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特開2023-8966スイッチングデバイスの磁石の位置信頼性
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008966
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】スイッチングデバイスの磁石の位置信頼性
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20230112BHJP
   H01H 13/00 20060101ALI20230112BHJP
   H01H 13/50 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
H01H36/00 M
H01H13/00 D
H01H13/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022106375
(22)【出願日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】21305907.4
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】594083128
【氏名又は名称】シュネーデル、エレクトリック、インダストリーズ、エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】SCHNEIDER ELECTRIC INDUSTRIES SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】フェリペ、カスティージョ、ブエナベントゥラ
(72)【発明者】
【氏名】ツァイチン、ワン
【テーマコード(参考)】
5G046
5G206
【Fターム(参考)】
5G046AA02
5G046AB01
5G046AC10
5G046AD02
5G206AS27H
5G206AS27J
5G206AS27K
5G206BS29H
5G206BS29J
5G206DS17H
5G206DS17J
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スイッチングデバイスの状態の信頼性が高いスイッチングデバイスを得る。
【解決手段】ハウジングHSと、ハウジングHS内に摺動可能に取り付けられた可動要素と、プリント回路基板PCBと、を備え、第1の磁気検知素子MSE1及び第2の磁気検知素子MSE2が、第1の磁石C1及び第2の磁石C2によってそれぞれ生成された第1の磁場及び第2の磁場をそれぞれ検出するように構成され、可動要素が、係合位置において静止位置よりも第1の磁気検知素子MSE1及び第2の磁気検知素子MSE2に近く、第1の磁石C1の極構成は、第2の磁石C2の極構成と反対であり、第1の磁場は、第2の磁場に対して大きさが反転されて等しく、第1の磁気検知素子MSE1及び第2の磁気検知素子MSE2は、第1及び第2の磁場から第1及び第2の出力信号をそれぞれ生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(HS)と、
ヘッダ、第1の磁石(C1)及び第2の磁石(C2)で作製され、前記ハウジング内に摺動可能に取り付けられた可動要素であって、解放位置と係合位置との間で前記ハウジングに対して移動するように適合されている可動要素と、
マイクロコントローラと、前記第1の磁石(C1)及び前記第2の磁石(C2)に面するように位置付けられた第1の磁気検知素子(MSE1)及び第2の磁気検知素子(MSE2)をその前方に取り付けられている上面と、を備えるプリント回路基板(PCB)と、を備え、
前記第1の磁気検知素子(MSE1)及び前記第2の磁気検知素子(MSE2)が、前記第1の磁石(C1)及び前記第2の磁石(C2)によってそれぞれ生成される第1の磁場及び第2の磁場をそれぞれ検出するように構成され、前記可動要素が、前記係合位置において静止位置よりも前記第1の磁気検知素子(MSE1)及び前記第2の磁気検知素子(MSE2)に近く、
前記第1の磁石(C1)の極構成が、前記第2の磁石(C2)の極構成と反対であり、前記第1の磁石によって生成された前記第1の磁場が、前記第2の磁石によって生成された前記第2の磁場に対して大きさが反転され、
