(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089283
(43)【公開日】2023-06-27
(54)【発明の名称】足操作式の内締まり錠
(51)【国際特許分類】
E05B 1/00 20060101AFI20230620BHJP
E05B 3/00 20060101ALI20230620BHJP
E05B 65/08 20060101ALI20230620BHJP
E05B 65/06 20060101ALI20230620BHJP
E05C 1/06 20060101ALI20230620BHJP
E05C 3/10 20060101ALI20230620BHJP
E05C 3/08 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
E05B1/00 311F
E05B1/00 311K
E05B3/00 Z
E05B65/08 A
E05B65/06 H
E05C1/06 B
E05C1/06 A
E05C3/10
E05C3/08
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070840
(22)【出願日】2023-04-24
(62)【分割の表示】P 2021117190の分割
【原出願日】2021-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】522243473
【氏名又は名称】名古屋HKプランニング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137899
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 広文
(72)【発明者】
【氏名】堀部 泰隆
(57)【要約】
【課題】近年の公衆衛生における不安に鑑み、建物等の可動ドアに取り付けられている内締まり錠に対して手で触れることなく足で操作して施解錠する手段を提供する。
【解決手段】可動ドアの開閉自在なドアパネルの下方付近に、手動操作するツマミ等に代わり、足で施解錠の操作をする操作体を備えた内締まり錠を設置し、直接、手指で錠に触れずに使用する。可動ドアの様式に応じて幾つかの種類の中から、使用者が片足で操作する操作体を選択する。また、操作体自体のバリエーションや設置する基準についても提案する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルに設置された摺動自在のデッドボルトを操作し、戸先側の固定パネル又は固定壁に配置したストライクに対して前記デッドボルトの先端を挿脱して施解錠を行うデッドボルト錠の様式である場合において、
前記デッドボルト錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、前記ドアパネルの面上に垂直に突出した回転軸と前記使用者が片足で触れるのに十分な大きさの表面積を持った板状体からなり、
一部が前記回転軸の側面に沿って固設された、一つ又は複数の前記板状体は、前記回転軸から張り出すように突設され、前記回転軸といっしょに回転することが可能であり、
前記回転軸は、前記デッドボルトと直接、又は連結部材を介して間接に連結されて前記デッドボルトを従動させることが可能であり、
前記使用者は、前記操作体を前記片足で略横方向へ押し払う動作により、前記回転軸を回転させ、前記回転軸に従動する前記デッドボルトを操作して前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記操作体を操作して前記デッドボルト錠の前記デッドボルトを摺動させて前記ストライクに挿脱することによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠。
【請求項2】
開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルに設置された摺動自在のデッドボルトを操作し、戸先側の固定パネル又は固定壁に配置したストライクに対して前記デッドボルトの先端を挿脱して施解錠を行うデッドボルト錠の様式である場合において、
前記デッドボルト錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、前記ドアパネルの面上に垂直に突出した回転軸と、前記使用者が片足で触れるのに十分な大きさの表面積又は体積を持ち、前記回転軸を中心に回転することができる形状をした回転塊からなり、
挿通穴を穿設した前記回転塊は、前記回転軸に挿通固定され、前記回転軸といっしょに回転することが可能であり、
前記回転軸は、前記デッドボルトと直接、又は連結部材を介して間接に連結されて前記デッドボルトを従動させることが可能であり、
前記使用者が前記操作体の前記回転塊の表面に前記片足を外接し、前記回転塊を転がすことによって前記回転軸を回転させ、前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記回転軸に従動する前記デッドボルトを操作して前記デッドボルト錠の前記デッドボルトを摺動させて前記ストライクに挿脱することによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠。
【請求項3】
開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルに設置された摺動自在のデッドボルトを操作し、戸先側の固定パネル又は固定壁に配置したストライクに対して前記デッドボルトの先端を挿脱して施解錠を行うデッドボルト錠の様式である場合において、
前記デッドボルト錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、前記使用者が片足又は片方の足先で触れるのに十分な大きさの表面積を持ち、前記ドアパネルの面上にあって、前記ドアパネルに対して略垂直に押圧することができる一つ又は複数のボタンからなり、
前記ボタンを押圧することで発生する動きは、杆を用いた機構によってより大きな動きへ変換され、この動きは、直接、又は連結部材を介して間接に前記デッドボルトに伝達されて前記デッドボルトを従動することが可能であり、
前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記片足で前記ボタンを押圧することによって、杆の機構を介して従動する前記デッドボルトを操作して足操作式の内締まり錠の施解錠を行うことを特徴とする、足操作式の内締まり錠。
【請求項4】
開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルの戸先側の上面又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上に設置された回転自在の回転アームを操作し、前記戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上又は前記ドアパネルの戸先側の面上に配置したストライクに対して前記回転アームの鉤状先端部を掛脱することで施解錠を行う打掛錠の様式である場合において、
前記打掛錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、垂直に突出した回転軸と前記使用者が片足で触れるのに十分な大きさの表面積を持った板状体からなり、
一部が前記回転軸の側面に沿って固設された、一つ又は複数の前記板状体は、前記回転軸から張り出すように突設され、前記回転軸といっしょに回転することが可能であり、
前記回転軸は、前記回転アームと直接、又は連結部材を介して間接に連結されて前記回転アームを従動させることが可能であり、
前記使用者は、前記操作体を前記片足で略横方向へ押し払う動作により、前記回転軸を回転させ、前記回転軸に従動する前記回転アームを操作して前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記操作体を操作して前記デッドボルト錠の前記デッドボルトを摺動させて前記ストライクに挿脱することによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠。
【請求項5】
開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルの戸先側の上面又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上に設置された回転自在の回転アームを操作し、前記戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上又は前記ドアパネルの戸先側の面上に配置したストライクに対して前記回転アームの鉤状先端部を掛脱することで施解錠を行う打掛錠の様式である場合において、
前記打掛錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、垂直に突出した回転軸と、前記使用者が片足で触れるのに十分な大きさの表面積又は体積を持ち、前記回転軸を中心に回転することができる形状をした回転塊からなり、
挿通穴を穿設した前記回転塊は、前記回転軸に挿通固定され、前記回転軸といっしょに回転することが可能であり、
前記回転軸は、前記回転アームと直接、又は連結部材を介して間接に連結されて前記回転アームを従動させることが可能であり、
前記使用者が前記操作体の前記回転塊の表面に前記片足を外接し、前記回転塊を転がすことによって前記回転軸を回転させ、前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記回転軸に従動する前記回転アームを操作して前記デッドボルト錠の前記デッドボルトを摺動させて前記ストライクに挿脱することによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠。
【請求項6】
開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルの戸先側の上面又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上に設置された回転自在の回転アームを操作し、前記戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上又は前記ドアパネルの戸先側の面上に配置したストライクに対して前記回転アームの鉤状先端部を掛脱することで施解錠を行う打掛錠の様式である場合において、
前記打掛錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、前記使用者が片足又は片方の足先で触れるのに十分な大きさの表面積を持ち、略垂直に押圧することができる一つ又は複数のボタンからなり、
前記ボタンを押圧することで発生する動きは、杆を用いた機構によってより大きな動きへ変換され、この動きは、直接、又は連結部材を介して間接に前記回転アームに伝達されて前記回転アームを従動することが可能であり、
前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記片足で前記ボタンを押圧することによって、杆の機構を介して従動する前記回転アームを操作して足操作式の内締まり錠の施解錠を行うことを特徴とする、足操作式の内締まり錠。
【請求項7】
開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルに設置された回転自在で先端が鎌の形状をした鎌部材を操作し、戸先側の固定パネル又は固定壁に配置したストライクに前記鎌部材の先端を挿脱して施解錠を行う鎌錠の様式である場合において、
前記鎌部材には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、1本のペダルからなり、前記鎌部材と直接、又は連結部材を介して間接に連結され、
前記ドアパネル内部に設けた機械的なオルタネイト動作機構によって、前記使用者が一度前記ペダルを片足で踏み下げると施錠状態となり、前記ペダルから前記片足を放しても踏み下げられた下部位置付近に前記ペダルが留まって施錠状態が保持され、もう一度前記ペダルを踏み下げると前記ペダルが元の上部位置まで復帰して解錠状態になり、
前記使用者は、前記操作体に従動する前記鎌部材を操作して前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記操作体を操作して前記鎌錠の前記鎌部材を回転させて前記ストライクに挿脱することによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠。
【請求項8】
開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルに設置された回転自在で先端が鎌の形状をした鎌部材を操作し、戸先側の固定パネル又は固定壁に配置したストライクに前記鎌部材の先端を挿脱して施解錠を行う鎌錠の様式である場合において、
