(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089240
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】圧縮デバイス
(51)【国際特許分類】
A61F 13/06 20060101AFI20230620BHJP
A61F 13/10 20060101ALI20230620BHJP
A61F 13/14 20060101ALI20230620BHJP
A41D 13/06 20060101ALI20230620BHJP
A41D 13/05 20060101ALI20230620BHJP
A41D 13/08 20060101ALI20230620BHJP
A61B 17/135 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
A61F13/06 A
A61F13/10 A
A61F13/10 S
A61F13/14 A
A61F13/14 C
A41D13/06
A41D13/05 143
A41D13/08
A61B17/135
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023069224
(22)【出願日】2023-04-20
(62)【分割の表示】P 2021013291の分割
【原出願日】2016-07-11
(31)【優先権主張番号】14/823,040
(32)【優先日】2015-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518048341
【氏名又は名称】リカバリー・フォース,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】ワイアット,マシュー・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ステイシー,ブライアン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】グミン,マーク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】患者の身体または運動選手の身体の一部分、またさらには競走馬または使役犬などの動物の身体の一部分を圧縮するための改善されたデバイスおよび関連方法を提供する。
【解決手段】使用者の身体および手足に、制御可能であり、スクロールするかまたは断続的であり順次的である、圧縮力などの力を適用するための着用可能なマッサージおよび/または圧縮デバイスが、使用者の手足を取り囲むようにサイズ決定される細長いファブリックボディと、ファブリックボディによって担持され、刺激に反応しての形状変化時にファブリックボディを通る手足に圧縮圧力を適用するように構成される1つまたは複数の形状記憶ワイヤと、手足に圧力を加えることを目的として、手足を取り囲むデバイスの有効直径を縮小するように1つまたは複数の形状記憶要素を選択的に作動させるためのマイクロプロセッサベースのコントローラと、を備える。
【選択図】
図36
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の生体構造の一部分に制御可能な圧縮を適用するための圧縮デバイスであって、
着用可能な材料で形成されるパネルであって、前記使用者の前記生体構造の一部分に適用されるようにサイズ決定および構成され、前記生体構造の前記一部分に前記パネルが適用されるときに互いに向かい合うように構成される両端部を有する、パネルと、
前記両端部の間で前記パネルによって支持され、前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧縮力を適用するように構成される複数の形状記憶ワイヤと、
前記生体構造の前記一部分に前記パネルが適用されるときに前記両端部の間で接続可能であるプレテンショニング装置であって、前記両端部を互いに向かって引き寄せるように動作可能であり、それにより前記パネルおよび/または前記複数の形状記憶ワイヤに初期の張力が加えられる、プレテンショニング装置と、
前記複数の形状記憶ワイヤのうちの1つまたは複数の形状記憶ワイヤを選択的に作動させて、前記ワイヤの有効長さを縮小させ、ひいては前記生体構造の前記一部分の周りの前記パネルの有効長さを縮小させて、これにより前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧力を適用するように構成されるコントローラと、
を備える、
圧縮デバイス。
【請求項2】
電源を装備し、
前記コントローラが、前記複数の形状記憶ワイヤのうちの1つまたは複数の形状記憶ワイヤに、前記電源から選択的に電流を印加するように構成される
請求項1に記載の圧縮デバイス。
【請求項3】
前記電源がバッテリーである、請求項2に記載の圧縮デバイス。
【請求項4】
前記電源および前記コントローラが前記パネル上のポーチ内で支持される、請求項2に記載の圧縮デバイス。
【請求項5】
前記電源および前記コントローラが前記パネルから分離される、請求項2に記載の圧縮デバイス。
【請求項6】
前記複数の形状記憶ワイヤが1つまたは複数のケーブルに接続され、前記コントローラが、前記1つまたは複数のケーブルへの電気接続のための1つまたは複数の対合するケーブルを有する、請求項5に記載の圧縮デバイス。
【請求項7】
前記プレテンショニングデバイスが、
前記パネルの一方の端部に添着される少なくとも1つのコネクタ、および、前記少なくとも1つのコネクタのうちの対応する1つのコネクタに着脱自在に係合されるように適合される対応する対合するコネクタと、
前記パネルの反対側の端部に固定される少なくとも1つの回転ダイヤルと、
前記少なくとも1つの回転ダイヤルおよび前記対応するコネクタのうちの1つまたは複数のコネクタを通過するケーブルであって、前記回転ダイヤルが前記ダイヤルと前記対応するコネクタとの間での前記ケーブルの長さを縮小するように構成され、それにより、前記対応するコネクタが前記少なくとも1つのコネクタのうちの対応する1つのコネクタに係合されるとき、前記回転ダイヤルに隣接する前記パネルの少なくとも一部分が予張力を受ける、ケーブルと
を有する
請求項1に記載の圧縮デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの回転ダイヤルを通過する前記ケーブルが、前記複数の形状記憶ワイヤのうちの1つの形状記憶ワイヤである、請求項1に記載の圧縮デバイス。
【請求項9】
大腿部を取り囲むように構成される部分およびふくらはぎを取り囲むように構成される部分を含めて、前記使用者の脚部上で着用されるように構成される、請求項1に記載の圧縮デバイス。
【請求項10】
前記使用者の手および手首上で着用されるように構成される、請求項1に記載の圧縮デバイス。
【請求項11】
前記使用者の足首または足の上で着用されるように構成される、請求項1に記載の圧縮デバイス。
【請求項12】
前記使用者の肩上で着用されるように構成される、請求項1に記載の圧縮デバイス。
【請求項13】
上腕の周りに巻き付けられるように構成される第1の部分と、
前記使用者の胸部および上側の背中に跨って延在する第2の部分と、
前記第2の部分から延在して前記使用者の胸部および背中の周りに巻き付けられる複数のストラップと
を有する、
請求項12に記載の圧縮デバイス。
【請求項14】
前記使用者の胴体の周りで着用されるように適合されるベストとして構成される、請求項1に記載の圧縮デバイス。
【請求項15】
使用者の臀部、ならびに/あるいは、ITバンドおよび/または大臀筋に圧縮を適用するための、運動用の短パン、ベルト、または、ラップ装置として構成される、請求項1に記載の圧縮デバイス。
【請求項16】
前記使用者の背下部の周りで着用されるように適合されるベストとして構成される、請求項1に記載の圧縮デバイス。
【請求項17】
前記使用者のふくらはぎの周りで着用されるように構成される、請求項1に記載の圧縮デバイス。
【請求項18】
ベースパネルから延在する第1の対のパネルおよび第2の対のパネルを有し、前記第1の対のパネルがふくらはぎの下側部分を取り囲むように構成され、前記第2の対のパネルがふくらはぎの上側部分を取り囲むように構成される、請求項17に記載の圧縮デバイス。
【請求項19】
前記コントローラが、前記複数の形状記憶ワイヤのうちの選択される形状記憶ワイヤに同時に電流を印加して、所定の時間にわたって2~15%で前記ワイヤの長さを縮小することすなわちワイヤを縮めることを十分に達成するように構成されるマイクロコントローラを有する、請求項1に記載の圧縮デバイス。
【請求項20】
使用者の足に制御可能な圧縮を適用するための圧縮デバイスであって、
中底およびアッパーを有する靴と、
前記中底と前記アッパーとの間を延在し、前記使用者の足に圧縮力を適用するように構成される少なくとも1つの形状記憶ワイヤと、
前記少なくとも1つの形状記憶ワイヤを選択的に作動させて、前記ワイヤの有効長さを
縮小させ、ひいては足の周りでの前記中底の有効長さを縮小させて、これにより前記使用者の足に圧力を適用するように構成されるコントローラと
を備える
圧縮デバイス。
【請求項21】
前記コントローラが前記中底の下で前記靴の中に埋め込まれる、請求項20に記載の圧縮デバイス。
【請求項22】
前記アッパーが複数のループを有し、前記少なくとも1つのワイヤが前記ループを通るように送られる、請求項20に記載の圧縮デバイス。
【請求項23】
使用者の生体構造の一部分に制御可能な圧縮を適用するための圧縮デバイスであって、
着用可能な材料で形成されるパネルであって、前記使用者の前記生体構造の一部分に適用されるようにサイズ決定および構成され、前記生体構造の前記一部分に前記パネルが適用されるときに互いに向かい合うように構成される両端部を有する、パネルと、
前記両端部の間で前記パネルによって支持され、前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧縮力を適用するように構成される複数の形状記憶ワイヤと、
前記複数の形状記憶ワイヤのうちの1つまたは複数の形状記憶ワイヤを選択的に作動させて、前記ワイヤの有効長さを縮小させ、ひいては前記生体構造の前記一部分の周りの前記パネルの有効長さを縮小させて、これにより前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧力を適用するように構成されるコントローラと
を備え、
前記コントローラが、前記ワイヤの温度を制御することを目的として、前記複数の形状記憶ワイヤにパルス幅変調制御を適用するように動作可能である、
圧縮デバイス。
【請求項24】
前記コントローラが、前記ワイヤのうちの選択的に作動されるワイヤに電流を印加して、2~15%で前記ワイヤの長さを縮めることを十分に達成するように構成される、請求項23に記載の圧縮デバイス。
【請求項25】
前記コントローラが、5~30Vの電圧、1.5~3.5秒の継続時間、2~10kHzのパルス幅変調周波数で、0.2~4ampの電流を印加するように構成される、請求項23に記載の圧縮デバイス。
【請求項26】
使用者の生体構造の一部分に制御可能な圧縮を適用するための圧縮デバイスであって、
着用可能な材料で形成されるパネルであって、前記使用者の前記生体構造の一部分に適用されるようにサイズ決定および構成され、前記生体構造の前記一部分に前記パネルが適用されるときに互いに向かい合うように構成される両端部を有する、パネルと、
前記両端部の間で前記パネルによって支持され、前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧縮力を適用するように構成される複数の形状記憶ワイヤであって各々がエラストマーのシース内に配置される、複数の形状記憶ワイヤと、
前記複数の形状記憶ワイヤのうちの1つまたは複数の形状記憶ワイヤを選択的に作動させて、前記ワイヤの有効長さを縮小させ、ひいては前記生体構造の前記一部分の周りの前記パネルの有効長さを縮小させて、これにより前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧力を適用するように構成されるコントローラと
を備える、
圧縮デバイス。
【請求項27】
前記シースがシリコーンまたはポリウレタン材料で形成される、請求項26に記載の圧縮デバイス。
【請求項28】
前記シースが、気泡、ガラスビードまたはダイヤモンド粉末を組み込む、請求項26に記載の圧縮デバイス。
【請求項29】
各々の前記ワイヤのための前記エラストマーのシースが前記パネルに固着され、前記ワイヤが前記シース内に摺動可能に配置される、請求項26に記載の圧縮デバイス。
【請求項30】
前記複数の形状記憶ワイヤが、応力を受ける前の状態で、前記パネル上に正弦波のようなパターンで配置され、前記コントローラにより作動される前に応力状態で概略直線状となるように構成される、請求項26に記載の圧縮デバイス。
【請求項31】
使用者の生体構造の一部分に制御可能な圧縮を適用するための圧縮デバイスであって、
着用可能な材料で形成されるパネルであって、前記使用者の前記生体構造の一部分に適用されるようにサイズ決定および構成され、前記生体構造の前記一部分に前記パネルが適用されるときに互いに向かい合うように構成される両端部を有する、パネルと、
前記両端部の間で前記パネルによって支持され、前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧縮力を適用するように構成される複数の形状記憶ワイヤと、
前記複数の形状記憶ワイヤのうちの1つまたは複数の形状記憶ワイヤに選択的に電流を印加して、前記ワイヤの有効長さを縮小させ、ひいては前記生体構造の前記一部分の周りの前記パネルの有効長さを縮小させて、これにより前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧力を適用するように構成されるコントローラと
を備え、
前記コントローラが、作動中に各形状記憶ワイヤを通って流れる電流、前記ワイヤを通る電流フローの変化、および、前記電流フローの変化の勾配、を測定するように動作可能であり、さらには、前記電流フローの勾配の変化が閾値未満まで低下する場合に対応するワイヤへの電流を遮断するように動作可能である
圧縮デバイス。
【請求項32】
前記閾値は、前記勾配が毎秒0.1ampの増加未満である場合である、請求項31に記載の圧縮デバイス。
【請求項33】
使用者の生体構造の一部分に制御可能な圧縮を適用するための圧縮デバイスであって、
着用可能な材料で形成されるパネルであって、前記使用者の前記生体構造の一部分に適用されるようにサイズ決定および構成され、前記生体構造の前記一部分に前記パネルが適用されるときに互いに向かい合うように構成される両端部を有する、パネルと、
前記両端部の間で前記パネルによって支持され、前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧縮力を適用するように構成される複数の形状記憶ワイヤと、
前記複数の形状記憶ワイヤのうちの1つまたは複数の形状記憶ワイヤに選択的に電流を印加して、前記ワイヤの有効長さを縮小させ、ひいては前記生体構造の前記一部分の周りの前記パネルの有効長さを縮小させて、これにより前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧力を適用するように構成されるコントローラと
を備え、
前記コントローラが、作動中にワイヤの長さを測定するように構成され、また、測定された長さが閾値に達するときに対応するワイヤへの電流を遮断するように動作可能である、
圧縮デバイス。
【請求項34】
前記コントローラが、前記対応するワイヤの長さを測定するように動作可能である時間領域反射率計および周波数領域反射率計を有する、請求項33に記載の圧縮デバイス。
【請求項35】
使用者の生体構造の一部分に制御可能な圧縮を適用するための圧縮デバイスであって、
着用可能な材料で形成されるパネルであって、前記使用者の前記生体構造の一部分に適用されるようにサイズ決定および構成され、前記生体構造の前記一部分に前記パネルが適用されるときに互いに向かい合うように構成される両端部を有する、パネルと、
前記両端部の間で前記パネルによって支持され、前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧縮力を適用するように構成される複数の形状記憶ワイヤと、
前記使用者の皮膚に接触するように前記パネルによって支持される経皮電気的神経刺激(TENS)ユニットと、
