(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089567
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】ドアストッパー及び開き戸の隙間形成方法
(51)【国際特許分類】
E05C 17/54 20060101AFI20230621BHJP
【FI】
E05C17/54
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204164
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000162593
【氏名又は名称】エクシオグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】松永 隆宏
(57)【要約】
【課題】開き戸の扉と戸枠との間に僅かな隙間を生じさせ、これを維持することのできるドアストッパーを提供する。
【解決手段】対向配置された一対の挟持部12と、対を成す挟持部12を接続する接続部14と、挟持部12と接続部14のうちの少なくとも一方の外周に配置された面ファスナー16と、を備え、少なくとも接続部14は可撓性を有し、対を成す挟持部12間の配置距離を拡縮可能とすることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された一対の挟持部と、
対を成す前記挟持部を接続する接続部と、
前記挟持部と前記接続部のうちの少なくとも一方の外周に配置された面ファスナーと、を備え、
少なくとも前記接続部は可撓性を有し、対を成す前記挟持部間の配置距離を拡縮可能とすることを特徴とするドアストッパー。
【請求項2】
前記挟持部及び前記接続部は、共通する弾性部材により構成することを特徴とする請求項1に記載のドアストッパー。
【請求項3】
一対の前記挟持部と前記接続部は、馬蹄形状に形成され、前記面ファスナーは、馬蹄形状の折り返し部において、フック面とループ面の切り替えが成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のドアストッパー。
【請求項4】
一対の前記挟持部と前記接続部は、馬蹄形状に形成され、少なくとも前記接続部は、対を成す接続部の厚みを異ならせていることを特徴とする請求項1または2に記載のドアストッパー。
【請求項5】
請求項1乃至4に記載のドアストッパーのうちの1つを第1ストッパーとして扉の端部を挟持すると共に、前記ドアストッパーのうちの他の1つを第2ストッパーとして戸枠、または両開き戸のうちの閉扉側扉を挟持し、前記第1ストッパーと前記第2ストッパーとを前記面ファスナーにより締結することを特徴とする開き戸の隙間形成方法。
【請求項6】
前記第1ストッパーと前記第2ストッパーとの間に、前記ドアストッパーより成る1乃至複数個の第3ストッパーを配置し、前記面ファスナーにより締結することを特徴とする請求項5に記載の開き戸の隙間形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアストッパーに係り、特に開き戸における扉と戸枠との間に隙間を形成する場合に好適なドアストッパー、及び開き戸の隙間形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信施設などにおいては、隣接する部屋に設置された通信機器や開き戸を備えたラックなどに搭載された通信機器の設定作業を行う際、試験用端末をケーブルで接続して行うこととなる。こうした場合、ケーブルは扉を介して内外の機器を接続することとなるため、扉を閉じる事ができず、いわゆる半開きの状態を維持したまま作業する必要が生じる。従来、このようにして作業を行う場合、養生テープなどで扉と戸枠を接続することで、開扉を防止するようにしていたが、閉扉方向への抗力は得られないため、意図せず扉に閉扉方向の力が加えられた場合には、扉と戸枠との間にケーブルが挟まり、損傷してしまう恐れがあった。
【0003】
こうした実状の中、開き戸の扉を任意の位置で止める技術として、特許文献1に開示されているようなドアストッパーが知られている。すなわち、扉の閉塞側側面の下方に取付けられた台座を起点として上下に回動可能な脚部と、この脚部の先端に設けられた滑り止めキャップから成るものである。このような構成のドアストッパーでは、脚部を床面側に下ろすことで、扉を任意の開閉位置で止めることが可能となる。
【0004】
