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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089737
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】配管システム
(51)【国際特許分類】
   F17D 1/05 20060101AFI20230621BHJP
   F16L 59/147 20060101ALI20230621BHJP
   F16L 59/075 20060101ALI20230621BHJP
   F16L 53/30 20180101ALI20230621BHJP
【FI】
F17D1/05
F16L59/147
F16L59/075
F16L53/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204431
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】山根 裕也
(72)【発明者】
【氏名】山本 邦裕
(72)【発明者】
【氏名】木元 健太
(72)【発明者】
【氏名】合志 義亜
【テーマコード(参考)】
3H025
3H036
3J071
【Fターム(参考)】
3H025AB01
3H025AB05
3H036AA02
3H036AB18
3H036AB25
3H036AB33
3H036AE09
3H036AE13
3J071AA23
3J071CC06
3J071CC07
3J071DD04
3J071DD36
3J071EE27
3J071FF03
(57)【要約】
【課題】液化酸素の発生を抑えることができる配管システムを提供する。
【解決手段】配管システムは、極低温のガスを発生する発生源から輸送先に低温ガスを送る配管システムにおいて、発生源に接続され、真空断熱二重管で構成される第1配管と、輸送先に接続される第2配管と、第1配管及び第2配管に夫々接続され、そこを流れるガスに熱を与える予熱部とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温のガスを発生する発生源から輸送先に低温ガスを送る配管システムにおいて、
前記発生源に接続され、真空断熱二重管で構成される第1配管と、
前記輸送先に接続される第2配管と、
前記第1配管及び前記第2配管に夫々接続され、内部を流れるガスに熱を与える予熱部とを備える、配管システム。
【請求項2】
前記第2配管は、外周面が断熱性を有する被覆部材によって被覆されている断熱配管である、請求項1に記載の配管システム。
【請求項3】
前記予熱部は、予熱配管部と、外気伝熱部を有し、
前記予熱配管部は、前記第1配管及び前記第2配管に接続され、
前記外気伝熱部は、前記予熱配管部の外周面に設けられ、且つ外気の熱を前記予熱配管部を介してそこを流れるガスに与える、請求項1又は2に記載の配管システム。
【請求項4】
前記外気伝熱部は、複数のフィンを有し、
前記複数のフィンは、外方に突出し且つ前記予熱配管部が延在する方向に互いに間隔をあけるように前記予熱配管部に設けられている、請求項3に記載の配管システム。
【請求項5】
前記予熱部は、前記予熱配管部に対する入熱を遮断する断熱部材を有し、
前記断熱部材は、前記予熱配管部の外周面であって前記隣接するフィンの間に形成される複数の間隙のうち少なくとも1か所に設けられている、請求項4に記載の配管システム。
【請求項6】
前記外気伝熱部は、前記予熱配管部と間をあけて前記予熱配管部の周りに形成され、前記予熱配管部との間に封入ガスが封入されている外套を有している、請求項3に記載の配管システム。
【請求項7】
前記外気伝熱部は、前記予熱配管部と前記外套とに架設されている伝熱体を更に有している、請求項6に記載の配管システム。
【請求項8】
前記第1配管は、前記発生源の排出管であり、
前記予熱部は、前記排出管に取り付けられている、請求項1乃至7の何れか1つに記載の配管システム。
【請求項9】
前記第2配管を流れるガスの温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部の検出結果に基づいて前記予熱部の動作を制御する制御装置と、を更に備え、
前記予熱部は、前記第1配管及び前記第2配管に接続される予熱配管部と、熱を発生可能な発熱部と、を有し、
前記発熱部は、前記予熱配管部に設けられ、且つ発生した熱を前記予熱配管部を介してそこを流れるガスに与え、
前記制御装置は、前記温度検出部の検出結果に基づいて前記発熱部の発熱量を制御する、請求項1又は2に記載の配管システム。