前記第1の磁気検知素子(MSE1)及び前記第2の磁気検知素子(MSE2)が、前記第1の磁場及び前記第2の磁場から第1の出力信号及び第2の出力信号をそれぞれ生成することができ、
前記マイクロコントローラが、
前記第1の出力信号が第1の値の範囲に含まれ、前記第2の出力信号が第2の値の範囲に含まれる場合、及び
前記第1の出力信号と前記第2の出力信号との合計が、前記第1の磁場の前記大きさと前記第2の磁場の前記大きさとの間の差から導出される所定の値に実質的に等しい場合、
前記可動要素の信頼できる位置を検証することができる、
スイッチングデバイス。
【請求項2】
前記マイクロコントローラが、
前記第1の出力信号が第1の値の範囲に含まれない場合、又は前記第2の出力信号が第2の値の範囲に含まれない場合、及び/又は
前記第1の出力信号と前記第2の出力信号との合計が前記所定の値に実質的に等しくない場合、
磁気摂動を検出することができる、請求項1に記載のスイッチングデバイス。
【請求項3】
前記マイクロコントローラが、磁気摂動が検出される場合、警報をトリガすることができる、請求項2に記載のスイッチングデバイス。
【請求項4】
前記第1の磁石(C1)と前記第2の磁石(C2)とが同じ特性を有する場合、前記所定の値が0である、請求項1~3のいずれか一項に記載のスイッチングデバイス。
【請求項5】
前記スイッチングデバイスが動作されると、前記ヘッダが前記プリント回路基板(PCB)に向かって押圧され、前記第1の磁石(C1)及び前記第2の磁石(C2)がそれぞれ前記第1の磁気検知素子(MSE1)及び前記第2の磁気検知素子(MSE2)に接近し、前記スイッチングデバイスは、閾値に達すると、前記磁気検知素子を通る磁束を増加させ、前記スイッチングデバイスの状態を変化させる、請求項1~4のいずれか一項に記載のスイッチングデバイス。
【請求項6】
前記第1の磁気検知素子(MSE1)及び前記第2の磁気検知素子(MSE2)が、北磁極を南磁極と区別することができるオムニポーラセンサである、請求項1~5のいずれか一項に記載のスイッチングデバイス。
【請求項7】
前記第1の磁気検知素子(MSE1)が、前記第1の磁石(C1)及び第1のインダクタ(EM1)と位置合わせされ、前記第2の磁気検知素子(MSE2)が、前記第2の磁石(C2)及び第2のインダクタ(EM2)と位置合わせされる、請求項1~6のいずれか一項に記載のスイッチングデバイス。
【請求項8】
プッシュボタン又はセレクタの一部である、請求項1~7のいずれか一項に記載のスイッチングデバイス。
【請求項9】
ハウジング(HS)を備えるスイッチングデバイス(SD)の可動要素の信頼できる位置を検証するための方法であって、前記可動要素が、ヘッダと、第1の磁石(C1)と、第2の磁石(C2)とで作製され、前記ハウジング内に摺動可能に取り付けられ、前記可動要素は、解放位置と係合位置との間で前記ハウジングに対して移動するように適合され、前記スイッチングデバイス(SD)が、マイクロコントローラと、前記第1の磁石(C1)及び前記第2の磁石(C2)に面するように位置付けられた第1の磁気検知素子(MSE1)及び第2の磁気検知素子(MSE2)をその前方に取り付けられている上面と、を備えるプリント回路基板(PCB)をさらに備え、前記方法は、
前記第1の磁気検知素子(MSE1)及び前記第2の磁気検知素子(MSE2)が、前記第1の磁石(C1)及び前記第2の磁石(C2)によってそれぞれ生成された第1の磁場及び第2の磁場をそれぞれ検出(S2)することであって、前記可動要素が、前記係合位置において静止位置よりも前記第1の磁気検知素子(MSE1)及び前記第2の磁気検知素子(MSE2)に近く、
前記第1の磁石(C1)の極構成は、前記第2の磁石(C2)の極構成と反対であり、前記第1の磁石によって生成される前記第1の磁場は、前記第2の磁石によって生成される前記第2の磁場に対して大きさが反転されて等しく、
前記第1の磁気検知素子(MSE1)及び前記第2の磁気検知素子(MSE2)はそれぞれ、前記第1の磁場及び前記第2の磁場から第1の出力信号及び第2の出力信号を生成(S3)し、
前記マイクロコントローラ(MCU)が、
前記第1の出力信号が第1の値の範囲に含まれ、前記第2の出力信号が第2の値の範囲に含まれる場合、及び
前記第1の出力信号と前記第2の出力信号との合計が、前記第1の磁場の前記大きさと前記第2の磁場の前記大きさとの間の差から導出される所定の値に実質的に等しい場合、
前記可動要素の信頼できる位置を検証(S4)する、
ことを含む方法。
【請求項10】