前記複数の形状記憶ワイヤのうちの1つまたは複数の形状記憶ワイヤを選択的に作動させて、前記ワイヤの有効長さを縮小させ、ひいては前記生体構造の前記一部分の周りの前記パネルの有効長さを縮小させて、これにより前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧力を適用するように構成され、さらに、前記TENSユニットを選択的に作動させるように構成される、コントローラと
を備える
圧縮デバイス。
【請求項36】
前記コントローラが、前記ワイヤおよび前記TENSユニットを互いに対して交互に作動させるように構成される、請求項35に記載の圧縮デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[001]本出願は、2015年8月11に出願された同時係属の米国特許出願第14/8
23,040号の一部継続出願であり、その優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
[002]血流障害は人々にとっての多くの健康上のおよび美容上の問題を引き起こす可能
性がある。術後の患者、寝たきりの患者、ならびに、リンパ浮腫および糖尿病を患う患者、などの比較的動くことができないような患者は、深部静脈血栓症(DVT:deep vein thrombosis)を発症しやすい可能性がある。術後の患者は、しばしば、手術中およびその後の最大72時間で、DVTカフを用いて治療される。臨床医は、DVTカフをつけた状態で、血栓のリスクを低減するための治療計画を用いて、患者を家に送り出すことを好むであろう。しかし、しばしば患者コンプライアンス(patient compliance)が問題となる。というのは、伝統的なDVTカフは、1時間以上になる可能性がある治療中に患者を動けない状態にして不快感を与えるからである。例えば、飛行機での移動中または長距離運転中に狭いところに閉じ込められる旅行者は、特に、血栓症が発症するリスクがあり、または、血流量の低下を原因とする血栓のリスクがある。患者の血流量の問題を原因とする別の障害には静脈瘤がある。静脈瘤は、しばしば、静脈不全と呼ばれる基礎疾患の症状となる。正常な静脈は、血液が心臓および肺に戻るために、上方のみに流れるのを可能にする逆止弁(one-way valve)を有する。静脈瘤は適切に機能しない弁を有する。血液は上方に流れることができるが、弁機能障害(valve dysfunction)を原因として静脈内で鬱血する傾向がある。鬱血した血液(pooled blood)で満たされることを原因として静脈瘤が膨張することになる。静脈瘤はしばしば整形外科上の問題となるが、この状態は、痛み、脚部の重感(leg heaviness)、疲労、痒感、夜間痙攣、下肢腫脹、および、夜間の下肢静止不能の原因にもなる。静脈瘤の疾病(varicose vein disease)は、硬化療法または静脈内レーザー治療(EVLT:endovenous laser treatment)などの、様々な非外科的テクニックを用いて治療され得る。一部の事例では、末動脈血行不全(PVD:peripheral vascular disease)および不穏下肢症候群(RLS:restless leg syndrome)を患っている者、または、不十分な血流量を原因とする腕の痛みおよび疲労に苦しんでいるような、乳房再建手術を受けている女性などの場合、クオリティオブライフのためには血流量を増大することが不可欠となる。
【0003】
[003]一部の人の場合、この状態は圧縮ストッキングを夜間に使用することによっても
治療され得る。圧縮ストッキングは、静脈を圧迫して過度の血液が逆方向に流れるのを止める伸縮性のあるストッキングである。これらのデバイスおよび他の既知のデバイスは低レベルの初期圧縮力のみを提供する傾向があり、ストッキングが継続的に変形することにより圧縮力が経時的に低下する。また、このタイプのストッキングは、高齢者の場合は特に、着用および着脱することが困難である。
【0004】
[004]プロ選手であろうと一般人であろうと、放出される毒素および他の運動副生成物
(workout by-product)を原因として、多くの運動選手が運動後の筋肉痛、痛みおよび疲労に苦しんでいる。最近の研究により、乳酸除去を高め、筋肉の振動を低減し、心理的因子によい影響を与えることにより、圧縮ガーメントが運動中の運動選手にエルゴジェニック(ergogenic)な利益をもたらすことができることが分かっている。圧縮ガーメントに関するいくつかの初期の研究により、自転車エルゴメータ上での最大運動中において血中乳酸濃度が低減することが実証されている。より最近の調査により、繰り返しの跳躍力が向上することおよび垂直飛びのジャンプ高さが向上することが分かっている。圧縮ガーメントを用いて跳躍能力が向上することに関して示されている理由には、皮膚温度が上がることにより準備運動が改善されること、地面接触時の筋肉の振動が低減されること、および、股関節周りに発生するトルクが向上すること、が含まれる。多くの運動選手にとって、さらには、レーシングドライバー、ドラッグレーサーまたさらには戦闘機パイロットにとって、反応時間が重要である。運動科学および運動生理学の専門家が、鋭敏な感覚訓練(acute sensory drill)、および、血流量の増加に関連する酸素摂取の増加、の恩恵を受けるような、PitFit(登録商標)などのトレーニングモジュールを挙げている。これらの結果を組み合わせると、圧縮ガーメントが、血中乳酸濃度を上げることを誘発するような運動中または急激な動作(explosive-based movement)中のパフォーマンスの向上および傷害低減の機能の両方を実現することができることが分かる。
【0005】
[005]さらに、研究により、圧縮ガーメントが、血中乳酸除去を促進して、それにより
激しい運動の後の時間における回復を向上させることができることが示されている。1つの試験で、圧縮ストッキングを着用している男性で、110パーセントのVO2maxの自転車エルゴメータ試験の後で非常に健全な状態での血中乳酸レベルの有意な低下が観察された。最近の研究でも同様の結果が得られており、ここでは、圧縮ガーメントを着用している12人の訓練されたサイクリストにおいて、5分間の最大自転車運動の後で、血中乳酸濃度の有意な低下および血漿量の増加が見られた。別の試験では、5分間の最大自転車運動の後での80分の休憩時間中に圧縮ガーメントを着用することが、その後の最大自転車運動の試験中でのパフォーマンスを有意に向上(2.1パーセント)させることが示された。圧縮ガーメントを着用することでパフォーマンスを向上させるのを補助することができる場合、激しい運動中に代謝副生成物の除去が増加することが示されている。これらの結果は、非常に激しい運動の後の回復時間中に圧縮ガーメントを着用することが、激しい運動中および激しい運動の後での回復プロセスを改善して、それにより運動パフォーマンスを向上させることができることを示している。
【0006】
[006]圧縮デバイスは、運動選手の激しいアクティビティの後の回復時間中にも使用さ
れている。これらのデバイスは一般には運動選手の脚部に限定され、通常、踵から大腿部までのケーシング内に一連の膨張可能なブラダを備える。空気ポンプが、運動選手の脚部を通る動脈血流を刺激するために、所定のシークエンスで一連のブラダを膨張させる。このタイプの圧縮デバイスは極端に分厚く、運動選手を座位または腹臥位でほぼ動けない状態にしておくことを必要とする。
【0007】
[007]患者の身体または運動選手の身体の一部分、またさらには競走馬または使役犬な
どの動物の身体の一部分を圧縮するための改善されたデバイスおよび関連方法が必要とされる。特に、快適で動きやすいデバイスが必要とされる。現在のテクノロジは発汗を強めて不快感を増大させるような、体肢の周りに巻き付けられるプラスチック(PVC)を使用しており、したがって、快適で動きやすいデバイスであれば、治療計画に対しての運動選手および患者のコンプライアンスを向上させることになる。患者の場合、このようなコンプライアンスがDVTおよび/または関連する末動脈血行不全(PVD)のリスク、すなわち静脈流の異常(venous flow anomaly)のリスクを低減することができ、それにより健康関連費に対して有益な経済的影響を与えることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
[008]概略的に言うと、動脈血流を増加させるための締め付けデバイスが血管外科医に
よって開発されている。これらのデバイスは、血流を循環させるために、足、足首および
ふくらはぎにマッサージ状の圧縮を適用するものであり、知られている副作用はない。現在の締め付けデバイスは、患者の治療のための圧迫的圧縮を生じさせるのに外部の空気ポンプからの空気圧力に依存している。
【0009】
[009]本発明によると、圧縮デバイスまたはデバイスは、通常は腕または脚部などの体
肢である人間の身体部分に、制御可能であり、断続的であり、順次的である圧縮圧力または圧迫圧力を適用するための、細長いコンプレッションテキスタイル(compression textile)またはコンプレッションファブリック(compression fabric)と組み合わされる形状変化材料を利用する装置である。圧縮パターンの1つの形態は、患者の手足のセグメントに圧縮が連続的に適用されるときの無限に続くスクロールアクションである。本明細書の圧縮デバイスは、着用可能な体肢デバイス(extremity device)の中にある内蔵ユニットである。搭載マイクロプロセッサが形状変化材料の圧迫を制御し、搭載電源が圧縮の作動のための電力を提供する。この内蔵式の低プロファイルユニットを使用することにより、患者または運動選手が動ける状態を維持することができ、また、デバイスの快適さにより治療計画に対してのコンプライアンスを維持することができ、それにより使用者が毎日のアクティビティに従事することが可能となる。また、本明細書で説明されるデバイスは、専用の外部の空気ポンプを借りたりまたは購入したりする必要性を排除することにより、使用コストを低減する。
【0010】
[010]一態様では、形状変化材料が、熱または電流に反応して収縮する形状記憶金属で
あってよい。別の態様では、形状変化材料が、材料が相を変化させるときに収縮するような相変化材料であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[012]本明細書で説明されるデバイスの一実施形態で使用されるための、それに添着される複数の圧縮パッドを備える圧縮可能なファブリックボディを示す平面図である。
【
図2】[013]
図1に示される圧縮パッドを示す拡大側面図および拡大端面図である。
【
図3】[014]開示される一実施形態によるデバイスを示す平面図である。
【
図4】[015]
図3に示されるデバイスで使用されるための回路基板を示す上面図である。
【
図5】[016]
図3に示されるデバイスの電気回路を示す回路図である。
【
図6】[017]開示される一実施形態による圧縮デバイスのための内部ソックスを示す斜視図である。
【
図7】[018]開示される一実施形態による圧縮デバイスのための、
図6に示される内部ソックスと共に使用されるための外部ソックスを示す斜視図である。
【
図8】[019]形状変化要素を起動するためのマイクロモータを利用する別の実施形態によるデバイスを示す平面図である。
【
図9】[020]本開示の別の態様による圧縮デバイスを示す上面図である。
【
図10】[021]
図9に描かれる圧縮デバイスのアレイを示す上面図である。
【
図11】[022]本開示の別の態様による圧縮デバイスを組み込む圧縮デバイスを示す上面図である。
【
図12】[023]
図11に示される圧縮デバイスのストラップの端部を示す拡大図である。
【
図13】[024]
図11の圧縮デバイスの一次回路基板および過剰応力保護回路(overstress protection board)を示す拡大上面図である。
【
図14】[025]本開示の別の実施形態による圧縮デバイスを示す上面図である。
【
図15】[026]
図14に示される圧縮デバイスのアレイを示す図である。
【
図16】[027]本開示の別の実施形態による圧縮デバイスを示す図である。
【
図17】[028]本開示の別の態様による圧縮デバイスを示す上面図である。
【
図18A】[029]本開示の別の態様による圧縮デバイスを示す上面図である。
【
図18B】[030]使用者の手足を取り囲む圧縮デバイスを示す部分斜視図である。
【
図19A】[031]蠕動的圧縮を生じさせるように作動される多様なSMAワイヤを備える、
図18に示される圧縮デバイスを示す連続の図である。
【
図19B】蠕動的圧縮を生じさせるように作動される多様なSMAワイヤを備える、
図18に示される圧縮デバイスを示す連続の図である。
【
図19C】蠕動的圧縮を生じさせるように作動される多様なSMAワイヤを備える、
図18に示される圧縮デバイスを示す連続の図である。
【
図20】[032]
図18に示されるデバイスで使用されるためのリブを示す斜視図である。
【
図21】[033]
図18に示される圧縮デバイスで使用されるための別の実施形態によるリブを示す上面図である。
【
図22】[034]
図21の線22-22に沿う、
図21に示されるリブを示す側断面図である。
【
図23】[035]
図21の線23-23に沿う、
図21に示されるリブを示す側断面図である。
【
図24】[036]本開示の別の態様による圧縮デバイスを示す上面図である。
【
図25】[037]
図24の線25-25に沿う、
図24に示されるデバイスを示す断面図である。
【
図26】[038]本開示の別の態様による圧縮デバイスを示す上面図である。
【
図27】[039]
図26に示される圧縮デバイスのストラップ構成要素の一方の面を示す図である。
【
図28】[040]
図27に示されるストラップ構成要素の反対側の面を示す図である。
【
図29】[041]
図27~28に示されるストラップ構成要素を示す切欠図である。
【
図30】[042]
図26に示される圧縮デバイスと共に使用されるためのアクセサリ構成要素を示す上面図である。
【
図31】[043]本開示の別の態様による圧縮デバイスの内側組立体を示す平面図である。
【
図32】[044]
図31に示される圧縮デバイスの外側面を示す平面図である。
【
図33】[045]
図31~32に示される圧縮デバイスの内側面を示す平面図である。
【
図34A】[046]
図31~33に示される圧縮デバイスで使用されるためのテンショナを示す拡大図である。
【
図34B】[047]
図34Aに示されるテンショナの代替の構成を示す拡大図である。
【
図34C】[048]
図34Bに示されるテンショナの代替の構成内のSMAワイヤを示す拡大図である。
【
図35】[049]本開示の1つの特徴による下半身全体の圧縮デバイスを示す斜視図である。
【
図36】[050]本開示の別の特徴による片脚の圧縮デバイスを示す斜視図である。
【
図37】[051]使用者の脚部の周りに巻き付けられて示される
図36の片脚の圧縮デバイスを示す斜視図である。
【
図38】[052]本開示による踵の圧縮デバイスを示す斜視図である。
【
図39】[053]本開示による手首の圧縮デバイスを示す斜視図である。
【
図40A】[054]本開示による肩の圧縮デバイスを示す斜視図である。
【
図40B】本開示による肩の圧縮デバイスを示す斜視図である。
【
図41】[055]本開示による胴体の圧縮デバイスを示す斜視図である。
【
図42】[056]本開示による、臀部を治療するように適合される圧縮デバイス、ITバンド、および、着用者の大臀筋を示す斜視図である。
【
図43】[057]本開示による腰部の圧縮デバイスを示す斜視図である。
【
図44】[058]本開示によるふくらはぎの圧縮デバイスを示す平面図である。
【
図45A】[059]靴に組み込まれる圧縮デバイスを示す上面斜視図である。
【
図45B】靴に組み込まれる圧縮デバイスを示す上面斜視図である。
【
図45C】[060]圧縮デバイスの構成要素を示している、
図45A、Bの靴を示す端面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[062]本発明の原理を理解するのを促進することを目的として、次に、図面に示され、
以下に記載される明細書で説明される実施形態を参照する。このような参照により本発明の範囲が限定されないことを意図されることを理解されたい。さらに、本発明が、本発明に関係する当業者が通常思い付くような、示される実施形態に対しての任意の代替形態および修正形態さらには本発明の原理の別の適用も含むことを理解されたい。
