(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089261
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】飛行体
(51)【国際特許分類】
B64C 27/08 20230101AFI20230620BHJP
B64D 27/08 20060101ALI20230620BHJP
B64D 27/14 20060101ALI20230620BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
B64C27/08
B64D27/08
B64D27/14
B64D27/24
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069872
(22)【出願日】2023-04-21
(62)【分割の表示】P 2019094037の分割
【原出願日】2019-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】517106408
【氏名又は名称】株式会社A.L.I.Technologies
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小松 周平
(57)【要約】 (修正有)
【課題】搭乗者の運転フィーリングや乗り心地を向上させることができる飛行体を提供する。
【解決手段】搭乗者が搭乗可能であって地上から浮上して移動する飛行体1であって、搭乗者が搭乗する機体2と、機体に配設されて機体の前後方向のロール軸Rを中心としてロール方向に可動する、機体の上下方向の推進力を発生させる第1回転翼部3、4と、第1回転翼部に配設されて機体の左右方向のピッチ軸Pを中心としてピッチ方向の前方に可動して機体の前後方向の推進力を発生させる第2回転翼部5、6と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭乗者が搭乗可能であって地上から浮上して移動する飛行体であって、
前記搭乗者が搭乗する機体と、
該機体に配設されて該機体の前後方向のロール軸を中心としてロール方向に可動する、前記機体の上下方向の推進力を発生させる第1回転翼部と、
該第1回転翼部に配設されて前記機体の左右方向のピッチ軸を中心としてピッチ方向の前方に可動して前記機体の前後方向の推進力を発生させる第2回転翼部と、
を備える飛行体。
【請求項2】
前記第1回転翼部は、
前記機体の前側に配設される前側第1回転翼部及び前記機体の後側に配設される後側第1回転翼部を備え、
前記第2回転翼部は、
前記前側第1回転翼部の左右にそれぞれ配設される一対の前側第2回転翼部及び前記後側第1回転翼部の左右にそれぞれ配設される一対の後側第2回転翼部を備える、
請求項1に記載の飛行体。
【請求項3】
搭乗者が搭乗可能であって地上から浮上して移動する飛行体であって、
前記搭乗者が搭乗する機体と、
該機体に配設されて該機体の前後方向のロール軸を中心としてロール方向に可動するとともに、前記機体の左右方向のピッチ軸を中心としてピッチ方向の前方に可動して前記機体の上下方向の推進力と前記機体の前後方向の推進力との合成による推進力を発生させる第1回転翼部と、
該第1回転翼部に配設されて前記機体の左右方向の前記ピッチ軸を中心としてピッチ方向の前方に可動して前記機体の前後方向の推進力を発生させる第2回転翼部と、
を備える飛行体。
【請求項4】
前記第1回転翼部は、
前記機体の前側に配設される前側第1回転翼部及び前記機体の後側に配設される後側第1回転翼部を備え、
前記第2回転翼部は、
前記前側第1回転翼部の左右にそれぞれ配設される一対の前側第2回転翼部及び前記後側第1回転翼部の左右にそれぞれ配設される一対の後側第2回転翼部を備える、
請求項3に記載の飛行体。
【請求項5】
前記第1回転翼部を駆動させるエンジン及び前記第2回転翼部を駆動させるモータを備える請求項1~4のいずれか1項に記載の飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体、特に、搭乗者が搭乗可能であって地上から浮上して移動する飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
搭乗者を乗せて浮上して移動することが可能な飛行体は、陸路を移動する自動二輪車等の移動体が、陸路を移動する際に他の移動体との関係で受けることになる移動に対する制約を受けることなく移動することが可能であることから、新たな移動手段として実現されることが期待されている。
