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特開2023-8923真空制御弁を有するプロセスチャンバを備えた真空処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008923
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】真空制御弁を有するプロセスチャンバを備えた真空処理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20230111BHJP
   F16K 51/02 20060101ALI20230111BHJP
   H01L 21/31 20060101ALN20230111BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
F16K51/02 A
H01L21/31 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022104601
(22)【出願日】2022-06-29
(31)【優先権主張番号】10 2021 003 351.5
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ズィーモン ネーフ
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス ゲヒター
【テーマコード(参考)】
3H066
5F045
【Fターム(参考)】
3H066AA01
3H066BA04
5F045AE01
5F045DP02
5F045DQ10
5F045EF20
5F045EG02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】弁開口の精密な制御もしくは調節を提供し、開口を通る流れの精密な制御もしくは調節を提供し、プロセスチャンバ内での均質な流体分布を提供する真空制御弁もしくは真空処理システムを提供する。
【解決手段】真空処理システム1において、真空弁20は、第1の開口軸線Oを規定する第1の弁開口22aと、第1の弁開口を取り囲むように延びる第1のシール面とを有する第1の弁座21aと、第1のシール面に対応する第1のコンタクト面を備えた第1の弁ディスク23aと、を備える。駆動ユニット30は、第1の弁ディスクと連結されている。第1の弁座は、真空チャンバを、主プロセスチャンバ11と、副プロセスチャンバ12とに分割している。第1の弁ディスクは、副プロセスチャンバ内に移動調節可能に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空処理システム(1)であって、
真空を発生させ、かつ内部容積内で基板を処理するための排気可能な内部容積を規定する真空チャンバ(10)を備え、
前記真空チャンバ(10)を通って流れる流体の容積流または質量流を制御し、かつ流体の流路をガス密に遮断するための真空制御弁(20)を備え、
前記真空制御弁(20)が、
第1の開口軸線(O)を規定する第1の弁開口(22,22a)と、該第1の弁開口(22,22a)を取り囲むように延びる第1のシール面とを有する第1の弁座(21,21a)と、
前記第1のシール面に対応する第1のコンタクト面を備えた第1の弁ディスク(23,23a)と、
を備え、
駆動ユニット(30)を備え、該駆動ユニット(30)は、
前記第1の弁ディスク(23,23a)が、少なくとも
前記第1の弁ディスク(23,23a)と前記第1の弁座(21,21a)とが互いに相対的に無接触に存在する開放位置から
介在するシール部材(25)を介して前記第1のシール面と前記第1のコンタクト面との間に密な接触が生じ、これにより前記第1の弁開口(22,22a)がガス密に閉鎖される閉鎖位置へ、
かつ再び前記閉鎖位置から前記開放位置へ移動調節可能となるように、
構成されていて、かつこのように前記第1の弁ディスク(23,23a)と連結されている、
真空処理システム(1)において、
前記第1の弁座(21,21a)は前記真空チャンバ(10)の内部に配置されていて、該真空チャンバ(10)を、基板の処理のための主プロセスチャンバ(11)と、副プロセスチャンバ(12)とに分割しており、
前記第1のシール面は、前記第1の開口軸線(O)に対して直交する方向に延びていて、前記副プロセスチャンバ(12)の方向に向けられており、
前記第1の弁ディスク(23,23a)は前記副プロセスチャンバ(12)内に移動調節可能に配置されている、
ことを特徴とする、真空処理システム(1)。
【請求項2】
前記真空制御弁(20)は、
第2の開口軸線を規定する第2の弁開口(22b)と、該第2の弁開口(22b)を取り囲むように延びる第2のシール面とを有する第2の弁座(21b)と、
前記第2のシール面に対応する第2のコンタクト面を備えた第2の弁ディスク(23b)と、
を有し、
前記第2の弁座(21b)は前記真空チャンバ(10)の内部に配置されていて、前記第1の弁座(21,21a)と共に前記真空チャンバを前記主プロセスチャンバ(11)と前記副プロセスチャンバ(12)とに分割しており、
前記第2のシール面は前記第2の開口軸線に対して直交する方向に延びていて、前記副プロセスチャンバ(12)の方向に向けられており、
前記第2の弁ディスク(23b)は前記副プロセスチャンバ(12)内に移動調節可能に配置されており、
前記真空制御弁の弁全体開口が、少なくとも、第1の弁部分開口である前記第1の弁開口(22a)と、第2の弁部分開口である前記第2の弁開口(22b)とによって形成されている、
ことを特徴とする、請求項1記載の真空処理システム(1)。
【請求項3】
前記真空制御弁(20)は、
第3の開口軸線を規定する第3の弁開口(22c)と、該第3の弁開口(22c)を取り囲むように延びる第3のシール面とを有する第3の弁座(21c)と、
前記第3のシール面に対応する第3のコンタクト面を備えた第3の弁ディスク(23c)と、
を有し、
前記第3の弁座(21c)は前記真空チャンバ(10)の内部に配置されていて、前記第1の弁座(21a)および前記第2の弁座(21b)と共に前記真空チャンバ(10)を前記主プロセスチャンバ(11)と前記副プロセスチャンバ(12)とに分割しており、
前記第3のシール面は前記第3の開口軸線に対して直交する方向に延びていて、前記副プロセスチャンバ(12)の方向に向けられており、
前記第3の弁ディスク(23c)は前記副プロセスチャンバ(12)内に移動調節可能に配置されており、
前記弁全体開口が、付加的に第3の弁部分開口である前記第3の弁開口(22c)によって形成されている、
ことを特徴とする、請求項1または2記載の真空処理システム(1)。
【請求項4】
前記駆動ユニット(30)は、前記第2もしくは第3の弁ディスク(23b,23c)と連結されていて、連結された前記弁ディスク(23a~23c)は、少なくとも
前記各弁ディスクと前記各弁座とが互いに相対的に無接触に存在する各開放位置から
それぞれ介在するシール部材を介して前記各シール面と前記各コンタクト面との間に軸方向で密な接触が生じ、これにより前記各弁部分開口がガス密に閉鎖される閉鎖位置へ、
かつ再び前記閉鎖位置から前記開放位置へ移動調節可能である、
ことを特徴とする、請求項2または3記載の真空処理システム(1)。
【請求項5】
前記真空制御弁(20)は連結装置を有し、該連結装置は、前記各弁ディスク(23,23a~23c)が前記駆動ユニット(30)によって一緒に移動調節可能になるように、前記第1の弁ディスク(23,23a)と前記第2の弁ディスク(23b)および特に前記第3の弁ディスク(23c)との機械的な連結を提供していて、かつこのように前記駆動ユニット(30)に結合されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の真空処理システム(1)。
【請求項6】
前記駆動ユニット(30)は少なくとも1つの第1の駆動コンポーネントおよび第2の駆動コンポーネント、特に第3の駆動コンポーネント、特に各モータを有し、