【請求項10】
前記第1配管から分岐し、前記真空断熱二重管で構成される第3配管と、
前記第3配管に接続され、前記第2配管に合流する第4配管と、
前記第2配管において前記第4配管との合流点より上流側及び前記第4配管の少なくとも一方に設けられる制御弁と、を更に備える請求項1乃至8の何れか1つに記載の配管システム。
【請求項11】
ガスの温度を検出する温度検出部と、
前記第2配管において前記第4配管との合流点より上流側に介在する前記制御弁である第1開閉弁と、
前記第4配管に介在する前記制御弁である第2開閉弁と、
前記温度検出部の検出結果に応じて前記第1開閉弁及び前記第2開閉弁を開閉する制御装置と、を備える、請求項10に記載の配管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温のガスを発生する発生源から輸送先に低温ガスを送る配管システム。
【背景技術】
【0002】
液化ガスの荷役を行う荷役設備があり、その一例として例えば特許文献1に記載される荷役設備が知られている。特許文献1の荷役設備では、払出タンク(例えばLNG船のタンク)から受入タンク(例えば基地のタンク)にLNGが払出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011―99500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の荷役設備では、タンク内においてLNGが気化してボイルオフガスが発生する。発生するボイルオフガスは、それを有効に利用するために様々な施設、設備、機器、及び装置等の輸送先に送られる。輸送先の1つとして、例えば発電設備がある。発電設備では、ボイルオフガスが低温である程、利用効率が高い。それ故、タンクと発電設備との間を繋ぐ配管システムでは、ガスの温度を低温に保つことが求められている。それ故、配管システムでは、配管に保冷材を被覆させた断熱配管によってガスが低温に保たれている。これにより、利用効率の高い低温のボイルオフガスを発電設備に送っている。
【0005】
他方、特許文献1の荷役設備で荷役する液化ガスは、LNGが想定されているが、荷役される液化ガスにはLNGの他に液化水素や液化ヘリウムがある。液化水素や液化ヘリウムの沸点は、LNGの沸点に比べてかに低温、即ち極低温である。それ故、前述するような断熱配管で液化水素及び液化ヘリウムのボイルオフガスを輸送する場合、配管周りの大気に含まれる酸素が液化温度以下まで冷却される。これにより、配管周りに液化酸素が発生する可能性がある。
【0006】
そこで本発明の目的は、液化酸素の発生を抑えることができる配管システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の配管システムは、極低温のガスを発生する発生源から輸送先に低温ガスを送る配管システムにおいて、前記発生源に接続され、真空断熱二重管で構成される第1配管と、前記輸送先に接続される第2配管と、前記第1配管及び前記第2配管に夫々接続され、内部を流れるガスに熱を与える予熱部とを備えるものである。
【0008】
本発明に従えば、第1配管が真空二重断熱構造であるので、第1配管の周りに液化酸素が発生することが抑制できる。また、予熱部によってガスを極低温から低温へと一気に昇温して第2配管に流すことができるので、第2配管の周りに液化酸素が発生することが抑制できる。これにより、配管システムにおいて配管の周りに液化酸素が発生することを抑制できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、液化酸素の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る配管システムを示す概略図である。
図2】第1実施形態に係る配管システムの予熱部の構成を示す図である。
図3】第2実施形態に係る配管システムの予熱部の構成を示す図である。
図4】第3実施形態に係る配管システムの予熱部の構成を示す図である。
図5】第4実施形態に係る配管システムの予熱部の構成を示す図である。
図6】第5実施形態に係る配管システムの予熱部の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る第1乃至第5実施形態の配管システム1,1A~1Dについて前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する配管システム1,1A~1Dは、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0012】
[第1実施形態]
<荷役設備等>
