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特開2023-8972プラグコネクタのシールドケーブルフィードスルー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008972
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】プラグコネクタのシールドケーブルフィードスルー
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
H01R13/52 301E
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022106768
(22)【出願日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】2107297
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】518105024
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクス フランス エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】エリック シャテルス
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ デュポン
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ パマール
(72)【発明者】
【氏名】ステファヌ ガレラン
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE10
5E087FF13
5E087LL03
5E087LL04
5E087LL12
5E087LL17
5E087MM05
5E087QQ04
5E087RR04
5E087RR12
5E087RR25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電気自動車またはハイブリッド車の充電プラグコネクタのケーブルフィードスルーに関し、封止性能と組立性を向上する。
【解決手段】シールドケーブルフィードスルーは、少なくとも1つのケーブ104を受けるための開口部102を備えるハウジング100と、開口部102を部分的に覆い、少なくとも1つのケーブル104を受ける貫通孔40を備えたカバー12と、ハウジング100とカバー12との間の境界部50を封止するシール部材14とを備える。シール部材14は、貫通孔を有する少なくとも1つの管状部材68を備え、各管状部材68は、挿入方向Dに平行な方向に沿って延びるように、かつカバー12と少なくとも1つのケーブル104のうちの1つとの間の境界部52を封止するために、カバー12の少なくとも1つの貫通孔40のうちの対応する貫通孔内に配置することにより実現する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に電気自動車またはハイブリッド車の充電プラグの、プラグコネクタのシールドケーブルフィードスルーであって、
前記シールドケーブルフィードスルーは、
・少なくとも1つのケーブルを受けるための開口部(102)を備えるハウジング(100)と、
・前記ハウジング(100)の前記開口部(102)を部分的に覆うカバー(12)であって、
前記カバー(12)は、少なくとも1つの貫通孔(40)を備え、
前記少なくとも1つの貫通孔(40)は、挿入方向(D)に沿って前記少なくとも1つのケーブルのうちの1つを受けるように構成されている、
カバー(12)と、
・前記ハウジング(100)と前記カバー(12)との間の境界部(50)を封止するシール部材(14)と、
を備えており、 前記シール部材(14)が、貫通孔(66)を有する少なくとも1つの管状部材(68)を備え、
各管状部材(68)が、前記挿入方向(D)に沿って前記少なくとも1つのケーブルのうちの1つを受けるように構成され、
各管状部材(68)が、前記挿入方向(D)に平行な方向に沿って延びるように、かつ前記カバー(12)と前記少なくとも1つのケーブルのうちの前記1つとの間の境界部(52)を封止するために、前記カバー(12)の前記少なくとも1つの貫通孔(40)のうちの対応する貫通孔(40)内に配置されている
ことを特徴とする、シールドケーブルフィードスルー。
【請求項2】
前記シール部材(14)の前記管状部材(68)は、前記カバー(12)の一方側から、少なくとも前記カバー(12)の反対側まで延びる、
請求項1に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項3】
前記シール部材(14)は、前記カバー(12)にスナップ嵌めされている、
請求項1または2に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項4】
前記管状部材(68)は、前記シール部材(14)の基部(54)から垂直に延び、かつ、
前記管状部材(68)は、前記挿入方向(D)において前記シール部材(14)を前記カバー(12)に対して保持するための外方に突出する保持要素(76)で終端する自由端(70A)を備える、
請求項3に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項5】
前記保持要素(76)は、前記挿入方向(D)において、前記カバー(12)の前記少なくとも1つの貫通孔(40)を画定する壁部(44)の自由縁部(46)に当接する、
請求項4に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項6】
前記カバー(12)は、特にポジティブロックにより、前記挿入方向(D)の反対方向において前記保持要素(76)を保持するための保持構造体(302)をさらに備える、
請求項4または5に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項7】
前記カバー(12)は、基部(16)、特に平坦かつ長円形の基部(16)を備え、前記基部(16)は、リム(18)により包囲されることで前記基部(16)と前記リム(18)との間に凹部(20)を形成し、
前記リム(18)は、前記ハウジング(100)の前記開口部(102)を画定する壁部(114)に載り、
前記カバー(12)の前記基部(16)は、前記ハウジング(100)の内側の前記開口部(102)内に配置されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項8】
