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特開2023-89136切り替え可能な指向性ディスプレイ向けの光学積層体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089136
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】切り替え可能な指向性ディスプレイ向けの光学積層体
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20230620BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230620BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20230620BHJP
   H10K 50/86 20230101ALI20230620BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20230620BHJP
   H10K 59/50 20230101ALI20230620BHJP
   H10K 59/90 20230101ALI20230620BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALN20230620BHJP
【FI】
G02F1/1335
G09F9/00 313
H10K50/10
H10K50/86
H10K59/10
H10K59/50
H10K59/90
G02F1/13357
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023065009
(22)【出願日】2023-04-12
(62)【分割の表示】P 2020509511の分割
【原出願日】2018-09-14
(31)【優先権主張番号】62/559,187
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/565,836
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/582,052
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/592,085
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/634,168
(32)【優先日】2018-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/641,657
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/673,359
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/699,914
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516384542
【氏名又は名称】リアルディー スパーク エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン、マイケル ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ウッドゲート、グラハム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ラムゼイ、ロバート エー.
(72)【発明者】
【氏名】ハロルド、ジョナサン
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】プライバシーディスプレイは、空間光変調器と、空間光変調器と直列に配置された、第1の偏光子と第2の偏光子との間に配置された切り替え可能な補償液晶リターダと、を備える。
【効果】プライバシー動作モードでは、空間光変調器からの軸上光は、損失を伴わずに方向付けられ、軸外光の輝度は低下している。軸外のスヌーパーに対するディスプレイの視認性は、広い極性視野全体での輝度低下によって低減される。広角動作モードでは、切り替え可能な液晶リターダンスは、軸外輝度が実質的に変更されないように調整される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ装置であって、
空間光変調器と、
前記空間光変調器の側に配置されたディスプレイ偏光子と、
前記ディスプレイ偏光子と同じ前記空間光変調器の側に配置された追加偏光子と、
前記追加偏光子と前記ディスプレイ偏光子との間に配置された複数のリターダと、を備え、
前記複数のリターダが、
液晶材料の層を備える、切り替え可能な液晶リターダと、少なくとも1つの受動補償リターダと
を備える、ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、光変調素子からの照明に関し、より具体的には、プライバシーディスプレイなどディスプレイで用いる照明を制御するための切り替え可能な光学積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
プライバシーディスプレイは、典型的に軸上位置にいる主たるユーザには画像視認性をもたらし、典型的に軸外位置にいるスヌーパーに対する画像コンテンツの視認性を低減する。プライバシー機能は、軸上方向のディスプレイからの一部の光を透過し、軸外位置では低輝度である、マイクロルーバー光学フィルムによって提供され得る。しかしながら、かかるフィルムは、正面からの照明に対して高損失であり、マイクロルーバーは、空間光変調器の画素のビートを原因とするモアレを生じさせる場合がある。マイクロルーバーのピッチは、パネル解像度の選択に応じて選択する必要があり、在庫及びコストを増加させ得る。
【0003】
切り替え可能なプライバシーディスプレイは、軸外光出力の制御によってもたらされ得る。
【0004】
制御は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)空間光変調器の切り替え可能なバックライトによる輝度の低下によってもたらされ得る。ディスプレイのバックライトは、概して導波路及び端部発光源を用いる。特定の結像指向性バックライトは、ディスプレイパネルを通して照明を視野窓に方向付ける追加機能を有する。結像システムは、複数の光源とそれぞれの窓画像との間に形成することができる。結像指向性バックライトの1つの例として折りたたみ式光学システムを用いることができる光弁が挙げられ、したがってこれは、折りたたみ式結像指向性バックライトの1つの例でもあり得る。光は実質的に、光弁を通して一方向に損失を伴わずに伝搬することができ、同時に対向伝搬光は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,519,153号に記述されるように、反射傾斜ファセットによって抽出することができる。
【0005】
軸外プライバシーの制御は、例えば、インプレーンスイッチングLCDでの液晶バイアス傾斜の調整によるコントラストの低減によって更にもたらされ得る。
【発明の概要】
【0006】
本開示の第1態様によると、空間光変調器と、空間光変調器の側に配置されたディスプレイ偏光子と、ディスプレイ偏光子と同じ空間光変調器の側に配置された追加偏光子と、追加偏光子とディスプレイ偏光子との間に配置された複数のリターダと、を備えるディスプレイ装置が提供され、複数のリターダは、ディスプレイ偏光子と追加偏光子との間に配置された液晶材料の層と、少なくとも1つの受動補償リターダと、を備える切り替え可能な液晶リターダを備える。
【0007】
複数のリターダは、リターダの平面の法線に沿った軸に沿ってディスプレイ偏光子、追加偏光子、及び複数のリターダを通過する光の輝度に影響を及ぼさないように、及び/又はリターダの平面の法線に対して傾斜した軸に沿ってディスプレイ偏光子、追加偏光子、及び複数のリターダを通過する光の輝度を低下させるように構成されてよい。
【0008】
少なくとも1つの受動補償リターダは、少なくとも1つの受動補償リターダの平面の法線に沿った軸に沿って、複数のリターダの入力側のディスプレイ偏光子及び追加偏光子のうちの1つが通過する光の偏光成分に位相シフトを導入しないように、及び/又は少なくとも1つの受動補償リターダの平面の法線に対して傾斜した軸に沿って、複数のリターダの入力側のディスプレイ偏光子及び追加偏光子のうちの1つが通過する光の偏光成分に位相シフトを導入するように構成されてよい。
【0009】
切り替え可能な液晶リターダは、切り替え可能な液晶リターダの平面の法線に沿った軸に沿って、複数のリターダの入力側のディスプレイ偏光子及び追加偏光子のうちの1つが通過する光の偏光成分に位相シフトを導入しないように、及び/又は切り替え可能な液晶リターダの切り替え可能状態で、切り替え可能な液晶リターダの平面の法線に対して傾斜した軸に沿って、複数のリターダの入力側のディスプレイ偏光子及び追加偏光子のうちの1つが通過する光の偏光成分に位相シフトを導入するように構成されてよい。
【0010】
有利なことには、広角動作状態とプライバシー動作状態とを切り替えられ得る、切り替え可能なプライバシーディスプレイが提供され得る。プライバシー動作の視野は、既知の装置と比較して拡張され得、より低い軸外輝度レベルが達成され得、軸外のスヌーパーによって観察されるプライバシーの程度を向上させ得る。更に、軸上の主たるユーザに対する軸上輝度は、広角動作状態及びプライバシー動作状態の両方において維持され得る。
【0011】
ディスプレイ偏光子及び追加偏光子は、平行の電気ベクトル伝達方向を有してよい。
【0012】
1つの代替例では、切り替え可能な液晶リターダは、液晶材料の層に隣接し、かつその両側に配置され、隣接する液晶材料内にホメオトロピック配向をもたらすようにそれぞれ構成されている、2つの表面配向層を備えてよい。切り替え可能な液晶リターダの液晶材料の層は、負の誘電率異方性を有する液晶材料を含んでよい。液晶材料の層は、550nmの波長の光に対して500nm~1000nmの範囲、好ましくは600nm~900nmの範囲、最も好ましくは700nm~850nmの範囲のリターダンスを有してよい。
【0013】
ホメオトロピック配向をもたらす2つの表面配向層が設けられる場合、少なくとも1つの受動補償リターダは、リターダの平面に対して垂直である光軸を有するリターダを備えてよく、少なくとも1つの受動リターダは、550nmの波長の光に対して-300nm~-900nmの範囲、好ましくは-450nm~-800nmの範囲、最も好ましくは-500nm~-725nmの範囲のリターダンスを有する。
【0014】
あるいは、ホメオトロピック配向をもたらす2つの表面配向層が設けられる場合、少なくとも1つの受動補償リターダは、交差するリターダの平面内に光軸を有する一対のリターダを備えてよく、この一対のリターダの各リターダは、550nmの波長の光に対して300nm~800nmの範囲、好ましくは500nm~700nmの範囲、最も好ましくは550nm~675nmの範囲のリターダンスを有する。有利なことには、この場合、広角動作モードでの視野が拡大され得る。更に、広角動作モードでのゼロ電圧動作が提供されて、電力消費を低減し得る。
【0015】
別の代替例では、切り替え可能な液晶リターダは、液晶材料の層に隣接し、かつその両側に配置され、隣接する液晶材料内にホモジニアス配向をもたらすようにそれぞれ構成されている、2つの表面配向層を備えてよい。有利なことには、液晶の両側でのホメオトロピック配向と比較して、圧力印加中の液晶材料の流動の視認性に対する回復力が向上し得る。
【0016】
切り替え可能な液晶リターダの液晶材料の層は、正の誘電率異方性を有する液晶材料を含んでよい。液晶材料の層は、550nmの波長の光に対して500nm~900nmの範囲、好ましくは600nm~850nmの範囲、最も好ましくは700nm~800nmの範囲のリターダンスを有してよい。
【0017】
ホモジニアス配向をもたらす2つの表面配向層が設けられる場合、少なくとも1つの受動補償リターダは、リターダの平面に対して垂直である光軸を有するリターダを備えてよく、少なくとも1つの受動リターダは、550nmの波長の光に対して-300nm~-700nmの範囲、好ましくは-350nm~-600nmの範囲、最も好ましくは-400nm~-500nmの範囲のリターダンスを有する。
【0018】
あるいは、ホモジニアス配向をもたらす2つの表面配向層が設けられる場合、少なくとも1つの受動補償リターダは、交差するリターダの平面内に光軸を有する一対のリターダを備えてよく、この一対のリターダの各リターダは、550nmの波長の光に対して300nm~800nmの範囲、好ましくは350nm~650nmの範囲、最も好ましくは450nm~550nmの範囲のリターダンスを有する。有利なことには、この場合、圧力印加中の液晶材料の流動の視認性に対する回復力が向上し得る。
【0019】
別の代替例では、切り替え可能な液晶リターダは、液晶材料の層に隣接し、かつその両側に配置された2つの表面配向層を備えてよく、表面配向層のうちの1つは、隣接する液晶材料内にホメオトロピック配向をもたらすように構成され、表面配向層の他方は、隣接する液晶材料内にホモジニアス配向をもたらすように構成されている。
【0020】
ホモジニアス配向をもたらすように構成されている表面配向層が液晶材料の層と補償リターダとの間にある場合、液晶材料の層は、550nmの波長の光に対して700nm~2000nmの範囲、好ましくは1000nm~1500nmの範囲、最も好ましくは1200nm~1500nmの範囲のリターダンスを有してよい。
【0021】
ホモジニアス配向をもたらすように構成されている表面配向層が液晶材料の層と補償リターダとの間にある場合、少なくとも1つの受動補償リターダは、リターダの平面に対して垂直である光軸を有するリターダを備えてよく、少なくとも1つの受動リターダは、550nmの波長の光に対して-400nm~-1800nmの範囲、好ましくは-700nm~-1500nmの範囲、最も好ましくは-900nm~-1300nmの範囲のリターダンスを有する。
【0022】
ホモジニアス配向をもたらすように構成されている表面配向層が液晶材料の層と補償リターダとの間にある場合、少なくとも1つの受動補償リターダは、交差するリターダの平面内に光軸を有する一対のリターダを備えてよく、この一対のリターダのそれぞれは、550nmの波長の光に対して400nm~1800nmの範囲、好ましくは700nm~1500nmの範囲、最も好ましくは900nm~1300nmの範囲のリターダンスを有する。
【0023】
ホメオトロピック配向をもたらすように構成されている表面配向層が液晶材料の層と補償リターダとの間にある場合、液晶材料の層は、550nmの波長の光に対して500nm~1800nmの範囲、好ましくは700nm~1500nmの範囲、最も好ましくは900nm~1350nmの範囲のリターダンスを有してよい。
【0024】
ホメオトロピック配向をもたらすように構成されている表面配向層が液晶材料の層と補償リターダとの間にある場合、少なくとも1つの受動補償リターダは、リターダの平面に対して垂直である光軸を有するリターダを備えてよく、少なくとも1つの受動リターダは、550nmの波長の光に対して-300nm~-1600nmの範囲、好ましくは-500nm~-1300nmの範囲、最も好ましくは-700nm~-1150nmの範囲のリターダンスを有する。
【0025】
ホメオトロピック配向をもたらすように構成されている表面配向層が液晶材料の層と補償リターダとの間にある場合、少なくとも1つの受動補償リターダは、交差するリターダの平面内に光軸を有する一対のリターダを備えてよく、この一対のリターダの各リターダは、550nmの波長の光に対して400nm~1600nmの範囲、好ましくは600nm~1400nmの範囲、最も好ましくは800nm~1300nmの範囲のリターダンスを有する。有利なことには、この場合、圧力印加中の液晶材料の流動の視認性に対する回復力が向上し得る。
【0026】
各配向層は、ディスプレイ偏光子の電気ベクトル伝達方向に対して平行若しくは逆平行である、又は直交する液晶層の平面内の成分とのプレチルト方向を有するプレチルトを有してよい。有利なことには、ディスプレイには、横方向の狭視野角、及び水平軸の周りでのディスプレイの回転に対する高視聴自由度が提供され得る。かかるディスプレイは、正面のディスプレイユーザには見やすく、軸外のディスプレイユーザには見にくいことがある。
【0027】
少なくとも1つの受動リターダは、交差するリターダの平面内に光軸を有し得る、少なくとも2つの異なる方向の光軸を有する、少なくとも2つの受動リターダを備えてよい。ホモジニアス配向の液晶リターダの視野は、圧力印加中の液晶材料の流動の視認性を回復しつつ、増加する。
【0028】
一対の受動リターダは、ディスプレイ偏光子の電気ベクトル伝達に対して平行である電気ベクトル伝達方向に関してそれぞれ45°及び135°で延在する光軸を有し得る。受動リターダは延伸フィルムを使用して設けられて、低コスト、かつ高均一性を有利に実現し得る。
【0029】
切り替え可能な液晶リターダは、一対の受動リターダ間に設けられてよい。有利なことには、複数のリターダの厚さ及び複雑性が低減され得る。
【0030】
透明電極及び液晶配向層は、切り替え可能な液晶リターダに隣接する一対の受動リターダのそれぞれの側に形成されてよく、切り替え可能な液晶リターダが間に設けられた第1の基材及び第2の基材を更に備えてよく、第1の基材及び第2の基材は、一対の受動リターダのうちの1つをそれぞれ含み、一対の受動リターダのそれぞれは、550nmの波長の光に対して150nm~800nmの範囲、好ましくは200nm~700nmの範囲、最も好ましくは250nm~600nmの範囲のリターダンスを有する。
【0031】
1つの代替例では、少なくとも1つの受動補償リターダは、リターダの平面に対して垂直である光軸を有するリターダを備えてよい。有利なことには、受動リターダ積層体の厚さ及び複雑性が低減され得る。
【0032】
少なくとも1つの受動補償リターダは、受動リターダの平面に対して垂直である光軸を有する2つの受動リターダを備えてよく、切り替え可能な液晶リターダは、2つの受動リターダの間に設けられる。有利なことには、複数のリターダの厚さ及び複雑性が低減され得る。高正面効率は、広角及びプライバシーの両モードにおいて達成されてよく、広角モードの広視野及びスヌーパーは、広範囲の軸外視聴位置から画像データを知覚することができない場合がある。
【0033】
透明電極及び液晶配向層は、切り替え可能な液晶リターダに隣接する2つの受動リターダのそれぞれの側に形成されてよい。第1の基材及び第2の基材は、間に切り替え可能な液晶リターダが設けられ得、第1の基材及び第2の基材は、2つの受動リターダのうちの1つをそれぞれ備える。2つの受動リターダは、550nmの波長の光に対して、-300nm~-700nmの範囲、好ましくは-350nm~-600nmの範囲、最も好ましくは-400nm~-500nmの範囲の総リターダンスを有してよい。
【0034】
別の代替例では、少なくとも1つの受動補償リターダは、リターダの平面に対して垂直である成分及びリターダの平面内の成分を有する光軸を有するリターダを備えてよい。有利なことには、広角モードの視野は増大し得、スヌーパーは、広範囲の軸外視聴位置からの画像データを知覚できない場合がある。
【0035】
受動リターダの平面内の成分は、ディスプレイ偏光子の電気ベクトル伝達に対して平行又は垂直である電気ベクトル伝達方向に関して0°で延在し得る。少なくとも1つの受動リターダは、受動リターダの平面に対して垂直である光軸を有する受動リターダ、又は交差する受動リターダの平面内に光軸を有する、一対の受動リターダを更に備えてよい。
【0036】
少なくとも1つの受動補償リターダのリターダンスは、切り替え可能な液晶リターダのリターダンスと等しく、かつ反対であり得る。
【0037】
切り替え可能な液晶リターダは、第1のプレチルトと、第2のプレチルトと、を備えてよく、少なくとも1つの受動補償リターダは、第1のプレチルト及び第2のプレチルトを有する補償リターダを備えてよく、補償リターダの第1のプレチルトは、液晶リターダの第1のプレチルトと同一であり、補償リターダの第2のプレチルトは、液晶リターダの第2のプレチルトと同一である。
【0038】
切り替え可能な液晶リターダは、液晶材料の層を制御するために電圧を印加するように構成されている電極を更に備えてよい。電極は、液晶材料の層の両側にあってよい。ディスプレイは、液晶層の制御によって切り替えられてよく、有利なことには、切り替え可能なプライバシーディスプレイ、又は軸外迷光を低減した他のディスプレイを実現し得る。ディスプレイは、少なくとも1つの切り替え可能な液晶リターダの電極全体に印加される電圧を制御するように構成されている制御システムを更に備えてよい。
【0039】
電極は、少なくとも2つのパターン領域を設けるようにパターン化されてよい。有利なことには、画像データを不明瞭にすることによって、プライバシー性能が向上し得る。ディスプレイは、カモフラージュ構造の視認性を有さない広角モードと、追加カモフラージュを有するプライバシーモードと、を切り替えられ得、正面のユーザがカモフラージュパターンを実質的に視認することなく、軸外のスヌーパーに対する視認性を低減することができる。
【0040】
制御システムは、ディスプレイに関してスヌーパーの位置を判定する手段を更に備えてよく、制御システムは、スヌーパーの位置に応答して少なくとも1つの切り替え可能な液晶リターダの電極全体に印加される電圧を調整するように構成されている。有利なことには、検出されたスヌーパーに対する画像の視認性は、スヌーパーの位置の範囲に対して最小化され得る。
【0041】
ディスプレイ装置は、少なくとも1つの更なるリターダと、更なる追加偏光子と、を更に備えてよく、少なくとも1つの更なるリターダは、前述の追加偏光子と更なる追加偏光子との間に配置される。有利なことには、軸外輝度が更に低下して、軸外のスヌーパーに対する画像の視認性を低減し得る。
【0042】
ディスプレイ装置の1つの代替例では、空間光変調器は、バックライトから出力光を受光するように構成されている透過型空間光変調器である。有利なことには、バックライトは、発光ディスプレイと比較して、軸外輝度を低下させ得る。
【0043】
