(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089705
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】接続部品およびワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H01R 13/655 20060101AFI20230621BHJP
H01R 13/514 20060101ALI20230621BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
H01R13/655
H01R13/514
H01B7/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204379
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻 啓太朗
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
5G309
【Fターム(参考)】
5E021FA02
5E021FB20
5E021FC21
5E021FC29
5E087JJ08
5E087MM05
5E087MM17
5E087QQ04
5E087RR25
5G309AA10
(57)【要約】
【課題】シールド性能の低下を抑制することができ、仕様変更に容易に対応できる拡張性を持った接続部品およびワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】接続部品10は、シールド部62を有するシールド電線60をアース接続させる導電性の部品である。接続部品10は、シールド部62に接触する接触部13,14と、他の接続部品に連結する連結部としての凸部28および凹部23を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド部を有するシールド電線をアース接続させる導電性の接続部品であって、
前記シールド部に接触する接触部と、
他の接続部品に連結する連結部と、
を備える、接続部品。
【請求項2】
第1分割体と、第2分割体と、を備え、
前記第1分割体は、第1ロック部と、前記連結部としての凹部と、前記シールド電線の外周面の一部に対向する第1内周面と、を有し、
前記第2分割体は、第2ロック部と、前記凹部に嵌合可能な前記連結部としての凸部と、前記シールド電線の外周面の他部に対向する第2内周面と、を有し、
前記第1分割体と前記第2分割体とは、前記第1ロック部と前記第2ロック部との係止によって互いに組み付けられ、
前記接触部は、前記第1内周面および前記第2内周面の少なくとも一方に露出している、請求項1に記載の接続部品。
【請求項3】
導電性部材で構成された前記接触部をインサートして成形される導電性樹脂の母体を備え、
前記接触部は、前記母体を通して、前記シールド部に対する接触部位とは別の接触部位を露出させている、請求項2に記載の接続部品。
【請求項4】
前記母体は、前記凹部を有し、
前記接触部の前記別の接触部位は、前記母体の前記凹部内に露出している、請求項3に記載の接続部品。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された接続部品を備えたワイヤハーネスであって、
複数並んで配置される前記接続部品と、複数の前記接続部品に対応して配置される複数の前記シールド電線と、複数の前記接続部品のうち、少なくとも1つの前記接続部品に接続されるアース線と、を備え、
並び方向で隣接する前記接続部品は、各々の前記連結部によって互いに連結され、
複数の前記シールド電線は、それぞれの前記シールド部を、対応する前記接続部品の前記接触部に接触させることで、同電位に接続されている、ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続部品およびワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数のシールド電線と、一つのアース端子と、複数の中継電線と、を備えたワイヤハーネスを開示している。各シールド電線は、シールド部としての編組線の一部を引き出してなるドレン線を有している。各ドレン線のうちの一つは、メインドレン線として構成されている。アース端子は、メインドレン線の先端部に接続されている。各中継電線の一端部は、メインドレン線を除いた残余のドレン線にそれぞれ接続されている。各中継電線の他端部は、アース端子に一括して接続されている。
【0003】
特許文献2は、シールド電線と、シールド電線のシース外に引き出されたドレン線の端部に端子金具によって接続された継ぎ足し線と、端子金具および継ぎ足し線をシールド電線の外周に固定する粘着テープと、を備えた、ワイヤハーネスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-45899号公報