前記保持構造体(302)は、前記挿入方向(D)の反対方向において前記基部(16)から外方に、かつ/または前記カバー(12)の前記凹部(20)に向かって前記カバー(12)の前記リム(18)から突出する、
請求項6および7に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項9】
前記挿入方向(D)における前記カバー(12)の前記貫通孔(40)の深さ(L4)は、前記挿入方向(D)における前記カバー(12)の前記リム(18)の高さ(L1)以下である、
請求項7または8に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項10】
前記カバー(12)は、前記カバー(12)の前記基部(16)と前記カバー(12)の前記リム(18)との間に設けられている第1の肩部(22)を備え、
前記カバー(12)は、前記第1の肩部(22)と前記カバー(12)の前記基部(16)との間に設けられている第2の肩部(34)を備え、
前記シール部材(14)は、基部(14)、特に平坦かつ長円形の基部(16)を備え、前記基部(14)は、リム(56)により包囲されることで前記基部(14)と前記シール部材(14)の前記リム(56)との間に凹部(60)を形成し、
前記シール部材(14)の前記リム(56)は、前記カバー(12)の前記第1の肩部(22)と前記第2の肩部(34)との間に形成されている前記カバー(12)の凹部(36)に配置されている、
請求項7から9のいずれか一項に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項11】
前記カバー(12)および前記シール部材(14)は、2つの別個の部品であり、前記カバー(12)および前記シール部材(14)の各々は、一体に形成され、特に、前記カバー(12)は、剛性材料から一体に作製され、前記シール部材(14)は、エラストマー材料から作製されている、
請求項1から10のいずれか一項に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項12】
グリッド(308)をさらに備え、
前記グリッド(308)は、特に前記グリッド(308)と前記シール部材(14)との間のスナップ嵌め接続によって、前記挿入方向(D)において前記シール部材(14)を保持するために、前記ハウジング(100)の前記開口部(102)に配置されている、
請求項1から11のいずれか一項に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項13】
前記挿入方向(D)において前記カバー(12)の前記貫通孔(40)および前記シール部材(14)の前記管状部材(68)を通して前記ハウジング(100)の前記開口部(102)に挿入されているケーブル(104)をさらに備える、
請求項1から12のいずれか一項に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項14】
1つのみの単一のケーブル(104)、特に絶縁電気DCケーブルを受けるように構成されている、
請求項1から13のいずれか一項に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のシールドケーブルフィードスルーのためのカバーおよびシール部材のアセンブリであって、
前記シール部材(14)は、貫通孔(66)を有する少なくとも1つの管状部材(68)を備え、
各管状部材(68)は、挿入方向(D)に沿って少なくとも1つのケーブルのうちの1つを受けるように構成され、
前記管状部材(68)は、前記挿入方向(D)に平行な方向に沿って延びるように、かつ前記カバー(12)と前記少なくとも1つのケーブルのうちの前記1つとの間の境界部(52)を封止するために、前記カバー(12)の前記少なくとも1つの貫通孔(40)のうちの対応する貫通孔(40)内に配置され、
前記シール部材(14)は、前記カバー(12)にスナップ嵌めされている、
アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に電気自動車のコンダクティブ充電(conductive charging)のための電気自動車またはハイブリッド車の充電プラグの、プラグコネクタのシールドケーブルフィードスルーに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車またはハイブリッド車では、専らまたは部分的に1つまたは複数の電気モータにより、車両が推進される。充電式電池などの蓄電手段により、これに電力供給することができる。
【0003】
車両が販売される地域に適合されるいくつかの車両充電プラグ規格が存在する。例えば、コンバインド充電システム(CCS)を用いて、電気自動車を直流(DC)で急速充電することが知られている。このタイプの充電ソケットは、DCおよび単相または三相交流(AC)のピンの両方を有する場合がある。DC電源は、その電力、すなわち少なくとも150kWおよび400Vを超える電圧に起因して、比較的高速であり、したがって有利な電池の再充電を可能とする。
【0004】
従来技術から知られている車両充電プラグ1の一例を、図1Aおよび図1Bに示す。車両充電プラグ1は、ACコンタクトおよびDCコンタクトを受けるための複数の電力コンタクトチャンバ5が設けられたプラグインインターフェース3を備える。ACコンタクトおよびDCコンタクトは、それぞれのACケーブルおよびDCケーブル(不図示)に圧着または溶接される。インターフェースは、車両充電プラグ1のハウジング7に装着される。車両充電プラグ1は、図1Bでより視認可能なように、ハウジング7の開口部11を通してDC+ケーブルおよびDC-ケーブルをハウジング7の内部キャビティ11Aに向かって通過させるためのシールドケーブルフィードスルー9を備える。シールドケーブルフィードスルー9は、ハウジング7に取り付けられ、ハウジング7の開口部11を部分的に閉じるように構成されたカバー13を備える。
カバー13は、挿入方向Dに沿ってDC+ケーブルおよびDC-ケーブルをそれぞれ受けるように構成された2つの貫通孔15を備える。図1Bの断面図に示すように、カバー13の開口部15は、各DCケーブルを案内するための高さHの管状形状19によってそれぞれ取り囲まれている。高さHは、挿入方向Dに沿ったカバー13の基部21からの管状形状19の長さに相当する。
【0005】
