(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089275
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】防災システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20230620BHJP
G08B 29/12 20060101ALI20230620BHJP
H04M 11/04 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
G08B17/00 D
G08B17/00 K
G08B29/12
H04M11/04
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070569
(22)【出願日】2023-04-24
(62)【分割の表示】P 2019065681の分割
【原出願日】2019-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】石田 憲
(57)【要約】
【課題】受信機に対する火災感知器等の防災端末の位置情報の登録を簡単に行って有効に利用可能とする。
【解決手段】防災システムは受信機10と火災感知器14等の防災端末を備える。受信機10の試験情報取得部は、火災感知器14の試験により受信される試験信号に基づき、端末アドレスと試験時刻を関連付けて記憶する。また、火災感知器14の試験時には、同時に、GPS機能を備えたトランシーバ26により試験場所で端末位置情報を取得してGPS取得時刻を関連付けて記憶する。端末位置登録部は、関連付けられた端末特定情報と端末試験時刻、及び関連付けられた端末位置情報とGPS取得時刻を入力し、GPS取得時刻に所定の時間ずれ以内で試験時刻が一致する端末アドレスに対し、端末位置情報から変換した警戒区域の平面図位置情報を対応付けして登録する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機と防災端末を備えた防災システムに於いて、
前記受信機に設けられ、前記防災端末の試験により受信される試験信号に基づき、端末特定情報と端末試験時刻を連付けて記憶する試験情報取得部と、
前記防災端末の試験時に、当該試験場所で所定の測位手段により端末位置情報を取得して端末位置取得時刻を関連付けて記憶する携帯端末と、
前記関連付けられた端末特定情報と端末試験時刻、及び前記関連付けられた端末位置情報と端末位置取得時刻を入力し、前記端末位置取得時刻に所定のずれ時間以内で前記端末試験時刻が一致する前記端末特定情報に対し、前記端末位置情報及び又は前記端末位置情報から変換した警戒区域の平面図位置情報を対応付けして登録する端末位置登録部と、
を備えたことを特徴とする防災システム。
【請求項2】
受信機と防災端末を備えた防災システムに於いて、
前記受信機に設けられ、前記防災端末の試験により受信される試験信号に基づき、端末特定情報と端末試験時刻を関連付けて記憶する試験情報取得部と、
前記防災端末の試験時に、当該試験場所で所定の測位手段により端末位置情報を取得して端末位置取得時刻を関連付けて記憶する携帯端末と、
前記受信機及び前記携帯端末と通信可能なサーバと、
を備え、
前記サーバは、前記端末位置取得時刻に所定のずれ時間以内で前記端末試験時刻が一致することにより対応付けられた前記端末特定情報と前記端末位置情報を記憶することを特徴とする防災システム。
【請求項3】
受信機と防災端末を備えた防災システムに於いて、
前記受信機に設けられ、前記防災端末の試験により受信される試験信号に基づき、端末特定情報と端末試験時刻を関連付けて記憶する試験情報取得部と、
前記防災端末の試験時に、当該試験場所で所定の測位手段により端末位置情報を取得して端末位置取得時刻を関連付けて記憶する携帯端末と、
前記受信機及び前記携帯端末と通信可能なサーバと、
前記端末位置情報を警戒区域の平面図における位置を示す平面図位置情報に変換する変換部と、
を備え、
前記サーバは、前記端末位置取得時刻に所定のずれ時間以内で前記端末試験時刻が一致することにより対応付けられた前記端末特定情報と前記平面図位置情報を記憶することを特徴とする防災システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機と火災感知器を備えた防災システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受信機から引き出された信号回線に火災感知器を接続して火災を監視する火災報知設備としては、所謂R型(Record type)の火災報知設備が知られている。
【0003】
R型火災報知設備にあっては、受信機から引き出された信号回線に、固有のアドレスが設定された伝送機能を有するアナログ型の火災感知器を接続し、煙濃度又は温度等のアナログデータが所定の注意レベルに達すると火災感知器からの火災割込みに基づき、受信機から検索コマンドを発行して発報した火災感知器のアドレスを特定してアナログデータを集中的に収集し、アナログデータが所定の火災レベルに達したときに火災と判断し、受信機の火災代表灯を点灯して音響警報を出力し、更に、ディスプレイ等に火災を検出した感知器アドレスを表示するようにしている。
【0004】
このように、火災を検出した火災感知器のアドレスが分かると、適切な避難誘導や消火活動が可能となり、特に規模の大きな設備の火災監視には不可欠な機能となっている。
【0005】
また、R型火災報知設備の受信機から引き出された信号回線には、伝送機能を備えた中継器を介して防火扉や防火ダンパー等の制御端末機器が接続されており、火災時には受信機からの制御信号により防火扉の保持を解除して閉鎖させ、また、防火ダンパーを開放して煙を排出する防排煙制御を行っている。
【0006】
また、火災報知設備の受信機には防災表示装置が接続されており、火災検出時に、防災表示装置のディスプレイに火災が発生した地区、例えば火災発生階の平面図を表示し、平面図の中の火災を検出した火災感知器の位置に火災発生場所を示す例えば発報シンボルを赤点滅し、火災発生場所の確認により迅速かつ安全な避難誘導や消防活動による支援を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-219870号公報
【特許文献2】特開2017-191418号公報
【特許文献3】特開2018-180579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来の防災システムにあっては、火災感知器等の防災端末の端末アドレスに対応して警戒区域の平面図における端末位置(位置座標)を登録する作業を必要とし、また、防災システムの施工が完了した段階で、事前に登録した防災端末の位置情報が実際に設置している防災端末の位置に一致していることを確認する作業も必要となり、防災端末の位置情報の登録に手間と時間がかかる問題がある。
【0009】
また、防災システムの運用中に、防災端末を増設したり、設置場所を変更するといった改修工事が行われた場合、施工時と同様に、増設及び設置変更した防災端末につき端末位置情報の登録が必要となり、手間と時間がかかる問題がある。
【0010】
本発明は、火災感知器等の警戒区域に設置された防災端末の位置情報の登録を、端末試験を利用して簡単且つ容易に行うことを可能とする防災システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(防災システム1)
本発明は、受信機と防災端末を備えた防災システムであって、
