(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089340
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】ガスタービン及びガスタービンの分解方法
(51)【国際特許分類】
F02C 7/28 20060101AFI20230621BHJP
F01D 11/00 20060101ALI20230621BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20230621BHJP
F01D 25/30 20060101ALI20230621BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20230621BHJP
F16J 15/06 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
F02C7/28 Z
F01D11/00
F01D25/00 X
F01D25/00 M
F01D25/30 B
F02C7/00 B
F16J15/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203786
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】亀田 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】西岡 靖記
(72)【発明者】
【氏名】村上 彰浩
【テーマコード(参考)】
3G202
3J040
【Fターム(参考)】
3G202KK15
3G202KK23
3G202KK41
3J040AA17
3J040BA03
3J040CA01
3J040EA22
3J040EA25
3J040EA40
3J040HA03
3J040HA04
3J040HA16
(57)【要約】
【課題】ガスタービンにおいてシール構造による密閉性能を確保し易くする。
【解決手段】本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービンは、ロータが収容される車室と、車室の径方向内側に配置される外側ディフューザとを備える。本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービンは、車室と外側ディフューザとの間に配置され、周方向に延在する部分円環形状を有するサポート部と、サポート部に接続されていて外側ディフューザを押圧する押圧部とを含むシール装置を備える。サポート部の径方向外側の端部は、車室の内周部に形成されていて周方向に延在する溝部に挿入されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータが収容される車室と、
前記車室の径方向内側に配置される外側ディフューザと、
前記車室と前記外側ディフューザとの間に配置され、周方向に延在する部分円環形状を有するサポート部と、前記サポート部に接続されていて前記外側ディフューザを押圧する押圧部とを含むシール装置と、
を備え、
前記サポート部の径方向外側の端部は、前記車室の内周部に形成されていて前記周方向に延在する溝部に挿入されている
ガスタービン。
【請求項2】
前記車室に対して前記径方向外側から取り付けられて、前記車室に対する前記サポート部の移動範囲を規制する複数の規制部材
を備える
請求項1に記載のガスタービン。
【請求項3】
前記車室の径方向内側であって前記外側ディフューザよりも軸方向上流側に配置される翼環
を備え、
前記溝部は、前記翼環よりも下流側に配置される
請求項1又は2に記載のガスタービン。
【請求項4】
前記押圧部は、前記外側ディフューザの外周面に押圧されるシール部材と、前記シール部材を前記外周面に向かって押圧する押圧装置とを含み、
前記外側ディフューザは、前記外側ディフューザの外周面から内周面まで貫通する孔を有し、
前記シール部材と前記外周面とが接触する位置は、前記孔よりも軸方向上流側である
請求項1乃至3の何れか一項に記載のガスタービン。
【請求項5】
前記車室は、排気車室と、前記排気車室の軸方向上流側に配置されて前記排気車室と接続されるタービン車室とを含み、
前記タービン車室の径方向内側に配置される翼環
を備え、
前記翼環の軸方向下流側の端部は、前記排気車室の前記軸方向上流側の端部よりも前記軸方向上流側に位置する
請求項1乃至4の何れか一項に記載のガスタービン。
【請求項6】
前記車室は、排気車室と、前記排気車室の軸方向上流側に配置されて前記排気車室と接続されるタービン車室とを含み、
前記溝部は、前記排気車室の内周部に形成されている
請求項1乃至5の何れか一項に記載のガスタービン。
【請求項7】
前記外側ディフューザの軸方向上流側の端部は、前記排気車室の前記軸方向上流側の端部よりも軸方向下流側に位置する
請求項6に記載のガスタービン。
【請求項8】
前記シール装置は、前記排気車室の軸方向上流側の端部よりも軸方向下流側に位置する
請求項6又は7に記載のガスタービン。
【請求項9】
前記押圧部は、前記サポート部の軸方向上流側に位置しており、前記外側ディフューザの外周面に押圧されるシール部材と、前記シール部材を前記外周面に向かって押圧する押圧装置とを含む
請求項6乃至8の何れか一項に記載のガスタービン。
【請求項10】
前記シール装置は、シール装置上半部とシール装置下半部とを含み、
前記シール装置上半部は、周方向の端部側の領域において、前記サポート部の前記周方向の一部の領域を構成するとともに、前記一部の領域以外の前記サポート部に着脱可能に構成された窓部を有する
請求項6乃至9の何れか一項に記載のガスタービン。
【請求項11】
前記シール装置は、前記サポート部に設けられていて、前記外側ディフューザの外周面を前記径方向内側に向かって押圧するためのジャッキアップボルトを取り付け可能な第1取付部を有する
請求項10に記載のガスタービン。
【請求項12】
前記押圧部は、前記外側ディフューザの外周面に押圧されるシール部材と、前記シール部材を前記外周面に向かって押圧する押圧装置とを含み、
前記窓部は、少なくとも1つの前記シール部材と、少なくとも1つの前記シール部材を前記外周面に向かって押圧する少なくとも1つの前記押圧装置とを含む
請求項10又は11に記載のガスタービン。
【請求項13】
前記窓部は、少なくとも1つの前記押圧装置が少なくとも1つの前記シール部材を前記外周面へ押圧する押圧力に抗して、前記外周面から離れる方向に前記シール部材を移動させるためのジャッキボルトを取り付け可能な第2取付部を有する
請求項12に記載のガスタービン。
【請求項14】
前記車室は、排気車室と、前記排気車室の軸方向上流側に配置されて前記排気車室と接続されるタービン車室とを含み、
前記溝部は、前記タービン車室の内周部に形成されている
請求項1乃至5の何れか一項に記載のガスタービン。
【請求項15】
タービン車室と、
前記タービン車室の軸方向下流側に配置される排気車室と、
車室の径方向内側に配置される外側ディフューザと、
前記車室と前記外側ディフューザとの間に配置されるシール装置と、
を備えるガスタービンの分解方法であって、
前記タービン車室の上半部を取り外すステップと、
前記シール装置の上半部と前記外側ディフューザの上半部とを残したまま、翼環の上半部を取り外すステップと、
前記シール装置の上半部を前記外側ディフューザの上半部から取り外すステップと、
前記排気車室の上半部と前記外側ディフューザの上半部とが結合された状態で前記排気車室の上半部と前記外側ディフューザの上半部とを取り外すステップと、
を備える
ガスタービンの分解方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービン及びガスタービンの分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばガスタービンにおいては、同心に配置され各々の間に軸方向に延びる空間を形成する外径側環状部材及び内径側環状部材が配置される箇所が存在し、前記空間からの流体の漏洩を防止するためのシール構造が必要な場合がある。
【0003】
このような、同心に配置される外径側環状部材及び内径側環状部材の間の空間をシールするシール構造として例えば特許文献1に記載のシール構造を挙げることができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシール構造が適用されるガスタービンでは、同心に配置される外径側環状部材である内車室と内径側環状部材である外側円筒との間には、軸方向に延びる空間が形成されている。特許文献1に記載のシール構造は、該空間への燃焼ガスの侵入を防止するため、外側円筒の外周面にシール部が押圧されるように構成されている。
特許文献1に記載のガスタービンでは、静翼が内車室の内壁に配置されていることから、内車室は翼環に相当する。また、特許文献1に記載のガスタービンでは、外側円筒は、燃焼ガスを排気するためのディフューザにおける径方向外側の壁部である外側ディフューザに相当する。
【0006】
特許文献1に記載のシール構造は、内車室に固定されている。そのため、外側円筒の外周面に対するシール部の接触状態が良好となるようにするための、シール構造の芯出し作業に手間が掛かる。
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みて、ガスタービンにおいてシール構造による密閉性能を確保し易くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービンは、
ロータが収容される車室と、
前記車室の径方向内側に配置される外側ディフューザと、
前記車室と前記外側ディフューザとの間に配置され、周方向に延在する部分円環形状を有するサポート部と、前記サポート部に接続されていて前記外側ディフューザを押圧する押圧部とを含むシール装置と、
