(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089712
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】電気接続箱及びヒューズ選択方法
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20230621BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
H02G3/16
B60R16/02 635
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204388
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】松尾 侑弥
(72)【発明者】
【氏名】小田 昭博
(72)【発明者】
【氏名】黒田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】桝田 了輔
【テーマコード(参考)】
5G361
【Fターム(参考)】
5G361BA01
5G361BB01
5G361BC01
(57)【要約】
【課題】シューズの溶断の際、基板構造体を丸ごと交換することによる資源の浪費及び環境汚染の問題を未然に防止する。
【解決手段】着脱可能に基板51に設けられた交換ヒューズ70,200と基板51に固定された固定ヒューズ11とを備える車両用の電気接続箱であって、固定ヒューズ11は、交換ヒューズ70,200よりも溶断されにくいヒューズからなる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱可能に基板に設けられた第1ヒューズと前記基板に固定された第2ヒューズとを備える車両用の電気接続箱であって、
前記第2ヒューズは、前記第1ヒューズよりも溶断されにくい電気接続箱。
【請求項2】
前記第2ヒューズは、前記第1ヒューズよりも溶断頻度が低い請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記溶断頻度は以下の式によって定義される請求項2に記載の電気接続箱。
溶断頻度=所定期間内のヒューズ補給数÷利用中の車両のヒューズ総数
【請求項4】
着脱可能に基板に設けられた第1ヒューズと前記基板に固定された第2ヒューズとを備える車両用の電気接続箱のヒューズ選択方法であって、
前記第1ヒューズよりも溶断されにくいヒューズを前記第2ヒューズのヒューズとして選択するヒューズ選択方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板を備える電気接続箱及びヒューズ選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両上でバッテリーと種々の電装品とを電気的に接続させる電気接続箱が普及している。多くの車両は、バッテリーと電装品との間に介在させて電力を供給するための電気接続箱を備えている。電気接続箱には、基板にバスバー、ヒューズ等の部品が実装された基板構造体が収納されている。
【0003】
一方、特許文献1には、電圧回路の通電又は遮断を行うパワーモジュールが、バスバーと螺合され又はバスバーに挟持されることによって、着脱可能に構成されている電気接続箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
過大な電流が流れた場合に回路を保護するヒューズには、その用途に応じて、交換ヒューズと固定ヒューズがあり、夫々基板への実装方法が異なる。
交換ヒューズは当初からヒューズ交換が想定されているヒューズであり、該ヒューズを一時的に保持する保持部材を介して着脱可能に基板と接続される。また、固定ヒューズは当初からヒューズ交換が想定されていないヒューズであり、ヒューズ交換の必要性が無いことから、例えば半田付けによって直接基板に固定される。
【0006】
一方、何らかの原因によって、固定ヒューズが溶断されることもあり得る。しかし、固定ヒューズは基板に固定されているので、ヒューズのみの交換が容易ではなく、基板構造体を丸ごと交換することになる。このように、固定ヒューズのみが溶断されたにも拘わらず、基板構造体を丸ごと交換することは、資源の浪費であり、環境汚染を招く。
【0007】
