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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008944
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】ストーマ装具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/445 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
A61F5/445
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105428
(22)【出願日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2021111932
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000151380
【氏名又は名称】アルケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 美和子
(72)【発明者】
【氏名】小林 悠
(72)【発明者】
【氏名】奥山 亘
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA09
4C098CC31
4C098CD01
(57)【要約】
【課題】装具の外側表面が汚れにくく、排出口付近の汚れを拭き取りやすいストーマ装具を提供する。
【解決手段】ストーマ装具10は、老廃物を収容する収容部11と、収容部11に接続される基端部22と、収容部11から離れた位置に形成された先端部19と、を有する排出路17と、基端部22と先端部19との間の排出路17の内側に位置し、老廃物を収容部11から排出路17を通して外部へ排出させる排出口18と、を備え、先端部19が排出路17の外側に折り返され、先端部19を収容部11の方向へ可動させることにより、排出口18が露出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
老廃物を収容する収容部と、
前記収容部に接続される基端部と、前記収容部から離れた位置に形成された先端部と、を有する排出路と、
前記基端部と前記先端部との間の前記排出路の内側に位置し、前記老廃物を前記収容部から前記排出路を通して外部へ排出させる排出口と、
を備え、
前記先端部が前記排出路の外側に折り返され、前記先端部を前記収容部の方向へ可動させることにより、前記排出口が露出する、ストーマ装具。
【請求項2】
前記先端部に第1プレートをさらに備える、請求項1に記載のストーマ装具。
【請求項3】
前記先端部と前記排出口との間の前記排出路の外側表面に第2プレートをさらに備える、請求項1または2に記載のストーマ装具。
【請求項4】
前記先端部の位置よりも前記収容部側の前記排出路の外側表面に第3プレートをさらに備える、請求項1または2に記載のストーマ装具。
【請求項5】
前記折り返された前記先端部の幅は前記排出口の幅よりも広い、請求項1または2に記載のストーマ装具。
【請求項6】
前記折り返された前記先端部の内側表面に第1接合部をさらに備える、請求項1または2に記載のストーマ装具。
【請求項7】
前記折り返された前記先端部の前記第1プレートの内側表面に第1接合部をさらに備える、請求項2に記載のストーマ装具。
【請求項8】
前記排出路の外側表面に第2接合部をさらに備え、
前記第1接合部は、前記先端部を前記収容部の方向へ可動させた後、前記第2接合部に接合可能である、請求項7に記載のストーマ装具。
【請求項9】
前記第3プレートと前記排出路の外側表面との間に指を挿入可能である、請求項4に記載のストーマ装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストーマ装具に関し、特に人工肛門等の消化管ストーマに装着し、人の排泄物を収集するストーマ装具に関する。
【背景技術】
【0002】
消化器、泌尿器等の疾患がある場合や、排泄を自らの意思で制御できない場合に、消化管や尿路を体表まで導き体表面にストーマ(人工肛門、人工膀胱等)を造設することがある。ストーマでは排泄を自己制御できないため、ストーマからの排泄物等を一時的に貯留するための袋(ストーマ装具)をストーマ開口部に装着することが行われている。
【0003】
