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▶ クリエイトミー・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008955
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】自律ロボットによる衣類個人化
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/14 20060101AFI20230111BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230111BHJP
   B65H 5/04 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B41J11/14
B41J2/01 305
B41J2/01 301
B41J2/01 303
B41J2/01 123
B41J2/01 125
B41J2/01 401
B65H5/04
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022106057
(22)【出願日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】17/364,694
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】522263910
【氏名又は名称】クリエイトミー・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】CREATEME TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カーンボン・タンマソウク
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・シィ・ケイ・マイヤーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジンファ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・アール・ウォーラー,ザ・フォース
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・ビィ・レムケ
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
3F101
【Fターム(参考)】
2C056EC07
2C056EC13
2C056EC33
2C056HA29
2C056HA38
2C056HA42
2C056HA46
2C056HA60
2C056KD10
2C058AB08
2C058AC07
2C058AF31
2C058DA11
2C058DA28
3F101BA01
3F101BA02
3F101BB01
3F101LA01
3F101LB11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自律ロボットを使用してDTG処理ステージ(例えば、取出しステージ、前処理ステージ、印刷ステージ、乾燥ステージなど)間で衣類を移動させる、DTG印刷環境を提供する。
【解決手段】最も多くの時間がかかるステージへのDTG印刷処理の依存性が、除去される。DTG処理ステージ135又は自律ロボット115は、衣類とDTG処理ステージとを互いにより近くに移動させるための、アクチュエータを含む。処理ステージは、取外し可能なキャリアを衣類が載せられるロボットから持ち上げる、リフト145(例えば、アクチュエータ)を含む。リフト145は、衣類とDTG処理ステージ135との間の細かい位置合わせを提供するために、取外し可能なキャリアを水平にし、及び回転させることができる。リフト145が具体的に開示されているが、他の実施形態では、衣類を持ち上げるためにアクチュエータをロボットに配置することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル印刷処理ステージと、
前記デジタル印刷処理ステージ及び物品の間の相対的な垂直距離を変更するように構成されたアクチュエータと、を備え、
前記物品が、自律ロボットによって搬送されるように構成されたキャリアに載せられる、
システム。
【請求項2】
前記アクチュエータが、前記デジタル印刷処理ステージに向かって垂直方向に前記物品を上昇させるように構成されたリフトの一部である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記リフトが、前記自律ロボットから外れるように前記物品を支持するキャリアを上昇させる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記キャリアを、前記キャリアが前記自律ロボットから外れるように上昇させられるときに、水平にすること、のうちの少なくとも1つのための位置合わせ特徴を前記リフトが備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記位置合わせ特徴が、前記キャリア上の対応する位置合わせ特徴とかみ合うV字形、U字形、又は半円の特徴を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記キャリアが、前記デジタル印刷処理ステージまで上昇させられると、前記キャリアが囲いの底面の少なくとも一部を形成する、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記囲いが、少なくとも部分的にシールされ、前記デジタル印刷処理ステージが、前記囲い内のエア又は材料を除去するための真空を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記物品が前記自律ロボット上に配置されたままであるときに、前記デジタル印刷処理ステージの印刷ヘッドを前記物品に向かって垂直方向に下降させるために、前記アクチュエータが前記デジタル印刷処理ステージ上に配置された、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記デジタル印刷処理ステージが、DTG印刷機を備え、前記アクチュエータが、前記物品に画像を印刷するために前記DTG印刷機の印刷ヘッドが前記物品に対して相対的に少なくとも2つの方向に移動する間、前記物品を固定位置に保持するように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記デジタル印刷処理ステージが、ダイレクト・ツー・ガーメント(DTG)印刷機、DTG前処理ステージ、又はDTG乾燥機のうちの、1つである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
システムであって、
自律ロボットであって、
前記自律ロボットを環境内で移動させるように構成された駆動システムと、
前記自律ロボットの上側に配置された第1の支持特徴と、を備える、自律ロボットと
デジタル印刷用の物品を保持するように構成された取外し可能なキャリアと、を備え、
前記取外し可能なキャリアが、前記第1の支持特徴とかみ合って前記取外し可能なキャリアを前記自律ロボットと機械的にインタフェースさせるように構成された第2の支持特徴を備える、システム。
【請求項12】
前記第1の支持特徴が、前記第2の支持特徴とかみ合うV字形、U字形、又は半円のガイドを備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記取外し可能なキャリアが、前記物品が載せられるプラテンを備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記取外し可能なキャリアが、
地面表面に平行な平面に沿って前記物品を広げるための拡張要素と、
広げられた状態で前記プラテンに前記物品を保持するように構成されたフープフレームと、を備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記取外し可能なキャリアのサイズが、調整可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記取外し可能なキャリアが、前記第1及び第2の支持特徴を分離して前記取外し可能なキャリア及び前記物品を前記自律ロボットから除去するために、垂直方向に持ち上げられるように構成された、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
複数の前処理ステーションと、
複数のデジタル印刷ステーションと、
前記複数の前処理ステーション及び前記複数のデジタル印刷ステーションの間で物品を搬送するように構成された複数の自律ロボットと、を備え、
前記複数の前処理ステーションのうちの少なくとも第1の前処理ステーションが、第1のx-y平面上に配置されており、前記複数のデジタル印刷ステーションのうちの少なくとも第1のデジタル印刷ステーションが、前記第1の前処理ステーションと前記第1のデジタル印刷ステーションとがz方向に垂直に分離されるように、前記第1のx-y平面に平行な第2のx-y平面上に配置された、デジタル印刷環境。
【請求項18】
前記第1の前処理ステーションと前記第1のデジタル印刷ステーションとの間で前記自律ロボットを移動させるように構成されたエレベータ、
をさらに備える、請求項17に記載のデジタル印刷環境。
【請求項19】
前記物品が、前記自律ロボットによって支持される取外し可能なキャリアに載せられ、
エレベータであって、前記自律ロボットから除去された後に、前記第1の前処理ステーションと前記第1のデジタル印刷ステーションとの間で、前記取外し可能なキャリアを移動させるように構成されたエレベータをさらに備える、請求項17に記載のデジタル印刷環境。
【請求項20】
前記複数の前処理ステーションと前記複数のデジタル印刷ステーションとのどちらが自律ロボットによって使用されるかを、選択するように構成された1次コントローラと、
