(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089055
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】ファイルボックス
(51)【国際特許分類】
B42F 7/14 20060101AFI20230620BHJP
B65D 5/32 20060101ALI20230620BHJP
B65D 5/42 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
B42F7/14 B
B65D5/32 A
B65D5/42 E
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060637
(22)【出願日】2023-04-04
(62)【分割の表示】P 2019007749の分割
【原出願日】2019-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】扶川 祥平
(57)【要約】
【課題】ボックス本体内に底面フラップの折り込みを邪魔する部材が存在するファイルボックスにおいて、対をなす底面フラップを用いて簡単に組み立てることができる底壁を作ることが難しいという課題を解消する。
【解決手段】底壁を構成する底面フラップ151~153を有したボックス本体1と、このボックス本体1の内側に固定され前記底面フラップ151~153を内側へ折り曲げることを阻害する本体固定部材である仕切り2と、対をなす底面フラップ151、152同士を内側に折り曲げることなく係合させるフラップ係合手段Kとを具備してなる構成を採用する。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁を構成する底面フラップを有したボックス本体と、このボックス本体の内側に固定され前記底面フラップを内側へ折り曲げることを阻害する本体固定部材と、底面フラップを内側に折り曲げることなく係合させるフラップ係合手段とを具備してなることを特徴とするファイルボックス。
【請求項2】
前記フラップ係合手段が対をなす底面フラップ同士を内側に折り曲げることなく係合させるものであって、一方の底面フラップに設けられたスリットと、他方の底面フラップに設けられ前記スリットに差し込まれる差込み部とを備えたものである請求項1記載のファイルボックス。
【請求項3】
前記差込み部の突出寸法が、その突出端を前記本体固定部材に係止されている一方の底面フラップのスリットに部材の弾性変形を利用して到達させ得る値に設定されている請求項2記載のファイルボックス。
【請求項4】
前記本体固定部材が、前記ボックス本体内の空間を仕切る仕切りである請求項1、2、3又は4記載のファイルボックス。
【請求項5】
対をなす前記底面フラップ以外の底面フラップに凸部を設け、前記凸部を前記スリットに差し込んでいる請求項2、3又は4記載のファイルボックス。
【請求項6】
前記凸部が、前記差込み部に先んじて前記スリットに挿入されるものであり、当該凸部が、前記差込み部の前記スリットへの差し込み動作を案内する案内面を備えたものである請求項5記載のファイルボックス。
【請求項7】
前記フラップ係合手段が2つの底面フラップを係合させるものであって、一方の底面フラップに設けられた第1の鉤形凸部と、他方の底面フラップに設けられ前記第1の鉤形凸部に係合する第2の鉤形凸部とを備えたものである請求項1記載のファイルボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み可能なファイルボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス等で使用されるファイルボックスとして、扁平な折り畳み姿勢と、箱形をなす使用姿勢とを採り得るものが開発されている。すなわち、従来のこの種ファイルボックスとしては、底壁を構成する底面フラップを有したボックス本体を備え、そのボックス本体を箱形に組み立てる際に前記底面フラップを相互に結合させて底壁を構成することができるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、従来のものは、対をなす底面フラップの一方に谷部を設けるとともに、他方に山部を設けておき、前記両底面フラップを一旦ボックス本体の内側に折り込んで前記山部を前記谷部に係合させ、しかる後にそれら底面フラップを外方に戻すことによって底壁が形成されるようになっている。