このようなストーマ装具は、従来から主として消臭等を目的として開発された種々のものが知られているが、さらなる改良として、排泄物を収集する袋(パウチ)内の排泄物を容易に除去可能なストーマ装具が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、ストーマと連通して排泄物を受け入れる受入口と、排泄物を袋外に除去するための開閉可能な排出口とを含み、ストーマ袋内の表面上の少なくとも一部に疎水性粒子及び疎油性粒子の少なくとも1種の機能性粒子を含む機能層が最表面層として形成されている、ことを特徴とする、ストーマ装具に用いられるストーマ袋が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-192162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のストーマ装具は、ストーマ袋内の表面に特徴を有しており、排出口は単に開閉可能な形状となっているだけであるため、排泄物を除去した後の排出口付近やストーマ袋の外側表面に汚れが付着して残ってしまう可能性があるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明では、装具の外側表面、および、排出口付近が汚れにくく、汚れの拭き取り作業を軽減できるストーマ装具を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係るストーマ装具は、老廃物を収容する収容部と、収容部に接続される基端部と、収容部から離れた位置に形成された先端部と、を有する排出路と、基端部と先端部との間の排出路の内側に位置し、老廃物を収容部から排出路を通して外部へ排出させる排出口と、を備え、先端部が排出路の外側に折り返され、先端部を収容部の方向へ可動させることにより、排出口が露出する。
【0009】
本発明に係るストーマ装具は、先端部に第1プレートをさらに備えることができる。本発明に係るストーマ装具は、先端部と排出口との間の排出路の外側表面に第2プレートをさらに備えることができる。本発明に係るストーマ装具は、先端部の位置よりも収容部側の排出路の外側表面に第3プレートをさらに備えることができる。本発明に係るストーマ装具は、折り返された先端部の幅を排出口の幅よりも広くすることができる。本発明に係るストーマ装具は、折り返された先端部の内側表面に第1接合部をさらに備えることができる。本発明のストーマ装具は、第1プレートを備える場合、折り返された先端部の第1プレートの内側表面に第1接合部をさらに備えることができる。本発明に係るストーマ装具は、第1の接合部を備える場合、排出路の外側表面に第2接合部をさらに備えることができ、第1接合部は、先端部を収容部の方向へ可動させた後、第2接合部に接合できる。本発明に係るストーマ装具は、第3プレートを備える場合、第3プレートと排出路の外側表面との間に指を挿入可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るストーマ装具によれば、装具の外側表面、および、排出口付近が汚れにくく、汚れの拭き取り作業を軽減できる。なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係るストーマ装具の構成例を示す平面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るストーマ装具の構成例を示す底面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るストーマ装具の排出口を示す斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るストーマ装具の先端部が可動する様子を示す模式図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るストーマ装具の先端部が可動する様子を示す模式図である。
図6】本発明の第1実施形態に係るストーマ装具の先端部が可動する様子を示す模式図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るストーマ装具の排出口を示す模式図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るストーマ装具の排出口を示す模式図である。
図9】本発明の第3実施形態に係るストーマ装具の排出口を示す斜視図である。
図10】本発明の第3実施形態に係るストーマ装具の排出口を示す斜視図である。
図11】本発明の第4実施形態に係るストーマ装具の排出口を示す斜視図である。
図12】本発明の第4実施形態に係るストーマ装具の排出口を示す斜視図である。
図13】本発明の第5実施形態に係るストーマ装具の構成例を示す底面図である。
図14】本発明の第5実施形態に係るストーマ装具の先端部が可動した後の状態を示す模式図である。
図15】本発明の第1実施形態に係るストーマ装具の排出口を開口させる動作を示す模式図である。
図16】本発明の第1実施形態に係るストーマ装具の排出口を開口させる動作を示す模式図である。
