(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089667
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】ベルト
(51)【国際特許分類】
F16G 3/10 20060101AFI20230621BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20230621BHJP
B32B 3/02 20060101ALI20230621BHJP
B32B 7/12 20060101ALI20230621BHJP
B65G 15/34 20060101ALI20230621BHJP
B29C 65/42 20060101ALI20230621BHJP
B29C 65/50 20060101ALI20230621BHJP
B29C 65/54 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
F16G3/10 B
B32B27/30 D
B32B3/02
B32B7/12
B65G15/34
B29C65/42
B29C65/50
B29C65/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204305
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000211156
【氏名又は名称】中興化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】川本 啓司
(72)【発明者】
【氏名】深草 孝郎
【テーマコード(参考)】
3F024
4F100
4F211
【Fターム(参考)】
3F024BA05
3F024CB04
3F024CB07
3F024CB14
4F100AA37
4F100AA37A
4F100AA37C
4F100AG00
4F100AG00A
4F100AG00C
4F100AK17
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4F100AK49A
4F100AK49C
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4F100AR00C
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4F100BA07
4F100CA23
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4F100CA23C
4F100CB00
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4F211TJ29
4F211TN07
4F211TN43
4F211TN55
4F211TN56
4F211TQ04
(57)【要約】
【課題】接合部における段差を有していないベルトを提供すること。
【解決手段】 一実施形態によれば、ベルトが提供される。ベルトは、第1ベルト基材と、第2ベルト基材と、フッ素樹脂含有層とを具備する。第1ベルト基材は、第1端面及び第2端面を有する帯状を有している。第1端面及び第2端面は、第1ベルト基材が環状構造をなすように互いに突合わされて接合して、第1接合部を構成している。第2ベルト基材は、第3端面及び第4端面を有する帯状を有している。第3端面及び第4端面は、第2ベルト基材が環状構造をなすように互いに突合わされて接合して、第2接合部を構成している。第1ベルト基材と第2ベルト基材とは、第1接合部の位置と、第2接合部の位置とがベルトの厚さ方向に沿って重複しないように、フッ素樹脂含有層を介して積層されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状構造を有し、且つ、第1内周面及び第1外周面を備える第1ベルト基材と、
環状構造を有し、且つ、第2内周面及び第2外周面を備える第2ベルト基材と
前記第2ベルト基材の前記第2内周面と、前記第1ベルト基材の前記第1外周面とを接着しているフッ素樹脂含有層とを具備するベルトであって、
前記第1ベルト基材は、第1端面及び第2端面を有する帯状を有しており、
前記第1端面及び前記第2端面は、前記第1ベルト基材が前記環状構造をなすように互いに突合わされて接合して、第1接合部を構成しており、
前記第2ベルト基材は、第3端面及び第4端面を有する帯状を有しており、
前記第3端面及び前記第4端面は、前記第2ベルト基材が前記環状構造をなすように互いに突合わされて接合して、第2接合部を構成しており、
前記第1ベルト基材と前記第2ベルト基材とは、前記第1接合部の位置と、前記第2接合部の位置とが前記ベルトの厚さ方向に沿って重複しないように、前記フッ素樹脂含有層を介して積層されているベルト。
【請求項2】
前記第2ベルト基材の前記第2外周面と接触し且つ前記第2接合部の少なくとも一部を被覆する保護フィルムを更に備える請求項1に記載のベルト。
【請求項3】
前記第1ベルト基材及び前記第2ベルト基材は、前記第1接合部の位置と、前記第2接合部の位置とが、前記ベルトの幅方向と直交する方向に沿って10mm以上の間隔を空けて積層されている請求項1又は2に記載のベルト。
【請求項4】
前記第1外周面と前記第2内周面との間に介在し、且つ、前記第1接合部の少なくとも一部を被覆する第1サンド材、及び、
