(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089070
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】ポリ塩化ビニルフリーの親油性ポリマーベースの芳香性プラスチゾル
(51)【国際特許分類】
C08L 67/04 20060101AFI20230620BHJP
C08K 7/02 20060101ALI20230620BHJP
C08L 1/02 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
C08L67/04
C08K7/02
C08L1/02
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023061278
(22)【出願日】2023-04-05
(62)【分割の表示】P 2021543986の分割
【原出願日】2019-10-03
(31)【優先権主張番号】62/741,425
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521141556
【氏名又は名称】アレクサンドラ ファルダノフ
【氏名又は名称原語表記】FARDANOV, Aleksandra
(71)【出願人】
【識別番号】521141567
【氏名又は名称】オレグ ファルダノフ
【氏名又は名称原語表記】FARDANOV, Oleg
(71)【出願人】
【識別番号】521141578
【氏名又は名称】ディミトリー ザドリン
【氏名又は名称原語表記】ZADORIN, Dmitry
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100213997
【弁理士】
【氏名又は名称】金澤 佑太
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドラ ファルダノフ
(72)【発明者】
【氏名】オレグ ファルダノフ
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリー ザドリン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】成形用プラスチゾルを含む物品および該物品の製造方法を提供する。
【解決手段】成形に適したポリマー組成物は、殺菌性、芳香化、及び/又は香味性の揮発物等の揮発性物質を高い含有量で含むプラスチゾルとして提供される。このようなプラスチゾルは、親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルを、殺菌性、芳香化、及び/又は精油等の香味化成分を含む、中~低極性の可塑剤と混合することによって提供される。混合後、フィラー、顔料、及びゲル化剤等の添加剤が添加される。固体プラスチックは、形成されたプラスチゾルをゲル化温度まで加熱し、次いで、溶解する温度まで加熱し、殺菌活性、香り、及び/又は香味が持続する固体プラスチックを生成することによって製造される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中~低極性可塑剤により可塑化され、親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルを
含む、プラスチゾル。
【請求項2】
前記可塑剤が揮発性芳香剤を含む、請求項1に記載のプラスチゾル。
【請求項3】
前記可塑剤が抗菌剤を含む、請求項1に記載のプラスチゾル。
【請求項4】
前記親液性複合ポリエステルがポリ-ε-カプロラクトンである、請求項1~3のいず
れか一項に記載のプラスチゾル。
【請求項5】
前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルが、5~75重量%存在する、請求
項1~4のいずれか一項に記載のプラスチゾル。
【請求項6】
前記可塑剤が5~85重量%存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載のプラスチ
ゾル。
【請求項7】
ゲル化チキソトロピー添加剤を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプラス
チゾル。
【請求項8】
前記ゲル化チキソトロピー添加剤が、エアロゲル粉末、超薄型コロイド状酸化ケイ素、
及びジステアリン酸アルミニウムからなる群から選択される、請求項7に記載のプラスチ
ゾル。
【請求項9】
透明なチキソトロピー物質を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のプラスチ
ゾル。
【請求項10】
前記透明なチキソトロピー物質が、ポリアクリル酸及びスルホン酸カルシウムからなる
群から選択される、請求項9に記載のプラスチゾル。
【請求項11】
フィラーを更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のプラスチゾル。
【請求項12】
前記フィラーが、5~70重量%存在する粉末状のエチレンと酢酸ビニルとの共重合体
である、請求項11に記載のプラスチゾル。
【請求項13】
前記フィラーが無機フィラーである、請求項12に記載のプラスチゾル。
【請求項14】
前記無機フィラーが、カリオン、チョーク、ケイ酸アルミニウム、二酸化ケイ素、タル
ク、水酸化アルミニウム、導電性フィラー、及びベントナイトからなる群のうち少なくと
も1つを含む、請求項13に記載のプラスチゾル。
【請求項15】
前記フィラーが、中空のガラス微小球、軽石、及びポリマー微小球からなる群のうち少
なくとも1つを含む軽量フィラーである、請求項12に記載のプラスチゾル。
【請求項16】
合成繊維材料又はセルロース繊維を更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の
プラスチゾル。
【請求項17】
顔料を更に含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のプラスチゾル。
【請求項18】
前記顔料が、有機粉末顔料、無機粉末顔料、不溶性高分子顔料、特定の効果を有する顔
料、フレーク顔料、金属顔料、および真珠光沢顔料からなる群から選択される、請求項1
7に記載のプラスチゾル。
【請求項19】
プラスチゾルの製造方法であって、
親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルを得ることと、
前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルを、中~低極性の可塑剤とブレンド
して、5~75重量%の前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルと5~85重
量%の前記可塑剤とを含むプラスチゾルを生成することと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記可塑剤が精油である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記可塑剤が抗菌剤である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
チキソトロピー添加剤を、前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルとブレン
ドする工程を更に含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
フィラーを、前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルとブレンドする工程を