前記第1の駆動コンポーネントは前記第1の弁ディスク(23a)と連結されており、前記第2の駆動コンポーネントは前記第2の弁ディスク(23b)と連結されており、特に前記第3の駆動コンポーネントは前記第3の弁ディスクと連結されている、
ことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の真空処理システム(1)。
【請求項7】
前記駆動ユニット(30)と少なくとも前記第1の弁ディスク(23,23a)とは、
前記弁ディスクのうちの少なくとも前記第1の弁ディスク(23,23a)が第1の調節軸線(V)に沿って移動調節可能となり、かつ
前記第1の調節軸線(V)が前記第1の開口軸線(O)に対して相対的に交差する方向に延びるように、
構成されて連結されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の真空処理システム(1)。
【請求項8】
前記主プロセスチャンバ(11)は主内部容積を包含しており、前記副プロセスチャンバ(12)は副内部容積を包含しており、前記主内部容積は前記副内部容積よりも大きいことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の真空処理システム(1)。
【請求項9】
前記真空処理システム(1)が、前記主プロセスチャンバ(11)内に配置された静電気的な保持装置(15)、特にチャックを有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の真空処理システム(1)。
【請求項10】
前記真空制御弁(20)は、少なくとも前記第1の弁座(21,21a)と、少なくとも2つの別の弁座(21b,21c)とを有し、これらの弁座(21,21a~21c)が、第1の弁開口(22,22a)と少なくとも2つの別の弁開口(22b,22c)とを規定しており、
これらの弁座(21,21a~21c)は前記静電気的な保持装置(15)を巡って対称的に配置されている、
ことを特徴とする、請求項9記載の真空処理システム(1)。
【請求項11】
前記弁座(21,21a~21c)および/または前記弁開口(22,22a~22c)はリングセグメント状に形成されていて、リングセグメント状の前記弁座もしくは前記弁開口の各内側円弧または各外側円弧が1つの共通の円に沿って位置するように配置されていることを特徴とする、請求項10記載の真空処理システム(1)。
【請求項12】
前記真空処理システム(1)が、制御ユニット、特に閉ループ式制御ユニットを有し、前記駆動ユニットが、前記制御ユニットにより提供された制御信号、特に閉ループ式制御のための制御量につき、制御可能であることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の真空処理システム(1)。
【請求項13】
前記駆動ユニットの各駆動コンポーネントが、前記制御信号によって個別に制御可能であることを特徴とする、請求項12記載の真空処理システム(1)。
【請求項14】
前記制御ユニットは、その実行時に前記駆動ユニット(30)と連結された前記弁ディスク(23,23a~23c)のうちの少なくとも1つの弁ディスクが、前記開放位置と前記閉鎖位置との間の中間位置へ移動調節されるように設定された流れ機能性を有することを特徴とする、請求項12または13記載の真空処理システム(1)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの連結された弁ディスク(23,23a~23c)は調節軸線(V)に沿って線状に移動調節可能であり、該弁ディスクのコンタクト面と、対応するシール面との間の前記中間位置における間隔が、前記開放位置におけるよりも小さく、かつ前記閉鎖位置におけるよりも大きいことを特徴とする、請求項14記載の真空処理システム(1)。
【請求項16】
前記真空制御弁(20)は少なくとも
前記第1および第2の弁座(21,21a~21c)と、
前記第1および第2の弁ディスク(23,23a~23c)と、
前記第1の弁ディスクと連結されている前記第1の駆動コンポーネントおよび前記第2の弁ディスクと連結されている前記第2の駆動コンポーネントと、
を有し、
前記流れ機能性は、前記弁ディスク(23,23a~23c)が流れ情報に関連して各開放位置と各閉鎖位置との間に個別に位置決め可能となるように設定されている、
ことを特徴とする、請求項14または15記載の真空処理システム(1)。
【請求項17】
前記流れ情報は以下の情報:
前記主プロセスチャンバおよび/または前記副プロセスチャンバを通る流体の質量流または容積流、
前記主プロセスチャンバおよび/または前記副プロセスチャンバ内の流体の流速、
前記主プロセスチャンバおよび/または前記副プロセスチャンバのための内部容積横断面に関する流速分布、
前記主プロセスチャンバと前記副プロセスチャンバとの間の圧力差、
前記主プロセスチャンバ内への流体流入、
前記副プロセスチャンバからの流体流出、
のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする、請求項16記載の真空処理システム(1)。
【請求項18】
前記弁ディスク(23,23a~23c)は、前記流れ情報に関連して前記主プロセスチャンバ(11)を通る対称的な流体通流が提供可能となるように位置決め可能であることを特徴とする、請求項16または17記載の真空処理システム(1)。
【請求項19】
前記弁ディスク(23,23a~23c)の位置決めが個別に動的に調整可能であり、これによって前記主プロセスチャンバ(11)を通る流体通流の連続的な閉ループ式制御が提供可能であることを特徴とする、請求項16から18までのいずれか1項記載の真空処理システム(1)。
【請求項20】
規定された流れ特性が、前記真空制御弁(20)によって、特に少なくとも2つの弁部分開口(22a~22c)によって調節可能で、かつ/または閉ループ式制御可能であり、特に前記流れ特性が、前記真空制御弁によって、該真空制御弁(20)の中心軸線に関して非対称的に調節可能であり、該中心軸線が、弁中心点を通って延びていることを特徴とする、請求項16から19までのいずれか1項記載の真空処理システム(1)。
【請求項21】
前記主プロセスチャンバ(11)を通る不均質な流体流が存在する場合、前記流れ機能性の実行により、対称的な流体流が調節可能であることを特徴とする、請求項16から20までのいずれか1項記載の真空処理システム(1)。
【請求項22】
前記真空処理システム(1)は、少なくとも1つのセンサユニットを有し、該センサユニットは、該センサユニットによって前記流れ情報が検出可能になるように構成されていることを特徴とする、請求項16から21までのいずれか1項記載の真空処理システム(1)。
【請求項23】
前記流路が、前記主プロセスチャンバ(11)と前記副プロセスチャンバ(12)とを接続しており、前記主プロセスチャンバ(11)が、前記真空制御弁(20)によってガス密に前記副プロセスチャンバ(12)から分離可能であることを特徴とする、請求項1から22までのいずれか1項記載の真空処理システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の弁ディスクと、相応する複数の弁部分開口とを有する真空弁を備えた真空システムに関する。
【0002】
一般に、容積流または質量流を制御し、かつ弁ハウジングに加工成形された開口を通る流路を実質的にガス密に閉鎖するための真空弁は、従来技術から種々異なる構成が知られており、特に保護された雰囲気中でできるだけ不純化粒子の存在なしに行われなければならないIC製造、半導体製造または基板製造の分野における真空チャンバシステムで使用される。
【0003】
