(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008911
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】発光素子及びそれを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/12 20060101AFI20230111BHJP
H10K 59/00 20230101ALI20230111BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20230111BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20230111BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20230111BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20230111BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
H05B33/12 C
H01L27/32
H05B33/22 B
H05B33/22 D
H05B33/14 B
H05B33/12 E
H05B33/12 B
G02B5/20 101
G02B5/20
G09F9/30 365
G09F9/30 349Z
G09F9/30 349B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104180
(22)【出願日】2022-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0085128
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】朴 興 洙
(72)【発明者】
【氏名】李 松 恩
(72)【発明者】
【氏名】康 南 洙
(72)【発明者】
【氏名】李 鍾 源
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲ヒョン▼ 植
【テーマコード(参考)】
2H148
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
2H148AA00
2H148AA24
2H148AA28
2H148BG06
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB06
3K107BB08
3K107CC04
3K107CC21
3K107DD52
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3K107DD72
3K107DD75
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3K107FF06
3K107FF13
3K107FF19
5C094AA31
5C094BA27
5C094ED02
5C094ED20
(57)【要約】
【課題】発光効率及び素子寿命が改善された発光素子を提供する。
【解決手段】本発明の一実施例による発光素子は、第1電極と、前記第1電極の上に配置される正孔輸送領域と、前記正孔輸送領域の上に配置され、第1波長の光を発光する第1発光層と、前記正孔輸送領域の上に配置され、前記第1波長とは異なる第2波長の光を発光する第2発光層と、前記第1発光層及び前記第2発光層の上に配置される電子輸送領域と、前記電子輸送領域の上に配置される第2電極と、を含み、前記第2発光層は、正孔輸送性ホストと、前記第2波長の光を発光する第1ドーパントとを含む第1サブ発光層と、前記正孔輸送性ホストとは異なる電子輸送性ホストと、前記第2波長の光を発光する第2ドーパントとを含む第2サブ発光層と、を含む。
【選択図】
図6a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極の上に配置される正孔輸送領域と、
前記正孔輸送領域の上に配置され、第1波長の光を発光する第1発光層と、
前記正孔輸送領域の上に配置され、前記第1波長とは異なる第2波長の光を発光する第2発光層と、
前記第1発光層及び前記第2発光層の上に配置される電子輸送領域と、
前記電子輸送領域の上に配置される第2電極と、を含み、
前記第2発光層は、
第1ホストと、前記第2波長の光を発光する第1ドーパントとを含む第1サブ発光層と、
前記第1ホストとは異なる第2ホストと、前記第2波長の光を発光する第2ドーパントとを含む第2サブ発光層と、を含む発光素子。
【請求項2】
前記第1波長は420nm以上480nm以下であり、前記第2波長は520nm以上600nm以下である請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記第1ホストと前記第1ドーパントのHOMOエネルギー準位差は0.2eV以下であり、
前記第2ホストと前記第2ドーパントのHOMOエネルギー準位差は0.1eV以上である請求項1に記載の発光素子。
【請求項4】
前記第1発光層と前記第2発光層との間に配置される電荷生成層を更に含む請求項1に記載の発光素子。
【請求項5】
前記電荷生成層は、
p-ドーパントがドーピングされるp型電荷生成層と、
n-ドーパントがドーピングされるn型電荷生成層と、を含む請求項4に記載の発光素子。
【請求項6】
前記正孔輸送領域と前記電子輸送との間に配置されて、前記第1波長の光を発光する第1追加発光層を更に含む請求項1に記載の発光素子。
【請求項7】
前記第1発光層と前記第2発光層との間に配置され、前記第1波長の光を発光する第2追加発光層を更に含む請求項6に記載の発光素子。
【請求項8】
前記第1ドーパントは中心金属が白金(Pt)である有機金属化合物を含む請求項1に記載の発光素子。
【請求項9】
前記第1ドーパントは下記化学式M-aで表される請求項8に記載の発光素子。
<化学式M-a>
前記化学式M-aにおいて、
Q
1乃至Q
4はそれぞれ独立してCまたはNであり、
環C1乃至C4は、それぞれ独立して、置換または非置換の環形成炭素数5以上30以下の炭化水素環、または置換または非置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロ環であり、
L
21乃至L
24は、それぞれ独立して、直接結合、
置換または非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換または非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、または置換または非置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基であり、
e1乃至e4は、それぞれ独立して0または1であり、
R
31乃至R
39は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換または非置換のアミン基、置換または非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換または非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換または非置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であるか、または隣接する基と互いに結合して環を形成するのであり、
d1乃至d4は、それぞれ独立して0以上4以下の整数である。
【請求項10】
前記第2ドーパントは、中心金属がイリジウム(Ir)である有機金属化合物を含む請求項1に記載の発光素子。
【請求項11】
前記第2ドーパントは、下記化学式M-bで表される請求項10に記載の発光素子。
<化学式M-b>
前記化学式M-bにおいて、
Y
1乃至Y
4、及びZ
1乃至Z
4は、それぞれ独立してCR
1またはNであり、
R
1乃至R
4は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換または非置換のアミン基、置換または非置換のチオ基、置換または非置換のオキシ基、置換または非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換または非置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換または非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換または非置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であるか、または隣接する基と互いに結合して環を形成するのであり、
mは0または1であり、
nは2または3である。
但し、mが0であればnは3で、mが1であればnは2である。
【請求項12】
前記正孔輸送領域は、前記第1電極の上に配置される正孔注入層と、前記正孔注入層の上に配置される正孔輸送層と、を含み、
前記電子輸送領域は、前記第1発光層及び前記第2発光層の上に配置される電子輸送層と、前記電子輸送層の上に配置される電子注入層と、を含む請求項1に記載の発光素子。
【請求項13】
前記第2電極の上に配置されるキャッピング層を更に含み、
前記キャッピング層は屈折率が1.6以上である請求項1に記載の発光素子。
【請求項14】
前記第1サブ発光層及び前記第2サブ発光層は互いに接触する請求項1に記載の発光素子。
【請求項15】
前記第1発光層と前記電荷生成層との間に配置される中間電子輸送層と、
前記電荷生成層と第2発光層との間に配置される中間正孔輸送層と、を更に含む請求項5に記載の発光素子。
【請求項16】
第1波長の光を放出する第1画素領域と、前記第1波長とは異なる第2波長の光を放出する第2画素領域と、前記第1波長及び前記第2波長とは異なる第3波長の光を放出する第3画素領域とが画されており、前記第1画素領域乃至第3画素領域に重畳して配置される発光素子を含む表示パネルと、
前記表示パネルの上に配置され、前記第1画素領域に重畳する第1光制御部と、前記第2画素領域に重畳する第2光制御部と、前記第3画素領域に重畳する第3光制御部とを含む光制御層と、を含み、
前記発光素子は、
第1電極と、
前記第1電極の上に配置される正孔輸送領域と、
前記正孔輸送領域の上に配置され、前記第1波長の光を発光する第1発光層と、
前記正孔輸送領域の上に配置され、前記第2波長の光を発光する第2発光層と、
前記第1発光層及び前記第2発光層の上に配置される電子輸送領域と、
前記電子輸送領域の上に配置される第2電極と、を含み、
前記第2発光層は、第1ホストと前記第2波長の光を発光する第1ドーパントとを含む第1サブ発光層と、前記第1ホストとは異なる第2ホストと前記第2波長の光を発光する第2ドーパントとを含む第2サブ発光層と、を含む表示装置。
【請求項17】
前記第1波長は420nm以上480nm以下であり、前記第2波長は520nm以上600nm以下である請求項16に記載の表示装置。
【請求項18】
前記第1ホストと前記第1ドーパントのHOMOエネルギー準位差は0.2eV以下であり、
前記第2ホストと前記第2ドーパントのHOMOエネルギー準位差は0.1eV以上である請求項16に記載の表示装置。
【請求項19】
前記第2光制御部は、第1波長の光を第2波長の光に変換する量子ドットを含み、
前記第3光制御部は、第1波長の光または第2波長の光を第3波長の光に変換させる量子ドットを含む請求項16に記載の表示装置。
【請求項20】
前記光制御層の上に配置されるカラーフィルタ層を更に含む請求項16に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光素子及びそれを含む表示装置に関し、より詳しくは、発光効率及び素子寿命が改善された発光素子及びそれを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子は応答速度が速く、低電圧で駆動される自発光型素子である。それによって、有機発光素子を含む有機発光表示装置は別途の光源を省略することができるため軽量薄型が可能で、輝度が優秀で視野角依存性がないなど、様々な長所を有する。
【0003】
有機発光素子はアノード電極とカソード電極との間に有機物からなる発光層を有する表示素子である。アノード電極から提供される正孔とカソード電極から提供される電子が発光層で結合して励起子を形成した後、励起子から正孔と電子との間のエネルギーに当たる光を生成する。
【0004】
タンデム(Tandem)有機発光素子は、アノード電極とカソード電極との間に正孔輸送層/発光層/電子輸送層のスタック(stack)が、2つ以上積層されて、複数層のスタックが重ねられる構造であり、それぞれのスタックの間に、電荷の生成及び移動を助ける電荷生成層(Charge Generation Layer)が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5205584号公報
