(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089624
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】電動歯ブラシ用替えブラシ及び電動歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
A46B 13/02 20060101AFI20230621BHJP
A61C 17/34 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
A46B13/02
A61C17/34 E
A61C17/34 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204227
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅景 悠平
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA07
3B202AB15
3B202BA01
3B202BC04
3B202BE10
3B202EA01
3B202EA03
(57)【要約】
【課題】ブラシ部の毛先の動きが大きく清掃性が高い電動歯ブラシ用替えブラシ及び電動歯ブラシを提供する。
【解決手段】
電動歯ブラシ本体2に脱着自由な替えブラシは、駆動部2cが内部に収容された柄体10と、柄体10の先端側部分の前面側に設けられ、複数の毛束が植毛された植毛台21と、駆動部2cから伝達される往復直線運動を植毛台21の上下方向の往復回転運動に変換する変換機構40とを備え、変換機構40は、駆動部2cの往復直線運動により上下方向に往復直線運動するシャフト41と、植毛台21の後面21bに設けられ、シャフト41の上下方向の往復直線運動を植毛台21の上下方向の往復回転運動に変換する変換支持部材42と、植毛台21の後面21bに設けられ、植毛台21を回転自由に支持する支軸43と、を備える
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部が内部に収容された電動歯ブラシ本体に連結される柄体と、
前記柄体の先端側部分の前面側に設けられ、複数の毛束が植毛された植毛台と、
前記駆動部から伝達される往復直線運動を前記植毛台の上下方向の往復回転運動に変換する変換機構とを備え、
前記変換機構は、
前記駆動部の往復直線運動により上下方向に往復直線運動するシャフトと、
前記植毛台の後面に設けられ、前記シャフトの上下方向の往復直線運動を、前記植毛台の上下方向の往復回転運動に変換する変換支持部材と、
前記植毛台の後面に設けられ、前記植毛台を回転自由に支持する支軸と、を備える電動歯ブラシ本体に脱着自由な電動歯ブラシ用替えブラシ。
【請求項2】
前記植毛台と前記柄体とを連結する変形可能な接合部材をさらに備える、請求項1に記載の電動歯ブラシ用替えブラシ。
【請求項3】
前記接合部材は環状であって中空部に前記植毛台が設けられている、請求項2に記載の電動歯ブラシ用替えブラシ。
【請求項4】
前記接合部材の前面の前記支軸に対応する位置に、前記支軸が延びる方向に沿って溝部が形成されている、請求項3に記載の電動歯ブラシ用替えブラシ。
【請求項5】
前記接合部材は、周方向に直交する面に沿った断面形状が後側に開口するU字形状又はV字形状であり、少なくとも内側及び外側の各辺を備える、請求項2から4のいずれかに記載の電動歯ブラシ用替えブラシ。
【請求項6】
前記内側の辺は、外側または内側に向かって凸となる湾曲部を有する、請求項5に記載の電動歯ブラシ用替えブラシ。
【請求項7】
前記内側の辺は、前記植毛台の前面に対して外側に向けて斜め方向に延びる直線部を有する、請求項5に記載の電動歯ブラシ用替えブラシ。
【請求項8】
前記支軸の後側に、前記支軸を前側に付勢する弾性体をさらに備える、請求項1から7のいずれかに記載の電動歯ブラシ用替えブラシ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の電動歯ブラシ用替えブラシと、
前記植毛台を往復回転運動させるための前記駆動部が内部に設けられた電動歯ブラシ本体と、を備えた電動歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動歯ブラシ用替えブラシ及び電動歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
