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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089439
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/26 20060101AFI20230621BHJP
   E06B 3/28 20060101ALI20230621BHJP
   E06B 3/964 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
E06B3/26
E06B3/28
E06B3/964 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203922
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大東 正樹
【テーマコード(参考)】
2E014
2E035
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014BA02
2E014BA08
2E014BB01
2E014BB02
2E014BB06
2E014BC07
2E014BD03
2E035AA02
2E035AA05
2E035BA02
2E035CA02
2E035CB02
2E035CB03
2E035CB06
2E035DC01
2E035EA02
(57)【要約】
【課題】縦部材の収縮により横部材と縦部材との間に生じる隙間を視認しにくい建具を提供すること。
【解決手段】障子3を備え、障子3は、室内側横部材312と、室内側横部材312に組み付けられる樹脂製の室内側縦部材322と、室内側縦部材322と室内側横部材312との間の隙間Gを塞ぐ隙間塞ぎ部50と、を有する建具1である。隙間塞ぎ部50は、室内側横部材312の見込面3123に固定される被固定部54を有する。被固定部は、両面テープ54により構成される。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
障子を備え、
前記障子は、室内側横部材と、前記室内側横部材に組み付けられる樹脂製の室内側縦部材と、前記室内側縦部材と前記室内側横部材との間の隙間を塞ぐ隙間塞ぎ部と、を有する建具。
【請求項2】
前記隙間塞ぎ部は、前記室内側横部材の見込面に固定される被固定部を有する請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記被固定部は、両面テープにより構成される請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記室内側横部材には、第1貫通孔が形成され、
前記被固定部は、前記第1貫通孔を貫通し前記第1貫通孔において固定される請求項2に記載の建具。
【請求項5】
前記被固定部は、前記第1貫通孔から外れることを防止する第1フック部を有する請求項4に記載の建具。
【請求項6】
前記被固定部は、前記第1貫通孔を形成している前記室内側横部材の部分に対して弾性的に押し付けられる第1弾性押圧部を有する請求項5に記載の建具。
【請求項7】
前記隙間塞ぎ部は、弾性部材により構成される請求項2~請求項3のいずれかに記載の建具。
【請求項8】
前記隙間塞ぎ部は、前記室内側縦部材の見込面に対して上下方向へ移動可能にガイドされる被ガイド部を有する請求項1~請求項6のいずれかに記載の建具。
【請求項9】
前記室内側縦部材には、上下方向に延びる第2貫通孔により構成される長孔が形成され、
前記被ガイド部は、前記長孔を貫通し前記長孔において支持される請求項8に記載の建具。
【請求項10】
前記被ガイド部は、前記第2貫通孔を形成している前記室内側縦部材の部分に対して弾性的に押し付けられる第2弾性押圧部を有する請求項9に記載の建具。
【請求項11】
前記被ガイド部は、前記第2貫通孔から外れることを防止する第2フック部を有する請求項9~請求項10のいずれかに記載の建具。
【請求項12】
前記被ガイド部は、前記第2貫通孔から外れることを防止するU字形状の部分を有する請求項9~請求項10のいずれかに記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
