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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089546
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】トレー挿入装置及び包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/18 20060101AFI20230621BHJP
【FI】
B65B43/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204119
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000142850
【氏名又は名称】株式会社古川製作所
(72)【発明者】
【氏名】森 英二
(72)【発明者】
【氏名】持倉 靖浩
(72)【発明者】
【氏名】桃谷 博康
【テーマコード(参考)】
3E030
【Fターム(参考)】
3E030AA04
3E030BA02
3E030BB02
3E030BC01
3E030CA05
3E030CB01
3E030CC01
3E030DA01
3E030EA01
3E030EB01
3E030GA03
3E030GA05
(57)【要約】
【課題】従来のトレー挿入装置では、トレーをV形に折って袋に充填する構造であるので、複雑な構造となり、製造コストの増加を招いていたり、トレーを充填する工程での必要な時間(タスクタイム)が長くかかっていた。
【解決手段】本発明のトレー挿入装置20は、トレー搬送コンベア21で搬送されてきたトレーYを、吸盤22で吸着して90度旋回して受け渡す受渡し機構23を備えており、この受渡し機構23の吸盤22によりトレーYを垂直な保持板24に押し付け、保持板24に押し付けられたトレーYを保持機構26の押さえ棒25により押さえて保持する。保持板24の下端部下方に袋口開ホッパ27が備えられ、この袋口開ホッパ27の下部を搬送されてきた袋Xの袋口に挿入して袋口を開口し、保持板24に押えられたトレーYを押込み機構29の押込み板28により袋Xに押し込むことを特徴としている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアで搬送されてきたトレーを、吸盤で吸着して旋回して受け渡す受渡し機構と、
受渡し機構の吸盤によりトレーを保持板に押し付けて、押し付けられたトレーを押さえ棒により保持する保持機構と、
保持板の下部に設けられ、下端部が袋の袋口に挿入されて袋口を開口する袋口開ホッパと、
袋口開ホッパを介して保持板に保持されたトレーを押込み板により袋に押し込む押込み機構と、
を備えていることを特徴とするトレー挿入装置。
【請求項2】
保持板の表面に凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のトレー挿入装置。
【請求項3】
押込み板の下端面の傾斜が、保持板から離れるほど下る下り勾配となるとともに、トレーの鍔が入り込むように切欠きが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のトレー挿入装置。
【請求項4】
袋口開ホッパに、袋口を袋の幅方向に開口させるように広げる袋口幅拡大機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のトレー挿入装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載のトレー挿入装置を備えた包装機であって、
トレーが挿入された袋に被包装物を充填する被包装物充填ポジションに、充填ホッパが設けられ、この充填ホッパの下部に開閉する一対の下部ホッパ部を備え、前記一対の下部ホッパ部の一方に開口片が設けられ、この開口片で被包装物の充填に支障をきたさないようにトレーを片寄せて被包装物を充填することを特徴とする包装機。
【請求項6】
押し込みエア吹かしポジションでは、内部にエアを通す流路が形成されている昇降自在のエア注入押込み具を備えたエア注入押込み機構が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋にトレーを挿入するトレー挿入装置及びこのトレー挿入装置を備えた包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
