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特開2023-89369トップガイド及びトップガイドを装着した釣竿
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  • 特開-トップガイド及びトップガイドを装着した釣竿 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089369
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】トップガイド及びトップガイドを装着した釣竿
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/04 20060101AFI20230621BHJP
【FI】
A01K87/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203827
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】河合 一輝
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 昌幸
【テーマコード(参考)】
2B019
【Fターム(参考)】
2B019AA05
2B019BB02
(57)【要約】
【課題】穂先竿杆に対して外れ難い構造を有するトップガイド、及び、そのようなトップガイドを装着した釣竿を提供する。
【解決手段】本発明のトップガイドは、穂先竿杆7が嵌入され接着剤が充填される貫通孔12が形成された本体11と、本体11に一体的に設けられ釣糸が挿通される釣糸挿通部20と、を有する。貫通孔12は、穂先竿杆7が嵌入される開口部12aから先側に向けて縮径する縮径部13aを備えた第1パイプ部13と、開口部12aから嵌入された穂先竿杆7が前記縮径部に当て付いて停止する停止位置よりも先側に位置し、第1パイプ部13と連通して先側に向けて拡径する拡径部14aを備えた第2パイプ部14と、を有することを特徴とする。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穂先竿杆が嵌入され接着剤が充填される貫通孔が形成された本体と、前記本体に一体的に設けられ釣糸が挿通される釣糸挿通部と、を有するトップガイドであって、
前記貫通孔は、前記穂先竿杆が嵌入される開口部から先側に向けて縮径する縮径部を備えた第1パイプ部と、前記開口部から嵌入された穂先竿杆が前記縮径部に当て付いて停止する停止位置よりも先側に位置し、前記第1パイプ部と連通して先側に向けて拡径する拡径部を備えた第2パイプ部と、を有することを特徴とするトップガイド。
【請求項2】
前記本体は、前記第1パイプ部に嵌入される穂先竿杆の先端縁が当て付いて固定されるように、穂先差竿杆の軸方向と直交する固定壁を有することを特徴とする請求項1に記載のトップガイド。
【請求項3】
前記本体の第1パイプ部と第2パイプ部は、境界が同一の内径で連通されていることを特徴とする請求項1に記載のトップガイド。
【請求項4】
穂先竿杆が嵌入され接着剤が充填される貫通孔が形成された本体と、前記本体に一体的に設けられ釣糸が挿通される釣糸挿通部と、を有するトップガイドであって、
前記貫通孔は、前記穂先竿杆が嵌入される開口部から先側に向けて縮径し、穂先竿杆の先端縁が当て付いて停止する縮径部と、前記本体の先端面に形成され前記縮径部と連通する凹所と、を有することを特徴とするトップガイド。
【請求項5】
前記縮径部の先端と前記凹所の底部の境界位置では、前記縮径部の先端の径よりも前記凹所の底部の径が大きいことを特徴とする請求項4に記載のトップガイド。
【請求項6】
前記貫通孔の内面の表面粗さは、前記本体の表面よりも粗いことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のトップガイド。
【請求項7】
前記貫通孔の内面に溝が形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のトップガイド。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のトップガイドを穂先竿杆の先端に接着固定したことを特徴とする釣竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿の穂先竿杆の先端に装着されるトップガイド、及び、そのようなトップガイドを装着した釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