縦框(縦部材)と横框(横部材)とが矩形に框組みされた框体を有する障子を備える建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-80716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
縦框、横框が金属材と樹脂材とで構成される構造を有する場合には、縦框を構成する樹脂材が温度変化等により収縮して、縦框の樹脂材と横框との間に隙間が生じることがある。本開示は、縦部材の収縮により横部材と縦部材との間に生じる隙間を視認しにくい建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、障子を備え、前記障子は、室内側横部材と、前記室内側横部材に組み付けられる樹脂製の室内側縦部材と、前記室内側縦部材と前記室内側横部材との間の隙間を塞ぐ隙間塞ぎ部と、を有する建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の引き違い窓を室内側から見た正面図である。
図2】第1実施形態の引き違い窓を室外側から見た正面図である。
図3】縦框の樹脂框材に第1実施形態の隙間塞ぎ部が支持されている状態を示す正面図である。
図4】第1実施形態の隙間塞ぎ部が支持された縦框の樹脂框材に上枠の樹脂框材が枠組みされた状態を示す正面図である。
図5】第1実施形態の隙間塞ぎ部が支持された縦框の樹脂框材に上框の樹脂框材が枠組みされた状態を示す横断面図である。
図6】第1実施形態の隙間塞ぎ部が支持された縦框の樹脂框材に上框の樹脂框材が枠組みされた状態を示す縦断面図である。
図7】第1実施形態の隙間塞ぎ部を示す上方斜視図である。
図8】第1実施形態の隙間塞ぎ部を示す下方斜視図である。
図9】縦框の樹脂框材と横框の樹脂框材との間に生じた隙間を、第1実施形態の隙間塞ぎ部が塞いでいる状態を示す正面図である。
図10】第2実施形態の隙間塞ぎ部が支持された縦框の樹脂框材に上枠の樹脂框材が枠組みされた状態を示す横断面図である。
図11】第3実施形態の隙間塞ぎ部が支持された縦框の樹脂框材に上枠の樹脂框材が枠組みされた状態を示す横断面図である。
図12】縦框の樹脂框材と横框の樹脂框材との間に生じた隙間を、第4実施形態の隙間塞ぎ部が塞いでいる状態を示す正面図である。
図13】第4実施形態の隙間塞ぎ部を示す正面図である。
図14】縦框の樹脂框材と横框の樹脂框材との間に生じた隙間を、第5実施形態の隙間塞ぎ部が塞いでいる状態を示す正面図である。
図15】縦框の樹脂框材と横框の樹脂框材との間に生じた隙間を、第5実施形態の隙間塞ぎ部が塞いでいる状態を示す横断面図である。
図16】縦框の樹脂框材と横框の樹脂框材との間に生じた隙間を、第5実施形態の隙間塞ぎ部が塞いでいる状態を示す縦断面図である。
図17】第5実施形態の隙間塞ぎ部を示す上方斜視図である。
図18】他の角度から見た第5実施形態の隙間塞ぎ部を示す上方斜視図である。
図19】横框の樹脂框材に第6実施形態の隙間塞ぎ部が固定されている状態を示す正面図である。
図20】第6実施形態の隙間塞ぎ部が固定された横框の樹脂框材に縦框の樹脂框材が枠組みされた状態を示す正面図である。
図21】第6実施形態の隙間塞ぎ部が固定された横框の樹脂框材に縦框の樹脂框材が枠組みされた状態を示す縦断面図である。
図22】縦框の樹脂框材と横框の樹脂框材との間に生じた隙間を、第6実施形態の隙間塞ぎ部が塞いでいる状態を示す正面図である。
図23】縦框の樹脂框材と横框の樹脂框材との間に生じた隙間を、第6実施形態の隙間塞ぎ部が塞いでいる状態を示す縦断面図である。
図24】縦框の樹脂框材に第7実施形態の隙間塞ぎ部が固定されている状態を示す正面図である。
図25】縦框の樹脂框材に第7実施形態の隙間塞ぎ部が固定されている状態の縦框の樹脂框材を示す横断面図である。
図26】第7実施形態の隙間塞ぎ部が固定された縦框の樹脂框材に横框の樹脂框材が枠組みされた状態を示す正面図である。
図27】縦框の樹脂框材と横框の樹脂框材との間に生じた隙間を、第7実施形態の隙間塞ぎ部が塞いでいる状態を示す正面図である。
図28】縦框の樹脂框材と横框の樹脂框材との間に隙間が生じていない状態を示す正面図である。
図29】縦框の樹脂框材と横框の樹脂框材との間に隙間が生じていない状態を示す縦断面図である。
