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  • 特開-コンクリート製品成形用型枠の内枠 図1
  • 特開-コンクリート製品成形用型枠の内枠 図2
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  • 特開-コンクリート製品成形用型枠の内枠 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089526
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】コンクリート製品成形用型枠の内枠
(51)【国際特許分類】
   B28B 7/30 20060101AFI20230621BHJP
【FI】
B28B7/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204063
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】598126597
【氏名又は名称】株式会社大地
(71)【出願人】
【識別番号】393023226
【氏名又は名称】株式会社ドウワ工業
(74)【代理人】
【識別番号】100078673
【弁理士】
【氏名又は名称】西 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】松田 淳
(72)【発明者】
【氏名】辻 二夫
【テーマコード(参考)】
4G053
【Fターム(参考)】
4G053AA07
4G053BC08
4G053BD11
4G053BE03
4G053EA08
4G053EA41
(57)【要約】
【課題】コンクリート製品成形用型枠の内枠(中子、内型)の絞り機構に関し、内枠開閉時及び脱型後の型枠清掃時の作業性に優れ、深い有底ないし無底のの空所を備えた製品を正確な形状に成型できるようにする。
【解決手段】内枠1は、剛性を備えた主体2と幅狭い部分枠3a、3bを備える。内枠内にエアシリンダ21で上下動する駆動軸22が立設され、部分枠の上方及び下方に設けたリンク6a、6bで部分枠を進退させる。内枠主体の側端部は、連接部材25、26、27で部分枠に連接され、部分枠の進退動作により内枠主体が開閉される。部分枠を内枠主体の側縁面で案内でき、進退動作が安定し、上下に配置したリンクにより、背の高い内枠でも円滑に開閉でき、作業負担を大幅に低減できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製品成形用型枠の底板ないし台枠上に立設された筒状の内枠であって、
剛性を備えた内枠周面の周方向の少なくとも一箇所に内枠主体から分離可能な幅狭い部分枠を備え、
内枠内に立設された駆動軸と、当該駆動軸の上方位置及び下方位置で当該駆動軸と前記部分枠とを連結するリンク機構とを備え、
前記リンク機構は、前記駆動軸が上下動したときに前記部分枠を進退させる前記内枠において、
前記駆動軸の前記上方位置及び下方位置の間の位置で当該駆動軸を上下動させるエアシリンダと、
内枠主体の前記部分枠の両側に位置する隣接部と当該部分枠とを連接して当該部分枠が内側に移動したときに前記両側の隣接部相互を接近させる連接部材とを備えている、
コンクリート製品成形用型枠の内枠。
【請求項2】
前記駆動軸が、前記上方位置と下方位置との間に配置されたロッド貫通型エアシリンダのピストンロッドである、請求項1記載の内枠。
【請求項3】
2個の前記部分枠が内枠の対向する位置に設けられ、前記駆動軸の上下動により前記2個の部分枠が同期して進退する、請求項1又は2記載の内枠。
【請求項4】
有底の空所を備えたコンクリート製品を成型するコンクリート製品成形用型枠の内枠において、前記空所の底面を成型する頂板が内枠の周壁上端に接して設けられ、内枠が退避したときに内枠主体を僅かに下動させる傾斜面ないし傾斜縁を備えている、請求項3記載の内枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンクリート製品成形用型枠の内枠(中子、内型などとも言う。)に関するもので、外枠の内側に立設される筒状の内枠における絞り機構、すなわち製品脱型時に内枠の周面を固化した製品の表面から退避させる機構に特徴がある上記内枠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