を備え、
前記サポート部の径方向外側の端部は、前記車室の内周部に形成されていて前記周方向に延在する溝部に挿入されている。
【0009】
(2)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービンの分解方法は、
タービン車室と、
前記タービン車室の軸方向下流側に配置される排気車室と、
車室の径方向内側に配置される外側ディフューザと、
前記車室と前記外側ディフューザとの間に配置されるシール装置と、
を備えるガスタービンの分解方法であって、
前記タービン車室の上半部を取り外すステップと、
前記シール装置の上半部と前記外側ディフューザの上半部とを残したまま、翼環の上半部を取り外すステップと、
前記シール装置の上半部を前記外側ディフューザの上半部から取り外すステップと、
前記排気車室の上半部と前記外側ディフューザの上半部とが結合された状態で前記排気車室の上半部と前記外側ディフューザの上半部とを取り外すステップと、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、ガスタービンにおいてシール構造による密閉性能を確保し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】幾つかの実施形態に係るガスタービンを示す概略構成図である。
【
図2】一実施形態のガスタービンにおける、タービン車室と排気車室との合わせ面の近傍を模式的に示した断面図である。
【
図3】他の実施形態のガスタービンにおける、タービン車室と排気車室との合わせ面の近傍を模式的に示した断面図である。
【
図4】一実施形態のガスタービンにおけるシール装置を示す図である。
【
図5】第1規制ピンについて説明するための図である。
【
図6】第2規制ピン220規制ピンについて説明するための図である。
【
図7】第3規制ピンについて説明するための図である。
【
図8A】一実施形態に係るガスタービンにおける押圧部の構造を説明するための模式的な図である。
【
図8B】一実施形態に係るガスタービンにおける押圧部の構造を説明するための模式的な図である。
【
図8C】一実施形態に係るガスタービンにおける押圧部の構造を説明するための模式的な図である。
【
図9】
図4におけるF部を周方向から見た断面図である。
【
図11B】ジャッキボルト及びジャッキナットについて説明するための図である。
【
図12】他の実施形態のガスタービンにおけるシール装置を示す図である。
【
図13A】第4規制ピンについて説明するための図である。
【
図13B】第4規制ピンについて説明するための図である。
【
図14】第5規制ピンについて説明するための図である。
【
図15】幾つかの実施形態に係るガスタービンの分解手順を示すフローチャートである。
【
図16A】窓部を設ける位置について説明するための模式的な図である。
【
図16B】窓部を設ける位置について説明するための模式的な図である。
【
図16C】窓部を設ける位置について説明するための模式的な図である。
【
図16D】窓部を設ける位置について説明するための模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0013】
(ガスタービン1の全体構成)
図1は、幾つかの実施形態に係るガスタービン1を示す概略構成図である。
図1に示すように、幾つかの実施形態に係るガスタービン1は、圧縮空気を生成するための圧縮機2と、圧縮空気及び燃料を用いて燃焼ガスを発生させるための燃焼器4と、燃焼ガスによって回転駆動されるように構成されたタービン6と、を備える。発電用のガスタービン1の場合、タービン6には不図示の発電機が連結され、タービン6の回転エネルギーによって発電が行われるようになっている。
【0014】
ガスタービン1における各部位の具体的な構成例について、
図1を用いて説明する。
圧縮機2は、圧縮機車室10と、圧縮機車室10の入口側に設けられ、空気を取り込むための空気取入口12と、圧縮機車室10及び後述するタービン車室22を共に貫通するように設けられたロータ8と、圧縮機車室10内に配置された各種の翼と、を備える。各種の翼は、空気取入口12側に設けられた入口案内翼14と、圧縮機車室10側に固定された複数の圧縮機静翼16と、圧縮機静翼16に対して軸方向に交互に配列されるようにロータ8に植設された複数の圧縮機動翼18と、を含む。なお、圧縮機2は、不図示の抽気室等の他の構成要素を備えていてもよい。このような圧縮機2において、空気取入口12から取り込まれた空気は、複数の圧縮機静翼16及び複数の圧縮機動翼18を通過して圧縮されることで圧縮空気が生成される。そして、圧縮空気は圧縮機2から下流側の燃焼器4に送られる。
【0015】
燃焼器4は、ケーシング(燃焼器車室)20内に配置される。
図1に示すように、燃焼器4は、ケーシング20内にロータ8を中心として環状に複数配置されていてもよい。燃焼器4には燃料と圧縮機2で生成された圧縮空気とが供給され、燃料を燃焼させることによって、タービン6の作動流体である高温高圧の燃焼ガスを発生させる。そして、燃焼ガスは燃焼器4から後段のタービン6に送られる。
【0016】
タービン6は、タービン車室(ケーシング)22と、タービン車室22内に配置された各種のタービン翼と、を備える。各種のタービン翼は、タービン車室22側に固定された複数のタービン静翼26と、タービン静翼26に対して軸方向に交互に配列されるようにロータ8に植設された複数のタービン動翼24と、を含む。
【0017】
タービン静翼26の各々は、後述する
図2及び
図3に示した翼環31に取り付けられ、翼環31を介してタービン車室22に固定されている。
なお、タービン6では、ロータ8は、タービン車室22及び排気車室28内に収容されていて軸方向(
図1における左右方向)に延在し、燃焼ガスは、燃焼器4側から排気車室28側(
図1における左側から右側)に向かって流れる。したがって、
図1では、図示左側が軸方向上流側であり、図示右側が軸方向下流側である。また、以下の説明では、単に径方向と記載した場合、ロータ8に直交する方向の径方向と同じ方向を表すものとする。
【0018】
タービン動翼24は、タービン静翼26とともにタービン車室22内を流れる高温高圧の燃焼ガスから回転駆動力を発生させるように構成される。この回転駆動力がロータ8に伝達されることで、ロータ8に連結された発電機が駆動される。
【0019】
タービン車室22の軸方向下流側には、排気車室28を介して排気室29が連結されている。タービン6を駆動した後の燃焼ガスは、排気車室28及び排気室29を通って外部へ排出される。
【0020】
幾つかの実施形態に係るガスタービン1では、車室は、排気車室28と、排気車室28の軸方向上流側に配置されて排気車室28と接続されるタービン車室22とを含んでいる。
幾つかの実施形態に係るガスタービン1では、タービン車室22は、タービン車室上半部22Uと、タービン車室下半部22Lとを含んでおり、排気車室28は、排気車室上半部28Uと、排気車室下半部28Lとを含んでいる。
同様に、幾つかの実施形態に係るガスタービン1では、翼環31は、後述する
図2及び
図3に示すように翼環上半部31Uと、不図示の翼環下半部とを含んでいる。
なお、以下の説明では、タービン車室上半部22Uと、タービン車室下半部22Lとを区別する必要がない場合には、単にタービン車室22と称することもある。
同様に、以下の説明では、排気車室上半部28Uと、排気車室下半部28Lとを区別する必要がない場合には、単に排気車室28と称することもある。
以下の説明では、翼環上半部31Uと、翼環下半部とを区別する必要がない場合には、単に翼環31と称することもある。
【0021】
幾つかの実施形態に係るガスタービン1は、後述する
図2、3に示すように、翼環31は、タービン車室22の径方向内側に配置されている。翼環31の軸方向下流側の端部31aは、排気車室28の軸方向上流側の端部28aよりも軸方向上流側に位置する。
これにより、翼環31の取り外し時に排気車室28との干渉しない構造とし易い。よって、幾つかの実施形態に係るガスタービン1によれば、翼環31の着脱が容易となる。
【0022】
(シール装置100の概要について)
図2は、一実施形態のガスタービン1における、タービン車室22と排気車室28との合わせ面の近傍を模式的に示した断面図である。
図3は、他の実施形態のガスタービン1における、タービン車室22と排気車室28との合わせ面の近傍を模式的に示した断面図である。
図4は、一実施形態のガスタービン1における、後述するシール装置を示す図であり、軸方向上流側から見た模式的な図である。
図12は、他の実施形態のガスタービン1における、後述するシール装置を示す図であり、軸方向下流側から見た模式的な図である。
【0023】
図2及び
図3に示す、幾つかの実施形態に係るガスタービン1は、車室(排気車室28)の径方向内側に配置される外側ディフューザ41と、シール装置100とを備える。
図2に示す、一実施形態に係るガスタービン1では、シール装置100は、車室(排気車室28)と外側ディフューザ41との間に配置されている。
図3に示す、他の実施形態に係るガスタービン1では、シール装置100は、車室(タービン車室22)と外側ディフューザ41との間に配置されている。すなわち、
図3に示すガスタービン1では、外側ディフューザ41の軸方向上流側の端部は、タービン車室22内に位置している。
図2及び
図3に示す、幾つかの実施形態に係るガスタービン1では、翼環31は、タービン車室22の径方向内側であって外側ディフューザ41よりも軸方向上流側に配置されている。
【0024】
図2及び
図3に示す、幾つかの実施形態に係るガスタービン1は、外側ディフューザ41は、外側ディフューザ上半部41Uと、外側ディフューザ下半部41L(
図4、
