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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089341
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】超音波流量計及び流量計測方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/66 20220101AFI20230621BHJP
【FI】
G01F1/66 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203789
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 康弘
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035DA14
2F035DA23
(57)【要約】
【課題】従来に対し、計測精度を向上可能とする。
【解決手段】一対の出力端子を有し、超音波を受信するトランスデューサ11と、トランスデューサ11が有する一対の出力端子に接続された一対の入力端子を有し、当該トランスデューサ11により受信された超音波に対して受信処理を行う受信回路131と、トランスデューサ11に基準電位を印加するバイアス回路132-1と、を備え、バイアス回路132-1は、受信回路131の起動前にトランスデューサ11に対して基準電位を印加する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の出力端子を有し、超音波を受信するトランスデューサと、
前記トランスデューサが有する一対の出力端子に接続された一対の入力端子を有し、当該トランスデューサにより受信された超音波に対して受信処理を行う受信回路と、
前記トランスデューサに基準電位を印加するバイアス回路と、を備え、
前記バイアス回路は、前記受信回路の起動前に前記トランスデューサに対して基準電位を印加する
ことを特徴とする超音波流量計。
【請求項2】
前記バイアス回路が前記トランスデューサに基準電位を印加している状態で、前記受信回路を起動させる受信回路制御部を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の超音波流量計。
【請求項3】
前記受信回路制御部は、前記バイアス回路の起動による電位の揺らぎが許容範囲に収まった状態で前記受信回路を起動させる
ことを特徴とする請求項2記載の超音波流量計。
【請求項4】
一対の出力端子を有するトランスデューサと、前記トランスデューサが有する一対の出力端子に接続された一対の入力端子を有する受信回路と、バイアス回路と、を備えた超音波流量計が行う流量計測方法であって、
前記バイアス回路が、前記トランスデューサに対して基準電位を印加するステップと
前記受信回路が、前記バイアス回路が前記トランスデューサに基準電位を印加した後で起動するステップと、
前記トランスデューサが、前記受信回路が起動している状態で超音波を受信するステップと、
前記受信回路が、前記トランスデューサにより受信された超音波に対して受信処理を行うステップと
を備えた流量計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波を用いて流体の流量を計測する超音波流量計及び流量計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波を用いて流体の流量を計測する超音波流量計が知られている(例えば特許文献1参照)。この超音波流量計では、流路に対して、一組のトランスデューサ(超音波圧電素子)が、取付けられている。
そして、この超音波流量計では、一方のトランスデューサが、共振周波数(例えば500kHz)で駆動し、超音波を出す。そして、この超音波が伝搬して他方のトランスデューサを励起し、これを増幅することで受信信号を得る。そして、この超音波流量計では、超音波の送信タイミングと受信信号の到達タイミングとの間の時間を計測することで、伝搬時間が計測可能である。そして、超音波流量計は、同様の動作を、上流側と下流側の送受信を入替えて行い、両者を比較することで伝搬時間差を求める。ここで、流量が無い場合には、原理的には、伝搬時間差はゼロとなる。一方、流量がある場合には、伝搬時間差が流量に応じて生じる。このようにして、超音波流量計は、流量を計測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-134439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、ガスメータのようにガス使用量の課金に関わるものでは、高精密な計測精度が要求される。よって、超音波流量計は、常に高精度化が求められている。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するものであり、従来に対し、計測精度を向上可能な超音波流量計及び流量計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る超音波流量計は、一対の出力端子を有し、超音波を受信するトランスデューサと、トランスデューサが有する一対の出力端子に接続された一対の入力端子を有し、トランスデューサにより受信された超音波に対して受信処理を行う受信回路と、トランスデューサに基準電位を印加するバイアス回路と、を備え、バイアス回路は、受信回路の起動前にトランスデューサに対して基準電位を印加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、上記のように構成したので、従来に対し、計測精度を向上可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る超音波流量計の構成例を示す図である。