荷役設備2は、液化水素及び液化ヘリウム等の極低温の液化ガスを船舶(図示せず)と陸上設備との間で荷役するための設備である。本発明において「極低温」は、大気中に含まれる酸素を液化させる温度である。本実施形態において、「極低温」は、例えば-183度未満である。なお、前述する極低温の温度範囲は、大気中に含まれる酸素を液化させる温度であればよく、前述する温度範囲に限定されない。荷役設備2は、液化ガスタンク2aを備えている。本実施形態において、荷役設備2が荷役する液化ガスは、液化水素であって、液化ガスタンク2aは、水素タンクである。発生源の一例である水素タンク2aは、液化水素を貯留している。そして、水素タンク2aでは、入熱によって貯留される液化水素の一部が気化する。これにより、水素タンク2a内に極低温のボイルオフガスが発生する。なお、発生源は、水素タンク2aに限定されない。例えば、発生源は、荷役設備2において液化水素が流れる荷役輸送用の配管の場合もあり、荷役設備2において液化水素が流れる箇所は何れも発生源となり得る。
【0013】
<冷熱発電設備等>
輸送先の冷熱発電設備3は、水素タンク2aで発生するボイルオフガスを用いて発電する設備である。より詳細に説明すると、冷熱発電設備3は、配管システム1を介して荷役設備2に接続されている。冷熱発電設備3には、荷役設備2から配管システム1を介してボイルオフガスが送られる。そして、冷熱発電設備3は、送られたボイルオフガスの冷熱を用いて発電する。また、冷熱発電設備3は、ボイルオフガスの温度が低いほど利用効率が高くなっている。なお、本実施形態において、輸送先は冷熱発電設備3であるが、輸送先は再液化設備及び低温圧縮機であってもよい。即ち、輸送先は、発生源からボイルオフガスを低温状態で輸送される設備及び機器等(特に送られるボイルオフガスが低温状態の方が利用効率が高い設備及び機器等)であればよい。ここで、低温は、大気中に含まれる酸素を液化させない温度であり、例えば-183度以上-50度未満である。なお、前述する低温の温度範囲は、大気中に含まれる酸素を液化させない温度であればよく、その温度範囲に限定されない。
【0014】
<配管システム>
配管システム1は、水素タンク2aから冷熱発電設備3に低温ガスを送る。この際、配管システム1は、水素タンク2aから排出される極低温のガス(ボイルオフガス)に熱を与える。そのため、配管システム1は、そこを流れるガスの温度を極低温から低温域まで上昇させる。そして、配管システム1は、昇温したガスを低温に保ちながら冷熱発電設備3に送る。より詳細に説明すると、配管システム1は、第1配管11と、第2配管12と、予熱部13とを備えている。
【0015】
第1配管11は、水素タンク2aに接続されている。より詳細に説明すると、第1配管11は、水素タンク2aに設けられるガス排出管(即ち、ボイルオフガス排出管)である。なお、第1配管11は、必ずしもガス排出管である必要はなく、ガス排出管に先に設けられる別の配管であってもよい。また、第1配管11は、真空断熱二重管で構成されている。即ち、第1配管11は、内筒11a及び外筒11bとを有している。内筒11aは、その中に極低温のガスを流す。外筒11bは、内筒11aに外装されている。そして、外筒11bは、内筒11aと間に真空層11cを形成している。
【0016】
第2配管12は、冷熱発電設備3に接続されている。より詳細に説明すると、第2配管12は、後述する予熱部13から冷熱発電設備3まで延びる配管である。そして、第2配管12は、その外周面が断熱性を有する被覆部材12bによって被覆されている断熱配管で構成されている。即ち、第2配管12は、配管部分12aと、被覆部材12bとを有している。配管部分12aは、その中にガスを流す。被覆部材12bは、配管部分12aの外表面に被覆されている。被覆部材12bは、断熱性を有する部材である。被覆部材12bは、例えば断熱性を有する発泡樹脂から成り、本実施形態においてPUF(ポリウレタンフォーム)から成る。
【0017】
予熱部13は、第1配管11及び第2配管12に夫々接続されている。より詳細に説明すると、予熱部13は、第1配管11及び第2配管12との間に介在している。また、予熱部13は、その中にガスを流す。即ち、予熱部13は、第1配管11の中を流れる極低温のガスを予熱部13の中に導く。そして、予熱部13は、低温のガスを第2配管12に流す。更に、予熱部13は、そこを流れるガスに熱を与える。そして、予熱部13は、極低温のガスの温度を低温まで上昇させる。
【0018】