バックライトは、空間光変調器の法線に対して45度より大きい極角で、空間光変調器の法線に沿った輝度の最大33%、好ましくは空間光変調器の法線に沿った輝度の最大20%、最も好ましくは空間光変調器の法線に沿った輝度の最大10%である輝度をもたらし得る。有利なことには、輝度は、軸外のスヌーパーに対して低下し得る。
【0044】
バックライトは、光源のアレイと、指向性導波路であって、指向性導波路の側部に沿って横方向に延在する入力端であって、光源が入力端に沿って配置され、入力光を導波路に入力するように構成されている入力端と、導波路に沿って入力端で光入力を誘導するために、入力端から指向性導波路全体に延在する対向する第1及び第2のガイド面と、を備える指向性導波路と、を備えてよく、導波路は、指向性導波路を通って誘導された入力光を偏向させて第1のガイド面を通って出射させるように構成されている。有利なことには、均一の広面積照明が高効率で提供され得る。
【0045】
バックライトは、光転向フィルムを更に備えてよく、指向性導波路はコリメート導波路である。コリメート導波路は、(i)複数の細長いレンチキュラー素子と、(ii)複数の傾斜光抽出特徴部と、を備えてよく、複数の細長いレンチキュラー素子及び複数の傾斜光抽出特徴部は、指向性導波路を通って誘導される入力光を偏向させて、第1のガイド面を通って出射させるように配向されている。有利なことには、バックライトによって狭角出力が提供され得る。
【0046】
指向性導波路は、光源からの出力光が、光源の入力位置に応じて分散される出力方向でそれぞれの光学窓内へと方向付けられるように、光源を横方向に結像させるように構成されている結像導波路であってよい。結像導波路は、結像導波路に沿って入力光を反射して戻すための反射端を備えてよく、第2のガイド面は、第1のガイド面を通して反射入力光を出力光として偏向させるように構成され、第2のガイド面は、光抽出特徴部と、光抽出特徴部間の中間領域と、を備え、光抽出特徴部は、第1のガイド面を通して反射入力光を出力光として偏向させるように配向され、中間領域は、光を抽出することなく導波路を通して光を方向付けるように構成されており、反射端は、第1のガイド面と第2のガイド面との間に延在する導波路の側部間に延在する横方向に正の光学的パワーを有してよい。有利なことには、狭角照明と広角照明とを切り替えられ得る、切り替え可能な指向性照明が提供され得る。
【0047】
空間光変調器が透過型空間光変調器である1つの代替例では、ディスプレイ偏光子は、バックライトと空間光変調器との間の空間光変調器の入力側に配置された入力ディスプレイ偏光子であってよく、追加偏光子は入力ディスプレイ偏光子とバックライトとの間に配置される。有利なことには、ディスプレイの効率が向上する。追加偏光子は、反射型偏光子であってよい。
【0048】
この場合、ディスプレイ装置は、空間光変調器の出力側に配置された出力偏光子を更に備えてよい。
【0049】
空間光変調器が透過型空間光変調器である1つの代替例では、ディスプレイ偏光子は、空間光変調器の出力側に配置された出力偏光子であってよい。有利なことには、ディスプレイの効率が向上する。
【0050】
ディスプレイ装置は、空間光変調器の入力側に配置された入力偏光子を更に備えてよい。
【0051】
ディスプレイ装置は、空間光変調器の入力側に配置された更なる追加偏光子と、少なくとも1つの更なる追加偏光子と入力偏光子との間に配置された少なくとも1つの更なるリターダと、を更に備えてよい。有利なことには、輝度は、軸外のスヌーパーに対して低下し得る。
【0052】
ディスプレイ装置の1つの代替例では、空間光変調器は、光を出力するように構成されている発光型空間光変調器(emissive spatial light modulator)を備えてよい。この場合、ディスプレイ偏光子は、発光型空間光変調器の出力側に配置された出力ディスプレイ偏光子であってよい。有利なことには、ディスプレイの厚さは、バックライトを有するディスプレイと比較して低減され得、好都合には、可撓性かつ屈曲可能なディスプレイが提供され得る。
【0053】
ディスプレイ装置は、少なくとも1つの更なるリターダと、更なる追加偏光子と、を備えてよく、少なくとも1つの更なるリターダは、前述の追加偏光子と更なる追加偏光子との間に配置される。有利なことには、輝度は、軸外のスヌーパーに対して低下し得る。
【0054】
本発明の第1の態様に関して上述した様々な任意の特徴及び代替例は、任意の組み合わせで合わせて適用されてよい。
【0055】
本開示の第2の態様によると、空間光変調器と、空間光変調器の側に配置されたディスプレイ偏光子と、を備えるディスプレイ装置に適用するための視野角制御光学素子が提供され、視野角制御光学素子は、制御偏光子と、ディスプレイ装置に視野角制御光学素子を適用する際に、追加偏光子とディスプレイ偏光子との間に配置するための複数のリターダと、を備え、複数のリターダは、液晶材料の層を備える切り替え可能な液晶リターダと、少なくとも1つの受動補償リターダと、を備える。
【0056】
有利なことには、視野角制御光学素子は、アフターマーケット素子として流通していてよく、ディスプレイユーザによってディスプレイ装置に取り付けられてよい。この素子は複雑な調整を必要としない。この素子とディスプレイの画素との間にはモアレビートが存在せず、画素ピッチに関する部品の選択は不要である。在庫コストが削減される。
【0057】
あるいは、視野角制御光学素子は、好都合には、工場でディスプレイ装置に取り付けられてよい。
【0058】
本発明の第1の態様に関して上述した様々な特徴及び代替例は、本開示の第2の態様に同様に適用されてよい。
【0059】
本開示の各実施形態は、広範な光学系で使用することができる。いくつかの実施形態は、種々のプロジェクタ、投影システム、光学部品、ディスプレイ、マイクロディスプレイ、コンピュータシステム、プロセッサ、自己内蔵型プロジェクタシステム、ビジュアルシステム及び/又はオーディオビジュアルシステム、並びに電気装置及び/又は光学装置を含んでよく、又はこれらと共に作動してよい。本開示の態様は、光学機器及び電気機器、光学システム、プレゼンテーションシステム、又は任意の種類の光学システムを包含してもよい任意の装置に関連する、実質的にいかなる装置に使用されてもよい。したがって、本開示の実施形態は、視覚的な及び/又は光学的なプレゼンテーション、視覚的な周辺機器などにおいて、並びに多数のコンピュータ環境において使用される、光学システム、光学機器で用いられてもよい。
【0060】
詳細に開示する複数の実施形態に進む前に、本開示は、他の実施形態例が可能であるので、用途又は作製において示す特定の配置の詳細に限定されないことを理解するべきである。更に、本開示の態様は、独自の固有の実施形態を規定するために様々な組み合わせ及び配置で述べられてもよい。また、本明細書で使用する用語は、説明の目的のためのものであって、限定するためのものではない。
【0061】
本開示の前述及び他の利点並びに特徴は、本開示をその全体にわたって読むことで、当業者に明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0062】
例示のために、実施形態が添付の図面に示され、添付の図面において、同様の参照符号は、類似の部分を示す。
【0063】
図1A】切り替え可能な前方リターダを備える指向性ディスプレイ装置の光学積層体を側面斜視図で示す概略図である。
【0064】
図1B図1Aの光学積層体内の光学層の配向を正面図で示す概略図である。
【0065】
図1C】発光型空間光変調器と、発光型空間光変調器の出力側に配置された切り替え可能な補償リターダと、を備える指向性ディスプレイ装置の光学積層体を側面斜視図で示す概略図である。
【0066】
図1D】受動補償リターダと、切り替え可能な液晶リターダと、制御偏光子と、を備える視野角制御光学素子を側面斜視図で示す概略図である。
【0067】
図2A】バックライトと、切り替え可能な後方補償リターダと、透過型空間光変調器と、を備える指向性ディスプレイ装置の光学積層体を側面斜視図で示す概略図であり、追加偏光子は反射型偏光子を備える。
【0068】
図2B図2Aの光学積層体内の光学層の配向を正面図で示す概略図である。
【0069】
図2C】バックライトと、切り替え可能な後方補償リターダと、透過型空間光変調器と、を備える指向性ディスプレイ装置の光学積層体を側面斜視図で示す概略図であり、追加偏光子はダイクロイック偏光子を備える。
【0070】
図3】切り替え可能な補償液晶リターダの構成を側面図で示す概略図である。
【0071】
図4A】広角動作モードの、負のCプレートを備える切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0072】
図4B】切り替え可能な液晶リターダセルを通る分数位置に対する液晶ダイレクタ角度のグラフを示す概略図である。
【0073】
図4C】広角動作モードでの、図4Aの光学積層体を通る空間光変調器からの出力光の伝搬を側面図で示す概略図である。
【0074】
図4D図4Cの透過光線の極性方向での出力透過の変動を示す概略グラフである。
【0075】
図5A】プライバシー動作モードの、負のCプレートを備える切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0076】
図5B】プライバシー動作モードでの、図5Aの光学積層体を通る空間光変調器からの出力光の伝搬を側面図で示す概略図である。
【0077】
図5C図5Bの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0078】
図6A】プライバシーモードで動作するディスプレイについての透過出力光の観測を斜視図で示す概略図である。
【0079】
図6B】プライバシーモードで動作する図1A図1Cのディスプレイの見え方を正面斜視図で示す概略図である。
【0080】
図6C】エンターテイメント動作モード及び共有動作モードの両方について、車室内に配置された切り替え可能な指向性ディスプレイを有する自動車車両を側面図で示す概略図である。
【0081】
図6D】エンターテイメント動作モードの、車室内に配置された切り替え可能な指向性ディスプレイを有する自動車車両を正面図で示す概略図である。
【0082】
図6E】共有動作モードの、車室内に配置された切り替え可能な指向性ディスプレイを有する自動車車両を上面図で示す概略図である。
【0083】
図6F】夜間動作モード及び日中動作モードの両方について、車室内に配置された切り替え可能な指向性ディスプレイを有する自動車車両を上面図で示す概略図である。
【0084】
図6G】夜間動作モードの、車室内に配置された切り替え可能な指向性ディスプレイを有する自動車車両を側面図で示す概略図である。
【0085】
図6H】日中動作モードの、車室内に配置された切り替え可能な指向性ディスプレイを有する自動車車両を側面図で示す概略図である。
【0086】
図7A】異なる駆動電圧について極性方向での出力透過の変化を示す概略図である。
図7B】異なる駆動電圧について極性方向での出力透過の変化を示す概略図である。
図7C】異なる駆動電圧について極性方向での出力透過の変化を示す概略図である。
図7D】異なる駆動電圧について極性方向での出力透過の変化を示す概略図である。
【0087】
図8】プライバシーディスプレイの制御を示すフローチャートである。
【0088】
図9A】交差Aプレート受動補償リターダと、ホメオトロピック配向の切り替え可能な液晶リターダと、を備える、広角動作モードの切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0089】
図9B】交差Aプレート受動補償リターダと、ホメオトロピック配向の切り替え可能な液晶リターダと、を備える、プライバシー動作モードの切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0090】
図9C】広角動作モードでの、図9Aの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0091】
図9D】プライバシー動作モードでの、図9Bの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0092】
図10A】ホモジニアス配向の切り替え可能な液晶リターダと、負の受動Cプレートリターダと、をそれぞれ備える、広角動作モード及びプライバシー動作モードの切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。
図10B】ホモジニアス配向の切り替え可能な液晶リターダと、負の受動Cプレートリターダと、をそれぞれ備える、広角動作モード及びプライバシー動作モードの切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0093】
図10C】異なる印加電圧についての図10Aの切り替え可能な液晶リターダセルを通る分数位置に対する液晶ダイレクタ角度のグラフを示す概略図である。
【0094】
図11A】プライバシーモード及びそれぞれ駆動電圧に対応する2つの異なる広角モードでの、ホモジニアス配向の液晶セルと、負のCプレートと、を備える切り替え可能な補償リターダの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
図11B】プライバシーモード及びそれぞれ駆動電圧に対応する2つの異なる広角モードでの、ホモジニアス配向の液晶セルと、負のCプレートと、を備える切り替え可能な補償リターダの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
図11C】プライバシーモード及びそれぞれ駆動電圧に対応する2つの異なる広角モードでの、ホモジニアス配向の液晶セルと、負のCプレートと、を備える切り替え可能な補償リターダの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0095】
図12A】交差Aプレート受動補償リターダと、ホモジニアス配向の切り替え可能な液晶リターダと、を備える、プライバシー動作モードの切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0096】
図12B】プライバシーモード及び異なる駆動電圧に対する広角モードでの、ホモジニアス配向の液晶セルと、交差Aプレートと、を備える、切り替え可能な補償リターダの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
図12C】プライバシーモード及び異なる駆動電圧に対する広角モードでの、ホモジニアス配向の液晶セルと、交差Aプレートと、を備える、切り替え可能な補償リターダの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
図12D】プライバシーモード及び異なる駆動電圧に対する広角モードでの、ホモジニアス配向の液晶セルと、交差Aプレートと、を備える、切り替え可能な補償リターダの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0097】
図13A】切り替え可能な補償リターダと、光学結合層と、を備えるディスプレイの一部を側面図で示す概略図である。
図13B】切り替え可能な補償リターダと、光学結合層と、を備えるディスプレイの一部を側面図で示す概略図である。
【0098】
図14】交差Aプレート受動補償リターダと、ホモジニアス配向の切り替え可能な液晶リターダと、を備え、受動回転リターダを更に備える、プライバシー動作モードの切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0099】
図15A】第1のCプレート受動補償リターダと第2のCプレート受動補償リターダとの間に配置された、ホメオトロピック配向の切り替え可能な液晶リターダを備える、プライバシー動作モードの切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0100】
図15B】それぞれ広角動作モード及びプライバシー動作モードでの、図15Aの光学積層体内の透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
図15C】それぞれ広角動作モード及びプライバシー動作モードでの、図15Aの光学積層体内の透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0101】
図16A】それぞれCプレート受動補償リターダを備える第1の基材と第2の基材との間に配置された、切り替え可能な液晶リターダを備えるディスプレイを斜視側面図で示す概略図である。
【0102】
図16B】それぞれCプレート受動補償リターダを備える第1の基材と第2の基材との間に配置された、切り替え可能な液晶リターダを備えるディスプレイの一部を側面図で示す概略図である。
【0103】
図17A】第1の交差Aプレート受動補償リターダと第2の交差Aプレート受動補償リターダとの間に配置された、ホモジニアス配向の切り替え可能な液晶リターダを備える、広角動作モードの切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0104】
図17B】それぞれ広角モード及びプライバシーモードでの、図17Aの構成の透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
図17C】それぞれ広角モード及びプライバシーモードでの、図17Aの構成の透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0105】
図18A】ホモジニアス配向及びホメオトロピック配向の切り替え可能な液晶リターダと、負の受動Cプレートリターダと、を備える、プライバシー動作モードの切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0106】
図18B】プライバシー動作モードでの、図18Aの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0107】
図18C】広角動作モードでの、図18Aの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0108】
図19A】ホモジニアス配向の切り替え可能な液晶リターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0109】
図19B】第1の印加電圧についての図19Aの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0110】
図19C】第1の印加電圧よりも大きい第2の印加電圧についての図19Aの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0111】
図19D】平行偏光子間に配置されたCプレートを斜視側面図で示す概略図である。
【0112】
図19E図19Dの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0113】
図20A】平行偏光子間に配置されたCプレートと直列に、平行偏光子間に配置された、ホモジニアス配向の切り替え可能な液晶リターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0114】
図20B】第1の印加電圧についての図20Aの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0115】
図20C】第1の印加電圧よりも大きい第2の印加電圧についての図20Aの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0116】
図21A】Cプレート補償リターダと直列の、ホモジニアス配向の切り替え可能な液晶リターダの構成を斜視側面図で示す概略図であって、ホモジニアス配向の切り替え可能な液晶リターダ及びCプレート補償リターダは、一対の平行偏光子の間に配置されている。
【0117】
図21B】第1の印加電圧について図21Aの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0118】
図21C】第1の印加電圧よりも大きい第2の印加電圧について図21Aの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0119】
図22A】出力偏光子と追加偏光子との間に配置された、負のCプレート受動補償リターダ及びホメオトロピック配向の切り替え可能な液晶リターダと、前述の追加偏光子と更なる追加偏光子との間に配置された、負のCプレート受動補償リターダ及びホメオトロピック配向の切り替え可能な液晶リターダと、を備える、プライバシー動作モードの切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す。
【0120】
図22B】液晶ディスプレイの入力側に配置された第1の切り替え可能な補償リターダ及び液晶ディスプレイの出力側に配置された第2の切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0121】
図22C】第1の受動補償リターダと、第1の切り替え可能な液晶リターダと、第1の制御偏光子と、第2の受動補償リターダと、第2の切り替え可能な液晶リターダと、第2の制御偏光子と、を備える視野角制御光学素子を側面斜視図で示す概略図である。
【0122】
図22D】日中動作モード及び/又は共有動作モードについて、車室内に配置された切り替え可能な指向性ディスプレイを有する自動車車両を上面図で示す概略図である。
【0123】
図22E】日中動作モード及び/又は共有動作モードについて、車室内に配置された切り替え可能な指向性ディスプレイを有する自動車車両を側面図で示す概略図である。
【0124】
図22F】夜間動作モード及び/又はエンターテイメント動作モードについて、車室内に配置された切り替え可能な指向性ディスプレイを有する自動車車両を上面図で示す概略図である。
【0125】
図22G】夜間動作モード及び/又はエンターテイメント動作モードについて、車室内に配置された切り替え可能な指向性ディスプレイを有する自動車車両を側面図で示す概略図である。
【0126】
図23A】液晶ディスプレイの入力側に配置された反射型追加偏光子及び受動リターダ、並びに液晶ディスプレイの出力側に配置された切り替え可能な補償リターダ及び追加偏光子の構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0127】
