IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立製作所の特許一覧

特開2023-89441インバータ装置及びインバータ冷却方法
<>
  • 特開-インバータ装置及びインバータ冷却方法 図1
  • 特開-インバータ装置及びインバータ冷却方法 図2
  • 特開-インバータ装置及びインバータ冷却方法 図3
  • 特開-インバータ装置及びインバータ冷却方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089441
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】インバータ装置及びインバータ冷却方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20230621BHJP
【FI】
H02M7/48 M
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203926
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 真希
(72)【発明者】
【氏名】迫田 友治
(72)【発明者】
【氏名】高山 直樹
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA01
5H770BA20
5H770CA02
5H770CA06
5H770CA10
5H770DA03
5H770DA22
5H770DA41
5H770PA02
5H770PA47
(57)【要約】
【課題】並列接続されたインバータを備えた場合において、非常用のバッテリの小容量化を図る。
【解決手段】N個に並列接続されたインバータユニットを有するインバータ装置に適用される。N個のインバータユニットのそれぞれにM個(Mは2以上の整数)配置された冷却ファンと、インバータユニットごとにM個配置された冷却ファンの内の第1の群の冷却ファンに駆動用電源を供給する第1電源回路22と、インバータユニットごとにM個配置された冷却ファンの内の第2の群の冷却ファンに駆動用電源を供給する第2電源回路23と、第2電源回路に停電時の電源を供給する停電時用バッテリ24とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N個(Nは2以上の整数)に並列接続されたインバータユニットを有するインバータ装置において、
N個の前記インバータユニットのそれぞれにM個(Mは2以上の整数)配置された冷却ファンと、
前記インバータユニットごとにM個配置された前記冷却ファンの内の第1の群の冷却ファンに駆動用電源を供給する第1電源回路と、
前記インバータユニットごとにM個配置された前記冷却ファンの内の第2の群の冷却ファンに駆動用電源を供給する第2電源回路と、
前記第2電源回路に停電時の電源を供給する停電時用バッテリと、を備える
インバータ装置。
【請求項2】
前記第2の群の冷却ファンは、前記インバータユニットごとに1個とし、
前記第1の群の冷却ファンは、前記インバータユニットごとに(M-1)個とした
請求項1に記載のインバータ装置。
【請求項3】
N個の前記インバータユニットは、積み重ねて配置される制御盤に収容され、
前記制御盤に収容された状態で、垂直方向に順にシフトした位置の冷却ファンを、前記第2の群の冷却ファンとして選定する
請求項2に記載のインバータ装置。
【請求項4】
並列接続された前記インバータユニットは、昇降機のモータに電源を供給するものであり、
前記停電時用バッテリは、停電時に前記昇降機を救出運転する際に、前記冷却ファンを作動させるのに必要な容量のバッテリとした
請求項1~3のいずれか1項に記載のインバータ装置。
【請求項5】
N個(Nは2以上の整数)に並列接続されたインバータユニットを冷却ファンで冷却するインバータ冷却方法であって、
N個の前記インバータユニットのそれぞれにM個(Mは2以上の整数)、冷却ファンを配置し、
前記インバータユニットごとにM個配置された前記冷却ファンの内の第1の群の冷却ファンに駆動用電源を供給する第1電源供給処理と、
前記インバータユニットごとにM個配置された前記冷却ファンの内の第2の群の冷却ファンに駆動用電源を供給すると共に、停電時にバッテリからの電源を前記第2の群の冷却ファンに供給する第2電源供給処理と、を行う
インバータ冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ装置及びインバータ冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターなどの昇降機は、動力源として交流モータが使用されている。交流モータの作動状態を制御するためには、インバータで電源の電圧や周波数を変換することが行われている。例えば、ビルに設置されたエレベーターの場合、電力会社から給電される三相交流電源を、インバータで電圧や周波数を変換した上で、巻き上げ機を構成する交流モータに供給している。