受信機に設けられ、防災端末の試験により受信される試験信号に基づき、端末特定情報と端末試験時刻を関連付けて記憶する試験情報取得部と、
防災端末の試験時に、当該試験場所で所定の測位手段により端末位置情報を取得して端末位置取得時刻を関連付けて記憶する携帯端末と、
関連付けられた端末特定情報と端末試験時刻、及び関連付けられた端末位置情報と端末位置取得時刻を入力し、当該端末位置取得時刻に所定のずれ時間以内で端末試験時刻が一致する端末特定情報に対し、端末位置情報及び又は前記端末位置情報から変換した警戒区域の平面図位置情報を対応付けして登録する端末位置登録部と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
(防災システム2)
受信機と防災端末を備えた防災システムであって、
受信機に設けられ、防災端末の試験により受信される試験信号に基づき、端末特定情報と端末試験時刻を関連付けて記憶する試験情報取得部と、
防災端末の試験時に、当該試験場所で所定の測位手段により端末位置情報を取得して端末位置取得時刻を関連付けて記憶する携帯端末と、
受信機及び前記携帯端末と通信可能なサーバと、
を備え、
サーバは、端末位置取得時刻に所定のずれ時間以内で端末試験時刻が一致することにより対応付けられた端末特定情報と端末位置情報を記憶することを特徴とする。
【0013】
(防災システム3)
受信機と防災端末を備えた防災システムであって、
受信機に設けられ、防災端末の試験により受信される試験信号に基づき、端末特定情報と端末試験時刻を関連付けて記憶する試験情報取得部と、
防災端末の試験時に、当該試験場所で所定の測位手段により端末位置情報を取得して端末位置取得時刻を関連付けて記憶する携帯端末と、
受信機及び前記携帯端末と通信可能なサーバと、
端末位置情報を警戒区域の平面図における位置を示す平面図位置情報に変換する変換部と、
を備え、
サーバは、端末位置取得時刻に所定のずれ時間以内で前記端末試験時刻が一致することにより対応付けられた端末特定情報と平面図位置情報を記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
(基本的な効果)
本発明は、受信機と防災端末を備えた防災システムであって、受信機に設けられ、防災端末の試験により受信される試験信号に基づき、端末特定情報と端末試験時刻を関連付けて記憶する試験情報取得部と、防災端末の試験時に、当該試験場所で所定の測位手段により端末位置情報を取得して端末位置取得時刻を関連付けて記憶する携帯端末と、関連付けられた端末特定情報と端末試験時刻、及び関連付けられた端末位置情報と端末位置取得時刻を入力し、当該端末位置取得時刻に所定のずれ時間以内で端末試験時刻が一致する端末特定情報に対し、端末位置情報及び又は前記端末位置情報から変換した警戒区域の平面図位置情報を対応付けして登録する端末位置登録部とを備えたため、防災システムの施工段階で火災感知器等の防災端末を受信機からの信号回線に接続した後に防災端末の動作を確認するための試験を行う際に、試験員は、測位手段として例えばGPS受信機能を備えたトランシーバや携帯電話等の携帯端末を持参し、防災端末の試験操作を行うと共に携帯端末により試験場所での端末位置情報を取得する操作を行って端末位置取得時刻と共に記憶し、また、試験時には受信機での試験信号の受信に伴い端末特定情報に対応して端末試験時刻を記憶しておき、試験後に、携帯端末の端末位置情報と端末位置取得時刻を受信機に入力し、端末試験時刻と端末位置取得時刻が所定のずれ時間以内で一致する関係から端末特定情報に端末位置情報を対応付けし(紐づけし)、更に、端末位置情報を警戒区域の平面図位置情報(位置座標)に変換して登録することで、防災端末の試験時の簡単な操作により、試験を行った全ての防災端末の位置情報を登録して利用することができる。
【0015】
また、設備の運用中に、防災端末の増設や設置場所を変更するといった改修が行われた場合にも、増設及び設置変更した防災端末の試験時に携帯端末による端末位置情報を取得して端末位置取得時刻と共に受信機に入力する操作を行うだけで、増設及び位置変更した防災端末の位置情報を簡単且つ容易に登録して利用することができる。
【0016】
(試験操作に連動した端末位置情報の取得の効果)
また、携帯端末は、防災端末の試験器に設けられ、試験器の試験操作に連動して携帯端末で当該試験場所の端末位置情報を取得し、端末位置取得時刻と共に記憶するようにしたため、例えば煙式火災感知器に対し試験器の炙り試験を行うと携帯端末による端末位置情報の取得と端末位置取得時刻の記憶が自動的に行われ、試験操作に伴い携帯端末の端末位置情報を取得するための操作を不要にできる。また、試験操作と端末位置情報の取得が同時刻に行われ、端末位置取得時刻と受信機で試験信号を受信する端末試験時刻とが略一致し、端末試験時刻と端末位置取得時刻の関係に基づく端末特定情報と端末位置情報の対応付け(紐づけ)を正確に行うことができる。
【0017】
(試験時の位置ずれ警報による効果)
また、受信機の端末位置登録部は、端末特定情報に対応した平面図位置情報及び端末位置情報を登録した後に、防災端末の試験による端末特定情報を含む前記試験信号を受信したときに、端末特定情報に対応した登録済みの端末位置情報を読み出して携帯端末に送信し、携帯端末は、防災端末の試験時に、当該試験場所で端末位置情報を取得して端末位置取得時刻と共に記憶し、受信機から登録済みの端末位置情報を受信したときに新たな端末位置情報と比較し、所定値以上又は前記所定値を超える位置ずれがあった場合に位置ずれ警報を出力するようにしたため、位置情報を登録した後の防災端末の試験時に、登録済みの端末位置情報と防災端末の実際の試験場所で取得した端末位置情報がずれている場合に警報が出され、正しい端末位置情報および平面図位置情報に修正する対処ができる。
【0018】
(試験対象端末の表示による効果)
また、受信機の端末位置登録部は、防災端末の試験時に、選択された所定の警戒区域に存在する1又は複数の防災端末の地図位置情報を携帯端末に送信して警戒区域の平面図に試験対象とする防災端末を表示させるようにしたため、防災端末の試験時に、試験対象する警戒区域に出向いた試験員は、携帯端末に表示された防災端末の位置を示した警戒区域平面図により、試験対象とする防災端末を簡単且つ容易に確認することができる。
【0019】
(試験が行われた端末の表示)
受信機の端末位置登録部は、前記防災端末の試験時に、試験が行われた防災端末の平面図位置情報を携帯端末に送信して警戒区域の平面図に試験が行われた防災端末を区別して表示させるようにしたため、試験を行った防災端末の位置を平面図上で確認することが可能となり、誤りなく試験が行われたことを確認することができる。
【0020】
(試験対象端末の端末による表示)
携帯端末は、受信機から警戒区域の平面図を受信して、防災端末の試験時に、警戒区域の平面図を表示し、警戒区域の平面図で防災端末が選択されたとき、当該防災端末の試験開始信号を受信機に送信し、受信機は試験開始信号を受信し、当該試験開始信号に対応する防災端末に試験報知信号を送信し、試験報知信号を受信した防災端末は、音又は表示により試験報知信号を受信した旨を報知するようにしたため、作業者は平面図上で容易にこれから試験を行う防災端末を選択することができ、また試験を行う防災端末を容易に探すことが可能となる。
【0021】
(サーバでの位置情報の登録と利用による効果)