少なくとも一端が開放された上下方向の筒状空所を有するコンクリート製品(以下、単に「製品」という。)は、底板上に立設された外枠と当該外枠の内側に立設された筒状の内枠とを備えた型枠を用いて、底板、外枠及び内枠で形成される空所にコンクリートミルクを注入して固化させ、固化した製品を型枠から吊り上げて抜き取る(脱型する)ことにより製造される。
【0003】
製品を脱型する際には、外枠を拡げ、内枠を絞って(縮径して)製品の表面から離隔させる必要がある。外枠を拡げるのは平行移動又は揺動で外枠を外側に退避移動させれば良いので簡単であるが、内枠に抜き勾配を設けることができない型枠では、鋼板で作られている内枠を内側に退避させる絞り機構を設けねばならない。
【0004】
正確な形状の製品を成形するためには、コンクリートミルクの圧力に耐える剛性を備えていなければならない。剛性を備えた内枠を縮径するためには、成型面を形成している内枠を分割して分割された一部(以下、「部分枠」と言い、部分枠を除いた部分を「内枠主体」と言い、分割されている内枠主体のそれぞれを「分割主枠」と言う。)を退避させて間隙を形成したあと内枠主体を絞る構造が採用されている。
【0005】
例えば特許文献1記載の内枠は、内枠の周壁の1箇所に部分枠を設けると共に内枠主体に屈曲部を設けるか内枠主体を2分割して部分枠に対向する位置で両者を枢着し、部分枠と内枠主体の部分枠に隣接する隣接部とをリンクで連接している。特許文献1記載の型枠は、左右ネジ軸とした駆動軸を回動させることにより、部分枠が内側に移動し、この移動に伴って前記連結リンクにより、内枠主体が屈曲ないし揺動して絞られるというものである。
【0006】
また特許文献2には、2個の部分枠を角筒状の内枠の対向角部に設けた内枠構造が示されており、対向する部分枠を内側に退避させることのみで脱型が可能になるとされている。また特許文献3には、内枠主体を2個の部分枠で2分割し、対向する分割主枠を駆動軸の回動により伸縮するリンク(トグルリンク)で縮径し、部分枠と分割主枠の隣接部とを連接して部分枠が分割主枠に遅れて内側に移動する構造の内枠が示されている。
【0007】
上述した構造の内枠における部分枠や内枠主体を内側に移動させる機構として、内枠内に立設した駆動軸と部分枠や内枠主体とをトグルリンクや直線クランク装置などのリンクで連結する構造が多く用いられている。リンクを動作させる手段としては、駆動軸をネジ軸にしてその回動による機構や、駆動軸の上下動による機構などがある。
【0008】
例えば特許文献1及び特許文献2では、駆動軸として右ネジと左ネシを配した駆動軸を回転させてV形リンクを介して部分枠を引き込んでおり、特許文献1では部分枠の引き込み移動に連動させて内枠主体を絞っている。また、特許文献3では、駆動軸の回動により直線クランク機構を介して内枠主体を引き込んでおり、特許文献4では、シリンダで駆動枠を上下動することにより分割主枠を絞っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭52-19708号公報
【特許文献2】実開平7-7909号公報
【特許文献3】特開平9-286017号公報
【特許文献4】特許第3705597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、内枠の絞り構造として各種のものが提案されており、それぞれの内枠構造には好ましい特徴があるけれども、型枠開閉時の作業性が悪い、脱型後の型枠の清掃に手間を要する、上下寸法の大きな、すなわち深い中空部を有する製品を成型するための型枠では脱型の際に内枠と製品が擦れて脱型に技術を要するなどの更に解決すべき問題があった。
【0011】