前記第1外周面と前記第2内周面との間に介在し、且つ、前記第2接合部の少なくとも一部を被覆する第2サンド材のうちの少なくとも一方を更に備える請求項1~3の何れか1項に記載のベルト。
【請求項5】
前記第1サンド材及び前記第2サンド材のうち、少なくとも一方はポリイミドフィルムである請求項4に記載のベルト。
【請求項6】
前記第1端面及び前記第2端面は、前記第1外周面に対して1.0度~11度の角度で傾斜している請求項1~5の何れか1項に記載のベルト。
【請求項7】
前記第3端面及び前記第4端面は、前記第2外周面に対して1.0度~11度の角度で傾斜している請求項1~6の何れか1項に記載のベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ベルト、特に製品等の製造に使用されるベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートシールなど、各種製品を製造する際に用いられるベルトは、例えば、ベルト基材の長さ方向の端部同士が接合された、無端状又は環状構造を有する。ベルト基材の接合方法として、例えば、オーバーラップ接合及びバット接合が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オーバーラップ接合によって製造されるベルトにおいては、帯状のベルト基材の一方の端部と他方の端部とを接合する場合に、これら端部が重なり合っている部分(重畳部)が存在する。2枚のベルト基材が重なり合う重畳部と、重なり合っていない部分とは厚さが異なるため、これらの境界(ベルト基材の端部)は段差を構成している。ベルト上をワークが流れる場合、こうした段差がワークに転写されてしまうため望ましくない。
【0005】
バット接合は、帯状のベルト基材の一方の端面と他方の端面とを突合わせた状態で、当該突合わせ部(接合部)の表面及び/又は裏面上に別の基材又はフィルムを融着して、接合部が離間しないように補強する接合方法である。バット接合によって製造されるベルトの表面上又は裏面上には、例えば、接合部の離間を防ぐための基材又はフィルムが露出している。この基材又はフィルムの表面と、ベルト基材の表面との間には段差が形成される。ベルトの表面上にこの段差が存在している場合には、段差がワークに転写される可能性がある。また、ベルトの裏面上に段差が存在している場合には、ノッキング又はスリップなどを生じて、一定速度で連続的に走行することが困難となる可能性がる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、接合部における段差を有していないベルトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、ベルトが提供される。ベルトは、環状構造を有し、且つ、第1内周面及び第1外周面を備える第1ベルト基材と、環状構造を有し、且つ、第2内周面及び第2外周面を備える第2ベルト基材と、第2ベルト基材の第2内周面と、第1ベルト基材の第1外周面とを接着しているフッ素樹脂含有層とを具備する。第1ベルト基材は、第1端面及び第2端面を有する帯状を有している。第1端面及び第2端面は、第1ベルト基材が環状構造をなすように互いに突合わされて接合して、第1接合部を構成している。第2ベルト基材は、第3端面及び第4端面を有する帯状を有している。第3端面及び第4端面は、第2ベルト基材が環状構造をなすように互いに突合わされて接合して、第2接合部を構成している。第1ベルト基材と第2ベルト基材とは、第1接合部の位置と、第2接合部の位置とがベルトの厚さ方向に沿って重複しないように、フッ素樹脂含有層を介して積層されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、接合部における段差を有していないベルトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るベルトの一例を概略的に示す断面図。
【
図3】
図2に示すベルトのIII-III線に沿った概略断面図。
【
図4】実施形態に係るベルトの他の例を概略的に示す断面図。
【
図5】実施形態に係るベルトの他の例を概略的に示す平面図。
【
図6】
図1に示すベルトが備えるベルト基材の概略断面図。
【
図7】実施形態に係るベルトの他の例を概略的に示す断面図。
【
図9】実施形態に係るベルトの他の例を概略的に示す断面図。
【
図11】実施形態に係るベルトの他の例を概略的に示す断面図。
【
図12】実施形態に係るベルトの他の例を概略的に示す断面図。
【
図13】実施形態に係るベルトの他の例を概略的に示す断面図。
【
図14】実施形態に係るベルトの他の例を概略的に示す平面図。
【
図15】実施形態に係るベルトの他の例を概略的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について適宜図面を参照して説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
【0011】
図1は、実施形態に係るベルト10が、一対のロール20a及び20bに装着された状態を示している。
図2は、ベルト10を概略的に示す平面図である。
図3は、
図2に示すベルト10のIII-III線に沿った概略断面図である。
図4は、実施形態に係るベルトの他の例を概略的に示す断面図である。
図5は、実施形態に係るベルトの他の例を概略的に示す平面図である。