被包装物をトレーに載せた状態で袋に収納して包装する包装機は既に知られている。このような包装機は、まず、袋にトレーを挿入し、この後に被包装物を袋に充填している。袋にトレーを挿入するトレー挿入装置は、例えば特許文献1などに開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されているトレー挿入装置は、トレー充填ステーションに先端を狭めながら袋(包装袋)の袋口に挿入し、または拡げながら後退する先端ガイドを設けた一対のトレーガイドと、これらのトレーガイドの間に、トレーガイドよりも高い位置にある基端とトレーガイドの先端より低くした末端とを設けた折曲棒と、を備えている。また、トレーガイドに供給されたトレーを先行位置まで前進させる後側送り片と、先行位置のトレーを折曲棒によりV形に折り曲げて袋に充填して前進させる前側送り片とを有して、前進を下方で行い後退を上方で行う往復運動の送り杆を設けている。さらに、小袋物充填ステーションに、袋口に出入してV形に折られたトレーの谷に小袋物を投入する小袋物シュートを設置している。そして、トレーを、袋口側に前進させるにつれてV形に折って、袋に充填している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-26218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記トレー挿入装置は、トレーをV形に折って袋に充填する構造であるので、トレーガイドによりトレーを案内しながらトレーを徐々に折り曲げる折曲棒などが必要であり、また、トレーの先端を狭めながら袋口に挿入するとともに、互いの間隔を拡げながら後退する先端ガイドなどが必要となって構造が複雑となり、製造コストの増加を招くことになる。
【0006】
また、トレーをV形に良好に折り曲げなければならないので、トレーを充填する工程での必要な時間(タスクタイム)が長くなり、この結果、このトレー挿入装置を備えた包装機などでの処理能力が大幅に低下することになりかねない。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑み、構造を簡素化でき、かつ、トレーの充填スピードを速くすることが可能なトレー挿入装置及び包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のトレー挿入装置は、コンベアで搬送されてきたトレーを、吸盤で吸着して旋回して受け渡す受渡し機構と、受渡し機構の吸盤によりトレーを保持板に押し付けて、押し付けられたトレーを押さえ棒により保持する保持機構と、保持板の下部に設けられ、下端部が袋の袋口に挿入されて袋口を開口する袋口開ホッパと、袋口開ホッパを介して保持板に保持されたトレーを押込み板により袋に押し込む押込み機構と、を備えている。
本発明の包装機は、前記トレー挿入装置を備え、トレーが挿入された袋に被包装物を充填する被包装物充填ポジションに、充填ホッパが設けられ、この充填ホッパの下部に開閉する一対の下部ホッパ部を備え、前記一対の下部ホッパ部の一方に開口片が設けられ、この開口片で被包装物の充填に支障をきたさないようにトレーを片寄せて被包装物を充填することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のトレー挿入装置によれば、コンベアで搬送されてきたトレーは、受渡し機構により旋回されて保持板に受け渡されるとともに、保持機構の押さえ棒により抑えられる。そして、袋口開ホッパにより袋口を開けた状態で、押込み機構の押込み板によりトレーを、折り曲げることなく袋に押し込むことができる。これにより、比較的簡単な構造にすることができ、かつトレーを良好に袋に収納させることができる。また、トレーを折り曲げる必要がないので、トレーの充填スピードを速くすることができて、このトレー挿入装置を備えた包装機などでの処理能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のトレー挿入装置を備えた包装機を簡略的に示す平面図
図2】同包装機の袋口開口機構の平面図
図3】同包装機の袋口開口機構の動作を示す側面図