前記1次コントローラによって選択される前記複数の前処理ステーション及び前記複数のデジタル印刷ステーションの間を移動するために前記自律ロボットによって使用される経路を、制御するように構成された2次コントローラと、
をさらに備える、請求項17に記載のデジタル印刷環境。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示に提示される実施形態は、全体として、自律ロボットを使用する衣類個人化のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
衣類及びアクセサリの個人化は、刺繍、並びに、スクリーン印刷、染料昇華及びダイレクト・ツー・ガーメント(Direct To Garment:DTG)印刷を含む美術作品を衣類に印刷する様々な方法によって、より普及しつつある。現在、衣類の個人化は、衣類を取り扱い、主に少しずつ行うやり方で機械を操作するために、熟練の作業者が機械の周りで作業することができるように、機械を配置するための大きな領域を必要とする労働集約的な処理である。大規模DTG印刷動作は、ロード、前処理、乾燥、及び品質管理などの、複数の処理ステージを含むことができる。一方、ほとんどの大規模動作は、直列化されていくつかの流れを形成する。例えば、各流れは、ロードステージ、前処理ステージ、印刷ステージ、乾燥ステージ、及びパッケージングステージを含む場合がある。DTG印刷を直列化することによる問題は、最も多くの時間を必要とする処理ステージによって処理能力が制限されることである。例えば、処理ステージのうちのほとんどは、完了するのに数分だけ必要とし得るが、処理ステージのうちの1つは、10分以上を必要とし得る。このため、流れ内の衣類は、最も時間のかかるステージと同じくらいの速さでしか、各処理ステージを通って進むことができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
本明細書に記載の一実施形態は、デジタル印刷処理ステージと、デジタル印刷処理ステージ及び物品の間の相対的な垂直距離を変更するように構成されたアクチュエータとを含むシステムであり、この場合、物品は、自律ロボットによって搬送されるように構成されたキャリアに載せられる。
【0004】
本明細書に記載の別の実施形態は、自律ロボットであって、当該自律ロボットを環境内で移動させるように構成された駆動システムと、当該自律ロボットの上側に配置された第1の支持特徴とを有する、自律ロボットを含むシステムである。システムはまた、デジタル印刷用の物品を保持するように構成された取外し可能なキャリアを含み、この場合、取外し可能なキャリアは、第1の支持特徴とかみ合って取外し可能なキャリアを自律ロボットと機械的にインタフェースさせるように構成された第2の支持特徴を含む。
【0005】
本明細書に記載の別の実施形態は、複数の前処理ステーションと、複数のデジタル印刷ステーションと、複数の前処理ステーション及び複数のデジタル印刷ステーションの間で物品を搬送するように構成された複数の自律ロボットとを含む、デジタル印刷環境である。さらに、複数の前処理ステーションのうちの少なくとも第1の前処理ステーションは、第1のx-y平面上に配置されており、複数のデジタル印刷ステーションのうちの少なくとも第1のデジタル印刷ステーションは、第1の前処理ステーションと第1のデジタル印刷ステーションとがz方向に垂直に分離されるように、第1のx-y平面に平行な第2のx-y平面上に配置されている。
【0006】
図面の簡単な説明
上記で説明された態様が得られ、かつ詳細に理解され得るように、上記で簡単に概要を示した本明細書に記載の実施形態のより具体的な説明は、添付の図面を参照することによって得ることができる。
【0007】
しかしながら、添付の図面は典型的な実施形態を示し、したがって限定するものと考えられるべきではないことに、留意すべきである。他の同等に効果的な実施形態が考慮される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による、DTG印刷環境のブロック図である。
図2】一実施形態による、DTG印刷機に衣類を送達する自律ロボットを示す図である。
図3A】実施形態による、DTG処理ステージの互いの上方への配置を示す図である。
図3B】実施形態による、DTG処理ステージの互いの上方への配置を示す図である。
図4A】実施形態による、自律ロボットのいくつかの図である。
図4B】実施形態による、自律ロボットのいくつかの図である。
図5A】実施形態による、自律ロボットに対して位置合わせされる取外し可能なキャリアのいくつかの図である。
図5B】実施形態による、自律ロボットに対して位置合わせされる取外し可能なキャリアのいくつかの図である。
図6A】実施形態による、DTG処理ステージを実行するために自律ロボットから取外し可能なキャリアを持ち上げることを示す図である。
図6B】実施形態による、DTG処理ステージを実行するために自律ロボットから取外し可能なキャリアを持ち上げることを示す図である。
図6C】実施形態による、DTG処理ステージを実行するために自律ロボットから取外し可能なキャリアを持ち上げることを示す図である。
図6D】実施形態による、DTG処理ステージを実行するために自律ロボットから取外し可能なキャリアを持ち上げることを示す図である。
図6E】実施形態による、DTG処理ステージを実行するために自律ロボットから取外し可能なキャリアを持ち上げることを示す図である。
図6F】実施形態による、DTG処理ステージを実行するために自律ロボットから取外し可能なキャリアを持ち上げることを示す図である。
図7】一実施形態による、衣類をDTG処理ステージに対して位置合わせするためのフローチャートである。
図8A】実施形態による、自律ロボットのいくつかの図である。
図8B】実施形態による、自律ロボットのいくつかの図である。
図8C】実施形態による、自律ロボットのいくつかの図である。
図9A】実施形態による、ロボットアーム及びグリッパを示す図である。
図9B】実施形態による、ロボットアーム及びグリッパを示す図である。
図9C】実施形態による、ロボットアーム及びグリッパを示す図である。
図9D】実施形態による、ロボットアーム及びグリッパを示す図である。
図10A】実施形態による、前処理機械を示す図である。
図10B】実施形態による、前処理機械を示す図である。
図10C】実施形態による、前処理機械を示す図である。
図10D】実施形態による、前処理機械を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
本明細書の実施形態は、自動化及び並列動作を使用してデジタル印刷処理ステージ(例えば、取出しステージ、前処理ステージ、印刷ステージ、乾燥ステージなど)間及び各デジタル印刷処理ステージ(例えば、取出しステージ、前処理ステージ、印刷ステージ、乾燥ステージなど)で衣類を処理する、デジタル印刷環境を説明する。そのようにすることによって、最も多くの時間がかかるステージへのデジタル印刷処理の依存性が、除去される。衣類が固定された流れを逐次進むのではなく、本明細書の実施形態では、自律ロボットは、任意の利用可能なステージに衣類を移動させることができる。典型的には等しい数の処理ステージが存在する、直列化されたデジタル印刷処理とは異なり、デジタル印刷環境は、より少ない数の、より少ない時間を取るステージを有しながら、より多い数の、最も多くの時間を必要とするステージであることができる。これは、システムの全体的なコストを削減し、デジタル印刷環境の占有面積を縮小し、処理能力を改善し(すなわち、衣類がデジタル印刷処理を完了するのに必要な時間を、削減し)得る。本明細書の実施形態は、一例としてDTG印刷を具体的に説明するが、スクリーン印刷又は他の装飾などの、任意のデジタル印刷処理に適用することができる。
【0010】
一実施形態では、DTG処理ステージ又は自律ロボットは、衣類とDTG処理ステージとを互いにより近くに移動させるための、アクチュエータ(例えば、エレベータ)を含む。例えば、自律ロボットが衣類をDTG処理ステージに移動させるとき、(例えば、ミリメートル位置合わせ精度が所望される場合には)衣類とステージとがロボットの移動のみによって適切に位置合わせされることを保証することは、困難であり得る。アクチュエータが、衣類と処理ステージとの間の細かい位置合わせを提供するのに対して、ロボットの移動は、粗い位置合わせを提供することができる。一実施形態では、処理ステージは、取外し可能なキャリアを衣類が載せられるロボットから持ち上げる、リフト(例えば、アクチュエータ)を含む。リフトは、衣類とDTG処理ステージとの間の細かい位置合わせを提供するために、取外し可能なキャリアを水平にし、及び回転させることができる。また、衣類をロボットから分離することは、DTG処理ステージ中に使用される腐食性又は損傷性の任意の化学物質がロボットに堆積する可能性を、低減し得る。リフトが具体的に開示されているが、他の実施形態では、衣類を持ち上げるためにアクチュエータをロボットに配置することができる。あるいは、衣類を移動させる代わりに、ロボットが静止したままである間に細かい位置合わせを提供するために、衣類に向かう方向にアクチュエータがDTG処理ステージを移動させる(例えば、DTG印刷機を移動させる)ことができる。
【0011】
以下の説明は、衣類(例えば、衣服)にDTG印刷を実行することについて説明するが、本明細書の実施形態は、衣服(例えば、シャツ、ズボン、靴下、靴、ショートパンツ、コート、ジャケット、スカート、ドレス、下着、帽子、ヘッドバンドなど)、アクセサリ(例えば、財布、ハンドバッグなど)、及びホームウェア(例えば、タオル、枕カバー、毛布、マットなど)を含むことができるがこれらに限定されない、様々な「物品」を使用して実行することができる。
【0012】
