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特開2023-89594画像情報処理装置、点検支援装置、並びに方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089594
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】画像情報処理装置、点検支援装置、並びに方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/33 20170101AFI20230621BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230621BHJP
   G06T 7/521 20170101ALI20230621BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20230621BHJP
【FI】
G06T7/33
G06T7/00 C
G06T7/521
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204195
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】杉本 洋平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義人
(72)【発明者】
【氏名】照沼 博之
【テーマコード(参考)】
5L049
5L096
【Fターム(参考)】
5L049CC15
5L096AA02
5L096AA06
5L096AA09
5L096BA03
5L096CA02
5L096CA18
5L096EA03
5L096FA69
5L096GA06
5L096GA40
5L096HA07
(57)【要約】
【課題】高解像度・CAD差分を含む点群画像を実用的な時間で表示可能とする画像情報処理装置、点検支援装置、並びに方法を提供する。
【解決手段】現場の機器に向けられたカメラとレーザスキャナから画像と高密度な点群を入力し、計算機装置の演算部において情報処理する画像情報処理装置であって、演算部は、高密度な点群を間引き処理して低密度な点群とする点群間引き部と、画像上に、低密度な点群の情報を連携して配置した点群―画像連携情報を得る点群―画像連携部の機能を備えるとともに、複数ピクセルで構成される画像は、画像上のピクセルの位置情報と色情報を含み、点群は機器とレーザスキャナの間の位置情報と色情報を含み、画像の位置情報と点群の位置情報により、画像上に、低密度な点群の情報を連携することを特徴とする画像情報処理装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現場の機器に向けられたカメラとレーザスキャナから画像と高密度な点群を入力し、計算機装置の演算部において情報処理する画像情報処理装置であって、
前記演算部は、前記高密度な点群を間引き処理して低密度な点群とする点群間引き部と、前記画像上に、前記低密度な点群の情報を連携して配置した点群―画像連携情報を得る点群―画像連携部の機能を備えるとともに、
複数ピクセルで構成される前記画像は、画像上のピクセルの位置情報と色情報を含み、前記点群は前記機器と前記レーザスキャナの間の位置情報と色情報を含み、前記画像の位置情報と前記点群の位置情報により、前記画像上に、前記低密度な点群の情報を連携することを特徴とする画像情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像情報処理装置であって、
前記演算部は、現場の前記機器の構造と属性情報を含むCADモデルと前記低密度な点群を照合して点群―CAD連携情報を得る点群―CAD照合部の機能を備えるとともに、
前記CADモデルが有する前記機器の構造に含まれる位置情報と、前記点群の位置情報により、前記CADモデルと前記低密度な点群を照合して前記点群―CAD連携情報を得ることを特徴とする画像情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像情報処理装置であって、
前記演算部は、前記点群―画像連携情報と前記点群―CAD連携情報を連携して点群―画像―CAD連携情報を得る点群―画像―CAD連携部の機能を備えることを特徴とする画像情報処理装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の画像情報処理装置であって、