更に含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
顔料を、前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルとブレンドする工程を更に
含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記親液性複合ポリエステルがポリ-ε-カプロラクトンである、請求項19~24の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
プラスチックの製造方法であって、
親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルを得ることと、
前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルを、中~低極性の可塑剤とブレンド
して、5~75重量%の前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルと5~85重
量%の前記可塑剤とを含むプラスチゾルを生成することと、
ゲル化温度である第1の温度に前記プラスチゾルを加熱して、ゲル状の中間体を形成す
ることと、
前記第1の温度よりも高く、且つ、前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステル
の少なくとも一部を溶媒和するのに十分である、第2の温度に前記ゲル状の中間体を加熱
して、前記プラスチックを形成することと、
を含む、方法。
【請求項27】
前記可塑剤が精油である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記可塑剤が抗菌剤である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
チキソトロピー添加剤を、前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルとブレン
ドする工程を更に含む、請求項26~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
フィラーを、前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルとブレンドする工程を
更に含む、請求項26~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
顔料を、前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルとブレンドする工程を更に
含む、請求項26~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記親液性複合ポリエステルがポリ-ε-カプロラクトンである、請求項26~31の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
香りが持続するプラスチック物品の製造方法であって、
親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルを得ることと、
前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルを、中~低極性の可塑剤とブレンド
して、5~75重量%の前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルと、精油を含
む5~85重量%の前記可塑剤と、を含むプラスチゾルを生成することと、
前記プラスチゾルを形成して、形成されたプラスチゾルを生成することと、
ゲル化温度である第1の温度に前記プラスチゾルを加熱して、第1の中間製品を形成す
ることと、
前記第1の温度よりも高く、且つ、前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステル
の少なくとも一部を溶媒和するのに十分である、第2の温度に前記第1の中間製品を加熱
して、第2の中間製品を形成することと、
前記第2の中間製品を冷却して、前記プラスチック物品を形成することと、
を含む、方法。
【請求項34】
形成が造形によって達成される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
形成がダイによる成型によって行われる、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
チキソトロピー添加剤を、前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルとブレン
ドする工程を更に含む、請求項33~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
フィラーを、前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルとブレンドする工程を
更に含む、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
顔料を、前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルとブレンドする工程を更に
含む、請求項33~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記親液性複合ポリエステルがポリ-ε-カプロラクトンである、請求項33~38の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
プラスチゾルを含む、成形用クレイであって、
前記プラスチゾルが、親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルを含み、中~低極
性可塑剤により可塑化されている、成形用クレイ。
【請求項41】
前記可塑剤が揮発性芳香剤を含む、請求項40に記載の成形用クレイ。
【請求項42】
前記可塑剤が抗菌剤を含む、請求項40に記載の成形用クレイ。
【請求項43】
前記親液性複合ポリエステルがポリ-ε-カプロラクトンである、請求項40~42の
いずれか一項に記載の成形用クレイ。
【請求項44】
前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルが、5~75重量%存在する、請求
項40~43のいずれか一項に記載の成形用クレイ。
【請求項45】
前記可塑剤が5~85重量%存在する、請求項40~44のいずれか一項に記載の成形
用クレイ。
【請求項46】
ゲル化チキソトロピー添加剤を更に含む、請求項40~45のいずれか一項に記載の成
形用クレイ。
【請求項47】
前記ゲル化チキソトロピー添加剤が、エアロゲル粉末、超薄型コロイド状酸化ケイ素、
及びジステアリン酸アルミニウムからなる群から選択される、請求項46に記載の成形用
クレイ。
【請求項48】
透明なチキソトロピー物質を更に含む、請求項40~47のいずれか一項に記載の成形
用クレイ。
【請求項49】
前記透明なチキソトロピー物質が、ポリアクリル酸及びスルホン酸カルシウムからなる
群から選択される、請求項48に記載の成形用クレイ。
【請求項50】
フィラーを更に含む、請求項40~49のいずれか一項に記載の成形用クレイ。
【請求項51】
前記フィラーが、5~70重量%存在する粉末状のエチレンと酢酸ビニルとの共重合体
である、請求項50に記載の成形用クレイ。
【請求項52】
前記フィラーが無機フィラーである、請求項51に記載の成形用クレイ。
【請求項53】