【特許文献2】特許第6107657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、発光効率及び素子寿命が改善された発光素子を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、表示効率が改善された表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例による発光素子は、第1電極と、前記第1電極の上に配置される正孔輸送領域と、前記正孔輸送領域の上に配置され、第1波長の光を発光する第1発光層と、前記正孔輸送領域の上に配置され、前記第1波長とは異なる第2波長の光を発光する第2発光層と、前記第1発光層及び前記第2発光層の上に配置される電子輸送領域と、前記電子輸送領域の上に配置される第2電極と、を含み、前記第2発光層は、(i)第1ホストと、前記第2波長の光を発光する第1ドーパントとを含む第1サブ発光層と、(ii)前記第1ホストとは異なる第2ホストと、前記第2波長の光を発光する第2ドーパントとを含む第2サブ発光層と、を含む。
【0009】
前記第1波長は420nm以上480nm以下であり、前記第2波長は520nm以上600nm以下である。
【0010】
前記第1ホストと前記第1ドーパントのHOMOエネルギー準位差は0.2eV以下であり、前記第2ホストと前記第2ドーパントのHOMOエネルギー準位差は0.1eV以上でありうる。
【0011】
本発明の一実施例による発光素子は、前記第1発光層と前記第2発光層との間に配置される電荷生成層を更に含みうる。
【0012】
前記電荷生成層は、p-ドーパントがドーピングされるp型電荷生成層と、n-ドーパントがドーピングされるn型電荷生成層と、を含みうる。
【0013】
本発明の一実施例による発光素子は、前記正孔輸送領域と前記電子輸送領域との間に配置され、前記第1波長の光を発光する第1追加発光層を更に含みうる。
【0014】
前記第1ドーパントは中心金属が白金(Pt)である有機金属化合物でありうる。
【0015】
前記第1ドーパントは下記化学式M-aで表されうる。
【0016】
【0017】
前記化学式M-aにおいて、Q
1及びQ
4はそれぞれ独立してCまたはNであり、環C1乃至C4は、それぞれ独立して置換または非置換の環形成炭素数5以上30以下の炭化水素環、または置換または非置換の環形成炭素数2以上30以下ヘテロ環であり、
L
21乃至L
24は、それぞれ独立して、直接結合、
置換または非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換または非置換の環形成の、炭素数6以上30以下のアリーレン基、または置換または非置換の環形成の、炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基であり、e1乃至e4は、それぞれ独立して0または1であり、R
31乃至R
39は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換または非置換のアミン基、置換または非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換または非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換または非置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であるか、または隣接する基と互いに結合して環を形成するのであり、d1乃至d4は、それぞれ独立して0以上4以下の整数である。
【0018】
前記第2ドーパントは、中心金属がイリジウム(Ir)である有機金属化合物を含みうる。
【0019】
前記第2ドーパントは下記化学式M-bで表されうる。
【0020】
【0021】
前記化学式M-bにおいて、Y1乃至Y4、及びZ1乃至Z4は、それぞれ独立して、CR1またはNであり、R1乃至R4は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換または非置換のアミン基、置換または非置換のチオ基、置換または非置換のオキシ基、置換または非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換または非置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換または非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換または非置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であるか、または隣接する基と互いに結合して環を形成するのであり、mは0または1であり、nは2または3である。但し、mが0であればnは3で、mが1であればnは2である。
【0022】
前記正孔輸送領域は、前記第1電極の上に配置される正孔注入層と、前記正孔注入層の上に配置される正孔輸送層と、を含み、前記電子輸送領域は、前記第1発光層及び前記第2発光層の上に配置される電子輸送層と、前記電子輸送層の上に配置される電子注入層と、を含みうる。
【0023】
本発明の一実施例による発光素子は、前記第2電極の上に配置されるキャッピング層を更に含み、前記キャッピング層は屈折率が1.6以上でありうる。
【0024】
前記第1サブ発光層及び前記第2サブ発光層は互いに接触しうる。
【0025】
本発明の一実施例による発光素子は、前記第1発光層と前記電荷生成層との間に配置される中間電子輸送層と、前記電荷生成層と第2発光層との間に配置される中間正孔輸送層と、を更に含みうる。
【0026】
本発明の一実施例による表示素子は、第1波長の光を放出する第1画素領域と、前記第1波長とは異なる第2波長の光を放出する第2画素領域と、前記第1波長及び前記第2波長とは異なる第3波長の光を放出する第3画素領域とが画されており、前記第1画素領域乃至第3画素領域に重畳して(重なり合って)配置される発光素子を含む表示パネルと、前記表示パネルの上に配置され、前記第1画素領域に重畳する第1光制御部と、前記第2画素領域に重畳する第2光制御部と、前記第3画素領域に重畳する第3光制御部とを含む光制御層と、を含み、前記発光素子は、第1電極と、前記第1電極の上に配置される正孔輸送領域と、前記正孔輸送領域の上に配置され、前記第1波長の光を発光する第1発光層と、前記正孔輸送領域の上に配置され、前記第2波長の光を発光する第2発光層と、前記第1発光層及び前記第2発光層の上に配置される電子輸送領域と、前記電子輸送領域の上に配置される第2電極と、を含み、前記第2発光層は、第1ホストと前記第2波長の光を発光する第1ドーパントとを含む第1サブ発光層と、前記第1ホストとは異なる第2ホストと前記第2波長の光を発光する第2ドーパントとを含む第2サブ発光層と、を含む。
【0027】
前記第2光制御部は、第1波長の光を第2波長の光に変換する量子ドットを含み、第3光制御部は第1波長の光または第2波長の光を第3波長の光に変換させる量子ドットを含みうる。
【0028】
前記光制御層の上に配置されるカラーフィルタ層を更に含みうる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一実施例によると、発光素子において発光層のロールオフ(Roll-off; 高電流密度駆動時に発光効率が低下する現象)の発生を防止して発光効率が極大化され、発光効率及び素子寿命が改善された発光素子及び表示素子を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施例による表示装置の分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例による表示モジュールの断面図である。
【
図3】本発明の一実施例による表示装置に含まれている表示パネルの一部を拡大して示す平面図である。
【
図4a】本発明の一実施例による表示装置に含まれている表示モジュールの一部を拡大して示す断面図である。
【
図4b】本発明の一実施例による表示装置に含まれている表示モジュールの一部を拡大して示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施例による発光素子を概略的に示す断面図である。
【
図6a】本発明の一実施例による発光素子を概略的に示す断面図である。
【
図6b】本発明の一実施例による発光素子を概略的に示す断面図である。
【
図6c】本発明の一実施例による発光素子を概略的に示す断面図である。
【
図6d】本発明の一実施例による発光素子を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書において、ある構成要素(または領域、層、部分など)が他の構成要素の「上にある」、「結合される」、または「結合される」と言及されれば、それは他の構成要素の上に直接配置・連結・結合され得るか、またはそれらの間に第3の構成要素が配置され得ることを意味する。
【0032】
同じ図面符号は同じ構成要素を指す。また、図面において、構成要素の厚さ、割合、及び寸法は技術的内容の効果的な説明のために誇張されている。「及び/または」は、関連する構成要素が定義する一つ以上の組み合わせを全て含む。
【0033】
第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使用されるが、前記構成要素は前記用語に限らない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないながらも第1構成要素は第2構成要素と命名されてもよく、類似して、第2構成要素も第1構成要素と命名されてもよい。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。
【0034】
また、「下に」、「下側に」、「上に」、「上側に」などの用語は、図面に示した構成要素の連関関係を説明するために使用される。前記用語は相対的な概念であって、図面に示した方向を基準に説明される。
【0035】
「含む」または「有する」などの用語は明細書の上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解すべきである。
【0036】
異なるように定義されない限り、本明細書で使用された全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるようなものと同じ意味を有する。また、一般的に使用される辞書で定義された用語のような用語は、関連技術の脈絡で有する意味と一致する意味を有すると解釈すべきであって、ここで明示的に定義されない限り、過度に理想的であるか形式的な意味で解釈してはならない。
【0037】
以下、図面を参照して、本発明の一実施例による表示装置及び発光素子について説明する。
【0038】
図1は、本発明の一実施例による表示装置の分解斜視図である。
図2は、本発明の一実施例による表示モジュールの断面図である。
図2では、
図1のI-I’線に対応する断面を示している。
【0039】
一実施例において、表示装置ESは、テレビ、モニター、または外部広告板のような大型表示装置である。また、表示装置ESは、パソコン、ノートパソコン、個人情報端末、カーナビゲーションユニット、ゲーム機、スマートフォン、タブレット、及びカメラのような中小型製品に使用される表示装置である。また、これらは、単に実施例として提示されたものであって、本発明の概念から逸脱しない限り他の表示装置としても採用されうる。
【0040】
一実施例の表示装置ESは、ウィンドウWMと、表示モジュールDMと、筐体HAUと、を含むのでありうる。表示モジュールDMは表示パネルDPを含むのでありうる。一方、図示していないが、表示装置ESは、表示素子以外にもタッチ素子または検出素子など、電気的信号によって活性化される多様な素子を含みうる。
【0041】
一方、
図1及び以下の図面には第1方向DR1乃至第3方向DR3を示したが、本明細書で説明される、第1乃至第3方向DR1、DR2、DR3が指示する方向は、相対的な概念であって、他の変更に変換されてもよい。
【0042】
本明細書では、説明の便宜上、第3方向DR3は、ユーザに映像が提供される方向と定義される。また、第1方向DR1と第2方向DR2は互いに直交し、第3方向DR3は第1方向DR1と第2方向DR2が定義する平面に対する法線の方向である。
図1において、第1方向DR1及び第2方向DR2が定義する平面は、映像が提供される表示面でありうる。
【0043】
一実施例の表示装置ESにおいて、ウィンドウWMは表示モジュールDMの上に配置されうる。ウィンドウWPは、ガラス、サファイヤ、またはプラスチックを含む材質のものでありうる。ウィンドウWPは、表示モジュールDMから提供される映像を透過する透過領域TAと、透過領域TAに隣接し、映像が透過しない遮光領域BAとを含む。一方、