前記点群―CAD連携情報は、前記CADモデルが有する前記機器の構造に含まれる位置情報と前記点群の位置情報の差分を含むことを特徴とする画像情報処理装置。
【請求項5】
現場の機器に向けられたカメラおよびレーザスキャナと、前記カメラおよび前記レーザスキャナから画像と高密度な点群を入力する入力部と、前記入力部からの情報を処理する演算部と、前記演算部の処理結果を表示する表示部とを備える点検支援装置であって、
前記演算部は、前記高密度な点群を間引き処理して低密度な点群とする点群間引き部と、前記画像上に、前記低密度な点群の情報を連携して配置した点群―画像連携情報を得る点群―画像連携部の機能を備え、前記点群―画像連携情報を前記表示部に表示するとともに、
複数ピクセルで構成される前記画像は、画像上のピクセルの位置情報と色情報を含み、前記点群は前記機器と前記レーザスキャナの間の位置情報と色情報を含み、前記画像の位置情報と前記点群の位置情報により、前記画像上に、前記低密度な点群の情報を連携することを特徴とする点検支援装置。
【請求項6】
請求項5に記載の点検支援装置であって、
前記演算部は、現場の前記機器の構造と属性情報を含むCADモデルと前記低密度な点群を照合して点群―CAD連携情報を得る点群―CAD照合部の機能を備え、前記点群―CAD連携情報を前記表示部に表示するとともに、
前記CADモデルが有する前記機器の構造に含まれる位置情報と、前記点群の位置情報により、前記CADモデルと前記低密度な点群を照合して前記点群―CAD連携情報を得ることを特徴とする点検支援装置。
【請求項7】
請求項6に記載の点検支援装置であって、
前記演算部は、前記点群―画像連携情報と前記点群―CAD連携情報を連携して点群―画像―CAD連携情報を得る点群―画像―CAD連携部の機能を備え、前記点群―画像―CAD連携情報を前記表示部に表示することを特徴とする点検支援装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の画像情報処理装置であって、
前記点群―CAD連携情報は、前記CADモデルが有する前記機器の構造に含まれる位置情報と前記点群の位置情報の差分を含むことを特徴とする画像情報処理装置。
【請求項9】
現場の機器に向けられたカメラとレーザスキャナから画像と高密度な点群を入力し、計算機装置の演算部において情報処理する画像情報処理方法であって、
前記演算部は、前記高密度な点群を間引き処理して低密度な点群とし、前記画像上に、前記低密度な点群の情報を連携して配置した点群―画像連携情報を得るとともに、
複数ピクセルで構成される前記画像は、画像上のピクセルの位置情報と色情報を含み、前記点群は前記機器と前記レーザスキャナの間の位置情報と色情報を含み、前記画像の位置情報と前記点群の位置情報により、前記画像上に、前記低密度な点群の情報を連携することを特徴とする画像情報処理方法。
【請求項10】
現場の機器に向けられたカメラおよびレーザスキャナから画像と高密度な点群の情報を得、前記情報を処理し、処理結果を表示する点検支援方法であって、
前記高密度な点群を間引き処理して低密度な点群とし、前記画像上に、前記低密度な点群の情報を連携して配置した点群―画像連携情報を得、前記点群―画像連携情報を表示するとともに、
複数ピクセルで構成される前記画像は、画像上のピクセルの位置情報と色情報を含み、前記点群は前記機器と前記レーザスキャナの間の位置情報と色情報を含み、前記画像の位置情報と前記点群の位置情報により、前記画像上に、前記低密度な点群の情報を連携することを特徴とする点検支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザスキャナから得た画像情報を処理する画像情報処理装置、点検支援装置、並びに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種プラントなどの設備において、その監視や点検を目的としてカメラやスキャナから得た情報を、それぞれの目的に応じて処理し、その結果を監視や制御などに反映することが広く行われている。
【0003】