図12参照)とを含んでいる。以下の説明では、外側ディフューザ上半部41Uと、外側ディフューザ下半部41Lとを区別する必要がない場合には、単に外側ディフューザ41と称することもある。
【0025】
図2に示す、一実施形態に係るガスタービン1では、シール装置100は、排気車室28と外側ディフューザ41とによって形成される空間をシールするためのものである。
図3に示す、他の実施形態に係るガスタービン1では、シール装置100は、排気車室28及びタービン車室22と外側ディフューザ41とによって形成される空間をシールするためのものである。
以下の説明では、シール装置100のことをフェイスシール100とも称する。
【0026】
図2及び
図3に示す、幾つかの実施形態に係るガスタービン1では、フェイスシール100は、周方向に延在する部分円環形状を有するサポート部110と、サポート部110に接続されていて外側ディフューザ41を押圧する押圧部150とを含む。
図2及び
図3に示す、幾つかの実施形態に係るガスタービン1では、フェイスシール100は、フェイスシール上半部100Uと、フェイスシール下半部100Lと(
図4、
図12参照)とを含んでいる。以下の説明では、フェイスシール上半部100Uと、フェイスシール下半部100Lとを区別する必要がない場合には、単にフェイスシール100と称することもある。なお、特に説明しない場合には、フェイスシール上半部100Uと、フェイスシール下半部100Lとは、同様の構造を有しているものとする。
【0027】
図2及び
図3に示す、幾つかの実施形態に係るガスタービン1では、サポート部110は、サポート部上半部110Uと、サポート部下半部110Lと(
図4、
図12参照)とを含んでいる。以下の説明では、サポート部上半部110Uと、サポート部下半部110Lとを区別する必要がない場合には、単にサポート部110と称することもある。なお、特に説明しない場合には、サポート部上半部110Uと、サポート部下半部110Lとは、同様の構造を有しているものとする。
【0028】
一実施形態に係るガスタービン1では、
図4に示すように、サポート部上半部110Uは、周方向の両端部のそれぞれに形成されたフランジ117Uを有する。一実施形態に係るガスタービン1では、
図4に示すように、サポート部下半部110Lは、周方向の両端部のそれぞれに形成されたフランジ117Lを有する。
【0029】
図2及び
図3に示す、幾つかの実施形態に係るガスタービン1では、サポート部110の径方向外側の端部111は、車室の内周部に形成されていて周方向に延在する溝部に挿入されている。
図2に示す、一実施形態に係るガスタービン1では、サポート部110の径方向外側の端部111は、排気車室28の内周部281に形成されていて周方向に延在する溝部283に挿入されている。
図3に示す、他の実施形態に係るガスタービン1では、サポート部110の径方向外側の端部111は、タービン車室22の内周部226に形成されていて周方向に延在する溝部223に挿入されている。
【0030】
図2及び
図3に示す、幾つかの実施形態に係るガスタービン1では、サポート部110の径方向外側の端部111が溝部(溝部223又は溝部283)内を移動することで、外側ディフューザ41に対するフェイスシール100の位置を容易に調節できる。これにより、フェイスシール100による密閉性能を確保し易くなる。
また、
図2及び
図3に示す、幾つかの実施形態に係るガスタービン1では、サポート部110の径方向外側の端部111が溝部(溝部223又は溝部283)内を移動可能であるので、フェイスシール100の芯出し作業(組立作業)が容易になる。
、
図2及び
図3に示す、幾つかの実施形態に係るガスタービン1では、サポート部110の径方向外側の端部111が溝部(溝部223又は溝部283)内を径方向に移動可能であるので、翼環31の熱伸びの影響を受け難い。
【0031】
図2及び
図3に示す、幾つかの実施形態に係るガスタービン1では、溝部223、283は、翼環31よりも軸方向下流側に形成されている。
これにより、翼環31よりも軸方向下流側でフェイスシール100が車室(タービン車室22又は排気車室28)に保持されるので、翼環31の取り外し時にフェイスシール100との干渉しない構造とし易い。よって、翼環31の着脱が容易となる。
【0032】
図2に示す、一実施形態に係るガスタービン1では、フェイスシール100が排気車室28に保持されるので、後述するように、排気車室上半部28U、フェイスシール上半部100U及び外側ディフューザ上半部41Uを一体化した状態で着脱可能となる。そのため、例えば、一体化した排気車室上半部28U、フェイスシール上半部100U及び外側ディフューザ上半部41Uを、ガスタービン1の設置場所とは異なる場所で組立て、分解、メンテナンス等の作業ができるので、作業し易くなる。
【0033】
図3に示す、他の実施形態に係るガスタービン1では、タービン車室上半部22Uを取り外すと、フェイスシール100の押圧部150にアクセスできるので、後述するように、フェイスシール100を外側ディフューザ41に着脱する際に押圧装置160によるシール部材151の押圧力を変更できる。よって、フェイスシール100を外側ディフューザ41に着脱する際にシール部材151と外側ディフューザ41との間の摩擦力を低減でき、着脱が容易となる。
【0034】
図2及び
図3に示す、幾つかの実施形態に係るガスタービン1では、サポート部110の径方向外側の端部111は、熱伸びの影響による、溝部283、223内における径方向への移動が許容されるように、構成されている。具体的には、熱伸びによる径方向外側への端部111の移動量が考慮して、溝部283、223の底面283a、223aの外径は、サポート部110の端部111の外周面111aの外径よりも大きくされている。
また、後述するように、ジャッキアップボルト171によってサポート部上半部110Uをサポート部下半部110Lから離すように鉛直方向上側に向かって移動させても、端部111の外周面111aと溝部283、223の底面283a、223aとの接触を回避できる。
なお、
図2及び
図3に示す、幾つかの実施形態に係るガスタービン1では、サポート部110の径方向外側の端部111は、後述するように、溝部283、223内における周方向及び軸方向の移動が規制されている。
【0035】
(押圧部150)
図8A、
図8B及び
図8Cは、
図2に示す、一実施形態に係るガスタービン1における押圧部150の構造を説明するための模式的な図である。
図8A及び
図8Bは、押圧部150を周方向から見た断面図であり、
図8Cは、押圧部150を軸方向上流側から見た断面図である。
図8Aは、ガスタービン1の運転時における押圧部150を示している。
図8Bは、ガスタービン1の分解時及び組立て時における押圧部150を示している。
なお、
図3に示す、他の実施形態に係るガスタービン1における押圧部150の構造は、
図2に示す、一実施形態に係るガスタービン1における押圧部150の構造と同様である。
【0036】
図2に示す、一実施形態に係るガスタービン1では、押圧部150は、サポート部110の軸方向上流側に位置している。
図3に示す、他の実施形態に係るガスタービン1では、押圧部150は、サポート部110の軸方向下流側に位置している。
【0037】
幾つかの実施形態に係る押圧部150は、外側ディフューザ41の外周面41aに押圧されるシール部材151と、シール部材151を外側ディフューザ41の外周面41aに向かって押圧する押圧装置160とを含む。
【0038】
図2に示す、一実施形態に係るガスタービン1では、タービン車室上半部22U及び翼環上半部31Uを取り外した状態で、フェイスシール上半部100Uを外側ディフューザ41に着脱する際に押圧装置160によるシール部材151の押圧力を軸方向上流側から変更できる。これにより、フェイスシール上半部100Uを外側ディフューザ41に着脱する際にシール部材151と外側ディフューザ41との間の摩擦力を低減でき、着脱が容易となる。
【0039】
シール部材151は、軸方向から見たときに円弧形状を有する部材であり、外側ディフューザ41の外周面41aに沿って周方向に並べられた状態で配置される。
サポート部110の径方向内側の端部113には、周方向に延在する溝部115が形成されており、シール部材151は、溝部115に挿入されている。
【0040】
押圧装置160は、シール部材151を外側ディフューザ41の外周面41aに向かって付勢するためのバネ161と、バネ161を保持するホルダ163とを有する。
ホルダ163は、バネ161を保持するための孔部163aを有する。バネ161は、孔部163aに挿入されて保持されている。また、バネ161は、サポート部110の端部113において溝部115よりも径方向外側に形成された貫通孔116に挿通されている。
【0041】
ホルダ163は、サポート部110の端部113に対してボルト165によって固定されると、バネ161を径方向内側に向かって圧縮する。これにより、バネ161は、シール部材151を外側ディフューザ41の外周面41aに向かって付勢する。
なお、
図8Bに示すように、ボルト165を緩めると、ホルダ163は、サポート部110の端部113に対して径方向外側に移動可能となる。
これにより、後述するように、ガスタービン1の分解時や組立て時にシール部材151が外側ディフューザ41の外周面41aを押圧する押圧力を弱めることができる。
【0042】
上述のように構成される押圧部150を有するフェイスシール100では、シール部材151が外側ディフューザ41の外周面41a上で摺動可能であるので、熱伸びによる、フェイスシール100と外側ディフューザ41との軸方向の相対的なずれを許容できる。
また、上述のように構成される押圧部150を有するフェイスシール100では、シール部材151が溝部115に対して径方向に移動可能であるので、熱伸びによる、フェイスシール100と外側ディフューザ41との径方向の相対的なずれを許容できる。すなわち、幾つかの実施形態に係るフェイスシール100では、熱伸びによる外側ディフューザ41の径方向への移動にシール部材151が追従できる。