図23B】受動リターダと、第1の制御偏光子と、受動補償リターダと、切り替え可能な液晶リターダと、第2の制御偏光子と、を備える視野角制御光学素子を側面斜視図で示す概略図である。
【0128】
図24A】ディスプレイ偏光子の電気ベクトル伝達方向及び負のCプレートに直交する平面内で傾斜する負のOプレートと、負のCプレートと、を備え、ディスプレイ装置の視野を変化させるように構成されている受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図である。
【0129】
図24B図24Aの受動リターダでの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0130】
図24C】交差Aプレートと、正のOプレートと、を備える受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図である。
【0131】
図24D図24Cの受動リターダでの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0132】
図24E】2対の交差Aプレートを備える受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図である。
【0133】
図24F図24Eの受動リターダでの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0134】
図25A】負のCプレート受動補償リターダと、ホメオトロピック配向の切り替え可能な液晶リターダと、を備え、パターン化電極層を更に備える、プライバシー動作モードの切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0135】
図25B】カモフラージュを施した輝度制御プライバシーディスプレイによる、主たる視聴者及びスヌーパーの照明を正面斜視図で示す概略図である。
【0136】
図25C】カモフラージュを施した輝度制御プライバシーディスプレイによる、スヌーパーの照明を側面斜視図で示す概略図である。
【0137】
図26A】指向性バックライトを正面斜視図で示す概略図である。
【0138】
図26B】非指向性バックライトを正面斜視図で示す概略図である。
【0139】
図26C】異なる視野を有するディスプレイの横方向視野角での輝度の変化を示す概略グラフである。
【0140】
図27A】結像導波路と、切り替え可能な液晶リターダと、を備える切り替え可能な指向性ディスプレイ装置を側面図で示す概略図である。
【0141】
図27B】狭角動作モードでの結像導波路の動作を背面斜視図で示す概略図である。
【0142】
図27C】切り替え可能な液晶リターダを有さないディスプレイ装置において使用されるときの図27Bの出力の視野輝度プロットを示す概略グラフである。
【0143】
図28A】プライバシー動作モードで動作する、切り替え可能なコリメート導波路と、切り替え可能な液晶リターダと、を備える切り替え可能な指向性ディスプレイ装置を側面図で示す概略図である。
【0144】
図28B】コリメート導波路の出力を上面図で示す概略図である。
【0145】
図28C図28Aのディスプレイ装置の等輝度視野極座標プロットを示す概略グラフである。
【0146】
図29A】軸外光によるリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。
【0147】
図29B】0度の第1の直線偏光状態の軸外光によるリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。
【0148】
図29C】90度の第1の直線偏光状態の軸外光によるリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。
【0149】
図29D】45度の第1の直線偏光状態の軸外光によるリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。
【0150】
図30A】正の仰角を有する軸外偏光によるCプレートリターダの照明を斜視図で示す概略図である。
【0151】
図30B】負の横方向角を有する軸外偏光によるCプレートリターダの照明を斜視図で示す概略図である。
【0152】
図30C】正の仰角及び負の横方向角を有する軸外偏光によるCプレートリターダの照明を斜視図で示す概略図である。
【0153】
図30D】正の仰角及び正の横方向角を有する軸外偏光によるCプレートリターダの照明の斜視図を示す概略図である。
【0154】
図30E図30A図30Dの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0155】
図31A】正の仰角を有する軸外偏光による交差Aプレートリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。
【0156】
図31B】負の横方向角を有する軸外偏光による交差Aプレートリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。
【0157】
図31C】正の仰角及び負の横方向角を有する軸外偏光による交差Aプレートリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。
【0158】
図31D】正の仰角及び正の横方向角を有する軸外偏光による交差Aプレートリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。
【0159】
図31E図31A図31Dの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0160】
ここで、本開示のために光学リターダに関する用語について説明する。
【0161】
一軸複屈折材料を含む層では、光学異方性を支配する方向が存在するのに対して、その方向に対して垂直である(又はその方向に対して所与の角度である)全方向は、同等の複屈折性を有する。
【0162】
光軸とは、複屈折が発生しない一軸複屈折材料における光線の伝播方向を指す。光軸に直交する方向に伝搬する光では、遅軸に対して平行である電気ベクトル方向を有する直線偏光が最も遅い速度で移動する場合、光軸は遅軸である。遅軸方向は、設計波長において最高屈折率を有する方向である。同様に、高速軸方向は、設計波長において最低屈折率を有する方向である。
【0163】
正の誘電異方性一軸複屈折材料では、遅軸方向は複屈折材料の異常軸である。負の誘電異方性一軸複屈折材料の場合、高速軸方向は複屈折材料の異常軸である。
【0164】
「波長の半分」及び「波長の4分の1」という用語は、典型的に500nm~570nmであり得る設計波長λのリターダの動作を指す。本例示的な実施形態では、例示的なリターダンス値は、特に指定のない限り、550nmの波長に対して提供される。
【0165】
リターダは、そこに入射する光波の2つの垂直偏光成分間の位相シフトをもたらし、2つの偏光成分に付与する相対位相Γ(以下のように複屈折Δn及びリターダの厚さdに関連する)の量によって特徴付けられる。
【数1】
【0166】
式1において、Δnは、異常屈折率と通常屈折率との差として定義される。すなわち、以下のとおりである。
【数2】
【0167】
半波長リターダの場合、d、Δn、及びλの関係は、偏光成分間の位相シフトがΓ=πであるように選択される。1/4波長リターダの場合、d、Δn、及びλの関係は、偏光成分間の位相シフトがΓ=π/2であるように選択される。
【0168】
本明細書における「半波長リターダ」という用語は、典型的には、リターダに対して垂直に、かつ空間光変調器に対して垂直に伝搬する光を指す。
【0169】
本開示において、「Aプレート」は、複屈折材料の層を用い、その光軸が層の(x-y)面に対して平行である光学リターダを指す。
【0170】
「正のAプレート」は、正の複屈折Aプレート、すなわち、正のΔnを有するAプレートを指す。
【0171】
本開示において、「Cプレート」とは、複屈折材料の層を用い、その光軸が層の平面に対して垂直である光学リターダを指す。「正のCプレート」は、正の複屈折Cプレート、すなわち、正のΔnを有するCプレートを指す。「負のCプレート」は、負の複屈折Cプレート、すなわち負のΔnを有するCプレートを指す。
【0172】
「Oプレート」は、複屈折材料の層を用い、その光軸は、層の面に対して平行である成分と、層の面に対して垂直である成分と、を有する、光学リターダを指す。「正のOプレート」は、正の複屈折Oプレート、すなわち、正のΔnを有するOプレートを指す。
【0173】
リターダの材料のリターダンスΔn.dが、以下のように波長λと共に変化する、アクロマティックリターダが提供されてよい。
【数3】
【0174】
式中、κは、実質的に一定である。
【0175】
好適な材料の例としては、Teijin Films製の改質ポリカーボネートが挙げられる。本実施形態では、アクロマティックリターダが提供されて、以下に記載するように、低い輝度低下を有する極角視野方向と、増加した輝度低下を有する極角視野方向との間での変色を有利に最小化してよい。
【0176】
ここで、リターダ及び液晶に関して本開示で使用する様々な他の用語について説明する。
【0177】
液晶セルは、Δn.dによって与えられるリターダンスを有し、Δnは、液晶セルにおける液晶材料の複屈折性であり、dは、液晶セル内の液晶材料の配向とは無関係の液晶セルの厚さである。
【0178】
ホモジニアス配向は、分子が基材に対して実質的に平行に配向される、切り替え可能な液晶ディスプレイ内での液晶の配向を指す。ホモジニアス配向は、プレーナ配向と呼ばれることもある。ホモジニアス配向では、典型的には、以下に記載するように、液晶セルの配向層の表面にある分子がわずか傾斜しているように、2度など小さなプレチルトを備えてよい。プレチルトは、セルの切り替えにおける縮退を最小限に抑えるように構成されている。
【0179】
本開示において、ホメオトロピック配向は、棒状液晶分子が基材に対して実質的に垂直に配向される状態である。ディスコティック液晶ホメオトロピック配向では、ディスク様液晶分子によって形成されるカラム構造の軸が表面に対して垂直に配向される状態として定義される。ホメオトロピック配向では、プレチルトは、配向層に近い分子のチルト角であり、典型的には90度近く、例えば88度であってよい。
【0180】
正の誘電異方性を有する液晶分子は、印加される電界によって、ホモジニアス配向(Aプレートリターダ配向など)からホメオトロピック配向(Cプレート又はOプレートリターダ配向など)に切り替えられる。
【0181】
負の誘電異方性を有する液晶分子は、印加される電界によって、ホメオトロピック配向(Cプレート又はOプレートリターダ配向など)からホモジニアス配向(Aプレートリターダ配向など)に切り替えられる。
【0182】
棒状分子は正の複屈折を有する。したがって、式2に記載するように、n>nである。ディスコティック分子は負の複屈折を有する。したがって、n<nである。
【0183】
Aプレート、正のOプレート、及び正のCプレートなど正のリターダは、典型的には、延伸フィルム又は棒状液晶分子によって提供され得る。負のCプレートなど負のリターダは、延伸フィルム又はディスコティック液晶分子によって提供され得る。
【0184】
平行液晶セル配向とは、平行であるか、又はより典型的には逆平行であるホモジニアス配向層の配向方向を指す。プレチルトホメオトロピック配向の場合、配向層は、実質的に平行又は逆平行である成分を有し得る。ハイブリッド配向液晶セルは、1つのホモジニアス配向層と、1つのホメオトロピック配向層と、を有し得る。ねじれ液晶セルは、例えば、互いに90度に配向された、平行配向を有さない配向層によって提供され得る。
【0185】
透過型空間光変調器は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,237,876号に開示されているように、入力ディスプレイ偏光子と出力ディスプレイ偏光子との間にリターダを更に備え得る。かかるリターダ(図示せず)は、本実施形態の受動リターダとは異なる場所にある。かかるリターダは、軸外視聴位置のコントラストの劣化を補償する。これは、本実施形態の軸外視聴位置の輝度低下に異なる効果を及ぼす。
【0186】
ディスプレイ偏光子とOLEDディスプレイ発光層との間に設けられた光学的分離リターダは、米国特許第7,067,985号に更に記載されている。光学的分離リターダは、本実施形態の受動リターダとは異なる場所にある。分離リターダは、OLEDディスプレイ発光層からの正面反射を低減させる。これは、本実施形態の軸外視聴位置の輝度低下に異なる効果を及ぼす。
【0187】
ここで、様々な切り替え可能なディスプレイ装置の構造及び動作について説明する。この説明では、共通の要素は共通の参照番号を有する。任意の要素に関する開示は、同一又は対応する要素が設けられる各装置に適用されることに留意されたい。したがって、簡潔にするために、かかる開示は繰り返さないものとする。
【0188】
図1Aは、ディスプレイ装置の光学積層体を側面斜視図で示す概略図である。
【0189】
ディスプレイ装置100は、出力偏光子218である、少なくとも1つのディスプレイ偏光子を備える空間光変調器48を備える。バックライト20は光を出力するように構成されており、空間光変調器48は、バックライト20から出力光を受光するように構成されている、透過型空間光変調器48を備える。ディスプレイ装置100は、本明細書に記載するように、角度輝度特性を有する光400を出力するように構成されている。
【0190】
本開示では、空間光変調器48は、基材212、216と、赤色、緑色、及び青色の画素220、222、224を有する液晶層214と、を備える液晶ディスプレイを備えてよい。空間光変調器48は、その両側に入力ディスプレイ偏光子210と出力ディスプレイ偏光子218とを有する。出力ディスプレイ偏光子218は、空間光変調器48の画素220、222、224からの光に対して高消光率をもたらすように構成されている。典型的な偏光子210、218は、ダイクロイック偏光子など吸収型偏光子であってよい。
【0191】
任意に、反射型偏光子208がダイクロイック入力ディスプレイ偏光子210とバックライト210との間に設けられて、再循環光をもたらし、ディスプレイ効率を向上させ得る。有利なことには、効率を向上し得る。
【0192】
バックライト20は、入力光源15と、導波路1と、後方反射器3と、ディフューザ、光転向フィルム、及び他の既知の光バックライト構造体を備える光学積層体5と、を備えてよい。例えば非対称の表面レリーフ特徴部を備え得る非対称ディフューザが光学積層体5内に設けられ、横方向と比較して仰角方向の拡散が増大してよい。有利なことには、画像均一性が向上され得る。
【0193】
本実施形態では、バックライト20は、以下の図26A~28Cに記載するように、正面輝度と比較して、軸外視聴位置に対して低下した輝度を有する角度光分布をもたらすように構成されてよい。バックライト20は、プライバシー動作モードでは低下した軸外輝度、広角動作モードでは増加した軸外輝度をもたらすために、出力角度輝度プロファイルを切り替えるように構成されている、切り替え可能なバックライトを更に備えてよい。かかるスイッチングバックライト20は、本実施形態の切り替え可能な補償リターダ300と協働し得る。
【0194】
追加偏光子318は、吸収型ダイクロイック偏光子であり得るディスプレイ出力偏光子218と同じ空間光変調器48の出力側に配置される。
【0195】
ディスプレイ偏光子218及び追加偏光子318は、平行である電気ベクトル伝達方向219、319を有する。以下に記載するように、かかる平行配向は、中央視聴位置に高透過率をもたらす。
【0196】
本明細書で共に切り替え可能な補償リターダ300と称される複数のリターダは、追加偏光子318とディスプレイ偏光子218との間に配置され、(i)ディスプレイ偏光子218と追加偏光子318との間に配置された液晶材料の層314を備える、切り替え可能な液晶リターダ301と、(ii)受動補償リターダ330と、を備える。
【0197】
図1Bは、図1Aの光学積層体内の光学層の配向を正面図で示す概略図である。空間光変調器48の入力ディスプレイ偏光子210における入力電気ベクトル伝達方向211は、液晶層214によって変換され得る入力偏光成分を提供して、出力ディスプレイ偏光子218の電気ベクトル伝達方向219によって決定される出力偏光成分を提供する。受動補償リターダ330は、ディスコティック複屈折材料430を含む遅延層を備えてよく、切り替え可能な液晶リターダ301は、液晶材料を含んでよい。
【0198】
切り替え可能な補償リターダ300は、したがって、切り替え可能な液晶リターダ301及び基材312、316を備える切り替え可能な液晶リターダ301と、追加偏光子318とディスプレイ偏光子218との間に配置された受動補償リターダ330と、を備える。
【0199】
基材312、316は、ガラス基材又はポリイミド基材などポリマー基材であってよい。好都合に透明電極が設けられ得る可撓性基材が提供され得る。有利なことには、湾曲した、屈曲した、折り畳み可能なディスプレイが提供され得る。
【0200】
ディスプレイ装置100は、切り替え可能な液晶リターダ301の電極全体に電圧ドライバ350によって印加される電圧を制御するように構成されている制御システム352を更に備える。
【0201】
発光ディスプレイの迷光の低減又はプライバシー制御の提供が望ましい場合がある。
【0202】
図1Cは、発光型空間光変調器48と、発光型空間光変調器48の出力側に配置された切り替え可能な補償リターダ300と、を備える指向性ディスプレイ装置の光学積層体を側面斜視図で示す概略図である。
【0203】
あるいは、空間光変調器48は、有機LEDディスプレイ(OLED)など発光によって出力光400をもたらす他のディスプレイタイプによって提供され得、出力ディスプレイ偏光子218と、基材512、516と、発光層514と、を備える。出力偏光子218は、出力ディスプレイ偏光子218とOLED画素平面との間に挿入された1つ以上のリターダ518によってOLED画素平面から反射された光の輝度を低下させ得る。1つ以上のリターダ518は、1/4波長板であってよく、本開示の補償リターダ330とは異なる。
【0204】
図1Cの実施形態では、空間光変調器48は、発光型空間光変調器を備え、ディスプレイ偏光子は出力ディスプレイ偏光子218である。
【0205】
そうでなければ、図1Cの指向性ディスプレイ装置は、上述のように、図1Aと同じである。
【0206】
ここで、ディスプレイ装置に適用するための視野角制御光学素子260について説明する。視野角制御光学素子260は、切り替え可能な視野特性を達成するために、ディスプレイ偏光子210、218を備える空間光変調器に加えられてよい。
【0207】
図1Dは、受動補償リターダ330と、切り替え可能な液晶リターダ301と、制御偏光子250と、を備えるディスプレイ装置に適用するための視野角制御光学素子260を側面斜視図で示す概略図である。
【0208】
使用する際、視野角制御光学素子260は、偏光出力空間光変調器48にユーザによって、又は工場で取り付けられてよい。視野角制御光学素子260は、湾曲したディスプレイ及び屈曲したディスプレイのための可撓性フィルムとして提供されてよい。あるいは、視野角制御光学素子260は、ガラス基材など剛性基材上に設けられてよい。
【0209】
有利なことには、パネルの画素分解能に一致させてモアレアーチファクトを回避する必要がない、アフターマーケットのプライバシー制御素子及び/又は迷光制御素子が提供され得る。視野角制御光学素子260は、空間光変調器48に工場で取り付けるように更に提供され得る。
【0210】
図1Dの視野角制御光学素子260を既存のディスプレイ装置に取り付けることにより、図1A図1Cのいずれかに示されるようなディスプレイ装置を形成することができる。
【0211】
図1A図1Dの実施形態は、空間光変調器48から出力される光400の極性輝度を制御する。すなわち、切り替え可能な補償リターダ300(切り替え可能な液晶リターダ301と、受動補償リターダ330と、を備える)は、切り替え可能な補償リターダ300の平面の法線に沿った軸に沿って入力ディスプレイ偏光子210、切り替え可能な補償リターダ300、及び追加偏光子318を通過する光の輝度に影響を及ぼさないが、切り替え可能な補償リターダ300は、切り替え可能な補償リターダ300の切り替え可能な状態のうちの少なくとも1つにおいて、切り替え可能な補償リターダ300の平面の法線に対して傾斜した軸に沿って通過する光の輝度を低下させる。この効果をもたらす原理は、図29A図31Eを参照して以下でより詳細に説明しており、切り替え可能な液晶リターダ301及び受動補償リターダ330によって導入される、切り替え可能な液晶リターダ301及び受動補償リターダ330の液晶材料に関して異なる角度をなす軸に沿った光に対する位相シフトの有無から生じる。同様の効果が、以下に記載するすべての装置において達成される。
【0212】
更に、切り替え可能な液晶リターダ301に加えて受動補償リターダ330を設けることにより、いくつかの特定のディスプレイ装置を参照し、図19A図19Eを参照して記載するいくつかの比較例と比較することによってより詳細に説明するように、性能が改善される。
【0213】
空間光変調器48と観察者との間の光学層の数を低減することが望ましい場合がある。ここで、複数のリターダ300が空間光変調器48の入力側に配置される構成について説明する。
【0214】
図2Aは、バックライト20と、切り替え可能な後方補償リターダ300と、透過型空間光変調器48と、を備える指向性ディスプレイ装置の光学積層体を側面斜視図で示す概略図であり、追加偏光子318は反射型偏光子を備える。図2Bは、図2Aの光学積層体内の光学層の配向を正面図で示す概略図である。
【0215】
ディスプレイ装置100は、空間光変調器48と、空間光変調器48の入力側に配置されたディスプレイ偏光子210と、を備える。追加偏光子318は、ディスプレイ偏光子210と同じ空間光変調器48の側に配置される。追加偏光子318は、バックライト20と協働して動作する反射型偏光子であって、効率を向上させる。
【0216】
複数のリターダ300は、反射型追加偏光子318とディスプレイ偏光子210との間に配置される。図1Aのように、複数のリターダ300は、ディスプレイ偏光子210と反射型追加偏光子318との間に配置された液晶材料の層314を備える切り替え可能な液晶リターダ301と、受動補償リターダ330と、を備える。したがって、反射型追加偏光子318は、入力ディスプレイ偏光子210とバックライト20との間の入力ディスプレイ偏光子210の入力側に配置され、複数のリターダ300は、反射型追加偏光子318と入力ディスプレイ偏光子210との間に配置される。