図1に図示されたのとは異なって、一実施例の表示装置ESにおいてウィンドウWPは省略されてもよい。
【0044】
一実施例の表示装置ESにおいて、表示モジュールDMはウィンドウWMの下部に配置される。表示モジュールDMは、表示パネルDPと、表示パネルDPの上に配置される光制御部材CCMと、を含むのでありうる。
【0045】
表示パネルDPは発光型表示パネルである。例えば、表示パネルDPは、LED(light-emitting diode、LED)表示パネル、有機電界発光(Organic Electroluminescence、OLED)表示パネル、または量子ドット発光表示パネルである。しかし、実施例がこれに限られるのではない。
【0046】
LED表示パネルは発光ダイオードを含み、有機電界発光表示パネルの発光層は有機電界発光物質を含み、量子ドット表示パネルの発光層は、量子ドットまたは量子ロッドなどを含みうる。以下、本明細書の一実施例の表示装置ESに含まれる表示パネルDPは、有機電界発光表示パネルと説明される。但し、実施例がこれに限られるのではない。
【0047】
一実施例の表示装置ESは、表示パネルDPと、表示パネルDPの上側に配置される光制御部材CCMとを含み、一実施例の表示装置ESは、有機電界発光表示パネルを含む有機電界発光表示装置でありうる。表示パネルDPは所定の波長を有する第1光を提供する。例えば、表示パネルDPは第1光として青色光を提供する。但し、これに限らず、表示パネルDPは白色光を放出してもよい。
【0048】
光制御部材CCMは、表示パネルDPから提供される第1光の波長を変換するか、または表示パネルDPから提供される第1光を透過させうる。光制御部材CCMは、表示パネルDPから提供される第1光の波長を変換するか第1光を透過させうる。
【0049】
平面上における、映像が表示される表示パネルDPの一面は表示面と定義される。表示面は、映像が表示される表示領域DAと、映像が表示されない非表示領域NDAとを含む。表示領域DAは、平面上における表示パネルDPの中央の側に画定されて、ウィンドウWPの透過領域TAと重なり合いうる。
【0050】
筐体HAUは、表示パネルDPの下側に配置されて表示パネルDPを収納するのでありうる。筐体HAUは、表示パネルDPの表示面である上面が露出されるように表示パネルDPをカバーするようにして配置されうる。筐体HAUは、表示パネルDPの側面と底面をカバーし、上部面全体を露出させうる。
【0051】
図2を参照すると、表示パネルDPは、ベース基板BSと、ベース基板BSの上に提供される回路層DP-CLと、表示素子層DP-ELとを含むのでありうる。一実施例において、ベース基板BSと、回路層DP-CLと、表示素子層DP-ELは、第3方向DR3の方向に順次に積層されうる。
【0052】
ベース基板BSは、表示素子層DP-ELが配置されるベース面を提供する部材でありうる。ベース基板BSは、ガラス基板、金属基板、プラスチック基板などでありうる。但し、実施例はこれに限らず、ベース基板BSは無機層、有機層、または複合材料層であってもよい。
【0053】
一実施例において、回路層DP-CLはベース基板BSの上に配置されるが、回路層DP-CLは複数のトランジスタ(図示せず)を含むのでありうる。これらトランジスタ(図示せず)は、それぞれが、制御電極、入力電極、及び出力電極を含むのでありうる。例えば、回路層DP-CLは、表示素子層DP-ELの発光素子ED(
図4a)を駆動するための、スイッチングトランジスタと駆動トランジスタとを含んでもよい。
【0054】
光制御部材CCMは表示パネルDPの上に配置される。光制御部材CCMは、光制御層CCLと、カラーフィルタ層CFLと、上部ベース層BLとを含みうる。例えば、表示パネルDPは第1波長の光及び/または第2波長の光を放出する発光素子ED(
図4a)を含み、光制御部材CCMは発光素子ED(
図4a)から提供される光の波長を変換するか光を透過させる光制御層CCL(
図4a)を含むのであってもよい。
【0055】
図3は、本発明の一実施例による表示装置に含まれている表示パネルの一部を拡大して示す平面図である。
図4a及び
図4bは、本発明の一実施例による表示装置に含まれている表示モジュールの一部を拡大して示す断面図である。
図3では、本発明の一実施例による表示パネルのうちの表示領域DAの一部を示している。
図4a及び
図4bでは、
図3のII-II’線に対応する部分を示している。
【0056】
以下、
図3、
図4a乃至
図4bを参照して説明する、一実施例の表示モジュールDM、DM-1は、
図1で説明した一実施例の表示装置ESに含まれるものであり、表示モジュールDM、DM-1は表示パネルDPと光制御部材CCMとを含む。
【0057】
一実施例による表示モジュールDMは、表示パネルDPと表示パネルDPの上に配置される光制御部材CCMとを含み、光制御部材CCMは光制御層CCLとカラーフィルタ層CFLとを含みうる。光制御部材CCMは、上部ベース層BLと、上部ベース層BLの下側に配置される光制御層CCLと、光制御層CCLと上部ベース層BLとの間に配置されるカラーフィルタ層CFLとを含みうる。光制御部材CCMにおいて、光制御層CCLが表示パネルDPに隣接して配置されうる。
【0058】
光制御部材CCMは、複数個の隔壁BKと、隔壁BK同士の間に配置される光制御部CCP-R、CCP-B、CCP-Gとを含む。
【0059】
図3、
図4a及び
図4bを参照すると、表示モジュールDM、DM-1は、非画素領域NPXAと、複数の画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gとを含みうる。これら画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gのそれぞれは、発光素子DEから生成された光が放出される領域でありうる。複数の画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gのそれぞれの面積は互いに異なるが、ここでの面積は、平面上から見た際の面積を意味する。
【0060】
複数の画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gは、放出される光のカラーによって複数個のグループに区分される。
図3、4a及び
図4bに示した一実施例表示モジュールDM、DM-1には、赤色光、青色光、緑色光を発光する3つの画素領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bを例示的に示している。例えば、一実施例の表示装置ES(
図1)は、互いに区分される赤色画素領域PXA-Rと、青色画素領域PXA-Bと、緑色画素領域PXA-Gとを含みうる。青色画素領域PXA-Bは第1画素領域であり、発光波長が410nm以上480nm以下の光を発光しうる。緑色画素領域PXA-Gは第2画素領域であり、発光波長が500nm以上600nm以下の光を発光しうる。赤色画素領域PXA-Rは第3画素領域であり、発光波長が620nm以上700nm以下の光を発光しうる。
【0061】
図4a及び
図4bに示した一実施例の表示モジュールDM、DM-1において、表示パネルDPは、有機層OLを共通層として含む発光素子EDを含むものとして示している。つまり、
図4a及び
図4bによる一実施例の表示モジュールDM、DM-1において、表示パネルDPは、表示モジュールDM、DM-1の画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gに関わらず同じ光を放出するのでありうる。例えば、表示パネルDPは、第1光である青色光を光制御部材CCM、CCM-1に提供しうる。または、表示パネルDPが、第1光として白色光を光制御部材CCM、CCM-1に提供してもよい。
【0062】
図3、
図4a及び
図4bに示した一実施例の表示モジュールDM、DM-1において、画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gのうちで、赤色画素領域PXA-Rと緑色画素領域PXA-Gとは同じ面積を有しており、青色画素領域PXA-Bは、赤色画素領域PXA-R及び緑色画素領域PXA-Gより小さい面積を有しうる。但し、これに限らず、画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gは、それぞれが互いに同じ面積を有するか、光制御部CCP-R、CCP-B、CCP-Gから放出される色によって多様な面積を有してもよい。例えば、一実施例の表示モジュールDMでは、青色画素領域PXA-Bが最も大きい面積を有し、緑色画素領域PXA-Gが最も小さい面積を有するのであってもよい。しかし、実施例はこれに限られず、画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gは、赤色光、青色光、緑色光以外の他の色の光を発光するか、他の面積割合で画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gが提供されてもよい。
【0063】
画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gのそれぞれは画素区画膜PDLでもって区分される領域でありうる。非画素領域NPXAは、隣り合う画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gの間の領域であって、画素区画膜PDLと対応する領域でありうる。
【0064】
図3に示したように、画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gのうちの赤色画素領域PXA-R及び緑色画素領域PXA-Gは、第2方向DR2に延長される基準軸を中心に対称の形状を有するのであり、青色画素領域PXA-Bは、赤色画素領域PXA-Rと緑色画素領域PXA-Gとの間に配置されうる。第1方向DR1から見る際、青色画素領域PXA-Bのうちの一部分は、赤色画素領域PXA-R及び緑色画素領域PXA-Gと重ならないのでありうる。但し、これに限らず、画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gは、多様な多角形状または円形状を有してもよく、画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gの配列構造も制限されない。例えば、青色画素領域PXA-B、緑色画素領域PXA-G、及び、赤色画素領域PXA-Gが、順次に交互に配列される縞状を有してもよく、画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gの配列構造はペンタイル(PENTILE
TM)構造を有してもよい。
【0065】
図4a乃至
図4bを参照すると、一実施例による表示パネルDPは、ベース基板BSと、ベース基板BSの上に配置される回路層DP-CLと、回路層DP-CLの上に配置される表示素子層DP-ELと、を含む。表示素子層DP-ELは、画素区画膜PDLと、画素区画膜PDL同士の間に配置される発光素子EDと、発光素子EDの上に配置される薄膜封止層TFEと、を含みうる。
【0066】
画素区画膜PDLは、高分子樹脂からなる。例えば、画素区画膜PDLは、ポリアクリレート系樹脂、またはポリイミド系樹脂を含んで形成される。また、画素区画膜PDLは、高分子樹脂以外に無機物を更に含んで形成されてもよい。一方、画素区画膜PDLは、光吸収物質を含んで形成されるか、ブラック顔料またはブラック染料を含んで形成されうる。また、画素区画膜PDLは無機物からなるのでありうる。例えば、画素区画膜PDLは、窒化ケイ素(SiNx)、酸化ケイ素(SiOx)、窒酸化ケイ素(SiOxNy)などを含んで形成されてもよい。画素区画膜PDLは、画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gを定義する。画素区画膜PDLによって画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gと非画素領域NPXAが区分されうる。
【0067】
画素区画膜PDLは隔壁BKと重畳する。つまり、複数個の画素区画膜PDLそれぞれは複数の隔壁BKそれぞれに対応して重畳する。
【0068】
発光素子EDは、互いに向き合う、第1電極EL1と第2電極EL2との間、及び第1電極EL1と第2電極EL2との間に配置される複数の有機層OLを含む。発光素子EDの有機層OLは、複数のスタック(stack; 堆積層)ST1、ST2、ST3、ST4を含む。複数のスタックST1、ST2、ST3、ST4のそれぞれには、正孔輸送物質及び電子輸送物質を含む機能層と、発光物質を含む発光層とが含まれる。つまり、一実施例の表示モジュールDMに含まれる発光素子EDは、複数の発光層を含むタンデム構造の発光素子である。以下、発光素子EDに含まれる各機能層と発光層に関する説明は後述する。
【0069】