しかし、このような構成のドアストッパーであっても、ドアストッパーを備えた側面側にしか抗力を生じさせることができず、開閉方向の抗力を得るためには、扉の両側面にストッパーを備え付ける必要が生じ、扉やその扉を備えるラックなどの外観を著しく損なう懸念がある。
【0005】
また、開き戸において、扉と戸枠との間に僅かに隙間を設けたいといったニーズには、特許文献2に開示されているようなドアストッパーを適用することもできる。特許文献2に開示されているドアストッパーは、エラストマーにより構成された馬蹄形のクリップである。このような形態のドアストッパーにより扉の端部を挟み込むことで、扉と戸枠との間にドアストッパーが挟み込まれ、僅かな隙間を維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-278429号公報
【特許文献2】特開平9-60387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
確かに、特許文献2に開示されているドアストッパーであれば、戸枠と扉との間に僅かに隙間を生じさせる事はできると考えられる。しかし、特許文献2に開示されているドアストッパーでは開扉方向への抗力を得る事ができず、意図せず扉が開放され、作業員や周辺機器に接触してしまうといった虞がある。
【0008】
そこで本発明では、開き戸の扉と戸枠との間に僅かな隙間を生じさせ、これを維持することのできるドアストッパー、及びこのドアストッパーを用いた開き戸の隙間形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るドアストッパーは、対向配置された一対の挟持部と、対を成す前記挟持部を接続する接続部と、前記挟持部と前記接続部のうちの少なくとも一方の外周に配置された面ファスナーと、を備え、少なくとも前記接続部は可撓性を有し、対を成す前記挟持部間の配置距離を拡縮可能とすることを特徴とする。
【0010】
また、上記のような特徴を有するドアストッパーでは、前記挟持部及び前記接続部は、共通する弾性部材により構成すると良い。このような特徴を有する事によれば、ドアストッパーの形成が容易となり、製造コストを低減することができる。
【0011】
さらに、上記のような特徴を有するドアストッパーにおいて一対の前記挟持部と前記接続部は、馬蹄形状に形成され、前記面ファスナーは、馬蹄形状の折り返し部において、フック面とループ面の切り替えが成されていると良い。このような特徴を有する事によれば、3つ以上のドアストッパーを隣接配置して締結することも可能となる。
【0012】
さらにまた、上記のような特徴を有するドアストッパーにおいて一対の前記挟持部と前記接続部は、馬蹄形状に形成され、少なくとも前記接続部は、対を成す接続部の厚みを異ならせていると良い。このような特徴を有する事によれば、隣接配置される接続部の厚みの組み合わせにより、戸枠と扉との間に形成される隙間の大きさを調節することが可能となる。
【0013】
また、上記目的を達成するための本発明に係る開き戸の隙間形成方法は、上記ドアストッパーのうちの1つを第1ストッパーとして扉の端部を挟持すると共に、前記ドアストッパーのうちの他の1つを第2ストッパーとして戸枠、または両開き戸のうちの閉扉側扉を挟持し、前記第1ストッパーと前記第2ストッパーとを前記面ファスナーにより締結することを特徴とする。
【0014】
さらに、上記のような特徴を有する開き戸の隙間形成方法では、前記第1ストッパーと前記第2ストッパーとの間に、前記ドアストッパーより成る1乃至複数個の第3ストッパーを配置し、前記面ファスナーにより締結するようにしても良い。このような特徴を有する事によれば、ドアストッパーの数により開き戸の隙間の幅を調節することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
上記のような特徴を有するドアストッパーによれば、開き戸の扉と戸枠との間に僅かな隙間を生じさせ、これを維持することのできる開き戸の隙間形成方法を実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係るドアストッパーの正面構成を示す図である。
【
図2】実施形態に係るドアストッパーの側面構成を示す図である。
【
図3】実施形態に係るドアストッパーを用いて開き戸の隙間形成方法を実施した状態を示す斜視図である。
【
図4】実施形態に係るドアストッパーを用いて開き戸の隙間形成方法を実施した状態を示すドア側矢視図である。
【
図5】開き戸の隙間形成方法の変形例を示すドア側矢視図である。