【0217】
反射型追加偏光子318の電気ベクトル伝達方向319は、以下に記載するように、入力偏光子210の電気ベクトル伝達方向211に対して平行であって、切り替え可能な方向特性を達成する。
【0218】
代替的な実施形態では、追加偏光子318は、反射型偏光子及び吸収型ダイクロイック偏光子の両方を備えてよい、又はダイクロイック偏光子のみを備えてよい。
【0219】
反射型追加偏光子318は、例えば、3M Corporation製のDBEF(商標)など多層フィルムであってよい、又はワイヤーグリッド偏光子であってよい。有利なことには、偏光子372からの偏光反射からの光を再利用することにより、ディスプレイ効率が改善され得る。吸収型ダイクロイック偏光子及び反射型偏光子の両方を追加偏光子318として使用する場合と比較すると、コスト及び厚さが更に低減され得る。
【0220】
図1Aの構成と比較して、図2Aは、画素220、222、224と観察者との間の層の数が低減しているため、スクリーン画像コントラストの前面が改善され得る。
【0221】
図2Cは、バックライト20と、切り替え可能な後方補償リターダ300と、透過型空間光変調器48と、を備える指向性ディスプレイ装置の光学積層体を側面斜視図で示す概略図であり、追加偏光子318はダイクロイック偏光子を備える。図2Aの反射型追加偏光子318と比較して、ダイクロイック追加偏光子318は、高角度光をバックライトに再利用しないため、図2Aの構成と比較して軸外輝度を低下させ得る。有利なことには、プライバシー性能が改善される。
【0222】
ここで、図1A図1C及び図2A図2Bの切り替え可能な補償リターダ300及び追加偏光子318の構成及び動作について説明する。
【0223】
図3は、負の誘電異方性を有する液晶材料414の層314を備える切り替え可能な液晶リターダ301の例示的な構成を側面図で示す概略図である。基材312、316は、その上に配置された透明電極413、415と、切り替え可能な液晶リターダ301の両側に配置されたホメオトロピック表面配向層409、411と、を有してよい。ホメオトロピック配向層409、411は、隣接する液晶材料414において、プレチルト角407を有するホメオトロピック配向をもたらし得る。
【0224】
x-y面における液晶材料414の配向は、各配向層がプレチルトを有するように、配向層のプレチルト方向によって決定され、各配向層のプレチルトは、出力ディスプレイ偏光子218の電気ベクトル伝達方向303に対して平行若しくは逆平行である、又は直交している切り替え可能な液晶リターダ301の平面内に成分417a、417bを有するプレチルト方向を有する。
【0225】
プレチルト407a、407bは、例えば、88度であってよく、その結果、成分417が小さく、液晶材料414の層314の配向の緩和(ゼロ電圧)状態でディスクリネーションを低減する。したがって、層314は、ゼロ電圧構成の実質的に正のCプレートによって設けられる。実際には、液晶層は、角度407a及び残差成分417におけるホメオトロピック配向層のプレチルトによって提供される、わずかなOプレート特性を更に有する。
【0226】
切り替え可能な液晶リターダ301は、切り替え可能な液晶リターダ301に隣接して、切り替え可能な液晶リターダ301の両側に配置された電極413、415を備える。液晶材料414の層314は、電極413、415の全体に印加される電圧によって切り替え可能である。
【0227】
非駆動状態では、液晶材料414は、リターダ301の平面に対して垂直である成分418及びリターダの平面内の成分417と整列される。
【0228】
リターダ330は、ディスコティック複屈折材料430を含む負の受動Oプレートを備えるものとして図示されている。受動補償リターダ330のリターダンスは、切り替え可能な液晶リターダ301のリターダンスと等しく、かつ反対であり得る。切り替え可能な液晶リターダ301は、第1のプレチルト407aと、第2のプレチルト407bと、を備えてよく、受動補償リターダ330は、第1のプレチルト405a及び第2のプレチルト405bを有する補償リターダを備えてよく、補償リターダ330の第1のプレチルト405aは、液晶リターダ301の第1のプレチルト407aと同一であり、補償リターダ330の第2のプレチルト405bは、液晶リターダ301の第2のプレチルト307bと同一である。
【0229】
受動Oプレートは、例えば、ディスコティック反応性メソゲンであり得る硬化反応性メソゲン層を備えてよい。補償リターダのプレチルトは、好適な配向層との整列後に反応性メソゲン材料を硬化させることによって達成され得る。Oプレートはまた、ポリカーボネートなどの二重延伸ポリマーフィルムを備えてよい。
【0230】
動作中、切り替え可能な液晶リターダ301は、2つの配向状態間で切り替え可能である。第1の状態は、複数の視聴者によるディスプレイの視聴をもたらし得る。第2の状態は、プライバシー動作のための狭角モード、又は、例えば夜間動作における迷光の低減をもたらし得る。以下で更に説明するように、かかる素子は、広角動作モードでの広範囲の極角、及びプライバシー動作モードでの制限された輝度極性視野のために高透過率を提供することができる。
【0231】
ここで、第1の状態を表す、広角モードの図1Aのディスプレイの動作について説明する。
【0232】
図4Aは、広角動作モードの、切り替え可能な補償リターダ300の構成を斜視側面図で示す概略図である。切り替え可能な液晶リターダ301の全体にゼロボルトが提供される。図4A及び以下の他の概略図では、明確にするために光学積層体の一部の層を省略する。例えば、切り替え可能な液晶リターダ301は、基材312、316を省略して示されている。
【0233】
切り替え可能な液晶リターダ301は、液晶材料414の両側でそれに隣接し、隣接する液晶材料414においてホメオトロピック配向をもたらすように構成されている2つの表面配向層を備える。上記のように、液晶材料414には、例えば、水平から88度のプレチルトが設けられて、液晶材料414の配向の縮退を除去してよい。
【0234】
受動補償リターダ330は、リターダの平面に対して垂直な高速軸である光軸を有する、負のCプレートリターダを備える。したがって、Cプレートリターダの材料430は、負の誘電異方性を有し得る。Cプレートは、例えば、ホメオトロピック配向をもたらす、基材上に流延されるポリカーボネート又は反応性メソゲン、Zeonex(商標)シクロオレフィンポリマー(COP)、ディスコティックポリマー、及びNitto Denko(商標)二重延伸ポリカーボネートなど透明複屈折材料を含んでよい。
【0235】
図4Bは、切り替え可能な液晶リターダセルを通る分数位置440に対する液晶ダイレクタ角度407のグラフを示す概略図であり、分数位置440は、表面配向層409における位置0と、表面配向層411における位置1の間で変動する。
【0236】
図4Aに示すように電圧が印加されていない垂直配向モードでは、液晶ダイレクタは、チルトプロファイル442によって示されるように、セルの厚さを通して88度のチルト407である。層314のチルトプロファイルは、プロファイル442と同一であり得る。補償リターダ330は、切り替え可能な液晶リターダ301のプレチルト方向を補正してよい。あるいは、補償リターダ330は、90度の均一チルト角を有してよく、液晶層のプレチルトのかかる差は、軸外視聴特性にごくわずかな差をもたらす。
【0237】
したがって、補償リターダ330の軸外リターダンスは、電圧が印加されていないとき、切り替え可能な液晶リターダ301の軸外リターダンスと実質的に等しく、かつ反対である。
【0238】
図4Cは、広角動作モードでの、図1Aの光学積層体を通る、空間光変調器48からの出力光の伝搬を側面図で示す概略図であり、図4Dは、広角動作モードでの、図4Cの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0239】
理想的な切り替え可能な補償リターダ300は、切り替え可能な可変液晶リターダ301と組み合わせて補償リターダ330を備え、補償リターダ330の誘電率、異方性、及び異方性の分散は、層314の誘電率、異方性、及び異方性の分散と等しく、かつ反対である誘電率、異方性、及び異方性の分散を有する。受動補償リターダ330のリターダンスは、切り替え可能な液晶リターダ301のリターダンスと等しく、かつ反対である。
【0240】
かかる理想的な補償切り替え可能なリターダは、すべての極角について液晶材料414の層314の第1の広角状態で透過光の補償を達成し、切り替え可能な液晶リターダ301の第2のプライバシー状態で横方向の狭視野を達成する。
【0241】
更に、補償リターダ330の光軸は、広角状態の液晶リターダ301の光軸と同一方向を有する。かかる補償リターダ330は、すべての視野角について液晶リターダの遅延を相殺し、すべての視野方向について輝度損失のない、理想的な広角視野状態をもたらす。
【0242】
ここで、理想的ではない材料選択の広角透過極性プロファイルについて説明する。
【0243】
本開示の例示的な実施形態は、リターダ330、301に典型的である材料特性の差が小さいために、切り替え可能な液晶リターダ301の遅延を厳密には補償できない補償リターダ330を示す。しかしながら、有利なことには、かかる偏差は小さく、かかる偏差が理想的な性能に近ければ、高性能の広角状態及び狭角状態が達成され得る。
【0244】
したがって、切り替え可能な液晶リターダ301が前述の2つの状態のうちの第1の状態であるとき、切り替え可能な補償リターダ300は、光線402などについて偏光成分360、361を全変換せず、切り替え可能なリターダの平面に対して垂直に、又は切り替え可能なリターダの平面に対して垂直と鋭角をなして通過する光線400を出力する。
【0245】
偏光成分362は偏光成分360と実質的に同一であり、偏光成分364は偏光成分361と実質的に同一である。したがって、図4Dの角度透過プロファイルは、広範な極性領域にわたって実質的に均一に伝達される。
【0246】
換言すれば、液晶材料414の層が上記2つの配向状態のうちの第1の配向状態にあるとき、複数のリターダ330、301は、リターダの平面に対して垂直に、又はリターダ330、301の平面に対して垂直と鋭角をなして通過する光に対して全体的なリターダンスを提供しない。
【0247】
有利なことには、第1の状態の視野角を有するディスプレイ輝度の変化は、実質的に変更されない。複数のユーザは、好都合には、ディスプレイを広範な視野角から見ることができる。
【0248】
ここで、例えば、プライバシー動作モードで使用するための、狭角モードでの補償リターダ300及び追加偏光子318の動作について説明する。
【0249】
図5Aは、プライバシー動作モードの負のCプレート受動補償リターダ330と、ホメオトロピック配向の切り替え可能な液晶リターダ301と、を備える、プライバシー動作モードの切り替え可能な補償リターダ300の構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0250】
液晶リターダ301は、切り替え可能な液晶リターダ301全体に配置されたITO電極など透明電極413、415を更に備える。電極413、415は、電極413、415に印加される電圧を調整することによって切り替え可能な液晶リターダ301を制御する。
【0251】
制御システム352は、電圧ドライバ350によって切り替え可能な液晶リターダ301の電極413、415の全体に印加される電圧を制御するように構成されている。
【0252】
図4Bに戻ると、電圧が印加されると、切り替え可能な液晶リターダ301の外広がりのチルトプロファイル444がもたらされ、その結果、液晶材料414の層314のリターダンスが変更される。
【0253】
最適なプライバシー性能の方向は、駆動電圧を制御することによって観察者の位置に応じて調整されてよい。別の使用では、又は、例えば自動車環境において軸外観察者に制御された輝度を提供するために、乗客又は運転者が、表示された画像を完全に不明瞭化するのではなく、中間電圧レベルを用いてある程度の視認性を提供することを望む場合がある。
【0254】
図5Bは、プライバシー動作モードでの、図1Aの光学積層体を通る空間光変調器48からの出力光の伝搬を側面図で示す概略図であり、切り替え可能な液晶リターダ301は、印加された電圧によって配向される。
【0255】
本実施形態では、切り替え可能な補償液晶リターダ330は、ディスプレイ偏光子210、218、316及び追加偏光子318と組み合わせて、光軸(軸外)と鋭角をなすディスプレイ装置からの光出力の輝度が低下する(すなわち、リターダが存在しない場合と比較して)効果を有するように構成されてよい。切り替え可能な補償液晶リターダ330はまた、ディスプレイ偏光子210、218、316及び追加偏光子318と組み合わせて、光軸(軸上)に沿った、ディスプレイ装置からの光出力の輝度が低下しない(すなわち、リターダが存在しない場合と比較して)効果を有するように構成されてよい。
【0256】
出力ディスプレイ偏光子218からの偏光成分360は、出力ディスプレイ偏光子218によって透過され、切り替え可能な補償リターダ300に入射する。軸上光は、成分360からの未変更の偏光成分362を有し、軸外光は、切り替え可能な補償リターダ300のリターダによって変換される偏光成分364を有する。少なくとも、偏光成分361は、直線偏光成分364に変換され、追加偏光子318によって吸収される。より一般的には、偏光成分361は、楕円偏光成分に変換され、追加偏光子318によって部分的に吸収される。
【0257】
したがって、リターダ切り替え可能な液晶リターダ301が当該2つの配向状態のうちの第2の配向状態にあるとき、複数のリターダ301、330は、リターダの平面に対して垂直である軸に沿って通過する光に対して全体的なリターダンスをもたらさないが、リターダ301、330の平面に対して垂直と鋭角をなす一部の極角363には、通過する光に対してゼロでない全体的なリターダンスをもたらす。
【0258】
換言すれば、切り替え可能な液晶リターダ301が当該2つの状態のうちの第2の状態にあるとき、切り替え可能な補償リターダ330は、切り替え可能なリターダ301の平面に対して垂直である軸に沿って通過する出力光線400に対して偏光成分360を全変換しないが、リターダ301、330の平面に対して垂直と鋭角をなす一部の極角については、通過する光線402に対して偏光成分361を全変換する。
【0259】
例示的な材料システムは、狭角動作について説明する。
【0260】
図5Cは、図5Bの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフであり、表1に記載のパラメータを有する。
【表1】
【0261】
本実施形態では、遅延及び電圧の望ましい範囲は、リターダ積層体のシミュレーション及びディスプレイ光学積層体を用いた実験によって確立されている。
【0262】
切り替え可能な液晶リターダ300は、液晶材料414の層の第1の側に配置された第1表面配向層409と、第1の側と反対側の液晶材料414の層の第2の側に配置された第2の表面配向層411と、を備え、第1の表面配向層409はホメオトロピック配向層であり、第2の表面配向層411は、ホメオトロピック配向層であり、液晶材料の層は、550nmの波長の光に対して500nm~1000nm、好ましくは600nm~900nm、最も好ましくは700nm~850nmのリターダンスを有する。
【0263】
受動補償リターダ330が、リターダの平面に対して垂直である光軸を有するリターダを備える場合、受動リターダは、550nmの波長の光に対して-300nm~-900nm、好ましくは-450nm~-800nm、最も好ましくは-500nm~-725nmのリターダンスを有する。
【0264】
図5Cに示す光透過の極性分布は、下方に位置する空間光変調器48からの輝度出力の極性分布を変更し、該当する場合にはバックライト20についても変更する。
【0265】
有利なことには、軸上の観察者に対して高輝度を維持しつつも、軸外のスヌーパーに対して低輝度を有するプライバシーディスプレイが提供される。軸外のスヌーパーに対するディスプレイの輝度が低下する、広範な極性領域が提供される。更に、プライバシー動作モードの主たるディスプレイユーザは、軸上輝度の影響を実質的に受けない。
【0266】
電極全体に印加される電圧は、第1の配向状態ではゼロであり、第2の配向状態ではゼロではない。有利なことには、広角動作モードでは追加の電力消費は生じなくてよく、切り替え可能な液晶リターダ301の駆動の故障モードは広角モード用である。
【0267】
ここで、図1Aのディスプレイのプライバシーモードの動作について更に説明する。
【0268】
図6Aは、プライバシーモードで動作するディスプレイについての透過出力光の観測を正面斜視図で示す概略図である。ディスプレイ装置100は、白色領域603と、黒色領域601と、を備えてよい。スヌーパーは、観察領域601、603間の輝度差が知覚され得る場合、ディスプレイ上の画像を観察することができる。動作中、主たるユーザ45は、指向性ディスプレイの光学窓であり得る視聴位置26までの光線400によって全輝度画像を観察する。スヌーパー47は、指向性ディスプレイの光学窓であり得る視聴位置27において、低減された輝度光線402を観察する。領域26、27は、図5Cの軸上領域及び軸外領域を更に表す。
【0269】
図6Bは、プライバシーモード1で動作する図1Aのディスプレイの見え方を正面斜視図で示す概略図であり、輝度は、図5Cに示すように変化する。したがって、上視野象限530、532、下視野象限534、536、及び横視聴位置526、528は輝度の低下をもたらし、一方、上/下中央視聴領域522、520及び正面視聴は、より高い輝度をもたらす。
【0270】
自動車車両において制御可能なディスプレイ照明を提供することが望ましい場合がある。
【0271】
図6Cは、エンターテイメント動作モード及び共有動作モードの両方について、車両600の車室602内に配置された切り替え可能な指向性ディスプレイ100を有する自動車車両を側面図で示す概略図である。光円錐610(例えば、輝度がピーク輝度の50%を超える光の円錐を表す)は、ディスプレイ100の仰角方向の輝度分布によって提供されてよく、切り替え不能である。
【0272】
図6Dは、エンターテイメント動作モードであって、プライバシーディスプレイと同様に動作する、車室602内に配置された切り替え可能な指向性ディスプレイ100を有する自動車車両を正面図で示す概略図である。光円錐612は、乗客606がディスプレイ100を見ることができるが、運転手604はディスプレイ100上の画像を見ることができないように、狭角度範囲で提供される。有利なことには、エンターテイメント画像は、運転手604の注意を乱すことなく、乗客606に表示され得る。
【0273】
図6Eは、共有動作モードの、車室602内に配置された切り替え可能な指向性ディスプレイ100を有する自動車車両を上面図で示す概略図である。光円錐614は、例えば、ディスプレイが動いていないとき、又は注意を乱さない画像が提供されるときに、全乗員がディスプレイ100上の画像を知覚することができるように、広角度範囲で提供される。
【0274】
図6Fは、夜間動作モード及び日中動作モードの両方について、車室602内に配置された切り替え可能な指向性ディスプレイ100を有する自動車車両を上面図で示す概略図である。図6C図6Eの構成と比較して、光学出力は、ディスプレイの仰角方向が運転手604と乗客606の位置との間の軸に沿うように回転される。光円錐620は、運転手604及び乗客606の両方を照らす。
【0275】
図6Gは、夜間動作モードの、車室602内に配置された、切り替え可能な指向性ディスプレイ100を有する自動車車両を側面図で示す概略図である。したがって、ディスプレイは、狭角度の出力光円錐622を提供し得る。車室602の内側面及び乗客を照らし、有利なことには、運転手604の注意を乱す迷光は、実質的に低減され得る。運転手604及び乗客606の両方は、有利なことには、表示された画像を観察することができる。
【0276】
図6Hは、日中動作モードの、車室602内に配置された切り替え可能な指向性ディスプレイ100を有する自動車車両を側面図で示す概略図である。したがって、ディスプレイは、狭角度の出力光円錐624を提供し得る。有利なことには、ディスプレイは、車室602の全乗員によって好都合に観察され得る。
【0277】
図6C図6Hのディスプレイ100は、運転手機器用ディスプレイ、中央コンソールディスプレイ、及びシートバックディスプレイなど他の車室位置に配置され得る。
【0278】
図7A図7Dは、0.1V刻みで2.05V~2.35Vの4つの異なる駆動電圧に対する極性方向での出力透過の変化を示す概略図である。したがって、印加された電圧は、プライバシー動作モードにおける輝度視野最小位置を制御し得る。更に、輝度最小値は、極性プロファイルの上象限内の仰角に対してゼロ以下の仰角間で制御され得る。
【0279】
図8は、制御システムによって実行されるプライバシーディスプレイの制御を示すフローチャートである。この制御は、本明細書に記載する装置のそれぞれに適用されてよい。
【0280】
第1の工程870では、ユーザは、プライバシー動作モードを有効にし得る。
【0281】
第1の、及び更なる補償切り替え可能な液晶リターダ300Bが設けられる場合(例えば、以下で説明する図22Aの装置において)、制御システムは第2の配向状態で配置されて、前述の切り替え可能な液晶リターダ314Aの電極413、415全体に印加される電圧を制御し、また、更なる切り替え可能な液晶リターダ314Bの電極全体に印加される電圧を制御し、リターダ31A、330Aの平面に対して垂直と鋭角をなす一部の極角で前述の第1の切り替え可能な液晶リターダ314A及び前述の受動補償リターダ330Aを通過する光に対する全体的なリターダンスは、一部の極角で更なる切り替え可能な液晶リターダ314B及び更なる受動補償リターダ330Bを通過する光に対する全体的なリターダンスとは異なる。
【0282】
かかるプライバシーモード設定は、手動設定(例えば、キーボード操作)によって、又は例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2017-0236494号に記載されているように、スヌーパーの存在を特定するセンサを使用した自動検知によって提供されてよい。任意に、スヌーパーに関するディスプレイの配向は、検出器873によって更に検出されてよい。