しかしながら、特許文献1は、パワーモジュールが、交換ヒューズのように、当初から着脱可能に構成された場合については開示しているものの、固定ヒューズのように、半田付けによって基板に固定された場合については言及しておらず、上述の問題を解決できない。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、固定ヒューズが溶断されることを抑制することができ、上述した資源の浪費及び環境汚染の問題を未然に防止できる電気接続箱及びヒューズ選択方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の実施形態に係る電気接続箱は、着脱可能に基板に設けられた第1ヒューズと前記基板に固定された第2ヒューズとを備える車両用の電気接続箱であって、前記第2ヒューズは、前記第1ヒューズよりも溶断されにくい。
【0010】
本開示の実施形態に係るヒューズ選択方法は、着脱可能に基板に設けられた第1ヒューズと前記基板に固定された第2ヒューズとを備える車両用の電気接続箱のヒューズ選択方法であって、前記第1ヒューズよりも溶断されにくいヒューズを前記第2ヒューズのヒューズとして選択する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、固定ヒューズが溶断されることを抑制することによって、資源の浪費及び環境汚染の問題を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る電気接続箱の外観を示す図である。
【
図2】本実施形態の電気接続箱において、ケース部材を省いた状態を示す図である。
【
図3】本実施形態の電気接続箱の基板構造体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0014】
(1)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、着脱可能に基板に設けられた第1ヒューズと前記基板に固定された第2ヒューズとを備える車両用の電気接続箱であって、前記第2ヒューズは、前記第1ヒューズよりも溶断されにくい。
【0015】
本実施形態にあっては、基板に固定された前記第2ヒューズが、着脱可能に基板に設けられた前記第1ヒューズよりも溶断されにくいので、前記第2ヒューズが溶断されることを抑制することによって、前記第2シューズが設けられた基板構造体を丸ごと交換することによる資源の浪費及び環境汚染の問題を未然に防止できる。
【0016】
(2)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記第2ヒューズは、前記第1ヒューズよりも溶断頻度が低い。
【0017】
本実施形態にあっては、前記第2ヒューズは、前記第1ヒューズよりも溶断頻度が低いので、溶断されにくい。よって、前記第2ヒューズが溶断されることを抑制し、前記第2シューズが設けられた基板構造体を丸ごと交換することによる資源の浪費及び環境汚染の問題を未然に防止できる。
【0018】
(3)本開示の実施形態に係る電気接続箱は、前記溶断頻度は次の式によって定義される。溶断頻度=所定期間内のヒューズ補給数÷利用中の車両のヒューズ総数
【0019】
本実施形態にあっては、上述の式によって求められる溶断頻度が低いヒューズを前記第2ヒューズとして用いるので、前記第2ヒューズの溶断を抑制でき、ひいては前記第2シューズが設けられた基板構造体を丸ごと交換することによる資源の浪費及び環境汚染の問題を未然に防止できる。
【0020】
(4)本開示の実施形態に係るヒューズ選択方法は、着脱可能に基板に設けられた第1ヒューズと前記基板に固定された第2ヒューズとを備える車両用の電気接続箱のヒューズ選択方法であって、前記第1ヒューズよりも溶断されにくいヒューズを前記第2ヒューズのヒューズとして選択する。
【0021】
本実施形態にあっては、着脱可能に基板に設けられた前記第1ヒューズよりも溶断されにくいヒューズが、前記基板に固定された前記第2ヒューズのヒューズとして選択される。よって、前記第2ヒューズが溶断されることを抑制し、前記第2シューズが設けられた基板構造体を丸ごと交換することによる資源の浪費及び環境汚染の問題を未然に防止できる。
【0022】