前記無機フィラーが、カリオン、チョーク、ケイ酸アルミニウム、二酸化ケイ素、タル
ク、水酸化アルミニウム、導電性フィラー、及びベントナイトからなる群のうち少なくと
も1つを含む、請求項52に記載の成形用クレイ。
【請求項54】
前記フィラーが、中空のガラス微小球、軽石、及びポリマー微小球からなる群のうち少
なくとも1つを含む軽量フィラーである、請求項50に記載の成形用クレイ。
【請求項55】
合成繊維材料又はセルロース繊維を更に含む、請求項40~54のいずれか一項に記載
の成形用クレイ。
【請求項56】
顔料を更に含む、請求項40~55のいずれか一項に記載の成形用クレイ。
【請求項57】
前記顔料が、有機粉末顔料、無機粉末顔料、不溶性高分子顔料、特定の効果を有する顔
料、フレーク顔料、金属顔料、および真珠光沢顔料からなる群から選択される、請求項5
6に記載の成形用クレイ。
【請求項58】
プラスチゾルを含む、インクであって、
前記プラスチゾルが、親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルを含み、中~低極
性可塑剤により可塑化されている、インク。
【請求項59】
前記可塑剤が揮発性芳香剤を含む、請求項58に記載のインク。
【請求項60】
前記可塑剤が抗菌剤を含む、請求項58に記載のインク。
【請求項61】
前記親液性複合ポリエステルがポリ-ε-カプロラクトンである、請求項58~60の
いずれか一項に記載のインク。
【請求項62】
前記親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルが、5~75重量%存在する、請求
項58~61のいずれか一項に記載のインク。
【請求項63】
前記可塑剤が5~85重量%存在する、請求項58~62のいずれか一項に記載のイン
ク。
【請求項64】
ゲル化チキソトロピー添加剤を更に含む、請求項58~63のいずれか一項に記載のイ
ンク。
【請求項65】
前記ゲル化チキソトロピー添加剤が、エアロゲル粉末、超薄型コロイド状酸化ケイ素、
及びジステアリン酸アルミニウムからなる群から選択される、請求項64に記載のインク
。
【請求項66】
透明なチキソトロピー物質を更に含む、請求項58~65のいずれか一項に記載のイン
ク。
【請求項67】
前記透明なチキソトロピー物質が、ポリアクリル酸及びスルホン酸カルシウムからなる
群から選択される、請求項66に記載のインク。
【請求項68】
フィラーを更に含む、請求項58~67のいずれか一項に記載のインク。
【請求項69】
前記フィラーが、5~70重量%存在する粉末状のエチレンと酢酸ビニルとの共重合体
である、請求項68に記載のインク。
【請求項70】
前記フィラーが無機フィラーである、請求項69に記載のインク。
【請求項71】
前記無機フィラーが、カリオン、チョーク、ケイ酸アルミニウム、二酸化ケイ素、タル
ク、水酸化アルミニウム、導電性フィラー、及びベントナイトからなる群のうち少なくと
も1つを含む、請求項70に記載のインク。
【請求項72】
前記フィラーが、中空のガラス微小球、軽石、及びポリマー微小球からなる群のうち少
なくとも1つを含む軽量フィラーである、請求項68に記載のインク。
【請求項73】
合成繊維材料又はセルロース繊維を更に含む、請求項58~72のいずれか一項に記載
のインク。
【請求項74】
顔料を更に含む、請求項58~73のいずれか一項に記載のインク。
【請求項75】
前記顔料が、有機粉末顔料、無機粉末顔料、不溶性高分子顔料、特定の効果を有する顔
料、フレーク顔料、金属顔料、および真珠光沢顔料からなる群から選択される、請求項7
4に記載のインク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年10月4日に出願された米国仮出願第62/741,425号の
利益を主張するものである。これら及び他の全ての参照される外部資料は、その全体を参
照して本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる本明細書における用語の定義又
は使用が、本明細書に規定されたその用語の定義と矛盾するか或いは反する場合には、本
明細書に規定されたその用語の定義が優先されるとみなされる。
【0002】
本発明は、成形用ポリマー組成物に関し、特に、殺菌性、芳香化物質、香味化揮発物等
の揮発性物質を高い含有量で含む成形用プラスチゾルに関する。このようなプラスチゾル
の適用分野は、子供のゲーム用の成形材、試作品、芳香性物品の成形体、殺菌性製品、忌
避剤又は誘引剤を含む製品である。このような物品の例としては、教育玩具、スタッコ造
形品、化粧品アプリケーター、造花、魚のルアー、靴のパーツ、動物用の玩具等が挙げら
れる。
【背景技術】
【0003】
成形(modeling)用及び造形(molding)用のプラスチック材料が知ら
れている。プラスチックゲルの特性を有する彫刻材料は、従来「クレイ」と呼ばれている
が、ポリマー材料をベースにする彫刻クレイは、通常、アルミノケイ酸塩クレイ鉱物又は
ほかの無機フィラーを含まない。クレイ鉱物のこれらと同様の特性を有するプラスチック
ゲルを作るために、チキソトロピー性物質が高分子プラスチゾルに添加されるのが一般的
である(米国特許第2,753,314号で説明されている)。十分な剪断力を加えると
、このような材料は可塑性となるが、静止状態では得られた形状を保持する。このような
プラスチックを完全に硬化するまで加熱すると、形状と表面の模様を保持できる。
【0004】
人工皮革、模造木材トリムパネル等のそのようなポリマー製品(典型的にはポリ塩化ビ
ニル又はPVCをベースにしている)は、対応する天然素材の特徴的な香りを欠いており
、可塑剤の使用に起因する不快なにおいを有することが多いことが知られている。また、
一般的なPVCベースの彫刻材料用の可塑剤として一般的に使用されているフタル酸エス
テルは、人体全体の様々な系を撹乱させ、特に生殖能力に影響を与える内分泌撹乱物質で
ある。更に、このようなプラスチックゲルを140℃超に加熱すると、PVCの熱破壊が
始まり、毒性のあるガス状の塩化水素が材料から放出されることから、このようなプラス
チックゲルの硬化時には、加熱時の温度を正確に制御する必要がある。このような正確な
温度制御は、このようなプロセスの拡大及び縮小の大きな障害となる。また、このような
加熱工程は、揮発性化合物(香りや香味に関連する化合物等)をこのようなプラスチック
ゲルに組み込む能力を制限し、それらに組み込まれた香り及びにおいの持続時間及び強さ
を制限することも理解されるべきである。
【0005】
米国特許第2,753,31号及び本明細書で参照される他の全ての刊行物は、個々の
刊行物又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されている場合
と同じ程度に参照により組み込まれる。組み込まれた参照における用語の定義又は使用が
、本明細書に提供されたその用語の定義と矛盾するか或いは反する場合、本明細書に提供
されたその用語の定義が適用され、参照におけるその用語の定義は適用しない。
【0006】
特許文献には、揮発性物質を含むポリマー組成物を調製するための様々な方法が記載さ
れている。プラスチックを、香味添加剤を含む水溶性基剤と混合することにより、香味添
加剤を含むプラスチックを製造する方法が知られている。このような方法は、チューイン
ガムを製造するために用いられる(米国特許第5,100,678号)。この方法におい
て、香味添加剤は、口腔内で水溶性基剤を噛んで溶かすことで放出される。この方法は、
破壊可能な材料には有効であるものの、材料を破壊せずに香味効果が求められる場合には
用途が制限されてしまう。このようなポリマー組成物は、機械的強度が低い。これをベー