【0004】
そのため、ボックス本体内に仕切板等の障害物が固定されている場合には底面フラップを内側に折り込むことができず、かかる底壁構造を採ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に着目してなされたもので、ボックス本体内に底面フラップの折り込みを邪魔する部材が存在すると、対をなす底面フラップを用いて簡単に組み立てることができる底壁を作ることが難しいという課題を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明に係るファイルボックスは、底壁を構成する底面フラップを有したボックス本体と、このボックス本体の内側に固定され前記底面フラップを内側へ折り曲げることを阻害する本体固定部材と、底面フラップを内側に折り曲げることなく係合させるフラップ係合手段とを具備してなることを特徴とするものである。なお、本発明において「フラップ係合手段」とは、2つの底面フラップを係合させるものだけでなく、一方の側壁又は端壁に連続する底面フラップと他方の側壁又は端壁の下端部とを係合させるものも含む概念である。
【0008】
請求項2記載の発明に係るファイルボックスは、請求項1記載のものにおいて、前記フラップ係合手段が対をなす底面フラップ同士を内側に折り曲げることなく係合させるものであって、一方の底面フラップに設けられたスリットと、他方の底面フラップに設けられ前記スリットに差し込まれる差込み部とを備えたものである。
【0009】
請求項3記載の発明に係るファイルボックスは、請求項2記載のものにおいて、前記差込み部の突出寸法が、その突出端を前記本体固定部材に係止されている一方の底面フラップのスリットに部材の弾性変形を利用して到達させ得る値に設定されているものである。
【0010】
請求項4記載の発明に係るファイルボックスは、請求項1、2、3又は4記載のものに
おいて、前記本体固定部材が、前記ボックス本体内の空間を仕切る仕切りであるものである。
【0011】
請求項5記載の発明に係るファイルボックスは、請求項2、3又は4記載のものにおいて、対をなす前記底面フラップ以外の底面フラップに凸部を設け、前記凸部を前記スリットに差し込んでいるものである。
【0012】
請求項6記載の発明に係るファイルボックスは、請求項5記載のものにおいて、前記凸部が、前記差込み部に先んじて前記スリットに挿入されるものであり、当該凸部が、前記差込み部の前記スリットへの差し込み動作を案内する案内面を備えたものである。
【0013】
請求項7記載の発明に係るファイルボックスは、請求項1記載のものにおいて、前記フラップ係合手段が2つの底面フラップを係合させるものであって、一方の底面フラップに設けられた第1の鉤形凸部と、他方の底面フラップに設けられ前記第1の鉤形凸部に係合する第2の鉤形凸部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、ボックス本体の内部に底面フラップの折り込みを阻害する邪魔な部材が固定されていても、簡単な操作により組み立てることができるファイルボックスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るファイルボックスを示す斜視図。
【
図2】同実施形態に係るファイルボックスを示す正面図及び背面図。
【
図3】同実施形態に係るファイルボックスを示す平面図及び底面図。
【
図4】同実施形態に係るファイルボックスを示す右側面図。
【
図5】同実施形態に係るファイルボックスを扁平に折り畳んだ状態を示す右側面図。
【
図6】同実施形態に係るファイルボックスを扁平に折り畳んだ状態を示す左側面図。
【
図7】
図2におけるX-X線に沿った平断面を示す拡大図。
【
図8】同実施形態に係るファイルボックスを折り畳む途中を示す部分平断面図。
【
図9】同実施形態に係るファイルボックスを折り畳んだ状態を示す部分平断面図。
【
図12】同実施形態に係るボックス本体及び仕切り2を示す分解斜視図。
【
図13】同実施形態に係る左の側壁を構成する内板を外面側から見た展開図。
【
図14】同実施形態に係る右の側壁を構成する内板を外面側から見た展開図。
【
図16】同実施形態に係る底壁の組み立て操作の手順を示す説明図。
【
図17】同実施形態に係る底壁の組み立て操作の手順を示す説明図。
【
図18】同実施形態に係る底壁の組み立て操作の手順を示す説明図。
【
図19】同実施形態に係る底壁の組み立て操作の手順を示す説明図。
【