図1は、一実施形態による、DTG印刷システム100のブロック図である。異なるDTG処理ステージを通して衣類を反復的に移動させるために軌道又はコンベヤベルトに頼り得る、直列化されたDTG印刷処理とは異なり、DTG印刷システム100は、少なくとも2つの異なるステーション間で衣類120を移動させるために自律ロボット115に頼る。本明細書で使用される場合、「自律ロボット」は、人間の案内又は介入なしに環境をナビゲートすることができる、任意のロボットを含む。自律ロボットは、完全に自律的である(すなわち、人間であろうとソフトウェアアプリケーションであろうと、いかなる外部の存在物からもナビゲーション指令を受信することなく動作する)か、又は部分的に自律的であり得、当該部分的に自律的である場合、ロボットは、人間でない外部のコントローラ(例えば、管制塔)からナビゲーション指令(例えば、逐次の方向又は経路)を受信する。一方、いくつかの実施形態では、いくつかのステーション間、又は同じステーション内の異なる位置間で衣類120を移動させるために、軌道又はコンベヤベルトを使用して、混成アプローチをもたらすこともでき、当該混成アプローチでは、いくつかのステーション間で衣類120を移動させるためにロボット115を使用する一方で、他のステーション間で衣類120を移動させるために他の手段を使用する。
【0013】
DTG印刷システム100は、環境を通るロボット115の移動を制御するための、1次コントローラ165及び2次コントローラ170を含む。これらのコントローラ165、170は、メモリに記憶されかつコンピューティングシステム内の1つ以上のプロセッサを使用して実行される、ソフトウェアアプリケーションであってもよい。一実施形態では、1次コントローラ165は、システム100内の様々なステーションを監視して、どれが現在ふさがっているか、及びどれが利用可能である(又はもうすぐ利用可能になろうとしている)かを判定する。この情報によって、1次コントローラ165は、どのステーションがどの作業をどのような順序で処理するかを、決定することができる。一実施形態では、1次コントローラ165は、特定のステーションに特定の衣類を供給するように、2次コントローラに指令する。
【0014】
2次コントローラ170は、ステーション間を移動するときにロボット115が取る経路を、管理することによって、DTG印刷システム100内の往来を管理することができる。2次コントローラ170は、1次コントローラ165から指令を受信し、指令が遂行されるようにロボット115のための経路を決定する。例えば、ロボット115は、交差する線の方眼などの、環境(例えば、倉庫)のフロアに配置されたマーカをたどってもよい。2次コントローラ170は、ロボット115に、その現在位置から1次コントローラ165によって選択された次のステーションの位置に移動するために方眼をナビゲートするための命令を、提供することができる。2次コントローラ170は、環境内のすべてのロボット115の位置を監視することができ、それらの行路が衝突の原因とならないことを確実にすることができる。例えば、2つのロボット115のための経路が交差する場合、2次コントローラ170は、一方のロボット115に命令して、そのロボットがその行路に沿って進み続けることを可能にする前に、他方のロボットが通ることを可能にするために、一時停止するようにしてもよい。この実施形態では、1次コントローラ165は、ロボット115のための目的地(例えば、ステーション)を選択し、一方、2次コントローラ170は、ロボット115をそれらの目的地に移動させるためにより下位レベルの経路プランニング及びナビゲーションを制御する。しかしながら、これは、一例に過ぎない。さらに別の例では、ロボット115は、1次コントローラ165によって選択された目的地間の、それらの自身の経路を選択することを可能にされてもよい。その例では、ロボット115は、環境内のその位置を決定するためのナビゲーションセンサと、他のロボット115との衝突を検出及び防止するための近接センサとを有してもよい。一実施形態では、環境は、ロボット115に1つのステーションから次のステーションへのそれらの道を知るための案内を提供するための、交差点信号を含むことができる。例えば、赤色、緑色、及び黄色の光を使用して、左、右、及びまっすぐの指令を伝達することができる。別の実施形態では、環境は、QRコード(登録商標)を交差点で読み取るロボットのための必要な命令を提供する特定のQRコード(登録商標)を交差点で表示するために使用される、小型ディスプレイを含むことができる。
【0015】
システム100は、衣類120を個々のロボット115に載せることができる取出し装置110を各々含む、衣類取出しステーション105を含む。取出し装置110は、衣類を拾い上げてそれをロボット115に載せるか又は配置することができる、任意の機械とすることができる。取出し装置110の一例は、以下で図8A図8Dで説明される。さらに、別の実施形態では、取出し装置110を使用する代わりに、人間が衣類120を拾ってロボット115に配置することができる。
【0016】
以下の実施形態は、単一の衣類120を各ロボット115に載せることを説明するが、他の実施形態では、複数の衣類を同じロボット115に載せることができ、異なるステーションで、並行に又は反復的に処理することができる。
【0017】
衣類120を取り出した後、ロボット115は、前処理ステーション125のうちの1つに進む。これらのステーション125は、前処理溶液を衣類120に塗布するための、前処理装置130を含む。前処理装置130は、前処理溶液を、衣類の表面全体に又は(例えば、印刷される画像がTシャツの表面全体ではなくTシャツの小さな部分のみを覆う場合に)印刷される部分のみに塗布することができる。本明細書の実施形態は、いかなる特定のタイプの前処理装置130にも限定されず、前処理装置130の一例が、以下で図9A図9Dで説明される。
【0018】
前処理溶液が塗布されると、ロボット115は、衣類120をDTG印刷ステーション135のうちの1つに移動させ、そこで画像が衣類120に印刷される。この例では、システム100は、依然として濡れている場合がある衣類120の前処理された領域に画像が印刷される、ウェット・オン・ウェットDTG印刷処理を使用する。しかしながら、本明細書の実施形態はまた、衣類120に画像が印刷される前に前処理溶液が(例えば、乾燥ステーションを使用して)まず乾燥される、ウェット・オン・ドライDTG印刷処理において使用することができる。他の実施形態では、生地の組成、美術作品の複雑さ又は作業の要件に応じて、スクリーン印刷又は染料昇華などの、衣類に印刷するための他の方法を使用してもよい。いくつかの実施形態では、システム100は、各々が異なる衣類印刷方法を使用する、1つ以上の印刷ステーションを含んでもよい。一実施形態では、最初のDTG印刷が完了した後、物品/ロボットは、刺繍などの2つ目の装飾ステップのために経路変更されてもよく、又はその逆であってもよく、この場合、DTG印刷の前に刺繍がまず実行される。
【0019】
DTG印刷ステーション135は、衣類120に、及びより具体的には前処理された衣類120の領域に、画像を印刷するために印刷ヘッド(例えば、ドットマトリックス印刷ヘッド)を使用する、DTG印刷機140を含む。本明細書の実施形態は、いかなる特定のタイプのDTG印刷機140にも限定されない。一実施形態では、DTG印刷機140は、1つ以上の軸で(例えば、地面に平行な平面におけるX及びY方向に)移動する、印刷ヘッドを有する。すなわち、衣類120は、印刷ヘッドが画像を印刷するためにX及びY方向に移動する間、固定位置に保持されてもよい。印刷ヘッドを移動させている間、衣類120を位置に維持することは、印刷を実行しているときにキャリアを横方向に移動させることができるようにキャリアの正確な制御を必要とするシステムではなく、印刷ヘッドに対して相対的に衣類を上昇させ及び水平にするための単純なリフトを、使用するという利点を有する。一方、他の実施形態では、衣類120は、印刷ヘッドが固定位置に保持されている間、移動させられてもよい。
【0020】
DTG印刷機140は、ロボット115が持っている衣類140をDTG印刷機140の印刷ヘッドと位置合わせするための、各自のリフト145を含むことができる。一実施形態では、リフト145は、衣類が載せられているロボット115から、取外し可能なキャリアを除去し、取外し可能なキャリアを、印刷ヘッドと位置合わせする。あるいは、リフト145は、ロボット全体を上昇させ印刷ヘッドと位置合わせしてもよい。さらに別の実施形態では、ロボット115が固定位置にあるままである間に、リフト145は、DTG印刷機140を、そのDTG印刷機140がロボット115上の衣類120と位置合わせされるように、下降又は上昇させてもよい。リフト145の例示的な1つの実現を図6A図6Fで説明する。
【0021】
リフト145を使用して衣類120をDTG印刷機140と位置合わせすることに加えて、リフト145はまた、他のステーションにおいても使用される。例えば、衣類120を、前処理ステーション125において前処理溶液を塗布するときに、(腐食を引き起こす場合がある)これらの化学物質がロボット115上に噴霧されないように、ロボット115から離れるように持ち上げること、又は衣類120を乾燥ステーション150において持ち上げることが有利であり得る。したがって、システム100内の他のステーションにおいて、それらのステーションにおける装置と、衣類120との間の空間的関係を変更するために、同じか又は異なるタイプのリフトを使用してもよい。いくつかの実施形態では、前処理ステーション又はDTG印刷ステーションなどの、各動作するステーションは、その周囲から完全に又は部分的にシールされてもよい。いくつかの実施形態では、各動作するステーションは、任意のガス、臭気又は揮発性化学物質を排気処理システムに運ぶように、外部に通気されてもよい。いくつかの実施形態では、キャリアを、動作するステーションの下のその静止位置に持ち上げることは、動作するステーションをシステムの残りから動作中に隔離する、シール機能を提供する。
【0022】
画像が印刷されると、ロボット115は、乾燥機155を収容する乾燥ステーション150に衣類120を移動させる。乾燥機155は、前処理溶液及びDTG印刷機140によって塗布されたインクを乾燥させることによって、ウェット・オン・ウェットDTG印刷処理を保存するのに役立つ。もちろん、もし代わりにウェット・オン・ドライ・処理が使用されるならば、前処理溶液は、より早い乾燥ステージで乾燥されているであろうから、乾燥ステーション150は、インクを乾燥させるために使用されるだけであろう。いくつかの実施形態では、乾燥ステーションは、通風乾燥機又は対流乾燥機、輻射乾燥機、及びUV光乾燥機を含む、1つ以上のタイプの乾燥機を含んでもよい。