図2】実施の形態1における送受信部の構成例を示す図である。
図3】実施の形態1におけるトランスデューサの取付け例を示す図である。
図4】実施の形態1における受信部の構成例を示す図である。
図5】実施の形態2における受信部の構成例を示す図である。
図6】実施の形態2における受信回路制御部の構成例を示す図である。
図7】実施の形態2における送受信部が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この開示の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る超音波流量計の構成例を示す図である。
超音波流量計は、超音波を用いて、計測対象とする流体の流量を計測する。この超音波流量計は、例えば、ガスメータに適用され、ガスの流量を計測する。この超音波流量計は、図1に示すように、送受信部(第1の送受信部)1-1、送受信部(第2の送受信部)1-2及び計測部2を備えている。
【0010】
なおここでは、同一の構成要素が複数系統存在する場合には、その構成要素を示す符号に系統毎の接尾記号(-1,-2,・・・)を付すものとし、また、特に区別する必要がない場合には接尾記号を付さずに説明を行う。また、接尾記号が異なるのみで機能が同様の構成については、接尾記号が「-1」のものについてのみ図示し、他の接尾記号の構成については図示を省略する。
【0011】
送受信部1-1は、送受信部1-2との間で、超音波の送受信を行う。送受信部1-1は、図2に示すように、トランスデューサ(第1のトランスデューサ)11-1、送信部(第1の送信部)12-1及び受信部(第1の受信部)13-1を備えている。
【0012】
トランスデューサ11-1は、図3に示すように、計測対象とする流体が流れる流路5における一方側(例えば上流側)に取付けられる。このトランスデューサ11-1は、送信部12-1により駆動され、上記流路5において、他方側(例えば下流側)に向かって超音波を送信する。また、トランスデューサ11-1は、上記流路5において、他方側から送信された超音波を受信する。なお、トランスデューサ11-1は、一対の出力端子を有する。
【0013】
送信部12-1は、トランスデューサ11-1を駆動する。
受信部13-1は、トランスデューサ11-1により受信された超音波に対して受信処理を行う。
【0014】
送受信部1-2は、送受信部1-1との間で、超音波の送受信を行う。送受信部1-2は、図2に示す送受信部1-1と同様に、トランスデューサ(第2のトランスデューサ)11-2、送信部(第2の送信部)12-2及び受信部(第2の受信部)13-2を備えている。
【0015】
トランスデューサ11-2は、図3に示すように、上記流路5における他方側に取付けられる。このトランスデューサ11-2は、送信部12-2により駆動され、上記流路5において、一方側に向かって超音波を送信する。また、トランスデューサ11-2は、上記流路5において、一方側から送信された超音波を受信する。なお、トランスデューサ11-2は、一対の出力端子を有する。
【0016】
送信部12-2は、トランスデューサ11-2を駆動する。
受信部13-2は、トランスデューサ11-2により受信された超音波に対して受信処理を行う。
【0017】
計測部2は、送受信部1-1による送受信結果及び送受信部1-2による送受信結果に基づいて、上記流体の流量を計測する。この際、計測部2は、送受信部1-1により送信された超音波が送受信部1-2により受信されるまでの時間と、送受信部1-2により送信された超音波が送受信部1-1により受信されるまでの時間との差を算出し、その時間差から流路5内を流れる流体の流量を演算(計測)する。
【0018】
次に、受信部13-1の構成例について、図4を参照しながら説明する。
受信部13-1は、図4に示すように、受信回路(第1の受信回路)131-1及びバイアス回路(第1のバイアス回路)132-1を有する。
【0019】
受信回路131-1は、一対の入力端子を有する。そして、受信回路131-1は、一対の入力端子のうちの一方が、トランスデューサ11-1が有する一対の出力端子のうちの一方に接続され、一対の入力端子のうちの他方が、トランスデューサ11-1が有する一対の出力端子のうちの他方に接続されている。この受信回路131-1は、トランスデューサ11-1により受信された超音波(信号)に対して受信処理を行う。すなわち、受信回路131-1は、トランスデューサ11-1により受信された超音波(信号)の増幅及びバンドパスフィルタによる帯域カットを行う。
【0020】
バイアス回路132-1は、バイアス回路132-1が起動している状態(起動状態)において、トランスデューサ11-1に基準電位(バイアス電圧)を印加する。言い換えると、バイアス回路132-1は、起動状態において、トランスデューサ11-1の電位を受信回路131-1が超音波の受信を行うための基準電位(バイアス電圧)まで上昇させる。基準電位は、受信する超音波の中心電位となる。これにより、基準電位は、受信する超音波の振幅に対し十分な電圧になるように設定される。
【0021】