また、受信機に通信接続するインターネット上のサーバに、警戒区域の平面図、防災端末の端末特定情報に対応した端末位置情報と平面図位置情報を登録し、サーバは、受信機から異常を検出した防災端末の端末特定情報を含む異常検出信号の受信時に、異常を検出した防災端末の端末位置情報に基づく異常検出位置を示す地図、又は、異常を検出した防災端末の平面図位置情報に基づく異常検出位置を示す警戒区域の平面図を、外部機器によるアクセス自在に表示するようにしたため、インターネットを経由したサーバのアクセスにより例えば火災発生場所を示す地図又は警戒区域の平面図を見ることで火災発生状況が把握でき、迅速且つ適切な火災対処を可能とする。
【0022】
(立体地図表示の効果)
また異常を検出した防災端末の端末位置情報は高度情報を含み、サーバは端末位置情報に基づく建物を含む立体図又は立体写真を表示すると共に、当該建物の高度情報に対応した階に異常発生場所を表示するようにしたため、サーバで例えば火災発生場所を示す建物を含む立体図又は立体写真を表示した場合に、建物の火災発生階に火災発生場所を示す発報シンボル等が表示され、消防機関などは火災発生現場の状況や周辺の状況を適確に把握して効率的な消防活動や救出活動を行うとことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による防災システムの概要を示した説明図
【
図2】受信機とサーバの機能構成を示したブロック図
【
図3】トランシーバの機能構成の概略を示したブロック図
【
図4】トランシーバをセットした試験器具による火災感知器の炙り試験を示した説明図
【
図5】携帯電話端末の機能構成の概略を示したブロック図
【
図6】受信機の位置情報登録の処理動作を示した説明図
【
図7】位置座標登録部によるGPS位置座標から平面図位置座標への座標変換を示した説明図
【
図8】受信機の位置情報登録部による処理動作を示したフローチャート
【
図9】位置情報登録後の端末試験で行う確認処理を示したタイムチャート
【
図10】防災表示装置に表示される通常監視画面を示した説明図
【
図11】防災表示装置に表示される火災警報画面を示した説明図
【
図12】火災検出時にサーバに表示される地図画面を示した説明図
【
図13】火災検出時にサーバに表示される3D地図画面を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
[実施形態の基本的概念]
図1は防災システムの概要を示した説明図である。本実施形態による防災システムの基本的概念は、受信機10と防災端末として例えば火災感知器14を備えた防災システムであって、端末試験時に点検モードに切り替えられた受信機10は、火災感知器14の試験により受信される試験信号に基づき、少なくとも端末アドレスを含む端末特定情報と端末試験時刻を取得し、また、火災感知器14の試験と同時に、所定の測位手段として例えばGPS機能を備えた携帯端末、例えばトランシーバ26(又は携帯電話端末34)により、火災感知器14の試験場所で端末位置情報としてGPS位置情報を取得して位置情報取得時刻となるGPS取得時刻と共に記憶し、トランシーバ26で取得したGPS位置情報とGPS取得時刻を受信機10に入力し、受信機10は、GPS取得時刻に所定のずれ時間以内で一致する端末試験時刻の端末特定情報に対応付け(紐づけ)したGPS位置情報を警戒区域の平面図位置情報に変換して登録する、というものである。
【0025】
このように防災システムの施工段階で火災感知器14を受信機10からの信号回線12-1に接続した後に、火災感知器14の試験時にトランシーバ26(又は携帯電話端末34)によりGPS位置情報を取得してGPS取得時刻と共に受信機10に入力する操作を行うだけで、試験を行った全ての火災感知器14の位置情報を自動的に登録して利用することができる。
【0026】
また、設備の運用中に、火災感知器14の増設や設置場所を変更するといった改修が行われた場合にも、増設及び設置変更した火災感知器14の試験時にトランシーバ26(又は携帯電話端末34)によりGPS位置情報を取得してGPS取得時刻と共に受信機10に入力する操作を行うだけで、増設及び位置変更した火災感知器14の位置情報を自動的に登録して利用することができる。
【0027】
更に、本発明にあっては、登録したGPS位置情報を利用した試験時のGPS位置ずれの確認、登録した位置情報を利用した試験対象とする防災端末の表示、サーバに登録したGPS位置情報を利用した火災発生場所の地図表示等を併せて行うものである。
【0028】
また、試験場所で端末位置情報を取得する測位手段としては、GPSに限らず、例えば、準天頂衛星システムの信号を用いてさらに精度よく測位するようにしても良いし、ビーコン信号を用いた位置情報システムを用いるようにしても良い。以下詳細に説明する。
【0029】
[防災システムの概要]
図1に示すように、オフィスビル、大型店舗等の建物に設置された火災報知設備を含む防災システムは、建物の管理人室や防災センターなどに例えばR型(Record type)の受信機10が設置され、受信機10から警戒区域に対し系統毎に分けて信号回線12-1が引き出され、端末特定情報として固有のアドレスが設定された伝送機能を有する複数のアナログ式の火災感知器14が接続され、火災を監視している。
【0030】
また、信号回線12-1には固有のアドレスが設定された伝送機能を有するアドレッサブル発信機15が接続され、押し釦操作により火災通報信号を送信する。また、アドレッサブル発信機15には電話ジャックが設けられ、電話子機を接続することで電話線20を介して受信機10側に設けられた電話親機(図示せず)との通話を可能としている。
【0031】
また、信号回線12-nには、固有のアドレスが設定された伝送機能を有する中継器16を介して防火戸や防排煙ダンパ等の防排煙機器18等が接続される。これ以外にも、信号回線には、固有のアドレスが設定された伝送機能を有する中継器16を介してガス漏れ検知器やガス遮断弁等が接続されるが、図示を省略している。なお、信号回線12-1,12-nは区別する必要がない場合は信号回線12という場合がある。
【0032】
受信機10は、火災感知器14等の防災端末の試験時には、連動制御や移報制御等が停止された点検モードに切り替えられており、点検モードにおいて、受信機10からの信号回線12-1に接続された例えば煙式の火災感知器14について、試験器具により擬似煙を流入する炙り試験(発報試験)を行ったときに受信される試験信号から感知器固有の端末アドレスを取得すると共に試験信号の受信時刻を端末試験時刻として検出して記憶する。
【0033】
また、火災感知器14の試験時には、火災感知器14の試験を行う担当者がトランシーバ26を携帯し、また、受信機10側にもう一人担当者がついて別のトランシーバ26を携帯しており、火災感知器14の発報試験を行ったときに受信機10で試験発報が行われたことを、トランシーバ26を利用して連絡をとりながら試験を進める。
【0034】
また、階が異なると受信機10側のトランシーバ26に電波が届かない場合があることから、この場合は、例えば、アドレッサブル発信機15の電話ジャックとトランシーバ26の電話プラグを差し込み、電話線20を介して受信機10側の電話親機との間で通話連絡をとるようにしている。
【0035】
本実施形態にあっては、火災感知器14の試験時に担当者はGPS機能付きのトランシーバ26を携帯しており、試験器具により火災感知器14の炙り試験を行った際に、試験場所でトランシーバ26のGPS受信操作を行い、GPS位置情報を取得すると共にGPS取得時刻を検出して記憶する処理を行う。
【0036】