【0023】
次いで、ロボット115は、衣類120をパッケージングステーション160に移動させ、そこで衣類120は、ロボット115から除去され、折り畳まれ、及び容器(例えば、箱、又は詰め物がされた封筒)内に配置されて、出荷される。パッケージングステーション160において実行される様々な動作は、機械、人間、又は両方の組合せによって実行されてもよい。
【0024】
システム100内の処理ステージの各々におけるステーションの数は、様々であってもよい。例えば、より多くの時間を必要とする処理ステージについては、システム100は、それらのステージのためにより多くのステーションを有してもよいが、より少ない時間を取る処理ステージのためにより少ないステーションを有してもよい。例えば、印刷が、前処理よりも多くの時間を必要とする場合、システム100は、前処理装置130よりも多くの印刷機140を有してもよい。これは、各処理ステージについて同じ数のステーションが存在するシステムと比較した、システム100の全体的な処理能力を改善し得る。いくつかの実施形態では、システム100の処理ステージは、モジュール式であり、各ステーションの数は、システム100の処理能力要件が変化するに従って、足されるか又は引かれてもよい。
【0025】
図1には示されていないが、DTG印刷システム100は、任意の数の検査ステージを含むことができる。例えば、衣類120がロボット115上に適切にロードされたことと、衣類120にしわがないこととを保証するために、第1の検査ステージは、衣類取出しステーション105と前処理ステーション125との間にあってもよく、ここで当該しわは、低品質のDTG画像、又は印刷ノズルが詰まることをもたらす可能性がある。DTG画像が正しく見えること(例えば、良好な色、鮮明な線、適切なTシャツに対する正しい画像など)を保証するために、第2の検査ステージは、DTG印刷ステーション135と乾燥ステーション150との間にあってもよい。乾燥処理が画像のいかなる汚れも引き起こさなかったことを保証するために、第3の検査ステージは、乾燥ステーション150とパッケージングステーション160との間にあってもよい。これらの検査ステージは、しわ、画像欠陥などを検出するために人工知能に頼るコンピュータ・ビジョン・アプリケーションに取り付けられたカメラを含むコンピュータ・ビジョン・システム(例えば、自動光学検査(automated optical inspection:AOI))を使用することができる。又は、検査ステージは、人間の検査者、若しくは両方の組合せに頼ることができる。
【0026】
図2は、一実施形態による、DTG印刷機140に衣類を送達する自律ロボット115を示す。図示のように、印刷機140を含む環境のフロア200は、タイル215を画定する交差する垂直線及び水平線によって形成された方眼205を有する。方眼205は、フロアに塗布された塗料、又はフロアに貼られたテープとすることができる。一実施形態では、方眼は、フロアを形成するタイルの中間の溝によって形成される。さらに、基準210(例えば、QRコード(登録商標))が、垂直及び水平の方眼線の各交差点に配置されている。ロボット115は、方眼205及び基準210を検出するための、フロア200を含む視野を有するカメラを有する。ロボット115は、異なるステーション(図示せず)及び印刷機140の間を移動するために、方眼205を使用して倉庫のフロア200をナビゲートすることができる。
【0027】
基準210は、ロボット115に位置情報を提供し、それらロボット115は、当該位置情報をコントローラ(例えば、図1で説明した1次コントローラ又は2次コントローラ)に報告することができる。すなわち、各基準210は、基準210が倉庫内で一意の配置を有するように、異なる又は一意のコードを割り当てられてもよい。ロボット115が基準を検出して、その基準のコードをコントローラに報告すると、コントローラは、ロボット115のフロア200上の位置を知る。次いで、コントローラはロボット115に対して、そのロボット115の目的地にナビゲートするために、命令を与えることができる(例えば、まっすぐ行く、交差点で左に曲がる、又は交差点で右に曲がる)。ロボット115が新しい基準210に遭遇すると、コントローラはロボット115に対して、そのロボット115がその目的地(例えば、フロア200上の印刷機140又は他の何らかのステーション)に到着するまで、更新された命令を提供することができる。いくつかの実施形態では、他のタイプの基準を使用してもよい。例えば、異なる色の信号光を使用して、次のナビゲーション命令を伝達してもよい。いくつかの実施形態では、交差点における磁気又は光学センサを含むセンサを使用して、ロボットの位置を検出してそれに応じて次のナビゲーション命令を提供してもよい。
【0028】
しかしながら、ロボット115がフロア200をあちこち動き回ることを可能にするために、方眼205及び基準210を使用することは、適切な一例にすぎない。別の実施形態では、ロボット115は、例えばレンジファインダ、深度センサ、GPS受信機などの、位置センサを有してもよく、当該位置センサは、それらロボット115が、フロア200上のいかなるマーカ又は基準による補助もなしに、それらロボット115の位置を識別すること及びフロア200のあたりを移動することを可能にする。さらに、ロボット115は、コントローラから逐次の命令を受信するのではなくコントローラから目的地情報を受信して、次いで目的地まで安全にナビゲートするために倉庫及びその倉庫の既知の位置の内部的に保存されたマップを使用してもよい。
【0029】
この例では、ロボット115は、印刷機140の一部の下に衣類120を動かす。次いで、リフト145は、衣類120を上昇させて、その衣類120を、印刷機140の下側に配置された印刷ヘッドと位置合わせする(例えば、印刷ヘッドから1センチメートル以内又は数ミリメートル以内)。上述したように、リフト145は、(図6A図6Fの場合のように)衣類を保持する取外し可能なキャリアを上昇させることができ、又はロボット115全体を上昇させることができる。あるいは、衣類120を上昇させる代わりに、印刷ヘッドをそれが衣類120から所望の距離になるまで下降させるためにリフト145を印刷機140に統合してもよい。一方、衣類120は、(平坦でないフロア、又はロボットの製造許容範囲に起因して、)ロボット上に置かれたときに地面と水平ではない場合がある。処理ステージは、水平化装置であって、ロボットが、印刷ヘッドの下に位置付けるときに、当該水平化装置上に置かれている、水平化装置を含んでもよい。水平化装置は、ロボットを傾けることができ、これにより、印刷する前に衣類を印刷ヘッドと水平にすることができ、それによって、フロアが平坦でないこと又はロボットの製造許容範囲を補償することができる。
【0030】
図3A及び図3Bは、実施形態による、DTG処理ステージの互いの上方への配置を示す。図3Aは、複数のDTG処理ステージ310が倉庫の異なるフロアに配置された、DTG印刷システム300を示す。図示のように、DTG処理ステージ310Aはフロア1に配置され、DTG処理ステージ310Bはフロア2に配置され、DTG処理ステージ310CはフロアNに配置されている。一実施形態では、特定のフロアのDTG処理ステージ310のタイプは、すべて同じであってもよい。例えば、DTG処理ステージ310Aは前処理装置であってもよく、一方、DTG処理ステージ310BはDTG印刷機でありDTG処理ステージ310Cは乾燥機である。あるいは、フロアは、複数のタイプのDTG処理ステージを有してもよい。例えば、DTG処理ステージ310は衣類取出し装置を含んでもよく、一方、DTG処理ステージ310Bは前処理装置、DTG印刷機、及び乾燥機を含み、DTG処理ステージ310Cは折畳み及びパッケージング装置を含む。
【0031】
システム300は、様々なフロア間でロボット115を移動させるための、エレベータ305を含む。DTG処理ステージを異なるフロアに分離することにより、システム300を含む倉庫の全体的な占有面積を、縮小することができる。
【0032】
図3Aと同様に、図3Bは、DTG処理ステージのうちのいくつかの、互いの上方への配置を示す。しかしながら、図3Bは、DTG処理ステージ375が異なるフロアではなく同じフロアの垂直な積重ね360内に配置された、DTG印刷システム350を示す。例えば、DTG処理ステージ375Aは前処理装置であってもよく、一方、DTG処理ステージ375BはDTG印刷機でありDTG処理ステージ375Cは乾燥機である。任意の種類の支持構造を使用して、処理ステージ375の垂直な積重ね360を形成することができる。
【0033】
エレベータ365は、処理ステージ375間で衣類を移動させることができる。しかしながら、図3Aと同様にロボット115全体を移動させる代わりに、図3Aでは、エレベータ365は、衣類を保持するキャリア370を移動させるに過ぎない。すなわち、エレベータ365は、機械を有してもよく、ここで当該機械は、ロボット115からキャリア370を除去し、及び異なるDTG処理ステージ375間でキャリア370を移動させる。したがって、エレベータという用語は、プラテンのみを持ち上げる装置、さらにはプラテンとロボットの両方を一緒に持ち上げる装置を含むことができる。処理ステージ375は、キャリア370をエレベータ365から除去するための、コンベヤベルト又は軌道を有してもよい。衣類が処理されると、処理ステージ375は、衣類を垂直な積重ね360内の次の処理ステージ375に移動させることができるように、キャリア370を移動させてエレベータ内に戻す。衣類がすべてのステージ375を通って処理されると、エレベータは、持上げ装置を使用して、キャリア370を移動させてロボット115上に戻すことができる。あるいは、エレベータを使用する代わりに、ロボット115は、垂直な積重ね内のDTG印刷機にその後ロードされることができる複数層のプラテンを有するラックを運んでもよい。
【0034】