【0013】
[063]本発明は、現在の空気式の動脈圧迫デバイスによりもたらされる血流循環の改善
の場合と同じ効果を提供する圧縮デバイスを企図するが、デバイスは圧縮治療中の患者または運動選手のみに限定されない。現在の製品は、ラップ内のエアブラダが膨張および収縮されるときに、患者を座位または腹臥位で比較的動けない状態で留めておくことを必要とする。エアブラダの膨張および収縮は嵩張るような外部のポンプおよびホースを必要とし、それにより、事実上、使用者が1つのロケーションに拘束されることになる。本発明は、患者または運動選手の完全な可動性を可能にしながら容易におよび快適に着用され得るようなデバイスを企図する。
【0014】
[064]圧縮デバイス10の一実施形態が
図1~5に示される。示される実施形態のデバ
イス10がふくらはぎの周りに巻き付けられるように構成されるが、このデバイスが他の体肢を治療するために、必要に応じて修正され得ることを理解されたい。デバイス10が、使用者の足の周りに装着されるように構成される下側セグメント12aと、下側脚部(lower leg)を取り囲むように構成される上側セグメント12bとを有するテキスタイルボディまたはファブリックボディ12を有する。各セグメントの端部が、使用者の足およびふくらはぎの周りに調整可能に装着するのを可能にするためのマジックテープ(登録商標)固定具(hook and loop fastener)構成を有することができる。ボディセグメントを使用者の身体の周りで調整可能に固定するための、フックのアレイ、アイレット(eyelets)、ジッパ、ベルクロ(登録商標)、または、同様の固定デバイスなどの、他の手段も企図される。固定デバイスは、脊柱のブレーシング(thoracic spinal bracing)、バックパックさらには靴で使用される締め付け機構に類似してもよい。さらに、デバイスが、円周周りにおいて一体である閉じたボディであってよいことも企図される。
【0015】
[065]ファブリックボディ12が、使用者の皮膚に接触するのに適する概略非弾性の材
料または適度にのみ「伸長可能」である材料で形成されてよい。ファブリックボディの材料は発汗を低減する通気性のある材料であってよいか、または、圧縮治療を受ける身体部分の加熱を高めるために、概略不透過性の材料であってもよい。
図3に示されるボディ12の構成が治療される身体部分に応じて修正されてもよいことを理解されたい。例えば、ふくらはぎ、大腿部、二頭筋または前腕のみを包む場合、ファブリックボディ12は上側セグメント12bのみに限定されてよい。また、ボディは、使用者の膝または肘のところに装着されるようにも構成され得る。ファブリックボディは、手足に面する表面上に「粘着性」のコーティングまたはストリップを装備してもよく、この場合のこの「粘着性」のコーティングは、特にはファブリックボディの下で使用者が発汗する場合に、使用者の手足に沿って摺動するのに逆らうようにボディを保持するのを助ける。
【0016】
[066]一実施形態では、ファブリックボディが、本明細書で説明される形状変化要素を
受け入れるための厚さを有する圧縮可能なボディであってよい。別の実施形態では、デバイスの圧縮可能性が1つまたは複数の圧縮可能なパッドによって達成される。
図1~3に示される実施形態では、ファブリックボディが、デバイスが圧縮されるときにデバイスから圧力を伝達するように構成されるパッド16のアレイを有する。本明細書でより詳細に説明されるように、体肢の周りに巻き付けられているときにパッドの特定のグループに順番に圧力が加えられ、それにより、示される実施形態では足首および下側のふくらはぎ(lower calf)などである、患者または運動選手の体肢の特定のロケーションに交互の圧力が加えられる。特定の圧縮プロトコルでは、使用者に加えられる圧縮力が13.8kPa(2psi)程度の大きさであってもよいが、ほとんどの用途では圧縮力はわずか約3.4kPa(0.5psi)である。したがって、パッドは、この範囲の圧力を一様に伝達するように構成される。特定の一実施形態では、各パッドが1cm×1cmの矩形の形態である。パッドが、患者/運動選手の手足に最適な圧力プロフィールを提供するために、0.25cmから約0.75cmで、また好適には約4cmで分離される列の形で設けられてよい。各パッドが、
図2の詳細図に示されるように、内側部分17および外側部分18を有する。一実施形態では、内側部分が、固い概略非圧縮性の表面を提供するために、約110のデュロメータ値を有するナイロンなどの材料で形成される。外側部分18が、患者の皮膚に接触するように適合される柔らかい圧縮可能な記憶発泡材などの芯材の圧縮可能な材料で形成される。内側部分17が、接着剤を使用するなどの適切な手法で、ファブリックボディ12に固定または添着される。各パッド16の内側部分17が、1つまたは複数の、また好適には2つの、孔19を装備し、これらの孔19を通して、本明細書で説明される形状変化要素を受ける。追加の材料層が、体肢の表面に接触する内側部分の露出表面を一列状に形成してもよい。例えば、デバイスは、圧縮可能なパッド16を覆うために、ファブリックボディに添着される柔らかくて通気性のあるシート材料を装備することができる。追加のシートが、その端部のところにあるマジックテープ固定具などにより、着脱自在に固定され得る。
【0017】
[067]本発明の1つの特徴によると、デバイスが、外的刺激に反応して形状を変化させ
るように動作可能である複数の形状変化要素を装備する。この形状の変化が使用者の手足を取り囲むデバイスの円周を効果的に縮小し、それにより手足に圧力すなわち圧縮力を加える。一実施形態では、形状変化要素が、長さを変化させるように、またより具体的には、刺激に反応してその長さを縮小するように構成される要素である。特定の一実施形態では、要素が、ワイヤに電流が印加されるときに縮んで電流が取り除かれるか電流が変化するときにその元の「記憶」構成に戻るような「形状記憶」材料または形状記憶合金で形成される1つまたは複数のワイヤである。
図3に示されるように、圧縮デバイス10が、ファブリックボディ12の各セグメント12a、12bの幅および長さに跨り、さらには各圧縮パッド16内の孔19を通って延在するワイヤアレイ14を有する。ワイヤアレイは、ワイヤアレイが起動されるときに対応するセグメントまたはセグメントの一部分の直径を縮小するように構成される。特定の実施形態では、ワイヤアレイが、電気信号の印加時に長さを変化させて、電気信号の終了時にその元の長さに戻るような「記憶」材料で形成されるワイヤを含むことができる。特定の実施形態では、記憶材料が、0.02cm(0.008インチ)の直径を有するNitinolまたはDynalloyのワイヤなどの記憶金属であってよい。特定の一実施形態では、記憶ワイヤ14が、0.660ampの電流が各ワイヤを流れるときに、約5.6N(1.26lbf)から17.8N(4lbf)の力を作用させるのに十分な分だけワイヤが縮むことになるように構成される。他の実施形態では、ワイヤアレイが、中に配置されているときに膨らんで取り外されているときにその初期の厚さに戻るようなオーゼティック(auxetic)材料で形成されてよい。
【0018】
[068]ファブリックボディ12が、圧縮可能なパッド16を受けて保持するためのポケ
ットまたはスリーブを装備することができる。さらに、圧縮可能なパッドの各列が、対応する対の記憶ワイヤ14aを受けるための、そこを通過する孔16を備える、圧縮可能な1つの細長いクッション要素に置き換えられることが企図される。さらに、ファブリックボディ12が、圧縮可能なパッドまたは細長いクッション要素をボディに縫い付けるように、構成され得ることが企図される。
【0019】
[069]
図3に示されるように、一列の圧縮パッド16または細長いクッション要素を通
過する各対のワイヤ14aが、圧縮治療中に個別に作動され得る単一のチャンネルに対応する。各チャンネルまたはワイヤの対14aが本明細書で説明されるマイクロコントローラに接続される。示される実施形態では、上側セグメント12bが7個のこのようなチャンネル15a~15gを有する。下側セグメント12aが、7個のチャンネルを備えるワイヤアレイと、6個のチャンネルを備えるワイヤアレイとを有する。配線アレイ14内のワイヤ14aの各列またはチャンネルが、各ボディセグメント12a、12bの両端部のところの、ネガティブアノード(negative anode)またはグランドプレーン20のところで終端する。チャンネル15a~15gなどの各チャンネルが対応する配電回路基板22a~22cに電気的に接続される。可撓性のマルチコンダクタケーブル23が、使用者の体肢の周りにぴったりと巻き付けられるためのデバイス10の能力に配電回路基板が干渉することがないような形で、ファブリックボディ12のセグメントの間で配電回路基板を接続する。
【0020】
[070]配電回路基板のうちの1つの配電回路基板22aが、各チャンネル内の記憶ワイ
ヤに印加される電流のシークエンスおよび大きさを制御するマイクロプロセッサ24を担持する。
図4に示されるように、配電回路基板22が、各チャンネルのワイヤの対に電気的に接続される表面実装抵抗およびパワーMOSFETを有することができる。マイクロコントローラ24は、好適には、予めプログラムされた1つのマイクロコントローラを別の形でプログラムされたマイクロコントローラに置き換えるのを可能にするために、回路基板22aに物理配線はされない。一実施形態では、マイクロコントローラが、特定の使用者のためのおよび特定のデバイスのための、特定の圧縮シークエンスを用いて予めプログラムされ得る。例えば、圧縮シークエンスは、蠕動運動と同様に使用者の手足の長さ方向に沿ってデバイスが連続的に圧縮されるような、無限にすなわち継続的に周回するものであってよいか、デバイスが圧縮されて一定時間保持されるようなステップ状のシークエンスであってよいか、またはさらには、ランダムシークエンスであってよい。使用者または理学療法士により所望される通りに選択され得る他の圧縮プロトコルが他のマイクロコントローラの中へ予めプログラムされ得る。
【0021】
[071]回路基板22aおよびマイクロコントローラ24の詳細が
図5の回路図に示され
る。マイクロコントローラは、例えば、Parallax microcontroller Part No.BS2-ICまたはBluetooth enabled Arduino microcontrollerであってよい。マイクロコントローラが、モードスイッチS1およびリセットスイッチS2を含むスイッチアレイ25を装備する。スイッチはデバイス10を動作させるために、使用者によりアクセス可能である。別法として、スイッチが、圧縮デバイスの外部から無線通信することができる遠隔通信モジュールに一体化されてもよい。したがって、回路基板が、スイッチS1、S2に結合される、RF、Bluetooth(登録商標)、wifi(登録商標)またはSpec802.11のデバイスなどの、送信機/受信機の構成要素を組み込むことができる。デバイス10が、電源30を充電するためのおよびデータをアップロードまたはダウンロードするための、USBタイプの接続手段を装備することができる。したがって、マイクロコントローラが作動データを記憶するためのメモリを有することができ、またさらには、例えば圧力および温度を感知して「報告」することができるセンサを回路基板上に一体化することができる。したがって、一態様では、マイクロコントローラ24が、iPad(登録商標)、iPod(登録商標)、スマートフォンなどの、手持ち式のデバイスと、または、PCまたはラップトップコンピュータなどの、無線送信/受信能力を有する別のデバイスと、通信するように構成される。このリモートデバイスが作動データを受信および記録するように機能することができ、2つのスイッチのいずれかを起動する場合でもまたはより進んだ構成においてマイクロコントローラを遠隔的に構成またはプログラムする場合でも、マイクロコントローラ24のためのマスターコントローラとして機能することができる。このリモートデバイスは使用者が特定の圧縮プロトコルを調整するのを可能にするのに使用され得る。一態様では、リモートデバイスが、使用者が即時のフィードバックを得て、圧縮シークエンスの前、圧縮シークエンスの間、および、圧縮シークエンスの後で、マイクロコントローラ24に命令を出すのを可能にするような、ソフトウェアプログラムを実装することができる。マイクロコントローラ24が、デバイスに適用される圧縮の量を示す圧縮力読取値をリモートデバイスに提供することができる。一実施形態では、圧縮力読取値がワイヤアレイの作動量またはワイヤアレイに印加される電流に基づいてよい。使用者が、今後の圧縮プロトコルをプログラムすることを目的として所望のまたは許容される圧縮の量を決定するために、圧縮シークエンス中に圧縮力読取値を使用することができる。
【0022】
[072]配電回路基板22a~22cに接続されてネガティブアノード20に対してアー
スされる電源30が提供される。一実施形態では、電源30は、ファブリックボディ12内に画定されるポーチによって収容される、7.5ボルト、40AHのリチウム電池アレイである。ポーチは、バッテリーがデバイス10に電力供給するときに生じる可能性があるいかなる発熱からも使用者を防護するように構成され得る。電源30は、好適には、上述のマイクロコントローラまでのリモートリンクを通して再充電され得る再充電可能なバッテリーである。
【0023】
[073]マイクロコントローラ24が、圧縮のシークエンスおよびパターンを制御するた
めのソフトウェアを実装し、治療プロセスを通して、圧縮のシークエンスおよびパターンが守られることになる。一実施形態では、上述したように、マイクロコントローラがリモートデバイスにより起動および制御される。加えて、マイクロコントローラが、ファブリックセグメント12a、12bのうちの一方の外側部分に添着される制御盤などの、デバイス内に埋め込まれるベーシックユーザコントロールを有することができる。使用者の身体に圧力を加える手法はパッド16およびチャンネル15の数および構成によって決定される。
図2の示される実施形態では、パッドが、最も下側のチャンネル15gから最も上側のチャンネル15aまで作動され得、連続するチャンネルが段階的に動作停止され、すなわち膨らみ、また、段階的に起動され、すなわち収縮する。多様な起動パターンがマイクロコントローラの中へ予めプログラムされ得るか、または、上述したリモートデバイスによって管理され得る。チャンネルが起動されると、マイクロコントローラ24が特定のチャンネルへと電流を誘導し、それにより記憶ワイヤ14aを収縮させ、すなわち縮ませ、それにより、手足の周りに巻き付けられている状態の記憶ワイヤまたは細長い材料の有効直径を縮小する。このように直径を縮小することが、従来技術の空気膨張デバイスと同じ手法で、パッド16を介して圧力を加えることに変換される。電流が取り除かれるかまたは電流が変化するとき、ワイヤの「記憶」特徴部分がワイヤをその動作停止状態またはニュートラル状態に戻すのを可能にし、それにより付随の圧縮可能なパッドから圧力を取り除く。加えて、手足または筋膜が記憶ワイヤをニュートラルフェーズに戻すのを補助するためのばねとして機能する。
【0024】
[074]代替的実施形態では、隣接する2列または3列の中の複数の1×1のパッドが、
ファブリックボディ12の各側に沿って延在する細長い圧縮性のパッドに置き換えられてよい。記憶ワイヤ12aが上述の手法で細長いパッドと共に埋め込まれ、細長い圧縮性の
パッドの各列が上述の複数のより小さいパッドと同じ手法で作動される。
【0025】
[075]代替的実施形態では、デバイス40が、
図6に示される内部ソックス42と、図
7に示される外部ソックス45との組み合わせによって形成され得る。内部ソックス42が、上述の細長いクッションであってよいかまたはパッド16に類似してよい、手足を取り囲む圧縮パッド43を組み込む。パッド43は、記憶ワイヤによって生じた熱を使用者の皮膚に伝えるために熱伝導性であってよい。別法として、パッドは、使用者への熱伝達を最小にするように断熱性であってもよい。外側ソックス45が内側ソックス42の上に一体化され、対応するパッドに対して各々が位置合わせされる記憶ワイヤ46を有する。電源およびマイクロコントローラを含めた電子装置がソックス形状のデバイス40の頂部のところでリング48に組み込まれ得る。
【0026】
[076]別の実施形態では、形状変化要素が、デバイスによって担持されるモータによっ
て引かれる非伸張性のワイヤに置き換えられてよい。具体的には、