図17】本発明の第6実施形態に係るストーマ装具の排出口を開口させる動作を示す模式図である。
図18】本発明の第6実施形態に係るストーマ装具の排出口を開口させる動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が限定されることはなく、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形、および変更が可能である。
【0013】
<第1実施形態>
図1から図3を参照して、本発明の第1実施形態に係るストーマ装具の構成例について説明する。図1は、本実施形態に係るストーマ装具10の構成例の人体に装着する接皮面側を示す平面図である。図2は、ストーマ装具10の構成例の人体に装着する側と反対の非接皮面側を示す底面図である。図3は、ストーマ装具の排出口18を開口している様子を示す斜視図である。
【0014】
図1および図2に示すように、ストーマ装具10は、老廃物を収容する収容部11と、収容された老廃物を収容部11から外部へ排出させる排出口18と、収容部11と排出口18とを繋ぐ排出路17と、を備える。
【0015】
排出路17は、収容部11と連通する中空の路であり、収容部11に接続される基端部22と、収容部11から離れた位置に形成された先端部19と、を有する。排出口18は、排出路17の基端部22と、先端部19との間の排出路17の内側に位置する。排出口18は、先端部19が排出路17の両面外側に折り返される(まくり上げられる)ことにより、その先端部19を収容部11の方向へスライドして可動させることが可能である。これにより、排出口18は、排出路17の内側から外側へ露出する。ここで、排出路の内側とは、老廃物が通過する路の内側を指し、排出路の外側とは、路の外側を指す。
【0016】
また、ストーマ装具10は、排出路17の先端部19に取り付けられた一対の先端プレート13と、排出路17の先端部19の位置よりも収容部11側の排出路17の外側表面
に取り付けられた一対の内側プレート14と、を備える。
【0017】
図3に示すように、ストーマ装具10は、先端プレート13が取り付けられた排出路17の先端部19と、排出口18と、の間の排出路17の外側表面に取り付けられた一対の反転プレート21をさらに備える。反転プレート21は、半楕円形状の円周上から2つの突起部が先端プレート13側に向けて突起している形状に形成されているが、これに限らず、矩形、X文字形状、円形、楕円形、多角形、それらを組み合わせた形状等、先端部19が外側に巻き返されて、排出口18を先端プレート13よりも先端側に押し出す機能を有する形状であればよい。なお、本実施形態の排出口18は、排出路17の伸長方向において内側プレート14と反転プレート21の間に位置する。また、本実施形態では、先端プレート13、反転プレート21、および内側プレート14を、それぞれ第1プレート、第2プレート、および第3プレートとする。これらプレートは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等の弾性を有する材料によって形成されていることが好ましい。
【0018】
図1および図2に戻り、ストーマ装具10は、収容部11の接皮面側に面板部12を備える。これにより、ストーマ装具10を、消化管ストーマ等に装着することができる。ストーマ装具10は、収容部11の接皮面側に接皮面側接合部15を、収容部11の非接皮面側に非接皮面側接合部16を備える。これらにより、排出路17および排出口18を巻き上げて収容部11の外側に収納しておくことができる。接皮面側接合部15および非接皮面側接合部16は、好ましくは、面ファスナによって形成されている。例えば、接皮面側接合部15および非接皮面側接合部16は、一対のループ面およびフック面によって形成されていてよい。なお、図1および図2に示される収容部11は、一例として透明な材料によって形成されている。そのため、図1に示されるとおりストーマ装具10を接皮面側から見た場合において、非接皮面側に設けられた非接皮面側接合部16は視認可能でありうる。また、図2に示されるとおりストーマ装具10を非接皮面側から見た場合において、接皮面側に設けられた接皮面側接合部15は視認可能でありうる。
【0019】
本実施形態に係るストーマ装具10において、人の指等で一対の先端プレート13の両端を中央方向へ押し込みつつ収容部11の方向へスライドさせることにより、排出口18を開口することができる。
【0020】
次に、図3から図6を参照して、ストーマ装具10の排出口18を開口する動作について説明する。図4は、ストーマ装具10の排出口18が閉じている状態を示す模式図である。図5は、先端プレート13と内側プレート14とが重なって、ストーマ装具10の排出口18が開いている状態を示す模式図である。図6は、内側プレート14が先端プレート13よりも先端側の位置にある状態で、ストーマ装具10の排出口18が開いている状態を示す模式図である。図4から図6はいずれも接皮面側から見たストーマ装具10の模式図である。