このように火災感知器14の試験とトランシーバ26又は携帯電話端末34によるGPS位置情報とGPS取得時刻の検出記憶を繰り返し、試験が終了した後に、例えば受信機10にトランシーバ26に記憶しているGPS位置情報とGPS取得時刻を、例えばUSBポートに対する回線接続により入力し、端末試験時刻とGPS取得時刻を比較して所定のずれ時間以内での一致を検出した端末アドレスにGPS位置情報を紐づけし、更に、GPS位置情報を端末アドレスに対応した警戒区域の平面図における位置情報に変換して登録する。
【0037】
なお、GPS機能付きのトランシーバ26に代えて、担当者はスマートフォン等のGPS機能付きの携帯電話端末34を携帯し、トランシーバ26と同様に、火災感知器14の試験時にGPS受信操作を行ってGPS位置情報を取得すると共にGPS取得時刻を記憶し、試験終了後に受信機10に入力するようにしても良い。
【0038】
また、受信機10側の担当者と現場の試験担当者が携帯しているトランシーバ26は、音声信号に加え、データ信号の無線伝送機能を備えており、例えば、受信機10側のトランシーバ26を受信機10のUSBポート等にケーブル接続することにより、受信機10から試験担当者が携帯しているトランシーバ26に対し必要なデータを無線伝送することができる。
【0039】
一方、受信機10にはゲートウェイ装置28が設けられ、インターネット30を経由してサーバ32に通信接続できるようにしている。このため受信機10に登録されている警戒区域の平面図、端末アドレスに対応したGPS位置情報と平面図位置情報はサーバ32に送信して登録されている。
【0040】
このためサーバ32は、受信機10から端末アドレスを含む火災検出信号を受信したときに、受信した端末アドレスに対応した建物平面図を画面表示すると共に火災を検出した火災感知器14の平面図位置情報に基づき火災発生場所を示す発報シンボルを表示し、更に、サーバ32は予め登録した連絡先特定情報とのアクセスによる火災発生場所を示した建物平面図のダウンロードによる表示等を可能とする。
【0041】
また、サーバ32はGPS位置情報の地図表示機能を備えており、受信機10から端末アドレスを含む火災検出信号を受信した場合に、受信した端末アドレスに対応したGPS位置情報に基づき、火災発生地域の地図を表示し、この地図の中に火災発生場所を示す火災シンボルを表示する。
【0042】
また、サーバ32は立体地図や立体写真の表示が可能であり、GPS位置情報には高度情報が含まれていることから、立体表示した地図又は写真の建物の火災発生階に火災シンボルを表示することができる。
【0043】
[受信機及びサーバの機能構成]
(受信機の機能)
図2は受信機とサーバの機能構成を示したブロック図である。
図2に示すように、受信機10は、CPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等で構成されており、メインCPU40と複数のサブCPU基板42が設けられ、サブCPU基板42にはサブCPU44と伝送部46が設けられている。メインCPU40とサブCPU44は、内部通信線45で接続されており、相互にデータを送受信する。
【0044】
メインCPU40には、液晶表示パネル等を用いたタッチパネル付きのディスプレイ48、LED等の表示灯を用いた表示部50、火災断定スイッチ、主音響停止スイッチ、地区音響一時停止スイッチ等の各種スイッチが設けられた操作部52、スピーカが設けられた音響警報部54、移報部56、伝送部58及びUSBポート60が接続されている。
【0045】
また、メインCPU40にはプログラムの実行により実現される受信制御部62、試験情報取得部64及び位置情報登録部66の機能が設けられている。
【0046】
(受信機の火災監視制御)
図2に示す受信機10に設けたサブCPU基板42のサブCPU44は、伝送部46に指示して火災感知器14との間で所定の通信プロトコルに従って信号を送受信することで、火災監視制御を行っている。
【0047】
サブCPU44による火災監視制御は、通常の監視中にあっては、一定周期毎に、伝送部46に指示して、一括AD変換コマンドを含むブロードキャストの一括AD変換信号を送信しており、この一括AD変換信号を受信した火災感知器14は、煙濃度又は温度をセンサデータとして検出して保持する。続いて、サブCPU44は、感知器アドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出信号を送信している。
【0048】
火災感知器14は自己アドレスに一致するアドレスを持つ呼出信号を受信すると、そのとき保持しているセンサデータを含む応答信号を受信機10の伝送部46に送信する。また、火災感知器14は煙濃度又は温度が所定の火災注意レベルを超えると受信機10の伝送部46に対し火災割込み信号を送信する。
【0049】
サブCPU44は伝送部46を介して火災割込み信号を受信すると、グループ検索コマンド信号を送信して火災を検出している火災感知器14を含むグループを特定し、続いて、グループ内検索コマンド信号を送信して火災を検出している火災感知器14のアドレスを特定してセンサのアナログデータを集中的に収集し、内部通信線45を介してメインCPU40に送信する。
【0050】
メインCPU40はサブCPU44から受信したアナログデータを、火災注意レベルより高い所定の火災判定レベルと比較しており、アナログデータが火災判定レベルに達した場合に火災と判定し、表示部50の火災代表灯を点灯し、音響警報部54のスピーカから火災発生を示す所定の音響警報を出力させ、ディスプレイ48に火災が検出された端末アドレスに基づき火災発生場所を含む火災情報を表示させ、更に、移報部56により火災移報信号を外部に出力して所定の移報制御等を行わせる。
【0051】
メインCPU40には伝送部58を介して防災表示装置24が接続されている。防災表示装置24は、受信機10の受信制御部62で処理した火災警報を含む全てのイベントをディスプレイに表示する機能を備え、特に、警戒区域となる建物の階別の平面図を記憶しており、受信機10で火災判断が行われた場合には、火災を検出した火災感知器14の端末アドレスに基づき、火災発生階の平面図を表示すると共に、火災発生階の平面図の中に火災を検出した火災感知器14の位置を示す感知器シンボルを例えば赤点滅して発報シンボルとして示す表示制御を行う。
【0052】
このため防災表示装置24には火災感知器14の端末アドレスに対応付けして警戒区域平面図における座標位置を示す平面図位置情報を予め登録している。
【0053】
なお、本実施形態は、防災表示装置24を受信機10の外部に伝送線22を介して接続しているが、実質的には、受信機10の表示部と見做すことができ、そのため端末アドレスに対応した火災感知器14の平面図位置情報の登録は、受信機10の位置情報登録部66で行って、登録結果を防災表示装置24に転送してそのまま記憶することで登録している。
【0054】
また、防災表示装置24を接続せず、受信機10のディスプレイ48に、火災を検出した火災感知器14の位置を示す感知器シンボルを例えば赤点滅して発報シンボルとして示した火災発生階の平面図を表示しても良い。
【0055】
(防災端末の位置情報登録)
受信機10のメインCPU40に設けられた試験情報取得部64は、火災感知器14の試験により受信される試験信号に基づき、端末アドレスと端末試験時刻を取得し、これに予め設定された階情報、地区メッセージ及び種別を加えて感知器情報として記憶する制御を行う。
【0056】
また、受信機10のメインCPU40に設けられた位置情報登録部66は、火災感知器14の試験時に、試験場所でトランシーバ26により取得されたGPS位置情報とGPS取得時刻を、例えばUSBポート60に対するケーブル26aによる接続で入力し、GPS取得時刻に所定のずれ時間以内で一致する端末試験時刻の端末アドレスに対応付けして、GPS位置情報(GPS座標位置)から警戒区域の平面図位置情報(平面図座標位置)に座標変換した位置情報を登録する制御を行う。