シールドケーブルフィードスルー9は、ハウジング7とカバー13との間の境界部を封止するように構成されたシール部材17をさらに備える。シール部材17は、カバー13とハウジング7の保持手段23との間に挟み込まれる。
【0006】
管状形状19は、カバー13の基部21に対して距離Hよりも近くからDCケーブルを湾曲させることができない。よって、車両充電プラグ1の小型さが、カバー13の管状形状19の高さHによって制限される。しかしながら、管状形状19の高さHを低減すると、シールドケーブルフィードスルー9の封止性能に悪影響を及ぼす場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、特に向上した封止性能を示し、従来技術において知られているアセンブリよりも組み立てが容易な、プラグコネクタのシールドケーブルフィードスルーのよりコンパクトな解決策を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、特に電気自動車またはハイブリッド車の充電プラグの、プラグコネクタのシールドケーブルフィードスルーであって、少なくとも1つのケーブルを受けるための開口部を備えるハウジングと、ハウジングの開口部を部分的に覆うカバーであって、カバーは、少なくとも1つの貫通孔を備え、少なくとも1つの貫通孔は、挿入方向に沿って少なくとも1つのケーブルのうちの1つを受けるように構成されている、カバーと、ハウジングとカバーとの間の境界部を封止するシール部材とを備えるシールドケーブルフィードスルーを提供することにより、上記の目的に対処する。本発明によれば、シール部材は、貫通孔を有する少なくとも1つの管状部材を備え、各管状部材は、挿入方向に沿って少なくとも1つのケーブルのうちの1つを受けるように構成され、各管状部材は、挿入方向に平行な方向に沿って延びるように、かつカバーと少なくとも1つのケーブルのうちの1つとの間の境界部を封止するために、カバーの少なくとも1つの貫通孔のうちの対応する貫通孔内に配置される。
【0009】
シール部材の管状部材をカバーの貫通孔内に配置することにより、封止性能の要件を満たしつつ、カバーの貫通孔の深さを低減することが可能となる。その結果、より小型なシールドケーブルフィードスルーが実現される。特に、従来技術における既知のシールドケーブルフィードスルーよりも挿入方向に沿った厚さが薄いシールドケーブルフィードスルーが実現される。
【0010】
実際、シール部材の管状部材をカバーの貫通孔内に配置することによって、よりハウジングの近くでケーブルを湾曲させることができる。したがって、シールドケーブルフィードスルーがより扱いやすくなる。
【0011】
加えて、カバーの貫通孔においてケーブルがシール部材の管状部材に取り囲まれているので、ケーブルを湾曲させたときにケーブルとシール部材との間に間隙が形成されることを回避することができる。したがって、ケーブルは、カバーの貫通孔内のシール部材の管状部材と直接的に面接触する。したがって、アセンブリの封止性能を向上させることもできる。
【0012】
様々な有利な実施形態によれば、プラグコネクタのシールドケーブルフィードスルーをさらに改善することができる。
【0013】
一実施形態によれば、シール部材の管状部材は、カバーの一方側から、少なくともカバーの反対側まで延びていてよい。
【0014】
それにより、貫通孔の深さ全体が、シール部材の管状部材により取り囲まれている。よって、シールドケーブルフィードスルーの封止性をさらに向上させることができる。
【0015】
一実施形態によれば、シール部材は、カバーにスナップ嵌めされてよい。
【0016】
カバーがハウジングに取り付けられる前に、シール部材をスナップ嵌め接続によりカバーに保持することができる。したがって、作業者には、シール部材およびカバーを別個に操作するのではなく、1つの要素、すなわちシール部材およびカバーのアセンブリを操作することのみが必要となる。したがって、組み立てプロセスを簡略化することができる。
【0017】
シール部材は油により潤滑されるので、それにより、潤滑されるシール部材を直接操作するのではなく、カバー(潤滑されない)のみを操作することにより、油汚染を低減することも可能となる。シール部材は、スナップ嵌め接続によって、カバーを介して間接的に操作される。それにより、油汚染を有利に低減することができる。
【0018】
加えて、カバーにより、カバーがハウジングに取り付けられる前であっても、カバーの一方側と面接触するシール部材の側を汚染から保護することが可能となる。
【0019】
一実施形態によれば、管状部材は、シール部材の基部から垂直に延びていてよく、挿入方向においてシール部材をカバーに対して保持するための外方に突出する保持要素で終端する自由端を備えてよい。
【0020】
保持要素により、シール部材とカバーとの間の接続を向上させることが可能となる。加えて、保持要素は、ケーブルの動きにより生じる歪みを吸収することができる。したがって、シールドケーブルフィードスルーをより堅牢にすることができる。
【0021】
一実施形態によれば、保持要素は、挿入方向において、カバーの少なくとも1つの貫通孔を画定する壁部の自由縁部に当接してよい。
【0022】
したがって、シール部材の保持要素がカバーの縁部貫通孔に当接することにより、シール部材が挿入方向において意図せず変位することを回避することができる。
【0023】
一実施形態によれば、カバーは、特にポジティブロック(positive locking)により、挿入方向の反対方向において保持要素を保持するための保持構造体をさらに備えてよい。
【0024】
したがって、カバーの保持構造体によって、シール部材の保持をさらに向上させることができる。
【0025】
一実施形態によれば、カバーは、基部、特に平坦かつ長円形の基部を備えてよく、この基部は、リムにより包囲されることで基部とリムとの間に凹部を形成し、リムは、ハウジングの開口部を画定する壁部に載っていてよく、カバーの基部は、ハウジングの内側の開口部内に配置される。
【0026】
それにより、カバーの設置面積を低減することが可能となる。凹部の存在により、カバーが完全かつ中実なプラスチック部品によって形成されない。凹部の形状により、より小型なカバーを提供することが可能となる。
【0027】
加えて、カバーの基部をハウジングの内側の開口部内に配置することにより、挿入方向に沿ってより小型なシールドケーブルフィードスルーを得ることができる。
【0028】
一実施形態によれば、保持構造体は、挿入方向の反対方向において基部から外方に、かつ/またはカバーの凹部に向かってカバーのリムから突出していてよい。
【0029】
したがって、保持構造体が、特にプラスチック射出成形によりカバーと一体に形成され得るカバーに良好に機械的に支持および固定される。よって、堅牢なカバーが提供される。