図8に示されるデバイス50が、デバイスを患者の手足の周りに巻き付けるためにボディの両端部に係合される、上述のマジックテープ固定具などの、固定特徴部分を備えるように構成され得る延長部分52を備えるファブリックボディ51を有する。デバイスは、ファブリックボディの長さ方向に沿う列の形で配置される複数の細長い圧縮性のパッド54を装備することができる。パッドは、上述したように、すなわち、そこを通してワイヤを受けるための孔19を組み込むように、構成され得る。しかし、
図1~2の実施形態とは異なり、デバイス50のワイヤは記憶ワイヤである必要はなく、代わりに、概略非伸張性のワイヤ56である。各ワイヤ56の一方の端部が駆動モータ60に接続され、ワイヤが、圧縮可能なパッド54を通過し、ファブリックボディ51の反対側の端部のところでプーリー62の周りを通過し、再び圧縮可能なパッドを通過する。ワイヤ56の端部が
図8に示されるようにファブリックボディ51に対して「アース」され、すなわちファブリックボディ51に固定される。各圧縮可能なパッドがそれ自体のワイヤ56を有し、各ワイヤがそれ自体のモータ60によって駆動され得る。モータ60がマイクロコントローラ66および電源70に接続される。これは上述の電源30と同様であってよい。マイクロコントローラが、所定の圧縮プロトコルにしたがって各モータ60を起動するように構成される。
【0027】
[077]モータ60は、デバイス50が可動性および使いやすさを確実に維持することが
できるようにするために、Miga Motor Companyの”HT Flexinolモデルなどの、ストリップタイプのモータであってよい。したがって、このモータはコンパクトであり、
図8に示されるようにファブリックボディ51の幅に跨って配置されるように適合される。モータはデバイス50の圧縮を阻害することがなく、または他の様態で着用者に不快感を与えることもない。ワイヤ56は、圧縮可能なパッド54を基準として低摩擦で摺動するために、プラスチックワイヤであってよく、概略非伸張性であり、その結果、ワイヤを引くことが、パッドを通して加えられる圧縮力へと直接的に変換される。
【0028】
[078]代替的実施形態では、ワイヤ56が、一方の端部のところで対応するモータ60
に固定されさらには反対側の端部のところでファブリックボディ51に対して「アース」されるすなわち固定されるメッシュに置き換えられてよい。この実施形態では、メッシュが圧縮可能なパッドと外側ファブリックカバーとの間で「自由に浮動」する。メッシュは、モータによってメッシュが引かれるときの摩擦を低減するために、Mylar層に挟まれてよい。
【0029】
[079]別の代替形態では、
図8に示されるモータ60およびワイヤ56の構成が
図9~
13に示されるように修正され得る。具体的には、
図9に示されるワイヤアクチュエータデバイス100が、一次回路基板102と、一次回路基板内の相補的に構成される切欠部
105内で支持される過剰応力保護回路基板104とを有する。回路基板102および104の間の切欠部105によって形成される隙間が、回路基板102から独立させて回路基板104を限定的に移動させるのを可能にする。一次回路基板102が、コネクタケーブル140により、
図8に示される電源70などの電源に電気的に接続されるケーブルタップ108を有する。コネクタケーブル140はまた、ワイヤアクチュエータデバイス100を上述のマイクロコントローラ66などのマイクロコントローラに電気的に接続するように構成され得る。過剰応力回路基板104が弾性変形可能な複数のアームまたはバンド113により一次回路基板102に設置され、アームまたはバンド113が、ワイヤを作動させるために、モータが動作するときに2つの回路基板102および104の間での限定的ないくらかの相対的な移動を可能にする。アーム113はまた、ワイヤへの電力が取り除かれるかまたは低下するときにデバイスをそのニュートラルな「非圧縮」位置へと戻すために、ワイヤ110内の張力に逆らう復元力を提供するように構成され得る。
【0030】
[080]一実施形態では、デバイス100が、
図9に示されるように、2つのループ11
1、112を形成するように構成される単一のワイヤ110の形態の形状変化要素を有する。ワイヤは上述した記憶ワイヤまたは形状記憶合金(SMA:shape memory alloy)であってよい。ワイヤの端部114、115が、当技術分野で知られているような、回路基板にねじ込まれるアンカーねじ120などの適切な手段により一次回路基板102に固着される。ワイヤ110はアンカーねじ120からキャプスタン122の上へループし、対応するループ111、112に入る。ループ111、112が、デバイス50のために、
図8に示される手法で、デバイスの長さ方向に沿って延在するのに十分な長さを有する。ループが、一次回路基板12の反対側のデバイスの端部のところで、プーリー62などのプーリーに係合され得る。2つのループが過剰応力回路基板104のところで結合し、各ループが対応するキャプスタン122bに係合され、コンタクトマウント124に電気的に係合される。代替的実施形態では、ループがコンタクトマウント124の周りに巻き付くことができ、内部コンタクトマウント125に係合され得る。SMAの転移温度を超えるようにワイヤをオーム的に加熱するために、および、デバイスに圧縮を適用することを目的としてワイヤの長さを変化させるようにまたはワイヤを収縮させるようにするために、コンタクトマウント124のところでSMAワイヤ110に電流が印加される。
【0031】
[081]過剰力接触特徴部分(over-force contact feature
)130によりコンタクトマウント124に電力が供給される。過剰力接触特徴部分は、ワイヤが過度に締め付けられるときにワイヤへの電力を解除するように動作可能である。コンタクトマウントが、過剰応力回路基板104と共に移動可能である接点135に電気的に接続される。通常の動作中、接点135が電力供給リード132に導電的に接触し、その結果、電力がワイヤ110に供給される。しかし、ワイヤ110が過度に締め付けられるような過剰応力状態では、ワイヤの張力がアーム113を曲げることになり、接点135がバイパスリード133に接触するように移動することになり、バイパスリード133がワイヤ110への電力を解除する。したがって、供給リード132およびバイパスリード133が、ワイヤ110が過度に締め付けられることを原因として過剰応力回路基板が過度に移動することによりスイッチが作動されるときに電力を停止するためのスイッチとして動作することになる。過度に締め付けられることは、使用者が自分の手足の周りのボディ51を過度に張った状態で引くことにより起こる可能性があり、または、使用時にデバイスが作動するときに起こる可能性がある。過剰応力の特徴部分が、SMAワイヤ110上の張力がワイヤの引張強度を超えるのを防止し、それによりワイヤを破損から保護する。
【0032】
[082]複数のデバイス100が単一のデバイス上に設けられてよく、これは、上述のデ
バイス50と同様に構成されるデバイスのファブリックボディ51の幅に跨るような形な
どである。したがって、
図10に示されるように、3つのデバイス100a、100b、100cが提供され、各々がそれらに対応するワイヤ110a、110b、110cを備える。各デバイスが電源およびマイクロコントローラに対して直列または並列に接続され得、ここでは各デバイスがマイクロコントローラにより個別にアドレス可能であり、それにより各デバイスが個別に作動されることが可能となる。したがって、マイクロコントローラが、使用者のための所望の圧縮プロトコルを達成するために、所定のパターンでデバイスを起動するソフトウェアルーチンまたはハードウェアルーチンを実装することができる。例えば、デバイス100a、100b、100cは、実質的に血液を手足から上方へと押し進めることを目的として、遠位側のデバイスから近位側のデバイスまで(すなわち、心臓から最も遠いところから心臓に最も近いところまで)順番に使用者の手足に圧縮を適用するように1つのシークエンスで作動され得る。
【0033】
[083]デバイスの例示の実施形態が
図11~13に示されている。この実施形態では、
単一のワイヤアクチュエータデバイス100’が、デバイスラップ150の一方の端部のところのデバイス100’からラップの反対側の端部のところのアンカー155(
図12)まで延在する単一のワイヤ100’と共に利用される。デバイス150が、ふくらはぎなどの使用者の手足の周りに巻き付けられるようにサイズ決定されるファブリックストラップ151を有する。デバイスがファブリックストラップのデバイス端部のところにループ152を有することができ、反対側の端部153がこのループ152を通過する。2つの端部の間での、長さが調整可能であるマジックテープ係合により、使用者が自分の手足の周りにデバイスをぴったりと巻き付けることが可能となる。ワイヤアクチュエータデバイス100’およびワイヤ110’がファブリックストラップ151の外側部分上に配置され、使用者の手足に接触しないことが
図11~13から認識され得るであろう。デバイスの動作構成要素を隠して保護するために、ファブリックカバーが設けられてよい。図中の露出している構成要素は説明のためであることを理解されたい。
【0034】
[084]
図11に示されるように、ワイヤアクチュエータデバイス100’がデバイス1
00から修正されており、ここでは、ワイヤ110’が、キャプスタン124およびコンタクトマウント122bから分離したポスト140のところで過剰応力保護回路基板104上に固着される。代わりに、ワイヤが各キャプスタン124と内部キャプスタン125’との間にねじ込まれる。ワイヤの端部がアンカー140に固定される。キャプスタンを通してワイヤをねじ込むことにより、作動中および解放中にワイヤ110’の捻じれを排除することが補助される。
【0035】
[085]ワイヤアクチュエータデバイス100’、および特には回路基板102が、デバ
イスをファブリックストラップ151に取り付けるための固定具を受け入れるために、回路基板の角部のところに固定用開口部103を装備する。一実施形態では、回路基板がファブリックストラップに縫い付けられ得るか、または、リベットもしくはスナップ構成により定位置で保持され得る。回路基板は、好適には、ワイヤ110’に堅固に固着されるために、ストラップに永久的に添着される。別法として、アクチュエータデバイス100’が、使用者の手足の周りのワイヤまたはケーブルを過度に締め付けるのを防止するためのフェイルセーフの特徴部分を提供するようにストラップに着脱自在に固定され得る。
【0036】
[086]本開示の別の特徴による圧縮デバイス200が
図14に示されている。デバイス
200が、
図10に示されるマルチデバイスの回路基板と同様であってよい、一対のリブ210および212を有する。リブがストラップ150などのデバイスストラップに固定され、隙間Gによって分離される。
図10のデバイスとは異なり、圧縮デバイス200は、2つのリブ210、212を合わせることによりすなわち隙間Gを閉じることにより動作する。このような結果を得るために、形状変化ワイヤ215が2つのプレートの間で接続される。一実施形態では、ワイヤ215の各脚部215a、215bがアンカーマウント218のところでリブ210に固定される。ワイヤ215が、隣接するリブ212の付随する過剰応力保護回路基板204上に設置されるキャプスタン219の周りを通過する。別法として、各脚部215a、215bがキャプスタン219のロケーションのところでアンカーマウントに固定され得る。しかし、リブ210の両端部をリブ212に向かって一様に移動させるために、ワイヤ215がキャプスタンの周りを自由に移動することができることが好ましい。
【0037】
[087]圧縮デバイス200が、各プレート210、212の両端部に固定されて隙間G
に跨る一対のばね要素220を有する。したがって、ばね要素がそれらの端部221のところでそれぞれのプレートに固着される。ばね要素220の復元力がワイヤ215の収縮に逆らい、リブを、隙間Gを有するようなそれらのニュートラル位置へ戻すための付勢力を提供する。ばね要素は、V形ばね、ハンマースプリング、リーフスプリング、弾性的に圧縮可能な材料、または、ワイヤ215が緩んでいるときにリブを離すように押すことができる同様のタイプの要素、の形態であってよい。
【0038】
[088]
図14に示される実施例が、隙間Gによって分離される、2つのリブおよび単一
のワイヤ215を有する。一実施形態では、隙間Gが約0.635cm(0.25インチ)であってよい。ワイヤ215が約1.27cm(0.5インチ)だけ長さを縮小することができる記憶金属のワイヤであってよく、その結果、ワイヤが完全に作動することで隙間Gを実質的に完全に閉じることができる。上の実施形態と同様に、圧縮デバイス200が、使用者の手足を取り囲むように構成されるファブリックストラップのデバイスに固定される。
図14に示される圧縮デバイス200の構成が約4.0kPa(30mmHg)の圧縮圧力を発生させることができることが分かっている(ファブリックストラップが概略非弾性であると想定する)。別のリブおよびワイヤを追加することによってより大きい圧力が得られ得ることが企図される。したがって、
図15の図に描かれるように、圧縮デバイス250が4つのリブ251a~251dによって形成され得、これらの各々がファブリックストラップに固定され、各プレートの間で隙間Gだけ間隔を空けている。3つのワイヤ252a~252cが隣接するリブの間で係合される。各ワイヤがそれぞれの隙間Gを閉じることができ、その結果、特定の実施形態において、合計の圧縮が3×Gの隙間すなわち1.91cm(0.75インチ)を閉じることに等しくなる。これによりデバイスの直径が同等の分だけより縮小することになり、それにより特定の実施例では約12~13.3kPa(90~100mmHg)の効果的な圧縮圧力が得られることになる。もちろん、追加のリブおよびワイヤが
図15に示される4つのリブに直列に加えられてもよく、それによりデバイスの最大圧縮圧力能力が向上する。人間の使用者の場合の通常の治療が4.0~20kPa(30~150mmHg)の圧縮圧力を発生させることができることが企図される。
【0039】
[089]上述したように、複数のワイヤが共通のマイクロコントローラによって制御され
得る。マイクロコントローラが、圧縮圧力を制御することを目的としてどのくらいの数のワイヤを起動させるのかを制御するための命令を実行することができる。さらに、デバイス250のリブおよびワイヤのこの直列アレイが、所与のデバイスの幅方向において繰り返され得ることが企図される。これらの追加のデバイス250は、加えられる圧力の大きさを調整するために、マイクロコントローラにより同じ手法で制御されることになり、また、デバイスのどの列を起動するかまたはどの程度まで起動するかを変えるために上で考察したようにも制御され得る。例えば、ふくらはぎのデバイスの場合、3つの列のデバイス250がふくらはぎの長さ方向に沿って提供され得る。最も遠位側の列(すなわち、踵に最も近い列)が最初に起動され得、次いで隣接する次の列が順番に起動され得、それにより血液をふくらはぎから上方へと効果的に「押し進める」。デバイスは、使用者の脚部を上方に進む圧力の「波」を形成するように所定のシークエンスで起動および解放され得る。言い換えると、デバイスの列は、単純な一連の連続する圧縮ではなく、無限にスクロ
ールするシークエンスまたは圧力の波を形成するように作動され得る。一連の「波」は交互の列を交代で起動することにより発生させることができ、すなわち、列1、3、5などが起動されるとき、列2、4、6などがアイドル状態であり、次いで、奇数番号の列が動作停止され、一方で、偶数番号の列が起動される。別法として、各列がそれらの作動状態を維持させられてもよく、それでも、使用者のふくらはぎに沿って圧力の大きさが調整され得る。複数の構成要素からなる圧縮デバイス250が圧縮計画における高い柔軟性をもたらし、それにより、使用者および治療される状態に合わせて調整されるような治療を可能にすることが認識されよう。
【0040】
[090]ワイヤ310の長さを所与の分だけ変化させることにおける機械的利点を本質的
に有するような圧縮デバイス300が
図16に示されている。この実施形態では、ワイヤが、支持リブ315、316および317の周りでファブリックストラップ302に沿うように通されている。端のリブ315、316がストラップ302への取り付けのためのアンカー317を装備する。ワイヤ310が、
図9のワイヤ110と同様にストラップ302の実質的に全長に沿って延在するようにサイズ決定され得るか、または、端のリブ315、316の間のスペースのみに制限されてもよい。