より詳細に説明すると、予熱部13は、図2に示すように予熱配管部13aと、外気伝熱部13bとを有している。予熱配管部13aは、第1配管11から第2配管12に延在している。そして、予熱配管部13aは、第1配管11及び第2配管12に夫々接続されている。予熱配管部13aは、その中にガスを流す。即ち、予熱配管部13aは、第1配管11から流れるガスをその中を介して第2配管12に導く。本実施形態において、予熱配管部13aは、円筒状に形成されている。但し、予熱配管部13aの形状は、円筒状に限定されない。
【0019】
外気伝熱部13bは、予熱配管部13aの外周面に設けられている。また、外気伝熱部13bは、外気(例えば大気又は施設等の室内の空気等)の熱を予熱配管部13aを介してそこを流れるガスに与える。より詳細に説明すると、外気伝熱部13bは、外気の熱を取り込み、外気の熱を予熱配管部13aに与えて予熱配管部13aを温める。これにより、予熱配管部13a内を流れるガスが温められる。本実施形態において、外気伝熱部13bは、複数のフィン21である。以下では、複数のフィン21が更に詳細に説明される。
【0020】
複数のフィン21は、外方に突出するように予熱配管部13aに夫々設けられている。より詳細に説明すると、複数のフィン21は、予熱配管部13aの半径方向外方に突出している。本実施形態において、複数のフィン21は、予熱配管部13aの外周面において周方向全周にわたって形成されている。また、複数のフィン21は、予熱配管部13aが延在する方向(以下、「延在方向」という)に互いに間隔をあけるように予熱配管部13aの外周面に設けられている。
【0021】
このように構成されている配管システム1では、水素タンク2aで発生したボイルオフガスが第1配管11を介して予熱部13に導かれる。予熱部13は、予熱部13を流れるガスに熱を与える。より詳細に説明すると、予熱部13において、複数のフィン21が外気の熱を取り込む。そして、複数のフィン21は、取り込んだ熱を予熱配管部13aに与える。これにより、予熱配管部13aが温められる。更に、温められた予熱配管部13aが予熱配管部13aを流れるガスに与える。即ち、複数のフィン21が取り込んだ熱が予熱配管部13aを介して予熱配管部13aを流れるガスに与えられる。これにより、予熱配管部13aを流れるガスの温度を極低温から低温へと昇温させることができる。そして、昇温したガスは、第2配管12を介して冷熱発電設備3に送られる。
【0022】
このように構成されている配管システム1によれば、第1配管11が真空二重断熱構造であるので、第1配管11の周りに液化酸素が発生することを抑制できる。また、予熱部13によってガスを極低温から低温へと一気に昇温して第2配管12に流すことができる。それ故、第2配管12の周りに液化酸素が発生することを抑制できる。これにより、配管システム1において配管の周りに液化酸素が発生することを抑制できる。そして、配管システム1では、第2配管12が被覆部材12bによって被覆されているので、第2配管12を流れるガスを低温に保ちながら冷熱発電設備3に送ることができる。これにより、冷熱発電設備3におけるガスの利用効率の低減を抑制することができる。
【0023】
また、配管システム1によれば、外気の熱が外気伝熱部13b及び予熱配管部13aを介してその中を通るガスに与えられる。極低温のガスと外気とでは大きな温度差があるので、極低温のガスが急速に温められる。それ故、ガスを極低温から低温へと一気に昇温することができる。また、外気伝熱部13bは、外気の熱を伝熱させる構成であるので、複雑な構成を有しない。それ故、配管システム1の製造コストを抑えることができる。
【0024】
更に、配管システム1によれば、複数のフィン21を外気に晒すことによって、外気の熱が複数のフィン21及び予熱配管部13aを通ってその中を通るガスに与えられる。それ故、ガスを極低温から低温へと一気に昇温することができる。特に、複数のフィン21を設けることによって外気に触れる面積を大きくできるので、予熱部13においてより大きな熱量の熱を取り込んでガスに与えることができる。また、複数のフィン21を設けることによって予熱部13の外周面の表面積を大きくできるので、予熱部13の外周面の温度低下を抑制することができる。これにより、予熱部13の外周面において液化酸素が発生し難くすることができる。更に複数のフィン21を予熱配管部13aに設ける簡単な構成であるので、配管システム1の製造コストを抑えることができる。
【0025】
更に、配管システム1によれば、水素タンク2aの排出管である第1配管11に予熱部13を取り付ける構造であるので、第1配管11の長さを短くすることができる。これにより、真空断熱二重管の部分を低減することができるので、配管システム1のコストを低減することができる。
【0026】
[第2実施形態]