図6は、ベルト10が備える第1ベルト基材1の概略的な断面図である。図面におけるX軸は、ベルト10の進行方向(走行方向ともいう)Pと平行な方向である。Y軸は、X軸と直交する方向である。Y軸方向は、ベルトの幅方向とも呼ぶことができる。Z軸は、X軸及びY軸の双方と直交する方向であって、ベルト基材1の厚さ方向と平行な方向である。
【0012】
ベルト10は、第1ベルト基材1と、第2ベルト基材2と、フッ素樹脂含有層3とを具備する。第1ベルト基材1は、帯状の第1ベルト基材1の端面同士が突き合わされた環状構造を有している。つまり、第1ベルト基材1はエンドレスベルトであり得る。具体的には、帯状の第1ベルト基材1は、X軸と平行に伸びており且つ互いに対向する2つの長辺と、Y軸と平行に伸びており且つ互いに対向する2つの短辺とを有する。Y軸と平行に伸びる2つの短辺は、それぞれ、第1端面1a及び第2端面1bを有する。第1端面1a及び第2端面1bは、第1ベルト基材1の側面であって、互いに対向する2つの面である。
図3に示すように、第1ベルト基材1は、第1端面1aと第2端面1bとが突き合わされて接合した接合部を有する。第1ベルト基材1の接合部を第1接合部1cと呼ぶ。
【0013】
環状構造をなしている第1ベルト基材1は、内周面及び外周面を有する。第1ベルト基材1の内周面を第1内周面11と呼ぶ。第1ベルト基材1の外周面を第1外周面12と呼ぶ。
【0014】
第2ベルト基材2は、帯状の第2ベルト基材2の端面同士が突き合わされた環状構造を有している。つまり、第2ベルト基材2はエンドレスベルトであり得る。具体的には、帯状の第2ベルト基材2は、X軸と平行に伸びており且つ互いに対向する2つの長辺と、Y軸と平行に伸びており且つ互いに対向する2つの短辺とを有する。Y軸と平行に伸びる2つの短辺は、それぞれ、第3端面2a及び第4端面2bを有する。第3端面2a及び第4端面2bは、第2ベルト基材2の側面であって、互いに対向する2つの面である。
図3に示すように、第2ベルト基材2は、第3端面2aと第4端面2bとが突き合わされて接合した接合部を有する。第2ベルト基材2の接合部を第2接合部2cと呼ぶ。
【0015】
環状構造をなしている第2ベルト基材2は、内周面及び外周面を有する。第2ベルト基材2の内周面を第2内周面21と呼ぶ。第2ベルト基材2の外周面を第2外周面22と呼ぶ。
【0016】
図1に示すように、第1ベルト基材1の第1内周面11は、ロール20a、20bに装着されることにより、ロール20aの外周面及び20bの外周面と接している。ロール20a及び20bの少なくとも一方は、駆動ロールでありうる。第2ベルト基材2は、フッ素樹脂含有層3を介して第1ベルト基材1の第1外周面12上に、厚さ方向(Z軸方向)に沿って積層されている。フッ素樹脂含有層3は、第1ベルト基材1の第1外周面12と第2ベルト基材2の第2内周面21とを接着又は融着している。
【0017】
一例によれば、第2ベルト基材2の第2内周面21の周長は、第1ベルト基材1の第1外周面12の周長以上の長さを有する。この場合、第2ベルト基材2及び第1ベルト基材1は、厚さ方向に沿って積層されているにも関わらず、互いに皺が寄ること無しに積層され得る。第2ベルト基材2の第2内周面21の周長は、第1ベルト基材1の第1外周面12の周長より大きくてもよい。
【0018】
第2ベルト基材2の第2内周面21の周長は、特に限定されないが、例えば0.1m~150mの範囲内にある。第1ベルト基材1の第1外周面12の周長は、特に限定されないが、例えば0.1m~150mの範囲内にある。
【0019】
ベルト10の幅は、特に限定されないが、例えば3mm~2500mmの範囲内にある。ベルト10の幅は、2000mm~2500mmの範囲内にあってもよい。
【0020】
フッ素樹脂含有層3は、第1ベルト基材1の第1外周面12と、第2ベルト基材2の第2内周面21との対向部のうち、少なくとも一部に設けられていればよいが、当該対向部のうち、全面に亘って設けられていることが好ましい。フッ素樹脂含有層3が、第1ベルト基材1の第1外周面12と、第2ベルト基材2の第2内周面21との対向部の全面に亘って設けられている場合、第1ベルト基材1又は第2ベルト基材2の一部がめくれたり、ベルト10の走行中に、これら基材の少なくとも一方に皺が寄るのを抑制することができる。
【0021】
図2は、ベルト10を、第2ベルト基材2の第2外周面22側から観察した場合を概略的に示す平面図である。第1ベルト基材1が有する第1接合部1cは、ベルト10の進行方向Pと、直交又は略直交方向に沿って伸びている。第2ベルト基材2が有する第2接合部2cは、ベルト10の進行方向Pと、直交又は略直交方向に沿って伸びている。
【0022】
第1ベルト基材1と第2ベルト基材2とは、第1接合部1cの位置と、第2接合部2cの位置とが、ベルト10の厚さ方向(Z軸方向)に沿って重複しないように、上記フッ素樹脂含有層3を介して積層されている。このことについて、
図3を参照しながら説明する。
【0023】
第1接合部1cと第2接合部2cとは、ベルト10において、X軸方向(ベルト10の幅方向と直交する方向)に沿って所定の間隔Gを空けて配置されている。本願明細書及び特許請求の範囲においては、ベルト10において、X軸方向に沿って所定の間隔Gを空けて配置されている第1接合部1c及び第2接合部2cを、「重複していない」と定義する。
【0024】
なお、
図3にて図示しているベルト10は、ベルト10の進行方向Pに対して第2接合部2cが先行しており、第1接合部1cが後から追随する構成を有しているが、
図4に示すように、ベルト10は、ベルト10の進行方向Pに対して第1接合部1cが先行しており、第2接合部2cが後から追随する構成を有していてもよい。