三相交流電源の電圧や周波数をインバータで変換する場合、具体的には、三相交流電源をコンバータで直流電源に変換し、変換された直流電源をインバータで所望の電圧や周波数の交流電源とする。ここで、コンバータとインバータは基本的な構成を同じにすることができ、その場合動作方向が逆になっているだけである。以下の説明でインバータと述べた場合、特に区別して説明する場合を除いて、コンバータも含む。
【0003】
エレベーターなどの昇降機の電源制御用としてインバータを使用する場合、必要な電源容量に応じて、並列にインバータを複数段接続して、その複数のインバータで同時に処理を行うようにしている。すなわち、インバータはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)などの半導体スイッチで構成され、1つの半導体スイッチで通過可能な電流や電圧には制限があるため、複数個の並列接続で必要な電源容量を確保している。例えば、200kW出力のインバータを構成する場合、1つが50kW出力のインバータを4並列にして、200kWを確保している。
【0004】
ところで、インバータが備える半導体スイッチは、動作時の発熱量が大きく、インバータには冷却装置を設ける必要がある。上述したように複数個のインバータを並列接続した構成の場合、それぞれのインバータが冷却ファンなどの冷却装置を持つことになる。
特許文献1には、電力変換装置の冷却装置についての記載があり、電力変換装置の出力電流や周囲温度の条件によって、冷却ファンが発生する冷却空気の量を可変させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-185384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、エレベーターなどの昇降機は、非常用のバッテリを備えて、停電時であっても、最低限の救出運転ができるようにしている。したがって、停電時であっても、救出運転を行う際にはバッテリからの電源でインバータが作動する。
そして、非常用のバッテリの電源でインバータを作動させる際にも、冷却ファンを作動させて、発熱による半導体スイッチの損傷や効率低下を防止する必要がある。
【0007】
ところが、複数個のインバータを並列接続した構成として、各インバータに配置された多数の冷却ファンをバッテリ駆動時にも作動させると、それだけバッテリからの電源を多く消費して、モータを駆動するための電源が不足してしまうという問題が発生する。
この問題を解決するためには、非常用のバッテリとして、モータを救出運転用に駆動するための容量に加えて、全ての冷却ファンを駆動するための容量を持たせればよい。
【0008】
ところが、非常用のバッテリを大容量化すると、それだけ昇降機全体としてのコストが上昇してしまうという問題があり、非常用のバッテリとしてあまり大きな容量のものを備えるのは好ましくない。
【0009】
本発明は、並列接続されたインバータを備えた場合において、非常用のバッテリを小容量化できるインバータ装置及びインバータ冷却方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、N個(Nは2以上の整数)に並列接続されたインバータユニットを有するインバータ装置において、N個のインバータユニットのそれぞれにM個(Mは2以上の整数)配置された冷却ファンと、インバータユニットごとにM個配置された冷却ファンの内の第1の群の冷却ファンに駆動用電源を供給する第1電源回路と、インバータユニットごとにM個配置された冷却ファンの内の第2の群の冷却ファンに駆動用電源を供給する第2電源回路と、第2電源回路に停電時の電源を供給する停電時用バッテリと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、停電時には、複数配置された冷却ファンの中で、一部の冷却ファンだけに停電時用のバッテリから電源が供給されることになり、冷却ファンを作動させるために必要な電源容量が少なくなるので、バッテリを小容量化できるようになる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態例によるインバータ装置の回路及び昇降機の概略構成を示す図である。
図2図1に示すインバータ装置の配置例を示す平面図である。
図3】本発明の一実施の形態例によるインバータ装置の1つのユニットの形状を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施の形態例によるインバータ装置の冷却ファンの電源供給構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」と称する)のインバータ制御システムを、添付図面を参照して説明する。
本例のインバータ制御システムは、昇降機であるエレベーターの巻き上げ機に電源を供給するインバータ装置用のシステムである。
【0014】
[インバータ装置の構成]
図1は、インバータ装置100の回路構成を示す。また、図1には、インバータ装置100で電源が供給されるエレベーターの概略構成も記載されている。