電動歯ブラシの替えブラシとして、例えば特許文献1に記載のものが提案されている。特許文献1に記載の替えブラシは、フィラメントが植毛された植毛台を含むブラシ部と、電動歯ブラシ本体に設けられた駆動部と連結されるシャフトとを備え、駆動部の往復直線運動に伴いブラシ部が上下方向に往復直線運動するものである。電動歯ブラシ本体の駆動部は、例えば、モータと、モータの回転運動を直線運動に変換するギアやカムなどの変換機構とを有しており、変換機構のカムに設けられた連結棒が替えブラシのシャフトと連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明においては、電動歯ブラシ本体の駆動部の往復直線運動がシャフトを介してブラシ部に伝達されており、効率良く清掃するためにブラシ部の振動を大きくして清掃範囲を広げようとすると、駆動部の往復直線運動を大きくする必要がある。しかし、駆動部の往復直線運動を大きくためには変換機構のサイズを大きくしなければならず、変換機構を収容する電動歯ブラシ本体のサイズが大きくなり、握りにくくなるなど使い勝手が悪くなる。このため、駆動部の直線運動はある一定の大きさ以上には大きくすることができず、清掃範囲が広げられずに清掃性を高くできないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記した課題に着目してなされたものであり、ブラシ部の毛先の動きが大きく清掃性が高い電動歯ブラシ用替えブラシ及び電動歯ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による電動歯ブラシ本体に脱着自由な電動歯ブラシ用替えブラシは、駆動部が内部に収容された電動歯ブラシ本体に連結される柄体と、前記柄体の先端側部分の前面側に設けられ、複数の毛束が植毛された植毛台と、前記駆動部から伝達される往復直線運動を前記植毛台の上下方向の往復回転運動に変換する変換機構とを備え、前記変換機構は、前記駆動部の往復直線運動により上下方向に往復直線運動するシャフトと、前記植毛台の後面に設けられ、前記シャフトの上下方向の往復直線運動を、前記植毛台の上下方向の往復回転運動に変換する変換支持部材と、前記植毛台の後面に設けられ、前記植毛台を回転自由に支持する支軸と、を備える。
【0007】
電動歯ブラシ本体の駆動部から伝達される往復直線運動は、変換機構により植毛台の上下方向の往復回転運動に変換される。駆動部の往復直線運動によりシャフトが上下方向に往復直線運動し、変換支持部材によりシャフトの上下方向の往復直線運動が植毛台に伝達され、植毛台は支軸を中心に上下方向の往復回転運動を行う。
【0008】
従来技術のように、植毛台が上下方向に往復直線運動する場合には、毛束の先端の上下方向の移動距離は、電動歯ブラシ本体の駆動部の上下方向の往復直線運動の移動距離に対応した距離となる。しかし、本発明においては、電動歯ブラシ本体の駆動部の上下方向の往復直線運動がシャフトの上下方向の往復直線運動として伝達され、シャフトの上下方向の往復直線運動が植毛台の往復回転運動に変換されており、毛束の先端の上下方向の移動距離は従来技術のような植毛台の往復直線運動時よりも大きくなる。このため、電動歯ブラシ本体の駆動部の往復直線運動およびシャフトの往復直線運動の移動距離が小さくても、植毛台を大きく移動させることが可能となり、清掃性を向上させることができる。
【0009】
好ましい実施形態においては、前記植毛台と前記柄体とを連結する変形可能な接合部材をさらに備える。
【0010】
前記接合部材は環状であって中空部に前記植毛台が設けられていることが好ましい。
【0011】
前記接合部材の前面の前記支軸に対応する位置に、前記支軸が延びる方向に沿って溝部が形成されていることが好ましい。
【0012】
前記接合部材は、周方向に直交する面に沿った断面形状が後側に開口するU字形状又はV字形状であり、少なくとも内側及び外側の各辺を備えることが好ましい。
【0013】
前記内側の辺は、外側または内側に向かって凸となる湾曲部を有することが好ましい。
【0014】
前記内側の辺は、前記植毛台の前面に対して外側に向けて斜め方向に延びる直線部を有するものであってもよい。
【0015】
好ましい実施形態としては、前記支軸の後側に、前記支軸を前側に付勢する弾性体をさらに備える。
【0016】
本発明の目的は、上記のいずれかの電動歯ブラシ用替えブラシと、前記植毛台を往復回転運動させるための前記駆動部が内部に設けられた電動歯ブラシ本体と、を備えた電動歯ブラシによっても達成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、植毛台の振動が柄体に伝わりにくく、かつブラシ部の毛先の動きが大きく清掃性が高い電動歯ブラシ用替えブラシ及び電動歯ブラシを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電動歯ブラシ用替えブラシ及び電動歯ブラシを示す斜視図である。
【
図3】
図2のA-A線に沿う替えブラシの断面図である。
【
図4】(A)は替えブラシの上部を拡大した断面図であり、(B)は(A)の要部拡大図である。
【
図7】弾性体が取付けられた蓋部材の斜視図である。
【
図8】
図2のB-B線に沿う替えブラシの断面図である。
【