[本発明の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電気接続箱を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0023】
図1は、本実施形態に係る電気接続箱100の外観を示す図である。電気接続箱100はヒューズ等の電子部品が装着された、いわゆる車両用のジャンクションボックスである。
【0024】
本実施形態では、便宜上、各図に示す前後、左右、上下の各方向により、電気接続箱100の「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」を定義する。以下では、このように定義される前後、左右、上下の各方向を用いて説明する。
【0025】
電気接続箱100はケース部材30を備えている。ケース部材30は、金属又は樹脂製であり、後述する基板51及び該基板51の上面に実装された電子部品等を収容している。
【0026】
ケース部材30は、後側のケース後部35と、前側のケース前部33とからなる。ケース後部35は扁平な直方体形状をなしており、ケース前部33はケース後部35よりも上下方向(図視奥行き方向)の寸法が大きい直方体形状をなしている。ケース後部35及びケース前部33は一体形成されている。
【0027】
換言すれば、ケース部材30は、ケース後部35及びケース前部33に跨る上面313を有している。上面313はケース後部35とケース前部33との境にて段差を有して屈曲している。
【0028】
また、上面313の後辺から垂直に下側へ後側面311が延設され、上面313の左辺から垂直に下側へ左側面312が延設され、上面313の右辺から垂直に下側へ右側面314が延設されている。左側面312及び右側面314は、ケース前部33にて上下方向の寸法が拡大されている。
【0029】
電気接続箱100は、左側面312及び右側面314に夫々2つのコネクタ60を備えている。左側面312及び右側面314には切り欠き(図示せず)が形成されており、各コネクタ60は、左側面312の切り欠き及び右側面314の切り欠きを介して、ケース部材30の外側に突出されている。
【0030】
更に、上面313の前辺から垂直に下側へ前側面316が延設されており、前側面316には切り欠き(図示せず)が形成されており、斯かる切り欠きを介して、交換ヒューズ200(
図3参照)が挿着されるヒューズモジュール1が設けられている。また、電気接続箱100は、ヒューズモジュール1の開放口を覆う蓋部材40を備えている。
図1は、ヒューズモジュール1の開放口が蓋部材40によって覆われた状態を示している。
なお、交換ヒューズ200(第1ヒューズ)は、いわゆる平型ヒューズであり、予め交換が想定されているヒューズであり、取り外し可能に、ヒューズモジュール1に装着されている。
【0031】
図2は、本実施形態の電気接続箱100において、ケース部材30を省いた状態を示す図である。即ち、
図2は、基板51と、基板51に実装された各部品とを含む基板構造体50を示している。
図3は、本実施形態の電気接続箱100の基板構造体50を示す斜視図である。
【0032】
ヒューズモジュール1は、交換ヒューズ200が複数挿着される挿着筐体10と、挿着筐体10に挿着された交換ヒューズ200及び基板51に形成されたプリント配線(図示せず)等を接続させる複数の接続端子13と、接続端子13を保持する保持体14とを有する。
【0033】
挿着筐体10は、前側の全面が開放された直方体箱形状をなしている。挿着筐体10の内側には、交換ヒューズ200が挿着される略矩形状の挿入穴12がマトリックス状に設けられている。即ち、挿入穴12は、挿着筐体10の前側の開放口101を介して露出されている。
【0034】
交換ヒューズ200は、挿入穴12に着脱可能に装着されている。従って、交換ヒューズ200が溶断した場合等、必要に応じて、交換ヒューズ200をヒューズモジュール1から取り外し、交換することができる。
【0035】
ケース前部33においては、後方の中央部に、窪み34が形成されている。窪み34は後方が開放されている。
窪み34の底315には、交換ヒューズ200とは異なる交換ヒューズ70を抜き差しするための抜差口318が3つ形成されている。抜差口318は、左右方向を長手方向とする矩形であり、3つの抜差口318が左右方向に並設されている。各抜差口318には交換ヒューズ70(第1ヒューズ)が挿入されている。
【0036】