【0043】
図2及び
図3に示す、幾つかの実施形態に係るガスタービン1では、外側ディフューザ41は、外側ディフューザ41で区画される燃焼ガスの流路における温度を測定するためのセンサが挿通される挿通孔43を有している。挿通孔43は、外側ディフューザ41の外周面から内周面まで径方向に貫通する孔である。
シール部材151と外周面41aとが接触する位置は、挿通孔43よりも軸方向上流側である。
図2及び
図3に示す、幾つかの実施形態に係るガスタービン1では、挿通孔43からの燃焼ガスが外側ディフューザ41の径方向外側に回り込み、さらに軸方向上流側に流れて翼環31と外側ディフューザ41との隙間から燃焼ガス流路に引き込まれる、という燃焼ガスの流れをフェイスシール100で遮断できる。これにより、外側ディフューザ41の軸方向上流側の領域の温度上昇を抑制できる。
【0044】
図2に示す一実施形態に係るガスタービン1では、外側ディフューザ41の軸方向上流側の端部41bは、排気車室28の軸方向上流側の端部28aよりも軸方向下流側に位置する。
これにより、後述するように外側ディフューザ上半部41Uを排気車室上半部28Uと一体化した状態で取り外す際に、外側ディフューザ上半部41Uがタービン車室22と干渉し難くなる。
【0045】
図2に示す一実施形態に係るガスタービン1では、フェイスシール100は、排気車室28の軸方向上流側の端部28aよりも軸方向下流側に位置する。
これにより、後述するようにフェイスシール上半部100Uを排気車室上半部28Uと一体化した状態で取り外す際に、フェイスシール上半部100Uがタービン車室22と干渉し難くなる。
【0046】
(フェイスシール100の位置決めについて)
幾つかの実施形態に係るフェイスシール100では、上述したように、サポート部110の端部111が車室の溝部283、223に挿入される構造となっている。そのため、サポート部110の端部111が車室の溝部283、223内で意図しない移動をすることを防止するため、以下のようにして位置決めされている。
【0047】
図2に示した一実施形態のガスタービン1は、排気車室28に対して径方向外側から取り付けられて、排気車室28に対するサポート部110の移動範囲を規制する複数の規制部材を備えている。
これら複数の規制部材は、例えば第1規制ピン210と、第2規制ピン220と、第3規制ピン230とを含む(
図4参照)。
これにより、排気車室28に対するサポート部110の移動を許容して熱伸びに対応可能としつつ、排気車室28からのサポート部110の脱落等の意図しない移動を防止できる。
【0048】
(第1規制ピン210)
図5は、第1規制ピン210について説明するための図であり、
図4におけるA部を拡大した図である。
第1規制ピン210は、サポート部110(すなわちフェイスシール100)が排気車室28の溝部283内で周方向に移動するのを規制するためのピンである。
図5に示すように、
図2に示した一実施形態のガスタービン1では、サポート部110の端部111には、径方向内側に凹んだ第1凹部121が形成されている。
【0049】
第1規制ピン210は、排気車室28に対して径方向外側から取り付けられると、第1先端部211がサポート部110の第1凹部121に挿入される。これにより、サポート部110の径方向外側の端部111は、溝部283内における周方向の移動が規制される。
なお、第1先端部211の周方向の寸法は、第1規制ピン210の挿抜に支障がない範囲で第1凹部121の周方向の寸法に近い方がよい。
また、第1規制ピン210の第1先端部211は、第1凹部121の底面121aから規定の寸法だけ離間している。これにより、熱伸びによってサポート部110の端部111が径方向外側へ移動しても、第1規制ピン210の第1先端部211と第1凹部121の底面121aとの接触を回避できる。また、後述するように、ジャッキアップボルト171によってサポート部上半部110Uをサポート部下半部110Lから離すように鉛直方向上側に向かって移動させても、第1規制ピン210の第1先端部211と第1凹部121の底面121aとの接触を回避できる。
【0050】
第1規制ピン210は、フェイスシール上半部100Uとフェイスシール下半部100Lのそれぞれにおいて、少なくとも1つ設けられているとよい。
図4に示す例では、第1規制ピン210は、フェイスシール上半部100Uとフェイスシール下半部100Lのそれぞれにおいて、周方向の中央位置に設けられている。
【0051】
(第2規制ピン220)
図6は、第2規制ピン220について説明するための図であり、
図4におけるB部を拡大した図である。
第2規制ピン220は、サポート部110(すなわちフェイスシール100)が溝部283から外れることを防止するためのピンである。
図6に示すように、
図2に示した一実施形態のガスタービン1では、サポート部110の端部111には、径方向内側に凹んだ第2凹部122が形成されている。なお、
図4に示すように、第2凹部122は、周方向の複数箇所に形成されている。例えば
図4に示す例では、第2凹部122は、フェイスシール上半部100Uとフェイスシール下半部100Lのそれぞれにおいて、排気車室28の垂直中心線Cvを挟んだ一方側と他方側にそれぞれ1カ所ずつ形成されている。
【0052】
第2規制ピン220は、排気車室28に対して径方向外側から取り付けられると、第2先端部221がサポート部110の第2凹部122に挿入される。これにより、サポート部110の径方向外側の端部111は、溝部283内における周方向の移動が規制され、サポート部110が溝部283から外れることを防止する。
なお、第2凹部122の周方向の寸法は、第2先端部221の周方向の寸法よりも規定の寸法だけ大きい。これにより、後述するように、ジャッキアップボルト171によってサポート部上半部110Uをサポート部下半部110Lから離すように鉛直方向上側に向かって移動させても、第2規制ピン220の第2先端部221と第2凹部122の側面122bとの接触を回避できる。なお、第2凹部122の側面122bは、径方向に延在する面である。
【0053】
第2規制ピン220は、フェイスシール上半部100Uとフェイスシール下半部100Lのそれぞれにおいて、複数箇所に設けられているとよい。
図4に示す例では、第2規制ピン220は、フェイスシール上半部100Uとフェイスシール下半部100Lのそれぞれにおいて、排気車室28の垂直中心線Cvを挟んだ一方側と他方側にそれぞれ1カ所ずつ設けられている。
【0054】
(第3規制ピン230)
図7は、第3規制ピン230について説明するための図であり、
図4におけるC部を拡大した図である。
第3規制ピン230は、サポート部110(すなわちフェイスシール100)が溝部283内で軸方向に移動するのを規制するためのピンである。
図7に示すように、第3規制ピン230は、サポート部110の端部111の軸方向下流側の端面111bに軸方向下流側から当接する当接面231aが形成された第3先端部231を有する。
【0055】
第3規制ピン230は、排気車室28に対して径方向外側から取り付けられると、第3先端部231の当接面231aが端部111の端面111bに軸方向下流側から当接して端部111を軸方向上流側に寄せる。これにより、サポート部110の径方向外側の端部111は、溝部283における軸方向上流側の壁面283bと第3先端部231の当接面231aとで挟まれるので、溝部283内における軸方向の移動が規制される。
【0056】
第3規制ピン230は、フェイスシール上半部100Uとフェイスシール下半部100Lのそれぞれにおいて、複数箇所に設けられているとよい。
図4に示す例では、第3規制ピン230は、フェイスシール上半部100Uとフェイスシール下半部100Lのそれぞれにおいて、排気車室28の垂直中心線Cvを挟んだ一方側と他方側にそれぞれ1カ所ずつ設けられている。
【0057】
図3に示した他の実施形態のガスタービン1は、タービン車室22に対して径方向外側から取り付けられて、タービン車室22に対するサポート部110の移動範囲を規制する複数の規制部材を備えている。
これら複数の規制部材は、例えば第4規制ピン240と、第5規制ピン250とを含む(
図12参照)。
これにより、タービン車室22に対するサポート部110の移動を許容して熱伸びに対応可能としつつ、タービン車室22からの脱落等の意図しない移動を防止できる。
【0058】
(第4規制ピン240)
図13A及び
図13Bは、第4規制ピン240について説明するための図である。
図13Aは、
図12におけるD部を周方向から見た模式的な図である。また、
図13Bは、
図13Aのx-x矢視断面図である。
第4規制ピン240は、サポート部110(すなわちフェイスシール100)がタービン車室22の溝部223内で周方向及び軸方向に移動するのを規制するためのピンである。第4規制ピン240は、長手方向に延在する軸部242と、軸部242の先端部242aから軸部242の延在方向に突出する第4先端部241を有する。
図13Bに示すように、
図3に示した他の実施形態のガスタービン1では、サポート部110の端部111には、径方向内側に凹んだ第4凹部124が形成されている。
【0059】
図13Aに示すように、第4先端部241には、サポート部110の端部111の軸方向下流側の端面111bに軸方向下流側から当接する当接面241aが形成されている。
【0060】
第4規制ピン240は、タービン車室22に対して径方向外側から取り付けられると、軸部242の先端部242aがサポート部110の第4凹部124に挿入される(
図13B参照)。これにより、サポート部110の径方向外側の端部111は、溝部223内における周方向の移動が規制される。
なお、先端部242aの周方向の寸法は、第4規制ピン240の挿抜に支障がない範囲で第4凹部124の周方向の寸法に近い方がよい。