【特許文献2】特開2021-111463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のワイヤハーネスにおいて、例えば、シールド電線を後から追加する場合には、新たなドレン線を形成して接続する等といった煩雑な作業が必要とされ、迅速に対応することが難しいという事情がある。また、シールド電線のシールド部の一部をドレン線とする場合、シールド部の剥ぎ代が長くなると、シールド性能の低下を招くおそれがある。
【0006】
そこで、本開示は、シールド性能の低下を抑制することができ、仕様変更に容易に対応できる拡張性を持った接続部品およびワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の接続部品は、シールド部を有するシールド電線をアース接続させる導電性の接続部品であって、前記シールド部に接触する接触部と、連結部と、他の接続部品に連結する連結部と、を備える。
本開示のワイヤハーネスは、複数並んで配置される前記接続部品と、複数の前記接続部品に対応して配置される複数の前記シールド電線と、複数の前記接続部品のうち、少なくとも1つの前記接続部品に接続されるアース線と、を備え、並び方向で隣接する前記接続部品は、各々の前記連結部によって互いに連結され、複数の前記シールド電線は、それぞれの前記シールド部を、対応する前記接続部品の前記接触部に接触させることで、同電位に接続されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、シールド性能の低下を抑制することができ、仕様変更に容易に対応できる拡張性を持った接続部品およびワイヤハーネスを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1において、複数の接続部品、複数のシールド電線およびアース線を備えたワイヤハーネスにおいて、各接続部品を破断した側面図である。
【
図2】
図2は、シールド電線を間に挟んで第1分割体および第2分割体が対向して配置された状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1分割体および第2分割体が互いに組み付けられ、さらに並び方向で隣接する接続部品同士が連結された状態を示す平面図である。
【
図6】
図6は、アース線と接続部品との接続状態を示す一部拡大斜視図である。
【
図7】
図7は、小さい内径の接続部品を用いた場合の
図1相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の接続部品は、
(1)シールド部を有するシールド電線をアース接続させる導電性の接続部品であって、前記シールド部に接触する接触部と、連結部と、他の接続部品に連結する連結部と、を備える。
【0011】
シールド電線のシールド部を接触部に接触させ、ワイヤハーネスに接続部品を配置することで、アース経路を確立することができる。上記構成は、シールド部の一部を必ずしもドレン線とすることなく、シールド部の剥ぎ代を短くできるので、シールド性能の低下を抑制できる。
【0012】
また、ワイヤハーネスが複数の接続部品を備える場合に、各接続部品を連結部で連結させることで、各接続部品を順次つなげることができる。各接続部品にはそれぞれシールド電線を電気的に接続させることができるので、複数のシールド電線を一括する態様でアース経路を確立することができる。このように、上記構成は、シールド電線の個数に応じて、各接続部品を連結させることができるので、仕様変更に容易に対応することができ、拡張性を持たせることができる。
【0013】
(2)第1分割体と、第2分割体と、を備え、前記第1分割体は、第1ロック部と、前記連結部としての凹部と、前記シールド電線の外周面の一部に対向する第1内周面と、を有し、前記第2分割体は、第2ロック部と、前記凹部に嵌合可能な前記連結部としての凸部と、前記シールド電線の外周面の他部に対向する第2内周面と、を有し、前記第1分割体と前記第2分割体とは、前記第1ロック部と前記第2ロック部との係止によって互いに組み付けられ、前記接触部は、前記第1内周面および前記第2内周面の少なくとも一方に露出しているのが好ましい。
【0014】
上記構成は、第1ロック部と第2ロック部との係止によって第1分割体と第2分割体とを一体化させることにより、第1分割体の第1内周面と第2分割体の第2内周面との間にシールド電線を挟み込むことができる。第1分割体の第1内周面と第2分割体の第2内周面の少なくとも一方には接触部が露出しているので、第1分割体と第2分割体とを組み付けることで、シールド電線が接続部品に電気的に接続され、アース経路を確立することができる。また、第1分割体の凹部に第2分割体の凸部を嵌合させることで、各接続部品を順次つなげることができる。
【0015】
(3)導電性部材で構成された前記接触部をインサートして成形される導電性樹脂の母体を備え、前記接触部は、前記母体を通して、前記シールド部に対する接触部位とは別の接触部位を露出させていると良い。