図16に示されるように、ワイヤ310がリブの端部318の周り、および端のリブ315、316の周りを巻いている。ワイヤが、靴に通される場合と同様に、リブの間のスペース内でそれ自体の上を交差する。スペーサ322がワイヤの交差部分の間に含まれ、ワイヤの膨らみ時および収縮時にそれらの部分の間の摩擦を排除する。熱的隔離および電気的隔離のために、インシュレータパネル320がワイヤ310とストラップ302との間に設けられ得る。
【0041】
[091]ワイヤ310の収縮時に弾性的に曲がるように、およびワイヤの動作停止時にそ
のニュートラルな形状に戻るように曲がるように構成される弾性要素325がリブ315、316、317の間に設けられる。一実施形態では、弾性要素が、各リブの間にあるリーフスプリングまたは弓形ばね(bow spring)の形態であってよい。別法として、単一の弾性要素がデバイス300の各側に沿って延在してもよく、この場合、リブが弾性要素325の離間されるロケーションのところに添着される。
【0042】
[092]別の実施形態では、圧縮デバイスが、テンショニング要素の長さを所与の分だけ
変化させることにおける機械的利点を向上させるような形で、プレートの間に跨るテンショニング要素を備える一連のリブを用いて形成され得る。
図17に示される一実施形態では、圧縮デバイスの円周全体の周りを部分的にまたは完全に延在させられ得るかまたは
図16に描かれる手法などのようにファブリックストラップに一体化され得る圧縮構成350が提供される。圧縮構成350が2つのリブ351a、351bを有するが、より多くのプレートが利用されてもよい。第1のSMAワイヤ352aの端部がアンカー353a、354aのところでプレート351aに固着される。SMAワイヤ352aがリブ351aの両端部のところでそれぞれプーリー355a、356aの上を通過する。第1のSMAワイヤ352aが、隣接するリブ(図示せず)まで、または、ストラップ302などのファブリックストラップに添着されるアンカーまで、延在する。
【0043】
[093]第2のSMAワイヤ352bが第1のリブ351aの両端部のところでプーリー
357a、358aの周りを通過する。第2のSMAワイヤがプーリー355b、356bの周りを通過するように第2のリブ351bまで延在し、353b、354bのところで固着される。第3のSMAワイヤ352cがプーリー357b、358bを横断して第2のリブ351bに接続される。アンカー353a、354a、353b、354bがさらに、上で考察した形状変化SMAワイヤのための電気接続ポイントを提供する。したがって、各リブがそのそれぞれのSMAワイヤまでの電流を制御するためのそれ自体の回路基板を有することができるか、または、リブが共通のコントローラに配線されてもよい。
【0044】
[094]2つのリブ351a、351bが等しく構成されることによって、圧縮デバイス
の圧縮能力を向上させるために、SMAワイヤ352と共に複数のそうしたリブ351がデイジーチェーンを形成することができることが認識されよう。さらに、その全長に沿う各SMAワイヤ352の収縮が、隣接するリブ351の間の隙間に一様に適用される。言い換えると、特定の実施形態では、各対のリブの間のSMAワイヤ352が0.635cm(0.25インチ)だけ長さを変化させることができる場合、すなわち0.635cm(0.25インチ)だけ収縮することができる場合、このようなプレートを4つ組み合わせることにより、リブの間で合計2.54cm(1.0インチ)だけ収縮することができ、結果として、患者の周りの圧縮力が大きくなる。実質的に、複数のリブのこの特徴は、組み立てられたリブの変位を倍増させることを可能にし、それによりデバイスの接線方向の圧迫が著しく増大する。各リブ351が、圧縮プロフィールを作るために所望される通りに、個別にあるいは任意の組み合わせまたはシークエンスで、作動され得る。
【0045】
[095]
図18に示される圧縮組立体400は、SMAワイヤの配置に関しての機械的利
点を改善するという点で、組立体350に類似する。この実施形態では、各リブ401(401a、401b、401c)が4つのSMAワイヤの一部を支持する。例えば、リブ401aがワイヤ402a、403a、402bおよび403bを支持し、対して、リブ401bがワイヤ402b、403b、402cおよび403cを支持し、リブ401cがワイヤ402c、403c、402dおよび403dを支持する。ワイヤ402がリブ401の同様の端部(すなわち、
図18の上側端部)の間の隙間に跨るように配置され、対して、ワイヤ403がリブ401の同様の両端部の間の隙間に跨るように配置されることが認識されよう。SMAワイヤの端部が、プレート401aのためのアンカー404a、405a、406aおよび407a、ならびに、デバイス内の他のリブのための同様のアンカー404~407などの、対応するアンカーにより、対応するプレートに添着される。ワイヤが、さらに、プレート401a上のプーリー408a、409a、410aおよび411a、ならびに、デバイス内の他のリブのための対応するプーリー408~411などの、関連するプーリーの周りを延在する。アンカーおよびプーリーは
図17の実施形態と同様に構成されてよい。
【0046】
[096]
図18Aに示されるように、2つのワイヤ402bおよび403bが等しい対の
プレート401aおよび401bの間を延在する。圧縮組立体400内のSMAワイヤは、圧縮組立体350の単一のデイジーチェーンの構成とは異なり、本質的に、重なり合うデイジーチェーンの構成を形成する。この重なり合うデイジーチェーンの構成は、特には3つ以上のリブが提供される場合の、上の実施形態の機械的利点を提供し、すなわち、変位を倍増させることを可能にする。加えて、この重なり合うデイジーチェーンは、リブのスパンに跨って非一様な圧縮パターンを可能にする(すなわち、
図18Aで見る場合に上側端部から底側端部まで)。具体的には、この構成を用いることにより、ワイヤ402bなどの任意の単一のSMAワイヤが、リブの底側端部を機能していない状態にしながらリブ401a、401bの上側端部を一体に引き寄せるように作動され得る。別法として、リブの頂部または底部を一体に引き寄せるために、上側のSMAワイヤ402a、402b、402c、402dのすべてが作動され得るか、または、下側のSMAワイヤ403a、403b、403c、403dのすべて(もしくは、それらの任意の組み合わせ)が作動され得る。
【0047】
[097]例えば、
図19A~19Cに描かれるように、デバイス400がリブの蠕動的な
圧縮変位を生じさせるように作動され得る。
図19Aでは、それぞれのリブの左側端部の間の隙間に跨るSMAワイヤ402a、402b、402c、402dのみが作動され、その結果、リブの同様の端部(すなわち、図の左側)が一体に引き寄せられる。したがって、デバイス400によって適用される圧縮がリブの左側のみに限定される。
図19Bでは、リブの両端部のSMAワイヤ403a、403b、403c、403dが作動すなわ
ち収縮され、本質的にはリブ401a、401b、401cの右側を一体に引き寄せ、その結果、圧縮デバイス400の幅全体にわたって実質的に一様に圧縮が適用されるようになる。さらに、
図19Cでは、上側のSMAワイヤ402a、402b、402c、402dが解放され、その結果、リブの左側端部の圧縮が解放される。次に、右側のSMAワイヤ403a、403b、403c、403dが緩められ、その結果、デバイス400が
図18に描かれるそのニュートラルな構成に戻る。圧縮プロトコル中、このシークエンスが繰り返され得る。
【0048】
[098]変位倍増構成と組み合わされるこの重なり合うデイジーチェーンの構成が、患者
の手足の周りの円周方向のみではなく、手足の長さ方向に沿う軸方向においても、圧縮計画を調整する能力をさらに向上させることになることが認識されよう。手足の長さ方向に沿う軸方向に一連の圧縮組立体400を設けることにより、圧縮計画にさらなる多様性がもたらされることになる。
【0049】
[099]
図17~18の実施形態では、プーリー355aおよび408aなどのプーリー
が、3Dプリントされるかまたはそれぞれのリブ上にオーバーモールドされる、回転可能に設置されるホイールまたはディスクであってよい。代替的構成では、リブが、SMAワイヤのための支承表面を提供するように構成され得る。したがって、
図20に示されるように、リブ401が、曲線端部413、415をそれぞれ有する外側リブ412および414を一体的に画定するように成形され得る。曲線端部は例えば圧縮組立体400のプーリー408a、410aに対応する。同様に、各々が曲線端部421、425をそれぞれ有する内側リブ420および424が提供される。曲線端部が例えばプーリー409a、411aに対応する。SMAワイヤの端部を固着するための、開口部428などの、開口部がリブ401内に設けられ得る。
【0050】
[0100]別のアプローチが
図21~23に示される。リブ450が
図17~18の実施形態のリブに類似してよい。具体的には、リブ450が、回路基板などのための従来的であってよい基板451を有する。しかし、
図18に示されるようなアンカー405aなどの別個のアンカーを提供するのではなく、
図20に示されるリブ450は、リブの各端部のところに、リブの幅に跨るクランププレート454を組み込む。
図22の断面図に示されるように、クランププレート454が交互のV形スロット456および円形スロット457を有する。V形スロット456が、
図21のワイヤ403aおよび403bなどのSMAワイヤを摩擦がほとんどない状態で摺動させるのを可能にするようにサイズ決定される。しかし、円形スロット457が、ワイヤ402a、402bなどの対応するワイヤの端部をクランプするように構成される。したがって、
図21から認識され得るように、ワイヤ403a、403bがリブ450の下側端部のところでクランプされ、対して、ワイヤ402a、402bがワイヤの収縮時および膨らみ時に自由に平行移動できなければならない。また、クランププレート454がリブの頂部のところに設置されるが、ワイヤ402a、402bの端部を固着して他のワイヤ403a、403bを自由に摺動させるようにするために、180°向きを変えられる。クランププレート454は、ねじ455、結合剤または他の適切な固定具により、リブ450に固定され得る。
【0051】
[0101]リブ450の別の態様では、上の実施形態のプーリーがガイドプレート460に置き換えられる。ガイドプレート460が、隣接するリブと相互作用させるために、SMAワイヤをリブから側方へと誘導するための摺動表面を提供する湾曲ガイドスロット463(
図21、23を参照)を画定する。ガイドプレートが各リブの各端部のところに設けられ、ねじ461または他の適切な固定具によって係合され得る。
【0052】
[0102]
図24~25に示される圧縮デバイス500が、圧縮機能を得るために2つのSMAワイヤを利用する。デバイス500が、上述したように細長いボディ上に配置される
複数のリブ501を有する。各々のリブが複層構造であり、
図25に描かれるように、両側のパネル512、514の間に中央パネル510が挟まれる。パネル510、512、514が内部弓形表面を画定し、各SMAワイヤ502a、502bがその周りに巻かれる。
図24では、リブ501が、リブの各側面501a、501bの方を向いてリブの第1の端部501cに隣接する弓形表面520の周りに巻き付けられる第1のSMAワイヤ502aを見せるために、上側パネル514を取り外した状態で描かれている。パネル510、512、514がさらに、円筒形ハブの形態であってよい内部中央弓形表面525を画定する。ワイヤ502aが中央弓形表面の周りに巻き付けられ、中央弓形表面がワイヤ502aの摺動運動のためのプーリー表面として機能する。したがって、
図24に示されるように、SMAワイヤ502aが一方の側面501aのところで最も上側のリブ501に入り、第1の弓形表面525を横断し、中央弓形表面525の周りに巻き付けられ、第2の弓形表面520を介してリブ501から出る。ワイヤ502aが、連続する各リブ501を通してこの構成を繰り返す。
【0053】
[0103]リブ501の複層構造は第2のSMAワイヤ502bのための同様の構造も提供する。
図24~25に示されるように、第1のワイヤ502aの構成が第2のSMAワイヤ502bの構成と重複する。第2のワイヤ502bが反対側の端部502dのところでリブ501に入り、リブの両側面501a、501bに隣接する弓側表面520の周りを通過し、リブの端部501cのところで中央弓形表面525の周りを延在する。
【0054】
[0104]動作中、上述したように各SMAワイヤ502a、502bが個別に制御可能である。ワイヤ502aなどの1つのワイヤが起動されると、ワイヤの長さが収縮し、その結果、リブがワイヤ502aを基準として実質的に摺動し、それにより各リブの端部501cのところで一体に引き寄せられる。第2のワイヤ502bが作動されるときも同様のアクションが行われる。ワイヤがリブ501内で拘束されないことから、圧縮デバイスの各端部を収縮させるのに単一のワイヤが使用され得る。所望される場合、パルス状の圧縮を達成するために、2つのワイヤが所定のシークエンスで作動され得る。
【0055】
[0105]本明細書で開示される圧縮デバイスは複数の構成要素からなる構成で提供され得る。例えば、
図26~30に示されるように、圧縮デバイス600が、マジックテープ固定表面などの係合表面603を備えるベースパネル602を装備することができる。一対の細長いパネル610が提供され、各パネルが、上述したリブ-ワイヤ構成のうちのいずれかの構成などのように、多数の複数のリブと、少なくとも2つの形状変化ワイヤとを有する。細長いパネル610が使用者の皮膚に接触するように構成される内側表面612を装備し、この表面が使用中にデバイスが滑るのを防止するためのグリップテクスチャを有する。各パネルの一方の端部614が、
図26に描かれるように、ベースパネル602に取り付けられるように構成される。各細長いパネルの反対側の端部615がやはり、デバイス600を使用者の身体の周りに巻き付けているときに、ベースパネル602に取り付けられるように構成される。端部614、615がマジックテープ固定特徴部分を有するように構成されてもよい。
【0056】
[0106]
図29の部分切欠図に示されるように、各細長いパネル610が、電気接続部625に接続されるSMAワイヤ(図示せず)を備えるリブ630のアレイを有する。接続部625が2つの細長いパネル610のSMAワイヤに電気的に接続され、上述したような、SMAワイヤの作動を制御するための外部のコントローラなどの、外部の構成要素との電気接続を形成することができる。
【0057】
[0107]別の特徴では、細長いパネル610が、使用者の身体の一部分の周りにデバイスが係合されているときに、パネルに跨るように張力を加えるように構成されるプレテンショニング要素620を装備することができる。テンショニング要素620が、要素620により張力を受けた状態とされるように適合されるケーブル622によりリブ630のうちの1つのリブに接続され得る。一実施形態では、テンショニング要素620が、ケーブル622に張力をかける状態にするために、ケーブル622を巻くように構成される回転ラチェット機構であってよい。テンショニング要素620が、着用時のデバイスに使用者がいくらかの予張力を加えるのを可能にする。SMAワイヤが作動されるとき、予張力が維持される。したがって、この特徴により、使用者が2段階の圧縮を実現することが可能となり、第1の段階がテンショニング要素620によって実現され、第2の段階がSMAワイヤによって実現される。したがって、この2段階のテンショニングはSMAワイヤのみを用いる場合よりも最大圧縮を増大させるのを可能にし、それによりSMAの特徴に固有の圧縮限界に対処する。
【0058】
[0108]追加の特徴では、圧縮デバイス600が
図30に示される取り外し可能なポーチ640を装備することができる。ポーチ640がロケーション605などにおいてベースパネル602に着脱自在に設置され得る。ポーチ640が、使用者によって所望される場合に冷却要素または加熱要素642を受けるように構成され得る。
【0059】
[0109]
図31~33に示される圧縮デバイス700が、上述の形状変化圧縮組立体と同様の、可撓性パネル704上に設置される圧縮組立体702を有する。特定の一実施形態では、圧縮組立体702が、デバイスの長さ方向に沿って延在する複数のSMAワイヤ705を有することができる。圧縮組立体702が、圧縮デバイス700の外側表面上のポケット717内で保持され得る制御モジュール715(
図32)のケーブル716に対合するように構成されるケーブル703を有する。制御モジュール715が、圧縮デバイスを制御するためのユーザインターフェースを提供するように構成され得るか、または、電源、オン/オフボタン、および、上述の別個のコンピュータと通信するための無線インターフェース、を単純に組み込むことができる。