第2実施形態の配管システム1Aは、第1実施形態の配管システム1と構成が類似している。従って、第2実施形態の配管システム1Aの構成については、主に第1実施形態の配管システム1と異なる点が説明され、同一の構成については同一の符号を付して説明が省略される。なお、後述する第3乃至第5実施形態の配管システム1B乃至1Dについても同様である。
【0027】
第2実施形態の配管システム1Aは、図3に示すように第1配管11と、第2配管12と、予熱部13Aとを備えている。予熱部13Aは、予熱配管部13aと、外気伝熱部13bと、断熱部材13cとを有している。断熱部材13cは、予熱配管部13aの外周面に設けられている。また、断熱部材13cは、互いに隣接する2つのフィン21の間に形成される複数の間隙13dのうちの少なくとも1か所に設けられている。そして、断熱部材13cは、予熱配管部13aに対する入熱を遮断する。より詳細に説明すると、断熱部材13cは、例えば断熱性を有する発泡樹脂から成り、本実施形態においてPUF(ポリウレタンフォーム)から成る。また、断熱部材13cは、円環状に形成されている。予熱配管部13aの外周面には、複数のフィン21が間隔をあけて設けられることによって、円環状の間隙13dが複数形成されている。断熱部材13cは、予熱配管部13aの外周面であって複数の間隙13dのうち少なくとも1か所において外装されている。本実施形態において、断熱部材13cは、全ての間隙13dにおいて予熱配管部13aの外周面に外装されている。なお、断熱部材13cは、必ずしも円環状に形成されている必要はなく間隙13dにおいて部分的に設けられてもよい。
【0028】
第2実施形態の配管システム1によれば、外気から複数のフィン21及び予熱配管部13aに取り込まれる熱量を断熱部材13cによって制限することができる。即ち、外気から複数のフィン21及び予熱配管部13aを介してガスに与えられる熱量(入熱量)を断熱部材13cによって調整することができる。例えば、断熱部材13cの厚み及び設置する個所等によって入熱量を調整することができ、ガスの温度が上がりすぎることを抑制できる。
【0029】
その他、第2実施形態の配管システム1Aは、第1実施形態の配管システム1と同様の作用効果を奏する。
【0030】
[第3実施形態]
第3実施形態の配管システム1Bは、図4に示すように第1配管11と、第2配管12と、予熱部13Bとを備えている。予熱部13Bは、間に封入ガスが封入された二重管で構成されている。より詳細に説明すると、予熱部13Bは、予熱配管部13aと、外套23と、伝熱体24を有している。外套23は、予熱配管部13aと間をあけて予熱配管部13aの周りに形成されている。そして、外套23は、予熱配管部13aとの間に封入ガスが封入されている。これにより、予熱配管部13aの周りには、外套23との間にガス層25が形成されている。封入ガスは、極低温の状態において気体として存在し得るガスである。本実施形態において、封入ガスは、ヘリウムガスである。従って、外套23と予熱配管部13aとの間には、ヘリウムガス層25が形成されている。なお、封入ガスは、ヘリウムガスに限定されず、極低温状態であっても気化しているものであればよい。
【0031】
より詳細に説明すると、外套23は、本体部分23aと継手部分23bとを有している。本体部分23aは、予熱配管部13aの外周面の周りに半径方向外方に間隔をあけ且つ全周にわたって形成されている。より詳細に説明すると、本体部分23aは、円筒状に形成されている。そして、本体部分23aは、予熱配管部13aに半径方向外方に間隔をあけて外装されている。そして、本体部分23aの延在方向両端部は、塞がれている。これにより、本体部分23aの中には、円環状の空間23cが形成されている。そして、空間23cにヘリウムガスが封入されることによって、本体部分23aと予熱配管部13aとの間にヘリウムガス層25(より詳しくは、第1ヘリウム層25a)が形成されている。また、本体部分23aは、第1配管11の外筒11bに対して延在方向において距離あけて配置されている。これにより、第1配管11の外筒11bと本体部分23aとの間の隙間23dが形成されている。
【0032】
継手部分23bは、第1配管11の外筒11bと本体部分23aとの間の隙間23dを全周にわたって覆っている。より詳細に説明すると、継手部分23bは、外筒11b及び本体部分23aにおいて互いに対向する端部に架け渡されている。これにより、第1配管11の外筒11bと本体部分23aとの間の隙間23dが密閉されている。そして、密閉された隙間23dにヘリウムガスが封入されることによって、本体部分23aと予熱配管部13aとの間にヘリウムガス層25(より詳しくは、第2ヘリウム層25b)が形成されている。
【0033】