魚釣用リールが装着される釣竿には、魚釣用リールから繰り出される釣糸を挿通させる釣糸ガイドが装着されている。この釣糸ガイドの内、穂先竿杆の先端には、トップガイドが装着されており、トップガイドは、穂先竿杆の先端を圧入して固定する嵌合穴を備えている。例えば、特許文献1には、トップガイドの本体に竿挿通穴を形成すると共に、竿挿通穴の穂先竿杆が嵌入される開口領域を大径構造とし、この大径部分と穂先竿杆との間に柔軟部材(接着剤)を充填することでトップガイドを固定する構造が開示されている。また、この特許文献1には、挿通穴の先端部分に、穂先竿杆の径よりも小径の孔部を形成しておき、中実の穂先竿杆を嵌合穴に嵌入する際、空気が抜けて挿入し易い構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-095388号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した構造のトップガイドは、穂先竿杆を嵌入する際、空気が抜けて嵌入操作がしやすいが、竿杆表面との間の接着強度が弱く、トップガイドが外れる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、穂先竿杆に対して外れ難い構造を有するトップガイド、及び、そのようなトップガイドを装着した釣竿を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明に係るトップガイドは、穂先竿杆が嵌入され接着剤が充填される貫通孔が形成された本体と、前記本体に一体的に設けられ釣糸が挿通される釣糸挿通部と、を有しており、前記貫通孔は、前記穂先竿杆が嵌入される開口部から先側に向けて縮径する縮径部を備えた第1パイプ部と、前記開口部から嵌入された穂先竿杆が前記縮径部に当て付いて停止する停止位置よりも先側に位置し、前記第1パイプ部と連通して先側に向けて拡径する拡径部を備えた第2パイプ部と、を有することを特徴とする。
【0007】
上記した構成のトップガイドは、第1パイプ部の開口部付近、及び/又は、穂先竿杆の先端の外周面に接着剤を塗布し、この状態で穂先竿杆を第1パイプ部の開口部に嵌入することで穂先竿杆に固定される。穂先竿杆を嵌入すると空気が第2パイプ部を介して外部に抜けるため、接着剤は、縮径部を通じて穂先竿杆が停止した位置よりも先側の第2パイプ部に流れる。前記第1パイプ部の内面と穂先竿杆の外周面との間には、前記縮径部による隙間が存在しており、ここに接着剤が万遍なく充填されるため、接着力が担保される。また、第1パイプ部と連通し、先端に向けて拡径した第2パイプ部内にも、余剰な接着剤が円滑に押し出されて充填されることから、アンカー効果が高まり、トップガイドの接着強度が向上する。
【0008】
また、上記した目的を達成するために、本発明に係るトップガイドは、穂先竿杆が嵌入され接着剤が充填される貫通孔が形成された本体と、前記本体に一体的に設けられ釣糸が挿通される釣糸挿通部と、を有しており、前記貫通孔は、前記穂先竿杆が嵌入される開口部から先側に向けて縮径し、穂先竿杆の先端縁が当て付いて停止する縮径部と、前記本体の先端面に形成され前記縮径部と連通する凹所と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記した構成のトップガイドは、貫通孔の開口部付近、及び/又は、穂先竿杆の先端の外周面に接着剤を塗布し、この状態で穂先竿杆を開口部に嵌入する。穂先竿杆を嵌入すると空気が凹所を介して外部に抜けるため、接着剤は、縮径部を通じて穂先竿杆が停止した位置よりも先側の凹所に流れる。前記縮径部と穂先竿杆の外周面との間には、前記縮径部による隙間が存在しており、ここに接着剤が万遍なく充填されるため、接着力が担保される。また、縮径部と連通する凹所にも、余剰な接着剤が円滑に押し出されて充填されることから、アンカー効果が高まり、トップガイドの接着強度が向上する。
【0010】
さらに、本発明は、上記したように構成されるトップガイドを穂先竿杆の先端に接着固定したことを特徴とする釣竿であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、穂先竿杆に対して外れ難い構造を有するトップガイド、及び、トップガイドが外れ難い釣竿が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る釣竿の一実施形態を示す図。
図2図1に示す釣竿の穂先竿杆に装着されるトップガイドの平面図。