図30】縦框の樹脂框材と横框の樹脂框材との間に隙間が生じた状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の第1実施形態の建具を構成する引き違い窓1について説明する。本明細書において、「見付方向」とは、建物の壁に形成された開口部に納められた引き違い窓1における面材35,45の面方向を意味し、「見込方向」とは、上記面材35,45の厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。「見込方向」は室内外方向でもある。「見付面」は、引き違い窓1における室外側及び室内側に面するそれぞれの面を意味し、「見込面」は、引き違い窓1において室内外方向に延びる面を意味する。図面において、引き違い窓1の室外側を室外側X1とし、引き違い窓1の室内側を室内側X2とする。
【0008】
引き違い窓1は、図1図2に示すように、図示しない建物躯体の開口部に取り付けられる枠体2と、枠体2の内側に、室外側X1に配置される2枚の障子である外障子3と、室内側X2に配置される内障子4とをそれぞれ納めることによって構成される。外障子3及び内障子4は、枠体2内を見付方向の左右方向(横方向)にスライド移動可能である。
【0009】
枠体2は、上枠21、下枠22及び左右一対の縦枠23,24を矩形に枠組みすることによって構成される。上枠21には、図示しない室外側レール及び室内側レールが設けられる。図示しない室外側レールは、上枠21の室外側X1において上枠21から下方に突出して形成され、外障子3の上端部をガイドする。図示しない室内側レールは、上枠21の室内側X2において上枠21から下方に突出して形成され、内障子4の上端部をガイドする。同様に、下枠22には、図示しない室外側レール及び室内側レールが設けられる。
【0010】
図1図2に示すように、外障子3は、上框31、下框32、戸先側に配置される縦框33及び戸尻側に配置される縦框である外召し合わせ框34を矩形に框組した框体30の内側に、2枚のガラスからなる面材35が納められることによって構成される。外障子3は、上枠21及び下枠22の図示しない室外側レールに左右方向に移動可能に係合している。
【0011】
内障子4は、上框41、下框42、戸先側に配置される縦框43及び戸尻側に配置される内召し合わせ框44(縦部材)を矩形に框組した框体40の内側に、2枚のガラスからなる面材45が納められることによって構成される。内障子4は、上枠21及び下枠22の図示しない室内側レールに左右方向に移動可能に係合している。
【0012】
図1及び図2に示すように、外障子3の上框31、下框32、戸先側に配置される縦框33及び外召し合わせ框34(縦部材)は、金属框材311,321,331,341の室内側X2に、樹脂框材312、322、332,342を取り付けた複合構造をそれぞれ有する。内障子4の上框41、下框42、戸先側に配置される縦框43及び内召し合わせ框44は、金属框材411,421,431,441の室内側X2に、樹脂框材412,422,432,442を取り付けた複合構造をそれぞれ有する。
【0013】
本実施形態においては、例えば、金属框材411,421,431,441はアルミニウム材料により形成されており、外障子3の框(上框31、下框32、戸先側に配置される縦框33及び外召し合わせ框34)及び内障子4の框(上框41、下框42、戸先側に配置される縦框43及び内召し合わせ框44)は、アルミ樹脂複合構造で構成される。これによって、外障子3及び内障子4は、断熱性及び防露性に優れる。
【0014】
縦框33と上框31との組み合わせは、上框31の横方向の端部が縦框33の上端部の上側に位置するいわゆる横勝ちの構造で組み合わされる。縦框33の樹脂框材332の上端の室内側X2は、上側に延びて上框31の樹脂框材312の横方向の端部を室内側X2において覆う上方覆い部3321を有する。このため、縦框33と上框31との組み合わせは、縦框33の上端部が、上框31の横方向の端部よりも図1における左側に位置するいわゆる縦勝ちのような室内側X2の外見を有している。
【0015】
縦框33と下框32との組み合わせ、縦框43と上框41との組み合わせ、縦框43と下框42との組み合わせ、についても、縦框33と上框31との組み合わせと同様の、いわゆる横勝ちの構造で組み合わされる。
【0016】
框組された縦框33と上框31とにおいては、図28図29に示すように、樹脂框材332の上端縁3323が、樹脂框材312の下端縁3123に当接している。外障子3を使い続けることにより、図30に示すように、温度変化等により縦框33の樹脂框材332の上下方向における長さが収縮することがある。これにより、上端縁3323と下端縁3123との間に隙間Gが発生する。框組された縦框43と上框41とにおいても同様である。
【0017】