請求項9に記載のスイッチングデバイス(SD)の可動要素の信頼できる位置を検証するための方法を実行するためのコンピュータプログラムを具現化したコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、プッシュボタン及びセレクタに適した磁気ベースの非接触スイッチングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチングデバイスは、通常、電気回路を接続又は遮断する任意のデバイスを指す。電気スイッチングデバイスはすべて、デバイスが作動すると開閉する接点のセットからなる。スイッチングデバイスは、その最も単純なものである家庭用照明スイッチなどの手動スイッチから、工業用途で使用されるより複雑なスイッチまで、様々な方法で動作される。このような場合、スイッチングデバイスは、電磁コイルをインダクタ素子として用いて動作されて、磁気検知素子によってスイッチを作動させることができる。
【0003】
そのような用途の例には、部分的な故障の場合に機器の継続的な性能を保証するためにスイッチングデバイスの状態の信頼性が要求される民間航空、宇宙飛行、軍事用途及び工業プロセスが含まれるが、これらに限定されない。このような厳しい要件は、故障の潜在的な結果のために要求される。
【0004】
そのため、スイッチングデバイスの状態の信頼性が高いスイッチングデバイスが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この概要は、本発明の主題に関連する概念を導入するために提供される。この概要は、特許請求される主題の本質的な特徴を特定することを意図するものでも、特許請求される主題の範囲を決定又は限定する際に使用するために使用することを意図するものでもない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施態様では、
ハウジングと、
ヘッダ、第1の磁石及び第2の磁石で作製され、ハウジング内に摺動可能に取り付けられた可動要素であって、解放位置と係合位置との間でハウジングに対して移動するように適合されている可動要素と、
マイクロコントローラと、第1の磁石及び前記第2の磁石に面するように位置付けられた第1の磁気検知素子及び第2の磁気検知素子をその前方に取り付けられた上面とを備えるプリント回路基板と、を備え、
第1の磁気検知素子及び第2の磁気検知素子は、第1の磁石及び前記第2の磁石によってそれぞれ生成される第1の磁場及び第2の磁場をそれぞれ検出するように構成され、可動要素は、係合位置において静止位置よりも第1の磁気検知素子及び前記第2の磁気検知素子に近く、
第1の磁石の極構成は、第2の磁石の極構成と反対であり、第1の磁石によって生成される第1の磁場は、第2の磁石によって生成される第2の磁場に対して大きさが反転され、
第1の磁気検知素子及び前記第2の磁気検知素子は、第1の磁場及び第2の磁場から第1の出力信号及び第2の出力信号をそれぞれ生成することができ、
マイクロコントローラは、
第1の出力信号が第1の値の範囲に含まれ、第2の出力信号が第2の値の範囲に含まれる場合、及び
第1の出力信号と第2の出力信号との合計が、第1の磁場の大きさと第2の磁場の大きさとの間の差から導出される所定の値に実質的に等しい場合、
可動要素の信頼できる位置を検証することができる、
スイッチングデバイスを提供する。
【0007】
スイッチングデバイスは、外部の磁気摂動に対する冗長位置の感知を堅牢化することを可能にする。より正確には、スイッチングデバイスは、スイッチングデバイスの2つの冗長入力チャネル間に反対の磁極を使用することによって、診断範囲及び摂動除去を大幅に増加させることを可能にする。この構造は、実際の磁気測定から磁気摂動を明確に識別することを可能にする単純なソフトウェアベースの妥当性チェックを実施することを可能にする。
【0008】
有利には、この構成は、プッシュボタン及びセレクタなどの多くの用途に適し得るが、信頼性の高いスイッチングデバイスを必要とする任意の用途にも拡張され得る単純でコンパクトな検証システムを可能にする。
【0009】
反対の極構成により、スイッチングデバイスの状態が変化したか否かを判定するための一貫した反復可能なパターンが存在し、これは外部摂動によって得ることができない。スイッチングデバイスは、スイッチング機能における診断範囲及び摂動耐性を大幅に高めることを可能にする。
【0010】
一実施形態では、
マイクロコントローラは、