このような真空チャンバシステムは、特に、処理または製造されるべき半導体素子または基板を収容するために設けられた、排気可能な少なくとも1つの真空チャンバまたはプロセスチャンバを含み、この真空チャンバまたはプロセスチャンバは、少なくとも1つの真空チャンバ開口を有し、この真空チャンバ開口を通じて、半導体素子または別の基板が真空チャンバ内に装入されるように、かつ真空チャンバから取り出されるように案内可能である。真空チャンバシステムはさらに、真空チャンバを排気するための少なくとも1つの真空ポンプを含む。たとえば、半導体ウェーハまたは液晶基板用の製造設備では、高感度の半導体素子または液晶素子が、シーケンシャルに複数のプロセス真空チャンバを通過し、これらのプロセス真空チャンバにおいては、プロセス真空チャンバ内部に存在する素子が、それぞれ1つの処理装置によって処理される。プロセス真空チャンバ内部での処理プロセスの間も、各チャンバ間での搬送の間も、高感度の半導体素子または基板は常に、保護された環境内に-特に空気のない周囲環境内に-存在しなければならない。
【0004】
このためには、第1には、ガス供給部またはガス導出部を開閉するためのペリフェラル弁が使用され、第2には、素子の導入・導出用の真空チャンバに設けられた移送開口を開閉するための移送弁が使用される。
【0005】
半導体素子によって通過される真空弁は、前記の使用分野に基づいて、ひいてはこれに関連した寸法設定に基づいて、真空移送弁と呼ばれ、またその大多数が方形である開口横断面に基づいて、角型弁とも呼ばれ、さらにその通常の機能形式に基づいて、スライドゲート弁、角型ゲートスライダまたは移送スライドゲート弁とも呼ばれる。
【0006】
それに対して、ペリフェラル弁は特に、真空チャンバと真空ポンプまたは別の真空チャンバとの間のガス流を開ループ式または閉ループ式に制御するために使用される。ペリフェラル弁は、たとえばプロセス真空チャンバまたは移送チャンバと真空ポンプ、環境または別のプロセス真空チャンバとの間の管システム内部に位置している。ポンプ弁とも呼ばれるこのような弁の開口横断面は、一般に真空移送弁におけるよりも小さい。ペリフェラル弁は使用分野に関連して、開口を完全に開閉するために使用されるだけでなく、完全な開放位置とガス密な閉鎖位置との間で開口横断面を連続的に調節することによって通流を開ループ式または閉ループ式に制御するためにも使用されるので、ペリフェラル弁は制御弁とも呼ばれる。ガス流を開ループ式または閉ループ式に制御するための1つの可能なペリフェラル弁が振り子弁である。
【0007】
たとえば米国特許第6089537号明細書(Olmsted)に基づき公知であるような典型的な振り子弁においては、第1のステップで、一般に円形である弁ディスクが、一般に同じく円形の開口を介して、この開口を開放する位置から、この開口を覆う中間位置へ回転式に旋回させられる。たとえば米国特許第6416037号明細書(Geiser)または米国特許第6056266号明細書(Blecha)に記載されているようなスライドゲート弁の場合では、弁ディスクならびに開口も、たいていは方形に形成されており、弁ディスクはこの第1のステップで、この開口を開放する位置から、この開口を覆う中間位置へ線状に移動させられる。この中間位置において、振り子弁またはスライドゲート弁の弁ディスクは、開口を取り囲む弁座に対して間隔を置いて配置された対向位置に位置する。第2のステップにおいて、弁ディスクと弁座との間の間隔は減じられるので、弁ディスクと弁座とは均一に互いに圧着させられ、開口は実質的にガス密に閉じられる。この第2の運動は、好ましくは実質的に弁座に対して垂直な方向で行われる。シールは、たとえば弁ディスクの閉鎖側に配置された、開口を取り囲む弁座に押圧されるシールリングを介して行われ得るか、または弁座に設けられたシールリングを介して行われ得る。弁座に設けられたシールリングには、弁ディスクの閉鎖側が押圧される。2つのステップで行われる閉鎖過程によって弁ディスクと弁座との間のシールリングが、シールリングを破壊するおそれのある剪断力にさらされることはほとんどない。なぜならば、第2のステップにおける弁ディスクの運動は実質的に弁座に対して垂直に直線状に行われるからである。
【0008】
種々異なるシール装置が、従来技術、たとえば米国特許第6629682号明細書(Duelli)に基づき、公知である。真空弁におけるシールリングおよびシール部材のための適当な材料は、たとえばFKMとも呼ばれるフッ素ゴムであり、特に商品名「バイトン」(Viton)で知られているフルオロエラストマーならびにパーフルオロエラストマー、略号FFKMである。
【0009】
前記の多段式の運動、すなわち、まずはシール部材と弁座との接触が生じることなしに閉鎖要素が開口を覆うように直交方向に移動させられ、次いで閉鎖要素が実質的に垂直に弁座に圧着されるような運動は、シール部材の横方向負荷または長手方向負荷が生じることなしに(粒子回避)、シール部材がほぼ垂直方向でしか圧縮されないという利点の他に、弁開口を通る媒体(たとえばプロセスガス)の通流を閉ループ式に制御する可能性をも提供する。
【0010】
上で挙げた弁は、とりわけ高感度の半導体素子の製造において使用されるので、既に述べたように、特に弁の操作および弁閉鎖要素の機械的な負荷が原因となって生ぜしめられる粒子発生や、弁室内での自由粒子の数はできるだけ少なく保持されなければならない。粒子発生は一次的には、たとえば金属-金属接触またはアブレシブ摩耗による摩擦の結果である。
【0011】
上で説明したように、真空制御弁は、プロセスチャンバ内の規定されたプロセス周囲環境を調節するために使用される。閉ループ式制御はこの場合、典型的には、チャンバ内圧に関する情報を提供する圧力信号と、閉ループ式制御によって達成されるべき目標量、すなわち目標圧力とにつき、行われる。次いで、弁閉鎖体(弁ディスク)の位置は、閉ループ式制御の枠内で、規定の時間内に目標圧力が達成されるように変えられる。
【0012】
このときに、調節のために必要とされる時間は、排気されるべきプロセスチャンバの容積の大きさに直接関連する。したがって、特に小さな基板を処理する場合、比較的大きく寸法設定されたチャンバは不都合になり得る。すなわち、大きなデッドボリュームが、相応して回避されることが望まれる。
【0013】
上記構成に共通しているのは、特に閉ループ式制御の場合、これらの構造のうちの1つにより生ぜしめられる制御曲線(単位時間当たりの容積流)が、典型的には不都合な曲線経過を伴うことである。特に、ほとんど閉じられた弁状態から完全に閉じられた弁状態への移行時における曲線は、このときに発生する「スナップシャット効果」に基づいて、著しく不均一な曲線経過を示す。このとき、開口を通る流れは急激に遮断される。これにより、極めて小さな圧力での精密制御は、実施が極めて困難となるか、もしくは不可能となる。
【0014】
別のクリティカルな要因としては、半導体製造と関連して、個々の処理ステップのために必要となるプロセスガスの使用および取扱いが挙げられる。制御弁はこの場合、典型的には、規定されたガス濃度を提供する機能、すなわち規定されたガス濃度を、弁を通る可変のガス流出によって調節する機能をも引き受ける。プロセスガスはこの場合、たいていプロセスチャンバの、排気開口とは反対の側で供給される。
【0015】
この場合、ガス濃度および雰囲気圧の他に、少なくとも、処理されるべき基板の領域におけるプロセスガスのできるだけ均質な分配も有利になる。このためには、プロセスチャンバを通るガスのできるだけ対称的な流れ、すなわちガス供給時でも、排気時でも、できるだけ対称的な流れが有効となり得る。
【0016】
米国特許第6994311号明細書には、開放された弁位置における開口を通る対称的な流れを形成する目的を有する真空制御弁が開示されている。弁ディスクは中央でガイド(弁ロッド)に懸吊されていて、軸方向に案内され得るので、弁ディスクと弁座との間の間隔に関連して、開口を通る容積流が調節され得る。しかし、この解決手段にもやはり、弁ディスクのガイドを提供するために弁開口の中央部に対する機械的な結合が存在しなければならないという欠点がある。この機械的な結合は、少なくとも部分的に流れの対称性を解消し、結合部材のところに乱流を生ぜしめる。
【0017】