【0003】
本発明の特許出願人は、特許文献1において、搭乗者を乗せた状態で、プロペラの回転によって地上から50cm乃至100cm程度の高さに浮上して移動する、いわゆるホバーバイクとも称される飛行体を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の飛行体を、陸路の移動体以外の新たな移動手段として実現するためには、法律や各種の規制の整備が必要となる一方で、飛行体が備えるべき技術的な性能である、搭乗者の運転フィーリングや乗り心地の向上を図ることも必要となる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、搭乗者の運転フィーリングや乗り心地を向上させることができる飛行体を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するための、本発明に係る飛行体は、搭乗者が搭乗可能であって地上から浮上して移動する飛行体であって、搭乗者が搭乗する機体と、機体に配設されて機体の前後方向のロール軸を中心としてロール方向に可動する、機体の上下方向の推進力を発生させる第1回転翼部と、第1回転翼部に配設されて機体の左右方向のピッチ軸を中心としてピッチ方向の前方に可動して機体の前後方向の推進力を発生させる第2回転翼部と、を備えるものである。
【0008】
この飛行体の第1回転翼部は、機体の前側に配設される前側第1回転翼部及び機体の後側に配設される後側第1回転翼部を備え、第2回転翼部は、前側第1回転翼部の左右にそれぞれ配設される一対の前側第2回転翼部及び後側第1回転翼部の左右にそれぞれ配設される一対の後側第2回転翼部を備えるものであってもよい。
【0009】
この飛行体は、前側第1回転翼部及び後側第1回転翼部の上下方向の推進力によって地上から浮上して水平方向に移動する際に、一対の前側第2回転翼部及び一対の後側第2回転翼部がピッチ方向の前方に可動する。
【0010】
このとき、一対の前側第2回転翼部及び一対の後側第2回転翼部によって、前後方向の推進力が発生して、飛行体の移動が加速されることから、搭乗者の運転フィーリングが向上する。
【0011】
一方、搭乗者が機体の上で体勢を崩して飛行体が傾く、あるいは横風等の影響によって飛行体が煽られて傾くといった場合に、前側第1回転翼部あるいは後側第1回転翼部が機体に対してロール方向に可動して、飛行体の体勢が水平状態に速やかに復帰せしめられることから、搭乗者の乗り心地が向上する。
【0012】
上記課題を達成するための、本発明に係る飛行体は、搭乗者が搭乗可能であって地上から浮上して移動する飛行体であって、搭乗者が搭乗する機体と、機体に配設されて機体の前後方向のロール軸を中心としてロール方向に可動するとともに、機体の左右方向のピッチ軸を中心としてピッチ方向の前方に可動して機体の上下方向の推進力と機体の前後方向の推進力との合成による推進力を発生させる第1回転翼部と、第1回転翼部に配設されて機体の左右方向のピッチ軸を中心としてピッチ方向の前方に可動して機体の前後方向の推進力を発生させる第2回転翼部と、を備えるものである。
【0013】
この飛行体の第1回転翼部は、機体の前側に配設される前側第1回転翼部及び機体の後側に配設される後側第1回転翼部を備え、第2回転翼部は、前側第1回転翼部の左右にそれぞれ配設される一対の前側第2回転翼部及び後側第1回転翼部の左右にそれぞれ配設される一対の後側第2回転翼部を備えるものであってもよい。
【0014】
この飛行体は、前側第1回転翼部及び後側第1回転翼部の上下方向の推進力によって地上から浮上して水平方向に移動する際に、前側第1回転翼部及び後側第1回転翼部がピッチ方向の前方に可動する。
【0015】
これにより、上下方向の推進力と前後方向の推進力との合成による推進力が発生して、飛行体の移動が加速されることから、搭乗者の運転フィーリングが向上する。
【0016】
さらに、一対の前側第2回転翼部及び一対の後側第2回転翼部によって、前後方向の推進力が発生して、飛行体の移動が更に加速されることから、搭乗者の運転フィーリングが向上する。
【0017】
一方、搭乗者が機体の上で体勢を崩して飛行体が傾く、あるいは横風等の影響によって飛行体が煽られて傾くといった場合に、前側第1回転翼部あるいは後側第1回転翼部が機体に対してロール方向に可動して、飛行体の体勢が水平状態に速やかに復帰せしめられることから、搭乗者の乗り心地が向上する。