伝熱体24は、予熱配管部13aと外套23とに架設されている。より詳細に説明すると、伝熱体24は、予熱配管部13aと外套23の本体部分23aとに架設されている。本実施形態において、伝熱体24は、空間23cに複数配置されている。例えば、複数の伝熱体24は、空間23cにおいて延在方向の一部分に配置され、且つ周方向に間隔をあけて配置されている。そして、伝熱体24の各々が予熱配管部13aと本体部分23aとに架設されている。これにより、外套23において取り入れた外気の熱を伝熱体24を介して予熱配管部13aにより多く伝えることができる。
【0034】
第3実施形態の配管システム1Bによれば、予熱部13Bが封入ガス入りの二重管であるので、外気の熱は封入ガスを介して予熱配管部13aに流れるガスに伝わる。それ故、ガスを極低温から低温へとより早く昇温することができる。また、封入ガスを封入するので、真空引きして構成される真空断熱二重管よりも容易に製造することができる。それ故、配管システム1の製造コストを抑えることができる。
【0035】
また、第3実施形態の配管システム1Bによれば、封入ガスより伝熱効率が高い伝熱体24を予熱配管部13aと外套23とに架設することによって、外気からの入熱量を増加させることができる。これにより、予熱部13Bの長さを短くすることができる。
【0036】
その他、第3実施形態の配管システム1Bは、第1実施形態の配管システム1と同様の作用効果を奏する。
【0037】
[第4実施形態]
第4実施形態の配管システム1Cは、図4に示すように第1配管11と、第2配管12と、予熱部13Cと、温度検出部14と、制御装置15と、を備えている。予熱部13Cは、予熱配管部13aと、発熱部13eとを有している。発熱部13eは、予熱配管部13aに設けられている。そして、発熱部13eは、熱を発生し且つ発生した熱を予熱配管部13aを介して予熱部13を流れるガスに与える。より詳細に説明すると、発熱部13eは、電熱線である。発熱部13eは、予熱配管部13aの外周面に設けられている。更に詳細に説明すると、発熱部13eは、予熱配管部13aの外周面においてコイル状に巻かれている。なお、発熱部13eは、必ずしも予熱配管部13aの外周面に巻かれている必要はなく、予熱配管部13aの中に埋設されていてもよい。また、発熱部13eは、渦状に巻かれて予熱配管部13aの外周面に設けられていてもよい。更に、発熱部13eは、予熱配管部13aの一部分に巻かれていているが、予熱配管部13a全体に巻かれていてもよい。
【0038】
温度検出部14は、第2配管12を流れるガスの温度を検出する。より詳細に説明すると、温度検出部14は、第2配管12において予熱配管部13a側に設けられている。但し、温度検出部14は、必ずしも第2配管12において予熱配管部13a側である必要はなく、冷熱発電設備3側(即ち、輸送先側)に設けられてもよい。そして、温度検出部14は、例えばその検出部分14aが第2配管12内に突き出るように第2配管12に設けられている。
【0039】
制御装置15は、温度検出部14の検出結果に基づいて予熱部13Cの動作を制御する。より詳細に説明すると、制御装置15は、温度検出部14の検出結果に基づいて発熱部13eの発熱量を制御する。即ち、制御装置15は、温度検出部14の検出結果であるガスの温度が所定温度(極低温より大きく低温の範囲内)より低い場合、発熱部13eで発生する熱量を大きくする。他方、制御装置15は、温度検出部14の検出結果であるガスの温度が所定温度より高い場合、発熱部13eで発生する熱量を小さくする。例えば、制御装置15は、発熱部13eに流す電流(電流値又はデューティ比)を制御することによって、発熱部13eの発熱量を制御する。
【0040】
このように第4実施形態の配管システム1Cによれば、発熱部13eの発熱量を制御することによって、予熱配管部13aから第2配管12へと流れるガスの温度を精度よく調整することができる。
【0041】
その他、第4実施形態の配管システム1Cは、第1実施形態の配管システム1と同様の作用効果を奏する。
【0042】
[第5実施形態]
第5実施形態の配管システム1Dは、図6に示すように第1配管11と、第2配管12と、予熱部13と、第3配管16と、第4配管17と、第1開閉弁18と、第2開閉弁19と、温度検出部14Dと、制御装置15Dと、を備えている。第3配管16は、第1配管11から分岐するように形成されている。そして、第3配管16は、真空断熱二重管で構成されている。即ち、第3配管16は、第1配管11と同様に、内筒16a及び外筒16bとを有している。内筒16aは、その中にガスを流し、また外筒16bは、内筒16aに外装されている。そして、外筒16bは、内筒16aと間に真空層16cを形成している。