【0025】
間隔Gは、X軸方向に平行な方向について、第1ベルト基材1が有する第1端面1aから、第2ベルト基材2が有する第4端面2bまでの距離で規定される。間隔Gの範囲は、例えば、10mm以上である。間隔Gが10mm以上であれば、第1接合部1cと第2接合部2cとが十分に離れているため、ベルト10を走行させた場合に、第1接合部1cにも第2接合部2cにも負荷が掛かりにくい効果がある。
【0026】
間隔Gは、例えば、10mm以上であって、ベルト10の周長の半分の長さ以下である。ベルト10における間隔Gは、第1ベルト基材1の第1接合部1cと、第2ベルト基材2の第2接合部2cとの最短距離(但し、ベルト基材上での最短距離)を意味するため、ベルト10の周長の半分の長さよりも大きな値を取ることができない。或いは、間隔Gは、10mm以上150mm以下の範囲内にありうる。間隔Gが150mm以下である場合、第1接合部1c及び第2接合部2cの双方を、少ない回数でプレスに供することができるため好ましい。例えば、第1接合部1c及び第2接合部2cの双方をプレス機の有効盤面に収めて、1回乃至3回のプレスを行うことができる。
【0027】
図示していないが、仮に、第1接合部1cの位置と、第2接合部2cの位置とが、ベルト10の厚さ方向(Z軸方向)に沿って重複していると、ベルト10を環状構造のまま維持することさえ困難である。或いは、これらが重複した位置におけるベルト10の耐折れ曲げ性が低下するため好ましくない。
【0028】
これに対して、実施形態に係るベルト10では、第1接合部1cが、第2ベルト基材2の主面部と対向しているため、折れ曲がり易い第1接合部1cの位置が、第2ベルト基材2の主面部によって補強されている。また、第2接合部2cが、第1ベルト記載1の主面部と対向しているため、折れ曲がり易い第2接合部2cの位置が、第1ベルト基材1の主面部によって補強されている。このように、実施形態に係るベルト10では、各層のベルト基材が、ベルト本体でもあり、補強材でもあるという相補的な構成を有する。
【0029】
従って、実施形態に係るベルト10では、第1接合部1c及び第2接合部2cを、何らかの別部材を貼り付けることによって補強する必要がない。その結果、接合部における段差を有していないベルトを提供することができる。これにより、ベルト10をコンベアベルト等に使用した場合、ワークへの段差(凹凸)の転写を抑制すると共に、歩留まりを向上させることができる。
【0030】
図1~
図4では、第1接合部1c及び第2接合部2cが、進行方向P又はX軸方向に対して直交している場合を説明したが、第1接合部1c及び第2接合部2cの少なくとも一方は、進行方向Pに対して所定の角度を有していてもよい。この場合の一例を
図5に示す。
【0031】
図5に示すように、実施形態に係るベルト10において、進行方向P又はX軸方向に対する、第1接合部1cの角度51を変更することができる。進行方向Pに対する第1接合部1cの角度51は、例えば45度~80度の範囲内にある。同様に、進行方向P又はX軸方向に対する、第2接合部2cの角度52を変更してもよい。進行方向Pに対する第2接合部2cの角度52は、例えば45度~80度の範囲内にある。
【0032】
第1接合部1c及び第2接合部2cの少なくとも一方が進行方向Pに対して傾斜している場合、下記の利点がある。即ち、ベルト10の走行によって第1接合部1c及び第2接合部2cがロール20a又は20bと接する際、第1接合部1c又は第2接合部2cの全体が一度にロールと接することがない。つまり、第1接合部1c又は第2接合部2cにおける、ロールと接する位置がベルト10の走行に伴って変化する。この結果、ベルト10が、第1接合部1c又は第2接合部2cを起点にして折れ曲がるのを抑制することができる。
【0033】
なお、
図5に示すように、第1接合部1c及び第2接合部2cの少なくとも一方が進行方向Pに対して傾斜している場合、間隔Gは、これら第1接合部1c及び第2接合部2cが最も接近する位置でのX軸方向に沿った距離で規定される。
【0034】
(ベルト基材)
以下、
図6を参照しながら、第1ベルト基材1の詳細について説明する。以下の説明においては、特に断らない限り、第1ベルト基材1の説明が、第2ベルト基材2に対しても適用される。第1ベルト基材1と、第2ベルト基材2とは、互いに同じ材料で構成されていてもよく、異なる材料で構成されていてもよい。
【0035】
図6に示すように、第1ベルト基材1は、例えば、耐熱性織布15と、耐熱性織布15の表面の少なくとも一部を被覆するフッ素樹脂16とを含むファブリックである。フッ素樹脂16は、織布15の表面を部分的に被覆していてもよく、表面全体を被覆していてもよい。
【0036】
第1ベルト基材1の厚さは、特に制限されるものではないが、例えば0.075mm~1.0mmの範囲内にありうる。
【0037】
第1ベルト基材1に含まれる材料について説明する。耐熱性織布15の例として、ガラス繊維、アラミド繊維、カーボン繊維、及び、ガラス繊維とアラミド繊維とを混合したものなどが挙げられる。ガラス繊維は、不燃性であり、かつ電気絶縁性を有する。一方、アラミド繊維は、強度に優れ、かつ耐薬品性を有する。
【0038】
フッ素樹脂16の例として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂(FEP)などが挙げられる。フッ素樹脂の種類は1種類または2種類以上にすることができる。
【0039】