図4】本発明のトレー挿入装置を示す側面図
図5】本発明のトレー挿入装置の受渡し機構を示す正面図
図6】本発明のトレー挿入装置を示す部分切欠正面図
図7】本発明のトレー挿入装置の保持機構や袋口開ホッパなどを示す正面図
図8】本発明のトレー挿入装置の保持機構を示す側面図
図9】本発明のトレー挿入装置の保持機構や袋口開ホッパを示す平面図
図10】本発明のトレー挿入装置の袋口開ホッパの平面図
図11】本発明のトレー挿入装置の袋口開ホッパの正面図
図12】本発明のトレー挿入装置の袋口開ホッパの側面図
図13】本発明のトレー挿入装置のトレーを挿入する状態を示す正面図及び部分側面拡大図
図14】本発明の包装機の押込み機構の正面図
図15】本発明の包装機の充填ホッパの正面図
図16】本発明の包装機の充填ホッパの片寄せ動作を簡略的に示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のトレー挿入装置及びこのトレー挿入装置が設けられている包装機を図面に基づき説明する。
図1に示すように、包装機1には、袋XにトレーYを挿入する本発明のトレー挿入装置20や、トレーYが挿入された袋Xに被包装物(1個または複数個)を充填する充填ホッパ80などが備えられている。また、この包装機1が設けられている設備には、トレー挿入装置20を含めた包装機1の各構成要素を制御する制御装置2が備えられ、包装機1の下流には、包装された袋Xを下流側に搬出する搬出コンベヤ3が配設されている。
【0012】
包装機1には、2本で一組とする8組のクランプアーム4が搬送装置としての円形ロータ5の周縁に軸持されており、各クランプアーム4の先端には、袋Xの両側縁部を挟持するクランプ4a(図1図7などを参照)が設けられている。そして、円形ロータ5の下方などに配置された駆動モータ(図示せず)の回転駆動力が、間欠回転伝達機構(図示せず)を介して、円形ロータ5に伝達されることにより、円形ロータ5は8組のクランプアーム4の円周方向間隔に相当する45゜のピッチで時計まわり方向(矢印R1方向)に間欠回転する。
【0013】
円形ロータ5には、空の袋Xを供給する袋供給ポジション(1)、袋Xの袋口を開口する袋口開ポジション(2)、袋XにトレーYを挿入するトレー挿入ポジション(3)、トレーYをエア注入押込み具75で確実に押し込むとともに袋Xにエアを吹かして袋Xを膨らませる押込みエア吹かしポジション(4)、袋Xに被包装物を充填する被包装物充填ポジション(5)、袋X内の空気を脱気する脱気ポジション(6)と、被包装物が充填されている袋Xの袋口をシールするシールポジション(7)、袋Xのシール部を冷却するとともにシールした袋Xを搬出する冷却・搬出ポジション(8)が設けられている。すなわち、前記円形ロータ5の円軌道Rの割り振られたポジションには、袋XにトレーYを挿入するトレー挿入ポジション(3)が設けられており、これより後の被包装物充填ポジション(5)では、トレーYが挿入された袋Xに対して、被包装物が充填される。なお、図示しないが、袋供給ポジション(1)と袋口開ポジション(2)の間に、印字装置を設けて、袋Xに賞味期限等を印字する。また、この実施の形態では、トレー挿入ポジション(3)と被包装物充填ポジション(5)との間に押込みエア吹かしポジション(4)が設けられているが、押込みエア吹かし動作は必要に応じて設けるとよく、この動作を省いて、このポジション(5)では何も行わないように構成してもよい。
【0014】
円形ロータ5は各ポジション(1)~(8)において、所定時間停止しながら間欠回転する。即ち、袋供給ポジション(1)でクランプアーム4に供給された袋Xは、その両側縁部をクランプ4aにより挟持された懸垂状態で、45゜のピッチで1ピッチずつ円形ロータ5の外域の円軌道Rに沿って冷却・搬出ポジション(8)に向けて間欠搬送される。なお、この包装機1は、8ポジションに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0015】
袋供給ポジション(1)では、袋箱11に袋Xが積層されており、積層されている袋Xは、吸盤12で上から順に1枚ずつ吸着してクランプ4aに供給され、袋Xはその両側縁部を挟持された状態で吊るされる。袋口開ポジション(2)では、開口吸盤13により袋Xの表裏両面が吸引されて袋口が半開きに開口され、後述する袋口開口機構14の開口具(ヘラ)17が挿入されて袋口が広げられる。なお、袋口開ポジション(2)では、一対のクランプアーム4の先端の間隔が、袋口を開口するために僅かに縮小される。