例えば特許文献1記載の内枠では、内枠の成型面全体が均一に製品表面から離隔しない、内枠の開閉に手間がかかるなどの問題があり、特許文献2記載の内枠では内枠主体が縮径されないので脱型に技術を要する問題があり、特許文献3記載の内枠では大面積の内枠主体を部分枠より先に縮径するので内枠主体の移動量が大きくなるため案内部材が必要で脱型の際の作業負担が大きくなる、特許文献4の内枠では成型面の一部が弾性面となるので、製品の形状精度が低下するほか、シリンダを駆動軸の下端に配置しているので大きな上下ストロークを得ようとすると型枠の下部に余分なスペースが必要で、型枠の下部に余分な構造部分が必要になるなどの問題があった。
【0012】
この発明は、上記のような従来装置の問題点を解消し、内枠開閉時及び脱型後の型枠清掃時の作業性に優れ、深い有底の空所を備えた製品や底のない筒状空所を備えたコンクリート製品を正確な形状に成型することができるコンクリート製品成形用型枠を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、コンクリート製品成形用型枠の底板11ないし台枠12上に立設された筒状の内枠1に関する。この発明の内枠1は、剛性を備えており、正確な形状の製品を成型することができる。内枠1の周方向の少なくとも一箇所に内枠主体2から分離して内側に退避可能な幅狭い部分枠3a、3bを備えている。部分枠3a、3bを退避させることにより、内枠主体2を絞る(縮径する)のに必要な間隙が形成される。
【0014】
内枠1内には、上下方向の駆動軸22、32が配置され、当該駆動軸を上下方向に駆動するエアシリンダ21が設けられる。部分枠3a、3bは、その上方位置及び下方位置とにおいて、駆動軸22、32に伸縮リンク、傾動リンクなどのリンク6a、6bで駆動軸22、32に連結され、駆動軸22、32の上下動がリンク6a、6bで部分枠3a、3bの進退動に変換される。
【0015】
内枠主体2は、比較的安定に型枠内に保持されるので、型枠の開閉時に幅狭い部分枠3a、3bを内枠主体2より先に進退させることにより、部分枠3a、3bを内枠主体2a、2bの側縁面で案内でき、進退動作が安定する。また、駆動軸22、32の上下動により上方と下方に配置したリンク6a、6bを介して部分枠3a、3bを進退させることにより、簡単な構造のリンク6a、6bで高さの高い内枠でも部分枠を円滑に進退させることができる。そして、エアシリンダ21で駆動軸22、32を上下動させることにより、型枠開閉時の作業負担を大幅に低減できる。
【0016】
エアシリンダ21は、上下に設けたリンク6a、6bの間の位置で駆動軸22、32を上下動させる。内枠主体2の部分枠3a、3bの両側に位置する側端部2eとは、部分枠3a、3bが内側に退避したときに側端部2e相互を接近させる連接部材26、27、33によって連接されている。
【0017】
この構造により、ストロークの大きなエアシリンダを設けることができ、高さの低い内枠であっても、上下のリンク6a、6bの間隔を広くすることができるから、部分枠3a、3b及びこれに連接された内枠主体2の進退動作を平行移動によって円滑に行うことができる。
【0018】
エアシリンダ21のとして、シリンダケース内のピストンの両側面から延びるピストンロッドがシリンダケースを貫通しているロッド貫通型エアシリンダを用いることにより、ピストンロッド22を駆動軸22、32とした利用することができ、簡単な構造で円滑に駆動軸22、32を上下動を行わせることができる。
【0019】
また、内枠1の対向位置にそれぞれ部分枠3a、3bを設けることにより、内枠主体2が対向する同形の分割主枠2a、2bに分割され、分割主枠2a、2bと部分枠3a、3bとの上下の連接部材26、27、33の作用、及び部分枠3a、3bと駆動軸22、32とを連結する上下のリンク6a、6bの作用により、2つの部分枠3a、3b及び分割主枠2a、2bが共に対向して同時に平行に進退するので、脱型時の内枠1と製品との間の間隙が均一になり、製品の脱型作業をより確実かつ容易に行うことが可能になる。
【0020】