前記鎌部材には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、施錠用ペダルと解錠用ペダルの2本のペダルからなり、前記鎌部材と直接、又は連結部材を介して間接に連結され、
前記ドアパネル内部に設けた連携機構によって前記施錠用ペダルと前記解錠用ペダルが連携され、前記施錠用ペダルが踏み下がれば前記鎌部材の先端が突出し施錠状態となると同時に前記解錠用ペダルが押し上げられ、逆に前記解錠用ペダルが踏み下がれば前記鎌部材が引き込まれて開錠状態となると同時に前記施錠用ペダルが押し上がり、
前記使用者は、前記操作体に従動する前記鎌部材を操作して前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記操作体を操作して前記鎌錠の前記鎌部材を回転させて前記ストライクに挿脱することによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠。
【請求項9】
開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルに設置された摺動自在で先端が鎌の形状をした鎌部材を操作し、戸先側の固定壁に配置した係合片に前記鎌部材の先端が当たって、または、前記鎌部材の先端を引き戻して施解錠を行う鎌錠の様式である場合において、
前記鎌部材には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、前記ドアパネルの面上に垂直に突出した回転軸と前記使用者が片足で触れるのに十分な大きさの表面積を持った板状体からなり、
一部が前記回転軸の側面に沿って固設された、一つ又は複数の前記板状体は、前記回転軸から張り出すように突設され、前記回転軸といっしょに回転することが可能であり、
前記回転軸は、前記鎌部材と直接、又は連結部材を介して間接に連結されて前記鎌部材を従動させることが可能であり、
前記使用者は、前記操作体を前記片足で鉛直下方に踏み下げる又は略横方向へ押し払う動作により、前記回転軸を回転させ、前記回転軸に従動する前記鎌部材を操作して前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記操作体を操作して前記鎌錠の前記鎌部材を摺動させて前記係合片に当たって、または、前記鎌部材の先端を引き戻すことによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠。
【請求項10】
前記操作体に前記使用者の前記片足が接触する操作面が、表面に凸部若しくは凹部若しくは空隙を有する面、又は線状若しくは点状の小面積の連続並置を以て為すところの仮想的な面、又は湾曲した面を有することを特徴とする、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の足操作式の内締まり錠。
【請求項11】
前記足操作式の内締まり錠が備える前記操作体の請求項10に記載の前記操作面が、前記使用者が施解錠の操作を開始する時点において、床面より鉛直上方へ高さ230ミリ以下に位置することを特徴とする、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の足操作式の内締まり錠。
【請求項12】
前記足操作式の内締まり錠が備える前記操作体の操作に対する指針又は結果が、前記ドアパネル若しくは固定壁若しくは固定パネルの面上、又は前記操作体の表面に、記号又は文字によって示されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の足操作式の内締まり錠。
【請求項13】
前記可動ドアが、引き戸式ドア又は開き戸式ドアであることを特徴とした、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の足操作式の内締まり錠。
【請求項14】
不特定多数の人が共用するトイレ施設に使用する可動ドアの内締まり錠として設置することを特徴とした、請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の足操作式の内締まり錠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の内外に設置された可動ドアの室内側に取り付けられる足操作式の内締まり錠に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、建物等に使用される可動ドアに取り付けられる内締まり錠の施解錠は、ツマミやサムターンなどの手動操作部材を直接、指先で摘まんで操作するものが大部分を占めており、殆どの使用者は、その手動操作部材に触れざるを得ないことになる。
【0003】
その一方で、近年、人々の細菌やウイルスに対する警戒心が驚くほどの拡がりを見せており、防疫に対する意識の高まりには目を見張るものがある。手指に付着した細菌やウイルスは、その手指で顔を触ったり、掴んだ食べ物を口に運んだりすることで体内に取り込んでしまう危険性がある。したがって、公共の場における設備、用具など不特定多数の人が触れたものにできる限り触りたくないと感じる人は確実に増えており、そのような人々が公共の場で自らの手のひらや指先で触れるものを成るべく減らし、触ってしまった後の手洗いや消毒を徹底しようと考えることは当然の成り行きである。
このように社会的な意識が変化する状況の下、公共の場で人々が触れざるを得ないものを一つでも少なくすることを有意義と考え、このたび可動ドアに取り付けられる内締まり錠について提案を行う次第である。
【0004】
初めに、可動ドアに設置される錠の手動操作部材に触れないで施解錠を行う考案として特許文献1が挙げられる。この特許は、足踏み解錠式のトイレット扉であって、他の使用者によって細菌が付着させられた解錠つまみに手を触れることで食中毒に発展することを予防しようとするものであり、自動蝶番で吊られた開き式の扉に対して、扉側からラッチが仕切り壁側のラッチ受けに付勢されて突出したものを、仕切り壁側の床面に配置した足踏みペダルを踏込むことによって、足踏みペダルと連結されたラッチ受けが上昇して、ラッチが押し戻されてラッチ受けとの係合が解除されてトイレット扉が開き、使用者が手指を使うことなく解錠できるという特徴を有したドアについての特許である。また、設備費の点からバネによる開き式の自動蝶番を用いて電動化を避け、安価な機構で対応しようとすることにも注目したい。
【0005】
同じく、手を使わずに足で錠を操作しようとする考案が特許文献2である。この考案は、開閉する門扉の落し錠における栓杆の上下動を、通常は人が屈んでツマミ等を手で掴んで動かすところであるが、栓杆に連結されたレバーを足で操作するものである。足でレバーを踏み込むことで栓杆が上昇して孔から抜け、門扉が解錠した状態を曲板状のバネで維持する様になっており、手を使った細かな操作ができない代わりに、足を使った単純な動作による操作を補完する機能が付加されている。
【0006】
また、センサー技術を駆使した施解錠装置により人がドア錠に触れずに施錠、解錠をしようとする特許が特許文献3である。ドアには開閉センサー、トイレ内には人の存在を検出する2つのセンサー、床面には人の体重で存在を検出する圧力センサー、更に適切な錠操作を助けるために経過時間を計測するタイマーを備えて人による接触を必要としないドアの施解錠装置を実現する特許である。赤外線、光、などを用いた非接触センサー、開閉するドアを駆動するモーター、それらを統合する制御装置など、様々な電気的な要素で構成される施解錠装置である。
【0007】
【特許文献1】特開平10-131586号公報
【特許文献2】実開昭60-90366号公報
【特許文献3】特開2019-108660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
可動ドアに備わる錠に触ることなく施解錠の操作を行うという点に関して、特許文献1は、バネによる自動蝶番で開くトイレット扉の施錠装置に対して解除するものである。扉側から仕切り壁側へ突出たラッチを仕切り壁の内部に設けた機構で前記ラッチを押し戻して解錠するもので、室内側の床面に設けたペダルを踏んで操作を行う機構である。この機構では、扉が閉まった状態で突出したラッチを押し戻す機構を仕切り壁の内部に組付けなければならず、現場での施工が煩雑になり、施工費の増加に繋がりかねない。また、ペダル装置が床面に直付けされているため、ペダル装置への異物の進入やペダル装置自体の腐食の懸念もある。更に、この特許の足踏み解錠式扉の実使用を想定した場合、いくら開き式の自動蝶番が使われ段階式のペダル操作の対策が採られていたとしても、何かの原因、例えば悪戯、で室内側に人がいない状態で閉められてしまい、その後の使用に支障が生じることも考えられる。
【0009】
足で錠を操作するという点において、門扉に設置された落し錠に操作のためのレバーを使用した考案が特許文献2である。この門扉を開く前に栓杆を引き上げる場合、足でレバーを踏み下げれば容易に解錠ができ、この考案の要素の一つである固定部により、栓杆が上昇した状態で保持されて門扉を安全に開閉することができるというものである。しかし、この落し錠を施錠する場合、上昇した状態の栓杆を下降、即ちレバーを足で上昇させなければならない。実際の使用を想定すれば、通常は足先の上面を使ってレバーを蹴り上げることになり、靴が汚れたり傷付いたりする。まして、女性のサンダルなど、足の一部が露出した履物であれば直接、素足が汚れかねず、操作性の面で困難を伴う場合がある。従って、足のどこを使ってどのような操作を行うのかという点は、十分に考慮されなければならない。
【0010】
また、特許文献3は、直接的に手足を使わず電動機や電子機器を駆使し、ドアの開閉から施解錠まで完全にタッチレス化を図った点で最もスマートな特許の一つと言うことができる。まず、操作性においてはドアや錠に触れることが無いので全く問題がない。しかし、多数のセンサー類、駆動モーター、制御装置など初期の設備費が嵩んでしまい、維持管理にも継続的に多額の費用が必要となることが予想される。更に停電により動力源を喪失すればドアの使用が困難になるなど非常時の対応が不可欠であり、目に見えないコストも含めて高価な設備となる可能性がある。また、この特許文献の通り、トイレのドアに適用するのであれば、プライベートな空間で他人の目を気にする必要のない使用者が起こす想定外の行為、例えば不必要な働き掛けや悪戯、まで想定してタッチレス化設備の仕様を高めておく必要があるかもしれない。
【0011】
本発明の課題は、これら特許文献1乃至特許文献3の考察を踏まえ、簡単な機構、安価な設備や維持の費用、容易な操作性を具備しつつ、使用者の衛生上の不安を一つでも取り除くことができる特徴を有した内締まり錠を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルに設置された摺動自在のデッドボルトを操作し、戸先側の固定パネル又は固定壁に配置したストライクに対して前記デッドボルトの先端を挿脱して施解錠を行うデッドボルト錠の様式である場合において、
前記デッドボルト錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、前記ドアパネルの面上に垂直に突出した回転軸と前記使用者が片足で触れるのに十分な大きさの表面積を持った板状体からなり、
一部が前記回転軸の側面に沿って固設された、一つ又は複数の前記板状体は、前記回転軸から張り出すように突設され、前記回転軸といっしょに回転することが可能であり、
前記回転軸は、前記デッドボルトと直接、又は連結部材を介して間接に連結されて前記デッドボルトを従動させることが可能であり、
前記使用者は、前記操作体を前記片足で略横方向へ押し払う動作により、前記回転軸を回転させ、前記回転軸に従動する前記デッドボルトを操作して前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記操作体を操作して前記デッドボルト錠の前記デッドボルトを摺動させて前記ストライクに挿脱することによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠である。
【0013】
請求項2の発明は、開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルに設置された摺動自在のデッドボルトを操作し、戸先側の固定パネル又は固定壁に配置したストライクに対して前記デッドボルトの先端を挿脱して施解錠を行うデッドボルト錠の様式である場合において、
前記デッドボルト錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、前記ドアパネルの面上に垂直に突出した回転軸と、前記使用者が片足で触れるのに十分な大きさの表面積又は体積を持ち、前記回転軸を中心に回転することができる形状をした回転塊からなり、