例えば原子力発電所では、安全性の向上のために現場点検を実施し、設計と施工の差、設備の劣化などを確認するが、作業員等の現地移動、入構手続きなど含め点検工数が過大になるという課題がある。これに対し、プラント安全、サイバーセキュリティの観点から、カメラ・IoT機器・無線を活用したリアルタイム遠隔点検とすることが考えられるが、その実現は困難である。
【0004】
この点において、レーザスキャナで計測する点群/画像、設計CADモデルを活用し、VR空間上で現場点検を実施できるシステムが点検工数低減に有効であると考えられている。この技術に関し、例えば特許文献1では、設備点検結果の記録を効率化するため、レーザスキャナから取得する点群を画像に変換して表示(点群画像)して、CADモデル化を支援し、点群画像とCADモデルの重畳表示も可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-10455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1によれば、点群画像表示が実現可能である。しかしながら、実用的な描画処理速度を確保するためには、点群を間引く必要があるが、生成される点群画像の解像度も低下するため、小さい物体(ボルト等)や、スキャン位置から離れた部位の点検には適用不可である。
【0007】
また、設計と施工の差を比較するためには、点群をCADモデルに変換する必要がある。そのため、CADモデルへの自動変換が可能な簡易形状(配管貫通孔など)以外は、VR点検するために多大なモデリング工数が必要となる。
【0008】
以上のことから本発明においては、高解像度・CAD差分を含む点群画像を実用的な時間で表示可能とする画像情報処理装置、点検支援装置、並びに方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上のことから本発明においては「現場の機器に向けられたカメラとレーザスキャナから画像と高密度な点群を入力し、計算機装置の演算部において情報処理する画像情報処理装置であって、演算部は、高密度な点群を間引き処理して低密度な点群とする点群間引き部と、画像上に、低密度な点群の情報を連携して配置した点群―画像連携情報を得る点群―画像連携部の機能を備えるとともに、複数ピクセルで構成される画像は、画像上のピクセルの位置情報と色情報を含み、点群は機器とレーザスキャナの間の位置情報と色情報を含み、画像の位置情報と点群の位置情報により、画像上に、低密度な点群の情報を連携することを特徴とする画像情報処理装置」としたものである。
【0010】
また本発明においては「現場の機器に向けられたカメラおよびレーザスキャナと、カメラおよびレーザスキャナから画像と高密度な点群を入力する入力部と、入力部からの情報を処理する演算部と、演算部の処理結果を表示する表示部とを備える点検支援装置であって、演算部は、高密度な点群を間引き処理して低密度な点群とする点群間引き部と、画像上に、低密度な点群の情報を連携して配置した点群―画像連携情報を得る点群―画像連携部の機能を備え、点群―画像連携情報を表示部に表示するとともに、複数ピクセルで構成される画像は、画像上のピクセルの位置情報と色情報を含み、点群は機器とレーザスキャナの間の位置情報と色情報を含み、画像の位置情報と点群の位置情報により、画像上に、低密度な点群の情報を連携することを特徴とする点検支援装置」としたものである。
【0011】
また本発明においては「 現場の機器に向けられたカメラとレーザスキャナから画像と高密度な点群を入力し、計算機装置の演算部において情報処理する画像情報処理方法であって、
前記演算部は、高密度な点群を間引き処理して低密度な点群とし、画像上に、低密度な点群の情報を連携して配置した点群―画像連携情報を得るとともに、複数ピクセルで構成される画像は、画像上のピクセルの位置情報と色情報を含み、点群は機器とレーザスキャナの間の位置情報と色情報を含み、画像の位置情報と点群の位置情報により、画像上に、低密度な点群の情報を連携することを特徴とする画像情報処理方法」としたものである。
【0012】
また本発明においては「現場の機器に向けられたカメラおよびレーザスキャナから画像と高密度な点群の情報を得、情報を処理し、処理結果を表示する点検支援方法であって、高密度な点群を間引き処理して低密度な点群とし、画像上に、低密度な点群の情報を連携して配置した点群―画像連携情報を得、点群―画像連携情報を表示するとともに、複数ピクセルで構成される画像は、画像上のピクセルの位置情報と色情報を含み、点群は機器とレーザスキャナの間の位置情報と色情報を含み、画像の位置情報と点群の位置情報により、画像上に、低密度な点群の情報を連携することを特徴とする点検支援方法」としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高解像度・CAD差分を含む点群画像を実用的な時間で表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例に係る画像情報処理装置を用いた点検支援装置の全体構成例を示す図。