図4a及び
図4bでは、有機層OLに含まれる複数のスタックST1、ST2、ST3、ST4が、それぞれの画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gと、非画素領域NPXAとの全体にて共通に提供される実施例を示している。つまり、発光素子EDに含まれる複数のスタックST1、ST2、ST3、ST4のそれぞれは、一部が画素区画膜PDLの上に配置され、画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gに配置される複数のスタックST1、ST2、ST3、ST4の部分が画素区画膜PDLの上で互いに連結されて一体の形状を有する共通層を形成する。それによって、複数のスタックST1、ST2、ST3、ST4内に配置される各機能層と発光層も、画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gと非画素領域NPXAとの全体で一体の形状を有する共通層を形成する。但し、実施例はこれに限らず、
図4a及び
図4bの図示とは異なって、一実施例において複数のスタックST1、ST2、ST3、ST4のうち少なくとも一部は、画素区画膜PDLにより画された開口部の内部にパターニングされて提供されてもよい。複数のスタックST1、ST2、ST3、ST4のうち少なくとも一部、または複数のスタックST1、ST2、ST3、ST4内に含まれる機能層と発光層のうちの少なくとも一部は、インクジェットプリント法でパターニングされて、画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gに重なるように定義された画素区画膜PDLの開口部の内部に提供される。
【0070】
発光素子EDの上には薄膜封止層TFEが配置されるが、薄膜封止層TFEは第2電極EL2の上に配置される。薄膜封止層TFEは第2電極EL2の上に直接配置される。薄膜封止層TFEは一層または複数の層が積層されている。薄膜封止層TFEは少なくとも一つの絶縁層を含む。一実施例による薄膜封止層TFEは、少なくとも一つの無機膜(以下、封止無機膜)を含む。また、一実施例による薄膜封止層TFEは、少なくとも一つの有機膜(以下、封止有機膜)、及び少なくとも一つの封止無機膜を含む。
【0071】
封止無機膜は水分/酸素から発光素子EDを保護し、封止有機膜はほこり粒子のような異物から発光素子EDを保護する。封止無機膜は、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化チタン、または酸化アルミニウムなどを含んでもよいが、特にこれに限らない。封止有機膜はアクリル系化合物、エポキシ系化合物などを含む。封止有機膜は光重合可能な有機物質を含むが、特にこれに限らない。
【0072】
一実施例の表示装置ESは、表示パネル DPの上に配置される光制御部材CCMを含む。光制御部材CCMは、上部ベース層BLと、上部ベース層BLの下側に配置される光制御層CCLと、を含む。光制御層CCLは、互いに離隔されて配置される複数の隔壁BKと、隔壁BK同士の間に配置される複数の光制御部CCP-R、CCP-B、CCP-Gと、を含む。つまり、一実施例による光制御部材CCMは、上部ベース層BLと、上部ベース層BLの上に配置される複数の隔壁BKと、互いに離隔される複数の隔壁BK同士の間に配置される光制御部CCP-R、CCP-B、CCP-Gと、を含む。
図4aでは、光制御層CCLが配置される基準面を提供するための上部ベース層BLが、別途に提供されることを例示的に示したが、これに限らず、光制御層CCLは、
図4bのように、表示素子層DP-ELの薄膜封止層TFEが提供する基準面の上に配置されてもよい。
【0073】
一実施例の光制御部材CCMは複数の光制御部CCP-R、CCP-B、CCP-Gを含む。光制御部CCP-R、CCP-B、CCP-Gは、第1波長の光で透過させる第1光制御部CCP-Bと、第1波長の光を第2波長の光に変換する第2光制御部CCP-Gと、第1波長の光または第2波長の光を第3波長の光に変換する第3光制御部CCP-Rと、を含む。第2波長の光は第1波長の光よりも長波長領域の光であり、第3波長の光は第1波長の光及び第2波長の光よりも長波長領域の光である。例えば、第1波長の光は青色光、第2波長の光は緑色光で、第3波長の光は赤色光であってもよい。第1波長の光は発光波長が410nm以上480nm以下の光であり、第2波長の光は発光波長が500nm以上600nm以下の光であり、第3波長の光は発光波長が620nm以上700nm以下の波長領域の光でありうる。一方、第1波長及び/または第2波長の光は表示パネルDPから光制御層CCLに提供されるソース光でありうる。
【0074】
第1光制御部CCP-B、第2光制御部CCP-G、及び第3光制御部CCP-Rのそれぞれには発光体が含まれる。発光体は、入射する光の波長を変換させて他の波長の光を発光する粒子である。一実施例において、第2光制御部CCP-G及び第3光制御部CCP-Rに含まれる発光体は、量子ドット(Quantum Dot)または蛍光体である。例えば、第1光制御部CCP-Bは第2波長の光を第1波長の光に変換する量子ドットQD1を含み、第2光制御部CCP-Gは第1波長の光を第2波長の光に変換する量子ドットQD2を含み、第3光制御部CCP-Rは第1波長の光及び/または第2波長の光を第3波長の光に変換する量子ドットQD3を含みうる。但し、これに限らず、第1光制御部CCP-Bは第1光の波長を透過させる透過部であってもよい。第1光制御部CCP-Bには量子点などの発光体が含まれなくてもよい。
【0075】
量子ドットは提供される光の波長を変換する粒子である。量子ドットはII-VI族化合物、III-VI族化合物、I-III-VI族化合物、III-V族化合物、IV-VI族化合物、IV族元素、IV族化合物、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0076】
II-VI族化合物は、(1)CdSe、CdTe、CdS、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、MgSe、MgS、及びこれらの混合物からなる群より選択される二元化合物、(2)CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HeZnSe、HeZnTe、MgZnSe、MgZnS、及びこれらの混合物からなる群より選択される三元化合物、及び、(3)HgZnTeS、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe、及びこれらの混合物からなる群より選択される四元化合物からなる群より選択される。
【0077】
III-VI族化合物は、In2S3、In2Se3などといった二元化合物、InGaS3、InGaSe3などといった三元化合物、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0078】
I-III-VI族化合物は、AgInS、AgInS2、CuInS、CuInS2、AgGaS2、CuGaS2、CuGaO2、AgGaO2、AgAlO2、及びこれらの混合物からなる群より選択される三元化合物、またはAgInGaS2、CuInGaS2などからなる群より選択される四元化合物から選択されうる。
【0079】
III-V族化合物は、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、及びこれらの混合物からなる群より選択される二元化合物と、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InGaP、InAlP、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、及びこれらの混合物からなる群より選択される三元化合物と、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb、及びこれらの混合物からなる群より選択される四元化合物とからなる群より選択される。一方、III-V族化合物はII族金属を更に含みうる。例えば、III-II-V族化合物としてInZnPなどが選択されてもよい。
【0080】
IV-VI族化合物は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、及びこれらの混合物からなる群より選択される二元化合物と、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、及びこれらの混合物からなる群より選択される三元化合物と、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe、及びこれらの混合物からなる群より選択される四元化合物とからなる群より選択されうる。IV族元素は、Si、Ge、及びこれらの混合物からなる群より選択されうる。IV族化合物は、SiC、SiGe、及びこれらの混合物からなる群より選択される二元化合物でありうる。
【0081】
ここで、二元化合物、三元化合物、または四元化合物は均一な濃度で粒子内に存在するか、濃度分布が部分的に異なる状態に分けられて同一粒子内に存在する。また、一つの量子ドットが他の量子ドットを囲むコア/シェル構造を有してもよい。コアとシェルの界面は、シェルに存在する元素の濃度が中心に行くほど低くなる濃度勾配(gradient)を有する。
【0082】
いくつかの実施例において、量子ドットは上述したナノ結晶を含むコア、及び前記コアを囲むシェルを含むコア-シェル構造を有する。前記量子ドットのシェルは、前記コアの化学的変性を防止して半導体特性を維持するための保護層の役割、及び/または量子ドットに電気泳動特性を与えるためのチャージング層(charging layer)の役割をする。前記シェルは単層(single-layer)または多重層(multi-layer)である。コアとシェルの界面は、シェルに存在する元素の濃度が、中心に行くほど低くなる濃度勾配を有する。前記量子ドットのシェルの例としては、金属または非金属の酸化物、半導体化合物、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0083】
例えば、前記金属または非金属の酸化物は、SiO2、Al2O3、TiO2、ZnO、MnO、Mn2O3、Mn3O4、CuO、FeO、Fe2O3、Fe3O4、CoO、Co3O4、NiOなどの二元化合物、またはMgAl2O4、CoFe2O4、NiFe2O4、CoMn2O4などの三元化合物などが挙げられるが、本発明はこれに限らない。
【0084】
また、前記半導体化合物は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnSeS、ZnTeS、GaAs、GaP、GaSb、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InP、InGaP、InSb、AlAs、AlP、AlSbなどが挙げられるが、本発明はこれに限らない。
【0085】
量子ドットは、約45nm以下、好ましくは約40nm以下、より好ましくは約30nm以下の発光波長スペクトルの半値幅(full width of half maximum、FWHM)を有し、この範囲で色純度や色再現性を向上させることができる。また、このような量子ドットを介して発光される光は全方向に放出されるゆえ、光視野角が向上される。
【0086】
また、量子ドットの形態は、当分野で一般的に使用する形態のものであって、特に限られないが、より詳しくは、球状、ピラミッド状、多腕(multi-arm)状、立方体(cubic)のナノ粒子、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノ繊維、ナノ板状粒子などの形態のものを使用してもよい。
【0087】
量子ドットは粒子のサイズによって放出する光の色相が調節されるが、それによって量子ドットは青色、赤色、緑色など多様な発光色相を有する。量子ドットの粒子サイズが小さいほど短波長領域の光を発光する。例えば、緑色光を放出する量子ドットの粒子サイズは赤色光を放出する量子ドットの粒子サイズより小さく、青色光を放出する量子ドットの粒子サイズは緑色光を放出する量子ドットの粒子サイズより小さい。
【0088】
光制御層CCLに含まれる複数の光制御部CCP-R、CCP-B、CCP-Gそれぞれは散乱体SPを更に含む。第1光制御部CCP-Bは第1量子ドットQD1と散乱体SPを含み、第2光制御部CCP-Gは第2量子ドットQD2と散乱体SPを含み、第3光制御部CCP-Rは第3量子ドットQD3と散乱体SPを含む。但し、これに限らず、第1光制御部CCP-Bにおいて、第1量子ドットQD1は省略されて、第1光制御部CCP-Bは散乱体SPのみを含んでもよい。
【0089】