図3図2に示すトップガイドの側面図。
図4図2のA-A線に沿った断面図。
図5】トップガイドを穂先竿杆に固定する固定方法の一例を示す断面図。
図6】(a)から(e)は、それぞれトップガイドの別の実施形態(第2~第6実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1に示す釣竿1は、元竿杆3に、中竿杆5及び穂先竿杆7を収容し、これを順次振り出して継合される振出式に構成されている。各竿杆は、管状体として構成されており、例えば、強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化樹脂製のプリプレグシートを巻回する等、公知の製造方法によって作成される。この場合、本発明の釣竿を構成する竿杆、特に穂先竿杆は、そのような管状体構造以外にも、中実構造であっても良い。また、元竿杆3の内部に収納される竿杆の本数(継合本数)については任意であり、その継合方法についても、振出式以外に、並継式、インロー継式などであっても良い。また、釣竿は、複数の竿杆を継合するのではなく1本竿であっても良い。
【0014】
前記元竿杆3の基端側には、リール脚載置部を具備したリールシート8が配設されている。このリールシート8には、リール脚載置部の軸方向両側に固定フード及び移動フードが設けられており、リール脚載置部に魚釣用リール100のリール脚を載置して移動フードを軸方向に移動させることで、リール脚はリール脚載置部上に締め付け固定される。
【0015】
前記元竿杆3、中竿杆5及び穂先竿杆7には、釣糸を案内する複数の釣糸ガイド9が軸方向に所定間隔を置いて装着されており、穂先竿杆の先端には、後述するトップガイド10が装着されている。なお、釣糸ガイド9には、竿杆の収納時に竿杆表面に沿って摺動可能なタイプのもの(遊動ガイド)が含まれていても良い。
【0016】
次に、図2から図5を参照して、穂先竿杆7の先端に装着されるトップガイド10の構成について説明する。
【0017】
トップガイド10は、例えば、樹脂、セラミック等によって一体形成されており、筒状に形成された本体11と、本体11に一体的に設けられ、釣糸が挿通される釣糸挿通部20と、を有する。本実施形態の釣糸挿通部20は、本体11に対して、両サイドから前方に向けて次第に立ち上がるように一対の壁部21を有しており、一対の壁部の前側の上端は連結部22によって連結され、釣糸挿通部20は、一対の壁部21と連結部22によってリング形状に形成されている。
【0018】
なお、釣糸挿通部20の形状については、特に限定されることはなく、例えば、本体11から板状部材を立ち上げて、その上端に釣糸が挿通する円形開口を形成する等、種々変形することが可能である。
【0019】
前記本体11には、穂先竿杆7の先端が嵌入され、接着剤が充填される貫通孔12が形成されている。
前記貫通孔12は、トップガイドを軸方向に貫通した構造であれば良く、本実施形態では、穂先竿杆7が嵌入される開口部12aから先側に向けて縮径する縮径部13aを備えた第1パイプ部13と、開口部12aから嵌入された穂先竿杆7が縮径部13aに当て付いて停止する位置Pよりも先側に位置し、第1パイプ部13と連通して先側に向けて拡径する拡径部14aを備えた第2パイプ部14と、を有する。
【0020】
本実施形態の第1パイプ部13に形成される縮径部13aは、開口部12aから先側に向けて連続的に縮径するテーパ面として構成されており、これにより嵌入される穂先竿杆7の外周面と縮径部13aの内面との間には、角度θによる隙間Sが生じるようになっている。このように、第1パイプ部13の貫通孔12に、先端に向けて縮径するような縮径部13aを形成することで、穂先竿杆7の嵌入時に、接着剤が穂先竿杆7の外周面と縮径部13aの内面との間の隙間Sに万遍なく分散し易くなるとともに、先端側に向けて移動し易くなる。なお、上記した縮径部13aによる穂先竿杆の外周面との間の角度θについては、0.05~1°程度あれば良い。
【0021】
前記貫通孔12に嵌入された穂先竿杆7の先端縁7aは、第1パイプ部13の縮径部13aのいずれかの位置に当て付いて固定される。本実施形態では、第1パイプ部13に嵌入される穂先竿杆7の先端縁7aが当て付いて固定されるように、縮径部13aの先端に、穂先差竿杆7の軸方向と直交する固定壁(底壁)13Aが形成されている。すなわち、穂先竿杆7を貫通孔12の縮径部13aに嵌入して行くと、最終的に先端縁7aが当接して、その位置が固定される。
このように、固定壁を形成することで、その固定状態を安定化させることができる。なお、図5では、先端縁7aと固定壁13Aとの間に隙間が生じているが、実際には当接した状態、又は、接着剤が介在した状態で固定されている。