第1の出力信号が第1の値の範囲に含まれない場合、又は第2の出力信号が第2の値の範囲に含まれない場合、及び/又は
第1の出力信号と第2の出力信号との合計が所定の値に実質的に等しくない場合、
磁気摂動を検出することができる。
【0011】
一実施形態では、マイクロコントローラは、磁気摂動が検出される場合に警報をトリガすることができる。
【0012】
一実施形態では、第1の磁石及び第2の磁石が同じ特性を有する場合、所定の値は0である。
【0013】
一実施形態では、スイッチングデバイスが動作されると、ヘッダがプリント回路基板に向かって押圧され、第1の磁石及び第2の磁石がそれぞれ第1の磁気検知素子及び第2の磁気検知素子に接近し、これは、磁気検知素子を通る磁束を増加させ、閾値に達するとスイッチングデバイスの状態を変化させる。
【0014】
一実施形態では、第1の磁気検知素子及び第2の磁気検知素子は、北磁極を南磁極と区別することができるオムニポーラ(omni-polar)センサである。
【0015】
一実施形態では、第1の磁気検知素子は第1の磁石及び第1のインダクタと位置合わせされ、第2の磁気検知素子は第2の磁石及び第2のインダクタと位置合わせされる。
【0016】
別の実施態様では、ハウジングを備えるスイッチングデバイスの可動要素の信頼できる位置を検証するための方法が提供され、可動要素は、ヘッダと、第1の磁石と、第2の磁石で作製され、ハウジング内に摺動可能に取り付けられ、可動要素は、解放位置と係合位置との間でハウジングに対して移動するように適合され、スイッチングデバイスは、マイクロコントローラと、第1の磁石及び第2の磁石に面するように位置付けられた第1の磁気検知素子及び第2の磁気検知素子を前方に取り付けられた上面とを備えるプリント回路基板をさらに備え、方法は、
第1の磁気検知素子及び前記第2の磁気検知素子が、第1の磁石及び第2の磁石によってそれぞれ生成された第1の磁場及び第2の磁場をそれぞれ検出することであって、可動要素は、係合位置において静止位置よりも第1の磁気検知素子及び第2の磁気検知素子に近く、
第1の磁石の極構成は、第2の磁石の極構成と反対であり、第1の磁石によって生成される第1の磁場は、第2の磁石によって生成される第2の磁場に対して大きさが反転されて等しく、
第1の磁気検知素子及び第2の磁気検知素子は、第1の磁場及び第2の磁場から第1の出力信号及び第2の出力信号をそれぞれ生成し、
マイクロコントローラは、
第1の出力信号が第1の値の範囲に含まれ、第2の出力信号が第2の値の範囲に含まれる場合、及び
第1の出力信号と第2の出力信号との合計が、第1の磁場の大きさと第2の磁場の大きさとの間の差から導出される所定の値に実質的に等しい場合、
可動要素の信頼できる位置を検証する、
ことを含む。
【0017】
別の実施態様では、スイッチングデバイスの可動要素の信頼できる位置を検証するためのコンピュータプログラムが具現化されたコンピュータ可読媒体が提供される。前述のコンピュータプログラムは、本発明による方法によるステップを実行する命令を含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
詳細な説明は、添付の図面を参照して記述される。図面において、参照符号の左端の数字は、参照符号が最初に現れる図を識別する。同様の特徴及び構成要素を参照するために、図面全体を通して同じ符号が使用されている。ここで、本主題の実施形態によるシステム及び/又は方法のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して説明する。
【0019】
図1】一実施形態によるスイッチングデバイスの概略ブロック図を示す。
【0020】
図2】一実施形態によるスイッチングデバイス内の交差入力監視ルーチン(a crossed input monitoring routine)を示す図である。
【0021】
図3a】磁場Bの関数を示す図である。
図3b】第1の検知素子MSE1及び第2の磁気検知素子MSE2からの異なる出力信号の挙動を示す図である。
図4】一実施形態によるスイッチングデバイスの磁気検知素子の交差入力監視(a crossed input monitoring)のための方法の流れ図である。
【0022】
同じ参照符号は、すべての図面において同じ要素又は同じ種類の要素を表す。
【0023】