散乱体SPは無機粒子である。例えば、散乱体SPは、TiO2、ZnO、Al2O3、SiO2、及び中空シリカのうち少なくとも一つを含んでもよい。散乱体SPは、TiO2、ZnO、Al2O3、SiO2、及び中空シリカのうち少なくともいずれか一つを含むか、TiO2、ZnO、Al2O3、SiO2、及び中空シリカのうちから選択される2種以上の物質が混合されたものである。
【0090】
第1光制御部CCP-B、第2光制御部CCP-G、及び第3光制御部CCP-Rそれぞれは、量子ドットQD1、QD2、QD3及び散乱体SPを分散させるベース樹脂BR1、BR2、BR3を含む。一実施例において、第1光制御部CCP-Bは第1ベース樹脂BR1内に分散されている第1量子ドットQD1と散乱体SPを含み、第2光制御部CCP-Gは第2ベース樹脂BR2内に分散されている第2量子ドットQD2と散乱体SPを含み、第3光制御部CCP-Rは第3ベース樹脂BR3内に分散されている第3量子ドットQD3と散乱体SPを含む。ベース樹脂BR1、BR2、BR3は量子点QD1、QD2、QD3及び散乱体SPが分散される媒質であって、一般にバインダと称される多様な樹脂組成物からなる。例えば、ベース樹脂BR1、BR2、BR3はアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂などである。ベース樹脂BR1、BR2、BR3は透明樹脂である。一実施例において、第1ベース樹脂BR1、第2ベース樹脂BR2、及び第3ベース樹脂BR3それぞれは互いに同じであるか異なる。
【0091】
隔壁BKは、光制御層CCLと重畳する画素領域PXA-R、PXA-B、PXA-Gそれぞれを区分する開口部を定義する。光制御部CCP-R、CCP-B、CCP-Gは隔壁BKに定義された開口部を充填する。一方、隔壁BKは、光吸収物質を含んで形成されるか、ブラック顔料またはブラック染料を含んで形成される。
【0092】
一実施例による光制御部材CCMはカラーフィルタ層CFLを更に含む。カラーフィルタ層CFLは上部ベース層BLと光制御層CCLとの間に配置される。カラーフィルタCFLは遮光部BMとフィルタCF-B、CF-G、CF-Rとを含む。カラーフィルタ層CFLは、第1波長の光を透過させる第1フィルタCF-Bと、第2波長の光を透過させる第2フィルタCF-Gと、第3波長の光を透過させる第3フィルタCF-Rとを含む。例えば、第1フィルタCF-Bは青色フィルタ、第2フィルタCF-Gは緑色フィルタで、第3フィルタCF-Rは赤色フィルタであってもよい。フィルタCF-B、CF-G、CF-Rそれぞれは、高分子感光樹脂と、顔料または染料を含む。第1フィルタCF-Bは青色の顔料または染料を含み、第2フィルタCF-Gは緑色の顔料または染料を含み、第3フィルタCF-Rは赤色の顔料または染料を含む。一方、実施例はこれに限らず、第1フィルタCF-Bは顔料または染料を含まなくてもよい。第1フィルタCF-Bは高分子感光樹脂を含み、顔料または染料を含まない。第1フィルタCF-Bは透明である。第1フィルタCF-Bは透明感光樹脂からなる。
【0093】
また、一実施例において、第2フィルタCF-Gと第3フィルタCF-Rは黄色(yellow)フィルタである。第2フィルタCF-Gと第3フィルタCF-Rは互いに区分されずに一体で提供される。
【0094】
遮光部BMはブラックマトリクスである。遮光部BMは、ブラック顔料またはブラック染料を含む有機遮光物質または無機遮光物質を含んで形成される。遮光部BMは光漏れ現象を防止し、隣接するフィルタCF-B、CF-G、CF-Rの間の境界を区分する。また、一実施例において、遮光部BMは青色フィルタで形成される。複数の遮光部BMそれぞれは複数の隔壁BKそれぞれに対応して重畳する。
【0095】
第1乃至第3フィルタCF-B、CF-G、CF-Rそれぞれは、青色画素領域PXA-B、緑色画素領域PXA-G、及び赤色画素領域PXA-Rそれぞれに対応して配置される。
【0096】
カラーフィルタ層CFLの上には上部ベース層BLが配置される。上部ベース層BLは、カラーフィルタ層CFL及び光制御層CCLなどが配置されるベース面を提供する部材である。上部ベース層BLは、ガラス基板、金属基板、プラスチック基板などである。しかし、実施例はこれに限らず、上部ベース層BLは無機層、有機層、または複合材料層であってもよい。また、図示とは異なって、一実施例において上部ベース層BLは省略されてもよい。
【0097】
図示していないが、カラーフィルタ層CFLは低屈折層を更に含む。低屈折層はフィルタCF-B、CF-G、CF-Rと光制御層CCLとの間に配置される。低屈折層の屈折率は1.1以上1.5以下である。低屈折層の屈折率値は、低屈折層に含まれる中空無機粒子、及び/またはボイド(void)などの割合によって調節される。
【0098】
図示していないが、表示モジュールDMは、カラーフィルタ層CFLの上部または下部に設置され、表示モジュールDMに入射する外部光を遮断する反射防止層を更に含む。反射防止層は外部光のうち一部を遮断する。反射防止層は外部光によって表示パネルDPから発生する反射光を低減させる。反射防止層は、例えば、偏光層である。一実施例において、表示モジュールDMは上部ベース層BLの下部に配置される偏光層を更に含み、カラーフィルタ層CFLは省略されてもよい。
【0099】
光制御部材CCMは水分及び酸素などを遮断し、上部及び下部に配置される構成を保護するバッファ層BFL1、BFL2を更に含む。バッファ層BFL1、BFL2は第1バッファ層BFL1と第2バッファ層BFL2とを含む。第1バッファ層BFL1は薄膜封止層TFEと光制御層CCLとの間に配置される。第2バッファ層BFL2は光制御層CCLとカラーフィルタ層CFLとの間に配置される。
【0100】
第1バッファ層BFL1は、光制御層CCLに水分及び/または酸素(以下、「水分/酸素」と称する)が浸透するのを防ぐ役割をする。第1バッファ層BFL1は光制御層CCLの下部に配置され、光制御層CCLが水分/酸素に露出されることを遮断する。第1バッファ層BFL1は少なくとも一つの無機層を含む。つまり、第1バッファ層BFL1は無機物質を含んで形成される。例えば、第1バッファ層BFL1は、シリコン窒化物、アルミニウム窒化物、ジルコニウム窒化物、チタン窒化物、ハフニウム窒化物、タンタル窒化物、シリコン酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、錫酸化物、セリウム酸化物、及びシリコン酸窒化物や、光透過率が確保された金属薄膜などを含んで形成される。一方、第1バッファ層BFL1は有機膜を更に含む。第1バッファ層BFL1は単一層または複数の層からなる。
【0101】
第2バッファ層BFL2は光制御層CCL及びカラーフィルタ層CFLを保護する保護層である。第2バッファ層BFL2は、シリコン窒化物、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物のうち少なくとも一つの無機物を含む無機物層である。第2バッファ層BFL2は単一層または複数の層からなる。
【0102】
図4bを参照すると、一実施例による表示モジュールDM-1は、表示パネルDPと表示パネルDPの上に配置される光制御部材CCM-1とを含み、光制御部材CCM-1は光制御層CCL-1とカラーフィルタ層CFL-1とを含む。一実施例による表示モジュールDM-1において、光制御層CCL-1は表示パネルDPの上に配置される。光制御層CCL-1は第1バッファ層BFL1を間に挟んで表示パネルDPの上に配置される。
【0103】
光制御部材CCM-1の光制御層CCL-1は、複数の隔壁BKと、隔壁BKの間に配置される光制御部CCP-R、CCP-B、CCP-Gとを含む。カラーフィルタ層CFL-1は、遮光部BM-1とフィルタCF-R1、CF-B1、CF-G1とを含む。
【0104】
図4aに示した表示モジュールDMに比べ、
図4bに示した一実施例による表示モジュールDM-1は、上部ベース層BLが省略され、光制御層CCL-1及びカラーフィルタ層CFL-1が薄膜封止層TFEの上面をベース面にして配置される実施例である。つまり、光制御層CCL-1の光制御部CCP-R、CCP-B、CCP-Gは表示パネルDPの上に連続工程で配置され、カラーフィルタ層CFL-1のフィルタCF-R1、CF-B1、CF-G1は光制御層CCL-1の上に連続工程によって順次に形成される。
【0105】
図示していないが、カラーフィルタ層CFL-1は低屈折層を含む。カラーフィルタ層CFL-1に含まれる遮光部BM-1及びフィルタCF-R1、CF-B1、CF-G1のうち一部は省略されてもよい。光制御部材CCM-1は水分及び酸素などを遮断し、上部及び下部に配置される構成を保護するバッファ層BFL1、BFL2を更に含む。バッファ層BFL1、BFL2は、薄膜封止層TFEと光制御層CCL-1との間に配置される第1バッファ層BFL1と、光制御層CCL-1とカラーフィルタ層CFL-1との間に配置される第2バッファ層BFL2と、を含む。
【0106】
図5及び
図6a乃至
図6dは、本発明の一実施例による発光素子を概略的に示す断面図である。以下、
図5及び
図6a乃至
図6dを参照して本発明の一実施例に発光素子ED、ED-1、ED-2、ED-3について説明する。
【0107】
図5を参照すると、発光素子EDは、第1電極EL1と、第2電極EL2と、第1電極EL1と第2電極EL2との間に配置されるn個のスタックST1、STnとを含み、nは2以上の整数である。つまり、発光素子EDは少なくとも2つ以上のスタックを含むが、例えば、2つのスタック、3つのスタック、または4つ以上のスタックを含んでもよい。
【0108】
一実施例の発光素子EDは、少なくとも第1発光層BEMLを含むスタックST1と、第2発光層GEMLを含むスタックSTnとを必ず含む。本発明において、第1発光層BEMLは第1波長の光を放出する発光層を意味し、第2発光層GEMLは第2波長の光を放出する発光層を意味する。第1発光層及び第2発光層BEML、GEMLの図面符号に付いている数字(1、n)は、各発光層が何番目のスタックに含まれるのかを意味する。但し、それぞれのスタックの順番は
図5に限られない。
【0109】
複数のスタック層ST1、STnのうち隣り合うスタックの間には電荷生成層CGL1が配置される。電荷生成層CGL1は、p型電荷生成層p-CGL1及び/またはn型電荷生成層n-CGL1を含む。電荷生成層CGL1は正孔及び/または電荷の移動を促す。
【0110】
以下、
図6a乃至
図6dを参照して、4つのスタックを含む一例示の発光素子ED、ED-1、ED-2、ED-3について詳細に説明する。
【0111】
図6aを参照すると、一実施例の発光素子EDは、第1電極EL1と、第1電極EL1と向かい合う第2電極EL2と、第1電極EL1と第2電極EL2との間に配置される複数のスタックST1、ST2、ST3、ST4とを含む。複数のスタックST1、ST2、ST3、ST4は、第1スタックST1と、第2スタックST2と、第3スタックST3と、第4スタックST4とを含む。第1スタックST1、第2スタックST2、第3スタックST3、及び第4スタックST4それぞれは発光層を含む。
図6aでは発光素子EDが計4つのスタックST1、ST2、ST3、STS4を含むと例示的に示したが、これに限らず、発光素子EDは2つ、3つ、または5つ以上のスタックを含んでもよい。例えば、
図6aに示した発光素子EDの構造において、第2スタックST2及び第3スタックST3は省略され、第1スタックST1及び第4スタックST4の2つのスタックを有する発光素子の構造が提供されてもよい。
【0112】
一実施例の発光素子EDにおいて、第1電極EL1と複数の発光層BEML1、BEML2、BEML3、GEML4-1との間には正孔輸送領域HTRが配置される。第2電極EL2と複数の 発光層BEML1、BEML2、BEML3、GEML4-2との間には電子輸送領域ETRが配置される。一実施例において、発光素子EDは第1電極EL1から第2電極EL2の方向に光を出射する。一実施例の発光素子EDは、光を出射する方向を基準に、正孔輸送領域HTRが複数の 発光層BEML1、BEML2、BEML3、GEML4-1の下部に配置され、電子輸送領域ETRが複数の 発光層BEML1、BEML2、BEML3、GEML4の上部に配置される構造を例示的に示している。但し、これに限らず、光を出射する方向を基準に、電子輸送領域ETRが複数の発光層BEML1、BEML2、BEML3、GEML4-1の下部に配置され、正孔輸送領域HTRが複数の発光層BEML1、BEML2、BEML3、GEML4-2の上部に配置される逆の(Inverted)素子構造を有してもよい。
【0113】
一実施例による発光素子EDは、複数のスタックST1、ST2、ST3、ST4の間に配置される電荷生成層CGL1、CGL2、CGL3を含む。一実施例による発光素子EDは、第1スタックST1と第2スタックST2との間に配置される第1電荷生成層CGL1と、第2スタックST2と第3スタックST3との間に配置される第2電荷生成層CGL2と、第3スタックST2と第4スタックST3との間に配置される第3電荷生成層CGL3と、を含む。
【0114】