【0283】
第2の工程872では、スヌーパーの位置は、例えばカメラ若しくはキーボード設定又は他の方法によって検出されてよい。例示的な実施例では、オフィス設定が提供されてもよく、このオフィス設定は、共有オフィス環境を動き回るスヌーパーに対するプライバシー性能を最適化することが望ましい場合があり、したがって下方視野象限に対して性能を最適化する。フライト設定と比較して、着席しているスヌーパーにプライバシーレベルの最適化をもたらし、オフィス設定に望ましい仰角よりも小さい仰角に対してプライバシーレベルを改善し得る。
【0284】
第3の工程876では、切り替え可能な液晶リターダ301に印加される電圧を調整してよく、第4の工程878では、制御システムでLEDプロファイルを調整することができる。
【0285】
したがって、制御システムは、ディスプレイ装置100に関してスヌーパー47の位置を判定する手段872を更に備えてよく、制御システムは、測定したスヌーパー47の位置に応答して、ドライブ350によって切り替え可能な液晶リターダ314の電極413、415全体に印加される電圧を調整するように構成されている。
【0286】
有利なことには、ディスプレイのプライバシー動作は、スヌーパーのビューイングジオメトリ(viewing geometry)を最適化するように制御され得る。
【0287】
本実施形態の考察に戻り、切り替え可能な補償リターダ300の更なる構成について説明する。
【0288】
図9Aは、交差Aプレート受動補償リターダ308A、308Bと、ホメオトロピック配向の切り替え可能な液晶リターダ301と、を備える、プライバシー動作モードの切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図であり、図9Bは、交差Aプレート受動補償リターダと、ホメオトロピック配向の切り替え可能な液晶リターダと、を備える、プライバシー動作モードの切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0289】
図4A及び図5Aの構成と比較して、補償リターダ330は、代替的に、交差するリターダの平面に光軸を有する一対のリターダ308A、308Bを備えてよい。補償リターダ330は、したがって、それぞれ単一のAプレートを備える一対のリターダ308A、308Bを備える。
【0290】
一対のリターダ308A、308Bは、それぞれ、互いに関して異なる角度で配向されたそれぞれの光軸309A、309Bを有する複数のAプレートを備える。一対のリターダは、追加偏光子318が入力ディスプレイ偏光子の入力側に配置されている場合には入力ディスプレイ偏光子210の電気ベクトル伝達方向211に対して平行であり、追加偏光子318が入力ディスプレイ偏光子218の出力側に配置されている場合には出力ディスプレイ偏光子218の電気ベクトル伝達方向219に対して平行である、電気ベクトル伝達方向に関して45°でそれぞれ延在する、光軸309A、309Bを有する。
【0291】
図9Cは、広角動作モードでの、図9Aの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフであり、図9Dは、プライバシー動作モードでの、図9Bの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフであり、表2の例示的な実施形態によって提供される。
【表2】
【0292】
受動補償リターダ330が、交差するリターダの平面内に光軸を有する一対のリターダを備える場合、この一対のリターダの各リターダは、550nmの波長の光に対して300nm~800nmの範囲、好ましくは500nm~700nmの範囲、最も好ましくは550nm~675nmの範囲のリターダンスを有する。
【0293】
有利なことに、Aプレートは、好都合には、図4A及び図5AのCプレートリターダよりも低コストで製造され得る。広角動作モード用に、ゼロ電圧状態が更に提供され、広角動作中の電力消費を最小限に抑え得る。
【0294】
本実施形態において、「交差する」は、リターダの平面内の2つのリターダの光軸間の実質的に90°の角度を指す。リターダ材料のコストを低減するために、例えば、フィルム製造中の延伸誤差に起因して、リターダ配向に多少の変化を有する材料を提供することが望ましい。好ましい方向から離れるリターダ配向の変化は、正面輝度を低下させ、最小透過率を増加させ得る。好ましくは、角度310Aは、少なくとも35°かつ最大55°、より好ましくは少なくとも40°かつ最大50°、最も好ましくは少なくとも42.5°かつ最大47.5°である。好ましくは、角度310Bは、少なくとも125°かつ最大145°、より好ましくは少なくとも130°かつ最大135°、最も好ましくは少なくとも132.5°かつ最大137.5°である。
【0295】
ディスプレイにタッチしているときなど機械的に歪んでいるとき、図9A~9Bのホメオトロピック配向の液晶リターダ301は、目に見えるミスアライメントアーチファクトを生じさせる、不必要に長い回復時間を有し得る。機械的な歪みの後に高速で回復することが望ましい。
【0296】
図10A図10Bは、第1の駆動電圧及び第2の駆動電圧に対してCプレートリターダ330がそれぞれ正の誘電異方性及び受動の負のCプレートである液晶材料414を含み、ホモジニアス配向の切り替え可能な液晶リターダを備える、広角動作モード及びプライバシー動作モードでの切り替え可能な補償リターダの構成をそれぞれ斜視側面図で示す概略図である。
【0297】
切り替え可能な液晶リターダは、液晶材料414の層に隣接し、隣接する液晶材料内にホモジニアス配向をもたらすようにそれぞれ構成されている表面配向層431、433を更に含む。換言すると、切り替え可能な液晶リターダは、液晶材料414の層に隣接し、かつその両側に配置され、隣接する液晶材料414内にホモジニアス配向をもたらすようにそれぞれ構成されている、2つの表面配向層431、433を備える。
【0298】
図10Cは、様々な異なる印加電圧についての図10Aの切り替え可能な液晶リターダ301を通る分数位置440に対する液晶ダイレクタ角度407のグラフを示す概略図である。図10Cは、プレチルト角が小さく、印加電圧と共に増加する図4Bとは異なる。プロファイル441は、0Vの印加電圧に対する液晶材料414のチルト角を示し、傾斜プロファイル443は、2.5Vに対するダイレクタ配向を示し、チルトプロファイル445は5Vに対するダイレクタ配向を示す。したがって、液晶層は、典型的には、望ましい切り替え状態で斜めであり、補償リターダ330によって補償される。2.5V超から10Vに電圧を増加させると、斜面が存在するリターダ301の厚さを漸進的に低減し、有利なことには、透過が最大になる極性視野を増大させる。
【0299】
リターダの平面に対して垂直である方向と比較した液晶チルトの分解成分419a、419bは、図5Aの成分417a、417bよりも実質的に高い。
【0300】
分解成分419a、419bの増加した大きさは、例えば、図9Aの構成と比較して、機械的な歪みの後に増加した復元力をもたらし得る。ディスプレイにタッチする際などの機械的な歪みに対する感度は、有利なことに低減され得る。
【0301】
動作の電圧は、許容可能な広角視野のために10V未満に低減され、電力消費を低減し、電気駆動のコスト及び複雑性を低減し得る。
【0302】
図11A図11Cは、プライバシーモード及び異なる駆動電圧に対する2つの異なる広角モードでの、図10A及び図10Bのディスプレイ装置と同様にホモジニアス配向の液晶リターダ301及び負の受動Cプレート補償リターダ330を備える切り替え可能な補償リターダの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフであり、表3に示す実施形態を含む。
【表3】
【0303】
両基材上にホモジニアス配向層431、433を備える能動LCリターダ301の光学リターダンスの望ましい範囲、及び負の受動Cプレート補償リターダ330は、表4に更に記載する。
【表4】
【0304】
したがって、切り替え可能な液晶リターダ300は、液晶材料414の層の第1の側に配置された第1の表面配向層431と、第1の側と反対側の液晶材料414の層の第2の側に配置された第2の表面配向層433と、を備え、第1の表面配向層409はホモジニアス配向層であり、第2の表面配向層はホモジニアス配向層であり、液晶材料の層は、550nmの波長の光に対して500nm~1000nmの範囲、好ましくは600nm~850nmの範囲、最も好ましくは700nm~800nmの範囲のリターダンスを有する。したがって、第1の配向層及び第2の配向層はそれぞれホモジニアス配向層であり、受動補償リターダ330がリターダの平面に対して垂直である光軸を有するリターダを備えるとき、受動リターダは、550nmの波長の光に対して、-300nm~-700nmの範囲、好ましくは-350nm~-600nmの範囲、最も好ましくは-400nm~-500nmの範囲のリターダンスを有する。
【0305】
有利なことには、軸外プライバシーは、広い極性領域全体での輝度低下及びプライバシーレベルの増加によってもたらされ得る。層314内の液晶材料の流動から生じる視覚的アーチファクトに対する更なる抵抗は、ホメオトロピック配向と比較して改善され得る。
【0306】
ここで、図10Aの光学構造体の様々な他の構成及び駆動について説明する。
【0307】
5Vでの動作は、広角モードで許容可能な輝度のロールオフを達成しつつ、より低い電力消費及び低コストの電子機器をもたらす。広角モードの視野は、10Vでの動作によって更に拡大され得る。
【0308】
図12Aは、プライバシー動作モードの切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図であり、この構成は、交差Aプレート受動補償リターダ308A、308Bと、ホモジニアス配向の切り替え可能な液晶リターダ301と、を備え、図12B図12Dは、異なる駆動電圧についての、プライバシーモード及び広角モードでのホモジニアス配向の液晶材料414及び負の受動交差Aプレートリターダ308A、308Bを備える、切り替え可能な補償リターダ301の透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフであり、表5に示すそれぞれの実施形態を含む。
【表5】
【0309】
両基材上のホモジニアス配向層409、411と、正の能動交差Aプレート補償リターダ308A、308Bと、を備える能動LCリターダ301の光学リターダンスの望ましい範囲は、表6に更に記載する。
【表6】
【0310】
したがって、第1の配向層及び第2の配向層は、それぞれホモジニアス配向層であり、液晶材料の層は、550nmの波長の光に対して500nm~1000nmの範囲、好ましくは600nm~850nmの範囲、最も好ましくは700nm~800nmの範囲のリターダンスを有し、受動補償リターダ330は、交差するリターダの平面内に光軸を有する一対のリターダを備え、この一対のリターダの各リターダは、550nmの波長の光に対して300nm~800nm、好ましくは350nm~650nm、最も好ましくは450nm~550nmのリターダンスを有する。
【0311】
更なる交差Aプレートは、好都合には、低コスト材料から提供され得る。
【0312】
ここで、実例として、図12Aの光学構造及び駆動の様々な他の例示的な実施形態について説明する。図12C及び図12Dは、アドレス電圧及びリターダンスの調整によって、有利に異なる広角視野が達成され得ることを更に示す。
【0313】
ここで、光学積層構造体の構成について更に説明する。
【0314】
図13A及び図13Bは、切り替え可能な補償リターダと、光学結合層380と、を備えるディスプレイの一部を側面図で示す概略図である。光学結合層380は、積層フィルム及び基材に設けられてよく、プライバシーモードの高視野角で効率を向上し、輝度を低下させる。更に、空間光変調器48と切り替え可能な補償リターダ300との間に空隙384が設けられてよい。空隙384における2つの表面の湿潤を低減するために、切り替え可能な補償リターダ300又は空間光変調器48のうちの少なくとも1つに、湿潤防止面382が設けられてよい。
【0315】
受動補償リターダ330は、図13Aに示すように切り替え可能な液晶層301と空間光変調器48との間に設けられてよい、又は図13Bに示すように、追加偏光子318と切り替え可能な液晶リターダ301との間に設けられてよい。両方のシステムにおいて、実質的に同一の光学性能が提供される。
【0316】
図13Aは、光学層が基材312、316の外側に結合されていることを示す。有利なことには、積層中に蓄積された応力により、取り付けられた層からの基材312、316の曲がりが低減し、ディスプレイの平坦性が維持され得る。
【0317】
同様に、切り替え可能な補償リターダ300が配置され得、出力偏光子218はディスプレイ偏光子である。画素220、222、224における位相構造などから空間光変調器48によってもたらされ得る散乱は、切り替え可能な補償リターダ301が空間光変調器48の背後に配置される構成と比較して、出力輝度プロファイルを劣化させない。
【0318】
ディスプレイ偏光子の電気ベクトル伝達方向とは異なる電気ベクトル伝達方向を有する追加偏光子を設けることが望ましい場合がある。
【0319】
図14は、上述のように交差Aプレート受動補償リターダ308A、308Bと、ホモジニアス配向の切り替え可能な液晶リターダ301と、を備えるが、受動回転リターダ460を更に備える、プライバシー動作モードの切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0320】
ディスプレイ偏光子218は、ねじれネマティックLCDディスプレイの場合に、例えば45度の角度317であり得る、電気ベクトル伝達方向219を備えてよい。追加偏光子318は、典型的に垂直偏光を透過する偏光サングラスを着用し得るユーザに垂直偏光をもたらすように配置されてよい。
【0321】
受動回転リターダ460は、本実施形態の補償リターダ330とは異なり、その動作についてはここで説明する。
【0322】
受動回転リターダ460は、複屈折材料462を含んでよく、半波長板であって、例えば550nmの波長で275nmのリターダンスを有してよい。
【0323】
受動回転リターダ460は、追加偏光子318の電気ベクトル伝達方向319に対して22.5度であり得る角度466で傾斜している、高速軸配向464を有する。したがって受動回転リターダ460は、補償リターダ308Bに入射する光の偏光方向が方向319に対して平行となるように、出力偏光子218からの偏光を回転させる。
【0324】
受動回転リターダ460は、ディスプレイ偏光子218からの偏光成分の角度を回転させることによって、軸上偏光状態を変更する。比較すると、補償リターダ308A、308Bは、共に軸上偏光状態を変更しない。
【0325】
更に、受動回転リターダ460は、視野角と実質的に無関係であり得る偏光を回転させる。比較すると、補償リターダ308A、308Bは、視野角に出力輝度の実質的な変更をもたらす。
【0326】
有利なことには、ディスプレイは、例えば、偏光サングラス着用時に視聴できるように、ディスプレイ偏光子の偏光方向219とは異なる出力偏光方向319を備えてよい。
【0327】
代替的な実施形態では、別個のリターダ460は省略されてもよく、リターダ308Aのリターダンスと比較して、追加の半波長回転を提供するために、図11Aのリターダ308Bのリターダンスを増加させてよい。例示的な実施形態を継続するために、波長550nmにおけるリターダ308Bのリターダンスは、リターダ308Aのリターダンスよりも275nm大きくてよい。有利なことには、層の数、複雑性、及びコストが低減され得る。
【0328】
光学部品の厚さ及び総数を低減することが望ましい。
【0329】
図15Aは、第1のCプレート受動補償リターダ330Aと第2のCプレート受動補償リターダ330Bとの間に配置され、ホモジニアス配向の切り替え可能な液晶リターダ301を備える、プライバシー動作モードの切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図であり、更に表7に示す。
【表7】
【0330】
図15B及び図15Cは、それぞれ広角動作モード及びプライバシー動作モードでの、図15Aの光学積層体内の透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。
【0331】
受動補償リターダ330は、第1のCプレート330Aと、第2のCプレート330Bと、を備え、切り替え可能な液晶層301は、第1のCプレート330Aと第2のCプレート330Bとの間に設けられる。
【0332】
受動補償リターダ330A、330Bは、受動リターダの平面に対して垂直である光軸を有する2つの受動リターダを備え、切り替え可能な液晶リターダ301は、2つの受動リターダの間に設けられる。したがって、図1Aの第1の基材312及び第2の基材316は、2つの受動リターダ330A、330Bのうちの1つをそれぞれ含む。
【0333】
組み合わせると、2つの受動リターダ330A、330Bは、550nmの波長の光に対して-300nm~-800nmの範囲、好ましくは-350nm~-700nmの範囲、最も好ましくは-400nm~-600nmの範囲の総リターダンスを有する。
【0334】
図16Aは、それぞれCプレート受動補償リターダ330A、330Bを備える第1の基材と第2の基材との間に配置された、切り替え可能な液晶リターダ301を備えるディスプレイを斜視側面図で示す概略図であり、図16Bは、それぞれCプレート受動補償リターダ330A、330Bを備える第1の基材と第2の基材との間に配置された、切り替え可能な液晶リターダ301を備えるディスプレイの一部を側面図で示す概略図である。
【0335】
第1のCプレート330Aは、片側に形成された透明電極層415と、液晶配向層411と、を有し、第2のCプレート330Bは、片側に形成された透明電極層413と、液晶配向層409と、を有する。
【0336】
液晶材料の層314は、第1の基材312と第2の基材316との間に設けられ、第1の基材312及び第2の基材316はそれぞれ、第1のCプレート330A及び第2のCプレー330Bのうちの1つを備える。Cプレートは、ITOコーティングされて、電極413、415を設け、その上に形成された液晶配向層409、411を有する、二重延伸COPフィルム内に設けられ得る。
【0337】
有利なことには、層の数は、図1A図1B図1Cおよび図1Dの構成と比較して減少してよく、厚さ、コスト、及び複雑性も低下する。更に、Cプレート330A、330Bは可撓性基材であってよく、可撓性プライバシーディスプレイを提供し得る。
【0338】
第1及び第2のAプレート基材間に液晶材料の層314を設けることが望ましい。
【0339】
図17Aは、上述したように、第1の交差Aプレート受動補償リターダ330Aと第2の交差Aプレート受動補償リターダ330Bとの間に配置された、ホモジニアス配向の切り替え可能な液晶リターダ301を備える、広角動作モードの切り替え可能な補償リターダ300の構成を斜視側面図で示す概略図であり、図17B及び図17Cは、それぞれ広角動作モード及びプライバシー動作モードでの駆動時の、図17Aの構造の透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフであり、表7に示す更なる例示的な実施形態をそれぞれ含む。
【0340】
図15Aの構成と比較して、有利なことには、Aプレートは、Cプレートと比較して低減されたコストで製造され得る。
【0341】
ここで、ホモジニアス配向層及びホメオトロピック配向層の両方を備えるハイブリッド配向構造について説明する。
【0342】
図18Aは、液晶材料423を含むホモジニアス配向及びホメオトロピック配向の切り替え可能な液晶リターダ301と、負の受動Cプレートリターダ330と、を備える、プライバシー動作モードの切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0343】
図18B図18Cは、それぞれ広角動作モード及びプライバシー動作モードでの図18Aの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフであり、表8の構成によって提供される。
【表8】
【0344】
ハイブリッド配向の切り替え可能な液晶リターダ301は、所与の材料及びセルの厚さの選択に対して有効複屈折が低減されるように可変チルトを有する。したがって、リターダ設計は、配向層が同一である構成と比較して補償するように調整される必要がある。切り替え可能な液晶リターダ330は、液晶材料423の層の第1の側に配置された第1表面配向層441と、第1の側と反対側の液晶材料423の層の第2の側に配置された第2の表面配向層443と、を備える。第1の表面配向層441は、隣接する液晶材料423内にホメオトロピック配向をもたらすように構成されているホメオトロピック配向層であり、第2の表面配向層443は、隣接する液晶材料423内にホモジニアス配向をもたらすように構成されているホモジニアス配向層である。
【0345】
更に、リターダの最適な設計は、ホメオトロピック配向層及びホモジニアス配向層に関する受動補償リターダ330の相対位置に関連する。
【0346】
表面配向層443が、液晶材料423の層と補償リターダ330との間にホモジニアス配向をもたらすように構成されている場合、液晶材料423の層は、550nmの波長の光に対して500nm~1800nmの範囲、好ましくは700nm~1500nmの範囲、最も好ましくは900nm~1350nmの範囲のリターダンスを有する。表面配向層443が、液晶材料423の層と補償リターダ330との間にホモジニアス配向をもたらすように構成されている場合、受動補償リターダは、図18Aに示すように、リターダの平面に対して垂直である光軸を有するリターダ330を備えてよく、受動リターダ330は、550nmの波長の光に対して-300nm~-1600nmの範囲、好ましくは-500nm~-1300nmの範囲、最も好ましくは-700nm~-1150nmの範囲のリターダンスを有する、あるいは、受動補償リターダは、交差するリターダの平面内に光軸を有する一対のリターダ(図示なし)を備えてよく、この一対のリターダの各リターダは、550nmの波長の光に対して400nm~1600nmの範囲、好ましくは600nm~1400nmの範囲、最も好ましくは800nm~1300nmの範囲のリターダンスを有する。