【0030】
一実施形態によれば、挿入方向におけるカバーの貫通孔の深さは、挿入方向におけるカバーのリムの高さ以下であってよい。
【0031】
したがって、カバーの貫通孔は、カバーのリムから外方に突出しない。それにより、特に挿入方向に沿って、カバーの設置面積をさらに低減することができる。加えて、これにより、よりハウジングの近くでケーブルを湾曲させることが可能となる。よって、より小型なアセンブリが実現される。
【0032】
一実施形態によれば、カバーは、カバーの基部とカバーのリムとの間に設けられている第1の肩部を備えてよく、カバーは、第1の肩部とカバーの基部との間に設けられている第2の肩部を備えてよく、シール部材は、基部、特に平坦かつ長円形の基部を備えてよく、この基部は、リムにより包囲されることで基部とシール部材のリムとの間に凹部を形成し、シール部材のリムは、カバーの第1の肩部と第2の肩部との間に形成されているカバーの凹部に配置されてよい。
【0033】
第1の肩部により、カバーをハウジングに装着することを可能とするために、ハウジングの一部が収容され得る凹部をカバーに設けることが可能となる。
【0034】
第2の肩部により、シール部材のリムが収容され得る凹部をカバーに設けることが可能となる。それにより、シール部材とカバーとの間にスナップ嵌め接続または形状嵌め接続を設けることができる。これにより、カバーおよびシール部材を容易に共に保持することが可能となる。
【0035】
一実施形態によれば、カバーおよびシール部材は、2つの別個の部品であってよく、カバーおよびシール部材の各々は、一体に形成されてよく、特に、カバーは、剛性材料から一体に作製されてよく、シール部材は、エラストマー材料から作製されてよい。
【0036】
したがって、より複雑な成形および製造プロセスを必要とする、カバーにオーバーモールドされるシール部材と比較して、各部品を別個に容易に製造することができる。これは、製造コストの節約にもなる。
【0037】
シール部材は、例えばゴムで一体に作製されてよい。カバーは、シール部材よりも高剛性の材料、特に剛性のプラスチック材料から作製されてよい。
【0038】
一実施形態によれば、シールドケーブルフィードスルーはグリッド(grid)をさらに備えてよく、このグリッドは、特にグリッドとシール部材との間のスナップ嵌め接続によって、挿入方向においてシール部材を保持するために、ハウジングの開口部に配置されている。
【0039】
したがって、グリッドによって、シール部材の保持をさらに向上させることができる。グリッドは、ケーブルの案内を補助することもでき、より高い堅牢性をアセンブリに提供する。
【0040】
一実施形態によれば、シールドケーブルフィードスルーは、挿入方向においてカバーの貫通孔およびシール部材の管状部材を通してハウジングの開口部に挿入されているケーブルをさらに備えてよい。
【0041】
一実施形態によれば、シールドケーブルフィードスルーは、1つのみの単一のケーブル、特に絶縁電気DCケーブルを受けるように構成されてよい。
【0042】
特に絶縁電気DCケーブルは重く扱いにくい場合があるため、これにより、一度に1つのケーブルを扱うことが可能となり、作業者にとってより容易になる。
【0043】
本発明の目的は、前出の実施形態のうちの1つに係るシールドケーブルフィードスルーのためのカバーおよびシール部材のアセンブリであって、シール部材は、貫通孔を有する少なくとも1つの管状部材を備え、各管状部材は、挿入方向に沿って少なくとも1つのケーブルのうちの1つを受けるように構成され、管状部材は、挿入方向に平行な方向に沿って延びるように、かつカバーと少なくとも1つのケーブルのうちの1つとの間の境界部を封止するために、カバーの少なくとも1つの貫通孔のうちの対応する貫通孔内に配置され、シール部材は、カバーにスナップ嵌めされている、アセンブリによっても実現される。
【0044】
本発明のさらなる特徴および利点について、図面を参照して説明する。説明においては、本発明の好適な実施形態を例示することを意図した添付の図面が参照される。そのような実施形態は、本発明の全範囲を表すものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1A】従来技術から知られている車両充電プラグを表す図である。
図1B】従来から知られている、図1Aに示す車両充電プラグのシールドケーブルフィードスルーの上面断面図である。
図2A】本発明の第1の実施形態に係るケーブル引出口用アセンブリの断面図である。
図2B】本発明の第1の実施形態に係るケーブル引出口用アセンブリの立体図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るシール部材の立体図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係るケーブル引出口用アセンブリの断面図である。
図5A】本発明の第3の実施形態に係るケーブル引出口用アセンブリの断面図である。
図5B】本発明の第3の実施形態に係るシール部材の立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図2Aおよび図2Bは、特に図1Aに示すような電気自動車またはハイブリッド車の充電プラグの、第1の実施形態に係るプラグコネクタ(不図示)のシールドケーブルフィードスルー10を表す。
【0047】
図2Aはシールドケーブルフィードスルー10の断面図を表し、図2Bはシールドケーブルフィードスルーの立体図を表す。以下、シールドケーブルフィードスルー10について、図2Aおよび図2Bの両方を参照して説明する。
【0048】
シールドケーブルフィードスルー10は、カバー12およびシール部材14を備える。
【0049】
カバー12は、ハウジング100、特に車両充電プラグ(車両充電プラグは不図示)のDCケーブルハウジング100に取り付けられるように構成される。カバー12は、剛性のプラスチック材料から作製され、特にプラスチック射出成形により一体に形成される。
【0050】
ハウジング100は、挿入方向Dに沿った、1つのケーブル104を通過させるための開口部102(図2Aでのみ視認可能)を備える。挿入方向Dは、ハウジング100の開口部102に向かう方向である。開口部102は、ハウジング100の開放キャビティ102Aと連通している。
【0051】
開口部102およびキャビティ102Aは、ケーブル104、およびケーブル104に圧着された端子コンタクト(不図示)を受けるような設計および寸法を有する。カバー12は、ハウジング100の開口部102と相補的な形状に設計される。