図2】レーザスキャナ11で計測する環境の例を示す図。
図3】レーザスキャナ11で計測して得られた高密度な点群D1aの一例を示す図。
図4】点群D1aのデータ構成一例を示す図。
図5】間引き処理により得られた低密度な点群D2の一例を示す図。
図6】レーザスキャナ計測で得られた写真のデータ(ピクセル)D1bの一例を示す図。
図7】画像左上を原点として縦軸Ix、横軸IYの座標(画像座像)により、各ピクセルの情報として表した図。
図8】点群D2と画像D1bを連携処理した後の状態を例示した図。
図9】点群―画像連携後の点群―画像連携データD4の構成例を示す図。
図10】点群―CAD照合部23の処理内容を示す図。
図11】点群―画像―CAD連携部24の処理内容を示す図。
図12】点群―画像―CAD連携情報D6による画像表示例を示す図。
図13】点群―画像―CAD連携情報D6による画像表示例を示す図。
図14】点群―画像連携部22における点群―画像連携処理のフローを示す図。
図15】点群画像を作成する方法(間引き前の点群)を示す図。
図16】点群D2をパノラマ画像状に並べた状態を示す図。
図17】点群―CAD照合部23における点群―CAD連携処理のフローを示す図。
図18】点群―画像―CAD連携部24における点群―画像―CAD連携処理のフローを示す図。
図19】表示部12における表示処理のフローを示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例0016】
図1は、本発明の実施例に係る画像情報処理装置を用いた点検支援装置の全体構成例を示す図である。
【0017】
図1において点検支援装置10は、レーザスキャナ11から得たプラントの画像情報を画像情報処理装置20で処理し、表示装置12に処理結果を出力することで、プラントの点検を支援するための情報を提示する。
【0018】
計算機装置のデータベースと演算部により構成される画像情報処理装置20は、データベースとして高解像度な画像情報D1を記憶する高解像度画像データベースDB1、低密度な点群情報D2を記憶する低密度点群データベースDB2、CADモデル情報D3を記憶するCADモデルデータベースDB3、点群―画像連携情報D4を記憶する点群―画像連携データベースDB4、点群―CAD連携情報D5を記憶する点群―CAD連携データベースDB5、点群―画像―CAD連携情報D6を記憶する点群―画像―CAD連携データベースDB6を備えている。
【0019】
また演算部における処理内容を機能的に表すと、点群間引き部21、点群―画像連携部22、点群―CAD照合部23、点群―画像―CAD連携部24の各処理機能を備えている。
【0020】
以下、点検支援装置10を構成する各機能及び各部で取り扱う情報について具体事例をもって説明する。まずレーザスキャナ11に関して図2はレーザスキャナ11で計測する環境の例を示しており、この例では原子力発電所などのプラントにカメラを搭載するレーザスキャナ11を配置し、壁Wを背景にして床13上に設置された監視対象物である機器14及び配管15a、15bにレーザ16を照射することで、プラント内の環境を画像情報D1として取得する。
【0021】
ここで画像情報D1とは、レーザスキャナ11で計測して得られた高密度な点群D1aと、レーザスキャナ計測で得られたカメラによる写真のデータ(ピクセル)D1bを含む情報である。なお写真のデータ(ピクセル)D1bを単に画像ということがある。
【0022】
図3は、レーザスキャナ11で計測して得られた高密度な点群D1aの一例を示す図である。また図4は、点群D1aのデータ構成例を示す図である。この図によれば、点群D1aのデータは、例えばレーザスキャナ11の設置位置を基準位置0とするX軸、Y軸、Z軸の3次元位置情報Pと、レーザ照射点の色情報(RGB)により構成されている。点群D1aは、高解像度画像データベースDB1に記憶されている。
【0023】