スにした成形用材料は、従来のポリマーに固有の強度、硬度、耐水性が要求されている場
合に使用できない。
【0007】
また、親水性相を含むシリコーンブロックコポリマーをベースにした揮発性ポリマー組
成物について記載している特許もある(米国特許第5,008,115号)。このように
して得られる材料は、香味を効果的に保持でき、そのなだらかな放出を妨げない。このよ
うな材料は、低強度のゴム又は強いゲルに特有の機械的特性を示す。そのため、低強度及
び低硬度が重要ではない分野での使用に制限される。シリコーンブロックコポリマーをベ
ースにした成形用材料では、十分な強度の材料を得ることはできない。
【0008】
米国特許出願公開第2010/0,196,732号には、ポリマーを、芳香性物質を
含浸させた多孔質又は繊維状の基材、又は天然及び合成繊維、紙、木、哺乳類の毛等と混
合することで、芳香性プラスチックを調製することが記載されている。この場合、ポリマ
ーは、高度に充填された木質繊維、セルロース紙、及び同様の材料に用いる接着性バイン
ダーとして知られているように、バインダーの役割を果たす。この既知の方法の欠点は、
フィラーを含まない材料を得ることができないことと、その結果、プラスチゾルの可塑性
を保持した材料を得ることができないことである。
【0009】
米国特許第4,703,070号、米国特許第6,838,033号、米国特許第5,
387,622号及び米国特許第5,387,411号には、架橋熱硬化性ポリマーを用
いて芳香性プラスチックを調製する方法が記載されている。この方法は、その反応性の理
由から、多くの揮発性物質を使用できない。揮発性の芳香剤は、組成物の硬化剤と様々な
反応を起こし、不快なにおいを引き起こすか、或いはその活性が阻害される。更に、エラ
ストマー、ポリオルガノシロキサン、シリコーンゴム、ポリブタジエンゴム、及びそれら
のコポリマーは、精油と組み合わせた場合に強い固体材料を形成しない。熱硬化性ポリマ
ーは、キャスト(casting)及び押出等の従来の方法を用いた物品の製造に使用で
きない。架橋されたポリマーは、溶融又は溶解しないため、物品の製造とそのリサイクの
両方が複雑になる。これと同じ理由で、それらをベースにした熱硬化性プラスチゾルの形
態で成形用材料の製造は不可能である。
【0010】
また、有機ゲルの形態で芳香性高分子材料を製造することも知られている。ゲル化剤と
しては、ポリアミド樹脂等の限定的な膨潤性の高分子量ポリマーをベースにした様々なポ
リマー(米国特許第4,184,099号、米国特許第7,160,337号)が提案さ
れている。このような物質は低い濃度でも、大量の精油を保持できる。このような有機ゲ
ルは、透過性の高い口紅を調製するための基剤、香り付きキャンドルを作るための基剤、
又は透明な芳香性顆粒を作るための基剤として適している。
【0011】
米国特許第4,734,278号には、ATO CHIMIE (アルケマグループ)
製の熱可塑性エラストマー PEBAX(登録商標)2533 SA 01をベースにし
た芳香性組成物を調製することが説明されている。このポリマーは、60重量%以下の揮
発性芳香物を保持できる。この熱可塑性エラストマーは、優れた機械的特性を有し、且つ
、標準的なキャスト法又は押出法で容易に加工できる。しかしながら、このポリマーは、
成形材として使用するのに適したプラスチゾルを提供できない。残念ながら、該材料は、
揮発性芳香物等の溶剤との混合により形成される材料の結果として、べとついた(tac
ky)又は粘着質な(sticky)表面を有する。この結果、表面が汚染され、そのよ
うな材料の使用は、他のポリマー及びフィラーの混合物の一部分として、或いは、装飾目
的(この特性があまり問題にならない)に制限される。更に、教示された方法では、処理
温度が高い(180℃~220℃)ため、高い揮発性を有する芳香物の使用が制限される
。
【0012】
芳香性プラスチゾルを製造する別の取り組みは、国際特許出願第WO2015/007
263号に見られ、これには、芳香化非極性物質を、十分に高い極性を有する既知のPV
C可塑剤への添加剤として使用する方法が説明されている。この方法では、可塑剤をベー
スにした芳香化「オイル」のみを使用でき、得られる材料中の芳香物の含有量が制限され
る。更に、ポリ塩化ビニルプラスチゲルの硬化は非常に高い温度で実施され、低沸点を有
する揮発性芳香物の使用は制限される。
【0013】
ポリカプロラクトン(PCL)をベースにした成形物の塊(mass)の調製に関する
1つの取り組みは、ドイツ実用新案番号DE 202009002221 U1に開示さ
れている。説明された方法は、有害なフタル酸エステル可塑剤を、金属石鹸及び脂肪酸エ
ステルに置き換えることにより、PVCベースの成形用材料に対する固有の特定の欠点を
克服しようとしている。しかしながら、この実用新案は、芳香性成形材料の製造に関して
は言及していない。
【0014】
従って、上記の欠点を有さず、硬化後に低沸点芳香剤を高い含有量で含む強い材料を調
製することを提供する成形用材料の製造が必要とされている。同時に、直近の要求事項に
よれば、防水性があり、表面に芳香剤を滲出(sweating)させず、芳香化物質の
移行を妨げず、非粘着質であり、毒性又は発がん性を有する可塑剤を含まず、加熱しても
有害物質を放出しないことが求められている。
【発明の概要】
【0015】
以下の説明は、本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。本明細書で提供され
る情報のいずれかが先行技術又は本願発明に関連していること、或いは具体的又は暗黙的
に参照されている刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
【0016】
本発明の目的は、先行技術の欠点を解消し、硬化後に揮発性物質の高い含有量を含む強
い熱可塑性材料を提供し、且つ、周囲の条件下で環境揮発性物質に耐性がある成形用材料
を製造する方法を開発することにある。
【0017】
この目的は、ポリマーと、該ポリマーと共にプラスチゾルを形成する揮発性芳香化物質
と、をベースにした複合物を調製する方法によって達成される。ポリマーは、その融点を
超える温度では異なる極性の有機液体に可溶であり、より低い温度ではそのような溶剤に
不溶であるように選択される。
【0018】
得られる複合物は、従来の有機ゲルとは異なり、ポリマーの融点を超える温度に上昇す
ると、材料は有機ゲルの特性を示し、融点未満の温度に降下すると、材料は有機液体を保
持する硬質ポリマーマトリックスになる。低分子量の有機ゲル又は溶液に特有の従来のゲ
ル相転移とは対照的に、本発明概念の限定的な膨潤性の高分子量化合物は、冷却すると有
機ゲルから不活性で耐溶剤性のポリマーマトリックスに転移する。
【0019】
本発明概念の組成物は、液体有機相を効果的に保持する(それにより、加熱時の表面の
「滲出」を防ぐ)有機ゲルの特性と、固体ゲルの強度と耐薬品性を示す架橋熱硬化性ポリ
マー又は不溶性の限定的な膨潤性のブロックコポリマーをベースにしたゲルの特性と、を
組み合わせる。得られた材料は、キャスト又は押出等の熱可塑性プラスチックを加工する
ための標準的な方法を用いて有利に加工できる。
【0020】
驚くべきことに、本発明者らは、融点を超える温度で標準的な条件で溶剤に耐性のある
親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルポリマー(例えば、ポリカプロラクトン)
が、異なる極性の芳香剤を含む有機ゲルを形成することを見出した。好ましい実施形態で
は、芳香剤は、異なる極性の精油であることができる。その融点を超えると、ポリマーは
異なる極性の揮発性物質と容易に混合する。硬化後に得られる複合物は、ポリカプロラク