【0021】
まず、図4に示すような排出口18が閉じている、すなわち露出していない状態から、図3に示すように、人の指等で一対の先端プレート13の両端を中央方向へ押し込む。すると、互いに重なり合っていた一対の先端プレート13がそれぞれ外側に湾曲することにより、一対の先端プレート13の間が開いていく。
【0022】
次に、一対の先端プレート13の間が開いていくと、一対の先端プレート13の内側に配置されていた一対の反転プレート21が反転しながら先端プレート13の収容部11方向への可動を付勢する。これにより、一対の先端プレート13は、収容部11側へスライドし、図5に示す状態になる。
【0023】
図5に示す状態で、一対の先端プレート13の両端だけをさらに中央方向へ押し込むと、図6に示すように、一対の反転プレート21が完全に反転するとともに、一対の内側プレート14が一対の先端プレート13の位置よりもさらに先端方向にスライドしていく。そして、排出路17が外側に巻き返されていき、排出口18が開口する。排出口18を開口させることにより、収容部11内に溜まった老廃物を、排出路17を通じて排出口18から外部へ排出する。
【0024】
老廃物の排出後に、一対の先端プレート13を収容部11側から排出口18側へスライドさせて、排出口18および排出路17を内側に巻き戻しながら図4に示す元の状態へ戻す。使用後は、排出路17を折り畳んで巻き上げ、接皮面側接合部15を非接皮面側接合部16に接着させることで、排出路17を収容部11の外側に収納しておくことができる。
【0025】
本実施形態に係るストーマ装具10によれば、排出路17の外側に折り返された一対の先端プレート13を収容部11の方向へスライドさせることで、一対の反転プレート21が反転して一対の内側プレート14を一対の先端プレート13の位置よりもさらに先端方向に位置させることができる。これにより、ストーマ装具10において、排出口18が外側に現れて開口するため、ストーマ装具10の外側表面、および、排出口18よりも先端部側の排出路17の内表面が汚れにくく、排出口18付近の汚れの拭き取り作業を軽減できる。
【0026】
さらに、ストーマ装具10は、一対の先端プレート13、一対の反転プレート21、および一対の内側プレート14を備えるため、片手だけで排出口18の開閉を容易に行うことができる。なお、先端プレート13、反転プレート21および内側プレート14は、それぞれ一対(2枚)に限らず1枚だけであってもよい。また、一対の先端プレート13の幅は、排出口18の幅よりも広く形成されていてもよく、これによってより容易かつスムーズな可動を実現することができる。
【0027】
<第2実施形態>
次に、図7および図8を用いて、本発明の第2実施形態に係るストーマ装具について説明する。図7は、本実施形態に係るストーマ装具20の排出口18が閉じている状態を示す模式図である。図8は、ストーマ装具20の排出口18が露出した状態を示す模式図である。
【0028】
本実施形態に係るストーマ装具20が第1実施形態に係るストーマ装具10と相違する点は、排出口18付近に矩形の反転プレートを1枚備え、内側プレートは備えていない点である。ストーマ装具20のその他の構成は、ストーマ装具10の各構成と同一である。
【0029】
図7および図8に示すように、ストーマ装具20によれば、第1実施形態に係るストーマ装具10と同様に、排出路17の端部に形成された先端部19が排出路17の両面外側に折り返されることにより、その先端部19を収容部11の方向(図8の矢印方向)へスライドして可動させることが可能となっている。
【0030】
ストーマ装具20は、排出路17の先端部19に取り付けられた一対の先端プレート23と、先端プレート23が取り付けられた排出路17の先端部19と対向する位置の排出路17の外側表面に取り付けられた1枚の反転プレート21と、を備える。本実施形態に係る一対の先端プレート23の幅は、排出口18の幅よりも広く形成されている。
【0031】
本実施形態に係るストーマ装具20によれば、第1実施形態に係るストーマ装具10と同様に、人の指等で一対の先端プレート13の両端を中央方向へ押し込むことにより1枚の反転プレート21が反転して、排出口18を相対的に一対の先端プレート23よりも先端側に出し開口することができる。これにより、ストーマ装具20において、排出口18が外側に現れて開口するため、ストーマ装具20の外側表面、および、排出口18よりも先端部側の排出路17の内表面が汚れにくく、排出口18付近の汚れの拭き取り作業を軽減できる。
【0032】
さらに、ストーマ装具20は、一対の先端プレート23および一対の反転プレート21を備えるため、片手だけで排出口18の開閉を容易に行うことができる。特に、ストーマ装具20は、一対の先端プレート23の幅が排出口18の幅よりも広く形成されているため、一対の先端プレート23の動きをさらに容易かつスムーズにすることができる。