受信回路131-1とバイアス回路132-1とは、電力の供給制御が独立している。このため、バイアス回路132-1は、受信回路131-1の起動している状態(起動状態)と終了している状態(終了状態)とによらず、起動状態を維持することが可能となっている。例えば、送受信部1-1に電力が供給されている状態で、バイアス回路132-1は、起動状態を維持し、受信回路131-1は、起動状態と終了状態が交互に切替わる間欠駆動を行う。具体的には、送受信部1-1に電力が供給されている状態で、バイアス回路132-1は、起動状態を維持して受信回路131-1の起動前にトランスデューサ11-1に基準電位を印加し、受信回路131-1は、トランスデューサ11-1がバイアス回路132-1によって基準電位を印加されている状態で、起動状態と終了状態が交互に切替わる間欠駆動を行う。なお、バイアス回路132-1は、受信回路131-1と同時に終了状態となり、その後受信回路131-1よりも先に起動状態となるように間欠駆動を行ってもよい。
【0022】
また、受信部13-2は、図4に示す受信部13-1と同様に、受信回路(第2の受信回路)131-2及びバイアス回路(第2のバイアス回路)132-2を有する。
【0023】
受信回路131-2は、一対の入力端子を有する。そして、受信回路131-2は、一対の入力端子のうちの一方が、トランスデューサ11-2が有する一対の出力端子のうちの一方に接続され、一対の入力端子のうちの他方が、トランスデューサ11-2が有する一対の出力端子のうちの他方に接続されている。この受信回路131-2は、トランスデューサ11-2により受信された超音波(信号)に対して受信処理を行う。すなわち、受信回路131-2は、トランスデューサ11-2により受信された超音波(信号)の増幅及びバンドパスフィルタによる帯域カットを行う。
【0024】
バイアス回路132-2は、図4に示すバイアス回路132-1と同様に、起動状態において、トランスデューサ11-2に基準電位(バイアス電圧)を印加する。言い換えると、バイアス回路132-2は、起動状態において、トランスデューサ11-2の電位を受信回路131-2が超音波の受信を行うための基準電位(バイアス電圧)まで上昇させる。
【0025】
受信回路131-2とバイアス回路132-2とは、電力の供給経路が独立している。このため、バイアス回路132-2は、受信回路131-2の起動している状態(起動状態)と終了している状態(終了状態)とによらず、起動状態を維持することが可能となっている。例えば、送受信部1-2に電力が供給されている状態で、バイアス回路132-2は、起動状態を維持し、受信回路131-2は、起動状態と終了状態が交互に切替わる間欠駆動を行う。具体的には、送受信部1-2に電力が供給されている状態で、バイアス回路132-2は、起動状態を維持して受信回路131-2の起動前にトランスデューサ11-2に基準電位を印加し、受信回路131-2は、トランスデューサ11-2がバイアス回路132-2によって基準電位を印加されている状態で、起動状態と終了状態が交互に切替わる間欠駆動を行う。
【0026】
次に、実施の形態1に係る超音波流量計による効果について説明する。
ここで、ガスメータとして使用される超音波流量計(超音波気体流量計)は、バッテリー駆動のものが多い。そのため、このような超音波流量計では、消費電力を抑えるため、受信回路(内部回路)を間欠駆動とし、受信時以外は電源をオフにする、すなわち電力の供給を停止する構成が一般的である。
【0027】
一方、超音波流量計の用途又はサイズに応じて選択されるトランスデューサ及び受信回路の構成次第では、受信回路の起動(立上がり)による電位の揺らぎ(電気的な揺らぎ)が、計測精度に悪影響を及ぼすという問題が生じ得る。具体的には、受信回路にバイアス回路が組込まれている超音波流量計や、受信回路とバイアス回路とが電力の供給経路を共有している超音波流量計においては、受信動作の度に受信回路が起動する際にバイアス回路が起動して、トランスデューサに当該起動による電位の揺らぎが伝わってしまう。この電位の揺らぎが図4に示すP側とN側とで完全に対称ではないため、トランスデューサの両端に電位差が生じ、この電位の揺らぎがトランスデューサの物理的な振動に変換されて保持されてしまう。そして、この保持された振動が、後からやってくる受信信号と重畳されてしまうことで、計測精度に悪影響を及ぼしてしまう。
【0028】
これを防ぐため、実施の形態1に係る超音波流量計では、図4に示すように、受信部13において、受信回路131とバイアス回路132とを独立して形成し、受信回路131の起動状態及び終了状態によらずバイアス回路132の起動状態を維持することが可能に構成されている。これにより、実施の形態1に係る超音波流量計では、受信回路131が受信動作を行う際に既にトランスデューサ11に基準電位が印加されている状態とすることができるので、トランスデューサ11の両端の電位を同一又は電位差を十分に低下させることができ、トランスデューサ11の振動を抑制可能となる。なお、送受信部1に電力が供給されてから、すなわちバイアス回路132が起動状態となってからトランスデューサ11の振動が収まるまでにかかる十分な時間が経過後に流量の計測を行うことにより、より精度の高い流量計測を行うことが可能となる。
【0029】
以上のように、この実施の形態1によれば、超音波流量計は、一対の出力端子を有し、超音波を受信するトランスデューサ11と、トランスデューサ11が有する一対の出力端子に接続された一対の入力端子を有し、当該トランスデューサ11により受信された超音波に対して受信処理を行う受信回路131と、トランスデューサ11に基準電位を印加するバイアス回路132と、を備え、バイアス回路132は、受信回路131の起動前にトランスデューサ11に対して基準電位を印加するように構成した。これにより、実施の形態1に係る超音波流量計は、従来に対し、計測精度を向上可能となる。
【0030】
実施の形態2.