垂直な積重ね360に加えて、DTG印刷システム350は、垂直な積重ね内に配置されていない、他の処理ステージを含んでもよい。例えば、衣類取出しステーション及びパッケージングステーションは、他のDTG処理ステージと共に垂直な積重ね内にある、ということではなくてもよい。
【0035】
図4A及び図4Bは、実施形態による、自律ロボット115のいくつかの図を示す。図4Aに示すように、キャリア370は、ロボット115の上側に載せられる。一実施形態では、キャリア370は、ロボット115から取外し可能であり、かつキャリア370は、キャリア370がロボット115に適切に取り付けられるように、位置合わせ特徴を有する。さらに、プラテン405は、キャリア370の上側に配置される。本明細書で使用される場合、プラテン405は、デジタル印刷を実行するときに支持を提供するための、衣類120が配置される平らな台である。図1を参照すると、衣類120は、衣類取出しステーション105のうちの1つにおいて、プラテン405に配置される。
【0036】
一実施形態では、衣類は、プラテン405の上に置かれるか、又はプラテン405の上で整えられる。さらに、プラテン405は、プラテンのタイプを識別して、在庫チェックを実行する、コンピュータビジョンによって支援する、及び他の目的のための、RFID及び/又はQRコード(登録商標)を有してもよい。例えば、RFID又はQRコード(登録商標)は、異なるサイズの衣類と共に使用される小型、中型、又は大型プラテン405を識別することができる。衣類がプラテン405上へ整えられる場合、プラテン405は、衣類がプラテン405上に引っ張られることを可能にするために、キャリア370から角度で部分的に上昇させられてもよい。通気ホース又はフィンガは、衣類がプラテン405上へ滑ることができるように、その衣類を開くのに役立ってもよい。プラテン405は、異なるサイズの衣類のために、調整可能とすることができる。プラテン405は、衣類をプラテン405上へ整えることをより容易にするために、様々な形状/輪郭を有してもよい。さらに、衣類がプラテン上に置かれると、フープフレーム及び取付けアセンブリは、ぴんと張った、しわのない、及び印刷の準備ができているように、衣類を保つことができる。
【0037】
図4Bは、ロボット115の下側を示す。ロボット115は、環境内でロボット115をナビゲートするためのモータ及び電源(例えば、バッテリ)も含むことができる駆動システムの一部である車輪410を含む。車輪410が示されているが、ロボット115は、軌道などの他の手段によって動力供給することができる。さらに、ロボット115は、ロボット115のバランスをとるのに役立つ動力供給されない車輪であり得る、キャスタ415を含む。いくつかの実施形態では、キャスタの数及びそれらの位置は、様々であってもよい。
【0038】
ロボット115はまた、カメラ又は近接センサとすることができるセンサ420を含む。例えば、センサ420は、図2に示す方眼及び基準を識別する、カメラであってもよい。あるいは、センサ420を使用して、衝突を防止するために隣接するロボットを検出することができる。センサ420は、ロボット115が環境内を移動するのに役立つ、任意の環境センサとすることができる。例えば、異なるタイプのナビゲーションシステムを使用する場合、センサ420は、磁気又は光学タイプセンサであってもよい。1つのセンサ420が示されているが、ロボット115は、同じタイプ又は異なるタイプの、複数のセンサを有してもよい。
【0039】
図5A及び図5Bは、実施形態による、自律ロボットに対して位置合わせされる取外し可能なキャリア370のいくつかの図を示す。図5Aは、キャリア370がロボット115から取り外された、状態を示す。ロボット115の上側は、キャリア370内の対応する支持特徴(図5Bに示す)とかみ合うためのV字形ガイドを提供する、4つの支持特徴510A~510Dを含む。支持特徴510A~510Dは、キャリア370が支持特徴510A~510D上まで下降させられるとキャリア370が(地面に平行な)x-y平面内で所望される向きをとるように、自己位置合わせするものである。支持特徴510は、V字形として示されているが、それらはまた、U字形又は半円形であってもよい。
【0040】
一実施形態では、キャリア370は、地面表面に平行な平面に沿って衣類を広げるための、少なくとも1つの拡張要素を含む。例えば、1つ以上のばねが、プラテン405の下にあって、プラテン405上に配置された衣類を広げて平らにするためにX及びY方向にプラテンを押し出してもよい。そのようにすることによって、衣類取出し処理によってもたらされたのであり得る衣類のしわが、除去される。広げられた状態になると、衣類を定位置に保持するためにフープフレームをプラテン405に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、プラテンは、異なる衣類サイズに対応するためにばねを使用して適切な位置に引っ張られる、延長セクション(中央にあってもよい)を含む。ばねを使用する代わりに、拡張要素は、衣類を広げて平らにするためにプラテンを押し出す、アクチュエータとすることができる。また、一実施形態では、異なるサイズの衣類に対応するために(テーブルを拡張するための挿入物のように)プラテンに挿入物を追加することによって、プラテン405に拡張されることができる。
【0041】
図5Bは、ロボット115上の支持特徴510A~510Dとかみ合う支持特徴515A及び515Bを含む、キャリア370の下側を示す。図5Bの矢印は、キャリア370の支持特徴515Aの一方の側が支持特徴510Aとかみ合い、一方、支持特徴515Aの他方の側が支持特徴510Cとかみ合うことを示す。矢印はまた、キャリア370の支持特徴515Bの一方の側が支持特徴510Bとかみ合い、一方、支持特徴515Bの他方の側が支持特徴510Dとかみ合うことを示す。
【0042】
矢印505によって示されるようにロボット115上までキャリア370を下降させるとき、キャリア370の向きは、ロボット115の向きと異なってもよい。向きのこの違いを図5Bに示す。しかしながら、それらの向きが略同じである限り、キャリア370上の支持特徴515が支持特徴510のV字形部分に接触するとき、傾斜させられた壁は、ロボット115の向きに実質的に一致するようにキャリア370の向きを調整する。このようにして、支持特徴510、515をかみ合わせることにより、キャリアは、自己位置合わせされる。
【0043】
図5Bはまた、キャリア370の側面に沿ったガイド520を示す。矢印505によって示されるように、これらのガイド520を使用して、取外し可能なキャリア370をロボット115から上昇させ、及びキャリア370をロボット115上まで下降させることができる。
【0044】
図6A図6Fは、実施形態による、DTG処理ステージを実行するために自律ロボットから取外し可能なキャリアを持ち上げることを示す。図6Aは、印刷ヘッド610を含む印刷機140の一部の下の位置へ移動している、ロボット115を示す。例えば、ロボット115は、衣類120及び印刷ヘッド610が向かい合う関係になるように、印刷機140の一部の下をナビゲートするために方眼線605を使用することができる。
【0045】
図6Bは、ロボット115が印刷機140の下の所望の位置に移動したときを示す。衣類120を印刷ヘッドの下の位置に移動させることに加えて、ロボット115もリフト145の2つの部分の間に配置される。すなわち、リフト145は、ロボット115の一方の側に配置される第1の部分610Aと、ロボット115の反対の側に配置される第2の部分610Bとを含む。各部分610は、アーム615を含み、当該アーム615は、ロボット115が印刷ヘッドの下に配置されるときに、キャリア370のガイド520と位置合わせされる。以下で説明するように、これらのアーム615は、次いでガイド520とかみ合って、ロボット115から外れるようにキャリア370を持ち上げ、キャリア370上の衣類と印刷機140の印刷ヘッドとの間の空間距離を減少させる。
【0046】
加えて、リフト145は、アーム615の中央に配置されたVブロック622(例えば、又は他のタイプの位置合わせ面)を含む。Vブロック622によって画定されたV字形状は、第1の方向に延び、一方、アーム615にあるV字形状は、第2の直角方向に延びる。アーム615によって形成されたV字形状が、ガイド520Aとかみ合うのと同時に、Vブロック622は、キャリア370の支持特徴515Aとかみ合うように使用される。
【0047】
一実施形態では、ロボット115の移動は、衣類と印刷ヘッドとの間、及びガイド520/支持特徴515Aとアーム615/Vブロック622との間の粗い位置合わせを提供する。この粗い位置合わせは、ロボット115が方眼線605をたどり印刷ヘッドの下の所望の位置で停止する、能力に基づく。しかしながら、ロボット115の移動の精度は、印刷ヘッドと衣類とが十分に位置合わせされることを、保証するのに十分ではない場合がある。したがって、以下のステップを使用して、リフト145は、衣類(例えば、キャリア370)と印刷ヘッドとの間のより正確な位置合わせを提供することができる。
【0048】
図6Cは、キャリア370のそれぞれの側で、Vブロック622が支持特徴515Aとかみ合いかつアーム615がガイド520とかみ合うまで、矢印625によって示されるようにアーム615を上昇させている、リフト145を示す。リフト145を使用することにより、平坦でない工場フロアでキャリア370がロボット上にありながらの、印刷ヘッドとの垂直位置合わせの問題が、回避される(すなわち、キャリアがロボットに取り付けられたままであった場合である)。以下で説明するように、リフト145は、それがキャリア370をロボットから除去するとき、キャリア370を印刷ヘッドと水平にすることができる。
【0049】