【0060】
[0110]このように、パネル704が、上述した手法で使用者の手足などの身体部分を取り囲むように構成される。しかし、上の実施形態からの修正形態では、パネル704が、容易に一体にスナップ嵌合され得、また解除され得るようなクイックリリースコネクタ708、709(
図31~32)を有する。1つのコネクタ要素709が、テンショニング構成要素706に一体化されるストラップ710に添着される。一実施形態では、テンショニング要素が、BOA Technology,Inc.のBOAクロージャシステム(登録商標)であってよい。BOAクロージャシステムの詳細は、2013年8月27日発行の米国特許第8,516,662号(’662の特許)で見ることができ、参照によりその開示が本明細書に組み込まれる。
図34Aに概略的に示されるBOAクロージャ706が、パネル704に添着されるアンカー706aと、クイックリリースコネクタ構成要素708に接続されるストラップ710に添着される張力ダイヤル構成要素706cとを有する。張力ダイヤル構成要素が’662の特許で説明されるようにケーブル706bを短くしたり伸ばしたりし、それによりケーブル706b内の張力を調整する。したがって、テンショニング構成要素が、圧縮組立体702を起動する前に快適な装着感が得られるまで使用者により圧縮デバイス700を締め付けるための機構を提供する。テンショニング構成要素706が上で考察した2段階圧縮能力を提供する。
【0061】
[0111]BOAクロージャを使用する代替的構成が
図34Bに描かれている。この構成では、張力ダイヤル構成要素711が圧縮デバイスの一方の端部712に添着され、ここでは、ケーブル713が張力ダイヤルおよび2つのクイックリリースコネクタ構成要素708を通るように巻かれる。ケーブル713が、ロケーション714aのところで圧縮デバイスに部分的に固着されるシース714をさらに通過する。2つのコネクタ構成要素708が、圧縮デバイスの反対側の端部717に固着される対応する構成要素709に対合するように構成される。この代替的構成を用いる場合、単一の張力ダイヤル構成要素711が2つのクイックリリースコネクタ構成要素708/709を通して張力を加えることができることが認識されよう。
【0062】
[0112]別の代替形態として、ケーブル713などの別個のケーブルではなく、SMAワイヤ自体がBOAクロージャ機構に一体化されてもよい。この代替形態では、
図31に示されるSMAワイヤ705などのSMAワイヤ、
図10に関連して説明したワイヤ110a~c、または、
図8および9の実施形態で示されるSMAワイヤ。したがって、クイックリリース構成要素708、709および張力ダイヤル構成要素711を通過する別個のケーブルではなく、ワイヤ705などのSMAワイヤがこれらの構成要素を通過することができる。このアプローチでは、SMAワイヤが必然的に他の実施形態の場合より長くなる。好適には、SMAワイヤは、
図31に示されるような概略直線状ではなく、
図34Cで示されるワイヤ705’によって示されるようにそれらの非応力状態において「波状」である。「波状」のワイヤ705’は、張力ダイヤル構成要素が回転させられるときにワイヤ内の緩みを取るのを可能にする。同時に、SMAワイヤ内の緩みが取り除かれるまで、パネル704などの、圧縮デバイスのボディが伸長される。したがって、このようなプレテンショニングにより、パネル704およびSMAワイヤ705’の両方に張力が加えられ、ここでは、ワイヤが圧縮デバイスの動作中にさらに張力を受ける。
【0063】
[0113]
図34Cが、SMAワイヤ705’を圧縮デバイスのボディまたはパネル704に固着するのに使用される別の特徴すなわちアンカー705aを示している。アンカーが、ワイヤが張力を受けるときおよび解放されるときにワイヤが摺動するのを可能にしながら、ワイヤをパネルに取り付けた状態で保持する。一実施形態では、アンカー705aが、デバイスの長さ方向に沿う離間されるロケーションのところで、パネル704に固定されるかまたは縫い付けられるループである。アンカー705aはSMAワイヤを
図34Cに示される「波状」形状にするのを可能にするように十分に離れるように離間されるが、ワイヤの起動時にワイヤを支持することができるように十分な近さで離間される。
【0064】
[0114]
図33を再び参照すると、圧縮デバイス700の内側面が運動用メッシュインナーライナー720を有することができる。弾性メッシュスリーブ722がパネル704の端部に添着され得、それにより、使用者が治療される身体部分を挿入するときに通過するところの開口部を形成する。スリーブ722は、クリックリリースコネクタ708、709を固定する前に圧縮デバイス700を位置決めするのを補助することを目的として、脚部などの身体部分に適合するのに十分な弾性を有する。インナーライナー720が、温熱治療の1つの形態を用いて治療を強化するための加熱ストリップまたは冷却ストリップを受けるようにサイズ決定される一連のスリーブ724を有することができる。
【0065】
[0115]
図32に示されるように、デバイス700の外側面が、制御モジュール715を保管するためのポケットを有することができる。加えて、圧縮デバイスの使用に関する情報を使用者が記録するのを可能にするためのパネル718が外側面上に設けられてよい。一実施形態では、パネル718が、その上で使用者が特定の治療プロトコルを記録することができるようなドライイレース表面であってよい。
【0066】
[0116]開示される例示の実施形態では、ワイヤが、デバイスまたはファブリックストラップの範囲に概略平行に配置される。言い換えると、ワイヤが、使用者の手足を取り囲む平行な円周の周りに配置される。代替的実施形態では、ワイヤが円周を基準としてある角度を有するように配置され得る。このような構成を用いる場合、作動時にデバイスに加えられる圧縮圧力が、手足の周りの円周方向に及ぶことに加えて、手足の長さ方向に沿うような圧力成分も有する。さらに、ワイヤの作動時の熱伝達を低減するのを補助するために、ワイヤがコーティングされ得るかまたはチューブ内に収容され得ることが企図される。被覆物またはチューブ類は、アラミド、ナイロン、TEFLON(登録商標)、または、他の同様の低摩擦の好適には低熱伝導性の材料で、形成されてよい。
【0067】
[0117]開示される例示の実施形態では、形状変化要素が起動することにより圧縮力が生じ、それにより、特定の刺激下で、要素が、使用者の手足の周りでデバイスを締め付けるように適合される方向の形状を変化させる。いくつかの実施形態では、形状変化要素が、電流を流してワイヤをオーム的に加熱することにより起動されるような、記憶金属ワイヤなどのシングルストランドのワイヤである。他の代替形態では、形状変化要素が、ブレードの内部を通過するオーム的に加熱されるワイヤにより起動されるブレードワイヤであってよい。
【0068】
[0118]別の代替形態では、形状変化要素が、長さではなくアスペクト比を変化させるオーゼティックケーブルであってよい。このタイプの材料を用いる場合、ケーブルの起動時にケーブルの厚さが増大し、概略非弾性のデバイスの場合、これが手足に対しての径方向圧力へと変換される。ケーブルの端部を引くことによりオーゼティックケーブルが作動される。オーゼティックケーブルの端部を引くための力を提供するのに形状記憶アクチュエータが利用され得る。引張力を提供するのにマイクロソレノイド構造が使用され得ることもさらに企図される。この場合、オーゼティックケーブルを迅速に引いたり解放したりすることにより振動圧力を提供するように、マイクロソレノイドが制御され得る。
【0069】
[0119]本開示は一般に人間の使用者、患者または運動選手を対象とするが、本明細書で開示される圧縮デバイスは他の動物にも適合され得る。例えば、競走馬は、しばしば、人間の運動選手が受けるとの同様の、レース前およびレース後の治療を受ける。本明細書で開示される圧縮デバイスのいずれも、馬の脚部の任意の部分を取り囲むようにサイズ決定および構成され得る。さらに、他の動物の治療のためにも同様の修正が行われ得る。
【0070】
[0120]また、本明細書で説明されるSMAワイヤは、一般的な形状記憶合金などのように、電流の印加によって作動され得る。したがって、電流がワイヤを通って流れるとき、SMAワイヤが熱を発生させることになる。この熱は、本開示の圧縮デバイスを使用する治療計画の一部となり得る。別法として、SMAワイヤが、患者への熱伝達を回避するために熱的に隔離されてもよい。
【0071】
[0121]別の代替形態として、本明細書で開示される圧縮デバイスが、身体を取り囲まずに、身体の一部分上に集中的な圧力を適用するように構成され得る。例えば、デバイス400などのデバイスが、例えば
図18に示されるような3つのリブといったように、限定される数のリブを有することができる。リブが、背下部に跨るかまたは沿うような形などで、患者の皮膚に着脱自在に付着され得る。SMAワイヤが作動することで、ワイヤが収縮したりそのニュートラルな長さに戻ったりするときに、リブの間のスペースが連続的に縮小したり拡大したりする。デバイスが収縮したり膨らんだりするときにこのアクションが実質的に皮膚を揉むことになる。このアプローチは、本明細書で開示される圧縮デバイスをトレーニングの補助として使用するのを可能にし、ここでは、このデバイスが運動選手によって着用され、不適切な動きに反応して圧縮力を適用するように制御される。例えば、デバイスが、スイング中にゴルファーの肘が真っすぐになっていないことに反応して腕の背面に圧縮力を適用するために、ゴルファーの腕の三頭筋領域に付着され得る。デバイスに付随するセンサが、ゴルファーの腕の姿勢、および、前腕と上腕との相対位置を決定することができる。デバイスによって加えられるわずかな圧縮力が、ゴルファーに三頭筋を締めさせ、それにより腕を真っすぐにさせることができる。圧縮デバイスを用いる練習は筋肉の記憶を作り出すことから、ゴルファーがスイング中に肘を真っすぐに維持するのを習得することになる。このデバイスは、スポーツのいかなる種類の繰り返す動きに対しても適切なフォームを促進するように身体の任意の関節のところで使用され得、これは、サッカーボールを蹴ることであっても、バスケットボールでシュートを打つことであっても、または、バタフライの泳ぎのストロークを行うことであってもよい。
【0072】
[0122]本明細書で開示される圧縮デバイスは、アンギナのための非外科的治療などのEECP(Enhanced External Counterpulsation Therapy)で使用され得る。1つまたは複数のデバイスが、1回の心拍動ごとに血液を物理的に圧迫して心臓に戻すようにするために、患者の下肢の周りに巻き付けられ得る。デバイスのコントローラが、心拍周期内での適切なタイミングで圧縮を実行するために、患者の心拍動を評価してSMAワイヤの起動のタイミングを決定するパルスセンサに連結され得るかまたはそのようなパルスセンサを組み込むことができる。この場合、コントローラが上述したプロトコルのうちの1つのプロトコルに従って動作することができ、ここでは、圧縮デバイスのセクションが心臓へと戻すように血液を押し進めるのを補助するために順番に作動される。
【0073】
[0123]本明細書で開示される圧縮デバイスは身体のほぼすべての筋肉を治療するのに使用され得る。
図35に示されるように、圧縮デバイスが着用可能な下半身全体の圧縮デバイス740に一体化され得、ここでは、圧縮が各脚部706に適用される。圧縮治療中に制御モジュール715を保管するためのポケット742が組み込まれ得る。
図36~37に示される圧縮デバイス750が、既に存在する衣類の外側から使用者の脚部に着用可能となるように構成される。この実施形態では、個別のセグメント752、753が大腿部およびふくらはぎの周りにそれぞれに巻き付けられ、セグメント751によって接続される。各セグメントが初期状態において、パネル756内のスロット755を通してねじ込まれるストラップ754により定位置で保持される。
図36に示されるように、ストラップ754が上述のテンショニングデバイス757に一体化され得る。各ストラップ754が、
図37に示されるように、それ自体の上に逆方向に固定されるかまたはデバイス750の外側表面に対して固定されるマジックテープ表面を有することができる。
【0074】
[0124]別の特徴は、冷却ゲルなどの冷却材料を組み込むライナー753が追加されることである。ライナー753は冷蔵庫内などで予め冷却され得、着脱自在に取り付けられるような形または上述のポーチ640と同様に、予め形成されるポケット内に装着される形などで、デバイス750に加えられ得る。別法として、ライナー753は「こぶ付き」のパネルであってよく、すなわち、皮膚を支承する比較的固いプラスチックのこぶを有するパネルであってよい。冷却ゲルを有するように構成される場合でもまたは「こぶ付き」パネルとして構成される場合でもあるいは治療療法のために、適合される任意の他の構成である場合でも、ライナー753が本明細書で開示される圧縮デバイスすべてに組み込まれ得ることが認識されよう。制御モジュール715が、ケーブル703により、デバイス750に付随する圧縮アセンブリに接続され、腰ベルトの周りに巻き付けられるように構成されるベルトストラップ756によって担持され得る。
【0075】
[0125]本明細書で説明される圧縮デバイスが身体の他の部分に適合するようにさらに修正され得、これらは、それぞれ
図38、39に示されるような、手の周りに巻き付けられるように構成される圧縮デバイス760、および、足首ラップとして構成されるデバイス770などである。肩の構成が
図40A、40Bに示される。肩の圧縮デバイス780、784が上腕および肩の周りに巻き付けられるように構成される。デバイス780、784が、上腕の周りに巻き付けられる部分781a、786a、および、使用者の胸部および上側の背中(upper back)に跨って延在する部分781b、786bを有する。デバイスが、部分781b、786bから延在して使用者の胸部および背中の周りに巻き付けられる胸部ストラップ782、785により、それぞれ、定位置で保持される。デバイスが、制御モジュール715を担持するためのポケットを装備することができる。
図41に示される圧縮デバイス790が、特には背部筋肉に圧縮を適用するために、使用者の胸部または胴体の周りに巻き付けられるベストとして構成され得る。
図42に示される圧縮デバイス795は、着用者の臀部、ITバンドおよび大臀筋に対しての圧縮を実現するために、ワークアウト用の短パンのように着用されるように構成される。
図43が、背下部に圧縮を適用するように特には構成される腰部の圧縮デバイス800を示す。
図44に示されるふくらはぎの圧縮デバイス810が、ベースパネル816から延在する複数のパネル811~814を有する。パネルのうちの2つのパネル811、812が使用者の下側のふくらはぎの周りに巻き付けられるように配置され、対して、パネル813、814がふくらはぎの上側部分の周りで着用されるように構成される。パネルが、上述したコネクタおよびプレテンショニング構成要素と同様の、クイックリリースコネクタ構成要素818、819および張力ダイヤル820を有する。さらに、パネル811~814が使用者のふくらはぎの周りでベースパネルに接続されているときに、パネル811~814の端部に上から重なって覆うための保護パネル822が設けられてよい。
【0076】
[0126]圧縮デバイスが、使用者の足のための圧縮またはマッサージを実行するために、靴に一体化され得る。したがって、
図45A~Cに示されるように、ソール901およびアッパー902を備える靴900が、ソール901と靴インサート(図示せず)との間に配置される圧縮デバイス910を有する。圧縮デバイス910が、ソールに沿っておよび靴のアッパー902の内部に沿って延在するSMAワイヤ915を有する。キャップ920が使用者の足とSMAワイヤ910との間に設けられ、その結果、ワイヤが靴のアッパーとキャップとの間に配置されることになる。キャップ920は、SMAワイヤの直接の圧力から使用者の足の上側部分を保護するために、十分に高い剛性を有する。また、キャップは、SMAワイヤの起動時に圧縮力を分散させるのを補助する。靴インサートが使用者の足の底側部分を保護することができる。このように、圧縮デバイス910が、使用者の足にマッサージまたは圧縮プロトコルを適用するように動作することができる。
【0077】
[0127]代替のデバイス930が靴の中に実装された状態で