本発明の根底を成す課題は、一方では弁開口の精密な制御もしくは調節を提供し、ひいては開口を通る流れの精密な制御もしくは調節を提供し、他方ではプロセスチャンバ内での均質な流体分布を提供する真空制御弁もしくは真空処理システムを提供することである。
【0018】
特に本発明の課題は、上記改善を、弁閉鎖体の比較的短い調節時間において提供することである。
【0019】
別の課題は、流体流の精密な制御および比較的小さなプロセス容積を提供する処理システムを提供することである。
【0020】
これらの課題は、独立形式の請求項に記載の特徴を実現することにより解決される。本発明を択一的にまたは有利に改良する特徴は、従属形式の各請求項に記載されている。
【0021】
本発明は、少なくとも1つの真空チャンバもしくはプロセスチャンバと、真空弁、特に真空制御弁とを有する真空処理システムの構造に関する。真空弁は、流れ特性の均質性の点で、改善された通流およびプロセス容積からのプロセス流体の流出を提供する。それと同時に、開放状態から閉鎖状態へ(または閉鎖状態から開放状態へ)の変化にかかる調節時間が著しく改善され、つまり短縮され得る。本発明の構成により、真空チャンバは弁によって主チャンバと副チャンバとに分割され、この場合、弁は真空チャンバの内部に配置されている。
【0022】
上で挙げた利点および改善点は、特に従来技術において知られている、これまで単体であった弁開口を、真空弁の複数の弁部分開口に分割することにより提供される。これらの弁部分開口は、好ましくは中心の弁軸線を中心にして対称的に配置されている。各弁部分開口は、それぞれ1つの弁座によって提供され、シール面によって取り囲まれる。複数の弁部分開口の面積の総和により、弁全体開口の面積が得られる。
【0023】
全弁開放横断面は、複数の弁部分開口の開放横断面の総和から得られ、この場合、開放横断面は、弁部分開口のその都度の開放状態に関連し、すなわち各弁閉鎖体により開放された通流面に関連する。
【0024】
弁座は、特に主プロセスチャンバの下側の画定部を形成するとともに、副プロセスチャンバの上側の画定部を形成する。主プロセスチャンバのガス密な閉鎖を形成するためのシール部材は、好ましくは弁座の下側に設けられており、すなわち主プロセスチャンバ内ではなく副プロセスチャンバ内に設けられている。相応して、開口を閉鎖するための弁ディスクは副プロセスチャンバ内に位置していて、この副プロセスチャンバ内で調節軸線に沿って動かされ得る。択一的または付加的には、このシール部材が弁ディスクの側に設けられていてよい。
【0025】
弁ディスクが駆動コンポーネントを含めて副プロセスチャンバ内に配置されているか、または副プロセスチャンバに取り付けられていることにより、主プロセスチャンバ内への流体流または主プロセスチャンバを通る流体流には、弁による影響は与えられない。これにより、改善された対称的な流れ(通流)が行われ、ひいては主プロセスチャンバ内での改善された基板処理が行われ得る。
【0026】
弁座は、好適には、中央のチャックを巡るように配置されており、この場合、流体流はチャックを巡って均質な流れ分配によって行われ得る。
【0027】
すなわち、本発明は、基板またはワーク、特に半導体を、特に析出(ALD, atomic layer deposition/epitaxy 原子層堆積)またはエッチング(ALE, atomic layer etching 原子層エッチング)によって処理するための真空処理システムに関する。
【0028】
真空処理システムは、真空を発生させ、かつ内部容積内で基板を処理するための排気可能な内部容積を規定する真空チャンバを備えている。さらに、真空処理システムは、真空チャンバを通って流れる流体の容積流または質量流を制御し、かつ流体の流路をガス密に遮断するための真空制御弁を備えている。
【0029】
真空制御弁は、第1の開口軸線を規定する第1の弁開口と、この第1の弁開口を取り囲むように延びる第1のシール面とを有する少なくとも1つの第1の弁座と、第1のシール面に対応する第1のコンタクト面を備えた少なくとも1つの第1の弁ディスクとを備えている。
【0030】
真空処理システムは、少なくとも1つの駆動ユニットを備え、この駆動ユニットは、第1の弁ディスクが少なくとも開放位置から閉鎖位置へ、かつ閉鎖位置から開放位置へ移動調節可能(たとえば動力化されて)となるように構成されていて、かつこのように第1の弁ディスクと連結されている。開放位置では、第1の弁ディスクと第1の弁座とが互いに相対的に無接触に存在する。閉鎖位置では、介在するシール部材を介して第1のシール面と第1のコンタクト面との間に密な接触が生じ、これにより第1の弁開口がガス密に閉鎖されている。
【0031】
本発明によれば、第1の弁座は真空チャンバの内部に配置されていて、この真空チャンバを、基板の処理のための主プロセスチャンバと、副プロセスチャンバとに分割している。第1のシール面は、第1の開口軸線に対して直交する方向に延びていて、副プロセスチャンバの方向に、特に第1の開口軸線に対して平行に、向けられている。第1の弁ディスクは副プロセスチャンバ内に移動調節可能に配置されている。
【0032】
1実施態様では、真空制御弁は、第2の開口軸線を規定する第2の弁開口と、この第2の弁開口を取り囲むように延びる第2のシール面とを有する第2の弁座と、第2のシール面に対応する第2のコンタクト面を備えた第2の弁ディスクとを有していてよい。第2の弁座は真空チャンバの内部に配置されていて、第1の弁座と共に真空チャンバを主プロセスチャンバと副プロセスチャンバとに分割していてよい。第2のシール面は第2の開口軸線に対して直交する方向に延びていて、副プロセスチャンバの方向に、特に第2の開口軸線に対して平行に向けられている。第2の弁ディスクは副プロセスチャンバ内に移動調節可能に配置されていてよい。
【0033】
これにより、真空制御弁の弁全体開口が、少なくとも、第1の弁部分開口である第1の弁開口と、第2の弁部分開口である第2の弁開口とによって形成されていてよい。
【0034】
それぞれ少なくとも1つの弁座と弁閉鎖体(弁ディスク)とを含む少なくとも2つのグループを提供することにより、真空弁の中心を巡る対称的な配置が可能となる。これによって、一方では弁を通る対称的な容積流が提供され、他方では極めてフレキシブルな容積流制御の可能性を有する比較的迅速な操作(すなわち弁閉鎖体の比較的小さな個別質量に基づいた弁閉鎖体の迅速な移動調節)が提供され、すなわち短い時間で閉鎖位置から比較的大きな全体開放横断面への達成(および逆方向でも)も、提供され得る。
【0035】
1実施態様では、真空処理システムが第3の弁座を有していてよい。第3の弁座は、第3の開口軸線を規定する第3の弁開口と、この第3の弁開口を取り囲むように延びる第3のシール面とを有する。相応して、第3のシール面に対応する第3のコンタクト面を備えた第3の弁ディスクが設けられていてよい。
【0036】
第3の弁座は、真空チャンバの内部に配置されていて、第1の弁座および第2の弁座と共に真空チャンバを主プロセスチャンバと副プロセスチャンバとに分割していてよい。第3のシール面は第3の開口軸線に対して直交する方向に延びていて、副プロセスチャンバの方向に、特に第3の開口軸線に対して平行に向けられていてよい。第3の弁ディスクは副プロセスチャンバ内に移動調節可能に配置されていてよい。
【0037】
この場合、弁全体開口は、付加的に第3の弁部分開口である第3の弁開口によって形成されていてよい。
【0038】
弁座と弁ディスクとから成る第3の組合せまたは更なる組合せの配置により、弁の中心軸線を巡る弁開口全体の対称性が得られるか、または増大され得るとともに、これによって弁を(同心的に)通る容積流の対称性が一層改善され得る。
【0039】
特に、駆動ユニットは、第2の弁ディスクもしくは第3の弁ディスクと連結されていてよく、この場合、連結された弁ディスクは少なくとも、各弁ディスクと各弁座とが互いに相対的に無接触に存在する各開放位置から、それぞれ介在するシール部材を介して各シール面と各コンタクト面との間に軸方向で密な接触が生じ、これにより各弁部分開口がガス密に閉鎖される閉鎖位置へ、かつ再び閉鎖位置から開放位置へ移動調節可能となる。