【0016】
前記袋口開ポジション(2)には、袋口開口機構14が設けられている。この袋口開口機構14には、図1図3などに示すように、袋口開ポジション(2)からトレー挿入ポジション(3)にかけて往復移動し、かつ昇降可能な搖動アーム15と、搖動アーム15の先端側部に、水平方向(円軌道Rの回転方向)に突出した平行な1対の回転軸16と、このそれぞれの回転軸16から斜め下方に延びて、袋口を前後方向(円形テーブルの半径方向に沿う方向)に広げる開口具17と、開口具17を開閉するためのリンク18A、18Bなどを備えている。開口具17は、前記回転軸16に取り付けられた板状の取付け部材17aと、この取付け部材17aに、2本の折れ曲がった針金が斜め下方内側に延びるように取付けられ、計4本の針金で袋口を開口する開口線材17bなどから構成されている。
【0017】
袋Xが袋口開ポジション(2)に間欠停止した際には、搖動アーム15とともに開口具17が下降し、図3の仮想線で示すように、袋口に開口線材17bが挿入されて袋口を開く。そして、この状態で、開口具17がトレー挿入ポジション(3)まで移動し、袋口の開口状態が維持される。なお、トレー挿入ポジション(3)では、後述する袋口開ホッパ27が下降して袋口に挿入された後は、搖動アーム15とともに開口具17が上昇して元の袋口開ポジション(2)に戻されて次の袋Xのために待機する。
【0018】
トレー挿入ポジション(3)には、袋XにトレーYを挿入するトレー挿入装置20が設けられている。図1図4などに示すように、トレー挿入装置20は、コンベア(トレー搬送コンベア)21で搬送されてきたトレーYを、吸盤22で吸着して90度旋回して受け渡す受渡し機構23と、受渡し機構23の吸盤22によりトレーYを垂直な保持板24に押し付け、保持板24に押し付けられたトレーYを押さえ棒25により押さえて保持する保持機構26と、保持板24の下端部下方(トレー挿入ポジション(3))に搬送されてきた袋Xの袋口に挿入されて袋口を開ける袋口開ホッパ27と、保持板24に押えられたトレーYを押込み板28により袋Xに押し込む押込み機構29と、を備えている。
【0019】
図1図4図5に示すように、受渡し機構23では、トレーYを吸着する一対の吸盤22が取り付けられている取付台31が、スライドエアシリンダ32のピストンロッドに出退可能に取付けられている。さらに、前記スライドエアシリンダ32は回転アーム34に取り付けられている。回転アーム34の基端は、軸受け38により支持台35に回転自在に支持された回転支持軸33に固定されている。支持台35には、回転用エアシリンダ36の基端部が搖動可能に取り付けられている。前記回転用エアシリンダ36のピストンロッドと前記回転支持軸33が回動アーム37で連結され、前記ピストンロッドの出退により前記回転支持軸33が回動する。そして、図4に示すように、コンベア(トレー搬送コンベア)21で搬送されてきたトレーYを、吸盤22で吸着して、回転アーム34を介して90度旋回し、この後に、包装機1が設置されている設置面(水平面)などに対して垂直に配置されている保持板24にトレーYを押し付けて受け渡すよう構成されている。
【0020】
図1図4図6図9に示すように、前記保持機構26と、袋口開ホッパ27とは、ブラケット43により昇降支持ロッド46に固定され、前記昇降支持ロッド46と一体に昇降する。昇降支持ロッド46は、図6に示すように、リンク機構49の実線位置と仮想線位置で可動し、基台47上に立設された支持案内管48により昇降自在に案内された状態で昇降する。保持機構26は、受渡し機構23の吸盤22によりトレーYが押し付けられる垂直な保持板24と、この保持板24に押し付けられたトレーYを押さえて垂直に保持する押さえ棒25とを備える。図12に示すように、前記保持板24は、袋口開ホッパ27の背面から上方に突き出て取付けられた逆U字形の固定板41の前面部41aに垂直に取付けられている。図9の平面図に示すように、保持板24は袋口開ホッパ27の長手方向中央部に上方に突き出た形で設定される。
【0021】