ベルト基材は、充填材を含有していてもよい。充填材は、フッ素樹脂に混合または分散されていることが望ましい。充填材の例として、炭素材料、無機物(酸化チタン、窒化ホウ素、酸化ケイ素、酸化亜鉛など)、各種顔料を挙げることができる。使用する充填材の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。充填材の形態は、特に限定されず、粒状、繊維状、針状などにすることができる。
【0040】
(フッ素樹脂含有層)
フッ素樹脂含有層3は、フッ素樹脂を含む。フッ素樹脂含有層3は、フッ素樹脂からなっていてもよい。フッ素樹脂含有層3は、例えば、PTFE、PFA及びFEPからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素樹脂を含む。フッ素樹脂含有層3の厚さは、例えば、12.5μm~250μmの範囲内にある。
【0041】
図示していないが、実施形態に係るベルト10は、第2ベルト基材2の第2外周面22上に面する第3ベルト基材を更に有していてもよい。この場合、例えば、第3ベルト基材の内周面の周長は、第2ベルト基材2の第2外周面22の周長以上の長さを有する。ベルト10が更に第3ベルト基材を有する場合、第2ベルト基材と第3ベルト基材との間には、上記フッ素樹脂含有層が更に介在し得る。第2ベルト基材上に第3ベルト基材を積層する場合、第3ベルト基材が有する突き合わせ部(接合部)が、第1接合部及び第2接合部と重複しないように、これらベルト基材を配置する。第3ベルト基材を構成する耐熱性織布及びフッ素樹脂含有層は、前述した中から所望のものを適宜選択することができる。第3ベルト基材と、第1ベルト基材又は第2ベルト基材とは、互いに同じ材料で構成されていてもよく、異なる材料で構成されていてもよい。
【0042】
2枚のベルト基材が積層されたベルトを2PLYベルトと呼び、3枚のベルト基材が積層されたベルトを3PLYベルトと呼ぶことができる。ベルト基材を4枚以上積層させてもよい。
【0043】
<変形例1>
次に、
図7及び
図8を参照しながら、実施形態に係るベルトの他の例について説明する。
図7は、他の例に係るベルト10を概略的に示す断面図である。
図8は、
図7に示すベルト10を第2外周面22側から観察した場合の一例を概略的に示す平面図である。
【0044】
図7に示すベルト10は、第1サンド材4及び第2サンド材5を更に備えることを除いて、
図1~
図3を参照しながら説明したベルト10と同様の構成を有している。第1サンド材4及び第2サンド材5の少なくとも一方は省略することができる。
【0045】
(サンド材)
サンド材は、例えば、ベルト基材の端面同士が突き合わされた接合部が折れ曲がることを抑制するために、第1ベルト基材1と第2ベルト基材2との間に配置される部材である。サンド材は、例えば、ベルト基材の面内方向と平行な方向に伸びる、シート又はフィルムの形態を有している。
【0046】
サンド材としては、例えば、ポリイミドフィルム、PFAフィルム、及び、前述のファブリックを使用することができる。ポリイミドフィルムは、ポリイミドを50質量%以上の量で含有するフィルムである。ポリイミドフィルムは、ポリイミドのみからなっていてもよい。PFAフィルムは、PFAを50質量%以上の量で含有するフィルムである。PFAフィルムはPFAのみからなっていてもよい。サンド材としてPFAフィルムを使用した場合には、接合部におけるベルト基材のめくれを抑制することができる。
【0047】
サンド材の厚さは、例えば、12.5μm~100μmの範囲内にある。
【0048】
第1サンド材4と、第2サンド材5とは、互いに、形態、材質及び厚さの少なくとも一つが異なっていてもよい。
【0049】
図7に例示するように、第1サンド材4は、第1ベルト基材1の第1外周面12と、第2ベルト基材2の第2内周面21との間に介在している。第1サンド材4は、第1接合部1cの少なくとも一部を被覆している。第1サンド材4は、例えば、第1ベルト基材1の第1外周面12において、第1端面1a側から第2端面1b側までを跨がるように第1接合部1cの少なくとも一部を被覆している。これにより、第1接合部1cでの屈曲が抑制されるため、ベルト10の耐久性を高めることができる。第1サンド材4は、第1接合部1cの全体を被覆していることが好ましい。
【0050】
第2サンド材5は、第1ベルト基材1の第1外周面12と、第2ベルト基材2の第2内周面21との間に介在している。第2サンド材5は、第2接合部2cの少なくとも一部を被覆している。第2サンド材5は、例えば、第2ベルト基材2の第2内周面21において、第3端面2a側から第4端面2b側までを跨がるように第2接合部2cの少なくとも一部を被覆している。これにより、第2接合部2cでの屈曲が抑制されるため、ベルト10の耐久性を高めることができる。第2サンド材5は、第2接合部2cの全体を被覆していることが好ましい。
【0051】
第1サンド材4及び第2サンド材5の形状は特に限定されないが、例えば
図8に示すように、それぞれ、第1接合部1c及び第2接合部2cを被覆することが可能な帯状(矩形状)を有する。帯状のサンド材は、長辺方向がY軸方向と平行となるように、且つ、短辺方向がX軸と平行となるように、第1ベルト基材1と第2ベルト基材2との間に介在している。第1サンド材4のY軸方向についての寸法は、第1ベルト基材1のY軸方向の寸法と同一又は略同一であることが好ましい。第2サンド材5のY軸方向についての寸法は、第2ベルト基材2のY軸方向の寸法と同一又は略同一であることが好ましい。
【0052】
<変形例2>
次に、
図9~