【0052】
より詳細には、カバー12は、基部16を備える。基部16の形状は、開口部102の断面形状と相補的である。図2Aおよび図2Bに示す例において、基部16は、平坦かつ長円形の基部16である。カバー12の基部16は、リム18により包囲されることで、基部16とリム18との間に凹部20、すなわち開放キャビティ20を形成する。リム18は、図2Bに示すように、基部16の全周に沿って基部16から垂直に延びる。カバー12のリム18は、高さL1を有する。図2Aおよび図2Bに示すように、基部16は、リム18に対して、カバー12の基部16がハウジング100の自由端106から離れて位置するように配置される。基部16は実際に、ハウジング100の自由端106から距離を空けて開口部102内、特にキャビティ102A内に配置され、当該距離は、リム18の高さL1に相当する。
【0053】
カバー12には、基部16とリム18との間の第1の肩部22が設けられる。これにより、カバー12の周囲に沿って幅L2の溝24、すなわち幅L2の凹部24を形成することが可能となる。溝24は、ハウジング100の自由端106(図2Aでのみ視認可能)を受けるように適合される。よって、溝24の幅L2は、ハウジング100の自由端106の寸法に適合される。ハウジング100の自由端106をカバー12の溝24に収容することで、特に形状嵌め接続により、カバー12をハウジング100に接続することが可能となる。
【0054】
カバー12の保持をさらに向上させるために、図2Aに示すように、少なくとも1つのスナップ嵌め接続部Sが、カバー12とハウジング100との間に設けられる。スナップ嵌め接続部Sを設けるために、カバー12のリム18は、挿入方向Dに沿って延び、保持部材28で終端する屈曲部材26を備える。保持部材28は、ハウジング100の自由端106の対応する保持部材110の保持面108に当接するまたは載るように構成された保持面30を備える。図2Bに示す例においては、スナップ嵌め接続部S1、S2、S3、S4が、シールドケーブルフィードスルー10の4箇所に設けられている。ただし、カバー12とハウジング100との間のスナップ嵌め接続部Sの数は限定されない。
【0055】
さらに、少なくとも部分的にハウジング100の周囲においてハウジング100の外面114から垂直に延びる突起部112にカバー12のリム18の自由端32が当接することにより、カバー12の保持をさらに向上させることができる。
【0056】
カバー12には、第1の肩部22と基部16との間の第2の肩部34が設けられる。これにより、シール部材14の部分38(図2Aで視認可能)を受けるように適合された、カバー12の周囲に沿った幅L3の溝36、すなわち幅L3の凹部36を形成することが可能となる。よって、溝36の幅L3(図2Aに示す)は、シール部材14の部分38の寸法に適合される。溝36の幅L3は、カバー12の周囲に沿って変動してよい。よって、シール部材14の部分38の寸法は、それに応じて変動してよい。シール部材14の部分38をカバー12の溝36に収容することで、特に形状嵌め接続により、カバー12をシール部材14に接続することが可能となる。シール部材14の溝36により、シール部材14の一部、すなわち部分38をカバー12と噛み合わせることが可能となる。
したがって、シール部材14をカバー12に保持することができ、これは、シール部材14が単にシール部材の平坦面に対向するカバーの平坦面に並置される従来技術では実現することができなかった。
【0057】
カバー12の基部16には、挿入方向Dに沿ってケーブル104を受けるように構成された貫通孔40が設けられる。ケーブル104は、車両充電プラグ用のDC電力ケーブルであってよい。ケーブル104は、内部導体116を備え、エラストマー絶縁シース118によって取り囲まれている。
【0058】
カバー12の貫通孔40は、挿入方向Dの反対方向において基部16から垂直に延びる管状形状42により取り囲まれている。管状形状42は、ケーブル104を案内するように働く。管状形状42の長手方向中心軸C1は、挿入方向Dに沿って貫通孔40の中心軸C2と位置合わせされる。
【0059】
管状形状42は、円形の自由縁部46で終端する高さL4の円形壁部44により形成される。高さL4は、図2Aに示すように、挿入方向Dに沿った基部16と自由縁部46との間の長さに相当する。高さL4はさらに、カバー12の貫通孔40の深さL4に相当する。
【0060】
第1の実施形態によれば、挿入方向Dにおいて、カバー12の管状形状42の高さL4は、カバー12のリム18の高さL1よりも小さい。
【0061】
変形例(不図示)においては、挿入方向Dにおいて、高さL4は、カバー12のリム18の高さL1に等しくてよい。
【0062】
したがって、管状形状42は、カバー12のリム18から外方に突出しない。したがって、第1の実施形態によれば、挿入方向Dに沿ったシールドケーブルフィードスルー10のカバー12の最大厚さは、リム18の高さL1に相当する。
【0063】
カバー12の基部16には、貫通孔40とは別個の、シール部材14の保持部材48を受けるように構成されたさらなる貫通孔(視認不可能)が設けられてよい。
【0064】
以下、シール部材14について、図2A図2B図3と共に参照して説明する。図3は、第1の実施形態に係るシール部材14の立体図を表す。
【0065】
シール部材14は、図2Aにおいて2つの円50、52で示される、カバー12とハウジング100との間の第1の境界部50、およびカバー12の管状形状42とケーブル104との間の第2の境界部52を封止するように構成される。
【0066】
シール部材14は、エラストマー材料で一体に形成される。シール部材14は、カバー12とは別個の部品である。換言すれば、シール部材14およびカバー12は、別個に形成される。
【0067】
図3に示すように、シール部材14は、基部54、特に平坦かつ長円形の基部54を備える。シール部材14の基部54の幾何学的形状および寸法は、カバー12およびハウジング100、特にハウジング100の開口部102およびキャビティ102Aの寸法と相補的である。
【0068】
高さL5のリム56が、シール部材14の周囲に沿って基部54の面58から垂直に延び、それにより、凹部60、すなわち開放キャビティ60を形成する。リム56の高さL5は、カバー12の溝36の寸法に適合され、リム56は、図2Aに示すように、そこに収容されることが予期される。実際、上述のシール部材14の部分38は、シール部材14のリム56に対応する。リム56の外壁部62には、カバー12とハウジング100との間の第1の境界部50における封止性を提供するための2つの封止リップ64が設けられる。封止リップ64の数は限定されない。