有底の空所を備えた製品を成形する型枠では、内枠主体2及び部分枠3a、3bの上縁に接する周縁を備えた頂板4を設ける必要がある。この場合、内枠主体2の退避動に伴って内枠主体2、より好ましくは内枠主体2及び部分枠3a、3bを僅かに下動させる傾斜面ないし傾斜縁を設けることにより、頂板4の周縁と内枠1の頂縁との間の滑り移動を円滑に行わせることができる。頂板4は、その周縁が進出した内枠主体2の周壁より内側に位置する大きさ、好ましくは退避した内枠主体2の周壁より内側に位置する大きさとする。
【発明の効果】
【0021】
この発明に係る内枠を備えることにより、型枠開閉時の作業負担及び脱型後の型枠清掃時の作業負担を軽減することができ、かつ製品に設ける空所の大小や深さの大小に関わりなく形状寸法が正確な製品を成型できる、構造が簡単でかつ型枠の開閉動作が円滑なコンクリート製品成形用型枠を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施例の内部構造を示す側面図
図2】頂板を除いて示す第1実施例の平面図
図3図1の脱型時の状態を示す図
図4図2の脱型時の状態を示す図
図5】内枠構造の他の例を示す図2と同様の図
図6】エアシリンダの装着構造の他の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照してこの発明の好ましい実施形態を説明する。図1~4は、有底の空所を備えた製品成形用型枠における内枠の最も好ましい実施形態を示し、図1、2は型閉め時(製品成形時)、図3、4は型開き時(脱型時)の状態を示す。図中、1は内枠、11は底板であり、型閉め時には内枠の周壁の下部が底板11の内周縁11eに当接している。
【0024】
内枠1は、対向する平面視山形の分割主枠2a、2bと、両者の端縁間に位置して対向する部分枠3a、3bで軸方向を鉛直方向とした細長い角筒状で、頂板4を備えている。分割主枠2a、2b及び部分枠3a、3bは、各枠毎に台枠12に設けた複数の短いレール13上を転動する車輪14で支持されている。レール13の延在方向は、分割主枠2a、2b及び部分枠3a、3bそれぞれの対向方向であり、その上面は内側が低くなる方向に僅かに傾斜している。
【0025】
頂板4は、絞られたときの分割主枠2a、2bの成型面の退避位置より内側になる寸法とされ、台枠12に立設した2本の柱15の上端に梁16及びブラケット17を介して固定されている。
【0026】
柱15の中間高さの位置に、マウント18を介してロッド貫通型のエアシリンダ21が固定されており、シリンダケースの両エンドから延びるロッド22の先端が部分枠3a、3bの対向方向に延びる開閉リンク6a、6b及び当該対向方向と直交する水平方向のピン23、24を介して部分枠3a、3bに連結されている。各リンク6a、6bは、その長さを微調整するねじ杆6eを備えている。
【0027】
上記構造により、部分枠3a、3bは、その上方と下方の2箇所において、リンク6a、6bを介してピストンロッド22に連結され、ピストンロッド22の上下動によるリンク6a、6bの揺動に伴って近接離隔し、離隔したときに対向する分割主枠の端縁間に嵌装されて型閉め状態となり、近接したときに対向する部分主枠の端縁間に分割主枠2a、2bの内側への移動を可能にする間隙を形成する。すなわち、ピストンロッド22が内枠1を開閉する駆動軸となっている。
【0028】
部分枠3a、3bとこれに隣接する分割主枠2a、2bの側端部2eとは、その一方に固設したピン板25に立設した連接ピン26と他方に固設したガイド板27とで連接されている。ガイド板27には、部分枠3a、3bの退避動作、すなわち部分枠3a、3b相互が近接方向に移動したときに連接ピン26と接触して分割主枠2a、2bを部分枠3a、3bより遅れて退避させる退避側ガイド縁28が設けられている。部分枠3a、3bが進出したときは、部分枠3a、3bの側縁面が分割主枠2a、2bの側縁面を押動して、分割主枠2a、2bを進出させる。
【0029】
次に、上記内枠の作用を説明する。図1、2の型閉め状態で成形した製品の脱型時には、ピストンロッド22を下降させると、リンク6a、6bが図3のように傾斜して対向する部分枠3a、3bを退避させる。この部分枠3a、3bの退避動作に連動して、連接ピン26と退避側ガイド縁28との滑り接触により、分割主枠2a、2bが退避して内枠1が絞られ、分割主枠2a、2bと製品の表面との間に均一に隙間ができる。部分枠3a、3bは、分割主枠2a、2bより先に退避しているので、製品を内枠に摺接させることなく吊り上げて容易に脱型することができる。