トンの機械的性質を維持しつつ、所望のにおい又は芳香を示す。また、他の樹脂をベース
にした限定的な膨潤性の熱可塑性エラストマーに固有の粘着性も有さない。
【0021】
本発明の主題の様々な目的、特徴、態様及び利点は、好ましい実施形態の以下の詳細な
説明からより明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明概念のプラスチックの塊を製造するための方法を模式的に示したものある。成分を粉砕し、混合してプラスチゾルを形成する。
【
図2】
図2は、
図1に示すように生成したプラスチゾルを形成して加熱することにより、固体又は硬質の製品を生成するための、本発明概念の方法を模式的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な記載
【0024】
いくつかの実施形態では、本発明の特定の実施形態を説明及びクレームするために使用
される、成分の量、濃度、反応条件等の特性等を表す数値は、「約」という用語によって
いくつかの例で変更されると理解されるべきである。それゆえに、いくつかの実施形態で
は、書面による説明及び添付されたクレームで規定された数値パラメータは、特定の実施
形態によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施
形態では、数値パラメータは、報告された有効数字を考慮して、通常の四捨五入の技法を
適用して解釈されるべきである。本発明のいくつかの実施形態の広い範囲を規定する数値
範囲及びパラメータが近似値であるにもかかわらず、具体的な例によって規定される数値
は、実行可能な限り正確に報告される。本発明のいくつかの実施形態で提示された数値は
、それぞれの試験測定で見出された標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を含んでもよ
い。
【0025】
本明細書での説明及びクレーム全体で使用されているように、「a」、「an」及び「
the」の意味は、文脈が明確に別の指示をしない限り、複数の参照を含む。また、本明
細書での説明で使用されているように、「in」の意味は、文脈が明確に別の指示をしな
い限り、「in」及び「on」を含む。
【0026】
本明細書で使用されているように、文脈が別の指示をしない限り、「結合する(cou
pled to)」という用語は、直接結合(互いに結合された2つの要素が互いに接触
する)及び間接結合(少なくとも1つの追加要素が2つの要素の間に配置される)の両方
を含むことを意図する。従って、「結合する(coupled to)」及び「結合する
(coupled with)」という用語は、同義語として使用される。
【0027】
文脈が反対を指示しない限り、本明細書で規定される全ての範囲は、その終点を含むも
のと解釈されるべきであり、オープンエンドの範囲(open-ended renge
s)は、商業的に実用的な値を含むものと解釈されるべきである。同様に、文脈が反対を
示さない限り、全ての値のリストは、その間の値を含むものと考えるべきである。
【0028】
本明細書における値の範囲の列挙は、単に、その範囲内にある個々の値を個別に参照す
るための簡略化された方法としての役割を果たすことを意図している。本明細書に別で示
されていない限り、個々の値は、本明細書に個別に列挙されているかのように明細書に組
み込まれる。本明細書で説明される全ての方法は、本明細書に別の指示がない限り、或い
は文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行できる。本明細書で特
定の実施形態に関して提供される任意の及び全ての例、或いは例示的な言語(例えば、「
~等(such as)」)の使用は、単に本発明をより容易に理解することを意図して
おり、他の方法でクレームされた本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書のい
かなる言語も、本発明の実施に不可欠なクレームされていない要素を示すものと解される
べきではない。
【0029】
本明細書に開示された本発明の代替要素又は実施形態のグループ化は、限定して解釈さ
れるべきではない。各グループのメンバーは、個別に、又はグループの他のメンバー若し
くは本明細書に見られる他の要素との任意の組み合わせで参照し、且つクレームできる。
グループの1つ以上のメンバーは、利便性及び/又は特許性の理由から、グループに包含
さるか、或いはグループから削除できる。そのような包含又は削除が起きた場合、本明細
書は、ここでは、変更されたグループを含むとみなされ、この結果として、添付されたク
レームで使用される全てのマーカッシュグループの記載を満たすことになる。
【0030】
ポリ塩化ビニルプラスチゲル、ニトロセルロース、及び極性の不揮発性可塑剤と親和性
を有するその他ポリマーをベースにした造形用材料を製造することが知られている。この
ような材料は、高い可塑性を特徴とする。そのため、これらの材料は容易に造形され、こ
のようにして得られた形態を保持する。低剪断応力では流動しないため、得られた物品の
形状は、完全に硬化するまで保持できる。
【0031】
逆に、従来のプラスチゾルは、ゲル化温度まで加熱するとゲル化して固まり、系の均質
性を損なうことなく、その体積全体において流動性を失う。しかしながら、中~低極性の
液体は、これらのポリマーとの親和性が高い。それゆえに、このような中~低極性の液体
を用いて可塑化を試みると、可塑剤の表面への望ましくない移行(即ち、滲出)が生じる
。
【0032】
いくつかのポリマーは、中~高極性の有機液体に対して高い親和性を有する。Pear
ce E.M.ら、Contemporary Topics in Polymer
Science、Vol.2、Plenum Press、New York、1977
年、271ページには、ドラッグデリバリーのためのポリカプロラクトンコポリマーの使
用が説明されている。本発明者らは、意外にも、特定の種類のポリマー(親液性ポリアミ
ド、及び親液性複合ポリエステルポリマー(例えば、カプロラクトン)等)と、中~低極
性の物質(例えば、精油等の揮発性の芳香性物質)とを組み合わせることで、極性可塑剤
(例えば、フタル酸エステル)の添加を必要とせずに、安定したプラスチゾルを形成でき
ることを見出した。このような材料は、有利なことに、PVC及びその他のポリマーをベ
ースにした従来のプラスチゾルの固有の欠点を有さない。このような親液性ポリアミド及
び親液性複合ポリエステルポリマーを選択して、非毒性で生分解性の材料を提供できる。
好ましい実施形態では、親液性複合ポリエステルポリマーは、ポリカプロラクトンである
。また、得られる複合プラスチゾルは、予備的な熱軟化を必要とし、且つ、薄い造形品を
製造できないという、ブロックポリカプロラクトンをベースにした従来の成形用材料の欠
点を有さない。親液性ポリアミド又は親液性複合ポリエステルポリマー(ポリカプロラク
トン等)粉末、可塑剤、及び適切なゲル化剤を混合することによって得られる組成物は、
成形、造形、押出、スタンプが可能であり、完全に硬化するまでその形状を保持する自己
保持型の塊である。
【0033】
本発明概念の組成物は、このようなプラスチゾルを含み、且つ、任意で添加剤を含むこ
とができる。プラスチゾルの必須成分は、適切なポリマー(親液性ポリアミド及び/又は
親液性複合ポリエステルポリマー(例えば、ポリカプロラクトン)等)と、低~中極性を
有する1つ以上の物質(好ましくは1つ以上の精油)である。適切な精油は、天然材料(
例えば、植物の花、根、茎、及び/又は種子部分)からの、揮発性物質の蒸留及び/又は
有機可溶性化合物の抽出によって調製できる。本発明概念の実施形態は、そのようなプラ
スチゾルから製造されたプラスチック、及びそのようなプラスチックを用いて製造された