挿通穴を穿設した前記回転塊は、前記回転軸に挿通固定され、前記回転軸といっしょに回転することが可能であり、
前記回転軸は、前記デッドボルトと直接、又は連結部材を介して間接に連結されて前記デッドボルトを従動させることが可能であり、
前記使用者が前記操作体の前記回転塊の表面に前記片足を外接し、前記回転塊を転がすことによって前記回転軸を回転させ、前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記回転軸に従動する前記デッドボルトを操作して前記デッドボルト錠の前記デッドボルトを摺動させて前記ストライクに挿脱することによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠である。
【0014】
請求項3の発明は、開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルに設置された摺動自在のデッドボルトを操作し、戸先側の固定パネル又は固定壁に配置したストライクに対して前記デッドボルトの先端を挿脱して施解錠を行うデッドボルト錠の様式である場合において、
前記デッドボルト錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、前記使用者が片足又は片方の足先で触れるのに十分な大きさの表面積を持ち、前記ドアパネルの面上にあって、前記ドアパネルに対して略垂直に押圧することができる一つ又は複数のボタンからなり、
前記ボタンを押圧することで発生する動きは、杆を用いた機構によってより大きな動きへ変換され、この動きは、直接、又は連結部材を介して間接に前記デッドボルトに伝達されて前記デッドボルトを従動することが可能であり、
前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記片足で前記ボタンを押圧することによって、杆の機構を介して従動する前記デッドボルトを操作して足操作式の内締まり錠の施解錠を行うことを特徴とする、足操作式の内締まり錠である。
【0015】
請求項4の発明は、開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルの戸先側の上面又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上に設置された回転自在の回転アームを操作し、前記戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上又は前記ドアパネルの戸先側の面上に配置したストライクに対して前記回転アームの鉤状先端部を掛脱することで施解錠を行う打掛錠の様式である場合において、
前記打掛錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、垂直に突出した回転軸と前記使用者が片足で触れるのに十分な大きさの表面積を持った板状体からなり、
一部が前記回転軸の側面に沿って固設された、一つ又は複数の前記板状体は、前記回転軸から張り出すように突設され、前記回転軸といっしょに回転することが可能であり、
前記回転軸は、前記回転アームと直接、又は連結部材を介して間接に連結されて前記回転アームを従動させることが可能であり、
前記使用者は、前記操作体を前記片足で略横方向へ押し払う動作により、前記回転軸を回転させ、前記回転軸に従動する前記回転アームを操作して前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記操作体を操作して前記デッドボルト錠の前記デッドボルトを摺動させて前記ストライクに挿脱することによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠である。
【0016】
請求項5の発明は、開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルの戸先側の上面又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上に設置された回転自在の回転アームを操作し、前記戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上又は前記ドアパネルの戸先側の面上に配置したストライクに対して前記回転アームの鉤状先端部を掛脱することで施解錠を行う打掛錠の様式である場合において、
前記打掛錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、垂直に突出した回転軸と、前記使用者が片足で触れるのに十分な大きさの表面積又は体積を持ち、前記回転軸を中心に回転することができる形状をした回転塊からなり、
挿通穴を穿設した前記回転塊は、前記回転軸に挿通固定され、前記回転軸といっしょに回転することが可能であり、
前記回転軸は、前記回転アームと直接、又は連結部材を介して間接に連結されて前記回転アームを従動させることが可能であり、
前記使用者が前記操作体の前記回転塊の表面に前記片足を外接し、前記回転塊を転がすことによって前記回転軸を回転させ、前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記回転軸に従動する前記回転アームを操作して前記デッドボルト錠の前記デッドボルトを摺動させて前記ストライクに挿脱することによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠である。
【0017】
請求項6の発明は、開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルの戸先側の上面又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上に設置された回転自在の回転アームを操作し、前記戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上又は前記ドアパネルの戸先側の面上に配置したストライクに対して前記回転アームの鉤状先端部を掛脱することで施解錠を行う打掛錠の様式である場合において、
前記打掛錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、前記使用者が片足又は片方の足先で触れるのに十分な大きさの表面積を持ち、略垂直に押圧することができる一つ又は複数のボタンからなり、
前記ボタンを押圧することで発生する動きは、杆を用いた機構によってより大きな動きへ変換され、この動きは、直接、又は連結部材を介して間接に前記回転アームに伝達されて前記回転アームを従動することが可能であり、
前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記片足で前記ボタンを押圧することによって、杆の機構を介して従動する前記回転アームを操作して足操作式の内締まり錠の施解錠を行うことを特徴とする、足操作式の内締まり錠である。
【0018】
請求項7の発明は、開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルに設置された回転自在で先端が鎌の形状をした鎌部材を操作し、戸先側の固定パネル又は固定壁に配置したストライクに前記鎌部材の先端を挿脱して施解錠を行う鎌錠の様式である場合において、
前記鎌部材には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、1本のペダルからなり、前記鎌部材と直接、又は連結部材を介して間接に連結され、
前記ドアパネル内部に設けた機械的なオルタネイト動作機構によって、前記使用者が一度前記ペダルを片足で踏み下げると施錠状態となり、前記ペダルから前記片足を放しても踏み下げられた下部位置付近に前記ペダルが留まって施錠状態が保持され、もう一度前記ペダルを踏み下げると前記ペダルが元の上部位置まで復帰して解錠状態になり、
前記使用者は、前記操作体に従動する前記鎌部材を操作して前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記操作体を操作して前記鎌錠の前記鎌部材を回転させて前記ストライクに挿脱することによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠である。
【0019】
請求項8の発明は、開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルに設置された回転自在で先端が鎌の形状をした鎌部材を操作し、戸先側の固定パネル又は固定壁に配置したストライクに前記鎌部材の先端を挿脱して施解錠を行う鎌錠の様式である場合において、
前記鎌部材には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、施錠用ペダルと解錠用ペダルの2本のペダルからなり、前記鎌部材と直接、又は連結部材を介して間接に連結され、
前記ドアパネル内部に設けた連携機構によって前記施錠用ペダルと前記解錠用ペダルが連携され、前記施錠用ペダルが踏み下がれば前記鎌部材の先端が突出し施錠状態となると同時に前記解錠用ペダルが押し上げられ、逆に前記解錠用ペダルが踏み下がれば前記鎌部材が引き込まれて開錠状態となると同時に前記施錠用ペダルが押し上がり、
前記使用者は、前記操作体に従動する前記鎌部材を操作して前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記操作体を操作して前記鎌錠の前記鎌部材を回転させて前記ストライクに挿脱することによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠である。
【0020】
請求項9の発明は、開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルに設置された摺動自在で先端が鎌の形状をした鎌部材を操作し、戸先側の固定壁に配置した係合片に前記鎌部材の先端が当たって、または、前記鎌部材の先端を引き戻して施解錠を行う鎌錠の様式である場合において、
前記鎌部材には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、前記ドアパネルの面上に垂直に突出した回転軸と前記使用者が片足で触れるのに十分な大きさの表面積を持った板状体からなり、
一部が前記回転軸の側面に沿って固設された、一つ又は複数の前記板状体は、前記回転軸から張り出すように突設され、前記回転軸といっしょに回転することが可能であり、
前記回転軸は、前記鎌部材と直接、又は連結部材を介して間接に連結されて前記鎌部材を従動させることが可能であり、
前記使用者は、前記操作体を前記片足で鉛直下方に踏み下げる又は略横方向へ押し払う動作により、前記回転軸を回転させ、前記回転軸に従動する前記鎌部材を操作して前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記操作体を操作して前記鎌錠の前記鎌部材を摺動させて前記係合片に当たって、または、前記鎌部材の先端を引き戻すことによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠である。
【0021】
請求項10の発明は、前記操作体に前記使用者の前記片足が接触する操作面が、表面に凸部若しくは凹部若しくは空隙を有する面、又は線状若しくは点状の小面積の連続並置を以て為すところの仮想的な面、又は湾曲した面を有することを特徴とする、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の足操作式の内締まり錠である。
【0022】
請求項11の発明は、前記足操作式の内締まり錠が備える前記操作体の請求項10に記載の前記操作面が、前記使用者が施解錠の操作を開始する時点において、床面より鉛直上方へ高さ230ミリ以下に位置することを特徴とする、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の足操作式の内締まり錠である。
【0023】
請求項12の発明は、前記足操作式の内締まり錠が備える前記操作体の操作に対する指針又は結果が、前記ドアパネル若しくは固定壁若しくは固定パネルの面上、又は前記操作体の表面に、記号又は文字によって示されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の足操作式の内締まり錠である。
【0024】
請求項13の発明は、前記可動ドアが、引き戸式ドア又は開き戸式ドアであることを特徴とした、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の足操作式の内締まり錠である。
【0025】