【0069】
シール部材14の基部54には、挿入方向Dに沿ってケーブル104を受けるように構成された貫通孔66が設けられる。シール部材14の貫通孔66は、挿入方向Dの反対方向において基部54の面58から垂直に延びる管状部材68によって取り囲まれている。シール部材14の管状部材68の長手方向中心軸C3は、挿入方向Dに沿って貫通孔66の中心軸C4と位置合わせされる。
【0070】
管状部材68は、挿入方向Dに平行な軸の周囲に画定された、円形の自由縁部70Aで終端する高さL6の円形壁部70により形成される。高さL6は、挿入方向Dに沿ったシール部材14の基部54と自由縁部70Aとの間の長さに相当する。高さL6はさらに、シール部材14の貫通孔66の深さL6に相当する。
【0071】
第1の実施形態によれば、挿入方向Dにおいて、シール部材14の管状部材68の高さL6は、カバー12の管状形状42の高さL4よりも大きい。したがって、シール部材14の管状部材68は、カバー12の管状形状42の自由縁部46から外方に突出する。
【0072】
図2Aに示すように、シール部材14の管状部材68の円形壁部70は、挿入方向Dにおいてカバー12の管状形状42の円形壁部44に沿って延びるように適合され、それにより、カバー12の貫通孔40における封止性を提供する。
【0073】
管状部材60の内壁部72が、カバー12の管状形状42とケーブル104との間の第2の境界部52における封止性を提供するための封止リップ74を備える。封止リップ74の数は限定されない。
【0074】
さらに、シール部材14の自由縁部70Aは、スナップ嵌め接続により挿入方向Dにおいてシール部材14をカバー12に対して保持するための、外方に突出する保持要素76を形成する。
【0075】
自由縁部70Aは、挿入方向Dの反対方向においてシール部材14の管状部材68をカバー12の管状形状42に挿入することが容易になるよう、保持要素76に挿入面78を設けるように面取りされている。
【0076】
保持要素76は、図2Aに示すように、カバー12の管状形状42の自由縁部46に載るように構成された保持面80をさらに備える。それにより、シール部材14は、スナップ嵌め接続により、挿入方向Dにおいてカバー12と噛み合う。
【0077】
保持要素76がカバー12の管状形状42の自由縁部46と当接することにより、シール部材14の管状部材68の円形壁部70の巻き上がりを回避することも可能となる。
【0078】
シール部材14のカバー12への保持をさらに向上させるために、シール部材14は、貫通孔40とは別個のカバー12の貫通孔内にスナップ嵌めされるように構成された少なくとも1つの保持部材48を備える。保持部材48の数は限定されない。
【0079】
シール部材14の管状部材68をカバー12の管状形状42内に配置することにより、封止性能の要件を満たしつつ、カバー12の貫通孔40の深さL4を低減することが可能となる。実際、第1の実施形態によれば、従来技術とは対照的に、深さL4は、カバー12のリム18の高さL1よりも小さく、当該高さL1は、挿入方向Dに沿ったシールドケーブルフィードスルー10のカバー12の最大厚さに相当する。その結果、挿入方向Dに沿ったカバー12の全体的な厚さを低減することができるので、より小型なシールドケーブルフィードスルー10が実現される。
【0080】
第1の実施形態に係るカバー12内へのシール部材14の配置により、従来技術よりもハウジング100の開口部102の近くでケーブル104を湾曲させることも可能となる。よって、より扱いやすいシールドケーブルフィードスルー10を得ることができる。
【0081】
加えて、ケーブル104を湾曲させた場合、生じる歪みを、ケーブル104のシース118とカバー12の管状形状68との間に直接挿入されたシール部材14により直接的に吸収することができる。
【0082】
さらに、シール部材14のカバー12とのスナップ嵌め接続により、組み立て中または動作中におけるシール部材14の回転が防止される。
【0083】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るシールドケーブルフィードスルー200の断面図を表す。第1の実施形態に対する特有の特徴のみを説明する。既に説明し、図2A図2Bおよび図3に示すものと同じ参照符号を付した要素については、再度詳細に説明せず、上記の説明が参照される。
【0084】
第1の実施形態に係るシールドケーブルフィードスルー10と、第2の実施形態に係るシールドケーブルフィードスルー200との間の差異は、カバー12の管状形状68の円形壁部44の自由縁部(第1の実施形態では参照符号46、第2の実施形態では246で示す)に関する。
【0085】
第2の実施形態において、自由縁部246は、挿入方向Dに関して、円形壁部44に関するカバー12の管状形状42の長手方向中心軸C1に対して約45度に傾斜している。これにより、シール部材14のカバー12に対する保持をさらに向上させることが可能となる。
【0086】
図5Aおよび図5Bは、本発明の第3の実施形態に係るシールドケーブルフィードスルー300を表す。第1の実施形態および第2の実施形態に対する特有の特徴のみを説明する。既に説明し、図2A図2B図3および図4に示すものと同じ参照符号を付した要素については、再度詳細に説明せず、上記の説明が参照される。
【0087】
第1の実施形態および第2の実施形態と比較して、第3の実施形態において、カバー12には、保持構造体302がさらに設けられる。
【0088】
保持構造体302は、例えば射出成形により、カバー12と一体に形成される。
【0089】
保持構造体302は、挿入方向Dの反対方向においてカバー12の基部16から外方に、かつカバー12の凹部20に向かってカバー12のリム18から突出する。
【0090】
保持構造体302は、ケーブル104を取り囲むように適合されたリング304を備える。リング304は、特にポジティブロックにより、ケーブル104に保持機能を提供し、シールドケーブルフィードスルー300の堅牢性を向上させることを可能とする。
【0091】
リング304は、保持構造体302を強化することを可能とする複数の補強要素306によりカバー302の基部16およびリム18に機械的に接続される。補強要素306の数は限定されない。
【0092】
図5Aに示すように、シール部材14の保持要素76は、カバー12の管状形状42の自由縁部46とカバー12のリング304との間に噛み合う。これにより、シール部材14のカバー12に対する保持、加えてシールドケーブルフィードスルー300の堅牢性をさらに向上させることが可能となる。