【0018】
さらに、飛行体は、第1回転翼部を駆動させるエンジン及び第2回転翼部を駆動させるモータを備えるものであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、搭乗者の運転フィーリングや乗り心地を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施の形態に係る飛行体の構成の概略を説明する概念図である。
【
図2】同じく、本実施の形態に係る飛行体のハードウェア構成の概略を説明するブロック図である。
【
図3】同じく、本実施の形態に係る飛行体の制御部の構成の概略を説明するブロック図である。
【
図4】同じく、本実施の形態に係る飛行体の作動概略を説明する図である。
【
図5】本発明の第2実施の形態に係る飛行体の構成の概略を説明する概念図である。
【
図6】同じく、本実施の形態に係る飛行体の作動概略を説明する図である。
【
図7】本発明の他の実施の形態に係る飛行体の構成の概略を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、
図1~
図7に基づいて、本発明の実施の形態に係る飛行体について説明する。
【0022】
(第1実施の形態)
まず、
図1~
図4に基づいて、本発明の第1実施の形態に係る飛行体について説明する。
【0023】
図1は、本実施の形態に係る飛行体1の構成の概略を説明する概念図である。図示のように、飛行体1は、搭乗者が搭乗可能であって地上から50cm~100cm程度の高さに浮上して水平方向に移動することが可能な、いわゆるホバーバイクとも称される移動手段である。
【0024】
この飛行体1は、機体2、第1回転翼部である前側第1プロペラ部3、同じく第1回転翼部である後側第1プロペラ部4、第2回転翼部である一対の前側第2プロペラ部5、5、及び同じく第2回転翼部である一対の後側第2プロペラ部6、6を備える。
【0025】
機体2は、搭乗者が着座するシート2a及び飛行体1を操縦するハンドル2bを備え、矢線FBで示す機体2の前後方向の前方向Fに前側第1プロペラ部3が配設され、機体2の後方向Bに後側第1プロペラ部4が配設される。
【0026】
前側第1プロペラ部3は、本実施の形態では、機体2の前後方向FBに沿ったロール軸Rに沿って設けられるロール可動軸7aを中心として、機体2に対してロール方向に可動するように構成される。
【0027】
この前側第1プロペラ部3は、プロペラユニット3A及びプロペラユニット3Aを収容するケーシング3Bを備え、プロペラユニット3Aは、本実施の形態では、プロペラ3Aa、プロペラ3Aaを回転させるエンジン3Ab及びプロペラ3Aaを覆うプロペラガード3Acによって構成される。
【0028】
プロペラ3Aaは、本実施の形態では、上下方向に重ね合わせられた一対のプロペラ体によって構成され、これら各プロペラ体が互いに反対方向に回転されるいわゆる二重反転プロペラであり、このプロペラ3Aaの回転によって上下方向の推進力が発生する。
【0029】
後側第1プロペラ部4は、本実施の形態では、機体2の前後方向FBに沿ったロール軸Rに沿って設けられるロール可動軸7bを中心として、機体2に対してロール方向に可動するように構成される。
【0030】
この後側第1プロペラ部4は、プロペラユニット4A及びプロペラユニット4Aを収容するケーシング4Bを備え、プロペラユニット4Aは、本実施の形態では、プロペラ4Aa、プロペラ4Aaを回転させるエンジン4Ab及びプロペラ4Aaを覆うプロペラガード4Acによって構成される。
【0031】
プロペラ4Aaは、本実施の形態では、上下方向に重ね合わせられた一対のプロペラ体によって構成され、これら各プロペラ体が互いに反対方向に回転されるいわゆる二重反転プロペラであり、このプロペラ4Aaの回転によって上下方向の推進力が発生する。
【0032】
一対の前側第2プロペラ部5、5は、本実施の形態では、矢線LRで示す機体2の左右方向に沿ったピッチ軸Pに沿って設けられるピッチ可動軸8a、8aを中心として、機体2に対してピッチ方向に可動するように、前側第1プロペラ部3の左右にそれぞれ配設される。
【0033】
この一対の前側第2プロペラ部5、5は、プロペラ5a及びプロペラ5aを回転させるモータ5bによって構成され、機体2に対してピッチ方向に可動した際にプロペラ5aが回転することによって、前後方向FBの推進力が発生する。