図9】植毛台の往復回転運動を説明する要部の断面図であり、(A)は下向きに回転した状態を示す図であり、(B)は上向きに回転した状態を示す図である。
【
図10】(A)は植毛台の往復回転運動を説明する要部の断面図であり、(B)は(A)の要部拡大図である。
【
図11】(A)、(B)は接合部材の他の例を示す断面図である。
【
図12】従来技術における毛束の移動距離の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、ブラシヘッド20側を上側または先端側、電動歯ブラシ本体2側を下側または基端側とし、ブラシ部22の毛束の植毛側を前側にして、電動歯ブラシ1を縦向姿勢に配置した状態を基準に、上下方向及び前後左右方向を定義して説明する。また、植毛台21の上下方向の往復回転運動とは、植毛台21が、左右方向に延びる支軸43を支点として植毛台21の前面21aが下を向く方向への回転運動と上を向く方向への回転運動を繰り返す運動をいう。
【0020】
図1に本実施形態の電動歯ブラシ1を示す。電動歯ブラシ1は、電動歯ブラシ本体2と、電動歯ブラシ本体2に着脱自由に取付けられる電動歯ブラシ用替えブラシ3(以下、「替えブラシ3」ともいう。)とを備えている。
【0021】
(電動歯ブラシ本体2)
電動歯ブラシ本体2は、
図1、
図2に示すように、本体ケース2a内に駆動部2cや電源部等が収容されたものである。本体ケース2aは合成樹脂や金属などで構成された筒状部材であり、手で把持可能な形状を有している。本体ケース2aの上端部には、替えブラシ3と連結するための連結凹部2bが形成されている。駆動部2cはモータ等の駆動源と、駆動源の出力軸に連結される駆動変換部を備えている。駆動変換部はモータの回転運動を直線運動に変換するものであり、例えば、カム、リンク等を用いた既知のクランク機構であるが、これに限定されず、ラックとピニオン機構等であってもよい。また、駆動部2cは、出力軸を上下方向に往復直線運動し得るものであれば、任意の構成のものを採用することができ、例えば、コイルと永久磁石とを有するリニアアクチュエータが用いられていてもよい。電源部は駆動源に電力を供給するものであり、既存の電池等が用いられる。本体ケース2aの前面にはスイッチ2dが設けられており、使用者によりスイッチ2dが押されると駆動部2cが往復直線運動することにより電動歯ブラシ1が駆動する。なお、電動歯ブラシ本体2は、替えブラシ3と連結され、替えブラシ3に往復直線運動を与えることができれば周知の構成であってよい。
【0022】
(替えブラシ3)
替えブラシ3は、
図1~
図10に示すように、電動歯ブラシ本体2に連結される柄体10と、柄体10の先端側部分の前面側に設けられて植毛台21とブラシ部22とを備えるブラシヘッド20と、ブラシヘッド20の植毛台21と柄体10とを連結する接合部材30と、電動歯ブラシ本体2の駆動部2cから伝達される運動を植毛台21の上下方向の往復回転運動に変換する変換機構40と、弾性体50とを備える。
【0023】
(柄体10)
柄体10は、
図3、
図5に示すように、前面の形状が円形である中空の上部10Aと、上部10Aに連続して形成され下端において下に向けて径が広がる円筒状の下部10Bとからなる。柄体10の下部10Bの下端部に替えブラシ3を電動歯ブラシ本体2に連結するための連結筒10aが形成されている。上部10Aの前面側には、ブラシヘッド20と接合部材30が組み付けられる第1の開口部11が形成されている。柄体10の上部10Aから下部10Bの上側にかけての後面側は着脱自由な蓋部材12で構成されており、蓋部材12を取り外したときに表れる第2の開口部13から植毛台21や接合部材30、変換機構40を組み付けることができる。
図7、
図8に示すように、蓋部材12の内側面には、弾性体50を係止するための凸部12aが形成されている。
図1、
図3に示すように、柄体10の前面及び後面には、後述するシャフト41の運動を視認するための第3の開口部14、14が形成されている。
【0024】
図6に示すように、柄体10の内部には、後述するシャフト41が前後方向にわずかに移動可能に収容されており、柄体10の内周面にはシャフト41を上下方向に往復移動自由に案内するため、複数の突条10bが形成されている。また、後述する支軸43の両端を支持部材に係止するための一対の支軸支持部15A、15Bが、第2の開口部13の上側の左右の縁部付近であって、後述の植毛台21の上下方向の中央の高さ位置に設けられている。
図6、
図8に示すように、一方の支軸43支持部15Aには挿入穴15aが設けられ、他方の支軸43支持部15Bには後側の側部に開口する溝15bが形成されおり、支軸43の一端を挿入穴15aに挿入し、軸の他端を溝15b内でスライドさせることで、一対の支軸支持部15A、15Bに支軸43を嵌め込んで支持する。溝15bの後側の開口は蓋部材12により覆われるため、支軸43が溝15bから脱落することはない。柄体10を構成する素材は合成樹脂であり、後述する植毛台21と同様の素材を用いることができる。