図20】同実施形態に係る仕切りを外面側から見た展開図。
【
図23】本発明の他の実施形態に係るファイルボックスの組み立て態様を示す図。
【
図24】本発明の他の実施形態に係るファイルボックスの組み立て態様を示す図。
【
図25】本発明の他の実施形態に係るファイルボックスの組み立て態様を示す図。
【
図26】本発明の他の実施形態に係るファイルボックスの組み立て態様を示す図。
【
図27】本発明の他の実施形態に係るファイルボックスの組み立て態様を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、
図1~
図22を参照しつつ述べる。
【0017】
本実施形態のファイルボックスFは、底壁15を構成する底面フラップ151~153を有したボックス本体1と、このボックス本体1の内側に固定され底面フラップ151~153を内側へ折り曲げることを阻害する本体固定部材たる仕切り2と、対をなす底面フラップ151、152同士を内側に折り曲げることなく係合させるフラップ係合手段Kとを具備してなる。換言すれば、このファイルボックスFは、ボックス本体1と、このボックス本体1内を区画する仕切り2と、この仕切り2の両端をボックス本体1に固定する固定部3とを備えてなり、固定部3と仕切り2との相対角度を変化させつつボックス本体1を扁平に折り畳むことができるようにしたものである。
【0018】
ここで、
図1は、この実施形態に係るファイルボックスFを示す斜視図、
図2(a)は、同正面図、
図2(b)は、同背面図、
図3(a)は、同平面図、
図3(b)は、同底面図、
図4は、右側面図である。そして、
図5は、ファイルボックスFを扁平に折り畳んだ状態を示す右側面図、
図6は同左側面図である。なお、この明細書においては、説明の便宜上
図2(a)の正面図を基準にして「上」「下」「左」「右」という文言を使用しており、同正面図における手前を「前」、奥を「後」と称している。
【0019】
詳述すれば、このファイルボックスFは、対をなして対向する第一の周壁たる端壁11、12及び対をなして対向する第二の周壁たる側壁13、14を有するボックス本体1と、このボックス本体1内を左右に二等分するように区画する仕切り2と、この仕切り2の前後両端を端壁11、12にそれぞれ固定する固定部31、32とを備えてなり、ボックス本体1を左右の側壁13、14が仕切り2に当接又は近接するまで折り畳むことができるようになっている。
図7は、ボックス本体1の使用姿勢(U)を示すX-X線に沿った平断面図であり、
図8は、折り畳んでいる途中を示す部分平断面図であり、
図9は扁平に折り畳んだ状態を示す部分平断面図である。そして、
図10は、
図7におけるA部を拡大して示す拡大図、
図11は、
図9におけるB部を拡大して示す拡大図である。
【0020】
ボックス本体1は、左右の側壁13、14と、前後の端壁11、12と、底壁15とを備えた箱形のもので、上面が開放されている。前の端壁11は後の端壁12よりも背が低く、側壁13、14の上縁は前方に向かって漸次低くなるように傾斜している。
図12は、ボックス本体1を後述する仕切り2とともに分解して示す斜視図である。
【0021】
左右の側壁13、14は、
図7~
図9、
図11及び
図12に示すように、それぞれ内板131、141の外面に化粧板132、142を張り付けた二重構造をなす周壁であり、化粧板132、142の厚さ寸法t2(例えば、1.2mm)は、内板131、141の厚さ寸法t1(例えば、0.7mm)よりも大きく設定されている。内板131、141及び化粧板132、142は、ポリプロピレン等の合成樹脂により作られたもので、化粧板132、142は溶着あるいは接着等により内板131、141の外面に張り付けられている。
【0022】
前の端壁11は、例えば、左の内板131の前縁から右方向に延出させた前外板111を主体に構成されたもので、前外板111の内面における左半部には、後述する仕切り2の前端に設けられた固定部31が溶着等により張り付けられている。また、前外板111の内面における右半部には、右の内板141の前縁から左方向に延出させた前内板112が溶着等により張り付けられている。
【0023】
後の端壁12は、例えば、右の内板141の後縁から左方向に延出させた後外板121を主体に構成されたもので、後外板121の内面における右半部には、後述する仕切り2の後端に設けられた固定部32が溶着等により張り付けられている。また、後外板121の内面における左半部には、左の内板131の後縁から右方向に延出させた後内板122が溶着等により張り付けられている。