【0040】
駆動ユニットは、たとえばアクチュエータまたは電動モータ、特にリニアモータまたはステッピングモータとして構成されていてよい。
【0041】
1実施態様では、真空制御弁が連結装置を有していてよく、この連結装置は、各弁ディスクが駆動ユニットによって一緒に移動調節可能になるように、第1の弁ディスクと第2の弁ディスクおよび特に第3の弁ディスクとの機械的な連結を提供していて、かつこのように駆動ユニットに結合されている。連結装置は、たとえばシャフト、ジョイント(たとえばカルダン継手)、軸受および/または伝動装置によって実現されていてよい。
【0042】
すなわち、機械的な解決手段を用いて、たとえば連結された複数または全ての弁ディスクの同時の移動調節が提供され得る。これにより、既に弁部分開口の最初の開放時に全ての開口に対して等しい開放横断面が提供され、全ての開口を通る流れが、容積流または質量流の点で等しくなり、かつ引き続き等しく維持されることに基づき、特に弁を通る均質で対称的な流体流が達成され得る。
【0043】
別の実施態様では、駆動ユニットが、少なくとも1つの第1の駆動コンポーネントおよび第2の駆動コンポーネント、特に第3の駆動コンポーネント、特に各モータを有していてよい。第1の駆動コンポーネントは第1の弁ディスクと連結されていてよく、第2の駆動コンポーネントは第2の弁ディスクと連結されていてよく、特に第3の駆動コンポーネントは第3の弁ディスクと連結されていてよい。
【0044】
先行の実施態様とは異なり、この変化形では、弁ディスクのそれぞれが個別に制御され、かつ移動調節され得る。このことは、弁を通る流れ特性、特に主プロセスチャンバを通る流れ特性の調節に関して、より大きな自在性を可能にする。たとえば、これにより、プロセスチャンバ内に存在する処理装置または複数の流体流入部の非対称的な配置が原因で生ぜしめられる容積流の非対称性が補償され得る。このような補償は、個々の弁部分開口のための互いに異なる開放横断面の提供により実施され得る。
【0045】
特にチャンバ内部での流れ特性は、たとえば基板を処理するためのチャンバ内の装置が原因で生ぜしめられる非対称的な流れが補償可能になるように調節され得る。慣用の弁を使用した場合、流れはプロセスチャンバを通じて相応して不均質に行われてしまう。本発明における弁によって流出特性が調節可能であることにより、流体の流出は、チャンバを通る非対称的な流れを阻止することができ、ようするにチャンバを通じて全体としては対称的な流れを生ぜしめる結果となる。弁を通る流れはこの場合、相応して非対称的に(同心的ではなく、つまり中心軸線に関して非対称的に)行われ得る。たとえば、互いに異なる(たとえば互いに反対の側に位置する)弁側において、互いに異なる流速が存在し得る。
【0046】
1実施態様では、駆動ユニット、特に各駆動コンポーネントと、少なくとも第1の弁ディスク(または第2の弁ディスク、第3の弁ディスクまたは第4以上の弁ディスクも)とは、これらの弁ディスクのうちの少なくとも第1の弁ディスクが第1の調節軸線に沿って移動調節可能となり、かつこの第1の調節軸線が第1の開口軸線に対して相対的に交差する方向に延びるように構成されて連結されていてよい。もちろん、弁ディスクの数は、好ましくは弁座の数に相当している。すなわち、1つの弁が複数の(3つよりも多い)弁座と、相応する数の弁ディスクとを有していてよい。
【0047】
1実施態様では、主プロセスチャンバが主内部容積を包含していて、副プロセスチャンバが副内部容積を包含していてよく、この場合、主内部容積は副内部容積よりも大きい。
【0048】
1実施態様では、真空処理システムが、主プロセスチャンバ内に配置された静電気的な保持装置、特にチャックを有していてよい。
【0049】
真空制御弁は、特に少なくとも第1の弁座と、少なくとも2つの別の弁座とを有していてよく、これらの弁座が、第1の弁開口と少なくとも2つの別の弁開口とを規定していてよい。これらの弁座は、静電気的な保持装置を巡って対称的に配置されていてよい。
【0050】
1実施態様では、弁座および/または弁開口はリングセグメント状に形成されていて、リングセグメント状の弁座もしくは弁開口の各内側円弧または各外側円弧が1つの共通の円に沿って位置するよう配置されていてよい。
【0051】
チャックは、たとえば円形に形成されていてよく、かつ/または基板用の保持面である円形面を規定していてよい。チャックを巡るような弁開口の、全体的に環状の配置に基づき、チャックを巡って、かつチャック全周にわたって、相応して最適化された流体流特性が実現され得る。
【0052】
1実施態様では、第1の弁部分開口および第2の弁部分開口、特に第3の弁部分開口が、真空制御弁の中心軸線を中心にして対称的に配置されていてよく、この場合、この中心軸線は、弁中心点を通って延びていて、特に流れ通路の中心軸線を形成する。弁は、その幾何学的形状に基づいて、一方では流体のための流路を規定していてよく、これによって他方では流体のための画定された流れ通路を規定していてよい。この中心軸線は、特にこの流れ通路の中心に位置していて、流れ通路の延在長さに相応して延びている。チャック載置面の中心点は、特にこの中心軸線に位置している。
【0053】
本発明における弁を用いると、上で挙げた流れは有利に、すなわち極めて小さな圧力においても、実質的に対称的で、かつ層状の流れの提供および維持下に調整され得る。
【0054】
真空制御弁は、特に制御ユニット、特に閉ループ式制御ユニットを有していてよく、この場合、駆動ユニット(およびその駆動コンポーネント)は、制御ユニットにより提供された制御信号、特に閉ループ式制御のための制御量につき、制御可能である。
【0055】
特に、駆動ユニットの各駆動コンポーネントは、(個別の)制御信号によって個別に制御可能であってよい。
【0056】
1実施態様では、制御ユニットは、その実行時に駆動ユニットと連結された弁ディスクのうちの少なくとも1つの弁ディスクが、開放位置と閉鎖位置との間の中間位置へ移動調節されるように設定された流れ機能性を有していてよい。
【0057】
特に、この少なくとも1つの連結された弁ディスクは調節軸線に沿って線状に移動調節可能であってよく、この弁ディスクのコンタクト面と、対応するシール面との間の中間位置における間隔が、開放位置におけるよりも小さく、かつ閉鎖位置におけるよりも大きくてよい。
【0058】
1実施態様では、真空制御弁は少なくとも、第1および第2の弁座を有していてよく、第1および第2の弁ディスクを有していてよく、さらに、第1の弁ディスクと連結されている第1の駆動コンポーネントおよび第2の弁ディスクと連結されている第2の駆動コンポーネントを有していてよい。この場合、流れ機能性は、弁ディスクが所定の流れ情報に関連して各開放位置と各閉鎖位置との間に個別に位置決め可能となるように設定されていてよい。
【0059】
弁座と弁閉鎖体との間の、このような意図された相対的で、かつ個別の開放位置およびこれによって調節可能な、弁開口の開放領域により、有利な閉ループ式の圧力・流れ制御が可能になる。このような閉ループ式の制御は、典型的には、たとえばプロセスガスが使用される場合、およびこれに関連して目標圧の調節が必要となる場合に、使用され得る。これによって生ぜしめられる、開口および特に主プロセスチャンバを通る媒体の、持続的な層状の流れにより、圧力変動が回避され得るとともに、所定の目標圧が一層迅速に達成され得る。
【0060】
特に、個別のディスク位置(中間位置)が制御されて(制御信号を用いて)、それぞれ個別に、かつ連続的に調節され、ひいては弁開口を通る媒体の容積流または質量流の特に連続的な閉ループ式の制御が提供され得る。流れはこの場合、特に層状に維持され得る。このような閉ループ式の制御は、特に駆動ユニットのステッピングモータまたはサーボモータにより提供される。
【0061】
流れ情報は特に以下の情報:
● 主プロセスチャンバおよび/または副プロセスチャンバを通る流体の質量流または容積流、