縦框33と上框31との組み合わせの部分には、隙間Gを塞ぐ隙間塞ぎ部50が設けられている。隙間塞ぎ部50は、図7図8に示すように、本体部51と、水平部52と、被ガイド部53と、両面テープ54とを有している。本体部51、水平部52、及び、被ガイド部53は、樹脂、金属等様々な材料により構成されるが、本実施形態では、樹脂により構成されている。
【0018】
本体部51は、上下方向に長い長方形状の板状に形成されている。水平部52は、本体部51の上端部に一体成形されて接続されており、長方形状の板状に形成されている。長方形状の水平部52の一辺の部分において、水平部52は、本体部51の上端部に接続されている。両面テープ54は、水平部52の上面のほぼ全面にわたって貼り付けられている。
【0019】
被ガイド部53は、本体部51から延びる水平部52の延びる方向に対する反対の方向に、本体部51の上下方向における中央位置から延びており、室内側X2に突出するフック部531を有する直方体形状に形成されている。フック部531は、矢じりを半分に縦割りしたような形状、具体的には、被ガイド部53の先端から本体部51の方向に近づくにつれて見込方向における幅が広がる形状に形成されている。
【0020】
隙間塞ぎ部50は、引き違い窓1の施工前に、縦框33に上框31が組付けられて縦框33と上框31とが框組される前に、図3に示すように、予め樹脂框材332に支持された状態とされて設けられる。具体的には、樹脂框材332の壁部3326には、壁部3326を見付方向の左右方向に貫通し、上下方向に延びる第2貫通孔により構成される長孔3325が形成されている。
【0021】
図5に示すように、貫通孔3325に被ガイド部53のフック部531が挿入され貫通した状態とされることにより、貫通孔3325の開口部にフック部531が引っ掛かった状態とされる。これにより、被ガイド部53は、長孔3325において支持され、隙間塞ぎ部50は、室内側縦部材としての樹脂框材332に支持された状態とされ、樹脂框材332から落下しない状態とされる。被ガイド部53は、長孔3325において移動できる範囲で、長孔3325においてガイドされて、樹脂框材332に対して相対的に上下方向に移動可能である。
【0022】
隙間塞ぎ部50は、図4図6に示すように、縦框33と上框31とが框組された状態では、被固定部としての両面テープ54が、上框31の樹脂框材312下側の見込面である下端縁3123に張り付けられる。これにより、隙間塞ぎ部50は、室内側横部材としての上框31に対して上下方向に移動不能に固定されている。
【0023】
樹脂框材332の上下方向における長さが収縮して、図9に示すように、上端縁3323と下端縁3123との間に隙間Gが発生したときには、両面テープ54が下端縁3123に張り付けられ樹脂框材312に固定されているため、隙間塞ぎ部50は、被ガイド部53が長孔3325においてガイドされて、樹脂框材332に対して相対的に上側へ移動した位置関係となる。このため、隙間Gを、隙間塞ぎ部50の本体部51によって塞がれた状態とすることができ、更にその状態を、樹脂框材332の上下方向における長さの収縮の大小にかかわらず維持することが可能である。
【0024】
次に、本開示の第2実施形態について説明する。第2実施形態においては、被ガイド部53Aの構成が第1実施形態における被ガイド部53の構成とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態と同様のため、同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0025】
被ガイド部53Aは、図10に示すように、本体部51(図7等参照)から突出して途中で折り返されたU字形状の部分として形成されており、折り返された先の端部は自由端とされている。被ガイド部53Aに外部から力が作用していないときの、見込方向(図10における上下方向)における被ガイド部53Aの幅は、同方向における長孔3325の幅よりも大きい。
【0026】
このため、長孔3325の開口部が形成されている樹脂框材332の部分に、被ガイド部53Aの基部及び被ガイド部53Aの自由端が、第2弾性押圧部として被ガイド部53Aが広がろうとする弾性的な付勢力により弾性的に押し付けられる。これにより、被ガイド部53Aが長孔3325から抜け落ちにくい状態とすることが可能である。
【0027】