本明細書における任意のブロック図は、本主題の原理を具現化する例示的なシステムの概念図を表すことを当業者は理解すべきである。同様に、任意のフローチャート、流れ図、状態遷移図、擬似コードなどは、コンピュータ可読媒体で実質的に表され、そのようなコンピュータ又はプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、コンピュータ又はプロセッサによって実行され得る様々なプロセスを表すことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面及び以下の説明は、本発明の特定の例示的な実施形態を示す。したがって、当業者は、本明細書に明示的に記載又は示されていないが、本発明の原理を具現化し、本発明の範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることが理解されよう。さらに、本明細書に記載の任意の例は、本発明の原理の理解を助けることを意図しており、そのような具体的に列挙された例及び条件に限定されないと解釈されるべきである。結果として、本発明は、以下に記載される特定の実施形態又は例に限定されず、特許請求の範囲及びそれらの均等物によって限定される。
【0025】
図1を参照すると、スイッチングデバイスSDは、ハウジングHSと、ヘッダHDで作製された可動要素MEと、第1の磁石C1と、第2の磁石C2とを備える。スイッチングデバイスSDは、ハウジングに固定されたプリント回路基板PCBと、プリント回路基板PCBに接続された第1の磁気検知素子MSE1及び第2の磁気検知素子MSE2とをさらに備える。
【0026】
可動要素MEは、ハウジング内に摺動可能に取り付けられ、静止位置と係合位置との間でハウジングに対して移動するように適合されている。そのために、ハウジングHSは、可動要素が摺動可能に案内されるスロットを備える。
【0027】
プリント回路基板PCBは、ハウジングに固定され、第1の磁気検知素子MSE1及び第2の磁気検知素子MSE2を前方に取り付けられた上面を備える。
【0028】
プリント回路基板PCBはさらに、ホストコンピューティングユニットのインターフェースと通信可能なマイクロコントローラMCUを備え、このホストコンピューティングユニットは、マイクロコントローラMCUによって提供されるフィードバックに基づいて動作可能である。
【0029】
第1の磁気検知素子MSE1は第1の磁石C1と良好に位置合わせされており、第2の磁気検知素子MSE2は第2の磁石C2と良好に位置合わせされているものとする。この構造により、第1の磁石C1及び第2の磁石C2によって第1の磁気検知素子MSE1及び第2の磁気検知素子MSE2をそれぞれ励磁することができる。
【0030】
スイッチングデバイスが、例えば人間によって操作されると、ヘッダが方向Pに向かって、すなわちプリント回路基板に向かって押圧され、第1の磁石C1及び第2の磁石C2は、第1の磁気検知素子MSE1及び第2の磁気検知素子MSE2にそれぞれ接近し、磁性原理によって、磁気検知素子を通る磁束を増加させ、閾値に達するとスイッチングデバイスの状態を変化させる。これは、スイッチングデバイスの状態が磁場の大きさに関連することを意味する。
【0031】
一実施形態では、スイッチングデバイスは、プッシュボタン又はセレクタのようなボタンの一部である。すべての場合において、オペレータがボタンを動作させる(ボタンを押圧する又は回転させる)ことで、ヘッダ及び磁石が磁気検知素子に向かって並進する。
【0032】
図2を参照すると、スイッチングデバイスの動作原理が示されている。
【0033】
第1の磁石C1及び第2の磁石C2は、第1の検知素子MSE1及び第2の磁気検知素子MSE2とそれぞれ相互作用する第1の磁場F及び第2の磁場Fをそれぞれ生成する。
【0034】
第1の磁気センサ及び第2の磁気センサは、感知された第1の磁場F及び第2の磁場Fと一致してそれらのそれぞれの出力信号S及びSを修正する。これらの出力信号は、マイクロコントローラMCUによって読み取られ、スイッチングデバイスの状態又は故障状態があるかどうかを判定するために処理される。
【0035】
スイッチングデバイスは、スイッチングデバイスの2つの冗長入力チャネル、すなわち第1の磁石C1と第2の磁石C2との間で反対の磁極を実装する。方向Pに関して、第1の磁石C1は、北磁極の上に南磁極「S」を示すが、第2の磁石C2は、南磁極の上に北磁極「N」を示す。この反対の構成は、外部の磁気摂動が同じ極性を有する両方の磁気センサにたいてい影響を及ぼすため、スイッチングデバイスが外部摂動に対して堅牢であることを可能にする。