図46A、46Bに示されている。靴のソール932が別個の圧縮デバイス935、937のためのアンカーとして機能し、電源および搭載制御回路(power and on-board control circuitry)940を収容する。圧縮デバイス935、937が、
図46A、46Bに示されるように、概して正弦波のようなパターンで、靴のアッパー934に設置されるループ942を通して送られる対応するSMAワイヤ936、938を有する。それぞれのデバイス935、937が起動されると、足の中心および靴のアキレス腱部分のところの加えられる圧縮力C(
図46B)が使用者の足の上で靴を締め付ける。電源および制御回路940は、回路内に埋め込まれるスイッチに対しての使用者の踵による下向きの圧力により起動され得るか、または、外部のスイッチによって起動され得る。外部のスイッチは靴のソール932もしくはアッパー934に一体化されてよいか、または、無線構成要素の一部であってもよく、その場合、デバイス930がスマートフォンによって選択的に起動され得る。SMAワイヤ936、938が、SMAワイヤを防護するのを補助するためのソール932およびアッパー934の材料に一体化され得、その結果、SMAワイヤがあまりに迅速に熱を失うことがなくなり、それにより、ワイヤに供給される電力をより少なくしてSMAワイヤがその収縮レベルを維持することが可能となる。
【0078】
[0128]別の修正形態では、靴の中心にある圧縮デバイスが
図46Cに示されるように修正され得る。具体的には、圧縮デバイス935’が、靴紐アイレットLから延在してソール932内に埋め込まれる個別のワイヤ936を組み込むことができる。ワイヤ936が好適には、靴のソール内でワイヤを収縮させるのを可能にするように、ソール932内に埋め込まれるシース内に配置される。ワイヤはさらに靴のアッパー934の材料内にも埋め込まれ、これはやはりシース内であることが望ましい。
【0079】
[0129]本明細書で開示される圧縮デバイスが、本明細書で説明される圧縮-解放プロトコルを適用するために、SMAワイヤの作動を制御するコントローラを組み込む。圧縮デ
バイスのためのコントローラが、上述のマイクロコントローラ24または66などのマイクロコントローラを組み込むことができ、マイクロコントローラが、特定のデバイスのSMAワイヤの各々に印加される電流のデューティサイクルを制御する。マイクロコントローラが、ワイヤを過熱することから保護するために、SMAワイヤの作動時間を制御するためのパルス幅変調テクニックを組み込むことができる。例えば、マイクロコントローラが、所定の時間で2~15%でワイヤの長さを縮小することすなわちワイヤを縮めることを達成するのに十分な長さで、作動されるSMAワイヤに電流を印加するように構成される。特定の実施例では、5~30Vの電圧および0.2~4ampの電流が1.5~3.5秒の継続時間で印加される。デューティサイクルは35~100%の間で変化してよい。PWM周波数は2~10kHzの範囲であってよい。この制御される作動が、過度の熱を発生させることなく使用者に所望の圧縮シークエンスを提供するような時間にわたっての所望の圧縮を適用する。連続するSMAワイヤが作動され得るようなシークエンスが、再び作動される前にワイヤを冷却するのに十分な時間を得るのに利用され得る。SMAワイヤの作動特性はワイヤの長さおよび直径に関連することから、マイクロコントローラが、特定の所定のワイヤ長さ/直径に対応するMOSFETスイッチを装備することができる。
【0080】
[0130]本開示は人間の身体上に着用される圧縮デバイスを企図する。SMAワイヤのこの用途には、使用者の電気ショックおよび過熱を防止しながら、またさらにはエネルギー効率よくこれを行いながら、デバイスの一様であり制御可能である収縮を実現するという明確な課題が伴われる。本明細書で開示されるデバイスによると、広範囲の圧縮において有効である結果を得るためには、5~50ワットの範囲の電源が必要であり得ることが企図される。この所要電力は12ボルトの電源によって満たされ得、これは、リチウムポリマーバッテリーなどの搭載高エネルギーバッテリーを使用すること、または、別個の電源に接続される電気アダプタ/変圧器を使用することのいずれであってもよい。
【0081】
[0131]さらなる複雑性により、SMAワイヤデバイスを用いての力およびストロークの有用な組み合わせが可能となる。Nitinolワイヤなどの一般的なSMAワイヤは加熱時にその長さを約4%収縮させることができる。したがって、大腿部などの身体部分の周りに単一のSMAワイヤを単純に巻くことでは、ほとんどの目的において十分な圧縮を実現しない。例えば、最適な「フィーリング」および効果を得るためには、大腿部などの大きい筋肉の直径を8~10%縮小させることが必要であることが分かっている。さらに、単一のワイヤにより「絞められる」ことになるのを回避するためには、圧縮力をより広い面積に分散させることが必要である。力の分散を広くすることは大径のSMAワイヤに非常に有利な影響を及ぼし、より大きい圧縮力を提供することができるが、エネルギー入力の要求条件が増すことにもなる。
【0082】
[0132]SMAベースの着用可能な圧縮デバイスの複雑性の別のファクタは収縮の速度である。本発明の圧縮デバイスのいくつかの用途では、ローリングする2秒間の圧縮波により治療用の圧縮が達成され得る。この圧縮波で生じるエネルギー消費により、取り除かなければならないような余熱が生じる。すなわち、使用者に不快感を与えるようなレベルにまでデバイスが温められる可能性がある。したがって、本発明のデバイスは、収縮の速度および使用者に対してのその効果を最適化するような、エネルギー管理と、断熱と、作動サイクル時間との組み合わせを企図する。
【0083】
[0133]有効な利用においての十分な圧縮を実現するためには、単一のSMAワイヤでは一般には不十分であることから、何らかの形のストローク増幅が必要である。
図9~25に示されるデバイスなどの、上で開示されるデバイスは、ストローク増幅のための1つの機構を提供する。以下で別のアプローチを考察する。
【0084】
[0134]本明細書で開示されるデバイスは、エラストマー材料でコーティングされるかまたはエラストマー材料内に封入されるSMAワイヤを組み込むことができる。したがって、
図47の図に示される一実施形態では、ワイヤ構成1000が、エラストマーのシース1003内に覆い隠されるような、上で考察したSMAワイヤと同様であってよいSMAワイヤ1001を有する。一実施形態では、シース1003がシリコーンまたはポリウレタン材料で形成され得る。一実施形態では、シース1003がSMAワイヤ1001の上に直接に形成され得るかまたはSMAワイヤ1001上にコーティングされ得る。シース材料の弾性の性質により、シースがSMAワイヤと共に膨らんだり収縮したりすることが可能となる。シースは、SMAワイヤ1001自体よりも大きい直径をワイヤ構成1000に提供するように較正される厚さを有することができる。このようにより大きい全径は、SMAワイヤの収縮時にワイヤ構成によって生じる力を分散させるのを補助する。別法として、シース1003とSMAワイヤ1001との間に隙間1004が存在してもよく、その結果、ワイヤがシースから独立して摺動することができるようになる。隙間1004はシースの厚さのみの場合よりも防護レベルを上げることになる。一方で、隙間1004はワイヤ構成を作動させるのに必要ではなく、圧縮デバイスの起動時にシースをひだ状にする可能性がある。
【0085】
[0135]シース1003の材料は、圧縮を同様のレベルに維持するのに必要となる追加のエネルギー入力をわずかな限定的なものとしながら、収縮時にSMAワイヤ1001がその温度を維持するのを補助するのに十分な熱伝導度を有するように適合される。シースの熱質量および比熱容量は、SMAワイヤに加えられるコーティング材料の厚さを変化させることにより、較正され得る。加えて、ベースのシース材料が、シース全体の伝導度を調整するために、熱伝導材料または断熱材料でドープされ得る。例えば、シース1003は気泡を注入され得るか、または、ガラスビードもしくはダイヤモンド粉末を組み込むことができる。シース1003は、使用者の皮膚に接触する下にあるファブリックのボディ1010に直接に隣接するような保護成分を選択的に組み込むことができ、また、外側表面上に熱伝導成分を選択的に組み込むことができる。SMAワイヤは、ワイヤに対しての電圧パルス継続時間が既知である場合にSMAワイヤの温度上昇が既知となるようにするために、本質的に、抵抗加熱器である。シースの熱伝導度、拡散率および熱質量が、ワイヤ構成1000から出る熱エネルギー、さらには、圧縮デバイスを着用している使用者の受ける熱を調節する。
【0086】
[0136]
図47を再び参照すると、シース1003のさらなる利点が描かれている。具体的には、シースは、ワイヤ構成1000を圧縮デバイスのボディに取り付けるのを容易にすることができる。一実施形態では、シース1003が圧縮デバイスの弾性ファブリック1006に添着され得る。ファブリック1006が、SMAワイヤの収縮によって生じる圧縮力を広げることができる材料で形成されてよい。したがって、ファブリックは、使用者の身体の形状に適合するように湾曲させられ得る竹材またはナイロン材料であってよい。別の態様では、圧縮デバイス1010’のSMAワイヤ1001’が
図48Aaに描かれるような初期状態の正弦波構成で形成され得る。正弦波構成はSMAワイヤ1001’をばねのように機能させるのを可能にする。結果として、ファブリック1006が伸長するときにワイヤが容易に伸長することができるかまたは真っすぐになることができる。したがって、デバイスが使用者の身体上に設置されるとき、デバイスのファブリック1006が伸長し、
図48Bに描かれるように、SMAワイヤ1001”が実質的に真っすぐになる。このようにSMAワイヤが真っすぐになることが、ワイヤに予張力を加えるように働く。SMAワイヤ1001”が給電されると、SMAワイヤ1001”がその元の正弦波形状に戻ろうとし、それにより使用者に身体に圧縮を適用する。
【0087】
[0137]別の実施形態では、SMAワイヤ1001およびシリコーンシース1003が、
図49A、49Bに示されるように、第2のシース1012を組み込む構成に組み込まれ
得る。
図49Aに示されるように、シリコーンシース1003がU形となるように形成され、一方の端部が調整可能なクロージャ1018に接続されるためのアンカー部片1019に固着され、調整可能なクロージャ1018が
図34Aに示されるクロージャ706に類似してよい。SMAワイヤ1001が、アンカー1002により、
図47のファブリック1006などの、下にあるファブリック層に固着される。シリコーンシース1003が、装着具1014により、ナイロンチューブ1012などのより柔軟性の低いチューブ類に固着される。装着具1014が、チューブ1003、1012の両方の周りで熱収縮してそれらのチューブを一体にしっかりと固定するシュリンクチューブの形態であってよい。装着具1014が、下にあるファブリックに固定される別個のアンカーストリップ1016に固定され得る。
図49Bに示されるように、ナイロンチューブをSMAワイヤアンカー1002に添着するのに同じ装着具が使用されてよい。ナイロンチューブが低摩擦内側表面を有し、それ以外では、シリコーンチューブ1003よりも概して柔軟性が低い。チューブ類のこのような組み合わせは圧縮デバイスのストロークをシリコーンチューブ1003に集中させ、それにより良好に制御される圧縮領域を提供する。
【0088】
[0138]システムに入るエネルギーのみではなくシステムから出るエネルギーも調節するために、電圧デューティサイクルが調節され得る。シース1003の厚さを縮小することにより、ワイヤ構成1000から放出される熱エネルギーが増加する。この熱エネルギーは使用者に対して圧縮デバイスの温度の上昇を明確に示すものであり、これは所望される場合がある。別法として、シース1003の厚さを増大させることにより、ワイヤ構成から出る熱エネルギーが減少し、その結果、圧縮デバイスが加熱パッドのようには機能しなくなる。しかし、ワイヤ構成から出る熱エネルギーを制限することは、SMWワイヤ内でより多く熱が保持されるということを意味し、したがってこれは、SMAワイヤ構成をその収縮レベルで維持するのに必要となる追加のエネルギーが減ることを意味する。
【0089】
[0139]一部の事例では、収縮状態(すなわち、SMAワイヤのオーステナイト相)と緩んだ状態(すなわち、SMAワイヤのマルテンサイト相)との間でワイヤ構成を往復させることが所望される。このような事例では、シースによって保存/保持される入力エネルギーおよび熱エネルギーと、シースを通して消散するエネルギーとの間でのバランスを維持しなければならない。この事例では、より短い入力パルスの高い電圧が好ましい可能性がある。というのは、入力電圧が高いとデバイスの作動速度が上がることが分かっているからである。SMAワイヤ1001内の電流を監視することにより厳密な制御が達成され得る。例えば、ボディに対して押圧されるシリコーンシース内にある127cm(50インチ)の長さおよび0.0381cm(0.015インチ)の直径を有するNitinolワイヤが、約2.5秒で完全な相変化を行うようにワイヤを加熱するのに21ボルトを必要とする可能性がある。初期電流パルスは約1.7ampであり、相変化後に約2ampのピークに達する。ワイヤ構成からボディへの熱伝達がプラスである場合、定常状態条件が達成され得、ここでは、ワイヤ構成に加えられるエネルギーが出ていくエネルギーと等しくなる。電流がそれ以上増大し得ない場合、ワイヤの温度がほぼ永久的にオーステナイト状態よりわずかに高い状態で維持され得る。対して、熱伝達がマイナスである場合、これは熱が人間の身体からワイヤ構成へと伝達されることを意味するわけであるが、SMAワイヤがそのオーステナイト相に達するとワイヤ温度が迅速に上昇することができる。この時点で、ワイヤ構成の収縮および使用者とワイヤ構成との間の熱伝達状態の両方を調節するために、コントローラがワイヤ構成に印加される電圧を停止することができる。さらに、この時点で、圧縮サイクル中に特定の加熱効果を達成する場合には、電圧が継続してワイヤ構成に印加されてもよい。これはSMAワイヤを過熱するのを回避するように注意して行われる。一般的な事例では、SMAワイヤの温度が130℃を超える場合、SMAワイヤが損傷する可能性がある。
【0090】
[0140]本発明のデバイスの一態様によると、デバイスコントローラが、SMAワイヤを
通って流れる電流を監視し、また具体的には、電流パルスの勾配の変化を監視する。勾配が閾値未満まで低下すると、SMAワイヤへの電流が遮断される。一実施例では、閾値は、勾配が、毎秒0.1ampの増加未満まで低下する場合である。電流がHall効果センサまたは同様の手段によって測定され得、勾配がコントローラによって実時間で計算され得、継続的な評価のために、各作動サイクルを通して保存される。フェイルセーフとして、所与の作動サイクルにおいて2.5秒といったように、ONのときの最大電圧パルスが設定され得る。本開示による圧縮デバイスの作動時間が、デバイスの最初の起動時にはより長いサイクル時間を必要とする可能性があることが考えられる。というのは、SMAワイヤが相転移温度よりかなり低い周囲温度であるからである。さらに、連続する各々の作動サイクルにおいて作動時間が短縮されていくことが考えられる。というのは、SMAワイヤが転移温度に既に達しており、圧縮デバイス内の使用者の身体の温度が上昇すると、熱エネルギーを発するためのシースの能力が徐々に低下するからである。これらの条件下では、SMAワイヤの過熱を防止するために、電圧パルスを短くすることが必要である。特定の条件下では、SMAを転移温度未満およびマルテンサイト終了温度未満まで冷却するのを可能にするために、圧縮デバイスおよびワイヤ構成の「休止状態」を長くすることが必要となる可能性がある。したがって、一部の事例では、この休止時間が60~90秒であってよい。
【0091】
[0141]SMAワイヤを通る電流フローを制御するための一方法において、ワイヤの長さが継続的に調べられてよく、ワイヤの長さがそれらの完全な変形時の長さに達すると、ワイヤへの電流が遮断される。したがって、一態様では、SMAワイヤの初期の長さを測定するために、およびワイヤの長さを継続的に調べるために、時間領域反射率計(TDR:time domain reflectometer)および周波数領域反射率計(FDR:frequency domain reflectometer)が使用され得る。TDRまたはFDRは、ワイヤがその完全な変形時の長さまで縮んだときに電力をオフにするようにデバイスコントローラに信号を送るように構成され得る。別のアプローチでは、TDRまたはFDRの代わりに、機械的スイッチが提供され得る。したがって、