【0024】
すなわち、端壁11、12には側壁13、14の内板131、141のみが接続されており、化粧板132、142は端壁11、12及び底壁15と独立である。
【0025】
図13は、左の側壁13を構成する内板131を外面側から見た展開図であり、この内板131の前端(図中右端)には山折り線L1を介して前の端壁11を構成する前外板111が一体に連続させてあるとともに、内板131の後端には山折り線L2を介して後の端壁12を構成する後内板122が一体に連続させてある。そして、内板131の下端には、山折り線L3を介して底壁15を構成する一方の底面フラップ151が一体に連続させてある。L11は、前外板111と後述する底面フラップ153との境界を形成する山折り線である。
【0026】
図14は、右の側壁14を構成する内板141を外面側から見た展開図であり、この内板141の後端(図中右端)には山折り線L4を介して後の端壁12を構成する後外板121が一体に連続させてあるとともに、内板131の後端には山折り線L5を介して前の端壁11を構成する前内板112が一体に連続させてある。そして、内板141の下端には、山折り線L6を介して底壁15を構成する他方の底面フラップ152が一体に連続させてある。L12は、後外板111と後述する底面フラップ153との境界を形成する山折り線である。
【0027】
図15は、前述した左の側壁13を構成する内板131の外面に張り付けられる化粧板132を示す左側面図であり、この実施形態では、内板131よりも一回り小さく形成されている。右の化粧板142は左の化粧板132に準じたもので、右の側壁14を構成する内板141の外面に張り付けられている。
【0028】
底壁15は、左右の側壁13、14の下縁に連続する対をなす底面フラップ151、152と、前後の端壁11、12の下縁に連続するそれ以外の底面フラップ153とを備えたもので、これらの底面フラップ151~153に関連させてフラップ係合手段Kを備えている。フラップ係合手段Kは、左の側壁13に連続する一方の底面フラップ151に設けられたスリット151aと、右の側壁14に連続する他方の底面フラップ152に設けられ前述のスリット151aに差し込まれる差込み部152aとを備えたものである。そして、差込み部152aの突出寸法dは、その突出端152bを仕切り2に係止されている一方の底面フラップ151のスリット151aに部材の弾性変形を利用して到達させ得る値に設定されている。また、これら一対の底面フラップ151、152以外の底面フラップ153には凸部153aをそれぞれ設け、それらの凸部153aをスリット151aに差し込んでいる。これらの凸部153aは、差込み部152aに先んじてスリット151aに挿入されるものであり、当該凸部153aは、差込み部152aの前記スリット151aへの差し込み動作を案内する案内面である平滑面153bを備えたものである。
【0029】
折り畳み状態における底壁15は、
図5及び
図6に示すように、各底面フラップ151,152、153同士の係合が解かれ、対をなす底面フラップ151、152が側壁12、13と略面一に連続するように外方に展開されるとともに、他の底面フラップ153が前後の端壁11、12に略面一に連続するように展開されている。この状態から
図16~
図19の操作を行うことによって、底壁15を組み立てることができる。まず、扁平に折り畳まれているボックス本体1を使用姿勢(U)に準じた筒形にした上で、
図16に示す
ように、後述する仕切り2の下端鍔部24、25を水平に折り曲げてボックス本体1の下面開口部分を覆う状態とする。その上で、
図17に示すように、スリット151aを有する一方の底面フラップ151を仕切り2の下端鍔部24、25の外面に被せ、しかる後に、
図18に示すように、他の底面フラップ153に設けられた凸部153aをその底面フラップ151のスリット151aに係合させる。これによって、底壁15を構成するための3枚の底面フラップ151、153が相互に仮止めされ、曲げ癖によってボックス本体1が元の折り畳み姿勢(S)方向に戻ろうとするのを抑止することができる。この状態から、