図1の点群間引き部21では、レーザスキャナ11で計測して得られた高密度な点群D1aに対して間引き処理を実行し、例えば図5に例示されるような低密度な点群D2を得る。間引きの考え方としては、均等に間引いてもよいし、所定の規則に従って間引くものであってもよい。所定の規則とは例えば、隣接する点間でレーザスキャナ11からの距離が同じである、或は色相の変化が少ないといった場合には間引き量を多くするなどである。間引き処理実行後の低密度な点群D2は、図4と同じデータ構成を有しており、低密度点群データベースDB2に記憶される。
【0024】
図6は、レーザスキャナ計測で得られた写真のデータ(ピクセル)D1bの一例を示す図である。図6は、壁Wや床13を背景とし、監視対象物である機器14や配管15a、15bを映した画像の例である。図7は、例えば画像左上を原点として縦軸Ix、横軸IYの座標(画像座像)により、各ピクセルの情報として表したものである。図7の写真データD1bは、画像座標(縦軸Ix、横軸IY)の情報とレーザ照射点の色情報(RGB)により構成されている。なお各ピクセルは、色情報(RGB)を持っている。写真データD1bは、高解像度画像データベースDB1に記憶されている。
【0025】
図1に戻り、点群―画像連携部22では、図5の間引き処理実行後の低密度な点群D2と、図6の画像D1bを連携する処理を実施する。これは、画像D1bの情報に低密度な点群D2の情報を加味することであり、画像D1bは画像左上を原点とする画像座標(縦軸Ix、横軸IY)の情報を有し、他方間引き後の点群D2はレーザスキャナ11の設置位置を基準位置0とするX軸、Y軸、Z軸の3次元位置情報Pを有しており、これら2つの座標には相関があることから、相互での座標変換が可能である。これにより、両者の情報をマージすることができる。
【0026】
図8は、点群D2と画像D1bを連携処理した後の状態を例示したものであり、壁Wや床13を背景とし、機器14や配管15a、15bを映した画像の上に、「●」で示す間引き後の点群D2を配置したものである。
【0027】
また図9は、点群―画像連携後の点群―画像連携データD4の構成例を示している。点群―画像連携データD4は、2つの座標系(縦軸Ix、横軸IYの画像座像系Iと、X軸、Y軸、Z軸の3次元座標系P)と色情報C(RGB)により構成されている。但し、点群が存在するピクセルはRGBとXYZ値を持つ。点群が存在しないピクセルはRGBのみ持つ。点群―画像連携後の点群―画像連携データD4は、点群―画像連携データベースDB4に記憶される。
【0028】
図1に戻り、点群―CAD照合部23では、CADモデルデータベースDB3に保持している監視対象物の情報D3と、低密度点群データベースDB2に記憶している低密度な点群情報D2を照合する。
【0029】
図10は、点群―CAD照合部23の処理内容を示した図であり、まず左上には監視対象物である機器14及び配管15a、15bのCADモデルが示されており、CADモデルデータベースDB3にはこれらの寸法、構成、素材や各種属性の情報D3が保有されている。また右上には同じ監視対象物である機器14及び配管15a、15bの低密度点群D4が示されており、低密度点群データベースDB2には図4に例示したような点群の3次元座標位置Pの情報と色情報Cが保有されている。
【0030】
点群―CAD照合部23では、CADモデルの情報D3と点群D4が有する位置情報を用いて、CADモデルの情報D3と点群の情報D4を照合し、マージする。この処理では、単なる情報の連携、整理にとどまらず、監視対象物である機器14及び配管15a、15bについての2つの情報の情報差分を値として求めている。これらは機器14や配管15a、15bについての大きさの差分や、設置位置のずれを示す差分の情報である。図10の下には、この称号処理により得られた点群―CAD連携情報D5の一例を示しており、この情報は点群―CAD連携データベースDB5に保持される。
【0031】
点群―画像―CAD連携部24の処理について図11を用いて説明する。図11の左側には点群―画像連携データベースDB4に記憶された点群―画像連携情報D4の一例(図9)を、右側には点群―CAD連携データベースDB5に記憶された点群―CAD連携情報D5の一例(図10)を示している。これらの情報D4、D5はいずれもX軸、Y軸、Z軸の3次元位置情報Pを含むことから、これをキー情報としてこれらのデータをマージして図11下側の点群―画像―CAD連携情報D6を作成することができる。