【0347】
表面配向層441が、液晶材料423の層と補償リターダ330との間にホメオトロピック配向をもたらすように構成されている場合、液晶材料423の層は、550nmの波長の光に対して700nm~2000nmの範囲、好ましくは1000nm~1700nmの範囲、最も好ましくは1200nm~1500nmの範囲のリターダンスを有する。表面配向層441が、液晶材料423の層と補償リターダ330との間にホメオトロピック配向をもたらすように構成されている場合、受動補償リターダは、図18Aに示すように、リターダの平面に対して垂直である光軸を有するリターダ330を備えてよく、受動リターダは、550nmの波長の光に対して-400nm~-1800nmの範囲、好ましくは-700nm~-1500nmの範囲、最も好ましくは-900nm~-1300nmの範囲のリターダンスを有する、あるいは、受動補償リターダは、交差するリターダの平面内に光軸を有する一対のリターダ(図示なし)を備えてよく、この一対のリターダの各リターダは、550nmの波長の光に対して400nm~1800nmの範囲、好ましくは700nm~1500nmの範囲、最も好ましくは900nm~1300nmの範囲のリターダンスを有する。
【0348】
図5Aの構成と比較して、プライバシー動作モードは、有利なことには、液晶リターダの押圧時に材料の流動の見え方に対する弾力性を増加させ得る。
【0349】
ここで、本実施形態との比較として、直列配置時の平行偏光子間のリターダの性能について説明する。まず、2つの異なる駆動電圧に対するホモジニアス配向の液晶リターダ301の視野について説明する。
【0350】
図19Aは、ホモジニアス配向の切り替え可能な液晶リターダ390の構成を斜視側面図で示す概略図である。図19Bは、第1の印加電圧についての図19Aの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフであり、図19Cは、第1の印加電圧よりも大きい第2の印加電圧についての図19Aの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフであって、表9に示す構造を備える。ホモジニアス配向の切り替え可能な液晶リターダ390は、上述の切り替え可能な液晶リターダ330に対応し、本明細書に開示する装置のいずれかにおいて、切り替え可能な液晶リターダとして適用され得る。
【0351】
図19Dは、平行偏光子間に配置された受動Cプレートリターダ392を斜視側面図で示す概略図であり、図19Eは、図19Dの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフであって、表9に示す構造を備える。受動Cプレートリターダ392は、受動補償リターダ330に対応し、本明細書に開示する装置のいずれかにおいて、少なくとも1つの受動補償リターダとして適用され得る。
【表9】
【0352】
図20Aは、平行偏光子396、398間に配置されたCプレートリターダ392を備える視野制御受動リターダと直列に、平行偏光子394、396間に配置された、ホモジニアス配向の切り替え可能な液晶リターダ390の構成を斜視側面図で示す概略図であり、図20Bは、第1の印加電圧についての図20Aの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフであり、図20Cは、第1の印加電圧よりも大きい第2の印加電圧についての図20Aの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフであって、表9に示す構造を備える。
【0353】
図21Aは、Cプレート補償リターダ330と直列の、ホモジニアス配向の切り替え可能な液晶リターダ301の構成を斜視側面図で示す概略図であって、ホモジニアス配向の切り替え可能な液晶材料712及びCプレート補償リターダ330は、一対の平行偏光子間に配置されており、図21Bは、第1の印加電圧について図21Aの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフであり、図21Cは、第1の印加電圧よりも大きい第2の印加電圧について図21Aの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフであって、表9に示す構造を備える。
【0354】
予想外に、最大視野動作の最適条件は、その非駆動状態の切り替え可能な液晶リターダ301と比較して、補償リターダ330の等しく、かつ反対である正味遅延によって提供される。狭角状態をもたらすように構成されているとき、理想的な補償リターダ330及び切り替え可能な液晶リターダ301は、(i)入力光からの広角モード性能を変更せず、かつ(ii)すべての仰角の軸外位置に対して横方向視野角を最適に低減することができる。この教示は、本明細書に開示するすべてのディスプレイ装置に適用され得る。
【0355】
軸外視聴位置の輝度低下を増加させることが望ましい場合がある。具体的には、広角バックライトを有する液晶ディスプレイにおいてプライバシー低減を増大することが望ましいであろう。
【0356】
図22Aは、出力ディスプレイ偏光子218と追加偏光子318Aとの間に配置された、第1の切り替え可能な補償リターダ300A(この場合、負のCプレート受動補償リターダ330A及びホメオトロピック配向の切り替え可能な液晶リターダ301Aであるが、これは一例に過ぎず、本明細書に開示する複数のリターダの他の構成のいずれかで代用され得る)と、前述の追加偏光子318Aと更なる追加偏光子318Bとの間に配置され、電気ベクトル伝達方向319Bを有する、更なる切り替え可能な補償リターダ300B(この場合、負のCプレート受動補償リターダ330B及びホメオトロピック配向の切り替え可能な液晶リターダ301Bであるが、これは一例に過ぎず、本明細書に開示する複数のリターダの他の構成のいずれかで代用され得る)と、を備える、プライバシー動作モードの切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す(出力光が方向付けられるz軸が下向きである逆視を示す)概略図である。
【0357】
代替例として、前述の追加偏光子318Aは、入力ディスプレイ偏光子210の入力側に配置されてよく(この場合、更なる追加偏光子318Bは、前述の追加偏光子318Aとバックライト20との間の入力ディスプレイ偏光子210の入力側に配置されてよい)、更なる切り替え可能な補償リターダ300Bは、更なる追加偏光子318Bと前述の追加偏光子318Aとの間に配置されてよい。
【0358】
これらの代替例の両方において、第1の複数のリターダ300A及び更なる複数のリターダ300Bのそれぞれは、それぞれの一対の偏光子間に配置され、その結果、上述の装置内の対応する構造と同様の効果を有する。
【0359】
更なる切り替え可能な液晶リターダ301Aの配向層のプレチルト方向307A、309AAは、第1の切り替え可能な液晶リターダ301Bの配向層307B、309ABのプレチルト方向に対して平行若しくは逆平行に、又は直交して配向される液晶層の平面内に成分を有してよい。広角動作モードでは、切り替え可能な液晶リターダ301A、301Bの両方が駆動されて広視野角を提供する。プライバシー動作モードでは、切り替え可能な液晶リターダ301B、301Aは協働して、有利に輝度低下を増大させ、したがって一軸におけるプライバシーを改善することができる。
【0360】
第1の切り替え可能な液晶リターダ301B及び更なる液晶リターダ301Aによって提供される遅延は異なり得る。切り替え可能な液晶リターダ301B及び更なる切り替え可能な液晶リターダ301Aは、共通電圧によって駆動されてよく、第1の切り替え可能な液晶リターダ301B内の液晶材料408Bは、更なる切り替え可能な液晶リターダ301A内の液晶材料408Aとは異なり得る。本明細書の他の箇所に示す極性輝度プロファイルの色度変化は低減され得、その結果、軸外色の見え方が有利に改善される。
【0361】
あるいは、切り替え可能な液晶リターダ301B、301Aは、水平方向及び垂直方向の両方において輝度が低下するように直交配向を有して、横方向及び縦方向でのプライバシー動作を有利に実現し得る。
【0362】
あるいは、層301A、301Bは、異なる駆動電圧が印加されてよい。輝度プロファイルのロールオフの制御は有利に増加させることができる、又は横方向とプライバシー動作とを切り替えることができる。
【0363】
リターダンス制御層330Bは、第1の追加偏光子318Aと更なる追加偏光子318Bとの間に配置された受動補償リターダ330Aを備えてよい。より一般的には、切り替え可能な液晶リターダ301Aは省略されてよく、固定された輝度低下は、受動補償リターダ330Aによって提供されてよい。例えば、視野象限での輝度低下は、層330Aのみによって提供され得る。有利なことには、輝度を低下させるために、極性領域面積が増加し得る。更に、コリメートされたバックライトよりも広角の照明出力を有するバックライトを設けて、広角動作モードでディスプレイの視認性を高めることができる。
【0364】
図22Bは、液晶ディスプレイの入力側に配置された第1の切り替え可能な補償リターダ及び液晶ディスプレイの出力側に配置された第2の切り替え可能な補償リターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。
【0365】
前述の追加偏光子318Aは、入力ディスプレイ偏光子210とバックライト20との間の入力ディスプレイ偏光子210の入力側に配置され、ディスプレイ装置は、出力ディスプレイ偏光子218の出力側に配置された更なる追加偏光子318Bと、更なる追加偏光子318Bと出力ディスプレイ偏光子218との間に配置された更なるリターダ301B、330Bと、を更に備える。更なるリターダは、液晶材料414Bの層と、液晶材料414Bの層の両側にある電極413B、415Bと、を備える、更なる切り替え可能な液晶リターダ301Bを備え、液晶材料414Bの層は、電極413B、415Bの全体に印加される電圧によって2つの配向状態間で切り替え可能である。
【0366】
図22Cは、第1の受動補償リターダと、第1の切り替え可能な液晶リターダと、第1の制御偏光子250と、第2の受動補償リターダと、第2の切り替え可能な液晶リターダと、第2の制御偏光子250と、を備える視野角制御光学素子を側面斜視図で示す概略図である。かかる素子は、空間光変調器48を備えるディスプレイ装置100に提供されると、図22Bの構成と同様の性能を実現することができる。
【0367】
自動車車両においては、エンターテイメント動作モード及び夜間動作モードの両方を提供することが望ましい場合がある。
【0368】
図22Dは、日中動作モード及び/又は共有動作モードについて、車室602内に配置された、図22Bに示すような切り替え可能な指向性ディスプレイを有する自動車車両を上面図で示す概略図であり、図22Eは、日中動作モード及び/又は共有動作モードについて、車室602内に配置された切り替え可能な指向性ディスプレイを有する自動車車両を側面図で示す概略図である。光円錐630、632は、広角度の視野を備えており、したがって、有利なことには、複数の乗員がディスプレイを見ることができる。
【0369】
図22Fは、夜間動作モード及び/又はエンターテイメント動作モードについて、車室602内に配置された、図22Bに示すような切り替え可能な指向性ディスプレイを有する自動車車両を上面図で示す概略図である。図22Gは、夜間動作モード及び/又はエンターテイメント動作モードについて、車室602内に配置された切り替え可能な指向性ディスプレイを有する自動車車両を側面図で示す概略図である。光円錐634、636は、狭角度の視野を備えており、したがって、有利なことには、単一の乗員のみがディスプレイを見ることができる。有利なことには、夜間動作の迷光が低減され、運転手の安全性が向上する。更に、フロントガラス601からのディスプレイの反射が低減され、運転手604の注意を乱すものが最小化する。
【0370】
広角照明バックライト及び発光型空間光変調器によって、低コストで光円錐の視野を低減することが望ましいであろう。
【0371】
図23Aは、空間光変調器48の入力側に配置された反射型追加偏光子318A及び受動リターダ270の構成を斜視側面図で示す概略図である。空間光変調器48の出力には、図22Bの装置内のものと同様の複数のリターダ300が存在する。図22Bの構成と比較して、受動リターダ270は、切り替え可能な後方補償液晶リターダ300Aの代わりに設けられる。有利なことには、コスト及び厚さは低減され、その一方で、プライバシー動作モードでの低軸外照明及び広角動作モードでの許容可能な視野角を実現する。
【0372】
図23Bは、受動リターダ270と、第1の制御偏光子250Aと、受動補償リターダ330と、切り替え可能な液晶リターダ301と、第2の制御偏光子250Bと、を備える視野角制御光学素子を側面斜視図で示す概略図である。これは、空間光変調器48の前に配置されて、ディスプレイ装置を提供する。
【0373】
ここで、上記の装置のいずれかで適用されてよい、様々な受動リターダ270について説明する。
【0374】
図24Aは、ディスプレイ偏光子の電気ベクトル伝達方向に直交する平面内で傾斜する負のОプレートリターダ272Aと、負のCプレートリターダ272Bと、を備え、ディスプレイ装置の視野変化をもたらすように構成されている受動リターダ270の光学積層体を側面斜視図で示す概略図であり、図24Bは、図24Aの受動リターダの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフであって、表10に示す構造を備える。
【表10】
【0375】
したがって、受動リターダ270は、受動リターダ272Aの平面内の成分と、受動リターダ272Aの平面に対して垂直である成分と、を有する光軸を有する負のOプレートである受動リターダ272Aを備える。更に、受動リターダの平面内の成分は、ディスプレイ偏光子218の電気ベクトル伝達219に対して平行である電気ベクトル伝達方向に関して90°で延在する。受動リターダ272Bは、受動リターダの平面に対して垂直な光軸を有する、受動リターダを備える。
【0376】
有利なことには、横視野方向に対して輝度を低下させることができる。モバイルディスプレイは、水平軸を中心に快適に回転させることができ、横方向の軸外のスヌーパーのためにプライバシーを実現することができる。
【0377】
図24Cは、交差Aプレートと、正のOプレートと、を備える受動リターダ270の光学積層体を側面斜視図で示す概略図であり、図24Dは、図24Cの受動リターダ内の透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフであって、表11に示す構造を備える。
【表11】
【0378】
したがって、受動リターダ270は、交差Aプレートである受動リターダ272A、272Bと、受動リターダ272Cの平面内の成分と、受動リターダ272Cの平面に対して垂直である成分と、を有する光軸を有するリターダ272Cと、を備える。受動リターダの平面内の成分は、ディスプレイ偏光子218の電気ベクトル伝達219に対して平行である電気ベクトル伝達方向に関して90°で延在する。有利なことには、横視野方向に対して輝度を低下させることができる。モバイルディスプレイは、水平軸を中心に快適に回転させることができ、横方向の軸外のスヌーパーのためにプライバシーを実現することができる。
【0379】
横方向及び仰角方向の両方において輝度を低下させることが望ましい場合がある。
【0380】
図24Eは、2対の交差Aプレートを備える受動リターダ272A~Dの光学積層体を側面斜視図で示す概略図であり、図24Fは、図24Eの受動リターダでの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフであって、表12に示す構造を備える。
【表12】
【0381】
したがって、リターダ270は、交差するリターダの平面内に光軸を有する一対の受動リターダ272A、272Dを備える。一対のリターダは、互いに異なる角度で配向されたそれぞれの光軸を有する複数のAプレートをそれぞれ備える。一対の受動リターダ272B、272Cは、ディスプレイ偏光子210の電気ベクトル伝達211に対して平行である電気ベクトル伝達方向に関してそれぞれ90°及び0°で延在する光軸を有する。
【0382】
一対の受動リターダ272A、272Dは、ディスプレイ偏光子218の電気ベクトル伝達に対して平行である電気ベクトル伝達方向211に関してそれぞれ45°及び135°で延在する光軸を有する。
【0383】
ディスプレイは、上述の対の受動リターダ272A、272Dの間に配設され、交差するリターダの平面内に光軸を有する、追加の対の受動リターダ272B、272Cを更に備える。追加の対の受動リターダ272B、272Cは、ディスプレイ偏光子210、316の電気ベクトル伝達に対して平行である電気ベクトル伝達方向211、317に関してそれぞれ0°及び90°で延在する光軸を有する。
【0384】
550nmの波長の光に対する各Aプレートのリターダンスは、600nm~850nmの範囲、好ましくは650nm~730nmの範囲、最も好ましくは670nm~710nmの範囲であり得る。中央視聴位置から軸外視聴位置までの吸収光の変色は、有利に低減され得る。
【0385】
更なる例示的な実施形態では、好ましくは角度273Aは、少なくとも40°かつ最大50°、より好ましくは少なくとも42.5°かつ最大47.5°、最も好ましくは少なくとも44°かつ最大46°である。好ましくは角度273Dは、少なくとも130°かつ最大140°、より好ましくは少なくとも132.5°かつ最大137.5°、最も好ましくは少なくとも134°かつ最大136°である。
【0386】
更なる例示的な実施形態では、内側リターダ対272B、272Cは、外側リターダ対272A、272Dよりも緩い許容差を有してよい。好ましくは角度273Bは、少なくとも-10°かつ最大10°、より好ましくは少なくとも-5°かつ最大5°、最も好ましくは少なくとも-2°かつ最大2°である。好ましくは角度273Cは、少なくとも80°かつ最大100°、より好ましくは少なくとも85°かつ最大95°、最も好ましくは少なくとも88°かつ最大92°である。
【0387】
本実施形態は、ある程度の回転対称性を有する伝達プロファイルを提供する。有利なことには、プライバシーディスプレイは、スヌーパーの横方向又は仰角視聴位置について広視野からの画像の視認性を低減することができる。更に、かかる構成を使用して、モバイルディスプレイの横方向及び縦方向での動作のためにプライバシー動作を向上させることができる。かかる構成が車両内で提供されて、軸外の乗員に対する迷光を低減し得、また、フロントガラス及び車両内の他のガラス面に入射する光を低減し得る。
【0388】
プライバシー動作モードでスヌーパー47が見るプライベート画像にカモフラージュを追加することによって、画像の外観を改善することが望ましいであろう。
【0389】
図25Aは、負のCプレート受動補償リターダと、ホメオトロピック配向の切り替え可能な液晶リターダと、を備え、パターン化電極415の層を更に備える、プライバシー動作モードの切り替え可能なリターダの構成を斜視側面図で示す概略図である。したがって、電極415a、415b、415cは、少なくとも2つのパターン領域を設けるようにパターン化される。
【0390】
電極413、415のうちの少なくとも1つはパターン化されてよく、この例では、電極415は、領域415a、415b、415cでパターン化され、それぞれの電圧ドライバ350a、350b、350cによって電圧Va、Vb、Vcで駆動される。電極領域415a、415b、415cの間に間隙417が設けられてよい。したがって、材料414a、414b、414cの傾斜は独立して調整されて、軸外視聴用に異なる輝度レベルを有するカモフラージュパターンを見せることができる。
【0391】
したがって、出力ディスプレイ偏光子218と追加の吸収型偏光子318との間に配置された切り替え可能な液晶リターダは、アドレス電極415a、415b、415c、及び一様電極413によって制御される。アドレス電極は、電極415aと、間隙417と、を備える、少なくとも2つのパターン領域を設けるようにパターン化されてよい。
【0392】
図25Bは、カモフラージュを施した輝度制御プライバシーディスプレイによる、主たる視聴者及びスヌーパーの照明を正面斜視図で示す概略図である。ディスプレイ装置100は、視聴窓26p内の主たる視聴者45に可視である暗黒画像データ601及び白色背景データ603を有してよい。比較として、スヌーパー47は、カモフラージュを施した輝度制御プライバシーディスプレイによる、スヌーパーの照明を側面斜視図で示す概略図である図25Cに示すように、カモフラージュを施した画像を見てよい。したがって、白色背景領域603では、白色領域603の混合輝度を有するカモフラージュ構造が提供され得る。したがって、電極415a、415b、415cのパターン領域は迷彩模様である。パターン領域のうちの少なくとも1つは、個別にアドレス可能であり、プライバシー動作モードで動作するように構成されている。
【0393】
パターン領域は、プライバシー動作モード中に提供されるパターンを制御することによって、複数の空間周波数についてカムフラージュを施すように構成されてよい。例示的な実施例では、20mmの高さのテキストが提示されてよい。同様のパターンサイズを有するカモフラージュパターンは、電極パターンの第1の制御を備えてよい。第2の例では、スヌーパー47に最も良く見える広域コンテンツに写真が提供されてよい。カモフラージュパターンの空間周波数は、第1及び第2の電極領域を組み合わせて電圧を提供し、結果として生じるより低い空間周波数パターンを達成することによって低減されて、より広い領域の構造を隠蔽してよい。
【0394】
有利なことには、制御可能なカモフラージュ構造は、層892全体での電圧Va、Vb、Vcの調整によってもたらされ得る。実質的に見えないカモフラージュ構造は、正面動作では見えてよい。更に、カモフラージュ画像は、Va、Vb、及びVcを画像に印加することによって除去され得る。
【0395】
例えば、スヌーパーに対する軸外輝度に1%未満の輝度を提供することが望ましいであろう。ここで、低軸外輝度を提供する指向性バックライトが、本実施形態の切り替え可能な補償液晶リターダと共に使用され得ることを説明する。ここで、指向性バックライトについて更に説明する。