また、隙間塞ぎ部50Aは樹脂製であるため、被ガイド部53Aの弾性的な付勢力により、自重で長孔3325内を被ガイド部53Aが移動することが抑えられる。このため、隙間塞ぎ部50Aを、例えば両面テープ54(図7等参照)を設けない構成とした場合や、両面テープ54の粘着力が弱くなった場合でも、隙間Gが、隙間塞ぎ部50Aの本体部51(図7等参照)によって塞がれた状態を維持することが可能である。
【0028】
また、被ガイド部53Aの自由端には、長孔3325の開口部に係合可能な凹部531Aが形成されている。凹部531Aに長孔3325の開口部が係合することにより、被ガイド部53Aが長孔3325から外れる方向に移動することを阻止することが可能となる。これにより、被ガイド部53Aが広がろうとする弾性的な付勢力と相まって、長孔3325から被ガイド部53Aが抜けて、隙間塞ぎ部50Aが樹脂框材332から抜け落ちることを防止することが可能となる。
【0029】
次に、本開示の第3実施形態について説明する。第3実施形態においては、被ガイド部53Bの構成が第1実施形態における被ガイド部53の構成とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態と同様のため、同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0030】
被ガイド部53Bは、図11に示すように、本体部51(図7等参照)からV字形状に突出しており、被ガイド部53Bの先端部は、第2フック部としてのフック部531Bを有している。フック部531Bは、被ガイド部53Bの先端から本体部51の方向に近づくにつれて、見込方向における幅が広がる形状に形成されている。長孔3325を貫通している被ガイド部53Bの、フック部531B近傍の部分532Bの見込み方向における最大幅は、同方向における長孔3325の幅よりも大きい。
【0031】
このため、長孔3325が形成されている樹脂框材332の部分に対して、一対の部分532Bが第2弾性押圧部を構成して、互いに広がろうとする弾性的な付勢力により弾性的に押し付けられる。これにより、長孔3325から被ガイド部53Bが外れる方向に対する反対の方向に被ガイド部53Bが付勢される。このため、被ガイド部53Bが長孔3325から抜け落ちにくい状態とすることが可能である。
【0032】
また、フック部531Bが長孔3325の開口部に係合することにより、被ガイド部53Bが長孔3325から外れる方向に移動することを阻止することが可能となる。これにより、被ガイド部53Bが互いに広がろうとする弾性的な付勢力と相まって、長孔3325から被ガイド部53Bが抜けて、隙間塞ぎ部50Bが樹脂框材332から抜け落ちることを防止することが可能となる。
【0033】
次に、本開示の第4実施形態について説明する。第4実施形態においては、被固定部の構成が第1実施形態における被ガイド部53の構成とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態と同様のため、同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】
隙間塞ぎ部50Cは、被固定部として両面テープ54(図7等参照)に代えて、図13に示すように、V字状部54Cを有している。V字状部54Cは、水平部52からV字形状に上側へ突出しており、V字状部54Cの先端部は、第1フック部としてのフック部541Cを有している。フック部541Cは、V字状部54Cの先端から水平部52の方向に近づくにつれて見付方向の左右方向における幅が広がる形状に形成されている。
【0035】
樹脂框材312の下端縁3123を有する下側の壁部3126には、図12に示すように、第1貫通孔としての貫通孔3125が形成されている。貫通孔3125には、V字状部54Cが貫通する。これによりV字状部54Cは、貫通孔3125において下端縁3123に固定される。貫通孔3125を貫通しているV字状部54Cの、フック部541C近傍の部分542Cの見付方向の左右方向における最大幅は、同方向における貫通孔3125の幅よりも大きい。
【0036】
このため、貫通孔3125が形成されている樹脂框材312の部分に対して、一対の部分542Cが第1弾性押圧部を構成して、互いに広がろうとする弾性的な付勢力により弾性的に押し付けられる。これにより、V字状部54Cが上方向に付勢され、V字状部54Cが貫通孔3125から抜け落ちにくい状態とすることが可能である。
【0037】