【0032】
図12図13は、最終的に作成された点群―画像―CAD連携情報D6を用いて表示部12に表示する画像表示例を示している。このうち図12の画像表示例によれば、各点に付与されたCADモデルIDに基づき、配管、機器、その他の壁や床の部分の点群はそれぞれの部位に応じた色分け表示がされている。また、各点は最も近いCADモデルのIDが付与される。また、クリックしたピクセル(またはそれに最も近いピクセルの)に格納されているCADモデルIDを表示できる。
【0033】
図13の表示例では、CADモデルと点群の間の位置や大きさの差分に応じた色分けをしている。R1で示す領域において差分が多く出ており、R2で示す領域において差分が中程度であり、R3で示す領域では差分が少ないという傾向があることを表示して認識可能としている。
【0034】
図14は、点群―画像連携部22における点群―画像連携処理のフローを示す図である。この処理ではまず処理ステップS21において、レーザスキャナ11で計測した高密度な点群の情報D1bとして、高解像度な画像情報D1を記憶する高解像度画像データベースDB1から(x、y、z、r、p、g)を読みこむ。
【0035】
処理ステップS22では、スキャン情報を取得する。ここでスキャン情報とは、レーザスキャナの原点座標、レーザ照射範囲(φ方向およびθ方向に関する最大/最小角)、およびレーザ照射間隔(φ方向およびθ方向のレーザ照射間隔、または、レーザ照射数)などである。
【0036】
図15は、点群画像を作成する方法(間引き前の点群)を示す図であり、この図によりレーザスキャナ11のレーザ照射範囲、照射間隔について説明する。
【0037】
図15左側にレーザスキャンの概念を示しているが、レーザスキャナ11の計測では、まずθ方向に0°~約180°までレーザを一定間隔で照射する。次に、スキャナ駆動部をφ方向に一定間隔回転させ、再びφ方向にレーザを一定間隔で照射する。これをφ方向に0°~約360°となるまで繰り返し、360°の点群を取得する。
【0038】
図15右側に格子状に並べた点群を示しているが、レーザスキャナ11で計測した点群データは、スキャナ付属ソフトによりレーザ照射順に点が並んだ整列点群(PTXやe57と呼ばれるファイル形式)で保存できる。整列点群には、以下の情報が入っている。これらは、レーザスキャナで計測した点群のレーザ照射順序、レーザ照射範囲(φ方向およびθ方向に関する最大/最小角)、レーザ照射間隔(φ方向およびθ方向のレーザ照射間隔、または、レーザ照射数)である。この情報を元に、整列点群を図15右のように格子状に並べると、パノラマ画像状の点群画像を作成できる(各ピクセルには点が格納されているx、y、z、r、g、b)。なお、ここでφ、θは角度、Ix、Iyはピクセル番号であり、角度とピクセル番号は相互に変換可能である。またすべてのピクセルには点が格納されている。
【0039】
処理ステップS23では、レーザスキャナ11で計測して得られた高密度な点群D1aに対して間引き処理を実行し、例えば図5に例示されるような低密度な点群D2を得る。間引き手法は公知のものが適用でき、等間隔(一定距離間隔)での間引き、あるいはランダムな間引きのいずれであってもよい。
【0040】
処理ステップS24では、処理ステップS22で取得したスキャン情報を用いて、点群D2をパノラマ画像状に並べる。図16は、点群D2をパノラマ画像状に並べた状態を示している。図15のピクセル上に点群を配置している。図16により、点群画像を作成する方法(間引き後の点群)について説明する。このとき、間引きされた点群は整列していない(レーザ照射順序にならんでいない)ため、そのままでは簡単に格子状に並べられないことから、例えば以下のような処理を行う。
【0041】
まず、スキャナ原点座標0と各点座標との位置関係から、各点のφとθを計算する。これは公知の方法で数学的に算出すれば良い。次に、各点のφとθ、および、事前に取得しておいたレーザ照射範囲(φmax、φmin、θmax、θmin)、および、照射間隔(Δφ、Δθ)を用いて、各点の画像座標を計算する。例えば、φ方向のピクセル番号についてIx=(φ-φmin)÷(φmax-φmin)×φmax-φmin)÷Δφとし、θ方向のピクセル番号についてIy=(θ-θmin)÷(θmax-θmin)×(θmax-θmin)÷Δθを演算する。
【0042】