【0025】
(ブラシヘッド20)
ブラシヘッド20の植毛台21は、
図3、
図5等に示すように、正面から見た形状が略円形の板状であり、本実施形態では直径が約11cm、厚みが2.5cmに設定されている。電動歯ブラシ1が停止している状態では、
図3、
図4(A)、
図4(B)に示すように、植毛台21は前面21aが上下方向及び左右方向に沿う面に平行であって、ブラシ部22が前後方向に延びる第3の位置P3(「原点位置P3」ともいう)にある。ブラシ部22は、合成樹脂製の複数本のフィラメントを束ねた1または複数個の毛束22aから構成され、各毛束22aは、植毛台21の前面21aに形成された植毛穴23に植毛されている。ブラシヘッド20は周知の構成であってもよい。なお、
図5においては、ブラシ部22の図示を省略している。
【0026】
植毛台21の正面から見た形状は、円形に限定されず、略円形、略楕円形、略長方形、略正方形、略三角形、略五角形、略六角形、略星型などが、往復回転運動が可能であれば任意の形状を有することができる。また、植毛台21の前面21aは平面だけでなく、凸方向に湾曲する面、傾斜面、前後方向に段差を有する面など、様々な3次元構造も採用することができる。毛束22aの植毛台21における植毛穴23の配置についても特に制限は無く、植毛台21の形状に左右されず自在に設定することができる。さらには、尖円錐形や細円柱形などのフィラメント以外の構造体とフィラメントを混在させて植毛台21に配置しても良い。
【0027】
植毛台21への植毛手段としては、「平線」と称される金属製の平板小片を用いて毛束22aを植毛台21に固定する方法や、合成樹脂製の毛束22aの一端を溶融や接着により一体化させたのちに植毛台21に溶融、接着もしくは射出成形により樹脂で埋設して固定する方法を用いることが出来る。ただし、これらの方法に限定されず、常法であれば使用できる。
【0028】
毛束22aのフィラメントを構成する素材としては、合成樹脂のほか、シリコーンやエラストマも使用できる。具体的には、ナイロン610、ナイロン612ナイロンやアラミドなどのポリアミド樹脂、あるいはポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレンテレフタレート(ポリトリメチレンテレフタレート、PPTあるいはPTT)又はポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などのポリオレフィン樹脂などの合成樹脂、ポリスチレン系(SBC)、ポリオレフィン系(TPO)、ポリ塩化ビニル系(TPVC)、ポリウレタン系(PU)、ポリエステル系(TPEE)、ポリアミド系(TPAE)などのサーモプラスチックエラストマー(TPE)が挙げられる。前記の素材を単独で、若しくは2種以上の素材を均一に混合した混合物を使用してフィラメントに加工したものや、複数の素材で形成した部材を構造的に組み合わせて接合した複合構造を有するフィラメンとなどとして使用することができる。
【0029】
植毛台21を構成する素材は合成樹脂であり、用いることのできる合成樹脂の種類としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチルテレフタレート(PTT)、ポリカーボネート(PC)、ポリオキシメチレン(ポリアセタール樹脂(POM))、スチレン・アクリロニトリル樹脂(AS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、セルロースプロピオネート(CP)、ポリアミド(PA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアリレート(PAR)、ポリ乳酸(PLA)等が挙げられるが、このなかでもポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオキシメチレン(ポリアセタール樹脂(POM))、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリ乳酸(PLA)が好ましく、耐久性の観点から、ポリプロピレン(PP)、ポリオキシメチレン(ポリアセタール樹脂(POM))がより好ましい。植毛台21は、ポリオキシメチレン(ポリアセタール樹脂(POM)が最も好ましい。
【0030】
(接合部材30)
接合部材30は、変形可能な素材から構成され、柄体10とブラシヘッド20とを接合し、ブラシヘッド20の植毛台21の振動が柄体10に伝達されるのを防ぐためのものである。
図4(A)、
図4(B)、
図5に示すように、接合部材30は略円形の環状であって、中空部30aに植毛台21が設けられている。接合部材30は、周方向に対して直交する面に沿う断面形状が変形U字状であり、前側に凸となり後側に開口している。詳細には、接合部材30は、