【
図6】ドアストッパーの構成に関する変形例を示す正面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のドアストッパー、及び開き戸の隙間形成方法に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1、
図2を参照して、本実施形態に係るドアストッパーの構成について説明する。なお、図面において、
図1はドアストッパーの正面構成を示す図であり、
図2は側面構成を示す図である。
【0018】
[構成]
本実施形態に係るドアストッパー10は、挟持部12と接続部14、及び面ファスナー16とを基本として構成されている。挟持部12は、使用形態において扉30(
図3、
図4等参照)の端部、あるいは戸枠32(
図3、
図4等参照)の一部を挟持するための要素であり、一対の挟持部12が対向配置されるように構成されている。
【0019】
接続部14は、上述した一対の挟持部12を接続する要素であり、アーチ状の形態を有する。接続部14をこのような形態とすることで、扉30の端部や戸枠32の一部等の挟持片を避けつつ、挟持部12による挟持片の挟持が可能となる。本実施形態では、上述した挟持部12と接続部14とを同一素材により一体形成しており、全体として馬蹄形状となるように形成されている。挟持部12と接続部14とを同一素材により一体形成することによれば、ドアストッパー10を構成する部品点数を減らす事ができると共に、製造工程が簡易となり、製造コストを低減することが可能となる。
【0020】
挟持部12、及び接続部14を構成する素材については、ゴムやシリコン、発泡ウレタン等のエラストマーを基本とした可撓性を有する弾性部材により構成すると良い。このような構成とすることで、一対の挟持部12の配置間隔を矢印Aの方向へ広げ、扉30や戸枠32を挟み込む事が可能となる。また、挟持部12の配置間隔が広げられた場合、接続部14には反力が生じ、挟持部12の配置間隔を狭めようとする力が生じる。また、素材の特性により挟持部12と挟持片との間の摩擦抵抗を大きくすることができ、ドアストッパー10の脱落を抑制することができる。なお、
図1においては便宜上、挟持部12と接続部14の範囲を二点鎖線で区分けしているが、これは限定的なものでは無く、どの範囲までを挟持部12と呼び、どの範囲からを接続部14と呼ぶかは、製造者、あるいは使用者が定めれば良い。
【0021】
面ファスナー16は、隣接配置されるドアストッパー10同士を締結する役割を担う要素である。具体的には、馬蹄形状を成す挟持部12と接続部14の外周に、フック面やループ面といった作用面を外側に向けた状態で配置している。実施形態に係るドアストッパー10は、少なくとも扉30側に配置されるドアストッパー10(以下、第1ストッパー10aと称す:
図3、
図4等参照)と、戸枠32側に配置されるドアストッパーを(以下、第2ストッパー10bと称す:
図3、
図4等参照)といった複数のドアストッパー10を用いて1つの扉30の開扉状態の制御(隙間の形成)を行うこととなる。このため、第1ストッパー10aと第2ストッパー10bのいずれか一方に配置する面ファスナー16はフック面を有するものとし、第1ストッパー10aと第2ストッパー10bのいずれか他方に配置する面ファスナー16はループ面を有するものとする。このような構成とすることで、隣接配置されたドアストッパー10の締結を図ることが可能となるからである。
【0022】
[作用・効果]
次に、上記のようなドアストッパー10を用いた開き戸の隙間形成方法について説明する。なお、本実施形態では、少なくとも2つのドアストッパー10(第1ストッパー10a、第2ストッパー10b)を用いて開き戸の隙間形成を行う。まず、1つ目のドアストッパー10(第1ストッパー10a)における挟持部12の隙間を拡開し、
図3、
図4に示すように、扉30の端部(
図3、
図4に示す例では下端部)を挟持させる。
【0023】
次に、他の1つ(2つ目)のドアストッパー10(第2ストッパー10b)における挟持部12の隙間を拡開し、
図3、
図4に示すように、戸枠32の一部を挟持させる。なお、戸枠32の挟持位置は、扉30を閉じようとした際、第1ストッパー10aが戸枠32に接触する位置とすれば良い。
【0024】
このようにして、第1ストッパー10aと第2ストッパー10bをそれぞれ扉30と戸枠32に配置した後、扉30を閉じるようにして第1ストッパー10aの面ファスナー16と第2ストッパー10bの面ファスナー16を接触させ、両者を締結させる。
【0025】