【0061】
また、第4規制ピン240は、タービン車室22に対して径方向外側から取り付けられると、第4先端部241の当接面241aが端部111の端面111bに軸方向下流側から当接して端部111を軸方向上流側に寄せる(
図13A参照)。これにより、サポート部110の径方向外側の端部111は、溝部223における軸方向上流側の壁面223bと第4先端部241の当接面241aとで挟まれるので、溝部223内における軸方向の移動が規制される。
【0062】
第4規制ピン240は、フェイスシール上半部100Uとフェイスシール下半部100Lのそれぞれにおいて、少なくとも1つ設けられているとよい。
図12に示す例では、第4規制ピン240は、フェイスシール上半部100Uにおいて、周方向の中央位置に設けられ、フェイスシール下半部100Lにおいて、排気車室28の垂直中心線Cvを挟んだ一方側と他方側にそれぞれ1カ所ずつ設けられている。
【0063】
(第5規制ピン250)
図14は、第5規制ピン250について説明するための図であり、
図12におけるE部を周方向から見た図である。
第5規制ピン250は、サポート部110(すなわちフェイスシール100)がタービン車室22の溝部223内で軸方向に移動するのを規制するためのピンである。
図14に示すように、第5規制ピン250は、サポート部110の端部111の軸方向下流側の端面111bに軸方向下流側から当接する当接面251aが形成された第5先端部251を有する。
【0064】
第5規制ピン250は、タービン車室22に対して径方向外側から取り付けられると、第5先端部251の当接面251aが端部111の端面111bに軸方向下流側から当接して端部111を軸方向上流側に寄せる。これにより、サポート部110の径方向外側の端部111は、溝部223における軸方向上流側の壁面223bと第5先端部251の当接面251aとで挟まれるので、溝部223内における軸方向の移動が規制される。
【0065】
第5規制ピン250は、フェイスシール上半部100Uとフェイスシール下半部100Lのそれぞれにおいて、少なくとも1つ設けられているとよい。
図12に示す例では、第5規制ピン250は、フェイスシール上半部100Uにおいて、排気車室28の垂直中心線Cvを挟んだ一方側で周方向に間隔をあけて2カ所設けられ、垂直中心線Cvを挟んだ他方側で周方向に間隔をあけて2カ所設けられている。
図12に示す例では、第5規制ピン250は、フェイスシール下半部100Lにおいて、周方向の中央位置と、排気車室28の垂直中心線Cvを挟んだ一方側の1カ所と、他方側の1カ所とに設けられている。
【0066】
(窓部300)
図2に示す、一実施形態に係るガスタービン1では、フェイスシール上半部100Uは、周方向の端部側の領域において、サポート部110の周方向の一部の領域を構成するとともに、上記一部の領域以外のサポート部110に着脱可能に構成された窓部300を有する。
図10は、窓部300について説明するための図であり、窓部300を取り付ける前の排気車室28の水平分割面近傍を軸方向上流側から見た図である。
図11Aは、窓部300について説明するための図であり、窓部300の着脱の過程の一場面を示している。
図11Bは、窓部300のジャッキボルト361及びジャッキナット362について説明するための図である。
図11Cは、窓部300について説明するための図であり、窓部300の着脱の過程の他の一場面を示している。
【0067】
幾つかの実施形態に係るガスタービン1では、外側ディフューザ上半部41Uと外側ディフューザ下半部41Lとを結合するための不図示のボルトがフェイスシール100よりも軸方向下流側に存在する。
図2に示す、一実施形態に係るガスタービン1では、ガスタービン1の分解/組立て時には、後述するようにフェイスシール100よりも軸方向上流側から上記ボルトの着脱を行う必要がある。よって、フェイスシール100よりも軸方向上流側から上記ボルトにアクセスするための経路として、フェイスシール100に開口部109を設ける必要がある(
図10参照)。この開口部は、ガスタービン1の運転のためには閉塞する必要がある。そこで、
図2に示す、一実施形態に係るガスタービン1では、この開口部109を窓部300で塞ぐようにしている。
【0068】
窓部300は、フェイスシール上半部100Uにおける窓部300以外の領域についての周方向の一部の区間と同様の構成を有している。すなわち、窓部300は、サポート部110の内の端部111を含んだ径方向外側の領域を除いた部位に相当する部位であって周方向に延在する部分円環形状を有する本体部310と、サポート部110の内の端部111を含んだ径方向外側の領域に相当する環状板部330と、押圧部150とを有する。窓部300における押圧部150は、本体部310の径方向内側の端部313に取り付けられていて外側ディフューザ41を押圧するように構成されている。すなわち、窓部300における押圧部150は、外側ディフューザ41の外周面41aに押圧されるシール部材151と、シール部材151を外側ディフューザ41の外周面41aに向かって押圧する押圧装置160とを含む。
【0069】
図10に示すように、環状板部330は、周方向に延在する部分円環形状を有する板状の部材であり、径方向外側の領域が排気車室28の溝部283に挿入されるように構成されている。環状板部330は、軸方向から見たときに、径方向内側の領域が本体部310の径方向外側の領域と重なるように構成されている。環状板部330は、径方向内側の領域に該領域を軸方向に貫通する貫通孔331が周方向に間隔をあけて複数形成されている。貫通孔331の内周面には、雌ねじが形成されている。
【0070】
本体部310は、径方向内側の端部313に、周方向に延在する溝部315が形成されている。この溝部315には、シール部材151が挿入されている。なお、
図11A及び
図11Cでは、後述するジャッキボルト361及びジャッキナット362によってシール部材151が径方向外側に引き上げられていて外側ディフューザ41の外周面41aから離間した状態となっている。ガスタービン1の運転時には、ジャッキボルト361及びジャッキナット362は取り外されていて、シール部材151は外側ディフューザ41の外周面41aに当接した状態となる。
【0071】
本体部310は、径方向外側の領域に不図示の貫通孔が週方向に間隔をあけて複数形成されている。この不図示の貫通孔は、環状板部330の貫通孔331と軸方向から見たときの位置が一致するように形成されている。この不図示の貫通孔と環状板部330の貫通孔331とが軸方向から見たときの位置が一致するように本体部310と環状板部330とを重ね合わせ、この不図示の貫通孔にボルト351を挿通して環状板部330の貫通孔331に形成された雌ねじと螺合させることで、本体部310と環状板部330とを結合できる。
【0072】
本体部310は、周方向の両端部のそれぞれに形成されたフランジ317を有する。
図11Cに示すように、本体部310における図示上方のフランジ317とサポート部上半部110Uのフランジ117Uとをボルト及びナットで固定することで、本体部310はサポート部上半部110Uに固定される。また、
図11Cに示すように、本体部310における図示下方のフランジ317とサポート部下半部110Lのフランジ117Lとをボルト及びナットで固定することで、本体部310はサポート部下半部110Lに固定される。これにより、サポート部上半部110Uとサポート部下半部110Lとは、本体部310を介して結合される。
【0073】
図2に示す一実施形態に係るガスタービン1では、フェイスシール100の軸方向下流側の領域に位置している、外側ディフューザ上半部41Uと外側ディフューザ下半部41Lとを結合するための不図示ボルトに対して、フェイスシール100の軸方向上流側の領域からアクセスできるようになる。これにより、外側ディフューザ上半部41Uと外側ディフューザ下半部41Lとの結合及び結合の解除が容易となる。
【0074】
図2に示す一実施形態に係るガスタービン1では、押圧部150は、外側ディフューザ41の外周面41aに押圧されるシール部材151と、シール部材151を外周面41aに向かって押圧する押圧装置160とを含む。窓部300は、少なくとも1つのシール部材151と、少なくとも1つのシール部材151を外周面41aに向かって押圧する少なくとも1つの押圧装置160とを含む。
これにより、窓部300を取り外した際の開口部109の径方向の寸法を大きくすることができる。
【0075】
(ガスタービン1の分解方法について)
図15は、上述した幾つかの実施形態に係るガスタービン1の分解手順を示すフローチャートである。
以下、上述した
図1から
図14に加えて
図15を参照しながら、上述した幾つかの実施形態に係るガスタービン1の分解方法について説明する。なお、上述した幾つかの実施形態に係るガスタービン1の組立て方法は、以下に述べる分解方法の手順と逆の手順となるため、説明を省略する。
【0076】
幾つかの実施形態に係るガスタービン1の分解方法は、タービン車室上半部22Uを取り外すステップS1と、翼環上半部31Uを取り外すステップS3と、フェイスシール上半部100Uを取り外すステップS7と、排気車室上半部28Uと外側ディフューザ上半部41Uとを取り外すステップS9とを備える。
なお、
図2に示した一実施形態に係るガスタービン1の分解方法は、上記の各ステップに加えて、窓部300を取り外すステップS5を備える。
また、後述するように、フェイスシール上半部100Uを取り外すステップS7と、排気車室上半部28Uと外側ディフューザ上半部41Uとを取り外すステップS9との実施順序は入れ替えてもよい。
【0077】
(タービン車室上半部22Uを取り外すステップS1)
幾つかの実施形態に係るガスタービン1の分解方法では、タービン車室上半部22Uを取り外すステップS1は、ガスタービン1からタービン車室上半部22Uを取り外すステップである。タービン車室上半部22Uを取り外すステップS1では、作業員は、