【0036】
さらに、反対の極構成のため、スイッチングデバイスの状態が変化したか否かを判定するための一貫した反復可能なパターンがあり、これは外部摂動によって得ることができない。
【0037】
スイッチングデバイスの構造により、一実施形態では、第1の磁石C1によって生成された第1の磁場Fは、第2の磁石C2によって生成された第2の磁場Fに対して大きさが反転されて等しいと仮定される。特に、第1の磁石C1及び第2の磁石C2が同じ特性を有する場合がそうであり得る。通常の動作状態では、すなわち磁気摂動なしでは、第1の出力信号S及び第2の出力信号Sは、第1の磁場F及び第2の磁場Fと同様の特性を有するべきであり、選択された座標系に応じて、第1の出力信号Sは、第2の出力信号Sに対して、大きさが反転されて等しくなければならないということになる。したがって、第1の出力信号と第2の出力信号との合計は実質的に0に等しいと仮定される。
【0038】
別の実施形態では、第1の磁石C1によって生成された第1の磁場Fは、第2の磁石C2によって生成された第2の磁場Fに対して反転されるが、大きさは等しくない。特に、第1の磁石C1及び第2の磁石C2が同じ特性を有さない場合がそうであり得る。通常の動作状態では、第1の出力信号S及び第2の出力信号Sは、第1の磁場F及び第2の磁場Fと同様の特性を有するべきであり、選択された座標系に応じて、第1の出力信号Sは、第2の出力信号Sに対して大きさが反転されなければならないということになる。したがって、第1の出力信号と第2の出力信号との合計は、第1の磁場の大きさと第2の磁場の大きさとの間の差から導出される所定の値に実質的に等しいと仮定される。
【0039】
出力信号は、異なる種類の下にあってもよく、対応する磁場に対する出力信号の挙動は、出力信号の種類に依存し得る。磁気検知素子の出力信号はオムニポーラ(omni-polar)でなければならないと考えられ、磁気検知素子がN極とS極を検出し、区別し得ることを意味する。非限定的な例では、出力信号は、電圧若しくは電流のアナログ出力、又はPWM及びデジタル出力の形態の下であり得る。
【0040】
別の実施形態では、第1の磁気検知素子MSE1及び第2の磁気検知素子MSE2は、異なる校正を有してもよく、同様の磁場に対して、第1の出力信号S及び第2の出力信号Sは異なり得るが、同様の挙動を有するべきであることを意味する。その場合、第1の磁気検知素子MSE1及び第2の磁気検知素子MSE2の校正を考慮すると、第1の出力信号と第2の出力信号との合計は、第1の磁場の大きさと第2の磁場の大きさとの差から導出される所定の値にほぼ等しいと仮定することもできる。
【0041】
図3aを参照すると、磁場Bの関数として電圧のアナログ出力の形態で出力信号が示され、第1の磁石C1及び第2の磁石C2が同じ特性を有し、第1の磁気検知素子MSE1及び第2の磁気検知素子MSE2が同様の校正を有している。同じ原理は、異なる種類の出力に適用され得る。
【0042】
例えば、ヘッダHDがスイッチングデバイスSDに取り付けられていない場合、第1の磁気検知素子MSE1及び第2の磁気検知素子MSE2の周囲に磁場が存在しないことを意味し、第1の磁気検知素子MSE1及び第2の磁気検知素子MSE2のアナログ出力の電圧はVcc/2である。図2の第1の磁石及び第2の磁石の極構成では、ヘッダHDが取り付けられ、Pに向かって押圧される場合、第2の出力信号SはVccに向かって増加し、第1の出力信号Sは0に向かって減少する。
【0043】
この例では、電圧のアナログ出力及びVcc/2のオフセットを用いて、以下の記述が常に満たされるときはいつでもセンサからの出力が妥当であることによる一貫性規則が定義されている。
+S≒Vcc
min1<S<Vmax1、min2<S<Vmax2
【0044】
第1の出力信号Sの最小値Vmin1及び第1の出力信号Sの最大値Vmax1は、第1の出力信号Sの許容値を含む有効領域を規定する。同様に、第2の出力信号Sの最小値Vmin2及び第2の出力信号Sの最大値Vmax2は、第2の出力信号Sの許容値を含む有効領域を規定する。
【0045】
図3bを参照すると、第1の検知素子MSE1及び第2の磁気検知素子MSE2からの異なる出力信号の挙動が示されている。
【0046】