請求項14の発明は、不特定多数の人が共用するトイレ施設に使用する可動ドアの内締まり錠として設置することを特徴とした、請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の足操作式の内締まり錠である。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の発明によれば、可動ドアに取付けられる内締まり錠に対して、デッドボルト錠と呼ばれる様式の錠を選択し、且つ前記デッドボルト錠を施解錠する機構と使用者が片足で操作することができる本発明の操作体とを連結して構成される足操作式の内締まり錠を使用すれば、使用者は、自らの手指で錠に触れることなく、前記操作体を鉛直下方に踏み下げたり、略横方向に押し払ったりすることで施解錠をすることができる。また、前記ドアパネルの室内側の面上に垂直に取り付けられた前記回転軸及び前記回転軸に固設された板状体から成る操作体を適用することで前記足操作式の内締まり錠を円滑に操作することができると共に、可動ドアが設置される環境や使用者などの条件を考慮して本発明の足操作式の内締まり錠の操作体を選定する自由度を提供することができる。
【0027】
請求項2の発明によれば、可動ドアに取付けられる内締まり錠に対して、デッドボルト錠と呼ばれる様式の錠を選択し、且つ前記デッドボルト錠を施解錠する機構と使用者が片足で操作することができる本発明の操作体とを連結して構成される足操作式の内締まり錠を使用すれば、使用者は、自らの手指で錠に触れることなく、前記操作体を鉛直下方に踏み下げたり、略横方向に押し払ったりすることで施解錠をすることができる。また、本発明の足操作式の内締まり錠において、前記ドアパネルの室内側の面上に垂直に取り付けられた前記回転軸及び前記回転軸に固設された回転塊から成る操作体を適用することで前記足操作式の内締まり錠を円滑に操作することができると共に、可動ドアが設置される環境や使用者などの条件を考慮して本発明の足操作式の内締まり錠の操作体を選定する自由度を提供することができる。
【0028】
請求項3の発明によれば、可動ドアに取付けられる内締まり錠に対して、デッドボルト錠と呼ばれる様式の錠を選択し、且つ前記デッドボルト錠を施解錠する機構と使用者が片足で操作することができる本発明の操作体とを連結して構成される足操作式の内締まり錠を使用すれば、使用者は、自らの手指で錠に触れることなく、前記操作体を鉛直下方に踏み下げたり、略横方向に押し払ったりすることで施解錠をすることができる。また、本発明の足操作式の内締まり錠において、前記ドアパネルの室内側の面上にあって前記パネルに対して略垂直に押圧することができる一つ又は複数のボタンから成る操作体を適用することで前記足操作式の内締まり錠を円滑に操作することができると共に、可動ドアが設置される環境や使用者などの条件を考慮して本発明の足操作式の内締まり錠の操作体を選定する自由度を提供することができる。
【0029】
請求項4の発明によれば、可動ドアに取付けられる内締まり錠に対して、打掛錠と呼ばれる様式の錠を選択し、且つ前記打掛錠を施解錠する機構と使用者が片足で操作することができる本発明の操作体とを連結して構成される足操作式の内締まり錠を使用すれば、使用者は、自らの手指で錠に触れることなく、前記操作体を鉛直下方に踏み下げたり、略横方向に押し払ったりすることで施解錠をすることができる。また、前記ドアパネルの室内側の面上に垂直に取り付けられた前記回転軸及び前記回転軸に固設された板状体から成る操作体を適用することで前記足操作式の内締まり錠を円滑に操作することができると共に、可動ドアが設置される環境や使用者などの条件を考慮して本発明の足操作式の内締まり錠の操作体を選定する自由度を提供することができる。
【0030】
請求項5の発明によれば、可動ドアに取付けられる内締まり錠に対して、打掛錠と呼ばれる様式の錠を選択し、且つ前記打掛錠を施解錠する機構と使用者が片足で操作することができる本発明の操作体とを連結して構成される足操作式の内締まり錠を使用すれば、使用者は、自らの手指で錠に触れることなく、前記操作体を鉛直下方に踏み下げたり、略横方向に押し払ったりすることで施解錠をすることができる。また、本発明の足操作式の内締まり錠において、前記ドアパネルの室内側の面上に垂直に取り付けられた前記回転軸及び前記回転軸に固設された回転塊から成る操作体を適用することで前記足操作式の内締まり錠を円滑に操作することができると共に、可動ドアが設置される環境や使用者などの条件を考慮して本発明の足操作式の内締まり錠の操作体を選定する自由度を提供することができる。
【0031】
請求項6の発明によれば、可動ドアに取付けられる内締まり錠に対して、打掛錠と呼ばれる様式の錠を選択し、且つ前記打掛錠を施解錠する機構と使用者が片足で操作することができる本発明の操作体とを連結して構成される足操作式の内締まり錠を使用すれば、使用者は、自らの手指で錠に触れることなく、前記操作体を鉛直下方に踏み下げたり、略横方向に押し払ったりすることで施解錠をすることができる。また、本発明の足操作式の内締まり錠において、前記ドアパネルの室内側の面上にあって前記パネルに対して略垂直に押圧することができる一つ又は複数のボタンから成る操作体を適用することで前記足操作式の内締まり錠を円滑に操作することができると共に、可動ドアが設置される環境や使用者などの条件を考慮して本発明の足操作式の内締まり錠の操作体を選定する自由度を提供することができる。
【0032】
請求項7、請求項8の発明によれば、ペダルを鉛直下方に足で踏み下げる動作だけで施錠も解錠も行うことができる。
【0033】
請求項9の発明によれば、使用者の足で操作して施解錠することができる構造の内締まり錠であることをその特徴とし、使用者が手指で錠部分に触れることなく施解錠ができるという効果を奏する。
【0034】
請求項10の発明によれば、本発明の足操作式の内締まり錠が備える前記操作体の前記操作面に記載の様々な特徴を与えることにより、前記使用者が前記片足を前記操作体に接触して操作する場合、これらの特徴により前記操作面と前記足との間の滑りやズレが防止され、前記使用者が意のままに前記操作体を操作して施解錠を行うことができる。
【0035】
請求項11の発明によれば、本発明の足操作式の内締まり錠が備える前記操作体の前記操作面が、前記使用者の前記片足による操作が開始する時点で、記載された範囲に位置することにより前記使用者は、身体的に無理なく前記操作体を操作して施解錠を行うことができる。
【0036】
請求項12の発明によれば、本発明の足操作式の内締まり錠が備える操作体或いは操作体の周辺に表示される記号又は文字が存在することで、前記使用者は、初めて本発明の足操作式の内締まり錠に遭遇したとしても、前記記号や前記文字に従って円滑に前記操作体を操作して施解錠を行うことができる。
【0037】
請求項13の発明によれば、本発明の足操作式の内締まり錠を引き戸式ドア又は開き戸式ドアの内締まり錠として設置することで、特にこの二つのドア様式が建物の内外で使用される頻度の高いため、より多くの使用者が手指で錠に触れることなく施解錠をすることができて衛生上の安心感を高めることができる。
【0038】
請求項14の発明によれば、本発明の足操作式の内締まり錠を共用トイレに使用することで、前記使用者の手指への細菌やウイルスの付着の可能性と前記使用者の不安感を軽減して、前記使用者に実効的、精神的なメリットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】足操作式の鎌錠を下レール式の引き戸式ドアに設置した例の模式図である。
【
図2】(1)1本ペダル式の操作体の例(左:正面図、右:側面図)である。 (2)2本ペダル式の操作体の例(左:正面図、右:側面図)である。 (3)左右スライド式の縦板の操作体の例(左:正面図、右:側面図)である。
【
図3】1本ペダル式の操作体がオルタネイト動作する内部機構を
図1に適用した例の模式図(左:ペダル上昇時、右:ペダル下降時の回転カムの状態)である。
【
図4】(1)2本ペダル式の操作体と鎌部材との連携状態を正面視した例の模式図である。 (2)
図4(1)の状態を側面視した例の模式図である。
【
図5】足操作式のデッドボルト錠を開き戸式ドアに設置した例の模式図である。
【
図6】(1)回転軸と1枚の板状体からなる操作体の例(左:正面図、右:側面図)で ある。 (2)回転軸と2枚の板状体からなる操作体の例(左:正面図、右:側面図)で ある。 (3)回転軸と3枚の板状体からなる操作体の例(左:正面図、右:側面図)で ある。
【
図7】回転軸と板状体からなる操作体を片足で操作する例の模式図(2例並記)である。
【
図8】回転軸と3枚の板状体からなる操作体と摺動する鎌ボルトとの連携状態を正面視した例の模式図である。
【
図9】回転軸と板状体からなる操作体を持つ足操作式の鎌錠を上吊り式の引き戸式ドアに設置した例の模式図である。
【
図10】足操作式の打掛錠を下レール式の引き戸式ドアに設置した例の模式図である。
【
図11】回転塊の操作体を持つ足操作式の鎌錠を下レール式の引き戸式ドアに設置した例の模式図である。
【
図12】(1)縦断面円形の回転塊からなる円柱状操作体の例(左:正面図、右:斜視図) である。 (2)縦断面六角形の回転塊からなる六角柱状操作体の例(左:正面図、右:斜視図)である。(3)縦断面ルーローの三角形の回転塊からなるルーローの三角柱状操作体の例(左:正面図、右:斜視図)である。(4)縦断面星形の回転塊からなる星形柱状操作体の例(左:正面図、右:斜視図)である。
【
図13】2個式ボタンの操作体を備えた足操作式の鎌錠を設置した例の模式図である。
【
図14】2個式ボタンの操作体と鎌部材との連携状態を示した例の模式図(左:正面 から、右:側面から)である。
【
図15】(1)2本ペダル式の踏み下げペダルからなる操作体を備える足操作式の鎌錠の操作面と床面との位置関係を斜視した模式図である。(2)回転軸と3枚の板状体からなる操作体を備える足操作式の鎌錠の操作面と床面との位置関係を側面視した模式図である。
【
図16】左右スライド式の縦板の操作体の操作面を湾曲させた例(左:正面図、右:側面図)である。
【
図17】(1)ペダルを踏み下げる操作面の所々に穴が空けられた操作体の斜視図である。(2)ペダルを踏み下げる操作面が線状の小面積を連続並置して形成した操作体の斜視図である。(3)ペダルを踏み下げる操作面が点状の小面積を連続並置して形成した操作体の斜視図である。
【
図18】足操作式の内締まり錠をトイレ個室の開き戸式ドアに設置した例の模式図である。
【
図19】従来の手動操作部材を備える引き戸式ドア及び引き戸式ドアの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、一般的に使用される可動ドアにおいて必要に応じて備えられる内締まり錠、開閉自在なドアパネル1を備えた可動ドアの室内側INに設置する内締まり錠であって、更に使用者65の足を使って施解錠する足操作式の内締まり錠である。すなわち、使用者65の足で操作して施解錠することができる構造の内締まり錠であることをその特徴とし、使用者65が手指で錠部分に触れることなく施解錠ができるという効果を奏する。本発明の足操作式の内締まり錠が設けられる可動ドアは、主に不特定多数の人が利用する役所・オフィス、商業施設、医療・福祉施設等の公共施設内で使用されることが考えられる。
【0041】
また、本発明を発案するに至った背景でも触れたが、近年、防疫などの公衆衛生に対する意識が異常な程の高まりを見せている。その中で人々が社会生活を送る上で不特定多数の人が利用する場所、施設、設備から身を遠ざけ続けるのは、ほぼ不可能である。例えば、電車等の公共交通機関で出かけた折に利用する駅の公衆トイレがある。細菌やウイルスへの不安が頭を過ぎり「トイレの設備になるべく手のひらや指先で触りたくない」と思っていても、通常、トイレ個室のドアノブや錠のツマミ103(
図19参照)等に触れざるを得ず、事後の手洗い・消毒を徹底しながら注意を払うしかないのが実情である。そこで、それらのドアに本発明の足操作式の内締まり錠を取り付けて、従来、一般的なトイレのドアでは必ず触れざるを得なかった錠のツマミ103等を掴まないで済ませようというものである。これにより使用者65の抱く不安が少しでも軽減され、また、使用者65の直接接触による細菌やウイルスへの感染を少しでも防ぐことができるのであれば、本発明の足操作式の内締まり錠は、その役割を十分に果たすものと考えられる。
【0042】
本発明の足操作式の内締まり錠に関し、実施のための形態を具体的な例を挙げて説明するに当たり、従来からの手動による内締まり錠として一般化された錠、例えば鎌錠、デッドボルト錠、打掛錠など、の本締まりの機能を果たす錠機構をそのまま流用し、本発明の本質である足を使った錠操作やその操作対象に説明の力点を置くので、個々の錠機構の様式に関する詳細を割愛する場合がある。
以下、本発明を実施する形態の例を挙げて説明する。
【0043】
図1は、ドアパネル1の内部に収容した本発明の足操作式の内締まり錠である鎌錠を、下レール式の引き戸式ドア11の室内側INから図示した模式図である。戸先側の固定壁15と戸尻側の固定壁16の間に敷設した下レール17の上をドアパネル1が滑動する引き戸式ドア11であり、ドアパネル1の戸先側でドアパネル1の略中央の高さに鎌錠を備える内締まりが可能なドアである。通常は、鎌錠を手指で操作するサムターン104等を錠機構の近くに配置するところであるが、この