【0030】
脱型後、通常は型枠の清掃を行って部分枠3a、3bと分割主枠2a、2bや頂板4との間に漏れて固まった成形滓を除去するが、部分枠3a、3bと分割主枠2a、2bの端縁との当接面及び頂板4との当接面をある程度の幅を備えた面とすることができ、必要に応じてシールゴム7等を装着することもできるので、コンクリートミルクの漏れを少なくでき、清掃作業の手間を軽減できる。
【0031】
清掃が終わった後、ピストンロッドを上動すれば、部分枠3a、3bが進出し、その進出動作より速く分割主枠が型閉め位置に進出してその端縁の間の間隙に部分枠3a、3bがはめ込まれて型閉め状態となる。
【0032】
この型開き時及び型閉め時の部分枠3a、3bは、その上下部においてリンク6a、6bで駆動軸であるピストンロッド22に連結されて同期して進退し、分割主枠2a、2bは、それらの側端部2eの上下部において部分枠3a、3bに連接されて同期して進退するので、内枠1の周面が平行に絞られ、高さの高い内枠であっても、脱型時に製品表面との間に均一に隙間を形成することができる。
【0033】
また、部分枠3a、3b及び分割主枠2a、2bの退避方向の移動に伴って、車輪14を介してレール13で支持されている部分枠3a、3b及び分割主枠2a、2bが僅かに下動する。これにより、頂板4と部分枠3a、3b及び分割主枠2a、2bの上縁との当接が緩められ、頂板4によって部分枠3a、3b及び分割主枠2a、2bの円滑な移動が保証されている。
【0034】
上記の実施例は、内枠主体を2分割してそれぞれの分割主枠の平行移動により内枠の開閉を行う構造であるが、部分枠を1個にして内枠主体を撓ませて絞る構造とすることもできる。図5は、そのような内枠構造の要部を模式的に示した図で、内枠主体2は、部分枠3aに対向する部分の成型面を弾性鋼板で形成した屈曲部2fを備えた一体の構造である。部分枠3aは、連接リンク33で内枠主体2の両側縁に連結されている。
【0035】
内枠内に設けた駆動軸32は、短い開閉リンク6aで部分枠3aに連結され、長い開閉リンク6bで、連接板34を介して内枠主体2の屈曲部2fに隣接する位置に連結されている。連接板34と内枠主体2との連接部には、屈曲部2fの円滑な撓み動作を阻害しないように、遊隙35が設けられている。
【0036】
上記構造で、開閉リンク6a、6bが水平位置となる型閉め状態から駆動軸32を上方又は下方に駆動すると、リンク6a、6bが傾斜して部分枠3aを退避させると共に、屈曲部2fの両側位置で内枠主体2を退避させる。このとき、短いリンク6aで駆動軸32に連結された部分枠3aは内枠主体2より大きく退避し、内枠主体2は部分枠3a側に移動し、かつ部分枠3aの退避動作に伴って連接リンク33に引かれて絞られる。これにより、脱型時に内枠1と製品との間に略均一に隙間が形成される。
【0037】
前述した実施例に示したように、駆動軸32を上下動させるシリンダとして貫通ロッド型のシリンダ21を用いると構造を簡単にできる。しかしピストンロッドがシリンダケースの一端のみから出ている一般的なシリンダ31を用いる場合は、図6に示すように、上下の開閉リンク6a、6bとの接続部36、36の中間位置で駆動軸32を連結部材37でシリンダ31のピストンロッド38に連結して駆動軸32を上下動させてやれば良い。図6では、上下動力の左右バランスを取るために2本のシリンダを配置しているが、片側にのみシリンダを設けるときは、シリンダに無理な力が作用するのを防ぐために駆動軸32を案内するスライド軸受けを設けるべきである。
【符号の説明】
【0038】
1 内枠
2 内枠主体
2e 側端部
3a、3b 部分枠
4 頂板
6a、6b 開閉リンク
11 底板
12 台枠
21 エアシリンダ
22 ピストンロッド
32 駆動軸
26 連接ピン
27 ガイド板
33 連接リンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6