【0396】
同様のパターニングが、本明細書に記載する装置のいずれかで適用されてよい。
【0397】
空間光変調器48からの指向性照明によって、軸外輝度を更に低減することが望ましいであろう。ここで、指向性バックライト20による空間光変調器48の指向性照明について説明する。
【0398】
図26Aは、指向性バックライト20を正面斜視図で示す概略図であり、図26Bは、非指向性バックライト20を正面斜視図で示す概略図であり、いずれも本明細書に記載の装置のいずれかで適用され得る。したがって、図26Aに示す指向性バックライト20は、狭い錐体450をもたらすのに対し、図26Bに示すような非指向性バックライト20は、出力光線の広角度分布円錐452をもたらす。
【0399】
図26Cは、様々な異なるバックライト装置の横方向視野角での輝度の変化を示す概略グラフである。図26Cのグラフは、本明細書に記載の極視野プロファイルの断面であってよい。
【0400】
ランバートバックライトは、視野角とは無関係の輝度プロファイル846を有する。
【0401】
典型的な広角バックライトは、相対輝度の半値全幅866が40°超、好ましくは60°超、最も好ましくは80°超であり得るように、より高い角度でロールオフを有する。更に、±45°での相対輝度864は、好ましくは7.5%超、より好ましくは10%超、最も好ましくは20%超である。
【0402】
比較として、指向性バックライト20は、相対輝度の半値全幅862が60°未満、好ましくは40°未満、最も好ましくは20°未満であり得るように、より高い角度でロールオフを有する。更に、バックライト20は、空間光変調器48の法線に対する45度より大きい極角で、空間光変調器48の法線に沿った輝度の最大33%、好ましくは空間光変調器48の法線に沿った輝度の最大20%、最も好ましくは空間光変調器48の法線に沿った輝度の最大10%である輝度をもたらし得る。
【0403】
切り替え可能なリターダ300が入力ディスプレイ偏光子210と追加偏光子318との間に配置されるとき、空間光変調器48内での散乱及び回折はプライバシーモードでの動作を劣化させ得る。空間光変調器の法線に対する45度より大きい極角度での輝度は、切り替え可能なリターダ300が入力ディスプレイ偏光子210と追加偏光子318との間に配置される構成と比較して、切り替え可能なリターダ300が出力ディスプレイ偏光子218と追加偏光子318との間に配置される構成で増加し得る。
【0404】
有利なことには、同一のバックライト20の図2Aと比較して、図1Aの構成では、より低い軸外輝度を実現し得る。
【0405】
図1Aの例示的な実施形態では、空間光変調器48の法線に対する45度より大きい極角での輝度は最大18%であり得るが、図2Aの例示的な実施形態では、空間光変調器48の法線に対する45度より大きい極角での輝度は、最大10%であり得る。有利なことには、図1Aの実施形態は、プライバシー動作モードで図2Aの実施形態と同様の視野自由度を達成しつつ、広角動作モードではより広い視野自由度をもたらし得る。
【0406】
かかる輝度プロファイルは、以下に記載する指向性バックライト20によってもたらされてよく、又は更なる追加偏光子318B及び受動リターダ270、又は追加のスイッチング補償液晶リターダ300Bと組み合わせた広角バックライトによってもたらされてよい。
【0407】
図27Aは、切り替え可能な液晶リターダ300と、バックライト20と、を備える切り替え可能な指向性ディスプレイ装置100を側面図で示す概略図である。図27Aのバックライト20は、本明細書に記載する装置のいずれかで適用され得、入力端2を通って光源アレイ15によって照明された結像導波路1を備える。図27Bは、狭角動作モードでの図27Aの結像導波路1の動作を背面斜視図で示す概略図である。
【0408】
結像導波路1は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第9,519,153号に記載されている種類の導波路である。導波路1は、導波路1に沿って横方向に延在する入力端2を有する。光源15のアレイは、入力端2に沿って配置され、導波路1に光を入力する。
【0409】
導波路1はまた、入力端2から反射端4まで導波路1を横切って延在する、対向する第1のガイド面6及び第2のガイド面8を有し、入力端2において光入力を導波路1に沿って前方及び後方に誘導する。第2のガイド面8は反射端4に対向し、入力端2全体の異なる入力位置からの反射端4から導波路1を通って戻るように誘導された光の少なくとも一部を、入力位置に応じた、第1のガイド面6を通る異なる方向に偏向させるように構成されている、複数の光抽出特徴部12を有する。
【0410】
動作中、光線は、光源アレイ15から入力端を通って方向付けられ、第1のガイド面6と第2のガイド面8との間で誘導され、反射端4への損失は生じない。反射光線はファセット12に入射し、光線230として反射によって出力されるか、又は光線232として透過される。透過光線232は、後方反射器800のファセット803、805によって導波路1を通って戻るように方向付けられる。後方反射器の動作は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,054,732号に更に記載されている。
【0411】
図27Bに示すように、湾曲した反射端4及びファセット12の光学的パワーは、空間光変調器48を透過し、導波路1の光軸199に典型的に整列される軸197を有する光学窓26をもたらす。同様の光学窓26は、後方反射器800によって反射される透過光線232によってもたらされる。
【0412】
図27Cは、切り替え可能な液晶リターダを有さないディスプレイ装置において使用されるときの図27Bの出力の視野輝度プロットを示す概略グラフである。
【0413】
したがって、スヌーパー47によって観察される軸外視聴位置については、例えば、0度の仰角及び±45度の横方向角で中央ピーク輝度の1%~3%の輝度を低下させ得る。軸外輝度の更なる低下は、本実施形態の複数のリターダ301、330によって達成される。
【0414】
ここで、低軸外輝度を有する別の種類の指向性バックライトについて説明する。
【0415】
図28Aは、切り替え可能なコリメート導波路901と、切り替え可能な液晶リターダ300と、追加偏光子318と、を含むバックライト20を備える切り替え可能な指向性ディスプレイ装置を側面図で示す概略図である。図28Aのバックライト20は、本明細書に記載する装置のいずれかで適用されてよく、以下のように構成されている。
【0416】
導波路901は、導波路901に沿って横方向に延在する入力端902を有する。光源915のアレイは、入力端902に沿って配置され、導波路1に光を入力する。導波路901はまた、入力端2から反射端4まで導波路1を横切って延在する、対向する第1のガイド面906及び第2のガイド面908を有し、入力端2での光入力を導波路1に沿って前方及び後方に誘導する。動作中、光は、第1のガイド面906と第2のガイド面908との間で誘導される。
【0417】
第1のガイド面906は、複数の細長いレンチキュラー素子905を備えるレンチキュラー構造体904を備えてよく、第2のガイド面908は、傾斜して、光抽出特徴部として機能するプリズム構造体912を備えてよい。レンチキュラー構造体904の複数の細長いレンチキュラー素子905、及び複数の傾斜光抽出特徴部は、導波路901を通って誘導された入力光を偏向させて、第1のガイド面906を通って出射させる。
【0418】
平面反射器であり得る後方反射器903は、表面908を通って導波路901を通って戻る光を方向付けるために設けられる。
【0419】
プリズム構造体912及びレンチキュラー構造体904のレンチキュラー素子905の両方に入射する出力光線は、表面906に対するかすめ入射に近い角度で出力される。ファセット927を備えるプリズム転向フィルム926は、空間光変調器48及び切り替え可能な補償液晶リターダ300を通る全内部反射によって出力光線234をリダイレクトするように構成されている。
【0420】
図28Bは、コリメート導波路901の出力を上面図で示す概略図である。プリズム構造体912は、臨界角未満であり、したがって脱出し得る、レンチキュラー構造体904への入射角で光を提供するように構成されている。レンチキュラー面の縁部に入射すると、表面の傾斜は、光線を脱出させるために光を偏向させ、コリメート効果をもたらす。光線234は、光線188a~c及び光線189a~cによって提供されてよく、コリメートされた導波路901のレンチキュラー構造体904の位置185に入射する。
【0421】
図28Cは、図28Aのディスプレイ装置の等輝度視野極座標プロットを示す概略グラフである。したがって、構造体904、912及び転向フィルム926によって決定されるサイズを有する狭出力光円錐が提供されてよい。
【0422】
有利なことには、スヌーパーが例えば45度以上の横方向角で位置し得る領域では、ディスプレイからの出力の輝度は小さく、典型的には2%未満である。出力輝度を更に低下させることが望ましいであろう。かかる更なる低下は、図28Aに示すように、切り替え可能な補償液晶リターダ300及び追加偏光子318によってもたらされる。有利なことには、低軸外輝度を有する高性能プライバシーディスプレイが、広視野にわたって提供され得る。
【0423】
図27A及び図28Aに記載する種類などの指向性バックライトは、本実施形態の複数のリターダ301、330と併せて使用すると、典型的なスヌーパー47の位置について1.5%未満、好ましくは0.75%未満、最も好ましくは0.5%未満の軸外輝度を達成し得る。更に、主たるユーザ45に高い軸上輝度及び均一性をもたらし得る。有利なことには、低軸外輝度の高性能プライバシーディスプレイが広視野にわたって提供され得、このディスプレイは、図1Aに示す制御システム352を用いて、切り替え可能なリターダ301の制御によって広角モードに切り替えられ得る。
【0424】
ここで、軸外照明用の平行偏光子間のリターダ層の動作について更に説明する。上記の様々な装置において、リターダは、様々な異なる構成で一対の偏光子(典型的には、追加偏光子318、並びに入力偏光子210及び出力偏光子218のうちの1つ)間に配置される。いずれの場合にも、リターダは、切り替え可能な補償リターダ300の切り替え可能な状態のうちの少なくとも1つにおいて、リターダの平面の法線に沿った軸に沿って一対の偏光子及び複数のリターダを通過する光の輝度に影響を及ぼさないが、リターダの平面の法線に対して傾斜した軸に沿って一対の偏光子及び複数のリターダを通過する光の輝度を低下させるように構成されている。ここで、この効果についてより詳細に説明する。この原理は、一般に上述のすべての装置に適用され得る。
【0425】
図29Aは、軸外光によるリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。補正リターダ630は、x軸に対して0度の光軸方向634を有する屈折率楕円体632によって表され、厚さ631を有する、複屈折材料を含んでよい。常光線636は、材料内の経路長が厚さ631と同一であるように伝搬する。光線637は、y-z平面内に、増加した経路長を有するが、材料の複屈折は光線636と実質的に同一である。比較として、x-z平面内にある光線638は、複屈折材料の増加した経路長を有し、更に複屈折は常光線636と異なる。
【0426】
リターダ630のリターダンスは、したがって、それぞれの光線の入射角に応じ、また、x-zにおける光線638である入射面は、y-z平面における法線636及び光線637とは異なるリターダンスを有する。
【0427】
ここで、偏光とリターダ630との相互作用について説明する。指向性バックライト101における動作中に第1及び第2の偏光成分を区別するために、以下の説明では第3及び第4の偏光成分を参照する。
【0428】
図29Bは、x軸に対して90度の第3の直線偏光状態の軸外光によるリターダ層の照明を斜視図で示す概略図であり、図29Cは、x軸に対して0度の第4の直線偏光状態の軸外光によるリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。かかる構成では、入射直線偏光状態は、楕円632によって表される複屈折材料の光軸に整列される。したがって、第3の直交偏光成分と第4の直交偏光成分との位相差は提供されず、各光線636、637、638に対する直線偏光入力の偏光状態の変化は生じない。したがって、リターダ630は、リターダ630の平面の法線に沿った軸に沿ってリターダ630の入力側の偏光子を通過した光の偏光成分に位相シフトを導入しない。したがって、リターダ630は、リターダ630を通過する光の輝度、及びリターダ630の両側の偏光子(図示せず)に影響を及ぼさない。図29A図29Cは、具体的には受動的なリターダ630に関するものであるが、切り替え可能な液晶リターダによって、及び上述の装置内の複数のリターダによって、同様の効果が達成される。
【0429】
図29Dは、45度の直線偏光状態の軸外光によるリターダ630の層の照明を斜視図で示す概略図である。直線偏光状態は、光軸634の方向に対してそれぞれ直交及び平行である第3及び第4の偏光成分に分解され得る。屈折率楕円体632によって示されるリターダ厚さ631及び材料リターダンスは、設計波長について、光線636によって示される、法線方向に入射する第3及び第4の偏光成分の位相を、半波長だけ相対的にシフトさせる正味効果をもたらし得る。設計波長は、例えば、500~550nmの範囲であってよい。
【0430】
設計波長及び光線636に沿って垂直に伝搬する光の場合、出力偏光は、-45度において直線偏光状態640へと90度回転されてよい。光線637に沿って伝播する光では、厚さの変化による光線637に沿った位相差と同様であるが同一ではない位相差が生じてよく、したがって、楕円偏光状態639は、光線636の出力光の直線偏光軸と同様の主軸を有し得る出力であり得る。
【0431】
対照的に、光線638に沿った入射線偏光状態の位相差は著しく異なってよく、具体的には、より低い位相差が提供され得る。かかる位相差は、所与の傾斜角642において実質的に円形である出力偏光状態644をもたらし得る。したがって、リターダ630は、リターダ630の平面の法線に対して傾斜する光線638に対応する軸に沿ったリターダ630の入力側の偏光子を通過した光の偏光成分に位相シフトを導入する。図29Dは受動的なリターダ630に関するが、切り替え可能な液晶リターダによって、また上述の複数のリターダにおいて、プライバシーモードに対応する切り替え可能な液晶リターダの切り替え可能な状態において、同様の効果が達成される。
【0432】
ここで、リターダ積層体の軸外挙動を示すために、平行偏光子500、210間のCプレート560の動作を参照して、様々な軸外照明構成に関して追加偏光子318と出力ディスプレイ偏光子218との間のCプレート308A、308Bの角度輝度制御について説明する。
【0433】
図30Aは、正の仰角を有する軸外偏光によるCプレート層の照明を斜視図で示す概略図である。入射直線偏光成分704は、リターダ560の平面に対して垂直である光軸方向507を有するCプレートであるリターダ560の複屈折材料632に入射する。偏光成分704では、液晶分子の透過で正味位相差が生じないため、出力偏光成分は成分704と同じである。したがって、最大透過は、偏光子210で生じる。したがって、リターダは、x-y平面であるリターダ560の平面に対して垂直である光軸561を有するリターダ560を備える。リターダ560の平面に対して垂直である光軸を有するリターダは、Cプレートを備える。
【0434】
図30Bは、負の横方向角を有する軸外偏光によるCプレート層の照明を斜視図で示す概略図である。図30Aの構成と同様に、偏光状態704では正味位相差は生じず、最大輝度で透過される。したがって、リターダ560は、リターダ560の平面の法線に沿った軸に沿ってリターダ560の入力側の偏光子を通過した光の偏光成分に位相シフトを導入しない。したがって、リターダ560は、リターダ560を通過する光の輝度、及びリターダ560の両側の偏光子(図示せず)に影響を及ぼさない。図29A図29Cは、具体的には受動的なリターダ560に関するものであるが、切り替え可能な液晶リターダによって、及び上述の装置内の複数のリターダによって、同様の効果が達成される。
【0435】
図30Cは、正の仰角及び負の横方向角を有する軸外偏光によるCプレート層の照明を斜視図で示す概略図である。図30A図30Bの構成と比較して、偏光状態704は、複屈折材料632に関して固有状態703、705へと分解して、リターダ560の透過に正味位相差をもたらす。得られた楕円偏光成分656は偏光子210を透過し、図30A図30Bに示される光線と比較して低下した輝度を有する。
【0436】
図30Dは、正の仰角及び正の横方向角を有する軸外偏光によるCプレート層の照明の斜視図で示す概略図である。図30Cと同様に、偏光成分704は、正味の位相差を受ける固有状態703、705に分解され、偏光子の透過後に、それぞれの軸外光線の輝度が低下する、楕円偏光成分660がもたらされる。したがって、リターダ560は、リターダ560の平面の法線に対して傾斜する軸に沿ったリターダ560の入力側の偏光子を通過した光の偏光成分に位相シフトを導入する。図29Dは受動的なリターダ560に関するが、切り替え可能な液晶リターダによって、また上述の複数のリターダにおいて、プライバシーモードに対応する切り替え可能な液晶リターダの切り替え可能な状態において、同様の効果が達成される。
【0437】
図30Eは、図30A図30Dの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。したがって、Cプレートは、極性象限において輝度を低下させ得る。本明細書の他の箇所に記載する切り替え可能な液晶リターダ301と組み合わせて、(i)Cプレートの輝度低下は、第1の広角動作状態で除去され得、(ii)輝度低下のための拡張極性領域は、第2のプライバシー動作状態で達成され得る。
【0438】
ここで、リターダ積層体の軸外挙動を示すために、様々な軸外照明構成に関して追加偏光子318と出力ディスプレイ偏光子218との間の交差Aプレート308A、308Bの角度輝度制御について説明する。
【0439】
図31Aは、正の仰角を有する軸外偏光による交差Aプレートリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。電気ベクトル伝達方向219を有する直線偏光子218が使用されて、交差Aプレート308A、308Bの第1のAプレート308A上に、横方向に対して平行である直線偏光状態704をもたらす。光軸方向309Aは、横方向に対して+45度傾斜している。正の仰角方向での軸外角度θに対するリターダ308Aのリターダンスは、概ね楕円形である、結果として生じる偏光成分650を出力側で提供する。偏光成分650は、第1のAプレート308Aの光軸方向309Aに対して直交する光軸方向309Bを有する交差Aプレート308A、308Bの第2のAプレート308Bに入射する。図31Aの入射面では、軸外角度θに対する第2のAプレート308Bのリターダンスは、第1のAプレート308Aのリターダンスと等しく、かつ反対である。したがって、入射偏光成分704の遅延は正味ゼロであり、出力偏光成分は、入力偏光成分704と同一である。
【0440】
出力偏光成分は、追加偏光子318の電気ベクトル伝達方向に一致し、したがって効率的に伝達される。有利なことには、ゼロの横方向角度成分を有する光線の損失は実質的にゼロであり、その結果、完全な透過効率が達成される。
【0441】
図31Bは、負の横方向角を有する軸外偏光による交差Aプレートリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。したがって、入力偏光成分は、第1のAプレート308Aによって、概ね楕円形の偏光状態である中間偏光成分652に変換される。第2のAプレート308Bは、この場合でも第1のAプレートに等しく、かつ反対である遅延をもたらし、その結果、出力偏光成分は入力偏光成分704と同一であり、光は偏光子318を効率的に透過する。
【0442】
したがって、リターダは、交差している、リターダ308A、308Bの平面、すなわち本実施形態においてx-y平面内に光軸を有する一対のリターダ308A、308Bを備える。一対のリターダ308A、308Bは、偏光子318の電気ベクトル伝達に対して平行である電気ベクトル伝達方向に関してそれぞれ45°で延在する光軸309A、309Bを有する。
【0443】
有利なことには、ゼロの仰角角度成分を有する光線の損失は実質的にゼロであり、その結果、完全な透過効率が達成される。
【0444】
図31Cは、正の仰角及び負の横方向角を有する軸外偏光による交差Aプレートリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。偏光成分704は、第1のAプレート308Aによって楕円偏光成分654に変換される。得られた楕円成分656は、第2のAプレート308Bからの出力である。楕円成分656は入力偏光子318によって分析され、第1の偏光成分704の入力輝度と比較して低下した輝度を有する。
【0445】
図31Dは、正の仰角及び正の横方向角を有する軸外偏光による交差Aプレートリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。第1及び第2のリターダの正味リターダンスが補償しないため、偏光成分658及び660は、第1のAプレート308A及び第2のAプレート308Bによってもたらされる。
【0446】
したがって、輝度は、ゼロでない横方向角及びゼロではない仰角成分を有する光線に対して低下する。有利なことには、主たるディスプレイユーザの視感度は実質的に低下しないが、視聴象限に位置するスヌーパーについては、ディスプレイのプライバシーを向上させることができる。
【0447】
図31Eは、図31A図31Dの透過光線の極性方向での出力透過の変化を示す概略グラフである。図30Eの構成と比較して、輝度低下の領域は、軸外視聴について増加する。しかしながら、切り替え可能な液晶リターダ301では、第1の広角動作モード状態での軸外視聴のCプレート構成と比較して、均一性が低下し得る。
【0448】
本明細書で使用され得るとき、用語「実質的に」及び「およそ(ほぼ)」は、それに対応する用語及び/又は項目間の相対性に対して、業界で受け入れられる許容範囲を付与するものである。このような、業界で受け入れられる許容範囲は、0パーセント~10パーセントの範囲であり、成分値、角度などが該当するが、これらに限定されない。このような、項目間の相対性は、約0パーセント~10パーセントの範囲である。