図1の例では足操作式の鎌錠の操作体2として、1本式のペダル19がドアパネル1の戸先側の下部に突設されている。ペダル19は、台座18に沿ってドアパネル1の面上を上下する。これが本発明の足操作式の鎌錠における操作体2の一例であり、この1本式のペダル19は、周知の仕組みである保持型のオルタネイト動作をするもので、ドアパネル1の内部で鎌錠の鎌部材25と直接又は連結部材26を介して間接に連結され、鎌部材25を従動して施解錠を行うことができる。ドアパネル1が戸先壁の固定壁15に閉扉し、使用者65がペダル可動範囲の上部に位置するペダル19を踏み下げれば連結部材26を介して鎌部材25が回転又は摺動することによりその先端が突出し、戸先側のドア枠27又は戸先側の固定壁15の面上等に設置されたストライク28に挿脱し、施錠することができる。そして、ドアパネル1の内部のオルタネイト動作機構によってペダル可動範囲の下部で係止されているペダル19を再度、踏み下げることでオルタネイト動作機構の係止が外れて鉛直上方へ付勢されたペダル19がペダル可動範囲の上部に戻り、従動する鎌部材25がドアパネル1の錠機構の内部に収納されて解錠が完了する。
以上、本発明の足操作式の内締まり錠である鎌錠が引き戸式ドア11に収容されている例について説明したが、足操作式の内締まり錠である鎌錠をドアパネル1の面上に面付けしてもよいし、場合によっては開き戸式ドア12に設置しても構わない。本発明でいうところの可動ドアは、引き戸式ドア11、開き戸式ドア12ともに、可動するドアパネル1、また、引き戸式ドア11の場合の可動しない戸先側の固定壁15(あればドア枠27も含む)、開き戸式ドア12の場合の可動しない戸先側の固定パネル13、そして、引き戸式ドア11の場合の可動しない戸尻側の固定壁16、開き戸式ドア12の場合の可動しない戸尻側の固定パネル14で構成される。
【0044】
また、ドアパネル1に取り付けられた大型取手29は、使用者65が手指で握ること無く手の甲や肘を使ってドアパネル1を左右へ滑動するのに都合がよい。更に、
図1のような鎌錠の錠機構を基本とする場合、ここでは図示しないが、ドアが閉扉されないと鎌部材25が突出しないようにするトリガー機構も一緒に備えることで鎌部材及びその周辺の部材の損傷を予防することが可能である。
【0045】
図2は、足操作で力を加える部分が平板状になっているペダル19の操作体2の代表例を示したもので、おのおの左図が正面図、右図が側面図である。
図2(1)は、既述のオルタネイト動作機構を備えた1本ペダル式の操作体2である。
図2(2)は、2本ペダル式の操作体2であり、図中の左側のペダル19を踏み下げることで右側のペダル19が上昇し、逆に、その状態から右側のペダル19を踏み下げることで左側が上昇する。したがって、いずれの例であってもペダル19を鉛直下方に足で踏み下げる動作だけで施錠も解錠も行うことができるということである。
図2(3)は、水平方向へスライドする縦板31の操作体2であり、使用者65が片足で触れるのに十分な大きさと面積を有し、ドアパネル1面に対して略垂直、且つ略鉛直に立ったものである。この縦板31の操作体2を左右いずれかの方向へ足で押し払う動作で施解錠を行うことができる。
【0046】
なお、上記の1本ペダル式の操作体2のオルタネイト動作とは、一度ペダル19を踏み下げると内部に設けた機械的なロック機構で施錠状態となり、ペダル19から片足を放しても踏み下げられた下部位置付近にペダル19が留まって施錠状態が保持され、もう一度ペダル19を踏み下げるとペダル19が元の上部位置まで復帰して解錠状態になるというものである。ロック機構が働いた状態でペダル19の位置が留まることから保持型のそれと言われ、所謂、ノック式ボールペンに見られるノックカム機構と似た動きをするものである。
図3は、
図1の足操作式の鎌錠に回転カム式のオルタネイト動作機構を適用した一例の模式図である。両端に切り欠き部21を持つ回転カム20が周辺側面と接するフレーム22の内側で自在に回転し、その回転カム20は、ペダル19及び連結部材26との間に軸支されている。ただ、ペダル19が鉛直上方に弾性体等で付勢される機構は省略している。
ここで、解錠状態から施錠状態の内部構造について説明する。解錠状態にあるペダル19(
図3の左図)を踏み下げていくと、連結部材26と連動する鎌部材25が飛び出る共に、回転カム20は、フレーム22内側の底部22aに接して僅かに時計回りに傾倒する。因みに、この後、底部22aに連なる段部に回転カム20が接した状態がペダル19の踏み下げ限界となる。その後、踏んでいたペダル19を戻し始めると直ぐに回転カム20の切り欠き部21がフレーム22内側の内突起部22bに係合(
図3の右図中の実線図)し、動作が保持されて施錠状態となる。次に施錠状態から解錠状態の内部構造について説明する。施錠状態にあるペダル19を再度、踏み下げると回転カム20の切り欠き部21とフレーム22内側の内突起部22bの係合が外れ、回転カム20は、フレーム22内側の底部22aの傾斜に接して更に時計回りに回転(
図3の右図中の破線図)する。そこで足を外してペダル19を上昇させれば、回転カム20の切り欠き部21は、もはやフレーム22内側の内突起部22bに係合できず、内突起部22bが側面20aに沿って更に時計回りに回転(
図3の右図中の一点鎖線図)して、最終的に初期状態から180度反転し、上部位置まで戻って解錠状態に復帰する。
【0047】
2本ペダル式の操作体2を有する足操作式の鎌錠の錠機構の内部の連携状態の一例を
図4に示す。
図4(1)は、正面から、
図4(2)は、側面から見た模式図である。2本のペダル19は、それぞれ
図4(1)で左側に図示した施錠用ペダル23と、
図4(1)の右側に図示した解錠用ペダル24に分れている。錠機構の内部の鎌部材25が固定軸34を中心支点に右回り或いは左回りすることでドアパネル1の戸先から鎌部材25の先端が出入りする。施錠用ペダル23の延長上でドアパネル1内側へのペダル軸32と鎌部材25の可動軸33が連結ロッド35でつながれ、施錠用ペダル23が下がれば鎌部材25が右回りに回転して先端が突出し施錠状態になる。2本のペダルの略中央に位置してドアパネル1の内部に固設された中間軸37を中継し、解錠用ペダル24の延長上でドアパネル1内側へのペダル軸32と施錠用ペダル23の延長上で前記ドアパネル1内側へのペダル軸32とペダル連結ロッド36で繋がれている。ペダル連結ロッド36のそれぞれの軸に対する穴は、施錠用ペダル23側は同心の穴であり、ペダル連結ロッド36の略中央の穴と解錠用ペダル24側の穴は、ペダルが上下する間の長さ調整のため、それぞれの長円状の穴38となっている。施錠用ペダル23が踏み下がれば解錠用ペダル24が押し上げられ、逆に解錠用ペダル24が踏み下がれば施錠用ペダル23が押し上がって、シーソーの様な動きとなる。したがって、押し上がった状態のペダル19を踏み下げるだけで、それが施錠用ペダル23であれば鎌部材25の先端が突出し、解錠用ペダル24であれば鎌部材25が引き込まれて、前記足操作式の鎌錠の施解錠をすることができる。
【0048】
図5は、足操作式の内締まり錠であるデッドボルト錠を開き戸式ドア12の室内側INから図示した模式図である。このデッドボルト錠は、ドアパネル1の内部に収容され、摺動自在のデッドボルト41を操作し、戸先側の固定パネル13に配置したストライク28に対してデッドボルト41の先端を挿脱して施解錠を行うものである。
この開き戸式ドア12は、戸先側の固定パネル13と戸尻側の固定パネル14の間にあって、戸尻側の固定パネル14に蝶番42で吊られて回動するドアパネル1からなり、戸先側の下部にデッドボルト錠を備える内締りが可能な可動ドアである。ドアが開き戸式ということから、使用者65がドアパネル1を押すための目標物としての抗菌パネル43も備える。通常のデッドボルト錠であれば手指で操作するツマミ103等でデッドボルト41を動かすところ、
図5の例では足操作式のデッドボルト錠の操作体2として、ドアパネル1の戸先側の下部から室内側INに垂直に突設した回転軸44の外周から板状体45が張り出して固設されている。これが本発明の足操作式のデッドボルト錠における操作体2の一例であり、この操作体2を構成する回転軸44及び板状体45は、ドアパネル1の内部で錠機構と連結されており、連係して施解錠を行う機能を有する。
ドアパネル1が戸先側の固定パネル13に閉扉し、使用者65が板状体45を片方の足で一方向へ押し払う動作で回転軸44が回転して錠機構に伝達され、ドアパネル1の内部に収容されていたデッドボルト41が突出し、デッドボルト41の先端が戸先側の固定パネル13のストライク28に挿脱して施錠することができる。次に、最初の動作とは反対方向へ板状体45を押し払うことで回転軸44が逆回転してデッドボルト41がドアパネル1の内部に収納されて解錠が完了する。
以上、本発明の足操作式の内締まり錠であるデッドボルト錠が開き戸式ドア12に収容されている例について説明したが、足操作式の内締まり錠であるデッドボルト錠をドアパネル1の面上に面付けしてもよい。
【0049】
図6は、ドアパネル1の戸先側の下部から面上に垂直に突設した回転軸44と、回転軸44から張り出した一つ又は複数の板状体45で構成される操作体2の主だったバリエーションを示したもので、各々、左図が正面図、右図が側面図である。この実施形態の操作体2は、回転軸44と、使用者65が片足で触れるのに十分な大きさと面積を持った板状体45をその構成としている。
図6(1)の例は、
図5の中で示したドアパネル1下部に垂直に突出した回転軸44から張り出して固設された1枚の板状体45による操作体2であり、回転軸44から鉛直下方に垂れ下がった初期状態のものである。この板状体45を使用者65が片足で左右いずれかの方向に押し払い、回転軸44を介して錠機構に働きかけて施解錠を行うことは既述の通りである。また、ここでは図示しないが、初期状態を回転軸44の鉛直上方にしてもよいし、回転軸44の左右いずれかの方向に水平に突出した初期状態に設定しても構わない。これらの場合、使用者65は、板状体45を押し払う、又は踏み下げることで操作することができる。つまり、この1枚の板状体45の初期状態は、鉛直下方に限定されたものではなく、任意に設定することが可能である。
【0050】
他には、
図6(2)の例が考えられる。これは、ドアパネル1下部に垂直に突出した回転軸44と回転軸44から張り出して固設された2枚の板状体45による操作体2であり、その回転軸44を介して施解錠をすることができるのは1枚の板状体45の場合と同様である。
図6(2)の操作体2では、回転軸44から張り出して固設された2枚の板状体45が、互いに略直角(≒90度)を成している。初期状態として一方の板状体45が水平である場合、もう一方の板状体45は、鉛直下方に垂れ下がっており、使用者65が片足で水平状態の板状体45を踏み下げて回転軸44を回転させれば、もう一方の板状体45が同じく回転して水平状態になるというものである。連係する錠機構について、例えば、初期状態を解錠状態とし、足で踏み下げてもう一方の板状体45が水平になった場合を施錠状態と設定すれば、いずれの状態への操作も片足で踏み下げる操作となって、使用者65の片足の甲側、すなわち靴や足の上面を汚したり傷付けたりすることを回避できる。但し、2枚の板状体45が互いに成す角度は、略直角に限らず、錠機構等の条件から任意に設定できることは言うまでもない。
【0051】
また、
図6(3)は、更に1枚増やして3枚の板状体45が回転軸44から張り出して固設された操作体2である。この例では、2枚の板状体45が回転軸44に略対称(≒180度)に固設され、残る一枚の板状体45が前記の2枚の板状体45に対してそれぞれ同時に略直角(≒90度)を成すように固設された、所謂、T字型をした3枚の板状体45を持つ操作体2である。例えば、2枚の軸対称な板状体45を水平にして残る1枚を鉛直下方に垂れ下がった状態を初期の解錠状態とすれば、
図6(2)と同様に踏み下げる動作で施解錠することができる上に、
図6(1)の様に鉛直下方に垂れ下がった板状体45を左右いずれかの方向へ押し払う動作でも施解錠することができ、二通りの操作方法を使うことができる。手指のような自由度が利かない、足を使う操作に際し、複数の操作方法があることは使用者65の利便性を向上させることにつながる。但し、3枚の板状体45が相互に成す角度は、錠機構等の条件から任意に設定できることは2枚の板状体45の場合と同様である。
【0052】
図7は、
図6(3)の片足を使った操作を表わした模式図であり、同時に2つの異なった動作を描写している。回転軸44と3枚の板状体45からなるT字型の操作体2に対して、鉛直下方に垂れ下がった板状体45を水平方向に押し払う動作を表わしたものが図右側の押し払う片足47であり、水平状態の一方の板状体45を鉛直下方に踏み下げる動作を表わしたものが図左側の踏み下げる片足48である。いずれも連係された内締まり錠の施解錠を行う操作を表している。
【0053】