【0093】
リング304は、挿入方向Dの反対方向においてリム18から外方に突出する。したがって、第3の実施形態においては、第1の実施形態および第2の実施形態と比較して、ケーブル104は、ハウジング100の開口部102からわずかに遠い位置で、しかし従来技術における既知のシールドケーブルフィードスルーよりも近くで湾曲する。よって、第3の実施形態に係るシールドケーブルフィードスルー300は、シールドケーブルフィードスルーがより扱いやすくなるという利点ももたらす。
【0094】
第3の実施形態において、シールドケーブルフィードスルー300は、グリッド308(図5Aでのみ視認可能)をさらに備える。グリッド308は、ハウジング100の開口部102の寸法に適合された実質的に平坦かつ長円形の形状を有する。グリッド308には、ケーブル104を受けるための貫通孔310が設けられる。図5Aに示すように、グリッドは、シール部材14の基部54の面58の反対面82と面接触するように配置される。グリッド308の貫通孔310は、円形壁部312によって取り囲まれている。円形壁部312は、挿入方向Dに平行に延びる。円形壁部312は、ケーブル104に案内機能を提供する。保持機能をさらに提供するために、円形壁部312は、ケーブル104のシース118とシール部材14との間に挿入される。グリッド308により、シールドケーブルフィードスルー300の堅牢性を向上させることも可能となる。
【0095】
不図示の変形例において、シール部材14のグリッド308との保持をさらに向上させるために、グリッド308は、シール部材14の保持部材48を受けるための貫通孔を備えてよい。保持部材48(およびグリッド308における対応する貫通孔)の数は限定されない。
【0096】
グリッド308は、第1の実施形態および第2の実施形態に係るシールドケーブルフィードスルー10、200に設けられてよい。
【0097】
本発明はまた、上述のカバー12およびシール部材14のアセンブリに関し、シール部材14は、カバー12にスナップ嵌めされる。したがって、カバー12がハウジング100に取り付けられる前であっても、シール部材14をスナップ嵌め接続によりカバー12に保持することができる。よって、作業者には、シール部材14およびカバー12を別個に操作するのではなく、1つの要素、すなわちシール部材14およびカバー12のアセンブリを操作することのみが必要となる。したがって、組み立てプロセスを簡略化することができる。加えて、シール部材14は通常油により潤滑されるので、それにより、潤滑されるシール部材14を直接操作するのではなく、カバー12(潤滑されない)のみを操作することにより、油汚染を低減することも可能となる。
シール部材は、スナップ嵌め接続によって、カバー12を介して間接的に操作される。それにより、油汚染を有利に低減することができる。さらに、カバー12により、カバー12がハウジング100に取り付けられる前であっても、(図2Aに示すように)カバー12の一方側と面接触するシール部材14の面48を汚染から保護することが可能となる。
【0098】
特定の例に関連して実施形態を説明したが、本発明は限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく開示の実施形態に対する多数の変更を行うことができる。様々な実施形態および例は、本発明に係るさらなる実施形態または例を得るように互いに自由に組み合わされ得る個々の特徴を含む。
【符号の説明】
【0099】
1 従来技術に係る車両充電プラグ
3 プラグインインターフェース
5 電力コンタクトチャンバ
7 ハウジング
9 従来技術に係るシールドケーブルフィードスルー
11 開口部
11A キャビティ
13 カバー
15 貫通孔
17 シール部材
19 管状形状
21 基部
23 保持手段
10 第1の実施形態に係るシールドケーブルフィードスルー
12 カバー
14 シール部材
16 基部
18 リム
20 凹部、開放キャビティ
22 第1の肩部
24 溝
26 屈曲部材
28 保持部材
30 保持面
32 リム18の自由端
34 第2の肩部
36 溝
38 シール部材14の部分
40 カバー12の貫通孔
42 カバー12の管状形状
44 円形壁部
46 自由縁部
48 保持部材
50 境界部
52 境界部
54 シール部材14の基部
56 リム
58 面
60 凹部
62 外壁部
64 封止リップ
66 貫通孔
68 シール部材14の管状部材
70 円形壁部
70A 自由縁部
72 内壁部
74 リップ
76 保持要素
78 挿入面
80 保持面
82 面58の反対面
100 ハウジング
102 開口部
102A ハウジングの開放キャビティ
104 ケーブル
106 自由端
108 保持面
110 保持部材
112 突起部
114 外面
116 コネクタ
118 シース
200 第2の実施形態に係るシールドケーブルフィードスルー
236 自由縁部
300 第3の実施形態に係るシールドケーブルフィードスルー
302 保持構造体
304 リング
306 補強要素
308 グリッド
310 貫通孔
312 面
312A 反対面
314 壁部
314A 壁部
C1、C2、C3、C4 中心軸
D 挿入方向
DC+、DC- ケーブル
H 高さ
L1、L2、L3、L4、L5、L6 長さ(高さ、幅または深さ)
S、S1、S2、S3、S4 スナップ嵌め接続部
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
【手続補正書】
【提出日】2022-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に電気自動車またはハイブリッド車の充電プラグの、プラグコネクタのシールドケーブルフィードスルーであって、
前記シールドケーブルフィードスルーは、
・少なくとも1つのケーブルを受けるための開口部(102)を備えるハウジング(100)と、
・前記ハウジング(100)の前記開口部(102)を部分的に覆うカバー(12)であって、
前記カバー(12)は、少なくとも1つの貫通孔(40)を備え、
前記少なくとも1つの貫通孔(40)は、挿入方向(D)に沿って前記少なくとも1つのケーブルのうちの1つを受けるように構成されている、
カバー(12)と、
・前記ハウジング(100)と前記カバー(12)との間の境界部(50)を封止するシール部材(14)と、
を備えており、 前記シール部材(14)が、貫通孔(66)を有する少なくとも1つの管状部材(68)を備え、
各管状部材(68)が、前記挿入方向(D)に沿って前記少なくとも1つのケーブルのうちの1つを受けるように構成され、