【0033】
<第3実施形態>
次に、図9および図10を用いて、本発明の第3実施形態に係るストーマ装具について説明する。図9は、本実施形態に係るストーマ装具30の排出口18が閉じている状態を示す模式図である。図10は、ストーマ装具30の排出口18が露出した状態を示す模式図である。
【0034】
本実施形態に係るストーマ装具30が第1実施形態に係るストーマ装具10と相違する点は、排出口18付近に先端プレートを1枚備え、反転プレートおよび内側プレートは備えていない点である。ストーマ装具30のその他の構成は、ストーマ装具10の各構成と同一である。
【0035】
図9および図10に示すように、ストーマ装具30は、排出路17の先端部19に取り付けられた1枚の先端プレート33を備える。そして、排出路17の端部に形成された排出路17の先端部19が排出路17の両面外側に折り返されていることにより、その先端部19を収容部11の方向(図10の矢印方向)へスライドして可動させることが可能となっている。
【0036】
ストーマ装具30において、一方の手の指等で先端プレート33の両端を支え、他方の手で収容部11に連結された排出路17を先端プレート33の方向へ押し出すことにより、排出口18を相対的に先端プレート33の先端側に出し開口することができる。
【0037】
したがって、ストーマ装具30によれば、反転プレートおよび内側プレートを備えていなくても、先端プレート33を1枚備えているだけで、人の両手等を使うことにより、排出口18を相対的に先端プレート33の先端側に出し開口することができる。これにより、ストーマ装具30において、排出口18が外側に現れ開口するため、ストーマ装具30の外側表面、および、排出口18よりも先端部側の排出路17の内表面が汚れにくく、排出口18付近の汚れの拭き取り作業を軽減できる。
【0038】
<第4実施形態>
次に、図11および図12を用いて、本発明の第4実施形態に係るストーマ装具について説明する。図11は、本実施形態に係るストーマ装具40の排出口18が閉じている状態を示す模式図である。図12は、本実施形態に係るストーマ装具40の排出口18が露出した状態を示す模式図である。
【0039】
本実施形態に係るストーマ装具40が第1実施形態に係るストーマ装具10と相違する点は、先端プレート、反転プレートおよび内側プレートを備えず、代わりに排出路17の先端部が排出口18の幅よりも広く形成されている点である。ストーマ装具40のその他の構成は、ストーマ装具10の各構成と同一である。
【0040】
図11および図12に示すように、本実施形態に係るストーマ装具40は、排出路17の先端部41が排出口18の幅よりも広く形成されている。そして、排出路17の端部に形成された排出路17の先端部41が排出路17の両面外側に折り返されていることにより、先端部41を収容部11の方向(図12の矢印方向)へスライドして可動させることが可能となっている。
【0041】
本実施形態に係るストーマ装具40は、一方の手の指等で先端部41を支え、他方の手で収容部11に連結された排出路17を先端部41の方向へ押し出すことにより、排出口18を相対的に排出路17の先端側に出し開口することができる。
【0042】
ストーマ装具40によれば、先端プレート、反転プレートおよび内側プレートを備えて
いなくても、排出路17の先端部41が排出路17の両面外側に折り返されているので、人の両手等を使うことにより、排出口18を相対的に排出路17の先端側に出し開口することができる。これにより、排出口18が外側に現れ開口するため、ストーマ装具の外側表面、および、排出口18よりも先端部側の排出路17の内表面が汚れにくく、排出口18付近の汚れの拭き取り作業を軽減できる。
【0043】
さらに、本実施形態に係るストーマ装具40は、排出路17の先端部41の幅が排出口18の幅よりも広く形成されているため、先端部41の動きをさらに容易かつスムーズにすることができる。
【0044】
<第5実施形態>
次に、図13および図14を用いて、本発明の第5実施形態に係るストーマ装具について説明する。図13は、本実施形態に係るストーマ装具50の構成例の人体に装着する側と反対の非接皮面側を示す底面図である。図14は、先端部19を可動した後の、内側プレート14が先端プレート13よりも先端側の位置にある状態を示す模式図である。
【0045】
本実施形態に係るストーマ装具50が第1実施形態に係るストーマ装具10と相違する点は、排出路17の外側に折り返された先端部19の先端プレート13の内側表面に、第1接合部51を備えている点、および、排出路17の外側表面に第2接合部52を備えている点である。先端プレート13の内側表面は、換言すれば、先端プレート13の排出路17側表面である。ストーマ装具50のその他の構成は、ストーマ装具10の各構成と同一である。