図4(B)に示すように、断面形状において内側に位置する辺である内側部31と、外側に位置する辺である外側部32と、内側部31の前端と外側部32の前端とを連結する辺である連結部33とを備える。なお、内側とは環状の接合部材30の中心点に向かう側をいい、外側とは内側の反対側をいう。外側部32は前後方向に沿って直線状に延び、柄体10の第1の開口部11の周縁部全長にわたって接着剤等の任意の接着手段により接合されている。連結部33は上下方向に沿って直線状に延びている。内側部31は、外側に向かって凸となる湾曲部31aと、湾曲部31aの後端に連続して前後方向に沿って直線状に延びる直線部31bとを備えている。湾曲部31aは曲率半径rの弧状であり、曲率半径rは1以上、2以下に設定され、本実施形態では2に設定されている。直線部31bの前端、すなわち湾曲部31aの後端は、植毛台21の前面21aと前後方向に沿って揃った位置にある。直線部31bは植毛台21の外周面と接着剤等の任意の接着手段により接合されている。なお、断面形状は上記の実施形態には限定されず、連結部33を設けずに内側部31と外側部32との前端同士を連結した略V字形状であってもよい。
【0031】
図5に示すように、接合部材30の前面には溝部34が形成されている。溝部34は、接合部材30の前側に設けられた凹部であり、後述する支軸43に対応する位置に左右に二箇所設けられる。溝部34の左右側は開口しており、溝部34の底面の位置は、柄体10の位置と揃うか柄体10の位置よりも僅かに前側にある。本実施形態では、溝部34の幅(上下方向の長さ)は一定としているが、外側に向かうにつれて幅が狭くなってもよい。植毛台21が下方向に回転運動すると、接合部材30の溝部34よりも上側部分には径方向外側に向かう力が作用し、接合部材30の溝部34よりも下側部分には径方向内側に向かう力が作用する。また、植毛台21が上方向に回転運動すると、接合部材30の上側部分には内側に向かう力が作用し、下側部分には外側に向かう力が作用する。このため、植毛台21の回転運動時に接合部材30にねじれが生じるが、溝部34を設けることにより、ねじれを小さくすることができる。
【0032】
接合部材30を構成する素材としては、電動歯ブラシ本体2の駆動部2cから伝達される運動で変形し得る素材であれば特に限定されるものではなく、例えば、弾性体若しくは易構造変形体を構成し得る金属や合成樹脂、エラストマ、シリコーンが挙げられる。この中でも、エラストマやシリコーンが製造コスト面やエネルギー効率面などにおいて優れているため好ましく、消費電力の省力化と接合部材30の変形回復のエネルギーを植毛台21の運動エネルギーに活用しうる観点から、ショアA硬度が30~55、好ましくは40~55、更に好ましくは40~50のエラストマやシリコーンが最も好ましい。
【0033】
なお、接合部材30の構造は、断面形状が変形U字形状又はV字形状には限定されず、電動歯ブラシ1の駆動力によって接合部材30の構造が変形し得る形状であればよい。接合部材30の構造として、例えば、線系方向に伸縮可能な糸状構造、平面方向に伸縮可能もしくは上下方向に変形可能な薄膜・薄板状構造、コイル様構造、変形可能なW字状、ジグザグ様やウェーブ様の断面形状を有する構造体や圧縮変形が可能なスポンジ様の内部構造を有する構造体などが挙げられる。
【0034】
また、ブラシヘッド20は使用時に口腔内に挿入されるが、水分や歯磨き剤などが柄体10内部に侵入すると洗浄や乾燥を十分に行いにくいことから、衛生面で不都合を生じるだけでなく、替えブラシ3の耐久性や運動機能を低下させる恐れがある。従って、接合部材30と柄体10の接合部位や接合部材30と植毛台21との接合部位から水などが柄体10内部に浸入できないように、接合部材30により柄体10の第1の開口部11と植毛台21とは水密に接合されることが好ましい。
【0035】
(変換機構40)
変換機構40は、
図3、
図6に示すように、電動歯ブラシ本体2の駆動部2cの運動に連動して上下方向に往復直線運動するシャフト41と、シャフト41の上下方向の往復直線運動を、植毛台21の上下方向の往復回転運動に変換する変換支持部材42と、植毛台21の後面21bに設けられ、植毛台21を往復回転自由に支持する支軸43と、を備える。
【0036】
(シャフト41)
シャフト41は、柄体10内に柄体10の下端部から上端側へ延びる棒状部材であり、柄体10内部に形成された突条10bに案内されて上下に移動自由である。シャフト41は、下端部に形成され電動歯ブラシ本体2の駆動部2cの出力軸等を着脱可能に外嵌する嵌合筒部41aと、嵌合筒部41aから上方向に延びるシャフト本体部41bと、シャフト本体部41bから斜め後側に延びる斜め部41cと、斜め部41cから上方向に向けて二股状に分岐する一対のアーム41d、41dとを備えている。一対のアーム41d、41dは左右方向に沿って並び、一対のアーム41d、41dの先端には、アーム41d、41d同士を連結するガイド棒41eが架け渡されている。ガイド棒41eは断面が円形状の棒状部材である。シャフト41を構成する素材は、金属もしくは合成樹脂である。合成樹脂の場合は植毛台21と同様の素材を用いることができ、特にポリオキシメチレン(ポリアセタール樹脂(POM))が最も好ましい。本実施形態においてはシャフト41は、