【0016】
第1分割体の第1内周面と第2分割体の第2内周面との間にはシールド電線が挟み込まれるため、第1内周面と第2内周面の少なくとも一方にアース線を接続させることは難しい。これに対し、アース線を導電性樹脂の母体に接続させることは可能である。しかし、導電性樹脂は耐熱性に乏しい。このため、アース線を導電性樹脂に接続させる際には、溶接等の手段を適用し難いという事情がある。その点、上記構成は、接触部を耐熱性に優れた導電性部材で構成し、母体を通して別の接触部位に、アース線を溶接等して接続させることができる。
【0017】
(4)前記母体は、前記凹部を有し、前記接触部の前記別の接触部位は、前記母体の前記凹部内に露出していると良い。
【0018】
上記構成は、母体の凹部内にアース線を溶接等して接続させることができるので、溶接部位を凹部の周壁で保護することができる。また、凹部が連結部であるため、連結部とは別にアース線の溶接部位を設ける必要がなく、構成の簡素化を図ることができる。
【0019】
(5)上記(1)から(4)のいずれかに記載された接続部品を備えたワイヤハーネスであって、複数並んで配置される前記接続部品と、複数の前記接続部品に対応して配置される複数の前記シールド電線と、複数の前記接続部品のうち、少なくとも1つの前記接続部品に接続されるアース線と、を備え、並び方向で隣接する前記接続部品は、前記連結部によって互いに連結され、複数の前記シールド電線は、それぞれの前記シールド部を、対応する前記接続部品の前記接触部に接触させることで、同電位に接続されていると良い。
【0020】
上記構成は、シールド電線の個数に応じて複数の接続部品を順次つなげることができるので、仕様変更に容易に対応することができ、拡張性を持たせることができる。また、上記構成は、シールド部の一部を必ずしもドレン線とすることなく、シールド部の剥ぎ代を短くできるため、シールド性能の低下を抑制できる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
<実施形態1>
本開示の実施形態1の接続部品10は、ワイヤハーネス100のアース経路に用いられる部品である。
図1に示すように、ワイヤハーネス100は、複数の接続部品10と、各接続部品10にそれぞれ対応する複数のシールド電線60と、アース線80と、を備えている。各シールド電線60は、各接続部品10およびアース線80を介して、図示しない車体ボディ等のアースポイントにアース接続(接地)される。
【0023】
図2に示すように、シールド電線60は、被覆電線61と、被覆電線61の外周を包囲するシールド部62と、シールド部62の外周を包囲するシース63と、を備えている。本実施形態1の場合、シールド部62は、複数の金属素線を筒状に編成した編組線によって構成されているが、金属箔等のシールド箔で構成されていても良い。
【0024】
シールド部62の先端部は、シース63の外周側に折り返されてシールド電線60の外周面66に露出している。被覆電線61の先端部は、シールド部62の折り返し後、絶縁被覆64の除去によってシールド電線60の先端部に芯線65を露出させている。
【0025】
接続部品10は、全体として筒状をなし、母体11,12と、母体11,12の内周側に配置される接触部13,14と、を有している。接触部13,14は、金属等の非樹脂材としての導電性部材で構成されている。母体11,12は、導電性樹脂で構成され、接触部13,14をインサートして成形されている。このため、接続部品10は、全体として導電性を有している。
【0026】
また、接続部品10は、互いに分割可能な第1分割体15と第2分割体16とで構成されている。第1分割体15は、母体の一部である第1母体11と、接触部の一部である第1接触部13と、を有している。第2分割体16は、母体の他部である第2母体12と、接触部の他部である第2接触部14と、を有している。
【0027】
図4に示すように、第1接触部13は、断面円弧状、詳細には断面半円弧状で軸方向(
図4の上下方向)に延びる形状をなしている。第1接触部13は、周方向に一定厚みで弧状に延び、第1分割体15の第1内周面17に内周を露出させている。
図5に示すように、第2接触部14も、第2分割体16の第2内周面18に内周を露出させている。第1分割体15の第1内周面17および第2分割体16の第2内周面18は、それぞれ、第1接触部13の内周面および第2接触部14の内周面と同一である。
図3に示すように、第1分割体15および第2分割体16は、シールド電線60を間に挟んで、互いに対向して組み付けられる。第1分割体15および第2分割体16が組み付けられた状態において、第1内周面17および第2内周面18は、周方向に連続して断面円形に形成され、シールド電線60の外周面66に沿って接触している。
【0028】
図4に示すように、第1母体11は、第1接触部13における第1内周面17とは反対側の外周に密着し、且つ第1接触部13の外周側を覆うブロック形状の第1外周部21を有している。