回転軸44と3枚の板状体45からなるT字型の操作体2を備える足操作式の鎌錠の錠機構の内部の連携状態の一例を
図8に示す。この鎌錠は、筒状ガイド52の内部を鎌ボルト51が摺動する様式のもので、鎌ボルト51の長手方向の後端に近い位置の側面にピン53が突出している。前記のT字型の操作体2のドアパネル1の表面を挟んでドアパネル1の内側には、半円盤の円周部の略中央を扇形に切り欠いた形状をした異形操作板54が回転軸44に固設されている。したがって、T字型の操作体2が回転すれば、前記回転軸44でつながった異形操作板54も一緒に回転することになる。T字型の操作体2の戸尻側の板状体45を踏み下げる又は垂直に垂れ下がった板状体45を戸先方向へ押し払うことでT字型の操作体2を回転させれば、異形操作板54の一方の扇形の切欠き端面55が鎌ボルト51に突出したピン53を引っ掛けて鎌ボルト51を摺動し、戸先から鎌ボルト51の先端を突出させる。鎌ボルト51が更に突き出て、戸先側の固定壁15の内部に設置された回転小円盤56に乗り上げて、上方へ摺動することで鎌ボルト51の先端が係合片57に当たって施錠が完了する。反対に、T字型の操作体2の戸先側の板状体45を踏み下げる又は垂直に垂れ下がった板状体45を戸尻方向へ押し払うことでT字型の操作体2を回転させれば、異形操作板54のもう一方の扇形の切欠き端面55が鎌ボルト51に突出したピン53を引っ掛けて鎌ボルト51を摺動し、突出していた鎌ボルト51の先端を引き戻して鎌ボルト51を筒状ガイド52の内部に収納して解錠を完了する。
本実施形態の鎌ボルト51は、請求項でいうところの「鎌部材25」に相当するが、筒状ガイド52の内部を摺動する様式であるため、ここでは便宜上「鎌ボルト51」と呼称する。
なお、3枚の板状体45からなるT字型の操作体2で説明したが、異形操作板54の扇形の切欠き端面55が鎌ボルト51の側面に突出したピン53を引っ掛けて鎌ボルト51を摺動することができれば、異形操作板54の形状(例えば、多角形、棒状、平板状、円形、雲形等)や板状体45の数は、問わない。
【0054】
図9は、
図6(2)の操作体2を備える足操作式の鎌錠を引き戸式ドア11の室内側INに適用した模式図である。この引き戸式ドア11は、上部壁面に敷設した上レール61に、ドアパネル1の上部に車輪62を備えた吊り金具63で上吊りされて滑動するもので、戸先側の下部に足操作式の鎌錠を備えることで内締まりをすることができる。この
図9における足操作式の鎌錠の操作体2は、ドアパネル1の面上に垂直に突設した回転軸44に2枚の板状体45が張り出して固設されたものであり、ドアパネル1の内部で回転軸44と連係する錠機構に働きかけて施解錠を行う。ドアパネル1が戸先側の固定壁15の面上に固設されたストッパー64に当接して閉扉し、使用者65が操作体2の2枚の板状体45の内、水平状態の板状体45を片足で踏み下げて、回転軸44に連係した錠機構の内部に収容された鎌部材25を突出させ、下側のストッパー64に穿設されたストライク28に挿脱することで施錠することができる。逆に、使用者65が回転軸44に固設された2枚の板状体45の内、施錠した時の踏み下げ動作で水平状態になったもう一方の板状体45を片足で踏み下げて、突出した鎌部材25を錠機構の内部に引き戻すことで解錠が完了する。
この時、使用者65が手指を使わなくてもよくするためにドアパネル1に大型取手29が備え付けられていることが望ましい。なぜなら、
図9の中のような大型取手29であれば、使用者65は、手の甲、肘、肩といった身体のより大きな部位でドアパネル1を押すことができるし、操作側の足66を上げて軸側の足67だけで立って不安定な姿勢を大型取手29に肘や肩で寄り掛かることでのバランスを取ることができる。更に大型取手29がドアパネル1の下部まで延長されれば、使用者65が膝を使うことも可能となり、手指以外で使うことのできる身体の部位が拡がって操作の選択肢が増えるので、このような大型取手29は、本発明の足操作式の内締まり錠に併設されるべきである。また、足操作式の内締まり錠を備えた引き戸式ドア11には、
図9のような大型取手29の形状の方が、使用者65が反射的に握ってしまう棒状の取手よりも相応しいとかも知れない。
【0055】
一方、鎌錠に代わって打掛錠を使用することも可能である。
図10は、本発明の足操作式の打掛錠を引き戸式ドア11の室内側INから図示した模式図である。打掛錠が、戸先側の固定壁15の面上に面付けされており、ドアパネル1の戸先側の面上に配置したストライク28に回転自在の回転アーム68の鉤状先端部69を着脱することで施解錠を行うものである。
一般的に、ドアパネル1の内部に錠機構が収容されることの多い鎌錠と異なり、打掛錠は、締まり部分である回転アーム68が外部に露出している。この打掛錠を戸先側の下部に設置し、片足を使って錠操作をしようとするのが足操作式の打掛錠である。
図10の例では、錠機構に相当する回転アーム68と回転アーム68を回転させる操作体2が戸先側の固定壁15に、回転アーム68の鉤状先端部69と着脱するストライク28がドアパネル1の戸先側にそれぞれ設置された足操作式の打掛錠となっている。逆に、ドアパネル1の戸先側に回転アーム68と操作体2を、戸先側の固定壁15にストライク28をそれぞれ設置することも可能である。これは、錠機構が比較的、単純で且つ外部に露出しているという打掛錠の特徴によるもので、手指で操作する従来の打掛錠と同様、設備を設置する自由度が高いと言う利点がある。
【0056】
図11は、本発明の足操作式の鎌錠に備え付けられる操作体2に回転塊71を用いた一例の模式図である。この実施形態の操作体2は、回転軸44と、回転塊71をその構成としている。この
図11の回転塊71は、円柱状であって、その円柱の外周面は、使用者65の片足、特に足裏を接触させるのに十分な表面と面積、体積を有していて、更に、円柱の底面の略中心同士を通る方向に中心穴72が空けられている。一方、ドアパネル1の内部の錠機構に連係した回転軸44がドアパネル1の面から垂直に突出している。円柱状の回転塊71と回転軸44は、回転塊71の中心穴72に回転軸44が根元まで挿通し、且つ固定されて一体化している。従って、使用者65は、回転塊71の外周部、即ち円柱の側面に足で触れて回転塊71を回すことによって回転軸44を介して錠機構に働きかけて施解錠を行うことができる。ここでは手荷物73を持った使用者65が、肘で大型取手29を押してドアを閉めつつ、円柱状の回転塊71に外接した足裏を回転軸44に対して直角方向に動かして回転塊71を円周方向へ回転させ、足操作式の鎌錠を施錠しようとする様子である。また、回転塊71又はドアパネル1の操作表示70は、使用者65の円滑な操作を手助けする。
【0057】
図12は、本発明の操作体2としての回転塊71の代表的な例を示している。
図12(1)は、
図11の縦断面円柱状の回転塊71であり、左側が側面図、右側が斜視図となっている。側面図である円柱の底面の中心に中心穴72が空いており、ここに錠機構に連係された回転軸44が挿通して固定される。更に、回転塊71の操作面となる円柱の側面には滑止突起物74が配置されて、足裏との間の摩擦抵抗を増大し、より操作性を向上させている。
図12(2)は、縦断面多角柱状(六角柱状)の回転塊71であり、側面同士の境目の角部に使用者65の足裏が掛って操作がし易くなる。
図12(3)は、特殊な断面の柱状体を用いた回転塊71である。縦断面ルーローの三角形の断面を持った柱状体であって、足による1回の操作で回転軸44を約120度も回転することが可能である。足という連続して細かな動きをすることが難い部位を使った操作に対しては、利点が大きいかも知れない。また、側面の滑止溝75は、滑止突起物74と同様、操作性の向上効果を狙ったものである。
図12(4)は、縦断面星形の柱状体による回転塊71である。星形の頂点に相当する側面の角部が足裏による操作を助けると共にデザイン性に優れた操作体2と言えるかも知れない。無論、これら柱状体の縦断面は、上記の4種に限定されるものではなく、各角を角丸とした形状、各辺を膨らませてできるルーローの多角形なども含まれる。
【0058】
また、上記の操作体2としての回転塊71は、ドアパネル1の面に付設できて且つ足での操作がし易いという点から柱状体を選択してきたが、必ずしも柱状体である必要はない。使用者65が片足で触れることができ、足で転がして錠機構につながった回転軸44を操作できれば、どのような形状の立体でもよい。更に、中心穴72に挿通した回転軸44を中心に回転することができれば非対称な立体であっても構わない。なお、回転軸44は、不図示の軸受等により軸支されて回転自在となっている。また、固定軸34や支軸79等の他の「軸」に関しても、基端がドアパネル1の内部に固設されているほか、軸受等により軸支される構成であってもよい。
【0059】
これまでの足操作式の内締まり錠が備える操作体2として、使用者65が片足で下方向へ踏み下げたり、横方向へ押し払ったりする平板状の板状体45について説明してきたが、足先で前方向へ押圧するボタン式の操作体2も忘れてはならない。そもそも使用者65が足で操作をするという、あまり繊細な動作を期待できない状況下では、足先で押圧するという単純な動作は、非常に有効な操作手段である。
また、一般的に手指で押圧するボタンであれば指先ほどの大きさがあれば十分であるが、本発明の足操作式の内締まり錠を操作する場合、足又は足先を使って操作するのに十分な大きさ、すなわち、使用者65の靴の横幅に近い寸法を有する大きさのボタンであることが望ましい。例えば、多目的トイレの戸先側の固定壁15の腰の高さに位置に設置される電気式の開閉ボタンの大きさよりもう一回り大きなボタンであれば操作性のみならず、操作体2としての認知性も十分に確保できると思われる。
【0060】
図13は、操作体2が2個のボタンで構成される足操作式の鎌錠の模式図である。室内側INのドアパネル1の下部に横並びに配置された施錠用ボタン76(図中の操作表示70「CLOSE」)と解錠用ボタン77(図中の操作表示70「OPEN」)のうち、突出した鎌部材25を収納して解錠するために解錠用ボタン77を足先で押圧しようとする動作を表しているのが押圧する片足49である。通常、ボタン操作と言えば、電気的スイッチで電動の錠機構が起動しての施解錠を期待してしまうところであるが、ドアという生活に密着した設備において、維持費や故障、停電等の非常時対応を考慮すれば、むしろボタンを押圧するという物理的な動作だけで錠が操作できる方が望ましい場合もあるのではないかと思われる。勿論、新たな技術によって安価で、耐久性があり、安定性も高く、非常時のバックアップ対応まで可能な電動機構が普及すれば、そちらで置き換えるに越したことはない。
【0061】
ここで2個のボタンからなる操作体2を有する足操作式の鎌錠について、錠機構の内部の連携状態の一例を
図14に示す。
図14(1)は正面から、
図14(2)は側面から見た模式図である。2個のボタンは、それぞれ左側が施錠用ボタン76、右側が解錠用ボタン77である。錠機構の内部の鎌部材25が固定軸34を中心に左回り或いは右回りすることでドアパネル1の戸先から鎌部材25の先端が出入りする。鎌部材25を従動する半連結ロッド78がドアパネル1の内部にあって、半連結ロッド78の途中に設けられた支軸79を中心に回転することができる。半連結ロッド78の支軸79から伸びた長い方のロッドは、その先端に長円状の穴38を備え、鎌部材25の可動軸33が長円状の穴38に貫通して連結されている。一方、反対側に伸びた短い方のロッドは、その先端が球状になっている。施錠用ボタン76は、ボタン内部のバネ81で常に突出した状態に維持されている。施錠用ボタン76の裏側からは可撓性ケーブル82が伸長しており、可撓性ケーブル82のもう一方の端部は、湾曲した円筒管83を通って半連結ロッド78の球状先端84の直前に導かれている。更に、可撓性ケーブル82の先端には、最先端が皿状に凹んだブロック85が取付けられており、施錠用ボタン76を押圧することで可撓性ケーブル82が円筒管83に沿って押し出され、球状先端84を押して半連結ロッド78を動かし、鎌部材25を回転させて前記足操作式の鎌錠を施錠することができる。半連結ロッド78の長円状の穴38は回転中の長さ調整を担っている。また、半連結ロッド78の支軸79から伸びたロッドの長短は、杆の原理により、施錠用ボタン76の小さな押し込み距離で鎌部材25を回転させるのに十分な移動長さを確保することに役立っている。一方、解錠用ボタン77も施錠用ボタン76と同じ機構を有しており、同様に、解錠用ボタン77を押圧することで半連結ロッド78を反対側に動かし、鎌部材25を回転させ、前記足操作式の鎌錠を解錠することができる。
【0062】
本発明の足操作式の内締まり錠が備える操作体2は、使用者65が足を使って操作を行うため、ドアパネル1又は戸先側の固定壁15の面上で床面86に近い下方位置に突設されることが必須である。更に、使用者65が片足を上げ下げして操作する状況を考慮すれば、足で操作体2に触れて操作する部分である操作面が、ある一定の高さの範囲になければならないことは容易に想像が着く。つまり、使用者65が片足を高く上げるのにも限度があるということである。