以下、図2図5乃至図7を参照して、実施の形態2について説明する。実施の形態2に係る超音波流量計は、実施の形態1に係る超音波流量計に対して受信部の構成が異なるが、他の構成については実施の形態1に係る超音波流量計と同様であるため、重複した説明を省略する。
【0031】
図2に示すように、実施の形態2に係る超音波流量計の送受信部(第1の送受信部)1A-1は、トランスデューサ11-1、送信部12-1及び受信部13A-1を備えている。なお、実施の形態2に係る超音波流量計は、実施の形態1の超音波流量計と同様に、送受信部(第1の送受信部)1A-1と、送受信部(第2の送受信部)と、を有しているが、送受信部(第1の送受信部)1A-1と、送受信部(第2の送受信部)と、の構成は同様であり、以下、送受信部(第1の送受信部)1A-1について説明し、送受信部(第2の送受信部)についての説明を省略する。
【0032】
図5に示すように、受信部13A-1は、受信回路131-1、バイアス回路132-1及び受信回路制御部133-1を有する。受信回路制御部133-1は、受信回路131-1に接続されて、受信回路131-1の起動状態と終了状態との切替えを制御する。例えば、送受信部1A-1に電力が供給されている状態で、バイアス回路132-1は、起動状態を維持する。
【0033】
例えば、受信回路制御部133-1は、図6に示すように、計時部1331-1及び切替え部1332-1を有している。
【0034】
例えば、計時部1331-1は、送受信部1-1に電力が供給される状態になったことに伴って計時を開始する。
切替え部1332-1は、計時部1331-1による計時時間が所定時間に達した場合に、受信回路131-1を起動可能な状態、すなわち終了状態から起動状態へ切替え可能な状態とする。上記所定時間は、送受信部1-1に電力が供給される状態になってから、すなわちバイアス回路132-1が起動状態になってから、当該起動によるトランスデューサ11-1の電位の揺らぎが許容範囲に収まるまでの時間(例えば、バイアス回路132-1の起動からトランスデューサ11-1が静定する状態となるまでの時間)である。すなわち、切替え部1332-1は、バイアス回路132-1の起動から上記所定時間が経過した場合に、当該バイアス回路132-1の起動によるトランスデューサ11-1の電位の揺らぎが許容範囲に収まったと判定して、当該電位の揺らぎが収まった状態で受信回路131-1を起動可能な状態にする。なお、上記所定時間は、シミュレーション又は実測により事前に設定値として設定される。
【0035】
なお、受信回路制御部133-1は、システムLSI(Large Scale Integration)等の処理回路、又はメモリ等に記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等により実現される。
【0036】
次に、実施の形態2の超音波流量計による流量計測方法ついて説明する。
図7は、超音波流量計が流量計測を行う際の処理の一例を示すフローチャートである。
超音波流量計は、まず、一方の送受信部の送信部においてトランスデューサを駆動し、当該トランスデューサによって超音波を送信する(ステップST1)。超音波流量計は、ステップST1の処理を行うと、他方の送受信部である送受信部1A-1のバイアス回路132を起動させる(ステップST2)。この処理において、送受信部1A-1は、バイアス回路132によってトランスデューサ11-1に基準電位を印加している。また、この処理において、送受信部1A-1は、例えば、計時部1331-1によって計時を開始する。
【0037】
次に、超音波流量計は、送受信部1A-1の受信回路131-1を起動させる(ステップST3)。言い換えると、送受信部1A-1は、バイアス回路132の起動後に、受信回路131-1を起動させる。また、言い換えると、送受信部1A-1は、バイアス回路132がトランスデューサ11に対して基準電位を印加した後で、受信回路131-1を起動させる。この処理において、送受信部1A-1は、受信回路制御部133-1によって受信回路131-1が起動可能な状態になったことに基づいて、受信回路131-1を起動させている。例えば、送受信部1A-1は、計時部1331-1による計時時間が所定時間に達したことに基づいて切替え部1332-1が受信回路131-1を起動可能な状態にしたことに基づいて、受信回路131-1を起動させている。
【0038】