【0057】
本実施形態では、端末アドレスに、平面図位置情報(平面図座標位置)及びGPS位置情報(GPS座標位置)に加え、階情報、地区メッセージ及び平面図番号を対応付けすることで、端末位置情報として登録する。
【0058】
(サーバ)
図2に示すように、サーバ32は、CPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等で構成されおり、通信制御部68、サーバ制御部70、キーボートやマウス等の操作部72、ディスプレイを用いた表示部74、記憶部76を備える。
【0059】
サーバ制御部70には防災制御部78が設けられ、受信機10で登録された端末位置情報、即ち、端末アドレスに対応付けされた平面図位置情報(平面図座標位置)、GPS位置情報(GPS座標位置)、階情報、地区メッセージ及び平面図番号を転送要求により取得して記憶部76に予め記憶している。
【0060】
また、防災制御部78は、受信機10から火災感知器14の火災検出に基づく端末アドレスを含む火災検出信号を受信したときに、端末アドレスに対応した火災発生階の平面図を画面表示すると共に、火災を検知した火災感知器14の感知器シンボルを赤点滅して発報シンボルとして表示する制御を行う。
【0061】
また、防災制御部78は、受信機10から火災感知器14の火災検出に基づく端末アドレスを含む火災検出信号を受信したときに、端末アドレスに対応したGPS位置情報に基づき火災発生場所を示す火災発生シンボルを配置して地図を表示する制御を行う。
【0062】
また、GPS位置情報は高度情報を含むことから、防災制御部78は、GPS位置情報に基づく建物を含む立体図又は立体写真を表示し、立体表示した建物の高度情報に対応した階に火災発生場所を示す火災発生シンボルを配置して表示する制御を行う。
【0063】
また、防災制御部78により表示する火災発生場所を示す地図、立体地図又は立体写真は、携帯電話端末34や他の端末からのアクセスに対しダウンロードして表示させることもできる。
【0064】
また、サーバ32の記憶部76に、端末アドレスに対応した連絡先特定情報として、携帯電話番号やメールアドレスを予め登録しておくことで、火災警報信号を登録した連絡先に例えばプッシュ通知として配信して火災の概略を表示し、プッシュ通知の開封操作に対応して火災発生場所を示す地図や警戒区域平面図をダウンロードして表示させるようにしても良い。なお、プッシュ通知はプッシュ通知専用のサーバを介するようにしても良い。
【0065】
[トランシーバ]
図3はトランシーバの機能構成の概略を示したブロック図である。
図3に示すように、トランシーバ26は、トランシーバ制御部80、トランシーバ通信部82、GPS通信部(全地球測位システム通信部)84、音声入出力部90、操作部92、制御入力部94及びUSBポート95等を備える。
【0066】
トランシーバ制御部80は、プロセッサを構成するCPU、メモリ、各種入出力インタフェースを備えたLSIで実現され、インストールされたプログラムを実行する。
【0067】
トランシーバ通信部82は、400MHz帯の特定小電力トランシーバの規格に従った通信を行う。
【0068】
GPS通信部84は、周回衛星を使用した全地球測位システム(Global Positioning System)を利用して、現在位置の経度,緯度及び高度を取得するための通信を行う。
【0069】
通話接続部86は、
図1に示したように、例えばアドレッサブル発信機15の電話ジャックに電話プラグ86aを接続することで、電話線20を介して受信機10側の電話親機に通話接続され、音声入出力部90のマイクとスピーカを使用した通話を行う。
【0070】
ディスプレイ88は、液晶パネルや有機ELパネルなどの表示デバイスを使用している。音声入出力部90は、マイク、スピーカを備えて音声入出力を行う。操作部92は、通話スイッチ、GPS受信スイッチ、GPS位置情報転送スイッチ等の操作スイッチが設けられる。
【0071】
制御入力部94は外部機器による制御信号を入力し、本実施形態にあっては、外部機器からGPS受信制御信号を入力すると、トランシーバ制御部80は、GPS通信部84を動作してGPS位置情報を取得すると共にGPS取得時間を検出して記憶する制御を行う。
【0072】
USBポート95は例えば
図2に示した受信機10のUSBポート60に対するケーブル接続に使用され、操作部92に設けたGPS位置情報転送スイッチを操作すると、そのときメモリに記憶しているGPS位置情報とGPS取得時間を読み出して受信機10に転送する制御を行う。
【0073】
なお、トランシーバ制御部80に対し着脱自在な例えばUSBメモリカードを設け、USBメモリカードに試験時に取得したGPS位置情報とGPS取得時間を記憶し、USBメモリカードを受信機10に差し替えることで、試験時に記憶したGPS位置情報とGPS取得時刻を受信機10に入力しても良い。
【0074】
図4はトランシーバをセットした試験器具による火災感知器の炙り試験を示した説明図である。
【0075】
本実施形態にあっては、天井面に設置された煙式の火災感知器14の炙り試験を、試験器具38を使用して行っており、支持棒38aの先端に設けた試験カバー38bを火災感知器14に下側から押しは当てた状態で操作部38cに設けたスイッチレバー38dを操作すると、擬似煙が放出されて火災感知器14の炙り試験を行って試験発報させることができる。
【0076】
また、試験治具38にはトランシーバ26が取り付けられており、スイッチレバー38dの操作によるスイッチオン信号が、
図3に示した制御入力部94に出力されるように信号線接続が行われている。
【0077】
このため試験治具38のスイッチレバー38dを操作して火災感知器14の炙り試験を行うと、スイッチレバー38dの操作によるスイッチオン信号がトランシーバ26に出力され、これによりトランシーバ26でGPS位置情報の取得とGPS取得時間の検出が試験操作と同時に自動的に行われて記憶される。
【0078】
このように煙式の火災感知器14に対し試験器具38により炙り試験を行うと、トランシーバ26によるGPS位置情報の取得とGPS取得時刻の記憶が自動的に行われ、試験操作に伴い携帯端末のGPS位置情報を取得するための操作を不要にできる。また、試験操作とGPS位置情報の取得が同時刻に行われ、GPS取得時刻と受信機10で試験信号を受信する端末試験時刻とが略一致し、
図2に示した受信機10の位置情報登録部66による端末試験時刻とGPS取得時刻の関係に基づく端末アドレスとGPS位置情報の対応付け(紐づけ)を正確に行うことができる。
【0079】
[携帯電話端末]
図5は携帯電話端末の機能構成の概略を示した説明図であり、個人用の携帯コンピュータの機能を併せもつ携帯電話端末として知られたスマートフォンを例にとっている。
【0080】
図5に示すように、携帯電話端末34は、携帯電話制御部96、携帯電話通信部98、無線LAN通信部100、高速移動通信部102、GPS通信部104、カメラ部106、SIMカード108、ディスプレイ110、タッチパネル112、音声入出力部114、操作部116及びメモリカード118等を備える。
【0081】
携帯電話制御部96は、プロセッサを構成するCPU、メモリ、各種入出力インタフェースを備えたLSIで実現され、インストールされたプログラムを実行する。
【0082】
携帯電話通信部98は、第3世代移動通信システム(3G)として知られたW-CDMAにより携帯電話通信を行う。