図50に示されるように、SMAワイヤ1020がエンドコネクタ1024に固着され得、シース1022内に摺動可能に配置される。電気接点1025がエンドコネクタ1024に設置され、接点1026がシース1022の端部に設置され、ここではワイヤ1027がデバイスコントローラに繋がる。SMAワイヤ1020がその所望の長さまで縮むと、ワイヤを収縮させることにより、電気接点1025、1026を接触させるまでエンドコネクタ1024がシース1022の方に引かれる。接点が接触すると、ワイヤ回路1027が閉じられ、デバイスコントローラに信号を送信し、デバイスコントローラがそれに応答してそれに応じてSMAワイヤ1020への電流フローを停止する。
【0092】
[0142]別の実施形態では、圧縮デバイス1050が、上述のSMAワイヤデバイスのアクティブな圧縮特徴部分と、電気刺激デバイスとを組み合わせる。したがって、
図51に示されるように、圧縮デバイス1050が、本明細書で説明される圧縮デバイスのうちの任意の圧縮デバイスの手法などで、使用者によって着用されるように構成されるベース1052を有することができる。デバイスが、やはり本明細書で説明される手法のうちの任意の手法で、デバイスコントローラ1065によって電力供給および制御されるSMAワイヤ1054を装備する。ベース1052が刺激領域1060を有し、刺激領域1060上に複数の電気刺激デバイス1062が設置される。一実施形態では、デバイスがTENS(経皮電気的神経刺激(transcutaneous electrical nerve stimulation))ユニットである。TENSユニット1062がデバイスコントローラ1065に接続され、デバイスコントローラ1065が、デバイスから発せられる電気信号のパルス幅、周波数および強度を制御するなどの形で、所望のプロトコルに従ってTENSユニットを起動および制御するように構成される。圧縮デバイス1050が、TENSユニットを押圧して使用者の皮膚に直接接触させた状態で維持するのを補助するために、各TENSユニット1062の上で少なくとも1つのSMAワイヤ1054を位置決めすることができる。これはTENSユニットを動作させるのに必要なことである。SMAワイヤの電気的要求およびデューティサイクルはTENSユニットのデューティサイクルおよび電気的要求とは異なることから、TENSユニット1062が別個にデバイスコントローラ1065に接続される。
【0093】
[0143]デバイスコントローラ1065が、所望のプロトコルに従ってSMAワイヤおよびTENSユニットを変調させるように構成され得る。例えば、1つのプロトコルでは、SMAワイヤ1054が例えば4秒などといったように固定の時間で圧縮を提供するように起動され、またさらには、SMAワイヤが緩められるときに、TENSユニット1062が次の4秒間で起動され、その後で4秒の休止状態が続く。所望される限りにおいて、このサイクルが繰り返されてよく、このサイクルは、このサイクルの圧縮部分および/またはTENS起動部分に熱を加えることを伴ってよい。
【0094】
[0144]図面および上記の説明において本発明を詳細に例示および説明してきたが、これらは、本質的に、例示的であるとみなされるべきであり、限定的であるとみなされるべきではない。好適な実施形態のみを提示していること、ならびに、本発明の趣旨の範囲内にあるすべての変更形態、修正形態、および、別の用途が保護されることが望まれること、を理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
【
図1】[012]本明細書で説明されるデバイスの一実施形態で使用されるための、それに添着される複数の圧縮パッドを備える圧縮可能なファブリックボディを示す平面図である。
【
図2】[013]
図1に示される圧縮パッドを示す拡大側面図および拡大端面図である。
【
図3】[014]開示される一実施形態によるデバイスを示す平面図である。
【
図4】[015]
図3に示されるデバイスで使用されるための回路基板を示す上面図である。
【
図5】[016]
図3に示されるデバイスの電気回路を示す回路図である。
【
図6】[017]開示される一実施形態による圧縮デバイスのための内部ソックスを示す斜視図である。
【
図7】[018]開示される一実施形態による圧縮デバイスのための、
図6に示される内部ソックスと共に使用されるための外部ソックスを示す斜視図である。
【
図8】[019]形状変化要素を起動するためのマイクロモータを利用する別の実施形態によるデバイスを示す平面図である。
【
図9】[020]本開示の別の態様による圧縮デバイスを示す上面図である。
【
図10】[021]
図9に描かれる圧縮デバイスのアレイを示す上面図である。
【
図11】[022]本開示の別の態様による圧縮デバイスを組み込む圧縮デバイスを示す上面図である。
【
図12】[023]
図11に示される圧縮デバイスのストラップの端部を示す拡大図である。
【
図13】[024]
図11の圧縮デバイスの一次回路基板および過剰応力保護回路(overstress protection board)を示す拡大上面図である。
【
図14】[025]本開示の別の実施形態による圧縮デバイスを示す上面図である。
【
図15】[026]
図14に示される圧縮デバイスのアレイを示す図である。
【
図16】[027]本開示の別の実施形態による圧縮デバイスを示す図である。
【
図17】[028]本開示の別の態様による圧縮デバイスを示す上面図である。
【
図18A】[029]本開示の別の態様による圧縮デバイスを示す上面図である。
【
図18B】[030]使用者の手足を取り囲む圧縮デバイスを示す部分斜視図である。
【
図19A】[031]蠕動的圧縮を生じさせるように作動される多様なSMAワイヤを備える、
図18に示される圧縮デバイスを示す連続の図である。
【
図19B】蠕動的圧縮を生じさせるように作動される多様なSMAワイヤを備える、
図18に示される圧縮デバイスを示す連続の図である。
【
図19C】蠕動的圧縮を生じさせるように作動される多様なSMAワイヤを備える、
図18に示される圧縮デバイスを示す連続の図である。
【
図20】[032]
図18に示されるデバイスで使用されるためのリブを示す斜視図である。
【
図21】[033]
図18に示される圧縮デバイスで使用されるための別の実施形態によるリブを示す上面図である。
【
図22】[034]
図21の線22-22に沿う、
図21に示されるリブを示す側断面図である。
【
図23】[035]
図21の線23-23に沿う、
図21に示されるリブを示す側断面図である。
【
図24】[036]本開示の別の態様による圧縮デバイスを示す上面図である。
【
図25】[037]
図24の線25-25に沿う、
図24に示されるデバイスを示す断面図である。
【
図26】[038]本開示の別の態様による圧縮デバイスを示す上面図である。
【
図27】[039]
図26に示される圧縮デバイスのストラップ構成要素の一方の面を示す図である。
【
図28】[040]
図27に示されるストラップ構成要素の反対側の面を示す図である。
【
図29】[041]
図27~28に示されるストラップ構成要素を示す切欠図である。
【
図30】[042]
図26に示される圧縮デバイスと共に使用されるためのアクセサリ構成要素を示す上面図である。
【
図31】[043]本開示の別の態様による圧縮デバイスの内側組立体を示す平面図である。
【
図32】[044]
図31に示される圧縮デバイスの外側面を示す平面図である。
【
図33】[045]
図31~32に示される圧縮デバイスの内側面を示す平面図である。
【
図34A】[046]
図31~33に示される圧縮デバイスで使用されるためのテンショナを示す拡大図である。
【
図34B】[047]
図34Aに示されるテンショナの代替の構成を示す拡大図である。
【
図34C】[048]
図34Bに示されるテンショナの代替の構成内のSMAワイヤを示す拡大図である。
【
図35】[049]本開示の1つの特徴による下半身全体の圧縮デバイスを示す斜視図である。
【
図36】[050]本開示の別の特徴による片脚の圧縮デバイスを示す斜視図である。
【
図37】[051]使用者の脚部の周りに巻き付けられて示される
図36の片脚の圧縮デバイスを示す斜視図である。
【
図38】[052]本開示による踵の圧縮デバイスを示す斜視図である。
【
図39】[053]本開示による手首の圧縮デバイスを示す斜視図である。
【
図40A】[054]本開示による肩の圧縮デバイスを示す斜視図である。
【
図40B】本開示による肩の圧縮デバイスを示す斜視図である。
【
図41】[055]本開示による胴体の圧縮デバイスを示す斜視図である。
【
図42】[056]本開示による、臀部を治療するように適合される圧縮デバイス、ITバンド、および、着用者の大臀筋を示す斜視図である。
【
図43】[057]本開示による腰部の圧縮デバイスを示す斜視図である。
【
図44】[058]本開示によるふくらはぎの圧縮デバイスを示す平面図である。
【
図45A】[059]靴に組み込まれる圧縮デバイスを示す上面斜視図である。
【
図45B】靴に組み込まれる圧縮デバイスを示す上面斜視図である。
【
図45C】[060]圧縮デバイスの構成要素を示している、
図45A、Bの靴を示す端面断面図である。
【
図46-1】
図46A、46Bは、代替のデバイスが靴の中に実装された状態を示す図である。
【
図46-2】
図46Cは、靴の中心にある圧縮デバイスが修正された状態を示す図である。
【
図47】
図47は、エラストマー材料でコーティングされるかまたはエラストマー材料内に封入されるSMAワイヤを示す図である。
【
図48A】
図48Aは、圧縮デバイスのボディへのワイヤ構成の取り付けを示す図である。
【
図48B】
図48Bは、圧縮デバイスのボディへのワイヤ構成の取り付けを示す図である。
【
図49】
図49A、49Bは、SMAワイヤおよびシリコーンシースが、第2のシースに組み込まれた状態を示す図である。
【
図50】
図50は、SMAワイヤがエンドコネクタに固着された状態を示す図である。
【
図51】
図51は、圧縮デバイスがSMAワイヤと電気刺激デバイスとを組み合わせた状態を示す図である。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の生体構造の一部分に制御可能な圧縮を適用するための圧縮デバイスであって、
着用可能な材料で形成されるパネルであって、前記使用者の前記生体構造の一部分に適用されるようにサイズ決定および構成され、前記生体構造の前記一部分に前記パネルが適用されるときに互いに向かい合うように構成される両端部を有する、パネルと、
前記両端部の間で前記パネルによって支持され、前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧縮力を適用するように構成される複数の形状記憶ワイヤと、
前記複数の形状記憶ワイヤのうちの1つまたは複数の形状記憶ワイヤを選択的に作動させて、前記ワイヤの有効長さを縮小させ、ひいては前記生体構造の前記一部分の周りの前記パネルの有効長さを縮小させて、これにより前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧力を適用するように構成されるコントローラと
を備え、
前記コントローラが、前記ワイヤの温度を制御することを目的として、前記複数の形状記憶ワイヤにパルス幅変調制御を適用するように動作可能である、
圧縮デバイス。
【請求項2】
前記コントローラが、前記ワイヤのうちの選択的に作動されるワイヤに電流を印加して、2~15%で前記ワイヤの長さを縮めることを十分に達成するように構成される、請求項1に記載の圧縮デバイス。
【請求項3】
前記コントローラが、5~30Vの電圧、1.5~3.5秒の継続時間、2~10kHzのパルス幅変調周波数で、0.2~4ampの電流を印加するように構成される、請求項1に記載の圧縮デバイス。
【請求項4】
使用者の生体構造の一部分に制御可能な圧縮を適用するための圧縮デバイスであって、
着用可能な材料で形成されるパネルであって、前記使用者の前記生体構造の一部分に適用されるようにサイズ決定および構成され、前記生体構造の前記一部分に前記パネルが適用されるときに互いに向かい合うように構成される両端部を有する、パネルと、
前記両端部の間で前記パネルによって支持され、前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧縮力を適用するように構成される複数の形状記憶ワイヤであって各々がエラストマーのシース内に配置される、複数の形状記憶ワイヤと、
前記複数の形状記憶ワイヤのうちの1つまたは複数の形状記憶ワイヤを選択的に作動させて、前記ワイヤの有効長さを縮小させ、ひいては前記生体構造の前記一部分の周りの前記パネルの有効長さを縮小させて、これにより前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧力を適用するように構成されるコントローラと
を備える、
圧縮デバイス。
【請求項5】
前記シースがシリコーンまたはポリウレタン材料で形成される、請求項4に記載の圧縮デバイス。
【請求項6】
前記シースが、気泡、ガラスビードまたはダイヤモンド粉末を組み込む、請求項4に記載の圧縮デバイス。
【請求項7】
各々の前記ワイヤのための前記エラストマーのシースが前記パネルに固着され、前記ワイヤが前記シース内に摺動可能に配置される、請求項4に記載の圧縮デバイス。
【請求項8】
前記複数の形状記憶ワイヤが、応力を受ける前の状態で、前記パネル上に正弦波のパターンで配置され、前記コントローラにより作動される前に応力状態で直線状となるように構成される、請求項4に記載の圧縮デバイス。
【請求項9】
使用者の生体構造の一部分に制御可能な圧縮を適用するための圧縮デバイスであって、
着用可能な材料で形成されるパネルであって、前記使用者の前記生体構造の一部分に適用されるようにサイズ決定および構成され、前記生体構造の前記一部分に前記パネルが適用されるときに互いに向かい合うように構成される両端部を有する、パネルと、
前記両端部の間で前記パネルによって支持され、前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧縮力を適用するように構成される複数の形状記憶ワイヤと、
前記複数の形状記憶ワイヤのうちの1つまたは複数の形状記憶ワイヤに選択的に電流を印加して、前記ワイヤの有効長さを縮小させ、ひいては前記生体構造の前記一部分の周りの前記パネルの有効長さを縮小させて、これにより前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧力を適用するように構成されるコントローラと
を備え、
前記コントローラが、作動中に各形状記憶ワイヤを通って流れる電流、前記ワイヤを通る電流フローの変化、および、前記電流フローの変化の勾配、を測定するように動作可能であり、さらには、前記電流フローの勾配の変化が閾値未満まで低下する場合に対応するワイヤへの電流を遮断するように動作可能である
圧縮デバイス。
【請求項10】
前記閾値は、前記勾配が毎秒0.1ampの増加未満である場合である、請求項9に記載の圧縮デバイス。
【請求項11】
使用者の生体構造の一部分に制御可能な圧縮を適用するための圧縮デバイスであって、
着用可能な材料で形成されるパネルであって、前記使用者の前記生体構造の一部分に適用されるようにサイズ決定および構成され、前記生体構造の前記一部分に前記パネルが適用されるときに互いに向かい合うように構成される両端部を有する、パネルと、
前記両端部の間で前記パネルによって支持され、前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧縮力を適用するように構成される複数の形状記憶ワイヤと、
前記複数の形状記憶ワイヤのうちの1つまたは複数の形状記憶ワイヤに選択的に電流を印加して、前記ワイヤの有効長さを縮小させ、ひいては前記生体構造の前記一部分の周りの前記パネルの有効長さを縮小させて、これにより前記使用者の前記生体構造の前記一部分に圧力を適用するように構成されるコントローラと
を備え、
前記コントローラが、作動中にワイヤの長さを測定するように構成され、また、測定された長さが閾値に達するときに対応するワイヤへの電流を遮断するように動作可能である、
圧縮デバイス。
【請求項12】
前記コントローラが、前記対応するワイヤの長さを測定するように動作可能である時間領域反射率計および周波数領域反射率計を有する、請求項11に記載の圧縮デバイス。
【外国語明細書】