図11を参照しながら、実施形態に係るベルトの他の例について説明する。
図9は、他の例に係るベルト10を概略的に示す断面図である。
図10は、
図9に示すベルト10を第2外周面22側から観察した場合の一例を概略的に示す平面図である。
図11は、他の例に係るベルト10を概略的に示す断面図である。
【0053】
図9に示すベルト10は、第2ベルト基材2の第2外周面22と接触し且つ第2接合部2cを被覆する保護フィルム6を更に備えることを除いて、
図1~
図3を参照しながら説明したベルト10と同様の構造を有する。
【0054】
保護フィルム6は、第2ベルト基材2の第2外周面22において、第2接合部2cの少なくとも一部を被覆している。保護フィルム6は、第2ベルト基材2の第2外周面22において、第2接合部2cの全体を被覆していることが好ましい。
【0055】
保護フィルム6は、
図11に示すように、第1ベルト基材1の第1内周面11において、第1接合部1cの少なくとも一部を被覆していてもよい。この場合、保護フィルム6は、第1ベルト基材1の第1内周面11において、第1接合部1cの全体を被覆していることが好ましい。図面に示してはいないが、保護フィルム6は、第2ベルト基材2の第2外周面22の表面上、及び、第1ベルト基材1の第1内周面11の表面上のそれぞれに設けられていてもよい。
【0056】
ベルト10が保護フィルム6を更に具備する場合、第2ベルト基材2の第2外周面22側からの第2接合部2cに対するワークの侵入を抑制することができる。また、第2接合部2cにおいて突き合わされている第3端面2a及び第4端面2bがめくれるのを抑制することができる。
【0057】
(保護フィルム)
保護フィルム6の形状は特に限定されないが、例えば
図10に示すように、第2接合部2cを被覆することが可能な帯状(矩形状)を有する。帯状の保護フィルム6は、長辺方向がY軸方向と平行となるように、且つ、短辺方向がX軸と平行となるように、第2外周面22上に融着又は貼付されている。保護フィルム6のY軸方向についての寸法は、第2ベルト基材2のY軸方向の寸法と同一又は略同一であることが好ましい。
【0058】
保護フィルム6は、例えば、PTFE、PFA及びFEPからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素樹脂を含むフィルムである。保護フィルム6は、耐熱性織布を備えていなくてもよい。保護フィルム6の厚さは、例えば、12.5μm~250μmの範囲内にある。
【0059】
<変形例3>
図12は、実施形態に係るベルトの他の例を概略的に示す断面図である。
図12に示すように、ベルト10は、第1サンド材4及び第2サンド材5に加えて、保護フィルム6を更に備えていてもよい。
【0060】
<変形例4>
図13は、実施形態に係るベルトの他の例を概略的に示す断面図である。
図13に示すベルト10は、第1ベルト基材1が有する第1接合部1c、及び、第2ベルト基材2が有する第2接合部2cの構造が異なることを除いて、
図1~
図3を参照しながら説明したベルト10と同様の構造を有している。
【0061】
図13に示す第1ベルト基材1が有する第1接合部1cにおいて、当該第1接合部1cを構成している第1端面1a及び第2端面1bは、第1外周面12に対して1.0度~11度の角度で傾斜している。当該角度を、
図13中の符号13にて示している。また、第2接合部2cを構成している第3端面2a及び第4端面2bは、第2外周面22に対して1.0度~11度の角度で傾斜している。当該角度を、
図13中の符号23にて示している。
【0062】
接合部を構成する2つの端面が、ベルト基材の長辺が伸びる方向(X軸方向)に対して傾斜している場合、ベルトの走行によって当該接合部がロール上を通過する際に、接合部に加わる負荷が直線的な負荷ではなくなる。これにより、接合部の寿命が延びる傾向があるため好ましい。
【0063】
第1接合部1c及び/又は第2接合部2cが、ベルト基材の外周面に対して傾斜している場合において、間隔Gは、X軸方向に平行な方向について、第1ベルト基材1が有する第1端面1aから、第2ベルト基材2が有する第4端面2bまでの距離で規定される。
【0064】
図13では、第1接合部1c及び第2接合部2cの双方が傾斜している場合を説明したが、第1接合部1c及び第2接合部2cのうちのいずれか一方のみが傾斜していてもよい。
【0065】
<変形例5>
図14は、実施形態に係るベルトの他の例を概略的に示す断面図である。
図14に示すベルト10は、第1ベルト基材1が有する第1接合部1c、及び、第2ベルト基材2が有する第2接合部2cの構造が異なることを除いて、
図1~
図3を参照しながら説明したベルト10と同様の構造を有している。
【0066】
図14に示す第1ベルト基材1において、第1接合部1cを構成する第1端面1a及び第2端面1bは、互いに嵌合し得る凹凸構造を有している。
【0067】
第1端面1aは、複数の第1凸部31aと、複数の第1凸部31a間に規定される複数の第1凹部とを備える。複数の第1凸部31aは、第1ベルト基材1の幅方向(Y軸方向)に沿って配列している。複数の第1凸部31aは、それぞれ、第1ベルト基材1の面内方向に沿って突出している。面内方向とは、X軸及び/又はY軸に沿う方向である。複数の第1凸部31aのそれぞれは、順テーパ状であり得る。但し、複数の第1凸部31aの厚さ(Z軸方向についての長さ)は、その位置によらず略一定である。
【0068】