ケース1に見られるように、スイッチングデバイスが開放されると、第1の検知素子MSE1及び第2の磁気検知素子MSE2によって、2つの逆向きであるが大きさが同じ磁場が感知される。ケース2に見られるように、スイッチングデバイスが係合される場合、第1の磁石及び第2の磁石がそれぞれ第1の検知素子MSE1及び第2の磁気検知素子MSE2に接近すると、双方の磁場が大きくなる。ケース1及びケース2の両方について、出力が信頼できて考慮されることを容易に判定できるようにする両方の磁場の一貫性が維持される。
【0047】
ケース3及びケース4は、一貫性規則の2つの条件を満たさない。そのため、ケース3及びケース4は偏差(deviation)の乱れと見なされる。スイッチングデバイスの冗長性を管理するために逆の磁場を使用するこの単純な手法は、簡単かつ費用効果の高い様式で外部の乱れを検出及び管理する方法を提供する。さらに、この原理を使用して、非常に単純な原理でデバイス全体の完全性を診断することができ、これにより診断範囲を大幅に増加させることができる。
【0048】
図4を参照すると、本発明の一実施形態によるスイッチングデバイスSDの可動要素の信頼できる位置を検証するための方法は、ステップS1~S5を含む。
【0049】
ステップS1では、ヘッダHD、第1の磁石C1及び第2の磁石C2で作製された可動要素が、動作され、係合され、又は解放され、可動要素は、解放位置と係合位置との間でハウジングに対して移動している。
【0050】
ステップS2では、第1の磁気検知素子MSE1及び第2の磁気検知素子MSE2は、第1の磁石C1及び第2の磁石C2によってそれぞれ発生される第1の磁場F及び第2の磁場Fをそれぞれ検出する。
【0051】
ステップS3では、第1の磁気検知素子MSE1及び第2の磁気検知素子MSE2は、第1の磁場F及び第2の磁場Fから第1の出力信号S及び第2の出力信号Sをそれぞれ生成する。
【0052】
ステップS4では、マイクロコントローラMCUは、一貫性規則の次の2つの条件、
第1の出力信号が第1の値の範囲に含まれ、第2の出力信号が第2の値の範囲に含まれる場合、及び、
第1の出力信号と第2の出力信号との合計が、第1の磁場の大きさと第2の磁場の大きさとの間の差から導出された所定の値に実質的に等しいこと、が満たされる場合、
可動要素の信頼できる位置を検証する。
【0053】
マイクロコントローラは、2つの条件のうちの少なくとも1つが満たされない場合、言い換えれば、
第1の出力信号が第1の値の範囲に含まれない場合、又は第2の出力信号が第2の値の範囲に含まれない場合、及び/又は
第1の出力信号と第2の出力信号との合計が、第1の磁場の大きさと第2の磁場の大きさとの間の差から導出される所定の値に実質的に等しくない場合、
可動要素の信頼できる位置を検証せず、磁気摂動を検出する。
【0054】
一般的に、第1の磁石C1によって生成された第1の磁場Fは、第2の磁石C2によって生成された第2の磁場Fに対して反転され、大きさがほぼ等しい。第1の出力信号及び第2の出力信号が第1の磁場及び第2の磁場と同様の挙動を有するとき、第1の出力信号と第2の出力信号との合計は所定の値にほぼ等しく、所定の値は第1の磁場の大きさと第2の磁場の大きさとの差から導出される。
【0055】
ステップS5では、マイクロコントローラMCUが磁気摂動を検出する場合、マイクロコントローラMCUは、スイッチングデバイスの制御システムによって扱われる警報又はエラーをトリガすることができ、スイッチングデバイスの種類及び状況に関して制御システムが決定する。例えば、スイッチングデバイスの状態の高い信頼性を必要とする重要な状況では、摂動が検出された場合、制御システムはそれをエラーと見なすことができる。
【0056】
以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、本明細書に記載の特定の形態に限定されるものではない。むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、特定の上記以外の他の実施形態も、これらの添付の特許請求の範囲内で等しく可能である。
【0057】
さらに、例示的な実施形態は、構成要素及び/又は機能のいくつかの例示的な組み合わせで上述されているが、代替的な実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、部材及び/又は機能の異なる組み合わせによって提供されてもよいことを理解されたい。さらに、個別に又は実施形態の一部として記載された特定の特徴は、他の個別に記載された特徴又は他の実施形態の一部と組み合わせることができることが特に企図される。
図1
図2
図3a
図3b
図4
【外国語明細書】