電荷生成層CGL1、CGL2、CGL3は、電圧が印加されたら酸化-還元反応によって錯体を形成することで電荷(電子及び正孔)を生成する。そして、電荷生成層CGL1、CGL2、CGL3は、生成された電荷を隣接したスタックST1、ST2、ST3、ST4それぞれに提供する。電荷生成層CGL1、CGL2、CGL3は隣接したそれぞれのスタックST1、ST2、ST3、ST4から発生する電流の効率を倍に増加させ、隣接したスタックST1、ST2、ST3、ST4の間で電荷の均衡を調節する役割をする。
【0115】
電荷生成層CGL1、CGL2、CGL3それぞれは、n型電荷生成層電荷生成層n-CGL1、n-CGL2、n-CGL3とp型電荷生成層p-CGL1、p-CGL2、p-CGL3が互いに接合された層構造を有する。第1電荷生成層CGL1は、第1n型電荷生成層n-CGL1と第1p型電荷生成層p-CGL1が互いに接合した層構造を有する。第2電荷生成層CGL2は、第2n型電荷生成層n-CGL2と第2p型電荷生成層p-CGL2が互いに接合した層構造を有する。第3電荷生成層CGL3は、第3n型電荷生成層n-CGL3と第3p型電荷生成層p-CGL3が互いに接合した層構造を有する。
【0116】
n型電荷生成層n-CGL1、n-CGL2、n-CGL3は隣接したスタックに電荷を提供する電荷生成層である。n型電荷生成層n-CGL1、n-CGL2、n-CGL3はベース物質にn-ドーパントがドーピングされた層である。p型電荷生成層p-CGL1、p-CGL2、p-CGL3は隣接したスタックに正孔を提供する電荷生成層である。図示していないが、n型電荷生成層電荷生成層n-CGL1、n-CGL2、n-CGL3とp型電荷生成層p-CGL1、p-CGL2、p-CGL3との間にはバッファ層が更に配置される。
【0117】
電荷生成層CGL1、CGL2、CGL3それぞれはn型アリールアミン系物質を含むか、p型金属酸化物を含む。例えば、電荷生成層CGL1、CGL2、CGL3それぞれはアリールアミン系物質の有機化合物、金属、金属の酸化物、炭化物、フッ化物、またはこれらの混合物からなる電荷発生化合物を含む。
【0118】
例えば、アリールアミン系の有機化合物はα-NPD、2-TNATA、TDATA、MTDATA、spiro-TAD、またはspiro-NPBである。例えば、金属はセシウム(Cs)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、タングステン(W)、バリウム(Ba)、またはリチウム(Li)である。また、例えば、金属の酸化物、炭化物、及びフッ化物はRe2O7、MoO3、V2O5、WO3、TiO2、Cs2CO3、BaF、LiF、またはCsFである。
【0119】
一実施例による発光素子EDにおいて、第1スタックST1、第2スタックST2、及び第3スタックST3それぞれには第1波長の光を放出する第1発光層BEML1、BEML2、BEML3が含まれる。第1波長の光は青色波長領域の光である。一実施例において、第1波長は420nm以上480nm以下である。第1発光層BEML1、BEML2、BEML3は420nm以上480nm以下の波長の光を発光する有機材料を含む。第1発光層BEML1、BEML2、BEML3は、例えばホスト及びドーパントを含む。
【0120】
第1発光層BEML1、BEML2、BEML3は単一層構造を有する。第1発光層BEML1、BEML2、BEML3は第2発光層GEML4-1、GEML4-2のような二重層構造を有しない。単一層構造を有する第1発光層BEML1、BEML2、BEML3は10nm以上40nm以下の厚さを有するが、但し、これに限らない。
【0121】
一実施例による発光素子EDにおいて、第4スタックST4には第2波長の光を放出する第2発光層GEML4-1、GEML4-2が含まれる。第2波長の光は緑色波長領域の光である。一実施例において、第2波長は520nm以上600nm以下である。
【0122】
第2発光層GEML4-1、GEML4-2は二重層構造を有する。一実施例において、二重層構造のうち一つの層GEML4-1は正孔輸送性の第1ホスト(以下、正孔輸送性ホスト)を含み、残りの一つの層GEML4-2は電子輸送性の第2ホスト(以下、電子輸送性ホスト)を含む。正孔輸送性ホストは分子構造内に正孔輸送性部分構造を有する物質である。電子輸送性ホストは分子構造内に電子輸送性部分構造を有する物質である。二重層GEML4-1、GEML4-2それぞれの間には他の層は配置されず、二重層が互いに接触する。
【0123】
第2発光層GEML4-1、GEML4-2は第1サブ発光層GEML4-1と第2サブ発光層GEML4-2とを含む。第1サブ発光層GEML4-1及び第2サブ発光層GEML4-2は互いに接触する層である。第2発光層GEML4-1、GEML4-2は10nm以上30nm以下の厚さを有する。第1サブ発光層GEML4-1及び第2サブ発光層GEML4-2それぞれは5nm以上25nm以下の厚さを有する。第1サブ発光層GEML4-1及び第2サブ発光層GEML4-2は互いに同じ厚さを有する。但し、これに限らず、第1サブ発光層GEML4-1及び第2サブ発光層GEML4-2は互いに異なる厚さを有してもよい。
【0124】
第1サブ発光層GEML4-1は正孔輸送性ホスト物質と第2波長の光を発光する第1ドーパントを含み、第2サブ発光層GEML4-2は電子輸送性ホスト物質と第2波長の光を発光する第2ドーパントを含む。一実施例において、第1ドーパント及び第2ドーパントは互いに異なる物質である。但し、これに限らず、第1ドーパント及び第2ドーパントは互いに同じであってもよい。
【0125】
一実施例による発光素子EDにおいて、第1サブ発光層GEML4-1に含まれる正孔輸送性ホストと第1ドーパントのHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)エネルギー準位差は0.2eV以下であり、第2サブ発光層GEML4-2に含まれる電子輸送性ホストと第2ドーパントのHOMOエネルギー準位差は0.1eV以上である。
【0126】
一実施例による発光素子EDにおいて、第1サブ発光層GEML4-1は下記化合物群HTのうちいずれか一つをホストとして含む。但し、これに限らない。
【0127】
【0128】
【0129】
一実施例による発光素子EDにおいて、第2サブ発光層GEML4-2は下記化合物群ETのうちいずれか一つをホストとして含む。但し、これに限らない。
【0130】
【0131】
一実施例による発光素子EDにおいて、第1サブ発光層GEML4-1に含まれる第1ドーパントは中心金属が白金(Pt)である有機金属化合物を含む。
【0132】
一実施例において、第1ドーパントは下記化学式M-aで表される。
【0133】
【0134】
前記化学式M-aにおいて、Q
1及びQ
4は、それぞれ独立してCまたはNであり、環C1乃至C4は、それぞれ独立して、置換または非置換の環形成炭素数5以上30以下の炭化水素環、または置換または非置換の環形成炭素数2以上30以下ヘテロ環である。L
21乃至L
24は、それぞれ独立して、直接結合、
置換または非置換の炭素数1以上20以下の2価のアルキル基、置換または非置換の環形成の炭素数6以上30以下のアリーレン基、または置換または非置換の環形成の炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基であり、e1乃至e4はそれぞれ独立して0または1である。R
31乃至R
39は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換または非置換のアミン基、置換または非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換または非置換の環形成の炭素数6以上30以下のアリール基、または置換または非置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であるか、または隣接する基と互いに結合して環(リング)を形成するのであり、d1乃至d4はそれぞれ独立して0以上4以下の整数である。
【0135】
化学式M-aで表される化合物は、下記化合物群M-aのうちのいずれか一つで表されうる。しかし、下記化合物は例示的なものであって、化学式M-aで表される化合物は下記化合物で表されるものに限られるのでない。
【0136】
【0137】
一実施例による発光素子EDにおいて、第2サブ発光層GEML4-2に含まれる第2ドーパントは中心金属がイリジウム(Ir)である有機金属化合物を含みうる。
【0138】
一実施例において、第2ドーパントは下記化学式M-bで表されうる。
【0139】
【0140】
前記化学式M-bにおいて、Y1乃至Y4、及びZ1乃至Z4はそれぞれ独立してCR1またはNであり、R1乃至R4は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換または非置換のアミン基、置換または非置換のチオ基、置換または非置換のオキシ基、置換または非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換または非置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換または非置換の環形成の炭素数6以上30以下のアリール基、または置換または非置換の環形成の炭素数2以上30以下のヘテロアリールであるか、または隣接する基と互いに結合して環を形成するのでありうる。化学式M-bにおいて、mは0または1で、nは2または3である。化学式M-bにおいて、mが0であればnは3で、mが1であればnは2である。
【0141】
化学式M-bで表される化合物は、下記化合物群M-bのうちのいずれか一つで表されうる。しかし、下記化合物は例示的なものであって、化学式M-bで表される化合物は下記化合物に限られるのでない。
【0142】
<化合物群M-b>
(1)化合物M-b1~M-b7
【0143】
【0144】
第1スタックST1は、第1電極EL1から提供される正孔を第1発光層BEML1に輸送する正孔輸送領域HTRと、第1電荷生成層CGL1から生成された電子を第1発光層BEML1に輸送する第1中間電子輸送領域と、を更に含みうる。
【0145】
正孔輸送領域HTRは、第1電極EL1の上に配置される正孔注入層HILと、正孔注入層HILの上に配置される正孔輸送層HTLと、を含みうる。正孔輸送層HTLは第1発光層BEML1の下面に接触しうる。但し、これに限らず、正孔輸送領域HTRは正孔輸送層HTLの上に配置される正孔側追加層を更に含んでもよい。正孔側追加層は、正孔バッファ層と、発光補助層と、電子阻止層とのうち少なくとも一つを含みうる。正孔バッファ層は、発光層から放出される光の波長による共振距離を補償して、光放出効率を増加させる層でありうる。電子阻止層は、電子輸送領域から正孔輸送領域への電子注入を防止する役割をする層でありうる。
【0146】
第1中間電子輸送領域は、第1-1発光層BEML1の上に配置される第1中間電子輸送層METL1を含みうる。第1中間電子輸送層METL1は第1-1発光層BEML1と第1電荷生成層CGL1との間に配置され、第1-1発光層BEML1及び第1電荷生成層CGL1それぞれと接触しうる。但し、これに限らず、第1中間電子輸送領域は、第1中間電子輸送層METL1と第1-1発光層BEML1との間に配置される第1中間電子側追加層を更に含んでもよい。第1中間電子側追加層は、電子バッファ層と、正孔阻止層とのうち少なくとも一つを含みうる。また、第1中間電子輸送層METL1と第1電荷生成層CGL1との間には第1中間電子注入層が配置されてもよい。
【0147】
第2スタックST2は、第1電荷生成層CGL1から生成された正孔を第1-2発光層BEML2に輸送する第1中間正孔輸送領域MHTR1と、第2電荷生成層CGL2から提供される電子を第1-2発光層BEML2に輸送する第2中間電子輸送領域を更に含みうる。
【0148】
第1中間正孔輸送領域MHTR1は、第1電荷生成層CGL1の上に配置される第1中間正孔注入層MHIL1と、第1中間正孔注入層MHIL1の上に配置される第1中間正孔輸送層MHTL1と、を含みうる。第1中間正孔輸送層MHTL1は第1-2発光層BEML2の下面に接触しうる。但し、これに限らず、第1中間正孔輸送領域MHTR1は第1中間正孔輸送層MHTL1の上に配置される第1中間正孔側追加層を更に含んでもよい。第1中間正孔側追加層は、正孔バッファ層と、発光補助層と、電子阻止層とのうち少なくとも一つを含みうる。
【0149】
第2中間電子輸送領域は、第1-2発光層BEML2の上に配置される第2中間電子輸送層METL2を含みうる。第2中間電子輸送層METL2は第1-2発光層BEML2と第2電荷生成層CGL2との間に配置され、第1-2発光層BEML2及び第2電荷生成層CGL2それぞれと接触しうる。但し、これに限らず、第2中間電子輸送領域は、第2中間電子輸送層METL2と第1-2発光層BEML2との間に配置される第2中間電子側追加層を更に含んでもよい。第2中間電子側追加層は、電子バッファ層と、正孔阻止層とのうち少なくとも一つを含みうる。また、第2中間電子輸送層METL2と第2電荷生成層CGL2との間には第2中間電子注入層が配置されてもよい。