なお、保持板24の表面には、トレーYが押さえられる面のほぼ全面にわたって凹凸24a(図6図7などにおいて簡略的に示す)が形成されている。また、保持板24は両側面部24bが少し手前側に折り曲げられており、押さえられたトレーYが両側方に移動しないように案内している。また、保持板24の下部24cは、袋口開ホッパ27の内部まで入り込んでおり、下方が細くなった逆台形状とされて、保持板24の下部24cによってもトレーYを背面側から良好に案内するよう図られている。
【0022】
図7図9などに示すように、保持板24に押し付けられたトレーYを押さえて保持するくの字形の押さえ棒25は、その基端が回転軸53に取り付けられており、押さえ棒25は左右に一対設けられている。また、回転軸53は軸受け54により取付板42に回転自在に支持されている。回転軸53の端部には、搖動アーム55が取り付けられ、搖動アーム55の端部と、取付板42に搖動可能に取り付けられた回動シリンダ56のピストンロッドが連結している。そして、回動シリンダ56のピストンロッドを出退させることにより、押さえ棒25が回動して、保持板24に押し付けられたトレーYを押さえる姿勢と、保持板24から手前側に離反した姿勢とに移動可能である。
【0023】
図4図6図8などに示すように、押込み機構29は、昇降支持ロッド46の上部にから横方向に延びて組付けられているシリンダ支持フレーム57、58,59により支持された押込み用エアシリンダ60と、押込み用エアシリンダ60のロッドの先端に取付板61を介して取り付けられている押込み板28とを備えている。そして、押込み板28は、保持板24に押えられたトレーYの真上に配置され、押込み用エアシリンダ60のロッドが伸長して、押込み板28が下降することにより、保持板24に押え付けられたトレーYを袋Xに押し込むようになっている。ここで、図13の部分側面拡大図に示すように、押込み板28の下端部(下端面)28aが、保持板24から離れるほど下り傾斜となってトレーYの側面に当接できるように形成されるとともに、トレーYの鍔が入り込むように切欠きが形成され、押込み板28が下降する際に、トレーYは保持板24に接した状態を維持しながら、トレーYが押し込まれるようになっている。
【0024】
図6図7図10図12などに示すように、袋口開ホッパ27は、ホッパ本体を構成する金属製のホッパ上部本体51と、このホッパ上部本体51の内面に沿って前面側と後面側とから下方に延びるように取付けられ、トレーYを前後から下方に案内する、厚手の樹脂シートからなるホッパ内案内板62、63と、ホッパ上部本体51の左側下部と右側下部とに軸支されて左右開閉自在な嘴型の下部開閉板64、65などを備えている。また、袋口開ホッパ27には、後述するように、下部開閉板64、65を左右に開閉する袋口幅拡大機構66が設けられている。なお、ホッパ上部本体51の上側部には、逆L字形のホッパ取付部材52が取り付けられ、このホッパ取付部材52が前記ブラケット43に固定されて袋口開ホッパ27の全体を昇降支持ロッド46に吊り下げている。
【0025】
次に、前記袋口開ホッパ27について詳細に説明する。まず、ホッパ上部本体51は、平面視において略八角形で(但し、横長の略扁平形状)、下方ほどすぼまる形状である。また、ホッパ上部本体51の前面部にはトレーYが受渡し機構23から受け渡される場合に邪魔にならないように切欠部51aが形成されているが、この切欠部51aは、必要に応じて設ければよい。ホッパ上部本体51には、その下部寄り箇所の外面に沿うようにバンド部材67が配置され、取付ねじ68などにより、ホッパ内案内板62、63がホッパ上部本体51に組付けられている。
【0026】
また、ホッパ上部本体51の下部両側面には蝶番70が取り付けられ、この蝶番70の下部には、下部開閉板64、65の上部が取り付けられている。また、蝶番70に、平面視において略コ字状の左右のリンク部材71、72が取付けられ、この左右のリンク部材71、72の先端に形成された長孔71aに連動突起72aが挿入されて、左右のリンク部材71、72の先端が上下に連動して揺動可能に連結されている。左右のリンク部材71、72が揺動することにより、下部開閉板64、65が連動して開閉するように構成されている。また、図10図11に示すように、一方のリンク部材71には側方に延びる連結片71bが取付けられ、この連結片71bに下部ホッパ開閉用エアシリンダ73から出退する出退ロッドの端部が連結し、この出退ロッドの出退により、下部開閉板64、65が連動して開閉する。なお、下部ホッパ開閉用エアシリンダ73の基端は、ホッパ取付部材52に搖動可能に取り付けられた。