また、フック部541Cが貫通孔3125の開口部に係合することにより、V字状部54Cが貫通孔3125から外れる方向に移動することを阻止することが可能となる。これにより、V字状部54Cが互いに広がろうとする弾性的な付勢力と相まって、図12に示すように隙間Gが発生したときであっても、貫通孔3125からV字状部54Cが抜けて、隙間塞ぎ部50Cが樹脂框材332から抜け落ちることを防止することが可能となる。
【0038】
次に、本開示の第5実施形態について説明する。第5実施形態においては、隙間塞ぎ部50Dの構成が第1実施形態における隙間塞ぎ部50の構成とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態と同様のため、同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
隙間塞ぎ部50Dは、図17図18に示すように、本体部51Dと、水平部52Dと、差し込み部53Dと、両面テープ54Dを有している。本体部51D、水平部52D、及び、差し込み部53Dは、樹脂、金属等様々な材料により構成されるが、本実施形態では、樹脂により構成されている。
【0040】
本体部51Dは、上下方向に長い長方形状の板状に形成されており、本体部51Dの中央部分から本体部51Dの周縁部にかけてテーパ形状に形成されている。これにより、本体部51Dが対向して配置される壁部3326の表面からの、本体部51Dの周縁部の高さが低く抑えられ、樹脂框材332に対する本体部51Dの周縁部の段差を目立たなくすることが可能となる。水平部52Dは、本体部51Dの上端部に一体成形されて接続されている。水平部52Dは、長方形状の板状に形成されており、水平部52Dの中央部分から水平部52Dの周縁部にかけてテーパ形状に形成されている。これにより、水平部52Dが固定される樹脂框材312の下端縁3123の表面からの、水平部52Dの周縁部の高さが低く抑えられ、樹脂框材312に対する水平部52Dの周縁部の段差を目立たなくすることが可能となる。
【0041】
長方形状の水平部52Dの一辺の部分において、水平部52Dは、本体部51Dの上端部に接続されている。水平部52Dの上面のほぼ全面にわたって、両面テープ54Dが、貼り付けられている。
【0042】
差し込み部53Dは、本体部51Dに関して水平部52Dとは反対の側に、本体部51D及び水平部52Dと一体成形されて接続されている。差し込み部53Dは、水平部52Dを水平方向に延長するよう位置関係で、内側がくり抜かれた略長方形状に形成されている。差し込み部53Dの先端部の、当該内側がくり抜かれた部分には、本体部51Dに近づくにつれて下側へ下がるように下方向に斜めに延びる係止片531Dが、一体成形されて接続されている。
【0043】
隙間塞ぎ部50Dは、縦框33の樹脂框材332が収縮して、上端縁3323と下端縁3123との間に隙間Gが発生した後に、外障子3に配置される。従って、隙間塞ぎ部50Dは、縦框33に上框31が組付けられて縦框33と上框31とが框組され引き違い窓1が施工された後であって、引き違い窓1が使用された後に、外障子3に配置される。
【0044】
具体的には、図14図16に示すように、隙間Gに、差し込み部53Dが挿入されて、係止片531Dの下端部が、隙間Gを通過して壁部3326の上端部の外側(図14の壁部3326の上端部の左側の部分)に係合した状態とされる。そして、樹脂框材312の下端縁3123に両面テープ54Dが貼り付けられることにより、隙間塞ぎ部50Dは、樹脂框材312に固定される。
【0045】
これにより、樹脂框材332が更に収縮した場合であっても、隙間塞ぎ部50Dは、樹脂框材332に対して相対的に上側に移動することが可能となる。このため、隙間Gが、隙間塞ぎ部50Dの本体部51Dによって塞がれた状態を、樹脂框材332の上下方向における長さの収縮の大小にかかわらず、維持することが可能である。また、上框31及び縦框33に、予め隙間塞ぎ部50Dを係合する為の加工を施すことが不要であり、樹脂框材332の収縮による隙間Gの発生後に、隙間塞ぎ部50Dを取り付けることができる。
【0046】
次に、本開示の第6実施形態について説明する。第6実施形態においては、隙間塞ぎ部50Eの構成が第1実施形態における隙間塞ぎ部50の構成とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態と同様のため、同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