各管状部材(68)が、前記挿入方向(D)に平行な方向に沿って延びるように、かつ前記カバー(12)と前記少なくとも1つのケーブルのうちの前記1つとの間の境界部(52)を封止するために、前記カバー(12)の前記少なくとも1つの貫通孔(40)のうちの対応する貫通孔(40)内に配置されている
ことを特徴とする、シールドケーブルフィードスルー。
【請求項2】
前記シール部材(14)の前記管状部材(68)は、前記カバー(12)の一方側から、少なくとも前記カバー(12)の反対側まで延びる、
請求項1に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項3】
前記シール部材(14)は、前記カバー(12)にスナップ嵌めされている、
請求項1に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項4】
前記管状部材(68)は、前記シール部材(14)の基部(54)から垂直に延び、かつ、
前記管状部材(68)は、前記挿入方向(D)において前記シール部材(14)を前記カバー(12)に対して保持するための外方に突出する保持要素(76)で終端する自由端(70A)を備える、
請求項3に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項5】
前記保持要素(76)は、前記挿入方向(D)において、前記カバー(12)の前記少なくとも1つの貫通孔(40)を画定する壁部(44)の自由縁部(46)に当接する、
請求項4に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項6】
前記カバー(12)は、特にポジティブロックにより、前記挿入方向(D)の反対方向において前記保持要素(76)を保持するための保持構造体(302)をさらに備える、
請求項4に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項7】
前記カバー(12)は、基部(16)、特に平坦かつ長円形の基部(16)を備え、前記基部(16)は、リム(18)により包囲されることで前記基部(16)と前記リム(18)との間に凹部(20)を形成し、
前記リム(18)は、前記ハウジング(100)の前記開口部(102)を画定する壁部(114)に載り、
前記カバー(12)の前記基部(16)は、前記ハウジング(100)の内側の前記開口部(102)内に配置されている、
請求項1に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項8】
前記保持構造体(302)は、前記挿入方向(D)の反対方向において前記基部(16)から外方に、かつ/または前記カバー(12)の前記凹部(20)に向かって前記カバー(12)の前記リム(18)から突出する、
請求項7に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項9】
前記挿入方向(D)における前記カバー(12)の前記貫通孔(40)の深さ(L4)は、前記挿入方向(D)における前記カバー(12)の前記リム(18)の高さ(L1)以下である、
請求項7に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項10】
前記カバー(12)は、前記カバー(12)の前記基部(16)と前記カバー(12)の前記リム(18)との間に設けられている第1の肩部(22)を備え、
前記カバー(12)は、前記第1の肩部(22)と前記カバー(12)の前記基部(16)との間に設けられている第2の肩部(34)を備え、
前記シール部材(14)は、基部(16)、特に平坦かつ長円形の基部(16)を備え、前記基部(16)は、リム(56)により包囲されることで前記基部(16)と前記シール部材(14)の前記リム(56)との間に凹部(60)を形成し、
前記シール部材(14)の前記リム(56)は、前記カバー(12)の前記第1の肩部(22)と前記第2の肩部(34)との間に形成されている前記カバー(12)の凹部(36)に配置されている、
請求項7に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項11】
前記カバー(12)および前記シール部材(14)は、2つの別個の部品であり、前記カバー(12)および前記シール部材(14)の各々は、一体に形成され、特に、前記カバー(12)は、剛性材料から一体に作製され、前記シール部材(14)は、エラストマー材料から作製されている、
請求項1から10のいずれか一項に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項12】
グリッド(308)をさらに備え、
前記グリッド(308)は、特に前記グリッド(308)と前記シール部材(14)との間のスナップ嵌め接続によって、前記挿入方向(D)において前記シール部材(14)を保持するために、前記ハウジング(100)の前記開口部(102)に配置されている、
請求項1から10のいずれか一項に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項13】
前記挿入方向(D)において前記カバー(12)の前記貫通孔(40)および前記シール部材(14)の前記管状部材(68)を通して前記ハウジング(100)の前記開口部(102)に挿入されているケーブル(104)をさらに備える、
請求項1から10のいずれか一項に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項14】
1つのみの単一のケーブル(104)、特に絶縁電気DCケーブルを受けるように構成されている、
請求項1から10のいずれか一項に記載のシールドケーブルフィードスルー。
【請求項15】
請求項1から10のいずれか一項に記載のシールドケーブルフィードスルーのためのカバーおよびシール部材のアセンブリであって、
前記シール部材(14)は、貫通孔(66)を有する少なくとも1つの管状部材(68)を備え、
各管状部材(68)は、挿入方向(D)に沿って少なくとも1つのケーブルのうちの1つを受けるように構成され、
前記管状部材(68)は、前記挿入方向(D)に平行な方向に沿って延びるように、かつ前記カバー(12)と前記少なくとも1つのケーブルのうちの前記1つとの間の境界部(52)を封止するために、前記カバー(12)の前記少なくとも1つの貫通孔(40)のうちの対応する貫通孔(40)内に配置され、
前記シール部材(14)は、前記カバー(12)にスナップ嵌めされている、
アセンブリ。
【外国語明細書】