物品を更に含む。
【0034】
本発明概念のプラスチゾル及びプラスチックの製造は、1つ以上の加熱工程を含むこと
ができる。例えば、本発明概念のプラスチゾルは、加熱されるとゲル及び/又は硬質プラ
スチックを形成できる。それゆえに、好ましい実施形態では、混合によって生成される熱
の少なくとも一部を除去するために、プラスチゾル配合物(plastisol for
mulation)の混合工程中に温度が抑制される。これにより、成分が十分に混合さ
れる前のプラスチゾルの早すぎるゲル化及び/又は抑制されないゲル化を避けることがで
きる。ポリカプロラクトンを使用する場合、40℃~50℃で予備ゲル化が始まり、添加
された精油がポリマーに強く吸収される。これは、粘度の上昇によって示される。その結
果、混合物はゲル化し、流動性が完全に失われる。
【0035】
ポリマー成分を融点を超える温度に更に加熱すると、その体積全体に成分が均一に分布
し、且つ、最適な機械的特性を有する均質なプラスチック体が形成される。更に加熱する
と、材料はゲルの可塑性を失い、プラスチックの強度及び高度を持つようになる。
【0036】
最適な特性を提供するために、本発明概念の組成物は、粘度を下げる希釈剤、並びに増
粘剤、顔料及び保臭剤等の様々な添加剤を含むことができる。
【0037】
ゲル化の前に形状を保持できる製品(いくつかの成形プロセスでは望ましい場合がある
)を得るためには、プラスチゾル混合物に増粘剤及び/又はチキソトロピー添加剤を材料
組成物に含ませることが必要になることがある。適切な増粘剤/チキソトロピー添加剤と
しては、脂肪酸と多価金属との塩が挙げられる(ただし、これらに限定されない)。具体
的な例としては、ジステアリン酸アルミニウム(Ferro社から市販されている)、ノ
ラック(Norac)(LUMIRA(登録商標)等のエアロゲル粉末、Cabot C
orporationから市販されている)、Cab-O-Sil(Cabot社)やA
erosil(Degussa社)等のコロイド状シリカ、疎水化ベントナイト、脂肪酸
エステル等が挙げられる。このような添加剤は、ポリマーの2~6重量%の量で導入する
ことができる。
【0038】
本発明者らは、過剰量(例えば、6重量%超)のこのような増粘剤又はチキソトロピー
添加剤が、硬化後に得られるプラスチック材料の機械的特性を劣化させることを見出した
。チキソトロピー添加剤の添加は、十分な剪断力を提供する混合装置(例えば、ディソル
バー、ビーズミル等)を用いて、可塑剤(即ち、揮発性臭気付与剤)とそのような添加剤
とを予備混合することによって実施できる。透明な材料を製造するためには、ポリアクリ
ル酸(例えば、Noveon社のCarbopol)、又はスルホン酸カルシウム(例え
ばNoveon社から入手可能なIrcogel 900)等の透明性を阻害しないチキ
ソトロピー添加剤を使用できる。
【0039】
香り付きの物品が望まれる場合、本発明概念の組成物は、1つ以上のにおい固定剤を含
むことができる。適切なにおい固定剤としては、植物性レジノイド(例えば、オークモス
レジノイド、ピスタチオレジノイド等)、大環状ムスク(例えば、大環状ケトン及び/又
はラクトン)、ニトロムスク(例えば、ニトロベンゼン化合物)、アンブロキシド、グル
コシドポリオール(例えば、エトキシル化及び/又はプロポキシル化メチルグルコシド)
、及び同様の化合物が挙げられる。
【0040】
混合及び懸濁を助けるために、本発明概念のプラスチゾルは、米国特許第3,632,
669号に教示されているように、分散重合によって調製された、噴霧乾燥した親液性ポ
リアミド及び/又は親液性複合ポリエステルポリマー(ポリカプロラクトン等)の微粉末
をベースとして調製できる。プラスチゾルの安定性、並びに流動性は、ポリマーの平均粒
径及び粒度分布によって決定されることを理解すべきである。プラスチゾルの最適な特性
は、十分に大きな平均直径を有するポリマー粒子を有するこのような粉末を使用して得ら
れる。適切な平均直径は、約0.05~約1.5μm、好ましくは0.2~1μmの範囲
である。このようなポリマーの粒子は、好ましくは、球形で、広い粒度分布を有し、高分
散相を含まないものである。本発明者らは、非常に小さいサイズのポリマー粒子が溶解し
て、望ましくない粘度の上昇をもたらすことを見出した。
【0041】
本発明者らは、いくつかの精油の製品は、最終的なプラスチック製品が望ましい機能特
性を有することができるが、プラスチゾルの形成中にポリマー粒子が膨張し過ぎることが
あることを見出した。このような場合には、ポリマーに対する熱力学的親和性の低い希釈
剤(ジプロピレングリコール、トリアセチン、グリセロール、クエン酸、アジピン酸及び
/又は安息香酸エステル等)を添加して、構造的可塑化を高めることができる。
【0042】
次に、本発明概念のプラスチゾルは、5~75重量%の親液性ポリアミド及び/又は親
液性複合ポリエステルポリマー(ポリカプロラクトン等)と、5重量%~85重量%の中
~低極性の可塑化物質、好ましくは揮発性芳香剤(例えば、精油)とを有することができ
る。更に、このようなプラスチゾルは、0重量%~20重量%の不揮発性希釈剤及び/又
は0重量%~10重量%のチキソトロピー安定剤(thixotropic stabi
lizer)を含むことができる。本発明概念のプラスチゾルは、0重量%~75重量%
の1種以上の無機フィラー、及び/又は0重量%~70重量%(好ましくは5重量%~7
0重量%)の有機フィラー(エチレン-酢酸ビニル共重合体等)を含むことができる。ま
た、本発明概念のプラスチゾルは、0重量%~5重量%の顔料、及び0重量%~20重量
%のその他添加剤(におい固定剤、構造用添加剤、艶消し用添加剤等)を含むことができ
る。
【0043】
上述したように、無機フィラー及び有機フィラーを、本発明概念のプラスチゾルに組み
込むことができる。フィラーとしては、例えば、カオリン、チョーク、タルク、水酸化ア
ルミニウム、ケイ酸アルミニウム、二酸化ケイ素、粉末ベントナイト、木粉、ジュート繊
維、及び/又はポリマー粉末を使用できる。本発明概念のプラスチゾルにおけるフィラー
としては、例えば、高い置換度を有するエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)をベー
スにしたポリマー粉末(USI Corporationから製品名Evatheneと
して入手可能)の出品物を使用できる。いくつかの実施形態では、最終製品の導電性を変
更するために、導電性フィラー(例えば、金属、グラファイト又はカーボン)を利用でき
る。十分にきれいな細部を示す均質な材料を得るためには、100μm未満、最も好まし
くは50μm未満のサイズの繊維又は粉末を使用することが好ましい。
【0044】
軽量又は中空のフィラーも使用できる。軽量のフィラーとしては、例えば、軽石のよう
な中空の微小球、中空のガラス及びセラミック微小球、並びに中空のポリマー微小球を使
用できる。好適な例としては、3M又はOsthoff Petraschから市販され
ているフライアッシュ、セノスフェア、及び/又は3M又はOsthoff Petra
schから市販されている人工微小球が挙げられる。
【0045】
上述したように、本発明概念のプラスチゾルは、所望の色を提供するために顔料を組み
込むことができる。着色顔料としては、不溶性ポリマー顔料、有機顔料、及び/又は無機
粉末顔料を使用することができ、特別な効果又は珍しい効果(例えば、蛍光、燐光、回折
効果等)を提供する顔料も含まれる。耐光性顔料ワニスが好ましい。
【0046】
効果顔料としては、Eckart GmbH & Co.KG.KGから市販されてい
る「metallic」等のフレーク顔料、EMD(Merck KGaA)、BASF