図2又は
図3に示したタービン車室上半部22Uと排気車室上半部28Uとの結合を解除した後、タービン車室上半部22Uをガスタービン1の上方へ移動させることで、タービン車室上半部22Uを取り外す。
【0078】
これにより、
図2に示した一実施形態に係るガスタービン1では、翼環上半部31Uが現れ、
図3に示した他の実施形態に係るガスタービン1では、翼環上半部31Uと、フェイスシール上半部100Uと、外側ディフューザ上半部41Uにおける軸方向上流側の領域が現れる。
【0079】
(翼環上半部31Uを取り外すステップS3)
幾つかの実施形態に係るガスタービン1の分解方法では、翼環上半部31Uを取り外すステップS3は、フェイスシール上半部100Uと外側ディフューザ上半部41Uとを残したまま、翼環上半部31Uを取り外すステップである。翼環上半部31Uを取り外すステップS3では、作業員は、翼環上半部31Uと不図示の翼環下半部との結合を解除した後、翼環上半部31Uをガスタービン1の上方へ移動させることで、翼環上半部31Uを取り外す。
【0080】
これにより、
図2及び
図3に示した幾つかの実施形態に係るガスタービン1では、フェイスシール上半部100Uにおいて軸方向上流側に面する領域と、外側ディフューザ上半部41Uの軸方向上流側の端部41bとが現れる。
【0081】
(窓部300を取り外すステップS5)
図2に示した一実施形態に係るガスタービン1の分解方法では、翼環上半部31Uを取り外すステップS3を実施した後、窓部300を取り外すステップS5を実施する。
図2に示した一実施形態に係るガスタービン1の分解方法では、窓部300を取り外すステップS5は、フェイスシール上半部100Uから窓部300を取り外すステップである。
【0082】
窓部300を取り外すステップS5では、作業員は主として次の(a)から(e)に挙げた5つの作業を実施する。
(a)本体部310のフランジ317とサポート部上半部110Uのフランジ117Uとの結合を解除する作業。
(b)本体部310のフランジ317とサポート部下半部110Lのフランジ117Lとの結合を解除する作業。
(c)シール部材151を径方向外側に向かって移動させる作業。
(d)本体部310と環状板部330との結合を解除する作業。
(e)本体部310及び環状板部330を排気車室28から取り外す作業。
なお、上記5つの作業の内、(a)から(d)の作業については、実施順序は問わない。
【0083】
(a)として挙げた、本体部310のフランジ317とサポート部上半部110Uのフランジ117Uとの結合を解除する作業では、
図11Cに示す図示上方のフランジ317とサポート部上半部110Uのフランジ117Uとを固定するボルト及びナットを取り外す。これにより、本体部310のフランジ317とサポート部上半部110Uのフランジ117Uとの結合が解除される。
【0084】
本体部310のフランジ317とサポート部上半部110Uのフランジ117Uとの結合が解除されると、サポート部上半部110Uは、シール部材151が外側ディフューザ41の外周面41aを押圧する押圧力、すなわちバネ161の付勢力によって上方に移動して本体部310のフランジ317とサポート部上半部110Uのフランジ117Uとの間に隙間が生じ易くなる。
サポート部上半部110Uにおけるバネ161の付勢力だけでは本体部310のフランジ317とサポート部上半部110Uのフランジ117Uとの間に隙間が生じない場合、以下のようにして強制的にサポート部上半部110Uを上方に移動させる。
図9は、
図4におけるF部を周方向から見た断面図である。
【0085】
図2に示す一実施形態に係るガスタービン1では、
図9に示すように、フェイスシール100は、サポート部110(サポート部上半部110U)に設けられていて、外側ディフューザ41の外周面41aを径方向内側に向かって押圧するためのジャッキアップボルト171を取り付け可能な第1取付部としての雌ねじ穴118を有する。雌ねじ穴118は、フェイスシール上半部100Uにおいて、排気車室28の垂直中心線Cvを挟んだ一方側と他方側にそれぞれ1カ所ずつ設けられている。これにより、
図4に示すように、ジャッキアップボルト171は、排気車室28の垂直中心線Cvを挟んだ一方側と他方側にそれぞれ1カ所ずつ取り付け可能である。
雌ねじ穴118の内周面には、ジャッキアップボルト171と螺合可能な雌ねじが形成されている。
【0086】
図9に示すように、シール部材151には、ジャッキアップボルト171の軸部171aが挿通可能な貫通孔151aが形成されている。そのため、ジャッキアップボルト171を径方向外側から雌ねじ穴118に挿通させると、軸部171aが貫通孔151aに挿通される。これにより、軸部171aの先端部と外側ディフューザ41の外周面41aとが当接可能となる。
軸部171aの先端部と外側ディフューザ41の外周面41aとが当接した状態で、サポート部上半部110Uの端部113に対してジャッキアップボルト171を径方向内側に移動させると、端部113、すなわちサポート部上半部110Uが、外側ディフューザ41に対して上方に移動する。
【0087】
このように、
図2に示す一実施形態に係るガスタービン1では、第1取付部としての雌ねじ穴118に取り付けたジャッキアップボルト171によって外側ディフューザ41の外周面41aを径方向内側に向かって押圧することで、窓部300の取り付けの際に、窓部300の取り付けに必要な隙間を確保できる。また、窓部300の取り外しの際には、フェイスシール100の荷重が窓部300に作用しないようにすることができ、取り外し易い。
【0088】
なお、ガスタービン1の運転時には、ジャッキアップボルト171はサポート部上半部110Uの端部113から取り外されている。
【0089】
(b)として挙げた、本体部310のフランジ317とサポート部下半部110Lのフランジ117Lとの結合を解除する作業では、
図11Cに示す図示下方のフランジ317とサポート部下半部110Lのフランジ117Lとを固定するボルト及びナットを取り外す。これにより、本体部310のフランジ317とサポート部下半部110Lのフランジ117Lとの結合が解除される。
【0090】
(c)として挙げた、シール部材151を径方向外側に向かって移動させる作業では、ジャッキボルト361及びジャッキナット362を用いてシール部材151を径方向外側に引き上げることでシール部材151を外側ディフューザ41の外周面41aから離間させる。具体的には、作業員は、以下の手順でシール部材151を径方向外側に引き上げる。
【0091】
シール部材151を径方向外側に向かって移動させる作業では、
図11Aから
図11Cに示すように、本体部310の径方向内側の端部313に設けられた貫通孔313aに径方向外側からジャッキボルト361を挿通させる。そして、ジャッキボルト361をシール部材151の雌ねじ穴151bに螺合させる。
なお、ジャッキボルト361には予めジャッキナット362を取り付けておく。
本体部310は、押圧部150を挟んで周方向の一方側と他方側とにジャッキボルト361及びジャッキナット362を取り付け可能に構成されている。
【0092】
この状態から、ジャッキボルト361は回さず、ジャッキナット362を回転させてジャッキナット362をジャッキボルト361に対して径方向内側に移動させる。これにより、
図11Bによく示すように、ジャッキナット362が端部313の径方向外側の面313bに当たる。さらにジャッキナット362を回転させると、端部313、すなわち本体部310に対してジャッキボルト361が径方向外側に移動する。この時、ジャッキボルト361がシール部材151の雌ねじ穴151bに螺合しているので、ジャッキボルト361とともにシール部材151が径方向外側に移動する。これにより、シール部材151は外側ディフューザ41の外周面41aから離間する。
【0093】
(c)として挙げた、シール部材151を径方向外側に向かって移動させる作業では、例えば
図8Bに示したように、本体部310に取り付けられた押圧部150のボルト165を緩めて、シール部材151が外側ディフューザ41の外周面41aを押圧する押圧力を弱めるようにしてもよい。
【0094】
なお、
図11Aは、上記5つの作業の内の(a)から(c)までの作業を実施した後の状態を表している。また、
図11Cは、上記5つの作業の内の(c)の作業だけを実施した後の状態を表している。
【0095】
このように、窓部300は、少なくとも1つの押圧装置160が少なくとも1つのシール部材151を外周面41aへ押圧する押圧力に抗して、外周面41aから離れる方向にシール部材151を移動させるためのジャッキボルト361を取り付け可能な第2取付部としての貫通孔313aを有する。
これにより、第2取付部としての貫通孔313aに取り付けたジャッキボルト361を用いることによって、シール部材151を外側ディフューザ41の外周面41aから離すことができる。よって、窓部300を着脱する際にシール部材151と外側ディフューザ41との間で摩擦が生じないので、窓部300の着脱が容易となる。
【0096】
(d)として挙げた、本体部310と環状板部330との結合を解除する作業では、
図11A及び
図11Cに示すボルト351を取り外す。これにより、本体部310と環状板部330との結合が解除される。
【0097】
(e)として挙げた、本体部310及び環状板部330を排気車室28から取り外す作業では、本体部310を排気車室28から取り外す。これにより、
図10に示すように開口部109が現れる。そして、本体部310及び環状板部330を排気車室28から取り外す作業では、環状板部330を排気車室28から取り外す。
【0098】
(フェイスシール上半部100Uを取り外すステップS7)
幾つかの実施形態に係るガスタービン1の分解方法では、フェイスシール上半部100Uを取り外すステップS7は、フェイスシール上半部100Uを外側ディフューザ上半部41Uから取り外すステップである。