このような開き戸の隙間形成方法によれば、2つのドアストッパー10(第1ストッパー10aと第2ストッパー10b)の作用により意図せず扉30が閉じてしまうことを防ぐことができる。また、扉30に固定された第1ストッパー10aと戸枠32に固定された第2ストッパー10bが面ファスナー16により締結されることで、意図せず扉30が開くことも防ぐことができる。よって、扉30と戸枠32の間には、隙間dが維持されることとなる。なお、実施形態に係る開き戸の隙間形成方法を実施するにあたっては、第1ストッパー10aと第2ストッパー10bの配置順序を逆にしたとしても、同様の効果を得る事ができることは言うまでもない。
【0026】
[変形例]
次に、実施形態に係るドアストッパー10、及び開き戸の隙間形成方法に関する変形例について説明する。上記実施形態では、ドアストッパー10は、第1ストッパー10aと第2ストッパー10bとが有り、それぞれ面ファスナー16の作用面の形態が異なる(フック面であるかループ面であるか)旨説明した。しかしながら、ドアストッパー10に配置する面ファスナー16は、接続部の中点、すなわち馬蹄形状の折り返し部において、フック面とループ面を切り替えるようにしても良い。
【0027】
面ファスナー16の構成をこのようなものとすることで、1種類のドアストッパー10であっても、その表裏を変えるだけで左右の面ファスナー16における作用面の性状を変えることができ、隣接配置されたドアストッパー10同士を面ファスナー16により締結することが可能となるからである。
【0028】
また、このような構成のドアストッパー10を用いるようにした場合、
図5に示すように、3つ以上のドアストッパー10(第1ストッパー10a、第2ストッパー10b、第3ストッパー10c)を並べて締結する事も可能となる。このため、配置するドアストッパー10の数、具体的には第3ストッパー10cとして配置されるドアストッパー10の数を変えることで、開き戸の隙間d(
図4参照)を任意に変化させる事ができるようになる。
【0029】
また、上記実施形態に係るドアストッパー10は、馬蹄形状の折り返し部を中心として線対称な形態であるように示している。しかしながら本発明に係るドアストッパー10は、
図6(A)、(B)に示すように、接続部14の厚みを、馬蹄形状の折り返し部の左右において異ならせる形態としても良い。また、接続部14の厚みを異ならせる場合、第1ストッパー10aと、第2ストッパー10bとにおいても、その厚みに違いを持たせるようにすることができる。例えば
図6に示す例の場合、第1ストッパー10aにおける接続部14a1の厚みΔd1を1cm、接続部14a2の厚みΔd2を2cmとし、第2ストッパー10bにおける接続部14b1の厚みΔd3を1cm、接続部14b2の厚みΔd4を3cmとしている。
【0030】
このような構成とした場合、接続部14a1と接続部14b1を隣接させて配置した場合には、開き戸の隙間d(
図4参照)は、2cmとなる。また、接続部14a2と接続部14b1を隣接させて配置した場合には、開き戸の隙間(
図4参照)は、3cmとなる。同様にして、接続部14a1と接続部14b2では4cm、接続部14a2と接続部14b2では5cmとすることができるようになる。
【0031】
また、上記実施形態では、挟持部12と接続部14は、エラストマーなどにより一体形成する旨記載している。しかしながら、本発明に係るドアストッパー10は、接続部14を介して連結されている一対の挟持部12の配置距離を変化させることが可能であれば良いため、接続部14を可撓性を有する金属(バネ素材)等により構成するようにしても良い。
【0032】
なお、上記実施形態では、ドアストッパー10は、扉30と戸枠32に配置するように記載しているが、開き戸が両開きの扉である場合には、第1ストッパー10aを開いている扉の端部に配置し、第2ストッパー10bを閉じている扉の端部に配置するようにしても良い(不図示)。
【0033】
また、上記実施形態では、面ファスナー16について、挟持部12と接続部14とを覆うように配置しているように示しているが、面ファスナー16は、隣接配置されるドアストッパー10を締結できれば良い。このため、挟持部12、あるいは接続部14の一部のみに面ファスナー16を備える構成としても良い。
【符号の説明】
【0034】
10………ドアストッパー、10a………第1ストッパー、10b………第2ストッパー、12………挟持部、14(14a1,14a2,14b1,14b2)………接続部、16………面ファスナー、30………扉、32………戸枠。