【0046】
図13に示すように、第1接合部51は、例えば、非接皮面側の先端プレート13の内側表面に設けられていてよい。この場合、第2接合部52は、排出路17の非接皮面側の外側表面に設けられている。第2接合部52は、好ましくは、排出路17の非接皮面側の外側表面において、接皮面側接合部15に対応する位置に設けられている。すなわち、ストーマ装具50の底面視(図13)において、非接皮面側に設けられている第2接合部52と、接皮面側に設けられている接皮面側接合部15とが、互いに重なるように位置している。
【0047】
第1接合部51および第2接合部52は、好ましくは、面ファスナによって形成されている。例えば、第1接合部51および第2接合部52は、一対のループ面およびフック面によって形成されていてよい。
【0048】
図13および図14に示すように、ストーマ装具50によれば、第1実施形態に係るストーマ装具10と同様に、一対の先端プレート13を収容部11の方向(図14の矢印方向)へスライドして可動させることが可能である。
【0049】
図14に示すように、第1接合部51と第2接合部52とは接合可能である。具体的には、第1接合部51は、先端部19を収容部11の方向へ可動させた後、第2接合部52に接合可能である。図14に示すように第1接合部51と第2接合部52とが接合している状態において、人の指等で一対の先端プレート13の両端を中央方向へ押し込むと、一対の先端プレート13が外側へ湾曲する。このとき、排出路17(具体的には排出路17を構成する面)は、先端プレート13に引っ張られて、先端プレート13と同様に外側へ湾曲する。そのため、閉じた状態の排出路17および排出口18を開く操作を、より簡便に行うことができる。すなわち、第1接合部51と第2接合部52とが接合されることにより、開口操作の負荷を軽減できる。
【0050】
また、第1接合部51と第2接合部52とが接合されていることより、先端プレート13の位置ずれを抑制できる。具体的には、収容部11内に溜まった老廃物を排出する動作を行っている最中に、先端プレート13が動いて先端プレート13の位置がずれてしまうことを抑制できる。
【0051】
上述のとおり、図13および図14に示されるストーマ装具50は、非接皮面側の先端プレート13の内側表面に第1接合部51を備えている。しかしながら、第1接合部の位置はこれに限定されない。
【0052】
<変形例1>
一例として、ストーマ装具は、接皮面側の先端プレート13の内側表面に第1接合部を備えていてよい。この場合、ストーマ装具は、排出路17の接皮面側の外側表面に第2接合部を備えていてよく、または、第2接合部を備えていなくてもよい。ストーマ装具が第2接合部を備えていない場合、第1接合部は、先端部19を収容部11の方向へ可動させた後、接皮面側接合部15に接合可能であってよい。先端部19を可動させた後、第1接合部と接皮面側接合部15とを接合することにより、図14に示されるストーマ装具50と同様に、開口操作の負荷を軽減する効果及び先端プレート13の位置ずれを抑制する効果が得られうる。このように、第1接合部が接皮面側の先端プレート13の内側表面に設けられている場合、第2接合部は必須の構成要素ではない。
【0053】
<変形例2>
他の一例として、ストーマ装具は、非接皮面側の先端プレート13の内側表面と接皮面側の先端プレート13の内側表面とに、第1接合部を備えていてよい。すなわち、第1接合部は、非接皮面側と接皮面側の少なくとも2ヶ所に設けられていてよい。この場合、ストーマ装具は、排出路17の、非接皮面側の外側表面と接皮面側の外側表面とに、第2接合部を備えていてよい。すなわち、第2接合部は、非接皮面側と接皮面側の少なく2ヶ所に設けられていてよい。非接皮面側の第1接合部が非接皮面側の第2接合部に接合可能であり、接皮面側の第1接合部が非接皮面側の第2接合部に接合可能である。また、上記の場合において、ストーマ装具は、接皮面側の第2接合部を備えていなくてもよい。この場合、接皮面側の第1接合部は、先端部19を収容部11の方向へ可動させた後、接皮面側接合部15に接合可能であってよい。先端部19を可動させた後、接皮面側の第1接合部と接皮面側接合部15とを接合することにより、図14に示されるストーマ装具50と同様に開口操作の負荷を軽減する効果及び先端プレート13の位置ずれを抑制する効果が得られうる。このように、第1接合部が接皮面側の先端プレート13の内側表面に設けられている場合、接皮面側の第2接合部は必須の構成要素ではない。
【0054】
第5実施形態において説明した第1接合部および第2接合部は、第1実施形態のみならず、第2から第4実施形態の構成と組み合わせられてよい。
【0055】
例えば、第2実施形態に係るストーマ装具20は、先端プレート23の内側表面に第1接合部を備えていてよい。また、第2実施形態に係るストーマ装具20は、排出路17の外側表面に第2接合部を備えていてよい。