図19に示すように、他方の底面フラップ152を厚み方向に弾性的に湾曲させながら差込み部152aの先端を一方の底面フラップ151のスリット151aに到達させ、その湾曲形状を平面形状に戻しつつその差込み部152aをスリット151a内に深く挿入することにより底壁15の組立てが完了する。すなわち、このファイルボックスFにおいては、差込み部152aの突出寸法dを従来のものに比べて小さく設定し、他方の底面フラップ152の弾性変形を利用してその差込み部152aを一方の底面フラップ151のスリット151aに係合させることができるようにしている。そのため、一方の底面フラップ151をボックス本体1の内部に一旦折り込むような動作を行うことなく、底壁15を組み立てることができるようになっている。
【0030】
仕切り2は、対をなす対面板21、22を備え、これら対面板21、22の上縁同士を接続部23により接続した二重構造のものであり、その前後両端に固定部31、32がそれぞれ設けられている。この仕切り2の一端(前端)をボックス本体1に固定する一方の固定部31は、当該仕切り2の一面(左側面)側に突出して第一の周壁である前の端壁11に固定されたものであり、仕切り2の他端(後端)をボックス本体1に固定する他方の固定部32は、当該仕切り2の他面(右側面)側に突出して第一の周壁である後の端壁12に固定されたものである。これらの固定部31、32は、仕切り2の各対面板21、22に折り曲げ線L7、L8を介してそれぞれ一体に接続されている。そして、ボックス本体1を折り畳んだ状態で相互に近くなるもの同士の対面板21、22と固定部31、32とがそれぞれ接続されている。具体的には、
図7~
図9及び
図20に示すように、この実施形態においては、左の対面板21の後端に後の固定部32が一体に接続されているとともに、右の対面板22の前端に前の固定部31が接続されている。そして、前の固定部31が前の端壁11の前外板111の左半部に溶着等により止着されているとともに、後の固定部32が後の端壁12の後外板121の右半部に溶着等により止着されている。そして、左右の対面板21、22の各下端には、折り曲げ線L9、L10を介して下端鍔部24、25がそれぞれ一体に接続されている。なお、右の対面板22の後縁には突起26が突設されているとともに、左の対面壁21の後縁に接続された後の固定部32の基端近傍部にはスリット27が形成されており、後の固定部32が対面板21、22に対して直角となる使用姿勢(U)においては、
図10に示すように、突起26がスリット27に嵌合するようになっている。L13は、対面板21、22と接続部23との境界を形成する折り曲げ線である。なお、
図1~
図3、
図5、
図7~
図12及び
図20においては、以上説明した仕切り2の下端鍔部24、25以外の部分にパターンを施して当該仕切り2の存在が目立つようにしてある。
【0031】
しかして、ボックス本体1を折り畳む前の使用姿勢(U)においては、
図3、
図7及び
図12に示すように、仕切り2と両固定部31、32とが全体としてS字状に配されている。そして、ボックス本体1は、仕切り2と両固定部31、32とが全体としてS字状から一直線状となる方向に、換言すれば仕切り2と両固定部31、32とが正面視S字状をなす使用姿勢(U)から略一直線状に展開される展開姿勢たる折り畳み姿勢(S)まで変形する方向に折り畳み可能である。
図9及び
図11は、ボックス本体1を折り畳むことにより仕切り2と両固定部31、32とが略一直線状になった状態を示している。なお、接続部23には、その長手方向中間部に取っ手4が通過可能なスリット状をなす把手挿通部分23aが形成されている。
図11においては、端壁12を構成する外板121及び内板
122の厚みを誇張して示しているため、仕切り2の対面板21と固定部32との間に比較的大きな段差が存在するように見えるが、実際には外板121及び内板122は薄いものであるため、これら対面板21と固定部32とは折り畳み姿勢(S)では略一直線状をなしている。
【0032】
取っ手4は、仕切り2に対して、その上縁が後の端壁12の上縁とほぼ同じ高さ位置又は低い位置となる没入位置(P)と、その上縁が後の端壁12の上縁よりも上方となる引き出し位置(Q)との間で突没動作可能に設けられたものである。
図4における実線はこの取っ手4を没入位置(P)に収納させた状態を示しており、
図4における想像線はこの取っ手4を引き出し位置(Q)に引き出した状態を示している。没入位置(P)においては、取っ手4の上縁が後の端壁12の上縁とほぼ同じ高さ位置又は低い位置となるが、この取っ手4の把持部4aはこの没入位置(P)においても露出するように構成されている。把持部4aは、
図4、
図5及び
図22に示すように、前後に伸びる長円形の貫通孔により構成されており、その貫通孔の前後両縁及び上縁には、肉厚部分4a1、4a2が形成されている。前後両縁の肉厚部分4a1は、上端側が上縁の肉厚部分4a2と同じ厚みを有し、下方に向かって漸次厚みが減少するような形状をなしている。