処理ステップS25では、レーザスキャナ11に搭載されたカメラで撮影されたパノラマ画像を読込む。これは図6の情報である。
【0043】
処理ステップS25では、パノラマ画像の画角が360°を超過して重複部が存在する場合には、重複部を除去する。この処理は、公知の画像処理技術を用いて実施することができる。
【0044】
処理ステップS26では、カメラ画像と点群画像のピクセルを重ね合わせて、カメラ画像の各ピクセルに点群データ(X、Y、Z)を付与する。この一連の処理により、点群―画像連携情報D4が生成され、点群―画像連携データベースDB4に記憶される。
【0045】
図17は、点群―CAD照合部23における点群―CAD連携処理のフローを示す図である。この処理ではまず処理ステップS31において、図14の点群-画像連携処理の処理ステップS3で間引きした点群D2を取得し、処理ステップS32において、CADモデルD3を取得する。
【0046】
処理ステップS33において、これらの点群D2とCADモデルD3を位置合わせし、処理ステップS34において、点群とCADモデルを連携して、機器14や配管15a、15bの位置や大きさについての差分を計算する。処理ステップS35では、各点に対して最も近いCADモデルのID、および、その差分(距離)を付与する。この一連の処理により、点群―CAD連携情報D5が生成され、点群―CAD連携データベースDB5に記憶される。
【0047】
図18は、点群―画像―CAD連携部24における点群―画像―CAD連携処理のフローを示す図である。この処理ではまず処理ステップS41において、点群―画像連携データベースDB4から点群―画像連携情報D4を取得し、処理ステップS42において、点群―CAD連携データベースDB5から点群―CAD連携情報D5を取得し、点群の三次元座標X、Y、Zが一致する場合にデータを結合する。この一連の処理により、点群―画像―CAD連携情報D6が生成され、点群―画像―CAD連携データベースDB6に記憶される。
【0048】
図19は、表示部12における表示処理のフローを示す図である。この処理ではまず処理ステップS51において、点群-画像-CAD連携データベースDB6から点群―画像―CAD連携情報D6を取得する。処理ステップS52では、画像を表示するが、CADモデルIDや、差分を用いて各点を色分け表示することが可能である。
【0049】
処理ステップS53では、ユーザが図1に図示せぬマウスなどの入力部からクリックしたピクセルの座標(Ix、Iy)を取得する。
【0050】
以上述べた本発明の実施例によれば、レーザスキャナ11で計測する高解像度な画像D1aと、間引きされた低密度な点群D2を連携することで、高解像度かつ軽量な点群画像D4を生成することができる。また点群D2とCADモデルD3を照合してその差分を検出することで、設備形状に左右されずに設計と施工の差を比較可能とすることができる。
【0051】
これはレーザスキャナで計測する点群D2・画像D1a、および、設計CADモデルD3を連携することにより達成されることであり、レーザスキャナ11で計測可能なすべての設備について、VR空間上で点検が可能である。このことは、原子力設備など作業員の立ち入りが困難な、制約を受けるプラント設備の場合であっても、立ち入りを必要としなくても、現場に行かずに発電所の設備を点検することができ、かつ点検日数は2週間を1日程度に短縮することができる。
【0052】
本発明により、高解像度・CAD差分を含む点群画像を実用的な時間で表示可能であり、例えば処理時間が100秒から5秒に低減でき、点群とCADを比較することでしか得られない情報(点群とCADの差分、設備名などの属性)が、画像上に表示できる。
【符号の説明】
【0053】
10:点検支援装置
11:レーザスキャナ
12:表示装置
20:画像情報処理装置
21:点群間引き部21
22:点群―画像連携部
23:点群―CAD照合部
24:点群―画像―CAD連携部
D1:高解像度な画像情報
DB1:高解像度画像データベース
D2:低密度な点群情報
DB2:低密度点群データベース
D3:CADモデル情報
DB3:CADモデルデータベース
D4:点群―画像連携情報
DB4:点群―画像連携データベース
D5:点群―CAD連携情報
DB5:点群―CAD連携データベース
D6:点群―画像―CAD連携情報
DB6:点群―画像―CAD連携データベース
図1
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