【0099】
図2に示した一実施形態に係るガスタービン1では、フェイスシール上半部100Uを取り外すステップS7において、作業員は、上述した第1規制ピン210、第2規制ピン220、及び第3規制ピン230を排気車室上半部28Uから取り外す。
次いで、作業員は、
図8Bに示すように、フェイスシール上半部100Uにおける押圧部150のボルト165を緩めて、シール部材151が外側ディフューザ41の外周面41aを押圧する押圧力を弱める。シール部材151の押圧力が弱まっているので、作業員は、排気車室28の溝部283からサポート部110の端部111を比較的容易に外すことができる。排気車室28の溝部283からサポート部110の端部111が外れた後、作業員は、フェイスシール上半部100Uを軸方向上流側に移動させることで、フェイスシール上半部100Uを外側ディフューザ上半部41Uから取り外すことができる。
【0100】
図2に示した一実施形態に係るガスタービン1では、フェイスシール上半部100Uを取り外すステップS7を実施する前に、後述する排気車室上半部28Uと外側ディフューザ上半部41Uとを取り外すステップS9を実施し、その後、フェイスシール上半部100Uを取り外すステップS7を実施してもよい。この場合、後述する排気車室上半部28Uと外側ディフューザ上半部41Uとを取り外すステップS9では、排気車室上半部28Uと外側ディフューザ上半部41Uとが結合された状態、及び、排気車室上半部28Uと外側ディフューザ上半部41Uとの間にフェイスシール上半部100Uが存在する状態で、排気車室上半部28Uと外側ディフューザ上半部41Uとを取り外すこととなる。
【0101】
図3に示した他の実施形態に係るガスタービン1では、フェイスシール上半部100Uを取り外すステップS7において、作業員は、
図8Bに示す状態と同様に、フェイスシール上半部100Uにおける押圧部150のボルト165を緩めて、シール部材151が外側ディフューザ41の外周面41aを押圧する押圧力を弱める。これにより、シール部材151と外側ディフューザ41の外周面41aとの間の摩擦力が低減され、作業員は、フェイスシール上半部100Uを外側ディフューザ上半部41Uから容易に取り外すことができる。
【0102】
(排気車室上半部28Uと外側ディフューザ上半部41Uとを取り外すステップS9)
幾つかの実施形態に係るガスタービン1の分解方法では、排気車室上半部28Uと外側ディフューザ上半部41Uとを取り外すステップS9は、排気車室上半部28Uと外側ディフューザ上半部41Uとが結合された状態で排気車室上半部28Uと外側ディフューザ上半部41Uとを取り外すステップである。
上述したタービン車室上半部22Uを取り外すステップS1からフェイスシール上半部100Uを取り外すステップS7までを実行すると、幾つかの実施形態に係るガスタービン1は、タービン車室上半部22Uと、翼環上半部31Uと、フェイスシール上半部100Uとが取り外された状態となる。
そのため、排気車室上半部28Uと外側ディフューザ上半部41Uとを取り外すステップS9において、作業員は、排気車室上半部28Uと外側ディフューザ上半部41Uとが結合された状態で排気車室上半部28Uと外側ディフューザ上半部41Uとをガスタービン1の上方に移動させて、ガスタービン1から取り外すことができる。
【0103】
なお、上述したように、フェイスシール上半部100Uを取り外すステップS7を実施する前に排気車室上半部28Uと外側ディフューザ上半部41Uとを取り外すステップS9を実施する場合には、該ステップS9では、排気車室上半部28Uと外側ディフューザ上半部41Uとの間にフェイスシール上半部100Uが存在する状態で、排気車室上半部28Uと外側ディフューザ上半部41Uとを取り外す。すなわちこの場合には、排気車室上半部28U、フェイスシール上半部100U及び外側ディフューザ上半部41Uを一体化した状態で取り外すことができる。
【0104】
上述したように、幾つかの実施形態に係るガスタービン1の分解方法では、翼環上半部31Uをフェイスシール上半部100Uとは別に取り外すことができる。これにより、翼環上半部31Uを取り外す際に、フェイスシール上半部100Uを外側ディフューザ上半部41Uから取り外す必要がなくなる。そのため、翼環上半部31Uを取り外す際に、シール部材151と外側ディフューザ41の外周面41aとの間の摩擦力の影響で翼環上半部31Uの取り外しが難しくなることを回避できる。
【0105】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
図16Aから
図16Dは、窓部300を設ける位置について説明するための模式的な図であり、フェイスシール100の一部を軸方向上流側から見た図である。
図16Aから
図16Dでは、窓部300が開口部109を覆う範囲をハッチングによって表している。
図16Aは、上述した
図10、
図11A、及び
図11Cに示した実施形態について示したものである。
図16Aに示すように、窓部300は、フェイスシール100の径方向の全体に亘る範囲を覆うように構成してもよい。
窓部300は、例えば
図16Bに示すように、フェイスシール上半部100Uとフェイスシール下半部100Lとの境である水平分割面dsから上方に離れた位置に設けてもよい。
窓部300は、例えば
図16Cに示すように、径方向又は周方向の少なくとも一方の長さが上述した
図10、
図11A、及び
図11Cに示した実施形態に比べて小さくなるように構成してもよい。
窓部300は、例えば
図16Dに示すように、周方向の長さが上述した
図10、
図11A、及び
図11Cに示した実施形態に比べて大きくなるように構成してもよい。
【0106】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービン1は、ロータ8が収容される車室(タービン車室22又は排気車室28)と、車室(タービン車室22又は排気車室28)の径方向内側に配置される外側ディフューザ41と、シール装置(フェイスシール100)とを備える。シール装置(フェイスシール100)は、車室(タービン車室22又は排気車室28)と外側ディフューザ41との間に配置され、周方向に延在する部分円環形状を有するサポート部110と、サポート部110に接続されていて外側ディフューザ41を押圧する押圧部150とを含む。サポート部110の径方向外側の端部111は、車室(タービン車室22又は排気車室28)の内周部(内周部226又は内周部281)に形成されていて周方向に延在する溝部(溝部223又は溝部283)に挿入されている。
【0107】
上記(1)の構成によれば、サポート部110の径方向外側の端部111が溝部(溝部223又は溝部283)内を移動することで、外側ディフューザ41に対するフェイスシール100の位置を容易に調節できる。これにより、フェイスシール100による密閉性能を確保し易くなる。
また、上記(1)の構成によれば、サポート部110の径方向外側の端部111が溝部(溝部223又は溝部283)内を移動可能であるので、フェイスシール100の芯出し作業(組立作業)が容易になる。
上記(1)の構成によれば、サポート部110の径方向外側の端部111が溝部(溝部223又は溝部283)内を径方向に移動可能であるので、翼環31の熱伸びの影響を受け難い。
【0108】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、車室(タービン車室22又は排気車室28)に対して径方向外側から取り付けられて、車室(タービン車室22又は排気車室28)に対するサポート部110の移動範囲を規制する複数の規制部材(第1規制ピン210、第2規制ピン220、第3規制ピン230、第4規制ピン240、第5規制ピン250)を備えるとよい。
【0109】
上記(2)の構成によれば、車室(タービン車室22又は排気車室28)に対するサポート部110の移動を許容して熱伸びに対応可能としつつ、車室(タービン車室22又は排気車室28)からの脱落等の意図しない移動を防止できる。
【0110】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、車室(タービン車室22)の径方向内側であって外側ディフューザ41よりも軸方向上流側に配置される翼環31を備えているとよい。溝部(溝部223又は溝部283)は、翼環31よりも下流側に配置されるとよい。
【0111】
上記(3)の構成によれば、翼環31よりも軸方向下流側でフェイスシール100が車室(タービン車室22又は排気車室28)に保持されるので、翼環31の取り外し時にフェイスシール100との干渉しない構造とし易い。よって、翼環31の着脱が容易となる。
【0112】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、押圧部150は、外側ディフューザ41の外周面41aに押圧されるシール部材151と、シール部材151を外周面41aに向かって押圧する押圧装置160とを含むとよい。外側ディフューザ41は、外側ディフューザの外周面から内周面まで貫通する孔(挿通孔43)を有していてもよい。シール部材151と外周面41aとが接触する位置は、上記孔(挿通孔43)よりも軸方向上流側であるとよい。
【0113】
上記(4)の構成によれば、挿通孔43からの燃焼ガスが外側ディフューザ41の径方向外側に回り込み、さらに軸方向上流側に流れて翼環31と外側ディフューザ41との隙間から燃焼ガス流路に引き込まれる、という燃焼ガスの流れをフェイスシール100で遮断できる。これにより、外側ディフューザ41の軸方向上流側の領域の温度上昇を抑制できる。