● 主プロセスチャンバおよび/または副プロセスチャンバ内の流体の流速、
● 主プロセスチャンバおよび/または副プロセスチャンバのための内部容積横断面に関する流速分布、
● 主プロセスチャンバと副プロセスチャンバとの間の圧力差、
● 主プロセスチャンバ内への流体流入、
● 副プロセスチャンバからの流体流出、
のうちの少なくとも1つを有していてよいか、もしくは提供することができる。
【0062】
制御ユニットによって、個々の弁ディスクは、流れ情報に関連して主プロセスチャンバを通る対称的な流体通流が提供可能となるように個別に位置決め可能であってよい。このことは、たとえば複数のプロセスチャンバのうちの1つにおける不等の流体分布の場合、または主プロセスチャンバ内への空間的に不等の流体流入の場合に、個々の弁部分開口のために種々異なる開放横断面を調節し、かつ/または動的に調整することにより達成され得る。しかし、このことは、たとえば流体分布または流体流入が均質である場合に、弁部分開口のために等しい開放横断面を調節することによっても達成され得る。
【0063】
1実施態様では、弁ディスクの位置決めが個別に動的に調整可能であってよく、これによって主プロセスチャンバを通る流体通流の連続的な閉ループ式制御が提供され得る。たとえば新しいプロセスガスまたは別のプロセスガスの供給時に、プロセスチャンバ内での流体分布が変えられると、弁ディスク位置は処理プロセスの間または処理プロセスの前に、調整され得る。
【0064】
1実施態様では、規定された流れ特性が、真空制御弁によって、特に少なくとも2つの弁部分開口によって調節可能で、かつ/または閉ループ式制御可能であってよく、特にこの場合、流れ特性は、真空制御弁によって、この真空制御弁の中心軸線に関して非対称的に調節可能であり、この中心軸線は、弁中心点を通って延びている。
【0065】
1実施態様では、主プロセスチャンバを通る不均質な流体流が存在する場合、流れ機能性の実行により、対称的な流体流が調節され得る。
【0066】
真空処理システムは、特に少なくとも1つのセンサユニット、特に圧力センサまたはガス組成の化学的な分析のためのセンサを有する。センサユニットは、このセンサユニットによって流れ情報が検出可能になるように構成されている。
【0067】
1実施態様では、流路が、主プロセスチャンバと副プロセスチャンバとを接続していてよく、この場合、主プロセスチャンバは、真空制御弁によってガス密に副プロセスチャンバから分離可能である。すなわち、流路は閉鎖可能となる。
【0068】
1実施態様では、第1の弁座と第2の弁座とが、1つの共通の平面に配置されていてよい。択一的な別の態様では、第1の弁座と第2の弁座とが、互いに相対的に斜めに配置されていてよく、この場合、第1のシール面により規定された平面と、第2のシール面により規定された平面とは、規定された角度を成す。弁座は、たとえば、規定されたシール平面が、仮想ピラミッドのそれぞれ1つの側面を含むように向けられていてよい。
【0069】
1実施態様では、この向きは、弁座の各弁開口によってそれぞれ規定された開口軸線が互いに交差するように、特に1つの共通の交点で交差するように調整されていてよい。この共通の交点は、特に弁の中心軸線に位置する。
【0070】
1実施態様では、駆動ユニットが、少なくとも1つのモータと、この少なくとも1つのモータによって制御されて調節軸線に沿って可動となる少なくとも1つのガイドコンポーネント、特に弁ロッドまたはガイドロッドとを有し、この場合、弁ディスクはこのガイドコンポーネントによって弁座に対して相対的に可動となる。
【0071】
調節軸線の位置は、特に、たとえばプッシュロッド、弁ロッドまたはガイドロッドとして構成されているか、もしくはプッシュロッド、弁ロッドまたはガイドロッドと呼ばれているガイドコンポーネントの延在長さおよび/または駆動ユニットにより提供された線状運動方向により規定されている。
【0072】
1実施態様では、真空処理システムもしくは真空制御弁が、プロセス雰囲気領域を外部雰囲気領域から分離するための分離装置を有していてよい。特にこのことは、真空弁としての制御弁の構成に関する。
【0073】
プロセス雰囲気領域は、特に、プロセスチャンバ(真空チャンバ)によって規定されていてよい領域であると解され得る。この領域では、基板を処理するためのプロセス雰囲気、特に真空が形成され得る。この領域のために設けられたコンポーネントは、たとえば材料耐性および雰囲気純度(粒子発生)の点で高められた要求を充足させなければならない。外部雰囲気領域は、相応して特に、プロセスチャンバを取り囲み、たとえば標準的な雰囲気条件、たとえば室空気が存在するような領域であると解され得る。
【0074】
駆動ユニットは、少なくとも部分的に、特に完全に、外部雰囲気領域に対応配置されていてよく、弁座および弁閉鎖体は特にプロセス雰囲気領域に対応配置されていてよい。
【0075】
分離装置は、たとえばベローズにより形成されていてよい。ベローズは、たとえば弁ハウジングの内部または駆動ユニットの内部に設けられていてよい。
【0076】
たとえば、真空処理システムの真空制御弁、特に駆動ユニットは、駆動ハウジングを有していてよく、この駆動ハウジング内には、弁ディスクを動かすための弁ロッドが可動に支持されている。弁ロッドは、一方では駆動ハウジングから副プロセスチャンバ(プロセス雰囲気領域)内に突入しており、他方ではたとえば変速機によってモータと連結されている。この場合、分離装置(たとえば動的なベローズ)が設けられていてよく、この分離装置の第1の端部はハウジング(または駆動ハウジング内の別の静的な要素)に、第2の端部は弁ロッドに、それぞれガス密に結合されている。これにより、弁ロッドの支持部の、相対運動発生により粒子が形成される恐れがあり、かつ場合によっては潤滑剤が使用されているような個所(外部雰囲気領域)を、雰囲気純度の点で臨界的なプロセス雰囲気領域から雰囲気分離することが行われ、それと同時に、1つまたは複数の弁ディスクの制御された可動性が提供される。
【0077】
ハウジングは、たとえばアルミニウムまたは特殊鋼から製造されているか、またはアルミニウムまたは適当な別の材料で内側を被覆されており、それに対して弁ディスクおよびベローズは、鋼から成っていてよい。ベローズは、択一的または付加的には、ニッケルを主体とした合金を有していてよいか、またはニッケルを主体とした合金から製造されていてよい。これによって、その長手方向軸線に沿って弁ディスクの調節行程の領域内で伸縮可能となるベローズは、プロセス雰囲気領域を外部雰囲気領域から空気密にシールする。とりわけ2タイプのベローズが使用される。一方ではダイヤフラムベローズであり、他方では波形ベローズである。波形ベローズはダイヤフラムベローズに比べて以下の点で特徴付けられる。すなわち、波形ベローズは、溶接シームを有しず、より容易にクリーニングされ得るが、ただしより小さな最大行程しか有しない。
【0078】
以下に、本発明における装置を、図面に概略的に図示されている具体的な実施例につき、純例示的に詳しく説明する。この場合、本発明の別の利点についても述べる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1】本発明による真空処理システムの第1実施形態を示す図である。
図2】本発明による真空処理システムの真空弁の1実施形態を示す図である。
図3】本発明による真空処理システムの真空弁の1実施形態を示す図である。
【0080】
図1には、真空チャンバ10(プロセスチャンバ)と真空制御弁20とを備えた真空処理システム1の第1実施形態が、側方の断面図で示されている。真空制御弁20は、真空チャンバ10を通って流れる流体の容積流または質量流を制御し、かつ流体の流路をガス密に遮断するために形成されている。このためには、真空制御弁20が弁座21aを有し、この弁座21aは開口軸線Oを有する弁開口22aを規定している。真空制御弁20はさらに弁ディスク23aを有する。弁座21aの下側は、シール面を提供しており、この場合、弁ディスク23aはコンタクト面(弁ディスク側のシール面)を有する。このコンタクト面は、(弁座側の)シール面との接触にもたらすために設計されていて、これにより真空制御弁20のガス密の閉鎖を可能にする。接触は、弁座側のシール面と弁ディスク側のシール面との間に設けられたシール部材によって特に間接的に実現される。この場合、構造要素である弁座と弁ディスクとが、直接的ではなく(つまり両要素の間に介在するシール部材によって間接的にのみ)物理的に接触している場合でも、この状態は「接触状態」であると解釈されるものとする。