【0083】
無線LAN通信部100は、イーサネット(登録商標)による無線ネットワークをベースにしたIEEE802.11に準拠した無線通信を行う。また無線LAN通信部86は、無線LANのアクセスポイントとして機能する無線LAN通信機能、例えばデザリング
機能を備えている。
【0084】
高速移動通信部102は、IEEE802.16eに準拠したモバイルWiMAX(R)によるモバイル高速移動通信を行う。
【0085】
GPS通信部104は、周回衛星を使用した全地球測位システム(GPS)を利用して、現在位置の経度、緯度及び高度を取得するための通信を行う。
【0086】
カメラ部106は、CMOS撮像素子を使用して画像の撮像を行い、静止画及び動画を取得する。
【0087】
SIMカード108は、携帯電話番号を識別するための番号であるIMSI(International Mobile Subscriber Identity)番号を格納したカードであり、SIMカード108の差し替えにより、複数の携帯電話端末で同じ携帯電話番号を利用可能とする。
【0088】
ディスプレイ110は、液晶パネルや有機ELパネルなどの表示デバイスを使用し、パネル表面にはタッチパネル112を配置している。音声入出力部114は、マイク、スピーカ、及びオーディオコーデック(Audio CODEC)を備えて音声入出力を行う。
【0089】
操作部116は、キーパッドや操作釦による利用者の操作を受け付けて携帯電話制御部82に通知する。メモリカード118は、着脱自在な外部メモリであり、カメラ部106で撮像した画像等の各種データの外部記憶に使用する。
【0090】
携帯電話制御部96は、通話接続、メール接続、インターネット接続などの通信接続及び関連する各種の制御を行う。
【0091】
また、携帯電話制御部96は、火災感知器14の試験時に、操作部116によりGPS受信操作を行うと、試験場所でのGPS位置情報を取得すると共にGPS取得時間を検出し、例えばメモリカード118に記憶する。このため火災感知器14の試験終了後に、メモリカード118を受信機10に差し替えることで、試験時に記憶したGPS位置情報とGPS取得時刻を受信機10に入力して位置情報の登録を行わせることができる。
【0092】
また、携帯電話制御部96は、
図2に示したサーバ32に登録した端末位置情報に、連絡先特定情報として携帯電話番号が登録されていた場合には、火災検出に伴う火災警報のプッシュ通知を受信することから、火災警報のプッシュ通知画面をディスプレイ110に表示し、画面タッチ操作により開封操作を行うと、サーバ32から火災発生場所を示す警戒区域平面図や地図をダウンロードして表示する制御を行う。
【0093】
また、携帯電話制御部96は、火災感知器14の試験時に、操作部116により試験対象階の平面図要求操作を行うと、サーバ32から試験対象階の火災感知器の配置を示す感知器シンボルが配置された平面図をダウンロードしてディスプレイ110に表示する制御を行い、画面表示された平面図から試験対象となる全ての火災感知器14を知り、これにより火災感知器14を漏れなく試験することができる。
【0094】
[端末位置情報の取得と登録動作]
図6は受信機の試験情報取得部と位置情報登録部による処理動作を示した説明図である。
【0095】
図6(A)に示すように、
図2の受信機10に設けた試験情報取得部64は、火災感知器14の試験操作により受信した試験信号に基づき、試験情報120を生成する。試験情報120は、端末特定情報121となるアドレス122及び階情報124と、地区メッセージ125、試験時刻126及び種別128を含む。
【0096】
具体例としては、
図6(B)に示すように、試験情報120は、アドレス122が「123」であり、階情報124が「2F」であり、地区メッセージ126が「2F会議室」であり、試験時刻126が「10:45」であり、種別128が「煙アナログ」となる。
【0097】
また、
図6(A)に示すように、受信機10にトランシーバ26から入力したGPS情報130は、GPS取得時刻132と端末位置情報であるGPS位置情報134を含み、GPS位置情報134は緯度135、経度136及び高度138を含む。
【0098】
具体例としては、
図6(B)に示すように、
GPS取得時刻132=10:45
緯度135=37;29;28.491・・・・・3
経度136=139;44;6.733・・・・・8
高度138=14(メートル)
となる。
【0099】
位置情報登録部66は、試験情報120の試験時刻126と、GPS情報130のGPS取得時刻132を比較し、この場合、両者は一致していることから、アドレス122にGPS位置情報134を対応付けする。
【0100】
続いて、位置情報登録部66は、GPS位置情報134を監視区域の平面図の座標情報に座標変換し、平面図位置情報140を生成してメモリに記憶することで登録する。登録する平面図位置情報140は、アドレス122、階情報124、地区メッセージ125、平面図番号142、座標情報144及びGPS位置情報を含む。
【0101】
(座標変換)
図7は位置座標登録部によるGPS位置座標から平面図位置座標への座標変換を示した説明図である。
【0102】
図7に示すように、平面図座標面146はx-y座標面であり、GPS座標面147はE-N座標面となり、両者は原点O中心に角度θのずれ角を生じており、O点、P点の座標は、
0(E1,N1)=O(x1,y1)
P(E2,N2)=P(x2,y2)
と既知の値である。
【0103】
ここで、ずれ角θは、
tanθ1=(N2-N1)/(E2-E1)
tanθ2=(y2-y1)/(x2-x1)
となることから
tanθ=tan(θ2-θ1)
=(tanθ2-tanθ1)/(1+tanθ2・tanθ1)
となり、
θ=tan-1{(tanθ2-tanθ1)/(1+tanθ2・tanθ1)}
となる。
【0104】
このため、試験時に取得されたQ点のGPS座標(E,N)から平面図座標(x,y)への変換は、縮尺をKとすると、次式で与えられる。
x={(E-E1)cosθ+(N-N1)sinθ}×K+x1
y={(E-E1)sinθ+(N-N1)cosθ}×K+y1
ここで、縮尺Kは
K=√{(x2-x1)2+(y2-y1)2}/√{(E2-E1)2
+(N2-N1)2}
となる。
【0105】
なお、GPS位置座標から平面図位置座標への変換は上記に限定されず、ウェブサイト等で公開されている適宜のGPS座標から平面直交座標への変換が利用できる。
【0106】
(位置情報登録動作)
図8は受信機の位置情報登録の処理動作を示したフローチャートであり、受信機10に設けた試験情報取得部64及び位置情報登録
図66の処理動作となる。
【0107】
図8に示すように、試験情報取得部64はステップS1で火災感知器14の試験による試験信号の受信を判別するとステップS2に進み、
図6(A)に示したアドレス122と端末試験時刻を含む試験情報120を履歴情報として保存し、ステップS3でGPS情報の入力を判別するまで、ステップS1からの処理を繰り返している。
【0108】
位置情報登録部66はステップS3で
図6(A)に示したGPS取得時刻132とGPS位置情報134を含むGPS情報130の入力を判別するとステップS4に進み、端末試験時刻とGPS取得時刻を比較し、ステップS5でずれ時間が所定時間以内か否か判別する。ここで、ずれ時間の閾値は例えば1分以内の所定時間、例えば30秒とし、30秒以内のずれ時間であれば、試験時間とGPS取得時間は一致したものと見做し判断する。
【0109】