【0056】
例えば、第3実施形態に係るストーマ装具30は、先端プレート33の内側表面に第1接合部を備えていてよい。また、第3実施形態に係るストーマ装具30は、排出路17の外側表面に第2接合部を備えていてよい。
【0057】
例えば、第4実施形態に係るストーマ装具40は、排出路17の外側に折りされた先端部41の内側表面に第1接合部を備えていてよい。また、第4実施形態に係るストーマ装具40は、排出路17の外側表面に第2接合部を備えていてよい。
【0058】
第2から第4実施形態に係るストーマ装具が、第1接合部を備えている場合、または、第1接合部および第2接合部を備えている場合、第1接合部および第2接合部の詳細は、第5実施形態において説明したとおりであってよい。
【0059】
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態に係るストーマ装具について説明する。第6実施形態に係るストーマ装具は、老廃物が付着して開口しにくくなった排出口を容易に開口できるという利点を有する。第6実施形態の詳細について言及する前に、まず、第1実施形態に係るストーマ装具10を示す図3から図6を参照して、排出口の開口操作について説明する。
【0060】
第1実施形態に係るストーマ装具10において、図3から図6に示される手順によって排出口18を開口させて、排出口18から老廃物を外部へ排出すると、排出口18の内側に老廃物(特に便)が付着してしまう。その後、排出口18を閉じて、再度開口させようとした場合に、排出口18の内側に付着した老廃物によって、排出口18が開口しにくくなることがある。この場合、例えば図3から図6に示される手順によって排出口18を開口させようとしても、排出口18が完全に開口しないことがある。
【0061】
このような場合、例えば図15および図16に示すように、図3から図6とは異なる開口操作によって排出口18を開口させてもよい。図15および図16は、第1実施形態に係るストーマ装具10の排出口18を開口させる動作を示す模式図である。まず、図15に示すように一対の先端プレート13と排出路17の外側表面と間に指(例えば親指および人差し指)を挿入し、次に、図16に示すように指を広げることにより、排出口18を開口させることができる。このような開口操作を行うことにより、老廃物が付着して開口しにくくなった排出口18を容易に開口できる。なお、当該開口操作は、排出口18に老廃物が付着しているか否かを問わず、行われてよい。
【0062】
次に、上記とは異なる開口操作を行うことが可能な実施形態の一例として、図17および図18を参照して、第6実施形態に係るストーマ装具について説明する。図17および図18は、本実施形態に係るストーマ装具60の排出口18を開口させる動作を示す模式図である。
【0063】
本実施形態に係るストーマ装具60が第1実施形態に係るストーマ装具10と相違する点は、一対の内側プレート14Aと排出路17の外側表面との間に指を挿入可能な点である。ストーマ装具60のその他の構成は、ストーマ装具10の各構成と同一である。また、ストーマ装具60の一対の内側プレート14Aは、上記のとおり指を挿入可能に構成されている点以外は、ストーマ装具10の一対の内側プレート14の構成と同一である。
【0064】
本実施形態に係るストーマ装具60の排出口18を開口する場合、まず、図17に示すように一対の内側プレート14Aと排出路17の外側表面との間に指(例えば親指および人差し指)を挿入し、次に、図18に示すように指を広げることにより、排出口18を開口させることができる。このような開口操作を行うことにより、老廃物が付着して開口しにくくなった排出口18を容易に開口できる。なお、当該開口操作は、排出口18に老廃物が付着しているか否かを問わず、行われてよい。
【0065】
一対の内側プレート14Aは、上記のとおり指を挿入できるように、例えば、排出路17の外側表面に部分的に接合されていてよい。すなわち、一対の内側プレート14Aの内側表面の一部が、排出路17の外側表面に接合されていてよい。一対の内側プレート14Aと排出路17の外側表面とが接合されていない部分が、指を挿入可能な部分に相当する。
【符号の説明】
【0066】
10、20、30、40、50、60 ストーマ装具
11 収容部
12 面板部
13、23、33 先端プレート
14、14A 内側プレート
15 接皮面側接合部
16 非接皮面側接合部
17 排出路
18 排出口
19、41 先端部
21 反転プレート
22 基端部
51 第1接合部
52 第2接合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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