【0033】
このような構成のものであれば、フラップ係合手段Kを利用することにより、対をなす底面フラップ151、152同士をボックス本体1の内部に一旦折り込むような動作を伴うことなく係合させて底壁15を組み立てることができるので、ボックス本体1の内側に固定され底面フラップ151、152を内側へ折り曲げることを阻害する本体固定部材たる仕切り2が存在するにも関わらず、対をなす底面フラップ151、152を用いて簡単に底壁15を組み立てる構成を実現できる。
【0034】
フラップ係合手段Kが、一方の底面フラップ151に設けられたスリット151aと、他方の底面フラップ152に設けられスリット151aに差し込まれる差込み部152aとを備えたものであるので、スリット151aを有する一方の底面フラップ151を仕切り2の下端鍔部24、25の外面に被せた後、差込み部152aを弾性変形させてスリット151aに挿入する簡単な操作によりこれらスリット151aと差込み部152aとを係合させて底壁15を組み立てることができる。
【0035】
差込み部152aの突出寸法dが、その突出端152bを仕切り2の下端鍔部24、25の外面に被せた一方の底面フラップ151のスリット151aに部材の弾性変形を利用して到達させ得る値に設定されているので、差込み部152aの突出寸法dを従来のものに比べて小さく設定しつつ対をなす底面フラップ151、152同士を係り合わせることができる。
【0036】
底面フラップ151、152を内側へ折り曲げることを阻害する本体固定部材が、ボックス本体1内の空間を仕切る仕切り2であるので、この仕切り2の両側の空間を収納物である紙葉類に印刷された内容等により適宜使い分けるようにすることができる。
【0037】
対をなす底面フラップ151、152以外の底面フラップ153に凸部153aを設け、その凸部153aをスリット151aに差し込んでいるので、底面フラップ151、153を相互に仮止めし、曲げ癖によってボックス本体1が元の折り畳み姿勢(S)方向に戻ろうとするのを抑止することができる。
【0038】
そして、前後の端壁11、12に連続する底面フラップ153の凸部153aが、底面フラップ152の差込み部152aに先んじてスリット151aに挿入されるものであり、当該凸部153aが、差込み部152aのスリット151aへの差し込み動作を案内する案内面である平滑面153bを備えているので、差込み部152aのスリット151a
への差し込み動作を円滑に行うことができる。但し、差込み部152aのスリット151aへの差し込み動作を案内する案内面は平滑なものでなくても、差込み部152aのスリット151aへの差し込み動作を案内することはできる。
【0039】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0040】
例えば、本体固定部材は、仕切りに限らない。すなわち、本発明は底壁を組み立てるにあたり何らかの本体固定部材の存在により底面フラップを内側に折り畳むことができない事情があるファイルボックスに広く適用することが可能である。
【0041】
また、フラップ係合手段も、上述した実施形態のようなものに限らない。例えば、
図23に示すファイルボックスF2のように、差込み部152aの突出端152bをスリット151aの外側の端を越えてさらに深く挿入できるようにする態様のものが考えられる。なお、
図23において、上述した実施形態におけるものに対応する各部位には、同一の符号を付している。その他、差込み部の突出寸法は任意に設定してよい。
【0042】
さらに、スリットと差込部とを利用する以外の態様のフラップ係合手段を採用してもよい。例えば、
図24に示すように、左右の側壁13、14の下縁に連続する第1の対をなす底面フラップ151、152と、前後の端壁11、12の下縁に連続する第2の対をなす底面フラップ154、155とを備えたファイルボックスF3において、第2の対をなすうちの一方の底面フラップ154に設けられた第1の鉤形凸部154aと、他方の底面フラップ155に設けられ第1の鉤形凸部154aに係合する第2の鉤形凸部155aとを備えたフラップ係合手段K2を有するものが挙げられる。なお、
図24において、
図1~
図22を参照しつつ上述した実施形態におけるものに対応する各部位には、同一の符号を付している。
