される。基板搬送回収装置M4は、基板B2をリフロー装置M5に搬出することなく(実装用作業を実行せず)、基板B2をストッカ6に回収(廃棄)する(
図7(a)の矢印a4)。すなわち、部品実装システム1において、基板B2はリフロー装置M5におけるリフロー作業(実装用作業)が実行されない。
【0051】
上記説明したように、部品実装システム1は、基板Bに第1の部品P1を実装する第1の実装装置M1と、第1の実装装置M1から搬出された基板Bに実装用作業を実行する実装用装置(第2の実装装置M2、検査装置M3、リフロー装置M5)と、を備えている。そして、基板Bが第1の実装装置M1の内部に位置する間に第1の実装装置M1で異常が発生していた場合には、基板Bに実装用作業を実行しない。これによって、品質保証のために実装不良の可能性がある基板Bは修復せずに廃棄する運用が求められている場合に、異常発生後の実装用作業を省略して実装基板の製造効率の低下を抑制しつつ、実装基板の品質を向上することができる。
【0052】
なお上記では、異常が発生した時に第1の実装装置M1が異常発生情報を管理コンピュータ3(記憶装置)に送信していたが、本発明はこの形態に限定されることはない。例えば、第1の実装装置M1は、異常発生情報を下流側の第2の実装装置M2に送信し、第2の実装装置M2は受信した異常発生情報に基づいて、廃棄基板の場合は部品搭載作業(実装用作業)を省略し、廃棄基板の搬出時に異常発生情報を下流側の検査装置M3に送信するようにしてもよい。すなわち、異常が発生した場合に、廃棄基板の搬出と同時に異常発生情報を下流側の実装用装置に送信するようにしてもよい。この場合、廃棄が決定した廃棄基板の識別情報(基板番号32)を含む異常発生情報を記憶する記憶装置は、各実装用装置に設けられる。
【0053】
また、第1の実装装置M1は基板Bの上面に廃棄基板であることを示す廃棄マークを刻印するレーザマーク装置を備え、第2の実装装置M2は基板Bの上面を撮像するカメラを備える構造において、第1の実装装置M1は異常が発生した時に内部にある基板Bに廃棄マークを刻印して搬出し、第2の実装装置M2はカメラで基板Bの上面を撮像して廃棄マークがある場合は部品搭載作業(実装用作業)を省略するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の部品実装システムおよび実装基板の製造方法は、実装基板の品質を向上することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0055】
1 部品実装システム
B、B1~B10 基板
M1 第1の実装装置
M2 第2の実装装置(実装用装置)
M3 検査装置(実装用装置)
M4 基板搬送回収装置(実装用装置)
M5 リフロー装置(実装用装置)
P1 第1の部品
P2 第2の部品