ステップS5でずれ時間が所定時間以内で試験時間とGPS取得時間が一致すると見做し判断した場合にはステップS6に進み、試験した火災感知器14のアドレスに、試験時間に所定のずれ時間で一致したGPS取得時間のGPS位置情報を紐づけし、続いて、ステップS7でGPS位置情報を平面図位置情報に座標変換し、ステップS8で端末アドレスに対応付けした
図6(A)に示す平面図位置情報140を登録し、ステップS9で全ての登録処理を終了するまで、ステップS4からの処理を繰り返す。
【0110】
[登録位置情報を利用した制御]
(GPS位置情報の確認)
図9は位置情報登録後の端末試験で行うGPS位置情報の確認処理を示したタイムチャートである。
【0111】
図2の受信機10のメインCPU40に設けられた位置情報登録部66は、端末アドレスに対応付けした平面図位置情報及びGPS位置情報を登録した後に、受信機10を点検モードに切り替えて火災感知器14の試験を行うときに、最初の試験時と同様、トランシーバ26によりGPS位置情報を取得し、受信機10から登録済みのGPS位置情報をトランシーバ26に送信して位置ずれの有無を確認する制御を行う。
【0112】
図9に示すように、防災システムの定期点検において、担当者は火災感知器14の炙り試験をステップS11で行うと、ステップS12で火災感知器14の試験発報による試験信号が受信機10に送信される。
【0113】
またステップS11の火災感知器14の炙り試験と同時にトランシーバ26のGPS受
信操作によりステップS13でGPS位置情報が取得され、ステップS14でGPS取得時刻が検出され、GPS位置情報と共に記憶される。
【0114】
一方、受信機10はステップS15で火災感知器14からの試験信号を受信して端末アドレスを取得し、続いて、ステップS16で試験信号から取得した端末アドレスに対応付けられた登録済みのGPS位置情報(以下「旧GPS位置情報」という)を読み出し、ステップS16でトランシーバ26に送信する。
【0115】
トランシーバ26はステップS17で受信機10から受信した旧GPS位置情報とステップS13で新たなに取得した新GPS位置情報とを比較し、ステップS18で位置ずれが所定値以内であることを判別するとステップS19に進み、GPS位置が正しいことを示す正常報知を行う。
【0116】
これに対しステップS18で位置ずれが所定値を超えていることを判別した場合には、ステップS20に進み、GPS位置情報の位置ずれ警報を出力する。この位置ずれ警報により、担当者は、火災感知器14の設置場所が変更されていたことを知り、試験の終了後に、トランシーバ26に記憶している位置ずれ警報の対象となったGPS位置情報とGPS取得時刻を受信機10に入力し、GPS位置情報を正しい位置情報に更新登録する操作を行う。
【0117】
このため受信機10はステップS21でトランシーバ26が取得して記憶したPS位置情報とGPS取得時刻を含むGPS情報の入力を判別するとステップS22に進み、位置ずれ警報となったGPS位置情報を正しい位置に修正するための更新登録を行う。ステップS22の位置情報の更新登録の詳細は、
図8のステップS4~S9に示したと同様になる。
【0118】
このように位置情報を登録した後の防災端末の試験時に、登録済みのGPS位置情報と防災端末の実際の試験場所で取得したGPS位置情報がずれている場合に警報が出されるので、担当者は正しいGPS位置情報および平面図位置情報に修正する更新登録のための操作を行うことができる。
【0119】
(試験対象端末の表示)
図2の受信機10のメインCPU40に設けられた端末位置登録部66は、受信機10を点検モードに切替えて行う防災端末の試験時に、例えば防災表示装置24の画面表示により選択された所定の警戒区域に存在する1又は複数の火災感知器14の平面図を火災感知器14の試験を行う担当者が携帯しているトランシーバ26に送信して表示させる制御を行う。
【0120】
図10は防災表示装置に表示される通常監視画面を示した説明図である。
図10に示すように、通常監視画面150は、画面左上のメニュー欄152の「平面図をみる」の操作釦を操作し、且つ画面右下の「2F」の操作釦154を操作した場合であり、これにより画面中央に監視対象とする建物2Fの平面
図158が表示される。
【0121】
画面表示された平面
図158は、画面左下の縮小平面
図156の中の斜線で示すエリア156aを拡大表示したものであり、エリア156aをマウス操作又はタッチ操作で移動すると、平面
図158を操作方向にスクロールすることができる。
【0122】
平面
図158は建物2Fの監視区画に対応した部屋割りが表示されると共に、
図1に示した火災感知器14の設置を示す感知器シンボル170が表示されている。
【0123】
なお、本実施形態にあっては、説明を簡単にするため、火災感知器(煙感知器)14のシンボル170のみを表示しているが、実際には、煙感知器以外の熱感知器、炎感知器、光電式分離型感知器、発信機等のシンボルに加え、スプリンクラー消火設備等の消火設備のシンボルも合わせて表示される。
【0124】
このため例えば担当者が建物2Fに設置された火災感知器14の試験を行う場合には、受信機10側に設置された防災表示装置24のディスプレイに
図10に示す建物2Fの平面
図158を表示し、防災表示装置24又は受信機10で所定の操作を行うと、例えば、
図1に示した受信機10に接続したトランシーバ26から火災感知器14側の試験を行う担当者が携帯しているトランシーバ26に平面図情報が送信されてディスプレイに表示される。
【0125】
このため火災感知器14の試験時に、試験対象とする警戒区域に出向いた担当者は、トランシーバ26に表示された警戒区域平面図により、試験対象とする火災感知器14を簡単且つ容易に確認することができ、漏れを起こすことなく全ての火災感知器14の試験を行うことができる。
【0126】
なお、担当者が携帯電話端末34を携帯して試験を行う場合には、警戒区域の平面図情報は、受信機10のゲートウェイ装置28、インターネット30、サーバ32、インターネット30、携帯電話網36となる経路で携帯電話端末34に送って表示させても良い。
【0127】
(受信機側の火災警報表示)
図2の受信機10のメインCPU40に設けられた受信制御部62は、火災感知器14から取得した煙濃度又は温度のアナログデータから注意レベル又は火災レベルを判定して注意警報又は火災警報を出力した場合、注意レベル又は火災レベルの判定に基づく火災情報を防災表示装置24に伝送してディスプレイに表示させる制御を行う。
【0128】
図11は防災表示装置に表示される火災警報画面を示した説明図である。
図11に示すように、火災監視画面160は、画面上部のタイトル欄162に「火災発生」の表示に続いて「火災第1報」を表示し、画面下部のメッセージ欄に、注意発報164に続いて現在の火災発報166が表示される。
【0129】
注意発報164は例えば「2019/02/20 14:02 2階46地区テナント201 (注意レベル)発報」であり、これに続く火災発報166は「2019/02/20 14:03 2階46地区テナント201 (火災レベル)発報」wであり、火災発報166に基づき火災発生階となる建物2Fの平面
図158が表示され、平面
図158の中の火災を検出した火災感知器14の感知器シンボルが例えば赤点滅することで発報シンボル170aとして表示されている。
【0130】
このような受信機10及び防災表示装置24による建物平面図を利用した火災発生場所の報知機能に加え、例えば、