【0150】
第3スタックST3は、第2電荷生成層CGL2から生成された正孔を第1-3発光層BEML3に輸送する第2中間正孔輸送領域MHTR2と、第3電荷生成層CGL3から提供される電子を第1-3発光層BEML3に輸送する第2中間電子輸送領域を更に含みうる。
【0151】
第2中間正孔輸送領域MHTR2は、第2電荷生成層CGL2の上に配置される第2中間正孔注入層MHIL2と、第2中間正孔注入層MHIL2の上に配置される第2中間正孔輸送層MHTL2と、を含みうる。第2中間正孔輸送層MHTL2は第1-3発光層BEML3の下面に接触しうる。但し、これに限らず、第2中間正孔輸送領域MHTR2は第2中間正孔輸送層MHTL2の上に配置される第2中間正孔側追加層を更に含んでもよい。第2中間正孔側追加層は、正孔バッファ層と、発光補助層と、電子阻止層とのうち少なくとも一つを含みうる。
【0152】
第3中間電子輸送領域は、第1-3発光層BEML3の上に配置される第3中間電子輸送層METL3を含みうる。第3中間電子輸送層METL3は第1-3発光層BEML3と第3電荷生成層CGL3との間に配置され、第1-3発光層BEML3及び第3電荷生成層CGL3それぞれと接触しうる。但し、これに限らず、第3中間電子輸送領域は、第3中間電子輸送層METL3と第1-3発光層BEML3との間に配置される第3中間電子側追加層を更に含んでもよい。第3中間電子側追加層は、電子バッファ層と、正孔阻止層とのうち少なくとも一つを含みうる。また、第3中間電子輸送層METL3と第3電荷生成層CGL3との間には第3中間電子注入層が配置されてもよい。
【0153】
第4スタックST4は、第3電荷生成層CGL3から生成された正孔を第2発光層GEML4-1、GEML4-2に輸送する第3中間正孔輸送領域MHTR3と、第2電極EL2から提供される電子を第2発光層GEML4-1、GEML4-2に輸送する電子輸送領域ETRを更に含みうる。
【0154】
第3中間正孔輸送領域MHTR3は、第3電荷生成層CGL3の上に配置される第3中間正孔注入層MHIL3と、第3中間正孔注入層MHIL3の上に配置される第3中間正孔輸送層MHTL3と、を含みうる。第3中間正孔輸送層MHTL3は第2発光層GEML4-1、GEML4-2の下面に接触しうる。但し、これに限らず、第3中間正孔輸送領域MHTR3は第3中間正孔輸送層MHTL3の上に配置される第3中間正孔側追加層を更に含んでもよい。第3中間正孔側追加層は、正孔バッファ層と、発光補助層と、電子阻止層とのうち少なくとも一つを含みうる。
【0155】
電子輸送領域ETRは、第2発光層GEMLの上に配置される電子輸送層ETLと、電子輸送層ETLの上に配置される電子注入層EILと、を含みうる。電子輸送層ETLは第2発光層GEMLと接触しうる。但し、これに限らず、電子輸送領域ETRは電子輸送層ETLと第2発光層GEMLとの間に配置される電子側追加層を更に含んでもよい。電子側追加層は、電子バッファ層と、正孔阻止層とのうち少なくとも一つを含みうる。
【0156】
図6bを参照すると、一実施例の発光素子ED-1は、
図6aに示した発光素子EDに比べ、複数の第2発光層GEML3-1、GEML3-2、GEML4-1、GEML4-2を含みうる。一方、それぞれのスタックに含まれる第2発光層GEML3-1、GEML3-2、GEML4-1、GEML4-2がいずれも二重層構造を有すると示したが、第3スタックST3及び第4スタックST4のうちのいずれか一つが二重層構造を有し、他の一つは単一層構造を有してもよい。
【0157】
図6c及び
図6dを参照すると、一実施例の発光素子ED-2、ED-3は
図6aに示した発光素子EDに比べ、第2発光層GEMLが第4スタックST4に含まれずに他のスタックに含まれうる。例えば、
図6c示した一実施例の発光素子ED-2のように、第3スタックST3が第2発光層GEML-1、GEML-2を含み、第1スタックST1、第2スタックST2、及び第4スタックST4それぞれが第1発光層BEML1、BEML2、BEML4を含んでもよい。または、
図6d示した一実施例の発光素子ED-3のように、第1スタックST1が第2発光層GEML1-1、GEML1-2を含み、第2スタックST2、第3スタックST3、及び第4スタックST4それぞれが第1発光層BEML2、BEML3、BEML4を含んでもよい。図示していないが、第2スタックST2が第2発光層GEMLを含み、残りの第1スタックST1、第3スタックST3、及び第4スタックST4それぞれが第1発光層BEML1、BEML3、BEML4を含んでもよい。
【0158】
図6a乃至
図6dを共に参照すると、一実施例による発光素子ED、ED-1、ED-2、ED-3において、第1電極EL1は導電性を有する。第1電極EL1は金属材料、金属合金、または導電性化合物からなりうる。第1電極EL1はアノード(anode)またはカソード(cathode)でありうる。しかし、実施例はこれに限られるのでない。また、第1電極EL1は画素電極でありうる。
【0159】
一実施例による発光素子ED、ED-1、ED-2、ED-3において、第1電極EL1は反射型電極でありうる。例えば、第1電極EL1は反射率が高いAg、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti、W、In、Zn、Sn、またはこれらの化合物や混合物(例えば、AgとMgの混合物)を含みうる。または、第1電極EL1は前記物質からなる反射膜及びITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)などからなる透明導電膜を含む複数の層構造でありうる。例えば、第1電極EL1はITO/Agの2層構造及びITO/Ag/ITOの3層構造を有してもよいが、これに限らない。また、実施例はこれに限らず、第1電極EL1は上述した金属材料、上述した金属材料のうちから選択された2種以上の金属材料の組み合わせ、または上述した金属材料の酸化物などを含んでもよい。第1電極EL1の厚さは約70nm乃至約1000nmである。例えば、第1電極EL1の厚さは約100nm乃至約300nmであってもよい。
【0160】
一実施例による発光素子ED、ED-1、ED-2、ED-3において、正孔輸送領域HTR及び中間正孔輸送領域MHTR1、MHTR2、MHTR3は、単一物質からなる単一層、複数の互いに異なる物質からなる単一層、または複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有しうる。
【0161】
正孔輸送領域HTR及び中間正孔輸送領域MHTR1、MHTR2、MHTR3それぞれは、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(Langmuir-Blodgett)、インクジェットプリント法、レーザプリント法、レーザ熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI)などのような多様な方法を利用して形成されうる。
【0162】
正孔輸送領域HTR及び中間正孔輸送領域MHTR1、MHTR2、MHTR3のそれぞれは、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、トリフェニルアミンを含むポリエーテルケトン(TPAPEK)、4-イソプロピル-4’-などを含みうる。
【0163】
正孔輸送領域HTR及び中間正孔輸送領域MHTR1、MHTR2、MHTR3のそれぞれは、例えば、N-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール系誘導体、フルオレン系誘導体、TPD(N、N’-ビス(3-メチルフェニル)-N、N’-ジフェニル-[1、1’-ビフェニル]-4、4’-ジアミン)、TCTA(4、4’、4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン)などといったトリフェニルアミン系誘導体、mCP(1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼン)などを含んでもよい。
【0164】
また、正孔輸送領域HTR及び中間正孔輸送領域MHTR1、MHTR2、MHTR3のそれぞれは、CzSi(9-(4-tert-ブチルフェニル)-3,6-ビス(トリフェニルシリル)-9H-(カルバゾール)、CCP(9-フェニル-9H-3,9’-ビカルバゾール)、またはmDCP(1,3-ビス(1,8-ジメチル-9Hカルバゾール-9-イル)ベンゼン)などを含む。
【0165】
正孔輸送領域HTRは、上述した正孔輸送領域の化合物を、正孔孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、及び正孔側追加層のうちの少なくとも一つに含みうる。中間正孔輸送領域MHTR1、MHTR2、MHTR3は、上述した正孔輸送領域の化合物を、中間正孔注入層MHIL1、MHIL2、MHIL3、中間正孔輸送層MHTL1、MHTL2、MHTL3、及び中間正孔側追加層のうちの少なくとも一つに含みうる。
【0166】
正孔輸送領域HTR及び中間正孔輸送領域MHTR1、MHTR2、MHTR3のそれぞれの厚さは、約10nm乃至約1000nm、例えば、約10nm乃至約500nmでありうる。正孔注入層HIL及び中間正孔注入層MHIL1、MHIL2、MHIL3それぞれの厚さは、例えば、約5nm乃至約100nmでありうる。正孔輸送層HTL及び中間正孔輸送層MHTL1、MHTL2、MHTL3それぞれの厚さは、約5nm乃至約100nmでありうる。正孔輸送領域HTRが正孔側追加層を含む場合、正孔側追加層の厚さは約1nm乃至約100nmでありうる。中間正孔輸送領域MHTR1、MHTR2、MHTR3が中間正孔側追加層を含む場合、中間正孔側追加層の厚さは約1nm乃至約100nmでありうる。正孔輸送領域HTR及び中間正孔輸送領域MHTR1、MHTR2、MHTR3と、これらに含まれる各層の厚さが上述した範囲を満足すれば、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる程度の正孔輸送特性が得られる。
【0167】
正孔輸送領域HTR及び中間正孔輸送領域MHTR1、MHTR2、MHTR3のそれぞれは、上述した物質以外に、導電性を向上するために電荷生成物質を更に含みうる。電荷発生物質は、正孔輸送領域HTR及び中間正孔輸送領域MHTR1、MHTR2、MHTR3内に均一にまたは不均一に分散されているのでありうる。電荷発生物質は、例えば、p型ドーパント(dopant)である。p型ドーパントは、ハロゲン化金属化合物、キノン誘導体、金属酸化物及びシアノ基含有化合物のうち少なくとも一つを含んでもよいが、これに限られるのでない。例えば、p-ドーパントはCuI及びRbIなどのハロゲン化金属化合物、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)及びF4-TCNQ(2,3,5,6-テトラフルオロ-7,7’,8,8-テトラシアノキノジメタン)などといったキノン誘導体、タングステン酸化物、及びモリブデン酸化物といった金属酸化物などが挙げられるが、実施例はこれに限られるのでない。
【0168】
第1発光層BEML1、BEML2、BEML3及び第2発光層GEMLは、正孔輸送領域HTRまたは及び中間正孔輸送領域MHTR1、MHTR2、MHTR3の上に配置される。第1-1発光層BEML1は正孔輸送領域HTRの上に提供され、第1-2発光層BEML2は第1中間正孔輸送領域MHTR1の上に提供され、第1-3発光層BEML3は第2中間正孔輸送領域MHTR2の上に提供され、第2発光層GEMLは第3中間正孔輸送領域MHTR3に提供される。
【0169】
電子輸送領域ETR及び中間電子輸送領域のそれぞれは、第1発光層BEML1、BEML2、BEML3及び第2発光層GEMLの上に配置される。電子輸送領域ETR及び中間電子輸送領域のそれぞれは、単一物質からなる単一層、複数の互いに異なる物質からなる単一層または複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有しうる。
【0170】
電子輸送領域ETR及び中間電子輸送領域のそれぞれは、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェットプリント法、レーザプリント法、レーザ熱転写法(LITI)などのような多様な方法を利用して形成されうる。
【0171】
電子輸送領域ETR及び中間電子輸送領域のそれぞれはアントラセン系化合物を含む。但し、これに限らず、電子輸送領域ETR及び中間電子輸送領域それぞれは、Alq3(トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)、Bebq2(ベリリウムビス(ベンゾキノリン-10-オラート))、ADN(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン)、BmPyPhB(1,3-ビス[3,5-ジ(ピリジン-3-イル)フェニル]ベンゼン)、及びこれらの混合物を含む。