、CQVから市販されている真珠光沢顔料、ポリエステルグリッター、蛍光顔料、蓄光顔
料、サーモインジケーター顔料等を用いることができる。また、様々な色の材料をランダ
ム又はパターン化して添加して、マーブル模様及びモザイク模様(ミルフィオリ)等の装
飾模様を製造できる。
【0047】
上記したように、香り又はにおいが持続する固体プラスチック材料が望まれる場合、中
~低極性可塑剤は、精油であるか、或いはそれを含んでよい。精油は、天然資源から調製
された揮発性の疎水性物質であり、典型的には強い香りを有する。精油は、植物又はその
他の製品から油性物質を直接蒸留するか、或いは様々な溶剤を用いて植物材料やその他の
天然材料から香りのある化合物を抽出することによって調製できる。このような精油は、
そのままではすぐに蒸発及び拡散してしまうため、常に新しくしないとすぐに失われてし
まう。驚くべきことに、本発明者らは、精油を本発明概念の組成物の可塑化剤として利用
すると、得られるプラスチック固体が、使用した精油の香りを長時間維持できることを見
出した。典型的には、このようにして調製されたプラスチック固体は、補充及び/又は再
生の必要なしに、少なくとも1ヶ月、2ヶ月、6ヶ月、1年、2年、5年、又は5年超に
わたって、精油の香りを保持することができる。いくつかの実施形態では、精油は、抽出
又は蒸留された状態で使用できる。他の実施形態では、精油は、中~低極性の溶剤で希釈
できる。いくつかの実施形態では、より複雑な香り又は香りの組み合わせを再現するため
に、香り付きプラスチック固体の配合に2種以上の精油を使用できる。本発明概念のいく
つかの実施形態では、プラスチゾルに香味を提供する1つ以上の精油を提供でき、これは
香りの代わりに加えるか、或いは香りに加えて使用できる。
【0048】
本発明概念の好ましい実施形態では、におい及び/又は香味を付与する精油を組み込む
が、低~中極性の溶剤又はその内の溶液として提供できる他の化合物を、望ましい特性を
提供するために本発明概念のプラスチゾルに組み込むことができることを理解すべきであ
る。その他の中~低極性可塑剤は、例えば、消臭剤化合物、昆虫/害虫忌避剤化合物、防
汚剤化合物、防腐剤化合物、抗ウイルス剤化合物、及び/又は抗生物質化合物を組み込む
ことができる。このような可塑剤の特性は、製造されたプラスチゾルに付与される。従っ
て、本発明概念のプラスチゾルは、衣類、作業台(work surfaces)、ヘル
スケア、バイオメディカルデバイス、及び海上運送に至る幅広い用途がある。
【0049】
本発明概念のプラスチゾルは、固体、繊維、粉末、粘性プラスチゾル、及び/又はその
他のポリマー材料に利用される液体分散物又は添加物等の様々な形態で提供できる。この
ように、本発明概念のプラスチゾルは、スプレー、押出、カレンダー、プレス造形、プレ
ス、スタンピング、及び/又は(例えば、型への)ブロー(例えば、型への)を含む、様
々な方法を用いて加工又は形作ることができる。
【0050】
それゆえに、本発明概念のプラスチゾルは、様々な形態又は幾何学的形状を提供できる
。例えば、このようなプラスチゾルは、成形用クレイ;顆粒、ブランク、及び/又は完成品等の造形品;として提供できる。また、本発明概念のプラスチゾルは、糸又は繊維として押出、或いはフィルム又はシートとしてキャストすることができる。同様に、本発明概念のプラスチゾルは、コーティング又はインクとして、例えば、対象物上、繊維又は織物上、及び/又は多孔質材料上の芳香性プラスチゾルフィルムのコーティングとして適用できる。
【0051】
プラスチゾルがキャストされる形態及び低~中極性可塑剤の含有量に応じて、本発明概
念のプラスチゾルを使用して、多種多様な機能性物品を製造できる。精油を可塑剤として
組み込むことにより、このような物品への香り及び/又は香味の組み込みを提供する。香
り及び/又は香味を組み込むことができるキャスト品又は造形品の例としては、装飾品、
子供のおもちゃ、ペットのおもちゃ、狩猟や釣りのルアー、香りの送達システム(sce
nt delivery systems)等が挙げられる。このような特性は、本発明
概念のプラスチゾルインクの実施形態(物品の表面に適用し、続いて硬化させることがで
きる)によって同様に提供でき、いくつかの実施形態では、3D印刷で利用される材料に
組み込むことができる。
【0052】
本発明概念のプラスチゾルに使用される可塑剤に抗菌性化合物を組み込むことにより、
様々な家庭用品も抗菌性及び/又は抗ウイルス性を付与できる。繊維に形成される場合、
そのようなプラスチゾルは、医療用途に適した防護服、ドレープ及び包帯として布地に織
ることができる。キャスト又は造形される場合、そのようなプラスチゾルは、抗菌性表面
(例えば、おむつ交換台、まな板等)、又は医療機器(例えば、スプリント、装具、手術
器具等)を提供するために使用できる。同様に、このような抗菌性表面は、抗菌剤及び/
又は耐ウイルス剤を組み込み、フィルム、スプレー、又はインクとして提供された本発明
概念のプラスチゾルを適用し、続いて硬化させることによって生成できる。
【0053】
本発明概念のプラスチゾルの製造に使用される可塑剤への海洋生物の付着を防止する防
汚化合物又はその他の化合物を組み込むことにより、海洋生物の望ましくない付着及び成
長を防止するために海洋船舶の露出面に適用することができる、防汚コーティング(例え
ば、プラスチゾルの微粒子の懸濁物による)、フィルム、及びシートを提供できる。同様
に、害虫忌避性の精油又は化合物を用いてプラスチゾルを製造でき、これを繊維として形
成すると、屋外で着用する衣類及び同様の物品を提供するために使用できる。また、この
ような害虫忌避性は、このようなプラスチゾルをスプレー又はインクとして衣料品に適用
し、その後硬化させることによっても提供できる。
【0054】
図1は、形成(例えば、造形、押出、カレンダー等)に適した本発明概念であるプラス
チゾルを製造するための典型的なプロセスを示す。最初に、親液性ポリアミド樹脂及び/
又は親液性複合ポリエステルポリマー樹脂(好ましくは粒子形状)と、低~中極性可塑剤
(精油等)の一部とを、冷却されたミキサー又はボールミルでブレンドして、可塑剤中の
ポリマー樹脂の懸濁物を形成する。任意で、この段階で安定剤を添加できる。これらの成
分がブレンドされて均質になったら、品質管理試験のために一部を採取できる。最初の混
合に続いて、フィラー及びその他の乾燥成分等の追加の材料をブレンドし、続いて、ゲル
化剤、顔料等の他の成分を添加できる。次いで、残りの可塑剤をブレンドして、選択した
形成プロセスに十分な流動性のあるプラスチゾルを形成できる。
【0055】
一旦形成されると、このようなプラスチゾルは、すぐに利用することも、或いは将来的
な使用のために保存することもできる。ゲル化を防止又は低減するために、保存は周囲温
度、又はそれ以下の温度で行うべきである。最初のポリマー原料の粒子サイズ及びサイズ
分布が貯蔵安定性に影響を与える可能性があり、非常に大きな粒子はすぐに沈殿し、非常
に小さな粒子は溶媒和しやすいことを理解すべきである。いくつかの実施形態(印刷イン
ク、成形用クレイ等)においては、プラスチゾルは消費者に提供される最終製品とするこ
とができる。安定したプラスチック固体を形成するために加熱は(例えば、印刷された布
地又は他の表面の熱硬化を通して)消費者が行うことができる。
【0056】
図2は、本発明概念のプラスチック固体製品を形成するための典型的なプロセスを示す
。
図1に示すように製造されたプラスチゾルは、形成のための十分な流動性を有する。材
料は、造形、キャスト、ブロー、押し出し、及び/又はカレンダーを含む任意の適切なプ
ロセスによって形成できる。形成後、材料はそのゲル化温度まで加熱され、その結果、柔
らかい及び/又は柔軟な中間製品が形成される。いくつかの実施形態では、この特性を利