【0027】
そして、袋口幅拡大機構66は、下部ホッパ開閉用エアシリンダ73の出退ロッドを伸長させて下部開閉板64、65の下端部を閉じた後、袋口開ホッパ27全体が下降して、トレー挿入ポジション(3)に移動して間欠停止した袋Xの袋口に、下部開閉板64、65の下部を挿入する。この状態から、下部ホッパ開閉用エアシリンダ73の出退ロッドを後退させる(引き上げる)ことで、下部開閉板64、65の下端が左右に開いて、袋口を袋Xの幅方向に開口させるように広げるよう構成されている。なお、図10においては、ホッパ内案内板62、63や下部開閉板64、65の下端部だけを図示しており、下部開閉板64、65については、閉じた状態を実線で、開いた状態を仮想線で示している。
【0028】
前記のようにトレー挿入ポジション(3)では、予め開口具17で開口されている袋口に、袋口開ホッパ27の下部(ホッパ内案内板62、63、下部開閉板64、65の各下部)が挿入された後、図10図11に簡略的に示すように、下部開閉板64、65などからなる袋口幅拡大機構66により、袋口が幅方向に開口するように広げられる。そして、この状態で、図13に示すように、押込み板28が下降することにより、保持板24に押え付けられたトレーYが袋Xに押し込まれる。
【0029】
押し込みエア吹かしポジション(4)では、図14に示すように、内部にエアを通す流路が形成されている昇降自在のエア注入押込み具75を備えたエア注入押込み機構74が設けられている。この実施の形態では、前記昇降支持ロッド46に、L字形の取付ブラケット76が取り付けられ、この取付ブラケット76に取付板77が水平に設けられている。前記取付板77の先端に、エア通路を備えた支持軸78が昇降可能に垂直に嵌め込まれ、この支持軸78の下端部に、エア注入押込み具75が取り付けられている。さらに、前記支持軸78と平行に、押込み具昇降シリンダ79が前記取付板77に垂直に組付けられ、前記押込み具昇降シリンダ79の出退ロッドと前記支持軸78とが連結している。そして、押し込みエア吹かしポジション(4)に袋Xが間欠停止すると、前記昇降支持ロッド46が下降して袋口内にエア注入押込み具75が挿入されて袋X内にエアが噴射される。さらに、押し込み具昇降シリンダ79の出退ロッドが伸長することで、エア注入押込み具75がさらに下降し、トレーYが袋Xの奥側(下側)まで挿入される。
【0030】
図15に示すように、トレーYが挿入された袋Xに被包装物を充填する被包装物充填ポジション(5)には、被包装物を充填する充填ホッパ80が取付部81を介して昇降ロッド82に取付けられ、充填ホッパ80が昇降する。前記充填ホッパ80の上部ホッパ部83には、所定のタイミングで被包装物が充填される。また、上部ホッパ部83の下方の一対の下部ホッパ部84、85は、それぞれ蝶番88により軸支されて下方の開口部側が開閉する。これらの下部ホッパ部84、85は開閉エアシリンダ86によりリンク機構87を介して開閉する。
【0031】
一方の下部ホッパ部84の下端中央部には斜め下方に延びる舌片状の開口片84aが形成されている。そして、充填ホッパ80が下降して、下部ホッパ部84が開かれた際に、図16の(a)~(c)に簡略的に示すように、被包装物の充填に支障をきたさないようにトレーYを片寄せさせて(開口片84aによりトレーYを湾曲または折曲させることにより片寄せさせてもよい)被包装物を充填する。
【0032】
脱気ポジション(6)では、脱気装置90により、例えば、袋Xの側方から、一対のスポンジ体91が互いに接近して挟持することにより、袋X内の空気を脱気する。シールポジション(7)では、脱気された袋Xの開口端をシール装置92で加熱シールする。また、加熱シールにより温度の上がったシール部分を、冷却・搬出ポジション(8)に設けられたシール冷却装置93で冷却する。そして、シール部分が冷却されると、クランプ4aが離間して袋Xが搬出コンベア3で搬出される。
【0033】
前記構成により、包装機1のトレー挿入装置20によって、コンベア21で搬送されてきたトレーYは、受渡し機構23により90度旋回されて保持板24に受け渡され、保持機構26の押さえ棒25により押さえられる。そして、袋口開ホッパ27により袋口を開けた状態で、押込み機構29の押込み板28によりトレーYを、V形に折り曲げることなく、袋Xに押し込むことができる。
【0034】