図3に示すように、第1外周部21は、第1内周面17と反対側の端壁面22に、連結部としての凹部23を有している。凹部23は、第1外周部21の端壁面22において軸方向の全長に亘って延びる溝状をなし、第1外周部21の端壁面22に加えて第1外周部21の軸方向の両面(上下面)にも開口している。また、凹部23は、第1外周部21の端壁面22における開口縁から底面に向けて徐々に溝幅を広げるアリ溝形状をなしている。この凹部23は、第1外周部21を貫通しており、凹部23の底面は、第1接触部13の外周に形成されている。
【0029】
第1母体11は、第1外周部21における互いに反対側を向く左右の壁面33から第2分割体16側に向けて突出する一対の第1ロック部24を有している。各第1ロック部24は、突出方向の先端部に、互いに向き合うように内側に突出するロック突起25を有している。
【0030】
図5に示すように、第2母体12は、第1母体11と同様、第2接触部14の外周に密着し、且つ第2接触部14の外周側を覆うブロック形状の第2外周部26を有している。第2外周部26は、その端壁面27に、連結部としての凸部28を有している。
図3に示すように、凸部28は、凹部23と連結可能な形状をなし、隣接する他の接続部品10の凹部23内に嵌合可能とされている。具体的には、凸部28は、第2外周部26の端壁面27において軸方向の全長に亘って延びるリブ形状をなしている。また、凸部28は、端壁面27からの突出方向先端に向けて徐々に幅寸法を大きくするアリ形状をなしている。
【0031】
図5に示すように、第2母体12は、第2外周部26の左右の壁面29に一対の第2ロック部31を有している。各第2ロック部31は、第2外周部26の左右の壁面29に開口する断面四角形の有底孔(凹形状部)である。各第1ロック部24のロック突起25は、各第2ロック部31内に嵌合可能とされている。
【0032】
図2に示すように、第1分割体15および第2分割体16は、シールド電線60を間に配した状態で、シールド電線60の径方向両側から組み付けられる。第1分割体15および第2分割体16の組み付け過程においては、ロック突起25が第2外周部26の左右の壁面29と干渉し、第1ロック部24が左右に撓み変形させられる。第1分割体15および第2分割体16が正規に組み付けられると、第1ロック部24が弾性復帰し、ロック突起25が第2ロック部31に嵌まり込む。
図3に示すように、第1ロック部24および第2ロック部31が互いに係止されることにより、第1分割体15および第2分割体16の組み付け状態が維持される。
【0033】
第1分割体15および第2分割体16が正規に組み付けられた状態において、第1分割体15の第1内周面17は、シールド電線60の外周面66の一部(一側半周部)に沿って接触し、第2分割体16の第2内周面18は、シールド電線60の外周面66の他部(他側半周部)に沿って接触する。外周面66に露出するシールド部62は、第1内周面17および第2内周面18を介して、第1分割体15および第2分割体16にそれぞれ電気的に接続される。
【0034】
複数の接続部品10を備えるワイヤハーネス100においては、各接続部品10にそれぞれ対応するシールド電線60が電気的に接続される。各接続部品10は、アースポイントに向けて一列に並んで配置される。
図3に示すように、並び方向に隣接する接続部品10のうち、一方の接続部品10の凹部23に他方の接続部品10の凸部28が軸方向に挿入して嵌合される。これにより、並び方向に隣接する接続部品10同士が離脱を規制された状態で連結される。そして、シールド電線60の個数に応じて、各接続部品10を順次つなげることにより、各接続部品10が電気的にも連結され、各シールド電線60が同電位に揃えられる。
【0035】
図1に示すように、各接続部品10のうち、並び方向の端部に配置される接続部品10(
図1の左端の接続部品10)は、隣接する接続部品10に連結される側とは反対側の端壁面22に、凹部23を露出させている。この端部に配置される接続部品10の凹部23には、アース線80の端部が導入される。
図6に示すように、アース線80の端部は、半田等の溶接材を用いた接続手段によって凹部23の底面に接続される。凹部23の底面は第1接触部13の外周であり、第1接触部13に溶接部位90が形成される。このため、導電性樹脂で構成される母体11,12が溶接熱の影響を受けにくく、アース線80と接続部品10との接続状態を安定して実現することができる。
【0036】
図1に示すように、アース線80は、凹部23に接続される側とは反対側の端部においてアース端子85に接続される。アース端子85は、図示しない車体ボディ等のアースポイントに接続されて固定される。各シールド電線60は、各接続部品10によって同電位に接続され、アース線80およびアース端子85を介してアースポイントにアース接続される。なお、各接続部品10の連結作業を行う前に、被覆電線61の芯線65には、図示しない端子を接続させることができる。
【0037】