【0022】
前記第1パイプ部13と隣接する第2パイプ部14には、前記縮径部13aと連通して先側に向けて拡径する拡径部14aが形成されており、連通孔12を構成している。この拡径部14aは、前記底壁13Aの部分における縮径部13aの径よりも小径に形成されるとともに、先側が拡径するように形成されている。この拡径部14aは、前記第1パイプ部13の縮径部13aと連通して、空気抜きとしての機能を果たしており、更には、接着剤が充填されて、穂先竿杆7を固定する際のアンカー効果を高める機能を有している。
【0023】
このため、拡径部14aの入口部分は、穂先竿杆の嵌入固定時に、第1パイプ部13から接着剤が流れ過ぎないように、縮径部13aの径よりも小径に形成し、かつ、アンカー効果を高めるように先端に向けて拡径するように形成することが好ましい。
【0024】
次に、上記したトップガイド10を穂先竿杆7の先端に装着(固定)する手順について説明する。
上記した構成のトップガイド10を穂先竿杆7の先端に装着するに際しては、まず、第1パイプ部13の開口部12aの部分(その内部である貫通孔12を含む)、及び/又は、穂先竿杆7の先端の外周面に接着剤を塗布し、この状態で、穂先竿杆7を第1パイプ部13の開口部12aに嵌入する。
【0025】
穂先竿杆7を嵌入すると、空気が第2パイプ部14の拡径部14aを介して外部に抜けるため、前記接着剤は、縮径部13aを通じて穂先竿杆7が停止した位置Pよりも先側の第2パイプ部14の拡径部14aに流れる。穂先竿杆7は、先端縁7aが底壁13Aに当て付くまで軸方向に移動し、前記縮径部によって生じている角度θによって第1パイプ部13の内面と穂先竿杆の外周面との間は、先端に向けて次第に縮径する隙間Sが生じており、接着剤が押し出され易くなっている。すなわち、この隙間Sには、万遍なく接着剤を分散させることができ、接着力が担保される。
【0026】
この際、穂先竿杆7の先端縁が停止する位置Pに至るまで、第1パイプ部13と連通し、先端に向けて拡径した拡径部14aを有する第2パイプ部14内には、余剰な接着剤が円滑に押し出されて充填されるようになる(一部は拡径部14aから流出することもあるが、ふき取る等すればよい)。このように、拡径部14aに接着剤が充填されることから、その拡径形状によって基端側に抜け難くなることから、アンカー効果が高まり、トップガイド10の接着強度の向上が図れる。
【0027】
なお、上記したようにトップガイド10を穂先竿杆の先端に接着した後は、本体11と穂先竿杆7の外表面との間に固定糸50を巻回し、樹脂51等を塗布して接着強度を高めても良い。
【0028】
次に、図6(a)から(e)を参照して、トップガイドの別の実施形態について説明する。
なお、以下の実施形態では、前記実施形態と同様な構成部分については同一の参照符号を付して詳細な説明については省略する。
【0029】
図6(a)は、第2の実施形態を示す図である。
このトップガイド10Aは、第1パイプ部13に形成される縮径部13aの内面に溝13dを形成した構成を示している。溝13dの構成については適宜変形することができるが、内面の周方向に所定の間隔を置いて複数の溝を軸方向に沿って形成することが好ましい。
【0030】
このような溝13dを形成することで、穂先竿杆7を貫通孔12に嵌入する際、接着剤が軸方向に移動し易くなって万遍なく行きわたり接着強度を向上することが可能となる。なお、このような軸方向に延出する溝13dを形成する構成では、前記第1パイプ部13に形成される貫通孔12は、ストレート状に形成されていても良い。
【0031】
また、第1パイプ部13、及び、第2パイプ部14には、ストレート状の貫通孔が形成されていても良い。例えば、図6(a)に示すように、第2パイプ部14の縮径部13a側にストレート状の貫通孔14cを形成する等、適宜、変形することが可能である。
【0032】
図6(b)は、第3の実施形態を示す図である。
このトップガイド10Bは、第1パイプ部13と第2パイプ部14の境界P1が同一の内径で連通するように構成されている。すなわち、貫通孔12は、縮径部13aと拡径部14aの境界で、段差なく連続するように形成されている。
【0033】
このような構成にすることで、穂先竿杆の嵌入時に、接着剤が拡径部14aに充填され易くなり、アンカー効果が高まって接着強度を向上することができる。
なお、このような構成では、嵌入される穂先竿杆の先端縁は、縮径部13aのいずれかの位置、或いは、境界P1の位置に当て付いて固定される。