図19に示すように、隙間塞ぎ部50Eは、直方体形状に形成された弾性部材により構成されている。弾性部材としては、潰された状態から元に状態に弾性的に厚みが戻ることが可能なシール材、例えば、スポンジ等の材料が用いられる。隙間塞ぎ部50Eは、上端縁3323(図20参照)に当接する、樹脂框材312の下端縁3123の端部(図20図21参照)に固定される。
【0048】
隙間塞ぎ部50Eの一部501Eは、図20に示すように、縦框33と上框31とが框組された状態では、上端縁3323と下端縁3123とに挟まれて潰された状態とされている。樹脂框材332の上下方向における長さが収縮して、図22図23に示すように、上端縁3323と下端縁3123との間に隙間Gが発生したときには、潰されていた隙間塞ぎ部50Eの一部501Eは、隙間Gを塞ぐ程度に弾性的に厚みが戻る。このため、簡単な構成で、隙間Gが、隙間塞ぎ部50Eによって塞がれた状態を、樹脂框材332の上下方向における長さの収縮の大小にかかわらず、維持することが可能である。
【0049】
次に、本開示の第7実施形態について説明する。第7実施形態においては、隙間塞ぎ部50Fの構成が第1実施形態における隙間塞ぎ部50の構成とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態と同様のため、同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
図24図25に示すように、隙間塞ぎ部50Fは、直方体形状に形成された弾性部材により構成されている。弾性部材としては、屈曲された状態から元に状態に弾性的に形状が戻ることが可能なシール材、例えば、スポンジ等の材料が用いられる。隙間塞ぎ部50Fは、樹脂框材332の壁部3326の、矩形に框組した框体40(図1等参照)の外側(図24の壁部3326の左側)に固定される。
【0051】
隙間塞ぎ部50Fの一部501Fは、図26に示すように、縦框33と上框31とが框組された状態では、下端縁3123の上からの移動により、水平方向に折り曲げられた状態とされている。樹脂框材332の上下方向における長さが収縮して、図27に示すように、上端縁3323と下端縁3123との間に隙間Gが発生したときには、折り曲げられていた隙間塞ぎ部50Fの一部501Fは、隙間Gを塞ぐ程度に弾性的に、元に状態に近い状態に弾性的に形状が戻る。このため、簡単な構成で、隙間Gが、隙間塞ぎ部50Fによって塞がれた状態を、樹脂框材332の上下方向における長さの収縮の大小にかかわらず、維持することが可能である。
【0052】
以上、本開示の好ましい一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0053】
上記実施形態においては、建具は、引き違い窓1により構成されていたが、これに限定されない。建具は、開き窓等他の種類のものにより構成されていてもよい。また、上記実施形態においては、縦框33の樹脂框材332と上框31の樹脂框材312との間の隙間Gを塞いだが、これに限定されない。樹脂框材312と、樹脂框材342との間の隙間や、上框41の樹脂框材412と、樹脂框材432との間の隙間や、樹脂框材412と、樹脂框材442との間の隙間を塞いでもよい。
【0054】
また、例えば、被ガイド部53、53A、53Bが設けられている本体部51の側面や、差し込み部53Dが設けられている本体部51Dの側面に、隙間塞ぎ部50E、隙間塞ぎ部50Fと同様の弾性部材を設けてもよい。これにより、本体部51の側面又は本体部51Dの側面と、樹脂框材332の壁部3326との間を塞ぐことが可能となる。また、樹脂框材312の下端縁3123に当接する隙間塞ぎ部50Fの部分を、両面テープのような粘着性を有する構成としてもよい。これにより、隙間塞ぎ部50Fを下端縁3123に固定することが可能となる。
【符号の説明】
【0055】
1 引き違い窓(建具)、3 外障子(障子)、4 内障子(障子)、50、50A、50B、50C、50D、50E、50F 隙間塞ぎ部、53、54B 被ガイド部、53A 被ガイド部(第2弾性押圧部、U字形状の部分)54、54D 両面テープ(被固定部)、54C V字状部(被固定部)、312 樹脂框材(室内側横部材)、322 樹脂框材(室内側縦部材)、531B フック部(第2フック部)、541C フック部(第1フック部)、532B 部分(第2弾性押圧部)、542C 部分(第1弾性押圧部)3125 貫通孔(第1貫通孔)、3325 長孔(第2貫通孔)
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