【0449】
本明細書に開示される原理による様々な実施形態を上述してきたが、それらは限定としてではなく単なる一例として提示されていることを理解されたい。それ故、この開示の広さ及び範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても制限されてはならず、請求項のいずれか、及び本開示に由来するそれらの均等物に従ってのみ規定されるべきである。更に、上述の利点及び特徴が記載された実施形態において提供されるが、かかる公開される特許請求の範囲の用途を、上述の利点のいずれか又はすべてを達成する方法及び構造に限定するものではない。
【0450】
加えて、本明細書におけるセクションの見出しは、37 CFR 1.77の規定するところに従って、さもなくば、編成上の目印として提供されるものである。これらの見出しは、本開示から生じ得る請求項に定める(単数又は複数の)実施形態を限定したり又は特徴付けたりしないものとする。具体的には、一例として、「技術分野」という見出しがあるが、いわゆる分野を説明するためにこの見出しの下に選択された表現によって、特許請求の範囲が限定されることはない。更に、「背景技術」に記載した技術に関する記述は、特定の技術が、本開示における任意の(単数又は複数の)実施形態に対する先行技術であることの承認として、解釈されるべきではない。「発明の概要」についても、公開する請求項で述べる(単数又は複数の)実施形態を特徴付けるものとして考慮されるべきでない。更に、本開示においては、単数形での「発明」に対するいずれの言及も、本開示における新規な点が1つのみである、ということを主張するために使用されるべきではない。複数の実施形態は、本開示により、公開される複数の請求項の限定に従って、述べられる場合がある。したがって、これらの請求項は、この(単数又は複数の)実施形態及びそれらの均等物を定義することによって、それらを保護している。すべての例において、かかる請求項の範囲は、本開示に照らして、固有の利点が考慮されるべきであり、本明細書で定める見出しによって制約されてはならない。
【0451】
[項目1]
ディスプレイ装置であって、
空間光変調器と、
空間光変調器の側に配置されたディスプレイ偏光子と、
ディスプレイ偏光子と同じ空間光変調器の側に配置された追加偏光子と、
追加偏光子とディスプレイ偏光子との間に配置された複数のリターダと、を備え、
複数のリターダが、
液晶材料の層を備える、切り替え可能な液晶リターダと、少なくとも1つの受動補償リターダと
を備える、ディスプレイ装置。
[項目2]
ディスプレイ偏光子及び追加偏光子は、平行である電気ベクトル伝達方向を有する、項目1に記載のディスプレイ装置。
[項目3]
切り替え可能な液晶リターダは、液晶材料の層に隣接し、かつその両側に配置され、隣接する液晶材料内にホメオトロピック配向をもたらすようにそれぞれ構成されている2つの表面配向層を備える、項目1又は2に記載のディスプレイ装置。
[項目4]
切り替え可能な液晶リターダの液晶材料の層は、負の誘電異方性を有する液晶材料を含む、項目3に記載のディスプレイ装置。
[項目5]
液晶材料の層は、550nmの波長の光に対して500nm~1000nmの範囲、好ましくは600nm~900nmの範囲、最も好ましくは700nm~850nmの範囲のリターダンスを有する、項目3又は4に記載のディスプレイ装置。
[項目6]
少なくとも1つの受動補償リターダは、リターダの平面に対して垂直である光軸を有するリターダを備え、少なくとも1つの受動リターダは、550nmの波長の光に対して-300nm~-900nmの範囲、好ましくは-450nm~-800nmの範囲、最も好ましくは-500nm~-725nmの範囲のリターダンスを有する、又は
少なくとも1つの受動補償リターダは、交差するリターダの平面内に光軸を有する一対のリターダを備え、一対のリターダの各リターダは、550nmの波長の光に対して300nm~800nmの範囲、好ましくは500nm~700nmの範囲、最も好ましくは550nm~675nmの範囲のリターダンスを有する、項目3~5のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目7]
切り替え可能な液晶リターダは、液晶材料の層に隣接し、かつその両側に配置され、隣接する液晶材料内にホモジニアス配向をもたらすようにそれぞれ構成されている2つの表面配向層を備える、項目1又は2に記載のディスプレイ装置。
[項目8]
切り替え可能な液晶リターダの液晶材料の層は、正の誘電異方性を有する液晶材料を含む、項目7に記載のディスプレイ装置。
[項目9]
液晶材料の層は、550nmの波長の光に対して500nm~1000nmの範囲、好ましくは600nm~850nmの範囲、最も好ましくは700nm~800nmの範囲のリターダンスを有する、項目7又は8に記載のディスプレイ装置。
[項目10]
少なくとも1つの受動補償リターダは、リターダの平面に対して垂直である光軸を有するリターダを備え、少なくとも1つの受動リターダは、550nmの波長の光に対して-300nm~-700nmの範囲、好ましくは-350nm~-600nmの範囲、最も好ましくは-400nm~-500nmの範囲のリターダンスを有する、又は
少なくとも1つの受動補償リターダは、交差するリターダの平面内に光軸を有する一対のリターダを備え、一対のリターダの各リターダは、550nmの波長の光に対して300nm~800nmの範囲、好ましくは350nm~650nmの範囲、最も好ましくは450nm~550nmの範囲のリターダンスを有する、項目7~9のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目11]
切り替え可能な液晶リターダは、液晶材料の層に隣接し、かつその両側に配置された2つの表面配向層を備え、表面配向層のうちの1つは、隣接する液晶材料内にホメオトロピック配向をもたらすように構成され、表面配向層の他方は、隣接する液晶材料内にホモジニアス配向をもたらすように構成されている、項目1又は2に記載のディスプレイ装置。
[項目12]
ホモジニアス配向をもたらすように構成されている表面配向層は、液晶材料の層と受動補償リターダとの間にあり、
液晶材料の層は、550nmの波長の光に対して700nm~2000nmの範囲、好ましくは1000nm~1500nmの範囲、最も好ましくは1200nm~1500nmの範囲のリターダンスを有し、
少なくとも1つの受動補償リターダは、リターダの平面に対して垂直である光軸を有するリターダを備え、少なくとも1つの受動リターダは、550nmの波長の光に対して-400nm~-1800nmの範囲、好ましくは-700nm~-1500nmの範囲、最も好ましくは-900nm~-1300nmの範囲のリターダンスを有する、又は
少なくとも1つの受動補償リターダは、交差するリターダの平面内に光軸を有する一対のリターダを備え、一対のリターダの各リターダは、550nmの波長の光に対して400nm~1800nmの範囲、好ましくは700nm~1500nmの範囲、最も好ましくは900nm~1300nmの範囲のリターダンスを有する、項目11に記載のディスプレイ装置。
[項目13]
ホメオトロピック配向をもたらすように構成されている表面配向層は、液晶材料の層と受動補償リターダとの間にあり、
液晶材料の層は、550nmの波長の光に対して500nm~1800nmの範囲、好ましくは700nm~1500nmの範囲、最も好ましくは900nm~1350nmの範囲のリターダンスを有し、
少なくとも1つの受動補償リターダは、リターダの平面に対して垂直である光軸を有するリターダを備え、少なくとも1つの受動リターダは、550nmの波長の光に対して-300nm~-1600nmの範囲、好ましくは-500nm~-1300nmの範囲、最も好ましくは-700nm~-1150nmの範囲のリターダンスを有する、又は
少なくとも1つの受動補償リターダは、交差するリターダの平面内に光軸を有する一対のリターダを備え、一対のリターダの各リターダは、550nmの波長の光に対して400nm~1600nmの範囲、好ましくは600nm~1400nmの範囲、最も好ましくは800nm~1300nmの範囲のリターダンスを有する、項目11に記載のディスプレイ装置。
[項目14]
各配向層が、ディスプレイ偏光子の電気ベクトル伝達方向に対して平行若しくは逆平行である、又は直交する液晶層の平面内の成分とのプレチルト方向を有するプレチルトを有する、項目3~13のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目15]
少なくとも1つの受動リターダは、少なくとも2つの異なる光軸配向を有する、少なくとも2つの受動リターダを備える、項目1~14のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目16]
少なくとも1つの受動補償リターダは、交差するリターダの平面内に光軸を有する一対の受動リターダを備える、項目1~15のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目17]
一対の受動リターダは、ディスプレイ偏光子の電気ベクトル伝達に対して平行である電気ベクトル伝達方向に関してそれぞれ45°及び135°で延在する光軸を有する、項目16に記載のディスプレイ装置。
[項目18]
切り替え可能な液晶リターダは、一対の受動リターダの間に設けられる、項目16又は17に記載のディスプレイ装置。
[項目19]
切り替え可能な液晶リターダに隣接する一対の受動リターダのそれぞれの側に形成された透明電極及び液晶配向層を更に備える、項目18に記載のディスプレイ装置。
[項目20]
間に切り替え可能な液晶リターダが設けられる第1の基材及び第2の基材を更に備え、第1の基材及び第2の基材は、一対の受動リターダのうちの1つをそれぞれ備える、項目19に記載のディスプレイ装置。
[項目21]
一対の受動リターダのそれぞれは、550nmの波長の光に対して150nm~800nmの範囲、好ましくは200nm~700nmの範囲、最も好ましくは250nm~600nmの範囲のリターダンスを有する、項目20に記載のディスプレイ装置。
[項目22]
少なくとも1つの受動補償リターダは、リターダの平面に対して垂直である光軸を有するリターダを備える、項目1~21のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目23]
少なくとも1つの受動補償リターダは、受動リターダの平面に対して垂直である光軸を有する2つの受動リターダを備え、切り替え可能な液晶リターダは、2つの受動リターダの間に設けられる、項目22に記載のディスプレイ装置。
[項目24]
切り替え可能な液晶リターダに隣接する2つの受動リターダのそれぞれの側に形成された透明電極及び液晶配向層を更に備える、項目23に記載のディスプレイ装置。
[項目25]
間に切り替え可能な液晶リターダが設けられる第1の基材及び第2の基材を更に備え、第1の基材及び第2の基材は、2つの受動リターダのうちの1つをそれぞれ備える、項目23又は24に記載のディスプレイ装置。
[項目26]
2つの受動リターダは、550nmの波長の光に対して-300nm~-700nmの範囲、好ましくは-350nm~-600nmの範囲、最も好ましくは-400nm~-500nmの範囲の総リターダンスを有する、項目23~25のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目27]
少なくとも1つの受動補償リターダは、リターダの平面に対して垂直である成分と、リターダの平面内の成分と、を含む光軸を有するリターダを備える、項目1~26のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目28]
リターダの平面内の成分は、ディスプレイ偏光子の電気ベクトル伝達に対して平行又は垂直である電気ベクトル伝達方向に関して0°で延在する、項目27に記載のディスプレイ装置。
[項目29]
少なくとも1つの受動リターダは、受動リターダの平面に対して垂直である光軸を有する受動リターダ、又は交差する受動リターダの平面内に光軸を有する一対の受動リターダを更に備える、項目27又は28に記載のディスプレイ装置。
[項目30]
少なくとも1つの受動補償リターダのリターダンスが、切り替え可能な液晶リターダのリターダンスと等しく、かつ反対である、項目1~29のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目31]
切り替え可能な液晶リターダは、第1のプレチルトと、第2のプレチルトと、を備え、
少なくとも1つの受動補償リターダは、第1のプレチルト及び第2のプレチルトを有する補償リターダを備え、
補償リターダの第1のプレチルトは、液晶リターダの第1のプレチルトと同一であり、補償リターダの第2のプレチルトは、液晶リターダの第2のプレチルトと同一である、項目1~30のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目32]
少なくとも1つの受動補償リターダは、少なくとも1つの受動補償リターダの平面の法線に沿った軸に沿って、複数のリターダの入力側のディスプレイ偏光子及び追加偏光子のうちの1つが通過する光の偏光成分に位相シフトを導入しないように構成されている、項目1~31のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目33]
少なくとも1つの受動補償リターダは、少なくとも1つの受動補償リターダの平面の法線に対して傾斜した軸に沿って、複数のリターダの入力側のディスプレイ偏光子及び追加偏光子のうちの1つが通過する光の偏光成分に位相シフトを導入するように構成されている、項目1~32のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目34]
切り替え可能な液晶リターダは、切り替え可能な液晶リターダの平面の法線に沿った軸に沿って、複数のリターダの入力側のディスプレイ偏光子及び追加偏光子のうちの1つが通過する光の偏光成分に位相シフトを導入しないように構成されている、項目1~33のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目35]
切り替え可能な液晶リターダは、切り替え可能な液晶リターダの切り替え可能な状態で、切り替え可能な液晶リターダの平面の法線に対して傾斜した軸に沿って、複数のリターダの入力側のディスプレイ偏光子及び追加偏光子のうちの1つが通過する光の偏光成分に位相シフトを導入するように構成されている、項目1~34のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目36]
複数のリターダは、リターダの平面の法線に沿った軸に沿って、ディスプレイ偏光子、追加偏光子、及び複数のリターダを通過する光の輝度に影響を及ぼさないように構成されている、項目1~35のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目37]
複数のリターダは、リターダの平面の法線に対して傾斜した軸に沿って、ディスプレイ偏光子、追加偏光子、及び複数のリターダを通過する光の輝度を低下させるように構成されている、項目1~36のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目38]
切り替え可能な液晶リターダは、液晶材料の層を制御するために電圧を印加するように構成されている電極を更に備える、項目1~37のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目39]
電極は、液晶材料の層の両側にある、項目38に記載のディスプレイ装置。
[項目40]
電極は、少なくとも2つのパターン領域を設けるようにパターン化される、項目38又は39に記載のディスプレイ装置。
[項目41]
少なくとも1つの切り替え可能な液晶リターダの電極全体に印加される電圧を制御するように構成されている制御システムを更に備える、項目38~40のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目42]
制御システムは、ディスプレイ装置に関してスヌーパーの位置を判定する手段を更に備え、制御システムは、スヌーパーの位置に応答して少なくとも1つの切り替え可能な液晶リターダの電極全体に印加される電圧を調整するように構成されている、項目41に記載のディスプレイ装置。
[項目43]
少なくとも1つの更なるリターダと、更なる追加偏光子と、を更に備え、少なくとも1つの更なるリターダは、前述の追加偏光子と更なる追加偏光子との間に配置される、項目1~42のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目44]
光を出力するように構成されているバックライトを更に備え、空間光変調器は、バックライトから出力光を受光するように構成されている透過型空間光変調器である、項目1~43のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目45]
バックライトは、空間光変調器の法線に対する45度より大きい極角で、空間光変調器の法線に沿った輝度の最大33%、好ましくは空間光変調器の法線に沿った輝度の最大20%、最も好ましくは空間光変調器の法線に沿った輝度の最大10%である輝度をもたらす、項目44に記載のディスプレイ装置。
[項目46]
バックライトは、
光源のアレイと、
指向性導波路であって、
指向性導波路の側部に沿って横方向に延在する入力端であって、光源は入力端に沿って配置され、入力光を導波路に入力するように構成されている入力端と、
入力端において光入力を導波路に沿って誘導するために、入力端から指向性導波路全体に延在する、対向する第1及び第2のガイド面と、を備え、導波路は、指向性導波路を通って誘導された入力光を偏向させて第1のガイド面を通って出射するように構成されている、指向性導波路と
を備える、項目44又は45に記載のディスプレイ装置。
[項目47]
バックライトは光転向フィルムを更に含み、指向性導波路はコリメート導波路である、項目46に記載のディスプレイ装置。
[項目48]
コリメート導波路は、
(i)複数の細長いレンチキュラー素子と、
(ii)複数の傾斜光抽出特徴部と、を備え、
複数の細長いレンチキュラー素子及び複数の傾斜光抽出特徴部は、指向性導波路を通って誘導された入力光を偏向させて、第1のガイド面を通って出射するように配向されている、項目47に記載のディスプレイ装置。
[項目49]
指向性導波路は、光源からの出力光が、光源の入力位置に応じて分散する出力方向でそれぞれの光学窓内へと方向付けられるように、光源を横方向に結像するように構成されている結像導波路である、項目46に記載のディスプレイ装置。
[項目50]
結像導波路は、結像導波路に沿って入力光を反射して戻すための反射端を備え、第2のガイド面は、第1のガイド面を通って反射された入力光を出力光として偏向させるように構成され、第2のガイド面は、光抽出特徴部と、光抽出特徴部間の中間領域と、を備え、光抽出特徴部は、第1のガイド面を通って反射された入力光を出力光として偏向させるように配向され、中間領域は、光を抽出することなく導波路を通して光を方向付けるように構成され、
反射端は、第1のガイド面と第2のガイド面との間に延在する導波路の側面間に延在する横方向に正の光学的パワーを有する、項目49に記載のディスプレイ装置。
[項目51]
ディスプレイ偏光子は、バックライトと空間光変調器との間の空間光変調器の入力側に配置された入力ディスプレイ偏光子であり、追加偏光子は、入力ディスプレイ偏光子とバックライトとの間に配置される、項目44~50のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目52]
追加偏光子は反射型偏光子である、項目51に記載のディスプレイ装置。
[項目53]
ディスプレイ装置は、空間光変調器の出力側に配置された出力偏光子を更に備える、項目51又は52に記載のディスプレイ装置。
[項目54]
ディスプレイ偏光子は、空間光変調器の出力側に配置された出力偏光子である、項目1~50のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目55]
ディスプレイ装置は、空間光変調器の入力側に配置された入力偏光子を更に備える、項目54に記載のディスプレイ装置。
[項目56]
空間光変調器の入力側に配置された更なる追加偏光子と、少なくとも1つの更なる追加偏光子と入力偏光子との間に配置された少なくとも1つの更なるリターダと、を更に備える、項目55に記載のディスプレイ装置。
[項目57]
空間光変調器は、光を出力するように構成されている発光型空間光変調器を備え、ディスプレイ偏光子は、発光型空間光変調器の出力側に配置された出力ディスプレイ偏光子である、項目1~43のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
[項目58]
少なくとも1つの更なるリターダと、更なる追加偏光子と、を更に備え、少なくとも1つの更なるリターダは、前述の追加偏光子と更なる追加偏光子との間に配置される、項目57に記載のディスプレイ装置。
[項目59]
空間光変調器と、空間光変調器の側に配置されたディスプレイ偏光子と、を備えるディスプレイ装置に適用するための視野角制御光学素子であって、視野角制御光学素子は、制御偏光子と、ディスプレイ装置に視野角制御光学素子を適用する際に、追加偏光子とディスプレイ偏光子との間に配置するための複数のリターダと、を備え、複数のリターダは、
液晶材料の層を備える、切り替え可能な液晶リターダと、
少なくとも1つの受動補償リターダと
を備える、視野角制御光学素子。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図19C
図19D
図19E
図20A
図20B
図20C
図21A
図21B
図21C
図22A
図22B
図22C
図22D
図22E
図22F
図22G
図23A
図23B
図24A
図24B
図24C
図24D
図24E
図24F
図25A
図25B
図25C
図26A
図26B
図26C
図27A
図27B
図27C
図28A
図28B
図28C
図29A
図29B
図29C
図29D
図30A
図30B
図30C
図30D
図30E
図31A
図31B
図31C
図31D
図31E
【外国語明細書】