図3に示すような植毛台21が第3の位置(原点位置)P3にある状態を基準として上方向および下方向にそれぞれ1.0mmの距離ずつ移動する、すなわちシャフト41の上下方向に沿う移動距離L10(
図10(B))は2.0mmに設定されているが、移動距離L10はこれに限定されない。
【0037】
(変換支持部材42)
変換支持部材42は、植毛台21の後面21bの上下方向の中心位置よりも下側に設けられている。変換支持部材42は、
図4(B)、
図6に示すように、シャフト41のガイド棒41eが移動自由に嵌められ、前後方向に長い長孔又は溝部からなるガイド部42aを有する。本実施形態では、変換支持部材42は側面視において後側に開口したU字状部材であり、上下に配置された一対の腕部42b、42bが植毛台21の後面21bから後側に突出するように設けられており、一対の腕部42b、42bの間にガイド部42aとなる溝部が形成されている。変換支持部材42の開口からガイド棒41eがガイド部42aに挿入されて、ガイド部42aの内部を移動可能である。変換支持部材42を構成する素材は合成樹脂であり、植毛台21と同様の素材を用いることができる。
【0038】
(支軸43)
支軸43は、植毛台21の後面21bに沿って左右方向に延びている断面円形状の棒状部材であり、
図6、
図8に示すように、両端が柄体10に形成された一対の支軸支持部15A、15Bに固定されている。支軸43は、
図4(A)、
図6、
図8に示すように、植毛台21の後面21bの上下方向及び左右方向の中心位置に設けられた支軸支持部材44に係止されており、植毛台21は支軸43に対して上下方向に往復回転運動が自由である。支軸支持部材44は直方体の部材に支軸43の径に対応した後側及び左右が開放された溝44aが設けられており、支軸43に対して植毛台21が回転可能となるように溝44aに支軸43が支持されている。支軸43を構成する素材は金属であり、本実施形態ではステンレスとしているが、これに限定されるものではない。
【0039】
変換支持部材42及び支軸支持部材44は植毛台21とは別体として設けられて植毛台21の後面21bに固定されていてもよく、植毛台21と変換支持部材42及び支軸支持部材44とが射出成形等により一体として形成されていてもよい。
【0040】
(弾性体50)
弾性体50は、蓋部材12と支軸43の間に配置されて支軸43を前側に付勢している。この付勢力が支軸43に与えられることで、電動歯ブラシ1の使用時に植毛台21を介して支軸43に加わる力により支軸43が曲がったり破損したりするのを防いでいる。弾性体50は、
図6~
図8に示すように、板バネから構成され、矩形状の板状の本体部51と、本体部51の上縁の左右方向の両端から折り返されて本体部51に平行に延びる一対の脚部52、52とからなる。本体部51の中央部には、蓋部材12の内面の凸部12aに係止される係止孔51aが形成されており、係止孔51aに凸部12aを係止することで蓋部材12に弾性体50が取付けられる。蓋部材12を柄体10の第2の開口部13に組み付けることで、弾性体50の一対の脚部52、52の外面が支軸43に当接し、支軸43に付勢力が与えられる。一対の脚部52、52は、支軸支持部材44を挟んで左右対称の位置で支軸43に当接する。弾性体50を構成する素材は金属であり、本実施形態ではステンレスからなる板バネを用いているがこれに限定されるものではない。
【0041】
(動作)
本実施形態の電動歯ブラシ1及び電動歯ブラシ用の替えブラシ3の動作について説明する。電動歯ブラシ1が停止している状態では、
図3、
図4(A)に示すように、植毛台21は第3の位置P3にある。電動歯ブラシ1のスイッチ2dが使用者により押され、電動歯ブラシ1が動作を開始すると、電動歯ブラシ本体2の駆動部2cの上下方向の往復直線運動がシャフト41に伝達される。
図9(A)、
図10(B)に示すように、シャフト41が上向き(矢印Y1)に移動すると、シャフト41のガイド棒41eが仮想円Cの円周上に沿って前後方向の後側(
図9(A)における仮想円Cの円周上の半時計回りの方向)に移動し、変換支持部材42のガイド部42a内を相対的にガイド部42aの開口側に移動する。これにより、植毛台21が、前面21aが下を向く方向(矢印Y2)に支軸43を中心に回転し、第1の位置P1まで回転する。仮想円Cは、
図3のように植毛台21が第3の位置P3にある状態で、支軸43の断面形状の中心点を中心とし、半径が支軸43の断面形状の中心点とガイド棒41eの断面形状の中心点との間の距離に設定された仮想の円である。なお、
図10(B)において、植毛台21が第3の位置P3にある状態でのガイド棒を41e’で示しており、第1の位置P1に植毛台21が回転した状態で、ガイド棒41eはガイド棒41e’よりも反時計回りの方向に移動している。