インバータ装置100は、第1並列インバータ110、第2並列インバータ120、・・・、第N並列インバータ190(Nは2以上の整数)を備える。
【0015】
それぞれの並列インバータ110~190には、2つのインバータユニットが直列に接続されている。例えば、第1並列インバータ110は、2つのインバータユニット111、112が並列接続されている。インバータユニット111は、三相交流電源11を直流に変換するコンバータとして動作するものであり、U相、V相、W相のそれぞれで2つ、合計で6個の半導体スイッチ111-U1,111-U2,111-V1,111-V2,111-W1,111-W2を有する。
また、インバータユニット111には、直流に変換後の電源を平滑化するコンデンサ111-Cが接続されている。
なお、三相交流電源11とインバータユニット111との間には、電源フィルタ部12が接続されている。
【0016】
インバータユニット112は、インバータユニット111で得られた直流を、三相交流電源に変換する動作を行うものであり、U相、V相、W相のそれぞれで2つ、合計で6個の半導体スイッチ112-U1,112-U2,112-V1,112-V2,112-W1,112-W2を有する。インバータユニット112にも、直流側にコンデンサ112-Cが接続されている。
【0017】
第2並列インバータ120~第N並列インバータ190も、同様に、2つのインバータユニット121、122~191、192を備える。例えば、第2並列インバータ120のインバータユニット121は、6個の半導体スイッチ121-U1,121-U2,121-V1,121-V2,121-W1,121-W2を有して、三相交流電源を直流電源に変換する動作を行う。また、第2並列インバータ120のインバータユニット122は、6個の半導体スイッチ122-U1,122-U2,122-V1,122-V2,122-W1,122-W2を有して、直流電源を三相交流電源に変換する動作を行う。
【0018】
さらに、第N並列インバータ190のインバータユニット191は、6個の半導体スイッチ191-U1,191-U2,191-V1,191-V2,191-W1,191-W2を有して、三相交流電源を直流電源に変換する動作を行う。また、インバータユニット192は、6個の半導体スイッチ192-U1,192-U2,192-V1,192-V2,192-W1,192-W2を有して、直流電源を三相交流電源に変換する動作を行う。
【0019】
第2並列インバータ120~第N並列インバータ190の、それぞれ2つのインバータユニット121,122~191,192についても、コンデンサ121-C,122-C~191-C,192-Cが接続されている。
【0020】
それぞれのインバータユニット111,112~191,192に配置された半導体スイッチ(121-U1など)は、IGBTなどの半導体素子で構成され、インバータ制御部によりオン・オフが制御される。この場合、各並列インバータ110~190の三相交流電源を得るインバータユニット112~192のオン・オフ制御により、エレベーター駆動用の電圧や周波数に設定される。
【0021】
各並列インバータ110~190のインバータユニット112~192で得られた三相交流電源は、リアクトル13を介して、エレベーターの巻き上げ機としてのモータ(例えば三相同期電動機)14に供給される。
【0022】
ここで、エレベーター側の構成を簡単に説明すると、モータ14の回転に連動して回転する網車15には、主ロープ16が巻き掛けられている。主ロープ16の一端には乗りかご17が接続され、他端には釣合い錘19が接続され、モータ14の回転により乗りかご17が昇降する。乗りかご17には、乗りかご17の積載量を検出する負荷検出部としての荷重センサ18が設置されている。
なお、インバータ装置100は、例えばエレベーターの機械室などに設置されている。
【0023】
[インバータ装置の配置例]
図2は、本例のインバータ装置100の配置例を示す。
図2の例のインバータ装置100は、第1並列インバータ110~第4並列インバータ140の4並列構成とした場合である。
各並列インバータ110~140は、2つのインバータユニットを備えるため、合計で8つのインバータユニット111~141,112~142を有する。
【0024】
ここで、本例のインバータ装置100は、図2に示すように、8つのインバータユニット111~141,112~142を、制御盤109に縦に積み上げた配置にしている。すなわち、図2の例では、上から、インバータユニット111,121,131,141,112,122,132,142の順に配置されている。但し、図2に示すユニットの配置状態は一例であり、その他の配置順としてもよい。
【0025】
それぞれのインバータユニット111,112,121,122,131,132,141,142は、6個の半導体スイッチ(図2では不図示)を備え、ユニットごとに3個の冷却ファンが取り付けられている。
例えば、インバータユニット111には、冷却ファン111-F1,111-F2,111-F3が取り付けられている。同様に、インバータユニット121~141,112~142についても、各ユニットの符号の末尾に「F1,F2,F3」を付与して示す冷却ファンが取り付けられている。なお、各インバータユニット111~142の左右の端には、取手101が取り付けられている。