【0034】
一対の後側第2プロペラ部6、6は、本実施の形態では、機体2の左右方向LRに沿ったピッチ軸Pに沿って設けられるピッチ可動軸8b、8bを中心として、機体2に対してピッチ方向に可動するように、後側第1プロペラ部4の左右にそれぞれ配設される。
【0035】
この一対の後側第2プロペラ部6、6は、プロペラ6a及びプロペラ6aを回転させるモータ6bによって構成され、機体2に対してピッチ方向に可動した際にプロペラ6aが回転することによって、前後方向FBの推進力が発生する。
【0036】
図2は、飛行体1のハードウェア構成の概略を説明するブロック図である。図示のように、飛行体1は、エンジン3Ab(4Ab)及びモータ5b(6b)を制御する制御部10、エンジン3Ab(4Ab)にガソリンを供給するガソリンタンク11、エンジン3Ab(4Ab)の動力を利用して発電を行うジェネレータ12及びジェネレータ12で発電した電力を調整するパワーコントロールユニット13を備える。
【0037】
さらに、飛行体1は、制御部11に接続されて制御部10からの制御に基づいてモータ5b(6b)を制御するESC20、エンジン3Ab(4Ab)の動力が電力として供給されて供給された電力をモータ5b(6b)に供給するバッテリ21及びバッテリ21の電力管理を行うバッテリコントローラ22を備える。
【0038】
図3は、制御部10の構成の概略を説明するブロック図である。図示のように、制御部10は、プロセッサ10A、メモリ10B、及びセンサ類10Cを主要構成として備える。
【0039】
プロセッサ10Aは、本実施の形態では例えばCPU(Central Processing Unit)で構成され、制御部11の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御や、プログラムの実行に必要な処理等を行う。
【0040】
メモリ10Bは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶装置、及びフラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶装置を備える。
【0041】
このメモリ10Bは、プロセッサ10Aの作業領域として使用される一方、制御部11が実行可能であるロジック、コード、あるいはプログラム命令といった各種の設定情報等が格納される。
【0042】
本実施の形態では、このメモリ10Bに、前側第1プロペラ部3及び後側第1プロペラ部4をロール方向に可動させるプログラム命令、一対の前側第2プロペラ部5、5、及び一対の後側第2プロペラ部6、6をピッチ方向に可動させるプログラム命令が格納される。
【0043】
さらに、このメモリ10Bに、次述するセンサ類10C等から取得したデータが直接的に伝達されて記憶されるように構成してもよい。
【0044】
センサ類10Cは、本実施の形態では、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPS衛星から電波を受信するGPSセンサ、近接センサ、ビジョン/イメージセンサ(カメラ)、大気圧を測定する気圧センサ、温度を測定する温度センサといった各種のセンサによって構成される。
【0045】
本実施の形態では、これら各種のセンサで取得されたデータに基づいて、エンジン3Ab(4Ab)及びモータ5b(6b)の出力等が算出される。
【0046】
次に、本実施の形態に係る飛行体1の作動概略について説明する。
【0047】
図4(a)で示すように、搭乗者Hが飛行体1に搭乗し、飛行体1が地上Eから浮上する際には、一対の前側第2プロペラ部5、5のプロペラ5aが地上に向かうように、一対の前側第2プロペラ部5、5がピッチ可動軸8a、8aを中心として可動し、一対の後側第2プロペラ部6、6のプロペラ6aが地上Eに向かうように、一対の後側第2プロペラ部6、6がピッチ可動軸8b、8bを中心として可動する。
【0048】
続いて、前側第1プロペラ部3のプロペラ3Aa、後側第1プロペラ部4のプロペラ4Aa、一対の前側第2プロペラ部5、5のプロペラ5a、及び一対の後側第2プロペラ部6、6のプロペラ6aが回転すると、上下方向の推進力F1が発生して、飛行体1が地上Eから浮上する。
【0049】
その後、浮上した飛行体1が移動する際には、
図4(b)で示すように、機体2の前側が下方を向くように、搭乗者Hは着座して前傾姿勢をとりながら飛行体1を運転する。これにより、飛行体1が水平方向に移動する。
【0050】