【0081】
弁ディスク23は、駆動ユニット30によって開放位置(図1に図示)から閉鎖位置(図示しない)へ移動可能である。すなわち、閉鎖位置では、介在するシール部材を介して、シール面とコンタクト面との間に密な接触が生じる。弁開口22aはこのとき、ガス密に閉鎖されている。
【0082】
シール部材は、ポリマー含有のシール部材であってよく、このシール部材はクランプ、接着または加硫固定によって弁座21aの下側に配置されている。シール部材は、たとえばOリングとして構成されていてよい。択一的な別の構成では、シール部材が弁ディスク23aに配置されていてよい。
【0083】
駆動ユニット30は、たとえば、線状の調節軸線Vを有する電気作動式のアクチュエータまたはモータ(たとえばリニアモータまたはステッピングモータ)であってよい。駆動ユニット30は、少なくとも50mm、特に100mmのストロークを提供することができる。
【0084】
弁座21aは、真空チャンバ10の内部に配置されている。真空チャンバ10は、弁座21aによって、ひいてはガス密な閉鎖が行われ得る(シールライン)個所によって、基板を処理するための主プロセスチャンバ11と、副プロセスチャンバ12とに分割される。
【0085】
副プロセスチャンバ12に設けられた下側の開口19により、真空チャンバ10は、この真空チャンバ10内に真空を発生させるための、後置接続された真空発生器、特に真空ポンプに接続されている。後置接続された別のコンポーネントとして、真空弁および/または圧力センサが設けられていてもよい。
【0086】
真空制御弁20は、弁座21aの第1のシール面が開口軸線Oに対して直交する方向に延び、かつ副プロセスチャンバ12に向かう方向で第1の開口軸線Oに対して平行に向けられるように真空チャンバ10内に取り付けられている。弁ディスク23aは、相応して副プロセスチャンバ12内に移動調節可能に配置されている。
【0087】
図示の実施形態では、弁ディスク23aがガイドエレメント24aに支持されている。この支持部は特に、弁ディスク23aがガイドエレメント24aに対して相対的に(僅かに)傾動可能となるように形成されている。駆動ユニット30は、弁ロッド31によってガイドエレメント24aと連結されており、これによって弁ディスク23aは駆動ユニット30によって調節され得る。
【0088】
別の実施形態では、弁ディスク23aが弁ロッド31と直接に連結されていてよい。その場合、弁ディスク23aは弁ロッドに対して相対的に狭い範囲内で傾動可能であってよいので、コンタクト面を完全にシール面と接触させることができる。このような傾動は、特に調節軸線Vが開口軸線Oに対して相対的に斜めに配置されている場合に、弁開口22aの信頼性の良い閉鎖を提供することができる。図示したような斜めの配置により、特に有利なスペース利用が可能にされ、この場合、調節装置(たとえば弁ロッド)は真空チャンバ10内で比較的小さな所要スペースしか必要とせず、駆動ユニット30は周囲の真空エレメントに関して有利な形式で配置され得る。場合によっては存在する、下流側に位置するダウンストリームエレメントはこの場合、問題なく、つまり駆動ユニット30が原因となって空間的な制約が生ぜしめられることなしに、副プロセスチャンバ12に接続され得る。
【0089】
もちろん、弁ディスクが択一的に弁ロッドに固く結合されていてもよい。その場合にも、弁ディスクは、調節軸線Vが、弁座側のシール面により規定された平面と共に0°~90°の角度を成すように、すなわちこの平面に対して交差する方向に配置されるように弁ロッドに結合されていてよい。
【0090】
駆動ユニット30はさらに、プロセスチャンバ10(プロセス雰囲気領域)の内部容積を外部雰囲気(外部雰囲気領域)から雰囲気分離するためのベローズを有していてよい。このためには、ベローズが、一方では弁ロッド31に、他方ではたとえば内側の駆動ハウジングに、それぞれ結合されていてよい。これにより、駆動ユニットの可動部分とプロセスチャンバ10の内部容積との雰囲気分離が提供され得る。こうして、たとえば摩滅が原因で生ぜしめられる粒子侵入が阻止され得る。ベローズは、開放された弁状態では押し縮められた状態で存在し、真空制御弁20が閉じられると伸長もしくは展開された状態で存在する。
【0091】
本発明の実施形態は、次のような利点を提供する。すなわち、基板の効果的な処理が行われる主プロセスチャンバ11の容積が比較的小さく保持され得るようになり、ひいては特定の処理プロセスのための主プロセスチャンバ11内の所望の内圧が比較的迅速に調節され得るようになる。
【0092】
副プロセスチャンバ12は、主プロセスチャンバ11の内部容積よりも大きな内部容積を提供する。この内部容積内では、開口19を通じた吸込みにより、目標処理圧に相当するか、またはそれよりも低い内圧が調節可能となる。これによって、副プロセスチャンバ12は、主プロセスチャンバ11のための予備容積として用いられ、主プロセスチャンバ11内でのプロセス圧の迅速な調節を提供する。
【0093】
図2には、図1に示した真空処理システムの真空制御弁が平面図で示されている。真空制御弁は、合計3つの弁座21a~21cを有し、これらの弁座21a~21cは環状に配置されている。各弁座21a~21cは、それぞれ1つの弁開口22a~22cを提供している。これらの弁開口22a~22cは、図示の実施形態では格子状の構造体を備えており、格子状の構造体は、各開口を通る均質な流体通流を可能にする。択一的な別の実施形態では、弁開口22a~22cが、図示の構造体なしに構成されていてよいか、または流体透過性の択一的な別の構造体を備えて構成されていてよい。
【0094】
各弁座21a~21cの下側(図3参照、図2には図示せず)には、たとえば図1において弁座21aおよび弁ディスク23aとして形成された弁閉鎖体に関して図示されているように、各弁閉鎖体23a~23cが対応している。個々の弁閉鎖体は、それぞれ個別に制御可能な駆動ユニットと連結されている(弁ディスクの数に相応して、相応する数の駆動コンポーネントが設けられている)。
【0095】
これにより、各弁開口22a~22cに関して、個別の開放横断面、ひいては個別の通流が調節され得る。すなわち、流体の質量流または容積流は、各弁開口に関して個別に、かつそれぞれ他の開口とは別個に独立して調節され得る。このような個別の調節可能性に基づき、特に主プロセスチャンバ11を通る対称的な流体流が提供され得る。このためには、たとえば個々の弁開口に関して種々異なるオフセットが調節され得る。これによって不均質な圧力分布および流れ分布の補償が達成され得る。
【0096】
プロセスチャンバを通るプロセス流体のできるだけ対称的で均質な流れを提供することにより、基板の処理は、相応して正確かつ精密に実施され得る。対称的な通流によって、たとえば、(全)基板表面にわたって比較可能なプロセスガス濃度または等しいプロセスガス濃度が存在し、たとえば析出またはエッチング(たとえばALDまたはALEプロセス)が、表面に沿って相応して均質に行われることが保証され得る。
【0097】
真空制御弁の弁座21a~21cは、静電気的な保持装置15(チャック)を巡るように対称的に配置されている。保持装置15上には、処理されるべき基板が下ろされ、相応して静電気的な電荷によって保持され得る。言い換えれば、チャック15は、基板を収容し、かつ少なくとも処理プロセスの間、この基板を保持するために設計されている。
【0098】