図6D及び図6Eは、Vブロック622及びアーム615の側面図である。具体的には、図6Dは、Vブロック622が支持特徴515Aに最初に接触する時点を示す。図示のように、支持特徴515A(又はより一般的には、キャリア370)は、支持特徴515AがVブロック622の中央に取り付けられていないため、Vブロック622と位置ずれしている。上述したように、この位置ずれは、ロボット115の移動の不精密に起因し得る。しかしながら、リフト145がアーム620を上昇させ続けるにつれて、それは、矢印620によって示されるように自己位置合わせ運動を実行する。言い換えると、Vブロック622のV字形状は、支持特徴515AをVの中央に向かって移動するように促し、それによってキャリア370をリフト145と位置合わせする。このようにして、リフト145が、ロボット115から外れるようにキャリア370を上昇させるにつれて、キャリア370の重量は、支持特徴515AとVブロック622とが自己位置合わせすることを可能にする。結果を図6Eに示し、そこでは支持特徴515Aは、Vブロック622のV字形状の中央に取り付けられている。別の実施形態では、Vブロック622は、U字形であってもよく、又は異なる自己位置合わせする形状を有してもよい。
【0050】
類似の自己位置合わせ又は自己中心合わせ処理は、Vブロック622にあるV字形状に対して直角のアーム615に形成されたV字形状において行うことができる。その場合、ガイド520Aは、アーム615によって形成されたVの側壁に接触してもよく、当該側壁は、ガイド520をV字形状の中央へ追い立ててもよく、それによってキャリア370をリフト145と位置合わせ又は中心合わせしてもよい。一実施形態では、Vブロック622及びアーム615は、ガイド520Aがアーム615に接触する前に支持特徴515AがVブロック622に接触するように、設計される。このようにして、Vブロック622は、キャリア370を第1の方向(例えば、X方向)に位置合わせし、一方、アーム615は、キャリア370を第2の直角方向(例えば、Y方向)に位置合わせする。リフト145及びそのすべての対応する構造は、キャリア370のあらゆる傾きをそのキャリア370が印刷ヘッドに向かって移動させられているときに解消するために、同じ平面(例えば、地面平面に平行であってもよい)に対してキャリブレートされ得る。
【0051】
リフト145のアーム615と印刷機145の印刷ヘッドとの間の位置合わせは、これらの構成要素が倉庫に設置されたとき、正確に制御され得る。したがって、キャリア370をアーム615と位置合わせすることは、本質的にキャリア370を印刷ヘッドと位置合わせする。したがって、キャリア370が、ロボット115に配置されたとき、わずかに外れた向きを有するか、又は正確に水平でない場合、リフト145を使用してキャリア370を上昇させることは、キャリア370の向きを補正し及びそのキャリア370を地面に対して相対的に水平にし得る。これにより、印刷ヘッドによって付けられる画像が、衣類上で正しい向きを有し、かつ衣類が印刷ヘッドと水平でないためにゆがんでいないことが、保証される。さらに、図示されていないが、リフト145は、衣類がいつ、印刷ヘッドにY方向に十分に近く、かつ印刷ヘッドと適切に位置合わせされている(例えば、X平面における補正位置、及び印刷ヘッドと水平)かを決定するためにリフトを制御するための、センサ(例えば、位置及び/又は距離センサ)を含むことができる。これらのセンサは、機械式センサ、光学センサ、及び磁気センサであり得る。さらに、センサは、ロボットの移動システムを調整するために(例えば、一方の車輪が他方より速く回転するときを検出するために)、又はロボットに損傷があるときに、使用することができる。
【0052】
図6Fは、衣類が印刷準備状態になるようにリフト145のアーム615がキャリア370を上昇させたときを示す。いくつかの実施形態では、リフト145はその後、印刷ヘッドが衣類への画像(又は複数の画像)の印刷を終了するまで、キャリア370を静止して安定しているように保持することができる。
【0053】
処理は、次いで、逆進することができ、この場合、リフト145は、キャリア370を下降させてロボット115上に戻す。図5A及び図5Bで説明したように、ロボット上の支持特徴510A~510D及びキャリア370上の支持特徴520A~520Bを使用して、キャリア370をロボット115と再位置合わせすることができる。すなわち、キャリア370の向きが、リフト145によって変更された場合、キャリア370の向きは、キャリア370がロボット115上に下降させられるときに、支持特徴510A~510Dによってロボット115の向きと再中心合わせされることができる。ロボットは、次いで、キャリア370及び衣類を、デジタル印刷処理内の次のステーションに自由に搬送することができる。
【0054】
一実施形態では、衣類に画像を印刷するのに必要とされる時間が理由で、コントローラは、ロボット115に命令して、異なる印刷機140に移動して異なる衣類を取り出してその衣類を次のステーションに移動させるようにしてもよい。すなわち、衣類を印刷機140に運んだ同じロボット115は、印刷が完了すると衣類を取り出す同じロボットではない可能性がある。取外し可能なキャリアがロボットから除去されている任意のときに、これにより、コントローラが、ロボットを遊休して待機して置かれるようにするのではなく、異なる衣類を取り出して移動させるようにロボットを使用することを可能にする。そのようにすることによって、DTG印刷システムが、ロボットが各ステーションで同じ衣類を降ろし及び取り出すことを必要とするシステムと、同じ処理能力を有するけどもより少ないロボットを使用しながらであるようにすることを可能にしてもよい。
【0055】
上述したように、本明細書の実施形態は、衣類及び印刷ヘッドを印刷のための位置に移動させるために、取外し可能なキャリア370を使用することに限定されない。ロボットが持っている衣類と、印刷ヘッドとの間の空間距離を減少させる、任意のアクチュエータを使用することができる。例えば、ロボットは、ロボット全体及びキャリアを持ち上げる、リフトの上を走行してもよい。衣類を水平にすることと、衣類が印刷ヘッドと共に正しい向きを有することを保証することとのために、リフトは、傾き及び回転してもよい。別の例では、リフトは、キャリアを上昇させ、下降させ、及び印刷機と位置合わせするためにロボットに統合されてもよいが、このシステムは、フロアとの高低差を補正する必要があり得る。さらに別の例では、印刷ヘッドを含む印刷機140の一部は、印刷ヘッドとロボット上の衣類との間の垂直距離を減少させるために、(ロボットが静止したままでありながら)下降してもよい。印刷ヘッドは、衣類の面及び向きに一致するために、例えば、平坦でないフロアを補正するか又はロボットによって提供される粗い位置合わせを改善するために、それ自体を水平にし及びその向きを変更することができてもよい。別の実施形態では、衣類を印刷ヘッドと位置合わせするために、印刷機140の一部を移動させるための第1のアクチュエータと、キャリア370を移動させるための第2のアクチュエータとが存在してもよい。
【0056】
さらに、リフト145は、DTG印刷システム内の他のステーションで使用することができる。例えば、前処理溶液を衣類に塗布するときに、類似の持ち上げ処理を実行することが有利であり得る。
【0057】
また、印刷ヘッドによって使用されるインクは、乱雑状態を引き起こし及びロボットを損傷し得るため、印刷機140は、キャリア370の長さ及び幅に一致する寸法を有する、印刷ヘッドの周りに長方形を形成する4つの追加の垂直側面を含んでもよい。したがって、図6Fに示すようにキャリア370が上昇させられると、キャリアは、4つの垂直側面と印刷ヘッドを含む印刷機140の一部と共に印刷機140内に衣類を完全に囲む、ベースを形成する。キャリアを使用して印刷機内に衣類を囲むことにより、完全又は部分的なシールを作り出すことができる。このシールは、印刷処理の一部としてガス、臭気、及び揮発性化学物質を除去するために、囲いを通気するために使用することができる。環境は、囲いを通気し及び有害又は危険なエア又は化学物質を安全に処理するための、排気処理システムを含むことができる。さらに、囲いを形成することにより、印刷処理からのインクがロボット又は倉庫のフロアに噴霧され得る可能性を低減する。キャリア370を上昇させて前処理溶液を衣類に塗布するとき、又は衣類を乾燥させるときに、類似の囲いを形成することができる。
【0058】
囲いが形成されるかどうかにかかわらず、印刷ヘッドは、詰まることを防止する印刷ヘッドの噴霧ノズルのための理想的な環境上の動作状態を確認するために、温度センサ、水分センサ、及び他のセンサを含むことができる。囲いが形成される場合、処理ステージは、印刷機、前処理、乾燥機などがそのチャンバをキャリア370で再シールした後に理想的な環境を再確立する必要があるたびに、シールされた環境内の理想的な状態を維持するための、水分補正装置を含んでもよい。
【0059】
一実施形態では、倉庫は、倉庫内の湿度、微粒子の量、及び汚染物質を監視するための、一般的なセンサを有することができる。倉庫は、汚染物質及び有害ガスを環境から除去するための、真空及び環境エアシステムを有することができる。
【0060】
図7は、一実施形態による、衣類をDTG処理ステージに対して位置合わせするための方法700のフローチャートを示す。例えば、方法700を使用して、自律ロボットが持っている衣類に画像を印刷してもよい。
【0061】
ブロック705では、人間又は取出し装置は、自律ロボットのためのキャリアに衣類を固定する。例えば、図1の取出し装置110は、Tシャツを拾い上げ、そのシャツをキャリア上のプラテンに取り付けてもよい(例えば、図5Aに示される、取外し可能なキャリア370及びプラテン405)。
【0062】
ブロック710では、コントローラは、DTG処理ステージ(例えば、印刷ステーション)に対して相対的に自律ロボットを位置付ける。コントローラから受信した命令に基づいて、駆動システムは、キャリアが上に配置された自律ロボットの、作動を制御してロボットを印刷ステーション又はその近くに位置付けることができる。上述した様々な制御技術及びアルゴリズムのうちのいずれかを使用して、ロボットを環境内で移動させることができる。
【0063】
ブロック715では、コントローラは、リフトを作動させて、衣類を印刷ステーションの印刷ヘッドに対して相対的に位置付ける。一実施形態では、リフトは、自律ロボットからキャリアを除去し、例えば図6A図6Fに示すように、キャリアを印刷ヘッドに対して相対的に処理位置に位置付ける。
【0064】