【0172】
また、電子輸送領域ETR及び中間電子輸送領域のそれぞれは、LiF、NaCl、CsF、RbCl、RbI、CuI、KIといったハロゲン化金属、Ybといったランタン族金属、または前記ハロゲン化金属とランタン族金属の共蒸着材料を含みうる。例えば、電子輸送領域ETR及び中間電子輸送領域は共蒸着材料としてKI:Yb、RbI:Ybなどを含んでもよい。一方、電子輸送領域ETR及び中間電子輸送領域はLi2O、BaOのような金属酸化物、またはLiq(8-ヒドロキシ-リチウムキノラート)などが使用されてもよいが、実施例はこれに限らない。電子輸送領域ETR及び中間電子輸送領域それぞれは、電子輸送物質と絶縁性の有機金属塩(organo metal salt)が混合された物質からなりうる。有機金属塩は、エネルギーバンドギャップ(energy band gap)が約4eV以上の物質でありうる。詳しくは、例えば、有機金属塩は、酢酸金属塩(metal acetate)、安息香酸金属塩(metal benzoate)、アセト酢酸金属塩(metal acetoacetate)、金属アセチルアセトネート(metal acetylacetonate)、またはステアリン酸金属塩(metal stearate)を含みうる。
【0173】
電子輸送領域ETR及び中間電子輸送領域のそれぞれは、上述した材料以外に、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、及びBphen(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)のうち少なくとも一つを更に含んでもよいが、これに限らない。
【0174】
電子輸送領域ETRは、上述した電子輸送領域の化合物を電子注入層EILまたは電子輸送層ETLに含む。電子輸送領域ETRが電子側追加層を含めば、電子側追加層に上述した物質を含みうる。中間電子輸送領域は、上述した電子輸送領域の化合物を中間電子輸送層METL1、METL2、METL3に含みうる。中間電子輸送領域は、上述した電子輸送領域の化合物を中間電子側追加層または中間電子注入層に含んでもよい。
【0175】
電子輸送領域ETR及び中間電子輸送領域のそれぞれの厚さは、例えば、約100nm乃至約150nmである。電子輸送層ETLの厚さは、約0.1nm乃至約100nm、例えば、約0.3nm乃至約50nmである。電子輸送層HTLの厚さが上述したような範囲を満足すれば、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる程度の電子輸送特性が得られる。電子注入層EILの厚さは、約0.1nm乃至約10nm、約0.3nm乃至約0.9nmである。電子注入層EILの厚さが上述したような範囲を満足すれば、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる程度の電子注入特性が得られる。中間正孔輸送領域に含まれる中間電子輸送層METL1、METL2、METL3の厚さは、約0.1nm乃至約100nm、例えば、約0.1nm乃至約50nmである。
【0176】
第2電極EL2は、電子輸送領域ETRの上に提供される。第2電極EL2は共通電極である。第2電極EL2はカソードまたはアノードであってもよいが、実施例はこれに限られるのでない。例えば、第1電極EL1がアノードであれば第2電極はカソードで、第1電極EL1がカソードであれば第2電極はアノードであってもよい。
【0177】
第2電極EL2は、半透過型電極または透過型電極でありうる。第2電極EL2が透過型電極であれば、第2電極EL2は透明金属酸化物、例えば、ITO、IZO、ZnO、ITZOなどからなりうる。
【0178】
第2電極EL2が半透過型電極または反射型電極であれば、第2電極EL2は、Ag、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti、Yb、W、In、Zn、Sn、またはこれらを含む化合物や混合物(例えば、AgMg、AgYb、またはMgAg)を含みうる。または、第2電極EL2は前記物質からなる反射膜や半透過膜、及びITO、IZO、ZnO、ITZOなどからなる透明導電膜を含む複数の層構造でありうる。例えば、第2電極EL2は上述した金属材料、上述した金属材料のうちから選択された2種以上の金属材料の組み合わせ、または上述した金属材料の酸化物などを含んでもよい。
【0179】
図示していないが、第2電極EL2は補助電極と連結されうる。第2電極EL2が補助電極と連結されれば、第2電極EL2の抵抗を減少させることができる。
【0180】
一方、一実施例の発光素子ED、ED-1、ED-2、ED-3の第2電極EL2の上にはキャッピング層CPL更に配置されうる。キャピング層CPLは多層または単層を含みうる。
【0181】
一実施例において、キャッピング層CPLは有機層または無機層でありうる。例えば、キャッピング層CPLが無機物を含めば、無機物はLiFなどのアルカリ金属化合物、MgF2などのアルカリ土類化合物、SiON、SiNx、SiOyなどを含んでもよい。
【0182】
例えば、キャッピング層CPLが有機物を含めば、有機物は、α-NPD、NPB、TPD、m-MTDATA、Alq3、CuPc、TPD15(N4,N4,N4’,N4’-テトラ(ビフェニル-4-イル)ビフェニル-4,4’-ジアミン)、TCTA(4,4’,4”-トリス(カルバゾール-9-イル)トリフェニルアミン)などを含むか、エポキシ樹脂、またはメタクリレートなどといったアクリレートを含んでもよい。但し、実施例はこれに限らず、キャッピング層CPLは下記のような化合物P1乃至P5のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0183】
【0184】
一方、キャッピング層CPLの屈折率は1.6以上でありうる。詳しくは、550nm以上660nm以下の波長範囲の光に対してキャッピング層CPLの屈折率は1.6以上でありうる。
【0185】
本発明の一実施例による発光素子は、420nm以上480nm以下の波長範囲の光を発光する第1発光層と、520nm以上600nm以下の波長範囲の光を発光する第2発光層を含む一方、第1発光層は単一層構造を有し、第2発光層は正孔輸送性ホスト及び第1ドーパントを含む第1サブ発光層と、電子輸送性ホスト及び第2ドーパントを含む第2サブ発光層とを含む二重層構造を有する。第1サブ発光層はホストとドーパントのHOMOエネルギーレベルが小さく、ドーパントによる正孔トラップの発生を防ぐか減らすことができ、正孔が発光層に円滑に注入されて駆動電圧が改善されうる。また、三重項-三重項消滅(Triplet-Triplet Annihilation;TTA)による効率低下を防ぐことができる。よって、本発明の一実施例による表示装置は表示効率及び素子寿命が改善されうる。
【0186】
以下では実施例及び比較例を参照しながら、本発明の一実施形態による発光素子の特性評価の結果を説明する。また、以下に示す実施例は本発明の理解を助けるための一例示であって、本発明の範囲はこれに限らない。
【0187】
<発光素子の製作及び評価>
下記実施及び例比較例3及び4において、
図6aのように、420nm以上480nm以下の波長範囲の光を発光する第1発光層を含む第1スタック、第2スタック、及び第3スタックが積層され、520nm以上600nm以下の波長範囲の光を発光する第2発光層を含む第4スタックが、第3スタックの上に積層される、タンデム発光素子を製作した。第2発光層は、第1サブ発光層GEML4-1及び第2サブ発光層GEML4-2を含む。一方、比較例1及び2は第2発光層が単一層GEML4からなることを除いては実施例の構成と同じである。
【0188】
実施例及び比較例の第2発光層に含まれる材料は表1のようである。第1ドーパントは上述したM-a-18で、第2ドーパントはM-b13である。下記表1において、ΔEはホストのHOMOエネルギーレベルとドーパントのHOMOエネルギーレベルの差の絶対値を意味する。
【0189】
【0190】
実施例と比較例の評価結果を下記表2に示す。表2の発光素子の評価において、駆動電圧は、3500nitの輝度に当たる電圧値を示す。素子寿命は、発光素子の輝度が初期の97%に落ちるまでにかかる時間を測定したものである。駆動電圧、発光効率、及び素子寿命は、比較例1の駆動電圧、輝度100nitにおける発光効率を基準に、相対的な比較値を示した。
【0191】
【0192】
表2の結果を参照すると、実施例の発光素子は、比較例の発光素子に比べて、類似するかより低いレベルの駆動電圧を有し、発光効率及び素子寿命が上昇したことが分かった。また、実施例の発光素子は、輝度100nitにおける効率と、輝度10000nitにおける効率との差が大きくないため、ロールオフ(roll-off)現象が低下することから、比較例に比べ、初期低輝度の効率が高輝度に行くほど低下する幅が、改善されることが分かる。
【0193】
これまで本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野における熟練した当業者または該当技術分野における通常の知識を有する者であれば、後述する請求の範囲に記載の本発明の思想及び技術領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更し得ることを理解できるはずである。よって、本発明の技術的範囲は、明細書の詳細な説明に記載の内容に限られず、特許請求の範囲によって決められるべきである。
【0194】
好ましい実施形態によると、下記のとおりである。
【0195】
本件の背景及び課題は下記(i)~(ii)のとおりである。
【0196】
(i) 有機発光表示装置(OLED)では、高い光度での発光のための高電流密度駆動時に発光効率が低下してしまう現象(ロールオフ)の改善が、従前より大きな課題となっていた。また、有機発光表示装置(OLED)では、通常または比較的低い光度での発光における発光効率の改善、及び、素子寿命(耐久年数)の改善も、引き続き、課題となっている。
【0197】
(ii) そこで、例えば特許文献1~2に示されるように、種々の提案がなされている。特許文献1では、燐光発生材料を2種以上用いること、及びこの2種の材料の電子親和力の差を特定の範囲にすることなどが提案されている。また、特許文献2では、発光波長の異なる2層以上の燐光発光層を配置するとともに、これら燐光発光層の間で、ホスト化合物の三重項エネルギーに差を設けることなどが提案されている。
【0198】
具体的な好ましい一実施形態によると、下記A1~A7のとおり、またはこれらからの少なくとも複数の組み合わせとすることができる。
【0199】
A1 上下の電極の間に、正孔輸送層、発光層、及び電子輸送層を含む「スタック」を、複数層設けて、重なり合うようにする。
【0200】
A2 第1のグループのスタック(第1~3スタックST1-3)では、発光層が単層構造であり、第2のグループのスタック(第4スタックST4)では、2つの発光層が直接に重ねられた二重層構造とする。
【0201】
A3 二重層構造をなす2つのサブ発光層(GEML4-1~4-2)は、一方がホストとして正孔輸送性のものを含有し、他方がホストとして電子輸送性のものを含有する。
【0202】
A4 第1のグループのスタック(第1~3スタックST1-3)の発光層は、ドーパントとして、中心に白金(Pt)原子を有する錯体化合物などを用いて、青色燐光を発光する。また、第2のグループのスタック(第4スタックST4)中心にイリジウム(Ir)原子を有する錯体化合物などを用いて、緑色燐光を発光する。
【0203】
A5 第1のグループのスタック(第1~3スタックST1-3)の発光層におけるホスト-ドーパント間のHOMOレベルの差は0.2eVより小さく、第2のグループのスタック(第4スタックST4)の発光層におけるホスト-ドーパント間のHOMOレベルの差は0.1eVより大きい。
【0204】
A6 白金(Pt)系のドーパントには、化合物群M-aのいずれかの化合物を用いることができ、イリジウム(Ir)系のドーパントには、化合物群M-bのいずれかの化合物を用いることができる。また、ホストには、化合物群ETのいずれかの化合物を用いることができる。
【0205】
A7 第1及び第2のグループのスタックを含む発光素子層EDは、表示領域DAの全体に、同一の積層構造で配置される。そして、画素領域ごとに、適宜に、量子ドットなどを含有する波長変換層が配置される。
【符号の説明】
【0206】
BS:表示装置 ED:発光素子
EL1:第1電極 EL2:第2電極
BEML1:第1-1発光層 BEML2:第1-2発光層
BEML3:第1-3発光層 GEML:第2発光層
CGL1:第1電荷生成層 GEML4-1:第1サブ発光層
GEML4-2:第2サブ発光層