チャック15と弁座21a~21cとのこのような同心的な配置により、流体流の対称性もしくは均質性が最適化されて達成され得る。これによって、チャック15は全周にわたって十分均質な流れによって取り囲まれ得る。この場合、同時に、通流量は、個々の弁開口22a~22cによって個別に調節可能となる。その結果、これによって基板処理に関して相応して大きな均質性が提供され得る。
【0099】
さらに、チャック15の近傍に、かつチャック15を巡るように弁を配置することにより、(特に閉鎖位置における)チャック15の領域における粒子流もしくは粒子流コンダクタンスの有利な制限が提供される。これにより、弁のシールラインは、チャック15の比較的近傍に位置し、つまり基板処理の場所の近傍に位置する。このことは、直接に、改善された(均質な)基板処理をもたらす。
【0100】
弁ディスクを、所属の弁座21a~21cに、たとえばステップバイステップ式に近づけることにより、当該弁部分開口の開放横断面はステップバイステップ式に、特に継続的に、減少され得る。
【0101】
これによって、真空制御弁20は、流体流を1つまたは複数の弁開口によって意図的に調節する可能性をも提供する。すなわち、主プロセスチャンバ内に規定の内圧を提供したい場合には、真空制御弁20によって、単位時間当たりに流出する規定の流体量(質量または容積)が調節され得る。この場合、閉ループ式制御のための制御量としては、たとえば圧力センサを用いて検出された、主プロセスチャンバ11内の内圧が利用され得る。択一的な別の手段では、開放横断面が、予め決定された規則に基づいて開ループ式に制御されて調節され、かつ変えられ得る。
【0102】
念のため付言しておくと、本発明は、3つの弁部分開口と弁座と弁ディスクとを有する実施形態に限定されるものではなく、特にそれぞれ2つの、または3つよりも多い弁開口と弁座と弁ディスクとを有するような解決手段をも包含する。
【0103】
弁全体開口を複数の弁部分開口22a~22cに分割することには、さらに次のような利点がある。すなわち、複数の弁閉鎖体23a~23cも提供され、これによってそれぞれ個々の弁閉鎖体の質量が個別に低減され得る。これにより、動かされるべき個別質量の低減に基づき、著しく短縮された調節時間が実現され得る。すなわち、これらの弁閉鎖体のうちの1つまたは全てを開放位置から閉鎖位置へ(または閉鎖位置から開放位置へ)移動調節するために必要とされる時間が短縮され得る。
【0104】
さらに、極めて小さな弁開口の場合に発生するおそれのある弁の不都合なスナップシャットの発生確率が低減され得る。なぜならば、個々の弁ディスクにこのとき加えられる力は、それぞれ、同じ面積の1つの繋がった弁ディスクの場合に加えられる力よりも著しく小さく、かつ相応してこの力に抗して作用する保持力は構造的に一層簡単に実現可能となるからである。
【0105】
主プロセスチャンバ11を通る、最初は非対称的である流体流が、本発明による真空制御弁20によって補償され得る。さらに動的に適合可能である個々の弁部分開口22a~22cの互いに異なる開放状態を提供することにより、ガス流に関する非対称性が補償され得る。このためには、弁閉鎖体23a~23cが、互いに異なる位置(各弁座に対する互いに異なる間隔)へもたらされ得る。これにより、それぞれ互いに異なる開放横断面が提供されている。その場合、流体の流出は、もはや同心的に弁を通って行われるのではなく、弁の内部でも中心軸線に対して非対称的に行われる。
【0106】
種々異なる開放状態により、流体流はチャンバ横断面の形状にわたって種々異なる強さに調節され得る。言い換えれば、ガスの流れ特性は、チャンバの種々異なる領域において種々異なって特徴付けられて調節され得る。たとえば、互いに反対の側に位置するチャンバ壁において互いに異なる流速が調節され得る。
【0107】
真空制御弁20による流体流のこのような可変の調節に基づき、たとえばプロセスガスの非中心の流入が原因で生ぜしめられる、不均質で不等の流れ特性が補償され得るようになり、この場合、不均質で不等の流れ特性は、チャック15を取り囲むように流れる合成流が対称的(均質)となるように補償され得る。
【0108】
図3は、弁座21の実施形態を、本発明による真空処理システムの対応する弁ディスク23と共に示す斜視図である。
【0109】
弁座21は、リングセグメントの形状を有するプレートによって体現されている。弁座21は弁開口22を規定しており、この弁開口22を通って流体(たとえばプロセスガスまたはプリカーサ)が通流し得る。弁開口22は、全周にわたってシール部材25を有するシール面によって取り囲まれる。シール部材25(およびシール面)は、弁座21の下側に配置されており、すなわち、組み付けられた、規定通りの状態で主プロセスチャンバ11とは反対の側に配置されている。
【0110】
さらに弁座21は、下側とは反対の側に位置する上側に、プロセス流体に対して透過性であって、かつ通流され得る構造体を有する。この構造体は、たとえば格子体として、穿孔されたシートとして、薄片状などに形成されていてよい。この構造体は、弁座21の増大された安定性ならびに流体通流の均質化を提供する。すなわち、この構造体によって提供された複数の通過通路によって、流れが、個々の部分流に分割され得るとともに、これにより改善された層流状の流れ特性が達成され得る。
【0111】
択一的な別の構成では、弁座21が構造体なしに形成されていてよい。
【0112】
弁座21のプレート状の構成により、たとえば図1に図示されているような真空処理装置における弁座21の簡単で迅速な組付けもしくは交換が可能になる。弁座プレート21は、上方からプロセスチャンバ(主プロセスチャンバ11)内に嵌め込まれて、固定され得るとともに、その他の弁またはチャンバの手間のかかる取外しが必要となることなしに同じく上方から取り出され得る。弁座プレート21は、たとえばプロセスチャンバに設けられた、処理されるべき基板をチャンバ内に導入し、かつ/またはチャンバから取り出すために使用される移送開口(図示しない)を通じて供給され得るか、または取り出され得る。
【0113】
弁ディスク23の形状および空間的な延在長さは、弁座21、特にシール部材25に対応する。弁ディスク23を下方からシール部材25に押圧することにより、弁開口22はガス密に閉鎖され得る。弁ディスク23の上側(見えていない)は、コンタクト面を有し、このコンタクト面は、シール部材25もしくはこのシール部材25を支持するシール面の形状および空間的な延在長さに相当している。弁の閉鎖時では、このコンタクト面がシール部材25と接触させられる。
【0114】
弁ディスク23の下側はさらに、駆動ユニットを弁ディスク23と連結するための連結エレメント26を有する。
【0115】
弁ディスク23は弁座と同様に、本発明による真空処理システムにおいて、特に副プロセスチャンバ12内に上方から組み付けられ得る。このためには、弁ディスク23が、たとえば同じく、プロセスチャンバに設けられた、処理されるべき基板をチャンバ内に導入し、かつ/またはチャンバから取り出すために使用される移送開口(図示しない)を通じて供給され得るか、または取り出され得る。
【0116】
これにより、弁座21の取外しおよび/または組付けも、弁ディスク23の取外しおよび/または組付けも、比較的簡単に実施可能となり、このことは、特に予知的な保守(predictive/preventive maintanance予知保全/予防保全)または場合によっては生じる修理作業の点で有利である。たとえば、弁座21a~21cの側に配置されたシール部材は、閉鎖位置へのいずれの移動調節によっても、または閉鎖位置からのいずれの移動調節によっても、材料負荷にさらされ、したがってシール部材は、規則的なサイクルで交換されるか、または取り替えられなければならない。有利なモジュール式の構造に基づき、この保守作業のためには、慣用的な弁解決手段に比べて著しい時間節約が実現され得る。
【0117】
もちろん、図面は、可能な実施態様を概略的に示すものであるに過ぎない。本発明によれば、種々の特徴を、互いに組み合わせることもできるし、従来技術の真空条件下にプロセス容積内の容積流または圧力を制御するための方法および装置と組み合わせることもできる。
図1
図2
図3
【外国語明細書】