ブロック720では、印刷ステーションは、印刷ヘッドを動作させて、キャリア上に配置された衣類上に、1つ以上の化学物質(例えば、インク)を与える。すなわち、印刷ヘッドは、衣類又は物品上に、画像を印刷する。
【0065】
ブロック725では、コントローラは、リフトを作動させて、キャリアを印刷ヘッドから遠ざける。例えば、リフトは、図6A図6Fに示されるのとは逆の動作を実行してもよく、この場合、キャリアを印刷ヘッドに向かって上昇させる代わりに、リフトは、待機しているロボット上へ、キャリアを印刷ヘッドから離れるように下降させる。リフトがキャリアから外れると、ロボットは、衣類を異なるステーションに自由に搬送することができる。
【0066】
図8A図8Cは、実施形態による、自律ロボットのいくつかの図を示す。具体的には、図8A図8Cは、プラテン405を有するキャリア815をロボット115上に取り付けるための、図4図5と異なる位置合わせ特徴の使用を示す。図示されていないが、衣類は、衣類取出しステーションのうちの1つにおいて、プラテン405に既に配置されていてもよい。
【0067】
図8Aは、キャリア815の下側、及びロボット115の上側を示す。キャリア815の下側は、受け口810を含み、当該受け口810は、ロボット115の上側のプロング805とかみ合う、開口部(又は、かみ合う雌部材)を画定する。別の実施形態では、位置合わせ特徴は、逆にされていてもよく、この場合、受け口810は、ロボット115の上側にあり、プロング805は、キャリア815の下側から突出している。
【0068】
この実施形態では、プロング805の上端部分は、受け口810との受動的位置合わせを可能にするための、傾斜した側面を有する円錐台形状を有する。したがって、キャリア815をロボット上にロードするときに受け口810とプロング805とが正確に位置合わせされていない場合でも、円錐台形状の上面が受け口内にある限り、傾斜した縁は、受け口810の側面と係合して、キャリア815を正確な位置合わせに促す。したがって、位置合わせ特徴は、自己位置合わせするものである。
【0069】
さらに、ロボット115は、取外し可能なバッテリ820を含み、当該取外し可能なバッテリ820は、再充電が必要なときに、取って代わられることができる。次いで、古いバッテリが再充電されている間に、新しいバッテリをロボット115に入れることができる。したがって、ロボット115は、ロボット115であって、充電ステーションに置かれてそのロボット115のバッテリを再充電するために待たなければならない、ロボット115よりも、ダウンタイムが少なくてもよい。本明細書に記載のロボットのうちのいずれも、取外し可能なバッテリを含むことができる。一方、他の実施形態では、ロボットは、再充電されるために充電ステーションに定期的にパーキングするロボットに頼る、内部バッテリを含んでもよい。
【0070】
図8Bは、プロング805を含むロボット115の上面にキャリア815を配置することを示す。3つのプロング805が図示されているが、ロボット115は、(3つ未満又は3つを超える)任意の数のプロングを有することができる。上述したように、プロング805の円錐台形状は、自己位置合わせを容易にすることができる。一方、自己位置合わせを容易にするために、角錐台又は円錐形状などの形状を使用することができる。プロング805がキャリア815の下側の受け口(この図には示されていない)とかみ合うように、キャリア815を下降させることができる。
【0071】
図8Cは、プロング805をキャリア815の受け口とかみ合わせた結果を示す。次いで、ロボット115は、プラテン405上の衣類を印刷システム内の様々なステージに移動させることができる。さらに、キャリア815は、図4図5のキャリア370のように除去可能であるため、図7の方法700は、実行することができ、この場合、キャリア815は、印刷ステージ、又は印刷処理の他の何らかのステージ中に、ロボット115から除去される。
【0072】
図9A図9Dは、運搬手段901(例えば、ロボット115)に衣類、例えばTシャツをロードするために制御システムが作動させ得る、ロボットアーム902を示す。例えば、図9A図9Dに示す実施形態は、図1の取出し装置110として使用されてもよい。図9Aに示すように、顧客注文に対応するTシャツ904は、異なるサイズ及び/又はスタイル/色の、異なるTシャツの在庫から取り出されてもよい。ロボットアーム902は、複数の自由度を与える関節906と、衣類を握るためのソフトグリッパ908とを含む。
【0073】
図9Cに示すように、実施形態では、ロボットアーム902を使用して、Tシャツ904を把持して、それをプラテン910上に配置するか又はそれをプラテン910上へ引っ張ってもよい。一実施形態では、ロボットアーム902は、各Tシャツ904を個別に把持し及びTシャツをプラテン上に配置する、グリッパ908を装備されている。一実施形態では、ロボット・アーム・グリッパは、ゴム又は類似の材料で作られた外皮を含む、ソフトグリッパであってもよい。いくつかの実施形態では、グリッパフィンガ又はクローは、電気機械式又は空気圧モータを介して開放及び閉鎖されてもよい。一実施形態では、グリッパフィンガは、グリッパがTシャツを把持する能力を、強化する表面特徴を含んでもよい。
【0074】
一実施形態では、図9Cに示すように、ロボットアーム902は、上部フーププレート914を把持してフープフレームを刺繍動作用の下部フーププレート916又はDTG印刷動作用のプラテン上に配置するように動作可能な、フープ・フレーム・グリッパ912を含む。フープ・フレーム・グリッパ912は、磁気力を使用してフープ上部プレート上に対して把持し又はそれを解放してもよい。
【0075】
図9Dに示すように、ロボットアーム902は、その軸の周りを180度又は360度回転することができる。一実施形態では、2つの端を有するロボットアームの一端は、Tシャツを把持するように動作可能なソフトグリッパを含んでもよく、ロボットアームの他端は、グリッパであって、最上部フーププレートを把持して、刺繍処理用の最下部フーププレート上に、又はDTG印刷用のプラテン上に直接、配置するように動作可能な、グリッパを含んでもよい。いくつかの実施形態では、最上部ホッピング・プレート・グリッパは、電磁グリッパである。
【0076】
上述したように、DTG印刷システムの前処理ステーションは、DTG印刷される衣類の表面全体に前処理溶液を塗布してもよく、又は印刷される部分に前処理溶液を塗布するだけでもよい。例えば、印刷領域がTシャツの左前胸部の4インチ×4インチ領域であることを顧客注文が指定した場合、前処理溶液は、シャツのより大きな部分、例えば前部分全体、又はシャツの幅全体にわたる領域の代わりに、その領域にのみ塗布される。
【0077】
図10A図10Bは、図1の前処理装置130として使用され得る、前処理システム1000の実施形態を示す。図示のように、前処理システム1000は、(図1に示す1次又は2次コントローラの一部であり得る)コントローラ1002、前処理溶液リザーバ1004、及び複数の供給ヘッド1006を含む。供給ヘッド1006は、ライン1008によって前処理溶液リザーバ1004に接続されている。前処理システム1000は、各ラインに接続された複数のアクチュエータ1010をさらに含む。アクチュエータ1010は、コントローラ1002に接続された、ポンプ及び/又はバルブであってもよい。一実施形態では、コントローラ1002は、アクチュエータ1010を選択的に作動させて、1つ以上の供給ヘッド1006の、任意の組合せから前処理溶液を供給する。
【0078】
図示のように、供給ヘッド1006は、X方向と考え得る一列に配置してもよい。前処理システム1000は、任意の数の供給ヘッド1006、及び対応するアクチュエータ1010を含んでもよい。
【0079】
前処理システム1000は、プラテン1012をさらに含み、当該プラテン1012はまた、上述の運搬システムの一部であってもよい。プラテン1012は、例えば軌道1014及びはめ歯歯車1016によって、X方向に対して直角のY方向に供給ヘッド1006に対して相対的に移動可能であってもよい。X方向における選択的な供給及びY方向における相対的な移動によって、制御システムは、前処理溶液をプラテン1012上の衣類の任意の部分に選択的に塗布させる一方で衣類の任意の部分を未処理のままにしてもよい。例えば、8つの供給ヘッド1006のアセンブリにおいて、最初の2つが制御システムによってオフにされ次の3つがオンにされ次の2つがオフにされてもよい。コントローラは、プラテンがY方向に移動させられるときに供給を引き起こして衣類の長方形の細分部分が前処理されることをもたらしてもよい。このようにして、任意のパターン及び形状の、1つ以上の前処理領域を衣類に適用してもよい。これは、使用される前処理溶液の量、衣類を前処理する時間の量、並びにDTG印刷の前及び/又は後に衣類を乾燥させる時間の量を低減する上で有益である。
【0080】
一実施形態では、供給ヘッドは、衣類表面から20mm未満に配置されるのであり、かつ、前処理されるX及びY方向の両方の領域を正確に制御するために、図10B図10Cに示すように3mm~10mmであってもよい。実施形態では、各供給ヘッドは、一様にむらなく前処理溶液を供給するための、1つ以上のスロットを含む。実施形態では、前処理溶液供給ヘッドは、所望の領域にわたって一様にむらなく前処理溶液を噴霧するための、複数の微細穴を備える。実施形態では、各前処理溶液供給ヘッドは、前処理溶液を前処理溶液供給ヘッドに運ぶ、1つ以上のチューブ又はホースによってフィードされてもよい。実施形態では、各フィードチューブ又はフィードホース内の流れは、ソレノイドバルブ、空気圧バルブ、又は他の手段によって独立して制御されてもよい。実施形態では、すべての前処理溶液供給ヘッドは、前処理溶液の流れを制御する単一のマニホールドによって制御される。
【0081】
実施形態では、前処理溶液が供給された後、前処理溶液スプレッダ、スクレーパ、又はローラ1018は、前処理溶液を広げることと、前処理溶液の生地への吸収を可能にすることとのために、Tシャツ生地上又はその近くに下降させられてもよい。実施形態では、図10B図10Dに示すように、前処理溶液スプレッダ1018は、前処理溶液供給ヘッドの動作の特定の時点でのみ生地の近くに下降させられるように制御システムによって作動させられてもよい。