そこで多くの使用者65が無理なく十分に片足を上げることができる高さを考える上で、国内の建築基準法を参考とすることにした。国が変われば建築基準も変わるが、建築基準法における建築物の一般的な階段の一段の高さの上限を床面86から操作体2の操作面までの高さhの上限とする。すなわち、床面86から操作体2の操作面までの高さhを床面86より鉛直上方へ230ミリメートル以下の範囲とすることで、より操作し易い操作体を持った足操作式の内締まり錠を提供できることになる。
【0063】
図15(1)は、ドアパネル1下部の面上に突設された2本のペダル19から成る操作体2の一方のペダル19を踏み下げようとする模式図である。この場合、解錠用ペダル24が台座18の上限に位置していようとも、足を乗せるペダル19の操作面を含む床面86から操作体2の操作面までの高さhの仮想面Shが床面86から高さ230ミリメートルの仮想面Sから下位にあることを示している。
同じく、
図15(2)は、
図6(3)のT字型の板状体45を持つ操作体2を踏み下げようとする模式図である。足を乗せる板状体45の操作面を含む床面86から操作体2の操作面までの高さhの仮想線Lhが床面86から高さ230ミリメートルの仮想線Lから下位にあることを示している。
これらの操作体2は、それぞれの一例であり、本発明の足操作式の内締まり錠が備える床面86から操作体2の操作面までの高さhは、床面86よりも高く「0ミリメートル<h≦230ミリメート」の範囲にある。
【0064】
また、本発明の足操作式の内締まり錠に備え付けられる操作体2は、必ずしも平板である必要はなく、曲板であってもよい。
図16は、ドアパネルの面上に設置された操作体2が湾曲した縦板91であり、左図が正面図、右図が側面図である。このように使用者65が足を押し当てようとする操作体2の縦板31が湾曲或いは屈曲していることで、使用者65の押し払う片足47がその湾曲或いは屈曲に嵌まり込むので操作性の向上が期待できる。
【0065】
更に、本発明の足操作式の内締まり錠に備え付けられる操作体2の操作面は、必ずしも平面である必要はなく、表面に凸凹部を有する平面、又は網目や所々に穴の空いた平面、又は線状若しくは点状の小面積の連続並置を以て為すところの仮想面であってもよい。操作体2の操作面の凹凸部に関しては、既に
図12(1)や
図12(3)の回転塊71で述べた通りである。
図17は、色々な操作面を有するペダル19の例である。
図17(1)は、操作面であるペダル19表面に多数の空隙92が設けられている。これらの空隙92による効果としては、足裏との間の摩擦抵抗が増加することによる操作性の向上、ペダル19の軽量化、デザイン性の向上が挙げられる。
図17(2)は、複数の板状物の短手方向を略鉛直に立てて、板状物の端面93を連続的に略等間隔で配列したペダル19であり、また、
図17(3)は、複数の棒状物の長手方向を略鉛直に立てて、棒状物の尖端面94を連続的に略等間隔で配列したペダル19である。共に、端部或いは尖端部の小面積で形成された仮想的な面が操作面となるが、足裏との間の摩擦抵抗が増して操作性が向上することやペダル19面上に埃や汚れが溜り難くなることなどが効果として挙げられる。
上記は、ペダル19の操作体2の例であるが、本発明の足操作式の内締まり錠に備え付けられる他の操作体2に対しても適用できることは勿論である。
【0066】
トイレ室又はトイレ個室の室内側INには、一時的なプライベート空間を確保するため、施錠装置が必要とされる。
図18は、トイレ個室の室内側INに本発明の足操作式の内締まり錠を設置した模式図である。トイレ室内の壁面95に天板96で蓋をされた二重壁に小便器97が掛けられており、その横には仕切りパネル98で囲まれたトイレ個室が設けられ、その中には洋式便器99が据え付けられている。トイレ個室の入り口は、開き戸式ドア12になっており、そのドアパネル1の下部には足操作式のデッドボルト錠が設置されている。ここで、従来の手動操作部材の例として
図19を示す。それぞれ、引き戸式ドア11の取手101の直下に施解錠のツマミ103(左図)、開き戸式ドア12のハンドル102の直上にデッドボルト41を操作するサムターン104(右図)が設置されたものである。
この足操作式の内締まり錠によって使用者65は、従来の内締まり錠の手動操作部材に直に手指で触れることが無くなり、トイレ室内における衛生問題の一つが解決して感染症リスクの軽減にも寄与するができる。
【0067】
また、ドアパネル1若しくは固定パネル若しくは固定壁の面上、又は操作体2の表面には、足操作式の内締まり錠が備える操作体2の操作に対する指針又は結果、具体的には、操作体2の操作方法等の説明や矢印等が、記号又は文字によって示される構成(操作表示70)も考えられる。なお、固定壁とは、戸先側の固定壁15や戸尻側の固定壁16を指す。また、固定パネルとは、開き戸式ドア12における固定された戸先側の固定パネル13、戸尻側の固定パネル14を指す。
【0068】
なお、各図において各々の実施例を示したが、図を分かり易くする等の目的で、一部構成を省略、簡略化、透視化した部分を含んでいる。勿論、本発明は、ここに図示した実施例のみに限定されるものではない。
【0069】
以上、各実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各実施例に記載の技術、または、その他の公知や周知の技術を組み合わせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1:ドアパネル
2:操作体
11:引き戸式ドア
12:開き戸式ドア
13:戸先側の固定パネル
14:戸尻側の固定パネル
15:戸先側の固定壁
16:戸尻側の固定壁
19:ペダル
20:回転カム
22:フレーム
25:鎌部材
27:ドア枠
28:ストライク
29:大型取手
31:縦板
33:可動軸
34:固定軸
41:デッドボルト
42:蝶番
43:抗菌パネル
44:回転軸
45:板状体
51:鎌ボルト
61:上レール
62:車輪
63:吊り金具
64:ストッパー
65:使用者
68:回転アーム
69:鉤状先端部
70:操作表示(補注:記号又は文字)
71:回転塊
74:滑止突起物
75:滑止溝
82:可撓性ケーブル
86:床面
95:トイレ室内の壁面
96:天板
97:小便器
98:仕切りパネル
99:洋式便器
102:ハンドル
103:ツマミ
IN:室内側
S:床面から高さ230ミリメートルの仮想面(補注:破線の四角形)
Sh:床面から高さhの仮想面(補注:一点鎖線の四角形)
L:床面から高さ230ミリメートルの仮想線(補注:破線)
Lh:床面から高さhの仮想線(補注:一点鎖線)
h:床面から操作体の操作面までの高さ(補注:0ミリメートル<h≦230ミリメートル)
【手続補正書】
【提出日】2023-06-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルに設置された摺動自在のデッドボルトを操作し、戸先側の固定パネル又は固定壁に配置したストライクに対して前記デッドボルトの先端を挿脱して施解錠を行うデッドボルト錠の様式である場合において、
前記デッドボルト錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、前記ドアパネルの面上に垂直に突出した回転軸と前記使用者が片足で触れるのに十分な大きさの表面積を持った板状体からなり、
一部が前記回転軸の側面に沿って固設された、一つ又は複数の前記板状体は、前記回転軸から張り出すように突設され、前記回転軸といっしょに回転することが可能であり、
前記回転軸は、前記デッドボルトと直接、又は連結部材を介して間接に連結されて前記デッドボルトを従動させることが可能であり、
前記使用者は、前記操作体を前記片足で略横方向へ押し払う動作により、前記回転軸を回転させ、前記回転軸に従動する前記デッドボルトを操作して前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記操作体を操作して前記デッドボルト錠の前記デッドボルトを摺動させて前記ストライクに挿脱することによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠。
【請求項2】
開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルに設置された摺動自在のデッドボルトを操作し、戸先側の固定パネル又は固定壁に配置したストライクに対して前記デッドボルトの先端を挿脱して施解錠を行うデッドボルト錠の様式である場合において、
前記デッドボルト錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、前記ドアパネルの面上に垂直に突出した回転軸と、前記使用者が片足で触れるのに十分な大きさの表面積又は体積を持ち、前記回転軸を中心に回転することができる形状をした回転塊からなり、
挿通穴を穿設した前記回転塊は、前記回転軸に挿通固定され、前記回転軸といっしょに回転することが可能であり、
前記回転軸は、前記デッドボルトと直接、又は連結部材を介して間接に連結されて前記デッドボルトを従動させることが可能であり、
前記使用者が前記操作体の前記回転塊の表面に前記片足を外接し、前記回転塊を転がすことによって前記回転軸を回転させ、前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記回転軸に従動する前記デッドボルトを操作して前記デッドボルト錠の前記デッドボルトを摺動させて前記ストライクに挿脱することによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠。
【請求項3】
開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルに設置された摺動自在のデッドボルトを操作し、戸先側の固定パネル又は固定壁に配置したストライクに対して前記デッドボルトの先端を挿脱して施解錠を行うデッドボルト錠の様式である場合において、
前記デッドボルト錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、前記使用者が片足又は片方の足先で触れるのに十分な大きさの表面積を持ち、前記ドアパネルの面上にあって、前記ドアパネルに対して略垂直に押圧することができる一つ又は複数のボタンからなり、
前記ボタンを押圧することで発生する動きは、杆を用いた機構によってより大きな動きへ変換され、この動きは、直接、又は連結部材を介して間接に前記デッドボルトに伝達されて前記デッドボルトを従動することが可能であり、
前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記片足で前記ボタンを押圧することによって、杆の機構を介して従動する前記デッドボルトを操作して足操作式の内締まり錠の施解錠を行うことを特徴とする、足操作式の内締まり錠。
【請求項4】
開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルの戸先側の上面又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上に設置された回転自在の回転アームを操作し、前記戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上又は前記ドアパネルの戸先側の面上に配置したストライクに対して前記回転アームの鉤状先端部を掛脱することで施解錠を行う打掛錠の様式である場合において、
前記打掛錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、垂直に突出した回転軸と前記使用者が片足で触れるのに十分な大きさの表面積を持った板状体からなり、
一部が前記回転軸の側面に沿って固設された、一つ又は複数の前記板状体は、前記回転軸から張り出すように突設され、前記回転軸といっしょに回転することが可能であり、
前記回転軸は、前記回転アームと直接、又は連結部材を介して間接に連結されて前記回転アームを従動させることが可能であり、
前記使用者は、前記操作体を前記片足で略横方向へ押し払う動作により、前記回転軸を回転させ、前記回転軸に従動する前記回転アームを操作して前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記操作体を操作して前記打掛錠の前記回転アームを回転させて前記ストライクに挿脱することによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠。
【請求項5】
開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルの戸先側の上面又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上に設置された回転自在の回転アームを操作し、前記戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上又は前記ドアパネルの戸先側の面上に配置したストライクに対して前記回転アームの鉤状先端部を掛脱することで施解錠を行う打掛錠の様式である場合において、