【0042】
次に、
図9(B)、
図10(B)に示すように、シャフト41が下向き(矢印Y3)に移動すると、シャフト41のガイド棒41eが仮想円Cの円周上に沿って、前後方向の前側(
図9(B)における仮想円Cの円周上の時計回りの方向)に移動し、変換支持部材42のガイド部42a内を相対的にガイド部42aの開口側と反対側に移動する。これにより、植毛台21が、前面21aが上を向く方向(矢印Y4)に支軸43を中心に第2の位置P2まで回転する。
図10(B)において、植毛台21が第2の位置P2にある状態でのガイド棒を41e’’で示しており、本実施形態では、ガイド棒41e’’は上下方向に沿って支軸43と揃った位置にある。このように植毛台21が第1の位置P1と第2の位置P2との間で回転運動を繰り返し、植毛台21を含むブラシヘッド20が上下方向に往復回転運動を行う。本実施形態においては、植毛台21の第1の位置P1と第2の位置P2との間の支軸43を中心とする回転中心角度αは38度に設定されているが、これに限定されるものではない。なお、
図10(B)においては、説明のため、植毛台21、ブラシ部22、変換支持部材42、シャフト41のガイド棒41e、支軸43を示し、その他の部材は図示を省略している。
【0043】
(清掃範囲)
植毛台21の回転運動によるブラシ部22による清掃範囲は、替えブラシ3の断面視において、植毛台21の回転運動時にブラシ部22が位置する範囲であり、
図10(A)に示すように、植毛台21が第1の位置P1にあるときのブラシ部22の前端の下端と、植毛台21が第2の位置P2にあるときのブラシ部22の前端の上端との間の上下方向の沿った距離L1を清掃範囲の広さを示す指標とする。
【0044】
本実施形態においては、
図4、
図10(A)、
図10(B)に示すように、植毛台21の上下方向の長さ(植毛台21の直径)L3を11.0mm、ブラシ部22の植毛台21の表面21aから先端までの長さL4を10.0mm、シャフト41の上下方向の移動距離L10を2.0mm、支軸43の直径L6を1.0mm、変換支持部材42のガイド部42aを形成する上側の腕部42bの幅L7を1.0mm、下側の腕部42bの幅L8を1.2mm、シャフト41のガイド棒41eの直径L9を1.0mmに設定している。
【0045】
支軸43の断面形状の中心点とシャフト41のガイド棒41eの断面形状の中心点との間の上下方向の長さL5は、植毛台21の上下方向の長さL3、支軸43の直径L6、ガイド部42aの上側の腕部42bの幅L7、下側の腕部42bの幅L8、シャフト41のガイド棒41eの直径L9に応じて定まる。支軸43とガイド棒41eとの間の上下方向の長さL5の最小距離は、支軸43の直径L6/2+上側の腕部42bの幅L7+ガイド棒41eの直径L9/2で定められ、本実施形態では、1.0mm/2+1.0mm+1.0mm/2=2.0mmとなる。また、支軸43とガイド棒41eとの間の上下方向の長さL5の最大距離は、植毛台21の上下方向の長さL3/2―下側の腕部42bの幅L8―ガイド棒41eの直径L9/2で定められ、本実施形態では、11.0mm/2-1.2mm-1.0mm/2=3.8mmとなる。
【0046】
支軸43とガイド棒41eとの間の上下方向の長さL5が上記の最大距離に設定される場合、清掃範囲L1は15.6mmとなり、長さL5が上記の最小距離に設定される場合、清掃範囲L1は19.0mmとなる。このように、支軸43とガイド棒41eとの間の上下方向の長さL5を調整することで、清掃範囲L1を定めることができる。支軸43とガイド棒41eとの間の上下方向の長さL5を短くすると、清掃範囲L1は広くなる一方で、ガイド棒41eが仮想円Cの円周上を移動する距離が長くなり、前後方向に沿った動きが大きくなるため、柄体10の前後方向の長さ(厚み)を大きくする必要が生じ、口腔内に挿入したときの使用感が悪くなる。支軸43とガイド棒41eとの間の上下方向の長さL5を長くすると、清掃範囲L1は狭くなるが、ガイド棒41eが仮想円Cの円周上を移動する距離が短くなり、柄体10の前後方向の長さ(厚み)は小さくてすみ、使用感が良好である。このように、支軸43とガイド棒41eとの間の上下方向の長さL5は清掃範囲L1と柄体10の前後方向の長さ(厚み)とを考慮して設定され、本実施形態では3.8mmとなるように設定されている。
【0047】
図12は従来技術を示す図である。従来技術においては、電動歯ブラシ本体の駆動部の上下方向の往復直線運動がシャフト141に伝達される。シャフト141が上向きに移動すると、シャフト141に連結された植毛台121が、
図12において上方向に二点鎖線で示される位置まで移動する。シャフト141が下向きに移動すると、植毛台21が下方向の実線で示される位置まで移動する。このように植毛台121を含むブラシヘッド120が上下方向に往復直線運動を行う。シャフト141の移動距離は、植毛台121の移動距離と同じである。植毛台121が上位置にあるときのブラシ部122の前端の下端と、下位置にあるときのブラシ部122の前端の上端との間の距離L2を清掃範囲の大きさを示す指標とする。