【0114】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、車室は、排気車室28と、排気車室28の軸方向上流側に配置されて排気車室28と接続されるタービン車室22とを含んでいてもよい。ガスタービン1は、タービン車室22の径方向内側に配置される翼環31を備えていてもよい。翼環31の軸方向下流側の端部31aは、排気車室28の軸方向上流側の端部28aよりも軸方向上流側に位置するとよい。
【0115】
上記(5)の構成によれば、翼環31の取り外し時に排気車室28との干渉しない構造とし易い。よって、上記(5)の構成によれば、翼環31の着脱が容易となる。
【0116】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、車室は、排気車室28と、排気車室28の軸方向上流側に配置されて排気車室28と接続されるタービン車室22とを含んでいてもよい。溝部283は、排気車室28の内周部281に形成されていてもよい。
【0117】
上記(6)の構成によれば、フェイスシール100が排気車室28に保持されるので、排気車室上半部28U、フェイスシール上半部100U及び外側ディフューザ上半部41Uを一体化した状態で着脱可能となる。そのため、例えば、一体化した排気車室上半部28U、フェイスシール上半部100U及び外側ディフューザ上半部41Uを、ガスタービン1の設置場所とは異なる場所で組立て、分解、メンテナンス等の作業ができるので、作業し易くなる。
【0118】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、外側ディフューザ41の軸方向上流側の端部41bは、排気車室28の軸方向上流側の端部28aよりも軸方向下流側に位置するとよい。
【0119】
上記(7)の構成によれば、外側ディフューザ上半部41Uを排気車室上半部28Uと一体化した状態で取り外す際に、外側ディフューザ上半部41Uがタービン車室22と干渉し難くなる。
【0120】
(8)幾つかの実施形態では、上記(6)又は(7)の構成において、シール装置(フェイスシール100)は、排気車室28の軸方向上流側の端部28aよりも軸方向下流側に位置するとよい。
【0121】
上記(8)の構成によれば、フェイスシール上半部100Uを排気車室上半部28Uと一体化した状態で取り外す際に、フェイスシール上半部100Uがタービン車室22と干渉し難くなる。
【0122】
(9)幾つかの実施形態では、上記(6)乃至(8)の何れかの構成において、押圧部150は、サポート部110の軸方向上流側に位置していて、外側ディフューザ41の外周面41aに押圧されるシール部材151と、シール部材151を外周面41aに向かって押圧する押圧装置160とを含むとよい。
【0123】
上記(9)の構成によれば、タービン車室上半部22U及び翼環上半部31Uを取り外した状態で、フェイスシール上半部100Uを外側ディフューザ41に着脱する際に押圧装置160によるシール部材151の押圧力を軸方向上流側から変更できる。これにより、フェイスシール上半部100Uを外側ディフューザ41に着脱する際にシール部材151と外側ディフューザ41との間の摩擦力を低減でき、着脱が容易となる。
【0124】
(10)幾つかの実施形態では、上記(6)乃至(9)の何れかの構成において、シール装置(フェイスシール100)は、シール装置上半部(フェイスシール上半部100U)とシール装置した半部(フェイスシール下半部100L)とを含むとよい。シール装置上半部(フェイスシール上半部100U)は、周方向の端部側の領域において、サポート部110の周方向の一部の領域を構成するとともに、上記一部の領域以外のサポート部110に着脱可能に構成された窓部300を有するとよい。
【0125】
上記(10)の構成によれば、フェイスシール100の軸方向下流側の領域に位置している、外側ディフューザ上半部41Uと外側ディフューザ下半部41Lとを結合するためのボルトに対して、フェイスシール100の軸方向上流側の領域からアクセスできるようになる。これにより、外側ディフューザ上半部41Uと外側ディフューザ下半部41Lとの結合及び結合の解除が容易となる。
【0126】
(11)幾つかの実施形態では、上記(10)の構成において、シール装置(フェイスシール100)は、サポート部110に設けられていて、外側ディフューザ41の外周面41aを径方向内側に向かって押圧するためのジャッキアップボルト171を取り付け可能な第1取付部(雌ねじ穴118)を有するとよい。
【0127】
上記(11)の構成によれば、第1取付部(雌ねじ穴118)に取り付けたジャッキアップボルト171によって外側ディフューザ41の外周面41aを径方向内側に向かって押圧することで、窓部300の取り付けの際に、窓部300の取り付けに必要な隙間を確保できる。また、窓部300の取り外しの際には、フェイスシール100の荷重が窓部300に作用しないようにすることができ、取り外し易い。
【0128】
(12)幾つかの実施形態では、上記(10)又は(11)の構成において、押圧部150は、外側ディフューザ41の外周面41aに押圧されるシール部材151と、シール部材151を外周面41aに向かって押圧する押圧装置160とを含むとよい。窓部300は、少なくとも1つのシール部材151と、少なくとも1つのシール部材151を外周面41aに向かって押圧する少なくとも1つの押圧装置160とを含むとよい。
【0129】
上記(12)の構成によれば、窓部300を取り外した際の開口部109の径方向の寸法を大きくすることができる。
【0130】
(13)幾つかの実施形態では、上記(12)の構成において、窓部300は、少なくとも1つの押圧装置160が少なくとも1つのシール部材151を外周面41aへ押圧する押圧力に抗して、外周面41aから離れる方向にシール部材151を移動させるためのジャッキボルトを取り付け可能な第2取付部(貫通孔313a)を有するとよい。
【0131】
上記(13)の構成によれば、第2取付部(貫通孔313a)に取り付けたジャッキボルトを用いることによって、シール部材151を外側ディフューザ41の外周面41aから離すことができる。これにより、窓部300を着脱する際にシール部材151と外側ディフューザ41との間で摩擦が生じないので、窓部300の着脱が容易となる。
【0132】
(14)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、車室は、排気車室28と、排気車室28の軸方向上流側に配置されて排気車室28と接続されるタービン車室22とを含んでいてもよい。溝部223は、タービン車室22の内周部226に形成されていてもよい。
【0133】
上記(14)の構成によれば、タービン車室上半部22Uを取り外すと、フェイスシール100の押圧部150にアクセスできるので、フェイスシール100を外側ディフューザ41に着脱する際に押圧装置160によるシール部材151の押圧力を変更できる。よって、フェイスシール100を外側ディフューザ41に着脱する際にシール部材151と外側ディフューザ41との間の摩擦力を低減でき、着脱が容易となる。
【0134】
(15)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービン1の分解方法は、タービン車室22と、タービン車室22の軸方向下流側に配置される排気車室28と、車室(タービン車室22又は排気車室28)の径方向内側に配置される外側ディフューザ41と、車室(タービン車室22又は排気車室28)と外側ディフューザ41との間に配置されるシール装置(フェイスシール100)と、を備えるガスタービン1の分解方法である。本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービン1の分解方法は、タービン車室22の上半部(タービン車室上半部22U)を取り外すステップS1と、シール装置(フェイスシール100)の上半部(フェイスシール上半部100U)と外側ディフューザ41の上半部(外側ディフューザ上半部41U)とを残したまま、翼環31の上半部(翼環上半部31U)を取り外すステップS3と、シール装置(フェイスシール100)の上半部(フェイスシール上半部100U)を外側ディフューザ41の上半部(外側ディフューザ上半部41U)から取り外すステップS7と、排気車室28の上半部(排気車室上半部28U)と外側ディフューザ41の上半部(外側ディフューザ上半部41U)とが結合された状態で排気車室28の上半部(排気車室上半部28U)と外側ディフューザ41の上半部(外側ディフューザ上半部41U)とを取り外すステップS9と、を備える。
【0135】
上記(15)の方法によれば、翼環上半部31Uをフェイスシール上半部100Uとは別に取り外すことができる。これにより、翼環上半部31Uを取り外す際に、フェイスシール上半部100Uを外側ディフューザ上半部41Uから取り外す必要がなくなる。そのため、翼環上半部31Uを取り外す際に、シール部材151と外側ディフューザ41の外周面41aとの間の摩擦力の影響で翼環上半部31Uの取り外しが難しくなることを回避できる。
【符号の説明】
【0136】
1 ガスタービン
22 タービン車室(ケーシング)
22U タービン車室上半部
22L タービン車室下半部
28 排気車室
28U 排気車室上半部
28L 排気車室下半部
31 翼環
31U 翼環上半部
41 外側ディフューザ
41a 外周面
41U 外側ディフューザ上半部
41L 外側ディフューザ下半部
43 孔(挿通孔)
100 シール装置(フェイスシール)
100U シール装置上半部(フェイスシール上半部)
100L シール装置下半部(フェイスシール下半部)
109 開口部
110 サポート部
118 第1取付部(雌ねじ穴)
150 押圧部
151 シール部材
160 押圧装置
171 ジャッキアップボルト
210 第1規制ピン
220 第2規制ピン
230 第3規制ピン
240 第4規制ピン
250 第5規制ピン
223 溝部
226 内周部
281 内周部
283 溝部
300 窓部
313a 第2取付部(貫通孔)