飛行体1の移動に伴って、本実施の形態では、一対の前側第2プロペラ部5、5がピッチ可動軸8a、8aを中心としてピッチ方向の前方に可動し、一対の後側第2プロペラ部6、6がピッチ可動軸8b、8bを中心としてピッチ方向の前方に可動する。
【0051】
このとき、一対の前側第2プロペラ部5、5のプロペラ5a、及び一対の後側第2プロペラ部6、6のプロペラ6aの回転によって、前後方向FBの推進力F2が発生して、飛行体1の移動が加速される。
【0052】
一方、例えば、搭乗者Hが機体2の上で体勢を崩したりバランスを崩したりすることによって飛行体1が傾くような場合、あるいは横風等の影響によって飛行体1が煽られて傾くような場合には、
図4(c)で示すように、前側第1プロペラ部3がロール可動軸7aを中心として機体2に対してロール方向に可動し、あるいは後側第1プロペラ部4がロール可動軸7bを中心として機体2に対してロール方向に可動して、飛行体1の体勢が水平状態に速やかに復帰せしめられる。
【0053】
このように、本実施の形態の飛行体1によれば、前側第1プロペラ部3及び後側第1プロペラ部4の上下方向の推進力F1によって飛行体1が地上Eから浮上して水平方向に移動する際に、一対の前側第2プロペラ部5、5、及び一対の後側第2プロペラ部6、6がピッチ方向の前方に可動する。
【0054】
このとき、プロペラ5a及びプロペラ6aの回転によって、前後方向FBの推進力F2が発生して、飛行体1の移動が加速されることから、搭乗者Hの運転フィーリングが向上する。
【0055】
一方、搭乗者Hが機体2の上で体勢を崩して飛行体1が傾く、あるいは横風等の影響によって飛行体1が煽られて傾くといった場合に、前側第1プロペラ部3あるいは後側第1プロペラ部4が機体2に対してロール方向に可動して、飛行体1の体勢が水平状態に速やかに復帰せしめられることから、搭乗者Hの乗り心地が向上する。
【0056】
(第2実施の形態)
次に、
図5及び
図6に基づいて、本発明の第2実施の形態に係る飛行体について説明する。
【0057】
なお、第2実施の形態に係る飛行体の説明に際しては、第1実施の形態の飛行体1と同様の構成には同一の符号を付することによって、第1実施の形態の飛行体1と同様の構成についての説明を省略する。
【0058】
図5は、本実施の形態に係る飛行体の構成の概略を説明する概念図である。図示のように、飛行体1Aの前側第1プロペラ部3は、プロペラユニット3Aが、機体2の左右方向LRに沿ったピッチ軸Pに沿って設けられるピッチ可動軸9a、9aを中心として、機体2に対してピッチ方向に可動するように、ケーシング3Bに配設される。
【0059】
後側第1プロペラ部4は、プロペラユニット4Aが、機体2の左右方向LRに沿ったピッチ軸Pに沿って設けられるピッチ可動軸9b、9bを中心として、機体2に対してピッチ方向に可動するように、ケーシング4Bに配設される。
【0060】
本実施の形態では、制御部10のメモリ10Bに、前側第1プロペラ部3及び後側第1プロペラ部4をロール方向及びピッチ方向に可動させるプログラム命令、一対の前側第2プロペラ部5、5、及び一対の後側第2プロペラ部6、6をピッチ方向に可動させるプログラム命令が格納される。
【0061】
次に、本実施の形態に係る飛行体1Aの作動概略について説明する。
【0062】
なお、飛行体1Aの作動概略を説明する
図6において、説明の便宜及び図面の視認性を確保する観点から、一対の前側第2プロペラ部5、5、及び一対の後側第2プロペラ部6、6の図示を省略する。
【0063】
図6(a)で示すように、搭乗者Hが飛行体1に搭乗して、上下方向の推進力F1によって飛行体1が地上Eから浮上した状態において、
図6(b)で示すように、前側第1プロペラ部3のプロペラユニット3Aが、ピッチ可動軸9a、9aを中心として機体2に対してピッチ方向の前方に可動し、後側第1プロペラ部4のプロペラユニット4Aが、ピッチ可動軸9b、9bを中心として機体2に対してピッチ方向の前方に可動する。
【0064】
このとき、プロペラユニット3Aのプロペラ3Aa及びプロペラユニット4Aのプロペラ4Aaの回転によって、上下方向の推進力F1及びこの推進力F1とともに発生する前後方向FBの推進力F3によって合成される推進力F4が発生して、飛行体1の移動が加速される。
【0065】
さらに、図示しない一対の前側第2プロペラ部5、5がピッチ可動軸8a、8aを中心としてピッチ方向の前方に可動し、同様に図示しない一対の後側第2プロペラ部6、6がピッチ可動軸8b、8bを中心としてピッチ方向の前方に可動する。