【0026】
そして、コンバータとして動作する4つのインバータユニット111,121,131,141は、端子部102の3つの端子102U,102V,102Wと並列に接続されている。この端子部102の3つの端子102U,102V,102Wは、図1に示す三相交流電源11側に接続される。
【0027】
また、インバータとして動作する4つのインバータユニット112,122,132,142は、端子部103の3つの端子103U,103V,103Wと並列に接続されている。この端子部103の3つの端子103U,103V,103Wは、図1に示すモータ14側に接続される。
なお、各並列インバータ110~140は、出力可能な最大電流を同じ値に設定してある。
【0028】
[インバータユニットの構成]
図3は、1つのインバータユニット111の構成を示す斜視図である。
他のインバータユニット112~142も、インバータユニット111と同様の構成になっている。
インバータユニット111は、ヒートシンクを兼ねたフレーム107の前面側に、3つの冷却ファン111-F1,111-F2,111-F3が取り付けられている。そして、インバータユニット111は、6個の半導体スイッチ111-U1,111-U2,111-V1,111-V2,111-W1,111-W2を有している。本例においては、2in1タイプのIGBTモジュールを用いた場合のインバータユニットの構成であるが、1in1や6in1といったタイプのものを用いても構わない。また、インバータユニット111には、コンデンサ111-Cなどが配置されている。フレーム107の前面側の左右の端部には、取手101が取り付けられている。
【0029】
そして、フレーム107の上部の前面側には、三相交流側の端子104-U,104-V,104-Wが配置され、フレーム107の上部の後面側には、直流側の端子105-P,105-Nが配置されている。
コンバータとして作動するインバータユニット111の場合、三相交流側の端子104-U,104-V,104-Wは、三相交流電源11(図1)に接続される。なお、インバータとして作動するインバータユニット121の場合には、三相交流側の端子104-U,104-V,104-Wは、モータ14側に接続される。
直流側の端子105-P,105-Nは、同じ並列インバータ110のインバータユニット112の直流側の端子(不図示)に接続される。
【0030】
[冷却ファンの電源供給構成]
図4は、本例のインバータ装置100に配置された冷却ファン111-F1,111-F2,・・・,142-F3の電源供給構成を示す。
図4の例のインバータ装置100は、図2と同様に、第1並列インバータ110~第4並列インバータ140の4並列構成とし、8個のインバータユニット111,121,・・・,142を、制御盤109(図2)内に積み上げて配置した場合である。
【0031】
既に説明したように、それぞれのインバータユニット111,121,・・・,142には、3個の冷却ファンが取り付けられている。例えば、インバータユニット111には、冷却ファン111-F1,111-F2,111-F3が取り付けられている。
ここで、各冷却ファン111-F1~142-F3を作動させる電源を供給する電源回路として、第1電源回路22と、第2電源回路23とを用意する。
【0032】
第1電源回路22と第2電源回路23には、建屋電源21からの商用交流電源が供給される。第1電源回路22と第2電源回路23は、各冷却ファン111-F1~142-F3に内蔵されたモータ(不図示)を作動させる比較的低圧の電源を得る。例えば、各冷却ファン111-F1~142-F3に内蔵されたモータが直流モータである場合には、第1電源回路22と第2電源回路23は、商用交流電源を低圧の直流電源に変換する電源供給処理を行う。交流モータである場合でも、第1電源回路22と第2電源回路23は、電圧変換などを必要により行う。
【0033】
そして、第2電源回路23には、停電時用バッテリ24が接続されている。この停電時用バッテリ24は、少なくとも本例のインバータ装置100で電源を供給するエレベーターの停電時の救出運転中に、対応した冷却ファンに電源が供給できる容量を有する。
したがって、停電時には、第2電源回路23から電源が供給される冷却ファンのみが作動し、第1電源回路22から電源が供給される冷却ファンは作動しない。
【0034】
第1電源回路22からの電源は、それぞれのインバータユニット111,121,・・・,142の3個の冷却ファンの内の2つの冷却ファンに供給される(第1電源供給処理)。そして、第2電源回路23からの電源は、それぞれのインバータユニット111,121,・・・,142の3個の冷却ファンの内の残りの1つの冷却ファンに供給される(第2電源供給処理)。
【0035】
具体的には、図4に示すインバータユニットを上から順に説明すると、インバータユニット111では、冷却ファン111-F2,111-F3に、第1電源回路22からの電源が供給される。また、冷却ファン111-F1に、第2電源回路23からの電源が供給される。