ステップST3の処理を行うと、他方の送受信部である送受信部1A-1は、受信回路131-1が起動している状態で受信回路131-1が一方の送受信部から送信された超音波を受信すると(ステップST4のYES)、送受信部1A-1は、受信回路131-1に受信処理を行わせる(ステップST5)。なお、受信部1A-1は、装置に電流が供給されている状態で超音波を受信可能な状態を維持するように構成されていてもよいし、超音波を受信可能な状態になってから超音波を受信せずに所定の時間が経過した場合、超音波を受信可能な状態を終了(タイムアウト)するように構成されていてもよい。
【0039】
なお、送受信部1A-1は、受信回路131-1を間欠駆動させる際には、ステップST2からステップST6の処理を繰り返す。例えば、送受信部1A-1は、受信回路131-1を間欠駆動させて、計測部2に、一方の送受信部により送信された超音波が他方の送受信部により受信されるまでの時間と、他方の送受信部により送信された超音波が一方の送受信部により受信されるまでの時間との差を複数回算出して当該時間差の平均値を算出することによって、流路5内を流れる流体の流量計測の精度を向上させる。
【0040】
なお、実施の形態2にかかる超音波流量計は、送受信部1Aに電力が供給されるとバイアス回路132が起動し、バイアス回路132が起動してからの時間を受信回路制御部133によって計時し、バイアス回路132が起動してから所定時間経過後に受信回路131を起動可能な状態としたが、これに限定されない。超音波流量計は、少なくとも受信回路が起動して計測が可能な状態になるよりも前にバイアス回路によってトランスデューサに基準電位を印加するように構成されていればよい。
【0041】
例えば、超音波流量計は、受信回路制御部が、バイアス回路及び受信回路の起動を制御するように構成されていてもよい。例えば、超音波流量計は、送受信部に電力が供給されている状態における所定の契機によって受信回路制御部がバイアス回路を起動させ、バイアス回路が起動してから所定時間経過後に受信回路を起動させてもよいし、所定時間経過後に受信回路が起動可能な状態にしてもよい。
【0042】
また、例えば、超音波流量計は、バイアス回路が受信回路制御部へ信号を送信する信号送信部を有し、受信回路制御部がバイアス回路から信号を受信したことに基づいて受信回路を起動させてもよいし、受信回路制御部がバイアス回路から信号を受信したことに基づいて受信回路が起動可能な状態にしてもよい。具体的には、超音波流量計は、バイアス回路が計時を行う計時部を有し、当該計時部によるバイアス回路が起動してからの計時時間が所定時間に達したことに基づいて信号送信部が受信回路制御部に信号を送信し、受信回路制御部がバイアス回路から信号を受信したことに基づいて受信回路を起動させてもよいし、受信回路制御部がバイアス回路から信号を受信したことに基づいて受信回路が起動可能な状態にしてもよい。
【0043】
また、例えば、超音波流量計は、バイアス回路が受信回路制御部へ信号を送信する信号送信部と、トランスデューサの電位の揺らぎを検知(計測)する電位検知部と、を有し、当該検知部によって検知されたトランスデューサの電位の揺らぎが許容範囲に収まった状態であることに基づいて、信号送信部が受信回路制御部に信号を送信し、受信回路制御部がバイアス回路から信号を受信したことに基づいて受信回路を起動させてもよいし、受信回路制御部がバイアス回路から信号を受信したことに基づいて受信回路が起動可能な状態にしてもよい。
【0044】
また、上述した実施の形態において、超音波流量計は、2つの送受信部のそれぞれに1つずつトランスデューサが設けられているが、これに限定されない。例えば、超音波流量計は、流路の一方側及び他方側にそれぞれ配置された2つのトランスデューサが1つの送受信部を共用するように構成されていてもよい。
【0045】
また、本開示はその開示の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、組合せ若しくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1、1A 送受信部
2 計測部
5 流路
11 トランスデューサ
12 送信部
13、13A 受信部
131 受信回路
132 バイアス回路
133 受信回路制御部
1331 計時部
1332 切替え部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7