第2端面1bは、複数の第2凸部32aと、複数の第2凸部32a間に規定される複数の第2凹部とを備える。複数の第2凸部32aは、第1ベルト基材1の幅方向(Y軸方向)に沿って配列している。複数の第2凸部32aは、それぞれ、第1ベルト基材1の面内方向に沿って突出している。複数の第2凸部32aのそれぞれは、順テーパ状であり得る。但し、複数の第2凸部32aの厚さ(Z軸方向についての長さ)は、その位置によらず略一定である。
【0069】
複数の第1凸部31aのそれぞれは、複数の第2凹部のそれぞれと嵌合している。複数の第2凸部32aのそれぞれは、複数の第1凹部のそれぞれと嵌合している。こうして、第1端面1aが有する凹凸構造と、第2端面1bが有する凹凸構造とが嵌合することによって第1接合部1cが構成されている。
【0070】
図14に示す第2ベルト基材2において、第2接合部2cを構成する第3端面2a及び第4端面2bは、互いに嵌合し得る凹凸構造を有している。
【0071】
第3端面2aは、複数の第3凸部33aと、複数の第3凸部33a間に規定される複数の第3凹部とを備える。複数の第3凸部33aは、第2ベルト基材2の幅方向(Y軸方向)に沿って配列している。複数の第3凸部33aは、それぞれ、第2ベルト基材2の面内方向に沿って突出している。面内方向とは、X軸及び/又はY軸に沿う方向である。複数の第3凸部33aのそれぞれは、順テーパ状であり得る。但し、複数の第3凸部33aの厚さ(Z軸方向についての長さ)は、その位置によらず略一定である。
【0072】
第4端面2bは、複数の第4凸部34aと、複数の第4凸部34a間に規定される複数の第4凹部とを備える。複数の第4凸部34aは、第2ベルト基材2の幅方向(Y軸方向)に沿って配列している。複数の第4凸部34aは、それぞれ、第2ベルト基材2の面内方向に沿って突出している。複数の第4凸部34aのそれぞれは、順テーパ状であり得る。但し、複数の第4凸部34aの厚さ(Z軸方向についての長さ)は、その位置によらず略一定である。
【0073】
複数の第3凸部33aのそれぞれは、複数の第4凹部のそれぞれと嵌合している。複数の第4凸部34aのそれぞれは、複数の第3凹部のそれぞれと嵌合している。こうして、第3端面2aが有する凹凸構造と、第4端面2bが有する凹凸構造とが嵌合することによって第2接合部2cが構成されている。
【0074】
複数の第1凸部31a及び複数の第2凸部32aの寸法は互いに同一又は略同一であり得る。各凸部の寸法は特に制限されないが、各凸部の長さ(X軸方向と平行な長さ)は、例えば10mm~30mmの範囲内にある。各凸部の幅(Y軸方向と平行な長さ)は、例えば6mm~30mmの範囲内にある。
【0075】
また、複数の第3凸部33a及び複数の第4凸部34aの寸法は互いに同一又は略同一であり得る。各凸部の寸法は特に制限されないが、各凸部の長さ(X軸方向と平行な長さ)は、例えば10mm~30mmの範囲内にある。各凸部の幅(Y軸方向と平行な長さ)は、例えば6mm~30mmの範囲内にある。
【0076】
複数の第1凸部及び複数の第2凸部を構成している各凸部の長さ及び幅は、複数の第3凸部及び複数の第4凸部を構成している各凸部の長さ及び幅と、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0077】
図14では、第1接合部1c及び第2接合部2cの双方が、凹凸構造を有する場合を示しているが、第1接合部1c及び第2接合部2cの一方のみが凹凸構造を有していてもよい。第1接合部1c及び第2接合部2cの双方が、凹凸構造を有することが好ましい。
【0078】
第1接合部1c及び第2接合部2cの少なくとも一方が凹凸構造を有する場合、ベルトの走行によって接合部がロール上を通過する際に、接合部に加わる負荷が直線的な負荷ではなくなる。これにより、接合部の寿命が延びる傾向があるため好ましい。
【0079】
図14では、複数の第1凸部~複数の第4凸部の先端部が鋭角な角形状を有する場合を描いているが、これら先端部は、丸みを帯びたR形状を有していてもよい。先端部がR形状を有することにより、先端部におけるベルト基材の立ち上がり又はめくれを抑制することができる。
【0080】
なお、
図14に示すベルト10における間隔Gは、X軸方向に平行な方向についての線分32Xから線分33Xまでの距離で規定される。線分32Xは、ベルト10の幅方向(Y軸方向)と平行な線分であって、複数の第2凸部32aの先端部を互いに結ぶ仮想的な線分である。また、線分33Xは、ベルト10の幅方向(Y軸方向)と平行な線分であって、複数の第3凸部33aの先端部を互いに結ぶ仮想的な線分である。
【0081】
<変形例6>
図15は、実施形態に係るベルトの他の例を概略的に示す断面図である。
図15に示すベルト10は、第1ベルト基材1が有する第1接合部1cの形状、及び、第2ベルト基材2が有する第2接合部2cの形状が異なることを除いて、
図14を参照しながら説明したベルト10と同様の構造を有している。
【0082】
図15に示す第1ベルト基材1が有する第1接合部1cにおいて、複数の第1凸部31aのそれぞれは、一部が順テーパ状であり、且つ、先端部の少なくとも一部が中腹部と比較してより拡径した形状を有する。同様に、複数の第2凸部32aのそれぞれは、一部が順テーパ状であり、且つ、先端部の少なくとも一部が中腹部と比較してより拡径した形状を有する。
【0083】
複数の第1凸部31aの先端部及び複数の第2凸部32aの先端部は、丸みを帯びたR形状を有していてもよく、有していなくてもよい。
図15では、複数の第1凸部31aの先端部及び複数の第2凸部32aの先端部がR形状を有する場合を例示している。この場合、先端部におけるベルト基材の立ち上がり又はめくれを抑制することができる。