【0066】
このとき、一対の前側第2プロペラ部5、5のプロペラ5a、及び一対の後側第2プロペラ部6、6のプロペラ6aの回転によって、前後方向FBの推進力F2が発生して、飛行体1の移動が更に加速される。
【0067】
このように、本実施の形態によれば、前側第1プロペラ部3及び後側第1プロペラ部4の上下方向の推進力F1によって飛行体1が地上Eから浮上して水平方向に移動する際に、前側第1プロペラ部3のプロペラユニット3A及び後側第1プロペラ部4のプロペラユニット4Aが、ピッチ方向の前方に可動する。
【0068】
このとき、プロペラ3Aa及びプロペラ4Aaの回転によって、上下方向の推進力F1と前後方向FBの推進力F3との合成による推進力F4が発生して、飛行体1Aの移動が加速されることから、搭乗者Hの運転フィーリングが向上する。
【0069】
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。上記第2実施の形態では、前側第1プロペラ部3のプロペラユニット3A及び後側第1プロペラ部4のプロペラユニット4Aがピッチ方向の前方に可動する場合を説明したが、例えば
図7で示すように、前側第1プロペラ部3及び後側第1プロペラ部4がピッチ方向の前方に可動するように構成してもよい。
【0070】
上記各実施の形態では、前側第1プロペラ部3のプロペラ3Aa及び後側第1プロペラ部4のプロペラ4Aaがそれぞれエンジン3Ab(4Ab)によって回転される場合を説明したが、モータによって回転されるように構成してもよい。
【0071】
上記各実施の形態では、エンジン3Ab(4Ab)及びモータ5b(6b)が制御部10によって制御される場合を説明したが、制御部10とは別にフライトコントローラを配備して、モータ5b(6b)を制御するように構成してもよい。
【0072】
1、1A 飛行体
2 機体
3 前側第1プロペラ部(第1回転翼部)
3Ab エンジン
4 後側第1プロペラ部(第1回転翼部)
4Ab エンジン
5 前側第2プロペラ部(第2回転翼部)
5b モータ
6 後側第2プロペラ部(第2回転翼部)
6b モータ
7a、7b ロール可動軸
8a、8b ピッチ可動軸
9a、9b ピッチ可動軸
10 制御部
P ピッチ軸
R ロール軸
【手続補正書】
【提出日】2023-04-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭乗者が搭乗可能であって地上から浮上して移動する飛行体であって、
前記搭乗者が搭乗する機体と、
該機体に配設されて該機体の前後方向のロール軸を中心としてロール方向に可動する、前記機体の上下方向の推進力を発生させる第1回転翼部と、
該第1回転翼部に配設されて前記機体の左右方向のピッチ軸を中心とした縦断面内の方向に可動して、少なくとも機体の上下方向の推進力を発生させることが可能な第2回転翼部と、
を備える飛行体。
【請求項2】
前記第1回転翼部は、
前記機体の前側に配設される前側第1回転翼部及び前記機体の後側に配設される後側第1回転翼部を備え、
前記第2回転翼部は、
前記前側第1回転翼部の左右にそれぞれ配設される一対の前側第2回転翼部及び前記後側第1回転翼部の左右にそれぞれ配設される一対の後側第2回転翼部を備える、
請求項1に記載の飛行体。
【請求項3】
搭乗者が搭乗可能であって地上から浮上して移動する飛行体であって、
前記搭乗者が搭乗する機体と、
該機体に配設されて該機体の前後方向のロール軸を中心としてロール方向に可動するとともに、前記機体の左右方向のピッチ軸を中心としてピッチ方向の前方に可動して前記機体の上下方向の推進力と前記機体の前後方向の推進力との合成による推進力を発生させる第1回転翼部と、
該第1回転翼部に配設されて前記機体の左右方向の前記ピッチ軸を中心とした縦断面内の方向に可動して、少なくとも機体の上下方向の推進力を発生させることが可能な第2回転翼部と、
を備える飛行体。
【請求項4】
前記第1回転翼部は、
前記機体の前側に配設される前側第1回転翼部及び前記機体の後側に配設される後側第1回転翼部を備え、
前記第2回転翼部は、
前記前側第1回転翼部の左右にそれぞれ配設される一対の前側第2回転翼部及び前記後側第1回転翼部の左右にそれぞれ配設される一対の後側第2回転翼部を備える、
請求項3に記載の飛行体。
【請求項5】
前記第1回転翼部を駆動させるエンジン及び前記第2回転翼部を駆動させるモータを備える請求項1~4のいずれか1項に記載の飛行体。