図2に示したサーバ32の防災制御部78により防災情報の連絡先特定情報となる携帯電話番号、URL、メールアドレス等を予め登録しておき、受信機10からサーバ26に火災を検出した火災感知器14の端末アドレスを含む火災検出信号を送信し、これを受信したサーバ26は、受信した火災感知器14の端末アドレスに対応した火災発生場所を示す発報シンボルを配置した
図11の平面
図158と同様な平面図情報を、登録した連絡先に配信して表示させる制御を行うようにしても良い。
【0131】
(サーバによる火災地図表示)
図12は火災検出時にサーバに表示される地図画面を示した説明図、
図13は火災検出時にサーバに表示される3D地図画面を示した説明図である。
【0132】
図2に示したサーバ32のサーバ制御部70に設けられた防災制御部78は、受信機10から火災を検出した火災感知器14の端末アドレスを含む火災検出信号を受信したときに、火災を検出した火災感知器14のGPS位置情報に基づく火災発生場所を示す地図を所定のウェブサイトから取得して表示部74のディスプレイに表示する制御を行う。
【0133】
また、サーバ制御部70は、火災発生場所を示す地図の表示に加え、予め登録した建物の所有者、テナント、消防機関等の連絡先のURLを指定して、例えばプッシュ通知を行って火災警報概略表示を行い、連絡先のプッシュ通知開封操作を受けて災発生場所を示す地図を配信する制御を行う。
【0134】
図12はサーバ32に表示される地図画面172の一例であり、火災発生場所を示すGPS座標位置(緯度と経度)に基づき、そのとき設定されている縮尺で火災地域の地図を表示し、表示した地図の中に火災発生場所を示す火災発生シンボル180を表示している。
【0135】
この地図画面172の左上隅には、メニュー釦として、地図釦174、3D地図釦175及び3D写真釦176が配置されており、斜線で示すように地区釦174を選択操作することで、地図画面172が表示されている。
【0136】
図13は3D地図釦175を斜線で示すように選択操作した場合であり、建物が立体表示された3D地図画面182が表示され、火災発生場所を示すGPS位置情報には、緯度と経度に加えて高度があることから、画面中央の高層ビルのGPS高度に対応した位置(階)に火災発生シンボル180が配置され、火災発生ビルが分かると共にビルの何階で火災が発生しているかが直ぐに分かる。
【0137】
また、3D写真釦176を選択操作すると、
図13の3D地図画面182が3D写真画面に切り替わり、火災発生現場の状況把握を高い現実感を持って行うことを可能とする。
【0138】
このようにサーバ32で例えば火災発生場所を示す建物を含む地図、3D地図又は3D写真を表示し、且つ、予め登録した連絡先に配信することにより、消防機関などの関係者は火災発生現場の状況や周辺の状況を適確に把握し、効率的な消防活動や救出活動を行うとことが可能となる。
【0139】
[本発明の変形例]
(端末特定情報と位置情報の登録)
上記の実施形態は、位置情報を座標情報に変換したうえで端末特定情報と紐づけて登録しているが、これに限らない。平面図で端末座標を容易に設定する際に、位置情報を座標情報に変換したうえで端末特定情報と紐づけて登録することが好適であるが、簡略化された平面図にあっては実際の縮尺と異なる可能性がある。そのため、平面図上の防災端末の座標情報については編集可能であっても良いし、最初から紐づけて登録しないようにしても良い。この場合にあっても、端末特定情報を介して平面図上の防災端末と実際の防災端末は互いに一意に特定することができるため、位置ずれ警報等の種々の動作を行うことができる。
【0140】
(試験が行われた端末の表示)
上記の実施形態に加え、受信機の端末位置登録部は、防災端末の試験時に、試験が行われた防災端末の平面図位置情報を携帯端末に送信して警戒区域の平面図に試験が行われた防災端末を区別して表示させるようにしても良い。試験を行った防災端末の位置を平面図上で確認することが可能となり、誤りなく試験が行われたことを確認することができる。
【0141】
(試験対象端末の端末による表示)
上記の実施形態に加え、携帯端末は、受信機から警戒区域の平面図を受信して、防災端末の試験時に、警戒区域の平面図を表示し、警戒区域の平面図で防災端末が選択されたとき、当該防災端末の試験開始信号を受信機に送信し、受信機は試験開始信号を受信し、当該試験開始信号に対応する防災端末に試験報知信号を送信し、試験報知信号を受信した防災端末は、音又は表示により試験報知信号を受信した旨を報知するようにしたため、作業者は平面図上で容易にこれから試験を行う防災端末を選択することができ、また試験を行う防災端末を容易に探すことが可能となる。
【0142】
(防災端末)
上記の実施形態は、防災端末として火災感知器を例にとるものであったが、これに限定されず、発信機やガス漏れ検知器、更には、防火戸や排煙ダンパ等の制御端末も含む。制御端末にあっては、動作試験について、火災感知器と同様に、受信機からの試験動作信号に対する試験動作応答信号の受信により端末アドレスと試験時間を取得し、動作試験と同時に制御端末の試験場所で携帯端末によりGPS位置情報を取得してGPS取得時間と共に記憶した後に受信機に入力し、制御端末の端末アドレスに、試験時間に所定のずれ時間以内で一致するGPS時間のGPS位置情報を対応づけして、平面図位置情報に変換して登録する。
【0143】
(携帯端末)
上記の実施形態は、試験時に使用する携帯端末として、GPS機能を備えたトランシーバや携帯電話端末を例にとっているが、これに限定されず、WiFi(登録商標)等の無線LANネットワークを介して通信接続可能なGPS機能付きのタブレット等の適宜の携帯型の情報端末機器を用いても良い。
【0144】
(P型受信機)
また、上記の実施形態は、R型の受信機からの信号回線を介してR型の火災感知器を接続した火災報知設備を例にとっているが、P型(Proprietary-type)の受信機から引き出した感知器回線にアドレスを設定すると共に伝送機能を備えたアドレッサブル火災感知器を接続した防災設備についても、同様に、アドレッサブル火災感知器の試験時に、試験信号の受信から端末アドレスと試験時間を取得し、試験時に携帯端末で取得したGPS位置情報とGPS取得時刻を受信機に入力し、端末アドレスに対応した位置情報の登録を行うようにしても良い。
【0145】
(登録位置情報の利用形態)
また、上記の実施形態に示した受信機及びサーバに登録した端末アドレスに対応付けられた平面図位置情報およびGPS位置情報の利用形態は、上記の実施形態に示した火災発生場所や点検場所の表示に限定されず、必要に応じて平面図位置情報とGPS位置情報を利用した適宜の制御や処理を含む。
【0146】
(その他)
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0147】
10:受信機
12-1,12-n:信号回線
14:火災感知器
15:アドレッサブル発信機
16:中継器
18:防排煙機器
20:電話線
22:伝送線
24:防災表示装置
26:トランシーバ
28:ゲートウェイ装置
30:インターネット
32:サーバ
34:携帯電話端末
36:携帯電話網
38:試験器具
40:メインCPU
42:サブCPU基板
44:サブCPU
45:内部通信線
46,58:伝送部
60:USBポート
62:受信制御部
64:試験情報取得部
66:位置情報登録部
80:トランシーバ制御部
84,104:GPS通信部
96:携帯電話制御部
120:試験情報
121:端末特定情報
130:GPS情報
140:平面図位置情報
150:通常監視画面
158:平面図
160:火災監視画面
170:感知器シンボル
170a:発報シンボル
172:地図画面
180:火災発生シンボル
182:3D地図画面