用して、中間製品を型から最小限の損傷で取り出すことができる。次いで、中間製品を、
親液性ポリアミド樹脂及び/又は親液性複合ポリエステルポリマー樹脂の少なくとも一部
が、低~中極性可塑剤の少なくとも一部に溶解する温度まで加熱し、次いで冷却して、安
定した固体の最終製品を形成する。驚くべきことに、本発明概念の組成物は、最終的なプ
ラスチック製品の表面に可塑剤を「滲出」又は放出せず、長時間にわたって可塑剤の特性
(例えば、香り、香味、抗菌性等)を示すことを本発明者らは見出した。
【0057】
いくつかの実施形態では、本発明概念のプラスチゾルをそのゲル化温度以上に昇温する
ことによって得られるゲル状製品は、最終製品であるか、或いは消費者による追加の処理
(例えば、追加の切断及び/又は成形)のために購入される中間製品とすることができる
。他の実施形態では、本発明概念のプラスチゾルから調製された固体の比較的硬いプラス
チック物品又は材料を最終製品とすることができる。
【実施例0058】
<実施例>
本発明の適切なポリカプロラクトン粒子は、米国特許第3,632,669号に開示さ
れている方法に従って製造できる。得られる噴霧乾燥された粉末は、フィラー及び顔料と
混合され、可塑化芳香性物質(例えば、精油)の一部が添加され、次いで、チキソトロピ
ーゲル化剤と事前に混合した残りの芳香性物質を添加する。得られた塊は、ブロックやシ
ートに成形できる。
【0059】
プラスチゾルの成分を分散するためには、十分な剪断力が必要である。同時に、サイク
ル継続時間と剪断速度を抑制し、ゲル化反応を早期に引き起こす可能性がある過剰な熱の
発生を防ぐ必要がある。温度を20℃以下に維持することが望ましい(例えば、冷却ジャ
ケットの使用、短い混合サイクル、及び/又は混合速度の制限等)。剪断速度の増加に伴
い粘度が低下した組成物は、より高い速度で効率的に調製できる。しかしながら、これに
より、サイクルタイムに大きな制約が生じる可能性がある。この問題に対処するために、
分散のために非常に高い剪断力を必要とするチキソトロピー性物質及び顔料を、完成した
ペーストの形態で別々に添加できる。
【0060】
プラネタリーミキサーを使用して、高粘度及び中粘度の均質なプラスチゾルを調製でき
る。プラネタリーミキサー(Charles Ross & Sonから入手可能なHV
Blades等)を使用して、600万センチポアズ以下の粘度を有するプラスチゾル
を提供できる。このようなプラネタリーミキサーは、溶剤再生部と、密閉型モーターと、
蒸発制御手段とを備えることができる。
【0061】
ミキサーには、典型的には、全量の60%~80%の可塑剤(例えば、中~低極性の芳
香剤)が添加される。冷却を開始し(例えば、ミキサーの冷却ジャケットを通る水流を開
始することによって)、撹拌機をオンにした後、プラスチック又は樹脂を迅速に入れて分
散させる。必要に応じて安定剤を添加できる。組成物は、入れた材料が均質化されるまで
撹拌される。この時点で、品質管理のために試料を採取することが可能である。いくつか
の実施形態では、次いで、追加の成分(フィラー及び/又はその他の乾燥成分等)を添加
できる。フィラーを入れた後、ゲル化剤の分散物及び顔料ペーストを添加できる。この後
、追加の可塑剤(例えば、中~低極性芳香剤、希釈剤等)を入れることができる。
【0062】
上記したように、得られたプラスチゾルは、成形、スタンピング、及び/又は造形によ
る製造品のための有用なブリケット又はシートに、押出、粉砕、カレンダーによって加工
できる。
【0063】
製造された物品は、プラスチック又は樹脂(例えば、親液性ポリアミド又は親液性複合
ポリエステル)と、可塑剤との溶媒和によって硬化され、プラスゾルを形成する。これは
加熱によって行うことができる。この目的のために、対流加熱、放射加熱(例えば、赤外
線又はIR加熱)、及び/又は加熱された液体への浸漬等の様々な加熱方法を用いること
ができる。IR照射は、熱風の循環中及び/又は高温の液体への浸漬中に発生する可能性
がある揮発性物質の放出を低減又は防止するので好ましい。
【0064】
<配合物(formulation)>
(殺菌性の揮発性物質をベースにした成形用の塊)
・ポリ-ε-カプロラクトン(PCL)粉末 - 20重量%
・エアロゲル粉末(LUMIRA(登録商標)、Cabot Corporation)
- 10重量%
・テルピネン-4-オール - 30重量%
・カルバクロール - 20重量%
・パチュロール(pachurol) - 10重量%
・オークモスの樹脂酸塩 - 10重量%
【0065】
(強いにおいを有する持続性香料をベースにした成形用の塊)
・PCL粉末 - 60重量%
・エアロゲル粉末(LUMIRA(登録商標)、Cabot Corporation)
- 4重量%
・l-ムスコン(高砂香料工業株式会社) - 30重量%
・テサロン(高砂香料工業株式会社) - 10重量%
【0066】
(染色された成形用の塊)
・PCL粉末 - 20重量%
・EVA粉末(Evathene、USI Corporation) - 25重量%
・エアロゲル粉末(LUMIRA(登録商標)、Cabot Corporation)
- 4重量%
・スルホン酸カルシウム(Noveon社のIrcogel 900) - 1
・顔料ラバレッド(Merck KGaA社) - 5重量%
・テサロン(高砂香料工業株式会社) - 45重量%
【0067】
(高揮発性の非持続性芳香性物質をベースにした成形用の塊)
・PCL粉末 - 30重量%
・EVA粉末(Evathene、USI Corporation) - 10重量%
・ジステアリン酸アルミニウム - 4重量%
・オークモスの樹脂酸塩 -15重量%
・プロポキシル化メチルグルコシド - 1重量%
・オレンジの花の精油 - 40重量%。
【0068】
(「カプチーノ」のにおいを有する、染色された成形用の塊)
・PCL粉末 - 75重量%
・エアロゲル粉末(LUMIRA(登録商標)、Cabot Corporation)
- 1重量%
・コーヒー精油(蒸気抽出) - 5重量%
・シナモン精油(蒸気抽出) - 0.5重量%
・グリセロール - 2.5重量%
・オークモスラバー 6重量%
・顔料マースブラウン - 10重量%
【0069】
(親液性複合ポリエステルポリマーとエステル終端化ポリアミドとの混合物をベースにし
た成形用の塊)
・PCL粉末 - 25重量%
・ポリアミド UNICLEAR(商標) 100 粉末(Arizona Chemi
cal Company) - 25重量%
・ジステアリン酸アルミニウム - 4重量%
・オークモスの樹脂酸塩 - 5重量%
・プロポキシル化メチルグルコシド - 1重量%
・ネロリエッセンシャル(ポメラニアンの花の油) - 40重量%
【0070】
本明細書の発明概念から逸脱することなく、既に説明したもの以外にも多くの変更が可
能であることは当業者に明らかである。従って、本発明の主題は、添付されたクレームの
範囲を除いて制限されるものではない。更に、明細書及びクレームの両方を解釈する際に
は、全ての用語は、文脈と一致する可能な限り広い方法で解釈されるべきである。特に、
「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」という用語は、
排他的な方法で要素、成分又は工程を参照していると解釈すべきであり、参照されている
要素、成分又は工程が、明示的に参照されていない他の要素、成分又は工程と存在するか
、或いは利用されるか、或いは組み合わされる可能性があることを示している。本明細書
のクレームにおいて、A、B、C・・・及びNからなる群から選択されるものの少なくと
も1つに言及している場合、本文はその群から1つの要素のみを必要としていると解釈す
べきであり、A+NやB+N等を必要としているわけではない。