さらに、前記構成により、比較的簡単な構造とすることができ、装置の製造コストを低減することが可能となる。また、トレーYをV形に折る必要がないので、トレーYの充填スピードを速くすることができ、包装機1の処理能力を向上させることができる。また、前記のようにしてトレーを挿入するため、V字状に折れ曲がり難いトレーYも使用できる利点もある。また、袋Xを縦向きに保持した姿勢のままでトレーYを挿入し、次セクションでも縦向きで袋X内に被包装物を充填できるので、包装作業の処理能力を向上させることができる。
【0035】
また、前記トレー挿入装置20において、押込み機構29の押込み板28の下端面が、保持板24から離れるほど下る下り傾斜となるとともに、トレーYの鍔が入り込むように切欠きが形成されているので、簡単な構成でありながら、トレーYは押込み板28が下降する際に、保持板24に接した状態を良好に維持しながら、押し込むことができる。また、受渡し機構23により保持板24に押さえられたトレーYを押さえ棒25により押さえて保持するので、トレーYが押さえ棒25により押さえられているにも関わらず、押込み機構29の押込み板28で支障なく、トレーYを袋Xに挿入することができる。
【0036】
また、保持板24の表面に凹凸24aが形成されていることにより、トレーYが押さえ棒25により押さえられている場合でも、トレーYの保持板24に対する接触面積を比較的小さくできるとともに、トレーYと保持板24との間に空気を介在させることができる。したがって、押込み機構29の押込み板28でトレーYを挿入する際、トレーYの挿入を良好に行うことができる。
【0037】
また、袋口開ホッパ27には、袋口を袋Xの幅方向に開口する袋口幅拡大機構66が設けられているので、トレーYを折り曲げなくても支障なく袋Xに挿入することができる。また、袋口開ホッパ27を単に袋口に挿入するだけでなく、袋口を袋Xの幅方向に広げる袋口幅拡大機構66が有るので、トレーYや袋口の形状に合わせて、トレーYを袋口に挿入しやすいように拡大することができる。
【0038】
また、被包装物充填ポジション(5)に、充填ホッパ80が設けられ、この充填ホッパ80に設けられた開口片84aで袋口を広げるとともに、被包装物の充填に支障をきたさないように袋口の片方にトレーYを片寄せて被包装物を充填することができる。この構成により、トレーYが収納されている袋Xに被包装物を良好に充填することができ、トレーYを強引に折り曲げることがないので、トレーYに傷がはいることを最小限に抑えることができる。
【0039】
なお、この実施の形態では、包装機1とトレー挿入装置20の配置については、特別に限定すべき配置は無い。例えば、図1では、トレー挿入ポジション(3)に位置するクランプアーム4の正面にトレー挿入装置20を配置しているが、トレー挿入ポジション(3)に対して直角の位置や、傾斜する位置に配置してもよい。また、この実施の形態では、包装機1が円形の循環搬送路を有するいわゆるロータリー式包装機である場合を示しているが、これに限るものではなく、包装機1が直線的な搬送路を有するいわゆる直線式などであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、被包装物を充填する袋に予めトレーを挿入する各種のトレー挿入装置や包装機において有用である。
【符号の説明】
【0041】
1 包装機
2 制御装置
5 円形ロータ(搬送装置)
11 袋箱
14 袋口開口機構
17 開口具(ヘラ)
20 トレー挿入装置
21 コンベア(トレー搬送コンベア)
22 吸盤
23 受渡し機構
24 保持板
24a 凹凸
25 押さえ棒
26 保持機構
27 袋口開ホッパ
28 押込み板
28a 下端部(下端面)
29 押込み機構
32 スライドエアシリンダ
34 回転アーム
36 回転用エアシリンダ
46 昇降支持ロッド
51 ホッパ上部本体
56 回動シリンダ
62、63 ホッパ内案内板
64、65 下部開閉板
66 袋口幅拡大機構
73 下部ホッパ開閉用エアシリンダ
74 エア注入押込み機構
75 エア注入押込み具
78 支持軸
79 押込み具昇降シリンダ
80 充填ホッパ
84、85 下部ホッパ部
84a 開口片
86 開閉エアシリンダ
X 袋
Y トレー
図1
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