【0048】
図12のシャフト141の移動距離を本実施形態のシャフト41の移動距離L10と同じに設定し、
図12のブラシ部122の植毛台121の表面121aから先端までの長さを本実施形態のブラシ部22の植毛台21の表面21aから先端までの長さL4と同じに設定した場合に、
図12の従来技術においては清掃範囲を示す距離L2は10.0mmとなる。このように、本実施形態の清掃範囲を示す距離L1は、清掃範囲を示す距離L2よりも大きくなり、本実施形態においては、従来技術よりも清掃範囲が広くなる。
【0049】
上記の構成によれば、電動歯ブラシ本体2の駆動部2cの上下方向に往復直線運動を植毛台21の往復回転運動に変換しており、毛束の先端の上下方向の移動距離は従来技術のような植毛台21の往復直線運動時よりも大きくなる。このため、電動歯ブラシ本体2の駆動部2cの往復直線運動の直線移動距離が小さくても、植毛台21を大きく移動させることが可能となり、清掃性を向上させることができる。また、接合部材30により植毛台21と柄体10とを接合して植毛台21の振動を吸収するため、植毛台21の振動が柄体10に伝わりにくい。
【0050】
また、本実施形態においては、植毛台21の外周面の全周を接合部材30に接合することができ、接合部材30はその外周面の全周を柄体10に接合することができるため、植毛台21は接合部材30を介して柄体10にしっかりと接合され、電動歯ブラシ1の使用時に植毛台21に圧力が加わっても柄体10から植毛台21が外れることがない。さらに、柄体10と植毛台21との間に接合部材30が配置されることで、柄体10内部に水などの水分が侵入するのを防ぐことができる。
【0051】
また、植毛台21は支軸43を中心にして上下方向に回転運動するが、植毛台21は接合部材30に接合されているため、接合部材30の支軸43に対応した箇所に溝部34を設けることで、植毛台21が上下方向に回転する際に接合部材30の支軸43に対応した箇所が突っ張ることがなく、接合部材30により植毛台21の回転運動を妨げることがない。
【0052】
接合部材30の断面形状を開口を有するU字形状又はV字形状とすることで、植毛台21の往復回転運動の際に接合部材30が撓みやすく、接合部材30により植毛台21の回転運動を妨げることがない。
【0053】
また、電動歯ブラシ1の使用時に、歯の表面に毛束を押し当てる力により生じる反力が、植毛台21を介して支軸43に加わると、支軸43が曲がったり破損することがあるが、弾性体50により支軸43を前側に付勢することで、支軸43の曲がりや破損を防ぐことができる。
【0054】
図11に接合部材30の他の例を示す。
図11(A)、
図11(B)の例では、接合部材30の断面U字形状の内側部31の形状が
図1から
図10に示す実施形態の接合部材30と異なっている。
図11(A)の例では、接合部材30の断面U字形状の内側部31は、連結部33の端部から前後方向に沿って直線状に延びる第1の直線部31cと、第1の直線部31cの後端から連続して斜めに延びる第2の直線部31dと、第2の直線部31dの後端に連続して前後方向に沿って直線状に延びる直線部31bとを備えている。電動歯ブラシ1の停止状態において、第2の直線部31dは、植毛台21の前面21aを含む平面(上下方向及び左右方向に沿う平面)に対して、角度βの斜め方向に外側に向けて延びている。角度βは60度以上、80度以下に設定され、本実施形態では60度に設定されている。接合部材30の他の構成は
図1の実施形態と同様であるため、対応する部分に同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0055】
図11(B)の例では、内側部31は、内側に向かって凸となる湾曲部31fと湾曲部31fの後端に連続して前後方向に沿って直線状に延びる直線部31bとを備えている。湾曲部31fは曲率半径rの弧を有しており、曲率半径rは1以上、2以下に設定され、本実施形態では2に設定されている。接合部材30の他の構成は
図1の実施形態と同様であるため、対応する部分に同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0056】
図11(A)、
図11(B)の構成によっても、植毛台21の往復回転運動の際に接合部材30が撓みやすく、接合部材30により植毛台21の回転運動を妨げることがない。
【0057】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0058】
2 電動歯ブラシ本体
2c 駆動部
3 電動歯ブラシ用替えブラシ
10 柄体
21 植毛台
21b 後面
30 接合部材
31a 湾曲部
31b 直線部
30a 中空部
34 溝部
40 変換機構
41 シャフト
42 変換支持部材
43 支軸
50 弾性体