各交換ヒューズ70は、いわゆる平型ヒューズであり、着脱可能に基板51に装着されている。即ち、全ての交換ヒューズ70は抜差口318を介してケース部材30の外側に露出されている。従って、何れかの交換ヒューズ70が溶断された場合、ケース部材30を分解することなく、斯かる交換ヒューズ70のみを交換することができる。
【0037】
ケース後部35においては、ケース前部33寄り端部の中央部に、着脱口32が設けられている。着脱口32は、平面視矩形の凹部321と、凹部321の底322に形成された複数の挿入孔323とを有する。各挿入孔323は底322を厚み方向に貫通している。底322は左右方向を長手方向とする矩形であり、底322には複数の挿入孔323が格子状に形成されている。
【0038】
挿入孔323は、左右方向を長手方向とする長方形であり、例えば、8つの挿入孔323が底322に形成されている。挿入孔323は、左右方向に並んで列をなしており、前後方向に2列が形成されている。
【0039】
各挿入孔323には、固定ヒューズ11(第2ヒューズ)が夫々挿入されている。各固定ヒューズ11は、いわゆる平型ヒューズであり、基板51に実装されている。
【0040】
基板51には、厚さ方向に貫通する貫通孔(図示せず)が、1つの固定ヒューズ11に対して2つずつ形成されている。斯かる貫通孔の内周面及び開口周縁部は金属膜(図示せず)に覆われている。固定ヒューズ11の2つの端子は、基板51の一面側から前記2つの貫通孔に挿入され、はんだ付けによって前記金属膜に電気的に接続されている。
このような、固定ヒューズ11は交換が想定されていないヒューズであり、例えばはんだ付けによって基板51に固定されているので、溶断の際に交換が困難である。
【0041】
また、上面313においては、着脱口32の周囲に溝31が凹設されている。溝31は、上面313に流れ落ちる雨水等の液体を着脱口32から遠方に導き、液体が着脱口32内に流れ込むことを未然に防止する。
【0042】
溝31は、着脱口32の後辺縁、左辺縁及び右辺縁を囲んで形成されており、着脱口32の左辺縁の下端近傍から左側面312側へ斜め下方に延びており、右辺縁の下端近傍から右側面314側へ斜め下方に延びている。
【0043】
着脱口32の後辺縁の近傍に形成された溝31の部分が倒立V字の形状を成している(
図1参照)。即ち、溝31において、着脱口32よりも後側に形成された一部分が、その中央から前方に傾斜するように設けられている。従って、液体が上面313に流れ落ちた場合、溝31に流れ込み、速やかに溝31を通って着脱口32(固定ヒューズ11)から遠方に流れる。
【0044】
上述の如く、本実施形態の電気接続箱100は、当初からヒューズ交換が想定されており、着脱可能に基板51に設けられている交換ヒューズ200及び交換ヒューズ70と、当初からヒューズ交換が想定されておらず、ヒューズ交換の必要性が無いことから、はんだ付けによって直接基板51に固定されている固定ヒューズ11を備えている。
【0045】
例えば、交換ヒューズ200又は交換ヒューズ70が所定範囲の定格電流(7.5A~25A)のヒューズである場合、固定ヒューズ11は、前記定格電流の範囲外のヒューズである。
【0046】
ところが、何らかの原因によって、固定ヒューズ11が溶断されることもあり得る。しかし、上述の如く、固定ヒューズ11がはんだ付けによって基板51に固定されているので、溶断されたヒューズの交換は困難であり、基板構造体50を丸ごと交換する必要がある。固定ヒューズ11のみが溶断されたにも拘わらず、基板構造体50を丸ごと交換することは、資源の浪費であり、環境汚染を招く。
【0047】
これに対して、本実施形態の電気接続箱100は、固定ヒューズ11用のヒューズとして溶断され難いヒューズを採用することによって斯かる問題を解決している。即ち、本実施形態の電気接続箱100は、基板構造体50に実装すべきヒューズのうち、溶断され難いヒューズを固定ヒューズ11に割り当て、固定ヒューズ11に割り当てられたヒューズよりも溶断され易いヒューズを交換ヒューズ200及び交換ヒューズ70に割り当てる。換言すれば、交換ヒューズ200又は交換ヒューズ70として採用されるヒューズよりも、固定ヒューズ11として採用されるヒューズの方が溶断され難い。
【0048】
具体的には、固定ヒューズ11は、交換ヒューズ200及び交換ヒューズ70よりも溶断が生じる頻度が少ない。即ち、固定ヒューズ11は、交換ヒューズ200及び交換ヒューズ70よりも溶断頻度が低いヒューズにて構成されている。より具体的には、固定ヒューズ11は、前記溶断頻度が閾値以下であるヒューズからなる。