インバータユニット121では、冷却ファン121-F1,121-F3に、第1電源回路22からの電源が供給される。また、冷却ファン121-F2に、第2電源回路23からの電源が供給される。
【0036】
インバータユニット131では、冷却ファン131-F1,131-F2に、第1電源回路22からの電源が供給される。また、冷却ファン131-F3に、第2電源回路23からの電源が供給される。
インバータユニット141では、冷却ファン141-F1,141-F3に、第1電源回路22からの電源が供給される。また、冷却ファン141-F2に、第2電源回路23からの電源が供給される。
【0037】
インバータユニット112では、冷却ファン112-F2,112-F3に、第1電源回路22からの電源が供給される。また、冷却ファン112-F1に、第2電源回路23からの電源が供給される。
インバータユニット122では、冷却ファン122-F1,112-F3に、第1電源回路22からの電源が供給される。また、冷却ファン122-F2に、第2電源回路23からの電源が供給される。
インバータユニット132では、冷却ファン132-F1,132-F2に、第1電源回路22からの電源が供給される。また、冷却ファン132-F3に、第2電源回路23からの電源が供給される。
【0038】
インバータユニット142では、冷却ファン142-F1,142-F3に、第1電源回路22からの電源が供給される。また、冷却ファン142-F2に、第2電源回路23からの電源が供給される。
なお、図4に一点鎖線で囲って示す冷却ファンは、第2電源回路23からの電源で作動するものを示す。この図4に一点鎖線で囲って示す冷却ファンが、停電時にも作動する。
【0039】
[本例のインバータ装置による効果]
本例の場合、停電時に作動する冷却ファンは、1つのインバータユニットに配置された3個の冷却ファンの内の1個とした。したがって、それぞれのインバータユニット111~142は、最低限の冷却動作が行われ、停電時の救出運転を適切に行うことができる。
すなわち、エレベーターは、停電時の救出運転では、最寄り階までの低速運転が行われる。そして、このときモータ14に供給される電源の電流は、比較的少なく運転時間も短時間となるので、作動する冷却ファンが少ない状況でも、必要な冷却性能が適切に維持できる。
【0040】
また、本例の場合、停電時に作動する冷却ファンは、図4に示すように、1個のインバータユニットごとに1つ横にシフトさせるようにしている。すなわち、停電時にも作動する冷却ファンは、最上段のインバータユニット111の左端、2段目のインバータユニット121の中央、3段目のインバータユニット131の右端、4段目のインバータユニット141の中央、・・・と順に1つずつシフトさせるようにしている。
【0041】
このため、停電時の冷却動作として、それぞれの冷却ファンによる冷却風が、インバータ装置100内をほぼ均等に通過するようになる。したがって、作動する冷却ファンが少ないことで、冷却性能は通常時よりも劣るが、インバータ装置100内全体を効率よく冷却できる状態が保てるので、停電時の救出運転のためのインバータ装置100からの電源供給が効率のよい変換で行えるようになる。
【0042】
[変形例]
なお、ここまで説明した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
例えば、図4に示す電源供給構成では、停電時バッテリ24からの電源が供給される冷却ファンとして、1段ごとに順にシフトさせる段違い配置とした。これに対して、図4とは異なる配置で、停電時バッテリ24からの電源が供給される冷却ファンを設定してもよい。
また、図2図4に示す各インバータユニット111~142の配置についても一例であり、その他の構成でもよい。
【0043】
また、上述した実施の形態例では、エレベーターのモータに電源を供給するインバータ装置に適用したが、エレベーター以外の昇降機のモータ用のインバータ装置に適用してもよい。例えば、エスカレーターなどの昇降機のモータに電源を供給するインバータ装置に適用してもよい。また、昇降機以外でも、停電時に非常用の運転が行われるモータに電源を供給するインバータ装置に適用した場合に、同様の効果がある。
【符号の説明】
【0044】
11…三相交流電源、12…電源フィルタ部、13…リアクトル、14…モータ、15…網車、16…主ロープ、18…荷重センサ、19…釣合い錘、21…建屋電源、22…第1電源回路、23…第2電源回路、24…非常用バッテリ、100…インバータ装置、101…取手、102,103…端子部、102U,102V,102W…端子、103…端子部、103U…端子、104-U,104-V,104-W,105-P,105-N…端子、107…フレーム、109…制御盤、110~190…並列インバータ、111,112,121,122,131,132,141,142…インバータユニット
111-C,112-U1…コンデンサ、111-F1,111-F2,111-F3…冷却ファン、111-U1,111-U2,111-V1,111-V2,111-W1,111-W2…半導体スイッチ
図1
図2
図3
図4