【0034】
図6(c)は、第4の実施形態を示す図である。
このトップガイド10Cは、第1パイプ部13の縮径部が、複数のテーパ面で構成されている。すなわち、第1パイプ部13における貫通孔12は、テーパ量が異なる複数のテーパ面13a,13bによって構成されている。
【0035】
このように、第1パイプ部13の縮径部の構成については、複数の面で構成する等、適宜変形することが可能であり、同様に、第2パイプ部14の拡径部の構成についても適宜変形することが可能である。
【0036】
図6(d)は、第5の実施形態を示す図である。
このトップガイド10Dは、トップガイドの本体11の先端面11Aに凹所18を形成しており、この凹所18に、第1パイプ部13の複数の縮径部13aとこれに連続する縮径部13cを連通させている(縮径部13aはストレート状であっても良い)。
【0037】
このような凹所18であっても、穂先竿杆7を嵌入する際、接着剤が第1パイプ部13の縮径部(貫通孔)13a,13bから押し出されて溜まることができるので、アンカー効果によって穂先竿杆の接着強度を高めることが可能である。なお、このような凹所18を形成する構成では、縮径部13cの先端と凹所18の底部の境界位置P5において、縮径部13cの先端の径よりも凹所18の底部の径を大きくすることが好ましい。
このように凹所18の底部の径を大きくすることで、接着剤が基端側に抜け難いことから、アンカー効果が高まり、トップガイドの接着強度の向上が図れる。
【0038】
図6(e)は、第6の実施形態を示す図である。
このトップガイド10Eは、第5実施形態と同様、トップガイドの本体11の先端面11Aに凹所18aを形成しており、この凹所18aに、第1パイプ部13の縮径部13aを連通させている(縮径部13aはストレート状であっても良い)。この凹所18aの底部は、縮径部13aの先端と凹所18aの底部の境界位置P5において、縮径部13aの先端の径よりも凹所18aの底部の径を大きくなるように形成している。
【0039】
凹所18aは、開口側を小径化しているが、その底部の径を、縮径部13aの先端の径よりも大きくすることで、接着剤が先端側から漏れ難く、基端側には抜け難いことから、アンカー効果が高まり、トップガイドの接着強度の向上が図れる。
【0040】
以上の実施形態のように構成されるトップガイド10,10A~10Eによれば、穂先竿杆の先端にトップガイドを装着する際、空気が効果的に抜けることから万遍なく接着剤が充填され、接着強度が担保される。また、本体11の貫通孔12がテーパ形状になっていることで、穂先竿杆のどの部分でもクリアランスが大きく変わることはなく、接着力が向上する。特に、トップガイドの材質をセラミックで作成する場合、セラミックの接着性は悪いため、上記したような形状にすることが好ましい。また、上記したトップガイドを射出成形で作成する場合、ピンによりパイプ部を作成することになるが、テーパがあることで型離れが向上し、歩留まりを向上することができる。
【0041】
さらに、第二パイプ部14の貫通孔、及び、凹所18,18aが先側に向けて広がる形状であれば、空気が抜け易く、かつ、余った接着がその部分に溜まることでアンカー効果が高まり、穂先竿杆からトップガイドがより抜け難くなる。
【0042】
上記したトップガイドの構成では、本体11に形成される前記貫通孔12の内面の表面粗さが、本体11の表面よりも粗くなるように粗面化処理を施しておくことが好ましい。このように、穂先竿杆を貫通孔12に嵌入した際、接着剤と接触する部分が粗面化されていると、接着剤に対するアンカー効果が高まり、トップガイドをより抜け難くすることが可能となる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上記した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
例えば、トップガイドの全体形状については特に限定されることはなく、釣糸が挿通するガイドリングを取着する等、種々変形することが可能である。また、本体11に形成される貫通孔については、テーパ量が異なる複数のテーパ面が軸方向に連続して形成されていたり、部分的にストレート部が形成された構成にする等、適宜変形することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 釣竿
7 穂先竿杆
10,10A~10E トップガイド
11 本体
12 貫通孔
13 第1パイプ部
13a、13b、13c 縮径部
14 第2パイプ部
14a 拡径部
18,18a 凹所
図1
図2
図3
図4
図5
図6