【0043】
第4配管17は、第3配管16に接続され、第2配管12に合流する。そして、第4配管17は、断熱配管で構成されている。即ち、第4配管17は、第2配管12と同様に、配管部分17aと、被覆部材17bとを有している。配管部分17aは、その中にガスを流す。被覆部材17bは、配管部分17aの外表面に被覆されている。被覆部材17bは、断熱性を有する部材である。被覆部材17bは、例えば断熱性を有する発泡樹脂から成り、本実施形態においてPUF(ポリウレタンフォーム)から成る。
【0044】
制御弁の一例である第1開閉弁18は、第2配管12において第4配管17と合流する合流点gより上流側に介在している。そして、第1開閉弁18は、開閉可能に構成されている。また、制御弁の一例である第2開閉弁19は、第4配管17に介在している。第2開閉弁19もまた、開閉可能に構成されている。第1開閉弁18及び第2開閉弁19は、例えば電磁開閉弁である。
【0045】
温度検出部14Dは、第1配管11を流れるガスの温度を検出する。より詳細に説明すると、温度検出部14Dは、第1配管11において第3配管16が分岐する分岐点bより水素タンク2a側(即ち、発生源側)に設けられている。但し、温度検出部14Dは、必ずしも第1配管11において発生源側である必要はなく、予熱部13側に設けられてもよい。そして、温度検出部14は、その検出部分14aを第1配管11内に突き出させるように第1配管11に設けられている。
【0046】
制御装置15Dは、温度検出部14Dの検出結果に基づいて第1開閉弁18及び第2開閉弁19の開閉動作を制御する。例えば、制御装置15は、温度検出部14Dが所定温度以上である場合、検出結果に基づいて第1開閉弁18を開き、且つ第2開閉弁19を閉じる。これにより、第2配管12へと流れるガスが無駄に温められることを抑制できる。他方、制御装置15は、温度検出部14Dが所定温度未満である場合、第1開閉弁18を閉じ、且つ第2開閉弁19を開く。これにより、ガスを所定温度以上にして第2配管12に流すことができる。
【0047】
第5実施形態の配管システム1Dによれば、第1開閉弁18又は第2開閉弁19の動作を制御することによって、合流後の低温ガスの温度を適度な温度に調整することができる。
【0048】
また、配管システム1Dによれば、ガスの温度に応じて第1開閉弁18及び第2開閉弁19が夫々開閉される。例えば、ガスの温度が比較的高い場合、第1開閉弁18を開くことによって無駄にガスが温められることを抑制できる。また、ガスの温度が比較的低い場合、第2開閉弁19を開くことによって、ガスを温めることができる。
【0049】
その他、第5実施形態の配管システム1Dは、第1実施形態の配管システム1と同様の作用効果を奏する。
【0050】
[その他の実施形態]
第1乃至第5実施形態の配管システム1,1A~1Dでは、発生源で発生する極低温のボイルオフガスが水素であるが、ヘリウムであってもよい。第3実施形態の配管システム1Bにおいて、外套23は、必ずしも本体部分23aと継手部分23bとを有している必要はない。即ち、本体部分23aが第1配管11に達しており、外套23が継手部分23bを有していなくてもよい。更に、予熱部13Bは、必ずしも伝熱体24を有する必要はない。
【0051】
また、第4実施形態及び第5実施形態の配管システム1C,1Dでは、温度検出部14,14Dがガスの温度を直接検出しているが、第1配管11及び第2配管12の温度によってガスの温度を推定することによってガスの温度を検出してもよい。即ち、温度検出部14,14Dは、ガスの温度を直接的又は間接的に検出できればよい。
【0052】
更に第5実施形態の配管システム1Dには、第1開閉弁18及び第2開閉弁19の両方が備わっている、何れか一方だけが備わっていてもよい。また、第5実施形態の配管システム1Dに備わる予熱部13は、第1実施形態の予熱部13に限定されず、第2乃至第4実施形態の予熱部13A~13Cの何れかであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1,1A,1B,1C,1D 配管システム
2 荷役設備(発生源)
2a 水素タンク(発生源)
3 冷熱発電設備(輸送先)
11 第1配管
12 第2配管
12b 被覆部材
13,13A,13B,13C 予熱部
13a 予熱配管部
13b 外気伝熱部
13c 断熱部材
13d 間隙
13e 発熱部
14,14D 温度検出部
15,15D 制御装置
16 第3配管
17 第4配管
18 第1開閉弁(制御弁)
19 第2開閉弁(制御弁)
21 フィン
23 外套
24 伝熱体
g 合流点
図1
図2
図3
図4
図5
図6