【0049】
溶断頻度は以下の式によって定義される。
「溶断頻度」=「所定期間内のヒューズ補給数」÷「利用中の車両のヒューズ総数」・・・(式1)
前記利用中の車両のヒューズ総数は、例えば、ある自動車メーカの現在利用中の車両数と、車両のヒューズ搭載数(個/台)との積である。また、前記所定期間は、例えば一年である。なお、ヒューズ補給数は、交換の為に補給されたヒューズの数である。
【0050】
以下、溶断頻度の求め方について詳しく説明する。
先ず、ある自動車メーカの年間販売台数(台/年)と、車両の平均寿命(13年)との積から現在利用中の車両数を推定する。「年間販売台数(台/年)」と、車両の平均寿命(年)との掛け算によって、現在利用中の車両数が得られる。
【0051】
次に、前記自動車メーカの代表車種より、車両1台当たりのヒューズ搭載数(個/台)を求め、得られた現在利用中の車両数に掛ける。これによって、利用中の車両のヒューズ総数が算出される。換言すれば、利用中の車両のヒューズ総数は以下の式によって算出される。
「利用中の車両のヒューズ総数」=「年間販売台数(台/年)」×「車両の平均寿命(年)」×「ヒューズ搭載数(個/台)」
そして、前記自動車メーカから入手できる、年間のヒューズ補給数を、利用中の車両のヒューズ総数で割る(式1参照)。
以上によって、車両に使用されるヒューズ毎又は定格電流毎に、溶断頻度を算出することができる。
【0052】
このようにして算出された溶断頻度を用いて、車両に使用されるヒューズから固定ヒューズ11用のヒューズを選択する。即ち、算出された溶断頻度が閾値以下であるヒューズを固定ヒューズ11用として割り当てる。斯かる閾値は、例えば、いわゆるヒューズブルリンクの溶断頻度を閾値にする。一般に、ヒューズブルリンクは溶断され難いと知られており、固定ヒューズ11用のヒューズ選択における溶断頻度の閾値として好ましい。
【0053】
算出された溶断頻度が、ヒューズブルリンクの溶断頻度よりも低いヒューズ、又は、ヒューズブルリンクの溶断頻度と同程度のヒューズが、固定ヒューズ11として、基板構造体50(基板51)にはんだ付けによって固定される。また、算出された溶断頻度がヒューズブルリンクの溶断頻度よりも高いヒューズは交換ヒューズ200又は交換ヒューズ70として、基板構造体50に着脱可能に装着される。
【0054】
車両のヒューズが定格電流の異なる複数種類のヒューズを含む場合は、溶断頻度が低いヒューズは、固定ヒューズ11のように、はんだ付けによって基板51に装着され、溶断頻度が高いヒューズは、交換ヒューズ200又は交換ヒューズ70のように、交換可能に基板51へ取り付けられる。
【0055】
以上の如く、本実施形態の電気接続箱100においては、溶断頻度が閾値以下である、溶断され難いヒューズを固定ヒューズ11として採用され、基板51にはんだ付けによって固定されているので、固定ヒューズ11の溶断が発生することを抑制することができ、上述した資源の浪費及び環境汚染の問題を未然に防止できる。
【0056】
本実施形態においては、ヒューズブルリンクの溶断頻度を閾値として、算出された溶断頻度が閾値以下であるヒューズを固定ヒューズ11として基板51にはんだ付けによって固定する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、算出された溶断頻度が最も低いヒューズを固定ヒューズ11として選択しても良く、前記最も低いヒューズと該ヒューズに類似する溶断頻度のヒューズを固定ヒューズ11として選択しても良い。
【0057】
本実施形態で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
1 ヒューズモジュール
10 挿着筐体
11 固定ヒューズ(第2ヒューズ)
12 挿入穴
13 接続端子
14 保持体
30 ケース部材
31 溝
32 着脱口
33 ケース前部
34 窪み
35 ケース後部
40 蓋部材
50 基板構造体
51 基板
60 コネクタ
70 交換ヒューズ(第1ヒューズ)
100 電気接続箱
101 開放口
200 交換ヒューズ(第1ヒューズ)
311 後側面
312 左側面
313 上面
314 右側面
315 底
316 前側面
318 抜差口
321 凹部
322 底
323 挿入孔