ところで、シールド電線60が外径を異にする複数種からなる場合には、接続部品10も、シールド電線60の外径に応じて、内径(第1分割体15および第2分割体16の組み付け状態において第1内周面17と第2内周面18とが周方向に連続して形成される断面円形の直径)を異にする複数種によって構成されることになる。例えば、ワイヤハーネス100に、
図2に示すシールド電線60よりも外径の小さいシールド電線60A(
図7を参照)が含まれる場合には、
図2に示す接続部品10よりも内径の小さい接続部品10A(
図7を参照)が用意される。この接続部品10Aは、内径を小さくした分、接触部13,14の厚みを増加させている。一方、接続部品10Aは、その外形形状、凹部23、凸部28、第1ロック部24および第2ロック部31を
図2に示す接続部品10のものと同一としている。よって、接続部品10Aの凹部23および凸部28は、それぞれ、内径を異にする他の接続部品10の凸部28および凹部23と嵌合して連結される。このように、本実施形態1は、複数種の接続部品10、10Aを用意することで、ワイヤハーネス100に外径を異にする複数種のシールド電線60、60Aが含まれている場合にも適用可能である。
【0038】
以上説明したように、本実施形態1においては、シールド電線60のシールド部62を接触部13,14に接触させ、ワイヤハーネス100に接続部品10を配置することで、アース経路を確立することができる。よって、本実施形態1においては、シールド部62の一部をドレン線とする必要はなく、シールド部62の剥ぎ代を短くできるので、シールド性能の低下を抑制できる。
【0039】
また、複数の接続部品10において、並び方向で隣接する2つの接続部品10のうち、一方の接続部品10に他方の接続部品10を連結させることで、各接続部品10を順次つなげて並び方向に延ばすことができる。よって、シールド電線60を後から追加したり、一部のシールド電線60を省いたりする場合においても、ドレン線の接続作業等の煩雑な作業を行う必要がなく、仕様変更に容易に対応することができる。
【0040】
また、本実施形態1は、アース線80が導電性樹脂の第1母体11に形成された凹部23内に導入されて第1接触部13の外周に溶接されるため、母体11,12に溶接熱の影響が及ぶのを抑制することができる。また、接続部品10の空きの凹部23内にアース線80の端部が導入されて溶接されるため、接続部品10にアース線80を溶接するための専用の構造を設ける必要がなく、構成を簡素化することができる。さらに、本実施形態1においては、溶接部位90を凹部23の周壁で覆って保護することができる。
【0041】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施形態1はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
実施形態1の場合、第1分割体および第2分割体は互いに分離可能とされていた。しかるに他の実施形態の場合、第1分割体および第2分割体はヒンジを介して分離不能に一体化されていても良い。
実施形態1の場合、シールド電線はドレン線を有しておらず、接続部品の接触部はドレン線に対する接続部位を有していなかった。しかるに他の実施形態の場合、シールド電線はドレン線を有し、接続部品の接触部はドレン線に対する接続部位を有していても良い。
実施形態1の場合、接触部は、第1分割体および第2分割体の双方に設けられ、第1内周面および第2内周面の双方に露出していた。しかるに他の実施形態の場合、接触部は、第1分割体と第2分割体のいずれか一方に設けられ、第1内周面および第2内周面のいずれか一方に露出しているだけでも良い。また、接触部は、第1内周面と第2内周面のいずれか一方の全面ではなく部分的に露出しているだけでも良い。
実施形態1の場合、第1ロック部は突出形状をなし、第2ロック部は第1ロック部を嵌合可能な凹形状をなしていた。しかるに他の実施形態の場合、実施形態1とは逆に、第2ロック部は突出形状をなし、第1ロック部は第2ロック部を嵌合可能な凹形状をなしていても良い。
実施形態1の場合、連結部が凹部および凸部として構成されていた。しかるに他の実施形態の場合、連結部は、他の接続部品に連結可能な構造であれば良く、例えば、他の接続部品に係止可能な弾性ロック構造であっても良い。
【符号の説明】
【0042】
10,10A…接続部品
11…第1母体(母体)
12…第2母体(母体)
13…第1接触部(接触部)
14…第2接触部(接触部)
15…第1分割体
16…第2分割体
17…第1内周面
18…第2内周面
21…第1外周部
22…第1外周部の端壁面
23…凹部(連結部)
24…第1ロック部
25…ロック突起
26…第2外周部
27…第2外周部の端壁面
28…凸部(連結部)
29…第2外周部の左右の壁面
31…第2ロック部
33…第1外周部の左右の壁面
60,60A…シールド電線
61…被覆電線
62…シールド部
63…シース
64…絶縁被覆
65…芯線
66…外周面
80…アース線
85…アース端子
90…溶接部位
100…ワイヤハーネス