【0084】
複数の第1凸部31a及び複数の第2凸部32aが、先端部の少なくとも一部が中腹部と比較してより拡径した形状を有する場合、以下の効果を奏する。第1接合部1cに対して張力が掛かった場合においても、第1凸部31aが有する拡径部と第2凸部32aが有する拡径部とが互いに引っかかる。これにより、第1接合部1cでの素抜け(第1端面1aと第2端面1bとの離間)を抑制することができる。
【0085】
図15に示す第2ベルト基材2が有する第2接合部2cは、上記第1接合部1cと同様の構造を有する。
【0086】
図15では、第1接合部1c及び第2接合部2cの双方が、凹凸構造を有する場合を示しているが、第1接合部1c及び第2接合部2cの一方のみが凹凸構造を有していてもよい。第1接合部1c及び第2接合部2cの双方が、凹凸構造を有することが好ましい。
【0087】
第1接合部1c及び第2接合部2cの少なくとも一方が凹凸構造を有する場合、ベルトの走行によって接合部がロール上を通過する際に、接合部に加わる負荷が直線的な負荷ではなくなる。これにより、接合部の寿命が延びる傾向があるため好ましい。
【0088】
図14において説明した間隔Gの規定は、
図15においても適用される。
【0089】
上述した変形例4~6に係るベルトは、変形例1において説明したサンド材、及び/又は、変形例2において説明した保護フィルムを更に備えていてもよい。
【0090】
実施形態のベルトは、例えば、ヒートシール機用ベルト、食品製造ライン、冷凍食品製造ライン、プラスチックフィルム及び床材などの製造ライン等に使用されるコンベアベルトとして、製品の製造に使用され得る。
【0091】
<製造方法>
実施形態に係るベルトは、例えば、以下の方法で形成され得る。
【0092】
まず、周長が互いに同一か又は異なる帯状のベルト基材を2枚用意する。これらのベルト基材のうちの一方に対して、他方のベルト基材と対面する面上に、フッ素樹脂粒子を含むディスパージョンを塗布する。ディスパージョンを塗布する代わりに、2枚のベルト基材のうちの一方の面上にフッ素樹脂フィルムを融着してもよい。2枚のベルト基材の間に介在するフッ素樹脂は、例えば、PTFE、PFA及びFEPからなる群より選択される少なくとも1種である。
【0093】
次に、前述のディスパージョン又はフッ素樹脂フィルム(未溶融状態のフッ素樹脂層とも呼ぶ)が2枚のベルト基材の間に介在するように、これらベルト基材を積層する。このとき、後工程においてこれらベルト基材を環状構造をなすように接合する際に、内周側に位置する第1ベルト基材の第1接合部の位置と、外周側に位置する第2ベルト基材の第2接合部の位置とが互いに重複しないように、位置をずらして積層する。
【0094】
その後、未溶融状態のフッ素樹脂層を介して積層された2枚のベルト基材を、環状構造をなすように丸める。このとき、内周側に位置する第1ベルト基材の第1端面及び第2端面が突き合わされるように、且つ、外周側に位置する第2ベルト基材の第3端面及び第4端面が突き合わされるように、環状構造を有する積層体を構成する。積層体は、第1ベルト基材、未溶融状態のフッ素樹脂層及び第2ベルト基材がこの順で積層されたものである。
【0095】
続いて、この積層体を熱プレスに供する。熱プレスは、未溶融状態のフッ素樹脂層に含まれるフッ素樹脂の融点以上の温度で行うことが好ましい。熱プレスを、環状構造を有する積層体の全周に亘って施すことにより、実施形態に係るベルトを製造することができる。
【0096】
図7及び
図8などを参照しながら説明した、第1サンド材及び第2サンド材の少なくとも一方を更に備えるベルトを作製する場合には、例えば、上記の積層体を環状構造をなすように丸める際に、所望のサンド材を、ベルト基材の接合部を被覆するように配置する。
【0097】
図9及び
図10などを参照しながら説明した、保護フィルムを更に備えるベルトを作製する場合には、例えば、積層体の熱プレスの際に、第2ベルト基材の第2外周面上に保護フィルムを配置する。
【0098】
帯状のベルト基材を準備する際に、第1ベルト基材が有する2つの短辺(第1端面及び第2端面)、及び/又は、第2ベルト基材が有する2つの短辺(第3端面及び第4端面)を所望の形状に加工することにより、
図13~
図15を参照しながら説明したような接合部の形状を有するベルトを作製することができる。
【0099】
図13に示すように、ベルト基材の外周面に対して1.0度~11度の角度で傾斜した端面を有するベルト基材は、例えば、2つの端面をスカイバー加工によって削ることにより作製可能である。
【0100】
図14及び
図15に示すように、互いに嵌合する凹凸構造を有する2つの端面を有するベルト基材は、所望の凹凸形状を有する打ち抜き型を使用して、ベルト基材の端部を打ち抜くことにより作製することができる。
【0101】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0102】
1…第1ベルト基材、1a…第1端面、1b…第2端面、1c…第1接合部、2…第2ベルト基材、2a…第3端面、2b…第4端面、2c…第2接合部、3…フッ素樹脂含有層、4…第1サンド材、5…第2サンド材、6…保護フィルム、10…ベルト、11…第1内周面、12…第1外周面、15…耐熱性織布、16…フッ素樹脂、21…第2内周面、22…第2外周面、20a、20b…ロール、31a…第1凸部、32a…第2凸部、33a…第3凸部、34a…第4凸部、G…間隔、P…進行方向。