図24を参照しつつ説明した実施形態では、第2の対をなす底面フラップ154、155同士を係合させるフラップ係合手段K2のみに第1、第2の鉤形凸部154a、155aを係合させてなる構成を採用しているが、第1の対をなす底面フラップ151、152同士を係合させるフラップ係合手段にも第1、第2の鉤形凸部154a、155aを係合させてなる構成を採用してもよい。
【0043】
加えて、互いに隣接する側壁及び端壁の下縁にそれぞれ連続する2つの底面フラップを係合させるフラップ係合手段を利用する
図25に示すファイルボックスF4のような態様を採用してもよい。すなわち、フラップ係合手段K3が、側壁13、14の下縁に連続する底面フラップ156に設けられた第1の鉤形凸部156aと、端壁11、12に連続する底面フラップ157に設けられ前記第1の鉤形凸部156aに係合する第2の鉤形凸部157aとを備え、これらを係合させるように構成されたものであってもよい。なお、
図25において、
図1~
図22を参照しつつ上述した実施形態におけるものに対応する各部位には、同一の符号を付している。
【0044】
フラップ係合手段は、2つの底面フラップを係合させるものだけでなく、一方の側壁又は端壁に連続する底面フラップと他方の側壁又は端壁の下端部とを係合させるものであってもよい。このようなものの例として、
図26に示すファイルボックスF5のようなものや、
図27に示すファイルボックスF6のようなものが挙げられる。
【0045】
図26のファイルボックスF5では、左の側壁13の下端に連続する底面フラップ158がボックス本体1の内部空間全体を被覆しうる寸法に設定されているとともに、その先端に折り曲げ線L21を介して差込片158aが設けられている。その上で、このファイルボックスF5には、以下に述べるようなフラップ係合手段K4が設けられている。このフラップ係合手段K4は、差込片158aを右の側壁14の下端部の内面に対向させた姿勢とすることにより、底面フラップ158を内側に折り曲げることなくこれら底面フラッ
プ158と右の側壁14の下端部とを係合させるものである。
【0046】
図27のファイルボックスF6は、以下に述べる点を除き前段で述べたファイルボックスF5と同様の構成を有する。このファイルボックスF6では、差込片158aの基端部にスリット158bが設けられているとともに、右の側壁14の下端部におけるスリット158bに対応する巾方向位置に切起片140が設けられており、この切起片140の先端に折り曲げ線L22を介して差込係止片140aが設けられている。そして、このファイルボックスF6には、以下に述べるようなフラップ係合手段K5が設けられている。このフラップ係合手段K5は、差込片158aを右の側壁14の下端部の内面に対向させた姿勢とした上で、差込係止片140aをスリット158b内部に差し込んでこれらを係合させることにより、底面フラップ158を内側に折り曲げることなくこれら底面フラップ158と右の側壁14の下端部とを係合させるものである。
図26及び
図27において、
図1~
図22を参照しつつ上述した実施形態におけるものに対応する各部位には、同一の符号を付している。
【0047】
そして、上述した実施形態では、前述したように、曲げ癖によってボックス本体が元の折り畳み姿勢方向に戻ろうとするのを抑止すべく、前後の端壁に連続する底面フラップに凸部を設け、その凸部をスリットに差し込むようにしているが、紙製のもの等、曲げ癖によってボックス本体が元の折り畳み姿勢方向に戻る懸念が少ないものであれば、フラップ係合手段により係合させるもの以外の底面フラップの凸部は省略してもよい。また、他の手段によりボックス本体が元の折り畳み姿勢方向に戻ろうとするのを抑止してもよい。
【0048】
加えて、フラップ係合手段により係合させるもの以外の底面フラップの凸部の平滑面を利用する以外の手段により差込み部のスリットへの差し込み動作を案内する態様や、このような案内を行う手段を省略する態様を採用してもかまわない。
【0049】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【符号の説明】
【0050】
F、F2~F6…ファイルボックス
1…ボックス本体
15…底壁
151、154、156…(一方の)底面フラップ
151a…スリット
154a、156a…第1の鉤形凸部
152、155、157…(他方の)底面フラップ
152a…(他方の)差込み部
152b…突出端
155a、157a…第2の鉤形凸部
153…(その他の)底面フラップ
153a…凸部
153b…案内面(平滑面)
2…本体固定部材(仕切り)
K、K2~K5…フラップ係合手段
d…突出寸法