【0082】
本開示では、様々な実施形態に言及する。しかしながら、本開示は、特定の記載される実施形態に限定されないことが理解されるべきである。代わりに、以下の特徴及び要素の任意の組合せは、異なる実施形態に関連するか否かにかかわらず、本明細書で提供される教示を実現及び実施するために考慮される。さらに、実施形態の要素が「A及びBのうちの少なくとも1つ」の形式で記載される場合、要素Aを排他的に含む、要素Bを排他的に含む、並びに要素A及びBを含む実施形態が、各々考慮されることが理解されよう。さらに、いくつかの実施形態は、他の可能な解決策を超えるか又は従来技術を超える利点を達成することができるが、所与の実施形態によって特定の利点が達成されるか否かは、本開示を限定するものではない。したがって、本明細書に開示される態様、特徴、実施形態及び利点は、単に例示的であり、特許請求の範囲に明示的に記載されている場合を除いて、添付の特許請求の範囲の要素又は限定とは考えられない。同様に、「本発明」への言及は、本明細書に開示されるいずれの発明の主題の一般化としても解釈されないものとし、特許請求の範囲に明示的に記載されている場合を除いて添付の特許請求の範囲の要素又は限定であるとは考えられないものとする。
【0083】
当業者に理解されるであろうように、本明細書に記載の実施形態は、システム、方法又はコンピュータプログラム製品として具現化してもよい。したがって、実施形態は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、又は、本明細書ではすべて一般的に「回路」、「モジュール」若しくは「システム」と呼ばれ得るソフトウェア及びハードウェア態様を組み合わせた実施形態の形態をとってもよい。さらに、本明細書に記載の実施形態は、1つ以上のコンピュータ可読媒体であって、当該1つ以上のコンピュータ可読媒体上で具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有する、1つ以上のコンピュータ可読媒体で具現化されたコンピュータプログラム製品の形態をとってもよい。
【0084】
コンピュータ可読媒体上で具現化されたプログラムコードは、無線、有線、光ファイバケーブル、RFなど、又は前述のものの任意の適切な組合せを含むがこれらに限定されない、任意の適切な媒体を使用して送信されてもよい。
【0085】
本開示の実施形態のための動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、オブジェクト指向プログラミング言語、例えばJava(登録商標)、Smalltalk、C++など、及び従来の手続き型プログラミング言語、例えば「C」プログラミング言語又は類似のプログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語の任意の組合せで書かれてもよい。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンのソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上でかつ部分的にリモートコンピュータ上で、又は完全にリモートコンピュータ若しくはサーバ上で実行されてもよい。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(local area network:LAN)若しくはワイド・エリア・ネットワーク(wide area network:WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてもよく、又は接続が、(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータに対して作られてもよい。
【0086】
本開示の態様は、本開示の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品の、フローチャート図又はブロック図を参照して本明細書で説明される。フローチャート図又はブロック図の各ブロック、及びフローチャート図又はブロック図内のブロックの組合せは、コンピュータプログラム命令によって実装することができることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャート図又はブロック図のブロックで指定された機能/作用を実装するための手段を作り出すように、機械を製造するための汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されてもよい。
【0087】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読媒体に記憶された命令が、フローチャート図又はブロック図のブロックで指定された機能/作用を実装する命令を含む製造物品をもたらすように、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、又は他のデバイスに特定の態様で機能するように指示することができるコンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。
【0088】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、又は他のデバイス上で実行される命令が、フローチャート図又はブロック図のブロックで指定された機能/作用を実装するための処理を提供するように、コンピュータ実装された処理をもたらすためにコンピュータ、他のプログラム可能な装置、又は他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させるためにコンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、又は他のデバイスにロードされてもよい。
【0089】
図内のフローチャート図及びブロック図は、本開示の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の、可能な実装のアーキテクチャ、機能、及び動作を示す。これに関して、フローチャート図又はブロック図内の各ブロックは、指定された論理的な機能を実装するための1つ以上の実行可能命令を備える、モジュール、セグメント、又はコードの一部を表現してもよい。いくつかの代替的な実装では、ブロック内で言及される機能は、図内で言及される順序から外れて行われてもよいことにも留意すべきである。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には実質的に同時に実行されてもよく、又はブロックは、場合によっては、関連する機能に応じて逆の順序で若しくは順序から外れて実行されてもよい。ブロック図又はフローチャート図の各ブロック、及びブロック図又はフローチャート図内のブロックの組合せは、指定された機能若しくは作用を実行する専用のハードウェアベースのシステム、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令の組合せによって実装できることにも留意されたい。
【0090】
前述のものは、本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他の及びさらなる実施形態は、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく考え出されてもよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
【手続補正書】
【提出日】2022-11-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル印刷処理ステージと、
前記デジタル印刷処理ステージ及び物品の間の相対的な垂直距離を変更するように構成されたアクチュエータと、を備え、
前記物品が、自律ロボットによって搬送されるように構成されたキャリア上で支持され
前記アクチュエータが、前記自律ロボットから外れ且つ前記デジタル印刷処理ステージに向かって前記物品を上昇させるように構成されたリフトの一部であり、前記リフトは、前記キャリアが前記自律ロボットから外れるように上昇させられるときに前記キャリアを水平にするように構成された位置合わせ特徴を備える、システム。
【請求項2】
前記位置合わせ特徴が、前記キャリア上の対応する位置合わせ特徴とかみ合うV字形、U字形、又は半円の特徴を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記キャリアが、前記デジタル印刷処理ステージまで上昇させられると、前記キャリアが囲いの底面の少なくとも一部を形成する、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記囲いが、少なくとも部分的にシールされ、前記デジタル印刷処理ステージが、前記囲い内のエア又は材料を除去するための真空を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
前記物品が前記自律ロボット上に配置されたままであるときに、前記デジタル印刷処理ステージの印刷ヘッドを前記物品に向かって垂直方向に下降させるために、前記アクチュエータが前記デジタル印刷処理ステージ上に配置された、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記デジタル印刷処理ステージが、DTG印刷機を備え、前記アクチュエータが、前記物品に画像を印刷するために前記DTG印刷機の印刷ヘッドが前記物品に対して相対的に少なくとも2つの方向に移動する間、前記物品を固定位置に保持するように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記デジタル印刷処理ステージが、ダイレクト・ツー・ガーメント(DTG)印刷機、DTG前処理ステージ、又はDTG乾燥機のうちの、1つである、請求項1に記載のシステム。
【外国語明細書】