前記打掛錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、垂直に突出した回転軸と、前記使用者が片足で触れるのに十分な大きさの表面積又は体積を持ち、前記回転軸を中心に回転することができる形状をした回転塊からなり、
挿通穴を穿設した前記回転塊は、前記回転軸に挿通固定され、前記回転軸といっしょに回転することが可能であり、
前記回転軸は、前記回転アームと直接、又は連結部材を介して間接に連結されて前記回転アームを従動させることが可能であり、
前記使用者が前記操作体の前記回転塊の表面に前記片足を外接し、前記回転塊を転がすことによって前記回転軸を回転させ、前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記回転軸に従動する前記回転アームを操作して前記打掛錠の前記回転アームを回転させて前記ストライクに挿脱することによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠。
【請求項6】
開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルの戸先側の上面又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上に設置された回転自在の回転アームを操作し、前記戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上又は前記ドアパネルの戸先側の面上に配置したストライクに対して前記回転アームの鉤状先端部を掛脱することで施解錠を行う打掛錠の様式である場合において、
前記打掛錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、前記使用者が片足又は片方の足先で触れるのに十分な大きさの表面積を持ち、略垂直に押圧することができる一つ又は複数のボタンからなり、
前記ボタンを押圧することで発生する動きは、杆を用いた機構によってより大きな動きへ変換され、この動きは、直接、又は連結部材を介して間接に前記回転アームに伝達されて前記回転アームを従動することが可能であり、
前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記片足で前記ボタンを押圧することによって、杆の機構を介して従動する前記回転アームを操作して足操作式の内締まり錠の施解錠を行うことを特徴とする、足操作式の内締まり錠。
【請求項7】
開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルに設置された摺動自在で先端が鎌の形状をした鎌部材を操作し、戸先側の固定壁に配置した係合片に前記鎌部材の先端が係合して、または、前記鎌部材の先端を引き戻して施解錠を行う鎌錠の様式である場合において、
前記鎌部材には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、前記ドアパネルの面上に垂直に突出した回転軸と前記使用者が片足で触れるのに十分な大きさの表面積を持った板状体からなり、
一部が前記回転軸の側面に沿って固設された、一つ又は複数の前記板状体は、前記回転軸から張り出すように突設され、前記回転軸といっしょに回転することが可能であり、
前記回転軸は、前記鎌部材と直接、又は連結部材を介して間接に連結されて前記鎌部材を従動させることが可能であり、
前記使用者は、前記操作体を前記片足で鉛直下方に踏み下げる又は略横方向へ押し払う動作により、前記回転軸を回転させ、前記回転軸に従動する前記鎌部材を操作して前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記操作体を操作して前記鎌錠の前記鎌部材を摺動させて前記係合片に係合して、または、前記鎌部材の先端を引き戻すことによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠。
【請求項8】
前記操作体に前記使用者の前記片足が接触する操作面が、表面に凸部若しくは凹部若しくは空隙を有する面、又は線状若しくは点状の小面積の連続並置を以て為すところの仮想的な面、又は湾曲した面を有することを特徴とする、請求項1、請求項2、請求項4、請求項5、請求項7のいずれか1項に記載の足操作式の内締まり錠。
【請求項9】
前記足操作式の内締まり錠が備える前記操作体の請求項8に記載の前記操作面が、前記使用者が施解錠の操作を開始する時点において、床面より鉛直上方へ高さ230ミリ以下に位置することを特徴とする、請求項8に記載の足操作式の内締まり錠。
【請求項10】
前記足操作式の内締まり錠が備える前記操作体の操作に対する指針又は結果が、前記ドアパネル若しくは固定壁若しくは固定パネルの面上、又は前記操作体の表面に、記号又は文字によって示されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の足操作式の内締まり錠。
【請求項11】
前記可動ドアが、引き戸式ドア又は開き戸式ドアであることを特徴とした、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の足操作式の内締まり錠。
【請求項12】
不特定多数の人が共用するトイレ施設に使用する可動ドアの内締まり錠として設置することを特徴とした、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の足操作式の内締まり錠。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項4の発明は、開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルの戸先側の上面又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上に設置された回転自在の回転アームを操作し、前記戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上又は前記ドアパネルの戸先側の面上に配置したストライクに対して前記回転アームの鉤状先端部を掛脱することで施解錠を行う打掛錠の様式である場合において、
前記打掛錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、垂直に突出した回転軸と前記使用者が片足で触れるのに十分な大きさの表面積を持った板状体からなり、
一部が前記回転軸の側面に沿って固設された、一つ又は複数の前記板状体は、前記回転軸から張り出すように突設され、前記回転軸といっしょに回転することが可能であり、
前記回転軸は、前記回転アームと直接、又は連結部材を介して間接に連結されて前記回転アームを従動させることが可能であり、
前記使用者は、前記操作体を前記片足で略横方向へ押し払う動作により、前記回転軸を回転させ、前記回転軸に従動する前記回転アームを操作して前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記操作体を操作して前記打掛錠の前記回転アームを回転させて前記ストライクに挿脱することによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
請求項5の発明は、開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルの戸先側の上面又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上に設置された回転自在の回転アームを操作し、前記戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上又は前記ドアパネルの戸先側の面上に配置したストライクに対して前記回転アームの鉤状先端部を掛脱することで施解錠を行う打掛錠の様式である場合において、
前記打掛錠には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上又は戸先側の固定パネル若しくは固定壁の面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、垂直に突出した回転軸と、前記使用者が片足で触れるのに十分な大きさの表面積又は体積を持ち、前記回転軸を中心に回転することができる形状をした回転塊からなり、
挿通穴を穿設した前記回転塊は、前記回転軸に挿通固定され、前記回転軸といっしょに回転することが可能であり、
前記回転軸は、前記回転アームと直接、又は連結部材を介して間接に連結されて前記回転アームを従動させることが可能であり、
前記使用者が前記操作体の前記回転塊の表面に前記片足を外接し、前記回転塊を転がすことによって前記回転軸を回転させ、前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記回転軸に従動する前記回転アームを操作して前記打掛錠の前記回転アームを回転させて前記ストライクに挿脱することによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
請求項7の発明は、開閉自在なドアパネルを備えた可動ドアの室内側に設置する内締まり錠であって、
前記内締まり錠が、前記ドアパネルに設置された摺動自在で先端が鎌の形状をした鎌部材を操作し、戸先側の固定壁に配置した係合片に前記鎌部材の先端が係合して、または、前記鎌部材の先端を引き戻して施解錠を行う鎌錠の様式である場合において、
前記鎌部材には、既存の手動操作部材に代わって、使用者が片足で操作するのに十分な大きさと面積を持った操作体を備え、前記操作体は、室内側の前記ドアパネルの面上で、床面に近い下方位置に突設され、
前記操作体は、前記ドアパネルの面上に垂直に突出した回転軸と前記使用者が片足で触れるのに十分な大きさの表面積を持った板状体からなり、
一部が前記回転軸の側面に沿って固設された、一つ又は複数の前記板状体は、前記回転軸から張り出すように突設され、前記回転軸といっしょに回転することが可能であり、
前記回転軸は、前記鎌部材と直接、又は連結部材を介して間接に連結されて前記鎌部材を従動させることが可能であり、
前記使用者は、前記操作体を前記片足で鉛直下方に踏み下げる又は略横方向へ押し払う動作により、前記回転軸を回転させ、前記回転軸に従動する前記鎌部材を操作して前記使用者が直に手指で錠に触れることなく、前記操作体を操作して前記鎌錠の前記鎌部材を摺動させて前記係合片に係合して、または、前記鎌部材の先端を引き戻すことによって足操作式の内締まり錠の施解錠を可能にしたことを特徴とする、足操作式の内締まり錠である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
請求項8の発明は、前記操作体に前記使用者の前記片足が接触する操作面が、表面に凸部若しくは凹部若しくは空隙を有する面、又は線状若しくは点状の小面積の連続並置を以て為すところの仮想的な面、又は湾曲した面を有することを特徴とする、請求項1、請求項2、請求項4、請求項5、請求項7のいずれか1項に記載の足操作式の内締まり錠である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
請求項9の発明は、前記足操作式の内締まり錠が備える前記操作体の請求項8に記載の前記操作面が、前記使用者が施解錠の操作を開始する時点において、床面より鉛直上方へ高さ230ミリ以下に位置することを特徴とする、請求項8に記載の足操作式の内締まり錠である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
請求項10の発明は、前記足操作式の内締まり錠が備える前記操作体の操作に対する指針又は結果が、前記ドアパネル若しくは固定壁若しくは固定パネルの面上、又は前記操作体の表面に、記号又は文字によって示されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の足操作式の内締まり錠である。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
請求項11の発明は、前記可動ドアが、引き戸式ドア又は開き戸式ドアであることを特徴とした、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の足操作式の内締まり錠である。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
請求項12の発明は、不特定多数の人が共用するトイレ施設に使用する可動ドアの内締まり錠として設置することを特徴とした、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の足操作式の内締まり錠である。